【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1の流体制御装置によると、マニホールドバルブを使用することで、マニホールドブロック継手を省略することができるが、マニホールドバルブを継手で支持しない構成とされていることで、同特許文献の
図12に示されているものから
図1に示されているものに変更する際の変更が大掛かりになるという問題があった。
【0009】
また、上記特許文献2のレール式の流体制御装置によると、レールに沿って摺動する摺動部材に継手部材をボルトで固定する必要があり、各ラインを構成する部品数が多くなるとともに、各ラインを組み立てるための手間がかかるという問題があった。
【0010】
この発明の目的は、少ない変更で、マニホールドブロック継手を省略することができるマニホールドバルブおよびこのマニホールドバルブを備えた流体制御装置を提供することにある。
【0011】
この発明の他の目的は、1つのラインごとベース部材に取り付けることができ、しかも、各ラインを構成する部品数を少なくして、各ラインを組み立てるための手間がかからないレール式の流体制御装置での使用に適したマニホールドバルブおよびこのマニホールドバルブを備えた流体制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明によるマニホールドバルブは、
第1の方向に並ぶ第1ポートおよび第2ポートをそれぞれ有し
、第1の方向と直交する方向に1列に並ぶ複数の開閉弁と、複数の流体通路が形成されて前記複数の開閉弁を支持する通路ブロックとを備えているマニホールドバルブにおいて、 一端が各第1ポートに通じ、他端が通路ブロック内にある第1出入口通路と、一端が第1出入口通路の他端にそれぞれ通じ、他端が通路ブロックのいずれかの面に開口する第1外部連通路と、一端が第1出入口通路の他端に通じ、他端が第1外部連通路とは異なる位置において通路ブロックのいずれかの面に開口する第2外部連通路と、一端が各第2ポートにそれぞれ通じ、他端が通路ブロック内にある複数の第2出入口通路と、各第2出入口通路の他端同士を連通する内部連通路とが設けられて
おり、内部連通路は、第1の方向と直交する方向にのびており、第1外部連通路および第2外部連通路は、その開口同士が第1の方向に並んでおり、交差部が第1出入口通路に連通する逆V字状をなすとともに、第1の方向と直交する方向に並列に並んでいることを特徴とするものである。
【0013】
開閉弁は、第1出入口通路の開口である第1ポートと第2出入口通路の開口である第2ポートとの間に配置された弁体(例えばダイヤフラム)と、弁体を移動させて第1ポートと第2ポートとの連通を開閉(開放または閉鎖)するアクチュエータとを有しているものとされる。
【0014】
第1外部連通路および第2外部連通路は、一方がマニホールドバルブ外部からの流体の流入通路に、他方がマニホールドバルブ外部への流体流出通路とされる。
【0015】
第1外部連通路と第2外部連通路とは、常時連通しているので、開閉弁の開または閉にかかわらずに、マニホールドバルブ外部(上流側)から流入した流体は、マニホールドバルブ外部(下流側)へと流出する。
【0016】
所要の開閉弁が開とされると、第1外部連通路または第2外部連通路から流入して第1出入口通路に至った流体は、この第1出入口通路に対応する第2出入口通路内に流入する。第2出入口通路内に流入した流体は、内部連通路を介して、他の第2出入口通路に流入する。他の開閉弁も開とされている場合、第2出入口通路内の流体は、この第2出入口通路に対応する第1出入口通路に流入し、第1外部連通路および第2外部連通路からマニホールドバルブ外部(下流側)へと流出する。
【0017】
こうして、所定の1つのラインの第1外部連通路(または第2外部連通路)から流入した流体は、これに対応する第2外部連通路(または第1外部連通路)から流出するだけではなく、他の第1外部連通路および第2外部連通路からも流出する。すなわち、この発明のマニホールドバルブによると、バイパス機能を得ることができる。
【0018】
この発明のマニホールドバルブは、例えば、下記に示す流体制御装置で好適に使用されるが、これ以外の種々の用途でも使用することができる。
【0019】
この発明による流体制御装置は、上段に配された流体制御機器、下段に配された継手部材および継手部材を支持するライン支持部材を備えたラインを複数有している流体制御装置において、上段に配された流体制御機器として、複数のラインにわたって配置されたマニホールドバルブを有しており、該マニホールドバルブは、請求項1のマニホールドバルブとされて、各ラインの継手部材にまたがって配置され、第1外部連通路が継手部材の一方に設けられた通路に、第2外部連通路が継手部材の他方に設けられた通路にそれぞれ接続されていることを特徴とするものである。
【0020】
上記のマニホールドバルブを流体制御装置の上段層の流体制御機器として使用すると、別途バイパス機能のための配管が不要であるので、溶接個所の増加、内容積の増加(パージ時間の増加)という問題の発生を防止して、下段層の継手部材としてのマニホールドブロックを使用せずに、バイパス機能を得ることができ、流体制御装置を簡素することができる。
【0021】
この発明の流体制御装置において、ライン支持部材として、レールが使用されており、レールに、長手方向にのびる係合部が設けられ、継手部材に、係合部に係合するレール長手方向にのびる被係合部が設けられ、継手部材の被係合部が対応する係合部に係合することによって、継手部材がレールに支持されていることが好ましい。
【0022】
この流体制御装置によると、レール式のもので従来使用されていた摺動部材を不要とできるので、各ラインを構成する部品数を少なくして、各ラインを組み立てるための手間がかからないものとできる。
【0023】
継手部材の被係合部が対応するレールの係合部に係合するには、継手部材は、各ラインごとに設ける必要があり、複数のラインにわたって使用されるマニホールドブロック継手は、使用することができない。上記のマニホールドバルブは、これを使用することで、下段に配置された継手部材のうち、各ラインごとに設けられている継手はそのままにして、マニホールドブロック継手を省略することができるので、継手部材の被係合部が対応するレールの係合部に係合する構成とすることができ、ライン支持部材としてレールを使用したレール式の流体制御装置での使用により好ましいものとなっている。
【0024】
上記のレール式の流体制御装置において、継手部材の被係合部が溝であり、レールの係合部が凸部であることがあり、また、継手部材の被係合部が凸部であり、レールの係合部が溝であることがある。
【0025】
各ラインにおいて、レールに嵌め合わせられた複数の継手部材のうちの隣り合う継手部材にまたがって配置された流体制御機器が上方からのおねじ部材によって継手部材に取り付けられる。
【0026】
レールは、互いに平行にのびる1対の側壁と、継手部材の位置決めを行う位置決め部と、レールを支持するベース部材に固定される取付部とを有しており、各側壁に、前記係合部としての凸部が設けられているものとされることがある。また、レールは、互いに平行にのびる1対の側壁と、継手部材の位置決めを行う位置決め部と、レールを支持するベース部材に固定される取付部とを有しており、各側壁に前記係合部としての溝が設けられているものとされることがある。
【0027】
継手部材の被係合部が溝であり、レールの係合部が凸部である場合、例えば、レールは、互いに平行にのびる1対の側壁と、各側壁の上端部から他方の側壁に向かって垂直にのびて所定の間隔をおいて対向する1対の上壁と、1対の側壁の下端部同士を結合する下壁とを有し、上壁の内側縁部が前記凸部として使用されており、各上壁の一端部に、継手部材の位置決めを行う位置決め部としての突出部が設けられ、下壁の一端部に、上壁よりも一端側に突出させられてレールを支持するベース部材に固定される取付部が設けられているものとされるが、これに限定されるものではない。
【0028】
継手部材の被係合部が凸部であり、レールの係合部が溝である場合、例えば、レールは、互いに平行にのびる1対の側壁と、1対の側壁の下端部同士を結合する下壁とを有し、各側壁に前記被係合部としての溝が設けられ、各側壁の一端部に、継手部材の位置決めを行う位置決め部としての突出部が設けられ、下壁の一端部に、上壁よりも一端側に突出させられてレールを支持するベース部材に固定される取付部が設けられているものとされる。
【0029】
複数の継手部材は、レールの他端(取付部が設けられている端部とは反対の端部)側から、順次レールに嵌め合わせられ、最初に嵌め合わせられる継手部材は、位置決め部(端壁または突出部など)で位置決めされる。継手部材をレールに沿って摺動させることで、隣り合う継手部材の間隔が調整され、継手部材の上に流体制御機器が載せられて、ボルトによって固定される。こうして、複数の継手部材および複数の流体制御機器が一体化された状態でレールに支持され、1つのラインが形成される。各継手部材は、ベース部材に直接に固定はされないが、被係合部が対応する係合部に係合していることで、継手部材がレールから上方に外れることが防止される。
【0030】
ライン支持部材は、レールの端部に配置された継手部材に当接した状態でベース部材に固定されて、配置された継手部材がレールから長手方向に脱落することを防止するストッパをさらに有していることが好ましい。
【0031】
ストッパは、レールとは別部材とされ、全ての流体制御機器を対応する継手部材にボルトで固定した後に、ベース部材に取り付けられる。これにより、一体化された複数の継手部材および複数の流体制御機器は、レールの位置決め部とストッパとによって挟まれ、その長手方向の移動が阻止される。
【0032】
各ラインの長さは、使用される流体制御機器の数によって変化するので、これに対応して、レールの長さを変更するようにしてももちろんよいが、レールの長さを一定にして(ラインの長さが短いものに合わせて)、ストッパのベース部材への取付け位置を変更するだけで、ラインの長さ違いに対応するようにしてもよい。
【0033】
なお、この明細書において、上下については、流体制御機器側を上、継手部材側を下としているが、この上下は便宜的なもので、上下が逆になったり、上下が左右になったりして使用されることもある。