(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ポリマー成分及び硬化樹脂前駆体成分から選択される少なくとも2つの成分が、湿式スピノーダル分解により相分離可能であり、前記ポリマー成分が、重合性基を有していてもよい(メタ)アクリル系重合体及びセルロースエステル類を含み、かつ前記硬化樹脂前駆体成分が、ウレタン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート及びフッ素含有硬化性化合物を含む請求項1又は2記載の転写用離型フィルム。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[基材層]
本発明の転写用離型フィルムは、基材層を含む。基材層は、凹凸層を支持できれば、特に限定されず、有機材料で形成されていてもよく、無機材料で形成されていてもよい。凹凸層が光硬化性組成物で形成されている場合、凹凸層の生産性の点から、基材層は、透明材料で形成されているのが好ましい。透明材料は、ガラスなどの無機材料であってもよいが、強度や成形性などの点から、有機材料が汎用される。有機材料としては、例えば、セルロース誘導体、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、(メタ)アクリル系重合体などが例示できる。これらのうち、セルロースエステル、ポリエステルなどが汎用される。
【0018】
セルロースエステルとしては、セルローストリアセテート(TAC)などのセルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのセルロースアセテートC
3−4アシレートなどが挙げられる。ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリアルキレンアリレートなどが挙げられる。
【0019】
これらのうち、機械的特性や透明性などのバランスに優れる点から、PETやPENなどのポリC
2−4アルキレンアリレートが好ましい。
【0020】
基材層は、表面処理(例えば、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、オゾンや紫外線照射処理など)されていてもよく、易接着層を有していてもよい。
【0021】
基材層の平均厚みは10μm以上であってもよく、例えば12〜500μm、好ましくは20〜300μm、さらに好ましくは30〜200μm程度である。
【0022】
[凹凸層]
本発明の転写用離型フィルムは、前記基材層の少なくとも一方の面に形成され、かつ表面が転写面である凹凸層を有している。この凹凸層は、前記基材層の少なくとも一方の面に形成されていればよく、両面に形成されていてもよいが、通常、一方の面に形成されている。凹凸層の表面は、凹凸形状を有する転写面となって、凹凸転写で被転写面に反転した凹凸形状を形成できる。
【0023】
このような凹凸層の転写面の算術平均表面粗さRaは0.1〜2μmであり、好ましくは0.2〜1.5μm(例えば0.25〜1μm)、さらに好ましくは0.3〜0.8μm(特に0.4〜0.6μm)程度である。Raが小さすぎると、凸形状がなだらかな形状となり、マット状成形体を製造できなくなり、大きすぎると、剥離性が低下して、マット状成形体の生産性が低下する。
【0024】
なお、本明細書及び特許請求の範囲では、算術平均表面粗さRaは、JIS B0601に準拠して、接触式表面粗さ計(東京精密(株)製「サーフコム(surfcom)570A」)を用いて測定できる。
【0025】
凹凸層の転写面の60°グロスは5%未満(例えば0.1〜4.9%)であり、好ましくは1〜4.5%(例えば1.5〜4.2%)、さらに好ましくは2〜4%(特に2.5〜3.5%)程度である。60°グロスが大きすぎると、マット状成形体を製造できなくなる。
【0026】
なお、本明細書及び特許請求の範囲では、60°グロスは、JIS K7105に準拠して、グロスメーター((株)堀場製作所製「IG−320」)を用いて測定できる。
【0027】
凹凸層は、前記算術平均表面粗さRa及び60°グロスを有しているにも拘わらず、1μm以上の微粒子を含まない。そのため、被転写体に微粒子が混入するのを抑制できる。さらに、凹凸層は、微粒子自体(1μm未満の微粒子も含めた微粒子)を含まないのが好ましい。
【0028】
なお、本明細書及び特許請求の範囲では、微粒子(又は1μm以上の微粒子)を含まない凹凸層には、グロスに影響を与えない不純物レベルの微量の微粒子を含む凹凸層(例えば、凹凸層全体に対して1重量%以下の微粒子を含む凹凸層)は含まれる。
【0029】
このような微粒子を含まない凹凸層は、1種以上のポリマー成分及び1種以上の硬化樹脂前駆体成分を含む硬化性組成物の硬化物であり、凹凸層の表面(転写面)は、液相からのスピノーダル分解(湿式スピノーダル分解)により形成された凹凸形状であってもよい。詳しくは、1種以上のポリマー成分と1種以上の硬化樹脂前駆体成分と溶媒とを含む組成物(混合液)を用い、この組成物の液相から、溶媒を乾燥などにより蒸発又は除去する過程で、濃度の濃縮に伴って、スピノーダル分解による相分離が生じることにより、形成された凹凸形状であってもよい。
【0030】
(ポリマー成分)
ポリマー成分としては、通常、熱可塑性樹脂(重合性基を有する熱可塑性樹脂を含む)が使用される。熱可塑性樹脂としては、透明性が高く、スピノーダル分解により前述の表面凹凸形状を形成できれば特に限定されないが、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系重合体、有機酸ビニルエステル系重合体、ビニルエーテル系重合体、ハロゲン含有樹脂、ポリオレフィン(脂環式ポリオレフィンを含む)、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、熱可塑性ポリウレタン、ポリスルホン系樹脂(ポリエーテルスルホン、ポリスルホンなど)、ポリフェニレンエーテル系樹脂(2,6−キシレノールの重合体など)、セルロース誘導体(セルロースエステル類、セルロースカーバメート類、セルロースエーテル類など)、シリコーン樹脂(ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサンなど)、ゴム又はエラストマー(ポリブタジエン、ポリイソプレンなどのジエン系ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴムなど)などが例示できる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0031】
ポリマー成分のガラス転移温度は、例えば−100℃〜250℃、好ましくは−50℃〜230℃、さらに好ましくは0〜200℃程度(例えば50〜180℃程度)の範囲から選択できる。なお、表面硬度の観点から、ガラス転移温度は50℃以上(例えば70〜200℃程度)、好ましくは100℃以上(例えば100〜170℃程度)であるのが有利である。ポリマーの重量平均分子量は、例えば1,000,000以下、好ましくは1,000〜500,000程度の範囲から選択できる。
【0032】
これらのポリマー成分のうち、グロスの低い凹凸形状を形成し易い点から、重合性基を有していてもよい(メタ)アクリル系重合体及びセルロースエステル類の組み合わせが好ましい。ポリマー成分として、(メタ)アクリル系重合体とセルロースエステル類とを組み合わせると、乾燥温度付近で互いに非相溶であるため、湿式スピノーダル分解による相分離が可能となる。
【0033】
(メタ)アクリル系重合体としては、(メタ)アクリル系単量体の単独又は共重合体、(メタ)アクリル系単量体と共重合性単量体との共重合体などが使用できる。(メタ)アクリル系単量体には、例えば、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸C
1−10アルキル;(メタ)アクリル酸フェニルなどの(メタ)アクリル酸アリール;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート;N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロニトリル;トリシクロデカンなどの脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレートなどが例示できる。共重合性単量体には、前記スチレン系単量体、ビニルエステル系単量体、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸などが例示できる。これらの単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0034】
(メタ)アクリル系重合体としては、例えば、ポリメタクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体(MS樹脂など)などが例示できる。これらのうち、ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸C
1−6アルキル、特にメタクリル酸メチルを主成分(50〜100重量%、好ましくは70〜100重量%程度)とするメタクリル酸メチル系重合体が好ましい。
【0035】
(メタ)アクリル系重合体は、硬化反応に関与する重合性基を有するポリマーであってもよい。(メタ)アクリル系重合体が重合性基を有していると、凹凸層の機械的強度を向上できる。(メタ)アクリル系重合体は、重合性基を主鎖に有していてもよく、側鎖に有していてもよい。前記重合性基は、共重合や共縮合などにより主鎖に導入されてもよいが、通常、側鎖に導入される。重合性基としては、例えば、ビニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、アリルなどのC
2−6アルケニル基、エチニル、プロピニル、ブチニルなどのC
2−6アルキニル基、ビニリデンなどのC
2−6アルケニリデン基、又はこれらの重合性基を有する基[(メタ)アクリロイル基など)など]などが例示できる。
【0036】
重合性基を側鎖に導入する方法としては、例えば、反応性基や縮合性基などの官能基を有する(メタ)アクリル系重合体と、前記官能基との反応性基を有する重合性化合物とを反応させる方法などが例示できる。官能基を有する(メタ)アクリル系重合体において、官能基としては、カルボキシル基又はその酸無水物基、ヒドロキシル基、アミノ基、エポキシ基などが例示できる。
【0037】
重合性化合物としては、例えば、カルボキシル基又はその酸無水物基を有する熱可塑性樹脂の場合、エポキシ基やヒドロキシル基、アミノ基、イソシアネート基などを有する重合性化合物などが例示できる。これらのうち、エポキシ基を有する重合性化合物、例えば、エポキシシクロヘキセニル(メタ)アクリレートなどのエポキシシクロC
5−8アルケニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルなどが汎用される。
【0038】
代表的な例としては、カルボキシル基又はその酸無水物基を有する(メタ)アクリル系重合体((メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体など)とエポキシ基含有(メタ)アクリレート(エポキシシクロアルケニル(メタ)アクリレートやグリシジル(メタ)アクリレートなど)の組み合わせが例示できる。具体的には、(メタ)アクリル系重合体のカルボキシル基の一部に重合性不飽和基を導入したポリマー、例えば、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体のカルボキシル基の一部に、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチルアクリレートのエポキシ基を反応させて、側鎖に重合性基(光重合性不飽和基)を導入した(メタ)アクリル系重合体(サイクロマーP、(株)ダイセル製)などが使用できる。
【0039】
(メタ)アクリル系重合体に対する重合性基の導入量は、(メタ)アクリル系重合体1kgに対して、0.001〜10モル、好ましくは0.01〜5モル、さらに好ましくは0.02〜3モル程度である。
【0040】
セルロースエステル類としては、例えば、脂肪族有機酸エステル(セルロースジアセテート、セルローストリアセテートなどのセルロースアセテート;セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのC
1−6有機酸エステルなど)、芳香族有機酸エステル(セルロースフタレート、セルロースベンゾエートなどのC
7−12芳香族カルボン酸エステル)、無機酸エステル類(例えば、リン酸セルロース、硫酸セルロースなど)などが例示でき、酢酸・硝酸セルロースエステルなどの混合酸エステルであってもよい。これらのセルロースエステル類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのセルロースC
2―4アシレートが好ましく、セルロースアセテートプロピオネートなどのセルロースアセテートC
3−4アシレートが特に好ましい。
【0041】
前記(メタ)アクリル系重合体とセルロースエステル類との重量割合は、例えば、前者/後者=50/50〜99/1、好ましくは60/40〜90/10、さらに好ましくは70/30〜85/15(特に80/20〜90/10)程度である。
【0042】
(硬化樹脂前駆体成分)
硬化樹脂前駆体成分としては、熱や活性エネルギー線(紫外線や電子線など)などにより反応する官能基を有する化合物であり、熱や活性エネルギー線などにより硬化又は架橋して樹脂(特に硬化又は架橋樹脂)を形成可能な種々の硬化性化合物を使用できる。前記硬化樹脂前駆体成分としては、例えば、熱硬化性化合物又は樹脂[エポキシ基、重合性基、イソシアネート基、アルコキシシリル基、シラノール基などを有する低分子量化合物(例えば、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂など)など]、活性光線(紫外線など)により硬化可能な光硬化性化合物(光硬化性モノマー、オリゴマーなどの紫外線硬化性化合物など)などが例示でき、光硬化性化合物は、EB(電子線)硬化性化合物などであってもよい。なお、光硬化性モノマー、オリゴマーや低分子量であってもよい光硬化性樹脂などの光硬化性化合物を、単に「光硬化性樹脂」という場合がある。
【0043】
光硬化性化合物には、例えば、単量体、オリゴマー(又は樹脂、特に低分子量樹脂)が含まれる。
【0044】
単量体としては、例えば、単官能性単量体[(メタ)アクリル酸エステルなどの(メタ)アクリル系単量体、ビニルピロリドンなどのビニル系単量体、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレートなどの橋架環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレートなど]、少なくとも2つの重合性不飽和結合を有する多官能性単量体[エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートなどのアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリオキシテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの(ポリ)オキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、アダマンタンジ(メタ)アクリレートなどの橋架環式炭化水素基を有するジ(メタ)アクリレート;グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの3〜6程度の重合性不飽和結合を有する多官能性単量体]などが例示できる。
【0045】
オリゴマー又は樹脂としては、ビスフェノールA−アルキレンオキサイド付加体の(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート[ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、ノボラック型エポキシ(メタ)アクリレートなど]、ポリエステル(メタ)アクリレート[例えば、脂肪族ポリエステル型(メタ)アクリレート、芳香族ポリエステル型(メタ)アクリレートなど]、(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレート[ポリエステル型ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル型ウレタン(メタ)アクリレートなど]、シリコーン(メタ)アクリレートなどが例示できる。
【0046】
これらの前駆体成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、ウレタン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレートが好ましい。
【0047】
さらに、硬化樹脂前駆体成分は、凹凸層の剥離性を向上できる点から、フッ素原子やフィラーを含有していてもよい。
【0048】
フッ素原子を含有する前駆体成分(フッ素含有硬化性化合物)としては、前記単量体及びオリゴマーのフッ化物、例えば、フッ化アルキル(メタ)アクリレート[例えば、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレートやトリフルオロエチル(メタ)アクリレートなど]、フッ化(ポリ)オキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート[例えば、フルオロエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、フルオロプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなど]、フッ素含有エポキシ樹脂、フッ素含有ウレタン系樹脂などが挙げられる。これらのうち、(メタ)アクリロイル基を有するフルオロポリエーテル化合物が好ましい。
【0049】
フィラーを含有する前駆体成分において、フィラーとしては、例えば、シリカ粒子、チタニア粒子、ジルコニア粒子、アルミナ粒子などの無機微粒子、架橋(メタ)アクリル系重合体粒子、架橋スチレン系樹脂粒子などの有機微粒子を含んでいてもよい。これらのフィラーは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのフィラーのうち、低グロスの凹凸形状を形成し易い点から、ナノメータサイズのシリカ粒子(シリカナノ粒子)が好ましい。シリカナノ粒子は、光拡散フィルムの黄色度を抑制できる点から、中実のシリカナノ粒子が好ましい。また、シリカナノ粒子の平均粒径は、例えば1〜800nm、好ましくは3〜500nm、さらに好ましくは5〜300nm程度である。フィラー(特にシリカナノ粒子)の割合は、硬化樹脂前駆体成分全体に対して10〜90重量%程度であってもよく、例えば20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%、さらに好ましくは40〜60重量%程度である。
【0050】
フィラーを含有する前駆体成分は、例えば、表面に重合性基を有する無機粒子(例えば、重合性基を有するシランカップリング剤で表面を修飾したシリカ粒子など)などであってもよく、シリカナノ粒子含有光硬化性化合物[特に、シリカナノ粒子を含む多官能性(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート]であってもよい。これらのうち、シリカナノ粒子を含むシリコーン(メタ)アクリレートが好ましい。
【0051】
これらの光硬化性化合物は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、短時間で硬化できる光硬化性化合物、例えば、紫外線硬化性化合物(モノマー、オリゴマーや低分子量であってもよい樹脂など)、EB硬化性化合物である。特に、実用的に有利な樹脂前駆体は、紫外線硬化性樹脂である。さらに、耐擦傷性などの耐性を向上させるため、光硬化性樹脂は、分子中に2以上(例えば2〜30、好ましくは5〜25、さらに好ましくは10〜20、特に12〜18程度)の重合性不飽和結合を有する化合物であるのが好ましい。
【0052】
硬化樹脂前駆体成分の重量平均分子量は、特に限定されないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)において、ポリスチレン換算で、ポリマーとの相溶性を考慮して5000以下であってもよく、例えば1000〜4000、好ましくは1500〜3000、さらに好ましくは2000〜2500程度である。
【0053】
硬化樹脂前駆体成分は、その種類に応じて、さらに硬化剤を含んでいてもよい。例えば、熱硬化性樹脂では、アミン類、多価カルボン酸類などの硬化剤を含んでいてもよく、光硬化性樹脂では光重合開始剤を含んでいてもよい。光重合開始剤としては、慣用の成分、例えば、アセトフェノン類又はプロピオフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、アシルホスフィンオキシド類などが例示できる。光硬化剤などの硬化剤の割合は、硬化樹脂前駆体成分全体に対して0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%、さらに好ましくは1〜8重量%程度である。
【0054】
硬化樹脂前駆体成分は、さらに硬化促進剤を含んでいてもよい。例えば、光硬化性樹脂は、光硬化促進剤、例えば、第三級アミン類(ジアルキルアミノ安息香酸エステルなど)、ホスフィン系光重合促進剤などを含んでいてもよい。
【0055】
これらの硬化樹脂前駆体成分のうち、多官能性(メタ)アクリレート(例えば、2〜8程度の重合性基を有する(メタ)アクリレートなど)、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレートなどが好ましく、低グロスな凹凸形状を形成でき、かつ転写面の剥離性も向上できる点から、ウレタン(メタ)アクリレートとシリコーン(メタ)アクリレートとフッ素含有硬化性化合物との組み合わせが特に好ましい。
【0056】
これらの成分を組み合わせる場合、シリコーン(メタ)アクリレートの割合は、ウレタン(メタ)アクリレート100重量部に対して、例えば0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部、さらに好ましくは1〜3重量部(特に1.2〜2重量部)程度である。また、フッ素含有硬化性化合物の割合は、ウレタン(メタ)アクリレート100重量部に対して、例えば0.01〜5重量部、好ましくは0.1〜1重量部、さらに好ましくは0.15〜0.5重量部(特に0.2〜0.3重量部)程度である。
【0057】
ポリマー成分と硬化樹脂前駆体成分との割合(重量比)は、特に制限されず、例えば、前者/後者=1/99〜90/10程度の範囲から選択でき、機械的特性などの点から、好ましくは5/95〜70/30(例えば10/90〜50/50)、さらに好ましくは15/85〜40/60(特に20/80〜30/70)程度である。
【0058】
[転写用離型フィルムの製造方法及び特性]
本発明の転写用離型フィルムは、微粒子を用いることなく、前記凹凸形状を形成できれば特に限定されないが、凹凸層を前記硬化性組成物で形成する場合、基材層の上に、1種以上のポリマー成分及び1種以上の硬化樹脂前駆体成分を含む硬化性組成物を塗布して乾燥することにより、ポリマー成分及び硬化樹脂前駆体成分から選択される少なくとも2つの成分を、湿式スピノーダル分解により相分離させる相分離工程、相分離した硬化性組成物を熱又は活性エネルギー線で硬化させる硬化工程を経て得てもよい。
【0059】
相分離工程において、硬化性組成物は溶媒を含んでいてもよい。溶媒は、前記ポリマー成分及び硬化樹脂前駆体成分の種類及び溶解性に応じて選択でき、少なくとも固形分(例えば、複数のポリマー成分及び硬化樹脂前駆体成分、反応開始剤、その他添加剤)を均一に溶解できる溶媒であればよい。特に、ポリマー成分及び硬化樹脂前駆体成分に対する溶媒の溶解性を調整することにより、相分離構造を制御してもよい。そのような溶媒としては、例えば、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなど)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、脂肪族炭化水素類(ヘキサンなど)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサンなど)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレンなど)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタンなど)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、水、アルコール類(エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノールなど)、セロソルブ類[メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル(1−メトキシ−2−プロパノール)など]、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)などが例示できる。また、溶媒は混合溶媒であってもよい。
【0060】
これらの溶媒のうち、メチルエチルケトンなどのケトン類を含むのが好ましく、ケトン類と、アルコール類(ブタノールなど)及び/又はセロソルブ類(1−メトキシ−2−プロパノールなど)との混合溶媒(特に、ケトン類とアルコール類との混合溶媒)が特に好ましい。混合溶媒において、アルコール類及び/又はセロソルブ類(両者を混合する場合、総量)の割合は、ケトン類100重量部に対して5〜150重量部、好ましくは10〜100重量部、さらに好ましくは15〜80重量部程度である。特に、ケトン類とアルコール類とを組み合わせる場合、アルコール類の割合は、ケトン類100重量部に対して5〜50重量部、好ましくは8〜30重量部、さらに好ましくは10〜20重量部程度である。本発明では、溶媒を適宜組み合わせることにより、スピノーダル分解による相分離を調整し、低グロスな凹凸形状を形成できる。
【0061】
混合液中の溶質(ポリマー成分、硬化樹脂前駆体成分、反応開始剤、その他添加剤)の濃度は、相分離が生じる範囲及び流延性やコーティング性などを損なわない範囲で選択でき、例えば5〜80重量%、好ましくは10〜70重量%、さらに好ましくは20〜50重量%(特に30〜40重量%)程度である。
【0062】
塗布方法としては、慣用の方法、例えば、ロールコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、リバースコーター、バーコーター、コンマコーター、ディップ・スクイズコーター、ダイコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、シルクスクリーンコーター法、ディップ法、スプレー法、スピナー法などが挙げられる。これらの方法のうち、バーコーター法やグラビアコーター法などが汎用される。なお、必要であれば、塗布液は複数回に亘り塗布してもよい。
【0063】
前記混合液を流延又は塗布した後、溶媒の沸点よりも低い温度(例えば、溶媒の沸点よりも1〜120℃、好ましくは5〜50℃、特に10〜50℃程度低い温度)で溶媒を蒸発させることにより、スピノーダル分解による相分離を誘起することができる。溶媒の蒸発は、通常、乾燥、例えば、溶媒の沸点に応じて、30〜200℃(例えば30〜100℃)、好ましくは40〜120℃、さらに好ましくは50〜90℃程度の温度で乾燥させることによリ行うことができる。
【0064】
このような溶媒の蒸発を伴うスピノーダル分解により、相分離構造のドメイン間の平均距離に規則性又は周期性を付与できる。
【0065】
硬化工程では、乾燥した硬化性組成物を、活性光線(紫外線、電子線など)や熱などにより最終的に硬化させることにより、スピノーダル分解により形成された相分離構造を直ちに固定化できる。硬化性組成物の硬化は、硬化樹脂前駆体成分の種類に応じて、加熱、光照射などを組み合わせてもよい。
【0066】
加熱温度は、適当な範囲、例えば50〜150℃程度から選択できる。光照射は、光硬化成分などの種類に応じて選択でき、通常、紫外線、電子線などが利用できる。汎用的な露光源は、通常、紫外線照射装置である。
【0067】
光源としては、例えば、紫外線の場合は、Deep UV ランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、レーザー光源(ヘリウム−カドミウムレーザー、エキシマレーザーなどの光源)などを利用できる。照射光量(照射エネルギー)は、塗膜の厚みにより異なり、例えば10〜10000mJ/cm
2、好ましくは20〜5000mJ/cm
2、さらに好ましくは30〜3000mJ/cm
2程度である。光照射は、必要であれば、不活性ガス雰囲気中で行ってもよい。
【0068】
得られた転写用離型フィルムは、基材層を透明基材層で形成した場合、転写用透明フィルムは、高いヘイズを有しており、50%以上(例えば50〜100%)であってもよく、例えば60〜99%、好ましくは65〜98%、さらに好ましくは70〜95%(特に75〜93%)程度である。
【0069】
[マット状成形体の製造方法]
本発明では、前記転写用離型フィルムの転写面を成形型(ネガ型)とし、成形体の被転写面に、前記転写面が反転した形状である凹凸形状を形成する転写工程を経ることにより、低グロスなマット状成形体を製造する。
【0070】
得られるマット状成形体としては、各種分野の成形体として利用でき、例えば、自動車部品、電気・電子部品、建材・配管部品、日用品(生活)・化粧品用部品、医用(医療・治療)品などが挙げられる。これらのうち、電気・電子部品、例えば、スマートフォンやタブレットPCなどのモバイル電子機器の電磁波シールドフィルムとして好適に利用できる。
【0071】
転写工程において、表面に凹凸形状を有する成形体を形成するための成形体用原料は、生産性などの点から、通常、樹脂成分を含む原料が好ましい。樹脂成分を含む原料としては、転写用シートの転写面に追随できる柔軟性を有し、固化可能であれば特に限定されないが、通常、樹脂成分の溶融物や、樹脂成分を含む液状組成物などが汎用され、生産性などの点から、樹脂成分を含む液状組成物が好ましい。
【0072】
樹脂成分には、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂(熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂など)などが含まれ、成形体の種類に応じて、適宜選択できる。マット状成形体が電磁波シールドフィルムである場合、樹脂成分は、光硬化性樹脂であってもよい。光硬化性樹脂としては、例えば、光硬化性ポリエステル、光硬化性アクリル系樹脂、光硬化性エポキシ(メタ)アクリレート、光硬化性ウレタン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの光硬化性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、透明性及び強度のバランスに優れる点から、光硬化性アクリル系樹脂、光硬化性ウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。
【0073】
被転写面に凹凸形状を転写する方法としては、転写用離型フィルムの転写面の凹凸形状に追随できる成形体用原料を転写面と接触し、前記原料を固化させた後、固化した成形体を転写用離型フィルムから剥離する方法であれば特に限定されず、成形体の種類に応じて、慣用の方法を適宜選択できる。具体的な方法としては、電磁波シールドフィルムの場合、転写用離型フィルムの転写面に、未硬化の硬化性樹脂(又は硬化性樹脂を含む組成物)をコーティング(塗布)し、硬化させた後、硬化した成形体を転写用離型フィルムから剥離する方法であってもよい。硬化性樹脂のコーティング方法及び硬化方法としては、光硬化性樹脂の場合、前記転写用離型フィルムの製造方法と同様の方法を利用でき、熱硬化性樹脂の場合、コーティング方法については、前記転写用離型フィルムの製造方法と同様の方法を利用でき、硬化方法については、樹脂の種類に応じた温度で加熱する方法を利用できる。
【0074】
電磁波シールドフィルムでは、通常、剥離前に、未硬化の硬化性樹脂をコーティングした後、黒色の硬化性樹脂をコーティングし、さらに慣用の方法により、金属層及び粘着層を積層し、粘着層にリリースフィルムを積層する。従来の電磁波シールドフィルムでは、転写用フィルムの転写面を離型層で被覆した後、未硬化の硬化性樹脂をコーティングしていたが、本発明では、硬化性組成物を特定の組み合わせに調整することにより、転写用離型フィルム自身に高い剥離性を付与できるため、離型層を形成せずに、未硬化の硬化性樹脂をコーティングでき、生産性を向上できる。さらに、硬化性樹脂の硬化後は剥離性に優れるにも拘わらず、硬化前の状態では、剥離しないため、作業性に優れる。なお、本発明においても、必要であれば、転写面に、慣用の離型層(例えば、フッ素化合物、シリコーン化合物、ワックスなどのを含む離型層)を積層してもよい。
【0075】
得られたマット状成形体は、前記転写用離型フィルムの転写面をネガ型とする転写において、ネガ型が反転した凹凸形状を形成できる。得られたマット状成形体のグロスも低く、マット状成形体の被転写面の60°グロスは5%未満(例えば0.1〜4.9%)であり、好ましくは1〜4.5%(例えば1.5〜4.2%)、さらに好ましくは2〜4%(特に2.5〜3.5%)程度である。
【0076】
被転写面の算術平均表面粗さRaは0.1〜1.0μmであり、好ましくは0.2〜0.8μm、さらに好ましくは0.3〜0.7μm(特に0.3〜0.5μm)程度である。
【実施例】
【0077】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。実施例及び比較例で用いた原料は以下の通りであり、得られた転写用離型フィルムを以下の方法で評価した。
【0078】
[原料]
重合性基を有するアクリル樹脂:(株)ダイセル製「サイクロマーP(ACA)320M」、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体のカルボキシル基の一部に、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチルアクリレートを付加させた化合物、固形分49.6重量%
セルロースアセテートプロピオネート(CAP):イーストマン社製「CAP−482−20」、アセチル化度=2.5%、プロピオニル化度=46%、ポリスチレン換算数平均分子量75000
ナノシリカ含有アクリル系紫外線(UV)硬化性化合物:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製「UVHC7800G」
ウレタンアクリレート:新中村化学工業(株)製「U−15HA」、分子量2300、官能基数15
シリコーンアクリレート:ダイセル・オルネクス(株)製「EB1360」、官能基数6、粘度2100mPa・s(25℃)
フッ素含有硬化性化合物:信越化学工業(株)製「KY−1203」、アクリロイル基含有フルオロポリエーテル系撥水剤
光開始剤A:BASFジャパン(株)製「イルガキュア184」
光開始剤B:BASFジャパン(株)製「イルガキュア907」
MEK:メチルエチルケトン
1−BuOH:1−ブタノール
PGM:1−メトキシ−2−プロパノール
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム:三菱樹脂(株)製「ダイアホイル」。
【0079】
[60°グロス]
JIS K7105に準拠してグロスメーター((株)掘場製作所製「IG−320」)を用いて角度60°で測定した。
【0080】
[算術平均表面粗さ(Ra)]
JIS B0601に準拠して、接触式表面粗さ計(東京精密(株)製「サーフコム570A)を用いて、走査範囲3mm、走査回数2回の条件で、算術平均表面粗さ(Ra)を測定した。
【0081】
[転写性(剥離性)]
全電動二材射出成型機(住友重機械工業(株)製「SE130DU−CI」)の金型内に、実施例で得られた転写用離型フィルムを基材面が金型と接するように設置し、ABS樹脂(東レ(株)製「トヨラック、グレード700−X01」)100重量部と黒色マスターバッチ5重量部とを混合した樹脂を、金型温度60℃、樹脂温度230℃で射出成形した後、転写用離型フィルムと成形体とが手で剥離できるか評価した。
【0082】
実施例1及び2
表1に示す液状組成物を調製し、ワイヤーバー#18を用いて、PETフィルム上に流延した後、80℃のオーブン内で1分間放置し、溶媒を蒸発させて厚さ約8μmの凹凸層を形成させた。そして、凹凸層に、高圧水銀ランプからの紫外線を約5秒間照射してUV硬化処理し、転写用離型フィルムを得た。
【0083】
実施例2
表1に示す液状組成物を調製し、ワイヤーバー#20を用いて、PETフィルム上に流延した後、80℃のオーブン内で1分間放置し、溶媒を蒸発させて厚さ約9μmの凹凸層を形成させた。そして、凹凸層に、高圧水銀ランプからの紫外線を約5秒間照射してUV硬化処理し、転写用離型フィルムを得た。
【0084】
【表1】
【0085】
得られた転写用離型フィルムの転写面の60°グロス及び算術平均表面粗さ(Ra)を測定した後、転写試験に供し、剥離性を評価した後、被転写面の60°グロスを測定した。結果を表2に示す。
【0086】
【表2】
【0087】
表2の結果から明らかなように、いずれの実施例で得られた被転写体も低グロスであった。さらに、実施例1で得られた離型フィルムは、剥離性も良好であった。