【実施例1】
【0014】
図1は本実施例の車両用照明装置10を示した概略斜視図である。車両用照明装置10は、マップランプ部11、ルームランプ部12、スイッチ13、を備え、これらがアウタレンズ60とケース70に収容されている。車両用照明装置10は、ケース70に設けられている板バネによって車両室内の天井に取り付けられ、マップランプ部11やルームランプ部12から放射する光によって車室内空間を照明する。
【0015】
図2は、
図1におけるマップランプ部11のA−A断面概略図である。
マップランプ部11は、光源であるLED20と、LED20を搭載し電力供給を行う基板30と、これらを覆ってLED20から放射された光を集光するレンズ40と、レンズ40から横方向に漏れ出た光を反射するように配置されるリフレクタ50と、を備える。LED20とレンズ40は、その光軸Lが、車両用照明装置10の意匠面であるアウタレンズ60に対して傾斜するよう配置され、集光されたスポット光によって乗員の手元(運転席や助手席の周辺)を照らせるように構成している。
【0016】
以下、各部の詳細について説明する。
LED20は、白色光を放射する表面実装型のLEDパッケージであり、基板30に電気的に接続されている。LEDパッケージは、青色光を放射するGaN系チップと、該青色光を黄色光へ波長変換する蛍光体とを有し、これらの光を混合して放射することで白色光が得られる。
【0017】
なお色目の調整や演色性の向上のため、蛍光体としては黄色光を放射するもののほか、赤色や緑色へ波長変換する蛍光体を用いてもよく、またこれらを組み合わせて用いても良い。このような蛍光体として、YAG系蛍光体、BOS系蛍光体、CASN系蛍光体、SiAlON系蛍光体、窒化物系蛍光体やフッ化物系蛍光体、などを例示できる。このうち、波長変換効率が高いことなどから、白色光を得たい場合はYAG系蛍光体が好ましく、暖色光(暖色の白色光を含む)やアンバー色光を得たい場合はSiAlON系蛍光体、またはYAG系蛍光体とCASN系蛍光体の組み合わせが好ましい。
【0018】
またLEDパッケージとしては、成形されたケースの凹部にチップを配置して、凹部内へ蛍光体含有樹脂を充填(ポッティング)した充填型パッケージのほか、チップ上面にチップと同等の大きさの蛍光体含有部材を配置し、蛍光体含有部材の上面のみが露出するよう、チップ側面と蛍光体含有部材の側面に反射材が密着するよう被覆することで、反射材を上述のケースの代替として用いるCSP(Chip−Size(Scale)−Package)型パッケージが適用できる。小型化とレンズ40による光学制御のしやすさの観点では、CSP型パッケージを用いることが好ましい。LED20の発光面の大きさをチップと同等にまで小さくでき、点光源のよう機能することでレンズ40の焦点と発光面のずれ幅が小さくなり、焦点近傍の光をレンズ40により有効に活用できるからである。
【0019】
レンズ40は、LED20の光を集光するレンズ部41と、レンズ部41から横方向に突出してリフレクタ50に保持固定される抑え部42とを備える。
レンズ部41は、LED20と対面して凹状に湾曲した入射面と、入射面に対面し入射面から入射した光を集光して放射する凸状に突出して湾曲した出射面とを備え、その中心軸である光軸LがLED20に交わるよう構成される。これにより、レンズ部41はLED20の光を光軸L方向に効率よく集光して放射することができる。
抑え部42は、レンズ部41の側面から放射状に突出する平板状のリブで、後述のリフレクタ50のリブ52によって保持される。
【0020】
またレンズ40の入射面側には、入射面を環状に取り囲んで突出形成された突起43が位置しており、LED20を搭載した基板30に当接する。これにより、レンズ40とLED20との距離を最適なものとし、かつ、LED20から入射面に照射されずに横方向に漏れた光をレンズ40内に取り込むことができ、レンズ40への光入射効率をより一層高めることができる。このため突起43の突出高さはLED20と入射面の距離より高いことが好ましく、換言すると突起43がLED20の発光面(上面)を取り囲む程度に高く、基板30との距離がLED20の発光面(上面)よりも突起43のほうが短いよう構成することが好ましい。
【0021】
リフレクタ50は、レンズ40がはめ込まれる開口53と、レンズの抑え部42を保持する2つのリブ51・52を備える。リフレクタ50はその反射面がレンズの光軸Lに対し略等角で傾斜している。
図2に示したよう、反射面の裏面に設けられる2つのリブ51・52のうち、アウタレンズ60に近い側のリブ51は、アウタレンズ60に垂直な方向における反射面からの突出高さT1が短く、アウタレンズ60に遠い側のリブ52は反射面からの突出高さT2がT1よりも長い。このようにリブの突出高さを変えることで、レンズ40の取付面(リフレクタ50裏面の開口周辺)が傾斜したリフレクタ50であっても、レンズ40を精度よく簡単に取り付けることができる。
【0022】
次に、この取付構造について、より詳細に説明する。
図3はリフレクタ50の裏面側から見た、リフレクタ50とレンズ40の分解斜視図である。また
図4はレンズ40をリフレクタ50の裏面上に載せて回転させて取り付ける様子を示した、レンズ回転軸方向からみた模式図である。なお図中において、回転取付時の回転方向を矢印で示しており、
図4では回転前のレンズを破線で示している。
【0023】
図3〜4に示したよう、リフレクタ50のリブ51・52は、リフレクタ50裏面の開口53近傍から突出してL字状に屈曲した形状をなしている。このリブ51・52とリフレクタ50の裏面との間で、レンズ40の抑え部42を保持することで固定する。L字状に屈曲したリブ51・52の先端側には爪状のかえしが設けられており、レンズ40の逆回転や振動により抑え部42が外れてしまうことを防止している。
【0024】
レンズ40は保持部44をさらに有し、2つの抑え部42と2つの保持部43は、レンズ40(レンズ部41)の外周縁に沿って交互に位置するように配置され、各々が90度ずつ回転した部位に設けられている。
保持部44はレンズ部41から放射状に突出し、その突出方向からみてT字状を有するリブで、レンズ40を取り付ける際、作業者(または組付治具)が保持してレンズ40を回転させる取っ手(ハンドル)として機能する。保持部44にはレンズ40を回転させる力が加わるが、回転方向に対して平行なリブと垂直なリブとで構成されるT字状であるためその強度が高い。また垂直なリブは突起43の側面にまで接続している。これにより強度をより一層高めることができる。さらに平行なリブと垂直なリブとで窪み(角部)が形成されているため、保持部44を保持した際に滑りにくく、回転力をスムーズに伝達することができる。本例では窪みが図示した回転方向とその逆回転方向とに位置するT字状の保持部43を示したが、窪みが一方のみに位置するようなL字状などでもよく、要は組付け時の回転力を伝達する面にその窪みが対面するように構成すればよい。
【0025】
図4では、取付前の抑え部42’と保持部44’を破線で示している。保持部44’を保持して図示した矢印方向へ回転力を加えることで、抑え部42’がリブ51・52のかえしを乗り越えてもぐり込み、レンズ40がリフレクタ50へ回転取付される。
上述のよう、抑え部42’と保持部44’とが90度ずつ回転した部位に設けられているため、レンズ40をリフレクタ50の開口53にはめ込む際、リブ51・52がレンズ40を挿入するガイドの役割を果たし、容易に回転取付へ移行することができる。
リブ51・52をはさむよう位置する抑え部42’と保持部44’の間隔が90度未満だと、間に位置するリブ51・52の幅が狭くなり、保持部44を十分に保持固定することができなくなる。また90度より大きいと、リブ51・52と抑え部42’・保持部44’との間隔が広がり、レンズ40のリフレクタ50への取付面が傾斜していることから、レンズ40が滑り回転しずれてしまい、組付け作業性が低下してしまう。
【0026】
以上のよう本発明では、リブ51・52がL字状であるため、リフレクタ50とリブ51・52とを一体に成形する際、成形材の流動方向が一律となりウェルドが生じない。このため
図6の従来例のよう、リブ51・52の強度を上げるべく必要以上にリブを厚くする必要がなく、リブ51・52の突出高さを従来よりも低く抑えることができる。またこれにより取付時にリブが破損する恐れがない。さらに、このような取付構造がリフレクタ50の裏面にあることで、リフレクタ50の開口53とレンズ40との間に取付構造が表出せず、外部から視認されず見栄えの良い構造とすることができる。
【実施例2】
【0027】
図5に実施例2の構造を示す。
図5は実施例1におけるマップランプ部11のA−A断面と同じ部位の断面概略図である。なお、実施例1と同様の構成については同じ符号を用いることとし説明を省略する。
【0028】
本実施例では、レンズ40の出射面側に意匠レンズ80がはめ込まれ、外部からはアウタレンズ60を介して意匠レンズ80が視認できるようになっている。光学制御するレンズ40は凸レンズなどありふれた形状であり、また集光性を損ねることから着色するなど見栄えを変更することが難しく、意匠性に乏しいという問題があった。しかし本実施例では、光学制御するレンズ40とは別に意匠レンズ80を設けたため、レンズ自体の形状や色彩などの美観を嗜好にあわせ変更でき、美観を向上させることができる。
意匠レンズ80は、その裏面(レンズ40の出射面と対面する面)にシボが設けられており、レンズ40からの放射光を光拡散することで、マップランプとしてのスポット光(光照射領域)の外縁をやわらげ、照明品質を向上することができる。また光拡散するため、外部から視認した際には意匠レンズ80が白濁して観測され、従来の透明なレンズとは異なり、意匠レンズ80の全面が発光する上品な印象を与えることができる。
【0029】
また、意匠レンズ80は凸部81とフランジ82を有し、レンズ40に設けられた凹状のガイド部45に凸部81がはめ込まれることで、レンズ40に対して位置決めされる。凸部81とフランジ82は、断面U字状の意匠レンズ80の先端にそれぞれ突出するよう設けられ、意匠レンズ80を取り囲むよう環状に設けられている。またガイド部45は、凸部81を受け入れるよう相補的な形状で窪んだ溝とその周囲を取り囲む凸状壁を有し、レンズ部41の周囲を取り囲むよう環状に設けられている。またレンズ40を回転取付する際には、フランジ82がガイド部45の凸状壁とリフレクタ50の裏面とによってはさみ込まれることで、意匠レンズ80の脱落が防止される。このため、抑え部42とリブ51・52による上述の取付構造をそのまま適用することができ、簡易な構造で意匠レンズ80を用いることができる。さらに、凸部81とフランジ82の裏面側(レンズ40と対面する面)にもシボが設けられているため、レンズ40と意匠レンズ80とが点(シボの先端)で接することとなり、レンズ40を回転取付する際には、摩擦を低減して滑りやすく、円滑に回転取付することができる。
【0030】
以上のよう、レンズ40とリフレクタとの間に意匠レンズ80を配置したことで、レンズ直上の意匠性を新規なものへと表現でき、また開口53をフランジ82が塞ぐことで、リフレクタ50とレンズ40の隙間が目立たず、これらが相まって、レンズ40周辺の意匠性を大幅に向上させることができる。