【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、請求項1による設備によって解決される。これに従属する請求項は、設備の可能な実施形態に関するものである。
【0006】
ここに記載されている設備(「設備」)は、三次元的な物体、すなわち例えば技術的な部材あるいは技術的なアセンブリを付加的に製造するために用いられる。設備は、それぞれ三次元的な物体(「物体」)の付加的な製造の範囲内で少なくとも1つの動作工程を実行するために設置されている1つ又は複数の動作ステーションを含んでいる。物体の付加的な製造の範囲における適当な動作工程は、一方では付加的な動作工程、すなわち実際には特に連続的で層ごとの選択的な露光及びこれに伴う、エネルギービームによる固化可能な構造材料から成る構造材料層の連続的で層ごとの選択的な固化による物体の付加的な構成がなされる付加的な構造工程と、付加的な動作工程あるいは構造工程前に実行されるべき、あるいは実行される準備的な動作工程、すなわち例えば粉体モジュールの洗浄工程、不活性化工程及び調温工程と、付加的な動作工程あるいは構造工程後に実行されるべき、あるいは実行される動作工程、すなわち例えば適当な粉体モジュールからの付加的に製造された物体の取り出し工程(Auspackvorgaenge)とに関するものである。
【0007】
したがって、付加的な動作工程のために設置された、プロセスステーションとも呼ばれるべき第1の動作ステーションは、物体を付加的に製造するための装置(「装置」)を含むことができる。この装置は、連続的で層ごとの選択的な露光及びこれに伴う、固化可能な材料から成る構造材料層の連続的で層ごとの選択的な固化によって、物体、すなわち例えば技術的な部材あるいは技術的なアセンブリを付加的に製造するために設置されている。構造材料は、粒子状あるいは粉体状の金属材料、合成樹脂材料及び/又はセラミック材料であり得る。選択的に固化される各構造材料層の選択的な固化は、物体に関する構造データを基礎として行われる。適当な構造データは、付加的に製造されるべき各物体の幾何形状−構造上の形状を記述するものであり、例えば付加的に製造されるべき物体の「スライスされた」CADデータを含むことが可能である。装置は、SLM装置として、すなわち選択的レーザ溶融法(SLM法)を実行するための装置として、又はSLS装置として、すなわち選択的レーザ焼結法(SLS法)を実行するための装置として形成されることが可能である。
【0008】
装置は、付加的な構造工程の実行に必要な機能構成要素を含んでいる。これには、特に、選択的に固化されるべき(装置の構造平面内における)構造材料層を形成するために設置されている積層装置と、選択的に固化されるべき(装置の構造平面内における)構造材料層を選択的に露光するために設置されている露光装置とが含まれている。積層装置は、典型的には複数の複数の構成要素、すなわち例えば特にブレード状の積層工具を含む積層要素と、積層要素を所定の運動軌道に沿ってガイドするためのガイド装置とを含んでいる。露光装置も、典型的には複数の構成要素、すなわち例えばエネルギービームあるいはレーザビームを発生させるためのビーム発生装置と、ビーム発生装置によって発生されるエネルギービームあるいはレーザビームを選択的に固化されるべき積層装置の露光されるべき範囲へ偏向させるためのビーム偏向装置(スキャナ装置)と、例えばレンズ要素、対物レンズ要素のような様々な光学的な要素とを含んでいる。上述の装置の機能構成要素は、典型的には、典型的には不活性化可能なプロセスチャンバに、又はこのプロセスチャンバ内に配置又は形成されている。
【0009】
補足的な(nachbereitender)動作工程の実行のために設置された、再加工ステーションとも呼ばれるべき、オプションの別の(あるいは第2の)動作ステーションは、付加的に製造された物体を取り出すための装置を含むことができる。装置は、付加的に製造された物体を包囲する、典型的には固化されていない構造材料を除去することによって負荷的に製造された物体を取り出すために設置されることが可能である。ここで、装置は、付加的に製造された物体を包囲する、典型的には固化されていない構造材料の除去に必要な機能構成要素を含んでいる。これには、特に、吸引流れ及び/又はブロワ流れを発生させるために設置されている吸引装置及び/又はブロワ装置が含まれ、吸引装置及び/又はブロワ装置を用いて、除去されるべき構造材料を吸引するか、又は吹き飛ばすことが可能である。
【0010】
準備された動作工程の実行のために設置された、準備ステーションとも呼ばれるべきオプションの別の(あるいは第3の)動作ステーションは、粉体モジュールの洗浄及び/又は不活性化及び/又は調温のための装置を含むことが可能である。装置は、粉体モジュールの洗浄及び/又は不活性化及び/又は調温のために設置されていることが可能である。ここで、装置は、粉体モジュールの洗浄及び/又は不活性化及び/又は調温に必要な機能構成要素を含んでいる。これには、特に、例えば粉体モジュール側で包囲された粉体チャンバを洗浄する洗浄流れを発生させるために設置されている洗浄装置あるいは粉体モジュール側で包囲された粉体チャンバを不活性化する不活性ガス流を発生させるために設置されている不活性化装置あるいは粉体モジュールを所定の目標温度へ調温するために設置されている調温装置が含まれる。
【0011】
各動作ステーションは、その機能的な構成にかかわらず、典型的には固有のハウジング構造を含んでおり、このハウジング構造には、又はこのハウジング構造内には、各動作ステーションの機能構成要素が配置又は形成されている。したがって、動作ステーションは、各ハウジング構造によって空間的−物理的に(raeumlich−koerperlich)規定された設備の個別の機能ユニットとみなされることができ、これら機能ユニットは、様々な構成において、例えば1つ又は複数の建物(部分)、特に工場ホールに互いに対して相対的に位置決め可能である。
【0012】
設備は、典型的には、三次元的な物体の付加的な製造の範囲において用いられる多数の粉体モジュールを含んでいる。各粉体モジュールは、構造材料の受け入れ及び/又は排出のために設置されているとともに、このために典型的には粉体チャンバを含んでいる。粉体チャンバは、構造材料で満たされた粉体空間を画成するものである。粉体空間は、少なくとも側方で通常中空直方体状あるいは中空円筒状に形成された粉体チャンバの壁部によって画成されている。粉体空間は、底部側では支持装置によって画成されている。この支持装置は、典型的には2つの端位置間で、すなわち(粉体モジュールの高さに関して)上方の端位置と下方の端位置の間で粉体チャンバに対して相対的に移動可能に支持されている。支持装置の移動可能な支持により、垂直な運動軸線に沿った、又は垂直な移動方向における特に線形な支持装置の移動の実現が可能となる。支持装置の移動可能な支持は、典型的にはこれに結合された、特に(電気)モータによる駆動装置及び/又はアクチュエータ装置によって実現されている。
【0013】
具体的には、粉体モジュールは、実際の付加的な物体の構成がなされ、このために付加的な構造工程の実行の範囲において連続的で層ごとの選択的に固化されるべき構造材料で満たされる構造モジュールであるか、又は付加的な構造工程の実行の範囲においてプロセスチャンバへ配量する配量モジュールであるか、又は付加的な構造工程の範囲において固化されない材料で満たされる収集モジュールあるいはオーバーフローモジュールであり得る。
【0014】
設備は、更に少なくとも1つの、典型的には複数の、自由に位置決め可能な可動の貯蔵ユニットと、少なくとも1つの、典型的には複数のドライバなしで自由に移動可能な可搬性の搬送ユニットとを含んでいる。後述のように、貯蔵ユニットと搬送ユニットの協働により、粉体モジュールの同時の貯蔵及び搬送を可能とする可搬性の搬送システム及び貯蔵システムが実現され得る。
【0015】
各貯蔵ユニットは、少なくとも1つの棚状の貯蔵装置を含んでいる。貯蔵装置は、少なくとも1つの粉体モジュールの貯蔵のために、特に設備の異なる動作ステーション間の粉体モジュールの搬送の目的のために設置されている少なくとも1つの貯蔵空間を含んでいる。貯蔵空間は、典型的には貯蔵ユニットの外形を規定する複数の、特に壁状のフレーム構造部分を含むフレーム構造によって形成されている。フレーム構造は、典型的には、貯蔵空間を画成する第1のフレーム構造部分と、貯蔵ユニットを地面へ設置することが可能な第2のフレーム構造部分とを含んでいる。各第1のフレーム構造部分は、貯蔵空間を特に底部側、側方側及びカバー側で画成することができる。第1のフレーム構造部分は少なくとも1つのアクセス開口部も規定し、このアクセス開口部を介して粉体モジュールが貯蔵空間へ、又は貯蔵空間から移動することが可能である。各第2のフレーム構造部分は、脚状に、すなわち特に脚部として形成されることができ、その結果、これら第2のフレーム構造部分により、地面上への貯蔵ユニットの安定した設置が可能となる。
【0016】
各搬送ユニットは、少なくとも1つの収容装置を含んでいる。この収容装置は、設備の異なる動作ステーション間での貯蔵ユニットの搬送の目的で少なくとも1つの可搬性の貯蔵ユニットを収容するために設置されている。各搬送ユニットは、典型的には、エネルギー貯蔵部、すなわち例えばバッテリを介してエネルギーを供給され得る、駆動力の発生のために設置された特に(電気)モータによる少なくとも1つの駆動装置と、駆動装置によって発生される駆動力を地面に対して相対的な搬送ユニットの移動の発生のために地面へ伝達するように設置された、駆動装置に結合可能な力伝達装置とを含んでいる。具体的には、力伝達装置は、いくつかの、例えば車輪、ローラ又はチェーンを含むことができ、車輪、ローラ又はチェーンにより、地面に対して相対的な搬送ユニットの移動の発生のために、駆動装置によって発生する駆動力地面への伝達が実現され得る。
【0017】
各搬送ユニットは、異なる、すなわち特に適宜に構成可能な運動軌道において自動化されて移動可能である。各運動軌道の構成は、各搬送ユニットの制御装置において不変に(fest)規定されることができるとともに、搬送ユニットへ伝達された制御情報を適当なもの、例えば無線によって変更することが可能である。適当な制御情報の伝達のために、すなわち特に適当な制御情報の受信のために、搬送ユニットは、適切な、特に無線に基づく通信インターフェースを備えることが可能である。適当な通信インターフェースは、特に搬送ユニットの互いの間での通信も可能とするものである。適当な通信は、特に、最新の、又は将来の搬送ユニットの移動あるいは位置決めに関する移動情報及び/又は位置情報の特に双方向の交換を含んでいる。
【0018】
適当な第1のフレーム構造部分には保持装置が配置又は形成されることができ、この保持装置は、貯蔵空間内での少なくとも1つの粉体モジュールの保持のために設置されている。保持装置は、粉体モジュールをフレーム構造に対して相対的に移動可能に保持するように設置されており、このために、保持装置は、保持装置に配置された粉体モジュールの、フレーム構造に対して相対的に移動可能な貯蔵を可能とする貯蔵要素を含んでいる。
【0019】
適当な貯蔵要素は、例えば、移動可能な貯蔵を形成しつつ粉体モジュールと協働する、すなわち例えばこのために粉体モジュール側に設けられた、例えば粉体モジュール側に存在する凹部によって形成された作用部分に係合するすべり貯蔵要素又は転動貯蔵要素であり得る。
【0020】
貯蔵空間の底部を画成する第1のフレーム構造部分が地面から間隔をあけて配置又は形成されることができ、その結果、第1のフレーム構造部分における地面に対向する面と地面の間に自由空間が形成されている。搬送ユニットが、特に高さ寸法に関して、貯蔵空間の底部を画成する第1の構造部分の下方へ自由空間内において高さ寸法が可動であるように寸法設定されることができる。自由空間内、すなわち貯蔵空間の底部を画成する第1のフレーム構造部分の下方への搬送ユニットの移動によって、貯蔵ユニットが搬送ユニットを収容する収容位置を規定することが可能である。
【0021】
収容装置は、昇降装置に結合された、例えばプレート式あるいはプレート状の少なくとも1つの収容要素を含んでいる。収容要素は、貯蔵ユニット(2)が地面から持ち上げ可能あるいは持ち上げられているように貯蔵ユニット、特に貯蔵空間の底部を画成する第1のフレーム構造部分において作用するよう収容要素が設置されている上方の位置と、貯蔵ユニットが地面から持ち上げ可能あるいは持ち上げられているように貯蔵ユニット、特に貯蔵空間の底部を画成する第1のフレーム構造部分において作用するよう収容要素が設置されていない下方の位置との間を移動できるように支持されている。昇降装置は、特に(電気)モータによる昇降駆動部、すなわち例えば昇降スピンドル駆動部又は昇降シリンダ駆動部を含むことができ、昇降駆動部は、各位置への収容要素の昇降力を発生させるために設置されている。
【0022】
各動作ステーションは、少なくとも1つの引渡しインターフェースを含むことができ、この引渡しインターフェースを介して、粉体モジュールを動作ステーションから貯蔵ユニットへ引渡し可能であるか、又は粉体モジュールを貯蔵ユニットから動作ステーションへ引渡し可能、すなわち引き渡されることが可能である。
【0023】
各搬送ユニットは、(自動化されて)所定の格納位置へ移動可能であり、この格納位置では、粉体モジュールを動作ステーションから搬送ユニット上で収容される貯蔵ユニットの貯蔵空間内へ引渡し可能であるように、搬送ユニットが前記引渡しインターフェースに対して相対的に移動されている。各搬送ユニットは、格納位置において、典型的には直接、引渡しインターフェースを備える各動作ステーションのハウジング構造の(露出した)外面へ、又はこの外面に対して移動されている。
【0024】
引渡しインターフェースは、閉鎖装置によって閉鎖可能であり得る。閉鎖装置は、粉体モジュールを動作ステーションから貯蔵ユニットの貯蔵空間(5)へ引き渡すために、又は粉体モジュールを貯蔵ユニットの貯蔵空間から動作ステーションへ引き渡すために引渡しインターフェースが解放されている開放位置と、粉体モジュールを動作ステーションから貯蔵ユニットの貯蔵空間へ引き渡すために、又は粉体モジュールを貯蔵ユニットの貯蔵空間から動作ステーションへ引き渡すために引渡しインターフェースが解放されていない閉鎖位置との間を移動できるように支持され得る閉鎖要素を含むことができる。開放位置あるいは閉鎖位置への、又はこれとは逆への閉鎖要素の移動は、自動化されて、格納位置への搬送ユニットの移動の検出に依存して、あるいは格納位置へ移動した搬送ユニットの検出に依存して行われることが可能である。格納位置への搬送ユニットの移動の検出あるいは格納位置へ移動した搬送ユニットの検出は、適切な検出装置によって実現されることができる。検出装置は例えば接近センサ又は接触センサを含むことができ、この接近センサ又は接触センサによって、格納位置への搬送ユニットの移動あるいは格納位置へ移動した搬送ユニットを検出することが可能である。
【0025】
各動作ステーションは、保持装置を有するハウジング構造を含むことができる。保持装置は、動作ステーションを通って延在する搬送軌道に沿ってハウジング構造に対して相対的に可動に粉体モジュールを保持するように設置されることができ、このために、保持装置が、この保持装置内に配置された粉体モジュールの、ハウジング構造に対して相対的に可動の貯蔵を可能とする貯蔵要素を含んでいる。適当な貯蔵要素は、ここでも例えば、移動可能な貯蔵を形成しつつ粉体モジュールと協働する、すなわち例えばこのために粉体モジュール側に設けられた、例えば粉体モジュール側に存在する凹部によって形成された作用部分に係合するすべり貯蔵要素又は転動貯蔵要素であり得る。動作ステーションは、保持装置と協働する駆動装置を含むことができ、この駆動装置を介して、搬送軌道に沿って粉体モジュールを移動させる駆動力を発生させることが可能である。
【0026】
動作ステーションの各保持装置と、貯蔵ユニット、特に搬送ユニットにおいて収容された各貯蔵ユニットの各保持装置とは、合目的には互いに一直線となっており、その結果、貯蔵ユニットと動作ステーションの間で延在する一貫した搬送軌道が生じ、この搬送軌道は、各保持装置において保持された粉体モジュールを問題なく動作ステーションから貯蔵ユニットへ、及びその逆へ引渡し可能であることを可能とするものである。
【0027】
同一の目的のために、動作ステーションの各保持装置及び貯蔵ユニットの各保持装置は、合目的には標準化あるいは同一に形成されている。
【0028】
本発明を、図面における実施例に基づき詳細に説明する。