(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
板状部材は、スリットを有し、流入口または吐出口から内部空間に挿入する際に、スリット分が縮むことによって弾性力が生じ、内部空間の壁面に圧接固定されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のノズル。
流体吐出部は、円柱形状であって、この円柱形状の流体吐出部には、複数のノズルが、所定の配列にて、断面が複数の小穴として形成されており、各小穴に、板状部材が配置されていることを特徴とする請求項6に記載のノズルモジュール。
流体吐出部は、平板形状であって、この平板形状の流体吐出部には、複数のノズルが、一列にて、断面が複数の小穴として形成されており、各小穴に、板状部材が配置されていることを特徴とする請求項6に記載のノズルモジュール。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように、従来技術は、適切な位置や方向に冷却剤を吐出または噴射することが十分でない。更に、工作機械の種類、研削刃などの工具の形状や大きさ、又は、被加工物の形状や大きさ等が変更される場合に、工具と被加工物との当接部を含む所定の領域に冷却剤を正確且つ効率的に吐出し難いという問題が存在する。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みて開発されたものである。本発明の目的は、吐出口から吐出または噴射される流体の直進性を良くし、狙った位置や方向に流体、例えば冷却剤を集中させることができるノズルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述の課題を解決するために、次のような構成にしてある。即ち、
ノズルから冷却剤が噴出されて工具や被加工物の冷却をするようにした工作機械に利用可能なノズルである。ノズルは、流体が供給される流入口と、流体が吐出される吐出口と、流入口と吐出口とを繋ぐ内部空間と、
内部空間に配置されて流体の流路を形成するようにした板状部材を有し、この板状部材は、流体の流れに平行な複数の折り目を持ち、その断面形状が花弁形、星形、三角形、多角形、長円形、ひょうたん形のいずれかに形成され、内部空間の壁面に、自身の弾性力にて圧接固定される。
また、他の実施形態では、
ノズルから冷却剤が噴出されて工具や被加工物の冷却をするようにした工作機械に利用可能なノズルである。ノズルは、流体が供給される流入口と、流体が吐出される吐出口と、流入口と吐出口とを繋ぐ内部空間と、
内部空間に配置されて流体の流路を形成するようにした板状部材を有し、この板状部材は、流体の流れに平行な複数の折り目を持ち、その断面形状が花弁形、星形、三角形、多角形、長円形、ひょうたん形のいずれかに形成され、板状部材で囲まれる内側の流路と、板状部材の外側であって内部空間の壁面との間に形成される外側の流路とが形成される。
また、別の実施形態によれば、
ノズルモジュールから冷却剤が噴出されて工具や被加工物の冷却をするようにした工作機械に利用可能なノズルモジュールである。ノズルモジュールは、流体が供給される中空の本体部と、本体部に連結されて流体を外部に吐き出す流体吐出部と
、を備え、流体吐出部には、一乃至複数のノズルが形成される。この一乃至複数のノズルは、流体が供給される流入口と、流体が吐出される吐出口と、流入口と吐出口とを繋ぐ内部空間とを有する。ノズルは、内部空間に配置されて流体の流路を形成するようにした板状部材を有し、この板状部材は流体の流れに平行な複数の折り目を持ち、その断面形状が花弁形、星形、三角形、多角形、長円形、ひょうたん形のいずれかに形成され、内部空間の壁面に、自身の弾性力にて圧接固定される。
更に別の実施形態では、
ノズルモジュールから冷却剤が噴出されて工具や被加工物の冷却をするようにした工作機械に利用可能なノズルモジュールである。ノズルモジュールは、流体が供給される中空の本体部と、本体部に連結されて流体を外部に吐き出す流体吐出部と
、を備え、流体吐出部には、一乃至複数のノズルが形成され、この一乃至複数のノズルは、流体が供給される流入口と、流体が吐出される吐出口と、流入口と吐出口とを繋ぐ内部空間とを有する。一乃至複数のノズルの内部空間に配置される板状部材を有し、この板状部材は流体の流れに平行な複数の折り目を持ち、その断面形状が花弁形、星形、三角形、多角形、長円形、ひょうたん形のいずれかに形成され、板状部材で囲まれる内側の流路と、板状部材の外側であって内部空間の壁面との間に形成される外側の流路とがノズルに形成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の実施形態によると、ノズルの内部空間に対して、所定の断面形状を有する板状部材が、内部空間に配置されて流体の流路を形成するようにしているので、流体の直進性が増し、吐出口から狙った位置や角度で流体、例えば冷却剤(クーラント)や加工液を噴射することができる。従って、冷却剤などの流体を目標物に対して正確且つ効率的に吐出することができる。このとき、狙った位置以外への広がり(分散や乱流)を防ぐ。つまり、この板状部材は、ノズルの内部空間での流体の流れを層流や整流とするものである。また、本発明の実施形態によれば、流体の流れに平行な複数の折り目を持つ板状部材が配置され、板状部材は、ノズルの内部空間の壁面に、自身の弾性力にて圧接固定されるから、その配置、組み立ても簡単に行える。
【0011】
また、本発明の幾つかの実施形態によると、板状部材により、板状部材で囲まれる内側の流路と、板状部材の外側であって、内部空間の壁面との間に形成される外側の流路とが形成され、流体の流れを阻害するのは、板状部材の厚みだけであり、流量の損失が殆どない。また、内側の流路からは、流体の流量も確保できた形で、狙った位置や角度で流体を噴出することが可能である。外側の流路からの吐出流体も直進性があるので、工作機械の場合においては、被加工部材(ワーク)の冷却に貢献し、またスラッジ(加工時に出るキリコ)やチップの除去にも役立つ。
更に、本発明の実施形態によると、一乃至複数のノズルが形成されたノズルモジュールにおいて、一乃至複数のノズルの内部空間に、所定の断面形状を有する板状部材が、内部空間に配置されて流体の流路を形成するようにしているので、流体の直進性が増し、吐出口から狙った位置や角度で流体、例えば冷却剤(クーラント)や加工液を正確にかつ効率的に噴射することができる。また、板状部材は、ノズルの内部空間の壁面に、自身の弾性力にて圧接固定されるから、その配置も簡単に行える。
【図面の簡単な説明】
【0012】
以下の詳細な記述が以下の図面と合わせて考慮されると、本願のより深い理解が得られる。これらの図面は例示に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
【
図1】本発明の幾つかの実施形態のノズルを備える工作機械の一例を示す。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る、クーラントホースに繋がれたノズルを示す図である。
【
図3】断面が4枚花弁形の板状部材が取り付けられたノズルを示す図である。
【
図4】ノズルに対して断面が4枚花弁形の板状部材を取り付ける作業を示す図である。
【
図5】断面が4枚花弁形の板状部材が内部空間に配置されたノズルの断面図である。
【
図6】(A)は、テーパなしの断面が4枚花弁形の板状部材の斜視図、(B)はテーパありの断面が4枚花弁形の板状部材の斜視図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に係る、断面が四つ星形の板状部材が取り付けられたノズルの外観図である。
【
図8】ノズルに対して断面が四つ星形の板状部材を取り付ける作業を示す図である。
【
図9】断面が四つ星形の板状部材が内部空間に配置されたノズルの断面図である。
【
図10】断面が四つ星状の板状部材の斜視図である。
【
図11】(A)〜(L)は、板状部材の各種の断面を示し、(a)は、スリットを示す断面図であり、(b)は、均一断面持つスリット付き板状部材の斜視図、(c)は、テーパを有するスリット付きの板状部材の斜視図である。
【
図12】本発明の幾つかの実施形態のノズルを備える工作機械の他の例を示す。
【
図13】本発明の幾つかの実施形態のノズルを備える工作機械の更に他の例を示す。
【
図14】本発明の第3実施形態に係る、クーラントホースに繋がれたノズルモジュールを示す図である。
【
図15】断面が4枚花弁形の板状部材が取り付けられたノズルモジュールを示す図である。
【
図16】ノズルモジュールに対して断面が4枚花弁形の板状部材を取り付ける作業を示す図である。
【
図17】断面が4枚花弁形の板状部材が内部空間に配置されたノズルモジュールの断面図である。
【
図18】本発明の第4実施形態に係る、断面が四つ星形の板状部材が取り付けられたノズルモジュールを示す図である。
【
図19】ノズルモジュールに対して断面が四つ星形の板状部材を取り付ける作業を示す図である。
【
図20】断面が四つ星形の板状部材が内部空間に配置されたノズルモジュールの断面図である。
【
図21】本発明の第5実施形態に係る、複数のノズルが一列に配列された円柱形状の流体吐出部を有するノズルモジュールを示す図である。
【
図22】ノズルモジュールの各ノズルに板状部材を取り付ける作業を示す図である。
【
図23】板状部材が内部空間に配置されたノズルモジュールの断面図である。
【
図24】(A)〜(D)は、ノズルモジュールの流体吐出部に形成されるノズルの配置を示す図である。
【
図25】本発明の第6実施形態に係る、クーラントホースに繋がれたノズルモジュールの他の例を示す図である。
【
図26】複数のノズルが一列に配列された平板形状の流体吐出部を有するノズルモジュールを示す図である。
【
図27】ノズルモジュールの各ノズルに板状部材を取り付ける作業を示す図である。
【
図28】板状部材が内部空間に配置されたノズルモジュールの断面図である。
【
図29】本発明の幾つかの実施形態に係るノズルモジュールを備える工作機械の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書においては、主に本発明のノズルやノズルモジュールを研削盤、マシニングセンターなどの工作機械に適用した実施形態について説明するが、本発明の適用分野はこれに限定されない。本発明のノズルやノズルモジュールは、流体を供給する多様なアプリケーションに適用可能である。
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
図1は本発明の幾つかの実施形態に係るノズルを備える工作機械の一例を示す。本例の工作機械は、平面研削盤である。平面研削盤100は、研削刃(砥石)2と、保護カバー4と、高さ調整部6と、冷却剤パイプ8と、クーラントホース9と、ノズル10とを含む。図示は省略するが、平面研削盤100は、被加工物W1を平面の上で移動させるテーブル、被加工物W1又は研削刃2を上下に移動させるコラム、等を備える。
【0016】
研削刃2は、図示が省略された駆動源により、
図1の平面において時計周りに回転駆動され、研削箇所Gでの研削刃2の外周面と被加工物W1との摩擦によって被加工物W1の表面が研削される。保護カバー4は高速で回転する研削刃2の周囲を囲んで、研削中に被加工物W1の切りくずが飛び散ることを防ぐことで研削盤の周囲の作業者を保護する。
【0017】
高さ調整部6は保護カバー4に設けられ、上下に移動可能な冷却剤パイプ8を所望の高さに固定させる。これによって、冷却剤パイプ8に連結されているノズル10を、研削刃2及び被加工物W1に対して適合した高さに位置させることができる。冷却剤パイプ8は、一端部にノズル10が、クーラントホース9を介して結合され、他の端部に冷却剤(例えば、水や油)を貯留するタンク(図示は省略)が連結される。ノズル10から冷却剤が研削箇所Gに対して噴出されるよう、高さ調節部6の操作や、クーラントホースの角度調節などで最適な位置や方向に固定させることができる。
【0018】
(第1の実施形態)
図2は本発明の第1の実施形態に係るノズル10のクーラントホース9との連結状態を示す。クーラントホース9は、球面対偶をなす雌部のユニットと雄部のユニットの1対のユニットを複数連結して所望の長さとなっている。その素材は、樹脂(プラスチック)である。また、その連結構造により、適宜、連結角度を調節することができ、ノズル10の方向を決定することができる。ノズル10も、その材料を、樹脂(プラスチック)とすることができるが、それに限らない。
【0019】
図3は、ノズル10の拡大図であり、
図4は、ノズル10に、板状部材11を挿入しようとしている状態を示し、
図5は、板状部材11の固定状態の断面図である。これらの図から明らかなように、ノズル10は、クーラントホース9と接続され、冷却剤(流体)が流入する流入口10−aと冷却剤が吐出する吐出口10−bと流入口10−aと吐出口10−bとを繋ぐ内部空間を形成する壁面10−cとを有する。流入口10−aは、球面形状をしており、クーラントホース9の端部の雄部のユニットと連結するようになっている。壁面10−cは、円筒状となっていて、均一の大きさの断面を持つ板状部材11が流入口10−aまたは吐出口10−bから挿入固定されるようになっている。なお、壁面10−cにテーパを持たして流入口から吐出口に向けて徐々に小さくなるようにした截頭円錐形にした場合は、挿入される板状部材11もそれに合わせて、流入口から吐出口に向けて徐々に小さくなる断面を持つようにしてもよい。前者の板状部材11が、
図6の(A)に示されており、後者の板状部材11が、
図6の(B)に示されている。
【0020】
図3から
図6の板状部材11は、断面が4枚花弁形の形状をしており、その形状のために折り目11−tが3本と、スリット11−sが1本設けられている。この板状部材11は、例えば、ステンレススチールなどの金属の薄型平板を、所定の大きさに切断した後、4枚花弁形に折り曲げて形成する。勿論、折り曲げてから切断するのでもよい。この3つの折り目11−t及びスリット11−sによって、弾性力を持つことになる。ノズル10の壁面10−cの内径と板状部材11の外径とが同じ又は板状部材11の外径を少し大きくし、スリット分の縮みによって壁面10−cの内径と同じくして、その縮みに対する反発により弾性力が生じて、内部空間を構成する壁面10−cに圧接固定されることになる。このように、板状部材11は、ノズル10の内部空間の壁面10−cに、自身の弾性力で圧接固定されるからその配置、組み立ても簡単にできる。
【0021】
このような4枚花弁形の板状部材11をノズル10に挿入固定した場合、板状部材11で囲まれる内側の流路12−cと、板状部材11の外側であって内部空間の壁面10−cとの間に形成される外側の流路12−d1〜12−d4が形成される。板状部材11は、薄い板状のものであるので、もともとの流体の流れを阻害するのは、板厚のみの部分であり、全体の流量の損失が殆どない。そして、4枚花弁形の板状部材によって、内部空間の流体の流れはガイドされることとなり、乱流となることは防止され、層流或いは整流となる。つまり、複数の折り目11−tやスリット11−sは、流体の流れに平行となっており、折り目11−t間や折り目11−tとスリット11−s間の曲面も含めて、流体が流れるガイドとなり、その直進性を増す。従って、内側の流路12−cからは、狙った位置や角度で流体を噴出することが可能となる。この時、狙った位置以外への広がり(分散や乱流)を防ぐことができる。また、外側の流路12−d1〜12−d4からも、流体は吐出するが、直進性もあるので、工作機械にノズル10を適用した場合は、被加工物(ワーク)W1の冷却やスラッジやチップの除去にも役に立つこととなる。
【0022】
なお、上記実施形態においては、板状部材11にスリット11−sを形成して、スリット分の縮みの反発からの弾性力によってノズル内部空間の壁面10−cに、板状部材11を圧接固定するようにしたが、必ずしもスリット11−sは必要としない。板状部材11の外部径と壁面10−cの内部径との調整により、板状部材11を壁面10−cに圧接固定をすることもできる。板状部材11を内部空間に固定する方法は、圧接でなくても接着等の異なる方法であってもよい。これは、第1の実施形態以外の他の実施形態においても同様である。板状部材11を内部空間に挿入してできる4枚花弁形の形状も、3本の折り目11−tと1本のスリット11−sの夫々の間隔の設定で適宜変化できる。これにより、内側の流路12−cと外側の流路12−d〜12−d4とを流れる流体の流量を可変できる。更に、板状部材11を断面が4枚花弁形としたが、花弁の枚数は2以上であればよく、後述する
図11(A)では、8枚花弁の例が示されている。加えて、花弁の膨らみ方も、
図11の(E)のものや(I)のものなど、適宜変更することができる。これらによって、内側の流路12−cと外側の流路12−d1〜12−d4を流れる流体の流量の比率が決定できる。一般的に、花弁の枚数を多くすれば、内側の流路12−cを流れる流体の流量が増えるし、夫々の花弁の膨らみを緩やかにすれば(つまり、
図11(I)のようにすれば、
図11(E)に比べて)、同様に内側の流路12−cを流れる流体の流量が大きくなる。
【0023】
(第2の実施形態)
図7〜
図10は第2の実施形態に係るノズルである。第1の実施形態と同じ箇所には同一番号を付け、その説明を省略する。
図7は、ノズル10の拡大図であり、
図8は、ノズル10に、四つ星形の板状部材111を挿入しようとしている状態を示し、
図9は、板状部材111の固定状態の断面図である。壁面10−cは、円筒状となっていて、
図10の均一の大きさの断面を持つ板状部材111が流入口10−aまたは吐出口10−bから挿入固定されるようになっている。なお、壁面10−cにテーパを持たして流入口から吐出口に向けて徐々に小さくなるようにした截頭円錐形にした場合は、挿入される板状部材111もそれに合わせて、流入口から吐出口に向けて徐々に小さくなる断面を持つようにしてもよい。
【0024】
本実施形態の板状部材111は、断面が四つ星形の形状をしており、その形状のために折り目111−tが7つと、スリット111−sが1つ設けられている。このような四つ星形の板状部材111をノズル10に挿入固定した場合、板状部材111で囲まれる内側の流路112−cと、板状部材111の外側であって内部空間の壁面10−cとの間に形成される外側の流路112−d1〜112−d4が形成される。板状部材111は、薄い板状のものであるので、もともとの流体の流れを阻害するのは、板厚のみの部分であり、全体の流量の損失が殆どない。そして、四つ星形の板状部材によって、流体の流れはガイドされることとなり、乱流となることは防止され、層流或いは整流となる。つまり、複数の折り目111−tやスリット111−sは、流体の流れに平行となっており、折り目111−t間や折り目111−tとスリット111−s間の曲面も含めて、流体が流れるガイドとなりその直進性が増す。従って、内側の流路112−cからは、狙った位置や角度で流体を噴出することが可能となる。この時、狙った位置以外への広がり(分散や乱流)を防ぐことができる。また、外側の流路112−d1〜112−d4からも、流体は吐出するが、直進性もあるほか、工作機械にノズル10を適用した場合は、被加工物(ワーク)W1の冷却やスラッジやチップの除去にも役に立つこととなる。更に、板状部材111を断面が四つ星形としたが、これ以外の形状でもよく、後述する
図11では、(H)の四つ星のほかに、(L)では八星形の例が示されている。星の突起(手)の数は、3つ以上となる。加えて、星の突起(手)の鋭さも、適宜変更することができる。これらによって、内側の流路112−cと外側の流路112−d1〜112−d4を流れる流体の流量の比率が決定できる。一般的に、星の突起の数を多くすれば、内側の流路12−cを流れる流体の流量が増えるし、夫々の星の突起の膨らみを緩やかにすれば、同様に内側の流路12−cを流れる流体の流量が大きくなる。なお、上記実施形態においては、板状部材111にスリット111−sを形成して、スリット分の縮みの反発からの弾性力によってノズル内部空間の壁面10−cに、板状部材111を圧接固定するようにしたが、必ずしもスリット111−sは必要としない。板状部材111の外部径と壁面10−cの内部径との調整により、板状部材111を壁面10−cに圧接固定をすることもできる。板状部材111を内部空間に固定する方法は、圧接でなくても接着等の異なる方法であってもよい。これは、第2の実施形態以外の他の実施形態においても同様である。
【0025】
すでに、第1、第2の実施形態の説明のときに一部参照したが、
図11は、(A)〜(L)において板状部材の断面の各種の変形例を示している。このうち(A)、(E)、(I)は花弁形の断面形状を示す。(B)は、板状部材の長円形の断面形状、(C)、(D)、(F)、(J)、(K)は、板状部材の三角形及び多角形の断面形状を示す。(G)は、板状部材のひょうたん形の断面形状、(H)、(L)は、板状部材の星形の断面形状を示す。勿論、これ以外の適宜の断面形状を、板状部材は採用することができる。また、(A)〜(L)においては、スリットが設けられていないが、すべて、(a)の如くスリット付きのものとすることもできる。また、(b)のように、断面が一定のストレートな板状部材とすることもできるし、(c)のように、断面が吐出口に向けて徐々に小さくなるテーパをもつ板状部材とすることもできる。(c)の場合は、(b)に比べて、吐出口から噴出される流体の流圧を高めることができる。
上述した第1、第2の実施形態において、
図11に示す各種の板状部材を採用することができる。また後述する他の実施形態においても、
図11の各種の形状の板状部材を用いることができる。
【0026】
以上の説明では、本発明の実施形態に係るノズルを平面研削盤に用いたが、他の工作機械に適用してもよい。
図12は本発明の実施形態に係るノズルを備える工作機械の他の例を示す。本例の工作機械は円筒研削盤である。円筒研削盤200は、研削刃202と、保護カバー204と、位置調整部206と、冷却剤パイプ208と、クーラントホース9と、ノズル10とを含む。上記のように、ノズル10は、
図3〜
図6に示した第1の実施形態、或いは
図7〜
図10に示した第2の実施形態、或いは更に
図11に示した他の例の板状部材を含む実施形態が適用される。
図12では、省略されるが、円筒研削盤200は被加工物W2を両端面の中心で支持して回転させ、中心軸に沿って(即ち、Z軸方向に)移動させる移送装置を含む。研削刃202は、図示が省略された駆動源により、
図12の平面において時計周りに回転駆動され、研削刃202の外周面と被加工物W2との当接面の摩擦によって被加工物W2の表面が研削される。保護カバー204は、高速で回転する研削刃202の周囲を囲んで、研削中に被加工物W2の切りくずが飛び散ることを防ぐことで研削盤の周囲の作業者を保護する。
【0027】
位置調整部206は保護カバー204に設けられ、X軸方向に移動可能な冷却剤パイプ208を所望の位置に固定させる。これによって、冷却剤パイプ208に連結されているクーラントホース9に接続されたノズル10が、研削刃202による被加工物W2の研削箇所Gを中心に冷却剤を噴射できる最適な位置に配置される。冷却剤パイプ208は、他端部には冷却剤を貯留するタンク(図示は省略)が連結される。このような円筒研削盤においても、本発明の実施形態であるノズル10は、冷却剤を研削箇所Gに向けて効果的に供給することができる。
【0028】
図13は、本発明の実施形態に係るノズルを、更に他の工作機械であるマシニングセンターに適用したものである。マシニングセンター300には、多数の種類の異なる工具(刃物)302が、交換可能にスピンドル304に取り付けられる。スピンドル304は、図示しない主軸モータにより工具302を回転させることができる。また、スピンドル304や工具(刃物)302を上下動させる図示しない駆動部も有する。マシニングセンター300では、工具302の交換によって、フライス、穴あけ、中グリ、ねじ立て等の種々の作業を可能とする。コラム306には、このスピンドル304のほか、冷却剤を供給するノズルが複数取り付けられている。2つのノズル10は、クーラントホース9を経由して供給される冷却剤を、被加工物W3の工作箇所Gを中心に噴射するもので、上述した第1の実施形態(
図3〜
図6)、第2の実施形態(
図7〜
図10)のノズルが適用できる。また、マシニングセンター300には、小型の3個のシングルノズル303も有り、これらは、管状のノズルで、冷却液の吐出角度を自由に変更できる構造をとっているが、この管状のノズルにおいても、後述するシングルノズルと同じように、筒体の中に、上記した板状部材を挿入固定することで、冷却剤の供給効果を上げることができる。これらのスピンドル304、工具302のほか、クーラントホース9に接続された2本のノズル10や3本のシングルノズル303は、コラム306に取り付けられている。勿論、ノズル10やシングルノズル303の種類や個数は適宜選択して、コラム306に取り付けることができる。図示していないが、各ノズル10、シングルノズル303には、冷却剤(例えば、水や油)を貯留するタンク(図示は省略)が連結される。被工作物W3は、図示しないテーブルによって、水平面上を2次元的に移動することができるようになっている。
【0029】
(第3の実施形態)
次に、
図14〜
図17を参照して、本発明の第3の実施形態に係る、単一の流体吐出口を有するシングルノズルであるノズルモジュールについて説明する。なお、第1、第2の実施形態と同じ箇所には同じ番号を付してその説明を省略する。
図14は本発明の第3の実施形態に係るノズルモジュール400のクーラントホース9との連結状態を示す。ノズルモジュール400も、その材料を、樹脂(プラスチック)のほか、金属、例えばステンレススチールとすることができるが、それに限らない。
【0030】
図15は、ノズルモジュール400の拡大図であり、ノズルモジュール400は、本体部401と流体吐出部410(つまり、円管状のシングルノズルである)とを有する。本体部401の突出部403の内面には、雌ねじが形成され、流体吐出部410の対応する部分(流入口)には、雄ねじ410−1が形成されて、ねじ結合されるようになっている。勿論、本体部401と流体吐出部410との連結はねじ結合(螺合)に限られるものではなく、嵌合や圧入などによってもよく、要は、脱着自在に結合できればよい。本体部401は、後述する通り、内部が空洞であり、クーラントホース9から供給される流体を、流体吐出部410へ送出することになる。
【0031】
図16は、ノズルモジュール400の流体吐出部410に、板状部材11を挿入しようとしている状態を示し、
図17は、板状部材11の固定状態の断面図である。これらの図から明らかなように、ノズルモジュール400は、クーラントホース9とねじ結合により接続される。つまりクーラントホース9の端部に形成された雄ねじとねじ結合される雌ねじ401−1が本体部401の流体の流入口側に形成され、流出口側には、同様に雌ねじ401−2が形成されていて、上述した流体吐出部410の雄ねじ410−1とねじ結合する。
図17に示されたように、本体部401は、中空の内部空間が、幅広く広がっている。従って、本体部401に対し流体吐出部410は冷却剤の流路が狭くなることにより、冷却剤は端部から高流圧で吐き出される。図示する通り、流体吐出部410の内部空間には流路が形成される。具体的には、流体吐出部410は、冷却剤(流体)が流入する流入口410−aと冷却剤が吐出する吐出口410−bと流入口410−aと吐出口410−bとを繋ぐ内部空間を形成する壁面410−cとを有する。この流入口410−aから吐出口410−bまで、同一の直径を有する円筒が壁面410−cで形成されている。つまり、壁面410−cは、円筒状となっていて、これに対して、均一の大きさの断面を持つ板状部材11が流入口410−aまたは吐出口410−bから挿入固定されるようになっている。なお、壁面410−cにテーパを持たして流入口から吐出口に向けて徐々に小さくなるようにして、截頭円錐形にした場合は、挿入される板状部材11もそれに合わせて、流入口から吐出口に向けて徐々に小さくなる断面を持つようにしてもよい。前者の板状部材11が、第1の実施形態に関連して説明した
図6の(A)に示されており、後者の板状部材11が、同
図6の(B)に示されている。
【0032】
図15から
図17の板状部材11は、断面が4枚花弁形の形状をしており、その形状のために折り目11−tが3本と、スリット11−sが1本設けられている。この板状部材は、例えば、ステンレススチールなどの金属の薄型平板を、所定の大きさに切断した後、4枚花弁形に折り曲げて形成する。勿論、折り曲げてから切断するのでもよい。この3つの折り目11−t及びスリット11−sによって、弾性力を持つことになる。流体吐出部410の壁面410−cの内径と板状部材11の外径とが同じ又は板状部材11の外径を少し大きくし、スリット分の縮みによって壁面410−cの内径と同じくして、その縮みに対する反発により弾性力が生じて、内部空間を構成する壁面410−cに圧接固定されることになる。このように、板状部材11は、流体吐出部410の内部空間の壁面410−cに、自身の弾性力で圧接固定されるからその配置、組み立ても簡単にできる。
【0033】
このような4枚花弁形の板状部材11を流体吐出部410に挿入固定した場合、板状部材11で囲まれる内側の流路412−cと、板状部材11の外側であって内部空間の壁面10−cとの間に形成される外側の流路412−d1〜412−d4が形成される。板状部材11は、薄い板状のものであるので、もともとの流体の流れを阻害するのは、板厚のみの部分であり、全体の流量の損失が殆どない。そして、4枚花弁形の板状部材によって、内部空間の流体の流れはガイドされることとなり、乱流となることは防止され、層流或いは整流となる。つまり、複数の折り目11−tやスリット11−sは、流体の流れに平行となっており、折り目11−t間や折り目11−tとスリット11−s間の曲面も含めて、流体が流れるガイドとなりその直進性が増す。従って、内側の流路412−cからは、狙った位置や角度で流体を噴出することが可能となる。この時、狙った位置以外への広がり(分散や乱流)を防ぐことができる。また、外側の流路412−d1〜412−d4からも、流体は吐出するが、直進性もあるので、工作機械にノズルモジュール400を適用した場合は、被加工物(ワーク)の冷却やスラッジやチップの除去にも役に立つこととなる。
【0034】
なお、上記実施形態においては、板状部材11にスリット11−sを形成して、スリット分の縮みの反発からの弾性力によってノズル内部空間の壁面410−cに、板状部材11を圧接固定するようにしたが、必ずしもスリット11−sは必要としない。板状部材11の外部径と壁面410−cの内部径との調整により、板状部材11を壁面410−cに圧接固定をすることもできる。板状部材11を内部空間に挿入してできる4枚花弁形の形状も、3本の折り目11−tと1本のスリット11−sの夫々の間隔の設定で適宜変化できる。これにより、内側の流路412−cと外側の流路412−d〜412−d4とを流れる流体の流量を可変できる。更に、板状部材11を断面が4枚花弁形としたが、花弁の枚数は2以上であればよく、上述した
図11(A)では、8枚花弁の例が示されている。加えて、花弁の膨らみ方も、
図11の(E)のものや(I)のものなど、適宜変更することができる。これらによって、内側の流路412−cと外側の流路412−d1〜412−d4を流れる流体の流量の比率が決定できる。一般的に、花弁の枚数を多くすれば、内側の流路412−cを流れる流体の流量が増えるし、夫々の花弁の膨らみを緩やかにすれば(つまり、
図11(I)のようにすれば、
図11(E)に比べて)、同様に内側の流路412−cを流れる流体の流量が大きくなる。
【0035】
(第4の実施形態)
図18〜
図20は本発明の第4の実施形態に係る、単一の流体吐出口を有するよるシングルノズルのノズルモジュールである。第1〜第3の実施形態と同じ箇所には同一番号を付け、その説明を省略する。
図18は、ノズルモジュール500の拡大図であり、本実施形態においては、ノズルモジュール500の本体401及び流体吐出部410は、第3の実施形態と同様の構造のものを用いることができる。
図19は、ノズルモジュール500の本体401に連結された流体吐出部410に、四つ星形の板状部材111を挿入しようとしている状態を示し、
図20は、板状部材111の固定状態の断面図である。壁面410−cは、円筒状となっていて、
図10の均一の大きさの断面を持つ板状部材111が流入口410−aまたは吐出口410−bから挿入固定されるようになっている。なお、壁面410−cにテーパを持たして流入口から吐出口に向けて徐々に小さくなるようにした截頭円錐形にした場合は、挿入される板状部材111もそれに合わせて、流入口から吐出口に向けて徐々に小さくなる断面を持つようにしてもよい。
【0036】
本実施形態の板状部材111は、断面が四つ星形の形状をしており、その形状のために折り目111−tが7つと、スリット111−sが1つ設けられている。このような四つ星形の板状部材111を流体吐出部410に挿入固定した場合、板状部材111で囲まれる内側の流路512−cと、板状部材111の外側であって内部空間の壁面410−cとの間に形成される外側の流路512−d1〜512−d4が形成される。板状部材111は、薄い板状のものであるので、もともとの流体の流れを阻害するのは、板厚のみの部分であり、全体の流量の損失が殆どない。そして、四つ星形の板状部材によって、内部空間の流体の流れはガイドされることとなり、乱流となることは防止され、層流或いは整流となる。つまり、複数の折り目111−tやスリット111−sは、流体の流れに平行となっており、折り目111−t間や折り目111−tとスリット111−s間の曲面も含めて、流体が流れるガイドとなりその直進性が増す。従って、内側の流路512−cからは、狙った位置や角度で流体を噴出することが可能となる。この時、狙った位置以外への広がり(分散や乱流)を防ぐことができる。また、外側の流路512−d1〜512−d4からも、流体は吐出するが、直進性もあるので、工作機械にノズルモジュール500を適用した場合は、被加工物(ワーク)の冷却やスラッジやチップの除去にも役に立つこととなる。更に、板状部材111を断面が四つ星形としたが、これ以外の形状、例えば、八星形のなどでもよい。この場合、星の突起(手)の数は、3つ以上となる。加えて、星の突起(手)の鋭さも、適宜変更することができる。これらによって、内側の流路512−cと外側の流路512−d1〜512−d4を流れる流体の流量の比率が決定できる。一般的に、星の突起の数を多くすれば、内側の流路512−cを流れる流体の流量が増えるし、夫々の星の突起の膨らみを緩やかにすれば、同様に内側の流路512−cを流れる流体の流量が大きくなる。
【0037】
(第5の実施形態)
図21〜
図23は本発明の第5の実施形態に係る、マルチノズルについてのノズルモジュールである。第1〜第4の実施形態と同じ箇所には同一番号を付け、その説明を省略する。
図21は、ノズルモジュール600の拡大図であり、ノズルモジュール600の本体401は、第3の実施形態(第4の実施形態)と同様のものを用いることができる。本体401にねじ結合などにより連結される円柱状の流体吐出部610には、複数、例えば7本の空洞によるノズル620−1〜620−7が一列に形成されている。その断面は、複数(7つの)一列に配列された小穴となる。
図22は、ノズルモジュール600の本体401に連結された流体吐出部610に、所定形状(例えば、
図11(A)〜(L)などの断面構造を持つ)の微小な板状部材611を挿入しようとしている状態を示し、
図23は、板状部材611の固定状態の断面図である。これらの図から明らかなように、本体部401の流体の流出口側には、雌ねじ401−2が形成されていて、流体吐出部610の雄ねじ610−1とねじ結合する。本体部401は、中空の内部空間が、幅広く広がっている。従って、本体部401に対し流体吐出部610は流体(冷却剤)の流路が狭くなることにより、流体は端部から高流圧で吐き出される。流体吐出部610の流入側の端面615は、例えば、円錐形状または球面形状となり、流体が、細い管状の各ノズル620−1〜620−7に流入しやすくしている。
【0038】
各ノズル620−1〜620−7の夫々の壁面610−cは、円筒状となっていて、
図11の均一の大きさの断面を持つ板状部材611が流入口610−aまたは吐出口610−bから挿入固定されるようになっている。なお、壁面610−cにテーパを持たして流入口から吐出口に向けて徐々に小さくなるようにした截頭円錐形にした場合は、挿入される板状部材611もそれに合わせて、流入口から吐出口に向けて徐々に小さくなる断面を持つようにしてもよい。
【0039】
本実施形態の板状部材611は、
図11(A)〜(L)などの所定形状の断面をしており、その形状のために折り目が複数あり、スリットが1つ設けられている。このような板状部材611を流体吐出部610の各ノズル620−1〜620−7に挿入固定した場合、板状部材611で囲まれる内側の流路と、板状部材611の外側であって内部空間の壁面との間に形成される外側の流路が形成される。板状部材611は、薄い板状のものであるので、もともとの流体の流れを阻害するのは、板厚のみの部分であり、全体の流量の損失が殆どない。そして、所定形状の板状部材によって、流体の流れはガイドされることとなり、乱流となることは防止され、層流或いは整流となる。つまり、複数の折り目やスリットは、流体の流れに平行となっており、折り目間や折り目とスリット間の曲面も含めて、流体が流れるガイドとなりその直進性が増す。従って、各ノズル620−1〜620−7の内側の流路からは、狙った位置や角度で流体を噴出することが可能となる。この時、狙った位置以外への広がり(分散や乱流)を防ぐことができる。また、各ノズル620−1〜620−7の外側の流路からも、流体は吐出するが、直進性もあるので、工作機械にノズルモジュール600を適用した場合は、被加工物(ワーク)の冷却やスラッジやチップの除去にも役に立つこととなる。
【0040】
図21〜
図23で示した第5の実施形態のノズル620−1〜620−7は、円柱状の流体吐出部610に水平に一列に配置したが、
図24に示す通り、(A)の一列にノズルの小穴を配置するほか、(B)のように全面に複数のノズルの小穴を形成してもよく、(C)のように多段に配置してもよく、(D)のように、流体吐出部610の上部をカットしフラットにし、ノズルの小穴は、刃物(砥石)の形状にあわせて、V字状に配置することもできる。勿論、ノズルの小穴の配列は、これ以外の形とすることも可能である。
【0041】
(第6の実施形態)
次に、
図25〜
図28を参照して、本発明の第6の実施形態に係る、複数の流体吐出口を有するマルチノズルについてのノズルモジュールについて説明する。なお、第1〜第5の実施形態と同じ箇所には同じ番号を付してその説明を省略する。
図25は本発明の第6の実施形態に係るノズルモジュール700のクーラントホース9との連結状態を示す。ノズルモジュール700も、その材料を、樹脂(プラスチック)のほか、金属例えば、ステンレススチールとすることができるが、それに限らない。
【0042】
図26は、ノズルモジュール700の拡大図であり、ノズルモジュール700は、本体部701と流体吐出部710(つまり、平板状のフラットノズルである)とを有する。この両者は、一体成型されているが、別体で製造しその後、接合してもよい。
図27は、ノズルモジュール700の流体吐出部710に形成された複数、例えば23本の円筒形の小穴であるノズル720−1〜720−23に、板状部材711を挿入しようとしている状態を示し、
図28は、板状部材711の固定状態の断面図である。これらの図から明らかなように、ノズルモジュール700は、クーラントホース9とねじ結合により接続される。つまりクーラントホース9の端部に形成された雄ねじとねじ結合される雌ねじ701−1が本体部701の流体の流入口側に形成される。流出口側には、流体吐出部710が一体成型などによって連結されている。
図28に示されたように、本体部701は、中空の内部空間が、幅広く広がっている。従って、本体部701に対し流体吐出部710は冷却剤の流路が狭くなることにより、冷却剤は端部から高流圧で吐き出される。図示する通り、流体吐出部710のノズル720−1〜720−23の内部空間には流路が形成される。具体的には、流体吐出部710に形成されたノズル720−1〜720−23の夫々には、冷却剤(流体)が流入する流入口710−aと冷却剤が吐出する吐出口710−bと流入口710−aと吐出口710−bとを繋ぐ内部空間を形成する壁面710−cとを有する。この流入口710−aから吐出口710−bまで、同一の直径を有する円筒が壁面710−cで形成されている。つまり、壁面710−cは、円筒状となっていて、これに対して、均一の大きさの断面を持つ板状部材711が吐出口710−bから挿入固定されるようになっている。なお、壁面710−cにテーパを持たして流入口から吐出口に向けて徐々に小さくなるようにした、截頭円錐形にした場合は、挿入される板状部材711もそれに合わせて、流入口から吐出口に向けて徐々に小さくなる断面を持つようにしてもよい。前者の板状部材711が、第1の実施形態に関連して説明した
図6の(A)に示されており、後者の板状部材711が、同
図6の(B)に示されている。
【0043】
本実施形態の板状部材711は、
図11(A)〜(L)などの所定形状の断面をしており、その形状のために折り目が複数あり、スリットが1つ設けられている。このような板状部材711を流体吐出部710の各ノズル720−1〜720−23に挿入固定した場合、板状部材711で囲まれる内側の流路と、板状部材711の外側であって内部空間の壁面との間に形成される外側の流路が形成される。板状部材711は、薄い板状のものであるので、もともとの流体の流れを阻害するのは、板厚のみの部分であり、全体の流量の損失が殆どない。そして、所定形状の板状部材によって、流体の流れはガイドされることとなり、乱流となることは防止され、層流或いは整流となる。つまり、複数の折り目やスリットは、流体の流れに平行となっており、折り目間や折り目とスリット間の曲面も含めて、流体が流れるガイドとなりその直進性が増す。従って、各ノズル720−1〜720−23の内側の流路からは、狙った位置や角度で流体を噴出することが可能となる。この時、狙った位置以外への広がり(分散や乱流)を防ぐことができる。また、各ノズル720−1〜720−23の外側の流路からも、流体は吐出するが、直進性もあるので、工作機械にノズルモジュール700を適用した場合は、被加工物(ワーク)の冷却に貢献し、スラッジやチップの除去にも役に立つこととなる。
【0044】
第3〜6の実施形態によるノズルモジュール400、500、600、700も、平面研削盤、円筒研削盤のほか各種工作機械の冷却液供給手段として採用できる。
図29は、ノズルモジュール700及びノズルモジュール400(又は500、600)をマシニングセンターに適用したものである。マシニングセンター800には、多数の種類の異なる工具(刃物)802が、交換可能にスピンドル804に取り付けられる。スピンドル804は、図示しない主軸モータにより工具802を回転させることができる。また、スピンドル804や工具(刃物)802を上下させる図示しない駆動部を有する。マシニングセンター800では、工具802の交換によって、フライス、穴あけ、中グリ、ねじ立て等の種々の作業を可能とする。コラム806には、このスピンドル804のほか、冷却剤を供給するノズルが複数取り付けられている。2つのノズルモジュール700及び400(或いは、500、600)は、クーラントホース9を経由して供給される冷却剤を、被加工物W4の工作箇所Gを中心に噴射するものである。また、マシニングセンター800には、小型の4個のシングルノズル803も有り、これらは、管状のノズルで、冷却液の吐出角度を自由に変更できる構造をとっているが、この管状のノズルにおいても、上述したシングルノズルと同じように、筒体の中に、上記した板状部材を挿入固定することで、冷却剤の供給効果を上げることができる。これらのスピンドル804、工具802のほか、クーラントホース9に接続された2個のノズルモジュール700及び400(或いは、500、600)や3本のシングルノズル803は、コラム806に取り付けられている。勿論、ノズルモジュールやシングルノズルの種類や個数は、適宜選択してコラム806に取り付けることができる。図示していないが、各ノズルモジュール700及び400(或いは、500、600)、4本のシングルノズル803には、冷却剤(例えば、水や油)を貯留するタンク(図示は省略)が連結される。被工作物W4は、図示しないテーブルによって、水平面上を2次元的に移動することができるようになっている。
【0045】
以上、本発明を、複数の実施形態を利用して説明したが、本発明はこのような実施形態に限定されることではない。本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、上記説明及び関連図面から本発明の多くの変形及び他の実施形態を導出することができる。本明細書では、複数の特定用語が使われているが、これらは一般的な意味として単に説明の目的のために使われただけであり、発明を制限する目的で使われたものではない。添付の特許請求の範囲及びその均等物により定義される一般的な発明の概念及び思想を抜け出さない範囲で多様な変形が可能である。
【解決手段】流体が供給される流入口と、流体が吐出される吐出口と、流入口と吐出口とを繋ぐ内部空間とを有するノズルである。ノズルには、所定の断面形状を有する板状部材が、内部空間に配置されて流体の流路を形成するようにしている。