特許第6486334号(P6486334)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6486334パーマンガネート系化成コーティング組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6486334
(24)【登録日】2019年3月1日
(45)【発行日】2019年3月20日
(54)【発明の名称】パーマンガネート系化成コーティング組成物
(51)【国際特許分類】
   C09D 201/00 20060101AFI20190311BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20190311BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20190311BHJP
   C09D 5/08 20060101ALI20190311BHJP
   C23C 22/05 20060101ALI20190311BHJP
   C23C 22/83 20060101ALI20190311BHJP
   C23F 11/00 20060101ALI20190311BHJP
   B05D 3/10 20060101ALI20190311BHJP
   B05D 7/14 20060101ALI20190311BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20190311BHJP
   B32B 15/01 20060101ALI20190311BHJP
【FI】
   C09D201/00
   C09D7/61
   C09D7/63
   C09D5/08
   C23C22/05
   C23C22/83
   C23F11/00 F
   B05D3/10 K
   B05D7/14 Z
   B05D7/24 303B
   B32B15/01 Z
【請求項の数】19
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2016-514010(P2016-514010)
(86)(22)【出願日】2014年5月12日
(65)【公表番号】特表2016-526068(P2016-526068A)
(43)【公表日】2016年9月1日
(86)【国際出願番号】US2014037695
(87)【国際公開番号】WO2014186286
(87)【国際公開日】20141120
【審査請求日】2017年4月26日
(31)【優先権主張番号】61/823,288
(32)【優先日】2013年5月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502328466
【氏名又は名称】ピーアールシー−デソト インターナショナル,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モリス、エリック エル.
(72)【発明者】
【氏名】アン、ジェーン
(72)【発明者】
【氏名】キム、キャシー
【審査官】 仁科 努
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−062885(JP,A)
【文献】 特開2005−097701(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0181137(US,A1)
【文献】 特開昭57−041376(JP,A)
【文献】 特開2002−332575(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0171502(US,A1)
【文献】 特開平10−219473(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0052352(US,A1)
【文献】 特開昭50−080238(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/001653(WO,A1)
【文献】 特表2008−516088(JP,A)
【文献】 特開2007−251175(JP,A)
【文献】 特開2003−231976(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 201/00
C09D 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
担体と、パーマンガネートアニオン源と、希土類イオン、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、及び/又は遷移金属イオンを含む金属カチオンを含む腐食抑制剤と、を含む第1の組成物を基体に塗布して、パーマンガネート処理表面を形成するステップと、
リチウム源と、第2の担体と、アゾール化合物と、を含む第2の組成物を前記パーマンガネート処理表面に塗布するステップと、
を含む、基体を処理する方法
【請求項2】
前記パーマンガネートアニオン源が、アルカリ金属のパーマンガネート塩及び/又はアルカリ土類金属のパーマンガネート塩を含む、請求項1に記載の方法
【請求項3】
前記パーマンガネート塩が過マンガン酸カリウムを含む、請求項1に記載の方法
【請求項4】
前記リチウム源が、炭酸リチウム、水酸化リチウム、及び/又はリン酸リチウムを含む、請求項1に記載の方法
【請求項5】
前記第2の担体が水性担体を含む、請求項1に記載の方法
【請求項6】
第1の組成物を基体に塗布するステップの前に、脱脂組成物及び/又は脱酸素組成物を前記基体に塗布するステップを更に含む、請求項1に記載の方法
【請求項7】
前記アゾール化合物が、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、1H−ベンゾトリアゾール、1H−1,2,3−トリアゾール、2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、及び/又は2−アミノ−1,3,4−チアジアゾールを含む、請求項1に記載の方法
【請求項8】
洗浄組成物を基体に塗布して、洗浄された基体を形成するステップと、
パーマンガネートアニオン源及び第1の担体を含む第1の組成物を前記洗浄された基体に塗布して、パーマンガネート処理基体を形成するステップと、
リチウム源と、第2の担体と、アゾール化合物と、を含む第2の組成物を前記パーマンガネート処理基体に塗布するステップと、
を含む、基体を処理する方法
【請求項9】
第1の組成物を塗布するステップの前に、前記洗浄された基体をすすぐステップを更に含む、請求項8に記載の方法
【請求項10】
第2の組成物を塗布するステップの前に、前記パーマンガネート処理基体をすすぐステップを更に含む、請求項8に記載の方法
【請求項11】
前記第2の組成物が、メチルオレンジ、キシレノールオレンジ、カテコールバイオレット、ブロモフェノールブルー、ブロモフェノールグリーン、ブロモフェノールパープル、エリオクロムブラックT、セレスチンブルー、ヘマトキシリン、カルマガイト、ガロシアニン、又はこれらの組合せである指示化合物を更に含む、請求項8に記載の方法
【請求項12】
前記アゾール化合物が、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、1H−ベンゾトリアゾール、1H−1,2,3−トリアゾール、2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、及び/又は2−アミノ−1,3,4−チアジアゾールを含む、請求項8に記載の方法
【請求項13】
前記洗浄組成物を基体に塗布するステップが、酸性洗浄組成物を基体に塗布するステップ及び/又はアルカリ性洗浄組成物を基体に塗布するステップを含む、請求項8に記載の方法
【請求項14】
前記パーマンガネートアニオン源が、アルカリ金属のパーマンガネート塩、及び/又はアルカリ土類金属のパーマンガネート塩を含む、請求項1に記載の方法
【請求項15】
前記パーマンガネートアニオン源が、過マンガン酸カリウムを含む、請求項1に記載の方法
【請求項16】
酸化剤を更に含む、請求項1に記載の方法
【請求項17】
前記酸化剤が過酸化水素を含む、請求項16に記載の方法
【請求項18】
前記アゾール化合物が、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、1H−ベンゾトリアゾール、1H−1,2,3−トリアゾール、2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、及び/又は2−アミノ−1,3,4−チアジアゾールを含む、請求項1に記載の方法
【請求項19】
前記担体が水性担体を含む、請求項1に記載の方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照としてその全内容が本明細書に組み込まれる、米国特許商標庁において2013年5月14日に出願された米国仮出願第61/823,288号の優先権及び利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
航空宇宙産業、商業、及び民間産業において使用される金属の酸化及び分解は、深刻且つ費用のかかる問題である。これらの用途に使用される金属の酸化及び分解を防止又は軽減するために、金属表面に保護コーティングを適用することができる。この保護コーティングは金属に適用される唯一のコーティングであってもよく、金属表面を更に保護するために他のコーティングが適用されてもよい。
【0003】
耐腐食コーティングは金属表面処理分野で公知であり、旧来の技術はクロム元素をベースとしたコーティングを使用するが、このクロム元素をベースとしたコーティングは望ましくない環境影響を有する。その他の耐腐食コーティングも公知であり、クロム元素を含まないコーティング、及び/又は金属の酸化及び分解を防止又は軽減でき、耐腐食性を助ける前処理コーティングが含まれる。耐腐食をもたらすことができ、また、酸化及び分解の防止又は軽減を助ける金属表面コーティングが望まれている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施形態によれば、基体への塗布用組成物は、担体、パーマンガネートアニオン源、並びに希土類イオン、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、及び/又は遷移金属イオンを含む腐食抑制剤を含む。それらでコーティングされた組成物及び物品を使用する方法も、本発明の範囲内である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明の実施形態によれば、金属基体への塗布用組成物は、担体、パーマンガネートアニオン源、及び金属カチオンを含む腐食抑制剤を含む。いくつかの実施形態では、金属カチオンは希土類種(例えば、Ce(セリウム)及び/又はY(イットリウム)カチオン)、遷移金属種(例えば、Zr(ジルコニウム)、Zn(亜鉛)及び/又はTi(チタン)、IIA族(又は第2族)金属カチオン(例えば、Mg)及び/又はIA族(又は第1族)金属カチオン(例えば、Li(リチウム))を含む。いくつかの実施形態では、金属カチオンはCr(クロム元素)を含んでもよい。しかし、他の実施形態では、組成物は実質的にクロムを含まない。本明細書で使用される「実質的に(substantially)」という用語は、近似(approximation)を表す用語として使用され、程度(degree)を表す用語ではない。更に、「実質的にクロム元素を含まない」という用語は、組成物中のクロム元素の量は無視できることを意味するための近似を表す用語として使用され、その結果、仮に組成物中にクロム元素が存在しているとしても、偶発的な不純物としてある。いくつかの実施形態によれば、金属カチオンは組成物中に塩の形態で提供され、塩は、例えば、硝酸塩又は炭酸対イオンを含んでもよい。
【0006】
本明細書で使用される以下の用語及びその変化形は、そのような用語が使用される文脈により、異なる意味が明らかに意図されない限り、以下に与えられる意味を有する。
【0007】
本明細書で使用される「a」、「an」及び「the」並びに同様の指示語は、文脈におけるこれらの使用が他を示すものではない限り、単数及び複数の両方を包含するものと解される。
【0008】
本開示で使用される「含む(comprise)」という用語並びに「含む(comprising)」及び「含む(comprises)」などのこの用語の変化形は、他の添加剤、成分、整数、要素、又はステップを除外しようとするものではない。
【0009】
本明細書で使用される「基体」という用語は、表面を有する材料のことを指す。化成コーティングを適用することに関して、「基体」という用語は、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、マグネシウム、及び/又はこれらの金属のうちいずれかの合金であってスチールに限定されない合金などの金属基体を指す。基体の例としては、アルミニウム及びアルミニウム合金が挙げられる。基体の例としては、更に高銅アルミニウム基体(すなわち、アルミニウム及び銅の両方を含有する合金を含む基体であって、合金中の銅の量が高く、例えば、合金中の銅の量が3〜4%である)が挙げられる。
【0010】
「コーティングする」という用語及び同様の用語は、本明細書で動詞として使用される場合、組成物を塗布する工程、すなわち、基体を化成コーティング、プライマー及び/又はトップコートと接触させることなど、基体を組成物と接触させることを指す。「コーティングする」という用語は、「塗布や塗布する」、「処理や処理する」又は「前処理や前処理する」という用語と互換可能に使用してもよく、そのような塗布手段により基体を組成物と接触させる場合、ペイント、噴霧及びディッピング(例えば、浸漬、噴霧、又はブラシ、ローラーなどを使用したスプレッディング)などの塗布又は処理の様々な形態を示すように使用されてもよい。噴霧による塗布に関して、従来の(自動又は手動の)スプレー技術及び空気噴霧に使用される装置を使用してもよい。組成物は、ペースト又はゲルの形態で塗布することができる。組成物は、塗布の要件に応じて任意の適切な厚さに塗布されてもよい。2種以上の組成物のコーティングが適用されてもよい。基体の全体又は一部を接触させることができる。すなわち、本発明の組成物は、基体の少なくとも一部分に塗布することができる。
【0011】
「化成コーティング」という用語は、ここでは「化成処理」又は「前処理」とも称するが、金属表面の化学的性質を別の表面化学的性質に変化させる金属基体の処理を指す。「化成処理」及び「化成コーティング」という用語は、金属基体を、基体に含まれる金属とは異なる元素の金属を含む水溶液と接触させる、金属表面の塗布又は処理も指す。更に、「化成コーティング」及び「化成処理」という用語は、金属元素を含む水溶液を異なる元素の金属基体と接触させることを指し、この水溶液中では、基体の表面は水溶液に部分的に溶解し、金属基体上にコーティングを沈殿させる(金属基体にコーティングを堆積させるための外部推進力を任意に使用してもよい)。したがって、結果として生じる膜は、溶液中の金属(単数又は複数)と、金属性基体の金属(単数又は複数)との両方の組合せである。
【0012】
本明細書で使用される「塩」という用語は、イオン結合した無機化合物及び/又は溶液中の1種又は複数の無機化合物のイオン化したアニオン及びカチオンを指す。
【0013】
本明細書で使用される「パーマンガネート」という用語は、マンガン酸(VII)イオン(MnO)を含有する塩を指す。パーマンガネート化合物の例としては、過マンガン酸アンモニウム(NHMnO)、過マンガン酸カリウム(KMnO)、及び過マンガン酸ナトリウム(NaMnO)が挙げられる。
【0014】
本明細書で使用される「希土類元素」という用語は、元素周期表のIIIB族元素(すなわちランタノイド)又はイットリウムを指す。希土類元素として知られる元素の集団は、例えば、第57〜71番元素(すなわち、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びLu)及びイットリウムを含む。しかし、いくつかの実施形態では、後述のように、希土類元素という用語は、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、及びYのことを指す場合もある。
【0015】
本明細書で使用される「IA族金属イオン」又は「第1族金属イオン」という用語及び同様の用語は、周期表における第1列の元素(Hを除く)の1種又は複数種のイオンのことを指す。IA族又は第1族として特定される元素の集団(Hを除く)はアルカリ金属としても知られ、例えば、Li、Na、K、Rb、Cs、及びFrを含む。
【0016】
本明細書で使用される「IIA族金属イオン」又は「第2族金属イオン」という用語及び同様の用語は、周期表における第2列の元素の1種又は複数種のイオンのことを指す。IIA族又は第2族として特定される元素の集団は、アルカリ土類金属としても知られ、例えば、Be、Mg、Ca、Sr、Ba及びRaを含む。
【0017】
「溶液」という用語は、溶媒及び溶質を含む組成物を指し、真性溶液及び懸濁液を含む。溶液の例としては、液体中に溶解した固体、液体又は気体、及び液体中に懸濁した微粒子又はミセルが挙げられる。
【0018】
ここで開示される全ての量は、別段の指定がない限り、25℃、1気圧における組成物の全重量に対する重量パーセントで表される。
【0019】
パーマンガネート組成物
本発明のいくつかの実施形態によれば、金属基体(例えば、アルミニウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、ニッケル、及び/又はこれらの合金を含む基体)への塗布用パーマンガネート含有組成物は、パーマンガネートアニオン源、金属カチオンを含む腐食抑制剤、及び担体を含む。本明細書に記載されるパーマンガネート含有組成物は、ホウ酸、ハロゲン化物を用いることなく、又は高温で使用することができる。更に、パーマンガネート含有組成物は、アルカリ性及び酸性脱酸素剤と適合性があり;それらは、例えば、硝酸リチウムとの基体の前露光を必要とせず、高温の水浸による前処理も必要としない。
【0020】
パーマンガネート源は、パーマンガネート塩又はパーマンガネート塩の組合せを含んでもよい。パーマンガネート塩は、マンガン酸アニオンに加えて、任意のアルカリ金属(すなわち、IA族又は第1族)カチオン、アルカリ土類金属(すなわち、IIA族又は第2族)カチオン、又はアンモニウムカチオンを含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、アルカリ又はアルカリ土類金属カチオンは、Li、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Ba及び/又はRaを含んでもよい。いくつかの実施形態では、アルカリ金属又はアルカリ土類金属カチオンは、Li、Na、K、Rb、Cs、Be、Mg、Ca、Sr及び/又はBaを含む。例えば、いくつかの実施形態では、希土類元素は、Na、K、Mg、及び/又はCaを含む。適したパーマンガネート源のいくつかの例としては、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム及び過マンガン酸アンモニウムなどのパーマンガネート塩が挙げられるが、これらに限定はされない。
【0021】
いくつかの実施形態では、組成物は水性コーティング組成物であってもよく、したがって、組成物は、1種又は複数の有機溶媒を任意に含んでもよい水性担体を更に含んでもよい。適したこのような溶媒の例としては、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセロール、低分子量アルコールなどが挙げられるが、これらに限定されない。有機溶媒を使用する場合は、有機溶媒は、組成物中に組成物12L当たり溶媒30g〜組成物12L当たり溶媒400gの量で存在してもよく、担体の残りは水である。例えば、いくつかの実施形態では、有機溶媒は、組成物中に組成物12L当たり溶媒100g〜組成物12L当たり溶媒200g、例えば、組成物12L当たり溶媒107gの量で存在してもよく、担体の残りは水である。しかし、いくつかの実施形態では、水性担体は主に水、例えば、脱イオン水である。水性担体は、組成物に、本明細書に記載される濃度の金属イオン及びパーマンガネート源を提供するために十分な量で提供される。
【0022】
組成物中のパーマンガネート源の濃度は、担体中のパーマンガネート源の溶解限度まで、0.008重量%であってもよい。いくつかの実施形態では、パーマンガネート源は、組成物中に0.01重量%〜6.0重量%の濃度で存在してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、パーマンガネート源は、組成物中に0.0375重量%〜0.15重量%の濃度で存在してもよい。
【0023】
上述のように、パーマンガネート含有組成物は、金属カチオンを含む腐食抑制剤を更に含んでもよい。金属カチオンは、腐食抑制特性を有する様々な金属カチオンのうち1種又は複数を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、金属カチオンは、例えばLa、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luなどの希土類元素を含んでもよい。いくつかの実施形態では、希土類元素は、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、及び/又はYを含む。例えば、いくつかの実施形態では、希土類元素はCe、Y、Pr、及び/又はNdを含む。その他の適した金属カチオンは、IA族(又は第1族)又はIIA族(又は第2族)金属カチオン(すなわち、アルカリ金属及びアルカリ土類金属)を含む。例えば、いくつかの実施形態では、金属カチオンは、例えば、Li、Na、K、Rb、Cs及び/若しくはFrなどのアルカリ金属、及び/又は、例えば、Be、Mg、Ca、Sr、Ba及び/若しくはRaなどのアルカリ土類金属を含んでもよい。その他の適した金属カチオンは、遷移金属カチオン(例えば、Zr及び/又はZn)を含む。また、上述のように、いくつかの実施形態では、金属カチオンはCr(クロム元素)を含んでもよい。しかし、他の実施形態では、組成物は実質的にクロム元素を含まない。本明細書で使用される「実質的に」という用語は、近似を表す用語として使用され、程度を表す用語ではない。更に、「実質的にクロム元素を含まない」という用語は近似を表す用語として使用され、組成物中のクロム元素の量は無視できることを意味し、その結果、仮に組成物中にクロム元素が存在しているとしても、偶発的な不純物としてある。いくつかの実施形態では、例えば、金属カチオンは、Ce、Y、Pr、Nd、Zr、Zn、Li、Na、K、及び/又はMgを含んでもよい。いくつかの例示的な実施形態では、金属カチオンは、例えば、Li、Na、K、Rb及び/若しくはCsなどのアルカリ金属、及び/又は、例えば、Be、Mg、Ca、Sr及び/若しくはBaなどのアルカリ土類金属を含む。いくつかの実施形態では、例えば、金属カチオンは、リチウム、ナトリウム、カリウム及び/若しくはマグネシウムを含む。他の実施形態では、金属カチオンは、Ce、Y、Nd及び/若しくはLi、又は遷移金属カチオン(例えば、Zr及び/又はZn)を含む。いくつかの実施形態では、例えば、金属カチオンはCe、Y、Pr、Nd、Zr、Zn、Li、Na、K及び/又はMgを含んでもよい。
【0024】
金属カチオンは、組成物中に組成物の0.0008〜0.2重量%の濃度で存在してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、金属カチオンは、組成物中に0.002〜0.004重量%の濃度で存在してもよい。いくつかの実施形態では、例えば、金属カチオンは、組成物中に組成物1L当たり0.05g〜組成物1L当たり25gの濃度で存在してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、金属カチオンは、組成物中に組成物1L当たり0.05g〜組成物1L当たり16gの濃度で存在してもよい。いくつかの実施形態では、例えば、金属カチオンは、組成物中に組成物1L当たり0.1g〜組成物1L当たり10gの濃度で存在してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、金属カチオンは組成物中に組成物1L当たり1g〜組成物1L当たり5gの濃度で存在してもよい。例えば、金属カチオンが希土類カチオンを含む場合、希土類カチオンは、組成物1L当たり0.05g〜組成物1L当たり25g、又は組成物1L当たり0.1g〜組成物1L当たり10gの濃度で存在してもよい。金属カチオンがアルカリ金属又はアルカリ土類金属カチオンを含む場合、アルカリ金属又はアルカリ土類金属カチオンは、組成物1L当たり0.05g〜組成物1L当たり16g、又は組成物1L当たり1g〜組成物1L当たり5gの濃度で存在してもよい。以下に更に詳述するように、金属カチオンは、組成物中に金属塩の形態で提供されてもよく、この場合、ここに列挙した量は組成物中の塩の量に反映される。
【0025】
上述のように、金属カチオンは、組成物中に、アニオンや塩のカチオンとして金属カチオンを有する塩の形態(すなわち、金属塩が組成物中で金属カチオン源として機能してもよい)で提供されてもよい。塩のアニオンは、希土類元素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、及び/又は遷移金属と塩を形成することが可能な、適したアニオンであればよい。アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、及び希土類元素との塩の形成に適したアニオンの例としては、炭酸イオン、水酸化物イオン、硝酸イオン、ハロゲン化物イオン(例えば、Cl、Br、I又はF)、硫酸イオン、リン酸イオン、及びケイ酸イオン(例えば、オルトケイ酸イオン及びメタケイ酸イオン)が挙げられるが、これらに限定はされない。例えば、金属塩は、Cr、Li、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Sc、Ti、Zr、Hf、Rf、V、Nb、Ta、Db、Cr、Mo、W、Sg、Mn、Tc、Re、Bh、Fe、Ru、Os、Hs、Co、Rh、Ir、Mt、Ni、Pd、Pt、Ds、Cu、Ag、Au、Rg、Zn、Cd、Hg及び/又はCnの炭酸塩、水酸化物、ハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩及び/又はケイ酸塩(例えば、オルトケイ酸塩又はメタケイ酸塩)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、例えば、金属塩は、Cr、Li、Na、K、Rb、Cs、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Sc、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd及び/又はHgの炭酸塩、水酸化物、ハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩及び/又はケイ酸塩(例えば、オルトケイ酸塩又はメタケイ酸塩)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、例えば、金属塩は、Cr、Li、Na、K、Rb、Cs、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Sc、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、W、Mn、Tc、Re、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Pd、Pt、Ag、Au、Zn、Cd及び/又はHgの炭酸塩、水酸化物、ハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩及び/又はケイ酸塩(例えば、オルトケイ酸塩又はメタケイ酸塩)を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、金属塩は、Cr、La、Ce、Y、Pr、Nd、Zr、Zn、Li、Na、K及び/又はMgの炭酸塩、水酸化物、ハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩及び/又はケイ酸塩(例えば、オルトケイ酸塩又はメタケイ酸塩)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、例えば、パーマンガネート組成物は、水酸化ナトリウムを含んでもよい。更に、いくつかの実施形態では、組成物は少なくとも2種の金属塩を含んでもよく、少なくとも2種の金属塩は互いに異なるアニオン及び/又はカチオンを含んでもよい。例えば、少なくとも2種の金属塩は、異なるアニオンと同じカチオン、又は異なるカチオンと同じアニオンを含んでもよい。いくつかの実施形態では、例えば、金属カチオンは、組成物中に、亜鉛塩、ジルコニウム塩、チタン塩、クロム元素塩、リチウム塩、及び/又は希土類塩などの金属塩の形態で提供される。上述のように、亜鉛、ジルコニウム、チタン、クロム元素、リチウム及び/又は希土類塩は、パーマンガネート含有組成物中に組成物の0.0008〜0.2重量%、例えば、組成物の0.002〜0.004重量%の濃度で存在してもよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、パーマンガネート含有組成物は、アゾール化合物を更に含んでもよい。アゾール化合物としては、環式化合物が挙げられ、ピロール類など1個の窒素原子を有するもの、ピラゾール類、イミダゾール類、トリアゾール類、テトラゾール類、及びペンタゾール類など2個以上の窒素原子を有するもの、オキサゾール類及びイソオキサゾール類などの1個の窒素原子及び1個の酸素原子を有するもの、及びチアゾール類及びイソチアゾール類などの1個の窒素原子及び1個の硫黄原子を有するものを含んでもよい。適したアゾール化合物の例としては、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール(CAS:l072−71−5)、1H−ベンゾトリアゾール(CAS:95−14−7)、1H−1,2,3−トリアゾール(CAS:288−36−8)、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオールとも命名される2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール(CAS:2349−67−9)、及び2−アミノ−1,3,4−チアジアゾール(CAS:4005−51−0)が挙げられるが、これらに限定はされない。いくつかの実施形態では、例えば、アゾール化合物は、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールを含む。
【0027】
アゾール化合物は、組成物中に組成物1L当たり0.0005g〜組成物1L当たり3gの濃度で存在してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、アゾール化合物は、組成物中に組成物1L当たり0.004g〜組成物1L当たり0.1gの濃度で存在してもよい。いくつかの実施形態では、アゾール化合物は、組成物中に0.0008〜0.2重量%、例えば、0.002〜0.004重量%の濃度で存在してもよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、組成物は、酸化剤を更に含んでもよい。いかなる適した酸化剤も使用でき、その例としてはベンゾイルペルオキシド類、オゾン、及びニトラート類などの有機ペルオキシド類が挙げられるが、これらに限定はされない。適した酸化剤の例としては過酸化水素が挙げられるが、これに限定はされない。いくつかの実施形態では、酸化剤は、組成物中に0.001wt%〜15wt%の量で存在してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、酸化剤は、0.001wt%〜15wt%、例えば0.002wt%〜0.006wt%、又は0.008wt%〜0.08wt%の量で存在する過酸化水素の30%溶液を含んでもよい。過酸化水素などの酸化剤をパーマンガネート含有組成物に添加することで、ペルオキシドが急速に分解することを引き起こす場合があり、したがって、酸化剤をパーマンガネート含有組成物に添加する際には注意を要する。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態では、パーマンガネート含有組成物は、1種又は複数の耐腐食性、金属基体への接着性、その後のコーティングの接着性を高める、及び/又は他の望ましい美的又は機能的効果を提供する添加剤を更に含んでもよい。添加剤は、使用する場合は、組成物中に組成物の全重量に対して0.0001重量パーセント〜80重量パーセントの量で存在してもよい。これら任意の添加剤は、形成されるコーティングの望ましい機能及び/又はその用途又は使用目的に基づいて選択されてもよい。適した添加剤は、組成物の1種又は複数の性質に影響を与える目的で、組成物に混合された固体又は液体成分を含んでもよい。添加剤は、例えば、金属基体を濡らすのを助けることができる界面活性剤、及び/又は粗い又は滑らかな表面など所定の表面特性の進展を助けることができるその他の添加剤を含んでもよい。適した添加剤のその他の例としては、アルコール、共阻害剤、リチウム塩、流動調整剤、ベントナイト粘土などの揺変剤、ゼラチン、セルロース、抗気泡発生剤、脱脂剤、消泡剤、有機共溶媒、触媒、色素、アミノ酸、尿素系化合物、錯化剤、原子価安定化剤など、及びその他の従来の助剤が挙げられるが、これらに限定はされない。適した添加剤は表面コーティング用組成物の配合の分野で公知であり、当業者であれば本開示を参照して理解できるように、本発明の実施形態に係る組成物中で使用できる。
【0030】
いくつかの実施形態では、組成物は界面活性剤(例えば、アニオン性、非イオン性及び/又はカチオン性界面活性剤など)、界面活性剤の混合物、又は洗浄剤水溶液を更に含んでもよい。適した市販の界面活性剤の例としてはダイノール604及びCarbowetDC−01(いずれもAir Products&Chemicals,Inc.、Allentown、PAから入手可能)、及びトライトンX−100(The Dow Chemical Company、Midland、MIから入手可能)が挙げられるが、これらに限定はされない。界面活性剤、界面活性剤の混合物、又は洗浄剤水溶液は、組成物中に0.0003wt%〜3wt%、例えば、0.000375wt%〜1wt%、又は0.02wt%の量で存在してもよい。1つの実施形態では、界面活性剤、界面活性剤の混合物、又は洗浄剤タイプの水溶液を有する組成物は、金属基体洗浄ステップと化成コーティングステップとを1つの工程に結合するために利用される。他の実施形態では、界面活性剤、界面活性剤の混合物、又は洗浄剤タイプの水溶液を有する組成物は、ここで上述したように、更に酸化剤を含有してもよい。
【0031】
組成物は、カルボナート、界面活性剤、キレータ、増粘剤、アラントイン、ポリビニルピロリドン、ハロゲン化物、及び/又は接着性促進剤などのその他の成分及び添加剤も含有してもよいが、これに限定はされない。例えば、いくつかの実施形態では、組成物は、アラントイン、ポリビニルピロリドン、界面活性剤、及び/又はその他の添加剤及び/又は共阻害剤を更に含んでもよい。
【0032】
いくつかの実施形態では、組成物は、例えば、金属イオン、組成物のpHなどのある化学種の存在を指示することからその名が付けられている指示化合物も含有してもよい。本明細書で使用される「指示薬」、「指示化合物」及びそれに類する用語は、金属イオンの存在など何らかの外部刺激、パラメータ、又は条件に応じて、又は特定のpH又はpHの範囲に応じてその色が変化する化合物を指す。
【0033】
本発明のある実施形態に従って使用される指示化合物は、種、所定のpHなどの存在を指示する、当該分野で公知のどのような指示薬であってもよい。例えば、適した指示薬は、所定の金属イオンと金属イオン錯体を形成して色が変化するものであってもよい。この金属イオン指示薬は、一般的に、高度に共役した有機化合物である。本明細書で使用される「共役化合物」とは、当業者に理解されるように、例えば1個の炭素−炭素単結合を挟んだ2個の炭素−炭素二重結合のように、1個の単結合によって隔てられた2個の二重結合を有する化合物のことを指す。どのような共役化合物も本発明に従って使用できる。
【0034】
同様に、指示化合物は、pHが変化した際に色が変わるものであってもよく、例えば、化合物は酸性又は中性pHではある色であって、アルカリ性pHでは色が変わってもよく、その逆であってもよい。このような指示薬は周知であり、広く市販されている。したがって、「アルカリ性pHにさらされると色が変わる」指示薬は、酸性又は中性pHに曝されるときには第1の色(又は無色)を有し、アルカリ性pHに曝されるときには第2の色に変化する(又は無色から有色に変化する)。同様に、「酸性pHに曝されると色が変わる」指示薬は、pHがアルカリ性/中性から酸性に変化すると、第1の色/無色から第2の色/有色になる。
【0035】
このような指示化合物の例としては、メチルオレンジ、キシレノールオレンジ、カテコールバイオレット、ブロモフェノールブルー、ブロモフェノールグリーン、ブロモフェノールパープル、エリオクロムブラックT、セレスチンブルー、ヘマトキシリン、カルマガイト、ガロシアニン、及びこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定はされない。いくつかの実施形態によれば、指示化合物は、金属イオン指示薬である有機指示化合物を含む。指示化合物の例としては表1のものが挙げられるが、これらに限定はされない。特定の条件下で発光する蛍光指示薬も、本発明に従って使用することができるが、特定の実施形態では蛍光指示薬の使用は明確に除外される。つまり、特定の実施形態では、蛍光を呈する共役化合物は明確に除外される。本明細書で使用される「蛍光指示薬」及びそれに類する用語は、紫外光又は可視光に曝されると蛍光を発する又は色を呈する化合物、分子、顔料、及び/又は色素のことを指す。「蛍光を発する」とは、光又はその他の電磁放射の吸収に続いて光を発することとして理解される。このような指示薬はしばしば「タグ」と称され、その例としては、アクリジン、アントラキノン、クマリン、ジフェニルメタン、ジフェニルナフチルメタン、キノリン、スチルベン、トリフェニルメタン、アントラセン及び/又はこれらの部分を含有する分子及び/又はローダミン類、フェナントリジン類、オキサジン類、フルオロン類、シアニン類及び/又はアクリジン類などのこれらのいずれかの誘導体が挙げられる。
【表1】
【0036】
1つの実施形態によれば、表1に示すように、共役化合物はカテコールバイオレットを含む。カテコールバイオレット(CV)は、2モルのピロカテコールと1モルのo−スルホ安息香酸無水物との縮合によって作られるスルホンフタレイン色素である。CVは指示薬としての性質を有し、金属イオンを有する耐腐食組成物に含まれる場合、錯体を形成し、キロン試薬として有用であることが分かっている。CVを含有する組成物は金属イオンをキレートするため、一般的に青〜青紫色が観察される。
【0037】
他の実施形態によれば、表1に示したキシレノールオレンジが本発明の実施形態に係る組成物に使用される。キシレノールオレンジは金属イオン指示薬としての性質を有し、金属イオンを有する耐腐食組成物に含まれる場合、錯体を形成し、キロン試薬として有用であることが分かっている。キシレノールオレンジを含有する組成物は金属イオンをキレートするため、キシレノールオレンジ溶液は赤色から一般的には青色に変化する。
【0038】
指示化合物は、組成物中に、溶液1000g当たり0.01g〜溶液1000g当たり3g、例えば溶液1000g当たり0.05g〜溶液1000g当たり0.3gの量で存在してもよい。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態では、共役化合物は、特定の外部刺激に応じて色を変える場合には、基体が組成物で処理されたことの視覚的な指標として機能するという点で、本組成物を使用する際に利益をもたらす。例えば、基体中に存在する金属イオンに曝されると色が変わる指示薬を含む組成物は、その基体中の金属イオンを錯化すると色が変わり、これにより使用者は基体が組成物と接触したことを確かめることができる。同様の利益は、基体上にアルカリ性又は酸性の層を堆積させ、その基体をアルカリ性又は酸性pHに曝されると色が変わる本発明の組成物と接触させるによって実現できる。
【0040】
更に、本発明の実施形態に係る特定の共役化合物の使用は後に付与されるコーティング層への改善された接着性を基体に提供する。これは共役化合物がヒドロキシ官能性を有する場合に特に当てはまる。したがって、本組成物のいくつかの実施形態によって、プライマー層を必要とすることなく、本発明の実施形態に従って処理された基体上への後のコーティング層の堆積が可能になる。このようなコーティング層は、ウレタンコーティング及びエポキシコーティングを含んでもよい。
【0041】
パーマンガネート含有組成物は、アルカリ性、中性又は酸性のpHを有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、パーマンガネート含有組成物は、2〜14のpHを有してもよい。いくつかの実施形態では、例えば、パーマンガネート組成物は、4〜10のpHを有してもよい。
【0042】
いくつかの実施形態では、パーマンガネート含有組成物は、0.1g〜60gのパーマンガネート塩(例えば、K、Li、Naなど)、及び溶液を1Lとするために十分な水を含んでもよい。いくつかの実施形態によれば、例えば、パーマンガネート組成物は、0.375g〜7.5g(例えば0.375g〜2.5g)のパーマンガネート塩、及び溶液を1Lとするために十分な水を含んでもよい。
【0043】
他の実施形態では、パーマンガネート含有組成物は、遷移元素塩(例えば、Zn、Zr、及び/又はTi塩)を更に含んでもよい。いくつかの例示的な実施形態では、パーマンガネート含有組成物は、0.1g〜60gのパーマンガネート塩(例えば、K、Na、Liなど)、0.008g〜10gの遷移元素塩、及び溶液を1Lとするために十分な水を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、パーマンガネート含有組成物は、0.375g〜7.5g(例えば、0.375g〜1.5g)のパーマンガネート塩、0.02g〜0.04gの遷移元素塩、及び溶液を1Lとするために十分な水を含んでもよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、パーマンガネート含有組成物は、パーマンガネート塩(例えば、K、Na、Liなど)及び酸化剤(例えば、過酸化水素の30wt%溶液)を含んでもよい。いくつかの実施形態によれば、パーマンガネート含有組成物は、0.1g〜60gのパーマンガネート塩、0.08g〜0.8gの酸化剤、及び溶液を1Lとするために十分な水を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態によれば、パーマンガネート含有組成物は、0.375g〜7.5g(例えば、0.375g〜1.5g)のパーマンガネート塩、0.3g〜0.5gの酸化剤、及び溶液を1Lとするために十分な水を含んでもよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、パーマンガネート含有組成物は、パーマンガネート塩(例えば、K、Na、Liなど)、遷移元素塩(例えば、Zn、Zr及び/又はTi)、及び酸化剤(例えば、過酸化水素の30wt%溶液)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、パーマンガネート含有組成物は、0.1g〜60gのパーマンガネート塩、0.008g〜10gの遷移元素塩、0.08g〜0.8gの酸化剤、及び溶液を1Lとするために十分な水を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、パーマンガネート含有組成物は、0.375g〜7.5g(例えば、0.375g〜1.5g)のパーマンガネート塩、0.02g〜0.04gの遷移元素塩、0.3g〜0.5gの酸化剤、及び溶液を1Lとするために十分な水を含んでもよい。
【0046】
いくつかの実施形態によれば、パーマンガネート組成物は、アゾール化合物を含んでもよい。いくつかの実施形態では、パーマンガネート組成物は、0.1g〜60gのパーマンガネート塩(例えば、K、Na、Liなど)、0.008g〜2gのアゾール化合物(例えば、1H−ベンゾトリアゾール)、及び溶液を1Lとするために十分な水を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、パーマンガネート組成物は、0.375g〜7.5g(例えば、0.375g〜1.5g)のパーマンガネート塩、0.02g〜0.8gのアゾール化合物、及び溶液を1Lとするために十分な水を含んでもよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、パーマンガネート組成物は、パーマンガネート塩(例えば、K、Na、Liなど)、遷移元素塩(例えば、Zn、Zr及び/又はTi)、及びアゾール化合物(例えば、1H−ベンゾトリアゾール)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、パーマンガネート組成物は、0.1g〜60gのパーマンガネート塩、0.008g〜10gの遷移元素塩、0.008g〜2gのアゾール化合物、及び溶液を1Lとするために十分な水を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、パーマンガネート含有組成物は、0.375g〜7.5g(例えば、0.375g〜1.5g)のパーマンガネート塩、0.02g〜0.04gの遷移元素塩、0.2g〜0.8gのアゾール化合物、及び溶液を1Lとするために十分な水を含んでもよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、パーマンガネート含有組成物は、希土類元素塩を含んでもよい。いくつかの実施形態では、パーマンガネート組成物は、0.1g〜60gのパーマンガネート塩(例えば、K、Ki、Naなど)、0.008g〜10gの希土類元素塩(例えば、Ce、Y、Prなど)、及び溶液を1Lとするために十分な水を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、パーマンガネート組成物は、0.375g〜7.5g(例えば、0.375g〜1.5g)のパーマンガネート塩、0.02g〜0.04gの希土類元素塩、及び溶液を1Lとするために十分な水を含んでもよい。
【0049】
リチウム組成物
本発明のいくつかの実施形態によれば、金属基体(例えば、アルミニウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、ニッケル、及び/又はこれらの合金を含む基体)への塗布用リチウム含有組成物は、リチウム源及び担体を含む。
【0050】
リチウム源は、リチウム塩、リチウム塩の組合せ、又はリチウム塩と更なるIA族若しくは第1族元素塩との組合せを含んでもよい。IA族若しくは第1族元素塩は、例えば、Li、Na、K、Rb、Cs及び/又はFrなど、任意のアルカリ金属(すなわち、IA族若しくは第1族)カチオンを含んでもよい。いくつかの実施形態では、アルカリ金属カチオンは、Li、Na、K、Rb及び/又はCsを含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、アルカリ金属カチオンは、Na、K及び/又はMgを含んでもよい。更に、「リチウム源」は、Liイオンを含むとして本明細書に記載されているが、Mgがリチウム源のLiの全部又は一部の代わりとなってもよい。
【0051】
リチウム塩及び/又はIA族若しくは第1族元素塩は、IA族若しくは第1族元素及びMg(例えば、Li、Mg、Na、K、Rb、Cs及び/又はFr)と塩を形成することが可能である、任意の適したアニオンを含んでもよい。これらの元素と塩を形成するのに適したアニオンの例としては、炭酸イオン、水酸化物イオン、硝酸イオン、ハロゲン化物イオン(例えば、Cl、Br、I又はF)、硫酸イオン、リン酸イオン及びケイ酸イオン(例えば、オルトケイ酸イオン及びメタケイ酸イオン)が挙げられるが、これらに限定はされない。例えば、金属塩は、Li、Na、K、Rb、Cs、Fr及び/又はMgの炭酸塩、水酸化物、ハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩及び/又はケイ酸塩(例えば、オルトケイ酸塩又はメタケイ酸塩)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、例えば、金属塩は、Li、Mg、Na、K、Rb及び/又はCsの炭酸塩、水酸化物、ハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩及び/又はケイ酸塩(例えば、オルトケイ酸塩又はメタケイ酸塩)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、例えば、金属塩は、Li、Na、K、Rb、Cs、Fr及び/又はMgの水酸化物、ハロゲン化物及び/又はリン酸塩を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、金属塩は、Li、Na、K及び/又はMgの水酸化物、ハロゲン化物及び/又はリン酸塩を含んでもよい。いくつかの実施形態では、例えば、金属塩は、Li、Na及び/又はKの水酸化物、ハロゲン化物及び/又はリン酸塩を含んでもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、リチウム含有組成物中のリチウムイオンの濃度は、溶液1000g当たり0.02g〜12gであってもよい。例えば、組成物中のリチウム濃度は、溶液1000g当たり1g〜2gであってもよい。更に、他のIA族若しくは第1族イオン(例えば、ナトリウム及び/又はカリウムイオン)が存在している場合、リチウム含有組成物中のこれらのイオンの濃度は、例えば、溶液1000g当たり0.2g〜16gであってもよい。
【0053】
更に、いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも2種の金属塩を含んでもよく、少なくとも2種の金属塩は、互いに異なるアニオン及び/又はカチオンを含んでもよい。例えば、少なくとも2種の金属塩は、異なるアニオンと同じカチオン、又は異なるカチオンと同じアニオンを含んでもよい。いくつかの実施形態では、例えば、リチウム含有組成物は、同じカチオンと少なくとも2種の異なるアニオンを含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、リチウム含有組成物は、水酸化物イオンと、リン酸及び/又はハロゲン化物イオンとを含んでもよい。
【0054】
いくつかの例示的な実施形態では、リチウム含有組成物は、溶液1000g当たり0.09g〜約16gの水酸化イオンを含んでもよい。いくつかの実施形態では、リチウム含有組成物は、溶液1000g当たり0.2g〜16gのリン酸イオン(例えば、リン酸イオン(PO3−)、リン酸二水素イオン(HPO)、及び/若しくはピロリン酸イオン(P4−)、又はMonsanto(St.Louis、Mo.)から入手可能な、Dequestの名称で提供されているものなどの有機リン酸)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、リチウム含有組成物は、溶液1000g当たり0.2g〜1.5gのハロゲン化物イオン(例えば、溶液中にNaFとして存在していてもよい、Fイオンなど)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、リチウム含有組成物は、水酸化物イオン及びハロゲン化物イオン若しくはリン酸イオンのいずれかを含んでもよく、他の実施形態では、リチウム含有組成物は、水酸化物イオン、ハロゲン化物イオン及びリン酸イオンを含んでもよい。いくつかの実施形態では、リチウム含有組成物は、炭酸イオン、例えば、溶液1000g当たり0.05g〜12gの炭酸イオン、又は溶液1000g当たり1g〜2gの炭酸イオンも含んでもよい。
【0055】
更に、いくつかの実施形態では、リチウム組成物は、Li及び、例えば、Naなど別のIA族若しくは第1族元素を含んでもよい。いくつかの実施形態では、例えば、金属カチオンは、その組成物中で、Li塩、Mg塩、Na塩、K塩、Rb塩及び/又はCs塩などの金属塩の形態で提供される。いくつかの実施形態では、リチウム含有溶液はアルカリ性である。例えば、いくつかの実施形態では、リチウム含有組成物は、水溶液中に水酸化リチウム及びピロリン酸ナトリウムの組合せを含んでもよい。
【0056】
更に、いくつかの実施形態では、リチウム含有組成物は、遷移元素源を含んでもよい。遷移元素源は、用語を先に定義したように、遷移元素、及びアニオンを含んでもよい。遷移元素源におけるアニオンは、パーマンガネート含有組成物中の金属塩に関して上述したアニオン、又はリチウム含有組成物中のリチウム源に関して上述したアニオンであってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、遷移元素源は、亜鉛、ジルコニウム又は遷移元素のようなもの、及びアニオンとしてのホスファートを含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、リチウム含有組成物は、4リットル当たり0.1〜5g(又は1L当たり0.025〜1.25g)、例えば、4リットル当たり1g(又は1L当たり0.25g)の、リン酸亜鉛などの遷移元素源を含む。いくつかの実施形態では、例えば、Znを含む実施形態である、リチウム含有組成物は、1L当たり0.08gなど、少量の遷移元素源を含んでもよい。
【0057】
いくつかの実施形態では、リチウム含有組成物は、遷移金属、クロマート、他のメタレート及び酸化剤を実質的に含まなくてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、リチウム含有組成物は、IA族若しくは第1族を除く金属を実質的に含まなくてもよく、他の実施形態では、リチウム含有組成物は、IA族若しくは第1族及びMgを除く金属を実質的に含まなくてもよい。本明細書で使用される「実質的に」という用語は、近似を表す用語として使用され、程度を表す用語ではない。したがって、本明細書で使用される「実質的に含まない」という用語は、組成物中のその金属の量は無視できることを意味し、その結果、仮に金属(例えば、遷移金属)が組成物中に存在しているとしても、偶発的な不純物としてである。
【0058】
いくつかの実施形態では、組成物は水性コーティング組成物であってもよく、したがって、組成物は、1種又は複数の有機溶媒を任意に含んでもよい水性担体を更に含んでもよい。適したそのような溶媒の例としては、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセロール、低分子量アルコールなどが挙げられるが、これらに限定はされない。有機溶媒を使用する場合は、有機溶媒は、組成物中に組成物1L当たり溶媒1g〜20gの量で存在してもよく、担体の残りは水である。例えば、いくつかの実施形態では、有機溶媒は、組成物中に組成物1L当たり溶媒8.33gの量で存在してもよく、担体の残りは水である。いくつかの実施形態では、例えば、有機溶媒は、組成物中に組成物12L当たり溶媒30g〜400gの量で存在してもよく、担体の残りは水である。例えば、いくつかの実施形態では、有機溶媒は、組成物中に組成物12L当たり溶媒100g〜200g、例えば、組成物12L当たり溶媒107gの量で存在してもよく、担体の残りは水である。しかし、いくつかの実施形態では、水性担体は、組成物に本明細書に記載の濃度の金属イオン及びアニオンを提供するために十分な量で提供される。
【0059】
組成物中のリチウム源の濃度は、上述の濃度のアニオンを提供するのに適した任意の量であってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、組成物中のリチウム源の濃度は、担体中のリチウム源の溶解限度まで、0.008重量%であってもよい。いくつかの実施形態では、例えば、リチウム源は、組成物中に組成物1000g当たり1g〜2gの濃度で存在してもよい。いくつかの実施形態では、リチウム源は、組成物中に組成物1000g当たり0.05g〜12gの濃度で存在してもよい。
【0060】
本発明のいくつかの実施形態では、リチウム含有組成物は、耐腐食性、金属基体への接着性、その後のコーティングの接着性を高める、及び/又は他の望ましい美的又は機能的効果を提供する1種又は複数の添加剤を更に含んでもよい。添加剤は、使用する場合は、組成物中に組成物の全重量に対して0.01重量パーセント〜最大80重量パーセントの量で存在してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、添加剤(例えば、界面活性剤)は、リチウム含有組成物中に溶液1000g当たり0.015g〜5gの濃度で存在してもよい。いくつかの実施形態では、添加剤(例えば、界面活性剤及び/又はポリビニルピロリドン)は、リチウム含有組成物中に溶液1000g当たり0.15g〜1gの濃度で存在してもよい。
【0061】
適した添加剤は、組成物の1種又は複数の性質に影響を与える目的で、組成物に混合された固体又は液体成分を含んでもよい。添加剤は、例えば、アゾール化合物(パーマンガネート含有組成物に関して上述したものなど)、金属基体を濡らすのを助けることができる界面活性剤、及び/又は粗い又は滑らかな表面などの所定の表面特性の進展を助けることができる他の添加剤を含んでもよい。適した添加剤の他の例としては、アルコール、共阻害剤、リチウム塩、流動調整剤、ベントナイト粘土などの揺変剤、ゼラチン、セルロース、抗気泡発生剤、脱脂剤、消泡剤、有機共溶媒、触媒、色素、アミノ酸、尿素系化合物、錯化剤、原子価安定化剤など、及び他の従来の助剤が挙げられるが、これらに限定はされない。適した添加剤は表面コーティング用組成物の配合の分野で公知であり、当業者であれば本開示を参照して理解できるように、本発明の実施形態に係る組成物中で使用できる。
【0062】
上述したように、いくつかの実施形態では、リチウム含有組成物は、界面活性剤(例えば、アニオン性、非イオン性及び/又はカチオン性界面活性剤など)、界面活性剤の混合物、又は洗浄剤タイプの水溶液を更に含んでもよい。適した市販の界面活性剤の例としては、ダイノール604及びCarbowetDC−01(いずれもAir Products&Chemicals,Inc.、Allentown、PAから入手可能)、及びトライトンX−100(The Dow Chemical Company、Midland、MIから入手可能)が挙げられるが、これらに限定はされない。界面活性剤、界面活性剤の混合物、又は洗浄剤タイプの水溶液は、組成物中に溶液1000g当たり0.015g〜5gの量で存在してもよい。例えば、界面活性剤、界面活性剤の混合物、又は洗浄剤タイプの水溶液は、組成物中に溶液1000g当たり0.015g〜1gの量で存在してもよい。1つの実施形態では、界面活性剤、界面活性剤の混合物、又は洗浄剤水溶液を有する組成物は、金属基体洗浄ステップと化成コーティングステップとを1つの工程に結合するために利用されてもよい。
【0063】
更に上述したように、リチウム含有組成物は、カルボナート、界面活性剤、キレータ、増粘剤、アラントイン、ポリビニルピロリドン、ハロゲン化物、アゾール化合物(例えば、上述した2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール)、及び/又は接着性促進剤などの他の成分及び添加剤も含有してもよいが、これらに限定はされない。例えば、いくつかの実施形態では、組成物は、アラントイン、ポリビニルピロリドン、界面活性剤、及び/又はその他の添加剤及び/又は共阻害剤を更に含んでもよい。
【0064】
いくつかの実施形態では、リチウム含有組成物は、パーマンガネート含有組成物に関して上述したものなどの指示化合物を更に含んでもよい。指示化合物は、組成物中に組成物1リットル当たり約0.0001から3gの量で存在してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、指示化合物は、組成物中に組成物1リットル当たり0.0001g〜1gの量で存在してもよい。いくつかの実施形態では、例えば、指示化合物は、組成物中に組成物1リットル当たり0.082g〜0.0132gの量で存在してもよい。
【0065】
例えば、本発明のいくつかの実施形態では、リチウム含有組成物は、水酸化リチウム(LiOH)、リン酸二水素リチウム(LiHPO)、及び界面活性剤を含む水溶液を含んでもよい。他の実施形態の例では、リチウム含有組成物は、水酸化リチウム(LiOH)、リン酸又はピロリン酸ナトリウム(NaPO又はNa)、及び界面活性剤を含む水溶液を含んでもよい。
【0066】
更に他の実施形態の例では、リチウム含有組成物は、アルカリ性の水性担体、リチウムイオン、別のIA族若しくは第1族元素イオン、炭酸イオン、水酸化物イオン、リン酸イオン、及び任意で添加剤(例えば、界面活性剤、キレータ、増粘剤、アラントイン、ポリビニルピロリドン、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、ハロゲン化物(例えば、F)、接着性促進シラン、及び/又はアルコール)を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、リチウム含有組成物は、炭酸リチウム(LiCO)、水酸化ナトリウム(NaOH)、リン酸ナトリウム(NaPO)、界面活性剤、及び任意でポリビニルピロリドンを含む水溶液を含んでもよい。
【0067】
他の実施形態の例では、リチウム含有組成物は、アルカリ性の水性担体、リチウムイオン、水酸化物イオン、ハロゲン化物イオン(例えば、F)、及び任意で添加剤(例えば、カルボナート、界面活性剤、キレータ、増粘剤、アラントイン、ポリビニルピロリドン、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、ハロゲン化物(例えば、F)、接着性促進シラン、及び/又はアルコール)を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、リチウム含有組成物は、水酸化リチウム(LiOH)、フッ化ナトリウム(NaF)、及び界面活性剤を含む水溶液を含んでもよい。
【0068】
いくつかの実施形態では、リチウム含有組成物は、0.05g〜12gのLiCO、及び組成物を1Lとするために十分な水を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、リチウム含有組成物は、1g〜2gのLiCO、及び組成物を1Lとするために十分な水を含んでもよい。
【0069】
いくつかの実施形態によれば、リチウム含有組成物は、0.05g〜12gのLiCO、1g〜20gのエタノール、及び組成物を1Lとするために十分な水を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、リチウム含有組成物は、1g〜2gのLiCO、8.33gのエタノール、及び組成物を1Lとするために十分な水を含んでもよい。
【0070】
いくつかの実施形態によれば、リチウム含有組成物は、0.05g〜12gのLiCO、0.0001g〜1gの指示化合物、及び組成物を1Lとするために十分な水を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、リチウム含有組成物は、1g〜2gのLiCO、0.082g〜0.0132gの指示化合物、及び組成物を1Lとするために十分な水を含んでもよい。
【0071】
上述したように、いくつかの実施形態では、リチウム含有組成物は、アルカリ性、すなわち、7を超えるpHを有してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、リチウム組成物は、10を超えるpHを有することができる。更に、いくつかの実施形態では、組成物の温度は、基体に塗布されるとき、15℃〜120℃、例えば、15℃〜25℃(又は室温)であってもよい。
【0072】
本明細書に記載のリチウム含有組成物は、腐食を抑制するために金属基体をコーティングするパーマンガネート含有組成物と共に使用することができる。例えば、金属基体は、まずパーマンガネート含有組成物でコーティング又は処理されて、その後、リチウム含有化合物でコーティング又は処理されてもよい。金属基体をコーティングする方法の実施形態は、以下により詳細に記載される。
【0073】
基体
本発明の他の実施形態によれば、金属基体(例えば、アルミニウム若しくはアルミニウム合金基体)は、本発明の実施形態に係るパーマンガネート含有組成物及び/又はリチウム含有組成物と接触している表面を含んでよい。適した基体の例としては、アルミニウム、亜鉛、鉄、及び/又はマグネシウム基体が挙げられるが、これらに限定はされない。適した金属基体の例としては、更にアルミニウム2024(Aluminum 2024)などの高銅含有アルミニウム合金が挙げられるが、これに限定はされない。
【0074】
いくつかの実施形態によれば、金属基体は、金属基体を上述のパーマンガネート含有組成物及び/又はリチウム含有組成物と接触させる前に前処理されてもよい。本明細書で使用される、「前処理」という用語は、それに続く処理に先立つ基体の表面改質のことを指す。このような表面改質は、当該分野で公知であるように、洗浄(不純物及び/又は汚れを表面から除去すること)、脱酸素、及び/又は溶液の塗布若しくはコーティングの付与を含む各種の操作を含んでもよいが、これらに限定はされない。前処理は、より均一な出発金属表面の生成、前処理された基体上の後のコーティングに対する改善された接着性、及び/又はその後の組成物の堆積を促進するようにその出発表面を改質することなど、1又は複数の利益を有してもよい。
【0075】
いくつかの実施形態によれば、金属基体は、その金属基体をパーマンガネート含有組成物及び/又はリチウム含有組成物と接触させる前に、まず金属基体を溶媒処理することによって準備されてもよい。本明細書で使用される「溶媒処理」という用語は、基体を、金属表面に存在する可能性のあるインク、オイルなどの除去を助ける溶媒ですすぎ、ワイピング、噴霧、又は浸漬することを指す。又は、金属基体は、金属基体をパーマンガネート含有組成物及び/又はリチウム含有組成物と接触させる前に、従来の脱脂方法を使用して金属基体を脱脂することによって準備してもよい。
【0076】
金属基体は、金属基体を溶媒処理することによって前処理されてもよい。その後、金属基体は、金属基体をアルカリ性洗浄剤又は脱脂剤で洗浄することによって前処理されてもよい。適したアルカリ性洗浄剤/脱脂剤のいくつかの例としては、PRC−DeSoto International,Inc.、Sylmar、CAから入手可能な「DFMシリーズ」という一連の製品が挙げられるが、これらに限定はされない。これらの製品は、アルカリ性エッチング又は脱脂剤であり、いくつかの製品の例としては、DFM4及びDFM10(ともにPRC−DeSoto International,Inc.、Sylmar、CA製造)が挙げられる。適した脱脂組成物のその他の例としては、RECC1001及び88X002(ともにPRC−DeSoto International,Inc.、Sylmar、California製造)が挙げられるが、これらに限定はされない。
【0077】
金属基体は、基体を脱脂した後、任意で脱酸素することができる。又は、金属基体は、脱脂を必要としないが、パーマンガネート含有組成物及び/又はリチウム含有組成物の塗布前に脱酸素されてもよい。脱酸素組成物の例としては、酸(例えば、硝酸)、キレータ、及び担体を挙げることができる。1つの実施形態では、キレータは、アスコルビン酸を含むことができる。他の実施形態では、リン酸/イソプロピルアルコール酸性脱酸素剤を使用してもよい。
【0078】
いくつかの実施形態では、脱脂剤/脱酸素剤組成物は、0.5g〜5gのNaOH、0.5g〜20gのリン酸ナトリウム、0.001g〜5gのポリビニルピロリドン、0.001g〜5gのアラントイン、0.05g〜10gの1−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−H−テトラゾール−5−チオール(DMTZ)、0.01g〜20gのAir ProductsからのCarbowet(登録商標)DC01界面活性剤、及び溶液を1Lとするために十分な水を含んでもよい。別の実施形態では、脱脂剤/脱酸素剤組成物は、0.5g〜20gの水酸化カリウム、0.05g〜10gのポリリン酸カリウム、0.5g〜25gのケイ酸カリウム、0.5〜20gのDCOI、及び溶液を1Lとするために十分な水を含んでもよい。更に他の実施形態では、脱脂剤/脱酸素剤組成物は、0.5g〜20gの水酸化ナトリウム、0.05g〜20gのリン酸ナトリウム、0.0005〜5gのStart Right(登録商標)(United Pet Group,Inc.、Madison、WIから入手可能なウォーターコンディショナー)、0.5〜20gのAir ProductsからのCarbowet(登録商標)DC01界面活性剤、及び溶液を1Lとするために十分な水を含んでもよい。いくつかの実施形態によれば、脱脂剤/脱酸素剤組成物は、50〜500mLのブタノール、50〜500mLのイソプロパノール、0.01〜5mLのリン酸、及び溶液を1Lとするために十分な水を含んでもよい。いくつかの実施形態では、例えば、脱脂剤/脱酸素剤組成物は、0.05〜5gのアスコルビン酸、5〜200mLの硝酸、及び溶液を1Lとするために十分な水を含んでもよい。適した脱脂剤/脱酸素剤組成物の1つの例としては、PRC−DeSoto International,Inc.、Sylmar、CAから入手可能なDeft Clean 4000が挙げられるが、これに限定はされない。
【0079】
1つの実施形態では、金属基体は、パーマンガネート含有組成物及び/又はリチウム含有組成物による処理前に、酸化物形成剤で処理することができる。酸化物形成剤の例としては、リチウム及び/又はアルミニウム塩を挙げることができる。いくつかの実施形態では、酸化物形成剤処理は、沸騰水中への金属基体の浸漬を含むことができる。
【0080】
いくつかの実施形態では、金属基体は、組成物を金属基体に塗布する前に金属を機械的に脱酸素することによって前処理されてもよい。典型的な機械的脱酸素手法の例としては、スコッチブライトパッド又は同様の道具を使用した均一な粗面化が挙げられるが、これらに限定はされない
【0081】
いくつかの実施形態によれば、金属基体は、パーマンガネート含有組成物及び/又はリチウム含有組成物を金属基体に塗布する前に、金属を溶媒でワイピングすることによって前処理されてもよい。適した溶媒の例としてはメチルエチルケトン(MEK)、メチルプロピルケトン(MPK)、アセトンなどが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0082】
金属基体を準備するための更なる任意の手順としては、酸洗い液若しくは軽い酸エッチ、又はスマット除去剤などの表面光沢剤の使用が挙げられる。
【0083】
金属基体を、各前処理ステップの合間に、水道水、又は蒸留/脱イオン水のいずれかによってすすいでもよく、本発明の実施形態に係るパーマンガネート含有組成物及び/又はリチウム含有組成物との接触後に、蒸留/脱イオン水及び/又はアルコールによってよくすすいでもよい。しかし、本発明のいくつかの実施形態によれば、上述の前処理手順及びすすぎの一部は、本発明の実施形態に係る組成物の塗布前、又は塗布後に必ずしも必要でない場合もある。例えば、いくつかの実施形態では、金属基体は、脱脂剤で処理して、その後すすいでもよい。その他の実施形態では、金属基体は、脱酸素剤(例えば、酸性脱酸素剤)で処理して、その後すすいでもよい。更に他の実施形態では、金属基体は、脱脂剤で処理して、その後すすいでもよく、その後脱酸素剤で処理して、その後すすいでもよい。更に、この洗浄工程は、1つの組み合わせた工程で行ってもよく、又は複数の工程で行ってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、金属基体は、アルカリ性脱脂剤で処理した後にすすいでもよく、その後、上述のパーマンガネート含有組成物及び/又はリチウム含有組成物で処理する前に、酸性脱酸素剤で処理してもよい。
【0084】
本発明の他の実施形態によれば、金属基体は、パーマンガネート含有組成物で処理する前に、酸(例えば、硝酸)及び金属キレータを含む酸性脱酸素剤で処理してもよい。金属キレータの例はビタミンCである。いくつかの実施形態では、例えば、酸性脱酸素剤は、10g〜500gの酸(例えば、硝酸)、0.1g〜15gのキレータ(例えば、アスコルビン酸)、及び溶液を1Lとするために十分な水を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、酸性脱酸素剤は、70g〜200gの酸、0.5g〜3gのキレータ、及び溶液を1Lとするために十分な水を含んでもよい。
【0085】
金属基体が適切に前処理された後、必要に応じて、本発明の実施形態に係るパーマンガネート含有組成物が金属基体表面の少なくとも一部分と接触できるようにされてもよい。金属基体は、ディップ浸漬、噴霧、又はブラシ、ローラーなどを使用したスプレッディングなど、どのような従来の技術を用いて組成物に接触してもよい。噴霧による塗布に関して、従来の(自動又は手動の)スプレー技術及び空気噴霧に使用される装置を使用してもよい。その他の実施形態では、組成物は、電解コーティングシステムを使用して塗布されてもよい。
【0086】
金属基体にパーマンガネート含有組成物を接触させた後、金属基体を任意に空気乾燥させてもよい。しかし、基体を乾燥させる必要はなく、いくつかの実施形態では、乾燥を省略する。すすぎも必要ないが、必要に応じて行ってもよい。
【0087】
いくつかの実施形態によれば、金属基体は、まず機械的研磨によって準備され、その後、ウェットワイピングすることでスマットを除去してもよい。その後、基体を、塗布前に任意に空気乾燥させてもよい。しかし、基体を乾燥させる必要はなく、いくつかの実施形態では、乾燥を省略する。次に、パーマンガネート含有組成物は、金属基体に塗布され、例えば室温を超える熱を与えずに乾燥されてもよい。しかし、基体を乾燥させる必要はなく、いくつかの実施形態では、乾燥が省略してもよい。基体をすすぐ必要はなく、その後、金属基体を更に上述のリチウム含有組成物、化成コーティング、プライマー及び/又はトップコートでコーティングし、完成したコーティングを有する基体としてもよい。
【0088】
浸漬によって組成物を金属基体に塗布する場合、浸漬時間は、数秒から数時間まで、例えば、30分未満又は3分以下と変化してもよい。いくつかの実施形態では、例えば、浸漬時間は、2〜10分間、又は2〜5分間であってもよい。スプレー塗布を使用して組成物を金属基体に塗布する場合、従来のスプレー塗布方法を使用して組成物を基体の少なくとも一部分に接触させてもよい。組成物が金属基体と接触したままの状態である滞留時間は、数秒から数時間まで、例えば、30分未満又は3分以下と変化してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、滞留時間は、2〜10分間、又は2〜5分間であってもよい。上述したように、パーマンガネート含有組成物は2〜14のpH、例えば、4〜10のpHを有してもよい。
【0089】
パーマンガネート含有組成物は、スワビングによる塗布など、当該分野で公知の他の技術を使用して塗布されてもよい。ここでも、組成物が金属基体と接触したままの状態である滞留時間は、数秒から数時間まで、例えば、30分未満又は3分以下と変化してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、滞留時間は、2〜10分間、又は2〜5分間であってもよい。
【0090】
金属基体をパーマンガネート含有組成物と接触させた後、金属基体は、任意で空気乾燥させた後、水道水、又は蒸留/脱イオン水によってすすいでもよい。又は、金属基体をパーマンガネート含有組成物と接触させた後、金属基体を、水道水、又は蒸留/脱イオン水によってすすぎ、その後(必要に応じて)空気乾燥してもよい。しかし、基体を乾燥させる必要はなく、いくつかの実施形態では、乾燥を省略してもよい。更に、上述したように、基体をすすぐ必要はなく、その後、金属基体を上述のリチウム含有組成物、化成コーティング、プライマー及び/又はトップコートで更にコーティングし、完成したコーティングを有する基体としてもよい。そのため、いくつかの実施形態では、その後のすすぎは省略してもよい。
【0091】
いくつかの実施形態では、本発明の実施形態に係るパーマンガネート含有組成物は、1〜10分間(例えば、2〜5分間)金属基体に塗布されてもよく、金属基体の表面は、組成物の再塗布によって湿った状態を保ってもよい。その後、組成物は、任意で、組成物の最後の塗布後、例えば室温を超える熱を与えずに、5〜10分間(例えば7分間)乾燥されてもよい。しかし、基体を乾燥させる必要はなく、いくつかの実施形態では、乾燥が省略される。例えば、いくつかの実施形態によれば、溶媒(例えばアルコール)を使用して基体をすすいでもよく、これにより乾燥ステップを省略することが可能になる。又は、金属基体を脱イオン水で(例えば2分間)すすいで、任意で乾燥させてもよい。
【0092】
乾燥ステップ(もし行う場合)後、金属基体は、上述のリチウム含有組成物と2〜10分間、例えば、2〜3分間接触させてもよい。いくつかの実施形態では、例えば、リチウム組成物は、リチウム源、担体、及びアゾール化合物を含む。金属基体をまずパーマンガネート含有組成物で処理した後、アゾール化合物を含むリチウム含有組成物で塗布することによって、結果は、金属のパーマンガネート処理基体(metal permanganate treated substrate)の基体上の好ましい反応となる。リチウム含有組成物は、その後、(必要に応じて)基体上で乾燥させてもよく、又は、任意で基体からすすぐこともできる。
【0093】
リチウム含有組成物の塗布後、(もし行う場合)乾燥ステップ後、金属基体は、化成コーティング、例えば、セリウム又はイットリウム系化成コーティングなどの希土類化成コーティングでコーティングされてもよい。そのようなコーティングの例としては、セリウム及び/又はイットリウム塩を有するものが挙げられる。希土類コーティングに加えて、例えば、pHの変化に応じて沈殿を形成できるものなど、任意の適した化成コーティングの化学的性質を使用してもよい。そのようなコーティングの化学的性質の例としては、Alodine 5900(Henkel Technologies、Madison Heights、MIから入手可能)などの三価クロム、Alodine 5900(Henkel Technologies、Madison Heights、MIから入手可能)などのジルコニウム、DesoGel(商標)の名称で販売されているもの(PRC−DeSoto International,Inc. of Sylmar、CAから入手可能)などのゾルゲルコーティング、コバルトコーティング、バナダートコーティング(vanadate coating)、モリブダートコーティング(molybdate coating)、パーマンガネートコーティングなど、並びにY及びZrを含むがこれらに限定されない組合せが挙げられる。化成コーティング(例えば、希土類化成コーティング)は、5分間、金属基体に適用されてもよい。基体をすすぐ必要はなく、その後、金属基体を更にプライマー及び/又はトップコートでコーティングし、完成したコーティングを有する基体としてもよい。
【0094】
いくつかの実施形態によれば、基体を処理する方法は、洗浄組成物を基体に塗布することによって基体を洗浄することを含む。洗浄組成物は、酸性又はアルカリ性のいずれかであってよい。いくつかの実施形態では、例えば、基体を洗浄することは、酸性洗浄組成物を基体に塗布すること、及び/又はアルカリ性洗浄組成物を基体に塗布することを含んでもよい。酸性洗浄組成物としては、例えば、上述のものなど、酸性脱酸素剤が挙げられる。更に、アルカリ性洗浄組成物としては、例えば、上述のものなど、アルカリ性脱脂剤が挙げられる。酸性及び/又はアルカリ性洗浄組成物は、脱酸素剤及び脱脂剤に関して上述した回数及び条件で基体に塗布されてもよい。
【0095】
方法は、酸性組成物及び/又はアルカリ性組成物での洗浄後、基体をすすぐことを更に含んでもよい。1回のすすぎを行ってもよく、又は複数回のすすぎを行ってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、2回のすすぎを行ってもよい。各すすぎは、例えば、脱イオン水でのすすぎを含んでもよい。
【0096】
更に、方法は、パーマンガネート源及び第1の担体を含む第1の組成物を洗浄した基体に塗布することを含んでもよい。第1の組成物は、パーマンガネート源及び担体を、パーマンガネート含有組成物に関して上述した量及び濃度で含んでもよい。また、第1の組成物は、上述のパーマンガネート組成物を含んでもよい。しかし、第1の組成物は、パーマンガネート含有組成物に関して上述した全ての成分を含む必要はない。例えば、いくつかの実施形態では、第1の組成物は、パーマンガネート源及び担体を含むが、腐食抑制剤として追加の金属塩を含まない。実際に、いくつかの実施形態では、第1の組成物は、パーマンガネート源及び担体「から成る」又は「から本質的に成る」。本明細書では、「から成る」という用語は、常在の又は天然由来の不純物を除いて、列挙されていない全ての成分を除外するために使用され、「から本質的に成る」という用語は、第1の組成物の性能に材料的に影響を与えない、列挙されていない全ての成分を除外するために使用される。例えば、いくつかの実施形態では、第1の組成物に関して「から本質的に成る」という用語は、追加の金属塩(すなわち、パーマンガネート源以外)、アゾール化合物、及び他の添加剤などの成分を除外する。第1の組成物は、パーマンガネート含有組成物に関して上述した回数及び条件で基体に塗布されてもよい。
【0097】
方法は、第1の組成物の塗布後、基体をすすぐことも含んでもよい。1回のすすぎを行ってもよいし、複数回のすすぎを行ってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、2回のすすぎを行ってもよい。各すすぎは、例えば、脱イオン水でのすすぎを含んでもよい。
【0098】
更に、方法は、リチウム源及び第2の担体を含む第2の組成物を、パーマンガネート処理基体に塗布することを含んでもよい。第2の組成物は、リチウム源及び第2の担体を、リチウム含有組成物に関して上述した量及び濃度で含んでもよい。また、第2の組成物は、上述のリチウム含有組成物を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、第2の組成物は、リチウム源、第2の担体、並びに指示化合物(例えば、カテコールバイオレット)及び/又はアゾール化合物(例えば、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、1H−ベンゾトリアゾール、1H−1,2,3−トリアゾール、2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、及び/又は2−アミノ−1,3,4−チアジアゾール)を含んでもよい。第2の組成物中に含まれる場合、指示化合物及び/又はアゾール化合物は、リチウム含有組成物中のこれらの成分に関して上述した量及び濃度で存在してもよい。
【0099】
以下の実施例は、説明目的のみで提示され、本発明の範囲を制限するものではない。
【実施例】
【0100】
(例1)
パーマンガネート含有組成物
十分な脱イオン水に4.5gの過マンガン酸カリウム(KMnO)を混合することによって、溶液(Soln 0)を調製し、12リットルとした。
【0101】
(例2)
パーマンガネート含有組成物
十分な脱イオン水に4.5gの過マンガン酸カリウム(KMnO)及び0.5gの硝酸セリウム(Ce(NO)を混合することによって、溶液(Soln 1)を調製し、12リットルとした。
【0102】
(例3)
パーマンガネート含有組成物
十分な脱イオン水に4.5gの過マンガン酸カリウム(KMnO)及び0.5gの1H−ベンゾトリアゾール(BTA)を混合することによって、溶液(Soln 2)を調製し、12リットルとした。
【0103】
(例4)
パーマンガネート含有組成物
十分な脱イオン水に4.5gの過マンガン酸カリウム(KMnO)及び0.5gの過酸化水素(H)を混合することによって、溶液(Soln 3)を調製し、12リットルとした。
【0104】
(例5)
パーマンガネート含有組成物
十分な脱イオン水に30gの過マンガン酸カリウム(KMnO)を混合することによって、溶液(Soln 4)を調製し、12リットルとした。
【0105】
(例6)
リチウム含有組成物
十分な脱イオン水に12gの炭酸リチウム(LiCO)を混合することによって、溶液(SIB)を調製し、12リットルとした。
【0106】
(例7)
リチウム含有組成物
十分な脱イオン水に4.5gの炭酸リチウム(LiCO)及び0.158gのカテコールバイオレットを混合することによって、溶液(SIB−CV)を調製し、12リットルとした。
【0107】
(例8)
リチウム含有組成物
十分な脱イオン水に18.4gの炭酸リチウム(LiCO)を混合することによって、溶液(SIC)を調製し、12リットルとした。
【0108】
(例9)
リチウム含有組成物
十分な脱イオン水に18.4gの炭酸リチウム(LiCO)及び1gの1H−ベンゾトリアゾール(BTA)を混合することによって、溶液(SIC−BTA)を調製し、12リットルとした。
【0109】
(例10)
リチウム含有組成物
十分な脱イオン水に18.4gの炭酸リチウム(LiCO)及び0.158gのカテコールバイオレットを混合することによって、溶液(SIC−CV)を調製し、12リットルとした。
【0110】
(例11)
リチウム含有組成物
十分な脱イオン水に12gの炭酸リチウム(LiCO)及び100gのエタノールを混合することによって、溶液(S2B)を調製し、12リットルとした。
【0111】
(例12)
リチウム含有組成物
十分な脱イオン水に18.4gの炭酸リチウム(LiCO)及び100gのエタノールを混合することによって、溶液(S2C)を調製し、12リットルとした。
【0112】
例1から12によって調製された組成物を、アルミニウムパネルにコーティングし、試験した。特に、Bare A12024−T3(Continental Steel&Tube Company、Fort Lauderdale、Floridaから入手可能)の三連パネル(パネルA、B及びC)を、以下に記載し、以下の表1に示したやり方で処理した。パネルを室温、すなわち約25℃で処理した。表1中の組成物の略記は、上記の実施例の記載に見られる。
【0113】
まず、脱脂剤をパネルに3.5分間塗布した。使用した脱脂剤は、DFM4(パネル1〜4)、RECC1001(パネル5〜8)、88X002(パネル9〜12及び21)、又はDFM10(パネル13〜20)のいずれかであり、これらの脱脂剤の全てが、PRC−DeSoto International, Inc.、Sylmar、CAから入手可能である。脱脂剤の塗布後、各パネルを、脱イオン水で、すすぎ1回当たり2分間で、2回すすいだ。その後、表に示したパーマンガネート含有組成物(すなわち、Soln 0、Soln 1、Soln 2、Soln 3若しくはSoln 4)又はRECC3070(PRC−DeSoto International, Inc.、Sylmar、CAから入手可能な希土類化成コーティング組成物)を2分間又は5分間(表に示したように)各パネルに塗布した。
【0114】
各パネルをその後、2分間脱イオン水ですすいだ。すすぎ後、表に示したリチウム含有組成物(すなわち、SIB、SIB−CV、SIC、SIC−BTA、SIC−CV、S2B又はS2C)を2分間、各パネルに塗布した。
【0115】
処理後、処理した各パネルの性能をASTM B 117に従って操作する4日間の中性塩水噴霧試験により測定した。試験パネルを、以下の評価パラメータを有するELMスケールに従って評価した:
10 試験を開始したときと実質的に同じ
9 3インチ×6インチのパネル当たり、窪み(テール(tail)あり若しくはなし)3個以下でMIL−C−5541合格
8 3インチ×6インチのパネル当たり、白色の腐食テール(変色したテール可)がある窪み3個以下でMIL−C−5541合格
7 テールのある窪みが3個を超えるが、全体では窪み15個以下
6 全体で窪みが15個を超えるが、全体で窪み40個未満
5 基体の30%が腐食している。
4 基体の50%が腐食している。
3 基体の70%が腐食している。
2 基体の85%が腐食している。
1 基体の100%が腐食している。
【0116】
列挙された各パネルの三連パネル(A〜C)の平均評価として報告された、各パネルのELM評価を、以下、表2に示す。
【表2-1】

【表2-2】

【表2-3】
【0117】
表2に見られるように、本発明の実施形態に係るパーマンガネート含有組成物及びリチウム含有組成物で処理したパネルは、良好な耐腐食性を示す。
【0118】
上述のものと同様のやり方で、追加のパネルを試験した。具体的には、Bare A12024−T3(Continental Steel&Tube Company、Fort Lauderdale、Floridaから入手可能)の三連パネル(パネルA、B及びC)を、以下に記載し、以下の表3に示したやり方で処理した。パネルを室温、すなわち約25℃で処理した。表3中の組成物の略記は、上記の実施例の記載に見られる。
【0119】
まず、脱脂剤をパネルに3.5分間塗布した。使用した脱脂剤は、RECC1001(パネル22〜29)、88X002(パネル38)、又はDFM10(パネル30〜37)のいずれかであり、これらの脱脂剤の全てが、PRC−DeSoto International, Inc.、Sylmar、CAから入手可能である。脱脂剤の塗布後、各パネルを、脱イオン水で2分間すすいだ。その後、脱脂剤組成物(すなわち、1.25gのアスコルビン酸、83mLの硝酸及び1リットルとするために十分な脱イオン水を含む溶液)を、2.5分間パネルに塗布し、その後、脱イオン水で2分間すすいだ。その後、例2に係るパーマンガネート含有組成物(すなわち、Soln 1)を2〜10分間(表に示したように)各パネルに塗布し、その後、脱イオン水で2分間すすいだ。すすぎ後、表に列挙したリチウム含有組成物を2〜3分間(表に示したように)各パネルに塗布した。
【0120】
処理後、処理した各パネルの性能をASTM B 117に従って操作する4日間の中性塩水噴霧試験により測定した。試験パネルを、上述したELMスケールに従って評価した。列挙された各パネルの三連パネル(A〜C)の平均評価として報告された、各パネルのELM評価を、表3に示す。
【表3-1】

【表3-2】

【表3-3】
【0121】
表3に見られるように、処理方法は、処理基体の性能に影響を及ぼす場合がある。例えば、脱脂剤又は脱酸素剤、パーマンガネート溶液、及びリチウム溶液のいくつかの組合せは、他の組合せに比べて、向上した耐腐食性能を示す。更に、同じやり方で処理されたいくつかのパネル(例えば、パネル32及び33)は、異なるELM評価を表示する場合があるが、これらのパネルのいくつかは、かなり高いELM評価を表示したとみることができる。このことは、これらのパネルに使用された塗布手順及び組成物が、望ましい結果をもたらすことができること、並びに、不出来のパネルにおいて、塗布方法又は塗布順序、若しくは組成物とは関係の無いキズ又は欠陥が存在する可能性があることを示す。
【0122】
本開示の所定の実施形態について説明のために上述したが、添付の特許請求の範囲に定義された本発明及びその均等物から逸脱することなく、本開示の詳細に対しては非常に多くの変更が可能であることは、当業者に理解されるだろう。例えば、ここでの実施形態は「1種の」パーマンガネートなどと結びつけて説明したが、1種若しくは複数のパーマンガネート又はその他言及されたいずれの成分も本開示の実施形態に従って使用できる。
【0123】
本開示の各種の実施形態は「含む」という用語を用いて説明したが、「本質的に〜から成る」又は「〜から成る」実施形態も本開示の範囲内である。例えば、本開示では、パーマンガネート源及び担体を含む組成物を説明しているが、パーマンガネート源及び担体から本質的に成る又はそれらから成る組成物及び/又は溶液も本開示の範囲内である。同様に、パーマンガネート塩を含む(comprising)若しくは含む(including)パーマンガネート源が説明されているが、パーマンガネート塩から本質的に成る、又はパーマンガネート塩から成るパーマンガネート源も本開示の範囲内である。したがって、上述のように、組成物は本質的にパーマンガネート源及び担体から成ってもよい。この文脈において、「本質的に〜から成る」とは、組成物中の追加のいかなる成分も組成物を含む金属基体の耐腐食性に大きな影響を与えないことを意味する。例えば、本質的にパーマンガネート源及び担体から成る組成物は、パーマンガネートを除くアニオンを含まない。
【0124】
別段の明示の指定がない限り、本明細書で使用される値、範囲、量又は割合などを表す全ての数は、明示されていなくても、「約」という語を付けたものとして読み替えられてもよい。更に、「約」という語の使用は、全て本開示が属する分野の当業者に理解されるように、測定、有効数字、及び互換性に伴う変動の周辺部を反映する。ここで言及したどの数値範囲も、それに含まれる全ての小範囲を含むことを意図している。複数は単数を包含し、その逆も同様である。例えば、本開示では「1種の」パーマンガネート源を説明しているが、このようなパーマンガネート源の混合物を使用することができる。範囲が与えられた場合、これらの範囲のどのような終点及び/又はこれらの範囲内の数も本開示の範囲に組み込むことができる。「含む」及びそれに類する用語は、「含むがそれに限定されない」ことを意味する。同様に、本明細書で使用される、「〜上に」、「〜上に塗布される」、及び「〜上に形成される」という用語は、〜上に、〜上に塗布される、又は〜上に形成されるが、必ずしも表面に接触していなくてもよいことを意味する。例えば、基体「上に塗布される」組成物は、塗布された組成物と基体の間に位置する同じ又は異なる組成物の1種又は複数の他のコーティング層の存在を除外しない。
【0125】
本明細書に記載された数値範囲及びパラメータが近似であっても良かったとしても、特定の例において記載された数値は、実施可能である程度に正確に報告されている。しかし、どのような数値も、本質的に、各試験測定における標準偏差から必然的に導かれる若干の誤差を含む。本明細書及び特許請求の範囲で使用される「含む」という語及びその変化形は、どのような変更又は追加をも除外するように本開示を制限するものではない。