特許第6486426号(P6486426)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6486426
(24)【登録日】2019年3月1日
(45)【発行日】2019年3月20日
(54)【発明の名称】飲料組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/68 20060101AFI20190311BHJP
   A23L 2/00 20060101ALI20190311BHJP
   A23L 2/56 20060101ALI20190311BHJP
   A23L 33/175 20160101ALI20190311BHJP
   A23L 2/39 20060101ALN20190311BHJP
【FI】
   A23L2/00 D
   A23L2/00 B
   A23L2/56
   A23L33/175
   !A23L2/39
【請求項の数】14
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-153999(P2017-153999)
(22)【出願日】2017年8月9日
(65)【公開番号】特開2019-30265(P2019-30265A)
(43)【公開日】2019年2月28日
【審査請求日】2017年8月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高津 英之
(72)【発明者】
【氏名】小林 由典
(72)【発明者】
【氏名】小田 遼介
【審査官】 小林 薫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−131735(JP,A)
【文献】 特開2013−138634(JP,A)
【文献】 特開2015−096056(JP,A)
【文献】 特開2011−120479(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/00− 2/84
A23L 5/40− 5/49;31/00−33/29
C12G 1/00− 3/12
C12C 1/00−13/06;C12F 3/00−5/00;C12H 1/00−1/22;C12J 1/00−1/10;C12L 3/00−11/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)及び(B);
(A)オルニチン及びその塩から選択される少なくとも1種 0.05〜5質量%、及び
(B)カフェイン
を含有し、
成分(A)と成分(B)との質量比[(B)/(A)]が0.00128〜0.35であり、且つ、
pH2〜5である、飲料組成物。
【請求項2】
成分(B)の含有量が0.0001〜0.6質量%である、請求項1記載の飲料組成物。
【請求項3】
酸度が0.005〜2質量%である、請求項1又は2に記載の飲料組成物。
【請求項4】
成分(E)として香料を更に含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の飲料組成物。
【請求項5】
成分(E)として香料を更に含有し、該成分(E)がフルーツフレーバーである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の飲料組成物。
【請求項6】
成分(C)重合カテキンの含有量が0.005質量%未満である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の飲料組成物。
【請求項7】
成分(D)としてケルセチン配糖体を更に含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の飲料組成物。
【請求項8】
成分(D)としてケルセチン配糖体を更に含有し、該成分(D)の含有量が0.00001〜0.1質量%である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の飲料組成物。
【請求項9】
成分(D)がイソクエルシトリン、イソクエルシトリン糖付加物、ルチン及びルチン糖付加物から選択される1種又は2種以上である、請求項8記載の飲料組成物。
【請求項10】
成分(D)が(D1)イソクエルシトリン及びイソクエルシトリン糖付加物、並びに(D2)ルチン及びルチン糖付加物を含有する、請求項9に記載の飲料組成物。
【請求項11】
成分(D1)と成分(D2)との質量比[(D2)/(D1)]が0.05〜20である、請求項10に記載の飲料組成物。
【請求項12】
成分(F)として酸味料を含有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の飲料組成物。
【請求項13】
成分(F)として酸味料を含有し、該成分(F)の含有量が0.001〜2質量%である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の飲料組成物。
【請求項14】
成分(F)として酸味料を含有し、該成分(F)がクエン酸、グルコン酸、コハク酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、リン酸及びそれらの塩から選択される1種又は2種以上である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の飲料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
pH2〜5といった酸性飲料は程よい酸味と爽やかな風味により、嗜好性の高い飲料として清涼飲料の分野において市場を拡大している。
一方、オルニチンはアミノ酸の一種であり、様々な健康機能を有することから、近年オルニチンを添加した飲食品が上市されている(特許文献1〜3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−131735号公報
【特許文献2】特開2010−148453号公報
【特許文献3】特開2015−12819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、酸性飲料にオルニチンを強化して配合すると、酸味がぼやけてキレが悪化し、また香料を更に配合した場合には香りを感じ難くなるという課題があることを見出した。
本発明の課題は、オルニチンを強化しながらも、酸味のキレが良好であり、また香料を配合した場合にはフレーバー感を十分に楽しむことのできる飲料組成物を提供することにある。
【0005】
本発明者らは、苦味成分であるカフェインを含有させると、酸味のキレが改善され、また香料を配合した場合にはフレーバー感を十分に楽しむことができる、オルニチン強化飲料組成物が得られることを見出した。
【0006】
本発明は、次の成分(A)及び(B);
(A)オルニチン及びその塩から選択される少なくとも1種 0.05〜5質量%、及び
(B)カフェイン
を含有し、
成分(A)と成分(B)との質量比[(B)/(A)]が0.0001〜0.35であり、且つ、
pH2〜5である、飲料組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、オルニチンを強化しながらも、酸味のキレが良好であり、また香料を配合した場合にはフレーバー感を十分に楽しむことのできる飲料組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の飲料組成物は、成分(A)としてオルニチン及びその塩から選択される少なくとも1種を含有する。
成分(A)は、L体でも、D体でも、これらの混合物であってもよいが、L体が好ましい。成分(A)は、天然由来品でも、化学合成品でもよく、更に市販品であってもよい。天然由来品としては、例えば、シジミからの抽出物が挙げられ、また化学合成品としては、例えば、発酵法により製造したものが挙げられ、更に必要によりカラムクロマトグラフィ等により精製してもよい。
【0009】
オルニチンの塩としては、例えば、酸付加塩、金属塩等が挙げられる。酸付加塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、乳酸塩、α−ケトグルタル酸塩、グルコン酸塩、カプリル酸塩等の有機酸塩が挙げられる。金属塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛塩等が挙げられる。オルニチンの塩は、2種以上の塩を適宜組み合わせて用いてもよい。
中でも、成分(A)としては、オルニチンの塩が好ましく、オルニチン塩酸塩がより好ましく、L−オルニチン塩酸塩が更に好ましい。
【0010】
本発明の飲料組成物中の成分(A)の含有量は、0.05〜5質量%であるが、酸味のキレ改善、香りの強さの向上の観点から、0.08質量%以上が好ましく、0.12質量%以上がより好ましく、0.15質量%以上が更に好ましく、そして3.3質量%以下が好ましく、2.5質量%以下がより好ましく、1.5質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましい。かかる成分(A)の含有量の範囲としては、飲料組成物中に、好ましくは0.08〜3.3質量%であり、より好ましくは0.12〜2.5質量%であり、より好ましくは0.12〜1.5質量%であり、更に好ましくは0.15〜1質量%である。なお、成分(A)が塩の形態である場合、成分(A)の含有量はオルニチンに換算した値とする。また、成分(A)の含有量は、通常知られている測定法のうち測定試料の状況に適した分析法により測定することが可能であり、例えば、後掲の実施例に記載の方法を挙げることができる。なお、測定の際には装置の検出域に適合させるため、試料を凍結乾燥したり、装置の分離能に適合させるため試料中の夾雑物を除去したりする等、必要に応じて適宜処理を施してもよい。
【0011】
本発明の飲料組成物は、成分(B)としてカフェインを含有する。
成分(B)は、原料に由来するものでも、新たに加えられたものでもよい。また、成分(B)は、水和物でも、無水物でも構わない。
本発明の飲料組成物中の成分(B)の含有量は、酸味のキレ改善、香りの強さの向上の観点から、0.0001質量%以上が好ましく、0.0005質量%以上がより好ましく、0.0015質量%以上が更に好ましく、0.002質量%以上が殊更に好ましく、そして0.6質量%以下が好ましく、0.3質量%以下がより好ましく、0.15質量%以下が更に好ましく、0.08質量%以下が更に好ましく、0.02質量%以下がより更に好ましく、0.008質量%以下が殊更に好ましい。かかる成分(B)の含有量の範囲としては、飲料組成物中に、好ましくは0.0001〜0.6質量%、より好ましくは0.0005〜0.3質量%、更に好ましくは0.0015〜0.15質量%、より更に好ましくは0.002〜0.08質量%、殊更に好ましくは0.002〜0.02質量%、殊更に好ましくは0.002〜0.008質量%である。なお、成分(B)が水和物である場合、成分(B)の含有量は無水カフェインとして換算するものとする。また、成分(B)の含有量は、通常知られている測定法のうち測定試料の状況に適した分析法により測定することが可能であり、例えば、後掲の実施例に記載の方法を挙げることができる。なお、測定の際には装置の検出域に適合させるため、試料を凍結乾燥したり、装置の分離能に適合させるため試料中の夾雑物を除去したりする等、必要に応じて適宜処理を施してもよい。
【0012】
本発明の飲料組成物中の成分(A)と成分(B)との質量比[(B)/(A)]は0.0001〜0.35であるが、酸味のキレ改善、香りの強さの向上の観点から、0.0005以上が好ましく、0.001以上がより好ましく、0.002以上が更に好ましく、0.003以上がより更に好ましく、0.005以上が殊更に好ましく、そして0.3以下が好ましく、0.2以下がより好ましく、0.1以下が更に好ましく、0.03がより更に好ましく、0.011以下が殊更に好ましい。かかる質量比[(B)/(A)]の範囲としては、好ましくは0.0001〜0.3、より好ましくは0.0005〜0.2、更に好ましくは0.001〜0.2、更に好ましくは0.002〜0.1、より更に好ましくは0.003〜0.03、殊更に好ましくは0.005〜0.011である。
【0013】
本発明の飲料組成物は、成分(C)として重合カテキンを含有してもよい。
本明細書において「(C)重合カテキン」とは、非重合体カテキン類が複数個連結した構造を有するものであって、酒石酸鉄法により測定されるものをいう。なお、「非重合体カテキン類」には、カテキン、ガロカテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、カテキンガレート、ガロカテキン ガレート、エピカテキンガレート及びエピガロカテキンガレートが包含される。重合カテキンは、例えば、前述の非重合体カテキン類の2〜5量体が挙げられ、成分(C)の具体例としては、例えば、テアフラビン、テアルビジン、プロシアニジン等が挙げられる。
成分(C)の含有量は、酸味のキレ改善、香りの強さの向上の観点から、0.005質量%未満とすることが好ましく、0.001質量%未満がより好ましく、0.0007質量%未満が更に好ましく、0.0003質量%未満が殊更に好ましい。なお、成分(C)の含有量は、重合カテキンの種類に適した方法にて測定することが可能であり、例えば、酒石酸鉄法や高速液体クロマトグラフ法等により測定することができる。具体的には、後掲の実施例に記載の方法により測定することができる。なお、測定の際には装置の検出域に適合させるため、試料を凍結乾燥したり、装置の分離能に適合させるため試料中の夾雑物を除去したりする等、必要に応じて適宜処理を施してもよい。
【0014】
本発明の飲料組成物は、成分(D)としてケルセチン配糖体を含有することができる。
本明細書において「(D)ケルセチン配糖体」とは、ケルセチンに糖がグルコシド結合したものをいう。グルコシド結合は、O−グリコシドでも、C−グリコシドであってもよく、特に限定されない。グルコシド結合する糖は、アグリコンの種類により一様ではないが、例えば、グルコース、ガラクトース、ラムノース、キシロース、アラビノース、アピオース等の単糖、ルチノース、ネオヘスペリドース、ソフォロース、サンブビオース、ラミナリビオース等の二糖、ゲンチオトリオース、グルコシルルチノース、グルコシルネオヘスペリドース等の三糖、又はこれらの混合物が挙げられる。また、糖付加物には、アグリコンに糖が1個付加したものと、該糖付加物に更に糖が付加したものがあり、これらの混合物であってもよい。糖を付加する反応は公知の方法を採用することが可能であり、例えば、フラボノール糖付加物を糖化合物の存在下、糖転移酵素を作用させてグルコシル化する方法が挙げられる。具体的な操作方法として、例えば、国際公開第2006/070883号を参照することができる。
【0015】
成分(D)の具体例としては、例えば、イソクエルシトリン、ルチン、クエルシトリンの他、これらに更に糖が付加されたもの、例えば、イソクエルシトリン糖付加物、ルチン糖付加物、クエルシトリン糖付加物等が挙げられ、1種又は2種以上含有することができる。イソクエルシトリン糖付加物は、例えば、イソクエルシトリンのグルコース残基に、1以上のグルコースがα−1,4結合した化合物であり、グルコースの結合数は、1〜15が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜7が更に好ましい。
中でも、成分(D)としては、酸味のキレ及び香りの強さの強化の観点から、イソクエルシトリン、イソクエルシトリン糖付加物、ルチン及びルチン糖付加物から選択される1種又は2種以上が好ましい。以下、「イソクエルシトリン及びイソクエルシトリン糖付加物」を成分(D1)とし、「ルチン及びルチン糖付加物」を成分(D2)として説明する。
【0016】
本発明の飲料組成物中の成分(D)の含有量は、酸味のキレ改善、香りの強さの向上の観点から、0.00001質量%以上が好ましく、0.00005質量%以上がより好ましく、0.0001質量%以上が更に好ましく、0.0008質量%以上が殊更に好ましく、そして0.1質量%以下が好ましく、0.05質量%以下がより好ましく、0.02質量%以下が更に好ましく、0.008質量%以下が殊更に好ましい。かかる成分(D)の含有量の範囲としては、飲料組成物中に、好ましくは0.00001〜0.1質量%であり、より好ましくは0.00005〜0.05質量%であり、より更に好ましくは0.0001〜0.02質量%であり、殊更に好ましくは0.0001〜0.008質量%であり、殊更に好ましくは0.0008〜0.008質量%である。なお、成分(D)として成分(D1)を含有する場合、成分(D1)の含有量はイソクエルシトリン換算量とする。また、成分(D)として成分(D2)を含有する場合、成分(D2)の含有量はルチン換算量とする。成分(D)の含有量は、ケルセチン配糖体の種類に適した方法にて測定することが可能であり、例えば、成分(D1)、成分(D2)については高速液体クロマトグラフ法により測定できる。具体的には、後掲の実施例に記載の方法により測定することができる。なお、測定の際には装置の検出域に適合させるため、試料を凍結乾燥したり、装置の分離能に適合させるため試料中の夾雑物を除去したりする等、必要に応じて適宜処理を施してもよい。
【0017】
また、成分(D)として成分(D1)及び成分(D2)を含有する場合、成分(D1)と成分(D2)との質量比[(D2)/(D1)]は、酸味のキレ改善、香りの強さの向上の観点から、0.05以上が好ましく、0.1以上がより好ましく、0.7以上が更に好ましく、そして20以下が好ましく、15以下がより好ましく、8以下が更に好ましく、5以下が殊更に好ましい。かかる質量比[(D2)/(D1)]の範囲としては、好ましくは0.05〜20、より好ましくは0.1〜15、更に好ましくは0.7〜8、殊更に好ましくは0.7〜5である。
【0018】
本発明の飲料組成物は、成分(E)として香料を含有させることができる。
成分(E)は、天然香料、合成香料及びこれらの混合物のいずれでもよい。例えば、オレンジフレーバー、レモンフレーバー、ライムフレーバー、グレープフルーツフレーバー、リンゴフレーバー、グレープフレーバー、ラズベリーフレーバー、クランベリーフレーバー、チェリーフレーバー、パイナップルフレーバー等のフルーツフレーバー、緑茶、ウーロン茶、紅茶、ジャスミン茶等の茶フレーバー、ミルク、ヨーグルト等の乳フレーバー等を挙げることができる。中でも、フルーツフレーバーが好ましく、オレンジフレーバー、レモンフレーバー、ライムフレーバー、グレープフルーツフレーバー及びグレープフレーバーから選択される1種又は2種以上のフルーツフレーバーが更に好ましい。なお、成分(E)は、1種又は2種以上含有させることができる。
【0019】
本発明の飲料組成物中の成分(E)の含有量は、香りの強さの向上の観点から、0.01質量%以上が好ましく、0.03質量%以上がより好ましく、0.05質量%以上が更に好ましく、そして0.5質量%以下が好ましく、0.4質量%以下がより好ましく、0.3質量%以下が更に好ましい。かかる成分(E)の含有量の範囲としては、飲料組成物中に、好ましくは0.01〜0.5質量%であり、より好ましくは0.03〜0.4質量%であり、更に好ましくは0.05〜0.3質量%である。
【0020】
本発明の飲料組成物は、成分(F)として酸味料を含有させることができる。成分(F)は、有機酸でも、無機酸でも、それらの塩であってもよく、飲食品に使用されるものであれば特に限定されない。成分(F)は、1種又は2種以上含有させることができる。
有機酸としては、例えば、クエン酸、グルコン酸、リンゴ酸、酒石酸、アスコルビン酸、コハク酸、乳酸、フマル酸、アジピン酸、フィチン酸、フマル酸等が挙げられる。また、無機酸としては、例えば、リン酸等が挙げられる。塩としては、例えば、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属塩を挙げることができる。中でも、酸味付与、酸味のキレ向上の観点から、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、リン酸及びそれらの塩から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。塩としては、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属塩が好ましい。
【0021】
本発明の飲料組成物中の成分(F)の含有量は、酸味料の種類に応じて適宜決定することができるが、適度な酸味付与の観点から、0.001質量%以上が好ましく、0.005質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上が更に好ましく、また風味バランスの観点から、2質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、0.8質量%以下が更に好ましく、0.5質量%以下がより更に好ましく、0.25質量%以下が殊更に好ましい。かかる成分(F)の含有量の範囲としては、飲料組成物中に、好ましくは0.001〜2質量%、より好ましくは0.005〜1質量%、更に好ましくは0.01〜0.8質量%、より更に好ましくは0.01〜0.5質量%、殊更に好ましくは0.01〜0.25質量%である。なお、成分(F)が塩の形態である場合、成分(F)の含有量はその遊離酸量に換算した値とする。
【0022】
本発明の飲料組成物は、成分(G)としてナトリウムイオンを含有することができる。成分(G)は、有機酸又は無機酸の塩の形態で含有させることが可能であり、例えば、塩化ナトリウム、前述の酸味料のナトリウム塩が挙げられる。
本発明の飲料組成物中の成分(G)の含有量は、酸味のキレ改善、香りの強さの向上の観点から、0.01質量%以上が好ましく、0.015質量%以上がより好ましく、0.02質量%以上が更に好ましく、0.025質量%以上がより好ましく、そして0.2質量%以下が好ましく、0.15質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下が更に好ましく、0.085質量%以下が更に好ましい。かかる成分(G)の含有量の範囲としては、飲料組成物中に、好ましくは0.01〜0.2質量%、より好ましくは0.015〜0.15質量%、更に好ましくは0.02〜0.1質量%であり、更に好ましくは0.025〜0.085質量%である。なお、成分(G)の含有量は、例えば、通常知られている分析法のうち測定試料の状況に適した分析法により測定することができる。なお、測定の際には装置の検出域に適合させるため、試料を凍結乾燥したり、装置の分離能に適合させるため試料中の夾雑物を除去したりする等、必要に応じて適宜処理を施してもよい。
【0023】
また、本発明の飲料組成物は、所望により、甘味料、ビタミン、ミネラル、酸化防止剤、泡安定剤、エステル、色素、乳化剤、保存料、調味料、果汁、野菜汁、花蜜エキス、植物油脂、品質安定剤等の添加剤を1種又は2種以上を含有することができる。添加剤の含有量は、本発明の目的を損なわない範囲内で適宜選択することができる。
【0024】
本発明の飲料組成物のpH(20℃)は2〜5であるが、酸味のキレ改善、香りの強さの向上の観点から、2.1以上が好ましく、2.3以上がより好ましく、2.5以上が更に好ましく、そして4.7以下が好ましく、4.3以下がより好ましく、4以下が更に好ましい。かかるpHの範囲としては、好ましくは2.1〜4.7、より好ましくは2.3〜4.3、更に好ましくは2.5〜4である。なお、pHは、飲料100mLを300mLのビーカーに量り取り、20℃に温度調整をしてpHメータにより測定するものとする。
【0025】
本発明の飲料組成物は、酸度が、酸味のキレ改善、香りの強さの向上の観点から、0.005質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましく、0.03質量%以上が更に好ましく、0.05質量%以上が殊更に好ましく、また香りの強さの向上の観点から、2質量%以下が好ましく、1.5質量%以下がより好ましく、0.8質量%以下が更に好ましく、0.3質量%以下が殊更に好ましい。かかる酸度の範囲としては、好ましくは0.005〜2質量%であり、より好ましくは0.01〜1.5質量%であり、更に好ましくは0.03〜0.8質量%であり、より更に好ましくは0.05〜0.3質量%である。ここで、本明細書において「酸度」とは、当該飲料組成物を、フェノールフタレイン指示薬を用いて水酸化ナトリウムで滴定し、当該飲料組成物中に含まれる全ての酸の濃度をクエン酸相当量として換算したものであり、具体的には後掲の実施例に記載の方法により測定することができる。
【0026】
本発明の飲料組成物は、例えば、液状でも、固形状でもよく、適宜の形態を採り得る。
例えば、本発明の飲料組成物が液状である場合、飲料の形態は、ストレート飲料でも、濃縮還元飲料でもよい。中でも、利便性の観点から、ストレート飲料が好ましい。ここで、本明細書において「ストレート飲料」とは、希釈せずにそのまま飲用できる飲料をいう。
また、本発明の飲料組成物が固形状である場合、常温(20℃±15℃)において固体であればその形状は特に限定されず、粉末状、顆粒状、錠状、棒状、板状、ブロック状等の種々の形状とすることができる。本発明の固形状飲料組成物中の固形分量は通常95質量%以上、好ましくは97質量%以上である。なお、かかる固形分量の上限は特に限定されず、100質量%であってもよい。ここで、本明細書において「固形分量」とは、試料を105℃の電気恒温乾燥機で3時間乾燥して揮発物質を除いた残分の質量をいう。
なお、本発明の飲料組成物が濃縮物又は固形物の形態である場合、成分(B)〜(G)の各含有量、pH及び酸度は、成分(A)の含有量が上記範囲内となるように水で希釈してストレート飲料としたときに、上記要件を満たせばよい。
【0027】
また、本発明の飲料組成物がストレート飲料である場合、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶等の通常の包装容器に充填して提供することができる。
更に、本発明の飲料組成物ストレート飲料である場合、加熱殺菌済でもよい。加熱殺菌方法としては、適用されるべき法規(日本にあっては食品衛生法)に定められた条件に適合するものであれば特に限定されるものではない。例えば、レトルト殺菌法、高温短時間殺菌法(HTST法)、超高温殺菌法(UHT法)等を挙げることができる。また、飲料組成物の容器の種類に応じて加熱殺菌法を適宜選択することも可能であり、例えば、金属缶のように、飲料を容器に充填後、容器ごと加熱殺菌できる場合にあってはレトルト殺菌を採用することができる。また、PETボトル、紙容器のようにレトルト殺菌できないものについては、飲料をあらかじめ上記と同等の殺菌条件で加熱殺菌し、無菌環境下で殺菌処理した容器に充填するアセプティック充填や、ホットパック充填等を採用することができる。
【0028】
本発明の飲料組成物は適宜の方法により製造することが可能であるが、例えば、成分(A)及び(B)、必要により他の成分を配合し、pHを調製して製造するができる。
【実施例】
【0029】
1.オルニチンの分析
試料0.5gを精秤後、10w/v%スルホルサリチル酸溶液25mLを加え、更に3mol/L水酸化ナトリウム溶液を加え混和する。その後、クエン酸ナトリウム緩衝液でpH2.2に調製し、100mLに定容したものを、メンブレンフィルター(GLクロマトディスク13A,孔径0.2μm,ジーエルサイエンス(株))にて濾過後、アミノ酸自動分析に供する。
【0030】
アミノ酸自動分析計操作条件
・機種:JLC−500/V(日本電子株式会社)
・カラム:LCR−6,φ4mm×120mm(日本電子株式会社)
・移動相:クエン酸リチウム緩衝液(P−12〜P−15,P−21)(日本電子株式会社)
・反応液:日本電子用ニンヒドリン発色液キット−II(和光純薬工業株式会社)
・流量:移動相0.50mL/min,反応液0.30mL/min
・測定波長:570nm
【0031】
2.カフェイン及び非重合体カテキン類の分析
純水で溶解希釈した試料を、高速液体クロマトグラフ(型式SCL−10AVP、島津製作所製)を用い、オクタデシル基導入液体クロマトグラフ用パックドカラム(L−カラムTM ODS、4.6mmφ×250mm:財団法人 化学物質評価研究機構製)を装着し、カラム温度35℃でグラジエント法により測定する。移動相A液は酢酸を0.1mol/L含有する蒸留水溶液、B液は酢酸を0.1mol/L含有するアセトニトリル溶液とし、流速は1mL/分、試料注入量は10μL、UV検出器波長は280nmの条件で行う。なお、グラジエント条件は以下の通りである。
【0032】
濃度勾配条件(体積%)
時間 A液濃度 B液濃度
0分 97% 3%
5分 97% 3%
37分 80% 20%
43分 80% 20%
43.5分 0% 100%
48.5分 0% 100%
49分 97% 3%
60分 97% 3%
【0033】
3.重合カテキンの分析
試料中の重合カテキン量の測定は、酒石酸鉄法により、標準液として没食子酸エチルを用い、没食子酸の換算量として「総ポリフェノール」の含有量を求める(参考文献:「緑茶ポリフェノール」飲食料品用機能性素材有効利用技術シリーズNo.10、初版、出版社:社団法人 菓子総合センター)。そして、「総ポリフェノール」の含有量から、上記非重合体カテキン類の分析にて求めた「非重合体カテキン類」の含有量を差し引くことにより、重合カテキンの含有量を求める。
【0034】
総ポリフェノールの測定
試料5mLを酒石酸鉄標準溶液5mLで発色させ、リン酸緩衝液で25mLに定溶し、540nmで吸光度を測定し、没食子酸エチルによる検量線から総ポリフェノール量を求める。
酒石酸鉄標準液の調製:硫酸第一鉄・7水和物100mg、酒石酸ナトリウム・カリウム(ロッシェル塩)500mgを蒸留水で100mLとする。
リン酸緩衝液の調製:1/15mol/Lリン酸水素二ナトリウム溶液と1/15mol/Lリン酸二水素ナトリウム溶液を混合しpH7.5に調整する。
【0035】
(i)試薬の調製
1)酒石酸鉄試薬の調製 500mLメスフラスコに硫酸第一鉄七水塩0.50gと(+)酒石酸ナトリウム・カリウム四水和物2.50gを採取し、イオン交換水でメスアップする。
2)リン酸バッファーの調製 2000mLメスフラスコにリン酸水素二ナトリウム・二水和物20.00gとリン酸 二水素カリウム2.90gを採取し、イオン交換水でメスアップする。この溶液のpHが 7.5〜7.6になるように調整する。pH7.6を超える場合、リン酸二水素カリウム ・二水和物0.9g/100mL水溶液を添加し、pH7.5未満の場合、リン酸二水素 カリウム1.2g/100mL水溶液を添加し調整する。
(ii)装置及び器具
1)分光光度計(U−2010;日立製作所製)
2)石英製セル(10mm×10mm)
3)25mL、100mL、200mL、500mL、2000mLのメスフラスコ
4)1mL、5mL、10mL、20mL、30mLのホールピペット
5)1mL、3mL、5mLのマイクロピペット
(iii)分析条件
1)測定波長:540nm
2)温度 :20℃±2℃
(iv)操作
1)検量線作成
i)没食子酸エチル約0.5gを使用前に2〜3時間乾燥させる。
ii)200mLメスフラスコに乾燥した没食子酸エチル0.2gを採取し、イオン交換水 でメスアップする。(100mg/100mL標準液)
iii)100mLメスフラスコに、ii)の標準液を用い、5mg/100mL、10mg /100mL、20mg/100mL、30mg/100mLの各標準液を調製する。
iv)25mLメスフラスコに、iii)の標準液をそれぞれ5mL採取し、酒石酸鉄試薬5 mLを加えリン酸バッファーでメスアップする。また、ブランクとして標準液を加えないものを調製する。
v)分光光度計にて吸光度を測定し検量線を作成する。 なお、検量線については下記を目安にし、逸脱した時は再調整する。
R2 :0.9995〜1.0000
検量線傾き:34.5±0.4
切片 :0.3以下
2)試料測定
i)イオン交換水にて分光光度計をゼロ補正する。
ii)25mLメスフラスコに試料を所定量採取し、酒石酸鉄試薬5mLを加えリン酸バッファーでメスアップした後、吸光度を測定する。なお、吸光度の測定は、発色後40分以内とする。
【0036】
4.ケルセチン配糖体の分析
(1)イソクエルシトリン及びその糖付加物
イソクエルシトリン及びその糖付加物の分析は、HPLC(高速液体クロマトグラフ)法により、次に示す方法にしたがって行う。
分析機器は、LC-10AD(島津製作所社製)を使用する。
分析機器の装置構成は次の通りである。
・検出器 :紫外可視吸光光度計 SPD-10AV(島津製作所社製)
・カラム :YMC-Pack ODS-A AA12S05-1506WT、φ6mm×150mm(ワイエムシィ社製)
【0037】
分析条件は次のとおりである。
・カラム温度:40℃
・移動相 :水、アセトニトリル、2−プロパノール及び酢酸の混液(200:38:2:1)
・流量 :1.0mL/min
・試料注入量:10μL
・測定波長 :360nm
【0038】
以下の手順にて分析用試料を調製する。
検体1gを量りとり、メタノール1mLを加え、更にメタノール及び水の混液(1:1、体積比)を加えて10mLに定容し、試料溶液とした。調製した試料溶液を高速液体クロマトグラフ分析に供する。
【0039】
また、イソクエルシトリンの標準品を用いて濃度既知の溶液を調製し、高速液体クロマトグラフ分析に供することにより検量線を作成し、イソクエルシトリンを指標として、前記試料溶液中のイソクエルシトリン及びその糖付加物の定量を行う。そして、前記検量線から、イソクエルシトリン及びその糖付加物について、それぞれモル濃度を求め、そのモル濃度にイソクエルシトリンの質量を乗ずることにより、イソクエルシトリン及びその糖付加物のイソクエルシトリン換算量を算出する。
【0040】
(2)ルチン及びその糖付加物の分析
試料0.5gを採取し、メタノール及び2.5%酢酸の混液(8:2)20mLを加えて5分間超音波抽出した後、25mLに定容する。次いで、1mLを分取し、25mLに定容した後、高速液体クロマトグラフ−タンデム型質量分析計を用いて分析する。
【0041】
分析条件は次のとおりである。
・カラム :Unison UK-C18、φ4.6mm×250mm(インテクト社製)
・移動相 :水、アセトニトリル及び酢酸の混液
・流量 :1.0mL/min
・カラム温度 :40℃
・イオン化法 :エレクトロスプレー(正イオン検出モード)
・コーン電圧 :20V
・コリジョンエネルギー:25eV
・設定イオン数:m/z 611.2→303.2
【0042】
また、ルチンの標準品を用いて濃度既知の溶液を調製し、高速液体クロマトグラフ分析に供することにより検量線を作成し、ルチンを指標として、前記試料溶液中のルチン及びその糖付加物の定量を行う。そして、前記検量線から、ルチン及びその糖付加物について、それぞれモル濃度を求め、そのモル濃度にルチンの質量を乗ずることにより、ルチン及びその糖付加物のルチン換算量を算出する。
【0043】
5.pHの測定
飲料100mLを300mLのビーカーに量り取り、pHメータ(HORIBA コンパクトpHメータ、堀場製作所製)を用いて、20℃に温度調整をして測定した。
【0044】
6.酸度の分析
1)滴定
試料5〜15gを200mL容三角フラスコに正確に量り取り、水で適宜希釈して1%フェノールフタレイン指示薬数滴を加え、25mLビューレットに入れた0.1M水酸化ナトリウムで振り混ぜながら滴定する。30秒間赤色が持続する点を終点とする。水素イオン濃度計を用いる場合には、マグネティックスターラーでかき混ぜながら同様に滴定し、pH8.1になったときを終点とする。
【0045】
2)計算
下記式(1)により酸度を求める。
【0046】
酸度(質量%)=A×f×100/W×0.0064 (1)
〔式(1)中、Aは0.1M水酸化ナトリウム溶液による滴定量(mL)、fは0.1M水酸化ナトリウム溶液の力価、Wは試料質量(g)、をそれぞれ示す。〕
【0047】
7.ナトリウムイオンの分析
試料2gに10%塩酸5mLを加え、水浴上で蒸発乾固する。さらに10%塩酸5mLを加え、加温した後、全量をメスフラスコに濾過し、水で定容する。1%塩酸を用いて、検量線の範囲内に入るように、適当な濃度に希釈し、20000ppmのストロンチウム液2.5mLを加え、定容したものを試験溶液とする。原子吸光光度計を用いて、試験溶液の吸光度を測定し、あらかじめ作成した検量線からナトリウムの定量を行う。
・原子吸光光度計:AA−7000(島津製作所製)
・フレーム:空気−アセチレン
・測定波長:589.0nm
【0048】
9.官能評価
各飲料組成物の「酸味のキレ」、「香りの強さ」又は「苦味」について、専門パネル3名が下記の基準にしたがって飲用試験した。その後、専門パネル3名が協議して「0.5」刻みで決定した点数を最終評点とした。
【0049】
酸味のキレの評価基準
酸味のキレの評価は、酸味を感じた後に、その酸味が舌に残らない否かを観点に、下記の5段階により評価した。
5:酸味のキレがよい
4:酸味のキレがややよい
3:酸味のキレが僅かによい
2:酸味のキレがやや悪い
1:酸味のキレが悪い
【0050】
香りの強さの評価基準
香りの強さの評価は、香料を含有する飲料について、香りが十分に感じられるか否かを観点に、下記の5段階により評価した。
5:香りを非常によく感じる
4:香りをよく感じる
3:香りを感じる
2:香りを感じにくい
1:香りを非常に感じにくい
【0051】
苦味の評価基準
苦味の評価は、下記の5段階により評価した。
5:苦味を感じない
4:苦味をほとんど感じない
3:苦味をやや感じる
2:苦味を感じる
1:苦味を強く感じる
【0052】
実施例1〜7及び比較例1
[ストレート飲料の製造]
表1に示す各成分を配合して飲料を調製した後、容量200mLのPETボトルに充填し加熱殺菌した(ポストミックス方式)。殺菌条件は、65℃、20分で行った。得られた各容器詰飲料について分析及び評価を行った。その結果を表1に併せて示す。得られた飲料は、(G)ナトリウムイオンの含有量が0.0384質量%であり、酸度が0.14質量%であった。なお、酸味のキレの評価は、実施例3の飲料の酸味のキレを評点「4.0」とし、比較例1の飲料の酸味のキレを評点「1.0」として、上記の5段階により評価した。また、苦味の評価は、実施例1の飲料の苦味を評点「5.0」とし、実施例7の飲料の苦味を評点「2.0」として評価した。
【0053】
【表1】
【0054】
実施例8〜14、参考例1及び比較例2
[ストレート飲料の製造]
表2に示す各成分を配合して飲料を調製したこと以外は、実施例1と同様の操作により容器詰飲料を得た。得られた各容器詰飲料について分析及び評価を行った。その結果を表2に併せて示す。得られた飲料は、(G)ナトリウムイオンの含有量が0.0384質量%であり、酸度が0.14質量%であった。なお、香りの強さの評価は、参考例1の飲料の香りの強さを評点「5.0」とし、比較例2の飲料の香りの強さを評点「1.0」として評価した。
【0055】
【表2】
【0056】
実施例15〜17及び比較例3〜5
[ストレート飲料の製造]
表3に示す各成分を配合して飲料を調製したこと以外は、実施例1と同様の操作により容器詰飲料を得た。得られた各容器詰飲料について分析及び評価を行った。その結果を実施例10及び比較例2の結果とともに表3に併せて示す。得られた飲料は、(G)ナトリウムイオンの含有量が0.0384質量%であり、酸度が0.14質量%であった。なお、酸味のキレ及び香りの強さの評価は、各オルニチン濃度においてカフェイン含有量が0質量%の飲料の酸味のキレ及び香りの強さを評点「1.0」とし、実施例10の飲料の酸味のキレを評点「4.0」、香りの強さを評点「4.5」として評価した。
【0057】
【表3】
【0058】
実施例18、19及び比較例6、7
[ストレート飲料の製造]
表4に示す各成分を配合して飲料を調製したこと以外は、実施例1と同様の操作により容器詰飲料を得た。得られた各容器詰飲料について分析及び評価を行った。その結果を実施例10及び比較例2の結果とともに表4に併せて示す。なお、酸味のキレ及び香りの強さの評価は、各pHにおいてカフェイン含有量が0質量%の飲料の酸味のキレ及び香りの強さを評点「1.0」とし、実施例10の飲料の酸味のキレを評点「4.0」、香りの強さを評点「4.5」として評価した。
【0059】
【表4】
【0060】
実施例20〜22及び比較例8〜10
[ストレート飲料の製造]
表5に示す各成分を配合して飲料を調製したこと以外は、実施例1と同様の操作により容器詰飲料を得た。得られた各容器詰飲料について分析及び評価を行った。その結果を実施例10及び比較例2の結果とともに表5に併せて示す。なお、酸味のキレ及び香りの強さの評価は、各酸度においてカフェイン含有量が0質量%の飲料の酸味のキレ及び香りの強さを評点「1.0」とし、実施例10の飲料の酸味のキレをを評点「4.0」、香りの強さを評点「4.5」として評価した。
【0061】
【表5】
【0062】
実施例23
[ストレート飲料の製造]
表6に示す各成分を配合して飲料を調製したこと以外は、実施例1と同様の操作により容器詰飲料を得た。得られた各容器詰飲料について分析及び評価を行った。その結果を実施例10及び比較例2の結果とともに表6に併せて示す。得られた飲料は、(G)ナトリウムイオンの含有量が0.0384質量%であり、酸度が0.14質量%であった。なお、酸味のキレ及び香りの強さの評価は、各重合カテキン含有量においてカフェイン含有量が0質量%の飲料の酸味のキレ及び香りの強さを評点「1.0」とし、実施例10の飲料の酸味のキレを評点「4.0」、香りの強さを評点「4.5」として評価した。
【0063】
【表6】
【0064】
実施例24〜35
[ストレート飲料の製造]
表7に示す各成分を配合して飲料を調製したこと以外は、実施例1と同様の操作により容器詰飲料を得た。得られた各容器詰飲料について分析及び評価を行った。その結果を実施例10及び比較例2、8、9の結果とともに表7に併せて示す。得られた飲料は、(G)ナトリウムイオンの含有量が0.0384質量%であり、酸度が0.14質量%であった。なお、評価については、実施例10の酸味のキレを評点「4.0」、飲料の香りの強さを評点「4.5」とし、比較例2の飲料の酸味のキレ及び香りの強さを評点「1.0」として評価した。
【0065】
【表7】
【0066】
実施例36〜39
[ストレート飲料の製造]
表8に示す各成分を配合して飲料を調製したこと以外は、実施例1と同様の操作により容器詰飲料を得た。得られた各容器詰飲料について分析及び評価を行った。その結果を実施例10及び比較例2、8、9の結果とともに表8に併せて示す。得られた飲料は、(G)ナトリウムイオンの含有量が0.0384質量%であり、酸度が0.14質量%であった。なお、評価については、実施例10の酸味のキレを評点「4.0」、香りの強さを評点「4.5」とし、比較例2の飲料の酸味のキレ及び香りの強さを評点「1.0」として評価した。
【0067】
【表8】
【0068】
実施例40及び比較例11
[インスタント粉末飲料の製造]
表9に示す各成分を混合し、インスタント粉末飲料(還元飲料)10gを調製した。得られたインスタント粉末飲料(還元飲料)をイオン交換水で全量100mLに希釈し、得られた各飲料について分析及び評価を行った。その結果を表9に示す。なお、得られた飲料は、(G)ナトリウムイオンの含有量が0.0384質量%であり、酸度が0.14質量%であった。なお、評価については、実施例10の酸味のキレを評点「4.0」、香りの強さを評点「4.5」とし、比較例2の飲料の酸味のキレ及び香りの強さを評点「1.0」として評価した。
【0069】
【表9】
【0070】
表1〜9から、オルニチン強化飲料組成物にカフェインを特定量比で含有させると、酸味のキレが改善され、また香料を含有させた場合にはフレーバー感を十分に楽しむことができる飲料組成物が得られることが分かる。