特許第6486035号(P6486035)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6486035
(24)【登録日】2019年3月1日
(45)【発行日】2019年3月20日
(54)【発明の名称】マニホールドバルブおよび流体制御装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 27/00 20060101AFI20190311BHJP
【FI】
   F16K27/00 D
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-174045(P2014-174045)
(22)【出願日】2014年8月28日
(65)【公開番号】特開2016-48110(P2016-48110A)
(43)【公開日】2016年4月7日
【審査請求日】2017年8月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100060874
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 瑛之助
(72)【発明者】
【氏名】野刈 慎也
(72)【発明者】
【氏名】吉田 政人
(72)【発明者】
【氏名】松田 隆博
【審査官】 松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2004/036099(WO,A1)
【文献】 特開2002−206700(JP,A)
【文献】 特開2013−231460(JP,A)
【文献】 特開2013−177948(JP,A)
【文献】 特開2002−349797(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0302434(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 27/00 − 27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に並ぶ第1ポートおよび第2ポートをそれぞれ有し、第1の方向と直交する方向に1列に並ぶ複数の開閉弁と、複数の流体通路が形成されて前記複数の開閉弁を支持する通路ブロックとを備えているマニホールドバルブにおいて、
一端が各第1ポートに通じ、他端が通路ブロック内にある第1出入口通路と、一端が第1出入口通路の他端にそれぞれ通じ、他端が通路ブロックのいずれかの面に開口する第1外部連通路と、一端が第1出入口通路の他端に通じ、他端が第1外部連通路とは異なる位置において通路ブロックのいずれかの面に開口する第2外部連通路と、一端が各第2ポートにそれぞれ通じ、他端が通路ブロック内にある複数の第2出入口通路と、各第2出入口通路の他端同士を連通する内部連通路とが設けられており、
内部連通路は、第1の方向と直交する方向にのびており、第1外部連通路および第2外部連通路は、その開口同士が第1の方向に並んでおり、交差部が第1出入口通路に連通する逆V字状をなすとともに、第1の方向と直交する方向に並列に並んでいることを特徴とするマニホールドバルブ。
【請求項2】
上段に配された流体制御機器、下段に配された継手部材および継手部材を支持するライン支持部材を備えたラインを複数有している流体制御装置において、
上段に配された流体制御機器として、複数のラインにわたって配置されたマニホールドバルブを有しており、
該マニホールドバルブは、請求項1のマニホールドバルブとされて、各ラインの継手部材にまたがって配置され、第1外部連通路が継手部材の一方に設けられた通路に、第2外部連通路が継手部材の他方に設けられた通路にそれぞれ接続されていることを特徴とする流体制御装置。
【請求項3】
ライン支持部材として、レールが使用されており、レールに、長手方向にのびる係合部が設けられ、継手部材に、係合部に係合するレール長手方向にのびる被係合部が設けられ、継手部材の被係合部が対応する係合部に係合することによって、継手部材がレールに支持されており、
レールの長手方向が、第1の方向と平行であり、第2出入口通路が、第2外部連通路の上方に形成されていることを特徴とする請求項2の流体制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、マニホールドバルブおよび流体制御装置に関し、特に、集積化流体制御装置と称されている流体制御装置での使用に適したマニホールドバルブおよびこのマニホールドバルブを備えた流体制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置などで使用される流体制御装置においては、1つのラインが、上段に配された複数の流体制御機器(上段層)と、下段に配された複数のブロック状継手部材(下段層)とによって形成されており、複数のラインが、その入口および出口を同じ方向に向けて並列状に配置されることにより、パイプや管継手を介さずに流体制御装置を構成する集積化が進んでいる。
【0003】
このような流体制御装置では、プロセスガスラインをパージするためにバイパスライン(N2パージライン)が設けられる。従来、バイパスラインは、3方弁を用いて下段層側でバイパスを行うようになっており、このために、マニホールドブロック継手が使用されている。
【0004】
特許文献1には、下段層にマニホールドブロック継手が配置されている流体制御装置(同特許文献の図12に示されているもの)に代わるものとして、複数の開閉弁および通路ブックからなるマニホールドバルブが使用されて、これにより、マニホールドブロック継手を使用しないものとされた流体制御装置(同特許文献の図1に示されているもの)を得ることが提案されている。
【0005】
一方、特許文献2には、各ラインごとに、継手部材を支持するレールが設けられて、レールに沿って摺動する摺動部材に継手部材がボルトによって固定されている流体制御装置が開示されている。
【0006】
特許文献2の流体制御装置によると、必要な流体制御機器および継手部材を予めレールに組み込んで1つのラインを作成し、1つのラインごとベース部材に取り付けることができるため、流体制御装置の製作が容易に出来るという利点を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013−231460号公報
【特許文献2】特開2002−206700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1の流体制御装置によると、マニホールドバルブを使用することで、マニホールドブロック継手を省略することができるが、マニホールドバルブを継手で支持しない構成とされていることで、同特許文献の図12に示されているものから図1に示されているものに変更する際の変更が大掛かりになるという問題があった。
【0009】
また、上記特許文献2のレール式の流体制御装置によると、レールに沿って摺動する摺動部材に継手部材をボルトで固定する必要があり、各ラインを構成する部品数が多くなるとともに、各ラインを組み立てるための手間がかかるという問題があった。
【0010】
この発明の目的は、少ない変更で、マニホールドブロック継手を省略することができるマニホールドバルブおよびこのマニホールドバルブを備えた流体制御装置を提供することにある。
【0011】
この発明の他の目的は、1つのラインごとベース部材に取り付けることができ、しかも、各ラインを構成する部品数を少なくして、各ラインを組み立てるための手間がかからないレール式の流体制御装置での使用に適したマニホールドバルブおよびこのマニホールドバルブを備えた流体制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明によるマニホールドバルブは、第1の方向に並ぶ第1ポートおよび第2ポートをそれぞれ有し、第1の方向と直交する方向に1列に並ぶ複数の開閉弁と、複数の流体通路が形成されて前記複数の開閉弁を支持する通路ブロックとを備えているマニホールドバルブにおいて、 一端が各第1ポートに通じ、他端が通路ブロック内にある第1出入口通路と、一端が第1出入口通路の他端にそれぞれ通じ、他端が通路ブロックのいずれかの面に開口する第1外部連通路と、一端が第1出入口通路の他端に通じ、他端が第1外部連通路とは異なる位置において通路ブロックのいずれかの面に開口する第2外部連通路と、一端が各第2ポートにそれぞれ通じ、他端が通路ブロック内にある複数の第2出入口通路と、各第2出入口通路の他端同士を連通する内部連通路とが設けられており、内部連通路は、第1の方向と直交する方向にのびており、第1外部連通路および第2外部連通路は、その開口同士が第1の方向に並んでおり、交差部が第1出入口通路に連通する逆V字状をなすとともに、第1の方向と直交する方向に並列に並んでいることを特徴とするものである。
【0013】
開閉弁は、第1出入口通路の開口である第1ポートと第2出入口通路の開口である第2ポートとの間に配置された弁体(例えばダイヤフラム)と、弁体を移動させて第1ポートと第2ポートとの連通を開閉(開放または閉鎖)するアクチュエータとを有しているものとされる。
【0014】
第1外部連通路および第2外部連通路は、一方がマニホールドバルブ外部からの流体の流入通路に、他方がマニホールドバルブ外部への流体流出通路とされる。
【0015】
第1外部連通路と第2外部連通路とは、常時連通しているので、開閉弁の開または閉にかかわらずに、マニホールドバルブ外部(上流側)から流入した流体は、マニホールドバルブ外部(下流側)へと流出する。
【0016】
所要の開閉弁が開とされると、第1外部連通路または第2外部連通路から流入して第1出入口通路に至った流体は、この第1出入口通路に対応する第2出入口通路内に流入する。第2出入口通路内に流入した流体は、内部連通路を介して、他の第2出入口通路に流入する。他の開閉弁も開とされている場合、第2出入口通路内の流体は、この第2出入口通路に対応する第1出入口通路に流入し、第1外部連通路および第2外部連通路からマニホールドバルブ外部(下流側)へと流出する。
【0017】
こうして、所定の1つのラインの第1外部連通路(または第2外部連通路)から流入した流体は、これに対応する第2外部連通路(または第1外部連通路)から流出するだけではなく、他の第1外部連通路および第2外部連通路からも流出する。すなわち、この発明のマニホールドバルブによると、バイパス機能を得ることができる。
【0018】
この発明のマニホールドバルブは、例えば、下記に示す流体制御装置で好適に使用されるが、これ以外の種々の用途でも使用することができる。
【0019】
この発明による流体制御装置は、上段に配された流体制御機器、下段に配された継手部材および継手部材を支持するライン支持部材を備えたラインを複数有している流体制御装置において、上段に配された流体制御機器として、複数のラインにわたって配置されたマニホールドバルブを有しており、該マニホールドバルブは、請求項1のマニホールドバルブとされて、各ラインの継手部材にまたがって配置され、第1外部連通路が継手部材の一方に設けられた通路に、第2外部連通路が継手部材の他方に設けられた通路にそれぞれ接続されていることを特徴とするものである。
【0020】
上記のマニホールドバルブを流体制御装置の上段層の流体制御機器として使用すると、別途バイパス機能のための配管が不要であるので、溶接個所の増加、内容積の増加(パージ時間の増加)という問題の発生を防止して、下段層の継手部材としてのマニホールドブロックを使用せずに、バイパス機能を得ることができ、流体制御装置を簡素することができる。
【0021】
この発明の流体制御装置において、ライン支持部材として、レールが使用されており、レールに、長手方向にのびる係合部が設けられ、継手部材に、係合部に係合するレール長手方向にのびる被係合部が設けられ、継手部材の被係合部が対応する係合部に係合することによって、継手部材がレールに支持されていることが好ましい。
【0022】
この流体制御装置によると、レール式のもので従来使用されていた摺動部材を不要とできるので、各ラインを構成する部品数を少なくして、各ラインを組み立てるための手間がかからないものとできる。
【0023】
継手部材の被係合部が対応するレールの係合部に係合するには、継手部材は、各ラインごとに設ける必要があり、複数のラインにわたって使用されるマニホールドブロック継手は、使用することができない。上記のマニホールドバルブは、これを使用することで、下段に配置された継手部材のうち、各ラインごとに設けられている継手はそのままにして、マニホールドブロック継手を省略することができるので、継手部材の被係合部が対応するレールの係合部に係合する構成とすることができ、ライン支持部材としてレールを使用したレール式の流体制御装置での使用により好ましいものとなっている。
【0024】
上記のレール式の流体制御装置において、継手部材の被係合部が溝であり、レールの係合部が凸部であることがあり、また、継手部材の被係合部が凸部であり、レールの係合部が溝であることがある。
【0025】
各ラインにおいて、レールに嵌め合わせられた複数の継手部材のうちの隣り合う継手部材にまたがって配置された流体制御機器が上方からのおねじ部材によって継手部材に取り付けられる。
【0026】
レールは、互いに平行にのびる1対の側壁と、継手部材の位置決めを行う位置決め部と、レールを支持するベース部材に固定される取付部とを有しており、各側壁に、前記係合部としての凸部が設けられているものとされることがある。また、レールは、互いに平行にのびる1対の側壁と、継手部材の位置決めを行う位置決め部と、レールを支持するベース部材に固定される取付部とを有しており、各側壁に前記係合部としての溝が設けられているものとされることがある。
【0027】
継手部材の被係合部が溝であり、レールの係合部が凸部である場合、例えば、レールは、互いに平行にのびる1対の側壁と、各側壁の上端部から他方の側壁に向かって垂直にのびて所定の間隔をおいて対向する1対の上壁と、1対の側壁の下端部同士を結合する下壁とを有し、上壁の内側縁部が前記凸部として使用されており、各上壁の一端部に、継手部材の位置決めを行う位置決め部としての突出部が設けられ、下壁の一端部に、上壁よりも一端側に突出させられてレールを支持するベース部材に固定される取付部が設けられているものとされるが、これに限定されるものではない。
【0028】
継手部材の被係合部が凸部であり、レールの係合部が溝である場合、例えば、レールは、互いに平行にのびる1対の側壁と、1対の側壁の下端部同士を結合する下壁とを有し、各側壁に前記被係合部としての溝が設けられ、各側壁の一端部に、継手部材の位置決めを行う位置決め部としての突出部が設けられ、下壁の一端部に、上壁よりも一端側に突出させられてレールを支持するベース部材に固定される取付部が設けられているものとされる。
【0029】
複数の継手部材は、レールの他端(取付部が設けられている端部とは反対の端部)側から、順次レールに嵌め合わせられ、最初に嵌め合わせられる継手部材は、位置決め部(端壁または突出部など)で位置決めされる。継手部材をレールに沿って摺動させることで、隣り合う継手部材の間隔が調整され、継手部材の上に流体制御機器が載せられて、ボルトによって固定される。こうして、複数の継手部材および複数の流体制御機器が一体化された状態でレールに支持され、1つのラインが形成される。各継手部材は、ベース部材に直接に固定はされないが、被係合部が対応する係合部に係合していることで、継手部材がレールから上方に外れることが防止される。
【0030】
ライン支持部材は、レールの端部に配置された継手部材に当接した状態でベース部材に固定されて、配置された継手部材がレールから長手方向に脱落することを防止するストッパをさらに有していることが好ましい。
【0031】
ストッパは、レールとは別部材とされ、全ての流体制御機器を対応する継手部材にボルトで固定した後に、ベース部材に取り付けられる。これにより、一体化された複数の継手部材および複数の流体制御機器は、レールの位置決め部とストッパとによって挟まれ、その長手方向の移動が阻止される。
【0032】
各ラインの長さは、使用される流体制御機器の数によって変化するので、これに対応して、レールの長さを変更するようにしてももちろんよいが、レールの長さを一定にして(ラインの長さが短いものに合わせて)、ストッパのベース部材への取付け位置を変更するだけで、ラインの長さ違いに対応するようにしてもよい。
【0033】
なお、この明細書において、上下については、流体制御機器側を上、継手部材側を下としているが、この上下は便宜的なもので、上下が逆になったり、上下が左右になったりして使用されることもある。
【発明の効果】
【0034】
この発明によると、通路ブロックの複数の流体通路として、一端が各第1ポートにそれぞれ通じ、他端が通路ブロック内にある複数の第1出入口通路と、一端が各第1出入口通路の他端にそれぞれ通じ、他端が通路ブロックのいずれかの面に開口する複数の第1外部連通路と、一端が各第1出入口通路の他端にそれぞれ通じ、他端が第1外部連通路とは異なる位置において通路ブロックのいずれかの面に開口する第2外部連通路と、一端が各第2ポートにそれぞれ通じ、他端が通路ブロック内にある複数の第2出入口通路と、各第2出入口通路の他端同士を連通する内部連通路とが設けられているので、例えば、これを流体制御装置の上段層の流体制御機器として使用すると、別途バイパス機能のための配管が不要であるので、溶接個所の増加、内容積の増加(パージ時間の増加)という問題の発生を防止して、下段層の継手部材としてのマニホールドブロックを使用せずに、バイパス機能を得ることができ、流体制御装置を簡素することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1図1は、この発明によるマニホールドバルブを備えた流体制御装置の1実施形態を示す斜視図である。
図2図2は、この発明によるマニホールドバルブの1実施形態を示す斜視図である。
図3図3は、図2のIII-III線に沿う通路を示す概略図である。
図4図4は、図2のIV-IV線に沿う通路を示す概略図である。
図5図5は、図2のV-V線に沿う通路を示す概略図である。
図6図6は、流体制御装置のライン支持部材を示す斜視図である。
図7図7は、流体制御装置の継手部材の1例を示す斜視図である。
図8図8は、流体制御装置の継手部材の他の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
この発明の実施の形態を、以下図面を参照して説明する。
【0037】
図1は、この発明によるマニホールドバルブを備えた流体制御装置の1実施形態を示している。
【0038】
図1に示す流体制御装置(1)は、複数(図示は3つ)のプロセスガスライン(2)と、1つのパージガスライン(3)とを備えている。
【0039】
各ライン(2)(3)は、流体制御機器(10)(11)(12)(13)(15)(16)(17)(18)からなる上段層と、流体制御機器(10)(11)(12)(13)(15)(16)(17)(18)の通路同士を接続する継手部材(21)(22)からなる下段層とに別れていて、ライン支持部材としてのレール(4)(5)に支持されている。
【0040】
各プロセスガスライン(2)は、流体制御機器として、流量制御器(11)と、流量制御器(11)の入口側に配置された入口側第1開閉弁(12)、プレッシャーレギュレータ(13)、入口側第2開閉弁(14)を有するマニホールドバルブ(10)および入口側第3開閉弁(15)と、流量制御器(11)の出口側に配置された出口側開閉弁(16)とを備えている。
【0041】
パージガスライン(3)は、流体制御機器として、流量制御器を有しておらず、入口側に配置された入口側第1開閉弁(12)、プレッシャーレギュレータ(13)、圧力センサ(17)、フィルター(18)および入口側第2開閉弁(14)を有しプロセスガスライン(2)と共用されているマニホールドバルブ(10)を備えている。
【0042】
各入口側第2開閉弁(14)は、各ライン(2)(3)ごとに設けられているのではなく、4つの入口側第2開閉弁(14)として、4つのライン(2)(3)にまたがって配置されたマニホールドバルブ(10)が使用されている。このマニホールドバルブ(10)以外の流体制御機器(11)(12)(13)(15)(16)(17)(18)は、全て、各ライン(2)(3)ごとに使用されている部材とされている。
【0043】
継手部材(21)(22)として、隣り合う流体制御機器(10)(11)(12)(13)(15)(16)(17)(18)同士を接続するように配された中間継手部材(21)と、各プロセスガスライン(2)の各端部およびパージガスライン(3)の入口側端部にそれぞれ配された管継手(22a)付きの端部継手部材(22)とが使用されている。
【0044】
中間継手部材(21)は、図7に示すように、両端がいずれも上方に開口するV字状またはU字状の連通路(52)を有しており、端部継手部材(22)は、図8に示すように、一端が上向きに他端がこれと直交する向きに開口するL字状の連通路を有している。これらの継手部材(21)(22)は、各ライン(2)(3)ごとに使用されている部材とされており、複数のライン(2)(3)にまたがって配置されたマニホールドブロック継手は使用されていない。
【0045】
各流体制御機器(10)(11)(12)(13)(15)(16)(17)(18)は、上方から締め付けられるボルト(20)によって、対応する継手部材(21)(22)に上方に取り出し可能に取り付けられている。
【0046】
流量制御器(11)は、その下面の入口側および出口側に設けられた通路ブロック(11a)(11b)に支持されており、入口側第1開閉弁(12)、プレッシャーレギュレータ(13)、入口側第3開閉弁(15)、出口側開閉弁(16)、圧力センサ(17)およびフィルター(18)は、それぞれ、その下面に設けられた通路ブロック(12a)(13a)(15a)(16a)(17a)(18a)に支持されている。
【0047】
マニホールドバルブ(10)は、図2から図5に詳細を示すように、各ラインに対応した複数の入口側第2開閉弁(以下、単に「開閉弁」と称す)(14)と、複数の流体通路(31)(32)(33)(34)(35)を有し、複数の開閉弁(14)を支持する通路ブロック(30)とからなる。
【0048】
各流体制御機器(10)(11)(12)(13)(15)(16)(17)(18)の通路ブロック(11a)(11b)(12a)(13a)(15a)(16a)(17a)(18a)(30)と各継手部材(21)(22)との突き合わせ面には、連通部分をシールするシール部材(図示略)が設けられている。隣り合う継手部材(21)(22)間には、連通部分はなく、シール部材は使用されていない。
【0049】
各開閉弁(14)は、例えばダイヤフラム弁とされ、流体通路の開口となる第1ポート(14a)および第2ポート(14b)と、第1ポート(14a)の周縁に設けられたシートに押圧または離間されることで流体通路を開閉するダイヤフラム(弁体)と、ダイヤフラムを移動させるアクチュエータとを有しているものとされる。開閉弁(14)は、ニードル弁、リフト弁などであってもよい。なお、図3から図5までにおいて、開閉弁(14)については、ポート(14a)(14b)だけを示して、ダイヤフラム、アクチュエータなどを省略している。
【0050】
通路ブロック(30)は、各ライン(2)(3)に直交する方向に長い直方体状とされており、各ライン(2)(3)ごとに下段に配置された複数組の上流側(入口側端部に配された管継手(22a)付きの端部継手部材(22)に近い側)および下流側(入口側端部に配された管継手(22a)付きの端部継手部材(22)から遠い側)の中間継手部材(21)にまたがって配置されている。
【0051】
通路ブロック(30)には、複数の流体通路(31)(32)(33)として、上端が各開閉弁(14)の第1ポート(14a)にそれぞれ通じ、下方にのびて下端が通路ブロック(30)内にある複数の第1出入口通路(31)と、上端が各第1出入口通路(31)の下端にそれぞれ通じ、斜め下方の上流側にのびて下端が通路ブロック(30)の下面に開口する複数の第1外部連通路(32)と、上端が各第1出入口通路(31)の下端にそれぞれ通じ、下端が斜め下方の下流側にのびて、下端が第1外部連通路(32)とは異なる位置において通路ブロック(30)の下面に開口する第2外部連通路(33)とを備えている。
【0052】
第1外部連通路(32)と第2外部連通路(33)とは、各開閉弁(14)の開または閉に関係なく、常時連通している。第1外部連通路(32)は、上流側に配された中間継手部材(21)に設けられたV字状連通路(52)の下流側の開口に接続されており、第2外部連通路(33)は、下流側に配された中間継手部材(21)のV字状連通路(52)の上流側の開口に接続されている。
【0053】
通路ブロック(30)には、さらに、複数の流体通路(34)(35)として、上端が各開閉弁(14)の第2ポート(14b)にそれぞれ通じ、下方にのびて下端が通路ブロック(30)内にある複数の第2出入口通路(34)と、各第2出入口通路(34)の下端同士を連通して各ライン(2)(3)に直交する方向にのびる内部連通路(35)とが設けられている。
【0054】
いずれかの第2出入口通路(34)内に流入した流体は、内部連通路(35)を経て他の第2出入口通路(34)に至る。第1ポート(14a)と第2ポート(14b)との連通が閉とされている場合には、流体のそれ以上の流れは停止させられ、第1ポート(14a)と第2ポート(14b)との連通が開とされている場合には、流体は、第2出入口通路(34)から第1出入口通路(31)に流れていく。
【0055】
各プロセスガスライン(2)において、マニホールドバルブ(10)の開閉弁(14)が閉とされた状態で、管継手(22a)付きの端部継手部材(22)から流入してマニホールドバルブ(10)の第1外部連通路(32)に至った流体は、第2外部連通路(33)および中間継手部材(21)を経て、入口側第3開閉弁(15)に至る。そして、入口側第3開閉弁(15)が開とされていることで、流量制御器(11)に流入する。
【0056】
パージガスライン(3)においては、全てのマニホールドバルブ(10)の開閉弁(14)が閉とされた状態でパージガスで加圧しておいてから、所要のマニホールドバルブ(10)の開閉弁(14)が開とされ、これにより、管継手(22a)付きの端部継手部材(22)から流入してマニホールドバルブ(10)の第1外部連通路(32)に至ったパージガスは、開閉弁(14)が開とされていることで、第1出入口通路(31)を経て第2出入口通路(34)に流入する。ここで、第1外部連通路(32)と第2外部連通路(33)とは、常時連通しているので、パージガスは、第1外部連通路(32)から第2外部連通路(33)にも流れ、下流側の中間継手部材(21)に流入し、閉止栓によって閉止される。第2出入口通路(34)に流入したパージガスは、連通路(35)を介して、他の第2出入口通路(34)に流入する。マニホールドバルブ(10)の所要の開閉弁(パージガスライン(3)の開閉弁およびパージされるプロセスガスライン(2)の開閉弁)(14)が開とされていることで、第2出入口通路(34)に流入したパージガスは、対応する第1出入口通路(31)に至り、第2外部連通路(33)を経て、下流側の中間継手部材(21)に流入し、閉止栓によって閉止される。
【0057】
各ライン(2)(3)は、次のようにして、レール(4)(5)を介してベース部材(図示略)に取り付けられるようになされている。
【0058】
図6に示すように、レール(5)(レール(4)も同じ形状)は、ベース部材の面に垂直で互いに平行にのびる1対の側壁(41)と、各側壁(41)の上端部から他方の側壁(41)に向かって垂直(ベース部材の面に平行)にのびて所定の間隔をおいて対向する1対の上壁(42)と、1対の側壁(41)の下端部同士を連結する下壁(43)とを有している。側壁(41)、上壁(42)および下壁(43)は、互いに同じ厚さとされている。
【0059】
各上壁(42)の出口側端部に、出口側に配置される端部継手部材(22)の出口側端面の位置決めを行う突出部(位置決め部)(44)が設けられている。また、下壁(43)の出口側端部は、上壁(42)よりも長さ方向外側に突出させられており、この部分が、ベース部材に固定される取付部(45)とされている。
【0060】
取付部(45)には、貫通孔(45a)が設けられており、ベース部材に設けられたねじ孔にこの貫通孔(45a)を合わせて、ボルトをねじ孔にねじ合わせることにより、レール(4)(5)をベース部材に固定することができる。
【0061】
中間継手部材(21)は、図7に示すように、直方体ブロック状の本体(51)に流体制御機器(10)(11)(12)(13)(15)(16)(17)(18)の流体通路同士を連通するためのV字状連通路(52)が形成されているもので、本体(51)には、さらに、上面に開口して流体制御機器(10)(11)(12)(13)(15)(16)(17)(18)を取り付けるために使用されるねじ孔(53)が設けられており、ボルト挿通孔として使用される貫通孔は設けられていないものとされている。
【0062】
本体(51)の両側面には、レール(4)(5)の上壁(42)の内側縁部に係合するレール長手方向にのびる溝(被係合部)(54)が形成されている。この溝(54)は、中間継手部材(21)をレール(4)(5)に摺動可能に係合させるために使用されるもので、溝(54)が対応するレール(4)(5)の上壁(42)の内側縁部に係合することによって、中間継手部材(21)がレール(4)(5)に支持される。
【0063】
端部継手部材(22)は、図8に示すように、直方体ブロック状の本体(56)に流体制御機器(10)(11)(12)(13)(15)(16)(17)(18)の流体通路同士を連通するためのL字状連通路(57)が形成されているもので、本体(56)には、さらに、上面に開口して流体制御機器(10)(11)(12)(13)(15)(16)(17)(18)を取り付けるために使用されるねじ孔(58)が設けられており、ボルト挿通孔として使用される貫通孔は設けられていないものとされている。
【0064】
本体(56)の両側面には、レール(4)(5)の上壁(42)の内側縁部に係合するレール長手方向にのびる溝(被係合部)(59)が形成されている。この溝(59)は、端部継手部材(22)をレール(4)(5)に摺動可能に係合させるために使用されるもので、溝(59)が対応するレール(4)(5)の上壁(42)の内側縁部に係合することによって、端部継手部材(22)がレール(4)(5)に支持される。
【0065】
各継手部材(21)(22)は、レール(4)(5)に摺動可能に嵌め合わせられて、所定位置に配されている。レール(4)(5)の入口側端部には、端部継手部材(22)がレール(4)(5)から脱落することを防止するストッパ(6)が設けられている。
【0066】
ストッパ(6)は、正面(レール長手方向)から見て逆U字状かつ側面(レール長手方向に直交する方向)から見てL字状に形成されており、図6に示すように、レール(4)(5)の端面に平行に対向し入口側の端部継手部材(22)の入口側端面に当接する当接部(46)と、当接部(46)に対して直角に連なりベース部材に固定される取付部(47)とからなる。取付部(47)には、貫通孔(47a)が設けられており、ベース部材に設けられたねじ孔にこの貫通孔(47a)を合わせて、ボルトをねじ孔にねじ合わせることにより、ストッパ(6)をベース部材に固定することができる。
【0067】
レール(4)(5)の上壁(42)の内側縁部は、係合部としての凸部を形成しており、各継手部材(21)(22)は、溝(54)(59)より下側の部分がレール(4)(5)の1対の側壁(41)間に収容された状態で、上壁(42)の内側縁部と溝(54)(59)との係合によって、その配置高さが変化することなく、レール長手方向の適切な位置まで移動可能とされている。
【0068】
各ライン(2)(3)は、流体制御機器(10)(11)(12)(13)(15)(16)(17)(18)が対応する継手部材(21)(22)にボルト(20)で固定されることで一体化され、出口側端部および入口側端部に配置された端部継手部材(22)がレール(4)(5)の突出部(44)とストッパ(6)の当接部(46)とによって挟まれることで、流体制御機器(10)(11)(12)(13)(15)(16)(17)(18)が固定されている継手部材(21)(22)のレール長手方向の移動が阻止される。各継手部材(21)(22)は、両側面の溝(54)(59)がレール(4)(5)の上壁(42)の内側縁部に係合していることで、レール(4)(5)から上方に外れることが防止される。したがって、各継手部材(21)(22)をベース部材に直接固定することなく、各ライン(1)(2)を設置することができる。こうして、部品数を増加させることなく、各ライン(2)(3)を組み立てるための手間がかからないものとできる。
【0069】
なお、上記図6から図8までに示す実施形態において、レール(4)(5)に上壁(42)が設けられて、その内側縁部が係合部としての凸部とされるとともに、継手部材(21)(22)に、凸部に係合する被係合部としての溝(54)(59)が形成されているが、これらの係合部および被係合部の構成は、各継手部材(21)(22)がレール(4)に摺動可能に支持されるものであればよく、適宜変更することができる。
【0070】
上記のマニホールドバルブ(10)によると、所定のライン(3)から他の1または複数のライン(2)に流体を供給するバイパス機能を得ることができる。
【0071】
従来、バイパス機能を得るには、例えば、上段層に3方弁を配置して、下段層の継手部材として、マニホールドブロック継手を使用するものがあった。
【0072】
ここで、上記のレール(4)(5)と継手部材(21)(22)との組合せのように、ブロック状の継手部材(21)(22)の側面に溝(54)(59)を設けて、これらの溝(54)(59)とレール(4)(5)とを係合させる場合、マニホールドブロック継手を使用することができないという問題がある。この場合、配管を上段層に設置することでバイパスすることが可能であるが、別途配管が必要になるため溶接個所の増加、内容積の増加(パージ時間の増加)という問題が発生する。
【0073】
上記流体制御装置(1)によると、マニホールドバルブ(10)が使用されていることで、上段層で、2つの流体を流すための3方弁機能と所定のラインから他のラインに流体を流すためのバイパス機能とを発揮することができ、上記の問題の発生を防止して、レール(4)(5)を使用したレール式の流体制御装置(1)を簡素することができる。
【0074】
なお、マニホールドバルブ(10)は、レール(4)(5)を使用していない流体制御装置(1)で使用することもできる。また、上記のマニホールドバルブ(10)の構成および各ライン(2)(3)の構成は、流体制御装置(1)の用途、仕様などに応じて種々変更することができる。
【符号の説明】
【0075】
(1):流体制御装置、(4)(5):レール、(10):マニホールドバルブ、(11)(12)(13)(15)(16)(17)(18):流体制御機器、(14):入口側第2開閉弁(開閉弁)、(14a):第1ポート、(14b):第2ポート、(21)(22):継手部材、(30):通路ブロック、(31):第1出入口通路、(32):第1外部連通路、(33):第2外部連通路、(34):第2出入口通路、(35):内部連通路、(42):上壁(係合部)、(54)(59):溝(被係合部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8