(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本願発明の実施形態の説明]
最初に本願発明の実施形態の内容を列記して説明する。本願発明の一実施形態は、信号光が入力される光減衰器と、光減衰器から出力された信号光を増幅する光増幅器と、光増幅器から出力された信号光の強度を検知する検知手段と、を備える光装置において、光減衰器の減衰率を第1所定値に設定する第1のステップと、光増幅器の増幅率を第2所定値に設定する第2のステップと、光減衰器及び光増幅器を経て検知手段に入力された光の強度の検知結果に基づいて、光の強度を目標値に近づけるように光減衰器の減衰率を下げる第3のステップと、第3のステップにおいて、光減衰器が光の強度を減衰しない場合であって、検知される光の強度が目標値まで到達しない場合、光増幅器の増幅率を第2所定値よりも大きい値に設定する第4のステップと、を含む光装置の制御方法である。
【0011】
この光装置の制御方法によれば、光減衰器の減衰率を第1所定値に設定した後、光減衰器及び光増幅器を経て検知手段に入力された光の強度の検知結果に基づいて、当該光の強度を目標値に近づけるように光減衰器の減衰率を下げることができる。これにより、光減衰器からの出力光の強度等を検知しない場合であっても、光増幅器から出力される光の強度を目標値に近づけるように光減衰器の減衰率を容易に調整することができる。すなわち、光装置に複数の検知手段が含まれなくとも、光減衰器の減衰率を容易に調整することができる。加えて、第3のステップにおいて、光減衰器が光の強度を減衰しない場合であって、検知される光の強度が目標値まで到達しない場合であっても、光増幅器の増幅率を第2所定値よりも大きい値に設定することにより、当該光の強度を目標値に近づけることができる。したがって、光装置の大型化を抑制すると共に、光増幅器によって所望の光出力を容易に得ることが可能である。
【0012】
また、第1のステップにおいて設定される第1所定値は、検知手段が光の強度を検知できない状態にする値であってもよい。この場合、第1のステップにおいて検知手段が光を検知し、制御部が動作することが抑制される。
【0013】
[本願発明の実施形態の詳細]
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0014】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る光装置に含まれる光増幅装置の使用例を示す模式図である。
図1に示されるように、光増幅装置1は、光送信器2と光受信器3との間に設けられている。光増幅装置1は、コネクタ4aが取り付けられた光ファイバ4と、コネクタ5aが取り付けられた光ファイバ5とを有する。コネクタ4aは、例えば光送信器2に接続される光ファイバ6のコネクタ6aに接続されるように設けられる。コネクタ5aは、例えば光受信器3に接続される光ファイバ7のコネクタ7aに接続されるように設けられる。したがって、例えば光増幅装置1には光ファイバ4,6を伝搬する光が入力される。また、光増幅装置1は、例えば光ファイバ5,7を伝搬する光を光受信器3へ出力する。
【0015】
図2は、第1実施形態に係る光装置のブロック図である。
図2に示されるように、光装置30は、光増幅装置1と、光増幅装置1を制御する制御部21とを備える。光増幅装置1は、光減衰器(VOA:Variable Optical Attenuator)12と、光増幅器(SOA:SemiconductorOptical Amplifier)13と、スプリッタ14と、光の強度を検知する光検知部(検知手段)15とを有している。例えば、光減衰器12には光(入力光)L1が入力されると共に光L2が出力され、光増幅器13から光(出力光)L3が出力される。光L3の一部は、スプリッタ14を透過して外部に出射される。光L3の他部は、スプリッタ14によって反射し、光検知部15に入力される。光L1〜L3は、例えば信号光又は調整用の光である。光L2は光減衰器12を透過した光L1に相当し、光L3は光増幅器13を透過した光L2に相当する。
【0016】
光減衰器12は、入力された光を吸収し、当該光の強度を減衰する。光減衰器12は、半導体積層構造を有しており、例えばクラッド層、光減衰層、クラッド層、コンタクト層及び電極が順に積層された構造を有する。光減衰層は、例えば量子井戸構造(MQW:Multi Quantum Well)を有してもよい。
【0017】
光増幅器13は、入力された光を増幅する。光増幅器13は、光減衰器12と同様に半導体積層構造を有しており、例えばクラッド層、光増幅層、クラッド層、コンタクト層及び電極が順に積層された構造を有する。光増幅層は、例えば量子井戸構造を有している。
【0018】
制御部21は、光減衰器12の減衰率を所定値(第1所定値)に設定する。この所定値は、例えば光減衰器12によって減衰可能な最大率である。制御部21は、光検知部15による光L3の強度の検知結果によって、光減衰器12の減衰率を上記所定値から変化するように制御する。例えば、制御部21は、光検知部15の検知結果に基づいて光減衰器12の減衰率を徐々に下げる(光減衰器12から出力される光L2の強度を上げる)ように制御する。この制御部21による光減衰器12の減衰率の変化は、フィードバックによる制御であり、光減衰器12の減衰率及び光増幅器13の増幅率を設定した後に行われる(光増幅器13については後述する)。
【0019】
制御部21は、光増幅器13の増幅率を所定値(第2所定値)に設定する。この所定値は、例えば光増幅器13が入力された光の強度を安定的に増幅できる範囲(設定範囲)にある。所定値の最大値は、例えば15dBである。また、制御部21は、光検知部15による光L3の強度の検知結果によって、光増幅器13の増幅率を上記所定値から変化するように制御する。例えば、制御部21は、光増幅器13の増幅率を所定値よりも大きい値に設定することも可能である。具体例としては、光増幅器13の所定値の設定範囲が5dB〜15dBとされ、光増幅器13の増幅率を15dBとしても光L3の強度(利得)が不足であると判断された場合、制御部21は、光増幅器13の増幅率を16dB〜20dBの範囲にしてもよい。この制御部21による光増幅器13の増幅率の変化は、フィードバックによる制御であり、光減衰器12の制御が終了した後に行われる。
【0020】
このような制御部21の光減衰器12及び光増幅器13の制御によって、光増幅装置1から出力される光L3の強度を目標値に近づける。この目標値とは、
図1の光受信器3に求められた、光増幅装置1が出力する光の強度である。
【0021】
次に、
図3及び
図4を用いながら光増幅装置1の詳細な構成について説明する。
図3は、光増幅装置1の詳細な構成を示す平面断面図である。
図4は、
図3のIV−IV線矢視断面図である。
図3及び
図4に示されるように、光増幅装置1は、光増幅器13及び光増幅器13を収容するパッケージ40、第1光接続部41、第2光接続部42、及びレンズ43,44を備える。
【0022】
パッケージ40は、略直方体状の外観を有する中空部材である。パッケージ40は、互いに対向する側壁40a及び40b、互いに対向し側壁40a及び40bに対して垂直な方向に延びる側壁40c及び40dを有する。また、パッケージ40は、底板40i及び天板40jを有する。パッケージ40は、底板40iを除いて、例えばFe−Ni−Co合金からなる。底板40iは、例えば熱伝導性に優れたCuW合金からなる。側壁40aは、接合面40eを外面に含む。接合面40eには、後述する第1光接続部41が固定される。また、側壁40aには、開口部40gが形成されている。この開口部40gにはレンズ43が固定されており、光減衰器12の一端から延びる光軸D1がレンズ43を通過する。側壁40bは、接合面40fを外面に含む。また、側壁40bには、開口部40hが形成されている。この開口部40hにはレンズ44が固定されており、光増幅器13の一端から延びる光軸D2がレンズ44を通過する。
【0023】
パッケージ40は、光減衰器12及び光増幅器13に加えて、サブキャリア45、第1コリメートレンズ46、第2コリメートレンズ47、サーミスタ48、キャリア49a,49b、及び温度制御部(TEC:Thermo Electric Cooler)Tを収容している。キャリア49aには、光減衰器12が搭載されている。温度制御部T上のキャリア49bには、光増幅器13を搭載したサブキャリア45、第1コリメートレンズ46、第2コリメートレンズ47、及びサーミスタ48が搭載されている。
【0024】
光減衰器12は、レンズ43と第1コリメートレンズ46とによって挟まれている。光減衰器12の第1端面12aは、レンズ43に光学的に結合される。光減衰器12の第2端面12bは、第1コリメートレンズ46に光学的に結合される。
【0025】
光増幅器13は、第1コリメートレンズ46と第2コリメートレンズ47とによって挟まれている。光増幅器13の第1端面13aは第1コリメートレンズ46に光学的に結合される。光増幅器13の第2端面13bは、第2コリメートレンズ47に光学的に結合される。光増幅器13の第1端面13a及び第2端面13bからの戻り光を低減させるために、第1端面13a及び第2端面13bは、光軸D1及び光軸D2に垂直な面に対して傾斜して対向している。
【0026】
サブキャリア45は、光増幅器13を搭載する部材であり、例えばAlNからなる。温度制御部Tは、例えばペルチェ素子である。サーミスタ48は、光増幅器13の温度を検知するために、光増幅器13の近傍に設置される。
【0027】
側壁40dには開口部が形成されており、この開口部にはフィードスルー50が設けられている。フィードスルー50には、例えば金属配線52a〜52hが設けられ、金属配線52a〜52hは、それぞれ、温度制御部T、光減衰器12、光増幅器13、サーミスタ48に電気的に接続される。また、フィードスルー50には、金属配線52a〜52hにそれぞれ接続される外部端子53a〜53hが更に設けられている。外部端子53a〜53hは、例えば、光増幅器13用の駆動端子、光減衰器12用の駆動端子、温度制御部T用の端子、及びサーミスタ48用の端子として利用される。光減衰器12、光増幅器13及びサーミスタ48は、金属配線52a〜52h及び外部端子53a〜53hを介して、光増幅装置1の外部(例えば、
図2に示される制御部21)との間で電気信号の送受信を行う。フィードスルー50は、例えばセラミックからなり、金属配線52a〜52h及び外部端子53a〜53hは、例えばAuからなる。
【0028】
第1光接続部41は、例えばステンレスからなり、パッケージ40の接合面40eに溶接等によって固定され、光減衰器12の第1端面12aから延びる光軸D1を通過させる。第1光接続部41は例えば光レセプタクルである。第1光接続部41の内部には、スタブ61が収容されていると共に、光ファイバを収容する光ケーブル62が取り付けられている。スタブ61は、レンズ43に光学的に結合されている。スタブ61は、光レセプタクルのための光結合部品であり、例えばセラミックからなる。光ケーブル62は、スタブ61に光学的に結合されている。
【0029】
第2光接続部42は、例えばステンレスからなり、パッケージ40の接合面40fに溶接等によって固定され、光増幅器13の第2端面13bから延びる光軸D2を通過させる。第2光接続部42の内部には、スタブ63が収容されていると共に、光ファイバを収容する光ケーブル64が取り付けられている。
【0030】
次に、
図5を用いながら第1実施形態の光装置の制御方法の一例を説明する。
図5は、第1実施形態の光装置の制御方法を示すフローチャートである。
【0031】
図2及び
図5に示されるように、まず第1ステップとして、制御部21によって光減衰器12の減衰率を所定値(第1所定値)に設定する(ステップS1)。例えば、光減衰器12に所定の電圧を印加することにより、光減衰器12の減衰率を設定する。第1実施形態における光減衰器12の減衰率は、光減衰器12によって減衰可能な最大率とする。また、光減衰器12に印加される電圧は、例えば逆バイアス(0V未満)である。ステップS1では、光増幅器13の増幅率は0とすることが好ましい。すなわち、ステップS1において設定される所定値は、光検知部15が光の強度を検知できない状態にする値であることが好ましい。この場合、光増幅器13を流れる電流は0mAとなり、光増幅器13からの自然放射増幅光(ASE:Amplified Spontaneous Emission)が抑制されるので、好ましい。
【0032】
次に第2ステップとして、光減衰器12に光を入力する(ステップS2)。この光は、例えば光増幅装置1の出荷前検査時又は駆動時等に用いられる調整用の光である。光減衰器12は、ステップS1にて入力された光を減衰するように設定されているので、上記光の全て又は大部分は、光減衰器12にて吸収される。
【0033】
次に第3ステップとして、第2ステップ後に光増幅器13の増幅率を所定値(第2所定値)に設定する(ステップS3)。例えば、制御部21によって光増幅器13に所定の範囲の電流を流すように設定することにより、光増幅器13の増幅率を設定する。
図6は、光増幅器13に流れる電流値と光増幅器13の増幅率との関係の一例を示すグラフである。
図6において、縦軸は光増幅器13の増幅率を示し、横軸は光増幅器13を流れる電流値ISを示す。
図6に示されるグラフに基づいて、例えば光増幅器13を流れる電流を30mA〜70mAに設定することにより、光増幅器13の増幅率を5dB〜15dBの範囲にすることができる。
【0034】
次に、第4ステップとして、光増幅器13から出力された光の強度が目標値を越えたか否かを確認する(ステップS4)。光増幅器13から出力された光の強度が目標値を越えていない場合(ステップS4:NO)、第5ステップとして、光増幅器13から出力された光の強度を光検知部15によって検知し、この検知結果に基づいて光減衰器12の減衰率を下げる(ステップS5)。例えば光検知部15による光の強度の検知結果に基づいて、光減衰器12の減衰率を徐々に下げていくことにより、光増幅器13から出力される光の強度を目標値に近づける。ステップS5の後、再度ステップS4を行う。
【0035】
光増幅器13から出力された光の強度が目標値を越えた場合(ステップS4:YES)、第6ステップとして、光増幅器13から出力された光の強度を光検知部15によって検知しつつ、光増幅器13の増幅率を下げる(ステップS6)。ステップS6では、例えば制御部21による自動出力制御(APC)が行われる。なお、ステップS6を行う必要がない場合、ステップS6を省略してもよい。
【0036】
以上に説明した、第1実施形態に係る光装置30の制御方法によって得られる効果について説明する。
図7は、比較例に係る光装置のブロック図である。
図7に示される比較例の光装置130に含まれる光増幅装置100は、光減衰器12及び光増幅器13を有する。また、光増幅装置100は、スプリッタ101〜103と、フォトダイオード104〜106とを有している。スプリッタ101及びフォトダイオード104により、光増幅装置100に入力される光L1の強度が検知される。また、スプリッタ102及びフォトダイオード105により、光減衰器12によって減衰された光L2の強度が検知される。スプリッタ103及びフォトダイオード106により、光増幅器13から出力される光L3の強度が検知される。制御部21は、フォトダイオード104〜106の検知結果に基づいて、光減衰器12及び光増幅器13を制御している。このような光増幅装置100では、制御部21の制御により所望の光出力が容易に得られるものの、スプリッタ101〜103及びフォトダイオード104〜106により光増幅装置100が大型化してしまう問題がある。また、制御部21は、フォトダイオード104〜106の検知結果を用いるので、光減衰器12及び光増幅器13を制御するために複雑な演算が必要になる。
【0037】
これに対して、第1実施形態に係る光増幅装置1と制御部21を有する光装置30では、例えば光増幅装置100のスプリッタ101及びフォトダイオード104を用いて光減衰器12からの出力光の強度等を検知しない場合であっても、光増幅器13から出力される光の強度を目標値に近づけるように光減衰器12の減衰率を容易に調整することができる。すなわち、光増幅装置1に複数の光検知部15が含まれなくとも、光減衰器12の減衰率を容易に調整することができる。したがって、光装置30の大型化を抑制すると共に、光増幅器13によって所望の光出力を容易に得ることが可能である。
【0038】
また、ステップS1において設定される第1所定値は、光検知部15が光の強度を検知できない状態であってもよい。この場合、ステップS1において光検知部15が光を検知し、制御部21が動作することが抑制される。
【0039】
また、ステップS1後であってステップS3前に、光減衰器12に光を入力するステップS2をさらに含んでもよい。この場合、例えば光増幅装置1の調整中に光減衰器12によって減衰されない光が光増幅器13に入力されなくなる。これにより、光増幅器13から過大な強度を有する光が出力され、
図1に示される光受信器3等に入力されることを抑制できる。
【0040】
また、ステップS1において設定される所定値は、光減衰器12によって減衰可能な最大率であってもよい。この場合、ステップS1において光減衰器12からの光漏れを抑制することができる。
【0041】
また、第1実施形態に係る光装置30の制御方法は、後述する第2実施形態のように、光減衰器12の減衰率を第1所定値に設定するステップS1と、光増幅器13の増幅率を第2所定値に設定するステップS3と、光減衰器12及び光増幅器13を経て光検知部15に入力された光の強度の検知結果に基づいて、光の強度を目標値に近づけるように光減衰器12の減衰率を下げるステップS5と、ステップS5において、光減衰器12が光の強度を減衰しない場合であって、検知される光の強度が目標値まで到達しない場合、光増幅器13の増幅率を第2所定値よりも大きい値に設定するステップ(第4のステップ)と、を含んでもよい。この場合、上記作用効果に加えて、光減衰器12が光の強度を減衰しない場合であって、検知される光の強度が目標値まで到達しない場合であっても、光増幅器13の増幅率を第2所定値よりも大きい値に設定することにより、当該光の強度を目標値に近づけることができる。
【0042】
(第2実施形態)
以下では、第2実施形態に係る光装置の制御方法について説明する。第2実施形態の説明において第1実施形態と重複する記載は省略し、第1実施形態と異なる部分を記載する。つまり、技術的に可能な範囲において、第2実施形態に第1実施形態の記載を適宜用いてもよい。
【0043】
図8は、第2実施形態の光装置の制御方法を示すフローチャートである。
図8に示されるように、第2実施形態では、光増幅器13から出力された光の強度が目標値を越えていない場合(ステップS4:NO)、光減衰器12が光(調整用の光)を減衰しているか否かを確認する(ステップS11)。光減衰器12が光を減衰している場合(ステップS11:YES)、ステップS5を行った後、再度ステップS4を行う。
【0044】
光減衰器12が光を減衰していない(すなわち、光減衰器12の減衰率が0である)場合(ステップS11:NO)であって、光検知部15によって検知される光の強度が目標値を越えていない場合(すなわち、ステップS4:NO)、光増幅器13の増幅率を所定値(第2所定値)よりも大きい値に設定する(ステップS12)。このステップS12は、光増幅器13から出力された光の強度を光検知部15によって検知しながら行われる。ステップS12の後、ステップS6を行う必要があればステップS6を行い、動作を終了する。
【0045】
上述した第2実施形態に係る光装置30の制御方法であっても、第1実施形態と同様の作用効果が奏される。加えて、ステップS12において、光減衰器12が光の強度を減衰しない場合であって、検知される光の強度が目標値まで到達しない場合であっても、光増幅器13の増幅率を第2所定値よりも大きい値に設定することにより、当該光の強度を目標値に近づけることができる。
【0046】
また、光L3の強度は、
図1に示される、光増幅装置1と接続される光受信器3内のフォトダイオード(図示しない)によって検知されてもよい。この場合、光増幅装置1内にフォトダイオードが備えられていなくても、光L3の強度に応じて光増幅器13を好適にフィードバックにより制御できる。
【0047】
ここで、調整用の光の強度が異なる場合において、上記ステップS1〜ステップS6及びステップS11,S12を行った結果の一例を下記表1に示す。下記表1は、光減衰器12に入力された光(入力光)の強度Pinと、光減衰器12の減衰率VOA:ATTと、光増幅器13の増幅率SOA:Ampと、光増幅器13から出力された光(出力光)の強度Poutとをそれぞれ示している。出力光の強度Poutは目標値であり、一定の値とする。下記表1の結果を得るに至って、光減衰器12の減衰率の最大値を−30dBとし、目標値である出力光の強度Poutを−5dBmと設定した。また、ステップS3における光増幅器13の増幅率を15dBとし、ステップS12における光増幅器13の増幅率の最大率を20dBとした。
【0049】
図9は、光増幅装置1を透過する光の強度変化を示すグラフである。
図9において、縦軸は光の強度を示しており、横軸は光の位置を示している。
図9の横軸において、αは光減衰器12に入力される光の任意の位置であり、VOAinは光が光減衰器12に入力される位置であり、SOAinは減衰した光が光増幅器13に入力される位置であり、βは光増幅器13から出力される光の任意の位置である。αにおける光の強度はPinであり、βにおける光の強度はPoutである。また、
図9に示される各グラフa〜hは、表1のa〜hに対応している。
【0050】
図9及び上記表1に示されるように、例えばグラフhに示される光の強度Pinは10dBmであり、VOAinを超えると−20dBmまで減衰した。
図5,7に示されるように、ステップS3にて光増幅器13の増幅率は15dBであったので、ステップS4では光の強度Poutが−5dBmとなる。これにより、
図9及び上記表1に示されるように、目標値である−5dBmの強度を有する光が光増幅装置1から出力された。
【0051】
また、例えばグラフdに示される光の強度Pinは−10dBmである。光減衰器12を最大限に減衰した場合、光減衰器12の減衰率は−30dBである。よって、VOAinを超えると−40dBmまで減衰する。
図5,7に示されるように、ステップS3にて光増幅器13の増幅率は15dBであったので、ステップS4では光の強度Poutが−25dBmとなり、光増幅器13から出力する光の強度は目標値を越えていないと判断された。この場合、ステップS5を経て光減衰器12の減衰率を−10dBとすることにより、
図9及び上記表1に示されるように、目標値である−5dBmの強度を有する光が光増幅装置1から出力された。
【0052】
また、例えばグラフaに示される光の強度Pinは−25dBmである。光減衰器12を最大限に減衰した場合、光減衰器12の減衰率は−30dBである。よって、VOAinを超えると−55dBmまで減衰する。
図5,7に示されるように、ステップS3にて光増幅器13の増幅率は15dBであったので、ステップS4では光の強度Poutが−40dBmとなり、光増幅器13から出力する光の強度は目標値を越えていないと判断された。ステップS5を経て光減衰器12の減衰率を0dBにした(すなわち、光減衰器12は光を減衰しない)としても、ステップS4にて光増幅器13から出力する光の強度は目標値を越えていないと判断された。この場合、ステップS12にて光増幅器13の増幅率を20dBに設定したことにより、
図9及び上記表1に示されるように、目標値である−5dBmの強度を有する光が光増幅装置1から出力された。
【0053】
本発明による光装置30は、上述した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態において、ステップS1及びステップS2は同時に行われてもよい。また、上記実施形態において、ステップS1にて設定される光減衰器12の減衰率は、必ずしも光減衰器12によって減衰可能な最大率でなくてもよい。例えば、上記最大率よりも減衰率が小さくてもよい。また、ステップS1〜S6及びステップS11,S12の少なくとも一つを行う必要がない場合、当該ステップは省略してもよい。
【0054】
また、上記実施形態において、光減衰器12の温度も制御されてもよい。この場合、光減衰器12を搭載するキャリア49aは温度制御部上に搭載されてもよい。また、キャリア49a上には、サーミスタ等が搭載されていてもよい。