特許第6485906号(P6485906)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6485906ワイパアームおよびワイパアームの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6485906
(24)【登録日】2019年3月1日
(45)【発行日】2019年3月20日
(54)【発明の名称】ワイパアームおよびワイパアームの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/34 20060101AFI20190311BHJP
【FI】
   B60S1/34 A
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-79043(P2015-79043)
(22)【出願日】2015年4月8日
(65)【公開番号】特開2016-199095(P2016-199095A)
(43)【公開日】2016年12月1日
【審査請求日】2017年9月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(73)【特許権者】
【識別番号】303023500
【氏名又は名称】株式会社ジュンコーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】寺崎 誠
(72)【発明者】
【氏名】金子 庸人
(72)【発明者】
【氏名】荻野 成人
(72)【発明者】
【氏名】小板橋 義和
【審査官】 森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2007/0226983(US,A1)
【文献】 特開2009−241737(JP,A)
【文献】 特開2014−101059(JP,A)
【文献】 国際公開第99/022970(WO,A1)
【文献】 特開平11−114987(JP,A)
【文献】 特開平10−249877(JP,A)
【文献】 特開2002−096347(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/00− 1/68
B29C 45/00−45/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁と、前記底壁の両端に配置された一対の側壁と、が一方向に長く形成されてなるアーム本体と、
前記アーム本体の先端に、該アーム本体と一体成形され、ワイパブレードが取り付けられる取付部と、
を備え、
前記アーム本体、および前記取付部は、ガスインジェクションにより形成され、
前記アーム本体には、該アーム本体の長手方向に沿ってガスチャンネルが形成されており、
前記ガスチャンネルの長さは、前記アーム本体の長手方向の半分の長さよりも長く設定されており、
前記底壁と前記一対の側壁とにより囲まれている前記アーム本体の内表面において、前記底壁の少なくとも一部に、該底壁から突出するリブが一体成形され、
前記ガスチャンネルは、前記底壁のうち前記リブが形成されている箇所において、前記リブの突出方向で該リブと重なる位置に形成されていることを特徴とするワイパアーム。
【請求項2】
前記リブの一部は、前記アーム本体の長手方向に沿って延在されていることを特徴とする請求項1に記載のワイパアーム。
【請求項3】
少なくとも前記アーム本体の先端側から前記取付部の先端に至る間は、先細り状に形成されており、
前記アーム本体の先端側、および前記取付部の肉厚は、前記アーム本体の前記先端側よりも基端側の肉厚よりも厚く設定されており、
前記ガスチャンネルは、前記アーム本体の基端から前記アーム本体の先端側の厚肉部に至る間に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のワイパアーム。
【請求項4】
前記アーム本体の基端側に、樹脂およびガスを注入する注入口が設けられていることを特徴とする請求項1請求項3の何れか1項に記載のワイパアーム。
【請求項5】
前記注入口は、前記内表面に設けられていることを特徴とする請求項4に記載のワイパアーム。
【請求項6】
前記アーム本体は、断面U字状に形成されており、
前記底壁において、前記アーム本体の基端側で、かつ、前記リブが形成されていない箇所では、前記一対の側壁のうちの一方の側壁と前記底壁との接合部に、前記ガスチャンネルが形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項の何れか1項に記載のワイパアーム。
【請求項7】
底壁と、前記底壁の両端に配置された一対の側壁と、が一方向に長く形成されてなるアーム本体と、
前記アーム本体の先端に、該アーム本体と一体成形され、ワイパブレードが取り付けられる取付部と、
を備え、
少なくとも前記アーム本体の先端側から前記取付部の先端に至る間は、先細り状に形成されており、
前記アーム本体の先端側、および前記取付部の肉厚は、前記アーム本体の前記先端側よりも基端側の肉厚よりも厚く設定され
前記底壁と前記一対の側壁とにより囲まれている前記アーム本体の内表面において、前記底壁の少なくとも一部にリブが一体成形されているワイパアームの製造方法であって、
樹脂およびガスの注入口を前記アーム本体の基端側に設定し、
前記アーム本体の基端側から前記アーム本体の先端側の厚肉部に至る間にガスチャンネルを形成し、
前記アーム本体、および前記取付部に樹脂をショートショット状態で射出する射出工程と、
前記射出工程の後、前記ガスチャンネルにガスを充填するガス充填工程と、
を有し、
前記ガスチャンネルは、前記底壁のうち前記リブが形成されている箇所において、前記リブの突出方向で該リブと重なる位置に形成されていることを特徴とするワイパアームの製造方法。
【請求項8】
前記射出工程において、前記樹脂はランナーを通って前記アーム本体へ射出され、
前記ガス充填工程において、前記ガスが注入されるガス注入口は、前記ランナーの途中に接続され、
前記ランナー内の前記樹脂の射出方向に対し、前記ガスの前記ランナーへの注入方向が鋭角になるよう設定されることを特徴とする請求項7に記載のワイパアームの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイパアームおよびワイパアームの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車等の車両には、ウィンドシールドの払拭面に付着した雨水や埃等の付着物を払拭し、運転者の視界を確保するワイパ装置が搭載されている。ワイパ装置は、ワイパモータと、このワイパアームの駆動力を受けて揺動するワイパアームと、ワイパアームに取付けられ、払拭面を払拭するワイパブレードと、を備えている。
【0003】
ここで、ワイパアームの軽量化を図るために、ワイパアームを樹脂により形成する場合がある。近年、ワイパアームのような中空成形品の樹脂成形方法として、ガスインジェクション射出成形が注目されている。ガスインジェクション射出成形は、樹脂充填後の保圧(高圧)のかわりに、窒素ガスを注入し製品内部から圧力(低圧)を保持する。このため、樹脂成形後のヒケ、ソリ、バリ等の発生を抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第1999/022970号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ガスインジェクション射出成形においては、肉厚が全体的に異なるような部材は、肉厚が全体的に一定の部材と比較して、窒素ガスを注入する場所や窒素ガスを通す場所(ガスチャンネル)をどこに形成するかが非常に重要である。単純にガスインジェクション射出成形を用いてワイパアームを形成しようとしても、高品質なワイパアーム提供することが困難である可能性があった。
【0006】
そこで、本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、品質を確実に向上できるワイパアームおよびワイパアームの製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明に係るワイパアームは、底壁と、前記底壁の両端に配置された一対の側壁と、が一方向に長く形成されてなるアーム本体と、前記アーム本体の先端に、該アーム本体と一体成形され、ワイパブレードが取り付けられる取付部と、を備え、前記アーム本体、および前記取付部は、ガスインジェクションにより形成され、前記アーム本体には、該アーム本体の長手方向に沿ってガスチャンネルが形成されており、前記ガスチャンネルの長さは、前記アーム本体の長手方向の半分の長さよりも長く設定されており、前記底壁と前記一対の側壁とにより囲まれている前記アーム本体の内表面において、前記底壁の少なくとも一部に、該底壁から突出するリブが一体成形され、前記ガスチャンネルは、前記底壁のうち前記リブが形成されている箇所において、前記リブの突出方向で該リブと重なる位置に形成されていることを特徴とする。
【0008】
このように構成することで、ワイパアーム全体に効率よくガスの圧力をかけることができる。このため、ワイパアームの品質を向上できる。
本発明に係るワイパアームにおいて、前記リブの一部は、前記アーム本体の長手方向に沿って延在されていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係るワイパアームは、少なくとも前記アーム本体の先端側から前記取付部の先端に至る間は、先細り状に形成されており、前記アーム本体の先端側、および前記取付部の肉厚は、前記アーム本体の前記先端側よりも基端側の肉厚よりも厚く設定されており、前記ガスチャンネルは、前記アーム本体の基端から前記アーム本体の先端側の厚肉部に至る間に形成されていることを特徴とする。
【0010】
このように構成することで、樹脂の湯流れが悪いワイパアームの先端部が厚肉に形成されている場合であっても、金型内に樹脂を万遍なく行き渡らせることができる。そして、樹脂成形後のヒケ、ソリ、バリ等の発生を抑制でき、ワイパアームの品質を向上できる。
【0011】
本発明に係るワイパアームは、前記アーム本体の基端側に、樹脂およびガスを注入する注入口が設けられていることを特徴とする。
【0012】
このように構成することで、ガスを効率よくガスチャンネルに行き渡らせることができる。
本発明に係るワイパアームにおいて、前記注入口は、前記内表面に設けられていることを特徴とする。
【0013】
本発明に係るワイパアームにおいて、前記アーム本体は、断面U字状に形成されており、前記底壁において、前記アーム本体の基端側で、かつ、前記リブが形成されていない箇所では、前記一対の側壁のうちの一方の側壁と前記底壁との接合部に、前記ガスチャンネルが形成されていることを特徴とする。
【0014】
このように構成することで、ガスによる樹脂の保圧を効率よく行うことができる。
【0015】
本発明に係るワイパアームの製造方法は、底壁と、前記底壁の両端に配置された一対の側壁と、が一方向に長く形成されてなるアーム本体と、前記アーム本体の先端に、該アーム本体と一体成形され、ワイパブレードが取り付けられる取付部と、を備え、少なくとも前記アーム本体の先端側から前記取付部の先端に至る間は、先細り状に形成されており、前記アーム本体の先端側、および前記取付部の肉厚は、前記アーム本体の前記先端側よりも基端側の肉厚よりも厚く設定され、前記底壁と前記一対の側壁とにより囲まれている前記アーム本体の内表面において、前記底壁の少なくとも一部に、該底壁から突出するリブが一体成形されているワイパアームの製造方法であって、樹脂およびガスの注入口を前記アーム本体の基端側に設定し、前記アーム本体の基端側から前記アーム本体の先端側の厚肉部に至る間にガスチャンネルを形成し、前記アーム本体、および前記取付部に樹脂をショートショット状態で射出する射出工程と、前記射出工程の後、前記ガスチャンネルにガスを充填するガス充填工程と、を有し、前記ガスチャンネルは、前記底壁のうち前記リブが形成されている箇所において、前記リブの突出方向で該リブと重なる位置に形成されていることを特徴とする。
【0016】
このような製造方法とすることで、ワイパアーム全体に効率よくガスの圧力をかけることができ、ワイパアームの品質を向上できる。
本発明に係るワイパアームの製造方法は、前記射出工程において、前記樹脂はランナーを通って前記アーム本体へ射出され、前記ガス充填工程において、前記ガスが注入されるガス注入口は、前記ランナーの途中に接続され、前記ランナー内の前記樹脂の射出方向に対し、前記ガスの前記ランナーへの注入方向が鋭角になるよう設定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、品質を確実に向上できるワイパアームおよびワイパアームの製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態におけるワイパアームの斜視図である。
図2図1のA−A線に沿う断面図である。
図3】本発明の実施形態におけるワイパアームの射出成形直後の状態を外表面側からみた平面図である。
図4】本発明の実施形態におけるワイパアームの射出成形直後の状態を内表面側からみた平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
(ワイパアーム)
図1は、ワイパアーム1の斜視図、図2は、図1のA−A線に沿う断面図である。
図1図2に示すように、ワイパアーム1は、自動車等のウィンドシールドの払拭面に付着した雨水や埃等の付着物を払拭し、運転者の視界を確保するためのものである。ワイパアーム1は、樹脂により形成されており、一方向に長く形成されたアーム本体2と、アーム本体2の先端に一体成形された取付部3と、を有している。
【0021】
アーム本体2は、基端2aから先端2bにかけて僅かに先細りとなるように延出形成されており、途中に僅かに湾曲した湾曲部2cを有している。また、アーム本体2は、断面略U字状に形成されており、底壁4aと、底壁4aの両側に配置された一対の側壁4bと、これら底壁4aと側壁4bとを連結する円弧状の円弧連結部4cと、により構成されている。
なお、以下の説明では、ワイパアーム1の底壁4aと側壁4bとにより囲まれる側を内表面、この内表面とは反対側を外表面と称する。ワイパアーム1は、外表面側が外観意匠を構成する面となる。
【0022】
アーム本体2の底壁4aの内表面には、湾曲部2cよりも先端側にリブ5が一体成形されている。このリブ5は、アーム本体2の剛性を高めるためのものである。
また、アーム本体2の基端2aには、動力源取付部6が一体成形されている。この動力源取付部6は、アーム本体2の側壁4bの面方向に沿う断面が略C字状となるように形成されている。動力源取付部6には、アタッチメント7を介して不図示のリンク機構が連結されたりワイパモータの出力軸が直接接続されたりする。
【0023】
一方、アーム本体2の先端側は、底壁4aの肉厚が先端2bに向かって徐々に肉厚になるように形成されている。より具体的には、底壁4aの内表面側には、アーム本体2の湾曲部2cと先端2bとの間の略中央から先端2bのやや手前に至る間に、傾斜面4dが形成されている。傾斜面4dの先端から先には、アーム本体2の延在方向に沿って延びる平坦面4eが形成されている。これにより、アーム本体2は、基端2a側が中空形状になり、先端2b側が中実形状になる。
【0024】
アーム本体2の先端2bに一体成形されている取付部3は、不図示のワイパブレードが取り付けられる箇所である。取付部3は、アーム本体2の底壁4aから連続的に延出する底壁8aと、この底壁8aの周縁から立ち上がる周壁8bと、が一体成形されたものである。周壁8bには、不図示のワイパブレードに設けられている連結シャフト(不図示)を受け入れるスリット9が形成されている。
【0025】
周壁8bのスリット9が形成されている箇所の周囲は、その他の周壁8bの肉厚や、アーム本体2の側壁4bの肉厚よりも厚肉に形成されている。また、底壁8aおよび周壁8bに取り囲まれた取付部3の内表面側には、リブ10が2箇所形成されている。周壁8bのスリット9が形成されている箇所の周囲を厚肉に形成したり、リブ10を設けたりすることにより、取付部3の剛性を高めている。
【0026】
このように形成されたワイパアーム1は、ガスインジェクション射出成形のショートショット法により形成されている。
ここで、ガスインジェクション射出成形は、樹脂充填後の保圧(高圧)のかわりに、窒素ガスを注入し製品内部から圧力(低圧)を保持する射出成形方法であるが、この中でショートショット法とは、樹脂をショートショットで射出した後、窒素ガスを注入し、金型全体に樹脂を流れ込ませる方法である。
また、本実施形態では、窒素ガスの注入方法として、ランナー注入方式を採用している。ランナー注入方式とは、金型内に樹脂を流し込むランナーを利用して金型内に窒素ガスを注入する方式である。
【0027】
図3図4は、ワイパアーム1の射出成形直後の状態を示し、図3は、ワイパアーム1を外表面側からみた平面図、図4は、ワイパアーム1を内表面側からみた平面図である。
図3図4に示すように、ワイパアーム1を射出成形するにあたって、ゲート位置P1は、アーム本体2の基端2a側に設定されている。さらに、ゲート位置P1は、一対の側壁4bのうちの一方の側壁4bの円弧連結部4c寄りに設定されている。
また、窒素ガスを注入するガス注入口20は、ランナー21の途中に設定されている。すなわち、窒素ガスは、ランナー21、ゲート位置P1を通って金型内に注入される。
【0028】
さらに、金型内に窒素ガスを充満させるための通り道30(以下、ガスチャンネル30という)は、アーム本体2の2つの円弧連結部4cのうち、ゲート位置P1が設定されている側の円弧連結部4cに沿って形成されている。また、ガスチャンネル30は、アーム本体2の基端2aからアーム本体2の先端2b側に形成された傾斜面4dと底壁4aとの接続部に至る間に形成されている。
【0029】
このような構成のもと、ワイパアーム1を射出成形するにあたって、不図示の金型を閉じた後、まず、金型内に樹脂をショートショット状態で射出する(射出工程)。
続いて、ガスチャンネル30に窒素ガスを充填する(ガス充填工程)。
【0030】
このように、本実施形態では、ワイパアーム1の基端2a側と先端2b側で肉厚が大きく異なる。そこで、アーム本体2の基端2aからアーム本体2の先端2b側に形成された傾斜面4dと底壁4aとの接続部に至る間にガスチャンネル30を形成することにより、樹脂の湯流れが悪い先端部にも少ない樹脂量で万遍なく行き渡らせることができる。具体的には、ワイパアーム1を通常の射出成形で行う場合と比較して、樹脂量を約15%削減できることが確認できた。
【0031】
また、ワイパアーム1の大部分にガスチャンネル30が形成されるので、射出成形時の熱溜まりを排除し、冷却効果を高めることができる。具体的には、ワイパアーム1の射出成形直後の熱が溜まりやすい箇所(肉厚の厚い箇所)の温度を30℃以上低下できることが確認できた。
さらに、射出成形時の樹脂量を削減でき、冷却効果を高めることができるので、ワイパアーム1を成形する際の時間を短縮することができる。
【0032】
また、射出成形時に窒素ガスを用いて製品内部から金型内の圧力(低圧)を保持するので、保圧条件を緩和することができる。このため、ワイパアーム1の樹脂成形後のヒケ、ソリ、バリ等の発生を抑制でき、ワイパアーム1の品質を向上できる。
さらに、射出成形時の窒素ガスの注入方法として、ランナー注入方式を採用し、ゲート位置P1をアーム本体2の基端2a側に設定している。このため、窒素ガスを効率よくガスチャンネル30に行き渡らせることができる。
【0033】
また、断面U字状に形成されているアーム本体2の円弧連結部4cに沿ってガスチャンネル30を形成している。このため、窒素ガスによる樹脂の保圧を効率よく行うことができる。
【0034】
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、上述の実施形態では、ガスチャンネル30は、アーム本体2の基端2aからアーム本体2の先端2b側に形成された傾斜面4dと底壁4aとの接続部に至る間に形成されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、少なくともアーム本体2の長手方向の半分よりも長くガスチャンネル30が形成されていればよい。このように構成することで、少ない樹脂量でワイパアーム1の品質を向上することができる。
【符号の説明】
【0035】
1…ワイパアーム
2…アーム本体
3…取付部
4a…底壁
4b…側壁
4c…円弧連結部(接合部)
4d…傾斜面
4e…平坦面
5…リブ
20…ガス注入口
21…ランナー
30…ガスチャンネル
P1…ゲート位置(注入口)
図1
図2
図3
図4