【文献】
Ind. Eng. Chem. Res.,2009年 7月 9日,Vol. 48, No. 16,p. 7616-7623
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
定義
以下の定義が本明細書で使用される。
【0021】
本発明による組成物はUV照射を遮蔽することを目的とする光防護用組成物であり、この組成物は日焼け防止用組成物又は太陽光線防護用組成物としても知られている。
【0022】
「生理的に許容される」という語句は、好ましい色、香り及び感触を有し、消費者にこの組成物を使用する気をなくさせそうな許容できない不快感(刺激、こわばり又は発赤)を一切もたらさずに、ヒトのケラチン物質、特に皮膚及び/又はその付属器官若しくは粘膜と適合性を持つことを意味する。
【0023】
粒子の「平均粒径」という語句は、「Mastersizer 2000」粒径分析器(Malvern)を使用して測定されるパラメータD[4,3]を意味すると考えられている。照らされる角度に応じて粒子によって散乱される光強度を、Mie理論に従って、粒度分布に変換する。パラメータD[4,3]を測定するが、これは粒子と同じ体積を有する球体の平均直径である。球形粒子については、「平均直径」を参照することが多いであろう。
【0024】
「平均基本粒径」という語句は、凝集していない粒子の粒径を意味する。
【0025】
「ヒトのケラチン物質」という語句は、皮膚(身体、顔、目の周りの部分)、頭髪、まつ毛、眉、体毛、爪、唇又は粘膜を意味する。
【0026】
「無機UVフィルター」という語句は、その化学構造に炭素原子を一切含有せず、280〜400nmのUV照射を遮光できる任意の化合物を意味する。
【0027】
「少なくとも1種の遷移金属によってドープされた1種の無機UVフィルター(即ち、TiO
2、ZnO等の金属酸化物)」という語句は、ルミネセンスのトラップサイト及び/又はキラーサイトを設けるための少なくとも1種の遷移金属を組み込むホスト格子を含む任意の無機UVフィルター化合物を意味する。ルミネセンスのトラップサイト及び/又はキラーサイトとは、電子及び正電荷を持つ孔をトラップする、したがって、移動を阻害するように設計された外来イオンと理解されよう。ドープ金属酸化物及びその調製方法は、WO9960994及びWO0140114に記載されている。
【0028】
複合粒子
本発明による複合粒子は、球形状のもの、非球形状のもの、又はそれらの混合物から選択することができる。
【0029】
「球形」という用語は、粒子の球形度指数、即ちその最大直径とその最小直径の比が1.2未満であることを意味するものと考えられる。
【0030】
「非球形」という用語は、最長寸法と最短寸法の比が1.2を上回る場合の、三次元空間(長さ、幅及び厚さ又は高さ)における粒子を指す。本発明の粒子の寸法は、電子顕微鏡を走査し画像解析することによって求められる。これは、3つの寸法: 長さ、幅及び高さによって特徴付けられる、平行六面体の形(長方形又は正方形の面)、ディスク形(円形面)又は楕円形(卵形面)の粒子を含む。形が円形の場合、長さと幅は同じで、ディスクの直径に相当するのに対し、高さはディスクの厚さに相当する。面が卵形の場合、長さと幅はそれぞれ楕円の長軸と短軸に相当し、高さはプレートレットによって形成される楕円ディスクの厚さに相当する。平行六面体の場合、長さと幅は同じ寸法でも異なる寸法でもよい。両者が同じ寸法の場合、平行六面体の面の形は正方形であり、そうでない場合、形は長方形である。高さについては、平行六面体の厚さに相当する。
【0031】
本発明による複合粒子は、単層でも多層でもよい。
【0032】
本発明による複合粒子は、好ましくは、0.1〜30μm、好ましくは0.1〜20μm、更により優先的には0.1〜10μmの平均粒径を有する。
【0033】
第1の変形形態によれば、複合粒子は、無機UV遮蔽剤のマトリックス粒子が包含されている有機及び/又は無機材料を含むマトリックスを含有する。本実施形態によれば、マトリックスは含有物を有し、無機UV遮蔽剤の粒子はそのマトリックスの含有物中にある。
【0034】
第2の変形形態によれば、複合粒子は、有機及び/又は無機材料で作られているマトリックスを含有し、このマトリックスは、バインダーを使用してマトリックスと結合されていてもよい少なくとも1層の無機UV遮蔽剤で少なくとも部分的に被覆されている。
【0035】
第3の変形形態によれば、複合粒子は、少なくとも1層の有機及び/又は無機材料で少なくとも部分的に被覆された無機UV遮蔽剤を含有する。
【0036】
マトリックスも、1種又は複数の有機又は無機材料から形成されてもよい。その場合、これは合金等の材料の連続相、即ち材料がもはや解離できない連続相、又は例えば別の異なる有機材料若しくは無機材料の層で被覆された有機材料若しくは無機材料で構成される材料の不連続相となってもよい。
【0037】
一変形形態によれば、特に複合粒子がUV遮蔽剤の層で被覆されたマトリックスを含む場合、複合粒子は、特に生分解性又は生体適合性の材料、脂肪性物質、例えば界面活性剤又は乳化剤、ポリマー及び酸化物から選択される追加のコーティングで更に被覆されてもよい。
【0038】
好ましくは、本発明による組成物中の複合粒子の含有量は、組成物の総質量に対して1質量%〜70質量%、好ましくは1.5質量%〜50質量%、より好ましくは2質量%〜40質量%の範囲である。
【0039】
非球形複合粒子
非球形遮蔽粒子のマトリックスを形成するために使用できる有機材料は、ポリアミド、シリコーン、多糖、ポリビニル誘導体、ワックス及びポリエステル、並びにこれらの混合物からなる群から選択される。
【0040】
使用できる有機材料のうち、好ましくは以下が挙げられる:
- トリエトキシカプリリルシラン、及び
- エチレン/酢酸ビニルのコポリマー。
【0041】
非球形複合粒子のマトリックス中で使用できる無機材料は、雲母、合成雲母、滑石、シリカ、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、カオリン、ハイドロタルサイト、鉱物粘土及び合成粘土、並びにこれらの混合物からなる群から選択される。好ましくは、これらの無機材料は以下から選択される:
- シリカ、
- 滑石、及び
- アルミナ。
【0042】
本発明の非球形複合粒子は、三次元、即ち以下によって特徴付けられる。
- 最小が好ましくは0.1μm超、より好ましくは0.3μm超、更に良好なのは0.5μm超であり、かつ
- 最大が好ましくは30μm未満、より好ましくは20μm、更に良好なのは10μmである。
【0043】
最大寸法と最小寸法の比は概して1.2を上回る。
【0044】
本発明の粒子の寸法は、走査電子顕微鏡及び画像解析によって求められる。
【0045】
本発明に従って使用できる非球形遮蔽複合粒子は、好ましくはプレートレット形状であろう。
【0046】
「プレートレットの形」という用語は、平行六面体形状を意味する。
【0047】
これは滑らか、きめが粗い、又は多孔質な可能性がある。
【0048】
プレートレットの形をした複合粒子は、好ましくは、0.1〜10μmの平均厚さ、概して0.5〜30μmの平均長さ、及び0.5〜30μmの平均幅を有する。
【0049】
厚さは最も小さい寸法であり、幅は中間の寸法であり、長さは最長の寸法である。
【0050】
第1の変形形態によれば、複合粒子は、無機UV遮蔽剤のマトリックス粒子が包含されている有機及び/又は無機材料を含むマトリックスを含有する。
【0051】
第2の変形形態によれば、複合粒子は、バインダーを使用してマトリックスと結合されている少なくとも1層の無機UV遮蔽剤で少なくとも部分的に被覆された有機及び/又は無機材料で作られるマトリックスを含有する。
【0052】
この第2の変形形態によれば、無機UV遮蔽剤の層の平均厚さは、一般的に約10ナノメートルである。
【0053】
無機UV遮蔽剤の層の平均厚さは、有利には、0.001〜0.2μm、好ましくは0.01〜0.15μmである。
【0054】
第3の変形形態によれば、非球形複合粒子は、少なくとも1層の有機及び/又は無機材料で被覆された無機UV遮蔽剤を含有する。
【0055】
好ましくは、複合粒子のマトリックスは、以下から選択される材料又は材料の混合物を含有する:
SiO
2、
アルミナ、
アルミナ/トリエトキシカプリリルシランの混合物、
滑石、及び
ナイロン。
【0056】
より好ましくは、複合粒子のマトリックスは、以下から選択される材料又は材料の混合物から形成される:
アルミナ、
アルミナ/トリエトキシカプリリルシランの混合物、
滑石、及び
シリカ。
【0057】
球形複合粒子
第1の変形形態によれば、球形複合粒子は、無機UV遮蔽剤のマトリックス粒子が含有されている、少なくとも1種の有機材料及び/又は1種の無機材料を含むコアを含有する。
【0058】
第2の変形形態によれば、球形複合粒子は、少なくとも1種の有機及び/又は無機材料を含むコアを含有し、このコアは、バインダーを使用してマトリックスと結合されていてもよい少なくとも1層の無機UV遮蔽剤で少なくとも部分的に被覆されている。
【0059】
この第2の変形形態によれば、無機UV遮蔽剤の層の平均厚さは、概して0.001〜0.2μm、好ましくは0.01〜0.15μmである。
【0060】
第3の変形形態によれば、球形複合粒子は、少なくとも1層の有機及び/又は無機材料で少なくとも部分的に被覆された無機UV遮蔽剤のコアを含有する。
【0061】
本発明による球形複合粒子のマトリックス中で使用され得る無機材料は、ガラス、シリカ及び酸化アルミニウム、並びにこれらの混合物からなる群から選択できる。
【0062】
マトリックスを形成するために使用できる有機材料は、セルロース、ポリ(メタ)アクリレート、ポリアミド、シリコーン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカプロラクタム、多糖、ポリペプチド、ポリビニル誘導体、ワックス、ポリエステル、及びポリエーテル、並びにこれらの混合物からなる群から選択される。
【0063】
球形の複合粒子は、0.1μm〜30μm、好ましくは0.2μm〜20μm、より好ましくは0.3μm〜10μm、有利には0.5μm〜10μmの平均直径によって特徴付けられる。
【0064】
無機材料又は有機材料は、中空又は多孔質のものでよい。材料の多孔度は、BET法により、0.05m
2/g〜1500m
2/g、より優先的には0.1m
2/g〜1000m
2/g、更により優先的には0.2m
2/g〜500m
2/gの比表面積を特徴とするものでよい。
【0065】
好ましくは、球形複合粒子のマトリックスは、以下から選択される材料又は材料の混合物を含有する:
- SiO
2、
- セルロース、
- ポリメタクリル酸メチル、
- スチレン及び(メタ)アクリル酸C
1/C
5アルキル誘導体のコポリマー、
- ナイロン等のポリアミド。
【0066】
好ましくは、球形複合粒子のマトリックスは、有機材料として、以下のような架橋ポリメタクリル酸メチルポリマーの多孔質又は非多孔質の球形粒子を含有する:
- 積水化成品株式会社から販売されている製品SSX-102(登録商標)、
- 積水化成品株式会社からTECHPOLYMER MBP-8(登録商標)の商標名で販売されている製品、アイカ工業株式会社からGANZ PEARL GMP-0800(登録商標)の商標名で販売されている製品、及びSENSIENT社からCOVABEAD LH 85(登録商標)の商標名で販売されている製品等の架橋ポリメタクリル酸メチルポリマーの多孔質球形粒子(平均粒径2〜15μm及び比表面積75〜95m
2/g)。
【0067】
本発明の好ましい実施形態によれば、本発明に従って使用される複合粒子は、少なくとも1種の有機材料及び/又は少なくとも1種の無機材料を含むコアを含有する球形複合粒子であり、前記コアは、少なくとも1種の遷移金属によりドープされている少なくとも1層の無機UVフィルターで部分的に被覆されている。
【0068】
調製プロセス
本発明による複合粒子は、機械化学的融合法によって調製することができる。
【0069】
機械化学的融合法とは、多数の対象に、衝撃力、摩擦力、又は剪断力等の機械的な力をかけて、対象間に融合を引き起こす方法を意味する。
【0070】
機械化学的融合法は、例えば、日本のホソカワミクロン株式会社から市販されているメカノフュージョンシステム等の、回転する室と、掻き板を有する固定された内部部品とを含む装置によって実施することができる。
【0071】
機械化学的融合法としてハイブリダイザー法を使用することが好ましい。
【0072】
ハイブリダイザー法は、1980年代に開発された。ハイブリダイザー法は、多数の粒子に機械的な強い力をかけて、機械化学的反応を引き起こし、複合粒子を生成する機械化学的融合法の一部類である。
【0073】
ハイブリダイザー法によれば、機械的力は、10cm〜1mの直径を有することができ、且つ1,000rpm〜100,000rpmの速度で回転することができる高速ローターによって付与する。したがって、ハイブリダイザー法は、このような高速ローターを使用する機械化学的融合法であると定義することができる。ハイブリダイザー法は、空気中又は乾燥条件下で実施する。したがって、ローターの回転が高速であるために、ローター付近に高速空気流を発生させることができる。しかしながら、いくつかの液体材料は、固体材料と共にハイブリダイザー法にかけることができる。「ハイブリダイザー法」という用語は、技術用語として使用されている。
【0074】
ハイブリダイザー法は、例えば日本の奈良機械製作所により市販されているハイブリダイゼーションシステムを使用して実施することができ、このシステムでは、少なくとも2種の粒子、通常は芯粒子と微粒子を、乾燥条件下にある室中に複数の刃を有する高速ローターを備えたハイブリダイザーに供給し、粒子を室に分散させ、粒子に機械及び熱エネルギー(例えば、圧縮、摩擦、及び剪断応力)を、1〜10分、好ましくは1〜5分等の比較的短い時間付与する。結果として、一方の種類の粒子(例えば、微粒子)が他方の種類の粒子(例えば、芯粒子)上に包埋又は固定されて、複合粒子が形成される。粒子は、振盪等の静電処理にかけて、一方の種類の粒子が広がって他方の種類の粒子を覆っている「規則混合物」を生成させておくことが好ましい。ハイブリダイザー法は、日本の徳寿工作所により市販されているシータコンポーザを使用して実施することもできる。
【0075】
ハイブリダイザー法は、日本コークス工業株式会社により市販されているComposi Hybrid(登録商標)又はMechano Hybrid(登録商標)を使用して実施することもできる。
【0076】
ドープ無機UVフィルター
本発明に従って使用される無機UVフィルターは、好ましくは、金属酸化物粒子で構成され、好ましくは酸化亜鉛粒子(ZnO)、二酸化チタン粒子(TiO
2)、酸化鉄粒子(FeO)、及びそれらの混合物から選択される。
【0077】
好ましくは、TiO
2の粒子(非晶質又はルチル型及び/若しくはアナターゼ型の結晶質)を使用する。ルチル型は、アナターゼ型と比較して光安定性がより良好なため、より好ましい。
【0078】
少なくとも1種の遷移金属によりドープされたこれらの金属酸化物は、好ましくは、0.001〜0.2μmの基本平均粒径を有し、有利には、使用する金属酸化物粒子は0.01〜0.15μmの平均基本粒径を有する。
【0079】
金属ドープ無機UVフィルターの割合は、複合粒子の総質量に対して、好ましくは5質量%〜80質量%、より好ましくは5質量%〜60質量%の範囲である。
【0080】
この無機UVフィルター粒子は、好ましくはFe、Zn、Mn、Zr、Ce及びそれらの混合物から選択される、より好ましくはFe及びMnから選択される少なくとも1種の遷移金属によってドープされる。これらの金属は単一で又は混合物で組み込むことができる。それらのドープ金属酸化物の更なる詳細は、WO99/60994及びWO01/40114で見つけることができる。
【0081】
金属酸化物中の遷移金属の最適量は、通常の実験で求められるが、十分に低いことが好ましく、これにより粒子が着色されない。0.1mole%以上と同じくらい少ない量、例えば5mole%又は10mole%が一般的に使用され得る。一般的な濃度は、ドープ金属酸化物の総質量に対して、質量目方で0.5〜2mole%である。
【0082】
金属酸化物のドープ粒子は、ドープ酸化物を調製する標準プロセスのうちのいずれか1つによって得ることができる。これは、溶液又は懸濁液、通常は水溶液中で、金属酸化物の粒子を、塩化物又は過塩素酸塩若しくは硝酸塩等の酸素含有アニオン等の塩の形態の遷移金属と組み合わせ、次いで通常少なくとも300℃の温度でこれをバッキングすることによるバッキング技術によって得ることができる。ドープ材を調製するのに使用できる他のルートとして、Mat. Sci. (1997) 36、6001〜6008に記載のタイプの沈殿プロセスが挙げられ、ここではドーパント塩とホスト金属(即ち、Ti/Zn)のアルコキシドとの溶液を混合し、次いで混合溶液を加熱してアルコキシドをオキシドに変換させる。ドープ材の沈降物が得られるまで過熱を続ける。更なる詳細は、WO99/60994及びWO01/40114で見つけることができる。
【0083】
好ましい実施形態によれば、ドープ金属酸化物粒子は、FeドープTiO
2粒子及びMnドープTiO
2粒子から選択される。
【0084】
少なくとも1種の遷移金属によってドープされた金属酸化物粒子の例として、Feドープ二酸化チタン粒子で構成される石原産業株式会社からの市販製品TTO F6(登録商標)並びにMnドープ二酸化チタン粒子で構成されるCroda社からの市販製品OPTISOL OTP1-PW-WD(登録商標)が挙げられる。
【0085】
特に好ましい実施形態によれば、複合粒子は、少なくとも多孔質又は非多孔質の架橋ポリメタクリル酸メチルポリマーを含むコアを含有する球形複合粒子であり、前記コアは、少なくとも1層のFeドープTiO
2粒子で少なくとも部分的に被覆されている。
【0086】
別の特に好ましい実施形態によれば、複合粒子は、少なくとも多孔質又は非多孔質の架橋ポリメタクリル酸メチルポリマーを含むコアを含有する球形複合粒子であり、前記コアは、少なくとも1層のMnドープTiO
2粒子で少なくとも部分的に被覆されている。
【0087】
一般形態
本発明による組成物は、当業者に周知の手法に従い調製できる。
【0088】
これは、水性ローション又は水性ゲルの形態であってもよい、或いは水相に加えて、少なくとも1つの脂肪相を含み、乳液等の単純若しくは複合エマルション(O/W、W/O、O/W/O又はW/O/W)、クリーム、又はクリームゲルの形態であってもよい。これは任意選択によりエアゾールとしてパッケージングされてもよく、スプレーの形態であってもよい。
【0089】
好ましくは、本発明による組成物は、水中油型又は油中水型エマルション、より優先的には油中水型の形態である。
【0090】
使用できる乳化プロセスは、パドル若しくはインペラー、ローターステーター及び高圧ホモジナイザー(HPH)型のものである。
【0091】
低含有量の乳化性化合物(油/乳化剤の比>25)で、安定性のエマルションを得るために、濃縮相中に分散系を作り、次いで分散系を残りの水相で希釈することが可能である。
【0092】
また、HPH(50から800バールの間)を介して、液滴径が100nmまで縮小し得る安定した分散系を得ることも可能である。
【0093】
エマルションは一般的に、単体で又は混合物として使用される、両性、アニオン性、カチオン性又は非イオン性の乳化剤から選択される乳化剤を少なくとも1種含有する。乳化剤は、得ようとするエマルション(W/O又はO/W)に応じて適切に選択される。エマルションは他のタイプの安定化剤、例えば充填剤、又はゲル化若しくは増粘ポリマーも含有することができる。
【0094】
O/Wエマルションについては、挙げることができる乳化剤の例は、脂肪酸及びグリセロールのオキシアルキレン化(より具体的にはポリオキシエチレン化)エステル等の非イオン性乳化剤、脂肪酸の及びソルビタンのオキシアルキレン化エステル、例えば、Arlacel165の名称でICI社から販売されているステアリン酸PEG-100/ステアリン酸グリセリル混合物等の、脂肪酸のオキシアルキレン化(オキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化)エステル、脂肪アルコールのオキシアルキレン化(オキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化)エーテル、ステアリン酸スクロース等の糖のエステル、又は脂肪アルコール及び糖のエーテル、特に、例えば、Henkel社からそれぞれPlantaren2000及びPlantaren1200の名称で販売されているデシルグルコシド及びラウリルグルコシド等のアルキルポリグルコシド(APG)、例えば、Montanov68の名称でSEPPIC社から、Tegocare CG90の名称でGoldschmidt社から及びEmulgade KE3302の名称でHenkel社から販売されている、任意選択によりセトステアリルアルコールとの混合物としてのセトステアリルグルコシド、並びにまた、例えば、Montanov202の名称でSEPPIC社から販売されている、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール及びアラキジルグルコシドの混合物形態のアラキジルグルコシドを含む。本発明の特定の一実施形態によれば、上記で定義したアルキルポリグルコシドと対応する脂肪アルコールとの混合物は、例えばWO-A-92/06778の文書に記載されている自己乳化性組成物の形態であってもよい。
【0095】
他の乳化安定剤のうち、イソフタル酸又はスルホイソフタル酸ポリマー、特にフタレート/スルホイソフタレート/グリコールコポリマー、例えばEastman Chemical社からEastman AQ Polymer (AQ35S、AQ38S、AQ55S及びAQ48 Ultra)の名称で販売されているジエチレングリコール/フタレート/イソフタレート/1,4-シクロヘキサンジメタノールコポリマー(INCI名:ポリエステル-5)も使用することができる。
【0096】
他の乳化安定剤のうち、特許出願EP1069142に記載のもの等の疎水的に修飾された2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ポリマーも挙げられる。
【0097】
エマルションである場合、後者の水相は、公知のプロセス(Bangham、Standish及びWatkins、J. Mol. Biol.、13、238 (1965)、FR2315991並びにFR 2416008)に従って調製される非イオン性小胞分散体(vesicular dispersion)を含むことができる。
【0098】
W/Oエマルションの調製に使用できる乳化性界面活性剤として、例えば、25℃で5以下のHLBを有する乳化性界面活性剤が挙げられる。
【0099】
HLB(親水性親油性バランス)という用語は、当業者に周知であり、界面活性剤の親水性-親油性バランスを表す。
【0100】
本発明に従って使用される界面活性剤のHLBは、刊行物J. Soc. Cosm. Chem. 1954 (5巻)、249〜256頁に定義されている、グリフィンによるHLBである。
【0101】
HLBが5以下の界面活性剤の非限定的な例は、とりわけ題名McCutcheon's Emulsifiers & Detergents、1998 International Edition、MC Publishing Companyの刊行物中のHLB Indexという題名の章に記載されている。
【0102】
W/O乳化性界面活性剤の例としては、ソルビタン、グリセロール、ポリオール又は糖のアルキルエステル又はエーテル、シリコーン界面活性剤、例えば、ジメチコーンコポリオール、例えば、Dow Corning社からDC5225Cの名称で販売されているシクロメチコーンとジメチコーンコポリオールとの混合物、及びアルキルジメチコーンコポリオール、例えば、Dow Corning社からDow Corning 5200 Formulation Aidの名称で販売されているラウリルメチコーンコポリオール、セチルジメチコーンコポリオール、例えば、Goldschmidt社からAbil EM90Rの名称で販売されている製品、及びGoldschmidt社からAbil WE O9の名称で販売されているセチルジメチコーンコポリオールとイソステアリン酸ポリグリセリル(4mol)とラウリン酸ヘキシルとの混合物を挙げることができる。1種又は複数の共乳化剤もそれらに加えてよく、共乳化剤は、有利には、ポリオールアルキルエステルからなる群から選択されてもよい。
【0103】
非シリコーン系乳化剤、特にソルビタン、グリセロール、ポリオール又は糖のアルキルエステル又はエーテルが好ましい。
【0104】
具体的に挙げることができるポリオールアルキルエステルには、ポリエチレングリコールエステル、例えば、ジポリヒドロキシステアリン酸PEG-30、例えば、ICI社からArlacel P135の名称で販売されている製品がある。
【0105】
挙げることができるグリセロール及び/又はソルビタンエステルには、例えば、イソステアリン酸ポリグリセリル、例えばGoldschmidt社からIsolan GI 34の名称で販売されている製品、イソステアリン酸ソルビタン、例えばICI社からArlacel 987の名称で販売されている製品、イソステアリン酸ソルビタングリセリル、例えばICI社からArlacel 986の名称で販売されている製品、並びにそれらの混合物がある。
【0106】
本発明の特に好ましい一形態によれば、組成物は、油中水型エマルションの形態である。
【0107】
水相
本発明の組成物が水相を含有する場合、前記相は、水と、任意選択により他の水溶性又は水混和性有機溶媒を含有する。
【0108】
本発明に好適な水相は、例えば、La Roche-Posay水、Vittel水若しくはVichy水、又はフローラルウォーター等の天然の湧き水から選択される水を含むことができる。
【0109】
本発明に好適な水溶性又は水混和性溶媒は、短鎖モノアルコール、例えばエタノール又はイソプロパノール等のC
1〜C
4モノアルコール、ジオール又はポリオール、例えばエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2-エトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、グリセロール、及びソルビトール、並びにこれらの混合物を含む。
【0110】
好ましい実施形態によれば、エタノール、プロピレングリコール、グリセロール、及びこれらの混合物をより特定して使用することができる。
【0111】
水又は水相(即ち、エマルション中の)は、本発明の組成物中に、前記組成物の総質量に対して、5質量%〜90質量%、特に5質量%〜75質量%、より詳細には10質量%〜70質量%の範囲の含有量で存在することができる。
【0112】
水溶性有機溶媒は、本発明の組成物中に、前記組成物の総質量に対して、1質量%〜30質量%、特に2質量%〜20質量%の範囲の含有量で存在することができる。
【0113】
油相
本発明の組成物は、少なくとも1種の油を含む少なくとも1つの油相も含むことができる。
【0114】
本発明の目的のために、「油相」という用語は、少なくとも1種の油と、本発明の組成物の調製に使用されるすべての脂溶性及び親油性成分並びに脂肪性物質を含む相を意味すると考えられている。
【0115】
「油」という用語は、室温(20〜25℃)及び大気圧(760mmHg)で液状形態である任意の脂肪性物質を意味すると考えられている。
【0116】
本発明に好適な油は、揮発性であっても、不揮発性であってもよい。
【0117】
本発明に好適な油は、炭化水素ベースの油、シリコーン油、フッ素化油及びこれらの混合物から選択することができる。
【0118】
本発明に好適な炭化水素ベースの油は、動物性炭化水素ベースの油、植物性炭化水素ベースの油、鉱物系炭化水素ベースの油、又は合成炭化水素ベースの油であってもよい。
【0119】
本発明に好適な油は、有利には、鉱物系炭化水素ベースの油、植物性炭化水素ベースの油、合成炭化水素ベースの油、シリコーン油、及びこれらの混合物から選択することができる。
【0120】
本発明の目的のために、「シリコーン油」という用語は、少なくとも1個のケイ素原子、特に少なくとも1個のSi-O基を含む油を意味すると考えられている。
【0121】
「炭化水素ベースの油」という用語は、主に水素原子及び炭素原子を含む油を意味すると考えられている。
【0122】
本発明の目的のために、「シリコーン油」という用語は、少なくとも1個のケイ素原子、特に少なくとも1個のSi-O基を含む油を意味すると考えられている。
【0123】
「フッ素化油」という用語は、少なくとも1個のフッ素原子を含む油を意味すると考えられている。
【0124】
本発明に好適な炭化水素ベースの油は更に、酸素原子、窒素原子、硫黄原子及び/又はリン原子を、例えばヒドロキシル基、アミン基、アミド基、エステル基、エーテル基又は酸性基の形態で、特にヒドロキシル基、エステル基、エーテル基又は酸性基の形態で任意選択により含むことができる。
【0125】
油相は、親油性UV遮蔽剤(複数可)に加えて、少なくとも1種の揮発性若しくは不揮発性の炭化水素ベースの油、及び/又は1種の揮発性若しくは不揮発性のシリコーン油を一般的に含む。
【0126】
本発明の目的のために、「揮発性油」という用語は、皮膚又はケラチン繊維と接触させておくと室温及び大気圧で1時間未満の内に蒸発することができる油を意味すると理解される。本発明の揮発性油は、室温で液状であり、室温及び大気圧で、特に0.13Pa〜40000Pa(10
-3〜300mmHg)、詳細には1.3Pa〜13000Pa(0.01〜100mmHg)、より詳細には1.3Pa〜1300Pa(0.01〜10mmHg)を範囲としてゼロ以外の蒸気圧を有する揮発性化粧用油である。
【0127】
「不揮発性油」という用語は、室温及び大気圧で、皮膚上又はケラチン繊維上に少なくとも数時間は残り、とりわけ蒸気圧が10
-3mmHg(0.13Pa)未満である油を意味する。
【0128】
炭化水素ベースの油
本発明に従って使用され得る不揮発性炭化水素ベースの油として、特に以下を挙げることができる:
(i)植物起源の炭化水素ベースの油、例えば一般的にグリセロールの脂肪酸トリエステルであるトリグリセリドエステル(これらの脂肪酸はC
4からC
24の様々な鎖長を有することができ、これらの鎖は、おそらく、直鎖状若しくは分枝状、飽和若しくは不飽和であり、これらの油は、とりわけ、コムギ胚芽油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、ゴマ種子油、トウモロコシ油、アプリコット油、ヒマシ油、シア油、アボカド油、オリーブ油、大豆油、スイートアーモンド油、パーム油、ナタネ油、綿実油、ヘーゼルナッツ油、マカダミア油、ホホバ油、アルファルファ油、ケシの実油、カボチャ油、マロー油、ブラックカラント油、イブニングプリムローズ油、キビ油、オオムギ油、キノア油、ライムギ油、ベニバナ油、ククイ油、パッションフラワー油及びジャコウバラ油、又は、カプリル/カプリン酸トリグリセリド、例えば、Stearineries Dubois社から販売されているもの、若しくはDynamit Nobel社からMiglyol 810、812及び818の名称で販売されているものである)、
(ii)10〜40個の炭素原子を含有する合成エーテル、
(iii)無機又は合成起源の、直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えばワセリン、ポリデセン、水素化ポリイソブテン、例えばパールリーム、及びスクアラン、並びにそれらの混合物、
(iv)合成エステル、例えば式RCOOR'の油[式中、Rは、1〜40個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状の脂肪酸の残基を表し、R'は、1〜40個の炭素原子を含む炭化水素ベースの鎖、特に分枝状の炭化水素ベースの鎖を表し、但しR+R'≧10である]、例えば、ピュアセリン油(オクタン酸セテアリル)、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、安息香酸C
12〜C
15アルキル、例えばWitco社からFinsolv TN若しくはWitconol TNの商標名で販売されている製品、又はEvonik Goldschmidt社からTegosoft TNの商標名で販売されている製品、安息香酸2-エチルフェニル、例えばISP社からX-Tend 226の名称で販売されている市販製品、ラノリン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、イソノナン酸イソノニル、エルカ酸オレイル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、イソステアリン酸イソステアリル、セバシン酸ジイソプロピル、例えばStearinerie Dubois社から「Dub Dis」の名称で販売されている製品、アルコール又は多価アルコールのオクタン酸エステル、デカン酸エステル又はリシノール酸エステル、例えばジオクタン酸プロピレングリコール、ヒドロキシル化エステル、例えば乳酸イソステアリル又はリンゴ酸ジイソステアリル、及びペンタエリスリトールエステル、クエン酸エステル又は酒石酸エステル、例えば直鎖状のジ(C
12〜C
13アルキル)酒石酸エステル、例えばEnichem Augusta Industriale社からCosmacol ETIの名称で販売されているもの、また直鎖状のジ(C
14〜C
15アルキル)酒石酸エステル、例えば同社からCosmacol ETLの名称で販売されているもの、又は酢酸エステル、
(v)12〜26個の炭素原子を有する分岐状及び/又は不飽和炭素鎖を含む、室温で液状の脂肪アルコール、例えばオクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、2-ヘキシルデカノール、2-ブチルオクタノール又は2-ウンデシルペンタデカノール、
(vi)高級脂肪酸、例えばオレイン酸、リノール酸又はリノレン酸、
(vii)炭酸エステル、例えば炭酸ジカプリリル、例えばCognis社からCetiol CCの名称で販売されている製品、
(viii)脂肪アミド、例えばN-ラウロイルサルコシン酸イソプロピル、例えば味の素株式会社からEldew SL205の商標名で販売されている製品、
並びにこれらの混合物。
【0129】
本発明に従って使用され得る揮発性炭化水素ベースの油として特に挙げることができるのは、8〜16個の炭素原子を有する炭化水素ベースの油、特に分枝状のC
8〜C
16アルカン、例えば石油起源のC
8〜C
16イソアルカン(イソパラフィンとしても知られる)、例えばイソドデカン(2,2,4,4,6-ペンタメチルヘプタンとしても知られる)、イソデカン若しくはイソヘキサデカン、又はCognis社からの特許出願WO2007/068371又はWO2008/155059に記載のアルカン(少なくとも1個の炭素により差異化されている異なるアルカンの混合物)である。これらのアルカンは、ヤシ油又はパーム油から得られる脂肪アルコール、Isopar又はPermethylの商標名で販売されている油、分枝状のC
8〜C
16エステルであるネオペンタン酸イソヘキシル、及びこれらの混合物から得られる。
【0130】
他の揮発性炭化水素ベースの油、例えば石油留出物、とりわけShell社からShell Soltの名称で販売されているものも使用してよい。一実施形態によれば、揮発性溶媒は、8〜16個の炭素原子を有する揮発性炭化水素ベースの油、及びそれらの混合物から選択される。
【0131】
シリコーン油
不揮発性シリコーン油は、特に、不揮発性ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ペンダントである、且つ/又はシリコーン鎖の末端にあるアルキル基又はアルコキシ基(これらの基は、それぞれ2〜24個の炭素原子を有する)を含むポリジメチルシロキサン、又はフェニル化シリコーン、例えばフェニルトリメチコーン、フェニルジメチコーン、フェニル(トリメチルシロキシ)ジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコーン、ジフェニル(メチルジフェニル)トリシロキサン又はトリメチルシロキシケイ酸2-フェニルエチルから選択することができる。
【0132】
揮発性シリコーン油として挙げることができるのは、例えば、揮発性の直鎖状又は環状のシリコーン油、特に粘度≦8センチストーク(8×10
-6m
2/s)を有し、特に2〜7個のケイ素原子を有するものであり、これらのシリコーンは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基又はアルコキシ基を任意選択で含む。本発明において使用され得る揮発性シリコーン油として特に挙げることができるのは、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、及びそれらの混合物である。
【0133】
一般式(I)の直鎖状揮発性アルキルトリシロキサン油を挙げることもできる:
【0135】
(式中、Rは、2〜4個の炭素原子を含むアルキル基を表し、その1個又は複数の水素原子は、フッ素原子又は塩素原子で置き換えられ得る)。
【0136】
一般式(I)の油の中で挙げることができるのは:
3-ブチル-1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン、
3-プロピル-1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン、及び
3-エチル-1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサンであり、
これらは、Rが、それぞれブチル基、プロピル基又はエチル基である式(I)の油に相当する。
【0137】
フッ素化油
揮発性フッ素化油、例えばノナフルオロメトキシブタン、デカフルオロペンタン、テトラデカフルオロヘキサン、ドデカフルオロペンタン、及びこれらの混合物を使用してもよい。
【0138】
油相(親油性有機UV遮蔽材を除く)は、好ましくは、組成物の総質量に対して3質量%〜60質量%、好ましくは5質量%〜30質量%の範囲である。
【0139】
本発明による油相は、油と混合した、又は油に溶解した、他の脂肪性物質を更に含むことができる。
【0140】
油相中に存在することができる別の脂肪性物質は、例えば:
- 8〜30個の炭素原子を含む脂肪酸、例えばステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸及びオレイン酸から選択される脂肪酸、
- ラノリン、蜜蝋、カルナウバ若しくはキャンデリラワックス、パラフィン蝋、亜炭ワックス、微晶性ワックス、セレシン若しくはオゾケライト等のワックス、又はポリエチレンワックス若しくはフィッシャー・トロプシュワックス等の合成ワックスから選択されるワックス、
- シリコーンガム(ジメチコノール)から選択されるガム、
- ポリマー性又は非ポリマー性シリコーン化合物、グリセロールオリゴマーのエステル、プロピオン酸アラキジル、脂肪酸トリグリセリド、及びそれらの誘導体等のペースト状化合物、
- 並びにこれらの混合物
であってもよい。
【0141】
添加剤
本発明による組成物は、特に有機溶媒、イオン性若しくは非イオン性の、親水性若しくは親油性の増粘剤、粘滑剤、保湿剤、乳白剤、安定剤、皮膚軟化剤、シリコーン、消泡剤、香料、防腐剤、アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性イオン性若しくは両性の界面活性剤、充填剤、ポリマー、推進剤、塩基性化剤若しくは酸性化剤又は化粧料及び/若しくは皮膚科分野で普通に使用される任意の他の成分から選択される標準的な化粧用アジュバントも含むことができる。
【0142】
有機溶媒のうち、低級アルコール及びポリオールを挙げることができる。ポリオールは、グリコール及びグリコールエーテル、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール又はジエチレングリコールから選ぶことができる。
【0143】
挙げることができる親水性増粘剤には、カルボキシビニルポリマー、例えばカーボポール製品(カーボマー)及びペムレン製品(アクリレート/アクリル酸C
10〜C
30アルキルのコポリマー)、ポリアクリルアミド、例えばSEPPIC社からSepigel 305(CTFA名:ポリアクリルアミド/C
13〜C
14イソパラフィン/ラウレス7)又はSimulgel 600(CTFA名:アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー/イソヘキサデカン/ポリソルベート80)の名称で販売されている架橋コポリマー、任意選択により架橋及び/又は中和された2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ポリマー及びコポリマー、例えばHostacerin AMPS(CTFA名:ポリアクリロイルジメチルタウリンアンモニウム)の商標名でClariant社から販売されているポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸)又はSEPPIC社から販売されているSimulgel 800(CTFA名:ポリアクリロイルジメチルタウリンナトリウム/ポリソルベート80/オレイン酸ソルビタン)、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸及びアクリル酸ヒドロキシエチルのコポリマー、例えばSEPPIC社から販売されているSimulgel NS及びSepinov EMT 10、セルロース誘導体、例えばヒドロキシエチルセルロース、多糖、とりわけガム、例えばキサンタンガム、並びにこれらの混合物が含まれる。
【0144】
挙げることができる親油性増粘剤は、合成ポリマー、例えば、Landec社からIntelimer IPA13-1及びIntelimer IPA13-6の名称で販売されているポリ(アクリル酸C
10〜C
30アルキル)、又は改質粘土、例えば、ヘクトライト及びその誘導体、例えば、Bentoneの名称で販売されている製品が含まれる。
【0145】
本発明による組成物はまた、追加の化粧料用及び皮膚科用活性薬剤も更に含むことができる。
【0146】
活性薬剤のうち、以下が挙げられる:
- 単体又は混合物のビタミン(A、C、E、K、PP等)及びそれらの誘導体又は前駆体、
- 酸化防止剤、
- 遊離基捕捉剤、
- 抗糖化剤(antiglycation agent)、
- 鎮静剤、
- NO合成酵素阻害剤、
- 真皮又は表皮巨大分子の合成を刺激する、且つ/又はそれらの分解を防止する薬剤、
- 線維芽細胞増殖を刺激する薬剤、
- ケラチノサイト増殖を刺激する薬剤、
- 筋弛緩剤、
- 張力剤、
- 艶消し剤、
- 角質溶解剤、
- 剥離剤(desquamating agent)、
- 保湿剤、例えばポリオール、例えばグリセロール、ブチレングリコール又はプロピレングリコール、
- 抗炎症剤、
- 細胞のエネルギー代謝に作用する薬剤、
- 防虫剤、
- サブスタンスP又はサブスタンスCGRP拮抗剤、
- 抗脱毛剤及び/又は育毛剤、
- 抗皺剤、
- 追加の無機及び有機UV遮蔽剤、例えば上記のもの。
【0147】
本発明によれば、組成物は、UVA及び/又はUVB照射に活性である、相補的な1種若しくは複数の親水性、親油性若しくは不溶性の有機遮蔽剤及び/又は1種若しくは複数の無機遮蔽剤を自由な形態で更に含有し得る。
【0148】
相補的な有機遮蔽剤は、より好ましくは、ジベンゾイルメタン化合物、アントラニラート、ケイ皮化合物、サリチル化合物、カンファー化合物、ベンゾフェノン化合物、β,β-ジフェニルアクリレート化合物、トリアジン誘導体、ベンザルマロナート化合物、とりわけ特許US5624663に記載されているもの、ベンズイミダゾール化合物、イミダゾリン、p-アミノ安息香酸(PABA)化合物、ベンゾトリアゾール化合物、以下の特許出願:US5237071、US5166355、GB2303549、DE19726184及びEP893119に記載されているメチレンビス(ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール)化合物、以下の特許出願:EP0832642、EP1027883、EP1300137及びDE10162844に記載されているベンゾオキサゾール化合物、遮蔽ポリマー及び遮蔽シリコーン、例えば、とりわけ特許出願WO93/04665に記載されているもの、α-アルキルスチレン系ダイマー、例えば、特許出願DE19855649に記載されているもの、4,4-ジアリールブタジエン、例えば、以下の特許出願:EP0967200、DE19746654、DE19755649、EP-A-1008586、EP1133980及びEP133981に記載されているもの、メロシアニン誘導体、例えば、以下の特許出願:WO04/006878、WO05/058269及びWO06/032741に記載されているもの、特許EP-A-0823418及びEP-A-1341752に記載のインダニリデン遮蔽剤、及びそれらの混合物から選択される。
【0149】
相補的な有機UV遮蔽剤の例として、本明細書において以下にそれらのINCI名で示すものを挙げることができる:
【0150】
ジベンゾイルメタン誘導体:
ブチルメトキシジベンゾイルメタン(DSM Nutritional Products社からParsol 1789(登録商標)商標名で販売されている)。
【0151】
パラ-アミノ安息香酸誘導体:
PABA、
エチルPABA、
エチルジヒドロキシプロピルPABA、
エチルヘキシルジメチルPABA(特にISP社からEscalol 507の名称で販売されている)、
グリセリルPABA、
PEG-25 PABA(BASF社からUvinul P25の名称で販売されている)、
【0152】
サリチル酸誘導体:
ホモサレート(Merck社からEusolex HMS(登録商標)の名称で販売されている)、
サリチル酸エチルヘキシル(Symrise社からNeo Heliopan OS(登録商標)の名称で販売されている)、
サリチル酸ジプロピレングリコール(Lubrizol社からDipsal(登録商標)の名称で販売されている)、
サリチル酸TEA(Symrise社からNeo Heliopan TS(登録商標)の名称で販売されている)。
【0153】
ケイ皮酸誘導体:
メトキシケイ皮酸エチルヘキシル(とりわけDSM Nutritional Products社からParsol MCX(登録商標)の商標名で販売されている)、
メトキシケイ皮酸イソプロピル、
メトキシケイ皮酸イソアミル(Symrise社からNeo Heliopan E 1000(登録商標)の商標名で販売されている)、
シノキセート、
メトキシケイ皮酸DEA、
メチルケイ皮酸ジイソプロピル、
ジメトキシケイ皮酸エチルヘキサン酸グリセリル。
【0154】
β,β-ジフェニルアクリレート誘導体:
オクトクリレン(とりわけBASF社からUvinul N539(登録商標)の商標名で販売されている)、
エトクリレン(とりわけBASF社からUvinul N35(登録商標)の商標名で販売されている)。
【0155】
ベンゾフェノン誘導体:
ベンゾフェノン-1(BASF社からUvinul 400(登録商標)の商標名で販売されている)、
ベンゾフェノン-2(BASF社からUvinul D50(登録商標)の商標名で販売されている)、
ベンゾフェノン-3又はオキシベンゾン(BASF社からUvinul M40の商標名で販売されている)、
ベンゾフェノン-4(BASF社からUvinul MS40(登録商標)の商標名で販売されている)、
ベンゾフェノン-5、
ベンゾフェノン-6(Norquay社からHelisorb 11(登録商標)の商標名で販売されている)、
ベンゾフェノン-8(Cytec社よりCyasorb UV-24(登録商標)の商標名で販売されている)、
ベンゾフェノン-9(BASF社よりUvinul DS-49(登録商標)の商標名で販売されている)、
ベンゾフェノン-12、
2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸N-ヘキシル(BASF社からUvinul A PLUS(登録商標)の商標名で販売されている)、又はメトキシケイ皮酸オクチルとのその混合物形態(BASF社からUvinul A PLUS Bの商標名で販売されている)、
1,1'-(1,4-ピペラジンジイル)ビス[1-[2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]フェニル]メタノン(CAS 919803-06-8)。
【0156】
ベンジリデンカンファー誘導体:
3-ベンジリデンカンファー(Chimex社からMexoryl SDの名称で製造されている)、
4-メチルベンジリデンカンファー(Merck社からEusolex 6300(登録商標)の名称で販売されている)、
ベンジリデンカンフルスルホン酸(Chimex社からMexoryl SL(登録商標)の名称で製造されている)、
メト硫酸カンファーベンザルコニウム(Chimex社からMexoryl SO(登録商標)の名称で製造されている)、
テレフタリリデンジカンファースルホン酸(Chimex社からMexoryl SX(登録商標)の名称で製造されている)、
ポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー(Chimex社からMexoryl SW(登録商標)の名称で製造されている)。
【0157】
フェニルベンズイミダゾール誘導体:
フェニルベンズイミダゾールスルホン酸(特にMerck社からEusolex 232(登録商標)の商標名で販売されている)、
フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム(Symrise社からNeo Heliopan AP(登録商標)の商標名で販売されている)。
【0158】
ベンゾトリアゾール誘導体:
ドロメトリゾールトリシロキサン(Rhodia Chimie社からSilatrizoleの名称で販売されている)、
メチレンビス(ベンゾトリアゾリル)テトラメチルブチルフェノール(Fairmount Chemical社からMIXXIM BB/100(登録商標)の商標名にて固体形態で、又はBASF社からTinosorb M(登録商標)の商標名にて水性分散体として微粉化された形態で販売されている)、
【0159】
トリアジン誘導体:
ビス(エチルヘキシルオキシフェノール)メトキシフェニルトリアジン(BASF社からTinosorb S(登録商標)の商標名で販売されている)、
エチルヘキシルトリアゾン(特に、BASF社からUvinul T150(登録商標)の商標名で販売されている)、
ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン(Sigma 3V社からUvasorb HEB(登録商標)の商標名で販売されている)、
2個のアミノベンゾエート基で置換されたシリコーントリアジン、例えば、特許EP0841341に開示されているもの、特に、化合物2,4-ビス(n-ブチル4'-アミノベンザルマロネート)-6-[(3-{1,3,3,3-テトラメチル-1-[(トリメチルシリルオキシ]ジシロキサニル}プロピル)アミノ]-s-トリアジン、
2,4,6-トリス(ジイソブチル4'-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、
2,4,6-トリス(ジネオペンチル4'-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、
2,4-ビス(ジネオペンチル4'-アミノベンザルマロネート)-6-(n-ブチル4'-アミノベンゾエート)-s-トリアジン、
特許US6225467、特許出願WO2004/085412(化合物6及び9を参照されたい)又は文書「Symmetrical Triazine Derivatives」IP.COM Journal、IP.COM INC West Henrietta、NY、US(2004年9月20日)に記載されている対称トリアジン遮蔽剤、とりわけ2,4,6-トリス(ビフェニル)-1,3,5-トリアジン(特に2,4,6-トリス(ビフェニル-4-イル-1,3,5-トリアジン)及び2,4,6-トリス(テルフェニル)-1,3,5-トリアジン(Beiersdorfの特許出願WO06/035000、WO06/034982、WO06/034991、WO06/035007、WO2006/034992及びWO2006/034985にも言及されている)。
【0160】
アントラニル誘導体:
アントラニル酸メンチル(Symrise社からNeo Heliopan MA(登録商標)の商標名で販売されている)。
【0161】
イミダゾリン誘導体:
プロピオン酸エチルヘキシルジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリン、
【0162】
ベンザルマロネート誘導体:
ジネオペンチル4'-メトキシベンザルマロネート、
ベンザルマロネート官能基を含有するポリオルガノシロキサン、例えば、ポリシリコーン-15(DSM Nutritional Products社からParsol SLX(登録商標)の商標名で販売されている)。
【0163】
4,4-ジアリールブタジエン誘導体:
1,1-ジカルボキシ(2,2'-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン。
【0164】
ベンゾオキサゾール誘導体:
2,4-ビス[5-1(ジメチルプロピル)ベンゾオキサゾール-2-イル-(4-フェニル)イミノ]-6-(2-エチルヘキシル)イミノ-1,3,5-トリアジン、
並びにこれらの混合物。
【0165】
相補的な有機UV遮蔽剤は、好ましくは、本発明による組成物中に、組成物の総質量に対して0.01質量%〜20質量%の範囲、好ましくは組成物の総質量に対して0.1質量%〜15質量%の範囲の割合で存在する。
【0166】
自由な形態の相補的な無機遮蔽剤は、一次粒子平均径が優先的に5nm〜100nm(好ましくは10nm〜50nm)である被覆又は非被覆の金属酸化物顔料から選択され、例えば酸化チタン(非晶質又はルチル型及び/若しくはアナターゼ型の結晶形態)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、又は酸化セリウム顔料であり、これらはすべて、それ自体がよく知られたUV光防護剤である。
【0167】
顔料は被覆されていても被覆されていなくてもよい。
【0168】
被覆された顔料は、例えば、Cosmetics & Toiletries、1990年2月、105巻、53〜64頁に記載の化合物、例えば、アミノ酸、蜜蝋、脂肪酸、脂肪アルコール、アニオン性界面活性剤、レシチン、脂肪酸のナトリウム、カリウム、亜鉛、鉄若しくはアルミニウム塩、金属アルコキシド(チタン若しくはアルミニウムのアルコキシド)、ポリエチレン、シリコーン、タンパク質(コラーゲン、エラスチン)、アルカノールアミン、酸化ケイ素、金属酸化物、又はヘキサメタリン酸ナトリウム等による、1つ又は複数の化学的、電気的、機械化学的及び/又は機械的な性質の表面処理を受けた顔料である。
【0169】
公知のように、シリコーンは、好適に官能化されたシランの重合及び/又は重縮合により得られる、様々な分子量の、直鎖状又は環状の、分枝又は架橋構造の有機ケイ素ポリマー又はオリゴマーであり、ケイ素原子が酸素原子を介して互いに連結され(シロキサン結合)、任意選択により置換された炭化水素ベースの基が炭素原子を介して前記ケイ素原子と直接結合している主要単位の繰り返しから本質的になる。
【0170】
「シリコーン」という用語には、その調製に必要とされるシラン、特にアルキルシランも含まれる。
【0171】
顔料の被覆に使用する本発明に好適なシリコーンは、好ましくは、アルキルシラン、ポリジアルキルシロキサン、及びポリアルキルヒドロシロキサンからなる群から選択される。更により好ましくは、シリコーンは、オクチルトリメチルシラン、ポリジメチルシロキサン及びポリメチルヒドロシロキサンを含む群から選択される。
【0172】
当然ながら、金属酸化物顔料は、シリコーン処理の前に、他の表面剤、特に酸化セリウム、アルミナ、シリカ、アルミニウム化合物若しくはケイ素化合物又はそれらの混合物で処理されていてもよい。
【0173】
このような被覆又は非被覆金属酸化物顔料は、特に、特許出願EP-A-0518773に開示されている。市販の顔料として、Sachtleben社、Tayca社、Merck社及びEvonik社から販売されている製品を挙げることができる。
【0174】
相補的な無機UVフィルターは、一般的に、組成物の総質量に対して0.5〜40質量%、好ましくは1〜30質量%を占める。
【0175】
言うまでもなく、当業者は、本発明の組成物と本質的に関連している有利な特性が想定される追加によって有害な影響を受けない、又は実質的に受けないように、前述の任意選択による追加の化合物及び/又はそれらの量を注意深く選択するであろう。
【0176】
当業者は、皮膚、毛髪、まつ毛、眉又は爪への所望の効果に応じて、前記活性薬剤を選択されよう。
【0177】
本発明による化粧料組成物は、多くの処置において、特に、頭皮を含めた、皮膚、唇及び毛髪の美容処置において、適用される。
【0178】
本発明の別の主題は、皮膚、唇、爪、毛髪、まつ毛、眉及び/又は頭皮を美容処置するための製品、特にケア製品、日焼け止め製品及びメーキャップ製品の製造における上に定義した本発明による組成物の使用である。
【0179】
本発明による化粧料組成物は、例えば、メーキャップ製品として使用することができる。
【0180】
本発明による化粧料組成物は、例えば、乳液、幾分リッチなクリーム、クリームゲル及びペースト等の液状から半液状の粘稠性の、顔及び/又は身体用のケア製品及び/又は日焼け止め製品として使用できる。これらは、任意選択により、エアゾール形態でパッケージングされてもよく、ムース又はスプレーの形態であってもよい。
【0181】
本発明による蒸発性流体ローションの形態の本発明による組成物は、加圧装置によって微粒子の形態で皮膚又は毛髪に適用される。本発明による装置は、当業者にとって周知であり、ノンエアゾール型ポンプ又は「アトマイザー」、噴射剤を含むエアゾール容器、及び噴射剤として圧縮空気を使用するエアゾールポンプを含む。これらの装置は、特許US4077441及びUS4850517に記載されている。
【0182】
本発明によりエアゾールとしてパッケージングされる組成物は、一般的に、従来の噴射剤、例えば、フッ化水素処理した化合物、ジクロロジフルオロメタン、ジフルオロエタン、ジメチルエーテル、イソブタン、n-ブタン、プロパン又はトリクロロフルオロメタン等を含む。それらは、好ましくは、組成物の総質量に対して15質量%〜50質量%の範囲の量で存在する。
【0183】
以下に続く実施例は、本発明を説明する助けとなる。
【実施例】
【0184】
(実施例1〜4)
メカノフュージョンハイブリダイゼーション法(mechanofusion hybridization process)による複合粒子の調製
日本の株式会社奈良機械製作所から販売されている、乾燥条件にある室中に複数の刃を有する高速ローターを備えたハイブリダイザーを使用して、Table 1(表1)に示す成分をハイブリダイゼーションにかけた。各実施例では、Table 1(表1)に示す成分を、同じ表で示されている質量比で混合し、プラスチック製袋の中で数分間振盪した。次いで、混合物をハイブリダイザーに投入し、ローターを8000rpm(線速度100m/s)で3分間回転させた。
【0185】
【表1】
【0186】
(実施例5〜9)
日焼け防止用の水/油エマルション
以下の組成物5〜9を調製した。各成分は、組成物の総質量に対して活性材料の質量パーセントとして表示されている。
【0187】
【表2A】
【0188】
【表2B】
【0189】
エマルション調製方法:
原料を、80℃で機械的に撹拌しながら混合することによって、水相A1、A2、A3及び油相B1及びB2を調製し、得られる溶液は肉眼的に均一である。Moritzホモジナイザーを用いて撹拌速度4,000rpmで15分間撹拌しながら水相に油相をゆっくり導入することによって、エマルションを調製する。得られるエマルションを撹拌しながら40℃まで冷却し、次いで相B3をその中に静かに撹拌しながら加え、後続して相C、D、E及びFを加える。得られるエマルションを静かに撹拌しながら室温まで冷却し、次いで相Gを加える。これは、液滴径1〜10μmの液滴によって特徴付けられる。
【0190】
これらの組成物は以下の特性に従って評価した。
- 遮蔽効果、及び
- 皮膚への適用時の感覚。
【0191】
実施例5〜9を、0.5質量%での同等の活性材料量のTiO
2で比較した。
【0192】
In vitro SPF
太陽光線保護指数(SPF)を、B.L. DiffeyによるJ. Soc. Cosmet. Chem. 40、127〜133、(1989)に記載のin vitro法に従って決定する。測定はLabsphere社製のUV-1000S分光光度計を使って実施した。各組成物は、1mg/cm
2の割合で均一且つ均等な堆積物の形態で、PMMAの素板(rough plate)に適用する。
【0193】
in vitro PPD指数
UV-A保護指数を測定するために、皮膚をUV-Aに曝露して2時間から4時間後に観察される皮膚の色を測定するPPD(持続型沈着黒化)法が特に推奨され、用いられている。この方法は、製品のUV-Aラベリングのための公式試験手順として、1996年以来、日本化粧品工業連合会(JCIA)によって採用されており、欧州及び米国の試験機関でしばしば使用される(1995年11月21日に発行され、1996年1日1日に有効となった日本化粧品工業連合会の技術告示による、UVA防護有効性のための測定基準)。
【0194】
UVA
PPD太陽光線保護指数(UVA
PPD PF)は、UV遮蔽剤を用いた場合に色素沈着閾値に達するのに必要なUV-A照射量(MPPDp)の、UV遮蔽剤がない場合に色素沈着閾値に達するのに必要なUV-A照射量(MPPDnp)に対する比によって数学的に表される。
【0195】
【数1】
【0196】
測定はLabsphere社製のUV-2000S分光光度計を使って、in vitro試験に従って実施した。各組成物は、1mg/cm
2の割合で均一且つ均等な堆積物の形態で、PMMAの素板に適用する。
【0197】
皮膚への適用後の感覚効果を評価するためのプロトコル
皮膚に配合物を適用した後の感覚効果は、前腕に2mg/cm
2の比率で配合物を適用し、2分間の乾燥時間の間待ち、次いで指と前腕の表面との間で感じる摩擦力を判定することによって評価する。次いで、適用後に脂っぽい油性肌の感覚を評価した。
【0198】
結果
【0199】
【表3】
【0200】
これらの結果は、
- ドープTiO
2を有する複合粒子を含有する本発明による組成物5及び8が、非ドープTiO
2を有する複合粒子を含有する比較例の組成物7及び9と比較して、UVA及びUVB照射に対してより有効であることと、
- ドープTiO
2を有する複合粒子を含有する本発明による組成物5及び8が、自由な形態でドープTiO
2粒子を含有する比較例の組成物6並びに非ドープTiO
2を有する複合粒子を含有する比較例の組成物7及び9よりも優れた感覚効果を有することと
を示す。