(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0018】
本実施の形態においては、主として、光源(以下、単に「サンプル」とも称す。)の配光特性(典型的には、配光輝度特性)を測定するための配光特性測定装置について例示する。但し、本実施の形態に従う配光特性測定装置は、単なる配光特性に限られず、配光特性から算出される、光源の色度および波長情報、ならびに光源から照射される光束によって生じる照度分布などの各種光学特性を測定することもできる。
【0019】
<A.配光特性測定方法の概要>
まず、本実施の形態に従う配光特性測定方法の概要について説明する。
図1は、本実施の形態に従う配光特性測定方法の基本的な測定方法を説明するための図である。
図1に示すように、本実施の形態に従う配光特性測定方法では、所定の撮像視野を有するカメラ10(一種の2次元センサー)を用いて、所定の立体角の範囲に亘ってサンプル2を測定することで、サンプル2の発光面についての配光特性を取得する。取得される配光特性は、典型的には、配光輝度特性を意味し、サンプル2の発光面の各点(以下、「測定点」とも称す。)における各照射角度(以下、「測定角度」とも称す。)についての輝度の情報を含む。
【0020】
図1(a)に示すように、カメラ10の光軸方向がサンプル2の発光面と垂直になっている状態を、以下では「初期状態」とも称す。便宜上、カメラ10で撮像される画像に対して、左右方向をY軸とし、上下方向をY軸と定義する。初期状態では、X軸角度=0°、Y軸角度=0°である。典型的には、X軸およびY軸のそれぞれに関して±180°の範囲でカメラ10を移動させつつ、カメラ10でサンプル2を撮像することで、サンプル2の発光面についての配光特性を取得する。
【0021】
図1(a)に示す状態では、カメラ10には、主として、サンプル2の発光面の垂直方向に照射される光束(全光束の一部)が入射し、
図1(b)に示す状態では、サンプル2の発光面からカメラ10が位置する方向に照射される光束(全光束の一部)が入射する。
図1(b)に示すように、カメラ10がY軸上を角度θyだけ移動した場合、これらのなす角度は、初期状態(X軸角度=0°、Y軸角度=0°)にY軸上の角度θyを加算した角度となる。すなわち、
図1(b)に示す例では、測定角度がX軸角度=0°Y軸角度=θyである測定点の輝度を測定できる。
【0022】
以下同様に、サンプル2に対するカメラ10の角度(立体角)を順次変化させて、サンプル2を順次撮像することで、各測定点の配光特性を取得できる。画像データを取得するカメラ10の位置の各々を、以下「撮像ポイント」とも称す。
【0023】
<B.配光特性測定装置の構成>
次に、本実施の形態に従う配光特性測定装置の構成について説明する。本実施の形態に従う配光特性測定装置は、サンプル2に対して所定距離だけ離して配置されたカメラ10(撮像部)と、サンプル2とカメラ10との間の距離を維持したまま、サンプル2に対するカメラ10の位置関係(相対関係)を連続的に変化させる移動機構とを有する。移動機構は、サンプル2とカメラ10との間の相対関係を異なる2つの軸方向(以下の例では、X軸方向およびY軸方向)にそれぞれ独立に変更可能になっている。
【0024】
カメラ10とサンプル2との間の相対関係を変化させる構成としては、典型的には、サンプル2を固定しておきカメラ10を回転移動させる撮像部移動型と、カメラ10を固定しておきサンプル2を回転移動させる光源移動型とが存在する。以下では、撮像部移動型を一例としてその構成などを説明する。但し、本発明は、光源移動型の構成を用いて実現してもよい。
【0025】
図2は、本実施の形態に従う配光特性測定装置1の外観構成を示す模式図である。
図2を参照して、配光特性測定装置1は、サンプル2を中心としてカメラ10を回転移動させるゴニオメータ200(移動機構)と、ゴニオメータ200によるカメラ10の回転移動を制御するとともに、カメラ10で撮像された画像データを処理する情報処理装置100(処理手段)とを含む。
【0026】
ゴニオメータ200は、ベース30と、カメラ10と、カメラ10を支持する撮像部支持アーム33と、撮像部支持アーム33を回転するY軸モータ36と、その一端がY軸モータ36に接続されるとともに、X軸モータ35によって回転されるX軸回転アーム32と、ベース30に配置されるX軸モータ35とを含む。X軸モータ35の回転軸とY軸モータ36の回転軸との交点にカメラ10が配置される。X軸モータ35の回転およびY軸モータ36の回転駆動によって、カメラ10はX軸およびY軸を中心に自在回転する。サンプル2の位置は、X軸とY軸との交点に維持される。これによって、サンプル2とカメラ10との間の相対関係が自在に変更される。
【0027】
カメラ10は、典型的には、CCD(Charged Couple Device)イメージセンサーや、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサーといった受光素子を有している。
【0028】
図3は、本実施の形態に従う配光特性測定装置1におけるカメラの回転駆動に係る構成を示す模式図である。
図3を参照して、本実施の形態に従う配光特性測定装置1は、
図2に示すコンポーネントに加えて、トリガー装置110をさらに含む。
【0029】
トリガー装置110は、ゴニオメータ200によるサンプル2とカメラ10との間の相対関係の変化に連動して、カメラ10の撮像タイミング(
図2に示す撮像ポイント)を管理する。トリガー装置110の機能については、情報処理装置100によって実現してもよいが、撮像タイミング(撮像ポイント)をより正確に制御する観点から、専用のハードウェア回路を含むトリガー装置110を情報処理装置100とは別に配置することが好ましい。
【0030】
情報処理装置100は、X軸モータ35およびY軸モータ36に対して、それぞれ駆動用コマンドを送出する。この駆動用コマンドは、X軸モータおよびY軸モータの移動速度および/または目標位置などを含む。本実施の形態においては、サンプル2を中心とする全球面/半球面に亘って測定を行なう必要があるので、駆動用コマンドとしては、Y軸に沿った一連の移動が完了するまで、X軸に沿った往復運動を繰り返すための命令を含む。情報処理装置100は、送信開始タイミングで駆動用コマンドを送出し、駆動用コマンドを受けたX軸モータおよびY軸モータ(および、X軸モータおよびY軸モータを駆動するモータドライバ)はそれぞれ移動を開始する。X軸モータおよびY軸モータは、それぞれ回転量を示すモータ駆動パルスをトリガー装置110へ出力する。
【0031】
トリガー装置110は、受信したモータ駆動パルスを所定数で分周してX軸およびY軸における現在位置(角度)を算出するとともに、予め定められた測定点に対応する角度間隔で、撮像を指示するトリガーパルスをカメラ10へ出力する。
【0032】
カメラ10は、トリガー装置110からトリガーパルスを受信すると、撮像を行ない、その撮像によって取得された画像データを情報処理装置100へ出力する。カメラ10は、トリガー装置110からトリガーパルスを受信するたびに、撮像および画像データの送信を繰り返す。情報処理装置100は、画像データの撮像順序に基づいて、各撮像における撮像ポイント(立体角など)を特定する。情報処理装置100は、カメラ10により撮像された複数の画像データと、それらの複数の画像データがそれぞれ撮像されたときのサンプル2に対するカメラ10の相対位置とに基づいて、サンプル2の配光特性を算出する。このサンプル2の配光特性の算出処理については、後述する。
【0033】
図4は、
図2に示す情報処理装置100の内部構成を示す模式図である。
図4を参照して、情報処理装置100は、典型的には、汎用のパーソナルコンピュータで構成される。より具体的には、
図4を参照して、情報処理装置100は、CPU(Central)101と、主メモリ102と、HDD(Hard Disk Drive)103と、通信インターフェイス(I/F)104と、表示部105と、入力部106とを含む。これらのコンポーネントは、バス107を介して互いに通信可能に接続されている。
【0034】
CPU101は、HDD103などの格納されている配光特性測定プログラム108を実行することで、本実施の形態に従う機能を実現するための演算処理部である。主メモリ102は、CPU101によるプログラムの実行に必要なワーキングエリアを提供する。このワーキングエリアには、プログラムに実行に必要な一時データやカメラ10の撮像によって取得された画像データなどが格納される。HDD103は、CPU101で実行される配光特性測定プログラム108や処理の実行に必要なパラメータなどを不揮発的に記憶する。
【0035】
HDD103にはCPU101で実行される配光特性測定プログラム108が予めインストールされる。配光特性測定プログラム108のインストールは、各種の方法を採用できる。例えば、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)やDVD(Digital Versatile Disk)といった各種の記録媒体に格納されたプログラムを対応する装置で読み出してHDD103へ格納する方法、あるいはネットワークを介してプログラムをダウンロードする方法などを採用できる。
【0036】
通信インターフェイス104は、他の装置とデータを遣り取りする。具体的には、通信インターフェイス104は、X軸モータ35およびY軸モータ36に対して駆動用コマンドをそれぞれ出力するとともに、カメラ10が撮像して得られた画像データを受信する。
【0037】
表示部105は、撮像された画像データや測定結果を表示する。具体的には、表示部105は、LCD(Liquid Crystal Display)などから構成される。入力部106は、測定者からの操作を受付ける。具体的には、入力部106は、マウスやキーボードなどから構成される。情報処理装置100には、必要に応じて、プリンタなどの他の出力装置が接続されてもよい。
【0038】
本実施の形態に従う各種機能については、CPU101がプログラムを実行することで提供される形態に代えて、その全部または一部を専用のプロセッサまたはIC(集積回路)などを用いて実現するようにしてもよい。あるいは、専用のLSI(Large Scale Integration)を用いて実現してもよい。
【0039】
<C.測定の概要>
本実施の形態に従う配光特性測定装置1は、暗部を測定する際に誤差要因となる、カメラ10の内部に生じる迷光の影響を低減する処理を採用する。
【0040】
図5は、本実施の形態に従う配光特性測定装置1が迷光の影響を低減する処理を説明するための模式図である。本実施の形態に従う配光特性測定装置1では、カメラ10に内蔵される受光素子(CCDイメージセンサー、CMOSイメージセンサーなど)上に外部からの光が入射しない領域(以下、「不感帯領域」とも称する。)を形成し、この不感帯領域での検出結果を用いて迷光の影響を推定する。
【0041】
図5(a)を参照して、カメラ10は、受光素子11と、受光素子11に対応付けて配置されたレンズ14と、レンズ14よりサンプル2側に配置された不感帯生成部15とを含む。サンプル2から照射された光束は、不感帯生成部15を通じてレンズ14に入射し、レンズ14で収束されて受光素子11に入射する。
【0042】
不感帯生成部15は、サンプル2からの光がカメラ10の受像面(受光素子11)に入射することを阻害する阻害部材に相当する。すなわち、不感帯生成部15は、サンプル2から受光素子11に入射する光束の一部を遮へいすることで、受光素子11上に不感帯領域13を形成する。受光素子11上の不感帯領域13以外の領域は、サンプル2からの光を検出可能な有効検出領域12となる。但し、不感帯領域13は、受光素子11としての機能を失っているのではなく、カメラ10内に存在する何らかの光を検出することはできる。
【0043】
有効検出領域12には、レンズ14を通過したサンプル2からの光が収束して入射することになるが、一部の光は、レンズ14内部での乱反射などによって、本来の光学経路から外れる。本来の光学経路から外れた光がカメラ10の迷光となる。そのため、不感帯領域13には(もし存在すれば)迷光成分が入射し、それが検出されることになる。
【0044】
図5(b)には、
図5(a)に示される構成によって撮像された画像データ20の一例を示す。画像データ20は、明部が十分に大きなサンプル2を撮像した場合に取得された画像例であり、その全面に明部に対応する画素値の高い主領域24が存在する。その四隅に不感帯領域13に対応するパッチ領域22が存在する。
図5(b)には、画像データ20の四隅にパッチ状の領域を配置した例を示すが、本来の測定に影響を与えなければ、いずれの位置に不感帯領域13を設けてもよい。また、不感帯領域13に対応する領域の形状および個数についても特に制限されるものではない。但し、不感帯領域13に対応するパッチ領域22は、複数の画素から構成されることが好ましい。すなわち、任意の位置に連続配置された複数の画素または離散配置された複数の画素がパッチ領域22として設定される。
【0045】
不感帯領域13に対応するパッチ領域22は、迷光成分を反映していると考えられ、一方、明部に対応する画素値の高い主領域24は、サンプル2の輝度成分と迷光成分との合計を反映していると考えられる。そのため、パッチ領域22に含まれる各画素の画素値から受光素子11に入射している迷光成分を推定し、この推定した迷光成分を、主領域24に含まれる各画素の画素値から除くことで、迷光の影響を低減した画像データを取得することができる。
【0046】
図5に示す本実施の形態に従う配光特性測定装置1では、サンプル2の輝度を測定するためのカメラ10の内部に不感帯領域13を形成し、この不感帯領域13に対応する画素にて、レンズ14内部で生じる迷光を選択的に検出する。すなわち、本実施の形態に従う配光特性測定装置1は、サンプル2を撮像して画像データを取得するとともに、その取得された画像データ内で不感帯領域13に対応する画素の画素値を算出し、さらに迷光成分を示すオフセット値を算出するとともに、取得された画像データ全体からこの算出されたオフセット値を差し引く。
【0047】
配光特性測定装置1(情報処理装置100)は、不感帯領域13に対応する領域の画素値の平均値からオフセット値(迷光補正量)を算出する。具体的には、この補正処理は以下のような数式で表現できる。ここで、主領域24の画素値をPm(x,y)とし、パッチ領域22の画素値をPs(x,y)とする。まず、以下の(1)式に従って、パッチ領域22の画素値の平均値からオフセット値Poffsetが算出される。
【0048】
Poffset=Σ(Ps(x,y))/(パッチ領域22の画素数) …(1)
そして、以下の(2)式に従って、算出されたオフセット値Poffsetが主領域24の画素値からPm(x,y)が差し引かれる。なお、(2)式の処理は、主領域24に含まれるすべての画素について実行される。
【0049】
Pm(x,y)←Pm(x,y)−Poffset …(2)
上述の補正処理によって、迷光の影響を低減した画像データを取得することができる。この迷光成分を示すオフセット値を差し引かれた後の画像データは、迷光成分を含まないサンプル2の輝度を示す画像データとして、後続の処理に用いられる。
【0050】
以上のような補正処理を採用することで、カメラ10の入力側にシャッターを設けた上で、そのシャッターを閉じた状態で測定された暗電流の大きさを測定値から減じるという、ダーク測定などを不要することができる。
【0051】
なお、後述する配光輝度の算出処理や照度・光度の算出処理では、サンプル2に対するカメラ10の角度(立体角)を順次変化させて、サンプル2を順次撮像するとともに、上述の迷光補正後の画像データをサンプル2の輝度を示す画像データとして順次格納する。すなわち、配光特性測定装置1(情報処理装置100)は、カメラ10による撮像された画像データの不感帯領域13に対応する領域の画素値からオフセット値(迷光補正量)を算出し、算出した迷光補正量で画像データを補正することで補正後の画像データを取得する。そして、配光特性測定装置1(情報処理装置100)は、取得した補正後の画像データと、補正後の画像データが撮像されたときのサンプル2に対するカメラ10の相対位置とに基づいて、サンプル2の配光特性を算出する。
【0052】
<D.不感帯領域の形成>
上述したような不感帯領域を形成するための構成例を例示する。
図6は、本実施の形態に従う配光特性測定装置1における不感帯領域を形成するための構成例を示す模式図である。
【0053】
図6(a)には、レンズ14の前段にフィルター16を配置し、フィルター16上に不感帯領域を形成するためのフード17を設けた構成例を示す。不感帯領域のターゲットとなるフード17は、カメラ10の一部として配置される。すなわち、フード17は、カメラ10と一体的に配置され、カメラ10の撮像視野の一部を遮る部材に相当する。なお、「一体的」とは、カメラ10とフード17とが構造的に一体化している必要は必ずしもなく、カメラ10が回転移動しても、カメラ10とフード17との間の位置関係が維持できる構成であれば、どのような構造を採用してもよい。
【0054】
この構成例では、カメラ10とサンプル2との間の相対関係が変化しても、カメラ10とフード17との間の相対関係は変化しないので、受光素子11に対するターゲットの位置、すなわち画像データ内に現れる不感帯領域の位置は不変である。
【0055】
図6(b)には、レンズ14の前段にフィルター16を配置するとともに、不感帯領域を形成するためのフード18を回転軸上に配置した構成例を示す。
図6(b)は、カメラ10を固定しておきサンプル2を回転移動させる光源移動型での構成例を示す。このとき、不感帯領域のターゲットとなるフード18は、サンプル2の回転移動に依存せず、カメラ10とフード18との間の相対関係は変化しない。そのため、受光素子11に対するターゲットの位置、すなわち画像データ内に現れる不感帯領域の位置は不変である。フード18は、サンプル2と一体的に配置され、サンプル2から照射される光の一部を遮る部材に相当する。なお、「一体的」とは、サンプル2とフード17とが構造的に一体化している必要は必ずしもなく、サンプル2が回転移動しても、サンプル2とフード17との間の位置関係が維持できる構成であれば、どのような構造を採用してもよい。
【0056】
図6(a)および
図6(b)に示すように、不感帯領域のターゲット(フード17またはフード18)は、カメラ10の一部として配置され、あるいは、サンプル2の回転軸上に配置されることが好ましい。
【0057】
一方、
図6(c)には、レンズ14の前段にフィルター16を配置するとともに、不感帯領域を形成するためのフード18をサンプル2と一体化して配置した構成例を示す。
図6(c)は、カメラ10を固定しておきサンプル2を回転移動させる光源移動型での構成例を示す。
図6(c)に示す構成においては、カメラ10とサンプル2との間の相対関係が変化すると、カメラ10とフード18との間の相対関係も変化する。そのため、画像データ内に現れる不感帯領域の位置も変化するが、この場合には、各種の画像処理技術を用いて不感帯領域をトラッキングすればよい。但し、カメラ10の視野範囲に対して、サンプル2の移動量が大きくなると、画像データ内に不感帯領域が存在しなくなるので、
図6(c)に示す構成例は、サンプル2に対するカメラ10の角度(立体角)の範囲が比較的狭い場合に有効である。
【0058】
<E.配光特性測定方法の処理手順>
次に、本実施の形態に従う配光特性測定方法の処理手順について説明する。
【0059】
上述したように、本実施の形態に従う配光特性測定方法では、サンプル2とカメラ10との間の距離を維持したまま、サンプル2に対するカメラ10の位置関係(相対関係)を連続的に変化させる。
図2に示す配光特性測定装置1を用いた場合には、カメラ10を回転移動させることになる。
【0060】
図7は、本実施の形態に従う配光特性測定方法におけるカメラ10の移動方法を説明するための図である。移動方法の一例として、
図7(a)は、X軸およびY軸の両方を同時に移動させる方式(両軸同時駆動方式)を示し、
図7(b)は、X軸およびY軸の一方をそれぞれ移動させる方式(軸単独駆動方式)を示す。
図7に示すように、カメラ10を移動させるとともに、周期的または非周期的にサンプル2を含む視野範囲を順次撮像することで、必要な画像データを取得する。
【0061】
図7(a)に示す両軸同時駆動方式では、Y軸方向に停止しないので、停止時にカメラが揺れるといった状態を回避できるという利点があり、かつ測定全体に要する時間を短縮化できるという利点もある。但し、撮像点のY軸における角度間隔が一定ではないので、角度間隔が一定ではないことによる誤差が発生しないように前処理が必要になる。
【0062】
図7(b)に示す軸単独駆動方式は、Y軸方向の移動が停止する際に、カメラに揺れが発生するので、この揺れによる誤差影響を受けないように対策を施す必要があるが、Y軸上の撮像間隔を一定にできるため、演算処理を簡素化できる。
【0063】
図8は、本実施の形態に従う配光特性測定方法の処理手順を示すフローチャートである。
図8に示す各ステップは、主として、情報処理装置100のCPU101およびトリガー装置110によって実行される。
【0064】
図8を参照して、測定開始が指示されると、情報処理装置100のCPU101は、X軸モータ35およびY軸モータ36のそれぞれへ駆動用コマンドを出力し、カメラ10の回転移動を開始する(ステップS1)。ステップS1において、CPU101は、カメラ10が
図7に示すような軌道に沿って移動するように、駆動用コマンドを生成および出力する。すなわち、CPU101は、サンプル2とカメラ10との間の距離を維持したまま、サンプル2に対するカメラ10の位置関係を連続的に変化させる。
【0065】
続いて、トリガー装置110は、カメラ10が予め定められた撮像ポイントに到達したか否かを判断する(ステップS2)。より具体的には、トリガー装置110は、X軸モータ35からのモータ駆動パルスおよびY軸モータ36からのモータ駆動パルスをそれぞれカウントし、それぞれのカウント値が撮像ポイントを示す条件に合致するか否かを判断する。カメラ10が予め定められた撮像ポイントに到達していなければ(ステップS2においてNO)、ステップS2以下の処理が繰り返される。
【0066】
カメラ10が予め定められた撮像ポイントに到達していれば(ステップS2においてYES)、トリガー装置110は、カメラ10へトリガーパルスを出力する(ステップS3)。カメラ10は、トリガーパルスの受信に応答して撮像を行ない(ステップS4)、撮像によって取得された画像データを情報処理装置100へ送信する(ステップS5)。これらのステップは、サンプル2からの光がカメラ10の受像面に入射することを阻害する不感帯生成部15が設けられた状態で撮像された画像データを取得するステップに相当する。
【0067】
情報処理装置100は、取得された画像データに対して迷光補正処理を実行する。より具体的には、情報処理装置100のCPU101は、取得した画像データに含まれるパッチ領域の画素値の総和を画素数で除算することで、迷光の強度を示すオフセット値を算出する(ステップS6)。そして、情報処理装置100のCPU101は、取得した画像データを構成する各画素の画素値から算出したオフセット値を差し引くことで、迷光補正後の画像データを生成する(ステップS7)。この迷光補正後の画像データが輝度測定用の画像として格納される。これらのステップは、画像データの不感帯領域の画素値から補正量を算出し、算出した補正量で画像データを補正するステップに相当する。
【0068】
続いて、トリガー装置110は、カメラ10が到達した撮像ポイントが最後の撮像ポイントであるか否かを判断する(ステップS8)。より具体的には、トリガー装置110は、X軸モータ35からのモータ駆動パルスおよびY軸モータ36からのモータ駆動パルスをそれぞれカウントし、それぞれのカウント値が最後の撮像ポイントを示す条件に合致するか否かを判断する。カメラ10が到達した撮像ポイントが最後の撮像ポイントでなければ(ステップS8においてNO)、ステップS2以下の処理が繰り返される。
【0069】
カメラ10が到達した撮像ポイントが最後の撮像ポイントであれば(ステップS8においてYES)、情報処理装置100のCPU101は、照度算出処理を実行する(ステップS9)。このステップは、補正後の画像データと、補正後の画像データが撮像されたときのサンプル2に対するカメラ10の相対位置とに基づいて、サンプル2の配光特性を算出するステップに相当する。照度算出処理による処理結果が出力されると、処理は終了する。
【0070】
<F.照度算出処理の概要>
次に、照度算出処理(
図8のステップS9)について説明する。
図9は、
図8のステップS9に示す照度算出処理の処理手順を示すフローチャートである。
図9に示す各ステップは、主として、情報処理装置100のCPU101によって実行される。
【0071】
図9を参照して、情報処理装置100のCPU101は、迷光補正後の画像データから対応する撮像ポイントについての輝度分布を算出して、輝度配光データとして格納する(ステップS901)。
【0072】
図10および
図11は、
図9の輝度配光データの格納処理(ステップS901)での処理を説明するための図である。
図10(a)に示すように、迷光補正後の1または複数の画像データから、各測定点Vn(xv,yv,zv)について、測定角度毎の輝度が取得される。各測定点Vnは、カメラ10で撮像される画像データ(受光素子上の画素値の集合)内の座標として特定される。測定点Vnを含む1または複数のピクセルの画素値を用いて、測定角度毎の輝度が算出される。好ましくは、測定点Vnを基準として設定される予め定められたエリア内における撮像画像の明るさの累積平均値が用いられる。また、カメラ10の位置(カメラ位置Camera(pxc,pyc,pzc))と各測定点Vn(xv,yv,zv)との位置関係(相対位置)から測定角度が決定される。
【0073】
最終的に、各測定点Vn(xv,yv,zv)について、測定角度毎の輝度B(Vn,X1,Y1),B(Vn,X2,Y2),B(Vn,X3,Y3),…が算出される。
【0074】
例えば、
図11に示すような配列構造を利用して、測定角度に関連付けられたそれぞれの輝度が格納される。この配列構造に格納されるそれぞれの輝度が輝度配光データの要素となる。サンプル2が有する配光特性に応じて、輝度の大きさは測定角度毎に異なり得る。
図11に示す配列構造に限らず、任意のデータ格納方法を採用してもよい。
【0075】
再度
図9を参照して、CPU101は、照度算出点の決定処理を実行する(ステップS902)。この照度算出点の決定処理において、CPU101は、照度を算出すべき領域を任意に設定し、その設定した領域に含まれる1つの点を照度算出点として決定し、その空間座標を取得する。
【0076】
図12は、
図9の照度算出点の決定処理(ステップS902)を説明するための図である。照度算出点は、どのような座標系を用いて定義してもよいが、例えば、XY座標系、αβ座標系、φθ座標系などを用いることができる。
図12には、XY座標系で照度を算出すべき領域を定義するとともに、その領域上に設定される照度算出点の一例を示す。
図12に示すXY座標系においは、軸の中心を空間座標の原点(0,0,0)として、設定された照度算出点が定義される。
【0077】
再度
図9を参照して、CPU101は、輝度配光データを取得している複数の測定点のうちいずれか1つの測定点を選択し(ステップS903)、選択した測定点について、照度算出点に対する見込み角度を算出する(ステップS904)。
【0078】
図13は、
図9の照度算出点に対する見込み角度の算出処理(ステップS904)を説明するための図である。
図13を参照して、選択された測定点Vnの座標値を(xv,yv,zv)とし、照度算出点Gnの座標値を(xg,yg,zg)とする。これらの座標値の関係から、選択された測定点Vnについて、照度算出点Gnに対する見込み角度Θx,Θyがそれぞれ算出される。見込み角度Θx,Θyは、選択された測定点Vnから照射された光束が照度算出点Gnに到達するための角度である。
【0079】
再度
図9を参照して、CPU101は、選択した測定点に関連付けられた輝度配光データから、ステップS904において算出した見込み角度に関連する輝度を検索する(ステップS905)。
【0080】
図14は、
図9の見込み角度に関連する輝度を検索する処理(ステップS905)を説明するための図である。
図14に示すように、各測定点Vn(xv,yv,zv)について、測定角度毎の輝度が算出されているが、それぞれの測定角度は離散的に決定されるため、ステップS904において算出した見込み角度に対応する輝度が格納されていない場合が多い。そのため、
図14に示すような配列構造を利用して、算出された見込み角度Θx,Θyに近接している見込み角に対応する輝度を用いて、見込み角度Θx,Θyに対応する輝度を算出する。
図14に示す例では、2次元配列上の見込み角度Θxと見込み角度Θyとの交点300に近接する4つの格納アドレス(配列位置301,302,303,304)が抽出される。
【0081】
再度
図9を参照して、CPU101は、見込み角度の近傍にある複数の輝度から、算出した見込み角度に対応する輝度を算出し(ステップS906)、光度補正係数を用いて、算出した輝度を光度に変換し、選択されている照度算出点に関連付けられた照度格納データに当該算出した光度を加算する(ステップS907)。
【0082】
そして、CPU101は、輝度配光データを取得している複数の測定点のすべてについての選択が完了したか否かを判断する(ステップS908)。複数の測定点のうち選択が完了していないものがあれば(ステップS908においてNO)、CPU101は、別の測定点を選択し(ステップS909)、ステップS904以下の処理を実行する。
【0083】
これに対して、複数の測定点のすべてについての選択が完了していれば(ステップS908においてYES)には、CPU101は、選択されている照度算出点に関連付けられた照度格納データの値を、当該照度算出点における照度として出力する(ステップS910)。
【0084】
すなわち、1つの照度算出点について、すべての測定点から照射される輝度(または、変換によって得られる光度)が加算される。そして、すべての測定点についての輝度(または、光度)の加算処理が完了すると、その加算結果が対応する照度算出点における照度となる。
【0085】
この一連の処理が他の照度算出点についてもそれぞれ実行される。すなわち、照度を算出すべき領域から照度算出点が順次特定され、上述した処理が繰り返し実行される。より具体的には、CPU101は、照度を算出すべき領域に含まれる複数の照度算出点のすべてについての選択が完了したか否かを判断する(ステップS911)。複数の照度算出点のうち選択が完了していないものがあれば(ステップS911においてNO)、CPU101は、別の照度算出点を選択し(ステップS912)、ステップS904以下の処理を実行する。
【0086】
これに対して、複数の照度算出点のすべてについての選択が完了していれば(ステップS911においてYES)、照度算出処理(
図8のステップS9)は終了する。
【0087】
<G.測定結果例>
次に、本実施の形態に従う配光特性測定方法によって得られた測定結果の一例を示す。
【0088】
図15は、本実施の形態に従う配光特性測定装置1によって撮像された画像データの一例を示す図である。
図15(a)には、輝度が最大となる部分でも飽和しないように撮像感度を調整して撮像された画像データを示し、
図15(b)には、
図15(a)に示す画像データが撮像されたときの撮像感度を10倍にして撮像された画像データを示す。いずれの画像データにおいても、不感帯領域は四隅にパッチ状に配置されている。特に、
図15(b)に示す状態で撮像された画像データでは、暗部に対する迷光の影響が大きくなるが、上述したような迷光補正処理を実施することで、その影響を低減できる。
【0089】
図16は、本実施の形態に従う配光特性測定方法によって得られた照度分布を画像化した結果を示す図である。
図17は、
図16に示す画像化された照度分布のA−A’断面における照度を示す図である。
図17には、同一のサンプルについて、本実施の形態に従う迷光補正を行なった場合の測定結果と、そうでない場合の測定結果を比較して示す。
【0090】
図16に示すような画像内の一部に照度のピーク(明部)が存在するようなサンプルに対して、本実施の形態に従う配光特性測定方法は、
図17に示すように、暗部の生じる迷光の影響を低減できていることがわかる。
【0091】
<H.空間的な迷光補正処理>
上述したような取得された画像データ全体から算出されたオフセット値を差し引くような迷光補正処理を採用してもよいが、空間的な分布を考慮して、迷光補正処理を行なってもよい。
【0092】
カメラ10の受光素子11およびレンズ14が有している空間的な広がりに依存して、発生する迷光の強度に位置の分布が生じ得る。そのため、被写体となるサンプル2を囲むように複数の不感帯領域を配置し、これらの不感帯領域の画素値(迷光強度)を用いて迷光強度分布を推定し、推定した迷光強度分布に応じた迷光補正量を画像データに反映してもよい。このとき、サンプル2からの光がカメラ10の受像面に入射することを阻害する阻害部材(
図6(a)のフード17または
図6(b)のフード18)は、サンプル2からの光が入射しない領域(不感帯領域)が画像データ内に複数形成されるように構成される。
【0093】
図18は、本実施の形態に従う配光特性測定方法における空間的な迷光補正処理を説明する模式図である。
図18(a)に示すように、撮像された画像データ20内のそれぞれのパッチ領域22の画素値(迷光強度)によって仮想的に定義される迷光強度分布26を想定する。説明の便宜上、
図18(a)には、平面状の迷光強度分布26を示すが、より多くの次数を有する曲面を採用してもよい。平面状の迷光強度分布26は、パッチ領域22の迷光強度から線形補間によって決定でき、曲面の迷光強度分布26は、パッチ領域22の迷光強度からスプライン補間などによって決定できる。
【0094】
図18(b)は、あるカメラ10に生じ得る迷光寄与パターンの一例を示す図である。発生する迷光の空間分布は、サンプル2の位置および形状、ならびにカメラ10の受像面(受光素子11)の位置などに依存して変化する。迷光寄与パターンは、発生する迷光の空間分布を規格化したものである。この迷光寄与パターンは、カメラ10の受像面に対する迷光の分布を予め計測することで取得できる。
【0095】
この迷光寄与パターンに対して、実際の測定時に生じている迷光強度分布26を反映して、現実の迷光補正量を算出する。
図18(c)には、2次元的な迷光補正量を示す迷光画像の一例を示す。
図18(c)に示す迷光画像は、
図18(b)に示す迷光寄与パターンに迷光強度分布26を乗じたものである。
図18(c)に示す迷光画像の例では、紙面左上側により多くの迷光が発生していることがわかる。この迷光補正量を画像データから差し引くことで、迷光補正後の画像データを生成する。
【0096】
上述のように、配光特性測定装置1(情報処理装置100)は、それぞれの不感帯領域13の画素値から画像データ内の迷光強度分布26を算出し、算出した迷光強度分布26と予め定められた迷光寄与パターンとに基づいて、画像データ内の補正パターン(2次元的な迷光補正量)を決定する。
【0097】
このような空間的な迷光補正処理を行なうことで、例えば、カメラ10内部の温度変化などによって迷光の発生度合いに空間的な偏りが生じるような場合であっても、適切な迷光補正が可能になる。
【0098】
<I.利点>
自動車のヘッドライトなどのように、指向性の強い光源を測定する場合には、カメラで撮像した画像内に含まれる発光部分は非常に狭く、多くの部分が暗部で構成される。照度および光度を算出する処理では、測定対象となる光源の発光部分(明部)だけではなく、非発光部分(暗部)の情報も必要となるが、本実施の形態に従う迷光補正処理を実施することで、より高い精度での測定が可能になる。
【0099】
上述した説明によって、本実施の形態に従う配光特性測定装置および配光特性測定方法に係るそれ以外の利点については明らかになるであろう。
【0100】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。