(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の各実施形態は、一例として、リモコンRe(
図1参照)や携帯端末41,42(
図1参照)からの信号に基づいて制御される電気機器W(
図1参照)が、空気調和機である場合について説明する。
【0010】
≪第1実施形態≫
<電気機器制御システムの構成>
図1は、第1実施形態に係る電気機器制御システム100の構成図である。
電気機器制御システム100は、建物Kの付近の携帯端末41や、建物Kとは離れた場所の携帯端末42から送信される信号に基づいて、電気機器Wを遠隔制御するシステムである。
図1に示すように、電気機器制御システム100は、制御装置10と、ホームゲートウェイ20(ネットワーク機器:
図1では「HGW」と記載)と、Webサーバ30(ネットワーク機器)と、携帯端末41,42と、を備えている。
【0011】
制御装置10は、電気機器Wに接続され、この電気機器Wに所定の信号を送信したり、電気機器Wから運転状態を示す信号を受信したりするようになっている。また、制御装置10は、宅内ネットワークN1を介して、建物Kの付近(建物K内を含む)の携帯端末41に接続されている。宅内ネットワークN1は、例えば、無線LAN接続用のアクセスポイントである。
【0012】
また、制御装置10は、宅内ネットワークN1、ホームゲートウェイ20、宅外ネットワークN2、及びWebサーバ30を介して、建物Kから離れた場所の携帯端末42に接続されている。宅外ネットワークN2は、ホームゲートウェイ20とWebサーバ30と携帯端末42との中継を行うためのインターネット等のネットワークである。
【0013】
なお、建物K内に設置されている電気機器Wは、例えば、空気調和機であり、ユーザによるリモコンReの操作に応じて、冷房運転・暖房運転・除湿運転等を行うようになっている。また、電気機器Wは、制御装置10から所定の指令信号を受信した場合にも、この指令信号に応じて駆動するようになっている。
【0014】
ホームゲートウェイ20は、宅内ネットワークN1と宅外ネットワークN2との中継を行う装置である。
Webサーバ30は、携帯端末42から受信したデータや、制御装置10からホームゲートウェイ20等を介して受信したデータを記憶し、制御装置10や携帯端末42からの要求に応じて、前記したデータを適宜送信する機能を有している。
【0015】
携帯端末41は、例えば、スマートフォンや携帯電話であり、宅内ネットワークN1に接続されている。
携帯端末42は、例えば、スマートフォンや携帯電話であり、宅外ネットワークN2に接続されている。
【0016】
図2は、電気機器制御システム100が備える制御装置10の機能ブロック図である。
図2に示すように、制御装置10は、記憶部10aと、第一の通信部10bと、第二の通信部10cと、制御部10dと、を備えている。
【0017】
記憶部10aには、リモコンReを介した操作(又は直接の操作)によって電気機器Wが駆動した場合において、前記した操作によって設定される操作設定値が格納されている。この「操作設定値」として、例えば、空気調和機である電気機器Wの運転モード・設定温度・風向・風量が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0018】
その他、記憶部10aには、携帯端末41,42によって操作可能な電気機器の一覧や、電気機器の運転状態を示すデータ等が格納される。なお、記憶部10aとして、フラッシュメモリ、磁気ディスク、光ディスク等を用いることができる。
【0019】
第一の通信部10bは、例えば、Wi−Fi(登録商標)の規格に準拠した無線LAN接続用のインタフェースを備え、宅内ネットワークN1(
図1参照)を介してホームゲートウェイ20との間でデータ通信を行う機能を有している。
第二の通信部10cは、例えば、シリアル通信により電気機器Wとの間でデータ通信を行う機能を有している。
【0020】
制御部10dは、図示はしないが、マイコン(Microcomputer:図示せず)を備え、ROM(Read Only Memory)に記憶されたプログラムを読み出してRAM(Random Access Memory)に展開し、CPU(Central Processing Unit)が各種処理を実行するようになっている。制御部10dは、第一の通信部10bや第二の通信部10cを介したデータ通信に基づき、電気機器Wを制御するための所定の処理を行う機能を有している。なお、制御部10dが実行する処理については後記する。
【0021】
図3は、電気機器Wの機能ブロック図である。
図3に示すように、電気機器Wは、通信部Waと、受信部Wbと、制御部Wcと、を備えている。
通信部Waは、制御装置10との間でデータ通信を行うための通信機能を有する。
受信部Wbは、例えば、赤外線受光素子であり、電気機器Wの運転/停止指令、設定温度の変更、タイマの設定、運転モードの変更等のデータをリモコンReから受信するようになっている。
【0022】
制御部Wcは、図示はしないが、ROM、RAM、CPU等の電子回路を含んで構成されている。制御部Wcは、リモコンReから受信部Wbを介して受信したデータに基づき、電気機器Wが有する各機器(図示しない圧縮機、膨張弁、室内ファン、室外ファン等)を制御する機能を有している。また、制御部Wcは、制御装置10から通信部Waを介して受信したデータに基づいて、前記した各機器を制御する機能も有している。
【0023】
図4は、電気機器制御システム100が備える携帯端末41の機能ブロック図である。
図4に示すように、携帯端末41は、宅内通信部41aと、宅外通信部41bと、操作・表示部41cと、制御部41dと、を備えている。
【0024】
宅内通信部41aは、宅内ネットワークN1(
図1参照)を介して制御装置10との間でデータ通信を行う機能を有している。
宅外通信部41bは、宅外ネットワークN2(
図1参照)を介してWebサーバ30との間でデータ通信を行う機能を有している。
【0025】
操作・表示部41cは、制御部41dからの指令に基づく画面を表示したり、ユーザの操作を示す信号を制御部41dに出力したりする機能を有している。
制御部41dは、図示はしないが、ROM、RAM、CPU等の電子回路を含んで構成されている。制御部41dは、宅内通信部41aや宅外通信部41bを介したデータのやり取りや、操作・表示部41cでの操作に応じた処理を行う機能を有している。
なお、別の携帯端末42(
図1参照)については、前記した携帯端末41と同様の構成であるから、説明を省略する。
【0026】
次に、制御装置10(
図2参照)の記憶部10aに格納されているデータや、各機器の間の情報のやり取りについて説明する。
【0027】
図5(a)は、制御装置10の記憶部10aに格納されている操作設定値の説明図である。
図5(a)に示す例では、電気機器Wの運転モードの操作設定値として、暖房運転・冷房運転・除湿運転が、記憶部10aに格納されている。なお、「操作設定値」とは、リモコンReを介した操作(又は、電気機器Wへの直接の操作)によって電気機器Wが駆動した場合における設定値である。本実施形態では、「操作設定値」の一例として、電気機器Wの運転モード・設定温度・風向・風量を用いるものとする。
【0028】
ちなみに、運転モードも、制御装置10において数値化されるため、前記した「操作設定値」に含まれる。また、制御装置10は、電気機器Wに記憶されている操作設定値を所定周期で取得するようになっている。
【0029】
図5(a)に示す例では、電気機器Wの設定温度の操作設定値として、26℃、25℃、24℃、23℃、20℃、及び18℃が格納されている。これは、リモコンReの操作によって、これらの設定温度で過去に電気機器Wが駆動されたことを示している。その他、
図5(a)に示す例では、制御装置10の記憶部10aに、風向の操作設定値として自動・風よけが記憶され、風量の操作設定値として大・中・小が記憶されている。
【0030】
本実施形態では、操作設定値である運転モード・設定温度・風向・風量が、それぞれ、別個に(互いに関連付けられずに)記憶される場合について説明する。
【0031】
図6は、電気機器制御システム100における通信シーケンスである(適宜、
図1を参照)。なお、
図6の紙面左側に記載した「携帯端末」は、
図1に示す携帯端末41,42のうち任意のものを示している。
ステップS101においてリモコンReは、ユーザの操作に応じて、所定の操作設定値を電気機器Wに送信する。
【0032】
図5(b)は、制御装置10が電気機器Wから取得した今回の操作設定値の説明図である。つまり、
図5(b)は、前記したステップS101の処理によって、制御装置10が電気機器Wから取得した最新の操作設定値を示している。
図5(b)に示す例では、リモコンRe(
図1参照)を介した操作によって、運転モードとして暖房運転、設定温度22℃、風向は「風よけ」、風量は「中」が設定されている。これらのひとつひとつが、リモコンReの操作によって設定された「操作設定値」である。
【0033】
図6のステップS102において制御装置10は、電気機器Wへの操作確認を行う。前記した「操作確認」とは、リモコンReから電気機器Wに新たに送信された操作設定値があるかを確認し、この操作設定値を電気機器Wから取得するための処理である。
【0034】
ステップS103において制御装置10は、電気機器Wから操作設定値を取得する。つまり、制御装置10は、
図5(b)に示す操作設定値を電気機器Wから取得する。
ステップS104において制御装置10は、記憶処理を実行する。
【0035】
図7は、制御装置10が実行する記憶処理のフローチャートである。
ステップS1041において制御装置10は、制御部10dによって、今回の操作設定値と、既に記憶している操作設定値と、を比較する。例えば、運転モードの操作設定値に関して、制御装置10は、今回の操作設定値である「暖房運転」(
図5(b)参照)と、既に記憶している操作設定値である「暖房運転」・「冷房運転」・「除湿運転」(
図5(a)参照)と、を比較する。
また、設定温度の操作設定値に関して、制御装置10は、今回の操作設定値である設定温度22℃(
図5(b)参照)と、既に記憶している操作設定値である設定温度26℃、25℃、24℃、23℃、20℃、18℃と、を比較する。なお、風向や風量についても同様である。
【0036】
ステップS1042において制御装置10は、制御部10dによって、既に記憶している操作設定値の中に、今回の操作設定値と一致するものが存在するか否かを判定する。
例えば、設定温度の操作設定値に関しては、既に記憶している操作設定値(
図5(a)参照)の中に、今回の操作設定値である設定温度22℃(
図5(b)参照)と一致するものがない。
【0037】
ステップS1042において、既に記憶している操作設定値の中に、今回の操作設定値と一致するものが存在しない場合(S1042:No)、制御装置10の処理はステップS1043に進む。
【0038】
ステップS1043において制御装置10は、設定温度に関して、今回の操作設定値である設定温度22℃(
図5(b)参照)を記憶する。つまり、制御装置10は、今回の操作設定値を、新たな操作設定値として記憶部10aに追加する。このようにして制御装置10は、電気機器Wへの直接又はリモコンReを介した操作による操作設定値を記憶部10aに蓄積していく。なお、操作設定値の他の種別(運転モード・風向・風量)についても、ステップS1041〜S1043の処理が実行される。
【0039】
また、ステップS1042において、運転モード・設定温度・風向・風量のいずれに関しても、既に記憶している操作設定値の中に、今回の操作設定値と一致するものが存在する場合(S1042:Yes)、制御装置10は記憶処理を終了する(END)。なお、
図7に示す一連の記憶処理は、所定周期(例えば、数分ごと)で繰り返される。
【0040】
次に、一例として、電気機器Wを遠隔操作するための遠隔操作設定値を、宅外の携帯端末42(
図1参照)から送信する場合について説明する。
図6のステップS201において携帯端末42は、ユーザの操作に基づき、所定の遠隔操作設定値をWebサーバ30に送信する。
【0041】
図5(c)は、携帯端末42からの遠隔操作設定値の例を示す説明図である。つまり、
図5(c)は、前記したステップS201の処理によって、携帯端末42からWebサーバ30に送信された遠隔操作設定値を示している。
図5(c)に示す例では、運転モードとして暖房運転、設定温度20℃、風向は「風よけ」、風量は「小」の遠隔操作設定値が、携帯端末42から送信されている。これらの遠隔操作設定値は、Webサーバ30に記憶される。
【0042】
図6のステップS202において制御装置10は、Webサーバ30への操作確認を行う。つまり、制御装置10は、新たな遠隔操作設定値がWebサーバ30に記憶されているか否かを確認する。なお、ステップS202の操作確認は、所定周期(例えば、数分ごと)で繰り返される。
【0043】
ステップS203においてWebサーバ30は、制御装置10からの操作確認に応じて、携帯端末42から受信した遠隔操作設定値を制御装置10に送信する。
ステップS204において制御装置10は、確認処理を実行する。
【0044】
図8は、制御装置10が実行する確認処理のフローチャートである。
ステップS2041において制御装置10は、携帯端末42から送信された遠隔操作設定値と、記憶部10a(
図2参照)に格納されている操作設定値と、を比較する。例えば、制御装置10は、遠隔操作設定値(
図5(c)参照)である設定温度20℃と、記憶部10aに格納されている操作設定値(
図5(a)参照)である設定温度26℃、25℃、24℃、23℃、20℃、18℃と、を比較する。
【0045】
ステップS2042において制御装置10は、記憶部10aに格納されている操作設定値の中に、携帯端末42から送信された遠隔操作設定値と一致するものが存在するか否かを判定する。例えば、設定温度に関しては、記憶部10aに蓄積されている操作設定値(
図5(a)参照)の中に、遠隔操作設定値である設定温度20℃(
図5(c)参照)に一致するものが存在している。また、運転モード、風向、風量についても同様である。
【0046】
図5(a)、(c)に示すように、運転モード・設定温度・風向・風量の全てにおいて、記憶部10aに格納されている操作設定値の中に遠隔操作設定値と一致するものが存在している場合(S2042:Yes)、制御装置10の処理はステップS2043に進む。
【0047】
この場合、電気機器Wの運転モード・設定温度・風向・風量のいずれについても、過去に宅内のリモコンReで設定された値であるから、信頼性が高い。つまり、携帯端末42を操作しているのは、悪意の第三者ではなく、建物K(
図1参照)に出入りするユーザである可能性が高い。したがって、ステップS2043において制御装置10は、携帯端末42からの遠隔操作設定値を電気機器Wに送信する。これによって、携帯端末42を用いて、電気機器Wの設定温度の変更等を遠隔操作で行うことができる。
【0048】
また、ステップS2042において、運転モード・設定温度・風向・風量のうち少なくとも一つにおいて、記憶部10aに格納されている操作設定値の中に遠隔操作設定値と一致するものが存在しない場合(S2042:No)、制御装置10は確認処理を終了する(END)。
【0049】
ステップS204の確認処理(
図6参照)を行った後、
図6のステップS205において制御装置10は、前記したように、電気機器Wに遠隔操作設定値を送信する。これによって、電気機器Wが、携帯端末42からの遠隔操作設定値に基づいて駆動する。
ステップS206において制御装置10は、遠隔操作設定値に基づいて電気機器Wが正常に駆動しているかを確認するために、電気機器Wに状態確認の信号を送信する。
【0050】
ステップS207において電気機器Wは、ステップS206の状態確認に応じて、自身が受信した遠隔操作設定値を制御装置10に送信する。
ステップS208において制御装置10は、Webサーバ30に結果通知(可)を送信する。前記した「結果通知」とは、携帯端末42の操作に基づいて、電気機器Wが正常に駆動しているか否かを通知するものである。
【0051】
ステップS209においてWebサーバ30は、ステップS208で制御装置10から受信した結果通知(可)を、携帯端末42に送信する。これによって、携帯端末42を操作しているユーザは、自身の遠隔操作によって電気機器Wが正常に駆動していることを確認できる。
【0052】
次に、悪意の第三者が、携帯端末42を用いて遠隔操作を試みた場合について説明する。
図6のステップS301において携帯端末42は、第三者の操作に基づいて、所定の遠隔操作設定値をWebサーバ30に送信する。
【0053】
図5(d)は、携帯端末42からの遠隔操作設定値の別の例を示す説明図である。
図5(d)に示す例では、運転モードとして暖房運転、設定温度40℃、風向は「自動」、風量は「大」の遠隔操作設定値が携帯端末42から送信されている。
【0054】
図6のステップS302において制御装置10は、Webサーバ30への操作確認を行う。
ステップS303においてWebサーバ30は、制御装置10からの操作確認に応じて、携帯端末42から受信した遠隔操作設定値を制御装置10に送信する。
【0055】
ステップS304において制御装置10は、確認処理を実行する。なお、ステップS304の確認処理は、前記したステップS204の確認処理(
図8のS2041〜S2043を参照)と同様である。
例えば、設定温度に関して、記憶部10aに格納されている操作設定値(
図5(a)参照)の中には、ステップS301で送信された遠隔操作設定値(
図5(d)参照)の設定温度40℃に一致するものがない。つまり、建物K(
図1参照)でのリモコンReの操作によって、設定温度40℃で電気機器Wが駆動されたことは過去に一度もない。したがって、
図5(d)に示す遠隔操作設定値は、悪意の第三者によって設定された可能性が高いといえる。このような場合、制御装置10は、この遠隔操作設定値を電気機器Wに送信しないようにする(
図8のS2042:No、END)。これによって、ユーザの意図に反して電気機器Wが駆動することを防止できる。
【0056】
図6のステップS304の確認処理を行った後、ステップS305において制御装置10は、ステップS301で送信された遠隔操作設定値は無効である旨の結果通知(不可)をWebサーバ30に送信する。
【0057】
ステップS306においてWebサーバ30は、ステップS305で受信した結果通知(不可)を携帯端末42に送信する。これによって、設定温度40℃の空調は無効である旨が、携帯端末42の画面に表示される。
【0058】
<効果>
本実施形態によれば、過去に宅内のリモコンReで設定された操作設定値に一致する遠隔操作設定値が携帯端末42から送信された場合(S2042:Yes)、この遠隔操作設定値が電気機器Wに送信される(S2043)。したがって、携帯端末42を用いて、電気機器Wの設定温度の変更等を遠隔操作できるため、電気機器制御システム100の利便性を従来よりも高めることができる。
【0059】
また、過去に宅内のリモコンReで設定された操作設定値に一致しない遠隔操作設定値が携帯端末42から送信された場合(S2042:No)、この遠隔操作設定値が無効として扱われる。つまり、ユーザがリモコンReを用いて過去に設定したことのない値の遠隔操作設定値では、家電機器Wを制御できないようにしている。これによって、ユーザの意図に反して、悪意の第三者によって電気機器Wが駆動されることを防止できる。
【0060】
≪第2実施形態≫
第2実施形態は、携帯端末41A(
図9参照)が、自身の位置情報を取得する位置情報取得部41e(
図9参照)を備える点が、第1実施形態とは異なっている。また、第2実施形態は、携帯端末41Aの位置が建物K(
図1参照)の付近である場合には、この携帯端末41AをリモコンReと同様の扱いにする点が、第1実施形態とは異なっている。なお、その他については第1実施形態と同様である。したがって、第1実施形態とは異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0061】
図9は、第2実施形態に係る電気機器制御システムが備える携帯端末41Aの機能ブロック図である。
図9に示すように、携帯端末41Aは、宅内通信部41aと、宅外通信部41bと、操作・表示部41cと、制御部41dと、位置情報取得部41eを備えている。
【0062】
位置情報取得部41eは、例えば、GPSレシーバ(Global Positioning System Receiver)から、自身の位置を示す位置情報を取得する機能を有している。また、携帯端末41Aは、位置情報取得部41eによって取得した位置情報を、第1実施形態で説明した遠隔操作設定値とともに、Webサーバ30等を介して制御装置10に送信するようになっている。
【0063】
なお、第2実施形態では、第1実施形態で説明した一連の通信シーケンス(
図6参照)のうち、確認処理(S204、S304)の内容が異なるが、その他については第1実施形態と同様である。したがって、以下では、制御装置10が実行する確認処理(S204、S304)について説明する。
【0064】
図10は、電気機器制御システムの制御装置10が実行する確認処理のフローチャートである。
ステップS2045において制御装置10は、携帯端末41Aの位置が建物K(
図1参照)の付近であるか否かを判定する。つまり、制御装置10は、携帯端末41Aの位置が、電気機器Wが設置されている建物Kの付近であるか否かを、前記した位置情報に基づいて判定する。なお、制御装置10の記憶部10a(
図2参照)には、電気機器Wが設置されている建物Kの位置を示す情報が格納されている。
【0065】
ステップS2045において携帯端末41Aの位置が建物Kの付近である場合(S2045:Yes)、制御装置10の処理はステップS2046に進む。
ステップS2046において制御装置10は、携帯端末41Aからの遠隔操作設定値を電気機器Wに送信する。この場合には、建物Kの中にいるユーザが携帯端末41Aを操作している可能性が高いため、この携帯端末41AをリモコンReと同様の扱いにする。つまり、携帯端末41Aからの遠隔操作設定値に基づいて、電気機器Wが駆動される。
【0066】
ステップS2047において制御装置10は、携帯端末41Aからの遠隔操作設定値と、記憶部10aに記憶されている操作設定値と、を比較する。なお、ステップS2047の処理は、空気調和機である電気機器Wの運転モード・設定温度・風向・風量のそれぞれについて行われる(S2048についても同様)。
ステップS2048において制御装置10は、記憶部10aに格納されている操作設定値の中に、携帯端末41Aから送信された遠隔操作設定値と一致するものが存在するか否かを判定する。
【0067】
ステップS2048で運転モード・設定温度・風向・風量の全てにおいて、操作設定値の中に、携帯端末41Aからの遠隔操作設定値と一致するものが存在する場合(S2048:Yes)、制御装置10は確認処理を終了する(END)。
ステップS2048で運転モード・設定温度・風向・風量の少なくとも一つについて、操作設定値の中に、携帯端末41Aからの遠隔操作設定値と一致するものがない場合(S2048:No)、制御装置10の処理はステップS2049に進む。
【0068】
ステップS2049において制御装置10は、携帯端末41Aからの遠隔操作設定値を新たな操作設定値として記憶部10aに格納する。前記したように、携帯端末41Aの位置が建物Kの付近であるため(S2045:Yes)、この携帯端末41AをリモコンReと同様の扱いにして、遠隔操作設定値を新たな操作設定値として蓄積するようにしている。これによって、リモコンReからの操作設定値に加えて、建物Kの付近にある携帯端末41Aからの遠隔操作設定値も、記憶部10aに蓄積できる。
【0069】
また、ステップS2045において携帯端末41Aの位置が建物Kの付近でない場合(S2045:No)、制御装置10の処理はステップS2041に進む。
【0070】
なお、ステップS2041〜S2043については、第1実施形態で説明した確認処理(
図8参照)と同様である。つまり、制御装置10は、記憶部10aに格納されている操作設定値の中に、携帯端末41Aから送信された遠隔操作設定値と一致するものが存在するとき(S2042:Yes)、この遠隔操作設定値を電気機器Wに送信する(S2043)。
【0071】
<効果>
本実施形態によれば、建物Kの付近の携帯端末41AをリモコンReと同様の扱いにすることで、携帯端末41Aからの遠隔操作設定値を記憶部10aに蓄積できる。
また、携帯端末41Aの位置が建物Kの付近でない場合には、第1実施形態で説明したステップS2041〜S2043の処理を行うことで、ユーザの意図に反して電気機器Wが駆動されることを防止できる。
【0072】
≪第3実施形態≫
第3実施形態は、リアルタイムクロック10e(
図11参照)からの日時情報に基づいて、携帯端末42からの遠隔操作設定値を電気機器Wの制御に反映させるか否かを判定する点が、第1実施形態とは異なっている。なお、その他については第1実施形態と同様である。したがって、第1実施形態とは異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0073】
図11は、第3実施形態に係る電気機器制御システムが備える制御装置10Bの機能ブロック図である。
図11に示すように、制御装置10Bは、記憶部10aと、第一の通信部10bと、第二の通信部10cと、制御部10dと、リアルタイムクロック10eと、電源10fと、を備えている。
【0074】
リアルタイムクロック10eは、現在日時を示す日時情報を生成する機能を有している。制御部41dは、リモコンReの操作(又は直接の操作)によって電気機器Wが駆動した場合において、電気機器Wから操作設定値を受信した日時を示す日時情報を、この操作設定値に対応付けて記憶部10aに格納する。
【0075】
電源10fは、リアルタイムクロック10eに接続されている。そして、制御装置10Bが電源オフの状態のときにも、この電源10fからリアルタイムクロック10eに電力が供給されるようになっている。
【0076】
図12は、記憶部10aに格納されている操作設定値及び日時情報の例を示す説明図である。
図12に示すように、電気機器Wの操作設定値である運転モード・設定温度・風向・風量と、日時情報と、が対応付けられて記憶部10aに格納されている。この日時情報は、リアルタイムクロック10eから制御部10dが取得した情報である。記憶部10aには、例えば、過去数年間に亘る操作設定値が、日時情報と対応付けて記憶されている。
【0077】
なお、第3実施形態では、第1実施形態で説明した一連の通信シーケンス(
図6参照)のうち、確認処理(S204)の内容が異なるが、その他については第1実施形態と同様である。したがって、以下では、制御装置10Bが実行する確認処理(S204)について説明する。
【0078】
図13は、制御装置10Bが実行する確認処理のフローチャートである。
ステップS204aにおいて制御装置10Bは、携帯端末42からの遠隔操作設定値を受信した日の日付を含む過去の所定期間の操作設定値を、記憶部10aから読み出す。例えば、制御装置10Bは、遠隔操作設定値を取得した日とカレンダー上で同じ日付における操作設定値、及び、この日付の前後2週間の操作設定値を記憶部10aから読み出す。
【0079】
ステップS204bにおいて制御装置10Bは、ステップS204aで読み出した所定期間内の操作設定値と、携帯端末42からの遠隔操作設定値と、を比較する。なお、第3実施形態では、前記したように、運転モード・設定温度・風向・風量の操作設定値と、日時情報と、が対応付けられている(
図12参照)。したがって、第3実施形態では、第1、第2実施形態とは異なり、運転モード・設定温度・風向・風量が一組の操作設定値として扱われる。
【0080】
ステップS204cにおいて制御装置10Bは、ステップS204aで読み出した過去の所定期間における操作設定値の中に、携帯端末42からの遠隔操作設定値に一致するものが存在するか否かを判定する。
過去の所定期間における操作設定値の中に、携帯端末42からの遠隔操作設定値に一致するものが存在する場合(S204c:Yes)、制御装置10Bの処理はステップS204dに進む。この場合、過去の同じ季節での操作設定値と、遠隔操作設定値と、が一致している。したがって、遠隔操作設定値に基づいて、冬季に冷房運転が行われたり、また、夏季に暖房運転が行われたりすることはほとんどない。つまり、悪意の第三者によって携帯端末42が操作されている可能性は低いといえる。
【0081】
ステップS204dにおいて制御装置10Bは、携帯端末42からの遠隔操作設定値を電気機器Wに送信する。これによって、携帯端末42の操作で電気機器Wが遠隔制御される。
【0082】
また、ステップS204cにおいて、過去の所定期間における操作設定値の中に、携帯端末42からの遠隔操作設定値に一致するものが存在しない場合(S204c:No)、制御装置10Bは確認処理を終了する(END)。つまり、制御装置10は、携帯端末42からの遠隔操作設定値を無効として扱う。これによって、ユーザの意図に反して電気機器Wが遠隔制御されることを防止できる。
【0083】
<効果>
本実施形態によれば、遠隔操作設定値を受信した日の日付を含む過去の所定期間での操作設定値に基づいて、遠隔操作設定値を電気機器Wの制御に反映させるか否かが判定される。したがって、例えば、現在が夏季であるにもかかわらず、悪意の第三者によって暖房運転が実行されたり、設定温度が異常に高く設定されたりすることを防止できる。つまり、ユーザの意図に反して電気機器Wが遠隔制御されることを防止できる。
【0084】
≪第4実施形態≫
第4実施形態は、現時点までの所定期間における操作設定値のリストを、遠隔操作設定値の選択肢として携帯端末42に送信する点が第3実施形態とは異なっているが、電気機器制御システム100の構成(
図1、
図11参照)については第3実施形態と同様である。つまり、第4実施形態でも、電気機器Wから操作設定値を受信した日時を示す日時情報が、操作設定値に対応付けて記憶部10aに格納されるようになっている(
図12参照)。したがって、以下では、第1実施形態とは異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0085】
図14は、第4実施形態に係る電気機器制御システムにおける通信シーケンスである。なお、
図14に示すステップS101〜S104については、第1実施形態(
図6参照)と同様であるから、説明を省略する。
【0086】
図14のステップS301において制御装置10Bは、所定期間における操作設定値のリストをWebサーバ30に送信する。より詳しく説明すると、制御装置10Bは、現時点までの所定期間(例えば、最近の1か月間)における操作設定値のリストを記憶部10aから読み出し、携帯端末42からの遠隔操作設定値の選択肢として、前記したリストをWebサーバ30に送信する。なお、ステップS301の処理は、所定周期で繰り返される。
【0087】
ステップS302においてWebサーバ30は、ステップS301で制御装置10Bから受信した操作設定値のリストを記憶する。
ステップS303において携帯端末42は、操作設定値を取得するための信号をWebサーバ30に送信する。なお、ステップS303の処理は、携帯端末42における所定の操作をトリガとして実行される。
【0088】
ステップS304においてWebサーバ30は、ステップS303の処理に応じて、所定期間における操作設定値のリストを携帯端末42に送信する。
ステップS305において携帯端末42では、ユーザの操作によって、所定の選択操作がなされる。
【0089】
図15は、携帯端末42における選択操作の説明図である。
図15に示す例では、ユーザの最近の設定情報(つまり、操作設定値のリスト)として、運転モードは暖房運転、設定温度は26℃、24℃、22℃、風向は自動、風よけが表示されている。前記したステップS305では、
図15に示す操作設定値の選択肢の中から、ユーザが希望する設定温度、風向等が選択される。
【0090】
再び、
図14に戻って説明を続ける。
ステップS306において携帯端末42は、ステップS305の選択操作に基づく遠隔操作設定値をWebサーバ30に送信する。
ステップS307においてWebサーバ30は、携帯端末42から受信した遠隔操作設定値を制御装置10Bに送信する。
ステップS308において制御装置10Bは、Webサーバ30から受信した遠隔操作設定値を電気機器Wに送信する。これによって、携帯端末42における選択操作に基づいて、電気機器Wが駆動する。
【0091】
<効果>
本実施形態によれば、電気機器Wへの直接の操作や、リモコンReを用いた操作に基づく最近の所定期間の操作設定値が、遠隔操作設定値のリストとして携帯端末42に表示される(
図15参照)。したがって、ユーザは、携帯端末42を用いて所定の選択操作を行えばよいため、ユーザにとっての利便性を向上できる。
【0092】
また、本実施形態では、携帯端末42に表示されるリスト以外の値を遠隔操作設定値として設定することを許容しないようにしている。したがって、悪意の第三者が遠隔操作設定値として異常な値を設定することを防止し、ひいては、ユーザの意図に反して電気機器Wが遠隔制御されることを防止できる。
【0093】
≪変形例≫
以上、本発明に係る電気機器制御システム100について各実施形態により説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
例えば、第1、第2実施形態では、操作設定値として運転モード・設定温度・風向・風量を用いる場合について説明したが、これに限らない。すなわち、操作設定値の種類は、使用条件等に応じて適宜変更できる。
【0094】
また、第1、第2実施形態では、運転モード・設定温度・風向・風量をそれぞれ別の操作設定値として扱う場合について説明したが(
図5(a)参照)、これに限らない。すなわち、第1、第2実施形態においても、第3実施形態と同様に、運転モード・設定温度・風向・風量を一組の操作設定値として扱うようにしてもよい。
【0095】
また、第2実施形態では、携帯端末41A(
図9参照)が備える位置情報取得部41eで取得した位置情報を制御装置10へ送信し、制御装置10で携帯端末41Aが建物Kの付近か否かを判定したが、これに限らない。例えば、無線LAN接続用のインターフェースを備えた携帯端末41Aの宅内通信部41aから宅内ネットワークN1を介して制御装置10に送信される遠隔操作設定値には、無線LAN経由で発信された発信元情報が付加されており、制御装置10は前記発信元情報から携帯端末41Aが建物Kの付近か否かを判定してもよい。
【0096】
また、第4実施形態では、最近の所定期間における操作設定値のリストを、遠隔操作設定値の選択肢として携帯端末42に送信する処理(S301:
図14参照)について説明したが、これに限らない。例えば、最も新しい操作設定値のみを携帯端末41に送信するようにしてもよい。この場合において携帯端末41の画面には、最新の操作設定値を表示し、「最新の設定情報で電気機器Wを駆動しますか?」といったメッセージが表示される。ユーザは、「はい」/「いいえ」の選択を行えばよいため、ユーザの使い勝手を向上できる。
【0097】
また、各実施形態は、適宜組み合わせることができる。例えば、第2実施形態と第3実施形態とを組み合わせ、建物Kの付近の携帯端末41AをリモコンReと同様の扱いにするとともに(第2実施形態)、携帯端末41Aから遠隔操作設定値を受信した日の日付に基づいて、この遠隔操作設定値を電気機器Wの制御に反映させるようにしてもよい(第3実施形態)。
【0098】
また、各実施形態では、電気機器Wが空気調和機である場合について説明したが、これに限らない。すなわち、照明器具や冷凍装置等、他の機器にも各実施形態を適用できる。
また、各実施形態では、制御装置10と電気機器Wとが別体である構成(
図1参照)について説明したが、これらを一体化してもよい。
【0099】
また、各実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に記載したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、前記した機構や構成は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての機構や構成を示しているとは限らない。