(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6486533
(24)【登録日】2019年3月1日
(45)【発行日】2019年3月20日
(54)【発明の名称】光ファイバ
(51)【国際特許分類】
G02B 6/036 20060101AFI20190311BHJP
【FI】
G02B6/036
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-82645(P2018-82645)
(22)【出願日】2018年4月23日
(62)【分割の表示】特願2016-564278(P2016-564278)の分割
【原出願日】2016年5月24日
(65)【公開番号】特開2018-112767(P2018-112767A)
(43)【公開日】2018年7月19日
【審査請求日】2018年4月23日
(31)【優先権主張番号】特願2015-107030(P2015-107030)
(32)【優先日】2015年5月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126882
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 光永
(74)【代理人】
【識別番号】100160093
【弁理士】
【氏名又は名称】小室 敏雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】丸山 遼
(72)【発明者】
【氏名】松尾 昌一郎
(72)【発明者】
【氏名】平船 俊一郎
【審査官】
野口 晃一
(56)【参考文献】
【文献】
特表2014−526066(JP,A)
【文献】
特許第3725523(JP,B2)
【文献】
国際公開第2010/031420(WO,A1)
【文献】
特表2013−520711(JP,A)
【文献】
国際公開第2006/043698(WO,A1)
【文献】
国際公開第2013/021759(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/02−6/036
6/10
6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアと、
前記コアと同芯状に前記コアの外周を取り囲むように形成され、前記コアの外周に隣接した内クラッド部と、前記内クラッド部の外周に形成される外クラッド部とを少なくとも有するクラッドと
を有する光ファイバにおいて、
前記コアの屈折率をΔ1、最大の屈折率をΔ1max、外周半径をr1とし、
前記内クラッド部の屈折率をΔ2、最小の屈折率をΔ2min、外周半径をr2とし、
前記外クラッド部の屈折率をΔ3、外周半径をr3とした場合、
Δ1max>Δ3>Δ2minであり、
Δ3−Δ2min≦0.08%であり、
r1<r2<r3であり、
0.4≦r1/r2≦0.5であり、
前記コアの屈折率分布は、ステップ型であり、
ケーブルカットオフ波長が1260nm以下であり、
波長1310nmにおけるMFDが8.8μm以上、かつ9.2μm以下であり、
半径15mmのマンドレルに10回巻いたときの1550nmにおける損失増加が0.02dB以下であり、半径10mmのマンドレルに1回巻いたときの1550nmにおける損失増加が0.2dB以下であり、光ファイバ素線の、波長1550nmにおけるサンドペーパー張力巻きロス増が0.3dB/km以下である光ファイバ。
【請求項2】
光ファイバ素線の、波長1550nmにおけるサンドペーパー張力巻きロス増が0.15dB/km以下である請求項1に記載の光ファイバ。
【請求項3】
光ファイバ素線の、波長1550nmにおけるサンドペーパー張力巻きロス増が0.10dB/km以下である請求項1に記載の光ファイバ。
【請求項4】
Δ3−Δ2min≦0.05%である請求項1〜3のいずれか1項に記載の光ファイバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバに関する。
本願は、2015年5月27日に、日本に出願された特願2015−107030号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバケーブルに実装される光ファイバの実装密度を高める技術の一つとして、特許文献1及び非特許文献1に記載されているような細径高密度ケーブルが提案されている。細径高密度ケーブルでは、スロットロッド、あるいはルースチューブのようなケーブル構造とは異なり、ケーブルコアの上に直接シースが設けられるため、局所的な曲げが光ファイバに加わることを避けられない。一般的に、光ファイバのコア内部に閉じ込められた光は曲げによりコアの外にしみだす、つまり、損失を生じる。そのため、細径高密度ケーブルには、曲げ耐性の良好な光ファイバを実装する必要がある。
【0003】
光ファイバの曲げ損失を低減する手段として、(1)コア部の屈折率(クラッドとの比屈折率差、Δ)を高くすること、(2)トレンチ層を設けること、(3)コア周辺に空孔を設けること等が挙げられる。これらの曲げ損失が低減された光ファイバ(低曲げ損失光ファイバ)は、細径高密度ケーブルに実装可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】日本国特開2009−237341号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】M. Yamanaka et al, Ultra-high density optical fiber cable with “Spider Web Ribbon” Proceedings of the 61st IWCS Conference, 2-4, 2012.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の低曲げ損失光ファイバは、良好な曲げ損失特性を有する一方で、曲げ損失の低減がモードフィールド径(MFD)の縮小とトレードオフの関係にあるために、MFDの縮小化を避けられない。そのため、この低曲げ損失光ファイバを、汎用的なシングルモードファイバ(SSMF、例えばITU−T G.652準拠)と接続する場合、MFDのミスマッチが生じることが問題となる。具体的には、MFDのミスマッチは、接続点での損失を生じる。また、施工業者がOTDRなどを用いて光線路に異常点などがないかをチェックする際、この低曲げ損失光ファイバとSSMFとの間の接続点で段差が生じ、異常点との区別がつきにくいなどの理由で、検査の障害になることも問題となっている。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、MFDの縮小化を抑制しつつ、曲げ損失を低減することが可能な光ファイバを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明の一態様に係る光ファイバは、光ファイバが、コアと、前記コアと同芯状に前記コアの外周を取り囲むように形成され、前記コアの外周に隣接した内クラッド部と、前記内クラッド部の外周に形成される外クラッド部とを少なくとも有するクラッドとを有する。前記コアの屈折率をΔ1、最大の屈折率をΔ1max、外周半径をr1とし、前記内クラッド部の屈折率をΔ2、最小の屈折率をΔ2min、外周半径をr2とし、前記外クラッド部の屈折率をΔ3、外周半径をr3とした場合、Δ1max>Δ3>Δ2minであり、Δ3−Δ2min≦0.08%であり、r1<r2<r3であり、0.35≦r1/r2≦0.55であり、ケーブルカットオフ波長が1260nm以下であり、波長1310nmにおけるMFDが8.6μm以上、かつ9.2μm以下である。
【0009】
半径15mmのマンドレルに10回巻いたときの1550nmにおける損失増加が0.02dB以下であり、半径10mmのマンドレルに1回巻いたときの1550nmにおける損失増加が0.2dB以下であり、光ファイバ素線の、波長1550nmにおけるサンドペーパー張力巻きロス増が0.3dB/km以下であってもよい。
【0010】
光ファイバ素線の、波長1550nmにおけるサンドペーパー張力巻きロス増が0.15dB/km以下であってもよい。
光ファイバ素線の、波長1550nmにおけるサンドペーパー張力巻きロス増が0.10dB/km以下であってもよい。
0.4≦r1/r2≦0.5であってもよい。
Δ3−Δ2min≦0.05%であってもよい。
波長1310nmにおけるMFDが8.8μm以上、かつ9.2μm以下であってもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の上記態様によれば、光ファイバのMFDの縮小化を抑制しつつ、曲げ損失を低減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る光ファイバの屈折率分布を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、好適な実施形態に基づいて、本発明を説明する。
本実施形態では、今まで困難と考えられてきた、細径高密度ケーブルに実装可能なレベルの低曲げ損失特性及びSSMFと同等レベルのMFDを両立させることが可能な光ファイバの設計領域を見出した。本実施形態に係る光ファイバにより、MFDのミスマッチを引き起こすことなく、省スペース化が可能な細径高密度光ケーブルを実現できる。
【0014】
国際電気通信連合の電気通信標準化部門から勧告されたITU−T G.652(Characteristics of a single-mode optical fibre and cable)には、シングルモード光ファイバ(SMF)の複数のカテゴリーが規定されている。ITU−T G.652.A、ITU−T G.652.B、ITU−T G.652.C、ITU−T G.652.Dのいずれにおいても、同一の光ファイバ特性が規定されており、本実施形態では、この光ファイバ特性を汎用光ファイバ(SSMF、Standard single-mode fibre)の特性と定義する。
【0015】
ITU−T G.652による光ファイバ特性は、次のとおりである。
モードフィールド径(MFD)は、波長1310nmにおいて8.6〜9.5μm(許容差±0.6μm)。
クラッド直径は、125.0μm(許容差は±1μm)。
コア偏心量は、最大で0.6μm。
クラッド非円率は、最大で1.0%。
ケーブルカット波長は最大で1260nm。
マクロベンディングロスは、半径30mm、100ターン、波長1625nmにおいて最大で0.1dB。
プルーフストレスは、最小で0.69GPa。
波長分散係数は、最小ゼロ分散波長λ
0minが1300nm、最大ゼロ分散波長λ
0maxが1324nm、最大ゼロ分散スロープS
0maxが0.092ps/nm
2×km。
【0016】
伝送システム系の送受信機近辺には、SSMFが用いられることが一般的である。MFDのミスマッチを起因とする接続損失、あるいは、OTDR波形での段差を低減するためには、細径高密度ケーブルに実装される光ファイバにおいても、G.652の規格内に収まること、つまり、波長1310nmにおけるMFDが8.6〜9.5μmの範囲内であることが望ましい。さらに、「FutureGuide(登録商標)−LWP シングルモードファイバ」(株式会社フジクラ製)に代表されるSSMFの製品では、MFD(1.31μm)の規格値が9、2±0.4μmであることがほとんどである。そのため、本実施形態の光ファイバは、8.8μm以上のMFDを有することがより好ましい。
【0017】
MFD以外にG.652で定められている主要な光学特性として、ケーブルカットオフ波長(λcc)が挙げられる。よって、上述のMFDを有すると共に、ケーブルカットオフ波長が1260nm以下の特性を満足し、且つ、細径高密度ケーブルに実装可能なレベルの曲げ損失特性を得る光ファイバが要求される。
【0018】
光ファイバ曲げ損失特性には、マクロな曲げによる損失(マクロベンディングロス)とミクロな曲げによる損失(マイクロベンディングロス)の二つがある。細径高密度ケーブルには、どちらの曲げ損失特性も低い(良好である)ことが要求される。
【0019】
マイクロベンディングロスは、例えば、参考文献1(特許第3725523号公報)に記載されているサンドペーパー張力巻きロス増によって評価される。サンドペーパー張力巻きロス増は以下のような方法で測定される。
胴径380mmのボビンの胴部分に、サンドペーパー(平均粒径50μmのSiC(例えば型番#360)を巻き付け、その周囲に100gfで、光ファイバ素線を1層巻きした状態で伝送損失を測定する。その後、この光ファイバ素線をボビンから繰り出し、張力をほとんどかけない状態で(このような状態は無張力の束と呼ばれている)伝送損失を測定する。そして、これらの伝送損失の差を求め、サンドペーパー張力巻きロス増(Δα)とする。
ここで、光ファイバ素線とは、光ファイバ裸線の外周にUV硬化樹脂などがコーティングされた光ファイバである。また、光ファイバ裸線とは、光ファイバ母材から線引きされた状態で、樹脂等によるコーティングがされていない光ファイバである。本実施形態において、単に光ファイバと記載する場合は光ファイバ裸線と光ファイバ素線とのどちらであってもよい。
【0020】
光ファイバが細径高密度ケーブルに実装可能かどうかは、最終的には、ケーブルに実装後の伝送損失の温度特性(ケーブル特性)を評価することで判断される。具体的には、例えばIEC60794−3−11で定められている温度変化を加えた際(低温側は−40℃〜−45℃、高温側は+60℃〜+70℃、2サイクル)、伝送損失の変動量が0.15dB/km以下を満足するかどうかが、指標の一つとなる。
一方、ケーブル特性は、光ファイバのマクロベンディングロス及びマイクロベンディングロスが大きく影響する。そのため、光ファイバ素線の段階でこれら二つの曲げ損失特性を評価することにより、細径高密度ケーブルに実装可能かどうかを判断することも可能である。
【0021】
図1に本実施形態に係る光ファイバの屈折率分布形状の模式図を示す。屈折率分布形状は、コア部にディプレスド(depressed)構造を付与した形状である。光ファイバは、コア11とクラッド14を有する。光ファイバの長手方向に垂直な断面において、コア11は、中心部に設けられている。同じくクラッド14は、コア11と同芯状に、コア11の外周を取り囲んでいる。クラッド14は、少なくともコア11の外周に隣接した内クラッド部12と、さらにその外周に設けられた外クラッド部13とを有する。
【0022】
コア11の屈折率はΔ1であり、外周半径はr1である。内クラッド部12の屈折率はΔ2であり、外周半径はr2である。外クラッド部13の屈折率はΔ3であり、外周半径はr3である。
図1では、各部の屈折率Δ1、Δ2及びΔ3がそれぞれ一定値のように示されているが、各部の屈折率は、半径方向の位置によって屈折率が異なる分布を有してもよい。Δ1、Δ2及びΔ3は、比屈折率差として定義してもよい。
【0023】
外周半径r1、r2及びr3は、それぞれ光ファイバの中心15から各部の外周までの距離である。光ファイバの中心15は、光ファイバの長手方向に垂直な断面が円形である場合、その円の中心としてもよい。外周半径は、r1<r2<r3の関係を満たす。外クラッド部13の外周半径r3は、クラッド直径の1/2であってもよい。
【0024】
コア11の屈折率Δ1の最大値をΔ1maxとし、内クラッド部12の屈折率Δ2の最小値をΔ2minとするとき、Δ1max>Δ3>Δ2minである。外クラッド部13の屈折率Δ3が一定値でない場合も考慮したとき、その最大値をΔ3max、最小値をΔ3minとして、Δ1max>Δ3max≧Δ3min>Δ2minであってもよい。なお、Δ3maxとΔ3minを規定する範囲は、外クラッド部13の全域に限らず、光学特性に影響を及ぼす領域、例えば外周半径がr2からr2の2倍の領域とすることもできる。この領域外では、Δ3が規定の範囲外であり得る。
【0025】
本実施形態に係る光ファイバは、前記課題を解決するため、Δ3−Δ2min≦0.08%であり、0.35≦r1/r2≦0.55である関係を有することが好ましい。またΔ3−Δ2min≦0.05%であることが特に好ましい。0.4≦r1/r2≦0.5であることが特に好ましい。外クラッド部13の屈折率Δ3が一定値でない場合も考慮したとき、Δ3−Δ2minの代わりに、Δ3max−Δ2min又はΔ3min−Δ2min等の値を用いることもできる。
【0026】
光ファイバのλccは、1260nm以下であることが好ましい。また、波長1310nmにおけるMFDは、8.6μm以上、かつ9.2μm以下であることが好ましく、8.8μm以上、かつ9.2μm以下であることが特に好ましい。
【0027】
マクロベンディングロスとしては、半径15mmのマンドレルに10回巻いたときの1550nmにおける損失増加が0.02dB以下であり、半径10mmのマンドレルに1回巻いたときの1550nmにおける損失増加が0.2dB以下であることが好ましい。
マクロベンディングロスの測定に使用する光ファイバは、特に限定されないが、光ファイバ素線であってもよい。
【0028】
マイクロベンディングロスとしては、光ファイバ素線の、波長1550nmにおけるサンドペーパー張力巻きロス増が0.3dB/km以下であることが好ましい。また、光ファイバ素線の、波長1550nmにおけるサンドペーパー張力巻きロス増が0.15dB/km以下であることがより好ましい。さらに、光ファイバ素線の、波長1550nmにおけるサンドペーパー張力巻きロス増が0.10dB/km以下であることが特に好ましい。マイクロベンディングロスの測定に使用する光ファイバ素線は、特に限定されないが、クラッドの外周に、通常のUV硬化樹脂がコーティングされた光ファイバ素線が挙げられる。
【0029】
コア11及びクラッド14は、通常、石英系ガラスの材料から構成される。石英系ガラスは、シリカ(SiO
2)であり、ドーパントを含んでもよい。コア11、内クラッド部12、外クラッド部13のいずれかがドーパントを含まない純シリカとすることもでき、それぞれがドーパントを含むシリカとすることもできる。ドーパントとして、Ge,B,Al,P,F,Cl,Na,K等の1種又は2種以上が挙げられる。ドーパントの種類、組み合わせ、濃度等は部分ごとに異ならせることができる。
【0030】
光ファイバ素線の場合、クラッド14の外周には、プラスチック、例えばUV硬化樹脂等の被覆層が1層又は2層以上設けられる。クラッドの外周に隣接する1次被覆層には、ヤング率が1.0MPa以下のUV硬化樹脂などが好ましい。1次被覆層の外周に設けられる2次被覆層には、ヤング率が500MPa以上のUV硬化樹脂などが好ましい。各被覆層に使用可能なUV硬化樹脂としては、例えばウレタンアクリレート系、ポリブタジエンアクリレート系、エポキシアクリレート系、シリコーンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系などが挙げられる。
【0031】
光ファイバのクラッド直径(外径)としては、例えば100〜125μmが挙げられる。1次被覆層の外径としては130〜250μmが挙げられる。2次被覆層の外径としては160〜400μmが挙げられる。コア11、内クラッド部12、外クラッド部13の形状は、断面において略同心円状でもよい。
【0032】
以上、本発明を好適な実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
光ファイバのクラッドは、コアから外周に向かって、内クラッド部(第1クラッド部)と外クラッド部(第2クラッド部)との2つの部分のみを有してもよく、第2クラッド部の外周に、さらに他の部分(第3クラッド部等)を有してもよい。例えば、第1〜第3クラッド部から構成されるクラッド、第1〜第4クラッド部から構成されるクラッド等を採用することも可能である。
【0033】
細径高密度ケーブルとしては、複数本の光ファイバを集合したケーブルコアの外周を、保護テープやケーブルシース(外被)等により被覆した構造が挙げられる。ケーブルコアは、光ファイバの内側にスロットロッド等の光ファイバを支持する部材を含まなくてもよい。ケーブルコアに集合される光ファイバ素線の心数は、例えば24〜200心である。ケーブルシース内には、金属線、強化繊維等の抗張力体を埋め込むこともできる。
【実施例】
【0034】
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明する。
表1に、実施例の光ファイバの屈折率分布のパラメータ値を示す。コアの最大の屈折率Δ1maxはΔ1に等しく、内クラッド部の最小の屈折率Δ2minはΔ2に等しい。比屈折率差は、Δ3=0%を基準とした。
【0035】
【表1】
【0036】
表2に、実施例の光ファイバの光学特性を示す。
【0037】
【表2】
【0038】
表2より、表1の光ファイバは、SSMFと同等の特性を有し、すなわち、MFD(波長1.31μm)の値が8.8μm以上、λcc(ケーブルカットオフ波長)の値が1260nm以下である。さらに、細径高密度ケーブルに要求される低曲げ損失(波長1.55μmおよび半径15mmで0.02dB/10turn以下、波長1.55μmおよび半径10mmで0.2dB/turn以下)を満足している。
表3に、実施例の光ファイバのサンドペーパー張力巻きロス増の結果を示す。また、表3中には、参考値としてSSMFの評価結果も示す。表3を見てわかるように、実施例の光ファイバでは、SSMFより低い値が得られていることがわかる。
【0039】
【表3】
【0040】
以上の結果より、実施例の光ファイバは、細径高密度ケーブルに実装可能な曲げ特性を有し、且つ、SSMFと同等のMFDを有する光ファイバであることがわかる。
【符号の説明】
【0041】
Δ1…コアの屈折率、Δ2…内クラッド部の屈折率、Δ3…外クラッド部の屈折率、r1…コアの外周半径、r2…内クラッド部の外周半径、r3…外クラッド部の外周半径、11…コア、12…内クラッド部、13…外クラッド部、14…クラッド、15…光ファイバの中心。