特許第6486183号(P6486183)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6486183
(24)【登録日】2019年3月1日
(45)【発行日】2019年3月20日
(54)【発明の名称】燃料補給システムおよびその組立方法
(51)【国際特許分類】
   B60K 15/04 20060101AFI20190311BHJP
   F02M 37/00 20060101ALI20190311BHJP
【FI】
   B60K15/04 E
   F02M37/00 301M
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-88545(P2015-88545)
(22)【出願日】2015年4月23日
(62)【分割の表示】特願2014-191818(P2014-191818)の分割
【原出願日】2014年9月19日
(65)【公開番号】特開2015-180562(P2015-180562A)
(43)【公開日】2015年10月15日
【審査請求日】2017年9月8日
(31)【優先権主張番号】14/032,982
(32)【優先日】2013年9月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100125874
【弁理士】
【氏名又は名称】川端 純市
(74)【代理人】
【識別番号】100189544
【弁理士】
【氏名又は名称】柏原 啓伸
(72)【発明者】
【氏名】小林 和宏
(72)【発明者】
【氏名】野畑 秀和
(72)【発明者】
【氏名】冨松 将
(72)【発明者】
【氏名】波賀野 博之
【審査官】 結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第6336482(US,B1)
【文献】 特開2003−182386(JP,A)
【文献】 特開2010−234928(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0213963(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 15/04,
F02M 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面および管端部を有する燃料補給管と、
前記管端部内で少なくとも部分的に前記燃料補給管の内面に連結されたロッキングブラケットであって、前記ロッキングブラケットは第1の端部及び第2の端部を有する、ロッキングブラケットと、
前記管端部内に連結可能であり、且つ外壁と前記外壁から延在する半径方向可動タブとを有する閉鎖装置と、を備え、
前記半径方向可動タブは、前記ロッキングブラケットに対する第1の回転位置から前記ロッキングブラケットに対する第2の回転位置への前記閉鎖装置の回転の後、前記ロッキングブラケットの前記第1の端部及び前記第2の端部のうちの少なくとも一方に係合して、前記ロッキングブラケットに対する反対の方向での前記閉鎖装置の回転を防止し、
前記閉鎖装置は、
前記半径方向可動タブを、前記外壁にたわみ可能に接続するウェブと、
弱領域であって、前記第2の回転位置から前記第1の回転位置への前記閉鎖装置の強制的な回転時に前記弱領域が前記外壁からの前記ウェブの分離を促進するように、前記ウェブにおいて画定される、弱領域と、
を更に備える、
自動車用の燃料補給システム。
【請求項2】
前記半径方向可動タブは、前記閉鎖装置の前記管端部の中への挿入と、前記第1の回転位置から前記第2の回転位置への前記閉鎖装置の回転とのうちの少なくとも1つの間、内向き方向にたわむように構成される、
請求項1記載の燃料補給システム。
【請求項3】
前記半径方向可動タブは、前記ロッキングブラケットにおける寸法の変動に適合するように構成される、
請求項1記載の燃料補給システム。
【請求項4】
前記閉鎖装置は、前記ウェブ及び前記半径方向可動タブのうちの少なくとも1つを、前記外壁にたわみ可能に連結するテザー部材をさらに備える、
請求項1記載の燃料補給システム。
【請求項5】
前記テザー部材は、前記半径方向可動タブが前記ウェブによって前記外壁にもはや連結されていないときであっても、前記半径方向可動タブを前記外壁に連結する、
請求項4記載の燃料補給システム。
【請求項6】
前記閉鎖装置は、前記閉鎖装置の前記燃料補給管の中への過挿入を防止する挿入制限構造物をさらに備える、
請求項1記載の燃料補給システム。
【請求項7】
前記挿入制限構造物は、前記閉鎖装置の前記外壁から延在する少なくとも1つのフランジを備える、
請求項6記載の燃料補給システム。
【請求項8】
燃料補給管を有するキャップレス燃料補給システム用の閉鎖装置であって、
第1の面であって、該第1の面において画定された開口を有する、第1の面と、
前記第1の面にヒンジ式に連結され、且つ前記開口を選択的に覆うように構成された枢動可能ドアと、
前記第1の面から延在する外壁と、
前記外壁から延在する半径方向可動タブであって、前記半径方向可動タブは、前記燃料補給管に対する第1の回転位置から前記燃料補給管に対する第2の回転位置への前記閉鎖装置の回転の後、前記燃料補給管の一部に係合して、前記燃料補給管に対する反対の方向での前記閉鎖装置の回転を防止する、半径方向可動タブと、
前記半径方向可動タブを、前記外壁にたわみ可能に接続するウェブと、
弱領域であって、前記第2の回転位置から前記第1の回転位置への前記閉鎖装置の強制的な回転時に前記弱領域が前記外壁からの前記半径方向可動タブの分離を促進するように、前記ウェブにおいて画定される、弱領域と、
を備える、閉鎖装置。
【請求項9】
前記半径方向可動タブは、前記閉鎖装置の前記燃料補給管の端部の中への挿入と、前記第1の回転位置から前記第2の回転位置への前記閉鎖装置の回転とのうちの少なくとも1つの間、内向き方向にたわむように構成される、
請求項8記載の閉鎖装置。
【請求項10】
前記半径方向可動タブは、前記燃料補給管における寸法の変動に適合するように構成される、
請求項8記載の閉鎖装置。
【請求項11】
前記閉鎖装置は、前記ウェブ及び前記半径方向可動タブのうちの少なくとも1つを、前記外壁にたわみ可能に連結するテザー部材をさらに備える、
請求項8記載の閉鎖装置。
【請求項12】
前記テザー部材は、前記半径方向可動タブが前記ウェブによって前記外壁にもはや連結されていないときであっても、前記半径方向可動タブを前記外壁に連結する、
請求項11記載の閉鎖装置。
【請求項13】
前記閉鎖装置は、前記閉鎖装置の前記燃料補給管の中への過挿入を防止する挿入制限構造物をさらに備える、
請求項8記載の閉鎖装置。
【請求項14】
前記挿入制限構造物は、前記閉鎖装置の前記外壁から延在する少なくとも1つのフランジを備える、
請求項13記載の閉鎖装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に自動車燃料補給システムに関し、より具体的には自動車用のキャップレス燃料補給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
少なくともいくつかの既知の自動車は、燃料補給管を使用する燃料補給システムを備え、この燃料補給管は、第1の端部において燃料を受けるように適合されるとともに、第2の端部において燃料タンクに連結される。燃料補給管の第1の端部は車体に連結され、典型的には、車体の外壁から離間されて画定された凹部内に連結される。外壁に装着されたドアは、当該凹部へのアクセス(接続)を提供する。通常、燃料キャップは第1の端部に着脱可能に連結されて、燃料供給の間にはアクセスを提供するとともに自動車の運転中には第1の端部を閉鎖する。より最近には、ある自動車は、燃料キャップを取り除くことなく第1の端部へのアクセスを可能にするキャップレス燃料補給システムを備える。少なくともいくつかの既知のキャップレス燃料補給システムは、燃料補給管の第1の端部に連結された閉鎖(クロージャ)装置を備える。より具体的には、少なくともいくつかの自動車燃料補給システムにおいて、閉鎖装置は燃料補給管の第1の端部の中に挿入されて、燃料ポンプノズルがそこに挿入されることを可能にするように方向付けられる。例えば、米国特許第6336482号明細書に既知のキャップレス燃料補給システムが示される。



【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
少なくともいくつかの既知のキャップレス燃料補給システムにおいて、閉鎖装置は自動車の運転中には燃料補給管を実質的に封止(シール)して、燃料補給管からの燃料蒸気の漏出を実質的に防止するとともに、燃料補給システムへの水または他の汚染物質の侵入を実質的に防止する。そのようなキャップレス燃料補給システムでは、車体の外壁に装着されたドア以外には、燃料補給管および/または閉鎖装置へのアクセスをコントロールするための付加的なカバーまたはキャップは使用されない。
【0004】
少なくともいくつかの既知の燃料補給システムにおいて、閉鎖装置は、スナップフィット連結機構を介して、燃料補給管の第1の端部に連結される。他の既知の燃料補給システムにおいて、閉鎖装置は、ねじ連結機構を介して、燃料補給管の第1の端部に連結される。いくつかのそのような連結機構は、燃料補給管端部上に画定された連結構造物を含み、またいくつかの例においては、燃料補給管端部において画定された連結構造物を含む。このことは、燃料補給管端部の複雑性と、燃料補給管端部の製造に関連するコストとを増加させ得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの実施形態において、自動車用の燃料補給システムが提供される。本システムは、内面および管端部を有する燃料補給管を備える。本システムはまた、管端部内に連結可能な閉鎖装置を備える。本システムはまた、管端部内で少なくとも部分的に燃料補給管の内面に連結されたロッキングブラケットを備える。ロッキングブラケットは、閉鎖装置の管端部の中への挿入の間、燃料補給管に対する閉鎖装置の適切なアラインメントを促進する少なくとも1つの通路を画定する。
【0006】
もう1つの実施形態において、自動車用の燃料補給システムの組立方法が提供される。本方法は、閉鎖装置上で方向付けられた少なくとも1つの取り外し防止構造物を、
燃料補給管端部の内面上で方向付けられたロッキングブラケットによって画定される少なくとも1つのアラインメントの通路とアラインさせるステップを含む。本方法はまた、少なくとも1つの取り外し防止構造物が少なくとも1つのアラインメントの通路を通過するように、閉鎖装置を燃料補給管端部の中に挿入するステップを含む。
【0007】
検討される特徴、機能、および利点は、種々の実施形態において独立に達成可能であり、または、さらに別の実施形態において組み合わせられることができる。これらのさらなる詳細は、以下の説明および図面を参照して理解可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】例示的な燃料補給管端部アセンブリの側面図である。
図2図1に示す燃料補給管端部アセンブリの拡大斜視断面図である。
図3図1に示す燃料補給管端部アセンブリの分解斜視図である。
図4図1に示す燃料補給管端部アセンブリとともに使用されることができる例示的なロッキングブラケットの端部正面図である。
図5図1に示す燃料補給管端部アセンブリとともに使用されることができる例示的な閉鎖装置の端部正面図である。
図6】閉鎖装置を燃料補給管端部に装着するために実施されることができる例示的な方法のフローチャートである。
図7】変形例の燃料補給管端部アセンブリの側断面図である。
図8】変形例の燃料補給管端部アセンブリの斜視図である。
図9図8に示す燃料補給管端部アセンブリのもう1つの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書において説明される燃料補給システムおよび組立方法は、補給管端部内においてロッキング構造物および回転防止構造物を画定する必要性が回避されるように、燃料補給管端部内に装着される閉鎖装置を提供することによって、既知の自動車燃料補給システムの少なくともいくつかの欠点を克服する。より具体的には、本明細書において説明される燃料補給システムおよび組立方法は、管端部それ自身内のロッキング構造物および回転防止構造物を含むことに関連するコストが回避されるように、管端部の内面に連結する単純化されたロッキングブラケットを提供する。また、本明細書において説明される燃料補給システムおよび組立方法は、閉鎖装置の管端部への単純化された組み付け(アセンブリ)を提供する。さらに、本明細書において説明される燃料補給システムおよび組立方法は、管端部内の閉鎖装置の確実な位置決めを可能にする。また、本明細書において説明される燃料補給システムおよび組立方法は、管端部内の閉鎖装置の望まれない緩みを実質的に防止する確実な回転防止保護を提供する。また、本明細書において説明される燃料補給システムおよび組立方法は、燃料補給管端部を取り外すまたは切断する必要のない、燃料補給管端部からの閉鎖装置の取り外しを可能にする。
【0010】
本明細書において用いるように、単数形で、単語「a(1つ)」または「an(1つ)」に続けて記載する構成要素またはステップは、除外を明示的に記載しない限り、複数の構成要素または複数のステップを除外しないものと理解されるべきである。またさらに、本発明の「1つの実施形態」または「例示的な実施形態」に対する言及は、記載した特徴を同様に組み入れた付加的な実施形態の存在を除外するものとして解釈されることを意図するものではない。
【0011】
図1〜5は、例示的な燃料補給システム10を示す。特に、図1はシステム10の側断面図である。システム10は、燃料補給管11と、閉鎖装置16と、閉鎖装置16を燃料補給管11に連結するために使用されるロッキングブラケット14とを備える。システム10および当該システム10とともに使用される燃料補給管11は、共通の中心軸Cを共有する。管11は、管端部12を備える。ロッキングブラケット14は、管端部12の内面22に連結される。燃料補給管11の反対側の端部13は、燃料タンク17に連結される。例示的な実施形態において、ロッキングブラケット14は管端部12内に挿入されて、システム10が本明細書において説明されるように機能することを可能にする任意の適切な絞付方法を用いて内面22に固定される。この絞付方法は例えば溶接であるがこれに限定されない。
【0012】
システム10の組み立て(アセンブリ)の間、閉鎖装置16は、ロッキングブラケット14に連結される。閉鎖装置16は、枢動(ピボット)可能ドア18と、外部構造物20とを備える。外部構造物20は、閉鎖装置16とロッキングブラケット14との間の相互作用を用いて、管端部12に連結される。例示的な実施形態において、外部構造物20は、管端部12を車体19に連結させる。例示的な実施形態において、管端部12およびロッキングブラケット14は、複数の金属材料から製作される。閉鎖装置16はまた、第1のロッキング構造物26と、第1の回転防止構造物28と、第2のロッキング構造物27とを備える。例示的な実施形態において、閉鎖装置16は、少なくとも1つの金属材料、少なくとも1つのプラスチック材料、および/または、閉鎖装置16が本明細書において説明されるように機能することを可能にする複数の材料の任意の組み合わせから製作される。ロッキングブラケット14の第1の端部24は、回転防止構造物28によって捕獲される。第1の端部24は、端縁56を含む。例示的な実施形態において、回転防止構造物28は弾性的な自己調整構造物33を備え、この自己調整構造物33は、例えば溶接配置の変動および部品の許容誤差によって引き起こされ得るロッキングブラケット14の角度と寸法の変動に適応するサイズを有する。例示的な実施形態において、自己調整構造物33は、弾性ばね面である。閉鎖装置16はまた、ストップフランジ35を備える。例示的な実施形態において、本明細書において特に説明される場合を除いて、閉鎖装置16は、燃料補給システム10が本明細書において説明されるように機能することを可能にする任意の適切な構成を備える。
【0013】
図2は、図1におけるシステム10の図に比較してシステム10の反対側から見たときの、ロッキングブラケット14および閉鎖装置16の斜視端部図である。(図1に示す)管端部12は、図示の単純化のために、図2から省略されている。例示的な実施形態において、ロッキングブラケット14は、第2の回転防止構造物32によって捕獲される第2の端部30を介して、部分的に閉鎖装置16に連結される。第2の端部30は、端縁54を含む。例示的な実施形態において、第2の回転防止構造物32は、可動タブ36から張り出た(延在する)フック34を備える。タブ36は、当該タブ36が閉鎖装置16の実質的に円筒形状の外壁38に対して内向き方向および外向き方向に向かって移動可能であるように、以下にさらに詳細に説明されるようにたわみ可能に支持される。閉鎖装置16は、第3のロッキング構造物29を備える。例示的な実施形態において、ロッキング構造物26,27,および29はそれぞれ、外壁38から半径方向外向きに張り出た(延在する)、円周方向に延在するフランジである。変形例として、ロッキング構造物26,27,および29は、システム10が本明細書において説明されるように機能することを可能にする任意の構成を有する。
【0014】
図3は、管端部12と、ロッキングブラケット14と、閉鎖装置16とを含む、システム10の単純化された斜視分解図である。図4は、ロッキングブラケット14の端部正面図である。図5は、閉鎖装置16の端部正面図である。閉鎖装置16の(図1に示す)外部構造物20は、図示の単純化のために、図3および5から省略されている。例示的な実施形態において、ロッキングブラケット14は、不規則な(凹凸を有する)割りリング形状を有する。端部24および30に加えて、ロッキングブラケット14は、半径方向外方延在部40および42と、半径方向内方延在部44とを備える。第1の端部24は側縁25を含み、第2の端部30は側縁31を含む。
【0015】
例示的な実施形態において、ロッキングブラケット14は2つの半径方向外方延在部40および42を備え、これら2つの半径方向外方延在部40および42はそれぞれ、ロッキングブラケット14の、管端部12の内面22への連結を可能にする。変形例の実施形態において、システム10が本明細書において説明されるように機能することを可能にする任意の数の半径方向外方延在部が使用されてもよい。閉鎖装置16は、特に図3において単純化されて図示されており、これによって、回転防止構造物28および32はもちろんロッキング構造物26,27,および29の相対的な位置が示されている。例示的な実施形態において、回転防止構造物32は、図3に図示するように、外壁38から根元部39に沿って延在するウェブ37を備える。タブ36(図2)は、ウェブ37から半径方向外向きに張り出ている(延在している)。
【0016】
燃料補給システム10は、既知の燃料補給システムの少なくともいくつかの欠点を克服し、および/または、既知の燃料補給システムに勝る利点を提供する。燃料補給システム10は、管端部12の内面22に連結されたロッキングブラケット14の使用はあるが、それに含まれるねじまたは他のロッキング機構を含まない管端部12の使用を可能にする。また、複数のおよび/または高精度のプレス、または他の成形技術を使用するねじ連結機構またはスナップフィット機構を含む管端部の使用を回避することによって、製造コストを削減することができる。さらに、燃料補給システム10は、回転防止構造物28および32を提供することによって、閉鎖装置16の燃料補給管11への確実な連結を提供し、このことは閉鎖装置16のロッキングブラケット14への、また同様に管端部12への、確実なロッキングを促進する。燃料補給システム10は、ロッキングブラケット14の端部24、内方延在部44、および端部30にそれぞれ係合するロッキング構造物26,27,および29を用いて、燃料補給管11からの閉鎖装置16の取り外しに対する付加的なセキュリティを提供して、ロッキングブラケット14が管端部12から引き出されることを防止する。また、燃料補給システム10は、管端部12に対するロッキングブラケット14の寸法、形状、および/または配置の変動に適合する自己調整構造物33の形式の機構を提供して、管端部12に対する閉鎖装置16の適切なアラインメントおよび位置決めを確実にする。
【0017】
図6は、システム10などの燃料補給管−閉鎖装置アセンブリの例示的な組立方法を示す。(図6において左から右に示される)ステップ100〜104の各々に対して、端部の図(図6の上側部分)および側面図(図6の下側部分)が示されている。ステップ100において、ロッキングブラケット14は、溶接などの、システム10が本明細書において説明されるように機能することを可能にする任意の適切な連結方法を用いて、管端部12の内面22に連結される。半径方向外方延在部40および42は、内面22に対して並置される一方、半径方向内方延在部44は、第1の端部24と第2の端部30がそうであるように、内面22から離間される。半径方向外方延在部40および42はそれぞれ、通過経路50および52を画定する。
【0018】
ステップ102において、閉鎖装置16は、矢印Aの方向に、管端部12の中に挿入される。図示の単純化のために、回転防止構造物28と、回転防止構造物32と、ロッキング構造物26,27,および29とを除いて、閉鎖装置16の多くの部分は省略されている。閉鎖装置16はまた、(図1および2に示す)ドア18のための支持構造物51を備える。閉鎖装置16を管端部12の中に挿入するために、第2のロッキング構造物27は経路50とアラインされ、また第3のロッキング構造物29は経路52とアラインされる。したがって、経路50および52はそれぞれ、第2のロッキング構造物27および第3のロッキング構造物29のためのアラインメントの経路を画定する。側縁25および31(図3参照)ならびに内方延在部44は、上述のアラインメントがないため、閉鎖装置16の管端部12の中への挿入を防止する複数の停止(ストップ)構造物を画定する。閉鎖装置16の管端部12の中への挿入の間、第2のロッキング構造物27は経路50を通過し、また第3のロッキング構造物29は経路52を通過する。閉鎖装置16の(図1に示す)ストップフランジ35が、ロッキングブラケット14に係合して閉鎖装置16の管端部12の中への過挿入を防止するとき、閉鎖装置16の管端部12の中への挿入は完了する。説明された実施形態において、(図5に示す)タブ36は、閉鎖装置16の管端部12の中への挿入の間、内面22に対して半径方向内向きにたわめられる。タブ36は、タブ36の半径方向内向きのたわみを促進するために、傾斜した側縁(図示せず)を含んでもよい。
【0019】
ステップ104において、閉鎖装置16は、矢印Bの方向に回転される。所定の量の回転の後、回転防止構造物32は、ロッキングブラケット14の第2の端部30に係合して、第2の端部30を、(図1に示す)管端部12の内面22に向かって半径方向外向きにたわめる。代替の実施形態において、タブ36は、内面22に関して半径方向内向きにたわめられる。別の代替の実施形態において、第2の端部30およびタブ36の両方は、説明されたようにたわめられる。ロッキングブラケット14に対する矢印Bの方向への閉鎖装置16の回転が続けられた後、タブ36のフック34は、ロッキングブラケット14の端縁54を通過する。これは、端縁54がフック34によって捕獲されるように、第2の端部30が半径方向内向きに移動することを可能にし、および/または、タブ36が半径方向外向きに移動することを可能にする。ロッキングブラケット14に対する閉鎖装置16の回転の間、回転防止構造物28は、第1の端部24の端縁56に係合する。ひとたびロッキングブラケット14が、端部24および30においてそれぞれ回転防止構造物28および回転防止構造物32によって捕獲されると、ロッキングブラケット14および管端部12に対する閉鎖装置16のさらなる回転は、実質的に防止される。さらに、(図1および2に示す)ロッキング構造物26,27,および29は、閉鎖装置16が管端部12から引き抜かれることを防止する複数の取り外し防止構造物を画定する。代替の実施形態において、任意の数のフランジまたは他の複数の取り外し防止構造物が提供され、このことは、システム10が本明細書において説明されるように機能することを可能にする。
【0020】
例示的な実施形態において、システム10の組み立ての後のある時点において、燃料補給管11から閉鎖装置16を取り外す必要性が生じる場合がある。閉鎖装置16の取り外しは、ロッキングブラケット14から閉鎖装置16を係脱することを含む。ロッキングブラケット14から閉鎖装置16を係脱するために、閉鎖装置16は、(図6に示す)矢印Bの方向とは反対の方向に回転される。所定の大きさを超えるねじる力を閉鎖装置16に印加すると、ウェブ37は根元部39に沿って外壁38から離脱して、ウェブ37およびタブ36が閉鎖装置16の外壁38から自由に離れ落ちることが可能になる。ウェブ37およびタブ36が閉鎖装置16から分離された後、閉鎖装置16が矢印Bとは反対の方向にさらに回転されると、第2のロッキング構造物27は経路50とアラインされることができるとともに、第3のロッキング構造物29は経路52とアラインされることができる。閉鎖装置16はこの場合、第2のロッキング構造物27が経路50を通過するように且つ第3のロッキング構造物29が経路52を通過するようにして、燃料補給管11から引き抜かれることがでる。
【0021】
図7は、図1〜6に示す例示的な燃料補給システム10の代替の実施形態68の模式的な側断面図である。燃料補給システム68は閉鎖装置(図示せず)を備え、当該閉鎖装置は、説明される実施形態において、図1〜3,5,および6に示した閉鎖装置16と同一または類似の構成を有する。代替の実施形態において、システム68は、燃料補給管−封止ブラケットアセンブリ70を備える。説明される実施形態において、アセンブリ70は燃料補給管72を備える。当該燃料補給管72は少なくとも1つの非金属材料から製作され、例えば高密度ポリエチレンなどから製作されるがこれに限定されない。システム10が備える(図1に示す)金属製のロッキングブラケット14に替えて、アセンブリ70は、封止(シーリング)ブラケット74を備える。例示的な実施形態において、封止ブラケット74は、高密度ポリエチレンなどの、少なくとも1つの非金属材料から製作される。変形例として、燃料補給管72および封止ブラケット74は、アセンブリ70が本明細書において説明されるように機能することを可能にする任意の適切な材料から製作されてもよい。封止ブラケット74は、封止部材78を介して、燃料補給管72の端部76に連結される。
【0022】
説明される実施形態において、封止ブラケット74はロッキング部80を備え、当該ロッキング部80は図1〜4のロッキングブラケット14の構成と類似する構成を有する。より具体的には、ロッキング部80は、矢印Bの方向から見ると、図4に示すようなロッキングブラケット14の構成と同一のまたは実質的に類似する構成を有する。例えば、ロッキング部80は、(図1〜3に示す)閉鎖装置16の回転防止構造物28および32などの回転防止構造物によって捕獲されるように構成された端縁82および84を含む。さらに、ロッキング部80は、システム10の(図5に示す)ロッキング構造物26,27,および29などの、ロッキング構造物と協働するように構成された端縁86を含む。したがって、(図1〜3に示す)システム10の閉鎖装置16に類似するように構成された(図7に示さない)閉鎖装置は、図6に関して説明された方法に実質的に類似する方法で、封止ブラケット74および燃料補給管72を用いて組み立てられることができる。
【0023】
したがって、燃料補給システム68は、システム10が機能する方法に類似する方法で機能し、システム10と同一のまたは類似する利点を提供し、システム10と同一の方法で、少なくともいくつかの既知の燃料補給システムの欠点を克服する。特に、システム68は単純化された管端部76を用いるが、このとき連結構造物またはロッキング構造物が管端部76上に形成される必要はない。また、システム68は封止ブラケット74を提供し、封止ブラケット74は管端部76から離間されたロッキング部80を備え、管端部76は(図7に示されない)閉鎖装置と協働し、閉鎖装置は上述の閉鎖装置16と同一にまたは類似して構成され、これによってシステム68は、閉鎖装置の回転に対する改善された抗力(抵抗)と、および封止ブラケット74との連結の後の閉鎖装置の取り外しに対する抗力とを提供する。
【0024】
図8および9は、図1〜6に示す例示的な燃料補給システム10のもう1つの代替の実施形態を示す。図8は、燃料補給システム200の斜視図である。燃料補給システム200は、図1〜6に示すシステム10に類似して、燃料補給管202を備える。燃料補給管202は、燃料補給管202上で方向付けられた管端部204と、閉鎖装置206とを備える。閉鎖装置206は、管端部204に対してその取り付けられた(インストールされた)向きで、管端部204内で方向付けられたロッキングブラケット208によって支持され且つロッキングブラケット208と係合された状態で、図8に示される。閉鎖装置206の取り付けは、システム10における閉鎖装置16の管端部12の中への挿入に類似する方法で、遂行される。
【0025】
例示的な実施形態において、ロッキングブラケット208は、図3,4,および6に示すロッキングブラケット14と実質的に類似し、また、外方延在部203および205を備える。外方延在部203および205は、管端部204内の閉鎖装置206の取り付けおよび連結の後、図6に示す経路50および52に類似する経路209および211を画定する。図1〜6において示す実施形態において経路50および52がそれぞれ第2のロッキング構造物27および第3のロッキング構造物29のアラインメントの経路を画定した方法と類似して、経路209および211はそれぞれ、ロッキング構造物213および215のアラインメントの経路を画定する。閉鎖装置206が管端部204の中に挿入されるとき、ロッキング構造物213および215はそれぞれ、閉鎖装置206上で方向付けられ、経路209および211を通過する。回転防止構造物214は、以下にさらに詳細に説明されるように、閉鎖装置206上にたわみ可能に支持される。回転防止構造物214は、ロッキングブラケット208の端部210の縁212に並んで延在するタブ216を備える。
【0026】
図9は、(図8に示す)ロッキングブラケット208が省略された、燃料補給システム200の斜視図である。図9に示す閉鎖装置206は、燃料補給管202の管端部204の中に挿入される。例示的な実施形態において、回転防止構造物214は、タブ216を支持するウェブ218を備える。弱領域222は、ウェブ218の根元部220において画定される。より具体的には、例示的な実施形態において、弱領域222は、管端部204からの閉鎖装置206の取り外しの間、例えば閉鎖装置206からのウェブ218の分離を促進する。例えば、1つの実施形態において、弱領域222は、ウェブ218を横断して延在する折り線またはスコア線として構成されてもよい。代替の実施形態において、弱領域222は、システム200が本明細書において説明されるように機能することを可能にする任意の適切な方法で、画定される。回転防止構造物214はまた、ウェブ218から外壁207に延在するテザー(つなぎ)部材224を備える。
【0027】
図1〜6に示す例示的な実施形態に関連して本明細書において上述されたように、燃料補給システム200の組み立て(アセンブリ)の後に、燃料補給管202から閉鎖装置206を取り外す必要性が生じる場合がある。管端部204から閉鎖装置206を取り外すために、閉鎖装置206は、例えば矢印Dによって示すように(図8に示す)中心線201を中心とする時計回りの方向に、回転される。所定の大きさのねじる力を閉鎖装置206に印加すると、ブラケット端部210の縁212はタブ216を押して、弱領域222に沿ってウェブ218を根元部220から離脱させる。ウェブ218は、テザー部材224を介して外壁207に連結された状態を維持する。したがって、テザー部材224は、ウェブ218およびタブ216が燃料補給管202の中に落下することを防止する。ウェブ218およびタブ216が燃料補給管202に落下した場合、自動車の燃料システムおよび/またはエンジンに障害が生じ得る。閉鎖装置206の矢印Dの方向への回転が継続されると、ロッキング構造物213および215はそれぞれ経路209および211とアラインして、閉鎖装置206が管端部204から引き抜かれることが可能となる。
【0028】
したがって、燃料補給システム200は、システム10が機能する方法に類似する方法で機能して、システム10と同様のまたは類似する利点を提供し、システム10と同一の方法で少なくともいくつかの既知の燃料補給システムの欠点を克服する。特に、システム200は単純化された管端部204を用いるが、このとき連結構造物またはロッキング構造物が管端部204上に形成される必要はない。また、システム200は、閉鎖装置206と協働するロッキングブラケット208を提供して、閉鎖装置206の回転に対する改善された抗力(抵抗)と、ロッキングブラケット208の連結の後の閉鎖装置206の取り外しに対する抗力とを提供する。さらに、燃料補給システム200は、燃料補給管202を切断するまたは取り外すことなく、且つ、閉鎖装置206の一部を燃料補給管202内に残留させることなく、閉鎖装置206の取り外しを可能にする。
【0029】
燃料補給システムおよび組立方法の例示的な実施形態は、詳細に上述された。本システムおよび本方法は、本明細書において説明された特定の実施形態に限定されず、むしろ、システムの構成要素および/または方法のステップは、本明細書において説明された他の構成要素および/またはステップから独立して且つ分離して、利用されてもよい。例えば、本明細書において説明されたシステムおよび方法は、キャップレスと非キャップレスの両方の燃料補給システム閉鎖装置を用いて使用されてもよい。また、本システムは、他の製造システムおよび製造方法と組み合わせられて使用されてもよく、本明細書に記載の製造システムおよび製造方法のみを用いて実施されることに限定されない。むしろ、例示的な実施形態は、多くの他の自動車組立システムアプリケーションと関連して実施および使用されることができる。
【0030】
本発明の種々の実施形態の特別な特徴は、いくつかの図面において示され他の図面においては示されない場合があるが、これは単に便宜のためである。本発明の本質にしたがって、図面のいかなる特徴も、任意の他の図面の任意の特徴と組み合わせて、参照されることができ、および/または、特許請求の範囲において請求されることができる。
【0031】
この明細書は複数の実施例を用いて、ベストモードを含む本発明を開示するとともに、任意の当業者が、任意の装置またはシステムを作製または使用することおよび導入された方法の実施を含む、本発明の実施をすることを可能にする。特許可能な本発明の範囲は特許請求の範囲によって定義され、これは、当業者が想到する他の実施例を含む場合がある。そのような他の実施例は、それらが特許請求の範囲の文言と異ならない構造要素を有する場合、またはそれらが特許請求の範囲の文言からの非実質的な差異を有する均等な構造要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることを意図したものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9