特許第6485849号(P6485849)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6485849
(24)【登録日】2019年3月1日
(45)【発行日】2019年3月20日
(54)【発明の名称】知的財産情報管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/18 20120101AFI20190311BHJP
【FI】
   G06Q50/18 310
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-89095(P2014-89095)
(22)【出願日】2014年4月23日
(65)【公開番号】特開2015-207248(P2015-207248A)
(43)【公開日】2015年11月19日
【審査請求日】2016年12月14日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000155469
【氏名又は名称】株式会社野村総合研究所
(72)【発明者】
【氏名】安高 史朗
(72)【発明者】
【氏名】高野 誠司
(72)【発明者】
【氏名】田嶋 龍太郎
【審査官】 岸 健司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−211366(JP,A)
【文献】 特開2002−056304(JP,A)
【文献】 特開2002−073838(JP,A)
【文献】 特開2002−091818(JP,A)
【文献】 西尾祐, 外3名,公共向けアプリケーションフレームワークのソフトウェアアーキテクチャの分析,情報処理学会研究報告,社団法人情報処理学会,2001年 9月19日,Vol.2001, No.92,p.39-46
【文献】 磯田定宏,ソフトウェア再利用の期待と現実:管理的側面と技術的側面からの検討,電子情報通信学会技術研究報告,社団法人電子情報通信学会,1992年 9月 9日,Vol.92, No.205,p.1-8
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザを有する複数の組織体に知的財産管理サービスを提供するサービス提供事業者により管理され、ネットワークを介して前記複数の組織体に属するユーザが使用するユーザ端末からアクセスされることにより前記知的財産管理サービスを提供する知的財産情報管理システムであって、
前記各組織体がそれぞれ保有する知的財産に係る1つ以上の案件の情報に対する管理を行うための1つ以上の管理機能と、
前記組織体毎もしくは前記案件毎に、前記組織体によって選択もしくは指定された、利用可能な前記各管理機能および利用可能なバージョンの情報を含む構成情報を管理し、当該構成情報に基づいて前記組織体に属する前記ユーザに提供可能な前記知的財産管理サービスを提供する構成管理部と、を有し、
前記管理機能には、全ての前記組織体が共通で利用する機能を提供する汎用機能と、全ての前記組織体に共通として実装されており、利用を選択もしくは指定した前記組織体のみが利用可能な機能を提供するオプション機能と、各組織体のニーズに特化した専用の機能として個別に実装された機能であって、前記各組織体の専用の機能を提供する個別追加機能と、を含み、前記汎用機能及び前記オプション機能の一部は、前記組織体毎に指定可能な個別設定に基づいて内容を変更可能であり、当該個別設定は画面表示上の軽微なバリエーションに相当するような部分について前記組織毎に設定可能であり、
前記構成管理部の構成情報には、前記オプション機能の選択が含まれ、当該構成管理部は、当該構成情報のオプション機能の選択に基づいて前記組織体に属する前記ユーザに提供可能なオプション機能を提供し、
前記管理機能が処理を行う際に利用することができるマスタ情報が複数バージョン存在する場合に、前記管理機能は、前記組織体毎もしくは前記案件毎に、前記組織体による選択もしくは指示に基づいて利用する前記マスタ情報を決定し、
前記管理機能が最新バージョンではない旧バージョンのマスタ情報を利用する旨の選択もしくは指定をしている前記組織体である旧バージョン利用組織体がある場合に、当該旧バージョンの利用に係る料金を前記各旧バージョン利用組織体の数に応じて一定の利用金額を、均等若しくは所定のルールに基づいて決定される割合で按分して当該各旧バージョン利用組織体に負担させるための課す追加的な料金に必要となる情報として算出する課金処理部を有し、
前記課金処理部は、前記各組織体が前記サービス提供事業者と締結したサービス利用契約内容及び当該サービス利用契約内容に基づく各組織体のサービスの構成内容に基づいて課金に必要となる情報を算出して出力する知的財産情報管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の知的財産情報管理システムにおいて、
前記管理機能が処理を行う際に利用することができるマスタ情報が複数バージョン存在する場合に、前記管理機能は、前記案件に関連する所定の日付を基準として利用する前記マスタ情報を決定する、知的財産情報管理システム。
【請求項3】
請求項1に記載の知的財産情報管理システムにおいて、
前記追加的な料金は、前記旧バージョン利用組織体が1つのみで、当該旧バージョン利用組織体が前記旧バージョンのマスタ情報を専用的に利用するとした場合に、当該旧バージョン利用組織体に追加的に課される料金である、知的財産情報管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、知的財産に係る情報を管理する技術に関し、特に、サービス提供事業者によりシステムが運用され、複数の異なるユーザ企業毎に、それぞれが独立した形で共同利用可能なサービスとして知的財産情報の管理機能を提供する知的財産情報管理システムに適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
企業では、業務の中から発明などの知的財産が創出され、これを適切に知的財産権として保護し、事業への活用を図るために特許出願等が行われる場合がある。ここで、企業の規模等が大きくなってくると、創出される発明等の知的財産の数や、特許出願等の件数、特許権等の知的財産権の数も多くなり、例えば、案件毎のステータスの管理や、案件に係る情報へのアクセス権限の管理、期限の管理等、各種の管理の負担が大きくなってくる。そこで、これらの管理を情報処理システムにて行うことが検討されている。
【0003】
例えば、特許第5212514号公報(特許文献1)には、知的財産情報を一元的に管理している知的財産情報管理装置と、複数の利用者端末と、知的財産情報管理装置と利用者端末とを接続するコンピュータネットワーク(イントラネット)とを備えており、自己が所有する知的財産の期限管理及び包袋管理を行うとともに、発明部門及び知的財産部門の知的財産業務に関する回覧・検討・承認をワークフロー化した知的財産情報管理システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5212514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたような技術を用いることで、例えば、発明等の案件に係る各種業務について、関連する部門や社員、関連会社などに対して案件情報へのアクセス権を制御しつつ、ワークフロー処理によって管理することが可能となる。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されたような技術では、単一のユーザ企業が管理システムを所有して、関連会社や特許事務所のユーザのアクセス権限を制御したり、ワークフロー処理を実現したりするものである。すなわち、知的財産を創出し取り扱うユーザ企業自身がシステムを所有して運用する形態を前提としており、当該ユーザ企業の社員や、取引等の関係がある他の関連会社や特許事務所等に所属する者がシステムのユーザとなるものである。
【0007】
これに対し、例えば、サービス提供事業者によりシステムが運用され、複数の異なるユーザ企業毎に、それぞれが独立した形で共同利用可能なサービスとして知的財産情報の管理機能を提供するような構成とすることが考えられる。このような共同利用型のサービスとする場合、サービスを利用する各企業、ユーザは全て同一のアプリケーションを利用することになるのが原則である。
【0008】
しかしながら、現実には、ユーザ企業毎に異なる状況やニーズ等に応じて、それぞれに対して一部異なるサービスを提供しているのが実情である。例えば、設定変更レベルの軽微なものから、追加選択可能なオプション機能の利用指定、ユーザ企業の要望に特化してカスタマイズされた個別機能の追加などにより、ユーザ企業毎にサービス内容が相違する場合がある。
【0009】
このような相違がある場合、サービス提供事業者としては、例えば、不具合対応や機能改善などをする際に、各ユーザ企業に対するサービス内容の相違に基づく影響を考慮して、広範な確認テストの実施や、開発環境・テスト環境の管理、アプリケーションの更新管理などを行うことが必要となる。その結果、開発、テスト、本番運用の全体にわたるシステムの保守作業に係る運用・管理が非常に煩雑になるという課題を有する。
【0010】
そこで本発明の目的は、サービス提供事業者によりシステムが運用され、複数の異なるユーザ企業毎に、それぞれが独立した形で共同利用可能なサービスとして知的財産情報の管理機能を提供する構成において、ユーザ企業毎のサービスの利用内容の相違に柔軟に対応しつつ、不具合対応や機能追加などの保守作業に係るシステム全体の運用管理の負荷を低減させる知的財産情報管理システムを提供することにある。
【0011】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0013】
本発明の代表的な実施の形態による知的財産情報管理システムは、複数のユーザを有する複数の組織体に知的財産管理サービスを提供するサービス提供事業者により管理され、ネットワークを介して前記複数の組織体に属するユーザが使用するユーザ端末からアクセスされることにより前記知的財産管理サービスを提供する知的財産情報管理システムであって、以下の特徴を有するものである。
【0014】
すなわち、前記各組織体がそれぞれ保有する知的財産に係る1つ以上の案件の情報に対する管理を行うための1つ以上の管理機能と、前記組織体毎もしくは前記案件毎に、前記組織体によって選択もしくは指定された、利用可能な前記各管理機能および利用可能なバージョンの情報を含む構成情報を管理し、当該構成情報に基づいて前記組織体に属する前記ユーザに提供可能な前記サービスを提供する構成管理部と、を有し、前記管理機能には、全ての前記組織体が共通で利用する機能を提供する汎用機能と、利用を選択もしくは指定した前記組織体のみが利用可能な機能を提供するオプション機能と、前記組織体の専用の機能を提供する個別追加機能と、を含み、前記汎用機能の一部は、前記組織体毎に指定可能な個別設定に基づいて内容を変更可能である。
【発明の効果】
【0015】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0016】
すなわち、本発明の代表的な実施の形態によれば、サービス提供事業者によりシステムが運用され、複数の異なるユーザ企業毎に、それぞれが独立した形で共同利用可能なサービスとして知的財産情報の管理機能を提供する構成において、ユーザ企業毎のサービスの利用内容の相違に柔軟に対応しつつ、不具合対応や機能追加などの保守作業に係るシステム全体の運用管理の負荷を低減させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施の形態である知的財産情報管理システムの構成例について概要を示した図である。
図2】本発明の一実施の形態における管理機能群により提供される各種機能の位置付けについて概要を説明する図である。
図3】(a)、(b)は、本発明の一実施の形態におけるマスタDBの更新に伴う管理機能群の更新の例について概要を示した図である。
図4】本発明の一実施の形態における旧マスタDBの利用に対する課金手法の例について概要を示した図である。
図5】本発明の一実施の形態における契約DBのデータ構成の例について概要を示した図である。
図6】本発明の一実施の形態におけるユーザDBのデータ構成の例について概要を示した図である。
図7】本発明の一実施の形態における案件DBのデータ構成の例について概要を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0019】
本発明の一実施の形態である知的財産情報管理システムは、創出された発明等の知的財産(知的財産権の対象となる知的財産)について、例えば、そのライフサイクルにわたって案件としてステータスや情報の管理を行うための機能やサービスを提供する情報処理システムである。上述したように、当該知的財産情報管理システムは、例えば、ITベンダー等のサービス提供事業者によりシステムが運用され、複数のユーザを有する複数のユーザ企業に対して、ネットワークを介して、それぞれが独立した形で共同利用可能なサービスとして知的財産情報の管理機能を提供する。このような共同利用型のサービスとする場合、サービスを利用する各企業、ユーザは全て同一のアプリケーションを利用することになるのが原則である。
【0020】
しかしながら、現実には、ユーザ企業毎に異なる状況やニーズ等に応じて、それぞれに対して一部異なるサービスを提供しているのが実情である。例えば、取得した複数種類のデータ項目についてそれぞれ画面に表示するか否かの設定や、表示する際のソート順など、画面表示上の軽微なバリエーションに相当するようなものについては、各ユーザ企業で共通の汎用機能部分であっても、サービス提供事業者が予め可変の設定項目として設けている場合があり、各ユーザ企業による設定の内容次第で相違が生じ得る。また、汎用機能に加えて、希望するユーザ企業のみに対して(有償で)利用を開放するオプション機能を有する場合があり、各ユーザ企業による選択次第で相違が生じ得る。また、ユーザ企業の要望に基づいて当該ユーザ企業に特化した形で専用の機能を追加、変更するカスタマイズを行う場合があり、これによっても相違が生じる。
【0021】
このような相違がある場合、サービス提供事業者としては、例えば、不具合対応や機能改善などをする際に、各ユーザ企業に対するサービス内容の相違に基づく影響を考慮して、広範な確認テストの実施や、開発環境・テスト環境の管理、アプリケーションの更新管理などを行うことが必要となる。その結果、開発、テスト、本番運用の全体にわたるシステムの保守作業に係る運用・管理が非常に煩雑になる。一方で、ユーザ企業毎のニーズには可能な限り柔軟に対応できるようにする必要があることから、これらを最大限調和させることが必要となる。
【0022】
そこで、本発明の一実施の形態である知的財産情報管理システムでは、各ユーザ企業について共通の汎用機能部分と、各ユーザ企業の独自設定部分(オプション機能の選択、カスタマイズによる機能追加、汎用機能部分内の個別設定等)とを明確にし、ユーザ企業毎のこれらの利用状況を管理することで、保守作業に係る運用管理や課金処理を効率的、効果的に行えるようにする。
【0023】
また、汎用機能部分であっても、知的財産権に係る法改正等により複数バージョンが存在し得るマスタテーブルに対して、ユーザ企業毎に参照先を設定可能とすることで、ユーザ企業毎のニーズに柔軟に対応可能とするとともに、旧バージョンのマスタテーブルを参照する場合には受益者負担の課金方法とすることで、最新バージョンへの移行のインセンティブとし、マスタテーブルのバージョンを最新のものにできるだけ集約させ、運用管理の効率化を図れるようにする。
【0024】
なお、共同利用サービスにおけるアプリケーションの共同利用の形態としては、大きく分けて、各ユーザに対して同一のアプリケーションや環境、リソース等が複製され、これらを各ユーザがそれぞれ独立して利用するいわゆるASP(Application Service Provider)に類する形態、および単一のアプリケーションや環境、リソース等を複数ユーザが共同利用するいわゆるSaaS(Software as a Service)に類する形態があるが、本実施の形態の知的財産情報管理システムはいずれにも適用可能である。従って、本実施の形態において「アプリケーションの共同利用サービス」という場合には、SaaS、ASPいずれの形態も含むものとする。
【0025】
<システム構成>
図1は、本発明の一実施の形態である知的財産情報管理システムの構成例について概要を示した図である。知的財産情報管理システム1は、例えば、サーバ機器やクラウドコンピューティングサービス上に構築された仮想サーバなどにより実装される情報処理システムであり、上述したように、インターネット等のネットワーク2を介して、企業3等のユーザに対してアプリケーションの共同利用サービスとして知的財産に係る情報を管理する機能・サービスを提供する。
【0026】
知的財産情報管理システム1は、例えば、図示しないOS(Operating System)やDBMS(DataBase Management System)、Webサーバプログラムなどのミドルウェア上で稼働するソフトウェアプログラムとして実装される構成管理部11、管理機能群12、課金処理部13、およびユーザインタフェース部14などの各部を有する。また、データベース等により実装される契約データベース(DB)15、ユーザDB16、案件DB17、および各種のマスタDB18などの各データストアを有する。
【0027】
構成管理部11は、知的財産情報管理システム1による共同利用サービスを利用する各企業3がそれぞれどのような構成や設定、形態、条件(以下ではこれらを総称して「構成」と記載する場合がある)でサービスを利用しているか(することができるか)の情報を管理するとともに、当該情報に基づいて各企業3に対して実際に提供されるサービスの内容を制御する機能を有する。
【0028】
企業3毎に異なる構成は、例えば、各企業3がサービス提供事業者と締結したサービス利用契約の内容に基づいて決定される。契約内容に基づく構成としては、例えば、オプション機能の選択や、カスタマイズによる機能追加の有無などがある。これらの構成に係る情報は、例えば、契約DB15にて管理される。また、サービス利用における基本契約の中で各企業3が等しく利用できる汎用機能において、サービス提供事業者が予め可変の設定項目として設けているものに対する設定内容に基づく構成がある。これらの構成に係る情報は、例えば、ユーザDB16や、設定内容を保持するファイル等にて管理される。
【0029】
管理機能群12は、案件DB17に保持する案件の情報および当該案件に関連する各種情報に対して実際にアクセスし、知的財産に係る情報の管理を行うための各種機能の集合である。案件の情報にアクセスして利用できる各種機能の内容としては、例えば、特定の案件についてのステータスや各種関連情報、データ等の参照や管理の他に、期限管理、各種の検索、企業3内の各部署間や特許事務所等との間での出願手続等の実行指示や各種連絡に係るワークフロー機能、関連する他社の知的財産権情報の取得やウォッチなどの機能が含まれる。さらに、これらの各機能や対象の情報について、その種類や特性等に応じて、作成、表示、更新、削除、実行、承認などの各操作を行うことが含まれる。
【0030】
これらの各種機能を実装する管理機能群12は、各企業3に共通の汎用的な機能か、特定の企業3に独自の機能か、および、各企業3が自身のニーズに応じて内容を独自に変更することができるか否かによって、例えば、汎用機能121、オプション機能123、個別追加機能124、および汎用機能121における個別設定122に分類されて管理される。
【0031】
図2は、管理機能群12により提供される各種機能の位置付けについて概要を説明する図である。図2では、各企業3として、「甲社」〜「戊社」の5つ(それぞれの管理機能群12は甲社管理機能群12A〜戊社管理機能群12Eで表される)が、知的財産情報管理システム1により提供されるサービスを共同利用している状態を示している。ここで、例えば、各企業3に共通で、かつ必要的に提供される基本的な機能(もしくは当該機能を実現するモジュールやプログラム等)は、汎用機能121として分類される。汎用機能121の中でも、例えば、案件に係る複数種類のデータ項目についてそれぞれ画面に表示するか否かの設定や、表示する際のソート順など、画面表示上の軽微なバリエーションに相当するような部分については、各企業3もしくはユーザが独自に設定可能とされる場合があり、その設定内容は、個別設定122などに保持される。
【0032】
また、機能自体は各企業3に共通として実装されているが、例えば、これを利用するためには利用を希望する旨を契約等により個別に指定・要求して、サービス提供事業者により利用を開放してもらう等の設定が必要となるような機能は、オプション機能123(図2の例ではオプション機能A(123A)〜オプション機能D(123D))として分類される。すなわち、各企業3のニーズに応じて利用の要否を設定することができるが(図2の例では甲社管理機能群12Aと乙社管理機能群12Bのみがオプション機能123を利用している)、利用している各企業3の間では共通の機能となるものである。オプション機能123についても、汎用機能121と同様に企業3毎の軽微な設定変更を可能としてもよい。
【0033】
また、各企業3のニーズに特化した専用の機能として契約等に基づいて個別に実装された機能は、個別追加機能124として分類される(図2の例では甲社管理機能群12Aと丙社管理機能群12Cのみが個別追加機能124を実装している)。ある企業3についての個別追加機能124が、他の一部または全部の企業3についても適用可能な汎用性を有する場合には、これをオプション機能123として再構成することも可能である。
【0034】
本実施の形態では、さらに、同じ汎用機能121であっても、企業3のニーズに応じてマスタDB18の参照先を変えることで異なる機能内容、動作内容とすることが可能である。例えば、戊社の管理機能群12である戊社管理機能群12Eでは、知的財産権に係る法改正等に伴って最新マスタDB18Bが提供された後でも、従前の旧マスタDB18Aを参照するように設定することができる。複数世代のバージョンが存在し得るマスタ情報としては、例えば、知的財産権に係る法令等によって決定される各種の手続費用や期限に関するマスタ情報、国際特許分類や商標区分などのカテゴリに関するマスタ情報などの他に、管理機能群12の各機能を実装するプログラムやモジュールなども含まれ得る。参照先のマスタDB18を切り替える点についての詳細は後述する。
【0035】
このように、管理機能群12における企業3毎のニーズへの対応方法を分類したうえで、各企業3がどういう構成をとっているかを管理することで、例えば、企業3のニーズに基づく機能追加や、サービス提供事業者の主導による新機能開発、バグ修正などの際に、対象機能の内容と、他の企業3の現状の構成などに基づいて影響範囲を把握し、適切な対応をとることが可能となる。具体的には、例えば、オプション機能123を新たに追加すればよいのか、汎用機能121における個別設定122で設定を追加したり設定可能項目を新たに開発すればよいのか(例えば法改正対応など)、設定変更できない汎用機能121の部分について一律に追加・修正を加えればよいのか(例えばバグ修正など)、これらでは対応できず個別追加機能124の追加によるカスタマイズが必要なのか等のいずれに該当するかで、適切な開発範囲を決定することがより期待できるようになる。
【0036】
図1に戻り、課金処理部13は、サービス提供事業者が、各企業3に対して、例えば、契約の内容、およびこれに基づく各企業3のサービスの構成内容、リソースの実際の使用量などに基づいて課金を行う、もしくはそのために必要となる情報を算出して出力する機能を有する。本実施の形態では、上述したように、各企業3についての管理機能群12の構成(サービスの構成)の情報を、例えば、契約DB15やユーザDB16、個別設定122などのデータストアにて管理しているため、課金処理部13では、これらの情報に基づいて、構成内容に基づく課金を行うことができる。例えば、各オプション機能123の利用有無と単価、個別追加機能124の利用有無と料金などに基づいて、所定の計算方法により構成内容に応じた料金を算出することができる。
【0037】
ユーザインタフェース部14は、例えば、図示しないWebサーバプログラムを利用して、ユーザに対する画面インタフェースを提供する機能を有する。例えば、ログイン認証を行った各ユーザについて管理機能群12の中のアクセス可能な機能を表示する画面を生成して、ユーザに応答する。また、当該画面を介してユーザからのアクセス要求を受け付けて、対応する管理機能群12を呼び出すことにより、案件に対する各種機能や操作を実行し、結果を表示する画面を生成してユーザに応答する。
【0038】
企業3における発明者や関連部門、知財部員などのユーザは、各ユーザが利用するPC(Personal Computer)等の情報処理端末である企業端末31上の図示しないWebブラウザ等を利用して、ネットワーク2を介して知的財産情報管理システム1のユーザインタフェース部14にアクセスし、案件に対する各種機能や操作を実行する。
【0039】
<アプリケーションおよび参照するマスタDBの更新>
図3は、マスタDB18の更新に伴う管理機能群12の更新の例について概要を示した図である。図3(a)は、マスタDB18の更新に伴って各企業3(図3の例では甲社管理機能群12Aおよび乙社管理機能群12B)が旧マスタDB18Aから最新マスタDB18Bに参照先を完全に更新する場合の例を示している。この場合、甲社管理機能群12Aおよび乙社管理機能群12Bのいずれも最新マスタDB18Bを参照するようになり、旧マスタDB18Aは参照されなくなるため、旧マスタDB18Aに対する管理は以後不要となる。
【0040】
一方で、例えば、知的財産権に係る法令等の改正によって、これらの法令等によって決定される各種の手続費用や期限に関するマスタ情報からなるマスタDB18を更新した(最新マスタDB18Bを作成した)場合、企業3が案件DB17上で管理する各案件について、その出願日により、最新マスタDB18Bが適用されるのか、従前の旧マスタDB18Aが適用されるのかが決定される場合が生じる。また、例えば、国際特許分類のように、出願日などにより一律に決定されるのではなく、ユーザがどの版を使用するかを選択することができるマスタ情報もある。このように、知的財産権に係る案件管理では、法令等に基づくマスタ情報について複数世代が並行的に用いられる場合があるという特性を有する。
【0041】
図3(b)は、各企業3(図3の例では丁社管理機能群12Dおよび戊社管理機能群12E)の選択により、および/または案件の出願日等により、参照先のマスタDB18として複数世代を用いる場合の例を示している。丁社管理機能群12Dおよび戊社管理機能群12Eがいずれも旧マスタDB18Aを参照している状態で、最新マスタDB18Bが作成された場合、丁社(丁社管理機能群12D)のように、従前のまま旧マスタDB18Aを全面的に参照することを選択することも可能である。一方で、戊社(戊社管理機能群12E)のように、基本的には最新マスタDB18Bを参照先とするものの、案件の出願日に応じて旧マスタDB18Aを参照するというように、案件毎に参照先を切り替えるようにすることも可能である。
【0042】
なお、上記の例では、企業3の単位でマスタDBの参照先を決定するものとしているが、企業3が管理する案件の単位や、企業3に属するユーザの単位で決定するようにしてもよい。また、上記の例では、案件の出願日によって法令に基づくマスタ情報を保持するマスタDB18の参照先を決定するものとしているが、これに限られない。例えば、マスタDB18として、企業3の社内規則・規定に基づいて発明者等に供与する報奨金等に係るマスタ情報を保持するものとし、出願日以外の任意の日付項目を参照先を決定する際の基準とすることができる。
【0043】
図3(a)において示したように、全ての企業3が最新マスタDB18Bを参照先とするよう移行し、旧マスタDB18Aを参照しなくなると、旧マスタDB18Aに対する管理は以後不要となることから、サービス提供事業者の保守運用に要する負荷は増えずに済む。逆に、旧マスタDB18Aがいずれかの企業3から参照先とされる限り、サービス提供事業者ではこれに対する保守が必要となり、最新マスタDB18Bの保守と併せて運用負荷が大きく増大することになる。
【0044】
このような状況を回避するためには、各企業3に早期に最新マスタDB18Bに参照先を切り替えるよう移行してもらう必要がある。そこで、本実施の形態では、旧マスタDB18Aを利用する企業3に対して、早期に最新マスタDB18Bに移行するためのインセンティブを与えることができるような課金手法をとる。
【0045】
図4は、旧マスタDB18Aの利用に対する課金手法の例について概要を示した図である。上段の図では、甲社(甲社管理機能群12A)〜戊社(戊社管理機能群12E)の5つの企業3のうち、戊社(戊社管理機能群12E)のみが最新マスタDB18Bの利用に完全に移行し、甲社(甲社管理機能群12A)〜丁社(丁社管理機能群12D)の4つの企業3は、依然として旧マスタDB18Aの利用を継続している状態であることを示している。
【0046】
なお、上述の図3(b)に示したように、「最新マスタDB18Bに完全に移行する」とは、最新マスタDB18Bのみを参照し、企業3の選択によって旧マスタDB18Aに参照先を切り替えることがない(出願日等によって適用される法令等が必然的に変わることに基づくものを除く)ことを意味する。また、「旧マスタDB18Aの利用を継続している」とは、少なくとも旧マスタDB18Aを参照する場合があることを意味し、企業3の選択によって一部の項目については最新マスタDB18Bに参照先を切り替えることがある場合も含む。
【0047】
ここで、サービス提供事業者による各企業3への課金手法として、最新マスタDB18Bの利用については、サービスの利用に際して各企業3に共通に課される基本料金に含まれるものとする。すなわち、各企業3は、基本料金を支払っている限り契約の範囲内で自由に利用することができる。
【0048】
一方で、旧マスタDB18Aの利用については、依然としてこれを利用する企業3に対して、その利用に係る料金を受益者負担として追加的に課金する。例えば、サービス提供事業者が旧マスタDB18Aの保守運用を継続するために要するコスト等に見合うものとして定められた一定の利用金額を、当該旧マスタDB18Aの利用を継続する企業3の数に応じて、均等、もしくは所定のルールに基づいて決定される割合で按分するなどによりそれぞれに課金する。なお、各企業3が旧マスタDB18Aの利用を継続しているか否かは、例えば、各企業3の構成に係る情報として、契約DB15等を参照することでシステム的に容易に把握することができる。
【0049】
図4の上段の例では、甲社〜丁社の4社には、この4社で均等に按分された額が、基本料金に上乗せされて課金されるため、コスト面での余計な負担が大きくなる。従って、コストの負担を抑えるために、旧マスタDB18Aの利用をやめて早期に最新マスタDB18Bのみを利用するように移行するという方向へのインセンティブが働く。
【0050】
図4の中段の例では、上段の図の状態から新たに丙社および丁社の2社が最新マスタDB18Bの利用に完全に移行した状態を示している。これらの2社は、最新マスタDB18Bのみを参照することから基本料金の負担のみでよくなり、余計なコストの発生を抑えることができる。一方で、依然として旧マスタDB18Aを利用する甲社と乙社の2社は、旧マスタDB18Aを利用するための利用金額をこれらの2社で按分して負担することになるため、上段の図の場合と比較して企業3あたりに課金される金額はより大きくなる。従って、早期に最新マスタDB18Bのみを利用するように移行するという方向へのインセンティブがより強く働く。
【0051】
図4の下段の例では、中段の図の状態から新たに乙社が最新マスタDB18Bの利用に完全に移行した状態を示している。この場合、依然として旧マスタDB18Aを利用する企業3としては甲社のみが残ることから、旧マスタDB18Aを利用するための利用金額は甲社が全額を負担することになるため、上段の図の場合と比較して課金される金額はより大きくなる。従って、早期に最新マスタDB18Bのみを利用するように移行するという方向へのインセンティブがより一層強く働く。
【0052】
なお、旧マスタDB18Aを利用する企業3が1社のみであるという状態は、当該企業3のニーズに特化してカスタマイズした専用の個別追加機能124を利用しているのと同じ状態であるといえる。従って、旧マスタDB18Aの継続利用に伴う按分の元となる利用金額は、サービス提供事業者が当該機能を専用の個別追加機能124として保守、運用する際に利用者に課される料金に相当する金額として設定することができる。一方で、最新マスタDB18Bに完全に移行した企業3がなく、全ての企業3が旧マスタDB18Aの利用を継続している場合は、サービス提供事業者による運用コストの回収という観点から、上記と同様に利用金額を全ての企業3により按分して追加的に課金してもよいし、基本料金に含めて調整することも可能である。
【0053】
図4の例では、参照先のマスタDB18について、旧マスタDB18Aの利用を継続する場合に受益者負担としての追加的な課金を行うものとしているが、上述したように、マスタ情報には各種の手続費用や期限などの情報の他に管理機能群12の各機能を実装するプログラムやモジュールなども含まれ得る。従って、例えば、オプション機能123をバージョンアップした際に、1つ以上の企業3が、自社システムとの連携等の観点から、最新バージョンのオプション機能123を利用せず、旧バージョンのオプション機能123の利用を継続するというような場合にも上記の課金手法を同様に適用することができる。
【0054】
また、図4の例では、旧マスタDB18Aの継続利用の有無を企業3の単位で把握して、当該企業3に対して追加的に課金しているが、これに限らず、各企業3が管理する案件の単位で旧マスタDB18Aの継続利用の有無を把握して、継続利用している案件の数で全体の利用金額を按分し、案件単位で追加的に課金するよう構成することも可能である。
【0055】
図4の例に示したような仕組みにより、各企業3に対して、早期に最新マスタDB18Bのみを利用するように移行するという方向へのインセンティブを働かせることができるが、そのためには、各企業3に対して、最新マスタDB18Bへの完全移行を促すよう通知等するとともに、旧マスタDB18Aの利用を継続することで追加的に課金される金額がいくらになるのかの情報を通知等することが望ましい。
【0056】
例えば、サービスの利用契約を1年単位で行っている場合、契約更新の1ヶ月前などの適切な期間内において、課金処理部13が契約DB15等を参照し、契約更新のタイミングで旧マスタDB18Aを継続利用している予定の企業3の数を算出し、その数によって旧マスタDB18Aの継続利用に係る全体の利用金額を按分した結果を、追加的に課金される予定金額として各企業3にユーザインタフェース部14を介して通知することができる。企業3のユーザは、ユーザインタフェース部14により企業端末31上に表示される画面を介して追加的に課金される予定の金額を把握し、必要に応じて当該ユーザもしくは企業3から指示を受けたサービス提供事業者のユーザが、参照先とするマスタDB18を最新マスタDB18Bのみに切り替えるよう設定変更する。変更後の内容は、契約DB15等に反映させる。
【0057】
旧マスタDB18Aの継続利用に係る利用金額については、例えば、知的財産情報管理システム1のシステム構成に係る情報として、図示しないデータベースやファイル等に保持していてもよいし、知的財産情報管理システム1の管理者等のユーザから都度入力を受け付けるようにしてもよい。
【0058】
<データ構成>
以下では、上述したような企業3毎のサービスの利用に係る構成管理と、これに基づいた課金処理を行うための各テーブルのデータ構成について説明する。
【0059】
図5は、契約DB15のデータ構成の例について概要を示した図である。契約DB15は、知的財産情報管理システム1を運営するサービス提供事業者と各企業3との間でそれぞれ締結されているサービスの利用契約の情報を保持するテーブルであり、例えば、契約ID、顧客名、契約区分、契約開始日、契約終了日、URL、契約オプション、参照マスタバージョン、個別追加機能情報、および追加課金額などの各項目を有する。
【0060】
契約IDの項目は、対象の契約を一意に識別するためのID情報を保持する。顧客名の項目は、サービス提供事業者との間で対象の契約を締結した顧客(図1における企業3)の表示名の情報を保持する。契約区分の項目は、対象の契約の種類や区分を特定するためのコード値等の情報を保持する。サービスの提供内容、提供レベルやオプションなどにより契約の種別等が複数存在する場合に、これを特定するための区分情報である。契約開始日および契約終了日の各項目は、それぞれ、対象の契約の開始日および終了日の情報を保持する。URLの項目は、対象の契約の顧客(企業3)に対して割り当てられた、知的財産情報管理システム1のユーザインタフェース部14により提供されるアクセス用ポータル画面のURL(Uniform Resource Locator)の情報を保持する。
【0061】
契約オプションの項目は、対象の契約において顧客(企業3)が利用を選択しているオプション機能123を特定するためのコード値やオプション機能名等の情報を保持する。本実施の形態では契約単位でオプション機能123の利用を選択できるものとしているが、案件単位など、異なる単位で選択できるようにしてもよい。参照マスタバージョンの項目は、対象の契約において顧客(企業3)が参照先として利用するマスタDB18のバージョンや版の情報を保持する。複数のマスタDB18が存在する場合にそれぞれに対して指定できるようにしてもよい。
【0062】
個別追加機能情報の項目は、対象の契約において顧客(企業3)がカスタマイズされた専用の個別追加機能124を有している場合には、これに関する情報を保持する。例えば、追加されたモジュール名や機能名、呼び出しのインタフェースを特定する情報などが含まれ得る。追加課金額の項目は、対象の契約において、各種オプション機能123や個別追加機能124の利用、旧マスタDB18Aの利用などに基づいて、課金処理部13により算出された、基本料金に加えて追加的に課金される料金の額の情報を保持する。
【0063】
図6は、ユーザDB16のデータ構成の例について概要を示した図である。ユーザDB16は、知的財産情報管理システム1により提供されるサービスを利用できる各企業3や関連する組織等に属するユーザのマスタ情報を保持するテーブルであり、例えば、ユーザID、契約ID、ユーザ名称、および連絡先などの各項目を有する。
【0064】
ユーザIDの項目は、各ユーザを一意に識別するためのID情報を保持する。例えば、上位数桁を契約毎に割り当てられるコード値により固定することで、ユーザIDと契約の関係を把握し、対象の契約に係る案件以外は参照できないよう制御することができる。契約IDの項目は、対象のユーザがサービスを利用する基礎となる契約を特定するID情報を保持する。当該IDの情報は、上述した図5の契約DB15に定義されている。ユーザ名称および連絡先の各項目は、それぞれ、対象のユーザの氏名や名称等の情報、および電子メールアドレスや電話番号等の連絡先の情報を保持する。
【0065】
図7は、案件DB17のデータ構成の例について概要を示した図である。案件DB17は、知的財産情報管理システム1による管理対象となる案件のマスタ情報を保持するテーブルであり、例えば、案件ID、契約ID、案件管理者、出願番号、元案件ID、案件ステータス、案件開始日、および案件終了日などの各項目を有する。案件IDの項目は、対象の案件を一意に識別するためのID情報を保持する。契約IDの項目は、対象の案件を保有し管理する企業3との間の契約を特定するID情報を保持する。案件管理者の項目は、対象の案件の管理者となる企業3の担当者を特定するID情報等を保持する。
【0066】
出願番号の項目は、対象の案件に係る知的財産権について出願手続がされた場合に、その出願番号の情報を保持する。公開公報が発行された場合の公報の番号や、特許権の設定登録等がされた場合の登録番号などの情報を合わせて保持するようにしてもよい。元案件IDの項目は、対象の案件に対して親子関係を有する親案件がある場合は、当該親案件を特定するID情報を保持する。例えば、分割出願や海外出願などに対して元の出願に係る案件を把握し、ファミリーの情報として管理するようにしてもよい。案件ステータスの項目は、対象の案件のステータスを区分するコード値等の情報を保持する。案件開始日および案件終了日の各項目は、それぞれ、対象の案件の開始日および終了日の情報を保持する。当該開始日と終了日により規定される期間外の場合は、対象の案件は管理の対象外となる。
【0067】
なお、上述の図5図7で示した各テーブルのデータ構成(項目)はあくまで一例であり、同様のデータを保持・管理することが可能な構成であれば、他のテーブル構成やデータ構成であってもよい。
【0068】
以上に説明したように、本発明の一実施の形態である知的財産情報管理システム1によれば、各企業3について共通の汎用機能121と、各企業3の独自設定部分(オプション機能123の選択、カスタマイズによる個別追加機能124の追加、汎用機能121内の個別設定122等)とを明確にし、企業3毎のこれらの利用状況を契約DB15等によって管理することで、アプリケーションやマスタDB18の保守作業に係る運用管理や課金処理を効率的、効果的に行うことができる。
【0069】
また、汎用機能121の部分であっても、知的財産権に係る法改正等により複数バージョンが存在し得るマスタDB18に対して、企業3毎に参照先を設定可能とし、さらに出願日等の日付に応じて参照先を動的に切り替え可能とすることで、企業3毎のニーズに柔軟に対応可能となる。さらに、旧マスタDB18Aを参照する場合には、これを利用する企業3の数で按分した利用金額を追加的に課金するという受益者負担の課金方法とすることで、最新マスタDB18Bへの移行のインセンティブとし、各企業3の参照先を最新マスタDB18Bにできるだけ集約させるようにすることで、運用管理の効率化を図ることが可能となる。
【0070】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、上記の実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、上記の実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、サービス提供事業者によりシステムが運用され、複数の異なるユーザ企業毎に、それぞれが独立した形で共同利用可能なサービスとして知的財産情報の管理機能を提供する知的財産情報管理システムに利用可能である。
【符号の説明】
【0072】
1…知的財産情報管理システム、2…ネットワーク、3…企業、
11…構成管理部、12…管理機能群、13…課金処理部、14…ユーザインタフェース部、15…契約DB、16…ユーザDB、17…案件DB、18…マスタDB、
31…企業端末、
121…汎用機能、122…個別設定、123…オプション機能、124…個別追加機能






図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7