特許第6485578号(P6485578)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6485578
(24)【登録日】2019年3月1日
(45)【発行日】2019年3月20日
(54)【発明の名称】接続モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/20 20060101AFI20190311BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20190311BHJP
   H01M 2/34 20060101ALI20190311BHJP
【FI】
   H01M2/20 A
   H01M2/10 M
   H01M2/34 B
   H01M2/20 Z
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-98637(P2018-98637)
(22)【出願日】2018年5月23日
【審査請求日】2018年6月12日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福島 直樹
(72)【発明者】
【氏名】中山 治
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 克司
(72)【発明者】
【氏名】藤田 哲也
【審査官】 渡部 朋也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−164591(JP,A)
【文献】 特開2014−232656(JP,A)
【文献】 特開2016−051641(JP,A)
【文献】 特開2012−256538(JP,A)
【文献】 特開2015−210912(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/20
H01M 2/10
H01M 2/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電素子が複数個並べられた蓄電素子群に取り付けられる接続モジュールであって、
隣り合う前記蓄電素子同士を接続する複数のバスバと、
前記バスバもしくは前記蓄電素子の情報を伝送する複数の電線が束ねられた電線束と、
複数の前記バスバを保持する絶縁プロテクタとを備え、
前記絶縁プロテクタは、前記バスバをそれぞれ絶縁するプロテクタ本体と、前記プロテクタ本体において前記電線が引き出される位置に設けられた電線固定部とを有し、
前記電線固定部は、前記プロテクタ本体の端部から前記電線束が引き出される方向に延出され、前記電線束が固定される延出部と、
前記延出部と前記プロテクタ本体とに連なって設けられた補強部とを有し、
前記補強部は、前記延出部の延出端部に連なっている接続モジュール。
【請求項2】
前記補強部は、前記延出部の延出端から分岐するように前記延出部の両側に一対設けられている請求項1に記載の接続モジュール。
【請求項3】
前記電線固定部は、前記補強部のうち一方の前記補強部である第1補強部と前記プロテクタ本体と前記延出部とによって構成される第1挿通孔と、前記補強部のうち前記第1補強部とは異なる第2補強部と前記プロテクタ本体と前記延出部とによって構成される第2挿通孔とを有しており、
前記電線束は、前記第1挿通孔と前記第2挿通孔に挿通された帯状の結束部材を巻き付けて前記延出部に固定されるようになっており、
前記第1挿通孔は、前記第1補強部を、前記第2補強部よりも前記延出部から離れた位置に配することにより、前記第2挿通孔よりも大きく構成されている請求項に記載の接続モジュール。
【請求項4】
前記第1挿通孔と前記第2挿通孔とは、互いにもう一方の挿通孔に臨むように直線上に配置されている請求項に記載の接続モジュール。
【請求項5】
前記第1補強部における前記第1挿通孔を構成する端縁部と第2補強部における前記第2挿通孔を構成する端縁部とを直線的に結ぶ仮想直線と、前記延出部との間の隙間寸法は、前記結束部材の板厚寸法よりも大きく設定されている請求項または請求項に記載の接続モジュール。
【請求項6】
前記プロテクタ本体は、前記電線が内部に配索される溝状の配線路と、前記バスバを個別に収容し、前記配線路の両側に隣接して設けられた複数のバスバ保持部とを有しており、
一対の前記補強部のうちの一方が、前記配線路の一側方に配された前記バスバ保持部の外壁に連なって形成されており、
一対の前記補強部のうちの他方が、前記配線路の一側方とは異なる他側方に配されたバスバ保持部の外壁に連なっている請求項1から請求項のいずれか一項に記載の接続モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、接続モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、複数の電池からなる電池集合体に取り付けられるバスバモジュールとして、特開2014−216270号公報(下記特許文献1)が知られている。このバスバモジュールは、バスバの電圧検出や温度検出用の複数の電線を束ねた電線束を有しており、この電線束は、電線束を収容する収容部材に設けられた電線引出部に固定されて外部に引き出されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−216270公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記の電線固定部は、収容部材の端部から電線の引き出し方向に延出された片持ち状となっている。このため、引き出された電線に外力が作用すると、電線固定部が撓み変形するなどして破損する虞がある。また、上記の電線固定部には、結束バンドを巻き付けるための切欠または孔が設けられており、電線固定部の剛性がさらに低下する構成となっている。
【0005】
本明細書では、電線を固定する部分の強度を確保する技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書によって開示される技術は、蓄電素子が複数個並べられた蓄電素子群に取り付けられる接続モジュールであって、隣り合う前記蓄電素子同士を接続する複数のバスバと、前記バスバもしくは前記蓄電素子の情報を伝送する複数の電線が束ねられた電線束と、複数の前記バスバを保持する絶縁プロテクタとを備え、前記絶縁プロテクタは、前記バスバをそれぞれ絶縁するプロテクタ本体と、前記プロテクタ本体において前記電線が引き出される位置に設けられた電線固定部とを有し、前記電線固定部は、前記プロテクタ本体の端部から前記電線束が引き出される方向に延出され、前記電線束が固定される延出部と、前記延出部と前記プロテクタ本体とに連なって設けられた補強部とを有する構成とした。
【0007】
このような構成の接続モジュールによると、電線束が固定される延出部がプロテクタ本体と連なる補強部によって補強することができる。これにより、電線を固定する延出部の強度を確保することができる。
【0008】
本明細書によって開示される接続モジュールは、以下の構成としてもよい。
前記補強部は、前記延出部の延出端部に連なっている構成としてもよい。
例えば、補強部が延出部の途中位置に連なって設けられている場合、延出部の延出端に他の部材が引っ掛かるなどして延出部に外力が作用することが懸念される。ところが、このような構成によると、延出部に他の部材が引っ掛かることを抑制することができる。つまり、延出部に外力が作用することを抑制することができる。
【0009】
前記補強部は、前記延出部の延出端から分岐するように前記延出部の両側に一対設けられている構成としてもよい。
このような構成によると、補強部が延出部の延出端から分岐するように延出部の両側に一対設けられているから、例えば、補強部が1つ設けられている場合や補強部が延出部の一側に偏って設けられている場合に比べて、他の部材が延出部に接触することを両側から防ぎつつ、延出部の強度を向上させることができる。
【0010】
前記電線固定部は、前記補強部のうち一方の前記補強部である第1補強部と前記プロテクタ本体と前記延出部とによって構成される第1挿通孔と、前記補強部のうち前記第1補強部とは異なる第2補強部と前記プロテクタ本体と前記延出部とによって構成される第2挿通孔とを有しており、前記電線束は、前記第1挿通孔と前記第2挿通孔に挿通された帯状の結束部材を巻き付けて前記延出部に固定されるようになっており、前記第1挿通孔は、前記第1補強部を、前記第2補強部よりも前記延出部から離れた位置に配することにより、前記第2挿通孔よりも大きく構成されている構成としてもよい。
【0011】
このような構成によると、電線束および延出部に対して結束部材を巻き付けて固定する際に、結束部材を第1挿通孔に対して挿入し易くすることができる。これにより、例えば、第1挿通孔が第2挿通孔と同一、もしくは第2挿通孔よりも小さく構成されている場合に比べて、電線束を延出部に固定する固定作業を円滑かつ容易に効率よく行うことができる。
【0012】
前記第1挿通孔と前記第2挿通孔とは、互いにもう一方の挿通孔に臨むように直線上に配置されている構成としてもよい。
このような構成によると、第1挿通孔から第2挿通孔に向けて帯状の結束部材を挿通し易くすることができる。これにより、電線束を延出部に固定する固定作業を円滑に効率よく行うことができる。
【0013】
前記第1補強部における前記第1挿通孔を構成する端縁部と第2補強部における前記第2挿通孔を構成する端縁部とを直線的に結ぶ仮想直線と、前記延出部との間の隙間寸法は、前記結束部材の板厚寸法よりも大きく設定されている構成としてもよい。
【0014】
このような構成によると、第1補強部の端縁部と第2補強部の端縁部とに沿わせるように結束部材を第1挿通孔から第2挿通孔に向けて挿入することで両挿通孔に結束部材を挿通することができる。つまり、第1補強部の端縁部と第2補強部の端縁部とを結束部材のガイドとして利用できるから、電線束を延出部に固定する固定作業を円滑に効率よく行うことができる。
【0015】
前記プロテクタ本体は、前記電線が内部に配索される溝状の配線路と、前記バスバを個別に収容し、前記配線路の両側に隣接して設けられた複数のバスバ保持部とを有しており、一対の前記補強部のうちの一方が、前記配線路の一側方に配された前記バスバ保持部の外壁に連なって形成されており、一対の前記補強部のうちの他方が、前記配線路の一側方とは異なる他側方に配されたバスバ保持部の外壁に連なっている構成としてもよい。
【0016】
プロテクタ本体は、溝状の配線路を挟んでバスバ保持部が設けられているため、配線路を支点にバスバ保持部が互いに近づくようにして変形することが懸念される。ところが、一方の補強部が一側方のバスバ保持部の外壁に連なっており、他方の補強部が他側方のバスバ保持部の外壁に連なって形成されている。つまり、プロテクタ本体の端部において、プロテクタ本体の剛性を向上させることができ、
配線路を支点にバスバ保持部が互いに近づくようにしてプロテクタ本体が変形することを抑制することができる。
【発明の効果】
【0017】
本明細書によって開示される技術によれば、電線を固定する部分の強度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】蓄電モジュールの平面図
図2】蓄電モジュールの正面図
図3】第1プロテクタに第2プロテクタを組み付ける前の状態を示す正面図
図4】第1プロテクタの平面図
図5】電線固定部を斜め上から見た拡大斜視図
図6】電線固定部の拡大正面図
図7】電線固定部の拡大平面図
図8図7のA−A線断面図
図9】電線束を延出部に結束部材によって固定した状態を示す拡大斜視図
図10】電線束を延出部に結束部材によって固定した状態を示す拡大正面図
図11】電線束を延出部に結束部材によって固定した状態を示す拡大平面図
図12図11のB−B線断面図
図13図11のC−C線断面図
図14図11のD−D線断面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態>
本明細書に開示された技術における一実施形態について図1から図14を参照して説明する。
本実施形態は、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車等の車両に搭載されて、車両を駆動するための動力源として使用される蓄電モジュール10であって、図1から図3に示すように、蓄電素子71を複数並べて構成される蓄電素子群70と、この蓄電素子群70に取り付けられる接続モジュール20とを備えて構成されている。
【0020】
各蓄電素子71は、例えば、二次電池であって、図1に示すように、複数個(本実施形態では5個)の蓄電素子71が平面視略矩形状のフレーム75内に収容されることで蓄電素子群70が構成されている。
【0021】
各蓄電素子71の上面における左右方向の両端部寄りの位置には、図示しない一対の扁平な電極端子が配置されている。電極端子のうちの一方は正極端子とされ、他方は負極端子とされている。蓄電素子71は、前後に隣り合う2つの蓄電素子71において、異なる極性の電極端子が互いに隣り合うように(つまり、1つの蓄電素子71の正極端子と、これと隣接する他の蓄電素子71の負極端子とが互いに隣り合うように)前後方向に一列に並べられた状態でフレーム75内に収容されている。
【0022】
各蓄電素子71の上部における一対の電極端子の間には、接続モジュール20に設けられた一対の係止部20Aが嵌合する被係止部77が設けられている。一対の係止部20Aが被係止部77に嵌合し、一対の係止部20Aと被係止部77とが上下方向に係止することで、接続モジュール20が蓄電素子群70上に保持固定されるようになっている。
【0023】
接続モジュール20は、図1に示すように、前後に隣り合う蓄電素子71の正極端子と負極端子とを接続する複数のバスバ21と、蓄電素子群70の蓄電素子71の並び方向の前後両端に位置する一方の電極端子に接続される端部バスバ25と、端部バスバ25に接続されると共に、図示しない外部機器が接続される一対の外部接続バスバ30と、バスバ21と端部バスバ25と外部接続バスバ30とを互いに絶縁して保持する絶縁プロテクタ40とを備えて構成されている。
【0024】
バスバ21は、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼(SUS)などの導電性に優れた金属板や、アルミニウム板と銅板とを貼り合せた金属板などをプレス加工するなどして左右方向に僅かに長い略矩形状の平板状に形成されている(図4を参照)。
【0025】
バスバ21は、図1に示すように、前後に隣り合う蓄電素子71の電極端子に跨がるように隣り合う蓄電素子71上に載置される大きさとされており、バスバ21の前後方向両端部とそれぞれの電極端子とが溶接などによって電気的に接続されることで隣り合う蓄電素子71が直列接続されるようになっている。なお、本実施形態では、隣り合う蓄電素子71において異なる極性の電極端子を互いに隣り合うように配置することで、隣り合う蓄電素子71を直列接続している。しかしながら、蓄電素子群70における一部の隣り合う蓄電素子71において、同一極性の電極端子を互いに隣り合うように配置することで、蓄電素子群70の一部の隣り合う蓄電素子71を並列接続してもよい。
【0026】
端部バスバ25は、例えば銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼(SUS)などの導電性に優れた金属板などをプレス加工するなどして左右方向に細長い略矩形状の平板状に形成されており、図1および図4に示すように、前後方向の長さ寸法は、バスバ21の約半分とされている。本実施形態では、端部バスバ25は、後端部左側と前端部右側とに配置されており、後端部左側に配された端部バスバ25は、最後部に配された蓄電素子71の負極端子に接続される負極端部バスバ25Nとされ、前端部右側に配された端部バスバ25は、最前部に配された蓄電素子71の正極端子に接続される正極端部バスバ25Pとされている。
【0027】
一対の外部接続バスバ30は、例えば銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼(SUS)などの導電性に優れた金属板などをプレス加工するなどして形成されている。
【0028】
一対の外部接続バスバ30のうちの一方は、前後方向に短尺な正極外部接続バスバ31とされ、一対の外部接続バスバ30のうちの他方は前後方向に長尺な負極外部接続バスバ35とされている。
【0029】
正極外部接続バスバ31は、図1に示すように、蓄電素子群70の正極端部バスバ25Pの上面に溶接などによって電気的に接続される第1バスバ接続部31Aと、外部機器の図示しない正極端子にボルト締結される第1端子接続部31Cとを備えて構成されており、複数の蓄電素子71がバスバ21によって直列に接続されると、蓄電素子群70の正極の電力が正極端部バスバ25Pを通じて正極外部接続バスバ31に出力される。
【0030】
負極外部接続バスバ35は、蓄電素子群70の負極端部バスバ25Nの上面に溶接などによって電気的に接続される第2バスバ接続部35Aと、外部機器に設けられた図示しない負極端子にボルト締結される第2端子接続部35Cとを前後に長い長尺連結部35Bによって繋いだ形態とされており、複数の蓄電素子71がバスバ21によって直列に接続されると、蓄電素子群70の負極の電力が負極端部バスバ25Nを通じて負極外部接続バスバ35に出力される。
【0031】
絶縁プロテクタ40は、複数のバスバ21をそれぞれ保持する第1プロテクタ50と、一対の外部接続バスバ30を保持する第2プロテクタ60とを備えて構成されている。
第1プロテクタ50は、合成樹脂製の絶縁部材からなり、図1および図4に示すように、略矩形枠状のプロテクタ本体51を有している。プロテクタ本体51の内部は、隔壁52によって区切られることで複数のバスバ21を個別に保持するバスバ保持部55が設けられている。
【0032】
バスバ保持部55は、平面視略矩形状をなし、上下に開口すると共にバスバ21を内部に保持する。バスバ保持部55の上端開口は、バスバ21の外形とほぼ同じ略矩形状に形成されており、バスバ保持部55の底部に設けられた図示しない支持部によってバスバ21がバスバ保持部55内に保持されるようになっている。そして、それぞれのバスバ保持部55に保持されたバスバ21によって複数の蓄電素子71が直列に接続されるようになっている。
【0033】
プロテクタ本体51の左右方向略中央部には、前後に延びる幹線路53が設けられている。幹線路53は、下方に凹んだ溝状をなし、プロテクタ本体51の後壁51Rよりもやや前の位置からプロテクタ本体51の前壁51Fまで延びて形成されている。幹線路53には、隔壁52に設けられた凹状の支線路54が分岐する形態で設けられており、幹線路53と支線路54とは左右方向に連通している。
【0034】
支線路54内には、バスバ21の情報を伝送する検知用の電線Wがバスバ21に電気的に接続された状態で配索されている。一方、幹線路53内には、各支線路54内を配索された電線Wが引き出されており、幹線路53の前端部分では、複数の電線Wが束ねられた電線束W1が幹線路53の底部53A上に配索されている。
【0035】
また、バスバ保持部55は、幹線路53を基準に左右方向両側に同じ数ずつ(本実施形態では3つずつ)前後にずれて配置されており、幹線路53の底部53Aを介して幹線路53の一側方である左方に配された左側バスバ保持部55Lと、幹線路53の他側方である右方に配された右側バスバ保持部55Rとが左右に連結されている。したがって、バスバ保持部55の外壁55Aによって構成されるプロテクタ本体51の外壁51Aは、幹線路53が配された左右方向の中央部分における上下方向の厚み寸法が、左右両側に配置されたバスバ保持部55の厚み寸法よりも薄く構成されている。
【0036】
第2プロテクタ60は、合成樹脂製の絶縁部材からなり、図1に示すように、負極外部接続バスバ35の前端部と正極外部接続バスバ31とを保持する前部バスバ保持部62と、負極外部接続バスバ35の長尺連結部35Bを保持する中間バスバ保持部66と、中間バスバ保持部66から延びる一対の固定部68とを備えて構成されている。
【0037】
前部バスバ保持部62は、図1から図3に示すように、左右方向に長い形態をなしており、前部バスバ保持部62の両端部に設けられた一対の前側係止片62Aと第1プロテクタ50の図示しない被係止部とが上下方向に係止することで第2プロテクタ60が第1プロテクタ50に固定されるようになっている。
【0038】
前部バスバ保持部62の左右方向略中央部よりも左側には、図1に示すように、負極外部接続バスバ35の前端部が配置されており、前部バスバ保持部62の左右方向略中央部よりも右側には、正極外部接続バスバ31が保持されている。
【0039】
中間バスバ保持部66は、図1に示すように、前後方向に直線的に延びた形態をなし、負極外部接続バスバ35の長尺連結部35Bを下方から保持する形態とされている。
【0040】
一対の固定部68は、図1に示すように、中間バスバ保持部66の後部から左右方向に延びた形態をなしている。固定部68の延出端部は、第1プロテクタ50の図示しない被係止部と上下方向に係止可能とされており、固定部68の延出端部と被係止部とが係止することで、第2プロテクタ60が第1プロテクタ50に固定されるようになっている。
【0041】
さて、第1プロテクタ50は、幹線路53に配索された電線束W1を固定する電線固定部80を有している。
電線固定部80は、図9から図11に示すように、プロテクタ本体51の外壁51Aである前壁51Fから前方に引き出される電線束W1に沿うように前方に向かって延出する延出部82と、延出部82の延出端部に設けられた鈎部84から左右方向に2つに分岐するように連なって設けられた一対の補強部85とを備えて構成されている。
【0042】
延出部82は、図5図9および図14に示すように、プロテクタ本体51における幹線路53の底部53Aから前方に向かって延びる平板状の本体部83を有しており、延出部82の延出端部である本体部83の前端は、下方に向かって延びた平板状の鈎部84とされている。
【0043】
本体部83の上面は、プロテクタ本体51の前壁51Fから前方に引き出された電線束W1が載置可能とされている。本体部83の上面に電線束W1を載置して、帯状の結束部材Bを巻き付けて本体部83と電線束W1とを結束することにより、図9から図14に示すように、電線束W1が延出部82に固定されるようになっている。
【0044】
一対の補強部85は、図5および図6に示すように、延出部82の鈎部84における側縁に連なって形成されており、鈎部84の左側縁連なる第1補強部86と、鈎部84の右側縁に連なる第2補強部90とによって構成されている。
【0045】
第1補強部86は、図5および図7に示すように、鈎部84の左側縁における下端部から上下方向略中央部の位置に連なって形成された第1前壁87と、第1前壁87の左側端部からプロテクタ本体51まで真っ直ぐ延びる第1側壁88とを有している。
【0046】
第1前壁87は、鈎部84から左方に向かって真っ直ぐ延びる平板状に形成されており、第1側壁88は、プロテクタ本体51において幹線路53の左方(一側方)に配された左側バスバ保持部55Lの外壁55LWに連なるように第1前壁87と同じ高さ寸法の平板状に形成されている。
【0047】
したがって、図5および図7に示すように、第1補強部86は、延出部82の鈎部84とプロテクタ本体51の前壁51F(左側バスバ保持部55Lの外壁55LW)とに連なることで、第1補強部86と延出部82とプロテクタ本体51とによって第1挿通孔89を構成している。
【0048】
一方、第2補強部90は、鈎部84の右側縁のほぼ全体に連なって形成された第2前壁91と、第2前壁91の左側端部からプロテクタ本体51まで真っ直ぐ延びる第2側壁92とを有している。
【0049】
第2前壁91は、鈎部84から右方に向かって真っ直ぐ延びる平板状に形成されており、第2側壁92は、プロテクタ本体51において幹線路53の右方(他側方)に配された右側バスバ保持部55Rの外壁55RWに連なるように第2前壁91と同じ高さ寸法の平板状に形成されている。
【0050】
したがって、第2補強部90は、図6に示すように、延出部82の鈎部84およびプロテクタ本体51の前壁51Fに第1補強部86の約2倍の高さ寸法で連なることで、第2補強部90と延出部82とプロテクタ本体51とによって第2挿通孔93を構成している。
【0051】
つまり、第1挿通孔89は、第1補強部86が、第2補強部90の約半分の高さ寸法に形成されていることにより、第2挿通孔93に比べて大きく開口している。より詳細には、図8および図12に示すように、第1補強部86の第1前壁87および第1側壁88における上端部86Aが、第2補強部90の第2前壁91および第2側壁92における上端部90Aよりも延出部82の本体部83から下方に離れた位置に配されることで、第1挿通孔89は、第1補強部86と第2補強部90との高さ寸法の差分D1だけ第2挿通孔93に比べて大きく開口している。
【0052】
また、第1補強部86の第1側壁88における左側の上端側縁(第1補強部86における第1挿通孔89を構成する端縁部)88Lと、第2補強部90の第2側壁92における左側の上端側縁(第2補強部90における第2挿通孔93を構成する端縁部)92Lとを結ぶ仮想直線VLと、延出部82の本体部83との間の隙間寸法S1は、結束部材Bの板厚寸法L1よりも大きく設定されている。
【0053】
つまり、第1挿通孔89と第2挿通孔93とは、互いにもう一方の挿通孔に臨むように直線上に配置されており、第1補強部86の第1側壁88と、第2補強部90の第2側壁92とに沿わせるようにして結束部材Bを第1挿通孔89から第2挿通孔93に向けて挿通させることができるようになっている。
【0054】
また、本実施形態では、図7に示すように、幹線路53の端部に設けられた電線固定部80の第1補強部86が左側バスバ保持部55Lの外壁55LWに連なって形成されており、第2補強部90が右側バスバ保持部55Rの外壁55RWに連なって形成されているから、プロテクタ本体51における幹線路53の前側端部の剛性を向上させることができるようになっている。
【0055】
本実施形態は、以上のような構成であって、続いて、接続モジュール20における電線固定部80の作用および効果について説明する。
接続モジュール20の幹線路53から前方に引き出される電線束W1は、バスバ21の数が増えるほど、電線Wの本数が増えることになる。また、仮に、電線Wを固定する部分が片持ち状に構成されていると、引き出された電線束W1に外力が作用した場合には、電線束W1を固定する部分が撓み変形するなどして破損する虞がある。さらに、電線束W1を固定する部分に、切欠や孔が設けられている場合には、電線束W1を固定する部分の剛性がさらに低下してしまう。
【0056】
ところが、本実施形態によると、図5から図14に示すように、電線固定部80は、プロテクタ本体51の幹線路53が配された部分の端部から電線束W1が固定可能なように前方に向かって延出された延出部82と、延出部82の延出端部である鈎部84から分岐してプロテクタ本体51に連なるように形成された一対の補強部85とを有している。これにより、電線束W1が固定される延出部82を一対の補強部85によって補強することができ、延出部82の強度を確保することができるようになっている。
【0057】
また、例えば、補強部が延出部の途中位置に連なって設けられている場合、延出部の延出端に他の部材が引っ掛かるなどして延出部に外力が作用し易くなることが懸念される。ところが、本実施形態によると、一対の補強部85が延出部82の延出端部である鈎部84に設けられているから、延出部82に他の部材が引っ掛かることを抑制することができ、延出部82に不用意に外力が作用することを抑制することができる。
【0058】
さらに、本実施形態によると、一対の補強部85が延出部82の鈎部84から左右方向に2つに分岐するようにして延出部82の左右方向両側にそれぞれ設けられている。つまり、例えば、補強部が1つ設けられている場合や補強部が延出部の一側に偏って設けられている場合に比べて、他の部材が延出部82に接触することを両側から防ぎつつ、延出部82の強度を向上させることができる。
【0059】
ところで、延出部82の鈎部84とプロテクタ本体51とに連なるように一対の補強部85を構成した場合、電線束W1と延出部82とに結束部材Bを巻き付けて結束しようとすると、第1補強部86と延出部82とプロテクタ本体51とによって構成される第1挿通孔89と、第2補強部90と延出部82とプロテクタ本体51とによって構成される第2挿通孔93とに結束部材Bを挿通させる必要がある。
【0060】
ところが、本実施形態によると、図8図12に示すように、第1挿通孔89は、第1補強部86の第1前壁87および第1側壁88における上端部86Aが、第2補強部90の第2前壁91および第2側壁92における上端部90Aよりも延出部82の本体部83から下方に離れた位置に配されることで、第1補強部86と第2補強部90との高さ寸法の差分D1だけ第2挿通孔93に比べて大きく開口している。
【0061】
つまり、電線束W1および延出部82に結束部材Bを巻き付けて固定する際に、結束部材Bを第1挿通孔89に対して挿入し易くすることができる。これにより、例えば、第1挿通孔89が第2挿通孔93と同一、もしくは第2挿通孔93よりも小さく構成されている場合に比べて、電線束W1を延出部82に固定する固定作業を円滑かつ容易に効率よく行うことができる。
【0062】
また、本実施形態によると、第1補強部86の第1側壁88における左側の上端側縁88Lと、第2補強部90の第2側壁92における左側の上端側縁92Lとを結ぶ仮想直線VLと、延出部82の本体部83との間の隙間寸法S1は、結束部材Bの板厚寸法L1よりも大きく設定されている。
【0063】
つまり、第1挿通孔89と第2挿通孔93とは、互いにもう一方の挿通孔に臨むようにして直線上に配置されており、第1補強部86の第1側壁88における左側の上端側縁88Lと、第2補強部90の第2側壁92における左側の上端側縁92Lとに沿わせるようにして結束部材Bを第1挿通孔89から第2挿通孔93に向けて挿通させることができる。
【0064】
すなわち、第1補強部86の第1側壁88と、第2補強部90の第2側壁92とを、結束部材Bのガイドとして利用できるから、電線束W1を延出部82に固定する固定作業を円滑に効率よく行うことができる。
【0065】
さらに、本実施形態によると、バスバ保持部55の外壁55Aによって構成されるプロテクタ本体51の外壁51Aは、幹線路53が配された左右方向の中央部分における上下方向の厚み寸法が、左右両側に配置されたバスバ保持部55における外壁55Aの厚み寸法よりも薄く構成されているため、幹線路53を支点にバスバ保持部55が互いに近づくようにして変形することが懸念される。
【0066】
ところが、幹線路53の端部に設けられた電線固定部80の第1補強部86が左側バスバ保持部55Lの外壁55LWに連なって形成されており、第2補強部90が右側バスバ保持部55Rの外壁55RWに連なって形成されているから、プロテクタ本体51における幹線路53の前側端部の剛性を向上させることができ、幹線路53を支点にバスバ保持部55が互いに近づくようにプロテクタ本体51が変形することを抑制することができる。
【0067】
<他の実施形態>
本明細書で開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も含まれる。
【0068】
(1)上記実施形態では、左側に配された第1補強部86の高さ寸法が右側に配された第2補強部90の高さ寸法に比べて小さくなるように形成し、第1挿通孔89が第2挿通孔93よりも大きくなるように構成した。しかしながら、これに限らず、第2補強部の高さ寸法が第1補強部の高さ寸法に比べて小さくなるように形成して、第2挿通孔が第1挿通孔よりも大きくなるように構成してもよい。また、第1挿通孔および第2挿通孔に結束部材が挿通し易ければ、第1補強部と第2補強部との高さ寸法が同一であってもよい。
【0069】
(2)上記実施形態では、延出部82における本体部83の延出端部に下方に延びる鈎部84を設け、一対の補強部85が鈎部84に連なる構成とした。しかしながら、これに限らず、一対の補強部が延出部における本体部の端部に直接連なるに構成してもよい。また、延出部の延出端部に他の部材が引っ掛からない構成であれば、一対の補強部が延出部の途中位置に連なる構成であってもよい。
【0070】
(3)上記実施形態では、延出部82とプロテクタ本体51とに連なるように一対の補強部85が設けられた構成とした。しかしながら、これに限らず、延出部とプロテクタ本体とに連なる補強部は、1つや3つ以上であってもよく、延出部が保護壁などによって保護されていれば、補強部が一側方に偏って構成されていてもよい。
(4)上記実施形態では、バスバ21の情報を伝送する検知用の電線Wが電線固定部80に固定された構成とした。しかしながら、これに限らず、蓄電素子の温度の情報を伝送する検知用の電線が電線固定部に固定される構成としてもよい。
【符号の説明】
【0071】
20:接続モジュール
21:バスバ
40:絶縁プロテクタ
50:第1プロテクタ
51:プロテクタ本体
53:幹線路(「配線路」の一例)
55:バスバ保持部
55L:左側バスバ保持部(「一側方のバスバ保持部」の一例)
55LW:左側バスバ保持部の外壁(「一側方のバスバ保持部の外壁」の一例)
55R:右側バスバ保持部(「他側方のバスバ保持部」の一例)
55RW:右側バスバ保持部の外壁(「他側方のバスバ保持部の外壁」の一例)
70:蓄電素子群
71:蓄電素子
80:電線固定部
82:延出部
85:補強部
86:第1補強部
89:第1挿通孔
90:第2補強部
93:第2挿通孔
B:結束部材
VL:仮想直線
W:電線
W1:電線束
【要約】
【課題】電線を固定する部分の強度を確保する。
【解決手段】本明細書によって開示される接続モジュールは、蓄電素子71が複数個並べられた蓄電素子群70に取り付けられる接続モジュール20であって、隣り合う蓄電素子71の電極端子同士を接続する複数のバスバ21と、バスバ21もしくは蓄電素子71の情報を伝送する複数の電線Wが束ねられた電線束W1と、複数のバスバ21を保持する絶縁プロテクタ40とを備え、絶縁プロテクタ40は、バスバ21をそれぞれ絶縁するプロテクタ本体51と、プロテクタ本体51において電線Wが引き出される位置に設けられた電線固定部80とを有し、電線固定部80は、プロテクタ本体51の端部から電線束W1が引き出される方向に延出され、電線束W1が固定される延出部82と、延出部82とプロテクタ本体51とに連なって設けられた補強部85とを有する構成とした。
【選択図】図9
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14