特許第6486527号(P6486527)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヤフー株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6486527-判定装置、判定方法、及びプログラム 図000002
  • 特許6486527-判定装置、判定方法、及びプログラム 図000003
  • 特許6486527-判定装置、判定方法、及びプログラム 図000004
  • 特許6486527-判定装置、判定方法、及びプログラム 図000005
  • 特許6486527-判定装置、判定方法、及びプログラム 図000006
  • 特許6486527-判定装置、判定方法、及びプログラム 図000007
  • 特許6486527-判定装置、判定方法、及びプログラム 図000008
  • 特許6486527-判定装置、判定方法、及びプログラム 図000009
  • 特許6486527-判定装置、判定方法、及びプログラム 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6486527
(24)【登録日】2019年3月1日
(45)【発行日】2019年3月20日
(54)【発明の名称】判定装置、判定方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/40 20120101AFI20190311BHJP
   G06Q 20/12 20120101ALI20190311BHJP
【FI】
   G06Q20/40
   G06Q20/12
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-50393(P2018-50393)
(22)【出願日】2018年3月19日
【審査請求日】2018年3月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】500257300
【氏名又は名称】ヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100174986
【弁理士】
【氏名又は名称】林 康旨
(72)【発明者】
【氏名】川端 聡基
【審査官】 田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−74017(JP,A)
【文献】 特開2002−304564(JP,A)
【文献】 特開2017−83921(JP,A)
【文献】 特開2012−27739(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポイントを支払いに使用可能な商取引サービスにおける、ユーザの取引の決済に基づく決済要求情報を取得する決済要求情報取得部と、
前記決済要求情報取得部によって取得された前記決済要求情報に係る販売者の情報が、前記ポイントの使用状況に関する所定条件を満たすか否かを判定し、前記所定条件を満たす場合に、前記決済要求情報に係る取引が不正取引であると判定する判定部と、
を備える判定装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記販売者の過去の取引の結果を示す履歴情報に基づいて、前記決済要求情報に係る取引が不正取引であるか否かを判定する、
請求項1に記載の判定装置。
【請求項3】
前記所定条件とは、所定閾値以上のポイントの決済、又は決済金額に占めるポイントの使用相当額が所定割合以上の決済の少なくとも一方が、所定期間内に所定回数以上行なわれていることを含む、
請求項2に記載の判定装置。
【請求項4】
前記所定条件とは、所定閾値以上のポイントの決済、又は決済金額に占めるポイントの使用相当額が所定割合以上の決済の少なくとも一方が、所定期間内に所定数以上のユーザに行なわれていることを含む、
請求項2又は請求項3に記載の判定装置。
【請求項5】
前記所定条件とは、所定閾値未満のポイントの決済、又は決済金額に占めるポイントの使用相当額が所定割合未満の決済の少なくとも一方が、所定期間内に所定回数以上行なわれていないことを含む、
請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の判定装置。
【請求項6】
前記判定部は、前記決済要求情報に含まれる決済金額が所定金額よりも高く、且つ前記決済要求情報に含まれる決済金額に対するポイントの使用割合が所定割合よりも高い取引を判定対象の取引として判定する、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の判定装置。
【請求項7】
前記判定部は、前記決済要求情報に含まれるポイントの使用相当額が所定額よりも高い取引を、判定対象の取引として判定する、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の判定装置。
【請求項8】
コンピュータが、
ポイントを支払いに使用可能な商取引サービスにおける、ユーザの取引の決済に基づく決済要求情報を取得し、
取得された前記決済要求情報に係る販売者が、前記ポイントの使用に関する所定条件を満たす販売者であるか否かを判定し、前記販売者が前記所定条件を満たす場合には、前記決済要求情報に係る取引が不正取引であると判定する、
判定方法。
【請求項9】
コンピュータに、
ポイントを支払いに使用可能な商取引サービスにおける、ユーザの取引の決済に基づく決済要求情報を取得させ、
取得された前記決済要求情報に係る販売者が、前記ポイントの使用に関する所定条件を満たす販売者であるか否かを判定し、前記販売者が前記所定条件を満たす場合には、前記決済要求情報に係る取引が不正取引であると判定させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、判定装置、判定方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ネットワークを介して商品やサービスを売買させる商取引システムが普及している。また、上記の商取引システムを含めたネットワークサービスにおいては、利用者にポイントを付与するサービスが提供されている。利用者は、例えば、付与されたポイントを、商取引システムにおける商品やサービスの購入代金として利用したり、換金したりすることができる。利用者が商取引システムを用いて商品やサービスの購入代金としてポイントを使用した場合、この商品やサービスの販売者には、ポイントに相当する金額が振り込まれる。
【0003】
これに関連し、不正ユーザが、商取引システムから利用特典として付与されるポイントを不当に得るために行う不正取引を判定するための技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−74017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の不正行為に限らず、不正ユーザが、他のユーザのアカウント情報を利用して、当該他のユーザの保有するポイントを勝手に使用することで利益を得るという不正行為が行われる場合があった。上記特許文献1に記載の発明では、このような不正行為に対応することができない。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、ポイントの使用状況に基づいて不正行為が行われたか否かを判定することができる判定装置、判定方法、及びプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、ポイントを支払いに使用可能な商取引サービスにおける、ユーザの取引の決済に基づく決済要求情報を取得する決済要求情報取得部と、前記決済要求情報取得部によって取得された前記決済要求情報に係る前記販売者の情報が、前記ポイントの使用状況に関する所定条件を満たすか否かを判定し、前記所定条件を満たす場合に、前記決済要求情報に係る取引が不正取引であると判定する判定部と、を備える判定装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、ポイントの使用状況に基づいて不正行為が行われたか否かを判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】不正取引の一例を模式的に示す図である。
図2】実施形態に係る情報処理システムの一例を示す図である。
図3】商品データの内容の一例を示す図である。
図4】ユーザデータの内容の一例を示す図である。
図5】カート情報の内容の一例を示す図である。
図6】決済情報の内容の一例を示す図である。
図7】ストアデータの内容の一例を示す図である。
図8】履歴情報の内容の一例を示す情報である。
図9】判定部により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照し、本発明の判定装置の実施形態について説明する。判定装置は、一以上のプロセッサにより実現される。判定装置は、商取引システムにおいて不正行為が行われたか否かを判定(推定)する装置である。商取引システムにおいて、ユーザは、端末装置を操作して、商取引システムを実現するウェブサイトやアプリサーバが提供するコンテンツにアクセスし、商品やサービスを売買する。商取引システムを利用したユーザは、利用特典として、ポイントが付与される。ポイントとは、例えば、商取引システムを提供している事業者が提供しているサービス内において、制限的な用途で通貨と同等に使用することができる電子的情報である。ポイントは、商取引システムにおいて商品を売買した際や、商取引システムに関連する事業者が提供しているサービス内のキャンペーン時などにおいて、ユーザに付与される。
【0011】
ユーザは、例えば、付与されたポイントを、商取引システムにおける商品やサービスの購入代金として利用することができる。商取引システムを用いて商品やサービスの購入代金としてポイントが使用された場合、商取引システムの事業者がポイントを現金に変換し、出品者であるユーザには、ポイントに相当する金額が現金で振り込まれる。出品者は、「決済要求情報に係る販売者」の一例である。
【0012】
[商取引システムにおける不正行為について]
商取引システムにおける不正行為について説明する。商取引システムでは、ポイントの不正取得による不正行為が行われる場合がある。図1は、不正取引の一例を模式的に示す図である。図1に示される例において、Aさんは、商取引システムを利用したことがあるユーザであり、商取引システムを使用するためのアカウントを有するユーザである。Aさんのアカウントには、商取引システムにおいてユーザを識別するID(図示する「ユーザID」)と、パスワードと、商取引システムにおいてAさんが利用可能なポイント数(図示する「残ポイント」)とが対応付けられている。Aさんは、商取引システムを利用する際に、ユーザIDとパスワードとを端末装置100に入力し、例えば認証サーバ(不図示)によって認証されることにより、商取引システムを利用することができる。
【0013】
不正ユーザは、例えば、Aさんの端末装置100を不正に使用し、或いはAさんのアカウント(ユーザIDおよびパスワード)を不正に取得することで、Aさんになりすまして商取引システムにログインする(図示する「手順1」)。他方で、不正ユーザは、商取引システムにおいて、架空の商品(架空でなくてもよい)に価格をつけて販売(出品)する(図示する「手順2」)。次に、不正ユーザは、手順2において出品した架空の商品を、Aさんのアカウントを用いて購入する(図示する「手順3」)。次に、不正ユーザは、手順3において購入した商品の購入代金の決済方法として、Aさんのポイントによって支払うポイント決済を選択する(図示する「手順4」)。上述した手順1〜4に示す不正行為を実施することにより、不正ユーザは、他のユーザのポイントの使用に応じて商取引システムから振り込まれる販売代金を取得することができる。
【0014】
判定装置は、上記のような不正行為が行われたか否かを判定する。判定装置は、商取引システムを提供する装置、商取引システムと連携している装置、その他の装置に内蔵される形で実現されてもよいし、単体で専ら判定処理を行う装置であってもよい。以下の説明では、判定装置が、商取引システムにおいて行われる取引の決済を処理する決済サーバの一機能として実現されるものとする。
【0015】
[情報処理システム1について]
図2は、実施形態に係る情報処理システム1の一例を示す図である。情報処理システム1は、例えば、一以上の端末装置100と、一以上のショッピングサーバ200と、ストア管理サーバ300と、決済サーバ400とを備える。これらの装置は、ネットワークNWを介して接続される。
【0016】
図2に示す各装置は、ネットワークNWを介して種々の情報を送受信する。ネットワークNWは、例えば、インターネット、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、プロバイダ端末、無線通信網、無線基地局、専用回線などを含む。なお、図2に示す各装置の全ての組み合わせが相互に通信可能である必要はなく、ネットワークNWは、一部にローカルなネットワークを含んでもよい。
【0017】
端末装置100は、例えば、スマートフォンなどの携帯電話、タブレット端末、各種パーソナルコンピュータなどの、入力装置、表示装置、通信装置、記憶装置、および演算装置を備える端末装置である。通信装置は、NIC(Network Interface Card)などのネットワークカード、無線通信モジュールなどを含む。端末装置100には、商品の出品者により使用される端末装置と、商品の購入者により使用される端末装置とがあるが、図2ではこれらを区別せず表記している。端末装置100では、ブラウザやアプリケーションプログラムなどのUA(User Agent)110が起動する。UA110は、ショッピングサーバ200から提供された販売画面を表示すると共に、端末装置100の利用者によってなされた入力操作に応じたリクエストをショッピングサーバ200に送信する。ショッピングサーバ200は、UA110からのリクエストに応じて商品の販売を管理する。以下の説明では、UA110はブラウザであり、ショッピングサーバ200はウェブサーバであるものとする。端末装置100では、ウェブブラウザやアプリケーションプログラムなどのUA110が起動し、ユーザの入力する内容に応じたリクエストをショッピングサーバ200に送信する。また、UA110が起動された端末装置100は、ショッピングサーバ200から取得した情報に基づいて、表示装置に各種画像を表示させる。
【0018】
ショッピングサーバ200は、例えば、サイト提供部202と、出品受付部204と、購入受付部206と、売買管理部208とを備える。また、決済サーバ400は、決済要求情報取得部402と、判定部404と、決済処理部406とを備える。これらの構成要素は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置に格納されていてもよいし、DVDやCD−ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。
【0019】
また、ショッピングサーバ200は、記憶装置に、商品データ220、ユーザデータ230、及びカート情報240等のデータを格納し、ストア管理サーバ300は、記憶装置に、ストアデータ310等のデータを格納し、決済サーバ400は、記憶装置に、履歴情報410等のデータを格納する。記憶装置は、HDDやフラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)等によって実現される。記憶装置は、各サーバに付随するものであってもよいし、ネットワークNWを介してアクセス可能なNAS(Network Attached Storage)などの外部記憶装置であってもよい。
【0020】
[ショッピングサーバ200の機能]
サイト提供部202は、ショッピングサイトとしての各種画面を端末装置100に提供する。サイト提供部202は、例えば、商品を検索するためのクエリを入力するためのクエリ入力欄、及び検索を実行させるための検索ボタン等が設けられた画面を、購入者が使用する端末装置100に提供し、購入者は、提供されたインターフェースとなる画面に基づいてショッピングサイトに出品された商品を購入する。また、サイト提供部202は、例えば、商品を出品するために必要な各種情報を入力するための入力欄、及び出品を実行させるための出品ボタン等が設けられた画面を出品者が使用する端末装置100に提供し、出品者は、提供されたインターフェースとなる画面に基づいてショッピングサイトに商品を出品する。
【0021】
出品受付部204は、サイト提供部202によって出品者の端末装置100に提供されたインターフェースに対して出品者が入力した、商品の出品のための情報を取得し、商品データ220に登録する。ショッピングサーバ200によって実現されるショッピングサイトでは、例えば、出品者によって出品された商品が販売される。
【0022】
図3は、商品データ220の内容の一例を示す図である。商品データ220は、商品の識別情報である商品IDに対して、商品カテゴリ、商品画像、タイトル、詳細説明、価格、発送条件、出品者ユーザID、その他のデータが互いに対応付けられたものである。これらのうち、商品IDは、出品受付部204により付された情報であり、その他の情報は、出品者により入力されたものである。なお、出品者ユーザIDは、ショッピングサーバ200によって付される構成であってもよい。この場合、ショッピングサーバ200は、出品者がショッピングサイトを利用する際に認証した認証サーバから出品者ユーザIDを取得する。
【0023】
図4は、ユーザデータ230の内容の一例を示す図である。ユーザデータ230は、ユーザの特徴を示す情報(図示する「年齢」、「性別」、及び「職業」)と、ユーザの残ポイントとが、ユーザID毎に互いに対応付けられる。
【0024】
図2に戻り、購入受付部206は、サイト提供部202によって購入者の端末装置100に提供されたインターフェースに対して購入者が入力した、商品の購入のための情報を取得し、カート情報240に登録する。
【0025】
図5は、カート情報240の内容の一例を示す図である。カート情報240は、例えば、商品IDと、当該商品IDによって識別される商品の購入個数とが、購入者のユーザID毎に互いに対応付けられる情報である。カート情報240には、例えば、購入者が購入を検討している商品の情報を一時的に記憶するバッファ(例えば、ショッピングカート)に蓄積されていた商品の情報が含まれる。
【0026】
図2に戻り、売買管理部208は、サイト提供部202によって購入者の端末装置100に提供されたインターフェースに対して購入者によって購入を実行する操作が行われた際に、カート情報240に含まれる商品が購入可能である場合(例えば、商品データ220に在庫があることが示される場合)、この売買(取引)の決済要求260を決済サーバ400に送信する。また、売買管理部208は、購入者がこの取引の決済にポイントを用いる場合であり、この購入者のユーザデータ230の残ポイントが、決済に用いられるポイント数に満たない場合、決済要求260を決済サーバ400に送信しない。また、売買管理部208は、決済要求260を決済サーバ400に送信した後、決済が完了したことの通知を決済サーバ400から受信した場合、当該取引が成立したことを購入者および出品者に通知する。
【0027】
図6は、決済要求260の内容の一例を示す図である。決済要求260は、例えば、取引日時、取引内容、決済方法、決済金額、使用ポイント、出品者ユーザID、ユーザIDが互いに対応付けられた情報である。取引内容には、例えば、「商品購入」、或いは「サービス購入」等の取引の内容が示される。決済方法には、例えば、「代金引換」、「銀行引き落とし」、「クレジット」、或いは「ポイント」等が示される。なお、決済方法は一例であってこれに限られない。使用ポイント数は、決済に用いるポイントの数が示される。以降の説明において、1ポイントが1円相当の価値であることを前提として説明する。
【0028】
ショッピングサイトの決済方法には、上述した方法のいずれかのうち、いずれか1つのみを選択する方法、決済金額のうち、一部を「ポイント」によって決済し、残りを「代金引換」、「銀行引き落とし」、或いは「クレジット」によって決済する方法、その他の方法があってよい。図6に示される一例では、ユーザは、商品購入に係る決済金額の10000円のうち、500円をポイントによって決済し、残りをクレジットによって決済することを選択するため、決済方法には、「クレジット+ポイント」と示される。決済要求260は、「決済要求情報」の一例である。
【0029】
[ストア管理サーバ300の機能]
上述したように、ストア管理サーバ300には、ストアデータ310が記憶される。図7は、ストアデータ310の内容の一例を示す図である。ストアデータ310は、ショッピングサーバ200によって実現されるショッピングサイトにおいて店舗(ストア)を経営するユーザを示す情報である。ストアデータ310には、例えば、ストアを経営するユーザのユーザIDと、ストアを識別するID(以下、ストアID)と、ストア名とが互いに対応付けられた情報である。
【0030】
[決済サーバ400の機能]
上述したように、決済サーバ400には、履歴情報410が記憶される。図8は、履歴情報410の内容の一例を示す情報である。履歴情報410は、例えば、出品者ユーザID毎に、取引日時、取引内容、決済方法、決済金額、購入者ユーザID、取得ポイント、取引内容によって示される取引によって購入者が取得するポイントが、互いに対応付けられた情報である。決済サーバ400は、決済が成立した取引における決済要求260として取得されていた情報を履歴情報410として整理し、記憶装置に蓄積する。なお、履歴情報410は、出品者ユーザIDではなく、購入者ユーザID毎に、上記の情報を整理した情報であってもよい。この場合、履歴情報410は、購入者ユーザIDに対して、出品者ユーザIDを含む情報が対応付けられた情報となる。
【0031】
図2に戻り、決済サーバ400が備える決済要求情報取得部402は、ショッピングサーバ200から決済要求260を取得する。判定部404は、決済要求情報取得部402によって取得された決済要求260に基づいて、ショッピングサーバ200が提供するショッピングサイトにおいて行われた取引が不正取引であるか否かを判定する。
【0032】
決済処理部406は、判定部404によって不正取引ではないと判定された取引の決済処理を行う。決済処理部406は、例えば、購入者に対して、決済金額を収集する処理を行う。また、決済処理部406は、例えば、出品者に対して、購入者から収集した決済金額を支払う処理を行う。また、決済処理部406は、判定部404によって不正取引であると判定された取引について、決済処理を行うことができない旨を、ショッピングサーバ200を介して端末装置100に通知し、決済処理を行わない。なお、決済処理部406は、不正取引であると判定された取引の決済要求260を不正取引情報として記憶装置に蓄積してもよい。ショッピングサーバ200や、決済サーバ400は、蓄積された不正取引情報を参照し、不正取引情報に示される不正ユーザのアカウントを停止してもよく、不正ユーザが出品している商品を出品停止にしてもよい。その他、決済処理部406は、出品者から出品手数料や代行手数料を収集する処理を行ってもよい。
【0033】
[判定処理について]
判定部404は、例えば、ショッピングサイトにおいて行われた取引が所定条件を満たす場合、当該取引が不正取引であると判定する。まず、判定部404は、所定条件(1)〜(3)のいずれも満たす取引を、判定対象の取引として絞り込む。次に、判定部404は、絞り込まれた判定対象の取引のうち、出品者の過去の取引に関する所定条件(4)及び(5)を満たす取引が不正取引であると判定する。所定条件とは、(1)決済金額が所定金額よりも高いこと、(2)購入された商品の出品者がストア経営者ではないこと、(3)高ポイント決済の取引が行われていること、(4)今回の決済と同じ出品者に関する低ポイント決済の取引が所定期間内に行われていないこと、(5)今回の決済と同じ出品者が出品する商品が所定期間内に所定数以上のユーザに高ポイント決済の取引によって購入されていることである。本実施形態では、ある取引が、所定条件(1)〜(5)の全てを満たす場合、当該取引を不正取引であると判定する。
【0034】
[(1):決済金額が所定金額よりも高い]
判定部404は、決済要求260に基づいて、取引の決済金額が所定金額よりも高いか否かを判定する。ここで、不正ユーザは、架空の商品に高い価格を設定し、乗っ取った他者のアカウントによって当該商品を購入することにより、高額な購入代金相当のポイントに応じて振り込まれる販売代金を不正に得ることができる。したがって、不正取引では、高額の商品を購入している可能性が高い。このため、判定部404は、決済要求260に示される決済金額が所定金額よりも高い場合、この取引が不正取引である可能性があると判定する。
【0035】
[(2):購入された商品の出品者がストア経営者ではない]
判定部404は、決済要求260と、ストアデータ310とに基づいて、出品者がストア経営者であるか否かを判定する。ここで、ショッピングサイトにおいてストアを経営するには、ショッピングサイト等の商取引システムを提供している事業者による審査を受ける場合がある。つまり、ストア経営者とは、商取引システムを提供している事業者から信用されたユーザである。したがって、ストア経営者が出品者である商品が購入された場合、この取引は不正取引ではない可能性が高い。このため、判定部404は、決済要求260に示される出品者ユーザIDと、ストア管理サーバ300のストアデータ310とに基づいて、出品者がストア経営者であるか否かを判定し、出品者がストア経営者である場合、当該取引が不正取引ではないと判定する。換言すると、判定部404は、決済要求260に示される出品者ユーザIDがストア経営者のユーザIDではない場合、この取引が不正取引である可能性があると判定する。
【0036】
[(3):高ポイント決済の取引が行われた]
判定部404は、決済要求260に基づいて、取引の決済が高ポイント決済であるか否かを判定する。判定部404は、取引が高ポイント決済の取引である場合、不正取引である可能性があると判定する。高ポイント決済とは、例えば、所定閾値以上のポイントの決済、決済金額に占める使用ポイントに相当する金額の割合(つまり、ポイント割合)が所定割合以上の決済、所定閾値以上で且つポイント割合が所定割合以上の決済のいずれかまたは組み合わせである。上述したように、不正ユーザが、高額な購入代金相当のポイントに応じて振り込まれる販売代金を不正に得ることを目的として、高い割合でポイントを使用して決済する取引を行うことが推測される。また、不正取引を通常の取引に偽装するため、不正ユーザが、決済金額の一部をポイントによって決済し、他をポイント以外の決済方法によって決済することが推測される。
【0037】
[(4):出品者が低ポイント決済の取引を所定期間内に行っていないこと]
判定部404は、決済要求260と、履歴情報410とに基づいて、決済要求260に含まれる出品者ユーザIDによって識別される出品者の出品する商品が、所定期間内に低ポイント決済で購入されているかを判定する。低ポイント決済とは、例えば、高ポイントでない決済のことである。また、低ポイント決済とは、高ポイント決済であるか否かを決定する基準とは異なる基準によって、ポイントの使用割合や使用額が低い決済と定義されてもよい。ここで、不正ユーザは、高ポイント決済の取引のみを行い、無駄な低ポイント決済は行わないことが推測される。したがって、高ポイント決済の取引を行っている場合であっても、所定期間内に低ポイント決済での取引を行っている場合、このユーザは、不正ユーザではないと推測される。判定部404は、決済要求260に含まれる出品者ユーザIDを検索キーにして当該出品者ユーザIDによって識別される出品者の履歴情報410を検索し、当該出品者が所定期間内に低ポイント決済の取引を行っている場合、この取引が不正取引でないと判定し、当該出品者が所定期間内に低ポイント決済の取引を行っていない場合、この取引が不正取引である可能性があると判定する。
【0038】
[(5):出品者が出品する商品が所定期間内に所定数以上のユーザに高ポイント決済の取引によって購入されていること]
判定部404は、決済要求260と、履歴情報410とに基づいて、決済要求260に含まれる出品者ユーザIDによって識別される出品者の出品する商品が、所定期間内に所定数以上のユーザによって高ポイント決済で購入されているか否かを判定する。ここで、不正ユーザは、複数のユーザになりすまして高ポイント決済の取引を行うことが推測される。判定部404は、決済要求260に含まれる出品者ユーザIDを検索キーにして当該出品者ユーザIDによって識別される出品者の履歴情報410を検索し、出品者の出品する商品が、所定期間内に所定数以上のユーザに高ポイント決済の取引によって購入されている場合、この取引が不正取引である可能性があると判定する。なお、これに代えて、単に「高ポイント決済の取引が所定回数以上行われている」場合に、この取引が不正取引である可能性があると判定してもよい。
【0039】
判定部404は、所定条件(1)〜(5)のすべてを満たす場合、当該取引を不正取引であると判定する。また、判定部404は、所定条件(1)〜(5)のいずれか一つでも満たさない場合、当該取引を不正取引ではないと判定する。
【0040】
[処理フロー]
図9は、判定部404により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、判定部404は、決済要求情報取得部402によって取得された決済要求260に基づいて、決済金額が所定金額よりも高いか否かを判定する(S100)。判定部404は、決済金額が所定金額より安い場合、この取引が不正取引ではないと判定する(S102)。次に、判定部404は、決済金額が所定金額より高い場合、この取引の出品者がストア経営者であるか否かを判定する(S104)。判定部404は、この取引の出品者がストア経営者である場合、不正取引ではないため、処理をS102に進める。次に、判定部404は、この取引の出品者がストア経営者ではない場合、この取引が高ポイント決済の取引であるか否かを判定する(S106)。
【0041】
判定部404は、この取引が高ポイント決済の取引ではない場合、不正取引ではないため、処理をS102に進める。次に、判定部404は、決済要求260と、履歴情報410とに基づいて、決済要求260に示される出品者ユーザIDによって識別される出品者が、所定期間内に低ポイント決済の取引を行っているか否かを判定する(S108)。判定部404は、出品者が、所定期間内に低ポイント決済の取引を行っている場合、不正取引ではないため、処理をS102に進める。次に、判定部404は、出品者が、所定期間内に低ポイント決済の取引を行っていない場合、決済要求260と、履歴情報410とに基づいて、決済要求260に示される出品者ユーザIDによって識別される出品者の出品する商品が、所定期間内に所定数以上のユーザに高ポイント決済の取引によって購入されているか否かを判定する(S110)。判定部404は、出品者の出品する商品が、所定期間内に所定数以上のユーザに高ポイント決済の取引によって購入されていない場合、不正取引ではないため、処理をS102に進める。判定部404は、出品者の出品する商品が、所定期間内に所定数以上のユーザに高ポイント決済の取引によって購入されている場合、この取引が不正取引であると判定する(S112)。
【0042】
[不正取引の判定について]
なお、上述では、ある取引が、所定条件(1)〜(5)のいずれも満たす場合、当該取引を不正取引であると判定する場合について説明したが、これに限られない。判定部404は、例えば、所定条件(1)〜(5)のうち、いずれか1つでも満たす場合には、当該取引を不正取引であると判定してもよい。
【0043】
[不正ユーザの特定について]
また、上述では、判定部404が不正取引を判定する場合について説明したが、これに限られない。判定部404は、例えば、不正取引を行っている不正ユーザを判定してもよい。具体的には、判定部404は、所定条件(5)を満たす取引に対応付けられている出品者ユーザIDの出品者を不正ユーザとして判定してもよい。この場合、ショッピングサイト等の商取引システムを提供している事業者は、この不正ユーザのアカウントを停止してもよく、不正ユーザが出品している商品を出品停止にしてもよい。
【0044】
[ポイント以外の不正取引の判定について]
また、上述では、判定部404が他のユーザのポイントに応じて商取引システムから振り込まれる販売代金を不正に得ることを目的とした不正取引を行う不正ユーザを判定する場合について説明したが、これに限られない。ここで、不正ユーザは、通常の取引とは異なる特徴的な取引を多く行う場合がある。特徴的な取引とは、取引日時、取引内容、決済方法、決済金額、使用ポイント、或いは出品者ユーザIDが類似する取引である。判定部404は、例えば、特徴的な取引を多く行っているユーザ、或いは、特徴的な取引によって購入されている商品を販売している出品者を不正ユーザと判定してもよい。
【0045】
[ショッピングサーバ200以外の不正取引の判定について]
また、上述では、商取引システムの一例として、ショッピングサーバ200により実現されるショッピングサイトを一例に、判定装置による不正取引の判定処理について説明したが、これに限られない。判定装置は、例えば、ショッピングサイトの他、オークションサイトやフリーマットサイト等の個人間の商取引システムにおいて、不正取引を判定する処理を行ってもよい。
【0046】
[実施形態のまとめ]
以上説明したように、本実施形態の決済サーバ400は、商品、又はサービスを売買する商取引サービスであって、ポイントを支払いに使用可能な商取引サービスにおける、ユーザの取引の結果を示す決済要求260を取得する決済要求情報取得部402と、決済要求情報取得部402によって取得された決済要求260に含まれる情報が、ポイントの使用に関する所定条件(この一例では、所定条件(1)〜(5)を満たすか否かを判定し、所定条件を満たす場合には、決済要求260に係るユーザ(この一例では、出品者)が不正行為を行ったと判定する判定部404と、を備え、ポイントの使用状況に基づいて不正行為が行われたか否かを判定することができる。
【0047】
[決済要求260に出品者ユーザIDが含まれない場合について]
なお、上述では、決済要求260に出品者ユーザIDが含まれる場合について説明したが、これに限られない。例えば、決済要求260を参照する以外の方法によって出品者が特定可能であれば、決済要求260に出品者ユーザIDが含まれていなくてもよい。例えば、決済要求260には、出品者ユーザIDに代えて、各取引を識別可能な取引IDが含まれており、履歴情報410は、出品者ユーザIDに対して取引IDが更に対応付けられる構成であってもよい。この場合、判定部404は、決済要求260に含まれる取引IDを検索キーにして、出品者の履歴情報410を特定し、当該出品者が不正ユーザであるか否かを判定することができる。
【0048】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0049】
1…情報処理システム、100…端末装置、200…ショッピングサーバ、202…サイト提供部、204…出品受付部、206…購入受付部、208…売買管理部、220…商品データ、230…ユーザデータ、240…カート情報、260…決済要求、300…ストア管理サーバ、310…ストアデータ、400…決済サーバ、402…決済要求情報取得部、404…判定部、406…決済処理部、410…履歴情報
【要約】
【課題】ポイントの使用状況に基づいて不正行為が行われたか否かを判定する判定装置、判定方法、及びプログラムを提供すること。
【解決手段】判定装置は、商ポイントを支払いに使用可能な商取引サービスにおける、ユーザの取引の決済に基づく決済要求情報を取得する決済要求情報取得部と、前記決済要求情報取得部によって取得された前記決済要求情報に係る販売者が、前記ポイントの使用状況に関する所定条件を満たすか否かを判定し、前記所定条件を満たす場合に、前記決済要求情報に係る取引が不正取引であると判定する判定部と、を備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9