(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
予測された前記鉄道の混雑状況または徒歩ネットワークの混雑状況を反映させて、経路探索を行う経路探索部を備えることを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0013】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る情報処理装置の概略構成を示すブロック図である。情報処理装置は、交通状況取得部1と、交通状況予測部2と、出力部3とを備えている。
【0014】
交通状況取得部1はある交通ネットワークの交通状況を取得する。交通状況予測部2は、取得された交通状況を考慮に入れて、上記交通ネットワークの代替として利用でき、かつ、移動手段が異なる他の交通ネットワークの交通状況を予測する。出力部3は予測された交通状況を出力する。出力部3は、例えばディスプレイやスピーカであり、予測された交通状況を映像や音声として出力する。また、出力部3は、予測された交通状況を外部の装置に出力するものであってもよい。以下では、出力部3はディスプレイであるとする。
【0015】
本実施形態では、具体例として以下を想定している。交通状況取得部1は、公共交通機関である鉄道ネットワークの交通状況として、運行状況情報を取得する。運行状況情報は、例えば鉄道に運休や遅延が発生しているか否かを示す。また、交通状況予測部2は、当該鉄道ネットワーク近辺の道路ネットワークに関する交通状況として、渋滞状況を予測した情報である渋滞予測情報を生成する。渋滞状況とは、道路ネットワークにおける渋滞度や、渋滞長、および、渋滞の継続時間などである。続いて、より詳細に説明する。
【0016】
図2は、
図1の情報処理装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【0017】
まず、交通状況取得部1は鉄道の運行状況を取得する(ステップS1)。一例として、交通状況取得部1は、ネットワークを介して、鉄道会社から運行状況情報を受信してもよい。また、運行状況情報を入手したオペレータが当該運行状況情報を入力することにより、交通状況取得部1が運行状況情報を受け取ってもよい。
【0018】
運休および遅延が発生していない場合(ステップS2のNO)、交通状況予測部2は通常通りの渋滞状況を予測する。結果として、当該鉄道ネットワーク近辺の道路ネットワークに関して、交通状況予測部2により予測される渋滞状況では、運休または遅延が発生している場合よりも、相対的に渋滞度が低くなる(ステップS3)。
【0019】
通常通りの渋滞状況の予測の手法は特に問わない。例えば、リンク毎の渋滞パターンを、曜日や時間帯、天気ごとに予め記憶しておき、交通状況予測部2は渋滞状況の予測を行う対象と合致する渋滞パターンを渋滞状況とすることができる。なお、渋滞状況の予測を行う対象となる時刻は、現在時刻であってもよいし、ユーザから指定されてもよい。
【0020】
一方、運休または遅延が発生している場合(ステップS2のYES)、鉄道の利用者が代替手段として車やタクシーを利用するため、その鉄道の近辺の道路では交通量が増加する。その結果、当該車やタクシーが通る道路ネットワークの渋滞度が高くなる。そこで、交通状況予測部2は鉄道の運休または遅延による影響を受けると考えられる道路ネットワークを特定する(ステップS4)。
【0021】
例えば、交通状況予測部2は、1つの鉄道ネットワークに対して、その影響を受ける道路ネットワークを予め定めておいてもよい。あるいは、交通状況予測部2は、その影響を受ける道路ネットワークを、その都度特定してもよい。例えば、当該鉄道ネットワークからの距離が所定値以下の道路ネットワークを、その影響を受ける道路ネットワークとして、その都度特定してもよい。
【0022】
そして、交通状況予測部2は、特定された道路ネットワークに関して、運休および遅延が発生していない場合よりも、相対的に渋滞度が高くなるよう渋滞予測情報を生成する(ステップS5)。例えば、交通状況予測部2は、運休および遅延が発生していないとして通常通りの渋滞状況を予測した結果の渋滞度を、所定値だけ高く設定する。
【0023】
この場合、交通状況予測部2は、特定された道路ネットワークの渋滞度を一律に高く設定してもよいし、鉄道ネットワークにおける運休または遅延が発生している区間から近い道路ネットワークほど渋滞度をより高く設定してもよい。また、一般的には、運休の場合や遅延時間が長い場合ほど、渋滞は長く続く。よって、交通状況予測部2は、運休であるか遅延であるか、あるいは、遅延時間などを考慮して、渋滞がどの程度の時間継続するかを予測してもよい。
【0024】
図3は、出力部3に表示される渋滞予測情報の一例を示す図である。同図(a)は鉄道ネットワーク31に運休および遅延が発生していない場合であり、近辺の道路ネットワーク32にはそれほど渋滞がないことが予測されている。これに対し、同図(b)は鉄道ネットワーク31に運休あるいは遅延が発生している場合であり、近辺の道路ネットワーク32の交通量が多くなって渋滞が発生することが予測されている。
【0025】
図4は、出力部3に表示される渋滞予測情報の別の例を示す図である。図示のように、渋滞予測情報をテキスト表示して、ユーザに報知してもよい。
【0026】
図3および
図4に示すように、運休や遅延が発生していることに加え、周囲の道路が通常より渋滞するという予測情報を表示することで、ユーザの利便性が向上する。
【0027】
このように、第1の実施形態では、鉄道ネットワークの運行状況情報を考慮して道路ネットワークの渋滞状況の予測を行うため、予測の精度を向上できる。また、鉄道が運休や遅延した場合に、車やタクシー、バスに乗り換えて迂回することの有効性を的確に判断できる。
【0028】
なお、
図1の情報処理装置をサーバ内に設け、ユーザが使用する端末装置に渋滞予測情報を送信するようにしてもよい。例えば、サーバ内の交通状況取得部1および交通状況予測部2により渋滞状況の予測を行い、端末装置からの要求に応じて、出力部3から渋滞予測情報を端末装置に送信する。そして、端末装置のディスプレイに
図3あるいは
図4に示すような画面を表示してもよい。
【0029】
(第2の実施形態)
以下に説明する第2の実施形態では、運行状況情報と渋滞状況情報とを関連付けた渋滞予測用情報データベースを用いて渋滞状況の予測を行うものである。
【0030】
図5は、本発明の第2の実施形態に係る情報処理装置の概略構成を示すブロック図である。
図5では、
図1と共通する構成部分には同一の符号を付しており、以下では相違点を中心に説明する。
【0031】
図5の情報処理装置はさらに記憶部4を備えている。記憶部4は運行状況情報と渋滞状況情報とを関連付けた渋滞予測用情報データベースを記憶している。すなわち、渋滞予測用情報データベースは異なる交通ネットワーク間の交通状況を紐づけたものである。
【0032】
図6は、渋滞予測用情報データベースの構造の一例を示す図である。渋滞予測用情報データベースは、運休や遅延の規模、路線の特性、駅の規模、時間帯、曜日、繁忙期であるか閑散期であるか、季節など、様々な要素で運行状況情報をパターン化し、過去のデータなどから、それぞれのパターンで渋滞の傾向を洗い出したものである。
【0033】
図6に示す例では、運行状況情報として、ある鉄道ネットワークにおける、運休や遅延の規模、時間帯、曜日および季節の情報が含まれている。また、渋滞状況情報として、当該鉄道ネットワーク近辺の道路ネットワークにおける、各リンクの旅行速度、渋滞度、影響時間の情報が含まれている。もちろん、
図6は一例にすぎず、渋滞予測用情報データベースは、図示した情報の一部のみを含んでいてもよいし、他の情報をさらに含んでいてもよい。
【0034】
このような渋滞予測用情報データベースを用いて、交通状況予測部2はより細かく渋滞状況の予測を行うことができる。すなわち、鉄道に運休や遅延が発生している場合、交通状況予測部2は、渋滞予測用情報データベースを参照し、運休や遅延の規模に加え、渋滞状況の予測を行う対象の時間帯、曜日および季節が一致する条件における渋滞状況を取得する。
【0035】
例えば、運休が発生し、渋滞状況の予測を行う時間帯が0〜1時、曜日が日曜日、季節が春である場合、交通状況予測部2は、リンク001での自動車の旅行速度が5km/hであり、渋滞度が「高」となることを予測できる。さらに、同条件において、交通状況予測部2は、渋滞が3時間程度継続することや、運休からの復旧から3時間以上経過していれば運休が発生した影響が解消されることを予測できる。
【0036】
このように、第2の実施形態では、運行状況情報と渋滞状況情報とを関連付けた渋滞予測用情報データベースを用いて渋滞状況の予測を行う。そのため、より細かく高精度に渋滞を予測できる。
【0037】
なお、
図5では、情報処理装置が記憶部4を備える例を示したが、記憶部4が別個の装置内にあって、交通状況予測部2が外部の記憶部4にアクセスする形態であってもよい。
【0038】
(第3の実施形態)
上述した第2の実施形態は、運行状況情報と渋滞状況情報とを含む渋滞予測用情報データベースを用いるものであった。これに対し、以下に説明する第3の実施形態は、運行状況情報データベースと、交通状況情報データベースとを用いるものである。
【0039】
図7は、本発明の第3の実施形態に係る情報処理装置の概略構成を示すブロック図である。
図7では、
図1と共通する構成部分には同一の符号を付しており、以下では相違点を中心に説明する。
【0040】
図7の情報処理装置はさらに記憶部4a,4bを備えている。記憶部4aは運行状況情報のログである運行状況情報データベースを記憶している。記憶部4bは交通状況情報のログである交通状況情報データベースを記憶している。
【0041】
図8は、ある鉄道ネットワークにおける運行状況情報データベースの構造の一例を示す図である。運行状況情報データベースは、いつ、どのような運休や遅延が発生したかを示している。運行状況情報データベースは、例えば交通状況予測部2が交通状況を取得する度にログを記録することにより生成できる。また、鉄道会社から運行状況情報データベースの供給を受けてもよい。
【0042】
図9は、ある道路ネットワークにおける交通状況情報データベースの構造の一例を示す図である。交通状況情報データベースは、各日時の自動車の旅行速度や渋滞度といった交通状況を示している。交通状況情報データベースは、例えばVICS(登録商標)情報やプローブ情報といった、一般的なデータから構成されるものであってもよい。また、特定のアプリを利用している携帯端末の移動履歴を取得して、交通状況情報データベースを生成することもできる。例えばカーナビアプリを利用している携帯端末から、GPSを利用した現在位置を定期的に取得することにより、各日時における自動車の旅行速度が分かる。
【0043】
図10は、運行状況情報データベースおよび交通状況情報データベースを用いた渋滞予測の手順の一例を示すフローチャートである。以下、
図8の運行状況情報データベースおよび
図9の交通状況情報データベースを例に取って説明する。
【0044】
まず、交通状況取得部1は鉄道の運行状況情報を取得する(ステップS11)。運休または遅延が発生している場合、交通状況予測部2は当該鉄道ネットワークの運休や遅延に影響を受ける近辺の道路ネットワークを特定する(ステップS12)。
【0045】
続いて、交通状況予測部2は、記憶部4aに記憶された運行状況情報データベースを参照し、同様の運休や遅延が発生した日時を特定する(ステップS13)。例えば、ステップS11にて、運休が発生していることが分かった場合、
図8を参照すると、同様に運休が発生した日時として、4月3日15時10分が特定される。
【0046】
その後、交通状況予測部2は、ステップS12で特定した道路ネットワークの交通状況情報データベースを参照し、ステップS13で特定した日時の交通状況を取得する(ステップS14)。
図9を参照すると、上記4月3日15時10分のリンク001における交通状況は、旅行速度10km/hであり渋滞度「高」である。
【0047】
よって、交通状況予測部2は特定された道路ネットワークの渋滞度が「高」となることを予測できる(ステップS15)。また、
図9の交通状況情報データベースを参照すると、4月3日16〜17時には渋滞度が「中」となり、同日17〜18時には「低」であることから、交通状況予測部2は、より詳細に、運休から1時間程度経てば渋滞度が「中」となり、2時間程度経てば渋滞がほぼ解消して通常通りになることまで予測してもよい。
【0048】
このように、第3の実施形態では、運行状況情報データベースおよび交通状況情報データベースを利用するため、精度よく渋滞状況を予測できる。
【0049】
なお、
図7では、情報処理装置が記憶部4a,4bを備える例を示したが、記憶部4a,4bのうちの少なくとも一方が別個の装置内にあって、交通状況予測部2が外部の記憶部4a,4bにアクセスする形態であってもよい。
【0050】
(第4の実施形態)
上述した第3の実施形態では、それぞれ別個の運行状況情報データベースおよび交通状況情報データベースを用いるものであった。これに対し、以下に説明する第4の実施形態では、両データベースから
図6に示すような渋滞予測用情報データベースを生成して、渋滞状況の予測を行うものである。
【0051】
図11は、本発明の第4の実施形態に係る情報処理装置の概略構成を示すブロック図である。
図11では、
図7と共通する構成部分には同一の符号を付しており、以下では相違点を中心に説明する。
【0052】
図11の情報処理装置はさらにデータベース生成部5を備えている。データベース生成部5は、記憶部4aに記憶された運行状況情報データベース(
図8)と、記憶部4bに記憶された交通状況情報データベース(
図9)とに基づいて、渋滞予測用情報データベースを生成する。生成された渋滞予測用情報データベースは記憶部4に記憶される。
【0053】
図12は、データベース生成部5の処理動作の一例を示すフローチャートである。また、
図13は、
図8の運行状況情報データベースおよび
図9の交通状況情報データベースを用いて生成される渋滞予測用情報データベースの概略を示す図である。
図13に示す渋滞予測用情報データベースが生成される様子を説明する。
【0054】
データベース生成部5は、運行状況情報データベースを参照し、運休や遅延が発生した日時を特定する(ステップS21)。例えば
図8において、データベース生成部5は、運休が発生した日時として、4月3日15時10分を特定する。この日時は春であり、また水曜であるとする。
【0055】
続いて、データベース生成部5は、交通状況情報データベースを参照し、特定した日時の交通状況を取得する(ステップS22)。
図9を参照すると、上記4月3日15時10分のリンク001における交通状況は、旅行速度10km/hであり渋滞度「高」である。また、同日17〜18時には渋滞度が「低」であることから、渋滞は2時間程度継続したと推定される。
【0056】
そして、データベース生成部5は、ステップS22取得した交通状況を運行状況と関連付けて、渋滞予測用情報データベースとして記録する(ステップS23)。これにより、
図13の矢印Aで示す行が記録される。運行状況情報データベースにおける運休や遅延のそれぞれに対してこのような処理を繰り返すことにより、
図13のような渋滞予測用情報データベースが生成される。
【0057】
渋滞予測用情報データベース生成後に、新たに運休や遅延が発生した場合、データベース生成部5がさらにステップS21〜S23の処理を行って、渋滞予測用情報データベースを更新することもできる。
【0058】
生成された渋滞予測用情報データベースは、データベース生成部5が保持してもよいし、情報処理装置内または外の記憶部に保持してもよい。その後は、第2の実施形態と同様にして、渋滞予測用情報データベースを用いた渋滞状況の予測が行われる。
【0059】
このように、第4の実施形態では、運行状況情報データベースおよび運行状況情報データベースから渋滞予測用情報データベースを生成できる。
【0060】
(第5の実施形態)
以下に説明する第5の実施形態は、予測した渋滞予測情報を反映させて、経路探索を行うものである。
【0061】
図14は、本発明の第5の実施形態に係る情報処理システムの概略構成を示すブロック図である。情報処理システムは端末装置10およびサーバ20を備えており、これらはネットワーク30を介して互いに通信可能である。ネットワーク30は有線回線と無線回線のいずれでもよく、回線の種類や形態は問わない。
【0062】
端末装置10はユーザが使用するものであり、例えば携帯電話、スマートフォンもしくはタブレット端末装置等のモバイル電子機器でもよいし、パーソナルコンピュータやカーナビゲーション装置等の据え置き型電子機器でもよい。
【0063】
端末装置10は、通信部11と、操作入力部12と、出力部13と、制御部14とを備えている。
【0064】
通信部11はネットワーク30を介して制御部14とサーバ20との間で情報を送受信するインターフェースである。
【0065】
操作入力部12はユーザが端末装置10に操作を入力するためのインターフェースであり、例えばモバイル電子機器におけるタッチパネルやマイク、据え置き型電子機器におけるキーボード、タッチパッドもしくはダイヤルボタンである。
【0066】
出力部13は端末装置1からユーザへ各種情報を出力するインターフェースであり、例えば映像を表示するディスプレイである。具体的には、出力部13は、ユーザからの操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)、渋滞予測情報、経路情報などを表示する。あるいは、出力部13は渋滞予測情報や経路情報を音声で出力するスピーカであってもよい。また、出力部13は渋滞予測情報や経路情報を外部の装置に出力するものであってもよい。
【0067】
制御部14は、例えば端末装置10内のプロセッサ(不図示)が所定の情報処理プログラムを実行することにより実現されるものであり、探索条件設定部141と、探索要求送信部142と、情報受信部143とを含む。
【0068】
探索条件設定部141は、ユーザから操作入力部12を介して、出発地、目的地、出発時刻あるいは到着時刻のような諸条件を受け付けることにより、探索条件を設定する。探索要求送信部142は、通信部11からネットワーク30を介して、探索条件を含む探索要求をサーバ20に送信し、探索条件に基づいて経路探索を行うようサーバ20に要求する。情報受信部143は、ネットワーク30を介して通信部11から、サーバ20から送信された渋滞予測情報や経路情報を受信する。
【0069】
一方、サーバ20は、通信部21と、記憶部22と、制御部23とを備えている。
【0070】
通信部21はネットワーク30を介して制御部23と端末装置10との間で情報を送受信するインターフェースである。
【0071】
記憶部22は、例えばハードディスクのような固定型データストレージであり、交通ネットワーク情報を含む経路ネットワーク情報データベース221と、地図情報を含む地図情報データベース222とを記憶する。
【0072】
交通ネットワーク情報は、鉄道やバス等の交通網や道路網を規定する情報である。交通網の情報としては、交通機関の路線情報、時刻表情報、料金情報等を含む。道路網の情報は、例えば交差点等の道路網表現上の結節点であるノードのデータと、ノード間の道路区間であるリンクのデータとの組み合わせによって表現される。地図情報および経路ネットワーク情報は、渋滞状況の予測や経路探索に用いられる。
【0073】
地図情報は、全国および各地方の道路地図などの地図データと、地図データに対応付けられた地図オブジェクト情報を含む。地図オブジェクト情報とは、地図上に表示される施設の形状についての形状情報、地図上に表示される注記についての注記情報、地図上に表示される記号についての記号情報などである。また、地図情報は公共交通機関の路線図に関する路線図情報を含んでいてもよい。
【0074】
上記の交通ネットワーク情報および地図情報は、所定のタイミングでアップデートしてもよい。
【0075】
なお、記憶部22は、必ずしもサーバ20内に設けなくてもよく、ネットワーク30を介して接続される別個の装置内に設けてもよい。また、記憶部22は第2〜第4の実施形態で用いられる各種データベースを記憶しておいてもよい。
【0076】
制御部23は、例えばサーバ20内のプロセッサ(不図示)が所定の情報処理プログラムを実行することにより実現されるものであり、探索要求受信部231と、渋滞予測部232と、経路探索部233と、情報送信部234とを含む。
【0077】
探索要求受信部231は、端末装置10の探索要求送信部142から送信される探索要求を、ネットワーク30を介して通信部21から受信する。この探索要求には、探索条件設定部141で設定された探索条件が含まれている。
【0078】
渋滞予測部232は、例えば第1〜第4の実施形態で説明した交通状況取得部1および交通状況予測部2であり、鉄道ネットワークの運行状況を考慮して、道路ネットワークの渋滞状況を高精度に予測し、渋滞予測情報を生成する。鉄道の運休や遅延の影響時間も予測する場合、影響時間中だけ、鉄道ネットワークの運行状況を考慮してもよい。
【0079】
経路探索部233は、経路ネットワーク情報を用いて探索条件に基づく経路探索を行い、出発地から目的地までの経路や所要時間などを示す経路情報を生成する。ここで、経路探索部233は、予測された渋滞状況を反映させて、経路情報を生成する。例えば、経路探索部233は、渋滞が予測される道路ネットワークについては、通常よりも移動に時間を要することを考慮する。
【0080】
情報送信部234は、通信部21からネットワーク30を介して、渋滞予測部232が生成した渋滞予測情報や、経路探索部233が生成した経路情報を、端末装置10の情報受信部143に送信する。
【0081】
以上のようにして、端末装置10の出力部13には、渋滞予測情報や、予測された渋滞状況が反映された経路情報が出力される。
【0082】
このように、第5の実施形態では、高精度に予測された渋滞状況を考慮して経路探索を行うため、より正確な経路情報を生成できる。
【0083】
上述した各実施形態では、鉄道ネットワークの運行状況を考慮して、道路ネットワークの渋滞状況を予測するものであった。この考えは、幅広く様々な交通ネットワークの交通状況予測に応用できる。
【0084】
ここで、交通ネットワークとは、人が行き来するためのネットワークなどを言い、自動車が走行する道路ネットワークのほか、自転車レーンのような自転車が走行可能な道路を含む自転車ネットワークや、歩道のような歩行者が歩行可能な徒歩ネットワークなども含んでいてもよい。
【0085】
また、交通状況とは、鉄道やバスのようなタイムテーブルに従って運行する公共交通機関の運休や遅延、交通ネットワークの渋滞状況、交通ネットワークの移動手段内の混雑状況(例えば電車の混み具合)などである。
【0086】
一例として、交通状況はリンクを単位として予測することができる。例えば、道路ネットワークでは交差点間の区間がリンクであり、バスネットワークでは停留所間の区間がリンクであり、鉄道ネットワークでは駅間の区間がリンクである。もちろん、リンク以外の他の単位で交通状況を予測してもよい。
【0087】
例えば、道路が渋滞していると、車、タクシー、バスの利用者が鉄道や徒歩で移動するようになる。そのため、道路ネットワークの渋滞状況を考慮して、鉄道の混雑状況や、徒歩ネットワークの混雑状況を予測してもよい。
【0088】
あるいは、鉄道が混雑、運休、遅延すると、鉄道の利用者が徒歩や自転車で移動するようになる。そのため、鉄道ネットワークの混雑状況や運行状況を考慮して、徒歩ネットワークや自転車ネットワークの混雑状況を予測してもよい。
【0089】
また、3つ以上の交通ネットワークにも応用できる。例えば、鉄道が混雑、運休、遅延すると、鉄道の利用者が車、タクシー、バスで移動することになる。その結果、道路ネットワークが渋滞する。すると、車、タクシー、バスの利用者が徒歩で移動するようになる。その結果、徒歩ネットワークが混雑する。よって、鉄道ネットワークの混雑状況や運行状況を考慮して、道路ネットワークの渋滞状況および徒歩ネットワークの混雑状況を予測してもよい。
【0090】
また、
図14に示す情報処理システムの構成は一例にすぎず、サーバ20内の構成要件の少なくとも一部が端末装置10内にあってもよい。例えば、サーバ2内の記憶部22および制御部23を端末装置10内に設けて、通信をすることなく端末装置10のみで渋滞状況の予測を行うことができるスタンドアローン型の情報処理装置を構成してもよい。同様に、
図1などの情報処理装置における各部が複数の装置内に設けられて、情報処理システムを構成してもよい。
【0091】
上述した実施形態で説明した情報処理装置の少なくとも一部は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成してもよい。ソフトウェアで構成する場合には、情報処理装置の少なくとも一部の機能を実現するプログラムをフレキシブルディスクやCD−ROM等の記録媒体に収納し、コンピュータに読み込ませて実行させてもよい。記録媒体は、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能なものに限定されず、ハードディスク装置やメモリなどの固定型の記録媒体でもよい。
【0092】
また、情報処理装置の少なくとも一部の機能を実現するプログラムを、インターネット等の通信回線(無線通信も含む)を介して頒布してもよい。さらに、同プログラムを暗号化したり、変調をかけたり、圧縮した状態で、インターネット等の有線回線や無線回線を介して、あるいは記録媒体に収納して頒布してもよい。
【0093】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した個々の実施形態には限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。