特許第6486472号(P6486472)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6486472-燃料ポンプアセンブリ 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6486472
(24)【登録日】2019年3月1日
(45)【発行日】2019年3月20日
(54)【発明の名称】燃料ポンプアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   F02M 37/10 20060101AFI20190311BHJP
   F02M 37/00 20060101ALI20190311BHJP
   F02M 37/32 20190101ALI20190311BHJP
【FI】
   F02M37/10 G
   F02M37/00 301L
   F02M37/22 G
【請求項の数】8
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-531382(P2017-531382)
(86)(22)【出願日】2015年9月7日
(65)【公表番号】特表2017-538065(P2017-538065A)
(43)【公表日】2017年12月21日
(86)【国際出願番号】EP2015070394
(87)【国際公開番号】WO2016091409
(87)【国際公開日】20160616
【審査請求日】2017年6月9日
(31)【優先権主張番号】102014225309.8
(32)【優先日】2014年12月9日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】タマーシュ サボー
【審査官】 櫻田 正紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−032898(JP,A)
【文献】 実開昭60−140606(JP,U)
【文献】 特開2004−060597(JP,A)
【文献】 特開2008−261293(JP,A)
【文献】 特開2013−181462(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0000844(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 37/10
F02M 37/00
F02M 37/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ポンプ(2)と、
少なくとも部分的に前記燃料ポンプ(2)が内部に配置されている燃料タンク(3)と、
前記燃料タンク(3)の外部に配置され、前記燃料タンク(3)に燃料接続している、中間構造部分(4)と、
フィルタ室(6)内に配置されたフィルタ(5)であって、前記中間構造部分(4)または前記燃料ポンプ(2)の外部に配置されている、フィルタ(5)と、
を備えた燃料ポンプアセンブリであって、
底部領域(71)と、該底部領域(71)から前記燃料ポンプ(2)の中心軸線に沿って延びる壁領域(70)と、該壁領域(70)に対して前記中心軸線の側に離間した前記底部領域(71)の部分から前記中心軸線に沿って延びる環状に形成された中間壁領域(72)と、を有するポット状に形成された保持エレメント(7)をさらに備え、前記保持エレメント(7)は、前記フィルタ室(6)を定めており、前記フィルタ室(6)は、前記中間壁領域(72)により画定される第1の小室(60)と、前記壁領域(70)及び前記中間壁領域(72)により画定される第2の小室(61)と、に分けられており、前記フィルタ(5)は、前記第1の小室(60)の内部に配置されており、
前記保持エレメント(7)と前記中間構造部分(4)との間に、着脱可能な結合部(8)が設けられており、これにより、前記フィルタ(5)は、前記保持エレメント(7)により交換可能に前記中間構造部分(4)に保持されており、
燃料流が前記燃料タンク(3)の内部(30)から外方に前記中間構造部分(4)の第1の開口(40)を通って前記フィルタ室(6)内へ、かつ前記フィルタ室(6)から前記フィルタ(5)を通って、かつ前記中間構造部分(4)の第2の開口(41)を通って前記燃料ポンプ(2)の入口(20)に向かって流れることを特徴とする、燃料ポンプアセンブリ。
【請求項2】
前記燃料タンク(3)と前記中間構造部分(4)とが一体的に形成されている、請求項1記載の燃料ポンプアセンブリ。
【請求項3】
前記フィルタ(5)と前記中間構造部分(4)との間に、第1のシールエレメント(9)が配置されている、請求項1または2記載の燃料ポンプアセンブリ。
【請求項4】
前記結合部(8)は、係止結合部である、請求項1から3までのいずれか1項記載の燃料ポンプアセンブリ。
【請求項5】
前記中間構造部分(4)と前記保持エレメント(7)との間に、第2のシールエレメント(10)が配置されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の燃料ポンプアセンブリ。
【請求項6】
前記保持エレメント(7)はシール装置(11)を有している、請求項1から5までのいずれか1項記載の燃料ポンプアセンブリ。
【請求項7】
前記フィルタ(5)と前記燃料ポンプ(2)とは、1つの共通のライン(M)上に列を成して配置されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の燃料ポンプアセンブリ。
【請求項8】
前記中間構造部分(4)の前記第1の開口(40)に配置された逆止弁(12)をさらに備える、請求項1から7までのいずれか1項記載の燃料ポンプアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
先行技術
本発明は、特に自動二輪車用の燃料ポンプおよび燃料タンクを備えた燃料ポンプアセンブリに関する。
【0002】
これまでに知られている燃料ポンプアセンブリでは、燃料を濾過するためのフィルタが使用される。特にフィルタは、燃料タンク内で燃料ポンプに配置されているか、またはフィルタを燃料ポンプに接続するためのチューブを備えた燃料タンクの外部に配置されている。しかし、この両方のアセンブリはフィルタの交換に手間がかかるという欠点を有している。したがって、フィルタを燃料タンクから取り出すために、燃料アセンブリ全体が取り外されなければならないか、またはチューブ接続部が解離されるか、もしくは取り外されなければならない。
【0003】
発明の開示
これに対して、請求項1に記載の特徴を備える本発明に係る燃料ポンプアセンブリは、燃料ポンプにおけるフィルタの組付けもしくは取外しが大幅に簡略化される、という利点を有している。したがって、フィルタのクリーニングまたは交換が簡単にされる。これにより、それに関連するコストも大幅に低減する。このことは、本発明によれば、フィルタエレメントを、燃料ポンプに、または燃料タンクに配置された中間構造部分に、燃料タンクの外部で直接に接触させることにより達成される。この場合、本発明に係る燃料ポンプアセンブリは、燃料ポンプと、少なくとも部分的に燃料ポンプが内部に配置されている燃料タンクと、燃料タンクの外部に配置されかつ燃料タンクに燃料接続している中間構造部分と、フィルタ室内に配置されたフィルタとを有している。本発明によれば、フィルタは、中間構造部分または燃料ポンプの外部に配置されている。燃料流は、燃料タンクの内部から中間構造部分の第1の開口を通って外方にフィルタ室内へ、かつフィルタ室からフィルタおよび中間構造部分の第2の開口を通って燃料ポンプの入口に向かって流れる。特に有利には、燃料ポンプが完全に燃料タンク内に配置されている。この場合、フィルタは、中間構造部分に配置されている。中間構造部分の存在は、該中間構造部分を顧客に特化した要求に適合させることができ、この場合にフィルタおよび燃料ポンプは標準化して製造され得る、という利点を提供する。
【0004】
本発明の有利な態様は、従属請求項に示されている。
【0005】
択一的には、燃料タンクと中間構造部分とは有利には一体的に形成されていてもよい。燃料タンクと中間構造部分とは、たとえば射出成形部分として廉価に製造され得る。さらに、一体的な構造により、燃料タンクと中間構造部分との間の潜在的な密閉問題は回避され得る。
【0006】
さらに有利には、燃料ポンプがさらに保持エレメントを有していてもよい。この場合、フィルタが、保持エレメントにより交換可能に中間構造部分に保持されていて、保持エレメントはフィルタ室を定める。したがって、フィルタは、中間構造部分に着脱可能に取り付けられていてもよい。保持機能の他に、保持エレメントによりフィルタ室が定められている。このフィルタ室内にはフィルタが配置されていて、このフィルタ室内に燃料タンクからの燃料が、燃料ポンプへの供給前に到達する。これにより、コンパクトな構造が可能にされる。
【0007】
本発明の有利な態様によれば、保持エレメントは実質的にポット状に形成されていて、壁領域と底部領域とを有している。この場合、フィルタは、保持エレメントの底部領域上に支持されている。この場合、ポット状の保持エレメントの中空室はフィルタ室に相当する。
【0008】
さらに有利には、燃料ポンプアセンブリは、着脱可能な結合部、特に係止結合部を保持エレメントと中間構造部分との間で備えていてもよい。したがって、保持エレメントと中間構造部分との、迅速に製造されるべき確実な結合部が可能にされている。保持エレメントが中間構造部分から取り外されたあとに、簡単な形式でフィルタへのアクセスが開放される。特に、保持エレメントは少なくとも1つの係止フックを有している。この係止フックは、中間構造部分の少なくとも1つの溝内に係止可能に配置されている。係止フックは、環状に延びて保持エレメントに形成されていてもよい。この場合、係止フックは、中間構造部分の外周面に環状に形成された溝内に係止可能に配置されている。
【0009】
有利には、第1のシールエレメントがフィルタと中間構造部分との間に配置されている。したがって、フィルタと中間構造部分との間の密閉性が確保され、これにより既に濾過された燃料はフィルタ室内に戻らない。したがって、燃料ポンプによる燃料の連続的な圧送が圧送量の急激な変化なしに可能にされる。
【0010】
第2のシールエレメントが、フィルタと保持エレメントとの間に配置されているとさらに有利である。したがって、フィルタと保持エレメントとの間の密閉性が保証され、これにより燃料は燃料ポンプアセンブリの周囲へと漏れ出ない。これにより、さらに燃料ポンプの故障しにくい機能が確保される。
【0011】
択一的にまたは付加的には、保持エレメントは、シール装置を有していてもよい。このシール装置は、有利にはフィルタ室内に環状に延びるように形成された中間壁領域を有していてもよい。この中間壁領域は、保持エレメントの壁領域から離間しており、フィルタ室を第1の小室と第2の小室とに分ける。中間壁領域は、第2の小室が第1の小室よりも小さく形成されているように配置されており、この場合、フィルタは第1の小室内に位置している。したがって、燃料ポンプにより吸い込まれない燃料は、第2の小室内に到達することがある。中間壁領域が存在していることにより、吸い込まれなかった燃料の圧力は減じられており、これにより燃料は周囲に漏れ出ることができない。フィルタと保持エレメントとの間にシールエレメントが存在している場合、第1の小室は、このシールエレメントにより第2の小室から分離されている。このような場合には、シール装置が漏れに対する別の防止措置として働く。択一的には、シール装置はラビリンスシールとして形成されていてもよい。
【0012】
さらに有利には、フィルタと燃料ポンプとは、1つの共通のライン上に列を成して配置されていてもよい。さらに有利には、中間構造部分と保持エレメントも同一の共通のライン上に配置されていてもよい。有利には、この共通のラインは、燃料ポンプの中心軸線に相当する。したがって、コンパクトな構造および短い流れ経路が可能である。
【0013】
中間構造部分が実質的にポット状に形成されているとさらに有利であり得る。この場合、第1の開口と第2の開口とは、中間構造部分の底部に配置されており、中間構造部分は第1の開口を介して、フィルタに流れ接続しており、フィルタは、第2の開口を介して、燃料ポンプの入口に流れ接続している。燃料タンクは、有利には、燃料タンク開口を有していて、この燃料タンク開口を介して、燃料タンクは、中間構造部分に連通している。
【0014】
有利な形式で、燃料ポンプアセンブリが、さらに逆止弁を有していてもよい。この逆止弁は、中間構造部分の第1の開口に配置されている。したがって、フィルタは、燃料タンクがまず空にされる必要なしに、いつでも交換され得る。
【0015】
以下に本発明の有利な実施の形態を添付の図面に関連して詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の有利な実施の形態による燃料ポンプアセンブリの大幅に簡略化された概略的な断面図である。
【0017】
発明の実施の形態
以下に図1に関連して、本発明の有利な実施の形態による燃料ポンプアセンブリ1を詳しく説明する。
【0018】
図1から判るように、燃料ポンプアセンブリ1は、燃料ポンプ2と、該燃料ポンプ2が部分的に内部に配置されている燃料タンク3と、中間構造部分4と、フィルタ5とを有している。
【0019】
中間構造部分4は、燃料タンク3の外部に配置されていて、燃料タンク開口31を通じて燃料タンク3に流れ接続している。フィルタ5はフィルタ室6内で、中間構造部分4の外部に配置されている。したがって、燃料流は、燃料タンク3の内部30から外方に中間構造部分4の第1の開口40を通ってフィルタ室6内へと流れ、このフィルタ室6からフィルタ5およびフィルタ開口50を通って、かつ中間構造部分4の第2の開口41を通って燃料ポンプ2の入口20に向かって流れる(矢印A)。燃料ポンプ2から、燃料は燃料ポンプ2によりさらに圧送される(矢印B)。
【0020】
この実施の形態では、燃料タンク3と中間構造部分4とは別個の構造部分として形成されている。択一的には、中間構造部分4は燃料タンク3に統合されていてもよい。
【0021】
中間構造部分4は、実質的にポット状に形成されている。この場合、第1の開口40と第2の開口41は、中間構造部分4の底部に隣り合って配置されている。中間構造部分4は、第1の開口40を介して、フィルタ室6に流れ接続している。フィルタ室6は、第2の開口41を介して、燃料ポンプ2の入口20に流れ接続している。第1の開口40には、逆止弁12が設けられている。この逆止弁12は、図1では開いた状態で描かれている。燃料タンク3は、燃料タンク開口31を有している。この燃料タンク開口31を介して、燃料タンク3は中間構造部分4に連通している。
【0022】
さらに、燃料ポンプアセンブリ1は、保持エレメント7を有している。この場合、フィルタ5は、保持エレメント7により交換可能に中間構造部分4に保持されている。保持エレメント7は、係止結合部8により中間構造部分4に着脱可能に取り付けられている。特に、係止結合部8は、係止フック80を有している。この係止フック80は、中間構造部分4の外周面において環状に形成された溝81内に係止する。
【0023】
フィルタ室6を定める保持エレメント7は、やはりポット状に形成されている。さらに、保持エレメント7は、壁領域70および底部領域71を有している。この底部領域71上にフィルタ5が配置されている。さらに、保持エレメント7は、シール装置11を有している。シール装置11は、中間壁領域72を有している。中間壁領域72は、環状に延びて形成されており、壁領域70から離間している。中間壁領域72は、フィルタ室6を第1の小室60と第2の小室61とに分ける。この場合、第2の小室61は、リング状の横断面を有している。内部にフィルタ5が位置している第1の小室61は、第2の小室61よりも大きく形成されている。
【0024】
さらに、第1のシールエレメント9が中間構造部分4とフィルタ5との間に設けられている。第1のシールエレメント9により、既に濾過された燃料がフィルタ室6内へ戻ることが阻止される。シール装置11と一緒に、外方への燃料の漏れに対する密閉性を確保するためには、さらに第2のシールエレメント10が中間構造部分4と保持エレメント7との間に配置されている。この第2のシールエレメント10は、フィルタ室6の第1の小室60を第2の小室61から分離している。シールエレメント9とシールエレメント10とは、Oリングとして形成されている。
【0025】
フィルタ5と燃料ポンプ2とは、燃料ポンプ2の中心ラインに相当する1つの共通のラインM上に列を成して配置されている。さらに、中間構造部分4および保持エレメント7も、共通のラインM上に配置されている。したがって、燃料ポンプアセンブリ1のコンパクトな構造ならびに燃料タンク3の内部30から燃料ポンプ2までの燃料の短い流れ経路が可能である。
【0026】
本発明に係る燃料ポンプアセンブリ1により、フィルタ5を交換するための組付け手間もしくは取外し手間、ひいては対応するコストが大幅に減少している。
図1