(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記記憶部において前記所定のスロットに関連付けられて記憶されている前記記録媒体以外の前記記録媒体を取り出し対象とする場合、前記スロット書き換え部は前記所定のスロットに関連付けられた前記記録媒体の識別情報を取り出し対象の前記記録媒体の識別情報に書き換えるようにした請求項1記載のライブラリ制御装置。
前記所定のスロットは前記マガジンの蓋部に近接して配置されており、前記開放指示部により前記マガジンの蓋部が開放されたときに前記所定のスロットに格納された前記記録媒体を取り出し可能とする請求項3記載のライブラリ制御装置。
前記所定のスロットに取り出し対象となる前記記録媒体以外の前記記録媒体が格納されている場合に、前記スロット書き換え部は取り出し対象となる前記記録媒体に関連付けて記憶されている前記スロットの識別情報を前記所定のスロットの識別情報に書き換えるとともに、取り出し対象となる前記記録媒体以外の前記記録媒体に関連付けられて記憶されている前記所定のスロットの識別情報を他のスロットの識別情報に書き換えるようにした請求項1記載のライブラリ制御装置。
前記移動指示部は、前記スロット書き換え部により書き換えられた前記記憶部に従って、取り出し対象となる前記記録媒体以外の前記記録媒体を前記所定のスロットから他のスロットに移動させるとともに、取り出し対象となる前記記録媒体を前記所定のスロットに移動させるようにした請求項6記載のライブラリ制御装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ライブラリ装置において、記録媒体はマガジンの所定のスロットに格納されるため、オペレータはエラーが発生した記録媒体が格納されているスロットを探して当該スロットから記録媒体を抜き取る必要がある。特許文献1および特許文献2に記載のマガジンを用いる場合、オペレータはエラーが発生した記録媒体を引き出し可能なスロットへ移動させる指示をライブラリ装置に入力して、当該スロットから記録媒体を抜き取る必要がある。しかし、エラーが発生した記録媒体を新しい記録媒体に交換する場合、オペレータは別のスロットから記録媒体を誤って抜き出す可能性がある。また、オペレータが別の記録媒体を引き出し可能なスロットに誤って移動させる指示をライブラリ装置に入力する可能性がある。
本発明の目的は、取り出し対象の記録媒体をマガジン内の所定のスロットに確実に移動させてオペレータに取り出させることができるライブラリ制御装置およびライブラリ制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様は、複数の記録媒体を複数のスロットに格納するマガジンから所望の記録媒体をドライブに移動してデータの読み書きをするライブラリ制御装置に関する。ライブラリ制御装置は、記記録媒体の識別情報と記録媒体を格納するスロットの識別情報とを関連付けて記憶する記憶部と、記録媒体を当該記録媒体に関連付けて記憶部に記憶されたスロットに移動させる移動指示部と、取り出し対象となる記録媒体に関連付けて記憶されたスロットの識別情報を所定のスロットの識別情報に書き換えるスロット書き換え部とを具備する。
【0009】
本発明の第2の態様はライブラリ装置に関する。ライブラリ装置は、複数の記録媒体を複数のスロットに格納するマガジンと、マガジンから記録媒体を選択して搬送するアクセッサと、アクセッサにより搬送された記録媒体のデータの読み書きを行うドライブと、上記のライブラリ制御装置とを具備する。
【0010】
本発明の第3の態様は、ホストコンピュータと上記のライブラリ装置を具備するストレージ装置に関する。ホストコンピュータは、ライブラリ装置において記録媒体から読み出したデータを取得し、記録媒体に記録すべきデータをライブラリ装置に提供する。
【0011】
本発明の第4の態様は、複数の記録媒体を複数のスロットに格納するマガジンから所望の記録媒体をドライブに移動してデータの読み書きをするライブラリ制御方法に関する。ライブラリ制御方法は、記記録媒体の識別情報と記録媒体を格納するスロットの識別情報とを関連付けて記憶し、取り出し対象となる記録媒体に関連付けて記憶されたスロットの識別情報を所定のスロットの識別情報に書き換え、取り出し対象となる記録媒体を所定のスロットに移動させる。
【0012】
本発明の第5の態様は、複数の記録媒体を複数のスロットに格納するマガジンから所望の記録媒体をドライブに移動してデータの読み書きをするコンピュータに実行されるプログラムに関する。プログラムは、記録媒体の識別情報と記録媒体を格納するスロットの識別情報とを関連付けて記憶する処理と、取り出し対象となる記録媒体に関連付けて記憶されたスロットの識別情報を所定のスロットの識別情報に書き換える処理と、取り出し対象となる記録媒体を所定のスロットに移動させる処理とを実施する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、取り出し対象となる記録媒体が自動的に所定のスロットに移動される。これにより、オペレータは記録媒体を間違わずに所定のスロットから取り出すことができる。また、マガジン内において記録媒体とスロットとの位置関係が記録されており、取り出し対象となる記録媒体を所定のスロットに移動するときに当該記録媒体に関連付けて記録したスロット位置を所定のスロットの位置に自動的に書き換えることにより、記録媒体とスロットとの位置関係が自動的に更新される。更に、取り出し対象となる記録媒体を所定のスロットにのみ移動させたので、オペレータがマガジンの蓋部を開放して容易に当該記録媒体を取り出すことができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係るライブラリ制御装置およびライブラリ制御方法について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明に関するライブラリ装置100およびホストコンピュータ200からなるストレージ装置のブロック図である。ライブラリ装置100は、複数の記録媒体Mへのデータの読み書き処理を行う。ホストコンピュータ200は、ライブラリ装置100から記録媒体Mに記録されたデータを読み出すことや、記録媒体Mに記録すべきデータをライブラリ装置100に出力する。
【0017】
ライブラリ装置100は、マガジン110、ドライブ120、アクセッサ130、ライブラリ制御装置140、およびオペレーションパネル150を具備する。マガジン110は、複数の記録媒体Mを収納可能な収納棚である。ドライブ120は、記録媒体Mに対するデータの読み書き処理を実行する。アクセッサ130は、マガジン110とドライブ120との間で記録媒体Mを搬送する。ライブラリ制御装置140は、ドライブ120およびアクセッサ130を制御する。オペレーションパネル150は、オペレータによって操作されることにより、ライブラリ制御装置140に制御指示を入力する。また、オペレーションパネル150はオペレータに対して情報を表示する。
【0018】
図2は、ライブラリ装置100に備えられたマガジン110の斜視図である。マガジン110は、筐体111と、蓋部112と、筐体111内に格納される複数のマガジンセル113を具備する。
図2に示すマガジン110はマガジンセル113を9個備えているが、マガジンセル113の数は9個に限定されるものではない。
【0019】
マガジンセル113は、1つ以上の記録媒体Mを収納するケースである。マガジンセル113は、記録媒体Mを差し込むスロット114を複数備える。
図2に示すマガジンセル113はスロット114を2個備えているが、スロット114の数は2個に限定されるものではない。複数のマガジンセル113のうち、蓋部112に隣接する1つのマガジンセル113(以下、IOセル113−1という)は蓋部112に取り付けられている。これにより、IOセル113−1は蓋部112の着脱に伴ってマガジン110から着脱される。以下、IOセル113−1に設けられたスロット114をIOスロット114−1という。
【0020】
図3は、本発明の一実施例に係るライブラリ制御装置140のブロック図である。ライブラリ制御装置140は、入力部141、出力部142、記憶部143、移動指示部144、異常検出部145、スロット書き換え部146、開放指示部147、収納検知部148、およびインベントリ処理部149を具備する。
【0021】
入力部141は、オペレーションパネル150を介してオペレータから制御指示の入力を受け付ける。制御指示の例として、例えば、記録媒体Mの読み込み指示および書き込み指示、マガジン110の蓋部112の開放指示が挙げられる。また、入力部141はホストコンピュータ200に対してアクセッサ130による記録媒体Mの移動結果を通知する。出力部142は、オペレーションパネル150においてオペレータに対する指示を表示させる。オペレータに対する指示の例として、例えば、記録媒体Mの交換指示が挙げられる。
【0022】
図4は、ライブラリ制御装置140の記憶部143が記憶するスロット・媒体割当情報の一例を示す。記憶部143は、マガジンセル113のスロット114の位置と、当該スロット114に記録媒体Mが格納されているか否かを示す媒体有無情報と、当該記録媒体114Mの識別情報と、当該記録媒体Mの状態とを関連付けて記憶する。記憶部143は、スロット114の位置として、記録媒体Mの一時的な格納場所を示す「テンポラリスロット位置」と、記録媒体Mの元の格納場所を示す「正スロット位置(マスタデータ)」を記憶する。記憶部143が記憶する「スロット114の位置」にはスロット114のみならずドライブ120およびアクセッサ130も含まれる。但し、ドライブ120またはアクセッサ130については通常状態(即ち、記録媒体Mの異常が検出された状態や蓋部112が開放されている状態以外の状態)において記録媒体Mがスロット114に格納されていないものとする。つまり、
図4のスロット・媒体割当情報の「正スロット位置」がドライブ120またはアクセッサ130に該当する場合、該当レコードの「媒体有無情報」には「なし」が記憶される。記録媒体Mの識別情報は、バーコードなどの識別情報として記録媒体Mに貼付され、アクセッサ130が備えるリーダにより読み取られる。
【0023】
また、記憶部143はIOスロット114−1が有効であるか否かを示すIOスロットフラグを記憶する。ここで、IOスロット114−1が有効であるとは、IOスロット114−1を記録媒体Mの着脱用のスロットとしてみなすということであり、IOスロット114−1をデータ読み出しの対象として扱わないことを意味する。一方、IOスロット114−1が無効であるとは、IOスロット114−1の着脱を禁止し、IOスロット114−1を他のスロットと同様にデータ読み出しの対象として扱うことを意味する。
【0024】
移動指示部144は、記憶部143から移動対象となる記録媒体Mが格納されるスロット114に係る情報を読み出して、アクセッサ130に対して記録媒体Mを当該スロット114とドライブ120との間で移動させる指示を出力する。異常検出部145は、ドライブ120がデータを読み込んだ記録媒体Mに異常が発生しているか否かを判定する。異常検出部145は、記録媒体Mに異常が発生している場合、記憶部143において当該記録媒体Mの状態を「故障状態」に書き換える。
【0025】
スロット書き換え部146は、記録媒体Mの異常が検出された場合、当該記録媒体Mに関連付けられたスロット114の位置(即ち、テンポラリスロット位置)をIOスロット114−1に書き換える。また、スロット書き換え部146は記録媒体Mの異常検出後にマガジン110の蓋部112が閉じられた場合、異常が検出された記録媒体Mに関連付けられたスロット114の位置を元のスロット位置に書き換える。
【0026】
開放指示部147は、入力部141が蓋部112の取り外し指示の入力を受け付けた場合、マガジン110に対して蓋部112を開放させる指示を出力する。収納検知部148は、マガジン110の蓋部112が閉じられたか否かを検知する。インベントリ処理部149は、マガジン110の蓋部112が閉じられた場合、IOスロット114−1に格納された記録媒体Mについてインベントリ処理を行う。
【0027】
次に、
図5を参照してライブラリ制御装置140の動作について詳細に説明する。
図5は、ライブラリ制御装置140の処理手順を示すフローチャートである。利用者がオペレーションパネル150を操作して記録媒体Mの読み取り指示を入力すると、入力部141は当該読み取り指示を受け付ける(ステップS1)。移動指示部144は、読み取り指示が示す記録媒体Mの識別情報に関連付けてテンポラリスロット位置を記憶部143から読み出す(ステップS2)。次に、移動指示部144はテンポラリスロット位置のスロット114に格納された記録媒体Mをドライブ120に移動させる移動指示をアクセッサ130に送出する(ステップS3)。アクセッサ130は、移動指示に基づいてドライブ120に記録媒体Mを移動する。ドライブ120は、アクセッサ130により移動された記録媒体Mからデータを読み出す。
【0028】
異常検出部145は、データの読み出し完了までに記録媒体Mに異常が検出されたか否かを判定する(ステップS4)。異常検出部145は、記録媒体Mに異常があることを示す通知をドライブ120から受信した場合に当該記録媒体Mに異常があると判定する(ステップS4:YES)。異常検出部145は、記憶部143を参照して異常が発生した記録媒体Mの状態を「異常状態」に書き換える(ステップS5)。次に、出力部142は記録媒体Mに異常が発生した旨をオペレーションパネル150に表示させる(ステップS6)。
【0029】
次に、スロット書き換え部146は記憶部143を参照してIOスロットフラグが「有効」か否かを判定する(ステップS7)。IOスロットフラグが「無効」である場合(ステップS7:NO)、スロット書き換え部146はIOスロットフラグを一時的に「有効」に書き換える(ステップS8)。一方、IOスロットフラグが「有効」である場合(ステップS7:YES)、或いは、ステップS8でIOスロットフラグを「有効」に書き換えた場合、スロット書き換え部146は記憶部143を参照して異常が発生した記録媒体Mに関連付けられたテンポラリスロット位置を「IOスロット144−1」の識別情報に書き換える(ステップS9)。
【0030】
このとき、スロット書き換え部146はIOスロット114−1のテンポラリスロット位置を異常が発生した記録媒体Mに関連付けられた正スロット位置に書き換える(ステップS10)。つまり、スロット書き換え部146は、取り出し対象となる記録媒体Mの識別情報に関連付けられたテンポラリスロット位置を「IOスロット114−1」の識別情報に書き換える場合において記憶部143がIOスロット114−1と他の記録媒体Mとを関連付けて記憶しているときに、他の記録媒体Mに関連付けられたテンポラリスロット位置を取り出し対象となる記録媒体Mの識別情報に関連付けられた正スロット位置に書き換える。これにより、ライブラリ制御装置140は、IOスロット114−1に他の記録媒体Mが既に格納されている場合、他の記録媒体Mを格納するスロット114を確保することができる。
【0031】
図6は、ライブラリ制御装置140による記録媒体Mの異常発生の検知に伴って書き換えられたスロット・媒体割当情報の一例を示す。以下、
図5のステップS9およびステップS10において記憶部143の記憶情報がどのように書き換えられるかを説明する。ここでは、識別情報「#A」の記録媒体Mの異常発生の検知前に記憶部143が
図4に示すスロット・媒体割当情報を記憶しているものとする。具体的には、記憶部143はスロット114の識別情報「#1」と記録媒体Mの識別情報「#A」とを関連付け、スロット114の識別情報「#2」と記録媒体Mの識別情報「#B」とを関連付け、スロット114の識別情報「#29」と記録媒体Mの識別情報「#C」とを関連付け、スロット114の識別情報「#30」と記録媒体Mの識別情報「#D」とを関連付けて記憶している。また、識別情報「#29」と「#30」のスロット114がIOスロット114−1に相当する。
【0032】
ステップS9において、スロット書き換え部146は、識別情報「#A」の記録媒体Mに関連付けられたテンポラリスロット位置をIOスロット114−1に相当するスロット114の識別情報「#29」に書き換える。ステップS10において、スロット書き換え部146はIOスロット114−1に相当するスロット114の識別情報「#29」に関連付けられたテンポラリスロット位置を識別情報「#A」の記録媒体Mの正スロット位置を示すスロット114の識別情報「#1」に書き換える。
【0033】
図5に戻り、データ読み出しの完了までに記録媒体Mの異常が検出されない場合(ステップS4:NO)、或いは、スロット書き換え部146が記録媒体Mのテンポラリスロット位置を書き換えた場合、移動指示部144はステップS1で入力された読み取り指示に係る記録媒体Mの識別情報に関連付けて記憶部143に記憶されたテンポラリスロット位置を読み出す(ステップS11)。次に、移動指示部144はドライブ120に移動された記録媒体Mをテンポラリスロット位置のスロット114に移動させる移動指示をアクセッサ130に送出する(ステップS12)。
【0034】
これにより、異常が検知されない記録媒体Mは元のスロット114に格納され、異常が発生した記録媒体MはIOスロット114−1に相当するスロット114に格納される。このとき、移動指示部144は記録媒体Mの正スロット位置を記憶部143から読み出して、当該記録媒体Mを正スロット位置に移動した旨をホストコンピュータ200に通知する。これにより、ライブラリ装置100は記録媒体Mをスロット114に正常に格納した旨をホストコンピュータ200に通知する。
【0035】
次に、入力部141は利用者からマガジン110の蓋部112の開放指示を受け付けたか否か判定する(ステップS13)。ステップS6において記録媒体Mに異常が発生した旨がオペレーションパネル150に表示されている場合、利用者は記録媒体Mの取り外し又は交換のために蓋部112の開放指示を入力する。利用者から蓋部112の開放指示が入力されない場合(ステップS13:NO)、ライブラリ制御装置140は
図5の処理手順を終了する。
【0036】
利用者により蓋部112の開放指示が入力された場合(ステップS113:YES)、開放指示部147は記憶部143を参照してIOスロットフラグが「有効」か否かを判定する(ステップS14)。IOスロットフラグが「無効」である場合(ステップS14:NO)、ライブラリ装置100はマガジン110に対して蓋部112の開放指示を送出せずに
図5の処理手順を終了する。一方、IOスロットフラグが「有効」である場合(ステップS14:YES)、スロット書き換え部146はテンポラリスロット位置が書き換えられていない他のIOスロット114−1の当該テンポラリスロット位置をアクセッサ130に書き換える(ステップS15)。このとき、スロット書き換え部146はアクセッサ130のテンポラリスロット位置をステップS15でテンポラリスロット位置を書き換えた他のIOスロット114−1に書き換える(ステップS16)。
【0037】
図7は、マガジン110の蓋部112の開放指示により書き換えられたスロット・媒体割当情報の一例を示す。ここでは、
図5のステップS15およびステップS16により記憶部143のスロット・媒体割当情報がどのように書き換えられるかを説明する。ここで、蓋部112の開放指示の入力前に記憶部143が
図6のスロット・媒体割当情報を記憶しているものとする。ステップS15において、スロット書き換え部146はIOスロット114−1に相当するスロット114の識別情報「#30」に関連付けられたテンポラリスロット位置をアクセッサ130に書き換える。ステップS16において、スロット書き換え部146はアクセッサ130のテンポラリスロット位置をスロット114の識別情報「#30」に書き換える。
【0038】
次に、移動指示部144は記憶部143のスロット・媒体割当情報に従って、2つのIOスロット114−1のうち異常検出された記録媒体Mが格納されていないスロット114に格納された他の記録媒体Mをアクセッサ130に把持させる指示を送出する(ステップS17)。これにより、2つのIOスロット114−1のうち異常検出された記録媒体Mが格納されていないスロット114が空になる。
【0039】
次に、開放指示部147は蓋部112の開放指示をマガジン110に送出する(ステップS18)。これにより、オペレータはマガジン110のIOセル113−1を引き出すことができ、IOスロット114−1から記録媒体Mを取り外し又は交換することができる。このとき、IOセル113−1に設けられた2つのIOスロット114−1のうち、1つのみに記録媒体Mが格納されている。これにより、オペレータは異常が発生した記録媒体Mを間違えずに取り外し又は交換することができる。
【0040】
オペレータはIOスロット114−1から記録媒体Mを取り外し又は交換した後、蓋部112を閉じてIOセル113−1をマガジン110に収納する。収納検知部148がマガジン110にIOセル113−1が収納されたことを検知すると(ステップS19)、異常が検出された記録媒体Mが格納されていないスロット114およびアクセッサ130に関連付けられたテンポラリスロット位置をそれぞれ正スロット位置に書き換える(ステップS20)。
【0041】
次に、移動指示部144は記憶部143のスロット・媒体割当情報に従ってアクセッサ130が把持している記録媒体MをIOスロット114−1に格納させる指示を送出する(ステップS21)。インベントリ処理部149は、IOスロット114−1に対してインベントリ処理を実行し、その結果を記憶部143に記憶する(ステップS22)。スロット書き換え部146は、ステップS7でIOスロットフラグが「有効」であると判定していたか否かを判定する(ステップS23)。ステップS7においてIOスロットフラグが「無効」であると判定していた場合(ステップS23:NO)、スロット書き換え部146は記憶部143においてIOスロットフラグを「無効」に書き換える(ステップS24)。
【0042】
IOスロットフラグが「有効」であると判定した場合(ステップS23:YES)、或いは、ステップS24においてIOスロットフラグを「無効」に書き換えた場合、スロット書き換え部146は全てのテンポラリスロット位置を正スロット位置に書き換える(ステップS25)。次に、移動指示部144は記憶部143のスロット・媒体割当情報に従って記録媒体Mを元のスロット114に格納させる指示を送出する(ステップS26)。そして、移動指示部144はホストコンピュータ200に対してインベントリ処理の結果を通知し、
図5の処理手順を終了する。
【0043】
このように、本実施例に係るライブラリ制御装置140は記憶媒体143を参照して取り出し対象となる記録媒体Mの識別情報に関連付けられたテンポラリスロット位置をIOスロット114−1に書き換える。これにより、取り出し対象となる記録媒体MがIOスロット114−1に格納されるため、オペレータは間違わずに当該記録媒体MをIOスロット114−1から取り出すことができる。
【0044】
本実施例によれば、取り出し対象となる記録媒体MをIOスロット114−1に格納することができる。マガジン110の蓋部112の開放によりIOスロット114−1からのみ記録媒体Mを取り出すことができる。このため、ライブラリ装置100はインベントリ処理の実行対象をIOスロット114−1のみに限定することができる。そのため、全てのスロット114に対してインベントリ処理を実行する技術に比べて、本実施例に係るライブラリ制御装置140はインベントリ処理の実行時間を大幅に短縮することができる。また、ライブラリ装置100はインベント処理の実行中は次の命令を受け付けることができないため、本実施例によりライブラリ装置100の可用性を向上させることができる。
【0045】
本実施例によれば、ライブラリ制御装置140はマガジン110の蓋部112が閉じられた場合、テンポラリスロット位置を元の位置(即ち、正スロット位置)に書き換える。これにより、利用者が取り出し対象となる記録媒体Mを取り出してIOスロット114−1が戻された場合、記録媒体Mの格納場所を元のスロットに戻す。
【0046】
本実施例によれば、ライブラリ制御装置140は、取り出し対象となる記録媒体Mの識別情報に関連付けられたテンポラリスロット位置をIOスロット114−1に書き換える際に記憶部143が他のIOスロット114−1と他の記録媒体Mとを関連付けて記憶している場合、他の記録媒体MをIOスロット114−1に関連付けずにアクセッサ130に関連付ける。ここで、「他のIOスロット114−1」とは、IOセル113−1において取り出し対象の記録媒体Mを格納したIOスロット114−1に隣接配置されたものである。これにより、ライブラリ装置100においてマガジン110の蓋部112が開放されるときにIOセル113−1には取り出し対象の記録媒体Mのみが格納される。
【0047】
本発明について
図1乃至
図7を参照して詳細に説明したが、具体的な構成は本実施例に限定されるものではなく、様々な設計変更を実施することが可能である。上述した実施例では異常(又は障害)が検出された記録媒体Mを取り出し対象とするが、これに限定されるものではない。例えば、使用制限を超えたクリーニング媒体を取り出し対象としてもよい。
【0048】
上述の実施例において、スロット書き換え部146は他のIOスロット114−1に格納された記録媒体Mのテンポラリスロット位置をアクセッサ130に書き換えたが、これに限定されるものではない。例えば、他のIOスロット114−1に格納された記録媒体Mのテンポラリスロット位置をドライブ120に書き換えてもよい。また、マガジン110内に記録媒体Mが格納されていないスロット114が1つでもある場合、スロット書き換え部146は他のIOスロット114−1に格納された記録媒体Mのテンポラリスロット位置を記録媒体Mが格納されていないスロット114に書き換えてもよい。
【0049】
上述の実施例では、マガジン110の蓋部112が開放されるときにIOセル113−1のIOスロット114−1に格納された記録媒体Mを取り出し対象とするが、これに限定されるものではない。例えば、マガジン110の蓋部112が開放されるときにIOセル113−1のIOスロット114−1に複数の記録媒体Mが格納されてもよい。この場合、オペレータが誤って取り出し対象ではない記録媒体MをIOスロット114−1から取り出す可能性があるが、取り出し対象の記録媒体Mを格納するIOスロット114−1を予め定めておくことで、オペレータが間違って記録媒体Mを取り出すことを防止することができる。
【0050】
次に、本発明に係るライブラリ制御装置140の基本構成について
図8を参照して説明する。
図8は、ライブラリ制御装置140の基本構成を示すブロック図である。上述の実施例では、
図3に示す構成を有するライブラリ制御装置140について説明したが、ライブラリ制御装置140の基本構成は
図8に示す通りです。すなわち、ライブラリ制御装置140は記憶部143、移動指示部144、及びスロット書き換え部146からなる基本構成を具備している。
【0051】
記憶部143は、記録媒体Mの識別情報と、マガジン110において当該記録媒体Mを格納するスロット114の識別情報とを関連付けて記憶する。移動指示部144は、記憶部143を参照して記録媒体Mに関連付けられたスロット114に当該記録媒体Mを移動させる。スロット書き換え部146は、記憶部143において取り出し対象となる記録媒体Mの識別情報に関連付けられたスロット114の識別情報を所定のスロット114の識別情報に書き換える。これにより、ライブラリ制御装置140は取り出し対象となる記録媒体Mを所定のスロット114に移動させることができる。また、オペレータは取り出し対象となる記録媒体Mを確実に所定のスロット114から取り出すことができる。
【0052】
図9は、本発明に係るライブラリ制御装置140の機能を実装することができるコンピュータ900のブロック図である。コンピュータ900は、MPU(Micro Proessing Unit)901、主記憶装置902、補助記憶装置903、及びインタフェース904を具備する。上述のライブラリ制御装置140の機能はコンピュータ900に実装することができる。上述のライブラリ制御装置140の処理はプログラムとして補助記憶装置903に記憶されている。MPU901は、補助記憶装置903に記憶されたプログラムを主記憶装置902に読み込んで実行する。また、MPU901はプログラムに従って記憶部143に対応する記憶領域を補助記憶装置903に確保する。
【0053】
コンピュータ900において、補助記憶装置903は一時的でない有形の記憶媒体(不揮発性の記憶媒体)である。記憶媒体として、インタフェース904を介して接続される磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリが挙げられる。また、プログラムを通信回線を経由してコンピュータ900に配信する場合、コンピュータ900はプログラムを主記憶装置902に読み込んで実行することにより上述の処理を実施してもよい。
【0054】
また、プログラムはライブラリ制御装置140の機能の一部を実現するためのものであってもよい。更に、プログラムは補助記憶装置903に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで上述の機能を実現するような差分ファイル(又は、差分プログラム)であってもよい。