【実施例】
【0035】
図1(a)に示す第1実施例の外設パネル3の構築構造は、
図1(d)に拡大して示す外装材1にて形成した外装構造と、該外装構造の載置部に外設パネル3の側部を載乗し、上面部に前記外設パネル3を保持する固定部材4を固定してなる構造である。
【0036】
この第1実施例における外装材1は、略平坦状の面板部11の両側縁に傾斜状に設けた立ち上がり部12,12'と、これらの立ち上がり部12,12'の上端をそれぞれ外側に延出した載置部13,13'とを有する。なお、図では面板部11の左側を一方側とし、右側を他方側とし、他方側の部位には符号に「'」を付して区別した。また、図示実施例では、立ち上がり部12,12'の上端に、保持部材2に係合する係合部121,121'が外側へ略膨出状に設けられている。
【0037】
また、一方の載置部13には、その外側端から略鉛直状に起立する起立部141と、該起立部141の上端から外側に略平坦状に延出させた上面部142と、該上面部142の外側端から膨出状に延在する膨出部145と、該膨出部145を折り下げて形成した折曲部143とを含む重合部14を形成した。なお、折曲部143の下端は、外側へ屈曲されて当接部144を形成している。
また、他方の載置部13'には、その外側端から略鉛直状に起立する起立部151と、該起立部151の上端から内側に略平坦状に延出させた上面部152とを含む被重合部15を形成した。
そして、この外装材1を
図1(a)に示すように敷設した状態では、重合部14の起立部141及び上面部142が、隣接する外装材1の被重合部15の起立部151及び上面部152に重合すると共に、重合部14の膨出部145が被重合部15の上面部152の外端縁を包むように延在し、当接部144が載置部13'に当接する。
【0038】
前記外装材1を取り付けるための保持部材2は、
図1(c)に示すように逆ハット状の下方部材2aと、断面が略鍋状の上方部材2bとを、固定部材(ボルトナット)2cにて一体化した構成である。下方部材2aには、下地材6の上面に沿わせて固定する固定部21が設けられている。また、上方部材2bには、前記外装材1の係合部121,121'が係合する被係合部22,22が左右の側端に突出状に設けられ、該被係合部22,22の内側には前記外装材1の載置部13,13'を支持する略水平状の支持部23,23が設けられている。
【0039】
前記外設パネル3は、この第1実施例では
図1(b)に示すように太陽電池パネルであって、略平坦状のパネル本体30の端縁に略E字状の枠体31,31が一体的に取り付けられた構成である。
【0040】
前記固定部材4は、前記外設パネル3である太陽電池パネルを、前記外装材1の上面部142,152に保持するための部材であって、
図1(e)に示すように板材であり、その両端がそれぞれ太陽電池パネル3,3の上面を押さえる押さえ部41,41であり、その中央部分が上面部142に支持されて固定具5を打ち込む固定部42である。
【0041】
これらの構成を有する外装材1、保持部材2、外設パネル3、及び固定部材4から構成される
図1(a)の外設パネル3の構築構造は、隣接する外装材1,1の重合部14及び被重合部15を重合させて形成される上面部142,152が、重合状の起立部141,151、及び折曲部143で中空の略筺状部分を形成するため、上方からの正荷重に対する耐力が高い。また、この第1実施例では締め付けタイプの固定具5及び固定部材4にて太陽電池パネル3を固定したが、例えばビス等の固定具でも、当該第1実施例の締め付けタイプの固定具5でも同様に漏水を起こすこともなく、ビス止め等の上方からの圧力にも耐え、太陽電池パネル3を設置するために直接ビス等の固定具で直止めすることも可能である。
特にこの第1実施例では、折曲部143の下端(当接部144)が他方の外装材1の載置部13'に当接するので、上辺を形成する重合状の上面部142,152及び右側辺を形成する起立部141,151と閉鎖状の筺状部分を形成するため、上方からの正荷重に対する耐力がより高いものとなり、例えば作業者が当該箇所を足場として歩行することもできる。
【0042】
また、この第1実施例では、外装材1に載置部13,13'より内側に保持部材2に係合する係合部121,121'を設けたので、外装材1の載置部13,13'が太陽電池パネル3を支持する部位であるから、太陽電池パネル3の側部(枠体31,31)を載置部13,13'に載乗させた際に外装材1が保持部材2から外れることがなく、太陽電池パネル3の荷重を保持部材2に負担させることができる。
さらに、この第1実施例における膨出部145は、被重合部15の上面部152の外端縁を包むように配置され、重合部14と被重合部15との隙間から雨水が浸入しようとするのを防止することができる。
【0043】
図2(a),(b)に示す第2実施例は、外装材1'の重合部14の折曲部143が、上面部142の外端縁を下方へ折り下げて形成されている点が相違する。即ち前記膨出部145が存在しない点が前記第1実施例と相違する構成であり、それ以外の構成は、図面に同一符号を付して説明を省略する。
【0044】
図2(c),(d)、及び
図3に示す第3実施例は、前記第1,2実施例にて使用した外装材1,1'及び保持部材2に比べて縦長の外装材1"及び保持部材2"を用い、太陽電池パネル3に代えて模式化して示した緑化パネル3"を用いた例である。なお、固定具5"はビスであり、下地材6"はH鋼材等の躯体である。
そのため、この第3実施例の外装材1"の立ち上がり部16,16'は、前記第1,2実施例の立ち上がり部12,12'より縦長であり、保持部材2"の下方部材2dは、前記第1,2実施例の下方部材2aより縦長である。なお、外装材1"の載置部13、13'、重合部14(起立部141、上面部142、折曲部143)、被重合部15(起立部151、上面部152)については、それぞれ前記第1,2実施例に比べて幅広であるか、縦長であるが、同一符号を付している。
【0045】
この第3実施例でも、前記第1,第2実施例と同様に、隣接する外装材1",1"の重合部14及び被重合部15を重合させて形成される上面部142,152が、重合状の起立部141,151、及び折曲部143と共に中空の略筺状部分を形成するため、上方からの正荷重に対する耐力が高い。そのため、ビスである固定具5"を固定部材4から上面部142,152に打ち込んで容易に緑化パネル3"を取り付けることができ、該構造でも漏水を起こすこともない。
また、この第3実施例でも、前記第1,第2実施例と同様に、折曲部143の下端(当接部144)が他方の外装材1"の載置部13'に当接するので、閉鎖状の筺状部分が形成されるため、上方からの正荷重に対する耐力がより高いものとなり、例えば作業者が当該箇所を足場として歩行することもできる。
さらに、この第3実施例でも、載置部13,13'より内側に保持部材2"に係合する係合部161,161'を設けたので、外装材1の載置部13,13'が緑化パネル3を支持する部位であるから、緑化パネル3"を載置部13,13'に載乗させた際に外装材1"が保持部材2"から外れることがなく、緑化パネル3"の荷重を保持部材2"に負担させることができる。
【0046】
図4(a),(b)に示す第4実施例は、緑化パネル3"に代えて太陽電池パネル3を用い、板材である固定部材4に代えて中央部分である固定部42"が凹んだ断面が皿状の固定部材4"を用いた以外は、前記第3実施例と殆ど同様であるから、図面に同一符号を付して説明を省略する。
【0047】
図4(c)に示す第5実施例は、図面左側に形成されている山状の外装構造は前記第4実施例と同様であり、図面右側に形成されている山状の外装構造は、それぞれ幅広の載置部17,17'、上面部142",152"を用い、それに応じて保持部材2'"の上方部材2b"も、固定部材4'"の固定部42'"も幅広のものを用いた。また、この第5実施例では、重合部14に加えて被重合部15にも、折曲部153が設けられており、該折曲部153の下端は内側へ屈曲されて当接部154を形成しており、敷設状態ではこの当接部154は載置部17'に当接する。
そして、この第5実施例では、重合部14と被重合部15とで形成される筺状部分が上辺(上面部142",152")及び両側辺(起立部141,151及び折曲部143,153)とも重合片にて形成されるため、前記第1〜第4実施例よりも更に強度が高いものとなる。しかも、折曲部143,153の下端が当接していることで、外装材1上に吹き付けても空間内に雨水が廻りにくい構造となる。
【0048】
図5に示す第6実施例は、図中の右上が水上側(棟側)、左下が水下側(軒側)を指すものであって、前記第1実施例と同様の外装材1にて形成された外装構造に、前記第3実施例と同様に板材である固定部材4及びビスである固定具5"を用いて太陽電池パネル3を取り付けたものであって、太陽電池パネル3の棟側に、起立状部71を一体的に取り付けた構成である。
この第6実施例の起立状部71は、略L字状材7の縦片部分であって、太陽電池パネル3の枠体31と外装材1の載置部13,13'との間に略L字状材7の横片部分72が挟着状に取り付けられている。
【0049】
そして、この第6実施例では、起立状部71を太陽電池パネル3の棟端に設けたので、起立状部71に当たった風が上方に乱流を起こし、起立状部71の上端を減圧状態とするため、裏面空間(太陽電池パネル3と外装材1との間)の空気が表面側へ吸い出す作用が果たされ、図中に白抜き矢印にて示したように軒側から棟側へ向かう裏面空間の空気の流れを著しく速め、太陽電池セル自体が発生する温度を抑えることで発電効率の低下を防ぐことができる。
【0050】
図6(a)に示す第7実施例は、
図6(b)に示す保持部材2Wと、
図6(c)に示す外装材1Wにて形成した外装構造に、点線で示す太陽電池パネル3を配設してなる構造であり、保持部材2Wに形成した上向きの係止突起である起立係止部24に外装材1Wに形成した下方が開放する係合溝18を係合させて取り付けることにより、係合部121と被係合部22との係合と相俟って外装材1Wをより安定に保持でき、負圧に対して強固な構造としたものである。
【0051】
この第7実施例における外装材1Wは、略平坦状の面板部11の両側縁に上方へ突出するように折り上げて下方が開放する係合溝18を介して傾斜状の立ち上がり部12,12’を設けた構成であり、立ち上がり部12,12’の上端をそれぞれ外側に延出した載置部13,13’とを有する。なお、前記係合溝18の外側には内側下方へ膨出状の溝状部19が形成され、前記内側載置部13,13’の外側の重合部14、被重合部15等の構成は前記第1実施例とほぼ同様であるから図面に符号を付して説明を省略する。
また、上記保持部材2Wは、下地材6に沿わせる水平片の略中央に中空の略矩形隆状部20wが形成され、該略矩形隆状部20wの頂部に略水平状の支持部23を有し、その端部に膨出状の被係合部22を有する。また、前記水平片の左右の端部には、上向きの係止突起である起立係止部24,24を有し、その内側には先端が更に内側へ傾斜する上向き片25,25を有し、これらの起立係止部24と上向き片25との間に上方が開放する溝状の係合空間26が形成されている構成である。なお、この保持部材2の固定部21は、前記水平片のうち、図示するように前記略矩形状隆状部20wの外側に位置する部分である。
【0052】
そして、前記保持部材2Wを下地材6上に固定し、その起立係止部24に前記外装材1Wの係合溝18を上方から嵌合させると共に、係合空間26に溝状部19を配置させ、上向き片25及び略矩形隆状部20w(の傾斜側壁201)に立ち上がり部12を沿わせ、被係合部22に係合部121を係合させ、支持部23に載置部13を支持させるように配設する。
そのため、係合部121と被係合部22との係合に加え、係合溝18と起立係止部24とが係合するため、外装材1Wをより安定に保持部材2Wに保持でき、負圧に対して強固な構造とできる。しかも、起立係止部24の上端内側には略楔状の係止部分241が設けられているので、係合溝18を強固に係止することができる。
【0053】
図7(c)に示す第8実施例は、
図7(a)に示す保持部材2Xと、
図7(b)に示す外装材1Xにて形成した外装構造に、図示しない太陽電池パネル(3)を配設してなる構造であり、前記
図6の第7実施例とほぼ同様に保持部材2Xに形成した上向きの係止突起である起立係止部24xに外装材1Xに形成した下方が開放する係合溝18を係合させて取り付けることにより、係合部121と被係合部22との係合と相俟って外装材1Xをより安定に保持でき、負圧に対して強固な構造としたものである。
【0054】
この第8実施例における外装材1Xは、立ち上がり部12,12'の内側に上方へ突出するように折り上げて下方が開放する係合溝18,18'を形成した構成など、前記
図7の第7実施例における外装材1Wとほぼ同一であり、図面に同一符号を付して説明を省略する。
また、この第8実施例における保持部材2Xは、水平片の略中央に形成される中空の略矩形隆状部20xが、前記
図6の第7実施例における略矩形隆状部20wとほぼ同一の高さに形成され、その頂部には略水平状の支持部23が形成され、その端部に膨出状の被係合部22が形成される点では同様であるが、この略矩形隆状部20xは、前記第7実施例の略矩形隆状部20wに比べて下方部分が幅広(横長)に形成されている。さらに、前記水平片の左右の端部には、上向きの係止突起である起立係止部24x,24xが形成される点では同様であるが、各起立係止部24xの上端には、略楔状の係止部分(241)に代えて内側へ傾斜する先端が細径な係止部分242が設けられている。また、起立係止部24x,24xの内側には、上向き片(25)が形成されないので、係合空間(26)も形成されない。
【0055】
そして、前記保持部材2Xを図示しない下地材(6)上に固定し、その起立係止部24xに前記外装材1Xの係合溝18を上方から嵌合させると共に、この起立係止部24xの基端(内側)に溝状部19を配置させ、略矩形隆状部20xの傾斜側壁201xに立ち上がり部12を沿わせ、被係合部22に係合部121を係合させ、支持部23に載置部13を支持させるように配設する。
そのため、前記
図6の第7実施例と同様に係合部121と被係合部22との係合に加え、係合溝18と起立係止部24xとが係合するため、外装材1Xをより安定に保持部材2Xに保持でき、負圧に対して強固な構造とできる。
加えてこの第8実施例では、立ち上がり部12,12'を支持する傾斜側壁201xが前記第7実施例のもの(201)に比べて幅広であるためより安定に支持できる。
また、この第8実施例の保持部材2Xには、上向き片25を形成していないので、少なくともその分だけ安価に作成できる。
【0056】
なお、前記第7実施例の係止部分241もこの第8実施例の係止部分242も、外装材1Xに負圧が作用した際の抵抗となるが、以下に示すように僅かに相違する。
前記第7実施例の係止部分241は、略楔状に形成されているため、その下端が係合溝18の引っ掛けとなり、その上方への抜けを防止する抵抗となる。
それに対し、この第8実施例の係止部分242は、内側へ傾斜する先端が細径な形状であるため、その先端が係合溝18の奥深(上端)まで侵入して内側へ引っ張り、外装材1Xの面板部11を外方へ引っ張る作用を果たすので、負圧に対する大きな抵抗となる。
【0057】
図8(b)に示す第9実施例は、
図8(a)に示す保持部材2Yと、
図7(b)に示す外装材1Xにて形成した外装構造に、図示しない太陽電池パネル(3)を配設してなる構造であり、
図8(d)に示す第10実施例は、
図8(c)に示す保持部材2Zと、
図7(b)に示す外装材1Xにて形成した外装構造に、図示しない太陽電池パネル(3)を配設してなる構造である。
そして、これらの第9実施例や第10実施例は、前記
図6の第7実施例や前記
図7の第8実施例とほぼ同様に保持部材2Y,2Zに形成した上向きの係止突起である起立係止部24y、24zに外装材1Xに形成した下方が開放する係合溝18を係合させて取り付け、係合部121と被係合部22との係合と相俟って外装材1Xをより安定に保持でき、負圧に対して強固な構造とした。
【0058】
図8(a)の第9実施例における保持部材2Yは、略楔状の係止部分(241)に代えて内側へ傾斜する先端が更に内側へ傾斜する係止部分243が設けられている以外の構成は、前記
図6の第7実施例の保持部材2Wと全く同様であるから、図面に同一符号を付して説明を省略する。なお、前記第7実施例の係止部分241もこの第9実施例の係止部分243も、外装材1Xに負圧が作用した際の抵抗となるが、以下に示すように僅かに相違する。
前記第7実施例の係止部分241は、前述のように略楔状に形成され、その下端が係合溝18の引っ掛けとなるため、その上方への抜けを防止する抵抗となっている。
それに対し、この第9実施例の係止部分243は、内側へ傾斜する先端が更に内側へ傾斜する形状であるため、前記
図7の第8実施例における係止部分242と同様にその先端が係合溝18の奥深(上端)まで侵入して内側へ引っ張り、外装材1Xの面板部11を外方へ引っ張る作用を果たすので、負圧に対する大きな抵抗となる。
【0059】
図8(c)の第10実施例における保持部材2Zは、略矩形隆状部20zの頂部(支持部23)が略水平状の横片であり、その先端が被係合部22zである以外の構成は、前記
図7の保持部材2Xと全く同様であるから、図面に同一符号を付して説明を省略する。
この第10実施例では、前記第8実施例と同様の効果を果たし、立ち上がり部12,12'を支持する傾斜側壁201zが幅広であるためより安定に支持でき、上向き片25を形成していないので、少なくともその分だけ安価に作成できる。また、係止部分242は、内側へ傾斜する先端が細径な形状であるため、その先端が係合溝18の奥深(上端)まで侵入して内側へ引っ張り、外装材1Xの面板部11を外方へ引っ張る作用を果たすので、負圧に対する大きな抵抗となる。
なお、当該実施例における保持部材2Zに設けた被係合部22zは、外方へ延出した横片とその下方の隅部(空部)としたが、外装材1Wの係合部121が係合できる構成であればどのような形状でもよい。