特許第6486537号(P6486537)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 生企工営株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6486537-バケット先端カバー 図000002
  • 特許6486537-バケット先端カバー 図000003
  • 特許6486537-バケット先端カバー 図000004
  • 特許6486537-バケット先端カバー 図000005
  • 特許6486537-バケット先端カバー 図000006
  • 特許6486537-バケット先端カバー 図000007
  • 特許6486537-バケット先端カバー 図000008
  • 特許6486537-バケット先端カバー 図000009
  • 特許6486537-バケット先端カバー 図000010
  • 特許6486537-バケット先端カバー 図000011
  • 特許6486537-バケット先端カバー 図000012
  • 特許6486537-バケット先端カバー 図000013
  • 特許6486537-バケット先端カバー 図000014
  • 特許6486537-バケット先端カバー 図000015
  • 特許6486537-バケット先端カバー 図000016
  • 特許6486537-バケット先端カバー 図000017
  • 特許6486537-バケット先端カバー 図000018
  • 特許6486537-バケット先端カバー 図000019
  • 特許6486537-バケット先端カバー 図000020
  • 特許6486537-バケット先端カバー 図000021
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6486537
(24)【登録日】2019年3月1日
(45)【発行日】2019年3月20日
(54)【発明の名称】バケット先端カバー
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/40 20060101AFI20190311BHJP
   E02F 9/28 20060101ALI20190311BHJP
【FI】
   E02F3/40 B
   E02F9/28 Z
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-141911(P2018-141911)
(22)【出願日】2018年7月28日
【審査請求日】2018年8月6日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】309012616
【氏名又は名称】生企工営株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100183575
【弁理士】
【氏名又は名称】老田 政憲
(72)【発明者】
【氏名】本村 安紀
【審査官】 荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−025578(JP,A)
【文献】 特開2006−125180(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3201898(JP,U)
【文献】 特開2016−006251(JP,A)
【文献】 特開2013−245529(JP,A)
【文献】 特表2017−514049(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0130791(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00−9/18
E02F 9/24−9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バケットにアダプタが所定の間隔で設けられ、該アダプタに掘削具が装着された状態で露出する上記バケットの先端に固着されることによって、当該バケットの先端を保護するバケット先端カバーであって、
隣り合う上記アダプタの間で上記バケットの先端に配置される第1カバー部材及び第2カバー部材を有し、
上記第1カバー部材及び上記第2カバー部材は、当該各カバー部材が上記アダプタの配列方向に相対移動することにより当該配列方向における全体の幅が調整された状態で、上記バケットに固着されるように構成され
上記第1カバー部材は、上記バケットの内側表面又は外側表面に沿って設けられる第1ベース部と、該第1ベース部の前端に立設されて上記バケットの先端を覆う第1前端部とを有し、
上記第2カバー部材は、上記バケットの内側表面又は外側表面に沿って設けられる第2ベース部と、該第2ベース部の前端に立設されて上記バケットの先端を覆う第2前端部とを有し、
上記第1ベース部の略中央には、切欠き部が形成されており、
上記第2ベース部には、上記切欠き部の後面を支持可能な前面を有する中央突部が形成されている、バケット先端カバー。
【請求項2】
請求項1に記載のバケット先端カバーにおいて
記第1前端部は、該第1前端部と上記第2前端部との間に生じる隙間を前方から遮蔽する第1遮蔽部を備えている、バケット先端カバー。
【請求項3】
請求項2に記載のバケット先端カバーにおいて、
上記第1遮蔽部は、上記第1ベース部と上記第2ベース部との間に生じる隙間を前方から遮蔽するように構成されている、バケット先端カバー。
【請求項4】
請求項1に記載のバケット先端カバーにおいて、
上記第2ベース部は、該第2ベース部と上記第1ベース部との間に生じる隙間を後方から遮蔽する第2遮蔽部を備えている、バケット先端カバー。
【請求項5】
請求項2に記載のバケット先端カバーにおいて、
上記第1前端部は、該第1前端部と上記第2前端部との間に生じる隙間を、上記第2前端部の上記第2ベース部からの突出側から遮蔽する第3遮蔽部を備えている、バケット先端カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショベル機械用のバケットの先端側に装着されるバケット先端カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばパワーショベルやショベルローダなどのショベル機械のバケットには、その先端に複数のアダプタが所定の間隔で固着されている。各アダプタの先端には、掘削具として例えば爪状のツ―スが装着される。ツースは、バケットの先端から突出している。
【0003】
特許文献1には、隣り合うツ―スの間で露出するバケットの先端に対し、バケット先端カバー(シュラウド)を固着することが記載されている。バケット先端カバーをバケット先端に固着することによって、当該バケット先端を保護するようにしている。一般に、バケット先端カバーは鋳鉄等の金属からなり、板状のバケット先端に対し溶接によって固着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−245529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、隣り合うアダプタの間隔(つまり、ツ―スの間隔)は、バケットの種類や大きさに応じて様々に異なっている。したがって、アダプタ間のバケット先端を適切に覆って保護するためには、様々に異なるアダプタ間隔に対応して、サイズが異なる多種類のバケット先端カバーを用意することが望ましい。しかし、このような多種類のバケット先端カバーを予め用意することには、製造コストや在庫管理の観点から難しいという問題がある。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、バケット先端カバーの構成に改良を加えることにより、アダプタの間隔が異なるバケットであってもその先端の保護を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、バケットにアダプタが所定の間隔で設けられ、該アダプタに掘削具が装着された状態で露出する上記バケットの先端に固着されることによって、当該バケットの先端を保護するバケット先端カバーであって、隣り合う上記アダプタの間で上記バケットの先端に配置される第1カバー部材及び第2カバー部材を有し、上記第1カバー部材及び上記第2カバー部材は、当該各カバー部材が上記アダプタの配列方向に相対移動することにより当該配列方向における全体の幅が調整された状態で、上記バケットに固着されるように構成され、上記第1カバー部材は、上記バケットの内側表面又は外側表面に沿って設けられる第1ベース部と、該第1ベース部の前端に立設されて上記バケットの先端を覆う第1前端部とを有し、上記第2カバー部材は、上記バケットの内側表面又は外側表面に沿って設けられる第2ベース部と、該第2ベース部の前端に立設されて上記バケットの先端を覆う第2前端部とを有し、上記第1ベース部の略中央には、切欠き部が形成されており、上記第2ベース部には、上記切欠き部の後面を支持可能な前面を有する中央突部が形成されている
【0008】
上記第1の発明によると、バケット先端カバーを構成する複数のカバー部材をアダプタの配列方向に相対移動させることにより、アダプタ配列方向におけるバケット先端カバーの幅を適宜調整することができる。したがって、ツース間隔が異なるバケットであっても、そのツース間隔に応じてバケット先端カバーの幅を適宜変更することにより、当該バケットの先端を適切に保護することが可能になる。
さらに、中央突部の前面が切欠き部の後面を支持可能であるため、第1カバー部材を第2カバー部材によって強固に支持することが可能になっている。よって、バケット先端カバーは、掘削作業時における前方からの衝撃に対する強度が大きく高められる。
【0009】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記第1前端部は、該第1前端部と上記第2前端部との間に生じる隙間を前方から遮蔽する第1遮蔽部を備えている。
【0010】
上記第2の発明によると、バケット先端カバーの幅を広げるために第1カバー部材及び第2カバー部材を互いに離隔させると、これら第1カバー部材の第1前端部と、第2カバー部材の第2前端部との間に隙間が生じる。この隙間を前方から第1遮蔽部によって遮蔽する構成としたので、第1前端部及び第2前端部を有するバケット先端カバーの前端部分の強度を高めることが可能になるだけでなく、掘削作業時に、上記隙間に対する土砂等のバケット先端側(つまりバケット前方)からの侵入を防止することが可能になる。
【0011】
第3の発明は、上記第2の発明において、上記第1遮蔽部は、上記第1ベース部と上記第2ベース部との間に生じる隙間を前方から遮蔽するように構成されている。
【0012】
上記第3の発明によると、第1前端部と第2前端部との隙間だけでなく、第1ベース部と第2ベース部との隙間も第1遮蔽部によって遮蔽できるので、これらの隙間に対する土砂等の前方からの侵入を防止できる。
【0013】
第4の発明は、上記第1の発明において、上記第2ベース部は、該第2ベース部と上記第1ベース部との間に生じる隙間を後方から遮蔽する第2遮蔽部を備えている。
【0014】
上記第4の発明によると、第1カバー部材及び第2カバー部材を互いに離隔させたときに、第1カバー部材の第1ベース部と、第2カバー部材の第2ベース部との間にも隙間が生じるが、この隙間を後方から第2遮蔽部によって遮蔽する構成としたので、土砂等の掘削時や土砂等の均し作業時に、上記隙間に対する土砂等のバケット後方からの侵入を防止することが可能になる。
【0015】
第5の発明は、上記第2の発明において、上記第1前端部は、該第1前端部と上記第2前端部との間に生じる隙間を、上記第2前端部の上記第2ベース部からの突出側から遮蔽する第3遮蔽部を備えている。上記第5の発明によると、掘削作業時に、第1前端部と第2前端部との隙間に対する土砂等の侵入を、バケット先端側(つまりバケット前方)からだけでなく第2前端部の突出側からも防ぐことが可能になる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、アダプタの間隔が異なるバケットであってもその先端の保護を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本実施形態1におけるバケット先端カバーが装着されたバケットの先端を一部拡大して示す平面図である。
図2図2は、幅が広がった状態のバケット先端カバーを示す斜視図である。
図3図3は、幅が広がった状態のバケット先端カバーを示す斜視図である。
図4図4は、幅が広がった状態のバケット先端カバーを示す斜視図である。
図5図5は、幅が広がった状態のバケット先端カバーを示す平面図である。
図6図6は、幅が広がった状態のバケット先端カバーを示す正面図である。
図7図7は、幅が広がった状態のバケット先端カバーを示す側面図である。
図8図8は、幅が広がった状態のバケット先端カバーを示す底面図である。
図9図9は、第1カバー部材を示す斜視図である。
図10図10は、第1カバー部材を示す斜視図である。
図11図11は、第2カバー部材を示す斜視図である。
図12図12は、第2カバー部材を示す斜視図である。
図13図13は、幅が狭くなった状態のバケット先端カバーを示す斜視図である。
図14図14は、幅が狭くなった状態のバケット先端カバーを示す斜視図である。
図15図15は、幅が狭くなった状態のバケット先端カバーを示す平面図である。
図16図16は、幅が狭くなった状態のバケット先端カバーを示す正面図である。
図17図17は、幅が狭くなった状態のバケット先端カバーを示す底面図である。
図18図18は、本実施形態2における幅が広がった状態のバケット先端カバーを示す斜視図である。
図19図19は、第1カバー部材を示す斜視図である。
図20図20は、第2カバー部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
<実施形態1>
【0019】
図1は、本実施形態におけるバケット先端カバー1が装着されたバケット5の先端6を一部拡大して示す平面図である。図2図4は、幅が広がったバケット先端カバー1の斜視図である。図5は、幅が広がったバケット先端カバー1の平面図である。図6は、幅が広がったバケット先端カバー1の正面図である。図7は、幅が広がったバケット先端カバー1の側面図である。図8は、幅が広がったバケット先端カバー1の底面図である。
本実施形態では、図1及び図5における下側を「前側」と称し、同図における上側を「後側」と称する。よって、バケット5の先端側が「前側」である。
【0020】
バケット5は、図示を省略するがパワーショベルのアームに搭載されている。図1に示すように、バケット5の先端6には、複数のアダプタ7が所定の間隔で設けられている。尚、図1では、バケット5の先端6における一部分を拡大して示しているため、2つのアダプタ7のみが図示されているが、バケット5には3つ以上の複数のアダプタ7が設けられている。
【0021】
バケット5の先端6は板状に形成されている。アダプタ7は、バケット5の先端6に溶接により固着されている。各アダプタ7には、掘削具としてのツース8が装着される。そして、バケット5の先端6には、隣り合うアダプタ7の間にバケット先端カバー1がそれぞれ装着されている。バケット先端カバー1は、バケット5の先端6を保護するためのものであり、バケット5の先端6に溶接により固着されている。
【0022】
バケット先端カバー1は、隣り合うアダプタ7の間でバケット5の先端6に配置される複数のカバー部材10,20により構成されている。複数のカバー部材10,20は、各カバー部材10,20がアダプタ7の配列方向(図1で左右方向である矢印Aの方向)に相対移動することにより、当該配列方向Aにおける全体の幅が調整された状態で、バケット5に固着されるように構成されている。以下、詳細に説明する。
【0023】
図9及び図10は、第1カバー部材を示す斜視図である。図11及び図12は、第2カバー部材を示す斜視図である。複数のカバー部材10,20は、例えば鋳鉄等により形成された第1カバー部材10及び第2カバー部材20を有している。
【0024】
図9及び図10に示すように、第1カバー部材10は、バケット5の内側表面(図1で紙面手前側)又は外側表面(図1で紙面奥側)に沿って設けられる第1ベース部11と、第1ベース部11の前端に立設されてバケット5の先端6を覆う第1前端部12とを有している。本実施形態の第1ベース部11は、バケット5の外側表面(図1で紙面奥側)に沿って設けられる。
【0025】
第1ベース部11は、板状の平板状部13と、平板状部13の側方に形成されたエッジ部14とを有している。エッジ部14は、平板状部13における第2カバー部材20とは反対側に設けられている。エッジ部14には傾斜面15が形成されており、傾斜面15とバケット5の表面との間に溶接部が収まるようになっている。平板状部13の略中央には、第1切欠き部16が形成されている。第1切欠き部16は、平板状部13におけるエッジ部14とは反対側で開放されている。第1前端部12は、バケット5の前方から受ける衝撃や損耗に耐え得るように、前後方向の厚みが比較的大きくなっている。
【0026】
一方、図11及び図12に示すように、第2カバー部材20は、バケット5の内側表面(図1で紙面手前側)又は外側表面(図1で紙面奥側)に沿って設けられる第2ベース部21と、第2ベース部21の前端に立設されてバケット5の先端6を覆う第2前端部22とを有している。本実施形態の第2ベース部21は、第1ベース部11と同様に、バケット5の外側表面(図1で紙面奥側)に沿って設けられる。
【0027】
第2ベース部21は、ベース本体23と、ベース本体23の第1カバー部材10側に形成された段差部24とを有している。図11に示すように、ベース本体23には傾斜面25が形成されており、傾斜面25とバケット5の表面との間に溶接部が収容されるようになっている。また、図12に示すように、第2ベース部21の外側(バケット5と反対側)には、突部26が形成されている。
【0028】
第2ベース部21の第1カバー部材10側には、第2切欠き部27が形成されている。第2切欠き部27の前後両側には、段差部24が設けられている。言い換えれば、第2ベース部21には、2つの段差部24が前後に並ぶように設けられており、その2つの段差部24の間に第2切欠き部27が配置されている。
【0029】
図2図5に示すように、段差部24は、第1カバー部材10と第2カバー部材20とが組み合わされた状態で、第1カバー部材10の平板状部13に重なるようになっている。また、第1切欠き部16及び第2切欠き部27は、第1カバー部材10と第2カバー部材20とが組み合わされた状態で、1つの長孔状の開口部31を形成するようになっている。開口部31は、その内周縁において、第1カバー部材10及び第2カバー部材20を、バケット5の表面に溶接するためのものである。
【0030】
また、図11に示すように、第2ベース部21は、段差部24上に立設された中央突部33を有している。中央突部33は、段差部24の一方に形成されており、その側面が第2切欠き部27の一部を区画している。
【0031】
ここで、図13及び図14は、幅が狭くなったバケット先端カバー1の斜視図である。図15は、幅が狭くなったバケット先端カバー1の平面図である。図16は、幅が狭くなったバケット先端カバー1の正面図である。図17は、幅が狭くなったバケット先端カバー1の底面図である。
【0032】
図13図17に示すように、バケット先端カバー1は、第1カバー部材10及び第2カバー部材20が互いに近づくように相対移動することにより、当該バケット先端カバー1の幅が小さくなる。そうして、バケット先端カバー1は、所望の幅に調整した状態で、バケット5に溶接して固着される。
【0033】
第2カバー部材20の中央突部33は、第2切欠き部27を区画する側面と反対側の側面が、第1カバー部材10と第2カバー部材20とを組み合わせて左右に相対移動させる際に、第1切欠き部16の側面にガイドされるようになっている。さらに、中央突部33を設けることによって、第2ベース部21の強度が高められている。
【0034】
また、図2に示すように、第1前端部12は、この第1前端部12と第2前端部22との間に生じる隙間35を前方から遮蔽する第1遮蔽部18を備えている。第1遮蔽部18は、上記隙間35だけでなく、第1ベース部と第2ベース部との間に生じる隙間36も前方から遮蔽するように構成されている。言い換えれば、第1遮蔽部18は、バケット先端カバー1の前端に生じ得る隙間35,36を前方から遮蔽するようになっている。
【0035】
第2前端部22の前面は、第1カバー部材10を第2カバー部材20に対して左右に相対移動させる際に、第1遮蔽部18の後面をガイドするように構成されている。すなわち、第1遮蔽部18は、第2前端部22の前面に沿って相対移動する。
【0036】
さらに、第2ベース部21は、この第2ベース部21と第1ベース部11との間に生じる隙間36を後方から遮蔽する第2遮蔽部28を備えている。第1ベース部11の後面は、第1カバー部材10を第2カバー部材20に対して左右に相対移動させる際に、第2遮蔽部28の前面をガイドするように構成されている。すなわち、第2遮蔽部28は、第1ベース部11の後面に沿って相対移動する。
【0037】
そうして、バケット先端カバー1は、第1カバー部材10及び第2カバー部材20がアダプタ7の配列方向Aに相対移動することにより当該配列方向Aにおける全体の幅が調整された状態で、上記バケット5溶接により固着される。
【0038】
したがって、本実施形態1によると、バケット先端カバー1を複数のカバー部材(第1カバー部材10及び第2カバー部材20)により構成したので、各カバー部材(第1カバー部材10及び第2カバー部材20)をアダプタ7の配列方向Aに相対移動させることにより、その配列方向Aにおけるバケット先端カバー1の幅を適宜調整することができる。したがって、ツース8の間隔が異なるバケット5であっても、そのツース8の間隔に応じてバケット先端カバー1の幅を適宜変更することにより、当該バケット5における先端6の保護を高めることができる。
【0039】
ところで、バケット先端カバー1の幅を広げるために第1カバー部材10及び第2カバー部材20を互いに離隔させると、これら第1カバー部材10の第1前端部12と、第2カバー部材20の第2前端部22との間に隙間35が生じる。本実施形態では、この隙間35を前方から第1遮蔽部18によって遮蔽する構成としたので、第1前端部12及び第2前端部22を有するバケット先端カバー1の前端部分の強度が高められるだけでなく、掘削作業時に、上記隙間35に対する土砂等のバケット5先端側(つまりバケット5の前方)からの侵入を防止することが可能になる。さらに、第1前端部12と第2前端部22との隙間35だけでなく、第1ベース部11と第2ベース部との隙間36も第1遮蔽部18によって遮蔽できるので、これらの隙間35,36に対する土砂等の前方からの侵入を防止できる。
【0040】
ここで、バケット5は、パワーショベルにおけるアームの動作により、その先端側である前方へ移動するだけでなく、反対方向の後方へも移動する。これに対し、本実施形態では、第1ベース部11と第2ベース部との隙間36を後方から第2遮蔽部28によって遮蔽する構成としたので、土砂等の掘削時や土砂等の均し作業時に、上記隙間36に対する土砂等のバケット後方からの侵入を防止することができる。
【0041】
しかも、第2前端部22の前面が第1遮蔽部18の後面を支持可能であることに加え、第2遮蔽部28の前面が第1ベース部11の後面を支持可能であり、且つ中央突部33の前面が第1切欠き部の後面を支持可能であるため、第1カバー部材10を第2カバー部材20によって強固に支持することが可能になっている。よって、本実施形態のバケット先端カバー1は、掘削作業時における前方からの衝撃に対する強度が大きく高められる。
<実施形態2>
【0042】
次に、図18図20を参照して、本実施形態2について説明する。図18は、本実施形態2における幅が広がったバケット先端カバー1を示す斜視図である。図19は、第1カバー部材10を示す斜視図である。図20は、第2カバー部材20を示す斜視図である。尚、上記実施形態1と同様の構成については説明を省略する。
【0043】
図18図20に示すように、本実施形態2のバケット先端カバー1は、第1カバー部材10の第1前端部12が上記第1遮蔽部18に加えて第3遮蔽部38を備えている。第3遮蔽部38は、第1前端部12と第2前端部22との間に生じる隙間35を、第2前端部22の第2ベース部21からの突出側(つまり図18で上側)から遮蔽するように構成されている。第3遮蔽部38は、第1遮蔽部18と一体に形成されており、第1遮蔽部18における図18で上側の端部からバケット5の後側へ延びている。
【0044】
本実施形態2によると、第1遮蔽部18と第3遮蔽部38とが一体に形成されることにより第1前端部12の全体の強度を高めることができ、しかも、バケット5の掘削作業時に、第1前端部12と第2前端部22との隙間35に対する土砂等の侵入を、バケット5の先端側(つまりバケット5の前方)からだけでなく第2前端部22の突出側(つまり図18で上側)からも防ぐことができる。
【0045】
尚、上述の説明では、第1ベース部11及び第2ベース部21をバケット5の外側表面(図1で紙面奥側)に沿って設けた例について説明したが、第1ベース部11及び第2ベース部21は、バケット5の内側表面(図1で紙面手前側)に沿って設けてもよく、このようにしても上述の効果と同様の効果を得ることができる。また、上述の説明では、バケット先端カバー1が2つのカバー部材10,20によって構成された例について説明したが、3つ以上の複数のカバー部材によってバケット先端カバー1を構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
以上説明したように、本発明は、ショベル機械用のバケットの先端側に装着されるバケット先端カバーについて有用である。
【符号の説明】
【0047】
A 配列方向
1 バケット先端カバー
5 バケット
6 先端
7 アダプタ
8 ツース(掘削具)
10 第1カバー部材
11 第1ベース部
12 第1前端部
16 第1切欠き部(切欠き部)
18 第1遮蔽部
20 第2カバー部材
21 第2ベース部
22 第2前端部
28 第2遮蔽部
33 中央突部
35,36 隙間
38 第3遮蔽部
【要約】
【課題】アダプタの間隔が異なるバケットであってもその先端の保護を高める。
【解決手段】バケット先端カバー1は、隣り合うアダプタ7の間でバケット5の先端に配置される複数のカバー部材に10,20よって構成されている。複数のカバー部材10,20は、各カバー部材10,20がアダプタ7の配列方向Aに相対移動することにより当該配列方向Aにおける全体の幅が調整された状態で、バケット5に固着されるように構成されている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20