(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6484999
(24)【登録日】2019年3月1日
(45)【発行日】2019年3月20日
(54)【発明の名称】床用化粧シートの製造方法
(51)【国際特許分類】
E04F 15/02 20060101AFI20190311BHJP
B32B 37/08 20060101ALI20190311BHJP
【FI】
E04F15/02 A
B32B37/08
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-223210(P2014-223210)
(22)【出願日】2014年10月31日
(65)【公開番号】特開2016-89423(P2016-89423A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2017年9月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】関野 峰帆
(72)【発明者】
【氏名】播摩 一
【審査官】
五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−106591(JP,A)
【文献】
特開平08−230113(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 15/00−15/22
B32B 37/00−37/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッカー層を形成する樹脂とホットメルト接着剤とを共押出し、
共押出された前記バッカー層を形成する樹脂と前記ホットメルト接着剤とからなるシート材と化粧シートを、前記化粧シート側に位置する第1のロールと、前記バッカー層側に位置する第2のロールとで挟み込み、前記シート材の前記ホットメルト接着剤側に前記化粧シートを接触させて冷却固化し、
前記ホットメルト接着剤側に前記化粧シートを接触させた後、前記シート材と前記化粧シートを、前記第2のロールと第3のロールとで挟み込み、
前記第1のロールと前記第2のロールを同じ温度とし、前記第3のロールを前記第1のロールと前記第2のロールよりも低い温度とすることにより、前記化粧シートに前記バッカー層を形成させた床用化粧シートを得ることを特徴とする床用化粧シートの製造方法。
【請求項2】
共押出された前記バッカー層を形成する樹脂と前記ホットメルト接着剤とを挟み込む前記第1のロール及び前記第2のロールのうち、前記ホットメルト接着剤側に位置する前記第1のロールを用いて前記化粧シートを搬送することで、前記ホットメルト接着剤側に前記化粧シートを接触させることを特徴とする請求項1に記載の床用化粧シートの製造方法。
【請求項3】
前記化粧シートは、絵柄模様による意匠性を付与する絵柄印刷層と、透明性を有する透明上台樹脂層とを、この順で備え、
前記第1のロールを用いて前記化粧シートを搬送する際、前記絵柄印刷層の裏面側を前記ホットメルト接着剤側に配置し、前記透明上台樹脂層を前記第1のロールの表面側に配置することを特徴とする請求項2に記載の床用化粧シートの製造方法。
【請求項4】
前記バッカー層を形成する樹脂と前記ホットメルト接着剤とを共押出しする際のラインスピードを5m/min以上20m/min以下の範囲内とし、
前記第1のロールと前記第2のロールの温度をそれぞれ80℃以上150℃以下の範囲内とし、
前記第3のロールの温度を50℃以上100℃以下の範囲内とすることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の床用化粧シートの製造方法。
【請求項5】
前記バッカー層を形成する樹脂と前記ホットメルト接着剤とを共押出しする際のラインスピードを10m/minとし、
前記第1のロールと前記第2のロールの温度をそれぞれ100℃とし、
前記第3のロールの温度を60℃とすることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の床用化粧シートの製造方法。
【請求項6】
前記第1のロールの回転中心の位置を前記第2のロールの回転中心の位置よりも低くし、
前記バッカー層を形成する樹脂と前記ホットメルト接着剤とを、前記第1のロールの回転中心の位置と前記第2のロールの回転中心の位置とを結ぶ直線に対して直交する方向に共押出しすることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の床用化粧シートの製造方法。
【請求項7】
バッカー層を形成する樹脂とホットメルト接着剤とを共押出し、
共押出された前記バッカー層を形成する樹脂と前記ホットメルト接着剤とからなるシート材と化粧シートを、前記化粧シート側に位置する第1のロールと、前記バッカー層側に位置する第2のロールとで挟み込み、前記シート材の前記ホットメルト接着剤側に前記化粧シートを接触させて冷却固化し、
前記第1のロールの回転中心の位置を前記第2のロールの回転中心の位置よりも低くし、
前記バッカー層を形成する樹脂と前記ホットメルト接着剤とを、前記第1のロールの回転中心の位置と前記第2のロールの回転中心の位置とを結ぶ直線に対して直交する方向に共押出しすることにより、前記化粧シートに前記バッカー層を形成させた床用化粧シートを得ることを特徴とする床用化粧シートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床用化粧シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、合板や中密度繊維板(MDF)、パーチクルボード等の木質基材の表面側に化粧シートを貼り合わせたシートフローリング材が普及している。このようなシートフローリング材の普及の背景には、従来のように表面が突板であると施工現場で表層の色目が合わない等の問題が起きることや、より意匠性の高い突板を求めると高級材を使用することになり非常に高価になってしまうこと等の事情がある。
【0003】
一方、シートフローリング材が普及してくると、木質基材の耐衝撃性、耐キャスター性にバラツキ(分布)があり、品質が安定しないという点が問題視されてきた。そこで、化粧シートの裏面側に0.1mm以上0.5mm以下程度のPETフィルムや木粉含有樹脂シート等のバッカー材を貼り合わせた仕様が上市されてきた(特許文献1参照)。中でも木粉含有樹脂シートをバッカー材として使用した仕様は広く一般に普及している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5045180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、バッカー層を有する上記床用化粧シートは、ドライラミネーション等によって基材シート裏面にバッカー層を貼り付ける事により製造されているが、このような製造方法においては接着剤を塗工する工程が増える分、製造コストがかかるといった問題がある。
本発明の目的は、接着剤の塗工工程を削減し、製造コストを削減することが可能な床用化粧シートの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明の一態様に係る床用化粧シートの製造方法では、バッカー層を形成する樹脂とホットメルト接着剤とを共押出し、ホットメルト接着剤側に化粧シートを接触させて冷却固化することにより、化粧シートにバッカー層を形成させた床用化粧シートを得る。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、バッカー層を形成する樹脂とホットメルト接着剤とを共押出し、共押出されたバッカー層を形成する樹脂とホットメルト接着剤とからなるシート材のホットメルト接着剤側に化粧シートを接触させて冷却固化するため、接着剤の塗工工程を削減し、工程間のロスを削減すると共に、製造コストを削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る床用化粧シートの製造方法の概要についての説明図である。
【
図2】クーリングロール間におけるバッカー層、ホットメルト接着剤層、及び化粧シート(絵柄印刷層、透明上台樹脂層)の配置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施形態>
以下に、本発明の一実施形態について添付図面を参照して説明する。
(全体概要)
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る床用化粧シートの製造方法では、バッカー層1を形成する樹脂(合成樹脂)と、ホットメルト接着剤層2を形成するホットメルト接着剤とを、2軸押出機10によって共に溶融押出(共押出)し、共押出された合成樹脂とホットメルト接着剤とからなるシート材のホットメルト接着剤側に化粧シート3を接触させて冷却固化することにより、化粧シート3にバッカー層1を形成させた床用化粧シート4を得る。
【0010】
本実施形態では、共押出された合成樹脂とホットメルト接着剤とを、クーリングユニット(冷却器)となるロール状の3本のクーリングロール(冷却ロール)A、B、Cを用いて断面長方形状(シート状)に成形する。すなわち、共押出された合成樹脂とホットメルト接着剤とからなるシート材が形成される。クーリングロールA、B、Cは、一般的にコーター、カレンダー、ラミネーター、スリッター等のコンバーティング装置において使用される。
【0011】
まず、共押出された合成樹脂とホットメルト接着剤とは、2つのクーリングロールA、B間に挟み込まれる。クーリングロールAがホットメルト接着剤側のクーリングロールであり、クーリングロールBが合成樹脂側のクーリングロールである。
このとき、ロール状の化粧シート原反Xから化粧シート3がクーリングロールAにより巻き出される。次に、巻き出された化粧シート3が2つのクーリングロールA、B間に差し込まれ、2つのクーリングロールA、B間にて、共押出された合成樹脂とホットメルト接着剤とからなるシート材のホットメルト接着剤側と接触する。次に、2つのクーリングロールB、C間にてホットメルト接着剤が冷却固化されて、化粧シート3の表面にホットメルト接着剤層2とバッカー層1とをこの順に積層させた床用化粧シート4が得られる。最後に、床用化粧シート4がロール状の床用化粧シート原反Yに巻き取られる。
【0012】
すなわち、合成樹脂とホットメルト接着剤とを積層方向から挟み込む2つのクーリングロールA、Bのうち、ホットメルト接着剤側のクーリングロールAを用いて化粧シート3を搬送することで、ホットメルト接着剤側に化粧シート3を接触させて冷却固化する。
上記の合成樹脂とホットメルト接着剤とを共押出する際のラインスピードは5m/min以上20m/min以下の範囲内が好ましく、クーリングロールの温度は、クーリングロールA、Bが80℃以上150℃以下の範囲内で、クーリングロールCが50℃以上100℃以下の範囲内であると好ましい。
【0013】
本実施形態では、上記の合成樹脂とホットメルト接着剤とを共押出する際のラインスピードは10m/minであり、クーリングロールの温度は、クーリングロールA、Bが100℃で、クーリングロールCが60℃であるものとする。
なお、実際には、クーリングロールA、B、Cは、ヒートロール(加熱ロール)であっても良い。この場合、ヒートロールもクーリングロールの1つとして扱う。また、クーリングロールA、B、Cは、グラビアロール、コーティングロール、バックアップロール、ガイドロール等の他の金属ロールでも良い。すなわち、クーリングロールA、B、Cはロールであれば良い。
【0014】
(バッカー層1)
バッカー層1は、ホットメルト接着剤層2と共に溶融押出(共押出)により化粧シート3上に形成される。上記バッカー層1を合成樹脂の押出し成形によって形成する際は、例えば、Tダイを用いた押出し成形が好適に利用できる。また、バッカー層1が多層である場合には、例えば、マルチマニホールドタイプやフィードブロックタイプのTダイを用いることにより、多層同時押出しを行えば良い。
【0015】
バッカー層1を形成する合成樹脂としては限定的ではないが、熱可塑性樹脂が好ましく、例えば、ポリプロピレン、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリメチレン、ポリメチルペンテン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合体、ポリイミド、ポリスチレン、ポリアミド、ABS樹脂(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン共重合合成樹脂)等が挙げられる。
【0016】
バッカー層1は、その曲げ初期弾性率が1000MPa以上であれば好ましく、1500MPa以上であれば好ましい。曲げ初期弾性率の上限は特に限定的ではないが、2500MPa程度とすれば良い。
本実施形態では、バッカー層1には、市販のホモポリプロピレン62質量%と、紙粉30質量%と、着色用顔料5質量%と、ステアリン酸カルシウム3質量%とを混練したものを使用する。上記の紙粉は、ボールミルを使用してバージン紙(バージンパルプ)を粒径50μmとなるように粉砕したものである。バッカー層1は、厚さが0.5mm、幅が450mmである。また、曲げ初期弾性率が1500MPaである。
【0017】
(ホットメルト接着剤層2)
ホットメルト接着剤層2は、バッカー層1と共に溶融押出(共押出)により化粧シート3上に形成される。なお、ホットメルト接着剤層2は、ホットメルト接着剤を硬化させることにより形成できる。ホットメルト接着剤とは、常温では固体であるが、80℃以上100℃以下程度での加熱溶融により液状化した状態で被着体に塗布され、冷却固化によって接合を形成する熱可塑性接着剤である。硬化が早く、溶剤を使っていないためガスが発生しない。
【0018】
ホットメルト接着剤としては、例えば、EVA(Ethylene Vinyl Acetate)系ホットメルト接着剤や、PUR(Poly Urethane Reactive)系ホットメルト接着剤が存在する。
EVA系ホットメルト接着剤は、エチレン酢酸ビニルコポリマー(エチレンと酢酸ビニルを結合させたもの)を原料とし、接着性、作業性に優れている。EVA系ホットメルト接着剤は、加熱することによって溶解し、熱が冷えることによって硬化するというサイクルを何度も繰り返すことができる。反面、EVA系ホットメルト接着剤は耐熱性が低い。
【0019】
PUR系ホットメルト接着剤は、ポリウレタン系の未硬化樹脂(プレポリマー)を主成分とし、加熱溶解の後、空気中の水分(湿気)と反応し硬化する。一旦、反応が終了してしまえば強靱な皮膜を形成し強力な接着力を発揮する。反応が終わったPUR系ホットメルト接着剤は、再び熱で溶解されることはないため、耐熱性、更には耐寒性にも優れる。また、強靱な皮膜と強力な接着性能を持ち合わせているため、EVA系ホットメルト接着剤に比べ塗布量をかなり少なくすることが可能である。
本実施形態では、ホットメルト接着剤層2には、PUR系ホットメルト接着剤(DIC株式会社製「タイフォースFH315」)を使用する。ホットメルト接着剤層2は、厚さが0.05mm、幅が450mmである。
【0020】
(化粧シート3)
図2に示すように、化粧シート3は、絵柄印刷層3aと、透明上台樹脂層3bとを、この順で積層してなる構造である。この化粧シート3は、本実施形態に係る床用化粧シート4の基材シートとして使用される。なお、実際には、化粧シート3は、別途、図示しない一般的な基材シート上に形成されていても良い。この場合、当該基材シートは、化粧シート3の一部とする。化粧シート3は、上記のバッカー層1のクーリングユニットとなる3本のクーリングロールA、B、Cにおいて、ホットメルト接着剤層2側に接触し、バッカー層1と貼り合せられる。ここで、化粧シート3は、ホットメルト接着剤層2側に接触する際、絵柄印刷層3aの裏面側がホットメルト接着剤層2側に配置され、透明上台樹脂層3bがクーリングロールの表面側に配置される。
【0021】
(絵柄印刷層3a)
絵柄印刷層3aは、化粧シート3に所望の絵柄模様による意匠性を付与するものであり、絵柄模様の種類等は特に限定的ではない。例えば、木目模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様等が挙げられる。
【0022】
絵柄印刷層3aの形成方法は特に限定されず、例えば、公知の着色剤(染料又は顔料)を結着材樹脂と共に溶剤(又は分散媒)中に溶解(又は分散)させて得られる着色インキ、コーティング剤等を用いた印刷法等により形成すれば良い。
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、チタン白、亜鉛華、弁柄、紺青、カドミウムレッド等の無機顔料;アゾ顔料、レーキ顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、フタロシアニン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料等の有機顔料;アルミニウム粉、ブロンズ粉等の金属粉顔料;酸化チタン被覆雲母、酸化塩化ビスマス等の真珠光沢顔料;蛍光顔料;夜光顔料等が挙げられる。これらの着色剤は、単独又は2種以上を混合して使用できる。これらの着色剤には、シリカ等のフィラー、有機ビーズ等の体質顔料、中和剤、界面活性剤等が更に配合しても良い。
【0023】
結着材樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アルキド系樹脂、石油系樹脂、ケトン樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、繊維素誘導体、ゴム系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独又は2種以上を混合して使用できる。
【0024】
溶剤(又は分散媒)としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の石油系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−2−メトキシエチル、酢酸−2−エトキシエチル等のエステル系有機溶剤;メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶剤、;ジクロロメタン、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の塩素系有機溶剤;水等の無機溶剤等が挙げられる。これらの溶剤(又は分散媒)は、単独又は2種以上を混合して使用できる。
【0025】
絵柄印刷層3aの形成に用いる印刷法としては、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、静電印刷法、インクジェット印刷法等が挙げられる。また、全面ベタ状の絵柄印刷層3aを形成する場合には、例えば、ロールコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、キスコート法、フローコート法、ディップコート法等の各種コーティング法が挙げられる。その他、手描き法、墨流し法、写真法、転写法、レーザービーム描画法、電子ビーム描画法、金属等の部分蒸着法、エッチング法等を用いたり、他の形成方法と組み合わせて用いたりしても良い。
本実施形態では、絵柄印刷層3aとして、着色ポリプロピレンフィルム(リケンテクノス株式会社製「OW」)とグラビアインキ(東洋インキ製造株式会社製「ラミスター」)とを使用して木目印刷をグラビア印刷機により印刷して設けたものを使用する。絵柄印刷層3aは、厚さが80μmである。
【0026】
(透明上台樹脂層3b)
透明上台樹脂層3bは、透明性である限り、無色透明、着色透明、半透明等のいずれも含む。透明上台樹脂層3bに含まれる樹脂成分は限定的ではないが、熱可塑性樹脂であれば好ましく、特にポリプロピレンが好ましく、ホモポリプロピレンがより好ましい。
【0027】
本実施形態では、透明上台樹脂層3bとして、ホモポリプロピレンを使用する。透明上台樹脂層3bは、厚さが80μmである。このように、絵柄印刷層3aは厚さが80μmであり、透明上台樹脂層3bは厚さが80μmであるため、上記の絵柄印刷層3aと、透明上台樹脂層3bとを、この順で備えた化粧シート3は、総厚が160μmである。
【0028】
(本実施形態の効果)
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)本実施形態に係る床用化粧シートの製造方法では、バッカー層を形成する樹脂とホットメルト接着剤とを共押出し、共押出されたバッカー層を形成する樹脂とホットメルト接着剤とからなるシート材のホットメルト接着剤側に化粧シートを接触させて冷却固化することにより、化粧シートにバッカー層を形成させた床用化粧シートを得る。
このように、バッカー層を形成する樹脂とホットメルト接着剤とを共押出し、ホットメルト接着剤側に化粧シートを接触させて冷却固化するため、接着剤の塗工工程を削減し、工程間のロスを削減すると共に、製造コストを削減することが可能となる。
【0029】
(2)共押出されたバッカー層を形成する樹脂とホットメルト接着剤とを挟み込む2つのロールのうち、ホットメルト接着剤側のロールを用いて化粧シートを搬送することで、ホットメルト接着剤側に化粧シートを接触させる。
このように、バッカー層を形成する樹脂とホットメルト接着剤とを共押出し、クーリングロール等のロールを用いて化粧シートと接着させるため、接着剤の塗工工程を削減し、工程間のロスを削減すると共に、製造コストを削減することが可能となる。
【0030】
(3)化粧シートは、絵柄模様による意匠性を付与する絵柄印刷層と、透明性を有する透明上台樹脂層とを、この順で備える。ロールを用いて化粧シートを搬送する際、絵柄印刷層の裏面側をホットメルト接着剤側に配置し、透明上台樹脂層をロールの表面側に配置する。
これにより、床用化粧シートの内側に絵柄模様を有する絵柄印刷層を形成し、外側(表面側)に透明性を有する透明上台樹脂層を形成することができる。
【0031】
(4)他の観点では、本実施形態に係る床用化粧シートの製造方法では、バッカー層を形成する樹脂と、ホットメルト接着剤とを共押出し、共押出されたバッカー層を形成する樹脂とホットメルト接着剤とを冷却するクーリングロールを用いて、共押出されたバッカー層を形成する樹脂とホットメルト接着剤とからなるシート材のホットメルト接着剤側に化粧シートを接触させ、ホットメルト接着剤によりバッカー層と化粧シートとを貼り合わせてホットメルト接着剤を冷却固化させることにより、化粧シートにバッカー層を形成させた床用化粧シートを得る。
【0032】
このように、バッカー層を形成する樹脂とホットメルト接着剤とを共押出し、クーリングロールを用いて化粧シートと接着させるため、接着剤の塗工工程を削減し、工程間のロスを削減すると共に、製造コストを削減することが可能となる。
以上、本発明の実施形態を詳述してきたが、実際には、上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の変更があっても本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0033】
1 バッカー層
2 ホットメルト接着剤層
3 化粧シート
3a 絵柄印刷層
3b 透明上台樹脂層
4 床用化粧シート
10 2軸押出機
A、B、C クーリングロール
X 化粧シート原反
Y 床用化粧シート原反