特許第6486481号(P6486481)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6486481
(24)【登録日】2019年3月1日
(45)【発行日】2019年3月20日
(54)【発明の名称】液晶表示パネルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1337 20060101AFI20190311BHJP
【FI】
   G02F1/1337 520
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-537920(P2017-537920)
(86)(22)【出願日】2015年4月20日
(65)【公表番号】特表2018-502334(P2018-502334A)
(43)【公表日】2018年1月25日
(86)【国際出願番号】CN2015077007
(87)【国際公開番号】WO2016119317
(87)【国際公開日】20160804
【審査請求日】2017年7月18日
(31)【優先権主張番号】201510045183.3
(32)【優先日】2015年1月29日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516010618
【氏名又は名称】深▲せん▼市華星光電技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN CHINA STAR OPTOELECTRONICS TECHNOLOGY CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】叶 岩渓
(72)【発明者】
【氏名】呉 欲志
(72)【発明者】
【氏名】邱 鍾毅
【審査官】 越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−076825(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/116565(WO,A1)
【文献】 特開平08−262446(JP,A)
【文献】 特開平10−073821(JP,A)
【文献】 特開平06−281937(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0003033(US,A1)
【文献】 国際公開第2013/054773(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1337
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素セルに複数の表示ドメインが含まれている液晶表示パネルの製造方法であって、
内表面に画素電極層が含まれるアレイ基板を製造するステップと、
内表面に共通電極層が含まれる着色フィルム基板を製造するステップと、
第一の不規則性ポリマーが含まれる画素配向膜を前記画素電極層に塗布するステップと、
前記第一の不規則性ポリマーが第一の規則性ポリマーに転換されるよう、前記液晶表示パネルのメイン表示視野角によって特定された、異なる前記表示ドメインの前記画素配向膜に対する第一の光配向処理の露光量で前記第一の光配向処理を前記画素配向膜に対し行うステップと、
第二の不規則性ポリマーが含まれる共通配向膜を前記共通電極層に塗布するステップと、
前記第二の不規則性ポリマーが第二の規則性ポリマーに転換されるよう、前記液晶表示パネルの前記メイン表示視野角によって、異なる表示ドメインの共通配向膜に対して行う第二の光配向処理の露光量を特定し、前記共通配向膜に対し第二の光配向処理を行うステップと、
前記アレイ基板と前記着色フィルム基板に対しアライメント処理を行って、液晶セルを形成するステップと、を含み、
前記異なる前記表示ドメインの画素配向膜に対して前記第一の光配向処理を行うとき、同じ露光量を採用し、前記液晶表示パネルの前記メイン表示視野角に対応する前記表示ドメインの前記共通配向膜に対して前記第二の光配向処理を行うときの露光量が、それ以外の前記表示ドメインの前記共通配向膜に対して前記第二の光配向処理を行うときの露光量より多い
ことを特徴する液晶表示パネルの製造方法。
【請求項2】
前記第一の光配向処理の配向方向は、前記第二の光配向処理の配向方向に垂直している、
ことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示パネルの製造方法。
【請求項3】
前記アレイ基板を製造するステップには、
下層基板に走査線、薄膜電界効果トランジスタ、データ線及び画素電極を配置して、前記アレイ基板を形成することを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示パネルの製造方法。
【請求項4】
前記着色フィルム基板を製造するステップには、
下層基板に黒色マトリックス、着色フィルムカラーレジスト及び共通電極を配置して、前記着色フィルム基板を形成することを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示パネルの製造方法。
【請求項5】
前記第一の光配向処理では、所定方向の偏光を利用して、前記第一の不規則性ポリマーに対し所定角度で露光処理を行って、前記第一の規則性ポリマーを形成し、
前記第二の光配向処理では、所定方向の偏光を利用して、前記第二の不規則性ポリマーに対し所定角度で露光処理を行って、前記第二の規則性ポリマーを形成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示パネルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示領域に関し、特に、液晶表示パネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大きいサイズの液晶表示装置は、社会発展に伴って様々な家庭や公共の場所で応用されている。異なる応用場所では、液晶表示装置に対する要求もそれぞれ異なっている。例えば、家庭の場所では、ユーザーが液晶表示装置の左右で行ったり来たりするため、液晶表示装置の左右から見る場合の視野角にも要求が高くなっている。また、例えば、一般的公共の場では、画面を見るユーザーをより多くするために、通常、液晶表示装置を高い場所に置くため、液晶表示装置の下視野角に対する要求も高くなっている。
【0003】
このように、上記したユーザーらの視野角の需要を満たすためには、液晶表示装置の生産において、高いコストをかけて液晶表示装置の表示効果を向上させ、一部の視野角で液晶表示装置の画面が真っ白になるなどの問題を避ける必要がある。
【0004】
そこで、従来技術に存在する上記のような問題を解決するために、液晶表示パネルの製造方法を提供することが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、製造コストが低く且つ表示効果が良い液晶表示パネルの製造方法を提供して、従来の液晶表示装置の製造コストが高く又は一部の視野角で画面が真っ白になりやすいという技術問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の実施形態に係る、画素セルに複数の表示ドメインが含まれている液晶表示パネルの製造方法は、
内表面に画素電極層が含まれるアレイ基板を製造するステップと、
内表面に共通電極層が含まれる着色フィルム基板を製造するステップと、
第一の不規則性ポリマーが含まれる画素配向膜を前記画素電極層に塗布するステップと、
前記第一の不規則性ポリマーが第一の規則性ポリマーに転換されるよう、前記液晶表示パネルのメイン表示視野角によって特定された、異なる前記表示ドメインの前記画素配向膜に対する第一の光配向処理の露光量で第一の光配向処理を前記画素配向膜に対して行うステップと、
第二の不規則性ポリマーが含まれる共通配向膜を前記共通電極層に塗布するステップと、
前記第二の不規則性ポリマーが第二の規則性ポリマーに転換されるよう、前記共通配向膜に対し第二の光配向処理を行うステップと、
前記アレイ基板と前記着色フィルム基板とに対しアライメント処理を行って、液晶セルを形成するステップと、を含んでいる。
【0007】
本実施形態による液晶表示パネルの製造方法において、前記液晶表示パネルのメイン表示視野角に対応する前記表示ドメインの前記画素配向膜に対して行う前記第一の光配向処理の露光量が、それ以外の前記表示ドメインの前記画素配向膜に対して行う前記第一の光配向処理の露光量より多くなっている。
【0008】
本実施形態による液晶表示パネルの製造方法において、前記第一の光配向処理の配向方向は、前記第二の光配向処理の配向方向に垂直している。
【0009】
本実施形態による液晶表示パネルの製造方法において、前記アレイ基板を製造するステップには、下層基板に走査線、薄膜電界効果トランジスタ、データ線及び画素電極を配置して、前記アレイ基板を形成することを含んでいる。
【0010】
本実施形態による液晶表示パネルの製造方法において、前記着色フィルム基板を製造するステップには、下層基板に黒色マトリックス、着色フィルムカラーレジスト及び共通電極を配置して、前記着色フィルム基板を形成することを含んでいる。
【0011】
本実施形態による液晶表示パネルの製造方法において、前記第一の光配向処理では、所定方向の偏光を利用して、前記第一の不規則性ポリマーに対し所定角度で露光処理を行って、前記第一の規則性ポリマーを形成し、
前記第二の光配向処理では、所定方向の偏光を利用して、前記第二の不規則性ポリマーに対し所定角度で露光処理を行って、前記第二の規則性ポリマーを形成する。
【0012】
また、上記目的を達成するために、本発明の他の実施形態に係る、画素セルに複数の表示ドメインが含まれている液晶表示パネルの製造方法は、
内表面に画素電極層が含まれるアレイ基板を製造するステップと、
内表面に共通電極層が含まれる着色フィルム基板を製造するステップと、
第一の不規則性ポリマーが含まれる画素配向膜を前記画素電極層に塗布するステップと、
前記第一の不規則性ポリマーが第一の規則性ポリマーに転換されるよう、前記画素配向膜に対し第一の光配向処理を行うステップと、
第二の不規則性ポリマーが含まれる共通配向膜を前記共通電極層に塗布するステップと、
前記第二の不規則性ポリマーが第二の規則性ポリマーに転換されるよう、前記液晶表示パネルのメイン表示視野角によって特定された、異なる前記表示ドメインの前記共通配向膜に対する第二の光配向処理の露光量で第二の光配向処理を前記共通配向膜に対して行うステップと、
前記アレイ基板と前記着色フィルム基板に対しアライメント処理を行って、液晶セルを形成するステップと、を含んでいる。
【0013】
本実施形態による液晶表示パネルの製造方法において、前記液晶表示パネルのメイン表示視野角に対応する前記表示ドメインの前記共通配向膜に対して行う前記第二の光配向処理の露光量が、それ以外の前記表示ドメインの前記共通配向膜に対して行う前記第二の光配向処理の露光量より多くなっている。
【0014】
本実施形態による液晶表示パネルの製造方法において、前記第一の光配向処理の配向方向は、前記第二の光配向処理の配向方向に垂直している。
【0015】
本実施形態による液晶表示パネルの製造方法において、前記アレイ基板を製造するステップには、下層基板に走査線、薄膜電界効果トランジスタ、データ線及び画素電極を配置して、前記アレイ基板を形成することを含んでいる。
【0016】
本実施形態による液晶表示パネルの製造方法において、前記着色フィルム基板を製造するステップには、下層基板に黒色マトリックス、着色フィルムカラーレジスト及び共通電極を配置して、前記着色フィルム基板を形成することを含んでいる。
【0017】
本実施形態による液晶表示パネルの製造方法において、前記第一の光配向処理では、所定方向の偏光を利用して、前記第一の不規則性ポリマーに対し所定角度で露光処理を行って、前記第一の規則性ポリマーを形成し、
前記第二の光配向処理では、所定方向の偏光を利用して、前記第二の不規則性ポリマーに対し所定角度で露光処理を行って、前記第二の規則性ポリマーを形成する。
【0018】
また、上記目的を達成するために、本発明のまた他の実施形態に係る、画素セルに複数の表示ドメインが含まれている液晶表示パネルの製造方法は、
内表面に画素電極層が含まれるアレイ基板を製造するステップと、
内表面に共通電極層が含まれる着色フィルム基板を製造するステップと、
第一の不規則性ポリマーが含まれる画素配向膜を前記画素電極層に塗布するステップと、
前記第一の不規則性ポリマーが第一の規則性ポリマーに転換されるよう、前記液晶表示パネルのメイン表示視野角によって特定された、異なる前記表示ドメインの前記画素配向膜に対する前記第一の光配向処理の露光量で第一の光配向処理を前記画素配向膜に対して行うステップと、
第二の不規則性ポリマーが含まれる共通配向膜を前記共通電極層に塗布するステップと、
前記第二の不規則性ポリマーが第二の規則性ポリマーに転換されるよう、前記液晶表示パネルのメイン表示視野角によって特定された、異なる前記表示ドメインの前記共通配向膜に対する前記第二の光配向処理の露光量で第二の光配向処理を前記共通配向膜に対して行うステップと、
前記アレイ基板と前記着色フィルム基板に対しアライメント処理を行って、液晶セルを形成するステップと、を含んでいる。
【0019】
本実施形態による液晶表示パネルの製造方法において、前記液晶表示パネルのメイン表示視野角に対応する前記表示ドメインの前記画素配向膜に対して行う前記第一の光配向処理の露光量が、それ以外の前記表示ドメインの前記画素配向膜に対して行う前記第一の光配向処理の露光量より多くなっている。
【0020】
本実施形態による液晶表示パネルの製造方法において、前記液晶表示パネルのメイン表示視野角に対応する前記表示ドメインの前記共通配向膜に対して行う前記第二の光配向処理の露光量が、それ以外の前記表示ドメインの前記共通配向膜に対して行う前記第二の光配向処理の露光量より多くなっている。
【0021】
本実施形態による液晶表示パネルの製造方法において、前記第一の光配向処理の配向方向は、前記第二の光配向処理の配向方向に垂直している。
【0022】
本実施形態による液晶表示パネルの製造方法において、前記アレイ基板を製造するステップは、下層基板に走査線、薄膜電界効果トランジスタ、データ線及び画素電極を配置して、前記アレイ基板を形成することを含んでいる。
【0023】
本実施形態による液晶表示パネルの製造方法において、前記着色フィルム基板を製造するステップには、下層基板に黒色マトリックス、着色フィルムカラーレジスト及び共通電極を配置して、前記着色フィルム基板を形成することを含んでいる。
【0024】
本実施形態による液晶表示パネルの製造方法において、前記第一の光配向処理では、所定方向の偏光を利用して、前記第一の不規則性ポリマーに対し所定角度で露光処理を行って、前記第一の規則性ポリマーを形成し、
前記第二の光配向処理では、所定方向の偏光を利用して、前記第二の不規則性ポリマーに対し所定角度で露光処理を行って、前記第二の規則性ポリマーを形成する。
【発明の効果】
【0025】
従来技術の液晶表示パネルの製造方法に比べ、本発明による液晶表示パネルの製造方法は、液晶表示パネルのメイン表示視野角によって、異なる表示ドメインの画素配向膜に対して行う第一の光配向処理の露光量を特定するため、液晶表示パネルの製造コストを軽減することができる上で、液晶表示パネルの表示効果を確保することができて、従来の液晶表示装置の製造コストが高く、一部の視野角で画面が真っ白になりやすいという技術問題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本願の上記内容をより理解やすいにするように、図面とともに好ましい実施形態を挙げて、以下の通りに詳しくて説明する。
図1図1は、本発明による液晶表示パネルの製造方法の第一の実施形態を示すフローチャートである。
図2図2は、本発明による液晶表示パネルの製造方法の第一の実施形態における画素セルの表示ドメインを示す模式図である。
図3図3は、従来の液晶表示パネルの異なる視野角のガンマ曲線図である。
図4図4は、本発明による液晶表示パネルの製造方法の第一の実施形態によって製造された液晶表示パネルの異なる視野角のガンマ曲線図である。
図5図5は、本発明による液晶表示パネルの製造方法の第二の実施形態を示すフローチャートである。
図6図6は、本発明による液晶表示パネルの製造方法の第三の実施形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照し、好ましい実施形態に基づいて、本発明を分かりやすく詳細に説明する。また、下記各実施形態は、本発明を説明するための例示の実施形態である。本発明の実施形態の説明で使われている方向を示す用語、例えば、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「内」、「外」、「側面」などは、図面を参照するときの方向を表している。このため、本明細書における方向を示す用語は、本発明を説明及び理解するためのものであり、本発明を限定するものではない。
【0028】
図面において、構造が似ている構成に対しては、同じ符号を付ける。
【0029】
図1は、本発明の液晶表示パネルの製造方法の第一の実施形態を示すフローチャートである。この好ましい実施形態による液晶表示パネルの製造方法は、液晶表示パネルを製造する際に応用され、該当する液晶表示パネルの画素セルには、複数の表示ドメインが含まれている。本実施形態による液晶表示パネルの製造方法は、以下のステップを含んでいる。即ち、
ステップS101:内表面に画素電極層が含まれるアレイ基板を製造すること;
ステップS102:内表面に共通電極層が含まれる着色フィルム基板を製造すること;
ステップS103:第一の不規則性ポリマーが含まれている画素配向膜を画素電極層に塗布すること;
ステップS104:第一の不規則性ポリマーが第一の規則性ポリマーに転換されるよう、液晶表示パネルのメイン表示視野角によって特定された、異なる表示ドメインの画素配向膜に対する第一の光配向処理の露光量で第一の光配向処理を前記画素配向膜に対して行うこと;
ステップS105:第二の不規則性ポリマーが含まれる共通配向膜を共通電極層に塗布すること;
ステップS106:第二の不規則性ポリマーが第二の規則性ポリマーに転換されるよう、共通配向膜に対し第二の光配向処理を行うこと;
ステップS107:アレイ基板と着色フィルム基板に対しアライメント処理を行って、液晶セルを形成すること。
【0030】
本実施形態における液晶表示パネルの製造方法は、ステップS107で終了となる。
【0031】
以下、本実施形態の液晶表示パネルの製造方法における各ステップの具体的な流れを詳細に説明する。
【0032】
ステップS101においては、下層基板に走査線、薄膜電界効果トランジスタ、データ線及び画素電極を配置して、アレイ基板を形成する。ここで、当該アレイ基板の内表面には、画素電極を含む画素電極層が形成されている。次に、ステップS102に進む。
【0033】
ステップS102においては、下層基板に黒色マトリックス、着色フィルムカラーレジスト及び共通電極を配置して、着色フィルム基板を形成する。ここで、着色フィルム基板の内表面には、共通電極を含む共通電極層が形成されている。次に、ステップS103に進む。
【0034】
ステップS103においては、アレイ基板の画素電極層に画素配向膜を塗布し、当該画素配向膜には第一の不規則性ポリマーが含まれる。ここで、当該第一の不規則性ポリマーにおけるポリマーは、不規則な配列状態となっている。次に、ステップS104に進む。
【0035】
ステップS104においては、画素配向膜に対し第一の光配向処理を行って、第一の不規則性ポリマーにおけるポリマーが規則な配列状態になるようにし、即ち、第一の不規則性ポリマーが第一の規則性ポリマーに転換される。第一の光配向処理では、所定方向の偏光を利用して、第一の不規則性ポリマーに対し所定角度で露光処理を行うことで、第一の規則性ポリマーを形成し、液晶分子には、第一の規則性ポリマーの作用により一定のプレチルト角が付与されるため、画素配向膜の配向作用を実現することができる。ここで、第一の光配向処理を行うときの露光量が多ければ多いほど、画素配向膜に対応する配向角度が小さくなる。
【0036】
このため、当該ステップにおいて、ユーザーが確定した液晶表示パネルのメイン表示視野角によって、異なる表示ドメインの前記画素配向膜に対して行う第一の光配向処理の露光量を特定し、これにより、メイン表示視野角の表示効果をよりよくさせる。ここで、液晶表示パネルのメイン表示視野角に対応する表示ドメインの画素配向膜に対して第一の光配向処理を行うときの露光量が、それ以外の表示ドメインの画素配向膜に対して第一の光配向処理を行うときの露光量より多いことが好ましい。次に、ステップS105に進む。
【0037】
ステップS105においては、着色フィルム基板の共通電極層に共通配向膜を塗布し、当該共通配向膜には第二の不規則性ポリマーが含まれる。ここで、当該第二の不規則性ポリマーにおけるポリマーは、不規則な配列状態となっている。次に、ステップS106に進む。
【0038】
ステップS106においては、共通配向膜に対し第二の光配向処理を行って、第二の不規則性ポリマーにおけるポリマーが規則な配列状態になるようにし、即ち、第二の不規則性ポリマーが第二の規則性ポリマーに転換される。ここで、第一の光配向処理の配向方向が第二の光配向処理の配向方向に垂直であることが好ましい。次に、ステップS107に進む。
【0039】
ステップS107においては、ステップS104で第一の光配向処理済みのアレイ基板と、ステップS106で第二の光配向処理済みの着色フィルム基板に対しアライメント処理を行って、液晶セルを形成する。
【0040】
以上のようにして、本実施形態の液晶表示パネルの製造工程が完成する。
【0041】
以下、本発明の具体的な実施形態に基づいて、液晶表示パネルの製造工程を詳しく説明する。図2は、本発明による液晶表示パネルの製造方法の第一の好ましい実施形態における画素セルの表示ドメインを示す模式図である。図2における左側は、画素セルのアレイ基板側における画素配向膜の第一の光配向方向を示し、上側の画素配向膜の第一の光配向方向が左に傾き、下側の画素配向膜の第一の光配向方向が右に傾く。図2における中央は、画素セルの着色フィルム基板側における共通配向膜の第二の光配向方向を示し、左側の共通配向膜の第二の光配向方向が下に傾き、右側の共通配向膜の第二の光配向方向が上に傾く。このようなアライメント処理後の画素セルは、左上、左下、右上、右下の4つの表示ドメインを有し、複数の表示ドメインを設置することにより、液晶表示パネルの表示可能な視野角を増大することができる。ここで、液晶表示パネルの下視野角の表示効果を向上させるために、アレイ基板の下側における画素配向膜の第一の光配向処理の露光量を多くしている。
【0042】
図3は、従来の液晶表示パネルの異なる視野角のガンマ曲線図である。その中、線301は水平に見た場合のガンマ曲線であって、人間の目の画面を見るときの要求を完全に満たしている。線302は、60度の上視野角、60度の下視野角、60度の左視野角及び60度の右視野角を有する条件で見た場合のガンマ曲線である。画素セルが複数の表示ドメインに分けられているが、ガンマ曲線302と標準のガンマ曲線301とには、やはりある程度の差異がある。
【0043】
図4は、本発明による液晶表示パネルの製造方法の第一の実施形態によって製造された液晶表示パネルの異なる視野角のガンマ曲線図である。その中、線401は水平に見た場合のガンマ曲線であって、人間の目の画面を見るときの要求を完全に満たしている。線402は、60度の上視野角を有する条件で見た場合のガンマ曲線であり、線403は、60度の左視野角及び右視野角を有する条件で見た場合のガンマ曲線であり、線404は、60度の下視野角を有する条件で見た場合のガンマ曲線である。
【0044】
ここで、ガンマ曲線403は、従来のガンマ曲線302と同じ、ガンマ曲線402は、ガンマ曲線402に比べ、ガンマ曲線401からもっと離れており、ガンマ曲線404は、ガンマ曲線402に比べ、ガンマ曲線401にもっと近づいている。このため、本実施形態では、アレイ基板の下側における画素配向膜の第一の光配向処理の露光量を増えることにより、上視野角の表示効果は損失したものの、下視野角(メイン表示視野角)の表示効果は向上させた。これによって、液晶表示パネルの製造コストが増えない上で、液晶表示パネルの表示効果を確保することができる。
【0045】
もちろん、ここでは、設定されたメイン表示視野角の異なりによって、第一の光配向処理の露光量を増大する位置を変更することもできる。例えば、ユーザーが上視野角の表示効果を高めようとしたら、上視野角をメイン表示視野角として設定することで、アレイ基板の上側における画素配向膜の第一の光配向処理の露光量を増大させることができる。
【0046】
本実施形態による液晶表示パネルの製造方法は、液晶表示パネルのメイン表示視野角によって、異なる表示ドメインの画素配向膜に対して行う第一の光配向処理の露光量を特定し、これにより、液晶表示パネルの製造コストを軽減する上で、液晶表示パネルの表示効果を確保することができる。
【0047】
図5は、本発明による液晶表示パネルの製造方法の第二の実施形態を示すフローチャートである。本実施形態による液晶表示パネルの製造方法は、液晶表示パネルを製造するために応用でき、該当する液晶表示パネルの画素セルには複数の表示ドメインが含まれている。本実施形態による液晶表示パネルの製造方法は、以下のステップを含んでいる。即ち、
ステップS501:内表面に画素電極層が含まれるアレイ基板を製造すること;
ステップS502:内表面に共通電極層が含まれる着色フィルム基板を製造すること;
ステップS503:第一の不規則性ポリマーが含まれる画素配向膜を画素電極層に塗布すること;
ステップS504:第一の不規則性ポリマーが第一の規則性ポリマーに転換されるよう、画素配向膜に対し第一の光配向処理を行うこと;
ステップS505:第二の不規則性ポリマーが含まれる共通配向膜を共通電極層に塗布すること;
ステップS506:第二の不規則性ポリマーが第二の規則性ポリマーに転換されるよう、液晶表示パネルのメイン表示視野角によって特定された、異なる表示ドメインの共通配向膜に対する第二の光配向処理の露光量で第二の光配向処理を共通配向膜に対して行うこと、なお、第一の光配向処理の配向方向が第二の光配向処理の配向方向に垂直であることが好ましい;
ステップS507:アレイ基板と着色フィルム基板に対しアライメント処理を行って、液晶セルを形成すること。
【0048】
本実施形態の液晶表示パネルの製造方法は、ステップS507で終了となる。
【0049】
上記した第一の実施形態の製造工程に比べ、本実施形態による液晶表示パネルの製造方法は、ステップS504を行う際、異なる表示ドメインの画素配向膜に対して第一の光配向処理を行うとき、同じ露光量を採用したことに相違がある。また、ステップS506を行う際、ユーザーにより確定された液晶表示パネルのメイン表示視野角によって、異なる表示ドメインの共通配向膜に対して行う第二の光配向処理の露光量を特定して、メイン表示視野角の表示効果をよりよくする。ここで、例えば、液晶表示パネルのメイン表示視野角に対応する表示ドメインの共通配向膜に対して第二の光配向処理を行うときの露光量が、それ以外の表示ドメインの共通配向膜に対して第二の光配向処理を行うときの露光量より多いことが好ましい。
【0050】
本実施形態による液晶表示パネルの製造方法は、液晶表示パネルのメイン表示視野角によって、異なる表示ドメインの共通配向膜に対して行う第二の光配向処理の露光量を特定するため、液晶表示パネルの製造コストを軽減することができる上で、液晶表示パネルの表示効果を確保することができる。
【0051】
図6は、本発明による液晶表示パネルの製造方法の第三の実施形態を示すフローチャートである。本実施形態による液晶表示パネルの製造方法は、液晶表示パネルを製造するために応用でき、該当する液晶表示パネルの画素セルには複数の表示ドメインが含まれている。本実施形態による液晶表示パネルの製造方法は、以下のステップを含んでいる。即ち、
ステップS601:内表面に画素電極層が含まれるアレイ基板を製造すること;
ステップS602:内表面に共通電極層が含まれる着色フィルム基板を製造すること;
ステップS603:第一の不規則性ポリマーが含まれる画素配向膜を画素電極層に塗布すること;
ステップS604:第一の不規則性ポリマーが第一の規則性ポリマーに転換されるよう、液晶表示パネルのメイン表示視野角によって特定された、異なる表示ドメインの画素配向膜に対する第一の光配向処理の露光量で第一の光配向処理を画素配向膜に対して行うこと;
ステップS605:第二の不規則性ポリマーが含まれる共通配向膜を共通電極層に塗布すること;
ステップS606:第二の不規則性ポリマーが第二の規則性ポリマーに転換されるよう、液晶表示パネルのメイン表示視野角によって特定された、異なる表示ドメインの共通配向膜に対する第二の光配向処理の露光量で第二の光配向処理を共通配向膜に対して行うこと、なお、第一の光配向処理の配向方向が第二の光配向処理の配向方向に垂直であることが好ましい;
ステップS607:アレイ基板と着色フィルム基板に対しアライメント処理を行って、液晶セルを形成すること。
【0052】
本実施形態の液晶表示パネルの製造方法は、ステップS607で終了となる。
【0053】
上記した第一の実施形態の製造工程に比べ、本実施形態による液晶表示パネルの製造方法は、ステップS606を行う際、同時にユーザーにより特定された液晶表示パネルのメイン表示視野角によって、異なる表示ドメインの共通配向膜に対して行う第二の光配向処理の露光量を特定して、メイン表示視野角の表示効果をよりよくすることに相違がある。ここで、例えば、液晶表示パネルのメイン表示視野角に対応する表示ドメインの共通配向膜に対して第二の光配向処理を行うときの露光量が、それ以外の表示ドメインの共通配向膜に対して第二の光配向処理を行うときの露光量より多いことが好ましい。
【0054】
本実施形態による液晶表示パネルの製造方法は、液晶表示パネルのメイン表示視野角によって、異なる表示ドメインの画素配向膜に対して行う第一の光配向処理の露光量を特定するとともに、異なる表示ドメインの共通配向膜に対して行う第二の光配向処理の露光量を特定する。したがって、両側における配向膜によりメイン表示視野角の表示効果を調整するため、調整を更に安定させ、より一層液晶表示パネルの表示効果を確保することができる。
【0055】
このように、本発明による液晶表示パネルの製造方法は、液晶表示パネルのメイン表示視野角によって、異なる表示ドメインの画素配向膜に対して行う第一の光配向処理の露光量を特定するため、液晶表示パネルの製造コストを軽減することができる上で、液晶表示パネルの表示効果を確保することができる。これにより、従来の液晶表示装置の製造コストが高く、又は一部の視野角で画面が真っ白になりやすいという技術問題を解決することができる。
【0056】
上記のように、好ましい実施形態により本発明を詳細に説明したが、本発明の保護範囲は、上記の実施形態に限定されず、本発明の趣旨に基づいて変更または改良することができ、いずれも本発明の保護範囲に含まれ、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲に基づき決められる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6