特許第6485902号(P6485902)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6485902
(24)【登録日】2019年3月1日
(45)【発行日】2019年3月20日
(54)【発明の名称】ロータリースクリーン印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41F 15/38 20060101AFI20190311BHJP
   B41F 15/08 20060101ALI20190311BHJP
   B41F 15/22 20060101ALI20190311BHJP
   B41F 33/08 20060101ALI20190311BHJP
   B41F 13/004 20060101ALI20190311BHJP
【FI】
   B41F15/38 Z
   B41F15/08 302D
   B41F15/22 Z
   B41F33/08 S
   B41F13/004 163
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-20822(P2015-20822)
(22)【出願日】2015年2月5日
(65)【公開番号】特開2016-141121(P2016-141121A)
(43)【公開日】2016年8月8日
【審査請求日】2017年12月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000184735
【氏名又は名称】株式会社小森コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100078499
【弁理士】
【氏名又は名称】光石 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】230112449
【弁護士】
【氏名又は名称】光石 春平
(74)【代理人】
【識別番号】100102945
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 康幸
(74)【代理人】
【識別番号】100120673
【弁理士】
【氏名又は名称】松元 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100182224
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲三
(72)【発明者】
【氏名】日下 明広
(72)【発明者】
【氏名】阪田 啓久
(72)【発明者】
【氏名】梅津 功
【審査官】 中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−030604(JP,A)
【文献】 特開2002−029031(JP,A)
【文献】 特開2011−051316(JP,A)
【文献】 特開2005−047216(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0042774(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 15/00−15/46
B41F 13/004
B41F 33/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状に形成され絵柄に応じた小孔を有するスクリーン版と、前記スクリーン版の内周面に対して接触可能に設けられたスキージとを備え、前記スキージにより前記スクリーン版の内側にあるインキを押し出して、押し出されたインキを被印刷物に転写するロータリースクリーン印刷装置において、
前記スクリーン版の一端を支持する第一の支持部材と、
前記スクリーン版の他端を支持する第二の支持部材と、
前記第一の支持部材と駆動連結され当該第一の支持部材を回転駆動する第一の駆動モータと、
前記第二の支持部材と駆動連結され当該第二の支持部材を回転駆動する第二の駆動モータと、
前記第一の駆動モータにかかるトルクを検知する第一のトルク検知器と、
前記第二の駆動モータにかかるトルクを検知する第二のトルク検知器と、
前記第一の駆動モータを本機と同期させて回転制御するとともに、前記第一のトルク検知器及び前記第二のトルク検知器の検知結果に基づいて前記第二の駆動モータが前記第一の駆動モータにかかるトルクと等しいトルクを出力するように前記第二の駆動モータを制御する制御装置と
を備えることを特徴とするロータリースクリーン印刷装置。
【請求項2】
前記第二の駆動モータから前記第二の支持部材への駆動を断接する駆動断接手段を備えた
ことを特徴とする請求項1記載のロータリースクリーン印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒状のスクリーン版を用いてスクリーン印刷を行うロータリースクリーン印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、布、紙等、広範囲な材質からなる被印刷物への高速印刷装置としてロータリースクリーン装置を利用したロータリースクリーン印刷機が知られている。ロータリースクリーン印刷機は、円筒状に形成されたスクリーン版の版面に形成された貫通孔からスキージによってインキを押し出して、押し出されたインキを被印刷物に転写する印刷方式となっている。
【0003】
一般的に、ロータリースクリーン装置は、前記スクリーン版と、当該スクリーン版の両端を支持する筒状の支持部材と、前記スクリーン版の内側に配設され前記小孔から圧胴側へインキを供給するスキージとを備えて構成されている。以下、円筒状に形成されたスクリーン版の両端に、支持部材としてのエンドリングが取り付けられたものをロータリースクリーンと呼ぶ。
【0004】
従来、このようなロータリースクリーン印刷装置にあっては、前記二つの支持部材の一方、すなわち、円筒体のスクリーン版の軸方向片側を回転駆動するロータリースクリーン印刷装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、円筒体のスクリーン版の両側の支持部材にギアを設け、前記スクリーン版を軸方向両側から回転駆動するものもある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−321157号公報
【特許文献2】特表2005−529000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、ロータリースクリーン印刷機では、スクリーン版における絵柄の分布状況や、スクリーン印刷における絵柄の鮮明化の要求によってスクリーン版の厚さがより薄くなってきていることから、主に印刷中のスクリーン版に対するスキージの押圧力によって、スクリーン版がわずかに歪み、ねじれが生じることがある。
【0007】
そして、上述した特許文献1に記載された発明においては、スクリーン版の片側を回転駆動する構成であるので、印刷中にインキをスクリーン版の小孔から押し出すためにスキージをスクリーン版の内側から押し付けると、駆動側と非駆動側とで回転にずれが生じ、スクリーン版の回転方向のねじれにつながって、左右の見当がずれてしまい、印刷品質が低下するおそれがあった。
【0008】
また、上述した特許文献2の構成であっても、スクリーン版の軸方向両側を同期させた歯車機構によってスクリーン版を回転駆動する(軸方向両側の歯車は同位相でスクリーン版を回転駆動する)ものの、上述したようなわずかな歪み、ねじれによって最大で歯車に設けられたバックラッシュの隙間分だけスクリーン版の一方側の歯車の歯が浮いたようになり、実質的にはスクリーン版の他方側のみを駆動し一方側では歯車によって駆動が伝達されていない状態となるおそれがあった。
【0009】
スクリーン版を片側のみで回転させることは上述したように左右の見当がずれるという問題に加え、スクリーン版の片側に大きな負荷をかけることになるため、最終的にはスクリーン版の早期摩耗に繋がりスクリーン版の寿命を短縮させるという問題もあった。
【0010】
このようなことから本発明は、印刷品質の低下及びスクリーン版の寿命の短縮を防止することを可能としたロータリースクリーン印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決する第1の発明に係るロータリースクリーン印刷装置は、
円筒状に形成され絵柄に応じた小孔を有するスクリーン版と、前記スクリーン版の内周面に対して接触可能に設けられたスキージとを備え、前記スキージにより前記スクリーン版の内側にあるインキを押し出して、押し出されたインキを被印刷物に転写するロータリースクリーン印刷装置において、
前記スクリーン版の一端を支持する第一の支持部材と、
前記スクリーン版の他端を支持する第二の支持部材と、
前記第一の支持部材と駆動連結され当該第一の支持部材を回転駆動する第一の駆動モータと、
前記第二の支持部材と駆動連結され当該第二の支持部材を回転駆動する第二の駆動モータと、
前記第一の駆動モータにかかるトルクを検知する第一のトルク検知器と、
前記第二の駆動モータにかかるトルクを検知する第二のトルク検知器と、
前記第一の駆動モータを本機と同期させて回転制御するとともに、前記第一のトルク検知器及び前記第二のトルク検知器の検知結果に基づいて前記第二の駆動モータが前記第一の駆動モータにかかるトルクと等しいトルクを出力するように前記第二の駆動モータを制御する制御装置と
を備えることを特徴とする。
【0012】
また、第2の発明に係るロータリースクリーン印刷装置は、
前記第二の駆動モータから前記第二の支持部材への駆動を断接する駆動断接手段を備えた
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るロータリースクリーン印刷装置によれば、スクリーン版を確実に両側駆動とすることができるため、スクリーン版に歪み、ねじれが発生することを防止して見当ずれの発生を抑制し、印刷品質の低下を防止するとともに、スクリーン版の片側に大きな負荷をかけることがなく、スクリーン版の長寿命化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係るロータリースクリーン印刷装置を示す説明図である。
図2図1の平面展開図である。
図3】本発明の実施形態に係るロータリースクリーン印刷装置におけるフレームとサブフレームとの関係を示す説明図である。
図4】本発明の実施形態に係るロータリースクリーン印刷装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ本発明に係るロータリースクリーン印刷装置について説明する。
【実施例】
【0016】
以下、図1から図4を用いて本発明に係るロータリースクリーン印刷機の一実施例の詳細を説明する。
図1及び図2に示すように、本実施例において左右の機械フレーム101,101間には、圧胴100が回動自在に支持されているとともに、この圧胴100に対向してスクリーン胴201が配設されている。
【0017】
圧胴100には、図示はしないがその外周面に当該圧胴100の軸方向に沿った切欠き部が形成されている。切欠き部は当該圧胴100の周方向に沿って等間隔で複数(例えば、本実施形態では二箇所)形成されている。そしてこの切欠部内に被印刷物を保持する爪等の保持部を備えている。
【0018】
スクリーン胴201は絵柄に応じた小孔をエッチングした薄い版材を円筒状にしてなるスクリーン版201Aと、スクリーン版201Aの両端(図2では左右)にそれぞれ固定された二つのエンドリング201B,201Bとから構成されている。このスクリーン胴201は、支承部材(第一、第二の支持部材)202,202、スクリーン用ブラケット203,203、及びサブフレーム204を介してフレーム101,101に支持されている。
【0019】
エンドリング201Bはスクリーン版201Aを補強するための部材である。エンドリング201Bには図示しない複数(本実施形態では二つ)の切欠き部(以下、エンドリング側切欠き部)及び図示しないピン溝が形成されている。エンドリング側切欠き部はエンドリング201Bの軸方向に対してスクリーン版201Aとは反対側の端部であってその外周面に、周方向に等間隔に設けられている。ピン溝は隣り合うエンドリング側切欠き部間に設けられ、外周面から軸心に向かってU字状に切り欠かれている。このエンドリング201Bは、支承部材202に支持されている。
【0020】
支承部材202は筒状の部材であり、エンドリング201Bを着脱可能に支持している。すなわち、支承部材202には図示しない複数(本実施形態では二つ)の突出部(以下、支承部材側突出部)が形成されるとともに図示しないピンが設けられている。支承部材側突出部は支承部材202の軸方向に対してエンドリング201B側であってその内周面に、周方向に等間隔(前記エンドリング側切欠き部と同間隔)に対応する位置に設けられている。なお、支承部材側突出部は前記エンドリング側切欠き部に嵌合する形状となっている。また、ピンは一方の支承部材側突出部に固定されている。
【0021】
このように構成されることにより、まず、エンドリング側切欠き部と支承部材側突出部の周方向の位置を合わせた状態でエンドリング201Bを支承部材202の中空部に挿通し、エンドリング側切欠き部と支承部材側突出部とが緩衝しない位置で支承部材202に対してロータリースクリーン201を回転させ、最後に、前記ピン溝と前記ピンとの位置を合わせた状態で支承部材202に対してロータリースクリーン201を軸方向に移動させ、前記ピン溝に前記ピンを係合させることで、ロータリースクリーン201をその位相が支承部材202の位相と合うように支承部材202に支持させることができる。
【0022】
支承部材202は、スクリーン用ブラケット203に回動自在に支持されている。
スクリーン用ブラケット203は、それぞれ支承部材202を回動自在に支持するスクリーン支持部203aと、該スクリーン支持部203aに対してスクリーン胴201の径方向外側に配設されたモータ支持部203bとから構成されている。
【0023】
スクリーン支持部203aは貫通孔を備え、この貫通孔に上述した支承部材202が回動自在に支持されている。また、モータ支持部203bは枠状に形成されている。このモータ支持部203bの一方側,他方側には、それぞれ駆動用メインモータ(第一の駆動モータ)205,駆動用サブモータ(第二の駆動モータ)206が固定されている。
【0024】
ここで、駆動用メインモータ205,駆動用サブモータ206は、それぞれその駆動軸がモータ支持部203bよりも外側に突出している(図2参照)。そして、駆動用メインモータ205の駆動軸の先端には該駆動軸と同軸をなすギア(以下、メインモータ側のギアという)207が設けられている一方、駆動用サブモータ206の駆動軸の先端には該駆動軸と同軸をなすギア(以下、サブモータ側のギアという)209が駆動断接手段としてのクラッチ210を介して設けられている。
【0025】
また、支承部材202の外周面にもギア(以下、支承部材のギアという)202aが設けられており、一方(図2では右側)の支承部材のギア202aと、メインモータ側のギア207とが中間ギア208を介して噛み合っているとともに、他方(図2では左側)の支承部材のギア202aと、サブモータ側のギア209とが中間ギア208を介して噛み合っている。
【0026】
これにより、駆動用メインモータ205の駆動が、メインモータ側のギア207、中間ギア208、支承部材のギア202a、支承部材202を介してロータリースクリーン201の一端に伝わる。また、駆動用サブモータ206の駆動が、サブモータ側のギア209、中間ギア208、支承部材のギア202a、支承部材202を介してロータリースクリーン201の他端に伝わる。これにより、ロータリースクリーン201は両側駆動が可能となっている。
【0027】
なお、駆動用メインモータ205,駆動用サブモータ206にはそれぞれトルク検知器(第一のトルク検知器,第二のトルク検知器。以下、それぞれメインモータトルク検知器,サブモータトルク検知器という)205a,206a(図4参照)が内蔵されている。
【0028】
そして、スクリーン用ブラケット203はサブフレーム204に、ロータリースクリーン201の軸方向に摺動可能に支持されている。具体的には、サブフレーム204にロータリースクリーン201の軸方向に沿って延びる図示しないレールが設置されており、スクリーン用ブラケット203は前記レールに沿って移動可能に構成されている。このスクリーン用ブラケット203の移動は、ロータリースクリーン位置調整用モータ211を利用して行われる。
【0029】
すなわち、ロータリースクリーン位置調整用モータ211の駆動ロッド211aの先端には当該ロータリースクリーン位置調整用モータ211の駆動によって回転するネジ211bが形成されている。これに対し、一方(図2では右側)のスクリーン用ブラケット203にはネジ211bに螺合する雌ネジが形成されたブロック236が固定されている。このブロック236にネジ211bが螺着されることにより、ロータリースクリーン位置調整用モータ211の駆動に伴って一方のスクリーン用ブラケット203がロータリースクリーン201の軸方向に移動する。このとき、他方のスクリーン用ブラケット203はロータリースクリーン201を介して一方のスクリーン用ブラケット203に連結されているため、当該他方のスクリーン用ブラケット203も一方のスクリーン用ブラケット203の移動に追従して軸方向に移動する。
【0030】
さらに、他方のスクリーン用ブラケット203にはテンションシリンダ212の先端が固定されている。テンションシリンダ212は、ロータリースクリーン201の軸方向のテンション調整を行うものであり、他方のスクリーン用ブラケット203を一方のスクリーン用ブラケット203とは反対側に押圧するものである。これによりロータリースクリーン201をその軸方向に張力が加わった状態とすることができる。
【0031】
サブフレーム204は、軸方向両側に形成された第一の連結用ブラケット204aにより機械フレーム101に固定されたピン233を介して当該機械フレーム101に揺動自在に支持されている。
【0032】
そして、図1及び図3に示すように、サブフレーム204の軸方向他方側(図3では左側)に形成された第二の連結用ブラケット204bには、第一リンク部材213、第二リンク部材214及び第三リンク部材215を介して、スクリーン胴着脱シリンダ216が連結されている。このスクリーン胴着脱シリンダ216は、その基端部がピン217を介して機械フレーム101に揺動自在に支持されている。
より詳しく説明すると、サブフレーム204の軸方向両端にはそれぞれ第二の連結用ブラケット204bが形成されており、これら第二の連結用ブラケット204bに、それぞれ第一リンク部材213がピン218を介して揺動可能に連結され、さらに、第一リンク部材213はそれぞれ第二リンク部材214の遊端部にピン219を介して揺動可能に連結され、第二リンク部材214の基端部はそれぞれ回転軸220に固定されている。
【0033】
ここで、前記第一リンク部材213及び第二リンク部材214はそれぞれ左右の機械フレーム101の内側に配設されている。回転軸220は機械フレーム101を貫通してその軸方向がロータリースクリーン201の軸方向と平行となるように機械フレーム101,101に回動自在に支持されており、少なくともその一端(図3では左側)が機械フレーム101の外側に突出している。
【0034】
そして、この機械フレーム101の外側において、回転軸220の前記一端には第三リンク部材215の基端部が固定されている。第三リンク部材215の遊端部はスクリーン胴着脱シリンダ216の駆動ロッド216aにピン221を介して揺動可能に連結されている。また、第三リンク部材215の側面にはサブフレーム204の圧胴100側への揺動を規制するストッパ222が対向配置されている。
【0035】
さらに、図1及び図2に示すように、上述したスクリーン胴201の内部には、スクリーン版201Aの内側にあるインキ(またはニス)1をスクリーン版201Aの小孔から圧胴100側に供給するブレード(スキージ本体)223Aと、ブレード223Aを支持する支持体であるスキージバー223Bとを備えたスキージ223が配設されている。
スキージ223の両端はそれぞれスキージ支持部材224,224、支持板225,225を介してサブフレーム204に揺動自在に支持されている。
【0036】
スキージ支持部材224は、スキージバー223Bを揺動自在に支持する部材である。
また、支持板225は、板体であり、その一角にスキージ支持部材224を保持している。この支持板225の他の一角にはスキージ着脱シリンダ226の駆動ロッド226aが揺動自在に連結され、さらに他の一角はピン227に揺動自在に軸支されるとともに、位置決め用ピン232に当接する当接面225aを備えている。
【0037】
スキージ着脱シリンダ226の基端部はサブフレーム204の軸方向両端に形成された第三の連結用ブラケット204cにピン228を介して揺動自在に支持され、駆動ロッド226aは、ピン229を介して支持板225に揺動自在に連結されている。スキージ着脱シリンダ226は、スキージ223(より具体的には、ブレード223A)をスクリーン版201Aの内周面に対して接触又は離反させるために設けられたものであり、スキージ着脱シリンダ226の駆動ロッド226aを進退させると、支持板225が揺動してスキージ223がスクリーン版201Aの内周面に対して接触又は離反する。
【0038】
なお、ピン227はサブフレーム204の軸方向両端に形成された第四の連結用ブラケット204dに固定され、位置決め用ピン232はサブフレーム204の軸方向両端に形成された第五の連結用ブラケット204eに固定されている。
【0039】
また、図4に示すように、本実施形態に係るロータリースクリーン印刷装置の制御装置300には、上述したメインモータトルク検知器205a、サブモータトルク検知器206aに加えて、本機エンコーダ230からの操作信号が入力されるとともに、タイマー231からの検出信号が入力される。
【0040】
さらに、制御装置300は、駆動用メインモータ205、駆動用サブモータ206、クラッチ210、テンションシリンダ212、スキージ着脱シリンダ226、スクリーン胴着脱シリンダ216、およびタイマー231を駆動制御するようになっている。
なお、制御装置300は、メインモータトルク検知器205a、サブモータトルク検知器206aの検知結果に基づいて、駆動用メインモータ205、駆動用サブモータ206が所定のトルクを出力するように当該駆動用メインモータ205、駆動用サブモータ206を制御することができるトルクヘルパー機能を備えているものとする。
【0041】
以下に、上述したように構成される本実施例に係るロータリースクリーン印刷装置における、ロータリースクリーン201の取り付けの流れを説明する。本実施例に係るロータリースクリーン印刷装置においては、ロータリースクリーン201を取り付ける際、まずスクリーン版201Aの両端にエンドリング201Bを取り付け、その後、スクリーン版201Aの一方側のエンドリング201Bを一方側の支承部材202に取り付ける。続いて、他方側の支承部材202を内側へ移動させ、スクリーン版201Aを回動させてスクリーン版201Aの他方側のエンドリング201Bとの位相合わせを行い、支承部材202にエンドリング201Bを取り付ける。
【0042】
その後、制御装置300によりテンションシリンダ212,駆動用メインモータ205及び駆動用サブモータ206をONにし、さらにタイマー231による計時をスタートさせる。なお、このとき駆動用メインモータ205と駆動用サブモータ206とは同期させて駆動するものとする。
【0043】
これにより、ロータリースクリーン201にテンションがかかった状態になるとともに、駆動用メインモータ205と駆動用サブモータ206とが駆動される。このとき、メインモータ側のギア207,中間ギア208及び支承部材202のギア202aを介してロータリースクリーン201が回転駆動され、さらに、ロータリースクリーン201の回転に伴って支承部材202のギア202a,中間ギア208を介してサブモータ側のギア209が回転する。なお、クラッチ210が駆動用サブモータ206の軸との接続を断接されていることから、駆動用サブモータ206の駆動軸は独立して回転する。
【0044】
続いて、タイマー307が予め設定した第一設定時間だけ計時を行ったら、制御装置300はクラッチ210の駆動用サブモータ206の駆動軸との接続をONとするとともに、トルクヘルパー機能を利用して駆動用サブモータ206をそのトルクが駆動用メインモータ205のトルクと同一となるよう制御する。これにより、サブモータ側のギア209が駆動用サブモータ206の駆動軸に連結されるとともに、駆動用サブモータ206が駆動用メインモータ205と同一のトルクを出力するように制御され、ロータリースクリーン201の両端が駆動用メインモータ205,駆動用サブモータ206によりそれぞれ回転駆動される。
【0045】
そして、タイマー231が第二設定時間だけ計時を行ったら制御装置300により駆動用メインモータ205及び駆動用サブモータ206を停止する。これにより、ロータリースクリーン201の取り付けが終了となる。
【0046】
また、印刷中、制御装置300は本機エンコーダ230の検出信号に基づき駆動用メインモータ205を本機(印刷機)と同期させて回転制御するとともに、トルクヘルパー機能により駆動用メインモータ205と同一のトルクを出力するように駆動用サブモータ206を回転制御する。
【0047】
このように構成される本実施例に係るロータリースクリーン印刷機によれば、駆動用メインモータ205及び駆動用サブモータ206によってロータリースクリーン201の両端を確実に回転駆動することができるため、印刷中にインキをスクリーン版の小孔から押し出すためにスキージをスクリーン版の内側から押し付けたとしてもスクリーン版201Aの両側で回転にずれが生じることがなく、左右の見当がずれることを抑制して印刷品質の低下を防止することができるとともに、スキージ223のスクリーン版201Aへの着時、または印刷時にスクリーン版201Aの一端のみに大きな負荷がかかることがなく、スクリーン版201Aの長寿命化を図ることができる。
【0048】
更に加えて、駆動用メインモータ205により一定時間ロータリースクリーン201を片側駆動した後にクラッチ210の駆動用サブモータ206の駆動軸との接続をONとし、駆動用サブモータ206を駆動用メインモータ205と同一のトルクになるように制御することにより、エンドリング201Bをスクリーン版201Aに取り付ける際に相互の周方向の基準位置が多少ずれていたとしても、バックラッシュが原因で左右の見当がずれることをも防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、ロータリースクリーン印刷機に適用して好適なものである。
【符号の説明】
【0050】
100 圧胴
101 機械フレーム
201 スクリーン胴
201A スクリーン版
201B エンドリング
202 支承部材
202a 支承部材のギア
203 スクリーン用ブラケット
203a スクリーン支持部
203b 回転軸支持部
204 サブフレーム
204a 第一の連結用ブラケット
204b 第二の連結用ブラケット
204c 第三の連結用ブラケット
204d 第四の連結用ブラケット
204e 第五の連結用ブラケット
205 駆動用メインモータ
205a メインモータトルク検知器
206 駆動用サブモータ
206a サブモータトルク検知器
207,208,209 ギア
210 クラッチ
211 ロータリースクリーン位置調整用モータ
212 テンションシリンダ
213 第一リンク部材
214 第二リンク部材
215 第三リンク部材
216 スクリーン胴着脱シリンダ
217,218,219,221,227,228,229,233 ピン
220 回転軸
222 ストッパ
223 スキージ
223A ブレード
223B スキージバー
224 スキージ支持部材
225 支持板
226 スキージ着脱シリンダ
226a 駆動ロッド
230 本機エンコーダ
231 タイマー
232 位置決め用ピン
図1
図2
図3
図4