(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
止具が供給される射出部と、第1位置から第2位置へ向けて動作し、かつ、前記止具を被打込部材へ打ち込む打撃子と、前記打撃子に設けたラックと、を備えた打込機であって、
前記ラックに係合し、前記打撃子を前記第2位置から前記第1位置に移動させる回転要素と、
前記ラックに係合する係合部材と、
を有し、
前記回転要素は、前記打撃子が前記第2位置から前記第1位置に移動した後に前記ラックとの係合が外れ、
前記打撃子は、前記回転要素と前記ラックとの係合が外れると、前記第1位置から前記第2位置に向けて動作し、
前記係合部材は、前記回転要素の少なくとも一部により構成され、かつ、前記回転要素の径方向で内側及び外側に向けて移動可能であり、かつ、前記打撃子が前記第1位置から前記第2位置へ到達する前に停止すると、前記ラックに係合可能である、打込機。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、打込機の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。それぞれの図において、共通する部材には同一の符号が付されている。
【0014】
(実施の形態1)
図1〜
図10に示される打込機10はハウジング11を有し、ハウジング11は、シリンダケース12と、シリンダケース12に連続するモータケース13と、シリンダケース12に連続するハンドル14と、ハンドル14及びモータケース13に連続する装着部15と、を有する。ハウジング11は、2つの構成片同士を互いに固定して組み立てられている。2つの構成片は、それぞれナイロンまたはポリカーボネート等の合成樹脂により、それぞれ別個に成形されている。
【0015】
シリンダケース12内に円筒形状のシリンダ16が設けられている。シリンダケース12内にホルダ17が設けられ、シリンダ16はホルダ17により径方向に位置決めされている。また、シリンダ16内にピストン18が移動可能に配置されている。ピストン18の動作方向は、シリンダ16の中心線B1方向である。
【0016】
シリンダケース12内に蓄圧容器19が設けられ、蓄圧容器19と、シリンダ16とが、連結部材20により連結されている。連結部材20は環状であり、蓄圧容器19内からシリンダ16内に亘って空気圧室21が形成される。ピストン18の外周面にシール部材22が取り付けられ、シール部材22は、空気圧室21を気密にシールする。ピストン18にドライバブレード23が取り付けられている。
【0017】
ハウジング11内にホルダ24が設けられ、ホルダ24によりシリンダ16が中心線B1方向に支持されている。ホルダ24は、シリンダ16の中心線B1方向で、蓄圧容器19が配置された箇所とは反対の箇所に配置されている。ホルダ24はバンパ25を支持し、バンパ25はゴム状弾性体により一体成形されている。ホルダ24に軸孔24aが設けられ、バンパ25にガイド孔26が設けられている。ドライバブレード23は、軸孔24a及びガイド孔26内で中心線B1方向に移動可能である。本実施形態では、中心線B1と交差する平面内で、中心線B1がドライバブレード23の中心を通る構造を例示する。ピストン18が動作してドライバブレード23またはピストン18がバンパ25に衝突すると、バンパ25は衝撃荷重を減衰及び低減する。
【0018】
ホルダ24に射出部27が取り付けられている。射出部27は、ホルダ24に対して中心線B1方向に並べて配置されている。射出部27は、ハウジング11内からハウジング11外に亘って配置されている。射出部27は、ブレードガイド28と、ブレードガイド28に固定されたカバー30と、を有する。カバー30は、ねじ部材29を用いてブレードガイド28に固定されている。ブレードガイド28とカバー30との間に射出路31が形成されている。射出路31は、中心線B1方向に沿って配置されたガイド孔である。ドライバブレード23は、射出路31内で中心線B1方向に往復動可能である。中心線B1に対して垂直な底面視である
図11において、ドライバブレード23の外周形状は長方形である。ドライバブレード23は、シリンダ16内から射出路31に亘って配置されている。
【0019】
ブレードガイド28にプッシュロッド32が取り付けられている。プッシュロッド32は、ハウジング11の外に配置され、プッシュロッド32は、スライド孔32bを有し、スライド孔32bに挿入したねじ部材121が、カバー30に対して締め付けて固定されている。プッシュロッド32は、カバー30に対して中心線B1方向に移動可能である。プッシュロッド32の先端32aは、被打込部材W1へ押し付けられる。射出路31のうち、先端32aに最も近い箇所に射出口31aが設けられている。
【0020】
図3のように、ブレードガイド28にガイド溝33が設けられている。ガイド溝33の内面は、第1ストッパ壁34及び第2ストッパ壁35を構成する。プッシュロッド32に接触子36が固定されており、接触子36と第1ストッパ壁34との間に圧縮コイルばね120が設けられている。プッシュロッド32は、圧縮コイルばね120の力でバンパ25から離れる向き、つまり、
図3で下方へ押されている。プッシュロッド32は、中心線B1方向で一定範囲内で移動可能である。
【0021】
シリンダケース12及びモータケース13に連続する収容部37が設けられている。つまり、収容部37はハウジング11の一部を構成する。ドライバブレード23を空気圧室21の力に抗して、空気圧室21に近づく向きで動作させる動力機構76の構成を説明する。収容部37内に回転要素38が設けられている。回転要素38は、ピストン18を空気圧室21に近づく向きで動作させる要素である。回転要素38は、駆動軸39に固定されており、駆動軸39は2個の軸受40により、中心線B2を中心として回転自在に支持されている。
【0022】
中心線B2は、
図3に示す打込機10の側面視で、中心線B1と交差して配置されている。
図3では、中心線B1と中心線B2とが直角である例が示されているが、中心線B1と中心線B2とが直角でなくともよい。なお、
図4のように打込機10を正面視すると、中心線B1と中心線B2とは交差しない。回転要素38にピニオン41が設けられている。ピニオン41は、回転要素38の回転方向に沿って間隔をおいて配置した複数のピンである。
【0023】
一方、ドライバブレード23の側縁に、中心線B1方向に沿ってラック42が設けられている。ラック42は、凸部42aと凹部42bとを、中心線B1方向に一定の間隔で交互に配置したものであり、ピニオン41はラック42に係合・離脱が可能である。回転要素38、ピニオン41、ラック42が、動力機構76を構成している。複数の凸部42aは複数の歯である。
【0024】
回転要素38を回転する電動モータ43が設けられている。電動モータ43は、モータケース13内に設けられている。電動モータ43は、モータケース13に固定されるステータ44と、モータケース13内に回転自在に設けられたロータ45と、を有する。遊星歯車式の減速機46がモータケース13内に設けられており、減速機46の入力軸はロータ45に連結されている。減速機46の出力軸は駆動軸39に連結されている。
【0025】
装着部15にバッテリ47が取り付けられている。バッテリ47は、装着部15へ取り付け及び取り外しが可能であり、バッテリ47は電動モータ43に電力を供給する。バッテリ47は、収容ケースと、収容ケース内に収容された複数の電池セルと、を有する。電池セルは、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、リチウムイオンポリマー電池、ニッケルカドミウム電池などからなる二次電池である。
【0026】
複数の止具48を収容するマガジン49が設けられており、マガジン49は、ハウジング11及びブレードガイド28に固定されている。マガジン49を固定する固定要素は、ねじ部材である。マガジン49に送り機構が設けられており、送り機構は、マガジン49に収容されている止具48を射出路へ供給する。止具48は軸形状の釘である。
【0027】
射出部27に、押し付けセンサ50及び回転角度センサ51が設けられている。押し付けセンサ50は、プッシュロッド32の先端32aが被打込部材W1へ押し付けられたか否かを検出して信号を出力する。回転角度センサ51は、回転要素38の回転角度を検出して信号を出力する。ハンドル14にトリガ52が設けられ、トリガ52に操作力が加えられているか否かを検出するトリガスイッチ53が設けられている。
【0028】
装着部15内に制御基板54が設けられ、制御基板54にコントローラ、インバータ回路が設けられている。インバータ回路は、電動モータ43のステータ44に接続され、かつ、スイッチング素子を有する。コントローラは、押し付けセンサ50及び回転角度センサ51及びトリガスイッチ53から出力された信号を処理して、インバータ回路を制御する。つまり、コントローラは、電動モータ43の回転、停止、回転数を制御する。
【0029】
次に、打込機10の制御例を説明する。コントローラは、
図1のようにプッシュロッド32が被打込部材W1から離れ、かつ、トリガ52の操作力が解除されていると、電動モータ43を停止する。つまり、ピストン18は空気圧室の空気圧でバンパ25に向けて押され、ドライバブレード23がバンパ25に押し付けられている。つまり、ピストン18及びドライバブレード23は共に下死点で停止している。
【0030】
コントローラは、プッシュロッド32が被打込部材W1へ押し付けられ、かつ、トリガ52に操作力が加えられたことを検知すると、電動モータ43を回転する。電動モータ43の回転力は、減速機46を介して回転要素38へ伝達される。回転要素38が、
図4で反時計方向に回転してピニオン41がラック42に噛み合うと、ドライバブレード23が下死点から上死点へ向けて上昇し、空気圧室21の空気圧が上昇する。
【0031】
電動モータ43の回転力でドライバブレード23が上昇し、ドライバブレード23が上死点に到達した後、ピニオン41がラック42から離れる。このように、回転要素38が一回転する間に、ドライバブレード23が上死点に到達した後、ピニオン41がラック42から離れる。すると、ドライバブレード23は、空気圧室21の空気圧で上死点から下死点へ向けて中心線B1方向に移動する。そして、ドライバブレード23が、射出路31にある止具48を打撃し、射出路31の射出口31aから、止具48は被打込部材W1へ打ち込まれる。
【0032】
また、ドライバブレード23が止具48を被打込部材W1へ打ち込む際に、ドライバブレード23は余剰の運動エネルギを持っている状態で下降し、ドライバブレード23がバンパ25に衝突し、ドライバブレード23及びピストン18の運動エネルギの一部は、バンパ25により吸収される。コントローラは、ドライバブレード23が止具48を打撃した後、ピニオン41がラック42へ再度噛み合う前に、電動モータ43を停止する。コントローラは、電動モータ43を停止するタイミングを、回転要素38の回転角度から判断する。
【0033】
ピストン18及びドライバブレード23は、それぞれ上死点及び下死点を有する。ピストン18の上死点と、ドライバブレード23の上死点とでは、中心線B1方向の位置が異なるが、共に、空気圧室21に最も近づいた位置であることは同じである。ピストン18の下死点と、ドライバブレード23の下死点とでは、中心線B1方向の位置が異なるが、共に、空気圧室21から最も離れた位置であることは同じである。
【0034】
作業者が止具48を打ち込む作業を行っている場合に、何らかの理由、例えば、被打込部材W1が硬い等の理由により、ドライバブレード23により打撃された止具48が射出路31から出ることなく、射出路31に詰まる可能性がある。この場合、ドライバブレード23は、上死点と下死点との間で停止する。そこで、作業者は、プッシュロッド32を被打込部材W1から離し、かつ、トリガ52に対する操作力を解除した状態で、止具48を射出路31から取り出す作業を行う。
【0035】
本実施形態の打込機10は、止具48を射出路31から取り出す作業を行う場合に使用する固定機構55を有する。固定機構55は、ドライバブレード23が、上死点と下死点との間で停止している場合に、ドライバブレード23を停止位置に保持する役割を持つ。固定機構55は、ロックプレート56及びロックレバー57を有する。ロックレバー57は、支持軸58を中心として回動可能である。支持軸58の中心線B3は、中心線B2と平行である。ロックレバー57にカムプレート59が固定されている。突起61が、カムプレート59の表面から中心線B3方向に突出して設けられている。突起61の外周にカム面60が形成されている。カム面60は、中心線B3に対して垂直な平面内で非円形である。
【0036】
ブレードガイド28にガイドレール62,63が設けられている。中心線B3に対して垂直な平面視で、ガイドレール62,63は、共に直線状であり、かつ、互いに平行である。ガイドレール62,63は、中心線B1に対して傾斜している。ガイドレール62とガイドレール63は、中心線B1方向に間隔をおいて配置されている。ガイドレール62は、中心線B1方向でプッシュロッド32の先端32aと、ガイドレール63との間に配置されている。
【0037】
ロックプレート56は、ガイドレール62とガイドレール63との間に配置されている。ロックプレート56は、中心線B1方向の両端に接触部64,65を備えている。接触部64,65は共に直線状であり、かつ、互いに平行である。また、接触部64,65は、中心線B1に対して傾斜している。接触部64,65が、中心線B1に対して傾斜する角度及び向きは、ガイドレール62,63が、中心線B1に対して傾斜する角度及び向きと同じである。接触部64,65は、ガイドレール62,63に対して平行である。
【0038】
ロックプレート56は、ガイドレール62またはガイドレール63に接触した状態で、ドライバブレード23が止具48を打ち込む方向とは逆向きに、かつ、中心線B1に対して斜めに移動可能である。ドライバブレード23が止具48を打ち込む方向とは逆向きとは、ロックプレート56が移動することで、ドライバブレード23を上死点に向けて押す分力が発生する向きである。この分力は、中心線B1方向のベクトルである。
【0039】
接触部64と接触部65とは、中心線B1方向に距離をおいて配置されている。中心線B1方向で、ガイドレール62とガイドレール63との間の間隔は、接触部64と接触部65との距離よりも大きい。接触部64と接触部65との距離は、中心線B1方向におけるロックプレート56の幅である。このため、ロックプレート56は、ガイドレール62とガイドレール63との間に配置された状態で、中心線B1方向に、所定量移動することが可能である。また、ロックプレート56は、ガイドレール62とガイドレール63との間に配置された状態で、中心線B3に対して垂直な平面内で、ガイドレール62,63に沿って移動可能である。
【0040】
ロックプレート56にピン66が複数設けられている。ピン66は、ロックプレート56から中心線B3方向に突出している。複数のピン66同士は、中心線B1方向に一定のピッチで配置されている。中心線B1方向で、複数のピン66同士のピッチは、複数の凸部42a同士のピッチと同じである。ピン66はラック42へ係合可能である。固定機構55は、ピン66がラック42に係合した状態を維持する役割を持つ。ピン66の外径は、中心線B1方向で、凹部42bの長さよりも小さい。また、ロックプレート56にプレート67が取り付けられている。プレート67は、ロックプレート56とカムプレート59との間に配置されている。
【0041】
さらに、ブレードガイド28にピン68が設けられ、ロックプレート56にピン69が設けられている。さらに、引っ張りコイルばね70が設けられ、引っ張りコイルばね70の第1端部はピン68に連結され、引っ張りコイルばね70の第2端部はピン69に接続されている。引っ張りコイルばね70は、ロックプレート56を、ドライバブレード23から離れる向きに付勢している。
【0042】
ブレードガイド28に固定ピン71が設けられている。固定ピン71は、ばねの力でブレードガイド28の表面から突出する向きで押されている。カムプレート59の外周面に切り欠き72が設けられている。固定ピン71は切り欠き72へ出入り可能である。
【0043】
次に、固定機構55の使用例を説明する。ドライバブレード23で止具48を打ちこむ作業時、ロックレバー57は、
図4のように初期位置に保持されている。ロックレバー57が初期位置に保持されている場合、ロックプレート56は、引っ張りコイルばね70の力で、中心線B1から最も離れた待機位置で停止している。ロックプレート56が待機位置で停止していると、ピン66はラック42に噛み合っていない。つまり、ピン66は凹部42bから出ており、ドライバブレード23は中心線B1方向に移動可能である。
【0044】
止具48が射出路31で詰まった場合、作業者はロックレバー57を初期位置から反時計回りに回動する。すると、ロックプレート56は、引っ張りコイルばね70の力に抗して、中心線B1へ近づく向きでスライドする。そして、ロックレバー57を
図5のように停止すると、ピン66がラック42と噛み合う。ドライバブレード23は、凸部42aとピン66との係合力で、中心線B1方向に移動することが防止される。ピン66が凹部42bへ進入し、かつ、ロックプレート56が停止している状態を、ロックプレート56の固定位置と呼ぶ。ロックプレート56が固定位置にあると、固定ピン71が切り欠き72に進入し、カムプレート59の回動を規制する。ドライバブレード23が中心線B1方向に移動することが防止された状態で、作業者は射出路31に詰まっている止具48を取り除くことができる。
【0045】
さらに、ロックプレート56が、
図5のように固定位置にあると、カム面60とプレート67とが位置C1で接触する。ここで、支持軸58の中心線B3を通り、かつ、中心線B1に対して直角な線分D1を想定すると、位置C1は、線分D1とピン69との間に位置する。このため、引っ張りコイルばね70の力が、カムプレート59を時計回りに回動する向きの力に変換されることを防止できる。
【0046】
作業者は、止具48を除去した後、固定ピン71を切り欠き72から退出させ、ロックレバー57を
図5で時計回りに回動する。すると、カムプレート59はロックレバー57と共に
図5で時計回りに回動する。また、ロックプレート56は中心線B1から離れる向きでスライドし、ピン66がラック42から離れる。そして、作業者がロックレバー57を初期位置で停止すると、ロックプレート56は待機位置で停止する。
【0047】
次に、バンパ25から最も離れた位置にある凸部42aが、一番下に位置するピン66と、プッシュロッド32の先端32aとの間で停止している場合に、止具48を除去する第2の作業を、
図6及び
図7を参照して説明する。第2の作業において、初期位置にあるロックレバー57を反時計回りに回動すると、ロックプレート56がスライドして、下から1番目に位置するピン66が、下から1番目に位置する凸部42aへ押し付けられる。
【0048】
ここで、ロックプレート56が中心線B1に対して交差してスライドする。このため、下から1番目に位置するピン66が、下から1番目に位置する凸部42aと、下から2番目に位置する凸部42aとの間に形成された凹部42bへ進入する。
【0049】
さらに、一番下に位置するピン66が、一番下に位置する凸部42aよりも下方に位置している場合に、止具48を除去する第3の作業を、
図8及び
図9を参照して説明する。第3の作業を開始すると、ロックプレート56は、待機位置から固定位置へスライドする過程で、ピン66が凸部42aの下面に押し付けられる。さらに、ロックプレート56は、中心線B1に対して傾斜する方向にスライドする。このため、ロックプレート56が中心線B1に対して傾斜する向きに移動する際、一番下のピン66が一番下の凸部42aに係合し、ロックプレート56が固定位置で停止する。このため、止具48を射出路31から除去する作業性が向上する。
【0050】
ロックレバーの他の例を、
図11を参照して説明する。ロックレバー73は、支持軸74を中心として回動可能である。ロックレバー73はカム面75を有する。ロックプレート56が、待機位置にあると、ロックレバー73は、初期位置にある。ロックレバー73が初期位置にあると、カム面75はプレート67へ押し付けられていない。このため、ロックプレート56は引っ張りコイルばね70の力で待機位置に停止している。つまり、ピン66はラック42から離れており、ドライバブレード23は中心線B1方向に移動可能である。
【0051】
初期位置にあるロックレバー73が、支持軸74を中心として時計回りに回動すると、カム面75がプレート67へ押し付けられ、ロックプレート56は、中心線B1へ近づく向きでスライドする。ロックプレート56がスライド中に、ピン66がラック42へ係合し、ロックレバー73を停止すると、ロックプレート56は固定位置に停止する。ロックプレート56を固定位置に停止すると、ドライバブレード23は、中心線B1方向に移動することが防止される。
【0052】
これに対して、ロックプレート56が固定位置にある状態で、ロックレバー73を
図11で反時計回りに回動し、ロックレバー73を初期位置に戻すことができる。すると、ロックプレート56は、固定位置から引っ張りコイルばね70の力で中心線B1から離れる向きにスライドし、待機位置に戻り停止する。
【0053】
ここで、本実施形態における構成の意味を説明すると、上死点が、第1位置に相当し、下死点が、第2位置に相当し、ドライバブレード23が、打撃子に相当する。また、ロックプレート56が、係合部材に相当する。中心線B1が、第1中心線であり、ガイドレール62及びガイドレール63が、第1ガイドレール及び第2ガイドレールに相当し、支持軸58,74が、支持軸に相当し、ロックレバー57,73が、レバーに相当し、中心線B3,B4が、第2中心線に相当し、ブレードガイド28が、第1構成部材に相当し、カバー30が、第2構成部材に相当する。また、中心線B1方向が、打撃子が動作する方向である。
【0054】
(実施の形態2)
打込機の実施の形態2は、図
12〜図15に示されている。駆動軸39にカム部77が固定されている。カム部77の外周面77Aの形状は非円形であり、カム部77は中心線B2を中心として回転要素38と共に一体回転可能である。カム部77を中心線B2方向に貫通するガイド孔78が設けられている。ガイド孔78は短軸及び長軸を有し、長軸は回転要素38の径方向に配置されている。
【0055】
回転要素38にガイド孔79が設けられている。ガイド孔79は、回転要素38を中心線B2方向に貫通している。ガイド孔79は、中心線B2に対して垂直な平面視で、ガイド孔78と同じ位置に配置され、かつ、同じ形状を有する。つまり、ガイド孔78,79は、中心線B2に対して垂直な平面視で重なっている。ピニオン41のうち、円周方向で一端に配置されたピニオン41Aは、ガイド孔78,79に配置され、ガイド孔78,79の長軸方向に移動可能である。つまり、ピニオン41Aは、回転要素38の径方向に移動可能である。ピニオン41Aに抜け止め88が固定されており、ピニオン41Aは回転要素38から外れることは無い。
【0056】
駆動軸39に付勢部材80が取り付けられている。付勢部材80は、ピニオン41Aを回転要素38の径方向で外側に向けて押す要素である。付勢部材80は、弾性部材、例えば、金属製のねじりコイルバネを用いることができる。付勢部材80の第1端部81は、回転要素38に固定され、付勢部材80の第2端部82は、ピニオン41Aに押し付けられている。
【0057】
次に、打込機10の制御系統を
図16を参照して説明する。打込機10は、コントローラ83、回転角度センサ51、トリガスイッチ53、押し付けセンサ50、インバータ回路84を有する。回転角度センサ51は、カム部77の外周面77Aに接触して、回転要素38の回転角度を検出し、検出結果に基づく信号を出力する。また、作業者が操作するリセットスイッチ89が設けられている。リセットスイッチ89は信号を出力する
。コントローラ83は、トリガスイッチ53の信号、押し付けセンサ50の信号、回転角度センサ51の信号、リセットスイッチ89の信号を処理する。コントローラ83の信号で動作するストッパ90が設けられている。ストッパ90は、マガジン49内の止具48が射出路31に供給されることを防止する。ストッパ90は、例えば、ソレノイドと、ソレノイドにより動作するピンと、を備えている。
【0058】
インバータ回路84は、バッテリ47の電力を電動モータ43に供給する回路を構成する。さらに、電動モータ43の回転角度及び回転方向の位相を検出する位相検出センサ85が設けられており、位相検出センサ85から出力された信号は、コントローラ83に入力される。さらに、バッテリ47から電動モータ43に供給される電力の電流値を検出する電流値検出センサ86が設けられている。電流値検出センサ86から出力された信号は、コントローラ83に入力される。
【0059】
さらに、中心線B1方向におけるドライバブレード23の位置を検出する位置検出センサ87が設けられている。位置検出センサ87は、例えば、シリンダ16の複数箇所に取り付けた検出コイルと、ピストン18に取り付けたマグネットと、により達成できる。そして、検出コイルに通電して、マグネットと検出コイルとの間で生じる起電力を検出することにより、ドライバブレード23の位置を示す信号を出力する。位置検出センサ87から出力された信号は、コントローラ83に入力される。コントローラ83は、入力される信号を処理して、インバータ回路84を制御することにより、電動モータ43の回転及び停止を制御する。図
12〜図15に示す打込機10の他の構成は、
図1〜
図10に示す打込機10の構成と同じである。
【0060】
図
12〜図15に示す打込機10は、固定機構55の代わりに保持機構91を有する。保持機構91は、止具48が射出路31に詰まった場合に、ドライバブレード23を上死点と下死点との間に保持することが可能である。保持機構91は、コントローラ83、電動モータ43、回転要素38及びピニオン41Aを含む。
【0061】
次に、図
12〜図15に示す打込機10の動作及び制御例を説明する。コントローラ83は、止具48が射出路31に詰まっているか否かを判断する。コントローラ83は、回転要素38が
図15で反時計回りに回転して、ドライバブレード23を第2位置から第1位置へ移動させる上昇制御を開始した時点から、所定時間内にドライバブレード23が下死点に到達したことを検出すると、止具48は射出路31に詰まっていないと判断する。
【0062】
これに対して、コントローラ83は、回転要素38が
図15で反時計回りに回転して、ドライバブレード23が上昇を開始した時点から、所定時間内にドライバブレード23が下死点に到達したことを検出できないと、「止具48の詰まり」と判断する。止具48の詰まりとは、ドライバブレード23が上昇を開始して第1位置に到達し、さらに、ドライバブレード23が空気圧室21の打撃力で第1位置から第2位置へ向けで動作して止具48を打撃した後に、止具48が射出路31に詰まることを意味する。
【0063】
(止具が詰まっていない場合) コントローラ83は、止具48が詰まっていないと判断すると通常制御を実行する。通常制御は、ドライバブレード23が下死点から上昇を開始した時点から、電動モータ43を所定角度回転して停止する制御である。コントローラ83は、ドライバブレード23が電動モータ43の回転力で上昇を開始した時点を、電動モータ43の負荷、つまり、電流値検出センサ86の信号から判断する。コントローラ83が電動モータ43を停止すると、ドライバブレード23の下端は、マガジン49内で先頭に位置する止具48の上端よりも下に位置する。つまり、ドライバブレード23は、次回の打撃に備えて待機位置で停止する。
【0064】
(止具が詰まっている場合) 一方、コントローラ83は、止具48が射出路31に詰まっていると判断すると、通常制御を実行せずに第1保持制御を実行可する。
【0065】
第1保持制御は、下死点に到達せずに停止しているドライバブレード23を上昇させ、かつ、上死点に到達する前に停止する制御である。具体的に説明すると、コントローラ83は、ドライバブレード23が上昇を開始した時点から、ドライバブレード23を所定量上昇させて電動モータ43を停止する。
【0066】
止具48が詰まってドライバブレード23が下死点に到達する前に停止する位置は、実験またはシミュレーションによって求められている。つまり、停止しているドライバブレード23を、第1保持制御により上昇させる所定量は、ドライバブレード23が上死点に到達する前に停止することのできる移動量である。また、ドライバブレード23が所定量移動して停止すると、ドライバブレード23の下端は、マガジン49内で先頭に位置する止具48の上端よりも下に位置する。
【0067】
第1保持制御が実行されて、電動モータ43の回転力で回転要素38が回転し、ピニオン41がラック42に係合されてドライバブレード23が上昇する作用を、図
13、図14、図15を参照して説明する。先ず、ピニオン41がラック42に対して円滑に係合する「第1係合の作用」を、
図15を参照して説明する。第1の係合作用は、複数のピニオン41のうち、回転要素38の回転方向で、先頭に位置するピニオン41Aが、上から2番目以降に位置する凸部42aに阻害されずに、上に位置する凸部42aに係合することを意味する。第1の係合作用では、ピニオン41Aは、ガイド孔78内で付勢部材80の付勢力で押されて停止した状態に維持される。
【0068】
次に、ピニオン41がラック42に対して円滑に係合しない「第2の係合作用」を、図
14及び図15を参照して説明する。第2の係合作用は、複数のピニオン41のうち、回転要素38の回転方向で、先頭に位置するピニオン41Aが、上から2番目以降に位置する凸部42aに阻害された後、上に位置する凸部42aに係合してドライバブレード23が上昇することを意味する。第2の係合作用では、図
14(A)のように、ピニオン41Aが上から2番目以降に位置する凸部42aに押し付けられる。
【0069】
すると、ピニオン41Aは同一円周上を移動できないため、図
14(B)のように、付勢部材80の付勢力に抗してガイド孔78内で径方向の内側に向けて移動する。そして、回転要素38の回転が継続されて、ピニオン41Aが、上から2番目以降に位置する凸部42aを乗り越えると、図
15(A)のように、ピニオン41Aは、付勢部材80の付勢力により、ガイド孔78内で回転要素38の径方向で外側に移動する。このようにして、ピニオン41Aは、上に位置する凸部42aに係合し、かつ、回転要素38の回転が継続され、図
15(B)のようにドライバブレード23が上昇し、電動モータ43が停止してドライバブレード23が保持される。
【0070】
作業者は、第2の制御が実行されてドライバブレード23が上昇かつ停止した後、詰まっている止具48を射出路31から取り除く。作業者は、止具48を射出路31から取り除いた後、リセットスイッチ89を操作する。コントローラ83は、リセットスイッチ89が操作されると、第1の解除制御または第2の解除制御を実行する。
【0071】
第1の解除制御は、電動モータ43を第2方向に回転させ、回転要素38を図
14及び図15で時計回りに回転させてドライバブレード23を下降し、ドライバブレード23が下死点に到達した時点で、電動モータ43を停止する制御である。コントローラ83は、第1の解除制御を実行中、ドライバブレード23の下降する速度が、空気圧室21の圧力でドライバブレード23が下降する速度未満となるように、単位時間あたりにおける電動モータ43の回転数を制御する。
【0072】
第2の解除制御は、電動モータ43を第1方向に回転させ、回転要素38を図
14及び図15で反時計回りに回転してドライバブレード23を上昇させる。そして、ピニオン41がラック42から解放されて、空気圧室21の圧力でドライバブレード23が下降して下死点に到達した後、コントローラ83が電動モータ43の回転力でドライバブレード23を再度上昇させ、ドライバブレード23を下死点よりも上の位置で停止する制御である。第2の解除制御を実行してドライバブレード23を停止すると、ドライバブレード23の下端は、マガジン49内で先頭に位置する止具48の上端よりも下に位置する。
【0073】
なお、コントローラ83は、第2の制御を実行してドライバブレード23が下降する間、ストッパ90を動作するため、マガジン49内の止具48は射出路31に供給されない。そして、コントローラ83は、ドライバブレード23が停止した後、ストッパ90を解除する。このように、コントローラ83は、止具48が射出路31で詰まると、第1保持制御例を実行して、ドライバブレード23を所定量上昇させて停止する。したがって、作業者は、止具48を射出路31から取り除く作業を円滑に行うことができる。打込機10の実施の形態2では、空気圧室21が、打撃要素に相当し、電動モータ43が、モータに相当し、ピニオン41、特に、ピニオン41Aが、係合部材に相当する。
【0074】
(実施の形態3) 打込機の実施の形態3を、
図17〜
図19を参照して説明する。実施の形態3の打込機10は、ピニオン41のうち、回転要素38が反時計回りに回転する方向で、最も後部に位置するピニオン41Bが、回転要素38の径方向に移動可能である。打込機10は、保持機構91を有し、保持機構91は、コントローラ83、回転要素38、ピニオン41及び電動モータ43を含む。
【0075】
コントローラ83は、止具48が詰まっていないと通常制御を実行し、止具48が射出路31に詰まっていると判断すると、通常制御を実行せずに、第2保持制御を実行可する。
【0076】
第2保持制御は、電動モータ43を第2方向に回転して回転要素38を図
19で時計回りに回転してピニオン41をラック42に係合させ、ドライバブレード23を保持する制御である。
【0077】
先ず、ピニオン41Bが凹部42bに円滑に進入する「第1の進入作用」を、
図17を参照して説明する。第1の進入作用は、ピニオン41Bが凸部42aに阻害されずに、凹部42bに進入することを意味する。
【0078】
図17(A)のように回転要素38が時計回りに回転すると、ピニオン41Bは、凹部42bに進入する。コントローラ83は、ピニオン41Bが凹部42bの下に位置する凸部42aに接触した時点で電動モータ43を停止する。コントローラ83は、電流値検出センサ86の信号を処理して、ピニオン41Bが凸部42aに接触したことを判断する。ピニオン41Bが凹部42bに進入すると、ドライバブレード23の下降が防止される。したがって、作業者は、止具48を取り除く作業を円滑に行うことができる。
【0079】
次に、ピニオン41Bが凹部42bに円滑に進入しない場合の作用を、
図18及び
図19を参照して説明する。回転要素38が時計回りに回転すると、
図18(A)のように、ピニオン41Bが凸部42aに押し付けられる。すると、ピニオン41Bは、付勢部材80の付勢力に抗してガイド孔78内で径方向の内側に向けて移動する。そして、ピニオン41Bが、図
18(B)のように凸部42aを乗り越えると、
図19(A)のように、ピニオン41Bは、ガイド孔78内で回転要素38の径方向で外側に移動する。
【0080】
コントローラ83は、ピニオン41Bが凹部42bに進入し、かつ、下の凸部42aに接触したことを検出すると、電動モータ43を停止し、次いで、電動モータ43を第1方向に回転する。すると、回転要素38は
図19で反時計回りに回転し、コントローラ83は、
図19(B)のように、ピニオン41Bが、上に位置する凸部42aに押し付けられてラック42に係合すると、電動モータ43を停止する。コントローラ83は、電流値検出センサ86の信号を処理して、ピニオン41Bが凸部42aに押し付けられたことを検出する。ピニオン41Bとラック42とが係合すると、ドライバブレード23の下降が防止される。したがって、作業者は、止具48を射出路31から取り除く作業を円滑に行うことができる。
【0081】
なお、コントローラ83は、止具48を射出路31から取り除いた後、作業者がリセットスイッチ89を操作すると、第1の解除制御または第2の解除制御を実行する。打込機10の実施の形態3では、電動モータ43が、モータに相当し、コントローラ83が、コントローラに相当し、空気圧室21が、打撃要素に相当し、ピニオン41、特に、ピニオン41Bが、係合部材に相当する。
【0082】
(実施の形態4) 打込機の実施の形態4を、
図20〜
図25を参照して説明する。
図20〜
図22のように、射出部27に支持機構131が設けられている。支持機構131は、カバー30に支持軸132を中心として回動可能に設けたアーム133と、カバー30に支持軸134を中心として回動可能に設けたラッチ135と、を有する。ラッチ135は、
図22〜
図24において、弾性部材136の力で支持軸134を中心とする時計回りに付勢されている。弾性部材136は、金属製の渦巻きコイルバネである。
【0083】
ラッチ135の自由端にノックピン137が設けられている。ノックピン137は、ラッチ135に対して回転可能でもよい。ノックピン137は、中心線B1方向で支持軸134と駆動軸39との間に配置されている。ノックピン137は、中心線B1に対して直角な方向で、ドライバブレード23と支持軸134との間に配置されている。ノックピン137はラック42に対して係合及び解放可能である。また、ノックピン137は、ラック42の凸部42aに接触した状態で、中心線B1方向に移動可能である。
【0084】
アーム133は長手方向の途中で屈曲しており、支持軸132はアーム133の長手方向で中間に配置されている。アーム133は、支持軸132の両側に第1接触部138及び第2接触部139を有する。第1接触部138は、中心線B1方向で支持軸132と支持軸134との間に配置されている。第1接触部138はラッチ135の自由端に対して接触及び離反可能である。第2接触部139はカム部77と支持軸132との間に配置されている。第2接触部139はカム部77に接触する。
【0085】
さらに、外周面77Aは、中心線B2を中心として円弧状に形成されている。外周面77Aから、カム部77の径方向で外側に突出した盛り上がり部77Bが設けられている。盛り上がり部77Bは、カム部77の外周面77Aに対して、カム部77の径方向に変位している。
【0086】
(止具が詰まっていない場合) 実施の形態4の打込機10において、止具48が詰まっていない場合の使用例を、
図22及び
図23を参照して説明する。ドライバブレード23が待機位置で停止していると、カム部77の盛り上がり部77Bは、時計の文字盤の「2時」に相当する位置にある。さらに、第2接触部139は盛り上がり部77B以外の箇所、つまり、外周面77Aに相当する位置にある。弾性部材136の力はラッチ135を介して第1接触部138に伝達される。このため、アーム133は、支持軸132を中心として、反時計方向に最も回動した位置で停止し、ノックピン137はラック42に係合している。つまり、ノックピン137は凹部42bに位置する。
【0087】
コントローラ83は、トリガスイッチ53がオンされ、かつ、押し付けセンサ50がオンされると、電動モータ43を第1方向に回転する。すると、回転要素38が
図22(A)で反時計方向に回転し、ピニオン41とラック42とが係合し、ドライバブレード23が上死点に近づく向きで動作する。ドライバブレード23が動作すると、ノックピン137は凸部42aに接触した状態で、
図22(B)のように凸部42aに乗り上げ、かつ、凸部42aを乗り越えて凹部42bに進入する。このため、ラッチ135は支持軸134を中心として反時計方向及び時計方向に所定の角度内で動作する。以後、ドライバブレード23が上死点に近づく向きで動作中、ノックピン137は凸部42aに乗り上げ、かつ、凸部42aを乗り越える動作を繰り返す。このように、ドライバブレード23の動作が許容される。
【0088】
そして、ドライバブレード23が上死点に到達する前、例えば、
図23(A)のように、回転要素38の回転方向で後端に位置するピニオン41が、ドライバブレード23の先端23aに最も近い凸部42aから解放される前に、第2接触部139が盛り上がり部77Bの外面に接触する。カム部77の回転に伴い、アーム133は、
図23(B)のように、支持軸132を中心として時計方向に所定角度の範囲で回動する。このため、第1接触部138がラッチ135を押し、ラッチ135は支持軸134を中心として反時計方向に所定角度回転する。その結果、ノックピン137はラック42から解放される。
【0089】
そして、第2接触部139が盛り上がり部77Bの外面に接触している際に、ドライバブレード23が上死点に到達し、かつ、全てのピニオン41がラック42から解放され、ドライバブレード23は空気圧室21の空気圧で下死点に向けて動作し、ドライバブレード23は止具48を打撃する。ドライバブレード23が止具48を打撃した後、コントローラ83は、実施の形態1と同様にドライバブレード23を待機位置まで移動させ、電動モータ43を停止する。
【0090】
(止具が詰まった場合) 実施の形態4の打込機10において、止具48が詰まった場合の使用例を、
図23(B)及び
図24を参照して説明する。ドライバブレード23が上死点から下降中、アーム133の第2接触部139は、
図23(B)のように盛り上がり部77Bの外面に接触している。また、全てのピニオン41はラック42から解放されている。コントローラ83は止具48が射出路31で詰まっていることを検出すると、電動モータ43を第1方向に回転させ、回転要素38を
図23(B)で反時計方向に回転させる。
【0091】
すると、第2接触部139は盛り上がり部77Bから離れ、アーム133が弾性部材136の力で時計方向に回転し、
図24のように外周面77Aに接触した時点で、コントローラ83は電動モータ43を停止する。このため、ラッチ135は支持軸134を中心として時計方向に回転し、ノックピン137がラック42に係合する。ノックピン137は中心線B1方向で支持軸134と支持軸132との間に配置されている。
【0092】
このため、ドライバブレード23に空気圧が加わっていても、ノックピン137が凸部42aを乗り越えることは無く、ノックピン137とラック42との係合が維持される。すなわち、ラッチ135は支持軸134を中心として回転することは無い。ドライバブレード23が下死点に向けて付勢される力は、ラッチ135を介して射出部27で受け止められる。したがって、作業者が止具48を射出路31から除去する際に、ドライバブレード23が下死点に向けて動作することを阻止でき、作業性が向上する。
【0093】
作業者が止具48を除去した後、コントローラ83は、トリガスイッチ53がオンされ、かつ、押し付けセンサ50がオンされたことを検出すると、電動モータ43を第2方向に回転し、
図23(B)のようにアーム133の第2接触部139が盛り上がり部77Bの外面に接触した時点で、電動モータ43を停止する。すると、ドライバブレード23は空気圧で下死点に向けて動作し、止具48が射出路31に無い状態で空打ちする。その後、コントローラ83は、電動モータ43を第1方向に回転させ、ピニオン41とラック42トの係合力でドライバブレード23を上死点に向けて動作させ、ドライバブレード23が待機位置に到達した時点で、電動モータ43を停止する。
【0094】
図25は、ドライバブレード23の先端23aに、補助ラック42cを設けた例である。補助ラック42cは、中心線B1方向で、ピストン18から最も離れた箇所に配置された凸部42aと、ドライバブレード23の先端23aとの間に配置されている。射出路31で詰まった止具48を除去した後、回転要素38を
図24で反時計方向に回転させると、回転要素38の回転方向で下流に位置するピニオン41がラック42に係合するため、ドライバブレード23が上死点に到達した後も、ピニオン41がラック42の凸部42aに順次、係合及び解放する作用を繰り返す。
【0095】
ドライバブレード23が上死点に到達する前に、ノックピン137は、補助ラック24cを乗り越え、ドライバブレード23が上死点に到達すると、補助ラック24cに係合する。このため、回転要素38が
図25で反時計方向に回転すると、先に係合していたピニオン41が凸部42aから離れ、次のピニオン41が次の凸部42aに係合する前に、ノックピン137が補助ラック24cに係合する。つまり、ドライバブレード23の荷重をラッチ135が受ける。このため、ドライバブレード23が上死点に到達した後に、ドライバブレード23が中心線B1方向に動作する量を、なるべく少なくすることができる。したがって、ピニオン41と凸部42aとが衝突する荷重を低減でき、ドライバブレード23及び回転要素38の耐久性の低下を抑制できる。
【0096】
なお、止具48の除去後、ピニオン41と凸部42aとの位置が、互いに係合しにくい状態である場合も、ノックピン137が補助ラック24cに係合することで、ドライバブレード23が下死点に向けて動作することを回避できる。
【0097】
(実施の形態5) 打込機の実施の形態5を、
図26〜
図34を参照して説明する。
図26及び
図27(A)のように、射出部27に支持機構122が設けられている。支持機構122は、カバー30に設けられたマウント123と、マウント123により回転可能に支持された軸部材124と、軸部材124に設けた第1ラッチ125及び第2ラッチ126と、軸部材124に回転方向の付勢力を加える弾性部材127とを、を有する。弾性部材127は、金属製の捩じりコイルばねである。第1ラッチ125及び第2ラッチ126は、軸部材124の回転方向で同じ位置に配置され、かつ、軸部材124の中心線方向で異なる位置に配置されている。カバー30に開口部128が形成されている。カバー30とブレードガイド28との間にガイドプレート129が設けられ、ガイドプレート129とブレードガイド28との間に射出路31が形成されている。
【0098】
ガイドプレート129は開口部130を有し、打込機10の正面視で、開口部128と開口部130とが重なって配置されている。軸部材124が回転すると、第2ラッチ126は開口部128内を介して射出路31に進入及び退出可能である。
【0099】
コントローラ83は、プッシュロッド32が被打込部材W1から離れていること、トリガスイッチ53がオフされていることのうち、少なくとも一方を検出して、電動モータ43を停止している。また、
図27(B)のように、回転要素38のピニオン41はラック42に係合している。ドライバブレード23の下端は、マガジン49内で先頭に位置する止具48の上端よりも下に位置する。つまり、ドライバブレード23は待機位置で停止している。
【0100】
さらに、軸部材124は弾性部材127の付勢力により、
図26で時計方向に回転付勢され、第2ラッチ126は、開口部128,130から射出路31内に位置している。つまり、第2ラッチ126は、ラック42の凹部42bに位置する。さらに、第2ラッチ126は、カバー30またはガイドプレート129に接触し、軸部材124が停止している。
【0101】
プッシュロッド32が被打込部材W1に押し付けられると、プッシュロッド32は圧縮コイルばね120の付勢力に抗してバンパ25に近づく向きで動作する。すると、プッシュロッド32が第1ラッチ125に接触し、軸部材124を
図28で反時計方向に回転させる。すると、第2ラッチ126は凹部42bから退出し、第2ラッチ126とラック42とが解放される。また、第1ラッチ125が押し付けセンサ50に押し付けられ、コントローラ83はプッシュロッド32が被打込部材W1に押し付けられたことを検出する。
【0102】
コントローラ83は、プッシュロッド32が被打込部材W1に押し付けられたことを検出し、かつ、トリガスイッチ53がオンされたことを検出すると、電動モータ43を駆動し、回転要素38を
図27(B)で反時計回りに回転させる。このため、ドライバブレード23は上死点に近づく向きで動作し、空気圧室21の圧力が上昇する。
【0103】
そして、
図28び
図29のように、ピストン18が上死点に到達すると、ピニオン41がラック42から解放される。すると、ドライバブレード23は空気圧室21の圧力で下死点に向けて動作し、かつ、射出路31にある止具48を打撃し、止具48が被打込部材W1に打ち込まれる。
【0104】
コントローラ83は、止具48が被打込部材W1に打ち込まれた後も電動モータ43の駆動を継続し、ピニオン41とラック42とを係合し、ドライバブレード23を下死点から上死点に向けて移動させる。コントローラ83は、
図26に示すように、ドライバブレード23が待機位置まで上昇すると、電動モータ43を停止する。
【0105】
止具48が射出路31で詰まることなく打撃作業を行った後、プッシュロッド32が被打込部材W1から離されると、軸部材124は、弾性部材127の付勢力で
図30において時計方向に回転し、第1ラッチ125が押し付けセンサ50から離れ、押し付けセンサがオフされる。また、第2ラッチ126は、
図26のように、開口部128,130を介して射出路31に進入する。そして、第2ラッチ126はラック42に係合し、かつ、第2ラッチ126は、カバー30またはガイドプレート129に接触し、軸部材124が停止する。
【0106】
図31及び
図32は、プッシュロッド32を被打込部材W1に押し付け、かつ、ドライバブレード23で止具48を打撃し、止具48が射出路31で座屈変形して詰まった場合の例を示す。作業者がプッシュロッド32を被打込部材W1から離すと、プッシュロッド32が第1ラッチ125から離れる。すると、軸部材124は、弾性部材120の力で
図31で時計回りに回動し、押し付けセンサ50がオフされるとともに、第2ラッチ126がピニオン41とピニオン41との間に進入する。つまり、第2ラッチ126はラック42に係合する。したがって、作業者が止具48を射出路31から除去する際、ドライバブレード23が下死点に向けて動作することを防止できる。
【0107】
図34は、プッシュロッド32を被打込部材W1から離した状態で、止具48を射出路31から除去できない場合の例を示す。この場合、作業者は、プッシュロッド32を再度、被打込部材W1に押し付けて軸部材124を
図34で反時計方向に回転させる。すると、第2ラッチ126はラック42から解放され、かつ、押し付けセンサ50がオンされる。また、作業者は、トリガ52に操作力を加える。
【0108】
すると、電動モータ43が駆動し、回転要素38が
図34で反時計方向に回転し、ピニオン41とラック42とが係合し、ドライバブレード23が上死点に向けて動作する。そして、コントローラ83はドライバブレード23が待機位置に到達すると、電動モータ43を停止する。電動モータ43は停止するが、空気圧室21の力でドライバブレード23が動作しないように、回転規制機構で支持されて停止している。回転規制機構は、回転要素38が
図34で反時計方向に回転することを許容し、かつ、時計方向に回転することを阻止する。
【0109】
さらに、作業者はプッシュロッド32を被打込部材W1から離し、かつ、トリガ52から操作力を解除して、止具48を射出路31から除去する。実施の形態5で説明した第2ラッチ126は、係合部材に相当する。
【0110】
(実施の形態6) 打込機の実施の形態6の具体例1を、
図35及び
図36を参照して説明する。打込機10は、ブレードガイド28に支持機構92が設けられている。支持機構92は、ねじ部材93と、ねじ部材93を支持するガイド部材94と、を有する。ねじ部材93は、雄ねじ軸95と、雄ねじ軸95に連続する頭部96と、雄ねじ軸95において頭部96と反対の箇所に連続するボス部97と、を有する。
【0111】
ねじ部材93の長手方向は、中心線B1方向と同じである。ねじ部材93はガイド部材94により回転可能に、かつ、長手方向に移動不可能に支持されている。また、係合部材98が雄ねじ軸95に取り付けられている。係合部材98は雌ねじ部を有し、雄ねじ軸95に対して回転可能であり、かつ、ねじ部材93の長手方向に移動可能である。係合部材98はブレードガイド28に対して回転不可能である。頭部96とガイド部材94との間にスラストベアリング101が介在されている。ボス部97は溝を有する。
【0112】
さらに、ドライバブレード23は、ラック42とは別のラックとしての凸部99を有する。凸部99は、ドライバブレード23のうち、ラック42が設けられている縁とは反対の縁から突出している。凸部99は、中心線B1方向で係合部材98よりも上に配置されている。
図35及び
図36に示すその他の構成は、
図4に示す構成と同じである。
【0113】
止具48が射出路31で詰まっておらず、ドライバブレード23が下死点に位置する場合、
図35のように係合部材98と凸部99との間に隙間がある。このため、ドライバブレード23が中心線B1方向に動作しても、凸部99は係合部材98に接触しない。
【0114】
これに対して、止具48が射出路31で詰まり、ドライバブレード23が下死点に到達する前に停止すると、作業者は工具100の先端をボス部97の溝に挿入し、工具100をねじ部材93の中心軸を中心として第1方向に回転させる。すると
、係合部材98は、ねじ部材93の雄ねじ軸95に沿って頭部96に近づく向きで移動する。そして、作業者は、
図36のように係合部材98が凸部99に接触した時点、あるいは、さらにドライバブレード23を少しだけ押し上げた位置で工具100を停止する。さらに、作業者は、詰まっている止具48を射出路31から除去する。
【0115】
止具48が射出路31から除去されると、ドライバブレード23を下死点に向けて移動させようと荷重は、凸部99及び係合部材98を介してねじ部材93に伝達される。ねじ部材93は中心線B1方向に移動不可能であるため、ドライバブレード23を下死点に向けて移動させようとする荷重は、スラストベアリング101を介してブレードガイド28で受け止められる。つまり、止具48が射出路31で詰まった場合に、ドライバブレード23が、射出部27に対して中心線B1方向で下死点に近づく向きに移動することを防止できる。
【0116】
作業者が止具48を除去した後、工具100を第2方向に手動で回転させると、ねじ部材93が回転し係合部材98は、ねじ部材93に対して中心線B1方向に移動する。係合部材98はボス部97に近づく向きで移動する。すると、凸部99と係合部材98とが接触した状態で、ドライバブレード23は下死点に向けて移動する。つまり、係合部材98は、ドライバブレード23の荷重を受けた状態で、ボス部97に近づく。そして、作業者は、ドライバブレード23が
図35のように下死点に到達した後、工具100を停止させ、工具100の先端をボス部97の溝から抜き出す。
【0117】
実施の形態6の具体例2を、
図37及び
図16を参照して説明する。ブレードガイド28に電動モータ102が設けられている。電動モータ102は電気回路を介してバッテリ47に接続される。電動モータ102は、回転軸103の回転方向を切り換え可能である。コントローラ83は、電動モータ102の回転軸103の回転及び停止、回転方向を制御する。作業者が操作する解除スイッチ104が設けられ、解除スイッチ104の信号はコントローラ83に入力される。
【0118】
回転軸103に第1傘歯車105が設けられ、頭部96に第2傘歯車106が設けられている。第1傘歯車105は第2傘歯車106と噛み合っている。
図37に示す打込機10の他の構成は、
図35及び
図36に示す打込機10の構成と同じである。
【0119】
図37に示す打込機10において、止具48が射出路31で詰まっておらず、ドライバブレード23が下死点に位置する場合、
図35と同様に、係合部材98と凸部99との間に隙間がある。また、電動モータ102は停止している。
【0120】
これに対して、コントローラ83は、止具48が射出路31で詰まっていると判断すると、電動モータ102を駆動し、回転軸103を例えば
図37で時計回りに回転させる。すると、ねじ部材93が回転し、係合部材98は、ねじ部材93の雄ねじ軸95に沿って頭部96に近づく向きで移動する。そして、コントローラ83は、
図37のように係合部材98が凸部99に接触した時点、あるいは、さらにドライバブレード23を少しだけ押し上げた位置で電動モータ102を停止する。さらに、作業者は、詰まっている止具48を射出路31から除去する。
【0121】
止具48が射出路31から除去されると、ドライバブレード23を下死点に向けて移動させようと荷重は、ねじ部材93及びスラストベアリング101を介してブレードガイド28で受け止められる。つまり、止具48が射出路31で詰まった場合に、ドライバブレード23が、射出部27に対して中心線B1方向で下死点に近づく向きに移動することを防止できる。
【0122】
作業者が止具48を除去した後、作業者が解除スイッチ104を操作すると、コントローラ83は電動モータ102を駆動し、回転軸103を
図37で反時計回りに回転する。すると、ねじ部材93が回転し係合部材98は、ねじ部材93に対して中心線B1方向に移動する。すると、凸部99と係合部材98とが接触した状態で、ドライバブレード23は下死点に向けて移動する。つまり、係合部材98は、ドライバブレード23の荷重を受けた状態で、ボス部97に近づく。そして、コントローラ83は、ドライバブレード23が下死点に到達した後、電動モータ102を停止する。
【0123】
なお、具体例2において、打込機10に
図16に示す手動スイッチ107を設け、手動スイッチ107の信号をコントローラ83に入力する構成としてもよい。そして、止具48が詰まった場合に、作業者が手動スイッチ107を操作して電動モータ102を駆動し、回転軸103を
図37で時計方向に回転することができる。
【0124】
打込機の実施の形態6の具体例3を、
図38及び
図39を参照して説明する。
図38及び
図39に示す打込機10は、ブレードガイド28においてプッシュロッド32の配置箇所にガイド部材94が設けられている。ガイド部材94は雌ねじ孔108を有する。雌ねじ孔108の中心線は中心線B1と平行である。ドライバブレード23においてラック42が設けられている側縁と同じ側縁に凸部99が設けられている。凸部99はラック42とドライバブレード23の先端との間に配置されている。
【0125】
ガイド部材94に対して着脱可能な工具109が設けられている。工具109は雄ねじ部110を有し、雄ねじ部110を雌ねじ孔108に挿入し、かつ、雌ねじ孔108に対して回転可能である。
図38及び
図39に示すその他の構成は、
図35に示す構成と同じである。
【0126】
止具48が射出路31で詰まっておらず、ドライバブレード23が下死点に位置する場合、
図38のようにガイド部材94と凸部99との間に隙間がある。
【0127】
そして、止具48が射出路31で詰まり、
図39のように、ドライバブレード23が下死点に到達する前に停止すると、作業者は工具109の先端をガイド部材94の雌ねじ孔108に挿入し、工具109を手動操作または電動工具で第1方向に回転させる。すると、工具109が回転し、工具109は中心線B1方向で回転要素38に近づく向きで移動する。そして、作業者は、
図39のように工具109の先端が凸部99に接触した時点、あるいは、さらにドライバブレード23を押し上げた位置で工具109を停止する。さらに、作業者は、詰まっている止具48を射出路31から除去する。
【0128】
止具48が射出路31から除去されると、ドライバブレード23を下死点に向けて移動させようと荷重は、工具109及びガイド部材94を介してブレードガイド28に伝達される。工具109は中心線B1方向に移動不可能であるため、ドライバブレード23を下死点に向けて移動させようとする荷重は、ブレードガイド28で受け止められる。つまり、止具48が射出路31で詰まった場合に、ドライバブレード23が、射出部27に対して中心線B1方向で下死点に近づく向きに移動することを防止できる。
【0129】
作業者が止具48を除去した後、工具109を第2方向に回転させると、工具109は回転要素38から離れるように中心線B1方向に移動する。すると、凸部99と工具109の先端とが接触した状態で、ドライバブレード23は下死点に向けて移動する。そして、作業者は、ドライバブレード23が
図39のように下死点に到達した後、工具109をガイド部材94の雌ねじ孔108から抜き取る。
【0130】
打込機の実施の形態6の具体例4を、
図40を参照して説明する。ブレードガイド28は、2つの取り付け溝111を有する。また、ブレードガイド28に対して着脱可能な支持機構112が設けられている。支持機構112は、支持枠113と、支持枠113に取り付けられるねじ部材114と、を有する。ねじ部材114は雄ねじ軸115を有する。
【0131】
支持枠113は、基部116と、基部116から互いに平行に延ばされた2本の腕部117と、2本の腕部117にそれぞれ設けた係合部118と、を有する。基部116は雌ねじ孔119を有する。
図40に示すその他の構成は、
図38に示す構成と同じである。
【0132】
止具48が射出路31で詰まっていない場合、支持機構112はブレードガイド28に取り付けられない。これに対して、止具48が射出路31で詰まり、
図40のように、ドライバブレード23が下死点に到達する前に停止すると、作業者は、2つの係合部118を、取り付け溝111にそれぞれ差し込むと、2つの係合部118がブレードガイド28に係合され、支持枠113がブレードガイド28に取り付けられる。
【0133】
そして、雄ねじ軸115を雌ねじ孔119に挿入してねじ部材114を第1方向に回転すると、ねじ部材114は支持枠113に対して移動し、かつ、中心線B1方向で回転要素38に近づく向きで移動する。作業者は、
図40のように雄ねじ軸115の先端が凸部99に接触した時点、あるいは、さらにドライバブレード23を押し上げた位置でねじ部材114を停止する。さらに、作業者は、詰まっている止具48を射出路31から除去する。
【0134】
止具48が射出路31から除去されると、ドライバブレード23を下死点に向けて移動させようと荷重は、ねじ部材114及び支持枠113を介してブレードガイド28に伝達される。支持枠113は、ブレードガイド28に対して中心線B1方向に移動しないため、ドライバブレード23を下死点に向けて移動させようとする荷重は、ブレードガイド28で受け止められる。つまり、止具48が射出路31で詰まった場合に、ドライバブレード23が、射出部27に対して中心線B1方向で下死点に近づく向きに移動することを防止できる。
【0135】
作業者が止具48を除去した後、2つの係合部118を取り付け溝111から抜き出し、支持機構112をブレードガイド28から取り外す。
【0136】
打込機10の実施形態6では、止具48が射出路31で詰まった場合に、電動モータ43の回転力を用いずに、ドライバブレード23を支持することができる。また、ねじ部材を用いてドライバブレード23を支持するため、ドライバブレード23が中心線B1方向でどの位置で停止しても、支持機構で支持可能である。また、止具48を除去した後は、ねじ部材を回転させることでねじ部材を無段階で移動できる。したがって、ドライバブレード23が下死点に向けて高速で移動することを防止できる。
【0137】
打込機は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、打込機は、ベローズ内に形成した空気圧室と、ベローズの端部に固定されたピストンと、ピストンを動作可能に支持するガイド部材と、を有する打込機であってもよい。さらに、打込機は、バネの弾性力でピストンを動作させる構造でもよい。バネは、金属製の圧縮バネを含む。バネは、打撃要素に相当する。なお、ガイド部材は、シリンダの他、直線状のレールでもよい。ピストンをバンパから離れる向きで移動させる動作機構は、ラックアンドピニオン機構の他、プーリとワイヤーを含む。つまり、動作機構は、ワイヤーの牽引力でピストンを動作させる構造を含む。さらに、打込機は、コンプレッサで生成した圧縮空気を、エアホースを経由させて空気圧室に供給する打込機を含む。
【0138】
さらに、実施形態で説明した電動モータは、直流電源としての電池を動力源とする直流モータと、交流電源を使用する交流モータと、を含む。さらに、モータは、電動モータに替えて、油圧モータ、空気圧モータ、内燃機関の何れかを用いてもよい。また、打撃子は、第1中心線に対して垂直な平面視で、外周形状が四角形、長方形、正方形、円形等の何れでもよい。打撃子は、軸形状、ブレード形状等の何れでもよい。止具は、軸形状の釘の他、コ字形の止具を含む。止具が打ち込まれる被打込部材は、木材、石膏ボード等の何れでもよい。
【0139】
さらに、第1構成部材及び第2構成部材は、第1中心線に対して垂直な平面視で互いに重ねて配置される他、交差する平面視であれば、第1中心線に対して垂直な平面視でなくてもよい。打撃子は、シリンダの中心軸である第1中心線が打撃子の中心に位置する構成の他、第1中心線が、打撃子の中心から外れた位置にある構成を含む。つまり、打撃子は、第1中心線と平行に移動可能であればよく、第1中心線に対して交差する平面視で、打撃子の中心と、第1中心線とが離れた位置に設けられていてもよい。
【0140】
なお、本明細書では、ロックレバーを手動で動かすことでカムプレート59を動かす打込機を説明しているが、打込機は、第1変更例を含む。打込機の第1変更例は、打込機のコントローラが、打撃子としてのドライバブレード23が、下死点まで移動しなかった場合に釘が詰まったと判断する。さらに、打込機の第1変更例は、カムプレート59を、アクチュエータにより自動的に移動させることができる。アクチュエータは、モータを含み、コントローラは、モータを制御する。そして、打込機の第1変更例は、コントローラが釘が詰まったと判断すると、カムプレート59をモータを使って動かし、自動的にドライバブレード23の動きを規制する。
【0141】
さらに、打込機は、第2変更例を含む。打込機の第2変更例は、移動機構、例えば、ソレノイドまたはバネによりカムプレート59を動かして、打撃子としてのドライバブレード23の動きを規制する構成である。打込機は、第3変更例を含む。打込機の第3変更例は、ソレノイドまたはバネまたは固定ねじを係合部材として用い、その係合部材を、直接、打撃子としてのドライバブレード23に係合させ、ドライバブレード23の動きを規制する構造である。
【0142】
打込機において、係合部材の少なくとも一部を、第1構成部材と、打撃子としてのドライバブレード23との間に配置することで、打撃子を取り外さない限り、係合部材を取り外すことができないように構成しても良い。
【0143】
打込機に用いるモータは、電動モータ、油圧モータ、空気圧モータ、エンジンを含む。エンジンの回転方向を第1方向と第2方向に切り替える制御は、エンジンと回転要素との間に、回転要素の方向を正逆に切り替える機構を設けることで対処し、エンジン自体の回転方向は同じでよい。電動モータは、ブラシ付きモータまたはブレラシレスモータの何れでもよい。