(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
近位端部、遠位端部およびその間に延びる可撓性の環状構造を含む分割可能なシース本体であって、長手方向軸を規定し、前記長手方向軸に対して平行な2つの所定の分割線に沿って2つの部位に分割することが可能であるシース本体をさらに含み、前記分割可能なシースハブは、前記分割可能なシース本体の近位端部から延び、前記内部空洞は、前記シース本体の長手方向軸に沿って延びる、請求項1の医療物品。
前記シースハブは前記2つの所定の分割線に沿って2つのシースハブ部位に分割可能であり、前記弾性プレートの前記取り付け部位は前記2つの部位のうち第1の部位によって支持されることにより前記弁要素が前記2つのシースハブ部位のうち第2の部位に対して分離可能かつ移動可能となり、前記2つの所定の分割線は、前記シースハブの前記長手方向軸に平行である、請求項4の医療物品。
前記シースハブは、前記弾性プレートの取り付け部位と結合する遠位部位および近位部位を含み、前記弾性プレートの取り付け部位は前記シースハブの前記遠位部位と前記近位部位との間において支持される、請求項9の医療物品。
前記シースハブおよび前記弾性プレートは前記長手方向軸に対して前記弾性プレートの前記シースハブに対するラジアル移動および回転移動のうち少なくとも1つを制限するように構成された一対の対応する取り付け要素を含む、請求項10の医療物品。
前記取り付け部位は、前記長手方向軸に直角に延びる面に対して前記第1傾斜角度で、前記シースハブの前記遠位部位と前記近位部位との間において支持され、前記第2の密封面は、前記長手方向軸に直角に延びる面に対して第2傾斜角度である1〜15度で前記内部空洞の周囲に延びる、請求項10の医療物品。
前記弁要素は、第1の位置と第2の位置との間を移動するようになっており、前記弁要素は前記第1の位置にあるときに前記内部空洞を通る少なくとも1方向の流体の流れを遮断し、前記第2の位置にあるときに前記長手方向軸に対して屈曲し、装置が前記内部空洞を通過するのを可能にし、前記分割可能なシースハブは前記弁要素が前記第1の位置または前記第2の位置にあるときに分割可能である、請求項1の医療物品。
【発明を実施するための形態】
【0084】
本開示は、医療物品(例えば、カテーテルまたはシース)などの物品を血管またはドレナージ部位などの空間へ送達するためのアクセス装置を提供する。
図1Aに示すアクセス装置20は、本発明の好適な実施形態に従って血管(例えば、静脈または動脈)へ挿入されるように構成される。このアクセス装置について、以下においてこの文脈(すなわち、血管アクセス用途)において説明するが、アクセス装置は、医療物品(例えば、カテーテルまたはシース)にアクセスし、これを患者身体内の他の位置(例えば、ドレナージ部位)内に配置するためおよび他の目的(例えば、膿瘍排出)のためにも用いることが可能である。
【0085】
アクセス装置の本実施形態は、例示的なシングルピース型の管状医療物品を患者内の身体空間中へ配置する文脈において開示される。配置後、管状物品は他の医療物品(例えば、カテーテル、ガイドワイヤなど)を受容するために用いられて、身体空間へのアクセスを提供することおよび/または流体の身体空間中への導入または身体空間からの流体の除去(例えば、排出)のための通路を提供するために使用されることができる。図示の実施形態において、管状医療物品は主に静脈中への流体通路を提供するように構成されたシースまたはカテーテルである。しかし、本発明の原理は、シングルピースのシースまたはカテーテルの配置、またはシースまたはカテーテルを介した医療物品の後続挿入に限定されない。すなわち、本開示を鑑みれば、本明細書中に開示されたアクセス装置は、他の種類のシース、流体ドレナージおよび送達管、および単一のまたは多腔型カテーテルを含む1つ以上の他の種類の医療物品を患者内へ直接的または別の医療物品を介して間接的に配置することに関連して、成功裏に用いることも可能であることが理解される。
【0086】
例示的かつ非限定的に、本明細書中に開示されるアクセス装置は、中心静脈カテーテル、末梢挿入型中心静脈カテーテル、血液透析カテーテル、外科的ドレナージ管、引きはがし型シース、マルチピースシース、PICC線、IV線、スコープ、ならびに外部のまたは移植された電子装置またはセンサーへ接続されたワイヤまたはケーブル用の電線用導管を直接的または間接的に配置するようにも構成され得る。上述したように、上記に羅列した医療物品は、アクセス装置の拡張器、針、およびガイドワイヤを介して患者内に直接配置してもよいし、あるいは、アクセス装置の拡張器、針およびガイドワイヤを介して患者内に配置された医療物品を介して後で患者内に配置してもよい。
【0087】
さらに、本明細書中に開示される実施形態は、単一の医療物品の同軸挿入に限定されない。例えば、挿入されたシースを介して2つのカテーテルを患者に挿入してもよいし、あるいは、挿入された第1のカテーテルを介して第2のカテーテルを患者に挿入してもよい。さらに、血管または他の身体空間中への導管の提供に加えて、拡張器、針およびガイドワイヤを介して挿入された医療物品は、後続挿入された医療物品のルーメン(単数または複数)に加えてルーメンを形成し得る。当業者であれば、本明細書中に開示される装置およびシステムのためのさらなる用途も発見し得る。よって、シース(例えば、微小穿刺用途)に関連するアクセス装置の図示および例示は、アクセス装置の可能な1つの用途の例示に過ぎない。
【0088】
図1Aおよび
図1Bは、アクセス装置20の好適な実施形態を示す。アクセス装置20は、針22、拡張器24およびシース26を含む。図示の実施形態において、アクセス装置は、ガイドワイヤ部分28およびトラック30も含む。
図1B中に最良に示すように、拡張器24は針22上に同軸に取り付けられ得、シース26は拡張器24上に同軸に取り付けられ得る。アクセス装置の構成要素の伸縮性は、構成要素およびその軸を同軸ではなく実質的に平行に(例えば、モノレール型設計に)配置することにより、達成することもできる。
【0089】
これらの構成要素はそれぞれ、終端または遷移(すなわち、ハブ)における内腔接続具と、接続具から延びる長細構造とを含む。よって、図示の実施形態において、針22は、針ハブ34から遠位方向に延びる針本体32を含み、拡張器24は、拡張器ハブ38から遠位方向に延びる拡張器シャフト36を含み、シース26は、シースハブ42から遠位方向に延びるシース本体40を含む。ガイドワイヤ部分28は、ガイドワイヤ44を含み、好適にはガイドワイヤハブまたはキャップ46を含む。図示の実施形態において、ガイドワイヤハブ46は、ガイドワイヤ44の近位端部上に配置されるが、他の用途において、ハブ46は、ガイドワイヤ44の端部間の位置に配置され得る。
【0090】
図2A〜
図2Gは、アクセス装置の実施形態による、針本体32および針22の針ハブ34をアクセス装置20の他の構成要素から分離して示す。
図2Aおよび
図2Bに最良に示すように、針ハブ34は、針本体32の近位端部上に配置される。針本体32は、針22の遠位部位50の近隣の遠位端部において終端し、針ハブ34は、針22の近位部位52に配置される。
【0091】
針本体32は好適には長細管状形状を有し、円形の一定直径の内部ボアおよび円形の一定直径の外面を有する。しかし、他の実施形態において、針本体32は、他のボアおよび外形も持ち得る(例示的かつ非限定的な例を挙げると、楕円断面形状)。針の内部または外部は、溝部または導管も含み得る。溝部または導管は、針ボア内の流体を針22の特定の構造またはその周囲へあるいは針22内(例えば、ガイドワイヤ周囲)に誘導し得る。いくつかの実施形態において、溝部または導管は、針22の拡張器に対する所望の方向の維持を支援し得る。
【0092】
針本体32は、皮下の標的身体空間へアクセスできるだけの充分な長さを有し、身体空間へのアクセス時において(過度の外傷を発生させることなく)挿入力に耐えるだけの充分なゲージサイズを有する。多数の用途において、針本体の長さは3〜20cmであり、より好適には3〜10cmである。例えば、成人の胸部中の身体空間(例えば、血管)にアクセスするために、針本体32の長さは好適には7cm以上であり、より好適には9cm以上であり、最も好適には9〜10cmである。針サイズは好適には18ゲージ以下であり、より好適には18〜28ゲージであり、最も好適には微小穿刺用途(例えば、末梢IV)に対して18〜26ゲージである。新生児用途においては、針本体32の長さおよびゲージは極めて短くかつ小型であるべきであり、例えば、好適には3〜4cmおよび26〜28ゲージである。
【0093】
図2Aおよび
図2Dから最良に理解されるように、針本体32は、遠位部位50上に配置されたベベル先端54を含み得る。さらに、いくつかの実施形態において、針本体32は、針本体32の遠位端部の近隣において少なくとも1つ穿孔または開口部56を含み得る。いくつかの実施形態において、針本体32および/または拡張器シャフト36は、複数の側部穿孔または開口部を含み得る。針本体32および/または拡張器シャフト36双方が開口部を有する実施形態において、これらの開口部のうちいくつかまたは全ては回転的にアライメントされ得る。
【0094】
穿孔56は、針本体32の壁部または側部を通じて延びるかまたは経路を提供する。本明細書中にさらに記載するように、穿孔56は、アクセス装置20の使用時において、血液などの流体が針本体32の一部と拡張器24の一部(
図3A〜3D)との間に流れることを可能にする。穿孔56は、針本体32上において、多様な形状および/または方向を持ち得る。例えば、
図2Dに示す穿孔56は、楕円形状を有する。しかし、側部開口部56の形状は図示の実施形態に限定されず、例えば、参照することにより本明細書にその全体が援用される2011年2月8日に出願されたPCT国際特許出願第PCT/US2011/024097に示されるように、円形、楕円、四角形または別の形状であってもよい。
【0095】
図2Aおよび
図2Bに示すように、針ハブ34は、1つ以上のハンドリング部位58および59を含み、針ハブ34を操作するための把持領域を提供することができる。例えば、医師または医療提供者は、人さし指および親指をハンドリング部位58および59のほぼ対向する側部上に配置することにより、針ハブ34を拡張器24および/またはシース26に対して安定させることができる。図示の実施形態において、拡張器/シースが針上において遠位方向にスライドすると、針ハブ34は、第1の位置121と第2の位置123との間のトラック30に沿って相対的にスライドする(例示的部位を
図6Aに示す)。(以下に記載する)挿入ステップを行う際、ハンドリング部位58および59を保持することができる。加えて、拡張器ハブ38を回転させている間、ハンドリング部位58および59を用いて針ハブ34を安定させることができる。さらに、針ハブ34がトラック30に沿った任意の位置に配置されると、医師または医療提供者は、ハンドリング部位58および59を支援具として用いて、アクセス装置20を把持することができる。いくつかの実施形態において、ハンドリング部位58および59のうちいずれかまたは双方は、以下にさらに述べるように、針ハブ34をアクセス装置20の別の構成要素へ接続させるための1つ以上の任意選択的ラッチ要素を含み得る。
【0096】
1つ以上のハンドリング部位58および59は、一体的に形成してもよいし、あるいは、針ハブ34の残り部分から別個に形成してもよい。例えば、ハンドリング部位58および/または59を針ハブ34の残り部分と別個に形成すれば、第1の組立ステップにおいて針ハブ34の残り部分をトラック30に取り付けるのが容易になり(例えば
図1Aおよび
図6Aを参照)、第2の組立ステップにおいてハンドリング部位58および/または59を針ハブ34の残り部分に取り付けるのが容易になり、有利である。例えば、
図2Gおよび
図1Aを参照すると、ハンドリング部位59は、トラック30に取り付けられた際、針ハブ34の残り部分と共にトラック30の周囲全体に及ぶように構成され得る。よって、例えば、ハンドリング部位59を除去しない限り、針ハブ34がトラック30から外れる事態を実質的に回避することができる。有利なことに、いくつかの実施形態において、ラッチ要素66を含まないハンドリング部位59をトラック30への取り付け後に付加することができ、これにより、ラッチ要素66を含み得るその他のハンドリング部位58を枢動可能に針ハブ34の他の部位と一体的に形成することができる。
【0097】
1つ以上のハンドリング部位58および59は、針ハブ34の残り部分へ解放可能な様態でまたは永久的に取り付けられ得、これにより、針ハブ34のトラック30からの係合解除のし易さを制御する。例えば、ハンドリング部位58および59は、針ハブ34の残り部分へ解放可能な様態で取り付け可能であり、これにより、第1の分解ステップにおいてハンドリング部位(単数または複数)58および59を針ハブ34の残り部分から分解することができ、これにより、針ハブ34をトラック30から取り外すことができる。逆に、ハンドリング部位58および59を針ハブ34の残り部分へ永久的に取り付けることも可能であり、これにより、初期組立プロセス後に針ハブ34がトラック30から外れる事態を回避する。針ハブ34がトラック30から外れる事態を回避することにより、感染の原因となり得るアクセス装置20の再利用を回避することができる。さらに、針ハブ34がトラック30から外れる事態を回避することにより、
図10Aおよび
図10Bに示し、さらに以下に記載するように、針を第2の位置123において信頼性高く保持することが可能になり、その結果、針が偶発的に刺さる事態を低減することができる。
【0098】
1つ以上のハンドリング部位58および59は、針先端上のベベル54の円周位置および/または針中の少なくとも1つ開口部または穿孔56のうちの1つとアライメントされた針ハブ34の周囲の円周位置に配置することができる。
【0099】
図示の実施形態において、ハンドリング部位58は、ベベル54および穿孔56によってインデックス付与される。さらに、
図2Aに最も明確に示すように、針ハブ34は、カラーコーディング、単語または針本体32のベベル先端54または穿孔56の拡張器24またはシース部分26に相対する方向を操作者に示すための矢印などの他の印を含み得る。使用時において、医師または医療提供者は、露出したハンドリング部位58の方向に留意することにより、ベベルが血管内にありかつ穿孔がシースおよび/または拡張器によって被覆されている場合でも、ベベル付き針先端(および穿孔56)の方向を決定することができる。例えば、図示の実施形態において、患者から離れたハンドリング部位58の方向は、血管内の針先端のベベル上方向と一致する。図示の穿孔56も、
図2Cに示すように、ハンドリング部位58と同じ側部上にある。
【0100】
図2Dは、針本体32中の側部開口部または穿孔56の拡大図である。1つ以上の穿孔56により、針本体32の側部を通過する経路が提供される。
図2Dに示す穿孔56は、楕円形状を有する。しかし、側部開口部56の形状は図示の実施形態に限定されず、円形、楕円、四角形または別の形状であってもよい。
【0101】
図2A〜
図2Cおよび
図2E〜
図2Gを参照すると、針ハブ34は、針ハブ34の近位部位60および遠位部位61においてロック構造を含み得る。これらのロック構造は、ルア−型、ねじ山型、ラッチ型、他の種類の接続、またはその組み合わせであり得る。
【0102】
針ハブ34の近位部位52上のロック構造により、医師または医療提供者は、別の医療物品を針ハブ34の近位端部60へ固定(例えば、解放可能な様態で固定)することができる。例えば、図示の実施形態における針ハブ34は、環状フランジまたはリップ63を含む。リップ63には、針ハブ34を対応するねじ山付きロック特徴により他の医療物品へ取り付けることが可能なように、ねじ山が付けられる。さらに、医師または医療提供者は、注射器または監視装置を近位端部上のロック構造に取り付けて、他の術式を所望に行うことができる。これらの特徴が特定の用途において所望される場合、針ハブ34は、近位端部および/または側部ポートにおいて隔壁も含み得る。
【0103】
針ハブ34の遠位部位61上のロック構造により、針ハブ34が第1の位置121に来た場合に(例えば、
図6Aを参照)、医師または医療提供者は、例えば針ハブ34を拡張器ハブ38などの医療物品にロックすることができる(例えば、
図1A〜
図1Bを参照)。
図2A〜
図2Cおよび
図2E〜
図2Gに図示された実施形態を再度参照すると、ロック構造は、ハンドリング部位58へ接続されたラッチ要素66を含む。ハンドリング部位58は、針ハブ34の残り部分へ枢動可能に接続され得、これにより、ラッチ要素を解放可能な様態で拡張器ハブ38のリップ77(
図7B)のような対応する部位へ係合および固定することができる。
【0104】
よって、ラッチ要素66は、針ハブ34を拡張器ハブ38へ解放可能な様態でロックする。このようなロック構造により、医療提供者は、針ハブ34および拡張器ハブ38のうち一方または双方を把持しつつ、針を患者内へ前進させることができる。いくつかの実施形態において、拡張器ハブ38のうちその上にラッチ要素66が係合している部分は、針ハブ34が拡張器ハブ38に対して回転するのを抑制するための1つ以上の平面を含み得る。環状溝部33上に配置される平面33を含む拡張器ハブ38の実施形態は、
図3Eに示されている。環状溝部33は、ラッチ要素66と係合し、針ハブ34の回転を抑制することができる。いくつかの実施形態において、これらの平面は、針ハブ21と拡張器ハブ32との間の特定角度の相対的回転(例えば、180度)の後のこのような回転を抑制することができる。
【0105】
特定の実施形態において、ラッチ要素66は、針ハブ34の中心に向かって付勢を提供するように構成される。好適には、このような付勢により、固定部分(例えば、拡張器ハブ38)がラッチ要素66からスリップまたは係合解除される事態が回避される。より好適には、ハンドリング要素58への圧力付加により、ラッチ要素66の付勢が解消されて、ラッチ要素66を解放させることができる。適切な解放圧力を付加するため、医師または医療提供者は、例えばハンドリング要素58および59の対向する側部上に人さし指および親指を配置し、ヒンジ付勢を解消する締め付け圧力を付加することができる。
【0106】
ハンドリング部位58および59ならびにロック部位/ラッチ要素66は、複数の異なる形状のうち任意の形状を含み得、本明細書中に開示される特定の実施形態に限定されない。例えば、参照することにより本明細書にその全体が援用される2011年2月8日に出願されたPCT国際特許出願第PCT/US2011/024097には、針ハブ上に設けられたラジアル方向に延びるフィンおよび回転フック形状のラッチ要素が開示されている。針ハブは、拡張器ハブ上の対応する開口部と係合し得る。この拡張器ハブを用いて、本明細書中に記載のアクセス装置の実施形態のハンドリングを促進することができる。参照することにより本明細書にその全体が援用される2008年1月24日に出願された米国特許出願公開第2008−0294111には、本明細書中記載されるアクセス装置の多様な構成要素を固定するように実行することが可能な多様なロック機構およびクリップが開示されている。
【0107】
以下により詳細に説明するように、ガイドワイヤ44は、針ハブ34の中空のテーパー部位62を通じ、針本体32を通じて穿刺血管中へと導入される。有利なことに、テーパー部位62は、ガイドワイヤ44を針22のボアへと誘導することができる。さらに、いくつかの実施形態において、このテーパー部位62により、雌ルアー接続を得ることができる。ガイドワイヤ44により、医療提供者は、拡張器24およびシース26を血管中に誘導することができる。
【0108】
図2C、
図2Fおよび
図2Gを参照すると、針ハブ34は、2つの中子68も含み得る。これらの中子68により、第1の位置121と第2の位置123(
図6A)との間において針ハブ34をトラック30に沿ってスライドさせることができる。好適な実施形態においては、針ハブ34の2つの中子68は、第1の位置121と第2の位置123との間においてトラック30と係合する一方、他の実施形態においては、針ハブ34は、第1の位置121と第2の位置123との間においてトラック30の長さのうち一部にわたってトラック30とのみ係合する。トラック30と針ハブ34との間のスライド型相互接続は、他の協働構造(例えば、ダブテール接続の対応するピンおよびテイル)を用いて達成することもできる。
【0109】
針22は、当該分野において公知の多様な材料のうち任意選のものを含み得る。いくつかの実施形態においては、針22のうち1つ以上の部位は材料を含み得るか、または、針22へさらなる機能を提供するために材料の処理またはコーティングを含み得る。例えば、針22は、アクセス装置20の使用を容易化するための特定の光学特性を備えた材料を含む1つ以上の部位を含み得る。参照することにより本明細書にその全体がすでに援用されている2011年2月8日に出願されたPCT国際特許出願第PCT/US2011/024097号には、エコー部位およびコントラスト部位を含む針の実施形態が開示されている。これらエコー部位およびコントラスト部位のうちいずれかまたは双方を、本明細書中に記載されるアクセス装置の実施形態の針または他の構成要素と共に実行することができる。
【0110】
図3Aは、
図1Aに示す実施形態の拡張器24の平面図である。
図3Bは、
図3Aに示す実施形態の拡張器24の3B−3B線に沿った断面図である。
図3Aおよび
図3Bに示すように、図示の拡張器24は、拡張器シャフト36と、拡張器ハブ38と、遠位領域70と、近位領域72とを含む。
【0111】
拡張器ハブ38は、拡張器ハブ38をアクセス装置20の別の部位へ固定するためのロック構造を含み得る。各ロック構造は、ルア−型、ねじ山型、ラッチ型、他の種類の接続、またはその組み合わせであり得る。図示の実施形態において、拡張器ハブ38は、第1のルアー接続78、第2のルアー接続80、リップ77およびベース79を含む。第1のルアー接続78は、
図2A〜
図2Eに示す針22上の針ハブ34と係合するように構成される(
図7Bも参照)。第2のルアー接続80は、第1のルアー接続78に対いて遠位方向に配置される。いくつかの実施形態において、第2のルアー接続80(例えば、雄ルアースリップコネクタ)は、
図1A〜
図1Bに示すシース26上のシースハブ42(例えば、雌ルアースリップコネクタ)と係合するように構成され得る(
図7Bも参照)。これらの構成要素上の雄雌のルアースリップコネクタは逆転させることができ、かつ/または、例えば、ラッチ要素66(
図2E〜2F、
図7B)または本明細書中に記載される他のラッチ構造およびロック構造などの追加的または代替的ロック構造を実行することができることが理解される。
【0112】
針および拡張器24間に導管を備える実施形態において、血液または他の流体と針22および/または拡張器24との間のコントラストを強調するように、針22および/または拡張器24の色などの光学特性を選択することができる。血液通過時において、例えば本明細書中にさらに記載するように、血液が拡張器24と針22との間に流れているのを監視することにより、針が血管中に適切に配置されていることを確認することができる。流体が針22と拡張器24との間に流れている際の流体視認性を向上させるために、拡張器24は好適には透明または少なくともやや透明な材料によって製造される一方、針22は、流体の色とコントラストを有する色を有する。例えば、赤色の血液とのコントラストを強調するために、針22を白色とすることができる。他の色の針22を、流体の色および所望のコントラストレベルに応じて用いることが可能である。さらに、いくつかの実施形態において、血液通過領域中の針の一部のみを、異なる色の残り部分とのコントラストを有する色にしてもよい。
【0113】
図3Cは、拡張器ハブ38Aの別の実施形態の拡大斜視図である。拡張器ハブ38Aは、拡張器ハブ38Aがスピンナットまたはカラー84をさらに含む点を除いて、
図3Aに示す拡張器ハブ38と同様である。スピンナット84の近位端部は、拡張器ハブ38中の環状溝部73の周囲を回転する(例えば、
図3Aを参照)。環状溝部73内に配置されると、スピンナット84は、遠位方向において移動することを抑制されるが、拡張器ハブ38A周囲において自由に回転することはできる。スピンナット84は、相互係合要素を持ち得る。この相互係合要素は、シース26上の対応する相互係合要素にロックする。図示の実施形態において、スピンナット84は、内部ねじ山を含む。内部ねじ山は、
図1Aに示すシース26上のシースハブ42上の外部ねじ山と係合する。
【0114】
いくつかの実施形態において、拡張器シャフト36は、1つ以上の穿孔および/または導管と共に構成され得、これにより、拡張器の一部とシースとの間に配置された血液通過室が形成される。拡張器シャフト36は1つ以上の例えば溝部75(
図3A、
図3D)のような通気孔を含み得、これにより、血液通過時における通気が可能となる。本明細書中に記載される要素と共に実行することが可能な1つ以上の穿孔、導管および/または通気孔を用いたこのような拡張器シャフトの例は、参照することにより本明細書にその全体がすでに援用されている2011年2月8日に出願されたPCT国際特許出願第PCT/US2011/024097号中に開示されている。
【0115】
図4Aは、
図1Aに示す実施形態のシース26の平面図である。
図4Bは、
図4Aに示す実施形態のシース26の4B−4B線に沿った断面図である。
図4Cは、
図4Aのシース26の拡大近位端部図である。
図4Dは、
図4Aのシース26のシースハブ42の拡大斜視図である。
図4A〜
図4Dに示すように、シース26は、シース本体40、シースハブ42、遠位部位90および近位領域92を含み得る。シース本体40は、透き通った、半透明な、透明な、または半不透明な材料から部分的または全体的に作成され得る。シース本体40はまた、例えば、硫酸バリウムストライプなどの1つ以上のX線不透過性マーカを含み得る。好適な実施形態において、シースは、本体40の直径方向に対向する側部上に配置されたこのようなX線不透過性のストライプを2つ含む。
【0116】
シース本体40はシングルピースシースであり得、それを通じてカテーテルまたは他の医療物品(例えば、ガイドワイヤ)が血管中へ挿入される。このような実施形態において、シース本体40は、カテーテルまたは他の医療物品(例えば、ガイドワイヤ)の挿入のための導管を形成する。導管を提供するのに加えて、シースまたはシースの一部は、カテーテルのルーメン(単数または複数)に加えてルーメンを形成し得る。例えば、デュアルルーメンカテーテルをシース本体40を通じてシース本体40そのものと共に挿入して第3のルーメンを形成することにより、トリプルルーメンカテーテルに相当するものを形成することができる。
【0117】
シースハブ42は、係合またはロック部材94のようなロック構造を含み得る。このロック構造は、対応する構造によってシースハブ42と噛み合うかまたは係合する。例えば、ロック部材94は拡張器ハブ38の第2のルアー接続80と係合するように構成され得るルアー接続94であり得る。いくつかの実施形態において、シースハブ42は、リップ95を含み得る。リップ95は、シースハブ42を対応するロック特徴によって他の医療物品へ取り付けるためのねじ山または他の取り付け構造を含み得る。ロック部材94および/またはリップ95は、本明細書中にさらに記載しかつ
図3Cに示す拡張器ハブ38上に配置されたスピンナットまたはカラー84と係合するように構成され得る。ルアー接続94およびリップ95双方が用いられる実施形態において、2つの独立した接続形態により、シースハブ42をより信頼性よく取り付けることができる。
【0118】
シースハブ42は好適には、拡張器ハブ38のロック機構または第2のルアー接続80(例えば、
図3A)が実質的に妨害されることなくシースハブ42に進入することができるように、設計される。しかし、使用時において、シースハブ42を拡張器シャフト36上の所望の位置に配置した後、医師または医療提供者は、シースハブ42を押圧、牽引または捻り、ロック部材94を別の医療物品上の対応するコネクタと係合解除または係合させることができる。ロック部材94はルアー接続に限定されず、例えば突出した突起、凹部、圧入、スナップ留めなどであってもよく、これにより、拡張器ハブ38およびシースハブ42が解放可能な様態で相互ロックされるような機械的固定が得られる。好適には、ロック位置の係合解除または係合は、拡張器ハブ38のシースハブ42に相対する牽引、絞り、押圧またはねじりによって行われ得る。
【0119】
シースハブ42は好適には、1つ以上の表面特徴を含み、これにより、医師または医療提供者は、シース26および/またはアクセス装置20を容易に把持または操作することができる。例えば、シースハブ42は、例えば四角形グリップを形成する平坦部位を含み得る。図示の実施形態において、シースハブ42は、ユーザによって把持される隆起98を含む。
【0120】
図4Aを参照して、シースハブ42は、ハブ42の遠位端部に向かって任意選択的隆起47を含み得、これによりハブ42の把持が促進される。隆起47はまた、以下にさらに述べるように、円筒カバーを受容および固定することもできる(
図4J〜
図4L)。
【0121】
図4Eは、
図4Aのシース26の拡大部分斜視図であり、明瞭さのためシース本体40は図示していない。
図4Fおよび
図4Gはそれぞれ、
図4Eのシース26の部分側面図および平面図である。
【0122】
シース26の患者への挿入時または挿入後、シース本体40は、過屈曲、褶曲および/または永久的に変形し得、その結果、アクセス装置20の機能が低下または抑制され得る。シース本体40は、例えばシース本体40とシースハブ42との間の界面においてまたはシース本体40とシースハブ42との間の界面の上流または下流において、このような褶曲または永久変形が発生し易い。褶曲または永久変形は、シース本体40を介した血液または薬剤などの流体の通過を抑制し得る。さらに、例えばIV線、PICC線および他のより高圧用途のためにアクセス装置20が用いられる場合、加圧流体がシース26内を通過するにつれて、シース本体40の近位端部が不規則に「急激に」移動し得る。アクセス装置20の展開時におけるシース本体40内におけるこのような褶曲または永久変形の可能性の低減および/またはこのような急激な移動の可能性を低減するために、いくつかの実施形態において、シース26は、多様な材料と、シース26の支持を提供し得る任意選択的解放要素とを含み得る。いくつかの実施形態において、装置内における屈曲力は、耐褶曲解放要素へ贈られ得る。
【0123】
図4D〜
図4Gは、シース26と共に実行される任意選択的解放要素140の実施形態を示す。解放要素140は、シースハブ42(例えば、シースハブ42の遠位部位)から延び得る。解放要素140は、シース本体40の近位部位92の周囲に配置され得、これにより、近位部位92がシースハブ42に対して屈曲した際に、シース本体40の近位部位92の支持が可能となる。
【0124】
解放要素140は、導管141を含み得る。導管141を通じて、シース本体40は、少なくとも部分的に延び得る。導管141は、シース本体40とのすきまばめまたは好適には近密な固定または締りばめを維持するようなサイズにすることができ、これにより、近位部位92への上記した支持が可能になる。解放要素140の少なくとも一部がシース本体40の一部を完全に包囲または封入している様子がひとえに例示目的のために図示されている。いくつかの実施形態において、解放要素140は、円弧状または三日月形状の軸断面を含む。この軸断面は、シース本体40への上記した支持を提供しつつ、シース本体40を完全に包囲しない。
【0125】
解放要素140は、シース本体40へのいくつかの屈曲性を提供しつつシース本体40へのさらなる支持を提供するための多様な形状および構造を含み得る。例えば、解放要素140は、実質的に中空の長細部材を含み得る。この長細部材は、ほぼ矩形または円筒管状形状を含み、一定の支持および屈曲性が得られる壁部厚さおよび材料によって構成される。解放要素140は、実質的に連続するまたは完全な表面と共に構成してもよいし、あるいは、隙間、アパチャ、凹部、またはさらなる屈曲性が得られるように表面を通じて部分的にまたは完全に延びる他の構造と共に構成してもよい。解放要素140は、導管141を部分的または全体的に包囲する例えば円周または長手方向(軸)リブ、支柱などの多様な支持構造を含み得る。
【0126】
図4D〜
図4Gを参照すると、解放要素140は、導管141に沿って間隔を空けて配置されかつ/または(例えば、部分的にまたは全体的に)導管141を包囲して配置される複数のリブ142を含み得る。リブ142は、解放要素140(導管141)の長さまたは外周(例えば、円周)の一部または全体に沿って延び得る。複数のリブ142は、軸方向または円周方向において解放要素140(導管141)の長さまたは外周の一部または全体に沿って間隔を空けて配置され得る。図示の実施形態において、リブ142は、導管141の周囲において円周方向に延び、軸方向において導管141に対して間隔を空けて配置され、これにより解放要素140を形成する。複数のリブ142内の隣接するリブを不規則な間隔で間隔を空けて配置することができ、例示目的のために一定間隔で間隔を空けて配置される様子が図示されている。
【0127】
解放要素140は、リブ142に接続された複数の支柱143を含み得、これにより、リブ142に対するさらなる支持が得られる。図示の実施形態において、支柱142は、導管141の周囲において円周方向に間隔を空けて配置され、隣接するリブ142間において軸方向に延びる。しかし、軸方向に延びかつ円周方向において相互に間隔を空けて配置されたリブを含む実施形態において、これらの支柱は円周方向に延び得、隣接するリブ間において軸方向に間隔を空けて配置され得る。さらに、2本の支柱143が任意の2つの隣接するリブ142間に延びる様子が図示されているが、解放要素140はこれに限定されず、1つ以上の支柱が任意の2つの隣接するリブ間に延び得る。さらに、支柱および/またはリブが軸方向におよび円周方向に延びている様子が図示されているが、解放要素140を形成すると同時に、支柱および/またはリブを相互に対しておよび/または導管141に対して多様な角度のうちいずれかで方向付けてもよい。例えば、1つ以上のリブおよび/または支柱は、円周方向におよび長手方向双方において導管141を包囲するように延びて、らせん状またはヘリカル形状を形成することができる。さらに、図示のように、支柱143を交互の不連続のパターンで設けてもよく、これにより、耐褶曲をさらに向上させることができる。
【0128】
解放要素140(および導管141)の断面形状は実質的に一定であってもよいし、あるいは長手方向軸に沿って変化してもよい。例えば、解放要素140の側部壁部の長手方向断面は、一定または変化するシース本体40の外部と実質的に整合し得る。例えば、その後、解放要素の側部壁部は、近位部位146において解放要素140の遠位部位147よりも大きくすることができる。このような実施形態により、解放要素140の近位部位146は、解放要素140の遠位部位147間の界面においてより高い屈曲性をシース本体40へ提供しつつ、シース本体40の近位部位92の支持を向上させることができる。よって、解放要素140は、実質的に円筒形状または実質的に円錐切頭形形状を含み得る。
【0129】
リブ142および/または支柱143は導管141の周囲において支持され得、解放要素140を多様な形態で形成することができる。例えば、
図4D〜
図4Gに示す上記の実施形態において、リブ142および支柱143は自立型であり得、これにより、グループ化された隣接するリブ142および支柱143間に延びる1つ以上の開口部、セル、アパチャまたは隙間144が形成される。リブ142および支柱143により支持が提供されると同時に、隙間144により解放要素140への屈曲性が提供され得る。
【0130】
図4Fおよび
図4Gを参照すると、解放要素140は、円周方向に相互にオフセットした1つ以上の支柱を含み得る。例えば、解放要素140は、リブ142Aおよび142Bのような第1の隣接する一対のリブと、リブ142Bおよび142Cのような第2の隣接する一対のリブとを含み得る。よって、第1の隣接する一対のリブおよび第2の隣接する一対のリブは、共通リブ142Bを含み得る。第1の1組の支柱143Aおよび143Bは、第1の隣接する一対のリブ142Aおよび142B間を延び得る。支柱143Aおよび143Bは、シースハブ42を通じて長手方向に延びる軸501に対して円周方向に相互にオフセットし得る。支柱143Aおよび143Bは、複数の角度のうち任意の角度で円周方向にオフセットさせることができるが、ここでは、支柱143Aおよび143Bはおよそ180度でオフセットしているため、ほぼ相互に対向し、解放要素140を通じて延びる横断軸502上において同一線上にある。支柱143Aおよび143Bは、ほぼ同一線上にあるため、リブ142Aおよび142Bを軸502周囲において(例えば隙間144A内において)、解放要素142を褶曲させずに相互に屈曲させることが可能になる。
【0131】
同様に、第2の1組の支柱143Cおよび143Dは、第2の隣接する一対のリブ142Bおよび142C間において延び得る。支柱143Cおよび143Dは、軸501に対して円周方向に相互にオフセットし得る。支柱143Cおよび143Dは、複数の数の角度のうち任意の角度で、支柱143Aおよび143Bに対して相互に円周方向にオフセットし得る。ここで、支柱143Cおよび143Dは相互におよそ180度でオフセットされているため、解放要素140を通じて延びる横断軸503上において同一線上に相互にほぼ対向する。支柱143Cおよび143Dは、ほぼ同一線上上に設けられるため、リブ142Bおよび142Cが軸503の周囲において(例えば、隙間144B内において)解放要素142の褶曲無しに相互に屈曲することが可能になる。
【0132】
さらに、支柱143Cおよび143Dは、支柱143Aおよび143Bに対して軸501周囲において複数の異なる角度のうち任意の角度(例えば、90度)で円周方向にオフセットし得る。そのため、軸502および503は相互に円周方向にオフセットすることができ、これにより、多様な組の隣接するリブ(例えば、リブ142A/142Bおよび142B/142C)が多様な方向において屈曲することが可能になる。解放要素140のこれらの実施形態により、褶曲が低減すると同時に、解放要素140および/またはシース本体に対する支持および屈曲性の両方を提供することが可能になる。例えば、支柱143Aおよび143Bは軸502の周囲において屈曲した場合、支柱143Cおよび143Dは、解放要素140へ軸方向の支持を提供する。逆に、支柱143Cおよび143Dが軸503の周囲において屈曲した場合、支柱143Aおよび143Bは、解放要素140へ軸方向の支持を提供する。本明細書中に記載のような第1および第2の隣接する一対のリブは、共通リブ(例えば、リブ142Bなど)を伴って、あるいは伴わずに構成され得ることが理解される。例えば、第1の隣接する一対のリブは、リブ142Aおよび142Bを含み得、第2の一対の隣接するリブは、リブ142Cおよび第4のリブを含み得る。このような実施形態において、上記支柱のうち1つ以上を上記した支柱方向のうち任意の方向においてリブ142Aおよび142B間、142Bおよび142C間、および/または142Cおよび第4のリブ間に延びるように構成することができる。
【0133】
図4D〜
図4Gに示す解放要素の実施形態は、(図示のような)さらなる支持構造無しに構成することができる。しかし、いくつかの実施形態において、解放要素140のリブ142および/または支柱143などの本明細書中に記載される解放要素のうちのいくつか、ほとんど、すべて、または少なくとも一部は、1つ以上の任意選択的管状スリーブ、カバーまたは類似の構造などのさらなる構造に取り付けられてもよいし、包囲または被覆されてもよいし、かつ/または支持されてもよい。このようなスリーブ、カバーなどは、解放要素と一体的に形成することができる(例えば、解放要素の一部を含む)ようにしてもよいし、あるいは、解放要素から別個に形成してもよい(例えば、取り外し可能なスリーブ)。
【0134】
図4Iは、スリーブ145を含む解放要素140の実施形態を示す。スリーブ145上には、複数のリブ142および/または支柱143が取り付けられおよび/または支持されている。例えば
図4Hに示すようないくつかの実施形態において、解放要素140は、複数のアパチャ144が内部を貫通するスクリーン型またはメッシュ型構造148を含み得る。この構造148は、概して連続するリブおよび支柱によって形成され、上記の交互の特徴を含まない。
【0135】
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される任意選択的円筒または管状カバーまたはスリーブは、解放要素140のうちのほとんど、全て、または少なくとも一部、あるいは本明細書中に記載されるシースの他の部位を被覆するように構成され得る。例えば、管状カバーまたはスリーブを用いることにより、血液または他の流体がリブ142、アパチャ144および/または支柱143の内側または間の領域に進入する事態を回避することができる。いくつかの実施形態において、管状カバーまたはスリーブの壁部は充分に肉薄であり得、かつ/または、カバーまたはスリーブは、上記した解放要素140の屈曲性を大幅に低減することなく、解放要素140の一部を被覆できるだけの充分な屈曲性を有する材料を含み得る。いくつかの実施形態において、管状カバーまたはスリーブは、解放要素140の残り部分に用いられる弾性率よりも高い弾性率を有する材料を含み得る。
【0136】
本明細書中に記載される管状カバーまたはスリーブは、解放要素を含まないアクセス装置と共に用いることができる。管状カバーまたはスリーブは、本明細書中に記載されるアクセス装置の他の部位を被覆するように構成され得る。いくつかの実施形態において、管状カバーまたはスリーブは、シース本体およびシースハブ双方の一部を被覆しかつシース本体およびシースハブ双方の一部に広がるように構成され得、好適には、これら2つの構成要素間の遷移が被覆されるように構成され得る。このような実施形態により、シース本体およびシースハブ間のこの遷移における汚染を保護および回避することが可能になる。
【0137】
いくつかの実施形態において、管状カバーまたはスリーブは、例えば、抗菌材料、抗菌材料などの医学的特性または治療的特性を備えた材料でコーティングされかつ/またはそのような材料を含み得る。例えば、管状カバーまたはスリーブは、抗菌特性のために、銀および/または銀化合物を含み得る。いくつかの実施形態において、管状カバーまたはスリーブは、熱可塑性エラストマーまたは他の適切な材料、例えば、多様な温度環境においてより長寿命を可能にしつつ、天然ゴムなどの天然材料の屈曲性および耐久性をシミュレートかつ/または提供する材料を含み得る。例えば、管状カバーまたはスリーブは、エチレン−プロピレン−ジエンモノマーコポリマー(EPDM)およびポリプロピレンの混合物を含み得る。いくつかの実施形態において、管状カバーまたはスリーブは、およそ60部のEPDMおよび40部のポリプロピレン、例えば、Exxon Mobilによって製造されたSantoprene(登録商標)のEPDMおよびポリプロピレン混合物を含み得る。
【0138】
図4Mは、カバーまたはスリーブ96の実施形態を示す。カバー96は、本明細書中においてカバーおよびスリーブに関連して広く述べた特徴のうち任意のものを含み得る。好適には、スリーブ96は、解放要素140の一部または実質的に全体(例えば、外面)に適合するように構成され得、これにより、上記した流体がリブ142、アパチャ144および/または支柱143間の領域に進入する事態を回避する。いくつかの実施形態において、カバー96は、解放要素140が屈曲した際の支持を提供し得る。記載のスリーブ96が解放要素のみを被覆している様子を示しているが、他の実施形態において、他の隆起、アパチャまたはシースハブ42上の他の特徴などの装置のより大きな部位を被覆するようにスリーブ96を変更することができる。いくつかの実施形態において、スリーブ96は、シース本体40の一部または実質的に全体を被覆するように、解放要素の遠位端部を通過して延び得る。いくつかの実施形態において、スリーブ96は、解放要素の近位端部を通過して、シースハブ42の実質的に全体のうち一部へと延び得る。さらに、カバー96は、本明細書中に記載される解放要素の他の実施形態の全体の一部または実質的に全体を被覆するように構成され得、
図4Mに示す解放要素140との用途のみに限定されない。さらに、上述したように、カバー96を用いて、シースの他の部位または解放要素40を含むかまたは含まないアクセス装置の他の部位を被覆することができる。カバー96は、実施形態において、解放要素40を伴って、あるいは伴わずに、シースハブ42およびシース本体40の一部を被覆するかまたはシースハブ42およびシース本体40の一部を通過して延びるように構成され得る。いくつかの実施形態において、解放要素40を伴って、あるいは伴わずに、カバー96は、
図4Dに示す遷移97のような、少なくともシースハブ42およびシース本体40間の遷移を被覆するように構成され得る。
【0139】
解放要素140は、シース40に対し、本明細書中に記載される材料のうち任意の材料を含み得、シース本体40および/またはシースハブ42と一体的に形成または別個に形成することができる。
【0140】
さらに、いくつかの実施形態において、シース26は、分割可能なシースであり得る。例えば、アクセス装置20の展開後に血管中に挿入すべきカテーテルまたは医療物品の種類に応じて、シース本体40の一部または全体を除去すると有利であり得る。例えば、カテーテルまたは他の医療物品を血管中へ挿入した後、シース本体40の一部を分離または剥離および除去して、アクセス部位における混乱を低減することができる。剥離型シースは、ミシン目、鋸歯状縁、断裂または他の構造を含み得、あるいは他の材料(例えば、ビスマスを含むPTFE)を含み得、これにより、医師または医療提供者がシース本体40の一部または全体を容易に取り外すことが可能となる。
【0141】
いくつかの実施形態において、シースハブ42は、ラジアル方向に延びるウイングまたはハンドル構造を含み得、これにより、シース本体40をアクセス装置20の他の部分から容易に解放および除去することが可能になる。いくつかの用途において、ウイングのサイズは、シースハブ42を分断できるくらいのてこの作用を医療提供者に提供するようなサイズである。シースハブ42および/またはシース本体40は、肉薄の(例えば、易壊性)膜によって接続される2つ以上の部位(例えば、二等分部)を含み得る。この膜のサイズは、医療提供者がシースハブ42および/またはシース本体40をアクセス装置から取り外すことを決定するまで、シースハブ42および/またはシース本体40の2つ以上の部位を共に保持できるくらいのサイズにされる。医療提供者は、これらのウイングを操作して膜を破壊し、シースハブ42の1つ以上の部位を分断して、分離されたまたは部分的に分離された破片とする。
【0142】
このようなシースの一例を
図4Jおよび
図4Kに示す。このシースは、本明細書中に上記したシースといくつかの点において類似する。シース26Aは、アクセス装置20の他の構成要素と共に実行することができる。図示の実施形態において、シース26Aは、分割可能であるかまたは切断可能なシースである。図示のように、シースハブ42Aは、ユーザが把持することが可能な2つ以上のタブ43を持ち得る。タブ43は、把持を容易にする複数の異なる形状および/または表面特徴のうち任意のものを持ち得、図示の実質的にT字型形状に限定されない。タブ43は分離可能であるため、分割可能なシース40Aを所定の切り離しまたは分離線45などの1つ以上の切り離し線に沿って分離することが可能になる。切り離し線45は、シースハブ42Aおよびシース本体40Aのうちいずれかまたは双方を通じて延び得る。切り離し線(単数または複数)は、シース本体40Aおよび/またはシースハブ42Aによって規定された1つ以上の長手方向軸に対して概して平行に延び得るが、いくつかの実施形態において、切り離し線(単数または複数)は、実質的に非平行に延び得る。図示のように、シース26Aを切り離し線45に沿って切り離すと、シース26Aを2つ以上の対称または非対称の部位(例えば、二等分部)に分離することができる。シース26Aは、本明細書中においてシース26について示す類似のさらなる特徴を含み得る。いくつかの実施形態において、シース26Aは、同様に切り離し線45に沿って1つ以上の部位に分離可能に構成された類似の特徴を含み得る。例えば、シース26Aは分離可能リップ95Aを持ち得、これにより、切り離し線45に沿った分離を可能にしつつ、シース26Aの上記した拡張器24などの他の要素との係合が可能になる。シース26Aと共に用いることが可能な分割可能なシース本体および/またはハブのさらなる実施形態については、例えば、参照することにより本明細書にその全体が援用される2010年5月12日に出願されたPCT国際特許出願第PCT/US2010/034609号の
図23A〜
図23B、および対応するサポート文(例えば、段落0223〜0227)に示され、記載されている。
【0143】
シースハブ42Aは、ハブの遠位端部に向かう隆起47をさらに含み得る。隆起47により、ハブ42Aの把持が容易になる。いくつかの実施形態において、隆起47は、管状または円筒型のカバーを受容し得る。このカバーは、シース、拡張器および針の一部上において(例えば、遠位部、先端または他の部位を保護するように)延び得、隆起47と係合する(例えば、隆起47上に押圧される)。隆起47は、押圧またはスナップ留めなどの複数の係合方法のうち任意の方法を用いてカバーを所定位置に保持することができる。シース26A、針22および/または拡張器24のうち1つ以上の部位を被覆するために用いることが可能なカバー91の実施形態を
図4Lに示す。カバー91および隆起47は任意選択のものであり、
図4Jおよび
図4Kの分割可能なシース42Aとの使用に限定されず、本明細書中に記載される例えば
図4A〜
図4I、
図4Mに示すものなどのシースの他の実施形態のうち任意のものにおいて実行することができる。さらに、カバー91は隆起47を必要とせず、複数の異なる取り付け構造を用いて固定することができる(例えば、解放可能な様態で固定することができる)。いくつかの実施形態において、カバー91は、針22の先端などの針22の一部を被覆するように構成され得る。例えば、カバー91は、アクセス装置10が包装および搬送される間、針22の先端を被覆し得、アクセス装置10の使用の前に除去および廃棄される。
【0144】
図5Aは、
図1Aに示す実施形態のガイドワイヤ部分28の斜視図である。
図5Bは、
図5Aに示すガイドワイヤ部分28の平面図である。ガイドワイヤ部分28は好適には、ガイドワイヤハブ46を含む。ガイドワイヤハブ46は、医師または医療提供者がガイドワイヤハブ46および/またはアクセス装置20を容易に把持または操作することを可能にする1つ以上の表面特徴を含み得る。図示の実施形態において、ガイドワイヤハブ46は、1つ以上の隆起110を含む。事前装填状態において、ガイドワイヤハブ46が本明細書中にさらに説明する第3の位置125(例示的な第3の位置を
図6Aに示す)に来た際、ガイドワイヤハブ46は、トラック30上のロック機構130と係合し得る。
【0145】
図5Cおよび
図5Dはそれぞれ、ワイヤハブ46の実施形態の斜視図および下面図である。ガイドワイヤハブ46は、トラック30上の接続部分290(
図6A〜
図6D)に対応する構造を持ち得、これにより、ハブ46が解放可能な様態でトラック30へ接続される。図示のように、ガイドワイヤハブ46は、凹部の形状を持ち得る受容部分296を含み得る。この凹部は、T字型断面を近位端部において持ち得る。このT字型断面は、
図6Dに最良に示すように、接続部分290と係合し得る。部分296は、受容部分296の凹部内にさらに配置されるラッチ突起部298と共に終端する2つの歯部302を含み得る。
図5C、
図5Dおよび
図6Dを参照すると、ガイドワイヤハブ46上のラッチ突起部298は、トラック30の接続部分290のベースを受容するように構成され得る。いくつかの実施形態において、接続部分290は、ラッチ凹部292を含み得る。ラッチ凹部292は、受容部分296上の突起部298と相互作用(例えば、係合)して、リバーシブル型スナップ留めをトラック30とガイドワイヤハブ46との間に形成する。いくつかの実施形態において、歯部302は、(より肉薄の断面形状で構成されるかまたは可撓性の材料から形成される)屈曲部位を含み得、これにより、歯部302が(例えば、横方向に)屈曲して、スナップ留めを促進することができる。さらに、受容部分296は、歯部間の接続部分290のために提供された経路と一致した端部または凹部300を含み得、これにより、ラッチ凹部292および突起部298が相互係合すると、接続部分290の残りの部分(例えば、端部)も端部凹部300に進入することができる。よって、トラック30およびハブ46間の接続をさらに安定させることが可能になる。
【0146】
いくつかの実施形態において、ガイドワイヤ44は、針本体の内径と緊密嵌合を形成して、退避時に自己吸引機能を提供する。例えば、ガイドワイヤ44の外径は、ガイドワイヤの長さに沿ってまたはガイドワイヤ44の一部のみに沿って針との緊密嵌合を形成するように、選択され得る。
【0147】
いくつかの実施形態において、ガイドワイヤの遠位端部の一部は、ガイドワイヤの他の部分と比較して小さな直径を持ち得る。このようなより小さな直径の部分のサイズおよび/または形状は、(ガイドワイヤが針の遠位先端を超えて前進した場合でも)流体が針本体中の穿孔56を通過することができるように、選択される。このようなより小さな直径のガイドワイヤは、ガイドワイヤの遠位最端部において構成する必要が無く、ガイドワイヤの先端または遠位最端部の近位に配置することができる。
【0148】
ガイドワイヤの遠位最端部は、挿入時における組織貫通を回避するための曲線状または円形ヘッドを含み得る。いくつかの実施形態において、ガイドワイヤは、ガイドワイヤの先端または遠位ヘッドの近隣において、バネ状または他の可撓性の弾性部材を含み得、これにより患者の内腔または空洞中への挿入が容易化される。
【0149】
図6Aは、
図1Aに示す実施形態のトラック30の斜視図である。
図6Bは、
図6Aに示すトラック30の平面図である。
図6Cは、
図6Aに示すトラック30の側面図である。
図6A〜
図6Cに示すように、図示の実施形態において、トラック30は、遠位部位120と、近位部位122と、トラックを拡張器ハブ38(
図3A)へ接続させる遠位ロック部材124と、針ハブ34が第1の位置121からトラック30に沿って第2の位置123へと移動した後に針ハブ34の近位および遠位移動をさらに抑制するロック機構128と、ガイドワイヤハブが事前装填状態または第3の位置125に来た際、ガイドワイヤハブ46をトラック30へ取り付けることを可能にするロック機構130とを含む。好適には、トラックはポリカーボネート材料によって構成されるが、以下に説明するように、他の材料も利用可能である。
【0150】
トラック30は、
図6Aおよび
図6Bに最も明確に示すように、幅の小さいトラック部132をさらに含み得る。このように幅を小さくすることにより、針ハブのトラック30との組立(例えば、中子68(
図2F)のトラック30への係合)が容易化される。図示の実施形態は、補強要素またはリブ133をトラック30の遠位部位120上に含む。リブ133により、さらなる構造的補強が遠位ロック部材124とトラック30の残り部分との間に得られる。
【0151】
図1Aに示すように、遠位ロック部材124は、拡張器24へ接続し、トラック30が拡張器24から近位方向に延びることを可能にする。例えば、ロック部材124は、拡張器ハブリップ77と拡張器ハブベース79との間において拡張器ハブ38へ接続する2つの曲線アーム124を含み得る。ロック部材124は、トラック30の拡張器ハブ38に対する遠位方向または近位方向の移動を限定するが、トラック30が拡張器ハブ38の周囲において自由に回転することを可能にする。
【0152】
図6Aおよび
図6Bに最良に示すように、ロック機構128は、第2の位置123の領域内のトラック幅を変更することにより、形成される。例えば、図示の実施形態は、遠位方向に幅が大きなトラック部134と、幅の大きなトラック部134に対して遠位の幅の小さなトラック部136と、2つの指要素138とを含む。これら2つの指要素138は、トラック部136の遠位端部からトラック30の近位端部へ向かって突出し、トラック30の長手方向軸から離隔方向にフレア状になる。トラック30もまた、リブ133に類似するリブまたは支持構造135を含み得る。この支持構造135は、ロック機構128を網羅および補強し得る。
【0153】
図6Dは、
図6Bに示す実施形態の一部の拡大図である。図示のように、第3の位置125は、解放可能な接続またはガイドワイヤハブ46と係合し得る(例えば、
図5A〜
図5D)。ロック機構130は、クリップ、クラスプ、またはガイドワイヤハブが第3の位置に来た際にガイドワイヤハブの一部またはトラック30の一部と係合するその他の構造によって形成される。係合構造のうち一部または全体は、トラック30の一部であってもよいし、ガイドワイヤハブの一部であってもよいし、あるいはトラック30およびガイドワイヤハブ間において分離してもよい。
【0154】
接続機構130は、トラック30から延びるT字型突起部から形成された接続部分290を含み得る。T字型突起部は、ベースの各側部上に、接続部分290の遠位端部に向かって概して延びる2つのラッチ凹部292をさらに含み得る。接続部分290およびラッチ凹部292は、上記にさらに述べるように(
図5Cおよび5D)、受容部分296および突起部298などのガイドワイヤハブ46上の対応する構成要素それぞれと係合し得る。
【0155】
いくつかの実施形態において、トラック30は、グリップ突起部294を含み得る。グリップ突起部294は、接続部分290から反対側のトラック30から下方方向に延び得る。図示のように、グリップ突起部294は概して円形であり得るが、他の構造および形状も可能である。グリップ突起部294は、ユーザによる把持を支援するための隆起または他の表面特徴を含み得る。有利なことに、グリップ突起部294により、アクセス装置の操作者がトラック30の近位端部をピストル型の握り方で保持することが可能になる。例えば、薬指または中指をグリップ突起部294の周囲に置いて、遠位側部上において接触することができる。次に、ハブ46が第3の位置125においてトラック30と接続されると、同じ手の親指をガイドワイヤハブ46の近位端部上に置くことができる。その後、親指は、容易に圧力を付加することができ、ハブ46を接続部分290から移動させ、第3の位置125から移動させることができる。さらに、類似のグリップ突起部は、針などの他の要素に付加することができる。例えば、グリップ突起部を針に付加すると、針を容易に把持し、本明細書中に記載のようにトラックに沿って移動させることが可能になる。
【0156】
図示の実施形態において、針ハブと拡張器との間のロック機構は、拡張器ハブの近位側部上に常駐する。しかし、他の実施形態において、ロック機構は他の位置に配置することも可能である。いくつかの実施形態において、ロック機構は、ハブまたは他の構成要素のトラック30上の移動をさらに支持および/または制御するための停止部またはさらなる支持構造を含み得る。
【0157】
図7Aは、
図1Aに示す実施形態のアクセス装置にガイドワイヤが事前装填された様子を示す拡大平面図である。
図7Bは、
図7Aに示す実施形態の側面図である。
図7Cは、
図7Aに示す実施形態の断面図である。
図7Dは、
図7Bのアクセス装置20を7D−7D線に沿ってみた場合の近位端部図である。この事前装填状態において、ガイドワイヤハブ46が第3の位置125に配置されると、ガイドワイヤハブ46はトラック30へロックされる。この位置において、ガイドワイヤハブ46は、ロック機構130によりトラック30へと固定され得る。図示の実施形態において、ガイドワイヤハブ46が第3の位置125にあるとき、ロック機構130は、ガイドワイヤ44の少なくとも近位方向における意図しない回転および軸移動を阻止することができる。さらに、医療提供者などのユーザがガイドワイヤハブ46をトラック30から係合解除してアクセス装置20を通じたガイドワイヤの遠位移動を可能にするまで、遠位方向における移動を抑制することができる。顕著なことに、さらに本明細書中に記載のように、拡張器ハブ38などの他の要素をトラック30に取り付けることができ、さらなる要素を取り付けることができる。よって、ガイドワイヤ40をトラック30へ固定することにより、ガイドワイヤをアクセス装置20の他の要素に対する移動を阻止することがさらに可能になる。
【0158】
図7A〜
図7Cに示す事前補填状態において、針ハブ34が第1の位置121に来ると、針ハブ34は拡張器ハブ38へロックされる。針穿孔および拡張器穿孔双方を伴う実施形態では、ロック位置において、針および拡張器中の開口部または穿孔は、相互に登録されるかまたはアライメントされる。ロックされると、針22および拡張器24は、相互に対して少なくとも意図しない回転および軸方向移動が抑制される。さらに、本明細書中に説明されるように、拡張器24は(例えば、ハブ38を介して)トラック30へと取り付けることができる。よって、針ハブ34および拡張器ハブ38間をロックすることにより、針22をアクセス装置の他の要素へ固定することが可能になる。
【0159】
事前装填状態において、拡張器ハブ38は、シースハブ42へと固定される。その結果、拡張器24およびシース26間における少なくとも意図しない回転および軸移動を抑制することができる。シースハブ42および拡張器24がルアースリップ接続のみを有する実施形態において、拡張器24およびシースハブ42は、相互に対して回転し得る。しかし、例えばルアースリップ接続における任意選択的摩擦力により、このような回転(および他の移動)も抑制することができる。さらに、シースハブ42は、時には、上記した方法と同様の方法でアクセス装置20のガイドワイヤ40などの他の要素へ固定することもできる。
【0160】
図8Aは、
図1Aに示す実施形態の平面図であり、アクセス装置20を用いた1つの方法の動作ステップを示す。
図8Bは、8B−8B線によって囲まれた
図8Aに示す実施形態の一部の拡大平面図である。
図8Aおよび
図8Bは、静脈または動脈などの血管148中に挿入されたアクセス装置20の針本体32を示す。記載の方法においては血管アクセスについて言及しているが、アクセス装置20は、患者身体内の他の位置内に(例えば、膿瘍排出)および他の目的のためにカテーテルまたはシースにアクセスしこれを配置するためにも用いることが可能である。
【0161】
図8Cは、8C−8C線によって囲まれた
図8Bに示す実施形態の一部の拡大平面図である。
図8Dは、8D−8D線に沿った
図8Cに示す実施形態の拡大断面図である。
図8Eは、8E−8E線に沿った
図8C中に示す実施形態の拡大断面図である。
図8C〜
図8Eは、アクセス装置のこのモードの実施形態を示し、導管を針と拡張器との間に形成することにより、例えば血液通過時における血液流動が可能になる。
図8C〜
図8Eを参照すると、針本体32は、1つ以上の穿孔56を含み、これにより、血液が針本体32の側部壁部を通じて針本体32と拡張器シャフト36との間の空間に流れることが可能になる。1つ以上の任意選択的隆起176(例えば、図示の実施形態に示される、拡張器シャフト36から延びる2つの隆起176)は、針本体32と、拡張器シャフト36との間を延び得る。これらの隆起176は、針本体32の長さに沿って伸びる少なくとも1つの導管256の側部を規定し得る。いくつかの実施形態において、さらなる隆起または他の特徴により、さらなる導管256が形成され得る。いくつかの実施形態において、隆起176は長手方向隙間を含み得、これにより、隆起176によって形成された隣接する導管間における円周または横断流れが可能になる。他の実施形態において、導管256は、突出する隆起と共に形成してもよいし、あるいは、例えば、窪み(単数または複数)または同心隙間の使用のように突出する隆起無しに形成してもよい。導管256は、拡張器シャフト36の内面および/または針本体32の外面上の(図示のような)突出する隆起または突出しない凹部溝部または流路と共に形成することができる。導管256は、突出する隆起および/または溝部無しで形成することができ、針本体32および拡張器シャフト36間に形成された環状空間のみを含み得る。導管256を直線状のものとして図示しているが、導管256は、らせんまたはアクセス装置の周囲を包囲する別の形状のような他のパターンも形成し得る。さらに、複数の導管が存在する場合、これら複数の導管は、交差するらせん、平行ならせんまたは他のパターンを形成し得る。他の実施形態において、針本体32および拡張器シャフト36間の距離(例えば、拡張器シャフトの内径が針本体の外径を超える場合)により、導管256によって形成される空間と同様の空間、または概して環状の空間を概して規定され得る。
【0162】
図8F中に最良に示すように、針ハブ34は、1つ以上の通気溝部175を含み得る。図示のように、通気溝部175はルアー接続64上にあるが、他の実施形態において、それらは、針本体32上に設けてもよいし、拡張器シャフト36上に設けてもよいし、針ハブ34を通過させてもよいし、拡張器ハブ38を通過させてもよいし、あるいはいくつかの他の経路をとらせてもよい。通気溝部175により、導管256(または類似の空間;
図8C〜
図8D)と周囲の雰囲気との間の連通が可能になる。ルアー接続64は、拡張器ハブ38と協働して実質的に液密シールを形成するように構成することができ、これにより、物質が通気溝部175のみを通じて逃げることが可能になる。通気溝部175がラジアル方向に延びない実施形態において、針ハブ34の概してラジアル方向に延びる側部180は、拡張器ハブ38の対応する面200から充分に離れて配置されるように構成され得、これにより空気が通気溝部175から両者間へ通過することが可能になる。
【0163】
いくつかの実施形態において、通気溝部175は、断面積が充分に小さな通路を形成し得、これにより、分子サイズ、粘度または表面張力が高い体液(例えば、赤血球)が周囲の雰囲気へ逃げる事態を抑制しつつ、気体(例えば、空気)が周囲の雰囲気へ逃げることが可能になる。さらに、いくつかの実施形態において複数のこのような通路を設けることにより、小断面の通路であっても適切な通気が可能になる。
【0164】
他の実施形態において、断面積の小さな通路を、拡張器ハブ38および針ハブ34の2つの対向する表面間に設けることができる。例えば、通気溝部を完全に遮断することなく、針ハブ34上の通気溝部175のうち少なくとも一部を、拡張器ハブ38上の概して対応する形状の通気面を受容するように構成することができる。よって、針ハブ34および拡張器ハブ38の表面間のその結果得られる通路は、少なくとも比較的断面積の小さな領域を規定し、これにより、空気の流れを可能にしつつ、体液の流れを制限することができる。
【0165】
図示の実施形態において、通気構造を溝部175として図示しているが、他の構造も、類似の機能を行うことができる。例えば、単一の縮小空間を針本体32と拡張器本体34との間に設けることにより、血液が近位方向に縮小空間位置を超えて流れることを抑制しつつ、空気の逃げを可能にすることができる。同様に、迷路通路を周囲の雰囲気とフラッシュバック空間(針および拡張器の間の空間)との間に配置することにより、気体を比較的高速で逃がすことが可能になる一方、流体は通路を通じて前進して、アクセス装置20の使用時においてゆっくりと逃げていく。
【0166】
他の実施形態において、通気溝部175のうち1つ以上に多孔性材料を少なくとも部分的に充填することができる。この多孔性材料により、材料中の気体の流れを可能にし、体液(例えば、血液)の通過を抑制する。このような材料は、針ハブ34または拡張器ハブ38と一体的に形成することができ、これにより、材料およびハブが一体になる。その結果、その材料は、通気溝部175の長さのうち任意の一部を含み得る。他の実施形態において、この材料は、通気溝部175または溝部(単数または複数)と連通する容器中に配置することができる。材料を溝部175内に配置すると、溝部は、参照することにより本明細書にその全体がすでに援用されている2011年2月8日に出願されたPCT国際特許出願第PCT/US2011/024097号に記載のもののような多孔性材料などを受容するように構成された溝部ノッチなどの受容部位を含み得る。他の実施形態において、通気通路のうち1つ以上を全体にこのような多孔性材料によって形成することができる。適切な多孔性材料を非限定的に挙げると、細孔径がおよそ2.5ミクロンのHDPE、UHMWPE、PP、PTFE、PVDF、EVA、PE、ナイロンおよびPUなどの多孔性ポリマーがある。さらなる実施形態において、気体(例えば、空気)の通過を可能にしかつ体液(例えば、血液)の通過を抑制できるように、細孔容積および細孔径の組み合わせを選択することができる。
【0167】
さらなる実施形態において、通気通路は、針ハブ34または拡張器ハブ38のいずれかのみによって規定された管であり得る。例えば、導管256は、針ハブ34中の開口部へと続き得る。この開口部は、気体および流体の通過の制御について上記した特性のうち任意の特性を含み得る。そのため、この開口部により、気体(例えば、空気)が針ハブ34を通じて周囲の雰囲気へと逃げるのを可能にしつつ、体液(例えば、血液)を抑制することが可能になる。他の実施形態において、類似の通気通路は、拡張器ハブ38のみによって規定された管であり得る。本明細書中の開示内容から、多様な通路(例えば、通気溝部175、管、多孔性材料など)を用いて、気体(例えば、空気)が周囲の雰囲気へ移動するのを可能にしつつ、体液(例えば、血液)の逃げを抑制することが可能であることが明らかである。
【0168】
別の実施形態において、通気通路は、拡張器シャフト36およびシース本体40内に設けられ得る。例えば、通気穴または通気材料のパッチを拡張器シャフト36およびシース本体40それぞれに設けることができる。いくつかの実施形態において、これらの通気構造を重複させることにより、気体が相互に直接移動することが可能になる。他の実施形態において、これらの通気構造を相互に一定距離を空けて配置することができ、その場合、
図8Fに示すものと同様の導管または溝部を拡張器シャフト36とシース本体40との間に設けて、通気構造間の連通を可能にする。これらの通気構造は、針本体32中の穿孔56から近位に設けることができる。
【0169】
この実施形態において、拡張器シャフト36は、穿孔を持たず、概して連続し得る。そのため、拡張器シャフト36は、導管256(または類似の空間)にラジアル方向に近接する。類似の実施形態において、拡張器シャフト36中の隆起が穿孔56を含む他の概して連続する針32と協調することにより、同じ機能を達成することができる。拡張器シャフト36は、全体を半透明材料で形成してもよいし、あるいは、少なくとも導管256に隣接する領域において半透明にしてもよい。シース本体40も、同様に半透明材料によって形成され得る。他の実施形態において、拡張器シャフト36またはシース本体40の材料を、半透明のみの代わりに透明性を備えたものにすることができる。さらなる実施形態において、材料は、空間的かつ時間的に部分的のみに半透明である。空間的に、拡張器シャフト36および/またはシース本体40の材料は、導管256の近隣において半透明であり得、これにより、例えば血液フラッシュバックの視認が可能になる。時間的に、材料の視認特性は、(例えば、温度変化または分子間相互作用に起因する)体液の進入によって変化し得る。そのため、材料は、体液進入時において半透明となり得、あるいは、他の実施形態において、色を変化させるかまたはいくつかの他の視覚的表示を提供する。
【0170】
他の実施形態において、導管256は、シース内面上に1つの完全な隆起を設けかつ拡張器外面上に1つの完全な隆起を設けることにより、形成することができる。他の実施形態において、シース内面に導管256の長さの50%にわたって延びる2つの隆起を設け、拡張器外面に導管256の長さの残り50%にわたって延びる2つの隆起を設けることができる。
【0171】
上述したように、シース本体40は好適には、透き通った、半不透明な、半透明な、または透明な材料から部分的にまたは全体的に作成されるとよく、これにより、針本体32中へ血液が流入し、(1)針側部開口部56を通過し、(2)導管256中へ流入すると、医師または医療提供者は、血液をシース本体40および拡張器24を通じて視認することができる。いくつかのモードにおいて、導管256は、針本体32と拡張器シャフト36との間に形成され、針本体32上の1つ以上の隆起176によって規定される。いくつかのモードにおいて、導管256は、好適には透明材料を含んだ拡張器シャフト36の壁部内に形成される。血液を視認することにより、医師または医療提供者は、針本体32のベベル先端54が血管148を穿刺したことが分かる。
【0172】
導管256は、シース26および/または拡張器24の長さとほとんど同延の軸長さを持ち得る。他の実施形態において、導管256は、今述べた長細導管256よりもずっと小さい。例えば、限定されないが、導管256は、拡張器シャフト36の遠位、中位および/または近位部位(単数または複数)内に配置され得る。あるいは、導管256は、直線状、曲線状またはらせん形状を拡張器シャフト36の軸長さに沿って持ってもよいし、あるいは、複数のこのような形状によって形成してもよい。導管256は、多様な厚さおよびスパン角度を持ち得る。導管256の厚さは、ほとんどゼロ〜0.010インチに及び得る。好適には、導管256の厚さは、約0.0005〜約0.003インチであり得る。より好適には、導管256の厚さは、約0.001インチ〜約0.002インチであり得る。導管256の拡張器24の軸周囲におけるスパン角度Φは約30度〜約210度以上であるが、好適には360度未満であるとよい。より好適には、導管256のスパン角度Φは約60〜150であり得る。図示の実施形態において、導管256は120度に及ぶ。厚さおよびスパン角度Φを選択する際、流体(例えば、全血)が導管256に進入した際に導管256内に発生する毛管現象が最適化されるように選択し、さらには、身体空洞中の予測される圧力および液体粘度に基づいて選択する。アクセス装置内の導管表面上に流体を引き出す速度の様態を示す多様な試験データのグラフは、参照することにより本明細書にその全体がすでに援用されている2011年2月8日に出願された中に開示されている。
【0173】
上記した導管256の形状と、その結果発生する毛管現象とを、粘度が全血と異なる他の流体(例えば、白血球、膿、尿、血漿)とは対照的に、全血との使用のために最適化した。しかし、導管256の形状は開示の形状に限定されず、例えば、膿などの他の液体の排出に合わせて最適化することができる。さらに、上記した導管256の形状を、圧力が低い領域内の血管用だけでなく、血管中の圧力によって毛管現象が拡大した結果血液通過が発生する末梢に位置する血管用にも最適化した。例えば、身体の胸部領域においては、患者呼吸時における静脈中の予測圧力は、末梢に位置する静脈中よりも低い。身体の他の領域中においてアクセス装置20を用いるために、血管または身体空洞内の予測圧力を考慮に入れて、異なるサイズの導管を用いることができる。
【0174】
本明細書中記載されるアクセス装置は、1つ以上の表面に付加された1つ以上の表面コーティングまたは処理を含み得る。例えば、いくつかの実施形態において、表面処理またはコーティングを、拡張器シャフト36の内部(例えば、内面152)、針32の外部(例えば、外面154)、針本体32の内面、拡張器シャフト36の外面160、シース本体40の内面158、シース本体40の外面および/またはガイドワイヤ44のうち1つ以上に付加することができる。これらの表面は、所望の効果に応じて、個別に表面処理してもよいし、あるいは相互に組み合わせて表面処理してもよい。界面活性剤、潤滑コーティング、および/または所望の親水性および/または疎水性特性を備えたコーティングなどの多様な表面コーティングまたは処理が実行され得る。
【0175】
いくつかの実施形態において、針本体32の外面154および拡張器シャフト36の内面152双方を、導管256を通じた体液の前進を促進または向上させる界面活性剤または他の材料でコーティングすることは好適であり得る。拡張器シャフトとシース本体との間に導管を設けた上記した実施形態において、界面活性剤または他の流動性向上材料を、シース内面および拡張器外面上に供給することができる。しかし、いくつかの実施形態において、これらの2つの表面うち1つのみをコーティングする方が好適である場合もある。例えば、流動性向上材料を、針外面のみ、拡張器内面のみ、または針内面のみに付加することができる。界面活性剤または他の流動性向上材料により、アクセス装置内の空間の流体通過を促進させることができ、これにより、フラッシュバックが加速され、針、拡張器および/またはシースを通じた血液前進が促進される。利用可能な界面活性剤の一例としてBASF(登録商標)から市販されているLutrol68(登録商標)があるが、他の界面活性剤も利用可能である。いくつかの実施形態において、親水性材料を実行することにより、類似の毛管現象向上を得ることができる。
【0176】
上記した界面活性剤、親水性材料および/または他の流動性向上材料を用いることにより、血液が当該部品中を充分な速度で通過して針が血管またはドレナージ部位に進入したことを操作者に示すことを可能にしつつ、より小型の針、拡張器および/またはシースを用いることが可能になる。顕著なことに、ほとんどの実施形態において、体液は針を通過するため、ほとんどの実施形態において、界面活性剤または他の流動性向上材料を針内面に付加することが望まれ得る。
【0177】
いくつかの実施形態において、シース26の患者中への挿入を容易にするための潤滑剤として機能するように、いくつかの親水性物質のような潤滑コーティングまたは表面処理をシース26の外面に付加することができる。このような潤滑コーティングは、個別に実行してもよいし、あるいは上記した流動性向上材料と組み合わせて実行してもよく、本明細書中に記載されるアクセス装置の同じ構成要素または異なる構成要素上において用いることができる。例えば、潤滑剤または潤滑コーティングをシース26の外面上に用いることができ、かつ/またはシース外面を潤滑材料で形成することができる。さらに、シース26を薬剤(例えば、ヘパリン)でコーティングまたは形成することができる。このような薬剤は、シースから溶出して、アクセス装置20の臨床用途を促進する。一例において、シース26の外面は、例えば、Dow Corningから市販されているDow Corning360医療流体、12、5000CST(登録商標)などのシリコンコーティングを含み得る。
【0178】
追加的または代替的な表面処理またはコーティングを用いて、例えばアクセス装置の1つ以上の構成要素内におけるフラッシュバックおよび流体流れを遅延または抑制させることができる。このような流動抑制物質(例えば、サプレッサーまたは減速剤)は、個別に実行されてもよいし、あるいは、上記した流動性向上材料および/または潤滑材料と組み合わせて実行されてもよく、本明細書中に記載のアクセス装置と同じ構成要素または異なる構成要素上において用いることができる。例えば、流動抑制コーティングを実行することにより、アクセス装置が動脈または静脈に進入する前にアクセス装置が毛管現象との接触を通じて血液通過を誤表示する事態を回避することができる。いくつかの疎水性物質は、流動抑制コーティングとして機能するように実行することができる。
【0179】
いくつかの実施形態において、シース26(例えば、シース本体40)は、患者内へのシース26の挿入を容易化する充分な屈曲性を備えた材料を含み得る。いくつかの実施形態において、シース本体40は、シースが露出される環境に応じて屈曲性を変化させる材料を含み得る。例えば、シース本体40は、シース本体40が露出される温度に基づいて屈曲性および/または剛性を変化させる材料を含み得る。好適な実施形態において、シース本体40は、熱、例えば温度上昇に露出された際に軟化することにより剛性の低下および/または屈曲性の増加を示す材料を含む。例えば、シース本体40は、患者との接触または患者内へのin−vivo挿入に応じて軟化することにより剛性の低下および/または屈曲性の増加を示す材料を含み得る。いくつかの実施形態において、材料は、温度上昇がおよそ2〜20℃の範囲内に収まるのに応じて、このような剛性低下および屈曲性増加を示し得る。いくつかの実施形態において、材料は、およそ11〜17.5℃の温度変化に基づいて、このような剛性低下を示し得る。いくつかの実施形態において、材料は、ほぼ室温(およそ20〜25℃の範囲)から患者の体温(ヒトおよび動物における35〜40℃を含むおよそ30〜45℃の範囲であり、該動物は、非限定的に、イヌ、猫、馬、ウシ、羊、豚および他の家畜および哺乳類を含む野生動物を含む)への温度変化に応じて、このような剛性低下および屈曲性増加を示し得る。
【0180】
さらに好適な実施形態において、シース本体40は、ウレタンポリカーボネートまたは別の形態のウレタンまたは類似の特性(例えば、類似のデュロメーター、弾性率、剛性(剛性率)、吸水率、溶融流れ、耐化学性、および/または体積弾性率)を提供する別の可塑性または非可塑性材料を含む。いくつかの実施形態において、シース本体40は、エーテルフリーのポリウレタンエラストマーを含む。いくつかの実施形態において、シース本体40の患者内への挿入時において、シース本体40は、患者身体または他の熱源からの熱を吸収し得、その結果、シース本体40の剛性が低下する。このような剛性低下により、患者の快適性を増加させかつ/またはシース26の挿入および使用時における患者の外傷または組織損傷の可能性を低減することができる。例えば、実質的に剛性の管を通じて流体を注入する場合、管は、振動性の激しい動きを引き起こすことによるこの圧力に反応し得る。シース本体40の剛性を低下させることにより、注入または他の流体移動時におけるこのような動きの強さを低減することができる。シース26(例えば、シース本体40)に用いることができ、かつ熱への露出時における屈曲性増加などの本明細書中に記載の特性のうち1つ以上を含み得る生体適合性材料の実例は、Advan Source Biomaterials Corp.(例えば、ChronoFlexC(登録商標))およびLubrizol(例えば、CarbothaneTPU(登録商標))によって製造されている。
【0181】
図8Iは、穿孔56の遠位にある
図8Cに示す実施形態の8I−8I線に沿った断面図である。図示のアクセス装置20のこの領域において、シース本体40を同軸に配置することにより、針本体32および拡張器シャフト36の相対移動を可能にしつつ、針本体32と拡張器シャフト36との間の環状空間157が最小化される。拡張器シャフト36の内面152は、針本体32の外面154に対して直接設けることは可能であるが、その必要は無い。針本体32の外面154とシース拡張器シャフト36の内面152との間の環状界面157をこの領域において縮小することにより、針本体32中の開口部56からの血液またはその構成成分(または他の流体)の遠位流れを抑制することができる。
【0182】
続けて
図8Iを参照すると、拡張器シャフト36は、穿孔56から部位遠位において内径d1を持ち得る(
図8C)。さらに、針本体32は、外径d2を持ち得る。いくつかの実施形態において、d1はd2よりも小さくすることができ、これにより、複数の利点が得られる。例えば、拡張器シャフト36を針本体32上に締りばめすることにより、拡張器シャフト36に対してラジアルまたは輪状の負荷を与えることができる。この負荷付与により、軸方向における拡張器シャフト36の強度を増加させることができる。このような強度増加により、拡張器を組織(例えば、皮膚、筋肉および/または血管壁部)を通じて挿入する際において、拡張器の遠位先端における材料の広がり、圧縮または座屈が低下する傾向となる。例えば、針本体32および拡張器シャフト36が(皮膚切開無しに)皮膚を通過する際、拡張器は、拡張器の遠位先端を別の方法で変形させ得る軸方向力に耐えることができる。いくつかの実施形態において、その結果、拡張器自体が突出するか、折れ曲がるかまたは曲線状になり得、その結果、前記突出または折れ曲がりにおいて断面積が増加し、拡張器としての機能が制限され得る。換言すれば、拡張器が変形した場合、患者への挿入が非常に難しくなる。拡張器の内径d1を小さくすることにより、拡張器の強度を増加させることができ、これにより、このような変形を抑制することができる。針外径に対する拡張器シャフトの有利な内径範囲については、参照することにより本明細書にその全体がすでに援用されている2011年2月8日に出願されたPCT国際特許出願第PCT/US2011/024097号中に開示がある。
【0183】
図9Aは、
図1Aに示す実施形態の側面図であり、アクセス装置20のさらなる動作ステップを示す。
図9Aは、アクセス装置20のガイドワイヤ44が遠位方向において血管148中に前進する様子を示す。これは、ガイドワイヤハブ46を第3の位置125から遠位方向において前進させることにより、達成することができる。その後、針ハブ34が第1の位置121に来た際、ガイドワイヤハブ46を針ハブ34へとロックさせる。
【0184】
図9Bは、
図9Aに示す実施形態の9B−9B線によって囲まれた一部の拡大側面図である。
図9Cは、
図9Bに示す実施形態の断面側面図である。
図9Cは、ガイドワイヤハブ46と針ハブ34との間のロック機構を示す。好適には、ガイドワイヤハブ46は、針ハブ34と機械的に適合および解放可能な様態でまたは不可逆的に相互ロックされるように、構成される。ガイドワイヤハブは、本明細書中において述べたアクセス装置20の他の構成要素に対する多様なロック機構を含む複数の方法のうち任意の方法で針ハブ34上にロックされ得る。図示の実施形態において、ガイドワイヤハブ46は、例えばガイドワイヤハブ46の内面上に配置された対応するねじ山付き要素47を介して針ハブ34へロックすることができる(
図9C)。参照することにより本明細書にその全体がすでに援用されている2011年2月8日に出願されたPCT国際特許出願第PCT/US2011/024097号、および参照することにより本明細書にその全体が援用される2009年3月13日に出願されたPCT国際特許出願第PCT/US2009/037198号は、ハブ46のリップ上の溝部と係合するガイドワイヤハブの内面上に突起を含むさらなるロック機構を開示している。
【0185】
図10Aは、
図1Aに示す実施形態の側面図であり、アクセス装置20の別の動作ステップを示す。
図10Aは、拡張器シャフト36およびシース本体40が遠位方向において血管148中に前進する様子を示す。これは、拡張器ハブ38を針ハブ34から解放し、拡張器24およびシース26を針ハブ34に対して遠位方向においてガイドワイヤおよび針に沿って前進させることにより、達成することができる。
図10Aは、針22およびガイドワイヤ部分28を拡張器24およびシース26に対して近位移動させる様子をさらに示す。針ハブ36が第2の位置123に到達すると、針ハブ34はトラック30へとロックされる。
【0186】
図10Bは、
図10Aに示す10B−10B線によって囲まれた実施形態の一部の拡大下面図であり、ハンドリング部位59は明瞭さのために図示していない。
図10Bに示すように、針ハブ34は、第2の位置123におけるロック機構128を介して、トラック30上にロックされる。針ハブ中子68は、トラック指138上を近位方向にスライドし、中子68は、トラック指138と幅134の大きなトラック部との間の所定位置にロックされる。この構成により、針ハブ34が第2の位置123に来た際、いくつかの実施形態において少なくとも遠位方向における針本体32の軸移動が抑制されかつ実質的に不可逆的に回避される。図示の実施形態において、ロック機構128は、針ハブ34の係合後の近位方向または遠位方向への移動を抑制する。さらに、針22の遠位先端54を拡張器24中に引き込むことにより、針ハブ34が第2の位置123に来た際に遠位先端54を保護する。よって、このロック機構128により、使用時において拡張器シャフト36を針本体32を介して前進させた後、針本体32の遠位部位50上に配置されたベベル先端54が拡張器シャフト36の遠位端部を超えて前進する事態が抑制される。よって、拡張器シャフト36は、針本体32の鋭利なベベル先端54を保護することにより、針の偶発的穿刺を抑制する。
【0187】
図11Aは、
図1Aに示す実施形態の側面図であり、アクセス装置20の最終動作ステップのうちの1つを示す。
図11Aは、ガイドワイヤ44および拡張器シャフト36を血管から除去して、適切に挿入されたシース本体40を血管148内に残す様子を示す。
図11Bは、11B−11B線によって囲まれた
図11Aに示す実施形態の一部の拡大平面図である。
図11Bに明確に示すように、拡張器シャフト36の遠位端部およびガイドワイヤ44は、針本体32の鋭利なベベル先端54を超えて延びて、針の偶発的穿刺を抑制する。
【0188】
さらに本明細書中に示すように、アクセス装置は、針シャフトと拡張器シャフトとの間に規定された流体フラッシュバック空間を含む(例えば、
図8C〜
図8E)。このモードにおいて、フラッシュバック空間は好適には、雰囲気を通気し、より好適にはシースから独立して通気する。詳細には、上述したように、拡張器を通じて、針を通じて、あるいは拡張器と針との間に通気通路が形成され得る。
【0189】
さらなる実施形態において、
図12Aおよび
図12B中に最良に示すように、拡張器ハブ38と針ハブ34との間のインサート51を通じて通気を少なくとも部分的に設けることができる。いくつかの実施形態において、インサート51などのさらなるピースにより、特定の所望の寸法、材料、および別の方法では可能ではないかまたは経済的である他の設計特徴を促進することができる。例えば、
図8C〜
図8Eについて上記した実施形態において、拡張器シャフト36の中間部位の内径を針穿孔の近隣の針本体32の外形よりも実質的に大きくすることが望ましい。このような直径における差異により空間を作り出すことができ、体液を穿孔から2つ(例えば、導管256)の間に流すことが可能になる。しかし、上記したように、いくつかの実施形態において、拡張器の遠位先端の近隣において拡張器シャフト36の内径を小さくすることが望ましい場合もある。(上述したような)さらなる実施形態において、同様に直径の小さな拡張器424の近位部位を設けて、気体の通気を可能にしつつ、血液などの体液の近位方向の流れを抑制することが望ましい場合がある。上述したように、この通気により、体液の空間、空洞または導管中への引き込みが促進され得る。しかし、近位端部および遠位端部において小さな内径を備え、中間部位において大きな内径を備える拡張器24を製造することが困難な場合がある。
【0190】
図12A〜
図12Cに示す実施形態により、インサート51の支援による通気が可能になる。インサート51は、拡張器ハブ38の近位開口部107内に配置され得る。近位開口部107は、上記の類似の実施形態に示されるように、針ハブ34の遠位方向に突出する部位109も受容するように構成することができる(例えば、針および拡張器ハブ間のルアー接続具を形成する部分)。いくつかの実施形態において、インサート51を拡張器ハブ34中に圧入することができ、一方、他の実施形態においては、(例えば、拡張器424と組み合わせる前に)インサート51を針本体32上に緩やかにスライドさせることができる。
【0191】
図12C中に最良に示すように、インサート51は、針22(または本明細書中に記載の別の針)を例えば針本体32に沿ってスライド可能に受容し得る貫通穴101を規定する。さらに、図示のように、インサート51は、実質的に円形またはドーナツ型であり得、これにより、拡張器ハブ38内における回転位置において屈曲性が得られる。しかし、他の実施形態において、インサート51を拡張器ハブ38内に回転的に、すなわち、拡張器ハブ38内の非円形のインサートおよび対応する非円形の受容部位を用いて、固定することができる。
【0192】
さらに、インサート51は、体液の解放を抑制しつつ気体の放出を促進する特定の寸法を持ち得る。例えば、インサートの貫通穴101の直径を針本体32の外形よりも少しだけ大きくすることにより、空間または隙間(図示せず)をインサート51と針本体32との間に生成することができる。この隙間のサイズは、体液の解放を抑制しつつ気体の放出を促進するようなサイズである。
図12A、12Bに最良に示すように、その後気体は近位方向においてインサート51および針本体32間の隙間内に流れていき、拡張器ハブ38の受容部位または開口部107内の針ハブ34およびインサート51の間の空間107、108中へと進入する。この空間から、気体はその後針ハブ34および拡張器ハブ38間に規定される通路111において周囲雰囲気へと進行し得る。顕著なことに、いくつかの実施形態においては針ハブ34および拡張器ハブ38を気体の通過を回避するルアー接続を介して接続することができるが、当該分野において公知または本明細書中に記載されるさらなる機構をこれら2つのハブに取り付けることも可能である。例えば、図示の実施形態において針ハブ34は、解放可能な様態で拡張器のレッジ部位またはリップ77へフックされ得るラッチ要素66を含み得る。よって、これら2つのハブ間のルアー接続を別の方法で形成し得る構成要素を充分に間隔を空けて配置することにより、ハブ間の接続に妥協を来すことなく気体を逃がすことが可能になる。
【0193】
さらに、インサート51の外縁は、拡張器ハブ38の受容部位の受容部位と実質的に整合するような形状にされ得、これにより、両者間において少なくとも体液通過を抑制する密封を形成することができる。いくつかの実施形態において、拡張器ハブ38内のテーパー105(上述したように、針とのルアー接続にも用いられる)により、インサート51と拡張器ハブとの間の密閉を促進することができる。いくつかの実施形態において、インサート51の外縁と拡張器ハブ38の受容部位107との間の密閉を気体に対しても不浸透性とすることにより、上述したように気体に貫通穴101の通過を強制することが可能になる。
【0194】
組立時において、インサート51が拡張器ハブ38へ挿入されると、インサートは、受容部位から角度が若干外れた状態で進入し得、その結果、若干傾いた状態で立ち往生する場合がある。ピースのサイズおよび受容部位107の深さに起因して、インサート51が傾いているのを検出することが困難である場合がある。そのため、このような角度がずれた挿入を許容する公差が得られるように、インサート51を構成することができる。例えば、図示のように、貫通穴101は、近位方向テーパー部位102(
図12C)を含み得る。近位方向テーパー部位102により、針本体32とインサート51との間に通気空間を保持することが支援され得、この空間を通じて、気体の通過が可能となり、かつ体液の逃げを抑制することができる。
【0195】
インサート51は、その近位面に沿って隆起103として図示された近位方向に突出する部位も含み得る。それは、
図12Bに示すように特に関連し得る。例えば、インサート51が傾いている場合、インサート51を完全に拡張器ハブ38に挿入することができなくなり、その結果、
図12Bに示すように、開口部107内のインサート51と拡張器ハブ38の遠位部位との間に隙間106を残す。隙間106により、インサート51を針ハブ34と接触させることが可能になり、密閉を形成することができ、これにより、インサートの貫通穴101から気体が逃げる事態を回避することができる。よって、いくつかの実施形態において、インサートは、1つ以上の溝部104を伴う隆起103を含み得る。針ハブ34は隆起103と接触した後、インサート51の近位端部の残り部分と接触して、両者間に空間を保持する。1つ以上の溝部104により、気体を通過させてハブ34および38間の通路111へと通過させるための開口部または導管を、隆起103中に得ることができる。図示の実施形態において、1つよりも多くの溝部を設けることにより、有利なことに気体を複数の方向に通過させることが可能になる。よって、インサート51と針ハブ34との間の密封接触が1つの側部において発生した場合、気体は他方の側部上へ逃げることができる。
【0196】
他の実施形態において、インサート51上の近位方向に突出する部位は、他の形態をとり得る。例えば、いくつかの実施形態において、インサート51は、1つ以上の別個の突起部を持ち得、これにより、針ハブ34からの分離を維持する。さらなる実施形態において、インサート51は、針ハブ34と接触した場合でも気体の脱出を可能にする1つ以上の溝部を含み得る。さらに、いくつかの実施形態において、インサート上の構造の代わりにまたはインサート上の構造に加えて、類似の構造を針ハブ上に設けることもできる。
【0197】
気体の通過を可能にしかつ血液などの液体の通過を抑制し得る本明細書中に記載される通路(例えば、通路111、溝部104)は、血液または他の液体をフィルタリングするようなサイズにしてもよいし、あるいはフィルタなどを含んでもよい。例えば、シースまたは拡張器そのものに、小開口部、孔部または多孔性材料の形態の1つ以上の通路を設けることができる。1つ以上の通路のサイズならびに流体分子および形成される要素(例えば、赤血球)の予測されるサイズに応じて、シース中の1つ以上の小開口部、孔部または多孔性材料は、空気の通過を許容しかつ血液を保持する多孔性通気孔を形成し得る。
【0198】
図13A〜13Cは、、アクセス装置20の流体フラッシュバック特徴を向上させるさらなる要素を含む拡張器24Bの別の実施形態を示す。1つのさらなる要素は、針(例えば、上記
図1〜
図7に示す実施形態に関連して述べた針22)と相互作用する少なくとも1つのワイパーまたはシールを含む。この針の周囲において、拡張器24Bが同軸に配置されて、針外部(例えば、
図8Dの針外面154)と拡張器内部(例えば、
図8Dの拡張器内面152)との間に発生する空間を通じた流体流入を抑制する。密閉特徴は、
図12A〜
図12Cに示すその他の要素と共にまたは別個に、アクセス装置20の上記した実施形態のうち任意のものにおいて取り入れることができる。例えば、密閉特徴は、より小さい内径を有し、
図12A〜12Cに示す拡張器ハブ38と関連付けられた拡張器本体上に設けられ得る。図示の実施形態においては、このさらなる要素を単一の密閉と関連して示しているが、拡張器は、拡張器長さに沿って配置された複数の密閉を含み得る。このような密閉は、拡張器穿孔および/または針穿孔の近位側部に連続して配置され得る。いくつかの実施形態においても同様に、さらなる密閉をこのような穿孔の遠位側部上に配置され得る。しかし、図示の実施形態において、密閉は、拡張器および針穿孔双方の近位側部に図示されている。
【0199】
図13Aおよび
図13Cを参照すると、拡張器24Bは、拡張器24Bが針本体32内に配置されたとき(例えば、
図8Cを参照)、針本体32上の穿孔56に若干近位に設けられる密封部位250を含む。密封部位250は、拡張器24Bの内部に狭い領域を作る内側方向の突出として図示されている。この密封部位250において、拡張器24Bは、針(図示せず)による密閉を形成し得、これにより、拡張器24Bと針との間の空間が、密閉の1つの側部上にそれぞれ設けられた近位部および遠位部に分離される。1つの可能な結果として、流体を針ボアから針本体32および拡張器24B間の空間へ前進させることが意図される実施形態では(例えば、
図8C〜8Eに示された上記実施形態に関連して説明されたように)、体液が密封部位250を超えて近位方向に通過することが抑制されるため、拡張器24Bおよび針間の近位空間中への流体漏れが低減される。よって、流れを針本体32と拡張器(例えば、拡張器24、
図8D〜8E)との間の導管256へとさらに方向付けることができ、フラッシュバック応答の視認が迅速化される。さらに、いくつかの実施形態において、密封部位250は、拡張器24B内に退避する際に流体(例えば、血液)を針の遠位部位の表面から除去するワイパーとして機能することができる。1つ以上の密封部位250は、拡張器24Bと針本体32との間のラジアル支持も提供することができ、これにより拡張器シャフト36の軸強度が増加し、その結果、
図8Iに関連してさらに本明細書中に示した針本体32および拡張器シャフト36の構成(例えば、直径)と実質的に類似する利点が得られる。
【0200】
密封部位250は、三角形(一例を
図13Cに示す)、円形または矩形を含む多様な断面形状をとり得る。
図13Cに図示の実施形態において、密封部位250は、好適には近位方向に内側に傾斜するテーパー面252によって部分的に形成された概して三角形の断面形状を有する。テーパー面252は、密封部位250のレッジ251と交差する。レッジ251は、拡張器24Bの長手方向軸に対して概して垂直方向に設けられる。しかし、他の実施形態において、レッジ251は、長手方向軸に対して多様な角度で設けられ得、これにより、テーパー面252とレッジ251との間に形成された角度を鋭角、直角または鈍角とすることができる。有利なことに、密封部位250上のテーパー面252は、針の近位方向における拡張器24Bを通じた移動を支援することができる。レッジ251により、密封部位250は針通過時において近位方向にそれることができる。密封部位250の内側突起部の寸法は好適には、穿孔点における針の外部と拡張器の内部との間の直径差の半分を大幅に下回ることがなく、また好適には上回るとよい。
【0201】
図13Aにさらに示すように、いくつかの実施形態において、拡張器24Bは、密封部位250の近位のテーパー262と共に形成された拡張部位260を含み得る。拡張部位260により、針本体32および拡張器シャフト36(
図8D〜8E)間の導管256のための空間を得ることができ、拡張器24Bと拡張器24Bを通過する針(またはそのことのための他の物品)との間の接触および摩擦を低減することができる。さらに、いくつかの実施形態において、拡張器24Bを通過する針または他の物品は、ラジアル方向に外側に延びてテーパーと係合し、物品のさらなる前進を抑制する停止部を含み得る。よって、拡張部位260およびその一致するテーパーにより、拡張器24Bと対応する針または他の物品との間の軸方向および/またはラジアル方向移動を制限することができ、これにより、
図8Iに関連して本明細書中にさらに述べた針本体32および拡張器シャフト36の構成(例えば、直径)と実質的に同様の利点が得られる。
【0202】
密封部位250は、当業者に容易に知られる多様な方法のうち任意の方法により、拡張器上に形成することができる。例えば、いくつかの実施形態において、密封部位250は、拡張器を押し出した後、拡張器ティッピングプロセス時に形成することができる。密封部位250の原像を有する環状溝部により、内部マンドレルを切断することができる。その後、マンドレルを拡張器内に配置する。拡張器の遠位端部の材料をティッピングプロセス時に加熱した後、所望の外形にプレスするため、材料はマンドレル上の環状溝部内に押し込まれて、密封部位250を形成する。充分な冷却後、拡張器を退避させることができる。
【0203】
他の実施形態において、密封部位は、異なる形態をとり得る。例えば、針は拡張外部を持ち得、
図13A〜13Cに示す実施形態の拡張部位260の拡大内径と同様の穿孔の近位側部上の拡大外部直径を形成する。よって、針は、遠位部位において小さな外形を有し、遠位部位において大きな外形を持ち得る。拡大直径部位は、拡張器内面と(例えば、テーパー262に対して)係合または隣接して、上記したものと同様の密封部位を形成する。いくつかの実施形態において、密封部位を形成する針および拡張器間の接触は、拡張器24B上のテーパー262および針上の類似の外部テーパーなどの整合するテーパー間に形成され得る。他の実施形態において、針と拡張器との間の接触を針および拡張器の長手方向軸に対して概して平行な表面などの他の表面上に形成することができる。
【0204】
さらに、
図13Aに示すように、拡張器先端をベベル付きにすることにより、より円滑な拡張が可能になり、患者身体への挿入時における拡張器先端の変形をさらに確実に回避することができる。図示のように、先端は、各側部上において角度φでテーパーまたはベベルを持ち得る(図示の角度φの反対の角度はφに等しいため、本明細書中において同等に扱う点に留意されたい)。ベベル付き先端により、組織(例えば、皮膚)の通過時における拡張器24B上への軸方向力を低減することができる。いくつかの実施形態において、角度φは、およそ30度であり得る。他の実施形態において、角度φは、およそ40〜20度であり得る。この初期ベベル後、拡張器先端は、
図13Cに示すようにより浅い角度でテーパーし得る。例えば、いくつかの実施形態において、その後、拡張器はおよそ3度でテーパーし得、あるいは、およそ3度未満の角度でテーパーし得る。
【0205】
図14Aおよび
図14Bはそれぞれ、シース26Bの実施形態の側部等角図および分解側部等角図である。シース26Bは、上記した拡張器、針、ガイドワイヤおよび他の要素と共に、上記したシースと同様の方法で任意選択的に用いることができる。シース26Bは、シース本体40Bおよびシースハブ42Bを含み得、内部空洞241は、シース本体40Bおよび/またはシースハブ42Bの一部を通じてまたは沿って(例えば、1つ以上の長手方向軸に沿って)延びる。シースハブ42Bは、シース本体40Bの近位端部から延び得る。シース本体40Bおよび/またはシースハブ42Bは、1つ以上の切り離し線45に沿って任意選択的に分割可能である。いくつかの実施形態において、シース本体40Bおよび/またはシースハブ42Bは、2つ以上の切り離し線45に沿って分割可能であり、これにより、シースハブ部261および271のような2つ以上の分離可能部または二等分部を形成する。本体40Bおよびハブ42Bを含むシース26Bの実施形態は、本明細書中において他のどこかにおいて述べたシース、シース本体および/またはシースハブの実施形態(例えば、
図4Jおよび4Kに示すようなもの)と以下に説明する任意選択的な差を伴って概して類似する。
【0206】
例えば、
図14Bおよび
図15A〜15Cを参照すると、シース26Bは、内部空洞241の一部を実質的に密閉するように構成された弁要素240を含み得る。弁要素240は、密封要素243を支持する弾性プレート242を含み得る。弾性プレート242は、シース本体40Bおよび/またはハブ26Bの一部によって支持することができ、これにより、弾性プレート242の一部(例えば、密封部位264)が内部空洞241内に(例えば、ラジアル方向に内側に)延びて、内部空洞241を実質的に密閉することができる。弁要素240は、内部空洞241の近位部位244と内部空洞241の遠位部位245との間に配置することができ、これにより、近位部位244および遠位部位245を相互に実質的に密閉することができる。部位244および245は、多様なサイズおよび形状のうち任意のものを含み得、ひとえに例示目的のために、ほぼ円形断面形状で図示している。記載の実施形態において、内部空洞241の近位部位244は、断面積が遠位部位245よりも小さな領域を少なくとも含み、これにより、さらに本明細書中に記載のように弁240が屈曲して遠位方向に遠位部位241内に移動することを可能にしつつ、弁240の部位244への密封が促進される。この配置において、弁240は、内部空洞241を通じた近位方向への流れを実質的に抑制し、かつ以下にさらに述べるように拡張器または針などの物品の空洞の通過は実質的に抑制しないように構成される。
【0207】
弁要素240は、弾性プレート242の屈曲を通じて、閉鎖または実質的に密閉される位置(例えば、
図15Aおよび15B)と開口または実質的に密閉されない位置(例えば、
図15C)との間において屈曲または移動するように適用され得る。弁要素240は、流体(または気体)を通じ、装置を通じ、またはユーザの操作(例えば、外部レバーまたは弾性プレート242へ取り付けられた他の装置を用いた)を通じて、開口位置と閉鎖位置との間を移動することができる。閉鎖位置において、密封要素243の近位表面上の密封面266は、分割可能なシース本体およびハブのうち少なくとも1つの遠位表面上の対応する密封面267と接触するかまたは係合し得る。密封面266および267の相互作用により、空洞241を通じた近位方向における通過を抑制することができる。顕著なことに、弁要素240に対する近位方向の圧力により、密封面266および267をさらに共に押圧することができる。いくつかの実施形態において、この機構は、ヒト血管に関連する圧力に耐えるだけの充分な弾性を有するため、弁を通じた血液損失を回避することができる。
【0208】
いくつかの実施形態において、弾性プレート242は、密封要素243の密封面266が分割可能なシース本体および/またはハブの密封面267へ付勢または事前装填されるように構成され、これにより、弁240が閉鎖位置に事前装填される。この付勢により、近位方向における上記通過の抑制が向上する。さらに、付勢により、空洞241内での流体または気体(例えば、血液通過、または空気)の流入または遠位方向(例えば、長手方向)における装置の通過などの通過を弁要素240が抑制することが支援され得る。例えば、閉鎖位置への付勢は、遠位方向において弁要素240を開口させる力(または亀裂圧力)に耐えるだけの充分な強度となり得る。いくつかの実施形態において、弁要素240の事前負荷または付勢は、例えばヒトの通常の脈拍によって与えられる負圧に起因して、気体が遠位方向に空洞241を通じて患者内へと引き込まれる事態を回避できるだけの充分な大きさとなり得る。顕著なことに、気体が血管中に引き込まれた場合、塞栓症などの重篤な健康への影響が発生し得る。
【0209】
いくつかの実施形態において、密封面266および267間の接触、係合または付勢の量は、空洞241内でのこのような流体の流れまたは装置の通過を可能にするための亀裂圧力または力の量に影響を与え得る。さらに、シース26B、弁240および密封面266および267の構成は変動し得るため、流体流れまたは装置移動を1方向(例えば、遠位方向に)に空洞241内において可能にするための亀裂圧力または力の量は、別の方向(例えば、近位方向)に流体流れまたは装置移動を可能にするための亀裂圧力または力の量と同じであるかまたは異なり得る。さらに、本明細書中において用いられる「亀裂圧力」は、空洞241内の第1の方向における正圧または空洞241内の反対方向における負圧、逆流または真空双方を指し得ることが理解される。弁240は、例えば上記した塞栓症の可能性を低減するために、およそ160mmHgを超える、例えば、180mmHgの高い真空のために、弁240を閉鎖位置に保持することが可能な亀裂圧力と共に構成され得る。
【0210】
開口位置において、密封面266および267は、隙間によって分離してもよいし、あるいは相互に角度を付けて配置してもよく、これにより、空洞241中の流体の通過を可能にする。いくつかの実施形態において、表面266および267は、
図15C中に最良に示すように、針、拡張器または他の装置263の空洞241の通過を可能にするのに十分な隙間または角度によって分離され得る。よって、弁要素240により、内部空洞241は、流体または針、拡張器または他の所望の任意のアイテム263を選択的に受容して、空洞241を通じて身体空間内へと送ることができる。針、拡張器、ガイドワイヤおよび本明細書中に記載される他の装置を、代表的な装置263と同様の様態で
図15Cに示す実施形態と組み合わせて用いることが可能であることが理解される。
【0211】
弾性プレート242は、密封要素243を支持かつ内部空洞241を実質的に密閉できるだけの充分な剛性を有し、かつ本明細書中に記載の弁要素240が屈曲して開口位置と閉鎖位置との間で移動できるだけの充分な屈曲性を有する多様な材料のうち任意の材料を含み得る。弾性プレート242は、生体適合性金属またはプラスチック、あるいは多様な複合材料またはその組み合わせを含み得る。好適には、弾性プレート242は、低温硬化に対する感受性が低減された材料を含み得、これにより、弁要素240が上記したように開口位置にあるときシース26B内において一定期間共にパッケージされ、弁特徴(例えば、閉鎖位置に来た際に屈曲性および空洞241を密閉する能力)を妥協することなく、針、拡張器、カテーテルまたは他の医療物品を空洞241を通じて延ばすことができる。いくつかの実施形態において、弾性プレート242は、ニッケル、チタンおよび/またはスチール(例えば、ステンレススチール、バネスチールなど)あるいは多様な合金またはその組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態において、弾性プレート242は、NiTi(ニチノール)またはNiTiSEを含む。いくつかの実施形態において、弾性プレート242は形状記憶合金を含み得、これにより、開口位置と閉鎖位置との間における移動が容易化され、低温硬化を例えば、2年間といった長期間にわたって回避することができる。
【0212】
密封要素243は、密封面267と接触するかまたは密封面267に対して付勢された場合、内部空洞241を実質的に密閉することが可能な多様な材料のうち任意の材料を含み得る。いくつかの実施形態において、密封要素243は、金属、可塑性、ゴムまたは例えば、ポリイソプレーン、シリコン、ポリウレタン、または他の弾性ポリマーなどの他の適切な生体適合性材料を含み得る。いくつかの実施形態において、密封要素243のショアA硬さは、およそ5〜90の範囲内であり得、またはいくつかの実施形態において10〜70の範囲内であり得、あるいはいくつかの実施形態においておよそ15〜50の範囲内であり得、あるいはいくつかの実施形態においておよそ30であり得る。いくつかの実施形態において、密封要素243は、コーティングされるかまたは多様な要素の表面(例えばこのような装置263)に沿った低摩擦スライドを促進するためのシリコン処理表面などの他の表面処理を含み得る。さらに、いくつかの実施形態において、弾性プレート242および密封要素243は、同じ材料によって形成され得、これにより、弁要素240は任意選択的に単一の一体ピースとされ得る。
【0213】
弾性プレート242および/または要素243は、成型(例えば、注入)、スタンプなどの複数の異なる方法で形成することができ、別個にまたは一体的に形成することができる。弾性プレート242および密封要素243は、例えば、接着剤、接合(例えば、超音波、熱など)、締結具、オーバーモールドなどの多様な方法で相互に取り付けることができる。プライマーまたはノンスティックコーティングまたは表面処理をプレート242および/または密封要素243に付加することにより、その製造時における相互の取り付けを促進することができる。いくつかの実施形態において、複数のプレート242および/または要素243を切断可能なタブによって単一の成型またはスタンプステップにおいて形成することができ、これにより、プレート242および/または要素243を個別に用いることが可能になる。上記した弾性プレート242の屈曲特性について、いくつかの実施形態において、弾性プレート242を事前処理することにより、特定の機械特性を持たせた後、密封要素243と組み合わせることができる。
【0214】
弾性プレート242を用いて示すような弁要素240は、多様な手段によってシース26Bへ取り付けることができる。いくつかの実施形態において、それは、シース26Bへ接着または接合させることができる。他の実施形態において、弾性プレート242は、成型またはオーバーモールドによってシース26Bへ取り付けることができる。さらなる実施形態において、弾性プレート242は、シース26B(または例えば、シースハブの二等分部のようなシース26Bの一部)と一体的に成型することができる。一体的に形成する場合、ハブ42Bまたは本体40Bの厚さを実質的に弾性プレート242よりも大きくすることが望ましく、これにより、ハブまたは本体がより高い剛性を維持する。他の実施形態において、弾性プレート242は、シースハブ42Bまたは本体40Bがプレートを受容しかつそれを所定位置へ圧入することを可能にする溝部をどこかに含むような機械的圧縮によってシース26Bへと取り付けられ得る。
【0215】
弾性プレート242は、シースハブ42Bおよび/または本体40Bの多様な部位へ取り付けることができる。いくつかの実施形態において、シースハブ42Bおよび/または本体40Bは、弾性プレート242の一部がシースハブ42Bの一部および/または本体40B間にクランプされるように、相互に配置および取り付けられる2つ以上の別個のピースを含み得る。
図14B、
図16Aおよび
図16Bに最良に示すように、シースハブ42Bは、近位部位48および遠位部位49を含み得、これらは、弁要素240は弾性プレート242の取り付け部位265を介して溝部または隙間274(
図15C)内における両者間において支持またはクランプされ得るように相互に係合するように構成される。部位48および49は、本明細書中においてシース26Bについて主に述べた材料およびシースハブ42Bおよびシース本体40Bのようなその他の構成要素のうち任意のものを含み得る。一実施形態において、部位48は、ABSプラスチックを含む。一実施形態において、部位49は、K樹脂を含む。部位48および49は、公知のまたは本明細書中において記載の接合、接着剤(例えば、溶媒)などの多様な取り付け手段および方法のうち任意のものを用いて、相互に係合し得る。例示目的のため、部位48は、部位49(
図16B)中の対応する凹部または肩部273によって受容されるように構成された長手方向に延びるフランジまたは突起272(
図16A)を含む。部位48および49は、任意選択的隙間280(
図15C)と共に構成され得、これにより、部位48および49が長手方向に相互に移動しかつ弾性プレート242を隙間274内にクランプすることを確実にすることが可能になる。
【0216】
弁要素240および弾性プレート242は、線(単数または複数)45に沿って分離するシースハブ42Bおよび/または本体40Bの1つ以上の部分へ取り付けることができる。好適には、弾性プレート242は、シースハブ部分261などのシース26Bの1つの分離可能部のみへと取り付けられ、これにより、シース26Bの分離時における弁240のシースハブ部分271からの分離が促進される。さらに、プレート242は、シース26Bの1つの分離可能部のみに取り付けられ得、これにより、弾性プレート242および密封要素243の内部空洞241内における屈曲および移動が促進される。他の実施形態において、弁要素240がシースハブ42Bおよび/または本体40Bの複数の分離可能部位へ取り付けられる場合には、弁要素240も、類似の構造によって分離可能である。
【0217】
図17A〜
図22は、弁要素240の実施形態の多様な図である。弾性プレート242をほぼ矩形のストリップとして図示しているが、弾性プレート242は、弁要素240が本明細書中に記載の開口位置および閉鎖位置間において屈曲また移動することを可能にする充分な屈曲性を提供しつつ密封要素243を支持しかつ内部空洞241を実質的に密閉する多様な規則的形状または不規則な形状のうち任意のものを含み得る。弾性プレート242の1つ以上の部位(例えば、取り付け部位265)は、シースハブ42Aおよび/または本体40Aの一部に一致させるかつ/または取り付けられるような形状であり得る。弾性プレート242の1つ以上の部位(例えば、密封部位264)は、密封要素243の一部へ一致させるかつ/または取り付けられる形状であり得る。
【0218】
弁要素240は、シース26Bの他の部位との密封および/または係合へ影響を与え得る複数の異なる方法で構成することができる。例えば、弾性プレート242の1つ以上の表面は、所望の密封および取り付け構成に応じてほぼ平面状または非平面状であり得かつ/またはほぼ平面または非平面部位を含み得る。いくつかの実施形態において、弾性プレート242は、
図17A〜22に示すようなほぼ連続する平面、表面を含み得る。いくつかの実施形態において、弾性プレート242の取り付け部位265および密封部位264は、屈曲され、曲線状とされ、あるいは相互に対しておよび/またはシース26Bの一部(例えば、空洞241を通じて延びる長手方向軸に)に対して直角または実質的に非直角の角度で構成され得る。いくつかの実施形態において、弾性プレート242の一部は、外部力に晒されていない場合はほぼ平面の表面を含み得、事前装填されたかまたは付勢された場合(例えば、弁要素240が閉鎖位置に来た場合)は逆に角度付けされるか、屈曲されるかまたは曲線状とされ得る。
【0219】
図15Bを参照すると、取り付け部位265は、シース26Bおよび空洞241の長手方向軸を通じて直角に延びる(例えば、取り付け部位265がシース26Bに対して近位方向に延びる)面に対して角度Θ1で、シース26Bの一部(例えば、シースハブ部位48および49間)と係合し得る。角度Θ1は、例えば密封要素243がシース26B上の対応する密封面(例えば、
図15Cおよび16Aに示す密封面267へと付勢するように設けられ得る。好適な実施形態において、角度Θ1は、およそ1〜20度の範囲、またはより好適には3〜15度の範囲、またはさらにより好適には5〜10度の範囲を含む。実施形態において、角度Θ1はおよそ8度を含む。角度Θ1は取り付け部位265および直角面に対して規定されているが、類似のまたはいくつかの実施形態において、以下に述べるように、取り付け部位265および密封部位264に対して規定されるより大きな角度範囲が実行可能であることが理解される。
【0220】
いくつかの実施形態において、弾性プレート242は、取り付け要素268を(例えば取り付け部位265上に)弾性プレート242がシースハブ42Aおよび/または本体40A上の近位部位48上の取り付け要素269(
図16A)および/または遠位部位49上の類似の取り付け要素のなどの対応する取り付け要素に取り付けまたは係合するように構成される。記載の実施形態において、遠位部位49は、弾性プレートの取り付け要素268に類似する取り付け要素270を含み得、同様に近位部位の取り付け要素269へと取り付けられる。取り付け要素268〜270は、弾性プレート242およびシース26Bの一部から延びるか、一部上に延びるか、一部を通過するか、または一部内へと延びるディンプル、溝部、タブ、突起、凹部、アンカーなどの多様な形状のうち任意のものを含み得る。いくつかの実施形態において、取り付け要素268〜270の一組以上のペアは、第2の対向する取り付け要素と異なるサイズおよび/または形状である第1の取り付け要素を含み得、これによりこの弾性プレート242は、シースハブ42Aおよび/または本体40A内において、一方向、または単一の方向のみに取り付けられ得る。図示の実施形態において、取り付け要素268は、弾性プレート242内に延びるシースハブ部分261上の対応する突起269と係合するように構成されたノッチを含む。取り付け要素268および269により、1つ以上の方向において弾性プレート242がシース26Bに対して移動する事態を回避または制限することができる。好適な実施形態において、取り付け要素268および269により、シース26Bを通じて延びる長手方向軸周囲におけるプレート242のシースハブ26Bに対するラジアル移動および回転移動の双方または少なくとも1つを制限することができる。取り付け要素270は、取り付け要素268と同様の形状であり得、これにより、シースハブ部位49上の要素270は、シースハブ部位48上の要素269と係合して、シースハブ部位48および49の相互の移動を同様に制限することができる。取り付け要素268〜270はまた、シースハブ42Bの部位48および49間および/またはシース26Bの弁240および部位間のアライメントも提供する。例えば、要素268〜270により、(以下にさらに説明する)密封要素の隆起部位と、空洞241の一部との間のアライメントを向上させることができる。弁240をシース26Bの一部に取り付ける際に用いることが可能なアンカーのさらなる実施形態については、例えば、参照することにより本明細書にその全体がすでに援用されている2010年5月12日に出願されたPCT国際特許出願第PCT/US2010/034609号の
図25D〜25Fおよび対応するサポート文(例えば、段落0241−0243)に示され、記載されている。
【0221】
密封要素243は、密封面267と接触するかまたは密封面267に付勢された場合に内部空洞241を実質的に密閉し得る密封面266を形成することが可能な多様な形状のうち任意のものを含み得る。例えば、密封要素243は、内部空洞241の形状と任意選択的に実質的に整合するほぼ円形、四角形、矩形、卵形またはその他の任意の規則的または不規則な形状を含み得る。図示の実施形態において、密封要素243は、ほぼ丸いまたは円形の形状を含む。
【0222】
弾性プレート242をシース26Bへ取り付けるための公知または本明細書中において記載の方法のうち任意の方法を用いて、密封要素243を弾性プレート242へと取り付けることができる。実施形態において、要素243の一部が1つ以上の側部またはいくつかの実施形態においては弾性プレート242の2つ以上の側部の実質的部位を被覆する、包囲するまたは封入するように、密封要素243を弾性プレート242へと取り付ける。いくつかの実施形態において、要素243は、プレート242の密封部位264の上部および下部および/または側部の一部を被覆する。いくつかの実施形態において、要素243は、弾性プレート242の上面および下面双方を被覆して、プレート242が密封要素243の2つの部位間に「挟まれる」かまたは配置されるようにする(例えば、
図15B、20、21を参照)。このような実施形態により、例えば、本明細書中において記載される密封要素243よりも概して高剛性の弾性プレート242の移動に起因するシース26B上の摩耗を低減することができる。いくつかの実施形態において、密封要素243は、オーバーモールドプロセスを通じて弾性プレート242へと取り付けることができる。弾性プレート242は、それを通じて(例えば、密封部位264を通じて;
図15C)延びる1つ以上のアパチャ276を含み得、弾性プレート242および密封要素243間のオーバーモールド取り付けにおいてさらなる強度を提供する。いくつかの実施形態において、密封要素243は、密封要素243の弾性プレート242へのアライメントまたは取り付けを促進するように構成された1つ以上のアライメント要素(例えば、アパチャ277;
図17A〜19)を含み得る。
【0223】
例えば
図16A、
図17A〜17Bおよび19−22を参照すると、密封面266および267は、多様な形状のうち任意の形状を含み得、ひとえに例示目的のために(長手方向において)ほぼ円形の断面形状を有するものとして図示されている。図示の実施形態において、密封面267は、内側に(例えば、ラジアル方向に)内部空洞241の内部から延びる(
図15B)肩部またはフランジ279上に配置される。密封面266および267は、内部空洞241の外周の一定部分、殆どの部分または実質的に全体の周囲において延びる。表面266および267は、実質的に平面または非平面部位を含み得、実質的に規則的または不規則な形状であり得る。
【0224】
表面266および/または267は、1つ以上の突起、凹部または相互ロックおよび/または他の密封機能を両者間に提供するように構成された他の構造要素を含み得る。
図15B、
図15Cおよび
図16Aを参照すると、密封面267は、空洞241の周囲において部分的にまたは実質的に全体に延びる任意選択的なリブ、リングまたはリップ275を含み得る。よって、リブ275は、長手方向および/またはラジアル方向に空洞241に対して延び得る。リブ275は、フランジ279(
図15B)の一部または空洞241の側部の別の部位に沿って延び得る。リブ275は、密封面267の残り部分と同じ材料または異なる材料を含み得る。例えば、リブ275は、高度が低く、屈曲性が高く、粘着性を有し、または表面267の残り部分と異なる他の密封特性を備えた材料を持ち得る。リブ275により、表面266および267間の接触断面積を低減することができ、これにより、空洞241内の所与の圧力および/または弁240によって提供される付勢に対し、密封圧力を増加させることができる。いくつかの実施形態において、リブ275は、テーパーまたは尖頭断面形状を含み、これにより、このような向上した密封圧力がさらに向上する。リブ275は、弁240とシース本体20Bまたはハブ20Aとの間に主要な密封接触を提供するように構成され得、あるいは、リブ275は、密封面266および267の残り部分と組み合わせてさらなる密封接触を提供するように構成され得る。
【0225】
表面266および267ならびに/またはその関連付けられたリブ275は、空洞241を通じて延びる長手方向軸に対してほぼ直角に、空洞241の周囲において延び得、あるいは、
図15Bを参照すると、空洞241の長手方向軸を通じて延びる直角面に対して角度Θ2で延び得る。よって、弾性プレート242の密封部位264は、遠位方向において空洞241内において取り付け部位265に対して角度Θ2+Θ1(例えば、折り畳み線279に関する枢着部における角度;
図15C)で延び得る。表面266および267を角度Θ2で配置することにより、より均等な密閉が、折り畳み線279および取り付け部位265からより離隔位置にある密封部位264の一部を含む密封部位264の長さ全体にわたって得られる。
【0226】
また、表面266および267を角度Θ2で配置することにより、装置263が空洞241(
図15B〜C)内に挿入されるかまたは空洞241を通じて延びた場合に、弁240の閉鎖位置から開口位置までの移動を容易にすることができる。隆起部位またはドーム278を若干下方または遠位方向に空洞241内において角度Θ2で延びるように角度付けすることにより、装置263が空洞241を通じて延びた際、装置263が取り付け部位265および折り畳み線279から離れて隆起部位278の端部へスライドする傾向が高まる。その結果、装置263が隆起部位278および取り付け部位265間において固着するまたは引っかかる事態が回避される。
【0227】
また、表面266および267を角度Θ2で配置することにより、弁要素240および密封面267間の事前付加を別個にまたは角度Θ1を通じて提供され得る上記した事前負荷と組み合わせて増加させることも可能になる。好適な実施形態において、角度Θ2は、およそ1〜15度の範囲、またはより好適には1〜10度の範囲、またはさらに好適には1〜5度の範囲を含む。実施形態において、角度Θ2は、およそ2度を含む。
【0228】
いくつかの実施形態において、弁要素240の一部を本明細書中において角度Θ1、Θ2、またはΘ1+Θ2について述べた範囲と同様の角度で形成または事前屈曲することができ、その後、弁要素240をシースハブ部位48および49内に取り付けることが理解される。例えば、密封部位264は、取り付け部位265に対して第1の方向においてある角度を以て形成または事前屈曲され得、シースハブ48および49内に取り付けられた場合、事前負荷弁要素240に対して反対方向で屈曲され得る。このような事前負荷により、上記他の実施形態と同様に、またはそれに追加したものあるいはその代替案のように、付勢と、弁要素240およびシース26B上の対応する密封面間の密封向上とが提供され得る。好適な実施形態において、密封部位264および取り付け部位265は、180度未満の角度で相互に事前屈曲され、これにより、シースハブ部位48および49に取り付けられると、弾性プレート242は、本明細書中にさらに示すように事前装填されかつ密封向上を提供しかつ亀裂圧力を増加させつつ、実質的に平面となり、およそ180度の角度となる。
【0229】
いくつかの実施形態において、密封要素243は、表面266に対して高さHだけ延びるように構成された(
図21;例えば、空洞241内のシース本体40Bに対してほぼ長手方向および/または近位方向、
図15Bも参照)実質的にドーム形状の部位278のような隆起部位を含み得る。密封面266は、隆起部位278の外周の一部、ほとんどまたは実質的に全体を少なくとも部分的に包囲し得る。いくつかの実施形態において、隆起部位278は、(例えば、締りばめを通じて)空洞241の内部壁部と係合し得、これにより、空洞241のさらなる密封が可能になる。いくつかの実施形態において、隆起部位の形状およびサイズは、本明細書中に他に記載無き限り、空洞241の内部壁部との干渉を回避し、開口位置および閉鎖位置間の弁要素240の移動の制限を回避するように決定される。隆起部位278は、装置263が空洞241(
図15C)を通じて延びた場合に、密封面266および装置263間の接触可能性を回避または低減するのに充分な高さHにわたって延び得る。さらに、シース26Bが空洞241を通じて延びる装置263と共に保存されている上記期間の間、装置263がシース26Bの別の部位に固着または付着した場合、隆起部位278にも付着するが、密封面266の一部には付着しない。そのため、隆起部位278により、装置263との拡大された強力な接触を行うことにより密封要素243の密封面266への損傷を回避することができ、よって、弁要素240の密封能力および寿命を延ばすことができる。隆起部位278は、本明細書中において密封要素243について述べた材料のうち任意のものを含み得、かつ/または、要素243の残り部分と同じ材料または異なる材料を含み得る。いくつかの実施形態において、隆起部位278は、シリコンまたはパリレン(登録商標)などの化学蒸着ポリ(p−キシレン)ポリマーのような防湿層、潤滑または他の特性を提供するための1つ以上のコーティングを含む。
【0230】
上述したように、弾性プレート242の屈曲を複数の方法で促進することができる。例えば、いくつかの実施形態において、弾性プレート242の材料特性により、屈曲を促進することができる。他の実施形態において、弾性プレート242は、それに沿って、弾性プレート242を屈曲させることができる折り畳み線279を持ち得る(例えば、
図15Cおよび17Aを参照)。この折り畳み線は、弾性プレート242のうち空洞241の内部壁部の近隣の一部、および/またはシースハブ42Bおよび/または弁240が取り付けられるシース本体40Bの一部に対応すると好適である。いくつかの実施形態において、折り畳み線279は、密封部位264および取り付け部位265間の遷移において弾性プレート242にわたって延び得る。折り畳み線279により、弾性プレート242を屈曲させる(が破壊はしない)より肉薄の/より弱い材料の領域を通じた屈曲が促進され得る。例えば、いくつかの実施形態において、弾性プレート242は、弾性的に可撓である指定された折り畳み領域を除いて、実質的に剛性であり得る。折り畳み線または折り畳み領域は、ミシン目、溝部、またはいくつかの他の構造から形成され得る。いくつかの実施形態において、さらなる形状記憶構造により、屈曲領域または場所を形成することができる。弾性プレート242を(例えば、折り畳み線279に沿って)屈曲させるのが容易または困難である場合、弁240の亀裂圧力に影響が発生し得る。例えば、1つ以上の任意選択的アパチャ281(例えば、
図17A〜17B)を折り畳み線279の近隣の弾性プレート242を通じて延ばすことにより、弁240の亀裂圧力を低減することができる。いくつかの実施形態において、シース26Bの一部を放射させる、テーパーをつける、またはチャンファー解放することにより、弾性プレート242を折り畳み線279に沿って円滑に屈曲させることが促進される。例えば、
図15Bを参照すると、シースハブ42B(例えば、部位49)は、弾性プレート242のシース26Bへの取り付け点の近隣において放射されたまたはテーパーをつけられた解放282を含み得る。
【0231】
使用時において、操作者は、針、拡張器、カテーテルなどのシースハブを通じて医療物品263を挿入することができる。この物品は、ドーム278と接触するまで、近位端部から(例えば、空洞部位244から)空洞241へ進入することができる。その後、この物品は、(例えば、表面266と実質的に接触することなく)ドーム278へ押圧され、弁240を閉鎖位置から開口位置へと移動させる。その後、物品は、空洞241内において長手方向に(例えば、空洞部位245内に)引き続き移動し、その間、弁240は開口位置にあり、物品はまだ表面266と実質的に接触していない。上記のステップを逆転することにより、表面266を物品と接触させることなく、弁240は閉鎖位置へと戻すとともに物品263を空洞241から除去することができる。他の物品を同様の方法で挿入および除去することができる。
【0232】
シースが分割可能である場合、医療物品を妨害すること無く、シースを医療物品と共に内部で分離することができる。有利なことに、操作者がタブ43を操作してシースを分離すると、シースが分離して2つ以上の部分(例えば、シースハブ部261および271)に分離され、弁240は、2つ以上の部分のうちの1つ(例えば、部分261)と共に残留する。よって、内部の医療物品を妨害することなく、シースおよび対応する密閉を分離することができる。本明細書中の開示から、シースの他の実施形態を用いて、類似の術式を行うことが可能であることが明らかである。
【0233】
本明細書中に記載される実施形態は、従来の生体適合性材料を含む。例えば、針は好適には、セラミック、硬質ポリマー、またはステンレススチール、ニチノールなどの金属からなる。他の要素も、ポリ炭酸塩、ナイロン、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素重合体およびペルフルオロ(エチレン−プロピレン)コポリマー、ポリウレタンポリマーまたはコポリマーのような共重合体などの適切なポリマー材料によって形成され得る。例えば、いくつかの実施形態において、拡張器は、ナイロン製であり得る。
【0234】
上述したように、本発明のアクセス装置は、患者身体内の他の位置にカテーテルを配置するために用いることができる。よって、例示的かつ非限定的に、アクセス装置は、多様なカテーテルとしてまたは多様なカテーテルと共に、膿瘍からの流体排出、気胸からの空気排出、および腹膜空洞へのアクセスに用いることができる。このような用途において、体液が視認空間中に流れて、針が適切に配置されたことを示す。
【0235】
本発明について、特定の好適な実施形態および例の文脈において開示してきたが、当業者によれば、本発明は、具体的に開示された実施形態を超えて他の代替的実施形態および/または本発明およびその明白な改変例および均等例の使用にも及ぶことが理解される。加えて、本発明の複数の改変例について詳細に図示および記載してきたが、当業者によれば、本開示を鑑みれば、本発明の範囲内にある他の改変例を想起される。また、実施形態の特定の特徴および態様の多様な組み合わせまたはさらなる組み合わせが可能であり、本発明の範囲内に収まることが気体される。よって、本開示の実施形態の多様な特徴および態様を相互に組み合わせるかまたは代替することにより、本発明の開示の異なる様式を形成することができることが理解される。例えば、
図8Fに示す針ハブの一般的形状は、
図2Fに示す針ハブとさらなる方法において異なる。しかし、これらの一般的な針ハブ形状は、記載および図示の実施形態において相互交換が可能である。さらに、本明細書中において多数の実施形態において針、拡張器、シース、ガイドワイヤ部、トラック、カバー、および他の構成要素を含むアクセス装置の使用について述べたが、本発明は、本明細書中に記載されるこれらのまたは他の構成要素のうち1つ以上を別個にまたは組み合わせて供給する場合も包含し得ることが理解される。例えば、本明細書中に記載される構成要素は組み立てられた形態で供給してもよいし、あるいは、別個に供給された後にユーザによって組みたてられるキットまたは他のパッケージ構成として供給してもよい。さらに、本発明は、本明細書中に記載される実施形態のうち任意のものを用いるための指示を含み得る。指示は、紙、音声および/または視覚的記録、コンピュータまたは他の電子メモリなどのような有形の媒体として提供される。
【0236】
よって、本明細書中の開示の本発明の範囲は、上記した特定の開示の実施形態によって限定されるべきではなく、本開示および次の特許請求の範囲を公正に読むことのみによって決定されるべきである。