(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
工事現場から生じた建設発生土、コンクリート殻、アスファルト殻、砕石および山土のうちの少なくとも一種で構成される基礎原料のうちの粒径が40mm以上の前記基礎原料を40mm未満の粒径に破砕する基礎原料破砕手段と、
前記基礎原料破砕手段によって破砕された後の前記基礎原料から河川から取水した水の浄化処理によって生じる浄水汚泥の含水比を100%以下まで乾燥させて土状に解した浄水土の粒径以下の粒径の前記基礎原料を除去する細粒成分除去手段と、
前記細粒成分除去工程を経た前記基礎原料に対して前記浄水土を同基礎原料の半分以下の割合で混合して混合土を生成する混合手段と、
前記混合土の含水比を25%以下に調整して埋め戻し材を得る含水比調整手段とを備えることを特徴とする埋め戻し材の製造システム。
【発明の概要】
【0006】
本発明は上記問題に対処するためなされたもので、その目的は、浄水汚泥の利用効率を高めることができる埋め戻し材の製造方法
および埋め戻し材製造システムを提供することにある。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の特徴は、河川から取水した水の浄化処理によって生じる浄水汚泥の含水比を100%以下まで乾燥させて浄水土を生成する浄水汚泥乾燥工程と、浄水土を土状に解す浄水土解し工程と、工事現場から生じた建設発生土、コンクリート殻、アスファルト殻、砕石および山土のうちの少なくとも一種で構成される基礎原料のうちの粒径が40mm以上の基礎原料を40mm未満の粒径に破砕する基礎原料破砕工程と、基礎原料破砕工程の
後に基礎原料から浄水土の粒径以下の粒径の基礎原料を除去する細粒成分除去工程と、細粒成分除去工程を経た基礎原料に対して浄水土を同基礎原料の半分以下の割合で混合して混合土を生成する混合工程と、混合土の含水比を25%以下に調整して埋め戻し材を得る含水比調整工程とを含むことにある。この場合、埋め戻し材は、基礎原料および浄水土のみで構成される場合だけでなく、基礎原料を主原料としていれば、浄水土以外の成分、例えば、生石灰などの改質剤を含んで構成される場合を含むものである。ここで、主原料とは、埋め戻し材を構成する材料のうち、基礎原料が占める割合が最も高いことを意味する。
【0008】
このように構成した本発明の特徴によれば、埋め戻し材の製造方法は、建設発生土、コンクリート殻、アスファルト殻、砕石および山土のうちの少なくとも一種で構成される基礎原料から浄水土の粒径以下の粒径の細粒成分を除去しているため、この細粒成分の欠けた基礎原料に浄水土を混合することにより浄水土の利用量を増加させることができる。また、基礎原料から選別した前記細粒成分は、細粒成分を主成分とした良質な埋め戻し材、例えば、管用の埋め戻し材として利用することができる。この場合、浄水土を前記管用の埋め戻し材として利用すると雨水が浸み込むことで泥化するため浄水土を主成分とする前記管用の埋め戻し材としては不向きである。
【0009】
なお、浄水土の埋め戻し材に占める割合は、基礎原料を建設発生土とした場合、40%以下が好適である。また、埋め戻し材は、基礎原料を90%以下、浄水土を50%以下および生石灰を5%以下の各割合で混合して生成することができる。また、浄水汚泥の含水比は、好ましくは70%以下、より好ましく50%以下に調整するとよい。また、混合土の含水比は、5%以上かつ20%以下に調整することが好ましい。また、コンクリート殻とはコンクリート製の構造物を解体した際に生じるコンクリート廃材のことであり、アスファルト殻とは、アスファルト製の構造物を解体した際に生じるアスファルト廃材のことである。また、本明細書では、「粒径」の語を用いているが基礎原料や浄水土を構成する粒状物は球形に限定されるものではなく、表面が凸凹な異形形状を含むことは当然である。また、浄水土の粒度は、取水地ごとに相違があるものの概ね0.01mm〜1.0mm程度の大きさである。
【0010】
また、本発明の他の特徴は、前記埋め戻し材の製造方法において、混合工程は、基礎原料破砕工程を経た基礎原料に対して行なわれることにある。
【0011】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、埋め戻し材の製造方法においては、粒径が40mm以上の基礎原料を破砕して小粒化した後に浄水土を混合しているため、粒径が大きな基礎原料、すなわち、粒径が40mm以上の基礎原料の表面に浄水土が付着して団子化することによる埋め戻し材の粒度および強度の調整不良を抑制することができるとともに、機械装置の目詰まりの抑制や目詰まりによるメンテナンス負担を軽減することができる。
【0012】
また、本発明の他の特徴は、前記埋め戻し材の製造方法において、基礎原料破砕工程は、粒径が40mm以上の基礎原料の一部を破砕して粒径を20mm未満に調整し、混合工程は、粒径が20mm以上かつ40mm未満の基礎原料と粒径が20mm未満の基礎原料とを混合した含小径混合土に浄水土を混合して混合土を生成することにある。
【0013】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、埋め戻し材の製造方法においては、粒径が40mmを超える建設発生土を破砕して粒径を20mm以下に調整するため、基礎原料の表面に浄水土が付着する団子化やその団子が巨大化する成長の規模が小さくなるため、埋め戻し材の粒度および強度の調整不良や機械装置の目詰まりをより効果的に抑制することができるとともに機械装置のメンテナンス負担もより効果的に軽減することができる。
【0014】
また、本発明の他の特徴は、前記埋め戻し材の製造方法において、細粒成分除去工程は、基礎原料破砕工程の後に行うことにある。
【0015】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、埋め戻し材の製造方法においては、基礎原料破砕工程の後の基礎原料から浄水土の粒径以下の粒径の細粒成分を除去しているため、基礎原料破砕工程で生じた細粒分を含めて除去することができ浄水土の利用量をより増加させることができる。
【0016】
また、本発明の他の特徴は、前記埋め戻し材の製造方法において、細粒成分除去工程は、最も大きな粒径として5.0mmの粒径の基礎原料を通すことができる網目のふるい(篩)を用いることにある。
【0017】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、埋め戻し材の製造方法は、細粒成分除去工程においてふるい分けできる粒径の最大が5.0mmの網目のふるい(篩)を用いるため、本発明者の実験結果によれば篩の目詰まりを抑制しながら効率的に基礎原料から浄水土と同じ粒径成分を除去することができる。この場合、ふるい分けできる粒径の最大が5.0mmの網目のふるいを用いて得た基礎原料は、粒径が浄水土の粒径以上で5.0mm以下の粒径成分が不足するため、この不足が問題となる場合には、細粒成分除去工程を経た基礎原料に細粒成分除去工程を行っていない基礎原料を混合することで粒径が浄水土の粒径以上で5.0mm以下の粒径成分を補うことができる。
【0018】
また、本発明は、埋め戻し材の製造方法の発明として実施できるばかりでなく、埋め戻し材製造システムの発明としても実施できるものである。
【0019】
具体的には、工事現場から生じた建設発生土、コンクリート殻、アスファルト殻、砕石および山土のうちの少なくとも一種で構成される基礎原料のうちの粒径が40mm以上の前記基礎原料を40mm未満の粒径に破砕する基礎原料破砕手段と、基礎原料破砕手段によって破砕され
た後の基礎原料から河川から取水した水の浄化処理によって生じる浄水汚泥の含水比を100%以下まで乾燥させて土状に解した浄水土の粒径以下の粒径の基礎原料を除去する細粒成分除去手段と、細粒成分除去工程を経た基礎原料に対して浄水土を同基礎原料の半分以下の割合で混合して混合土を生成する混合手段と、混合土の含水比を25%以下に調整して埋め戻し材を得る含水比調整手段とを備えるようにする。これによっても、前記埋め戻し材の製造方法と同様の作用効果を期待することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る埋め戻し材の製造方法の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1〜
図3は、本発明に係る埋め戻し材の製造方法に使用する埋め戻し材の製造システム100(以下、「埋め戻し材製造システム100」という)の構成の概略を前段、中段および後段にそれぞれ分けて示すブロック図である。この埋め戻し材製造システム100は、建設発生土からなる基礎原料M1と浄水汚泥を乾燥させた浄水土M2とを用いて埋め戻し材FPを生成する機械装置群からなる生産設備である。
【0022】
(埋め戻し材製造システム100の構成)
この埋め戻し材製造システム100は、グリズリフィーダ101を備えている。グリズリフィーダ101は、埋め戻し材FPの主たる原料である基礎原料M1を受け入れて所定の大きさ以下の基礎原料M1(土や石)のみを第1原料ホッパ102に搬送するとともに所定の大きさを超える基礎原料M1(土や石以外の異物)を分別して排出する機械装置である。本実施形態においては、グリズリフィーダ101は、大きさが180mm以下の基礎原料M1のみを第1原料ホッパ102に搬送する。ここで、基礎原料M1は、建設工事や土木工事において工事現場における地面の掘削によって生じる建設発生土(「掘削土」や「建設残土」ともいう)である。この建設発生土には、土の他、土や石以外の物質、例えば、木(根も含む)、金属(鉄片など)、樹脂片、コンクリート片など土中、またはその近傍に存在している物を広く含んでいる。
【0023】
第1原料ホッパ102は、グリズリフィーダ101を介して供給される基礎原料M1を一時的に貯留する振動機能を有した容器である。この第1原料ホッパ102の下流側には、ベルトフィーダ103を介して手選別コンベア104が設けられている。ベルトフィーダ103は、第1原料ホッパ102に貯留されている基礎原料M1を手選別コンベア104に搬送する機械装置である。手選別コンベア104は、基礎原料M1を搬送しながら人手によって基礎原料M1内から異物を除去させるための機械装置である。この場合、異物とは、埋め戻し材FPの主成分となる土や石以外の構成成分として不適な物質であり、例えば、木(根など)、動物の死骸、岩または人工的なゴミや廃棄物で(コンクリート片、樹脂製、金属製、布製または紙製の板状、棒状、塊状、袋状、箱状、シート状またはこれらを組み合わせたもの)などがある。この手選別コンベア104の下流側には、ベルトコンベア105を介して振動ふるい機106が設けられている。
【0024】
ベルトコンベア105は、手選別コンベア104から搬送される基礎原料M1を第1振動ふるい機106に搬送する機械装置である。第1振動ふるい機106は、ふるい(篩)を振動させることによって基礎原料M1を粒度に応じて分別する機械装置である。本実施形態においては、第1振動ふるい機106は、基礎原料M1を粒径が40mm未満、40mm以上かつ110mm未満、および110mm以上かつ180mm以下の3つの大きさで分別する。第1振動ふるい機106の下流側には、前記3つの粒径の範囲にそれぞれ対応してベルトコンベア110、ベルトコンベア120およびジョークラッシャ130がそれぞれ設けられている。
【0025】
ベルトコンベア110は、第1振動ふるい機106によってふるい分けられた粒径が40mm未満の基礎原料M1(主に、土)を中間ホッパ111に搬送する機械装置である。中間ホッパ111は、第1振動ふるい機106によってふるい分けられた粒径が40mm未満の基礎原料M1を一時的に貯留する振動機能を有した容器である。この中間ホッパ111の下流側には、ベルトフィーダ112およびベルトスケール113をそれぞれ介してベルトコンベア140が設けられている。
【0026】
ベルトフィーダ112は、中間ホッパ111に貯留されている基礎原料M1をベルトスケール113に搬送する機械装置である。ベルトスケール113は、ベルトフィーダ112によって搬送された基礎原料M1を計量しながらベルトコンベア140に搬送する機械装置である。このベルトスケール113による基礎原料M1の計量データは、ベルトフィーダ112による基礎原料M1の搬送量の制御に用いられる。
【0027】
ベルトコンベア120は、第1振動ふるい機106によってふるい分けられた粒径が40mm〜110mm未満の基礎原料M1(主に、小石)を磁選機121を介してインペラブレーカ122に搬送する機械装置である。磁選機121は、ベルトコンベア120によって搬送される基礎原料M1内から磁性を有する金属を除去するための機械装置である。また、インペラブレーカ122は、ベルトコンベア120によって搬送される粒径が40mm〜110mm以下の基礎原料M1を破砕する機械装置である。
【0028】
なお、この場合、インペラブレーカ122は、基礎原料M1を破砕する際にその一部が浄水土M2の粒径以下の大きさに破砕されることがあることを含むことは当然である。このインペラブレーカ122は、本発明に係る基礎原料破砕手段を構成する。インペラブレーカ122の下流側には、ベルトコンベア123を介して第2振動ふるい機124が設けられている。
【0029】
第2振動ふるい機124は、ふるい(篩)を振動させることによって基礎原料M1を粒度に応じて分別する機械装置である。本実施形態においては、第2振動ふるい機124は、基礎原料M1を20mm未満の粒径と20mm以上の粒径との2つの大きさに分別する。第2振動ふるい機124の下流側には、粒径が20mm以上の基礎原料M1が排出されるベルトコンベア120が設けられているとともに、粒径が20mm未満の基礎原料M1が排出されるベルトコンベア125が設けられている。すなわち、前記インペラブレーカ122は、本実施形態においては基礎原料M1を20mm未満の大きさに破砕している。
【0030】
ベルトコンベア125は、第2振動ふるい機124によってふるい分けられた粒径が20mm未満の基礎原料M1を中間ホッパ126に搬送する機械装置である。中間ホッパ126は、第2振動ふるい機124によってふるい分けられた粒径が20mm未満の基礎原料M1を一時的に貯留する振動機能を有した容器である。この中間ホッパ126の下流側には、ベルトフィーダ127を介して前記ベルトコンベア140が設けられている。ベルトフィーダ127は、中間ホッパ126に貯留されている基礎原料M1をベルトコンベア140に搬送する機械装置である。
【0031】
ジョークラッシャ130は、第1振動ふるい機106によってふるい分けられた粒径が110mm〜180mm以下の基礎原料M1(主に、大石)を破砕する機械装置である。本実施形態においては、ジョークラッシャ130は、基礎原料M1を粒径が浄水土M2の粒径以上であってかつ110mm未満に破砕する。なお、この場合、ジョークラッシャ130は、基礎原料M1を破砕する際にその一部が浄水土M2の粒径以下の大きさに破砕されることがあることを含むことは当然である。このジョークラッシャ130の下流側には、前記ベルトコンベア120が設けられている。このジョークラッシャ130は、本発明に係る基礎原料破砕手段を構成する。
【0032】
ベルトコンベア140は、粒径が40mm以下の基礎原料M1および粒径が20mm未満の基礎原料M1(含小径混合土)をそれぞれ第3振動ふるい機140に搬送する機械装置である。第3振動ふるい機141は、ふるい(篩)を振動させることによってベルトコンベア140によって搬送された基礎原料M1から浄水土M2の粒度成分と同じ粒度成分を篩い分けして除去するための機械装置である。より具体的には、第3振動ふるい機141は、基礎原料M1に含まれる浄水土M2と同じ粒度の細粒成分FGを通過させることができる網目のふるい(篩)(図示せず)およびこのふるいを振動させる機械装置(図示せず)によって構成されている。
【0033】
ここで、浄水土M2は、河川から取水した水を飲料水などの上水に浄化する処理過程で生じる副生成物としての汚泥(「浄水汚泥」という)を乾燥させた固形物であり、基礎原料M1とともに埋め戻し材FPの原料となるものである。この場合、浄水土M2を構成する細粒成分の粒度は、一般的には、0.01mm〜1.0mmであるが、取水地によって多少の差があるものである。
【0034】
したがって、第3振動ふるい機141は、使用する浄水土M2の粒度に応じて網目が設定される。本実施形態においては、第3振動ふるい機141は、粒径が2.5mm以下の大きさの基礎原料M1をふるい分けることができる網目のふるいで構成されている。この第3振動ふるい機141は、本発明に係る細粒成分除去手段に相当する。この第3振動ふるい機41の下流側には、ベルトコンベア142を介して中間ホッパ143が設けられている。
【0035】
ベルトコンベア142は、第3振動ふるい機141によってふるい分けられた浄水土M2と同じ粒度の細粒成分FGを含まない基礎原料M1を中間ホッパ143に搬送する機械装置である。中間ホッパ143は、第3振動ふるい機141によってふるい分けられた細粒成分FGを含まない基礎原料M1を一時的に貯留する振動機能を有した容器である。この中間ホッパ143の下流側には、ベルトフィーダ144を介してベルトコンベア145が設けられている。ベルトフィーダ144は、中間ホッパ143に貯留されている基礎原料M1をベルトコンベア145に搬送する機械装置である。
【0036】
ベルトコンベア145は、第3振動ふるい機141によって選別された基礎原料M1(浄水土M2の粒度成分と同じ細粒成分FGの基礎原料M1が除去された粒径が40mm以下の基礎原料M1および粒径が20mm未満の基礎原料M1の混合物)、浄水土M2および固化材(図示せず)をそれぞれ混合機150に搬送する機械装置である。この場合、浄水土M2は、第2原料ホッパ146およびベルトフィーダ147によって供給される。
【0037】
第2原料ホッパ146は、前記浄水土M2を一時的に貯留する振動機能を有した容器である。この第2原料ホッパ146の下流側には、ベルトフィーダ147が設けられている。ベルトフィーダ147は、第2原料ホッパ146に貯留されている浄水土M2をベルトコンベア145に搬送する機械装置である。
【0038】
一方、固化材は、主として、埋め戻し材FPに所定の強度(CBR値)を付与するために基礎原料M1および浄水土M2に添加される地盤改良材であり、生石灰やセメントで構成されている。本実施形態においては、固化材として生石灰を用いている。この固化材は、サイロ148を介してベルトコンベア145上に供給される。サイロ148は、固化材を一時的に貯留するとともに所定量ずつベルトコンベア145に供給する容器である。
【0039】
混合機150は、ベルトコンベア145によって搬送される基礎原料M1(浄水土M2の粒度成分と同じ粒度成分の基礎原料M1(すなわち、細粒成分FG)が除去された粒径が40mm以下の基礎原料M1および粒径が20mm未満の基礎原料M1)、浄水土M2および固化材を互いに混ぜ合わせて混合土Mx1を生成するための機械装置である。この混合機150は、本発明に係る混合手段に相当する。混合機150の下流側には、ベルトコンベア151が設けられている。ベルトコンベア151は、混合機150によって生成された混合土Mx1を混合機150から搬出して所定の置き場Sに搬送する機械装置である。
【0040】
また、この埋め戻し材製造システム100には、図示しない制御装置を備えている。制御装置は、図示しないマイクロコンピュータによって構成されており、埋め戻し材製造システム100を構成する前記各機器の作動を制御する。この制御装置は、埋め戻し材製造システム100の使用者からの指示を入力する図示しない入力装置および制御装置の作動状態を表示する図示しない表示装置をそれぞれ備えている。したがって、制御装置は、作業者による入力装置を介した入力操作に応じて前記各機器の作動を制御する。
【0041】
(埋め戻し材製造システム100の作動)
次に、上記のように構成した埋め戻し材製造システム100の作動について説明する。まず、埋め戻し材製造システム100を用いて埋め戻し材FPの生成作業を行う作業者は、基礎原料M1および浄水土M2をそれぞれ用意する。この場合、基礎原料M1は、建設工事や土木工事において工事現場における地面の掘削によって生じた土を主成分とした掘削物を天日乾燥によって含水比を50%以下に乾燥させたものである(基礎原料乾燥工程)。なお、基礎原料M1の含水比は、50%以上でもよいが100%以下が好ましい。
【0042】
また、浄水土M2は、河川から取水した水の浄化処理過程で生じる水中の不純物からなる浄水汚泥(主成分は、粘土やシルトからなる粘性土や粘性土より粒子が大きい細粒成分であるが、凝集剤を含む場合もある)を乾燥させて含水比を70%以下に乾燥させたものである(浄水汚泥乾燥工程)。この場合、浄水汚泥の乾燥工程は、本実施形態においてはプール状の天日乾燥床による自然乾燥(所謂天日乾燥)によって行われるが、加圧脱水機などの機械を用いた機械乾燥を用いて行うことができる。また、浄水土M2は、乾燥によって固形物となっているが、天日乾燥床から搬出される際にショベルカーなどの重機によって解されて土状になっている(浄水土解し工程)。この場合、浄水土M2は、人手で掬い取ることができる程度の粗さの土状に解されるものであるが、その一部に礫状の塊が含まれることがあることは当然である。
【0043】
次に、作業者は、埋め戻し材製造システム100の電源をONにして各機器を作動状態とした後、基礎原料M1および浄水土M2をそれぞれ埋め戻し材製造システム100に投入する。具体的には、作業者は、基礎原料M1をグリズリフィーダ101上に投入するとともに、浄水土M2を第2原料ホッパ146に投入する。これにより、基礎原料M1は、グリズリフィーダ101によって大きさが180mm以下のものだけが第1原料ホッパ102に搬送されて貯留された後、ベルトフィーダ103を介して所定量ずつ手選別コンベア104に送り出される。また、浄水土M2は、ベルトコンベア141に基礎原料M1が送られてくるまでの間、第2原料ホッパ146に貯留される。
【0044】
手選別コンベア104上に搬送された基礎原料M1は、人手によって土や石以外の異物が取り除かれた後、ベルトコンベア105を介して第1振動ふるい機106に搬送されて粒径に応じた処理ラインに流される。具体的には、第1振動ふるい機106に搬送された基礎原料M1のうち、粒径が40mm未満の基礎原料M1はベルトコンベア110を介して中間ホッパ111に貯留され、粒径が40mm以上かつ110mm未満の基礎原料M1はベルトコンベア120および磁選機121をそれぞれ介してインペラブレーカ122に搬送され、粒径が110mm以上かつ180mm以下の基礎原料M1はジョークラッシャ130に搬送される。この場合、基礎原料M1のうち、浄水土M2の粒度と同じ粒度の細粒分は、中間ホッパ111に導かれて貯留される。
【0045】
中間ホッパ111に貯留された基礎原料M1は、ベルトフィーダ112およびベルトスケール113を介して所定量ずつベルトコンベア140に送り出される。この場合、制御装置(図示せず)は、ベルトスケール113によって計量される基礎原料M1の輸送量に基づいてベルトフィーダ112の送り出し量を制御する。
【0046】
一方、インペラブレーカ122に搬送された基礎原料M1は、インペラブレーカ122、ベルトコンベア123および第2振動ふるい機124によって粒径が20mm未満の大きさに破砕された破砕物である基礎原料M1のみがベルトコンベア125を介して中間ホッパ126に貯留される(基礎原料破砕工程)。中間ホッパ126に貯留された基礎原料M1は、ベルトフィーダ127を介して所定量ずつコンベア140に送り出される。この場合、中間ホッパ126に貯留される基礎原料M1の中には、インペラブレーカ122による破砕によって生成された浄水土M2の粒度と同じ粒度の細粒成分FGが含まれる。
【0047】
また、ジョークラッシャ130に搬送された基礎原料M1は、粒径が110mm以下に破砕された後、この破砕物がベルトコンベア120を介してインペラブレーカ122に搬送される(基礎原料破砕工程)。すなわち、粒径が110mm以上かつ180mm以下の基礎原料M1は、ジョークラッシャ130およびインペラブレーカ122によって粒径が20mm未満の破砕物に破砕されてベルトコンベア140に送り出される。この場合においても中間ホッパ126に貯留される基礎原料M1の中には、インペラブレーカ122による破砕によって生成された浄水土M2の粒度と同じ粒度の細粒成分FGが含まれる。
【0048】
ベルトコンベア141に送り出された粒径が40mm未満および20mm未満からなる基礎原料M1は、第3ふるい機141に投入される。第3ふるい機141は、基礎原料M1の中から粒径が2.5mm以下の細粒成分FGを選別して埋め戻し材製造システム100のライン外に排出するとともに粒径が2.5mm以下の細粒成分FGが除去された基礎原料M1をベルトコンベア142に排出する(細粒成分除去工程)。ベルトコンベア142に排出された基礎原料M1は、中間ホッパ143に貯留される。中間ホッパ143に貯留された基礎原料M1は、ベルトフィーダ144を介して所定量ずつコンベア145に送り出される。
【0049】
ベルトコンベア145に細粒成分FGが取り除かれた粒径が40mm未満および20mm未満の各基礎原料M1が搬送されると、制御装置は、第2原料ホッパ146およびベルトフィーダ147の各作動を制御してベルトコンベア145上に浄水土M2を供給するとともにサイロ148の作動を制御することによりベルトコンベア145上に固化材を供給する。これにより、ベルトコンベア145は、粒径が40mm未満および20mm未満の各基礎原料M1に加えて浄水土M2および固化材をそれぞれ混合機150に搬送する。
【0050】
この場合、第2原料ホッパ146、ベルトフィーダ147およびサイロ148は、後段の混合機150内で基礎原料M1、浄水土M2および固化材からなる混合物における構成割合が生成しようとする埋め戻し材FPの仕様に合う各分量で浄水土M2および固化材をそれぞれ供給する。したがって、作業者は、ベルトコンベア145に導かれる基礎原料M1の粒度や含水比などの土質および浄水土M2の粒度や含水比などの土質に応じて基礎原料M1に加える浄水土M2および固化材の分量を決定して制御装置に設定する。
【0051】
すなわち、作業者は、基礎原料M1から除去した細粒成分FGを加味して浄水土M2および固化材の各供給量を決定する。この場合、作業者は、基礎原料M1を主原料として、この基礎原料M1に対して浄水土M2を基礎原料M1の半分(50%)以下の分量となる供給量を決定する。本実施形態においては、第2原料ホッパ146、ベルトフィーダ147およびサイロ148は、作業者の設定に応じて基礎原料M1(79%):浄水土M2(20%):固化材(1%)となるように浄水土M2および固化材をそれぞれ供給する。
【0052】
混合機150は、基礎原料M1、浄水土M2および固化材を互いに混ぜ合わせて混合土Mx1を生成する(混合工程)。混合機150によって生成された混合土Mx1は、ベルトコンベア151によって所定の置き場Sに搬送される。この場合、生成された混合土Mx1は、固化材を含んでいるため、水和反応、ポラゾン反応、炭酸化反応およびイオン交換反応によって改質される。具体的には、混合土Mx1は、生石灰と水との水和反応による熱によって混合土Mx1中の含水比が低下する。また、混合土Mx1は、生石灰と混合土Mx1中のアルミナやケイ素とのポラゾン反応によって団結化する。また、混合土Mx1は、生石灰の一部が炭酸ガスと炭酸化反応して強度が向上する。また、混合土Mx1は、粘土粒子がイオン交換反応によって団粒化して締固め易い性質に改質される。
【0053】
次いで、作業者は、置き場Sに搬送された混合土Mx1の含水比を25%以下、例えば、5%以上かつ20%以下に調整する。具体的には、作業者は、置き場Sまたはその他の場所で混合土Mx1を天日乾燥することによって含水比を5%以上かつ20%以下に調整する。この含水比調整工程においては、基礎原料M1の含水比が低い場合(例えば、10%以下)には、比較的含水比が高い浄水土M2によって含水比の調整が不要または短時間に終えることができる。すなわち、混合機150から排出された混合土Mx1の含水比が25%以下の場合には、天日乾燥または後述する散水による含水比調整作業は不要であり、混合土Mx1は埋め戻し材FPである。また、作業者は、浄水土M2が含む水分のみでは混合土Mx1の含水比が不足する場合には、水道水や河川の水を散水することによって含水比を向上させることができる。
【0054】
この含水比調整工程によって、作業者は、混合土Mx1を埋め戻し材FPとして完成させることができる。そして、このように製造された埋め戻し材FPは、建設工事や土木工事における掘削穴に詰められて掘削穴を埋める材料として用いられたり、道路の路床や路盤を構成する材料として用いられたりする。また、作業者は、基礎原料M1から選別した細粒成分FGを細粒成分を主成分とした埋め戻し材、例えば、管用の埋め戻し材として利用することができる。
【0055】
上記作動説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、埋め戻し材製造システム100を用いた埋め戻し材の製造方法は、建設発生土で構成される基礎原料M1から浄水土M2の粒径以下の粒径の細粒成分FGを除去しているため、この細粒成分FGの欠けた基礎原料M1に浄水土M2を混合することにより浄水土M2の利用量を増加させることができる。また、基礎原料M1から選別した前記細粒成分FGは、細粒成分FGを主成分とした良質な埋め戻し材、例えば、管用の埋め戻し材として利用することができる。
【0056】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0057】
例えば、上記実施形態においては、ベルトコンベア145上にて粒径が40mm未満および20mm未満の各基礎原料M1、すなわち、破砕した基礎原料M1に対して浄水土M2を加えるようにした。これにより、上記実施形態における埋め戻し材の製造方法においては、基礎原料M1の表面に浄水土M2が付着して基礎原料M1が団子化(巨大化)することによる埋め戻し材製造システム100内で不具合、具体的には、第1原料ホッパ102、第1振動ふるい機106、第2振動ふるい機124、第3ふるい機141での詰りや固化材との接触不足が防止できるため、埋め戻し材FPの粒度調整および強度調整の各調整不良を防止して精度良い埋め戻し材を生成することができる。
【0058】
しかしながら、本発明に係る埋め戻し材の製造方法においては、基礎原料M1から浄水土M2の粒度と同じ粒度の細粒成分FGを除去した基礎原料M1に浄水土M2を加えればよい。したがって、本発明に係る埋め戻し材の製造方法は、まず、基礎原料M1に対して細粒成分除去工程を実行することができる。この場合、埋め戻し材の製造方法は、細粒成分除去工程の後に、基礎原料M1の破砕工程を実行して、その後基礎原料M1に対する浄水土M2の混合工程を実行してもよいし、細粒成分除去工程の後に、基礎原料M1に対する浄水土M2の混合工程を実行して、その後基礎原料M1の破砕工程を実行してしてもよい。
【0059】
また、上記実施形態においては、細粒成分除去工程においては、基礎原料M1の中から粒径が2.5mm以下の基礎原料M1を除去するように構成した。すなわち、上記実施形態においては、浄水土M2の粒度より大きな粒度成分を含めて基礎原料M1から除去するように構成した。これにより、基礎原料M1から除去して得た細粒成分FGを埋め戻し材として利用する際に浄水土M2の粒度より大きな粒度成分が含まれているため埋め戻し材の強度(CBR値)を確保し易くすることができる。すなわち、本発明に係る埋め戻し材の製造方法は、基礎原料M1の中から除去する基礎原料M1として浄水土M2の粒度と同じ粒度の細粒成分FGを含むようにすればよいため、粒径が2.5mm以上の基礎原料M1を含んで除去するように構成してもよい。この場合、細粒成分除去工程は、例えば、粒径が5.0mm以下の大きさの基礎原料M1をふるい分けることができる網目のふるいを用いて実行することで、ふるいの目詰まりや埋め戻し材の強度(CBR値)を確保し易くすることができる。
【0060】
また、この場合、ふるい分けできる粒径の最大が5.0mmの網目のふるいを用いて得た基礎原料M1は、粒径が浄水土M2の粒径以上で5.0mm以下の粒径成分が不足するため、この不足が問題となる場合には、細粒成分除去工程を経た基礎原料M1に細粒成分除去工程を行なわない基礎原料M1を混合することで粒径が浄水土の粒径以上で5.0mm以下の粒径成分を補うことができる。これは、粒径が2.5mm以下の大きさの基礎原料M1をふるい分けることができる網目のふるいを用いた場合も同様である。なお、ふるいの網目は、基礎原料M1がコンクリート殻、アスファルト殻または砕石で構成されている場合には、細かな網目(2.5mm)が好ましく、基礎原料M1が建設発生土や山土で構成されている場合には大きな網目(5.0mm)が好ましい。
【0061】
また、本発明に係る埋め戻し材の製造方法は、基礎原料M1に含まれる浄水土M2の粒度と同じ粒度成分の少なくとも一部を除去すればよい。したがって、本発明に係る埋め戻し材の製造方法は、基礎原料M1に含まれる浄水土M2の粒度と同じ粒度成分のうち、量的に一部(例えば、50%だけ除去)のほか、質的に一部(例えば、複数の粒度成分のうちのある特定の粒度成分だけ除去)だけ除去するようにしてもよい。また、本発明に係る埋め戻し材の製造方法は、基礎原料M1の中から浄水土M2の粒度と同じ粒度の細粒成分FGのみを除去するようにしてもよい。
【0062】
また、上記実施形態においては、埋め戻し材製造システム100を用いた埋め戻し材の製造方法は、粒径が40mm未満および20mm未満の基礎原料M1を原料土として埋め戻し材FPを製造した。しかし、埋め戻し材製造システム100は、粒径が40mm以上の基礎原料M1を浄水土M2の粒径以上かつ40mm未満に破砕した基礎原料M1を原料土として埋め戻し材FPを製造することもできることは当然であり、粒径が40mm以上の基礎原料M1を必ずしも20mm未満に破砕する必要はない。
【0063】
また、上記実施形態においては、基礎原料M1は、建設発生土で構成した。しかし、基礎原料M1は、建設発生土、コンクリート殻、アスファルト殻、砕石および山土のうちの少なくとも一種で構成することができる。すなわち、基礎原料M1は、建設発生土、コンクリート殻、アスファルト殻、砕石および山土をそれぞれ単体で構成することができるとともに、これらを適宜混ぜ合わせてまたはこれらを主原料(基礎原料M1に占める割合が最も高い)として固化材を混ぜ合わせて構成することができる。この場合、基礎原料M1は、建設発生土、コンクリート殻、アスファルト殻、砕石および山土のうちの少なくとも一種で構成するとともに、予め細粒分除去工程を行って細粒成分FGが除去されていてもよい。
【0064】
これによれば、コンクリート殻、アスファルト殻および砕石は、一般的に含水比が10%以下であるため、これらを主原料にすることにより浄水土M2の含水比を比較的高い状態で用いることができ浄水土M2の含水比を低下させる乾燥負担を軽減することができる。また、基礎原料M1をコンクリート殻やアスファルト殻で構成することによって、廃棄処分や再利用が困難なコンクリート殻やアスファルト殻の資源化を進めることができる。なお、ここで、主原料とは、基礎原料M1を構成する材料のうち、コンクリート殻、アスファルト殻および砕石のうちの少なくも一種が占める割合が最も高いことを意味する。
【0065】
また、上記実施形態においては、埋め戻し材製造システム100を用いた埋め戻し材の製造方法は、製造する埋め戻し材FPの構成成分を基礎原料M1(79%):浄水土M2(20%):固化材(1%)とした。しかし、埋め戻し材製造システム100は、異物を除去した基礎原料M1を主原料として、この基礎原料M1に浄水土M2を基礎原料M1の半分以下の分量で混合して埋め戻し材FPを製造することができる。この場合、浄水土M2の混合量は、基礎原料M1の粒度や含水比などの土質によって適宜調整されることは当然である。なお、埋め戻し材FPは、基礎原料M1を90%以下、浄水土M2を50%以下および生石灰を5%以下の各割合で混合して生成することができる。
【0066】
また、上記実施形態においては、埋め戻し材製造システム100を用いた埋め戻し材の製造方法は、埋め戻し材FPを構成する粘性土および細粒成分として浄水土M2のみを用いた。しかし、埋め戻し材製造システム100は、埋め戻し材FPを構成する粘性土および細粒成分として浄水土M2に加えて他の粘性土や細粒成分、更には、細粒成分よりも大きな粒度成分や固化材を加えて埋め戻し材FPを製造することを排除するものではない。
【0067】
また、上記実施形態においては、混合土Mx1の含水比調整工程を天日乾燥により行った。しかし、混合土Mx1の含水比調整工程は、混合土Mx1の含水比を所定の含水比に調整することができれば、必ずしも上記実施形態に限定されるものではない。したがって、例えば、埋め戻し材製造システム100は、ベルトコンベア151の下流側に混合機152によって混ぜ合わされて生成された混合土Mx1に対して乾燥または給水することによって埋め戻し材の含水比を所定値に調整する含水比調整機を設けることもできる。
【0068】
また、上記実施形態においては、本発明に係る埋め戻し材の製造方法を埋め戻し材製造システム100を用いて実現した。しかし、本発明に係る埋め戻し材の製造方法は、各工程の全部または一部を手作業(例えば、平地で細粒成分除去工程や混合工程を行うこと)によって行っても実現できるものであることは当然である。