(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記発電素子が発電した前記電力を前記蓄電器内に蓄積する充電モードと、前記発電素子と前記蓄電器との間の接続を切断し、前記発電素子を開放状態とする開放モードとを切り替えるスイッチング部と、
前記開放モードにおいて、前記発電素子の前記起電力を検出する起電力検出部と、をさらに備える請求項1または2に記載の無線送信装置。
前記無線送信装置は、前記蓄電器の前記電圧を複数回検出し、前記蓄電器の前記電圧の変化量が所定値以下となった場合に、前記蓄電器の前記電圧を前記発電素子の前記起電力として推定する請求項6に記載の無線送信装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線送信装置および無線送信システムに関し、特に、外部から入力される機械的エネルギーを利用して発電を行う発電素子から供給される電力を利用する無線送信装置および無線送信システムに関する。
【0002】
近年、様々なセンサ(湿度センサ、温度センサ、振動センサ、ガス濃度センサ、人感センサ、加速度センサ、CO
2センサ等)の検出データを無線送信によって収集し、収集した検出データを分析することによって、様々な対象(機器、建物、環境等)の状態計測や自動制御等を実行するシステムが検討されている。このようなシステムの中でも、特に、回転機器や回転機器を備える設備等の振動を振動センサで検出し、該振動の成分を評価することで回転機器や設備等の異常、故障を監視又は診断するシステムは、広範な利用可能性を有し、有用である。
【0003】
振動を検出し、評価する場合、振動センサのサンプリング周波数を、検出対象の振動の周波数の数倍〜10倍程度に設定する必要がある。そのため、振動センサの駆動時間が短時間であったとしても、送信すべき検出データの量は、膨大なものとなる。よって、検出データを無線送信するために必要な電力量は、振動センサが振動を検出するために必要な電力量と比較して、非常に大きなものとなる。
【0004】
このようなシステムにおいて、センサの膨大な検出データを無線送信するために必要な電力量を確保するために、外部から入力される様々な機械的エネルギーを利用して発電を行う環境発電素子を用いることが提案されている。例えば、特許文献1に開示されている環境発電素子は、建造物内の空調ダクトのような振動体に取り付けられ、振動体から入力される振動エネルギーを利用して発電を行う。
【0005】
しかしながら、特許文献1が開示する環境発電素子のように、建造物内の空調ダクトの振動を発電に利用する場合、建造物内の空調の設定温度や外気温度等の要因によって、空調ダクトの振動特性(振動周波数、振幅等)が変動する。このように、環境発電素子に対して外部から入力される機械的エネルギーの特性は、一般的に、場所、時間、季節、気象状態等の様々な要因で変動し、一定ではない。そのため、環境発電素子の実際の起電力(発電能力)を事前に想定することは困難である。
【0006】
一般的に、発電素子は、
図1に示すような、起電力E
0(V)の電池と、抵抗値R
0(Ω)の内部抵抗とを直列接続して得られた素子と等価であるとみなすことができる。発電素子を抵抗値R
1(Ω)の負荷抵抗に接続し、回路に電流I(A)を流す場合、内部抵抗の抵抗値R
0と、負荷抵抗の抵抗値R
1とを等しくすることによって、発電素子によって発電された電力を最も効率良く消費できることがよく知られている。この時、発電素子と負荷抵抗によって消費される消費電力量W
0(W)は、下記式(1)で与えられる。また、R
0=R
1との条件から、負荷抵抗で消費される総消費電力量は、電力量W
0の50%となる。
【0007】
【0008】
また、
図2に示すように、発電素子が発電した電力を蓄積するために、キャパシタ等の蓄電器を発電素子に接続することが一般に行われている。
図2に示す例では、発電素子と蓄電器との間には、スイッチング素子SWが設けられており、スイッチング素子がON状態になったとき、発電素子から蓄電器に電力が供給され、蓄電器内に電力が蓄積される。このような回路において、蓄電器内への電力の蓄積は、蓄電器による電力消費とみなすができる。そのため、蓄電器は容量負荷とも称される。
【0009】
蓄電器の電圧E、回路に流れる電流I、および容量C(F)の蓄電器内に蓄積される(蓄電器によって消費される)電力量Wは、時間t(s)とともに変化し、それぞれの値は、下記式(2)、(3)、(4)で表すことができる。また、上述の負荷抵抗接続時の総消費電力量W
0と、蓄電器接続時の総消費電力量Wとの比を、消費電力効率ηと呼び、下記式(5)で表すことができる。
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
図2に示す回路において、内部抵抗の抵抗値R
0を2000(Ω)、発電素子の起電力E
0を2(V)、蓄電器の容量Cを500(μF)としたときの蓄電器の電圧E、回路に流れる電流I、および消費電力効率ηの時間変化を
図3に示す。
図3から明らかなように、t=0(s)において、E=0(V)である。これは、蓄電器内に電力が蓄積されていないことを示す。一方、tが十分に大きければ、E=E
0=2(V)となる。これは、それ以上蓄電器内に電力が蓄積されないことを示す。また、E=E
0/2(t=0.7)=1(V)を満たすとき、消費電力効率ηは、負荷抵抗接続時と同様の最大の50%となる。これは、E=E
0/2の状態において、蓄電器のインピーダンスと、発電素子のインピーダンス(内部抵抗の抵抗値R
0)が整合するためである。インピーダンスが整合した結果、消費電力効率ηの観点において、
図2に示す回路が、R
0=R
1を満たす
図1に示す回路と等価になることを意味する。
【0015】
蓄電器内に蓄積される電力量Wは、下記式(6)で表すことができる。
図4は、電力量Wと蓄電器の電圧Eの時間変化を示す図である。
図4から明らかなように、電力の蓄電効率を表す電力量Wの時間tに対する傾きは、t=0.7(s)の近傍、すなわち、蓄電器の電圧EがE
0/2近傍にあるときに、最大となることがわかる。
【0016】
【0017】
上述のように、蓄電器を発電素子に接続した場合、蓄電器の電圧Eが時間tによって変化する。そのため、高い消費電力効率ηを得られる条件、すなわち、効率良く蓄電器内に電力を蓄積するための条件は、蓄電器の電圧EがE
0/2近傍となることである。通常、発電素子の起電力E
0は、一定であることから、蓄電器の電圧EがE
0/2近傍となるように、蓄電器内への電力の蓄積および蓄電器からの電力の放出(消費)を制御することが容易である。しかしながら、上述のように、環境発電素子の実際の起電力E
0は、様々な要因によって変動するため、蓄電器の電圧EがE
0/2近傍となるように、蓄電器内への電力の蓄積および蓄電器からの電力の放出(消費)を制御することが困難である。
【0018】
また、センサの検出データを外部機器に無線送信するために環境発電素子が発電した電力を後段の無線送信部で消費する場合、一般的に、環境発電素子に外部から入力される機械的エネルギーは微小であるため、環境発電素子は、無線送信部を常時起動するだけの電力量を確保することができない。そのため、
図5に示す回路のように、環境発電素子が発電した電力を、一旦蓄電器内に蓄積し、時間をかけて所定の電力量とした後、無線送信部に電力を供給する必要がある。
【0019】
上述のように、環境発電素子の実際の起電力E
0は、様々な要因によって変動するので、従来技術においては、無線送信部への電力を供給する時間間隔(蓄電器への電力蓄積時間)を長く設定することにより、無線送信部の消費電力量を確実に確保している。
図6は、このような動作を行う場合の蓄電器の電圧Eと消費電力効率ηの時間変化を示している。
図6において、Δtは、無線送信部への電力を供給する時間間隔、ΔEは、無線送信部での電力消費による蓄電器の電圧Eの降下量を表す。また、
図6の例において、発電素子の起電力E
0は、2(V)である。
【0020】
図6に示すように、時間間隔Δtを長く設定した場合、消費電力効率ηは、蓄電器の電圧EがE
0/2に到達した時点で50%に達するが、無線送信部へ電力を供給するタイミングでは約15%にまで低下してしまう。そのため、平均して、消費電力効率ηは非常に低くなり、その結果、データの平均送信レートが低くなるという問題があった。一方、データの平均送信レートを高くするため、時間間隔Δtを短く設定した場合、環境発電素子の実際の起電力E
0が変動することから、無線送信部の消費電力量を確実に確保することができないという問題があった。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の無線送信装置および無線送信システムを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて説明する。なお、以下の説明では、本発明の無線送信装置および無線送信システムは、外部から入力される振動エネルギーを利用して発電を行う発電素子を利用するが、本発明はこれに限られない。外力等の様々な機械的エネルギーを利用して発電を行う様々な環境発電素子が、本発明の無線送信装置および無線送信システム内において利用されてもよい。
【0036】
<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態に係る無線送信装置および無線送信システムについて説明する。
【0037】
図7は、本発明の第1実施形態に係る無線送信装置および無線送信システムを示す図である。
図8は、
図7に示す発電素子の断面斜視図である。
図9は、
図7に示す発電素子の分解斜視図である。
図10は、
図7に示す発電素子が備える板バネの平面図である。
図11は、
図7に示すメモリ内に保存されている発電素子の起電力E
0と、消費電力量Wおよび電力消費タイミングとを関連付けるデータテーブル群の1例である。なお、以下の説明では、
図8および
図9中の上側を「上」または「上方」と言い、下側を「下」または「下方」と言う。
【0038】
図7に示す無線送信システム900は、外部から入力された振動(振動エネルギー)を利用して発電を行う発電素子(環境発電素子)100と、発電素子100から供給される電力を利用して無線送信動作を実行する無線送信装置1とを含む。
【0039】
<<発電素子100>>
発電素子100は、振動体に固定され、該振動体から入力される振動を利用して発電を行う。ここで、振動体としては、例えば、回転機器(モーター、タービン、ファン等)、空調ダクト、配管、輸送機(貨物列車や自動車、トラックの荷台等)、線路を構成する枕木、高速道路やトンネル、架橋、ポンプ、油圧及び空気圧を伝達するためのパイプ類などが挙げられる。
【0040】
図8および
図9に示すように、発電素子100は、筐体20と、筐体20内に
図8および
図9の上下方向に振動可能に保持された発電部10とを備えている。発電部10は、一対の対向する上側板バネ60Uおよび下側板バネ60Lと、これらの間に固定され、永久磁石31を有する磁石組立体30と、永久磁石31の外周側を囲むように設けられたコイル40と、コイル40を保持するコイル保持部50とを有している。
【0041】
筐体20は、発電素子100を振動体に固定すると共に、発電部10を収納する機能を有する。筐体20は、カバー21と、ベース23と、カバー21とベース23との間に位置する筒状部22とを備えている。
【0042】
ベース23の4隅には、それぞれ、貫通孔231が形成されている。図示しないネジをベース23の貫通孔231に貫通させ、振動体に設けられたネジ穴と螺合させる。これにより、ベース23と振動体とが固定され、発電素子100を振動体に取り付ける(固定する)ことができる。発電素子100を振動体に取り付けることにより、振動体の振動を発電素子100に伝達させることができる。
【0043】
上側板バネ60Uおよび下側板バネ60Lは、磁石組立体30およびコイル保持部50を、筐体20に対して振動可能に保持する機能を有する。上側板バネ60Uは、カバー21と筒状部22との間に固定されている。一方、下側板バネ60Lは、ベース23と筒状部22との間に固定されている。各板バネは、それぞれ、金属製の薄板材で形成された円環状の部材であり、互いに同じ構造を有している。
【0044】
図10に示すように、各板バネは、それぞれ、外周側から、第1の環状部61、第1の環状部61の内径よりも小さい外径を有する第2の環状部62、および第2の環状部62の内径よりも小さい外径を有する第3の環状部63を有している。これらの第1の環状部61、第2の環状部62および第3の環状部63は、それぞれ、各板バネに同心的に設けられている。また、第1の環状部61と第2の環状部62とは、複数(本実施形態では、4つ)の第1のバネ部64によって連結されており、第2の環状部62と第3の環状部63とは、複数(本実施形態では、2つ)の第2のバネ部65によって連結されている。
【0045】
上側板バネ60Uが、上側板バネ60Uの上側に設けられたワッシャー80とコイル保持部50との間に位置する状態で、上側板バネ60Uの第2の環状部62が、コイル保持部50の外周部(筒状部51)の上端部に固定されている。また、下側板バネ60Lが、下側板バネ60Lの下側に設けられたワッシャー80とコイル保持部50との間に位置する状態で、下側板バネ60Lの第2の環状部62が、コイル保持部50の外周部(筒状部51)の下端部に固定されている。
【0046】
また、上側板バネ60Uの第3の環状部63は、後述する磁石組立体30上に取り付けられたスペーサ70の上部に固定されており、下側板バネ60Lの第3の環状部63は、磁石組立体30の底部に固定されている。
【0047】
各板バネの4つの第1のバネ部64は、第2の環状部62を第1の環状部61に対して
図8および
図9の上下方向に振動可能に支持(連結)している。上述のように、第1の環状部61は筐体20(カバー21、筒状部22およびベース23)に固定され、第2の環状部62は、コイル保持部50に固定されている。そのため、振動体から筐体20に振動が伝達されると、さらに、第1のバネ部64を介して、振動がコイル保持部50に伝達される。その結果、コイル保持部50が筐体20に対して振動する。
【0048】
また、各板バネの2つの第2のバネ部65は、第3の環状部63を第2の環状部62に対して
図8および
図9の上下方向に振動可能に支持(連結)している。上述のように、上側板バネ60Uの第3の環状部63は、スペーサ70を介して、磁石組立体30に固定されており、下側板バネ60Lの第3の環状部63は、磁石組立体30の底部に固定されている。そのため、振動体から筐体20に振動が伝達されると、さらに、第2のバネ部65を介して、振動が磁石組立体30に伝達される。その結果、磁石組立体30が筐体20およびコイル保持部50に対して振動する。
【0049】
かかる構成を有する発電素子100では、筐体20に対して、各板バネの第1のバネ部64によってコイル保持部50が振動する第1の振動系と、筐体20およびコイル保持部50に対して、各板バネ60U、60Lの第2のバネ部65によって磁石組立体30が振動する第2の振動系とが形成されている。
【0050】
磁石組立体30は、上側板バネ60Uと下側板バネ60Lとの間に、筐体20およびコイル保持部50に対して振動可能に支持されている。磁石組立体30は、円盤状(厚さの比較的薄い円柱状)の永久磁石31と、永久磁石31がその略中央に配設される底板部321と、底板部321の外周端部から立設した筒状部322とを有する円筒状のバックヨーク32と、永久磁石31の上面に設けられたヨーク33とを有している。バックヨーク32の底板部321の外周部は、下側板バネ60Lの第3の環状部63に固定されており、ヨーク33は、スペーサ70を介して上側板バネ60Uの第3の環状部63に固定されている。
【0051】
バックヨーク32は、筒状部322と永久磁石31(ヨーク33)との間に、コイル保持部50に保持されたコイル40が筒状部322および永久磁石31と離間した状態で配置されるように構成されている。すなわち、筒状部322の内径は、コイル40の外径よりも大きく設計されている。また、バックヨーク32の底板部321には、中央部付近に貫通孔が形成されている。
【0052】
コイル保持部50は、磁石組立体30と筐体20との間に、筐体20および磁石組立体30に対して振動可能に支持されている。コイル保持部50は、円筒状の筒状部51と、筒状部51の内周面側に配設された円環状の環状部52とを有している。筒状部51は、各板バネの第2の環状部62に固定されている。また、コイル保持部50は、環状部52の下面側でコイル40を保持している。
【0053】
コイル40は、コイル保持部50の環状部52下面の内周部付近に固定されて、コイル保持部50に保持されている。また、コイル40は、コイル保持部50に保持された状態で、磁石組立体30のバックヨーク32の筒状部322と永久磁石31との間に、筒状部322および永久磁石31と離間して配置されている。このコイル40は、発電部10の振動(コイル保持部50の振動および磁石組立体30の振動)に伴って、永久磁石31に対して相対的に上下方向に変位する。このような振動により、コイル40を通過する永久磁石31からの磁力線の密度が変化し、コイル40に交流電流が発生する。
【0054】
コイル40の両端は、それぞれ、コイル保持部50の環状部52の上側に設けられた一対の電極端子90に接続されている。無線送信装置1の入力端子に電極端子90を接続することにより、無線送信装置1は、発電素子100を電源として利用することができる。
【0055】
<<無線送信装置1>>
無線送信装置1は、本実施形態では図示しないセンサに通信可能に接続され、発電素子100から供給される電力を利用して、センサから受信した検出データをサーバーや制御装置等の外部機器に無線送信する機能を有する。無線送信装置1に通信可能に接続されたセンサは、特に限定されないが、本実施形態ではセンサとして振動センサを用いた場合について説明する。なお、無線送信装置1と振動センサとの間の接続は、有線接続であってもよいし、無線接続であってもよい。
【0056】
図7に示すように、無線送信装置1は、発電素子100から供給される電力を整流する整流器2と、整流器2によって整流された電力を蓄積する蓄電器3と、センサから受信した検出データを外部機器へ無線送信する無線送信部4と、蓄電器3内に電力を蓄積する充電モードと蓄電器3から無線送信部4へ電力を供給し、消費する電力消費モードとを切り替えるスイッチング部5aと、蓄電器3の電圧Eを検出する電圧検出部6と、を備えている。
【0057】
また、無線送信装置1において、少なくとも、電圧検出部6と無線送信部4との間、およびスイッチング部5aと無線送信部4との間は、データバス等によって通信可能に接続されている。さらに、電圧検出部6と、スイッチング部5aとの間も通信可能に接続されており、電圧検出部6は蓄電器3の電圧Eがトリガー電圧E
1を超えた場合、スイッチング部5aに電力消費開始信号を送信する。スイッチング部5aは、電圧検出部6からの電力消費開始信号に基づいて、モードを電力消費モードへ切り替える。したがって、本実施形態において、スイッチング部5aがモードを電力消費モードに切り替えるタイミング、すなわち、蓄電器3から無線送信部4へ電力を供給し、消費するタイミング(以下、単に「電力消費タイミング」という)は、トリガー電圧E
1に依存する。
【0058】
整流器2は、発電素子100の電極端子90の一方に接続されており、発電素子100から供給される電力を整流する機能を有する。整流器2は、発電素子100から供給される電力を整流することができれば特に限定されない。例えば、ダイオード整流器、ブリッジ整流器等を整流器2として用いることができる。
【0059】
蓄電器3は、整流器2と発電素子100の電極端子90の他方との間に接続されており、整流器2が整流した電力を蓄積および放出(充放電)する機能を有する。蓄電器3としては、例えば、電気二重層キャパシタやリチウムイオンキャパシタ等のキャパシタを用いていることができる。このようなキャパシタは、急速充電が可能であり、小型であることから、蓄電器3として適している。また、キャパシタと、鉛電池、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池等の二次電池(蓄電池)との組み合わせを蓄電器3として用いてもよい。この場合、キャパシタの容量以上の電力が供給された場合に、余剰分の電力を二次電池内に蓄積しておくことができるので、発電素子100から供給される電力をより効率的に利用することができる。
【0060】
無線送信部4は、スイッチング部5aを介して、蓄電器3の両端に接続されており、蓄電器3から供給される電力を利用して、センサの検出データの無線送信動作を実行する機能を有する。無線送信部4は、無線送信部4の制御を行うCPU(中央演算装置)41と、メモリ42と、所定量の検出データを外部機器に無線送信するRF部43と、を備える。
【0061】
メモリ42は、無線送信装置1に通信可能に接続されたセンサから受信した検出データと、一回の無線送信動作で送信するデータ量と、
図11に示すデータテーブル群とを保存している。
【0062】
センサから受信した検出データは、FIFO(ファーストイン・ファーストアウト)方式でメモリ42内に保存され、RF部43によって無線送信される。RF部43によって無線送信された検出データは、メモリ42内から消去される。
【0063】
メモリ42内に保存されている1回の無線送信動作で送信するデータ量は、CPU41や外部入力によって変更可能である。一般に、データの無線送信動作に要する消費電力量Wは、無線送信するデータ量に比例する。例えば、送信データ量が200バイトのときの無線送信部4の消費電力量Wが約200μJであった場合、送信データ量が400バイトのときの消費電力量Wは約400μJとなる。したがって、無線送信部4は、メモリ42内に保存されている1回の無線送信動作で送信するデータ量を変更することにより、1回の無線送信動作で消費される消費電力量Wを任意の値に設定することができる。
【0064】
図11に示すメモリ42内に保存されているデータテーブル群は、発電素子100の起電力E
0と、消費電力量Wおよび電力消費タイミングとを関連付けるデータテーブル群である。データテーブル群は、無線送信部4の性能および蓄電器3の容量Cに基づいて事前に作成されたデータであり、無線送信装置1の製造時、出荷時、取り付け時等に、製造者、出荷者、取り付け人等によって、メモリ42内に保存される。
【0065】
図11に示すデータテーブル群は、発電素子100の起電力E
0に応じた複数のデータテーブルDTから構成されている。
図11には、蓄電器3の容量C=500(μF)の場合の起電力E
0=3(V)、起電力E
0=3.5(V)、起電力E
0=4(V)に対応した3つのデータテーブルDT1〜DT3が図示されている。
【0066】
各データテーブルDTは、無線送信部4の送信データ量と、そのデータ量の検出データをRF部43によって外部機器に無線送信した場合の消費電力量Wと、トリガー電圧E
1と、蓄電器3から無線送信部4へ電力を供給し、消費した後の蓄電器3の電圧E
2とから構成される複数のデータセットDSを含む。なお、各データセットDS内において、消費電力量Wおよびトリガー電圧E
1は、充電モード中に発電素子100から蓄電器3に供給される電力量W
inと、1回の送信動作によって無線送信部4によって消費される消費電力量Wとの間のエネルギーの収支バランスが維持されるよう(W
in=Wとなるよう)、設定されている。
【0067】
無線送信部4は、メモリ42内に保存されているデータテーブル群を参照し、推定した発電素子100の起電力E
0の値に応じたデータテーブルDTから、任意のデータセットDSを選択する。その後、無線送信部4は、選択したデータセットDSの送信データ量を1回の無線送信動作で送信するデータ量としてメモリ42内に保存し、選択したデータセットDSのトリガー電圧E
1を設定するための信号を電圧検出部6に送信する。これにより、無線送信装置1は、消費電力量Wおよび電力消費タイミングを任意に設定することができる。
【0068】
電力消費モードにおいて、無線送信部4に電力が供給されると、無線送信部4は、蓄電器3内に蓄積された電力を消費し、メモリ42内に保存されている1回の無線送信動作で送信するデータ量に基づいて、メモリ42から検出データを読み出し、RF部43を用いて、検出データを外部機器に無線送信する。無線送信部4は、検出データを外部機器に無線送信した後、スイッチング部5aに対して、電力消費終了信号を送信する。
【0069】
RF部43は、外部機器に検出データを無線送信することができれば特に限定されない。例えば、Bluetooth(登録商標)、ワイヤレスUSB、ZigBee規格に対応した省電力無線IC等をRF部43として用いることができる。
【0070】
スイッチング部5aは、蓄電器3と無線送信部4との間に接続されており、整流器2が整流した電力を蓄電器3内に蓄積する充電モードと、蓄電器3から無線送信部4へ電力を供給し、消費する電力消費モードとを切り替える機能を有する。スイッチング部5aとしては、例えば、MOSFETのような半導体スイッチング素子やメカニカルスイッチ等を用いることができる。スイッチング部5aは、ノーマリーオープン(NO)タイプのスイッチであり、電圧検出部6から電力消費開始信号を受信すると、蓄電器3と無線送信部4とを接続し、無線送信部4から電力消費終了信号を受信すると、蓄電器3と無線送信部4との接続を切断する。
【0071】
充電モードにおいては、発電素子100から供給される電力は、整流器2によって整流され、蓄電器3内に蓄積される。一方、電力消費モードにおいては、蓄電器3内に蓄積された電力が、無線送信部4に供給され、消費される。無線送信部4が無線送信動作を実行し、電力が消費された後、スイッチング部5aが無線送信部4から電力消費終了信号を受信すると、スイッチング部5aは、電力消費モードから充電モードへとモードを切り替える。
【0072】
電圧検出部6は、蓄電器3とスイッチング部5aとの間に、蓄電器3と並列に接続されており、蓄電器3の電圧Eを検出し、検出した電圧Eがトリガー電圧E
1を超えた際に、スイッチング部5aに電力消費開始信号を送信する機能を有する。また、電圧検出部6は、検出した蓄電器3の電圧Eの値を報告するための信号を無線送信部4に送信することができる。
【0073】
電圧検出部6は、蓄電器3の電圧Eを検出し、スイッチング部5aおよび無線送信部4に信号を送信することができれば特に限定されない。例えば、分圧器、計器用変圧器、ポッケルス効果による光電界センサ等の素子を電圧検出部6として用いることができる。
【0074】
スイッチング部5aに電力消費開始信号を送信するためのトリガー電圧E
1は、無線送信部4からの信号に応じて設定される。蓄電器3の電圧Eがトリガー電圧E
1を超えると、電圧検出部6は、スイッチング部5aに電力消費開始信号を送信する。上述のように、スイッチング部5aは、電圧検出部6から電力消費開始信号を受信すると、充電モードから電力消費モードへとモードを切り替える。また、電力消費モードにおいて無線送信部4によって電力が消費され、電力消費終了信号を受信すると、スイッチング部5aは、電力消費モードから充電モードへとモードを切り替える。このとき、無線送信部4による電力消費により、蓄電器3の電圧Eは、トリガー電圧E
1以下に降下する。その後、蓄電器3内への電力の蓄積が再度開始される。
【0075】
このようにして、電圧検出部6は、蓄電器3の電圧Eがトリガー電圧E
1を超える毎に、スイッチング部5aに電力消費開始信号を送信する。したがって、トリガー電圧E
1を変更することによって、無線送信部4は、電力消費タイミングを任意に設定することができる。
【0076】
次に、
図12〜
図16を参照して、無線送信装置1の動作、特に、発電素子100の起電力E
0を推定する処理、および、発電素子100の起電力E
0に応じて、消費電力量Wおよび電力消費タイミングを設定する処理について説明する。
【0077】
図12は、
図7に示す無線送信装置1が実行する消費電力量Wおよび電力消費タイミングの設定処理を示すフローチャートである。
図13は、
図12に示す起電力E
0を推定する処理を示すフローチャートである。
図14は、
図7に示す蓄電器3の電圧Eと消費電力効率ηの時間変化を示す図である。
図15は、消費電力量Wおよび電力消費タイミングを設定した後の蓄電器3の電圧Eおよび消費電力効率ηを示す図である。
図16は、無線送信装置1の動作中に、消費電力量Wおよび電力消費タイミングを再設定した場合の蓄電器3の電圧Eおよび消費電力効率ηを示す図である。
【0078】
図12に示す消費電力量Wおよび電力消費タイミングの設定処理S100は、発電素子100の起電力E
0を推定する処理S110と、無線送信部4の消費電力量Wおよび電力消費タイミング(すなわち、トリガー電圧E
1)を設定する処理S120とを含む。
【0079】
発電素子100から無線送信装置1への電力供給が開始されると、処理S100が開始される。この消費電力量Wおよび電力消費タイミングの設定処理S100は、モードが充電モードであるときに実行される。また、処理S100は、発電素子100から無線送信装置1への電力供給開始時だけでなく、定期的(1日毎、毎月等)に実行されてもよい。
【0080】
処理S110において、発電素子100の起電力E
0が推定される。
図13は、発電素子100の起電力E
0を推定するための処理S110を示している。また、発電素子100の起電力E
0を推定する方法の基本概念が
図14に示されている。
【0081】
図14は、発電素子100の起電力E
0が4(V)である時の蓄電器3の電圧Eと消費電力効率ηの時間変化を示す図である。
図14に示すように、t=0(s)の時点では、E=0(V)である。これは、蓄電器3内に電力が蓄積されていないことを示す。一方、tが十分に大きくなると(t=t
1またはt
2)、E≒E
0=4(V)となり、蓄電器3が飽和する。以下、蓄電器3が飽和した時の電圧Eを飽和電圧という。蓄電器3が飽和すると、蓄電器3内にそれ以上電力が蓄積されない。また、消費電力効率ηは、E=E
0/2=2(V)であるとき最大値50%に到達し、0.3E
0≦E≦0.7E
0(1.2(V)≦E≦2.8(V))であるとき約40%以上となる。本実施形態では、発電素子100の起電力E
0は、蓄電器3の飽和電圧に基づいて推定される。
【0082】
図13に示す工程S111において、任意のタイミングにおいて、電圧検出部6によって蓄電器3の電圧E
t1が検出され、メモリ42内に保存される。次に、工程S112において、所定時間経過後に、電圧検出部6によって蓄電器3の電圧E
t2が検出され、メモリ42内に保存される。次に、工程S113において、無線送信部4によってΔE
t=E
t1−E
t2が算出される。工程S114において、無線送信部4によってΔE
tが所定値以下であるか否かが判別される。工程S114においてΔE
tが所定値より大きいと判別された場合、処理S110は、工程S111に戻る。一方、工程S114においてΔE
tが所定値以下と判別された場合、すなわち、所定の時間、電力を蓄電器3に蓄積(チャージ)したとしても蓄電器3の電圧Eが変化しない場合、蓄電器3の電圧Eが飽和電圧に到達したと判断され、処理S110は工程S115に移行する。工程S115において、発電素子100の起電力E
0は、蓄電器3の飽和電圧、すなわち、E
t2(またはE
t1)であると推定され、処理S110は終了する。
【0083】
なお、蓄電器3の電圧Eが飽和電圧に到達したか否かを判別するための所定値は任意に設定することができるが、電圧検出部6の分解能より大きく設定される。また、該設定値は、検出した電圧E
t2(またはE
t1)の1%以下に設定されることが好ましく、0.1%以下に設定されることがより好ましい。
【0084】
図12に戻り、処理S110において発電素子100の起電力E
0が推定されると、処理S100は、推定した発電素子100の起電力E
0に応じて、無線送信部4の消費電力量Wおよび電力消費タイミング(すなわち、トリガー電圧E
1)を設定する処理S120に移行する。
【0085】
処理S120において、無線送信部4の消費電力量Wおよび電力消費タイミングは、推定した発電素子100の起電力E
0に応じたデータテーブルDTの任意のデータセットDSを選択し、一回の無線送信動作で送信するデータ量およびトリガー電圧E
1を設定することによって、設定される。
【0086】
なお、
図11に示す各データテーブルDTにおいて、トリガー電圧E
1および電圧E
2は、トリガー電圧E
1と電圧E
2との平均値(E
1+E
2)/2がE
0/2近傍となるように設定されている。より具体的には、トリガー電圧E
1および電圧E
2は、0.3E
0≦(E
1+E
2)/2≦0.7E
0を満たすように設定されているのが好ましく、0.4E
0≦(E
1+E
2)/2≦0.6E
0を満たすように設定されているのがより好ましく、(E
1+E
2)/2=E
0/2を満たすように設定されているのが最も好ましい。これにより、消費電力効率ηを常に高い状態で保ちつつ、無線送信装置1を動作させることができる。
【0087】
また、無線送信部4は、発電素子100の起電力E
0に応じたデータテーブルDTから任意のデータセットDSを選択する際、データセットDS内のトリガー電圧E
1が0.5E
0<E
1≦0.7E
0を満たし、電圧E
2が0.3E
0≦E
2<0.5E
0を満たすように、データセットDSを選択するのが好ましい。これにより、常に消費電力効率ηを約40%以上に保ちつつ、無線送信装置1を動作させることができる。
【0088】
また、無線送信部4は、上述の条件に加え、無線送信部4の最低動作電圧や、起動毎にデータ送信に直接消費されない電力量(例えば、CPU41内等に蓄積され、電源OFF後に捨てられる電力、CPU41のイニシャライズ動作に要する電力量等)等を参照して、発電素子100の起電力E
0に応じたデータテーブルDTから任意のデータセットDSを選択し、一回の無線送信動作で送信するデータ量およびトリガー電圧E
1を設定してもよい。
【0089】
このように、推定した発電素子100の起電力E
0に応じて、消費電力量Wおよび電力消費タイミング(すなわち、トリガー電圧E
1)を設定した後、処理S120が終了する。
図12に戻り、処理S120が終了すると、処理S100が終了する。
【0090】
図15に、上述の方法で、消費電力量Wおよび電力消費タイミングを設定した後の無線送信装置1の消費電力効率ηおよび蓄電器3の電圧Eを示す。
図15の例では、消費電力量Wおよび電力消費タイミングは、(E
1+E
2)/2=E
0/2=2(V)、E
1=0.6E
0=2.4(V)、E
1=0.4E
0=1.6(V)を満たすように、データセットDSが選択され、設定されている。
【0091】
図15から明らかなように、発電素子100の起電力E
0に応じて、消費電力量Wおよび電力消費タイミングを設定することにより、無線送信装置1が無線送信動作を開始した後の消費電力効率ηは常に約48%以上の非常に高い値を保つことができる。したがって、本発明の無線送信装置1は、高い消費電力効率で動作することができ、その結果、高い平均送信レートで、検出データの無線送信を行うことができる。
【0092】
また、無線送信装置1は、発電素子100から無線送信装置1への電力供給開始時だけでなく、任意のタイミングで、または定期的に、消費電力量Wおよび電力消費タイミングの設定処理S100を実行してもよい。
【0093】
図16に示す例は、起電力E
0=3(V)、蓄電器3の容量C=500(μF)の場合の無線送信装置1の消費電力効率ηの例である。
図16中のt=1〜3(s)の区間1では、消費電力量W=200(μJ)、トリガー電圧E
1=1.65(V)および(E
1+E
2)/2=E
0/2=1.5(V)となるよう消費電力量Wおよび電力消費タイミングが設定されている。一方、t=3〜6(s)の区間2では、消費電力量W=500(μJ)、トリガー電圧E
1=1.89(V)および(E
1+E
2)/2=E
0/2=1.5(V)となるよう消費電力量Wおよび電力消費タイミングが設定されている。
【0094】
このように、無線送信装置1の無線送信動作中に、任意のタイミングで、または定期的に、消費電力量Wおよび電力消費タイミングを設定することにより、送信すべきデータの残量等に応じて、消費電力量Wおよび電力消費タイミングを適宜再設定(変更)することができる。また、無線送信装置1の無線送信動作中に発電素子100の起電力E
0が変動した場合に、該変動に対応して、消費電力量Wおよび電力消費タイミングを設定することができる。
【0095】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る無線送信装置および無線送信システムについて説明する。
図17は、本発明の第2実施形態にかかる無線送信装置および無線送信システムを示す図である。
【0096】
以下、第2実施形態の無線送信装置および無線送信システムについて、前記第1実施形態の無線送信装置および無線送信システムとの相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0097】
第2実施形態の無線送信装置1および無線送信システム900は、スイッチング部5aが無線送信装置1から省略され、さらに、処理S120における無線送信部4の消費電力量Wおよび電力消費タイミングの設定方法が変更されている点を除き、前記第1実施形態の無線送信装置1および無線送信システム900と同様である。
【0098】
本実施形態の無線送信部4は、前記第1実施形態のスイッチング部5aの機能、すなわち、整流器2が整流した電力を蓄電器3内に蓄積する充電モード(スリープモードとも称される)と、蓄電器3から無線送信部4へ電力を供給し、消費する電力消費モードとを切り替える機能をさらに有している。
【0099】
さらに、前記第1実施形態の無線送信部4は、メモリ42内に保存されているデータテーブル群のデータセットDS内の送信データ量を用いて消費電力量Wを任意に設定していたが、本実施形態の無線送信部4は、メモリ42内に保存されているデータテーブル群のデータセットDS内のトリガー電圧E
1および電圧E
2を用いて消費電力量Wを任意に設定する。
【0100】
すなわち、本実施形態の電圧検出部6は、蓄電器3の電圧Eがトリガー電圧E
1を超えたことを検出すると、無線送信部4に電力消費開始信号を送信し、さらに、無線送信部4の電力消費によって、蓄電器3の電圧Eが電圧E
2を下回ったことを検出すると、無線送信部4に電力消費終了信号を送信するよう構成されている。また、無線送信部4へ信号を送信するためのトリガー電圧E
1および電圧E
2は、無線送信部4からの信号に応じて設定される。
【0101】
電圧検出部6は、前述の第1実施形態と同様に、蓄電器3の電圧Eがトリガー電圧E
1を超えたことを検出すると、電力消費開始信号を無線送信部4に対して送信する。無線送信部4は、電圧検出部6から電力消費開始信号を受信すると、充電モードから電力消費モードへモードを切り替える。モードが電力消費モードに切り替わると、無線送信部4は、蓄電器3から供給される電力を消費し、検出データの無線送信動作を開始する。この際、本実施形態の無線送信部4は、無線送信すべき検出データのデータ量を特に設定せず、電圧検出部6から電力消費終了信号を受信するまで、検出データの無線送信動作を継続する。
【0102】
無線送信部4が検出データの無線送信動作を継続している間、無線送信部4の無線送信動作によって、蓄電器3内に蓄積された電力が消費され続け、蓄電器3の電圧Eが徐々に低下する。電圧検出部6は、無線送信部4の電力消費によって、蓄電器3の電圧Eが電圧E
2を下回ったことを検出すると、無線送信部4に電力消費終了信号を送信する。無線送信部4は、電圧検出部6から電力消費終了信号を受信すると、電力消費モードから充電モードへモードを切り替える。その後、蓄電器3内への電力の蓄積が再度開始される。
【0103】
このようにして、電圧検出部6は、蓄電器3の電圧Eがトリガー電圧E
1を超える毎に無線送信部4に電力消費開始信号を送信し、蓄電器3の電圧Eが電圧E
2を下回る毎に無線送信部4に電力消費終了信号を送信する。無線送信部4が1回の無線送信動作で消費する消費電力量Wは、電力消費開始信号から電力消費終了信号までの時間間隔に依存することから、本実施形態の無線送信部4は、トリガー電圧E
1および電圧E
2を変更することによって、消費電力量Wを任意に設定することができる。
【0104】
すなわち、本実施形態において、無線送信部4は、発電素子100の起電力E
0に応じて、トリガー電圧E
1および電圧E
2を変更することによって、消発電素子100の起電力E
0に応じて、消費電力量Wおよび電力消費タイミングを設定することができる。
【0105】
このように、本実施形態では、スイッチング部5aを用いることなく、発電素子100の起電力E
0に応じて、消費電力量Wおよび電力消費タイミングを設定することができるので、無線送信装置1の構成をシンプルにすることができる。また、本実施形態では、スイッチング部5bを用いないので、スイッチング部5bの疲労破壊、接触不良、経年劣化等によって、無線送信装置1が故障することを防止できる。無線送信装置1は、発電素子100とともに振動体に取り付けられることが多く、振動によって無線送信装置1の各要素、特にスイッチング部5bは故障しやすい。したがって、このようなスイッチング部5bの疲労破壊、接触不良、経年劣化等による無線送信装置1の故障防止効果は、特に有用である。
【0106】
かかる第2実施形態の無線送信装置1および無線送信システム900によっても、前記第1実施形態の無線送信装置1および無線送信システム900と同様の作用・効果を生じる。
【0107】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係る無線送信装置および無線送信システムについて説明する。
【0108】
図18は、本発明の第3実施形態に係る無線送信装置および無線送信システムを示す図である。
図19は、
図18に示す無線送信装置および無線送信システムが実行する起電力E
0検出処理のフローチャートである。
【0109】
以下、第3実施形態の無線送信装置および無線送信システムについて、前記第1実施形態の無線送信装置および無線送信システムとの相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0110】
第3実施形態の無線送信装置1および無線送信システム900は、無線送信装置1が第2のスイッチング部5bおよび起電力検出部7を備え、発電素子100の起電力E
0が起電力検出部7によって直接検出される点を除き、前記第1実施形態の無線送信装置1および無線送信システム900と同様である。
【0111】
第2のスイッチング部5bは、発電素子100と整流器2との間に接続されており、前述の充電モードと、発電素子100と蓄電器3との間の接続を切断し、発電素子100を開放状態とする開放モードとを切り替える機能を有する。また、第2のスイッチング部5bは、少なくとも、無線送信部4および起電力検出部7と通信可能に接続されており、無線送信部4または起電力検出部7から受信した信号に基づいて、スイッチング動作を実行することができる。
【0112】
第2のスイッチング部5bとしては、例えば、前述のスイッチング部5aと同様のスイッチング素子を用いることができるが、第2のスイッチング部5bは、ノーマリークローズ(NC)タイプのスイッチである。第2のスイッチング部5bは、無線送信部4から信号を受信すると、発電素子100と蓄電器3との間の接続を切断し、発電素子100を開放状態にする。一方、第2のスイッチング部5bは、起電力検出部7から信号を受信すると、発電素子100と蓄電器3との間を接続し、開放モードから充電モードへとモードを切り替える。
【0113】
起電力検出部7は、発電素子100の一対の電極端子90に接続されており、第2のスイッチング部5bが発電素子100を開放状態にしたとき、発電素子100の起電力E
0を直接検出する機能を有する。また、起電力検出部7は、少なくとも、無線送信部4および第2のスイッチング部5bと通信可能に接続されており、直接検出した発電素子100の起電力E
0の値を無線送信部4に送信し、その後、第2のスイッチング部5bに信号を送信する。
【0114】
起電力検出部7としては、例えば、前述の電圧検出部6と同様の素子を用いることができる。起電力検出部7は、開放状態の発電素子100の電圧を検出し、該検出した電圧の振幅から、発電素子100の起電力E
0を直接検出する。
【0115】
第3実施形態の無線送信装置1は、前述の第1実施形態の無線送信装置1が実行する発電素子100の起電力E
0を推定する処理S110に換えて、
図19に示すような発電素子100の起電力E
0を検出する処理S130を実行する。
【0116】
処理S130の開始後、工程S131において、任意のタイミングで、または周期的に、無線送信部4から第2のスイッチング部5bに信号が送信される。第2のスイッチング部5bは、無線送信部4から信号を受信すると、充電モードから
開放モードへとモードを切り替える。次に、工程S132において、起電力検出部7は、開放状態の発電素子100の電圧を検出することにより、発電素子100の起電力E
0を直接検出し、検出した発電素子100の起電力E
0を無線送信部4に送信する。その後、工程S132において、起電力検出部7は第2のスイッチング部5bに信号を送信する。第2のスイッチング部5bは、起電力検出部7から信号を受信すると、開放モードから充電モードへとモードを切り替える。工程S133の終了後、発電素子100の起電力E
0を検出する処理S130が終了する。
【0117】
このように本実施形態では、発電素子100の起電力E
0を第2のスイッチング部5bおよび起電力検出部7を用いて直接検出するので、発電素子100の起電力E
0を推定する場合と比較して、より正確に起電力E
0を把握することができる。また、本実施形態では、蓄電器3の電圧Eを複数回測定する必要がないので、起電力E
0を得るのに要する時間を短縮することができる。
【0118】
かかる第3実施形態の無線送信装置1および無線送信システム900によっても、前記第1実施形態および前記第2実施形態の無線送信装置1および無線送信システム900と同様の作用・効果を生じる。
【0119】
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態に係る無線送信装置および無線送信システムについて説明する。
図20は、本発明の第4実施形態に係る無線送信装置および無線送信システムを示す図である。
【0120】
第4実施形態の無線送信装置1および無線送信システム900は、無線送信装置1がタイマー8を備え、発電素子100の起電力E
0の推定方法および消費電力量Wおよび電力消費タイミングを設定する処理が変更されている点を除き、前記第1実施形態の無線送信装置1および無線送信システム900と同様である。
【0121】
以下、第4実施形態の無線送信装置および無線送信システムについて、前記第1実施形態の無線送信装置および無線送信システムとの相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0122】
タイマー8は、蓄電器3とスイッチング部5aとの間に、蓄電器3に並列に接続されており、所定の時間間隔Δtが経過した際に、スイッチング部5aに電力消費開始信号を送信する機能を有する。さらに、タイマー8は、無線送信部4からの測定開始信号および測定終了信号に基づいて、時間間隔Tdの測定を行い、測定した時間間隔Tdを無線送信部4に送信することができる。
【0123】
タイマー8は、無線送信部4に通信可能に接続されている。また、スイッチング部5aに電力消費開始信号を送信するための時間間隔Δtは、無線送信部4からの信号に応じて設定される。設定された時間間隔Δtが経過する毎に、タイマー8は、スイッチング部5aに電力消費開始信号を送信する。スイッチング部5aは、タイマー8から電力消費開始信号を受信すると、充電モードから電力消費モードへとモードを切り替える。したがって、本実施形態では、電力消費タイミングは、タイマー8の時間間隔Δtに依存する。すなわち、本実施形態においては、タイマー8の時間間隔Δtを変更することによって、無線送信部4は、電力消費タイミングを変更することができる。
【0124】
タイマー8は、時間をカウントし、スイッチング部5aおよび無線送信部4に信号を送信することができれば特に限定されない。例えば、CR発振によって時間をカウントするCR発振回路、キャパシタと抵抗により時間をカウントする積分回路、クロック信号を利用した回路等をタイマー8として用いることができる。なお、本実施形態では、タイマー8は、蓄電器3に並列に接続され、蓄電器3内に蓄積された電力を利用して動作を行うが、本発明はこれに限られない。例えば、タイマー8自身が電池等の別の電源を有していてもよいし、外部電源から電力を受け取ってもよい。
【0125】
次に、
図21〜24を参照して、本実施形態の無線送信装置1の動作、発電素子100の起電力E
0を推定する処理、および、発電素子100の起電力E
0に応じて、消費電力量Wおよび電力消費タイミングを変更する処理について説明する。
【0126】
図21は、
図20に示す蓄電器3の電圧Eと消費電力効率ηの時間変化を示す図である。
図22は、
図20に示す無線送信装置1および無線送信システム900が実行する起電力E
0推定処理のフローチャートである。
図23は、
図20に示す無線送信装置および無線送信システムが実行する消費電力量Wおよび電力消費タイミングを設定する処理を説明するための図である。
図24は、
図20に示す無線送信装置および無線送信システムが実行する消費電力量Wおよび電力消費タイミングを設定する処理のフローチャートである。
【0127】
本実施形態の無線送信装置1は、前記第1実施形態の無線送信装置1が実行する処理S110に換えて、未飽和状態の蓄電器3の電圧E(例えば、
図21中のE=E
t1〜E
t3)を複数回測定することにより発電素子100の起電力E
0を推定する処理S140を実行する。
【0128】
図22は、本実施形態に係る無線送信装置1が実行する起電力E
0を推定する処理S140のフローチャートである。まず、工程S141において、変数nが初期化(n=1)される。次に、工程S142において、電圧検出部6によって、蓄電器3の電圧Eが検出され、検出した電圧Eが所定の基準電圧E
tnに到達したかどうかが判別される。工程S142において電圧Eが所定の基準電圧E
tnより小さいと判別された場合、電圧Eが所定の基準電圧E
tnに到達するまで、工程S142が繰り返される。一方、工程S142において電圧Eが所定の基準電圧E
tnに到達したと判別された場合、処理は、工程S143に移行する。
【0129】
工程S143において、タイマー8が無線送信部4からの測定開始信号によって、時間測定を開始済みかどうか、すなわち、時間間隔Tdの測定を開始済みかどうかが判別される。工程S143においてタイマー8が時間測定を開始済みではないと判別された場合、処理は工程S144に移行する。工程S144において、タイマー8がリセットされ、時間間隔Tdの測定が開始される。また、工程S144において、変数nがインクリメントされ、再度、工程S142において、電圧Eが次の基準電圧E
tnに到達したかどうかが判別される。
【0130】
一方、工程S143においてタイマー8が時間測定を開始済みであると判別された場合、処理は工程S145に移行する。工程S145において、タイマー8の時間測定が終了し、時間間隔Tdが取得され、無線送信部4に時間間隔Tdの値が送信される。その後、工程S146において、無線送信部4が所定の数の時間間隔Tdを取得済みかどうかが判別される。工程S146において無線送信部4が所定の数の時間間隔Tdを取得していないと判別された場合、処理S140は工程S142に戻り、無線送信部4が所定の数の時間間隔Tdを取得するまで工程S142〜S146が繰り返される。なお、取得すべき時間間隔Tdの数は特に限定されないが、少なくとも2つ以上であり、後述する曲線回帰の精度を向上させる観点からは、少なくとも3つ以上であることが好ましい。
【0131】
一方、工程S146において無線送信部4が所定の数の時間間隔Tdを取得済みと判別された場合、処理は工程S147に移行する。工程S147において、無線送信部4は、取得した複数の時間間隔Td、すなわち、蓄電器3の電圧Eが所定量増加するのに要した時間間隔Tdに基づいて、多項式近似等の曲線回帰により、電圧Eが各基準電圧E
tnに到達したときの時間t
n(例えば、E
t1のときの時間t
1)を算出する。その後、工程S148において、式(2)のEにE
tnを、tにt
nを代入することにより、発電素子100の起電力E
0を推定する。ここで、式(2)中のCは、蓄電器3の容量である。発電素子100の起電力E
0が推定されると、発電素子100の起電力E
0を推定する処理S140は終了する。
【0133】
発電素子100の起電力E
0が推定された後、本実施形態の無線送信装置1は、前述の第1実施形態の無線送信装置1が実行する処理S120に換えて、フィードバック処理を用いて消費電力量Wおよび電力消費タイミング(すなわち、時間間隔Δt)を設定する処理S150を実行する。
【0134】
図23は、本実施形態の消費電力量Wおよび電力消費タイミングを設定する処理S150の基本概念を示す図である。上述のように、本実施形態において、タイマー8は、設定された時間間隔Δtが経過する毎に、スイッチング部5aに信号を送信する。スイッチング部5aは、電圧検出部6から信号を受信すると、充電モードから電力消費モードへとモードを切り替える。
【0135】
したがって、所定の時間間隔Δtの間、蓄電器3内には電力が蓄積され続け、所定の時間間隔Δtが経過した後、無線送信部4によって消費電力量Wの電力が消費され、蓄電器3の電圧EがΔEだけ降下する。
【0136】
本実施形態の無線送信装置1も上記第1実施形態の無線送信装置1と同様に、蓄電器3から無線送信部4に電力を供給し、消費するタイミングにおける蓄電器3の電圧をE
1、無線送信部4が電力を消費した後の蓄電器3の電圧をE
2としたとき、(E
1+E
2)/2がE
0/2近傍となるように、消費電力量Wおよび電力消費タイミング(時間間隔Δt)を設定する。
【0137】
このとき、充電モードの中に発電素子100から蓄電器3に供給される電力量W
inと消費電力量Wとの間のエネルギーの収支バランス(W
in=W)が取れていないと、(E
1+E
2)/2がE
0近傍となるという条件を維持し続けることが困難である。
【0138】
例えば、
図23中の区間1では、電力量W
inが消費電力量Wよりも多いため、充放電動作を繰り返す毎に、電圧E
1が増加している(E
1−1<E
1−2<E
1−3)。
図23中の区間2では、電力量W
inが消費電力量Wよりも少ないため、充放電動作を繰り返す毎に、電圧E
1が減少している(E
1−3>E
1−4>E
1−5)。このような場合、(E
1+E
2)/2がE
0/2近傍となるという条件を維持し続けることが困難である。
【0139】
一方、
図23中の区間3では、電力量W
inと消費電力量Wとの間のエネルギーの収支バランス(W
in=W)が取れているため、充放電動作を繰り返しても、電圧E
1に変化はない(E
1−8=E
1−9=E
1−10)。このような場合、(E
1+E
2)/2がE
0/2近傍となるという条件を維持し続けることが容易である。
【0140】
電力量W
inは時間間隔Δt(電力消費タイミング)によって制御することができる。例えば、時間間隔Δtを長くすれば、電力量W
inは増加する。逆に、時間間隔Δtを長くすれば、電力量W
inは減少する。一方、上述のように、消費電力量Wは一回の送信動作で送信するデータ量によって制御することができる。
【0141】
本実施形態の無線送信装置1は、上述のエネルギーの収支バランスを取りつつ、(E
1+E
2)/2がE
0/2近傍となるように、フィードバック処理を用いて消費電力量Wおよび電力消費タイミング(すなわち、時間間隔Δt)を設定する。
【0142】
図24は、本実施形態の無線送信装置1が実行する消費電力量Wおよび電力消費タイミングを設定するための処理S150のフローチャートである。なお、処理S150の開始時において、メモリ42内に保存されている一回の送信動作で送信するデータ量および時間間隔Δtは、任意の初期値に設定されている。
【0143】
処理S140において発電素子100の起電力E
0が推定された後、処理S150が開始される。なお、処理S150は、処理S140において発電素子100の起電力E
0が推定された後だけでなく、任意のタイミングまたは定期的に実行されてもよく、無線送信部4が無線送信動作を実行する度に実行されてもよい。
【0144】
工程S151において、所定量の電力が蓄電器3内に蓄積される。工程S151における所定量は特に限定されないが、少なくとも想定される消費電力量Wよりも大きくなるよう設定される。蓄電器3内に所定量の電力が蓄積されたかどうかの判別は、電圧検出部6が蓄電器3の電圧Eを検出することにより実行されてもよいし、タイマー8によって所定の時間、発電素子100から蓄電器3に電力が供給されたことを検出することにより実行されてもよい。
【0145】
次に、工程S152において、変数nが初期化される(n=1)。次に、工程S153において、電圧検出部6によって蓄電器3の電圧E
1−nが検出され、無線送信部4のメモリ42内に保存される。次に、工程S154において、メモリ42内に保存されている1回の送信動作で送信するデータ量に基づいて、無線送信部4によって、メモリ42内から所定量の検出データが読み込まれ、RF部43によって、読み出した所定量の検出データが外部機器に送信される。次に、工程S155において、電圧検出部6によって、蓄電器3の電圧E
2−nが検出され、無線送信部4のメモリ42内に保存される。
【0146】
次に、工程S156において、無線送信部4によって、D=E
0/2−(E
1−n−E
2−n)/2が演算される。工程S156において、Dが所定の上側しきい値UTよりも大きい場合、処理S150は工程S157に移行する。工程S157において、一回の無線送信動作で送信するデータ量が減少(電圧E
2が増加)、または、時間間隔Δtが増加(電圧E
1が増加)される。一方、工程S156において、Dが所定の下側しきい値LTよりも小さい場合、処理S150は工程S158に移行する。工程S158において、一回の無線送信動作で送信するデータ量が増加(電圧E
2が減少)、または、時間間隔Δtが減少(電圧E
1が減少)される。工程S157または工程S158の後、処理S150は工程S159に移行する。工程S159において、変数nがインクリメントされ、処理S150は工程S153に戻る。一方、工程S156において、DがLT≦D≦UTの範囲にあるとき、処理S150は終了する。
【0147】
上側しきい値UTの値は特に限定されないが、0.2E
0以下であることが好ましく、0.1E
0以下であることがより好ましく、0.01E
0以下であることがさらに好ましい。下側しきい値LTの値は特に限定されないが、−0.2E
0以上であることが好ましく、−0.1E
0以上であることがより好ましく、−0.01E
0以上であることがさらに好ましい。上述の条件を満たすよう上側しきい値UTおよび下側しきい値LTを設定することにより、フィードバック処理により、確実に(E
1+E
2)/2をE
0/2近傍とすることができる。
【0148】
また、この処理S150において設定される送信データ量および時間間隔Δtは、電圧E
1が0.5E
0<E
1≦0.7E
0を満たし、電圧E
2が0.3E
0≦E
2<0.5E
0を満たすように、設定されることが好ましい。これにより、消費電力効率ηを常に高い状態に保ちつつ、無線送信装置1を動作させることができる。
【0149】
このように、本実施形態の無線送信装置1は、蓄電器3から無線送信部4に電力を供給し、消費する毎に電圧E
1および電圧E
2を検出し、
図24に示すようなフィードバック処理を実行する。そのため、無線通信動作中に発電素子100の起電力E
0が変動した場合であっても、電力量W
inと消費電力量Wとの間のエネルギーの収支バランスは維持され、かつ、(E
1+E
2)/2がE
0/2近傍となるよう、消費電力量Wおよび時間間隔Δtが制御されるため、無線送信装置1は安定した動作を実行することができる。
【0150】
また、上述のように、本実施形態では、電力消費タイミングの制御にタイマー8を用いている。一般的に、時間間隔を計測するタイマー8を常時駆動させるために要する電力量は、電圧検出部6を常時駆動させるために要する電力量と比較して小さい。そのため、本実施形態の無線送信装置1では、上記第1実施形態〜第3実施形態の無線送信装置1と比較して、蓄電器3内に蓄積された電力が無線送信部4以外で消費される量を低減することができる。
【0151】
かかる第4実施形態の無線送信装置1および無線送信システム900によっても、前記第1実施形態〜第3実施形態の無線送信装置1および無線送信システム900と同様の作用・効果を生じる。
【0152】
<第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態に係る無線送信装置および無線送信システムについて説明する。
図25は、本発明の第5実施形態に係る無線送信装置および無線送信システムを示す図である。
【0153】
以下、第5実施形態の無線送信装置および無線送信システムについて、前記第1実施形態の無線送信装置および無線送信システムとの相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0154】
第5実施形態の無線送信装置1および無線送信システム900は、無線送信装置1がセンサ9を備えている点を除き、前記第1実施形態の無線送信装置1および無線送信システム900と同様である。
【0155】
センサ9は、他の実施形態において無線送信装置1の外部に無線送信装置1と通信可能に接続されたセンサと同様のセンサである。本実施形態のセンサ9は、無線送信部4と同様に、スイッチング部5aが充電モードから電力消費モードへとモードを切り替えた際に、蓄電器3から供給される電力を利用して、検出データを取得する。センサ9によって取得された検出データは、無線送信部4に送信され、無線送信部4のメモリ42内にFIFO方式で保存される。その後、メモリ42内に保存された検出データは、RF部43によって外部機器に送信される。本実施形態において、1回の送信動作で消費される消費電力量Wは、無線送信部4とセンサ9の消費電力の和となる。
【0156】
このように、無線送信装置1自身がセンサ9を備える場合、検出データを取得するセンサ9用に別途、電池や外部電源等の電源を用意する必要がない。そのため、センサ9のメンテナンスが容易となる。
【0157】
かかる第5実施形態の無線送信装置1および無線送信システム900によっても、前記第1〜第4実施形態の無線送信装置1および無線送信システム900と同様の作用・効果を生じる。
【0158】
以上、本発明の無線送信装置および無線送信システムを図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、各構成は、同様の機能を発揮し得る任意のものと置換することができ、あるいは、任意の構成のものを付加することができる。例えば、前記第1〜第5実施形態の任意の構成を組み合わせることができる。
【0159】
なお、上述の各実施形態では、発電素子100は、交流電流を発電し、電力を無線送信装置1に供給する交流電源であるが、本発明はこれに限られず、発電素子100は、直流電流を発電し、電力を無線送信装置1に供給する直流電源であってもよい。この場合、各実施形態の無線送信装置1から、整流器2を省略することができる。