(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
多極電機子(1)における磁極(2)の周囲を回動しながら線材(3)を繰出して前記磁極(2)に対して前記線材(3)を巻線するフライヤ(4)と、前記磁極(2)を前記多極電機子(1)の軸方向から挟持するように配設され前記フライヤ(4)から繰出された前記線材(3)を先端縁から前記磁極(2)に案内する一対のセンタフォーマ(15,16)と、前記一対のセンタフォーマ(15,16)の前記多極電機子(1)に対する軸方向位置および半径方向位置を調整するセンタフォーマ移動機構(17)とを備えた巻線装置において、
前記一対のセンタフォーマ(15,16)のいずれか一方が前記多極電機子(1)の周方向に重合する一対のフォーマ板(15a,15b)により構成され、
前記センタフォーマ移動機構(17)は前記一対のフォーマ板(15a,15b)のいずれか一方のフォーマ板(15a)を他方のフォーマ板(15b)に対して前記多極電機子(1)の径方向へずらすことが可能に構成された
ことを特徴とするフライヤ式の巻線機。
多極電機子(1)における磁極(2)の周囲を回動すると共に前記多極電機子(1)の径方向に往復移動して前記磁極(2)に対して線材(3)を巻線するフライヤ(4)と、前記磁極(2)を前記多極電機子(1)の軸方向から挟持するように配設され前記フライヤ(4)の往復移動に伴って前記多極電機子(1)の径方向へ往復移動して前記フライヤ(4)から繰出された前記線材(3)を先端縁から前記磁極(2)に案内する一対のセンタフォーマ(15,16)とを備えた巻線装置(100)を用いて前記多極電機子(1)の各磁極(2)に前記線材(3)を巻線する巻線方法であって、
前記一対のセンタフォーマ(15,16)のいずれか一方を記多極電機子(1)の周方向に重合する一対のフォーマ板(15a,15b)により構成し、
前記一対のセンタフォーマ(15,16)の前記多極電機子(1)の径方向への往動時において前記一対のフォーマ板(15a,15b)のいずれか一方を他方に対して前記多極電機子(1)の径方向内側又は外側へずらし、
前記一対のセンタフォーマ(15,16)の前記多極電機子(1)の径方向への復動時において前記一対のフォーマ板(15a,15b)のいずれか一方を他方に対して前記多極電機子(1)の径方向外側又は内側へずらす
ことを特徴とする巻線方法。
フライヤ(4)の回動に伴って一方のセンタフォーマ(15)に対向する対向フォーマ(80)を一対のセンタフォーマ(15,16)とともに多極電機子(1)の径方向へ往復移動させ、
前記一対のセンタフォーマ(15,16)の前記多極電機子(1)の径方向への往動時において、一対のフォーマ板(15a,15b)のいずれか一方が前記多極電機子(1)の径方向内側又は外側へずれた前記一対のフォーマ板(15a,15b)の傾斜に沿って前記対向フォーマ(80)を傾斜させて前記一対のセンタフォーマ(15,16)とともに前記多極電機子(1)の径方向へ往動させ、
前記一対のセンタフォーマ(15,16)の前記多極電機子(1)の径方向への復動時において、前記一対のフォーマ板(15a,15b)のいずれか一方が前記多極電機子(1)の径方向外側又は内側へずれた前記一対のフォーマ板(15a,15b)の傾斜に沿って前記対向フォーマ(80)を傾斜させて前記一対のセンタフォーマ(15,16)とともに前記多極電機子(1)の径方向へ復動させ、
前記フライヤ(4)から繰出された前記線材(3)を前記一方のセンタフォーマ(15,16)と前記対向フォーマ(80)の間から前記磁極(2)に案内して巻線する
請求項4記載の巻線方法。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
図1に本発明のフライヤ式の巻線機100を示す。このフライヤ式の巻線機100は、発電機や電動機を構成する多極電機子1(ステーター)の複数の磁極2の周囲に線材3を多層に巻線する装置である。そして、このフライヤ式の巻線機100は、線材3を繰出しながら磁極2の周囲を回動するフライヤ4を用いて巻線を行うフライヤ式の巻線機である。
【0026】
この実施の形態における多極電機子1は、環状部1aと、この環状部1aから径方向外側に向かって放射状に突出した複数の磁極2とを備えるものとする(
図3に5個の磁極を示す)。
図3に示すように、この多極電機子1における各磁極2の間にはスロット1bが開口してなる。磁極2の断面は4角形であり、磁極2の外周面は平滑状の4平面からなる。そして、各磁極2の先端には鍔部2aが形成される。
【0027】
図1に戻って、このフライヤ式の巻線機100は、各部材が配置される基台5上に、多極電機子1の磁極2に対して線材3を自動で巻線する巻線機構6と、多極電機子1を回転させることによって磁極2を順次に巻線位置に送るインデックス機構7とを備える。
図1におけるインデックス機構7は多極電機子1をその軸方向を鉛直にして支持するものであり、巻線機構6に対向する磁極2に巻線が行われるものとする。
【0028】
各図にあっては、互いに直交するX、Y及びZの3軸を設定し、X軸が多極電機子1の径方向であって巻線する磁極2と巻線機構6とを連通する略水平前後方向、Y軸がその巻線する磁極2における多極電機子1の周方向である略水平横方向、Z軸が多極電機子1の軸方向である鉛直方向に延びるものとし、このフライヤ式の巻線機100の構成について説明する。
【0029】
インデックス機構7は、インデックスモータ9と、インデックスモータ9の出力軸9aに連結され多極電機子1の回転軸と同軸上に延在する支持軸10と、支持軸10に連結され多極電機子1を水平に載置するインデックス台11とを備える。多極電機子1は、環状部1aの貫通孔1cにインデックス台1一の軸11aが挿通した状態にてインデックス台11上に載置される。
【0030】
これと共に、多極電機子1は、後述する電機子押え部材96にてインデックス台11とは反対方向(
図1では上方)からインデックス台11に対して押圧される。これにより、多極電機子1は、インデックス台11上に支持可能に構成される。
【0031】
このインデックス機構7では、インデックスモータ9が駆動することによって、インデックス台11に支持された多極電機子1はインデックス台1一の軸11aを回転軸として回転するように構成される。多極電機子1は、インデックス台11に支持された状態にて磁極2への巻線が行われ、その磁極2への巻線作業終了後には、インデックスモータ9の駆動によって回転し、次に巻線される磁極2が巻線位置に送られるようになっている。このように、インデックス機構7は、多極電機子1の磁極2を巻線機構6に対向する巻線位置に順次に送り、巻線機構6は巻線位置に送られた磁極2に対して巻線を行うように構成される。
【0032】
巻線機構6は、線材3を繰出すと共に磁極2の周囲を回動して磁極2に対して線材3を巻線するフライヤ4と、フライヤ4から繰出された線材3を磁極2に対して案内する一対のセンタフォーマ15,16と、フライヤ4及びセンタフォーマ15,16をX軸方向に移動させるトラバース機構18と、トラバース機構18と別に一対のセンタフォーマ15,16を個別に移動させて、一対のセンタフォーマ15,16の多極電機子1に対する軸方向位置および半径方向位置を調整するセンタフォーマ移動機構17とを備える。
【0033】
基台5上には移動台21がX軸方向に移動可能に設けられ、この移動台21に主ヘッド22が立設される。主ヘッド22は、軸受23を介して回転自在である円筒形状の主スピンドル軸24を支持すると共に、主スピンドル軸24の内周に軸受25を介して回転不能の主中心体26を支持している(主中心体26を回転不能とする構造については後述する)。主スピンドル軸24の多極電機子1に臨む先端には環状のフランジ部24aが一体に設けられ、このフランジ部24aに多極電機子1に向けて延在するフライヤ4が取付けられる。フライヤ4は、主スピンドル軸24の回転軸から偏心した位置に取付けられる。このフライヤ4には、線材3の案内用のローラ4aが複数設けられ、その先端には線材3を繰出すノズル27が設けられる。
【0034】
主スピンドル軸24の先端近傍には、プーリ28が取付けられる。また、移動台21にはフライヤ回転モータ29が設けられ、フライヤ回転モータ29の出力軸にはプーリ30が取付けられる。プーリ28とプーリ30とはベルト31を介して連結される。これにより、フライヤ回転モータ29が駆動すると、主スピンドル軸24が回転し、フライヤ4が主スピンドル軸24の回転軸を中心に回動するように構成される。なお、フライヤ4が取付けられた主スピンドル軸24には、そのフライヤ4の近傍であって回転軸に平行に線材3が挿通する貫通孔24bが形成される。
【0035】
主中心体26の先端面には、センタフォーマ15,16を支持するセンタフォーマ支持板33が取付けられる。
図3及び
図4に示すように、センタフォーマ支持板33の多極電機子1に臨む前面には、Y軸方向に所定の間隔をあけてX軸方向に延びる互いに平行な一対の側板34a,34bが、主スピンドル軸24の回転軸を中心として設けられる。その一対の側板34a,34bの多極電機子1に臨む先端部には、巻線される磁極2の鍔部2aを押さえる一点鎖線で示す押え部材49が、その押え部材49を磁極2の外端面に当接させるように付勢する図示しないコイルスプリングとともに設けられる。
【0036】
図5及び
図6に示すように、一方の側板34aの外側にはX軸方向に延びる第一前後進ガイドレール36aが設けられ、第一前後進ガイドレール36aにはそのガイドレール36aに沿って移動可能なカム板35aが係合している。
【0037】
また、他方の側板34bに対向する一方の側板34aの内側にはZ軸方向に延びる鉛直ガイドレール37aが設けられ、鉛直ガイドレール37aにはそのガイドレール37aに沿って移動可能な一対の鉛直移動板38a,38bが係合している。
【0038】
一方の側板34aには鉛直方向に延びる鉛直長孔34c,34dがZ軸方向に所定の間隔を開けて一対形成される(
図7及び
図8に破線で示す)。この鉛直長孔34c,34dには、僅かな隙間を持って断面円形の支持棒39a,39bが挿通され、この支持棒39a,39bの基端が鉛直移動板38a,38bに取付けられる。
【0039】
また、この鉛直移動板38a,38bとともに一方の側板34aを挟むように設けられたカム板35aには、その移動方向に対して傾斜する傾斜長孔35c,35dが形成される(
図7及び
図8に実線で示す)。
図7及び
図8における傾斜長孔35c,35dは移動方向であるX軸方向に対して45度に傾斜し、多極電機子1に向かって互いに近づくように形成されたものを示す。
【0040】
そして、この傾斜長孔35c,35dには支持棒39a,39bの先端に枢支されたローラ40a,40bが挿入される。このローラ40a,40bの外径は傾斜長孔35c,35dの幅に対して僅かに小さな外径を有し、このローラ40a,40bはその傾斜長孔35c,35dに対して転がり移動可能に嵌合される。
【0041】
図3〜
図6に示すように、Z軸方向上側の鉛直移動板38aの、鉛直ガイドレール37aに対向する面と反対側の面には、X軸方向に延びる第二及び第三前後進ガイドレール41a,41bがZ軸方向の上下に所定の間隔を開けて互いに平行に設けられる。この第二及び第三前後進ガイドレール41a,41bにはそれらのガイドレール41a,41bに沿って移動可能な一対の取付台42a,42bが係合される。
【0042】
一方、Z軸方向下側の鉛直移動板38bの、鉛直ガイドレール37aに対向する面と反対側の面には、X軸方向に延びる第四前後進ガイドレール41cが設けられる。この第四前後進ガイドレール41cにはそのガイドレール41cに沿って移動可能な取付台42cが係合される。そして、これらの取付台42a,42b,42cに、磁極2をZ軸方向から挟持する一対のセンタフォーマ15,16が、フライヤ4の回転軸Cを通過する鉛直軸上に取付けられる。
【0043】
下方におけるセンタフォーマ16は、取付台42cから多極電機子1に向かうように前方に伸びた後に上方に向かう略L字状に形成され、その下面から前面に至る外面が傾斜して形成される(
図7)。そして、フライヤ4から繰出された線材3は、このセンタフォーマ16の傾斜面に沿って滑り、その先端から磁極2に案内されるように表面が研磨されて仕上げられる。
【0044】
一方、上方におけるセンタフォーマ15は、多極電機子1の周方向に重合する一対のフォーマ板15a,15bにより構成され、それらが重合した状態で別々の取付台42a,42bに取付けられる。重合した一対のフォーマ板15a,15bから成る上側のセンタフォーマ15は、取付台42a,42bから前方に伸びた後に下方に向かう略L字状に形成され、その上面から前面に至る外面が傾斜して形成される(
図7)。そして、フライヤ4から繰出された線材3は、このセンタフォーマ15の傾斜面に沿って滑り落ちて先端部15c,15dから磁極2に案内されるように表面が研磨されて仕上げられる。
【0045】
図3〜
図6に示すように、第二〜第四前後進ガイドレール41a,41b,41cに支持された取付台42a,42b,42cの、その第二〜第四前後進ガイドレール41a,41b,41cに対向する面の反対側には、Z軸方向に伸びる凹溝42d,42e,42fがそれぞれ形成される。そして、その凹溝42d,42e,42fに対向する他方の側板34bの内面にはX軸方向に延びる第五〜第七前後進ガイドレール43a,43b,43cがそれぞれ設けられる。
【0046】
この第五〜第七前後進ガイドレール43a,43b,43cにはそれらのガイドレール43a,43b,43cに沿って移動可能な操作台44a,44b,44cが係合される。そして、操作台44a,44b,44cのそれぞれには、先端が凹溝42d,42e,42fに進入する操作棒45a,45b,45cが設けられる。
【0047】
ここで、図における符号57a,57b,57cは、鉛直移動板38a,38bと取付台42a,42b,42cとの間にX軸方向に延びて架設され、それらを互い引っ張ることにより、凹溝42d,42e,42fの中において、その凹溝42d,42e,42fの内部にある操作棒45a,45b,45cのがたつきを防止するコイルスプリング57a,57b,57cである。
【0048】
支持板33には、X軸方向に延びる4本の操作ロッド46a,46b,46c,46dがフライヤ4の回転軸Cを挟む上下と左右に分かれて設けられる。
図1及び
図2に示すように、この4本の操作ロッド46a,46b,46c,46dは、その支持板33が先端に設けられた主中心体26を貫通して、フライヤ4の回転軸方向であるX軸方向に移動可能に設けられる。
【0049】
図5及び
図6に戻って、フライヤ4の回転軸Cの上方に設けられた操作ロッド46aは、その先端が連結板47aを介して操作台44aに連結され、フライヤ4の回転軸Cの図の右側に設けられた操作ロッド46cは、その先端が連結板47cを介して操作台44bに連結される。
【0050】
この回転軸Cの上側及び右側に設けられた操作ロッド46a,46cがX軸方向に移動すると、操作台44a,44bもX軸方向に移動して、それらに取付けられた一対のフォーマ板15a,15bから成る上側のセンタフォーマ15は、それぞれ前後進することになる。
【0051】
また、フライヤ4の回転軸Cの下方に設けられた操作ロッド46bは、その先端が連結板47bを介して操作台44cに連結される。この回転軸Cの下側に設けられた操作ロッド46bがX軸方向に移動すると、操作台44cもX軸方向に移動して、それに取付けられた下側のセンタフォーマ16を前後進可能に構成される。
【0052】
具体的に、操作ロッド46bが操作台44cとともに多極電機子1から遠ざかった状態から前進して多極電機子1に近づくと、その操作台44cに設けられた操作棒45cも同様に前進し、その操作棒45cが凹溝42fに進入する取付台42cも第四前後進ガイドレール41cに沿って前進することになる。よって、この操作台44cは、取付台42cとともに下側のセンタフォーマ16をX軸方向に前進させることになる。
【0053】
逆に、操作ロッド46bが操作台44cとともに前進した状態から後退して多極電機子1から遠ざかると、その操作台44cに設けられた操作棒45cも同様に後退し、その操作棒45cが凹溝42fに進入する取付台42cも第四前後進ガイドレール41cに沿って後退することになる。よって、この操作台44cは、取付台42cとともに下側のセンタフォーマ16をX軸方向に後退させることになる。
【0054】
また、上側のセンタフォーマ15が前後進する動作を説明すると、
図3に示すように、操作ロッド46a,46cが操作台44a,44bとともに多極電機子1から遠ざかった状態から
図4の実線矢印で示すように前進して多極電機子1に近づくと、その操作台44a,44bに設けられた操作棒45a,45bも同様に前進し、その操作棒45a,45bが凹溝42d,43eに進入する取付台42a,42bも第二及び第三前後進ガイドレール41a,41bに沿って前進することになる。よって、この操作台44a,44bは、取付台42a,42bとともに一対のフォーマ板15a,15bを前進させ、これらが同様に移動することにより、一対のフォーマ板15a,15bから成る上側のセンタフォーマ15をX軸方向に前進させることになる。
【0055】
逆に、
図4に示すように、操作ロッド46a,46cが操作台44a,44bとともに前進した状態から
図3の破線矢印で示すように後退して多極電機子1から遠ざかると、その操作台44a,44bに設けられた操作棒45a,45bも同様に後退し、その操作棒45a,45bが凹溝42d,42eに進入する取付台42a,42bも第二及び第三前後進ガイドレール41a,41bに沿って後退することになる。よって、この操作台44a,44bは、取付台42a,42bとともに上側のセンタフォーマ15をX軸方向に後退させることになる。
【0056】
そして、この上側のセンタフォーマ15は、多極電機子1の周方向に重合する一対のフォーマ板15a,15bにより構成されており、それらを前進又は後退させる操作ロッド46a,46cも別々に設けられることから、これらの操作ロッド46a,46cを有するセンタフォーマ移動機構17は、これらの操作ロッド46a,46cを別々に移動させることによって、この一対のフォーマ板15a,15bのいずれか一方のフォーマ板15aを他方のフォーマ板15ab対して多極電機子1の径方向へずらすことが可能に構成される。
図3では、一方のフォーマ板15aを他方のフォーマ板15bに対して多極電機子1に向かって僅かに前進するようにずらした状態を示し、
図4では、一方のフォーマ板15aを他方のフォーマ板15bに対して多極電機子1から僅かに後退するようにずらした状態を示す。
【0057】
図5及び
図6に示すように、フライヤ4の回転軸Cの図の左側に設けられた操作ロッド46dはカム板35aに連絡板47dを介して連結される。このカム板35a及び傾斜長孔35c,35dに嵌合されたローラ40a,40bは、操作ロッド46dのX軸方向における移動を一対のセンタフォーマ15,16におけるZ軸方向の移動に変換する移動方向変換手段を構成する。
【0058】
即ち、ローラ40a,40bが先端に枢支された支持棒39a,39bは、側板34aに形成された鉛直長孔34c,34dに挿通され、その基端が取付けられた鉛直移動板38a,38bはZ軸方向に延びる鉛直ガイドレール37a(
図5及び
図6)に係合している。このため、この支持棒39a,39bは、側板34bに対してX軸方向に移動することはない。よって、
図7に示すように、前進した操作ロッド46dがカム板35aとともに
図8の実線矢印で示すように後退すると、その後退するカム板35aによりローラ40a,40bはその傾斜長孔35c,35dの内部で、傾斜長孔35c,35dの傾斜に沿って転がり移動する。
【0059】
すると、支持棒39a,39bは鉛直長孔34c,34dに沿って鉛直に移動して互いに近づくことになる。
図6に示すように、この支持棒39a,39bの基端は鉛直移動板38a,38bに取付けられているため、互いに近づく支持棒39a,39bは、その支持棒39a,39bが取付けられた鉛直移動板38a,38bをも互いに近づけることになる。すると、上側の鉛直移動板38aに第二及び第三前後進ガイドレール41a,41bを介して設けられた上側の取付台42a,42bと、下側の鉛直移動板38bに第四前後進ガイドレール41cを介して設けられた下側の取付台42cが互いに近づくように移動させる。このようにして、それらに設けられた上下一対のセンタフォーマ15,16を実線矢印で示すように互いに近づけることになる。
【0060】
一方、
図8に示すように、後退した操作ロッド46dがカム板35aとともに
図7の破線矢印で示すように前進すると、その前進するカム板35aによりローラ40a,40bはその傾斜長孔35c,35dの内部で、傾斜長孔35c,35dの傾斜に沿って転がり移動する。すると、支持棒39a,39bは鉛直長孔34c,34dに沿って鉛直方向に互いに離間することになる。
図5に示すように、この支持棒39a,39bの基端は鉛直移動板38a,38bに取付けられているため、互いに離間する支持棒39a,39bは、その支持棒39a,39bが取付けられた鉛直移動板38a,38bとともに、鉛直長孔34c,34dの形成方向である鉛直方向に互いに離間することになる。
【0061】
互いに離間する鉛直移動板38a,38bは、上側の鉛直移動板38aに第二及び第三前後進ガイドレール41a,41bを介して設けられた上側の取付台42a,42bと、下側の鉛直移動板38bに第四前後進ガイドレール41cを介して設けられた下側の取付台42cとを互いに離間するように移動させる。このようにして、それらに設けられた上下一対のセンタフォーマ15,16を破線矢印で示すように互いに離間させることになる。このようにして、カム板35aのX軸方向における往復移動は一対のセンタフォーマ15,16が取付けられた鉛直移動板38a,38bの往復移動に転換されるように構成される。
【0062】
図1及び
図2に示すように、フライヤ4及びセンタフォーマ15,16を多極電機子1の径方向であるX軸方向に移動させるトラバース機構18は、基台5に設けられたトラバースモータ50と、トラバースモータ50の出力軸に連結されフライヤ4の回転軸C方向(X軸方向)に延在するボールネジ51と、ボールネジ51が螺合する可動体52aと、基台5上にボールネジ51と平行に配置され可動体52aを案内するガイドレール53と、そのガイドレール53に案内される可動体52bとを備える。そして、それらの可動体52a,52bに移動台21が取付けられる。
【0063】
このトラバース機構18では、トラバースモータ50が駆動すると、可動体52a,52bはガイドレール53に案内され、主ヘッド22を載置する移動台21はフライヤ4の回転軸C方向に移動するように構成される。このように、トラバースモータ50を駆動することによって、フライヤ4及びセンタフォーマ15,16をフライヤ4の回転軸C方向に移動させることができる。このトラバース機構18は、磁極2への線材3の巻線中、磁極2の周囲に線材3を一周巻線する毎に線材3をX軸方向へ線材3の線径分だけ移動させるために用いられる。
【0064】
一方、
図2に示すように、一対のセンタフォーマ15,16をトラバース機構18と別に個別に移動させるセンタフォーマ移動機構17は、フライヤ4の回転軸方向に移動可能な前述した4本の操作ロッド46a,46b,46c,46dと、この4本の操作ロッド46a,46b,46c,46dを別々にそれぞれ独立して軸方向に移動可能な可動手段とを備える。そして、この可動手段は、操作ロッド46a,46b,46c,46dの基端が取付けられた移動体61d,66d,71d,76dと、フライヤ4の回転軸C方向に延びて設けられ回転することにより移動体61d,66d,71d,76dを移動させるネジ体62,67,72,77と、それらのネジ体62,67,72,77を別に独立して回転させるモータ63,68,73,78とを備える。
【0065】
具体的に説明すると、
図2に示すように、可動手段は、上側のセンタフォーマ15における一方のフォーマ板を前後進させる操作ロッド46aを移動させる第一ロッド移動機構60と、下側のセンタフォーマ16を前後進させる操作ロッド46bを移動させる第二ロッド移動機構65と、上側のセンタフォーマ15における他方のフォーマ板を前後進させる操作ロッド46dを移動させる第三ロッド移動機構70と、一対のセンタフォーマ15,16を互いに離接させる操作ロッド46cを移動させる第四ロッド移動機構75と、を備える。これらは、主ヘッド22の後方の移動台21上に設けられる。
【0066】
図1及び
図2に示すように、主ヘッド22の後方の移動台21上には、フライヤ4の回転軸に平行になるようにX軸方向に延びる複数のガイドレール56がY軸方向に所定の間隔をあけて設けられる。第一〜第四ロッド移動機構60,65,70,75は主ヘッド22と略平行な第一〜第四ヘッド61,66,71,76を有し、この第一〜第四ヘッド61,66,71,76は、主ヘッド22からこの順序で後方に向かい、そのガイドレール56に沿ってX軸方向にそれぞれ移動可能に設けられる。
【0067】
第一〜第四ヘッド61,66,71,76は、軸受61a,66a,71a,76aを介して回転自在である円筒形状の第一〜第四スピンドル軸61b,66b,71b,76bをそれぞれ支持する。それと共に、第一〜第四スピンドル軸61b,66b,71b,76bの内周には、軸受61c,66c,71c,76cを介して回転不能である第一〜第四移動体61d,66d,71d,76dがそれぞれ支持される(これらの移動体を回転不能とする構造については後述する)。
【0068】
図2に示すように、移動台21には、ガイドレール56と平行なガイド軸58がその中心軸を中心に回転可能に設けられる。このガイド軸58は、第一〜第四ロッド移動機構60,65,70,75における第一〜第四ヘッド61,66,71,76に挿通される。第一〜第四ヘッド61,66,71,76はこのガイド軸58に支持されると共に、そのガイド軸58に沿って移動可能に構成される。ここで、図に示す符号58a,58bはそのガイド軸58の両端を支持する為に移動台21に固定された支持台58a,58bである。
【0069】
主ヘッド22に支持された主スピンドル軸24の主ヘッド22より後方に存在する後端にはプーリ59aが取付けられ、ガイド軸58には別のプーリ59bがガイド軸58に対して回転不能に取付けられる。そして、プーリ59aとプーリ59bとはベルト59cを介して連結され、主スピンドル軸24が回転すると、ガイド軸58も回転するように構成される。
【0070】
第一〜第四スピンドル軸61b,66b,71b,76bの後端には、プーリ61e,66e,71e,76eがそれぞれ取付けられる。また、第一〜第四ヘッド61,66,71,76のガイド軸58が挿通された部分には、その第一〜第四ヘッド61,66,71,76に対して回転可能であってかつ軸方向に移動不能にプーリ61f,66f,71f,76fがそれぞれ取付けられる。このプーリ61f,66f,71f,76fはガイド軸58に対しては回転不能であってかつ軸方向に移動可能に構成される。そして、プーリ61e,66e,71e,76eとプーリ61f,66f,71f,76fとはベルト61g,66g,71g,76gを介してそれぞれ連結される。これにより、ガイド軸58が回転すると、第一〜第四スピンドル軸61b,66b,71b,76bも回転するように構成される。
【0071】
そして、主スピンドル軸24が回転すると、ガイド軸58も回転するので、このガイド軸58の回転により主スピンドル軸24の回転に同期して第一〜第四スピンドル軸61b,66b,71b,76bも回転するように構成される。なお、第一〜第四スピンドル軸61b,66b,71b,76bには、線材3が挿通する貫通孔61h,66h,71h,76hが同軸に連続するように形成される。
【0072】
第一〜第四スピンドル軸61b,66b,71b,76bの回転軸は同軸上に設けられるけれども、それらの回転軸は主スピンドル軸24の回転軸と偏心して設けられる。このため、第一〜第四スピンドル軸61b,66b,71b,76bと同軸に設けられた第一〜第四移動体61d,66d,71d,76dの回転軸も、主スピンドル軸24に同軸に設けられた主中心体26の回転軸と偏心して設けられる。
【0073】
上側のセンタフォーマ15における一方のフォーマ板を前後進させる操作ロッド46aは、その基端が第一ロッド移動機構60における第一移動体61dに取付けられる。下側のセンタフォーマ16を前後進させる操作ロッド46bは、その基端が第一移動体61dを移動可能に貫通して第二ロッド移動機構65における第二移動体65dに取付けられる。上側のセンタフォーマ15における他方のフォーマ板を前後進させる操作ロッド46cは、その基端が第一移動体61d及び第二移動体65dを移動可能に貫通して第三ロッド移動機構70における第三移動体71dに取付けられる。一対のセンタフォーマ15,16を互いに離接させる操作ロッド46dは、その基端が第一〜第三移動体61d,65d,71dを移動可能に貫通して第四ロッド移動機構75における第四移動体75dに取付けられる。
【0074】
このように、4本の真っ直ぐな操作ロッド46a,46b,46c,46dにより、主中心体26と、第一〜第四移動体61d,66d,71d,76dは偏心した状態で連結されるため、主中心体26と第一〜第四移動体61d,66d,71d,76dの回転は互いに拘束され、それらが自由に回転するようなことを防止するように構成される。
【0075】
移動台21には、ガイド軸58に平行な第一〜第四ネジ体62,67,72,77がY軸方向に所定の間隔をあけて設けられる。この第一〜第四ネジ体62,67,72,77は、第一〜第四ヘッド61,66,71,76の下部に別々に螺合して設けられる。
図2では、第一ネジ体62が第一ヘッド6一の下部に螺合し、第二ネジ体67が第二ヘッド66の下部に螺合し、第三ネジ体72が第三ヘッド7一の下部に螺合し、第四ネジ体77が第四ヘッド76の下部に螺合する場合を示す。そして、この第一〜第四ネジ体62,67,72,77には、この第一〜第四ネジ体62,67,72,77を回転させる第一〜第四モータ63,68,73,78が別々に連結され、この第一〜第四モータ63,68,73,78は、移動台21に載置される。
【0076】
従って、第一〜第四モータ63,68,73,78がそれぞれ駆動すると、第一〜第四ネジ体62,67,72,77は別々に回転し、その第一〜第四ネジ体62,67,72,77が螺合する第一〜第四ヘッド61,66,71,76はガイド軸58に沿って別々に独立してX軸方向に移動するように構成される。
【0077】
即ち、第一〜第四ヘッド61,66,71,76がX軸方向に移動すると、第一〜第四操作ロッド46a,46b,46c,46dもその軸方向に別々に移動して、一対のセンタフォーマ15,16の多極電機子1に対する軸方向位置および半径方向位置をそれぞれ変化させることになる。このため、この第一〜第四ロッド移動機構60,65,70,75を含むセンタフォーマ移動機構17は、一方のセンタフォーマ15を構成する一対のフォーマ板15a,15b及び他方のセンタフォーマ16の多極電機子1に対する軸方向位置および半径方向位置を別々に調整するものとなる。
【0078】
図1に戻って、インデックス機構7の近辺には、対向フォーマ80が一対のフォーマ板15a、15b(
図3〜
図6)から成る一方のセンタフォーマ15に対向するように設けられる。この対向フォーマ80は対向フォーマ回転移動機構81を介して基台5に設けられ、対向フォーマ回転移動機構81は、一対のフォーマ板15a、15bのずれに対応して対向フォーマ80をZ軸を回転中心として回動させる回転機構82と、フライヤ4の回動に伴って一方のセンタフォーマ15とともに対向フォーマ80を多極電機子1の径方向へ移動させる対向フォーマ移動機構83(
図2)とを備える。
【0079】
この実施の形態における回転機構は、
図1に示すように、回転軸82aを任意の角度で回転可能に構成されたサーボモータ82であって、その回転軸82aを下方にした状態で取付板87に取付けられる。取付板87から下方に突出する回転軸82aには、鉛直方向に延びる対向フォーマ80の上端が取付けられ、対向フォーマ80の下端には、センタフォーマ15の先端部15c,15dにX軸方向から対向する平板部80aが形成される。
【0080】
図2に示すように、この実施の形態における対向フォーマ移動機構83は、X軸、Y軸、及びZ軸方向伸縮アクチュエータ84〜86の組み合わせにより構成される。この対向フォーマ移動機構83を構成する各伸縮アクチュエータ84〜86は、細長い箱形ハウジング84d〜86dと、そのハウジング84d〜86d内部に長手方向に伸びて設けられサーボモータ84a〜86aによって回動駆動されるボールネジ(図示せず)と、このボールネジに螺合して平行移動する従動子84c〜86c等によって構成される。そして、これらの各伸縮アクチュエータ84〜86は、サーボモータ84a〜86aが駆動してボールネジが回転すると、このボールネジに螺合する従動子84c〜86cがハウジング84d〜86dの長手方向に沿って移動可能に構成される。
【0081】
この実施の形態では、回転機構であるサーボモータ82が取付けられた取付板87をY軸方向に移動可能にY軸方向伸縮アクチュエータ85の従動子85cに取付け、そのY軸方向伸縮アクチュエータ85とともにその取付板をZ軸方向に移動可能に、Y軸方向伸縮アクチュエータ85のハウジング85dがZ軸方向伸縮アクチュエータ86の従動子86cに取付けられる。また、そのY軸及びZ軸方向伸縮アクチュエータ85,86とともにその取付板をX軸方向に移動可能に、そのZ軸方向伸縮アクチュエータ86のハウジング86dがX軸方向伸縮アクチュエータ84の従動子84cに取付けられる。そして、X軸方向伸縮アクチュエータ84のハウジング84dがX軸方向に伸びて基台5に固定される。
【0082】
それらの各伸縮アクチュエータ84〜86における各サーボモータ84a〜86aは、これらを制御する図示しないコントローラの制御出力に接続され、このコントローラからの指令により、この対向フォーマ移動機構83は取付板87及び回転機構であるサーボモータ82とともに、対向フォーマ80(
図1)を直交三軸方向に移動可能に構成される。
【0083】
図1に戻って、インデックス機構7近辺には、多極電機子1をインデックス台11に対して押圧することによって、インデックス台11との間にて保持するワーク押え機構88が用いられる。このワーク押え機構88は、基台5上に立設した支柱89の端部に固定された電機子押えモータ90と、電機子押えモータ90の出力軸に連結され多極電機子1の回転軸方向に延在するボールネジ91と、ボールネジ91が螺合する移動体92と、支柱89に鉛直方向に延在して配置され移動体92を案内するガイドレール93とを備える。移動体92の側面には軸受94を介して回転自在なロッド95が設けられる。ロッド95は、多極電機子1の回転軸と同軸上に配置され、ロッド95の下端には多極電機子1の環状部1aに当接する電機子押え部材96が連結されている。
【0084】
そして、電機子押えモータ90が駆動すると、移動体92がガイドレール93に案内され、電機子押え部材96は多極電機子1の回転軸方向に移動する。このように、電機子押えモータ90を駆動することによって、電機子押え部材96はインデックス台11上に載置された多極電機子1の環状部1a上面に当接し、多極電機子1をインデックス台11に対して押圧する。これにより、多極電機子1は、インデックス台11と電機子押え部材96との間にて保持されるように構成される。なお、電機子押え部材96に連結されたロッド95は軸受94を介して支持されているため、電機子押えモータ90の駆動による多極電機子1の回転中、電機子押え部材96は多極電機子1に従属して回転することになる。
【0085】
多極電機子1の周囲には、フライヤ4から繰出される線材3が、巻線すべき磁極2の両側にある磁極に引っかかることを防止するために、巻線すべき磁極2の両側にある磁極の鍔部2aをそれぞれ覆う一対のサイドフォーマ97が配設される(
図1及び
図3参照)。サイドフォーマ97は、先端に向かって先細となるような曲面状に形成され、基台5に立設した支柱98に支持され、図示しない機構によって移動可能に構成される。
【0086】
また、フライヤ式の巻線機100は、多極電機子1の鉛直位置(高さ)をフライヤ4の回転軸Cと一致させるための電機子対向フォーマ移動機構99を備える。この電機子対向フォーマ移動機構99は、基台5上に配置された支柱101と、支柱10一の頂面に配置された電機子移動モータ102と、電機子移動モータ102の出力に連結され多極電機子1の回転軸方向(鉛直方向)に延在するボールネジ103と、ボールネジ103が螺合する移動体104と、支柱101に鉛直方向に延在して配置され移動体104を案内するガイドレール105とを備える。
【0087】
移動体104は、インデックスモータ9を載置するインデックスモータ載置台106に連結される。また、インデックスモータ載置台106を中心としてボールネジ103の反対側には鉛直方向に延在するガイドロッド107が配置され、ガイドロッド107にはインデックスモータ載置台106に連結された移動体108が摺動自在に挿入される。そして、電機子移動モータ102が駆動すると、移動体104がガイドレール105に案内されると共に移動体108がガイドロッド107を摺動し、インデックスモータ載置台106は鉛直方向に移動する。これにより、インデックス台11に支持された多極電機子1は、鉛直方向に移動する。このように、電機子対向フォーマ移動機構99における電機子移動モータ102を駆動することによって、多極電機子1の鉛直位置(高さ)をフライヤ4の回転軸Cと一致させることが可能となるように構成される。
【0088】
次に、このように構成されたフライヤ式の巻線機を用いた本発明の巻線方法について説明する。
【0089】
本発明の巻線方法は、多極電機子1における磁極2の周囲を回動すると共に多極電機子1の径方向に往復移動して磁極2に対して線材3を巻線するフライヤ4と、磁極2を多極電機子1の軸方向から挟持するように配設されフライヤ4の往復移動に伴って多極電機子1の径方向へ往復移動してフライヤ4から繰出された線材3を先端縁から磁極2に案内する一対のセンタフォーマ15,16とを備えた巻線装置100を用いて多極電機子1の各磁極2に線材3を巻線する巻線方法であり、この巻線方法は、フライヤ式の巻線機100に搭載された図示しないコントローラによって自動制御されるものとする。
【0090】
その具体的な手順を説明すると、まず、巻線を行う前の準備として、多極電機子1を、貫通孔1cに軸11aが挿通するようにしてインデックス台11に載置する。この状態にて、多極電機子1と巻線機構6との位置合せを行う。即ち、電機子対向フォーマ移動機構99の電機子移動モータ102を駆動することによって、多極電機子1の鉛直位置(高さ)とフライヤ4の回転軸Cとを一致させる。つまり、巻線すべき磁極2の巻中心軸とフライヤ4の回転軸Cとが同じ高さとなるように調整する。調整後、電機子押えモータ90を駆動することによって電機子押え部材96を多極電機子1に向けて下降させ環状部1aに押し付ける。このようにして、多極電機子1を、インデックス台11と電機子押え部材96との間にて支持する。
【0091】
次に、インデックスモータ9を駆動することによって多極電機子1を回転させ、複数の磁極2のうち巻線すべき磁極2を巻線位置に設定する。具体的には、巻線すべき磁極2をフライヤ4の回転軸C方向に一致させる。このように、フライヤ4の回転軸Cに対向する位置が巻線位置である。図示しないが、このような多極電機子1の巻線位置への位置合せは、磁極2近傍に設けたセンサ等の図示しない検知器を用いて磁極2の位置を検出し、その検出した情報を基に行うことができる。
【0092】
次に、線材供給源(図示せず)から供給される線材3を、テンション装置(図示せず)を経て移動台21の後部から、第一〜第四スピンドル軸61b,66b,71b,76bの貫通孔61h,66h,71h,76h及び主スピンドル軸24の貫通孔24bに順番に通す。そして、フライヤ4に設けられた複数のローラ4aを介してフライヤ先端のノズル27に導く。そして、ノズル27から繰出した線材3を、多極電機子1の環状部1aに設けられたピン1dに係止させる(
図1,
図9(b))。
【0093】
次に、トラバース機構18のトラバースモータ50を駆動することによって移動台21とともに主ヘッド22を前進させる。それにより、センタフォーマ支持板33及び一対の側板34a,34bを前進させ、
図3に示すように、その一対の側板34a,34bに設けられた押え部材49を磁極2の外端面に当接させる。そして、この押え部材49にあっては、図示しないスプリングの付勢力により、磁極2の外端面に当接して、磁極2がフライヤ4の回転軸Cからずれる移動を防止することになる。
【0094】
その後、センタフォーマ移動機構17により一対のセンタフォーマ15,16の多極電機子1に対する軸方向位置および半径方向位置を調整し、
図9(b)に示すように、それらの先端部15c,15d,16aを磁極2の基端部に配置させる。具体的には、一対のセンタフォーマ15,16の多極電機子1に対する半径方向位置を調整し、その先端部15c,15d,16aと多極電機子1における環状部1aとの間に線材3が進入可能な隙間を空けるように配置する。
【0095】
そして、一対のセンタフォーマ15,16の多極電機子1に対する軸方向位置を調整し、一対のセンタフォーマ15,16における互いの先端部15c,15d,16aにて、磁極2を厚さ方向であるZ軸方向から挟持するように配置する。
【0096】
次に、
図1に示すように、フライヤ4が磁極2の鉛直上方に位置した状態にて、フライヤ回転モータ29を駆動して主スピンドル軸24とともにフライヤ4を回転させ、
図9(a)に示すように、ピン1dに係止させた線材3を磁極2の周囲に導き、その後フライヤ4から繰出される線材3を磁極2の周囲に巻回する。
【0097】
図1に示す主スピンドル軸24の回転はガイド軸58を介して第一〜第四スピンドル軸61b,66b,71b,76bに伝達され、フライヤ4の回転に同期させて、第一〜第四スピンドル軸61b,66b,71b,76bも回転することになる。これにより、線材供給源から供給される線材3を捻ることなく、ノズル27に案内することができる。
【0098】
フライヤ4が磁極2の鉛直上方から鉛直下方までの180°回転する過程では、フライヤ4から繰出された線材3は、サイドフォーマ97に当接しその斜面に沿って案内されて、
図9(a)に示すように、ピン1dに係止された線材3は磁極2の周囲に導かれ、
図9(b)に示すように、多極電機子1の周方向における磁極2の側面に環状部1aに沿って巻付けられる。
【0099】
そして、フライヤ4が磁極2の鉛直下方から鉛直上方までの180°回転する過程では、フライヤ4から繰出された線材3は、サイドフォーマ97(
図1)に当接しその斜面に沿って案内されると共に、
図9(c)に示すように、下側のセンタフォーマ16に当接しその傾斜面を滑り落ちてそれらの先端部16aから多極電機子1の軸方向である磁極2の底面に案内され、その底面に環状部1aに沿って巻付けられる。また、サイドフォーマ97の斜面に沿って案内された線材3は、図示しないが、多極電機子1の周方向における磁極2側面に環状部1aに沿って巻付けられる。このようにして、フライヤ4が1回転するに伴い、線材3は環状部1aに沿って磁極2に1巻きされる。
【0100】
そして、線材3を磁極2に1巻きする毎に、
図1に示すトラバース機構18は、トラバースモータ50を駆動することによって、フライヤ4とともに移動台21を巻線方向(磁極2の径方向であってフライヤ4の回転軸C方向(X軸方向))に線材3の線径分だけ多極電機子1から遠ざけるように移動させる。
【0101】
このように移動台21を線材3の線径分だけ移動させると、その移動台21にセンタフォーマ移動機構17も設けられているので、その最初の1巻きに隣接する2巻きめをすべく、フライヤ4が再び磁極2の鉛直上方から鉛直下方までの180°回転する過程では、上側のセンタフォーマ15も巻線方向(磁極2の径方向であってフライヤ4の回転軸C方向(X軸方向))に線材3の線径分だけ移動することになる。
【0102】
そして、上側のセンタフォーマ15が線材3の線径分だけ後退すると、
図10(a)に示すように、フライヤ4が磁極2の鉛直上方から鉛直下方までの180°回転する過程で繰出された線材3は、上側のセンタフォーマ15に当接し、上側のセンタフォーマ15は、その傾斜面を滑り落ちる線材3をその先端部15c,15dから磁極2の最初の1巻きに隣接する位置に案内して整列巻きをする。
【0103】
この時、上側のセンタフォーマ15における一対のフォーマ板15a,15bは、その一対のフォーマ板15a,15bのいずれか一方を他方に対して多極電機子1の径方向内側又は外側へずらす。具体的には、フライヤ4の回転方向下流側におけるフォーマ板15bを、フライヤ4の回転方向上流側におけるフォーマ板15aに対してフライヤ4の移動方向にずらす。
図10(a)では、第一層目の巻線にあって、フライヤ4の回転方向下流側におけるフォーマ板15bを、フライヤ4の回転方向上流側におけるフォーマ板15aに対して、多極電機子1の径方向外側へずらす場合を示す。
【0104】
この一対のフォーマ板15a,15bのずれは、
図2に示すように、センタフォーマ移動機構17を構成する操作ロッド46a,46cのいずれか一方又は双方を操作台44a,44bとともにX軸方向にずれるように移動させ、それらに取付けられた一対のフォーマ板15a,15bをずらすことにより行われる。
【0105】
このようにずらすと、フライヤ4の回転方向上流側におけるフォーマ板15aが、一巻目の線材3が多極電機子1の径方向外側へずれることを禁止しつつ、フライヤ4の回転方向下流側におけるフォーマ板15bが、その傾斜面を滑り落ちる線材3をその先端部15c,15dから磁極2の最初の1巻きに隣接する位置に案内することになる(
図10(b))。
【0106】
その後、その2巻きめの後半にあっては、フライヤ4が再び磁極2の鉛直下方から鉛直上方までの180°回転することになる。その過程において、
図10(c)に示すように、下側のセンタフォーマ16も巻線方向(磁極2の径方向であってフライヤ4の回転軸C方向(X軸方向))に線材3の線径分だけ移動する。このようにして、下側のセンタフォーマ16を線材3の線径分だけ後退させ、フライヤ4が磁極2の鉛直下方から鉛直上方までの180°回転する過程で繰出された線材3を、下側のセンタフォーマ16に当接させて、その傾斜面を滑り落ちる線材3をその先端部16aから磁極2の最初の1巻きに隣接する位置に案内して整列巻をする。
【0107】
このようなフライヤ4の回動に伴って、一方のセンタフォーマ15に対向する対向フォーマ80を、その一対のセンタフォーマ15,16とともに多極電機子1の径方向へ移動させる。そして、一対のセンタフォーマ15,16の多極電機子1の径方向への往動時において、一対のフォーマ板15a,15bのずれに相応して対向フォーマ80を傾斜させ、
図10(a)に示すように、その平板部80aが一対のフォーマ板15a,15bのずれた先端部15c,15dと共に線材3を僅かな隙間をもって挟むようにその平板部80aをそのずれに沿って対向させる。このような状態で、対向フォーマ80を一対のセンタフォーマ15,16とともに多極電機子1の径方向へ往動させる。
【0108】
ここで、対向フォーマ80の回転は
図1に示す回転機構82により行われ、回転してその平板部80aが一対のフォーマ板15a,15bのずれた先端部15c,15dに対抗した状態の対向フォーマ80の移動は、
図2に示す対向フォーマ移動機構83により行われる。
【0109】
このような巻線を繰り返し、フライヤ4の回軸方向への移動と共に、一対のセンタフォーマ15,16及び対向フォーマ80をそれぞれ線材3の線径分だけ多極電機子1から遠ざけるように順次移動させつつ巻線を行う。
【0110】
このように、フライヤ4と共に線材3を磁極2に案内する一対のセンタフォーマ15,16及び対向フォーマ80をそれぞれ移動させることにより、フライヤ4の1回転に付き、線材3の線径分の送りをかけて巻き進めることになり、
図11に示すように、磁極2には線材3が多極電機子1の径方向に密着するいわゆる整列巻線が成され、磁極2に第一層目の巻線が形成されることになる。
【0111】
この第一層目の巻線において、一対のセンタフォーマ15,16はフライヤ4の回転軸C方向であるX軸方向に移動し、
図11に示す第一層目の巻線が完了する以前にその先端部15c,15d,16aが鍔部2aに当接する場合もあり得る。この場合、その後の第一層目の整列巻きを続行させるために、一対のセンタフォーマ15,16における先端部15c,15d,16aが鍔部2aに当接する直前に、それらのセンタフォーマ15,16を多極電機子1の軸方向へ移動させて、その当接を回避させる。
【0112】
センタフォーマ15,16の多極電機子1の軸方向への移動は、センタフォーマ移動機構17を構成する操作ロッド46dを、その軸方向に前進させることにより行われる。すると、操作ロッド46dに連結されたカム板35aも前進し、支持棒39a,39bは鉛直長孔34c,34dに沿って鉛直方向に互いに離間し、互いに離間する支持棒39a,39bは、その支持棒39a,39bが取付けられた鉛直移動板38a,38bとともに、鉛直長孔34c,34dの形成方向である鉛直方向に互いに離間して、それらに設けられた上下一対のセンタフォーマ15,16を互いに離間させることになる。これにより第一層目の整列巻きが続行可能となる。そして、第一層目の巻線は、線材3が磁極2の鍔部2aに当接することにより終了させる。
【0113】
また、第一層目の巻線において、対向フォーマ80も一対のセンタフォーマ15,16とともにフライヤ4の回転軸C方向であるX軸方向に移動し、第一層目の巻線が完了する以前にその平板部80aが鍔部2aに当接する場合もあり得る。この場合、その後の第一層目の整列巻きを続行させるために、対向フォーマ80における平板部80aが鍔部2aに当接する直前に、対向フォーマ80を多極電機子1の軸方向へ移動させて、その当接を回避させる。この対向フォーマ80の多極電機子1の軸方向への移動は、対向フォーマ移動機構83におけるZ軸方向伸縮アクチュエータ86により行うことができる。
【0114】
そして、
図11に示すように第一層目の巻線が終了した後には、続いて、第二層目の巻線が行われる。この第二層目の巻線は、フライヤ4を第一層目における場合と同方向に回転させて線材3を磁極2の周囲に巻回しつつ、トラバースモータ50を第一層目の巻線とは逆方向に回転させ、フライヤ4を多極電機子1に近づける方向に移動させる。そして、このフライヤ4の移動と共に、
図12に示すように、センタフォーマ15,16も同様に多極電機子1に近づける方向に移動させる。
【0115】
この第二層目の巻線の開始にあって、一対のセンタフォーマ15,16は、
図11に示す状態から
図12の実線矢印で示すように、多極電機子1に近づく方向に移動する。そして、その先端部15c,15d,16aが鍔部2aからずれた位置に移動した段階で、一対のセンタフォーマ15,16は互いの間隔を狭め、磁極2に巻回された第一層目の巻線をそれらの先端部15c,15d,16aがZ軸方向から僅かな隙間を持って挟むようにする。これにより、線材3を磁極2に案内して第二層目における安定した整列巻きが可能となる。
【0116】
このように、第二層目の巻線にあっては、回転するフライヤ4を第一層目の巻線とは逆方向に移動させるので、この第二層目における線材3は、磁極2に一回巻回される度に、下の層である第一層の巻線における線材3に対して1回交差することになる。このように上の層における線材3が下の層における線材3と交差すると、その上の層の線材3は下の層の線材3を乗り越えることに成る。
【0117】
ここで、多極電機子1は、周方向に複数の磁極2が放射状に形成されるため、一の磁極2における巻線が多極電機子1の周方向に膨らむと、周方向に隣接する磁極2への巻線に制約が生じる。このため、一の磁極2に複数層の巻線を行う場合、その磁極2の断面は方形であることから、多極電機子1の軸方向において、上の層における線材3を下の層における線材3と交差させることが好ましい。
【0118】
このため、本発明の巻線方法では、この第二層目の巻線において、一対のフォーマ板15a,15bを第一層目の巻線時とは逆方向にずらす。具体的には、
図12(a)に示すように、フライヤ4の回転方向下流側におけるフォーマ板15bを、フライヤ4の回転方向上流側におけるフォーマ板15aに対して、多極電機子1の径方向内側へずらす。
【0119】
この一対のフォーマ板15a,15bのずれは、センタフォーマ移動機構17を構成する操作ロッド46a,46cのいずれか一方又は双方を操作台44a,44bとともにX軸方向にずれるように移動させ、それらに取付けられた一対のフォーマ板15a,15bをずらすことにより行われる。
【0120】
このようにずらすと、それぞれのフォーマ板15a,15bの傾斜面を滑り落ちる線材3は、それらの先端部15c,15dから磁極2の第一層の巻線上に傾斜した状態で案内され、その傾斜した状態で案内された第二層における線材3は、下の層である第一層目における線材3と交差することになる。従って、本発明では、多極電機子1の軸方向において、上の層における線材3を下の層における線材3と交差させることが可能となるのである。
【0121】
また、この第二層目における巻線をする為のフライヤ4の回動に伴って、一方のセンタフォーマ15に対向する対向フォーマ80にあっては、その一対のセンタフォーマ15,16とともに多極電機子1の径方向へ移動させる。そして、一対のセンタフォーマ15,16の多極電機子1の径方向への復動時において、一対のフォーマ板15a,15bのずれにより対向フォーマ80を傾斜させ、その平板部80aを一対のフォーマ板15a,15bの傾斜に沿って、線材3の線径より僅かに広い隙間をもって対向させる。
【0122】
この状態の対向フォーマ80を一対のセンタフォーマ15,16とともに多極電機子1の径方向へ復動させ、フライヤ4から繰出された線材3を一方のセンタフォーマ15と対向フォーマ80の間から磁極2に案内して巻線する。この対向フォーマ80の回転は
図1に示す回転機構82により行われ、対向フォーマ80の移動は、
図2に示す対向フォーマ移動機構83により行われる。
【0123】
すると、
図12(b)に示すように、上側のセンタフォーマ15におけるフォーマ板15a,15bのそれぞれの傾斜面を滑り落ちる線材3は、そのフォーマ板15a,15bと対向フォーマ80により挟まれた状態で磁極2に案内され、その傾斜状態を維持しながら第一層の巻線上に案内されるので、その線材3は下の層の線材3間におけるくぼみに引きずられることなく、第二層における線材3を、この上側のセンタフォーマ15が対向する面において、下の層である第一層目における線材3と確実に交差させることが可能となる。
【0124】
なお、この第二層目の巻線においても、
図12(c)に示すように、フライヤ4が1回転する毎に下側のセンタフォーマ16も巻線方向(磁極2の径方向であってフライヤ4の回転軸C方向(X軸方向))に線材3の線径分だけ移動する。すると、この下側のセンタフォーマ16にあっても、フライヤ4が磁極2の鉛直下方から鉛直上方までの180°回転する過程で繰出された線材3を、その下側のセンタフォーマ16に当接させて、その傾斜面を滑り落ちる線材3をその先端部16aから第一層目の巻線上に先に巻線された線材3に隣接する位置に案内して第二層目の整列巻をする。そして、第二層目の巻線は、
図13に示すように、線材3が環状部1aに当接するまで巻線された段階で終了させる。
【0125】
続いて、第三層目の巻線が行われるけれども、この第三層目の巻線は第一層目の巻線手順と同一であり、第四層目の巻線を行う場合には第二層目の巻線手順と同一であるので、繰り返しての説明を省略する。
【0126】
そして、その磁極2に予定していた巻線の全てが完了したら、インデックスモータ9を駆動することによって多極電機子1を回転させ、その一の磁極2と別の磁極2を巻線位置に配置し、新たに巻線を開始し、全ての磁極2に巻線が完了した段階で多極電機子1に対する巻線作業を終了させることができる。
【0127】
ここで、本発明では、多極電機子1の磁極2に複数層の巻線を施す場合において、多極電機子1の軸方向における面において、上の層における線材3を下の層における線材3と交差させて巻線することができる。このため、各磁極2の多極電機子1の周方向における面では、各層における線材3は平行に隙間無く隣接する整列巻きとなるので、その上の層における線材3も下の層における線材3と平行となり、その上の層の線材3は下の層の線材3間に生じる隙間に落ち込む。
【0128】
このため、各磁極2の多極電機子1の周方向における面の巻厚は線径の2倍未満と成って、その巻厚が厚くなることはない。よって、多極電機子1の周方向に放射状に形成された複数の磁極2において、一の磁極2における巻線が、周方向に隣接する磁極2への巻線に制約を生じさせることをなくすことが可能になり、各磁極2に巻線し得る線材3の回数を増加させることが可能となるのである。
【0129】
なお、上述した実施の形態では、上側のセンタフォーマ15が一対のフォーマ板15a,15bにより構成された場合を説明した。けれども、図示しないが、下側のセンタフォーマ16を一対のフォーマ板により構成しても良い。このように、下側のセンタフォーマ16を一対のフォーマ板により構成しても、一対のセンタフォーマ15,16の多極電機子1の径方向への往動時において一対のフォーマ板のいずれか一方を他方に対して多極電機子1の径方向内側又は外側へずらし、一対のセンタフォーマ15,16の多極電機子1の径方向への復動時において一対のフォーマ板のいずれか一方を他方に対して多極電機子1の径方向外側又は内側へずらすことにより、多極電機子1の軸方向における面において、上の層における線材3を下の層における線材3と交差させて巻線することができる。