(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6486594
(24)【登録日】2019年3月1日
(45)【発行日】2019年3月20日
(54)【発明の名称】光学アレイを使用して微細構造を形成するためのフローリソグラフィ技法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/207 20060101AFI20190311BHJP
G03F 7/24 20060101ALI20190311BHJP
G03F 7/23 20060101ALI20190311BHJP
【FI】
G03F7/207 Z
G03F7/24 Z
G03F7/23 Z
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-32697(P2014-32697)
(22)【出願日】2014年2月24日
(65)【公開番号】特開2014-182372(P2014-182372A)
(43)【公開日】2014年9月29日
【審査請求日】2017年2月20日
(31)【優先権主張番号】13/835,631
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502096543
【氏名又は名称】パロ・アルト・リサーチ・センター・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Palo Alto Research Center Incorporated
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】カイ・メルデ
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・エイチ・シュメルチェル
【審査官】
植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−033071(JP,A)
【文献】
特開2006−032692(JP,A)
【文献】
特開2004−170628(JP,A)
【文献】
特開2009−049423(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/035489(WO,A1)
【文献】
国際公開第2013/018699(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
微細構造を合成するためのシステムであって、
光源と、
少なくとも1つのマスク特徴を有し、または生成し、前記光源からの光を伝えるように配置されている、マスクと、
プレカーサ材料がその上で搬送される、移動ターゲット基板と、
各光学素子が、プレカーサ材料中に微細構造を形成するために前記光源から前記マスクを介して移動ターゲット基板上に投影されるマスク特徴に対応するように、配置された光学素子のアレイと
を備え、
前記光学素子のアレイは、ミラーアレイであってシリンダの表面上に形成される、システム。
【請求項2】
微細構造を合成するためのシステムであって、
光源と、
少なくとも1つのマスク特徴を有し、または生成し、前記光源からの光を伝えるように配置されている、マスクと、
各光学素子が前記光源から前記マスクを介して投影されるマスク特徴に対応するように配置された光学素子のアレイと、
前記光学素子に位置合わせされたくぼみが形成された表面を有するシリンダであって、前記表面は、前記光源からプレカーサ材料上に投影される光に基づいて微細構造が形成されるプレカーサ材料を搬送するように構成される、シリンダと
を備えるシステム。
【請求項3】
前記プレカーサ材料のための供給源をさらに備え、前記供給源は、前記プレカーサ材料によって前記シリンダをコーティングするように構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
形成された粒子が前記シリンダから移されるターゲットをさらに備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記光学素子のアレイは、前記シリンダの表面上にある、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記光学素子のアレイは、前記シリンダの外部に配置される、請求項2に記載のシステム。
【請求項7】
方法であって、
光によってプレカーサ材料上にマスク特徴を投影することと、
前記投影された光の焦点を前記プレカーサ材料上に合わせて、プレカーサ材料の合成を開始し、前記マスク特徴に基づいて微細構造または微細粒子を形成することと、
さらなる微細構造または微細粒子を形成するために、光が前記プレカーサ材料の異なる部分上に投影するように、前記プレカーサ材料を連続的に供給することと
を備え、
前記マスク特徴は、シリンダの表面上に形成されたミラーアレイによって前記プレカーサ材料上に投影される方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学アレイを使用して微細構造を形成するためのフローリソグラフィ技法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ流体チャネルと、フローを特定の時間に開始および停止することを可能にするシステムインターフェースとを使用した、ストップフローリソグラフィと呼ばれる周知の粒子形成処理がある。流体は典型的に、プレカーサ(たとえば、PEG−DA)および光重合開始剤を含む。チャネルが溶液で満たされると、フローが停止し、顕微鏡対物レンズがチャネル中に紫外(UV)線のパターンを投影して局部的な重合を開始する。これは、粒子になる架橋ポリマーの二次元(2D)形状の塊を作成する。重合の後、フローが再開され、粒子が流し出されて新しいプレカーサと置き換えられ、次の粒子が合成される。このストップフローリソグラフィ技法では、マイクロ流体チャネルに典型的な有限レイノルズ数のクリーピングフローが、拡散に基づいた混合といった特性を利用して、蛍光染料のようなさまざまな特性のストライプまたは内部勾配、すなわち、コロイド粒子の制御された濃度を有する、任意の異方性2D粒子を作成することを可能にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、ストップフローリソグラフィ技法は、閉鎖型マイクロチャネルと1チャネルあたり1つの顕微鏡対物レンズとに依拠するので、同技法を工業環境に合わせて調整することは困難である。さらに、重合中に粒子がチャネルの上壁および底壁に粘着する傾向がある。これは、連続処理としての同技法の使用を制限する。
【0004】
また、マイクロレンズアレイが投影リソグラフィのために使用されており、とりわけ、集積ガラスミクロスフェアをレンズとして用い、PDMSスタンプを使用する、広い表面積にわたるサブマイクロメータの特徴の複雑なパターニングに関連する作業に使用されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願において説明される実施形態の一態様において、システムは、光源と、少なくとも1つのマスク特徴を有し、または生成し、光源からの光を伝えるように配置されている、マスクと、プレカーサ材料がその上で搬送される、移動ターゲット基板と、各光学素子が、プレカーサ材料中に微細構造を形成するために光源からマスクを介して移動ターゲット基板上に投影されるマスク特徴に対応するように、配置された光学素子のアレイとを備える。
【0006】
本願において説明される実施形態の別の態様において、光学素子のアレイは、シリンダの表面上に形成される。
【0007】
本願において説明される実施形態の別の態様において、光学素子のアレイは、マイクロレンズアレイである。
【0008】
本願において説明される実施形態の別の態様において、光学素子のアレイは、ミラーアレイである。
【0009】
本願において説明される実施形態の別の態様において、光源およびマスクは、シリンダの内部に配置される。
【0010】
本願において説明される実施形態の別の態様において、光源およびマスクは、シリンダの外部に配置される。
【0011】
本願において説明される実施形態の別の態様において、シリンダは、ガラス材料によって形成される。
【0012】
本願において説明される実施形態の別の態様において、光源は、紫外線源である。
【0013】
本願において説明される実施形態の別の態様において、マスクは、静的マスクまたはデジタルマイクロミラーデバイスのうちの少なくとも1つを備える。
【0014】
本願において説明される実施形態の別の態様において、システムは、光源と、少なくとも1つのマスク特徴を有し、または生成し、光源からの光を伝えるように配置されている、マスクと、各光学素子が光源からマスクを介して投影されるマスク特徴に対応するように配置された光学素子のアレイと、光学素子に位置合わせされたくぼみが形成された表面を有するシリンダであって、表面は、光源からプレカーサ材料上に投影される光に基づいて微細構造が形成されるプレカーサ材料を搬送するように構成される、シリンダとを備える。
【0015】
本願において説明される実施形態の別の態様において、システムはさらに、プレカーサ材料のための供給源を備え、供給源は、プレカーサ材料によってシリンダをコーティングするように構成される。
【0016】
本願において説明される実施形態の別の態様において、システムはさらに、形成された粒子がシリンダから移されるターゲットを備える。
【0017】
本願において説明される実施形態の別の態様において、光学素子のアレイは、シリンダの表面上にある。
【0018】
本願において説明される別の態様において、光学素子のアレイは、シリンダの外部に配置される。
【0019】
本願において説明される実施形態の別の態様において、光源およびマスクは、シリンダの内部に配置される。
【0020】
本願において説明される実施形態の別の態様において、光源およびマスクは、シリンダの外部に配置される。
【0021】
本願において説明される実施形態の別の態様において、シリンダは、ガラス材料によって形成される。
【0022】
本願において説明される実施形態の別の態様において、光源は、紫外線源である。
【0023】
本願において説明される実施形態の別の態様において、マスクは、静的マスクまたはデジタルマイクロミラーデバイスのうちの少なくとも1つを備える。
【0024】
本願において説明される実施形態の別の態様において、方法は、光によってプレカーサ材料上にマスク特徴を投影することと、投影された光の焦点をプレカーサ材料上に合わせて、材料の合成を開始し、マスク特徴に基づいて微細構造または微細粒子を形成することと、さらなる微細構造または微細粒子を形成するために、光が材料の異なる部分上に投影するように、材料を連続的に供給することとを備える。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1A】
図1(a)は、本願において説明される実施形態に係るシステムの典型図である。
【
図1B】
図1(b)は、本願において説明される実施形態に係るシステムの典型図である。
【
図2】
図2は、本願において説明される実施形態に係るシステムの典型図である。
【
図3】
図3は、本願において説明される実施形態に係るシステムの典型図である。
【
図4】
図4は、本願において説明される実施形態に係るシステムの典型図である。
【
図5】
図5は、本願において説明される実施形態に係るシステムの典型図である。
【
図6A】
図6(a)は、本願において説明される実施形態に係るシステムの典型図である。
【
図6B】
図6(b)は、本願において説明される実施形態に係るシステムの典型図である。
【
図7】
図7は、本願において説明される実施形態に係るシステムの典型図である。
【
図8】
図8は、本願において説明される実施形態に係るシステムの典型図である。
【
図9】
図9は、本願において説明される実施形態に係るシステムの典型図である。
【
図10A】
図10(a)は、本願において説明される実施形態に係るシステムの典型図である。
【
図10B】
図10(b)は、本願において説明される実施形態に係るシステムの典型図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
カスタムの形状と組成の微細粒子または微細構造を製造する科学産業に対する一般的な関心がある。例は、複合生物学分析システムのためのバーコード識別粒子、ドラッグデリバリのための機能性粒子、または、コーティングにおける自己組織化のための、または機能性材料のためのビルディングブロックとしての、同質でない粒子(たとえば、可変密度、化学組成、ヤヌス粒子)を含む。そのような粒子の、スケーラブルでコスト効率のよい製造方法は、従来技術によって達成されてこなかった。
【0027】
しかしながら、本願において説明される実施形態は、連続コーティング処理においてマイクロレンズアレイのような光学アレイを使用して微細粒子または微細構造を形成または合成するための連続フロー投影リソグラフィに関する。そのようなリソグラフィの1つの実現のために、マスクは、アレイからある距離を隔てて、たとえば、単一のレンズの焦点距離よりもはるかに長い距離(たとえば、「無限遠」)を隔てて置かれる。この技法の利点は、多層化である。アレイの各素子、すなわち、マイクロレンズは、有効にコピーを作ってアレイ(たとえば、N×Mアレイ)を実現しながら、基板上にマスクの1つの像を投影する。いくつかの形態では、スロット、スライド、またはカーテンコーティングといった従来のコーティング処理が、粒子の機能性領域、すなわち、たとえば粒子または微細構造を搬送するために使用される網の表面への架橋ポリマーの粘着を防ぐ支持層、を定義するために使用され得る多層フローを可能にする。また、マイクロレンズアレイではなく、適切なシステムの変更とともにマイクロミラーアレイが光学アレイとして使用され得る。さらにまた、マスクは、静的マスク(たとえば、固定バイナリマスク)および/または動的マスク(たとえば、デジタルマイクロミラーデバイス(単数または複数))を含む、さまざまな形態をとることができる。
【0028】
本願において説明される実施形態に関連して説明されるシステムおよび方法は、さまざまな異なる応用例に使用されることができる。たとえば、これらの技法を使用してさまざまな粒子が形成され得る。いくつかの形態では、粒子のサイズおよび形状がカスタマイズされる。粒子は二次元マスクによって定義され得るが、二次元マスクを使用して粒子が形成される活性材料の厚みによって、第3の次元(たとえば、厚み)が定義される。この技法によって形成される粒子はまた、処理中に互いに架橋される1つ以上の異なるポリマー材料によって形成されることができる。多層粒子がまた、多層膜を使用して形成されることができる。さらにまた、粒子は、染料およびコロイドのような添加剤を有するポリマーによって形成されることができる。そして、本願において説明される実施形態によって形成される粒子は、たとえば、生物学的環境、ドラッグデリバリのような機能性環境、自己組織化またはビルディング環境を含む、さまざまな異なる環境において使用されることができる。
【0029】
図1(a)は、光学アレイおよび可動基板を使用したそのような処理の例示的な実現を示す。この点について、自由表面を有するコーティングフローを塗布し、光学アレイと可動基板上で搬送される流体との間に、エアギャップを残すか、または被覆を提供することが実行可能である。
図1(a)に示すように、システム100は、光源102およびマスク104を含む。光は、光源102からマスク104を通ってマイクロレンズアレイ106のような光学アレイ上へと投影し、液体またはプレカーサ材料110によって形成された活性層中に粒子114を形成する。また、移動基板112、および、プレカーサ材料110と移動基板112またはアレイ106との間の結合を防ぐために配置されたエアギャップまたは被覆108が示されている。
【0030】
光源102は、さまざまな形態をとることができる。1つの形態では、光源は、紫外線源(たとえば、450ナノメートル未満の波長を有する)である。粒子の合成または重合のための処理に依存して、光源がさまざまな他の形態をとり得ることが理解されるべきである。たとえば、熱重合が使用される場合、赤外線源が使用され得る。
【0031】
マスク104も同様に、さまざまな形態をとることができる。示すように、マスク104は、リソグラフィのために使用されるマスクであり、さまざまな構成を有し得る。たとえば、マスクは、固定バイナリマスクのような静的マスクであることができ、印刷されたマスクであることができ、またはクロムマスクであることができる。例として、レーザー切断されたバイナリマスクが、本願において説明される実施形態に係るシステムにおいて、適切に実現されることができる。いずれにしても、マスクはまた、拡散器層を含むことができ、またはマスクに関連して配置された適切な拡散器を有する。また、後述されるように、固定バイナリマスクのような静的マスクのかわりに、移動基板上に複雑なパターンを作成するより多くの可能性を可能にするデジタルマイクロミラーデバイスを使用することもまた可能である。
【0032】
光学アレイは、さまざまな形態をとることができる。1つの形態では、光学アレイは、マイクロレンズアレイである。そのようなアレイは、さまざまなパラメータを有し得る。しかしながら、1つの形態では、マイクロレンズアレイは、5mmのピッチおよび10mmの焦点距離を有する線形レンズアレイである。後述されるように、光学アレイ106はまた、ミラーデバイス、または、マイクロミラーデバイスまたはマイクロミラーアレイのようなアレイ、の形態をとることができる。
【0033】
エアギャップではなく被覆108が使用される場合、さまざまな材料が被覆を備え得る。1つの形態では、被覆は、ポリエチレングリコール(Mw=300)のような液体である。
【0034】
移動基板112は、さまざまな形態をとることができる。移動基板112は、少なくとも1つの形態では、粒子を形成するためにシステムにおいて作業される活性層を搬送するように動作可能である。示すように、移動基板は一般的に、フラットコンベアタイプの基板である。
【0035】
活性層に関し、流体、液体、またはプレカーサ材料110は、さまざまな形態をとることができる。1つの形態では、プレカーサ材料は、DAROCUR 1173(3%v/v)のような光重合開始剤と混合されたポリエチレングリコールジアクリレート(400)である。当然ながら、これは単なる例にすぎない。他のUV硬化ポリマー、または他のタイプの合成可能な材料が使用され得る。さらに、活性層は、膜材料によって分離される同一のまたは異なる組成の液体または流体のプレカーサ材料を含み得る。そのような多層構成は、多層粒子または多層構造を形成するために使用されることができる。活性層における複数の層は、液体を支持するために使用されることもでき、すなわち、たとえば、多層構成(1つ以上の膜層を使用する)は、基板への液体の重合を防ぐのを助けることもできる。
【0036】
図1(b)を参照すると、システム150では、マスク104が、移動基板上に複雑なパターンを作成するより多くの可能性を可能にする少なくとも1つのデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を備える動的マスク154に置き換えられる。マスク154はまた、投影されるパターンを露光処理間または露光処理中の任意の時間に変更することを可能にする。この点について、そのようなマスク154は、適切な角度に設定され、当業者が理解するように動作し、すなわち、光源152からの光をパターンへと反射させることによってマスク特徴を生成する。少なくとも1つの形態において、この構成は、光源152が、示すように、マスク154からの拡散器155を通した光学アレイ156への光の投影からオフセットして配置されることを可能にする。上記のごとく、光は、レンズアレイ156によってプレカーサ材料160上に焦点が合わせられ、微細粒子または微細構造164を形成する。プレカーサ材料は、移動基板162上で搬送され、エアギャップまたは被覆158を提供される。
図1(a)および
図1(b)における同一の要素は、同一の特徴および代替例を共有する。このマスクタイプ154および適切な構成が、
図2、3、4、5、および6(aおよびb)において示す実施形態を含む本開示において説明される他の実施形態において実現され得ることもまた、理解されるべきである。
【0037】
動作中、光源102(または152)は、移動基板112(または162)上で搬送されるプレカーサ材料上に、マスク104(または154)を通して、または介して、マスク特徴またはパターンの形態で光を投影する。光学アレイ106(または156)は、マスク特徴またはパターンの形態でプレカーサ材料の重合または合成を開始するために投影された光の焦点を、プレカーサ材料上に合わせる。そのような重合または合成は、本願において説明される実施形態に係る微細構造または微細粒子の形成を可能にする。
【0038】
本願において説明される実施形態に係るシステムでは、基板および/またはレンズアレイの移動に伴う液体のフローが、製造された微細粒子または微細構造の形成のための新しいプレカーサ材料の連続供給を可能にする。この点について、説明した重合または合成が微細構造または微細粒子を形成すると、光が材料の異なる区域に投影されてさらなる微細構造または微細粒子を形成するように、材料がシステムを通して供給される。連続的かつスケーラブルな処理が、さまざまな形態で実現される。
【0039】
連続的な高速の動作または段階的な動作のために、光学アレイ、すなわち、レンズアレイは、各レンズが露光時間中に同一の箇所に投影するように、基板とともに移動する。そのような機能を実現する複数の手法が存在し、1つは、外面に積層されたレンズアレイを有する中空のガラスシリンダである。光源、拡散器、およびマスクは、1つの形態において、中空の中央に配置され、外側のシリンダは、通過する網に同期して回転する。
【0040】
ここで
図2を参照すると、固定された内側のロールと回転する外側のシリンダとを使用する(外側のシリンダは基板と同じ速度である)システム200が示される。システム200は、光源202およびマスク204を含む。光が、光源202から、マスク204を通り、光学(たとえば、マイクロレンズ)アレイ206を通って、システム200の活性層222のプレカーサ材料210中に粒子212を形成する。被覆層220またはエアギャップ、および移動基板224もまた示される。
【0041】
この実施形態では、その円周表面上に形成されたマイクロレンズアレイ206を有するシリンダ208を使用して、連続的な移動が実現される。示すように、シリンダ208は、ガラス材料によって形成され、光源、マスク、および拡散器が円柱状の表面の内部に配置され得るように、中空である。ガラスシリンダ208は、光源からプレカーサ材料への光の投影を抑制しないように、光透過性である。1つの形態では、マスクからレンズまでの距離は、レンズの焦点距離の10倍より長い(たとえば、無限遠である)。動作中、光は、光源202から、マスク204および任意の拡散器層を通り、シリンダ208の表面上のマイクロレンズアレイ206を通って、移動基板210上で搬送されるプレカーサ材料222に投影する。シリンダの回転が、フローに従い、かつプレカーサ材料中の粒子の適正な形成を可能にするように、基板と同期することが理解されるべきである。
【0042】
シリンダ208の代替例として、ディスク構成(図示せず)が使用されることができる。そのような実施形態では、円柱状の表面の一方に積層されたレンズを有する回転ディスクが利用されることができ、同ディスクは、フローに従うように基板と同期して回転する。この点に関し、ディスクが、マイクロレンズアレイのための基板としてシリンダに置き換わるだろう。
【0043】
より高い精度を達成するために、基板上に置かれる前または収集槽へと流し出される前に構造化されたロール上で粒子を合成するグラビアコーティング処理が実現される。プレカーサ材料は、たとえば、非常に低いコーティングスピードから高いコーディングスピードに適したスロットビーズダイによって、ロール上へと運ばれる。シリンダの表面上の、くぼみ(たとえば、マイクロウェル)、リッジ、または表面の他の特徴が、スタンピング中の粒子の完全性を保持し、露光中の多相フローの混合またはスリップを低減するのに役立つ。そのような処理は、連続的または段階的に実行され得る。
【0044】
ここで
図3を参照すると、グラビアコーティング処理およびマイクロレンズフォトリソグラフィが実現されるシステム300が示される。システム300は、光源302およびマスク層304を含む。光が、光源302からマスク304を通り、光学またはマイクロレンズアレイ306を通って投影し、プレカーサ材料312中に粒子314を形成する。また、マイクロレンズアレイ306とプレカーサ材料312との間の、アンチスティクション層316が示される。システムはさらに、プレカーサ312および粒子314が放出され、フローが搬送される、移動基板318を備える。プレカーサ供給源320が、シリンダ308にプレカーサ材料を塗布するために提供される。1つの形態では、プレカーサ供給源は、スロットビーズダイであるが、カーテンコータ、スプレーコータ、またはディップコーティングメカニズムを含む他の形態をとり得る。この点について、シリンダ308は、連続的または段階的な処理中に重合部位の限定および光学アレイの素子との位置合わせによって微細構造の形成を助ける、(くぼみ(たとえば、マイクロウェル)またはリッジといった)表面の特徴を備える。また、
図3には、シリンダの表面から超過した液体をスキミングするためのナイフエッジ322が示される。
【0045】
さらなる実施形態において、システムは、光源およびマスクがシリンダの外部に提供される点を除き、
図3のシステムと類似する。この点について、
図4を参照すると、システム400が示される。システム400は、光源402およびマスク層404を含む。光は、光源402からマスク層404を通り、光学またはマイクロレンズアレイ406も通って、投影される。マイクロレンズアレイ406は、光の焦点を、表面の特徴410を有するシリンダ408上に合わせる。また、システム400において、プレカーサ材料412中に形成された粒子414、および移動基板418が示される。プレカーサ供給源または液体供給源420、およびナイフエッジ422もまた提供される。
【0046】
さらなる実施形態では、形成された粒子が放出され搬送される移動基板は不要である。形成された粒子は、他の技法を使用してさらなる処理動作へと単純に運搬される。この点について、
図5を参照すると、システム500は、光源502およびマスク層504を含む。光は、光源502からマスク層504を通り、光学またはマイクロレンズアレイ506も通って投影する。マイクロレンズアレイ506からの焦点を合わせられた光は、表面の特徴510を有する円柱状のロール508上に投影する。液体またはプレカーサ材料512が、シリンダの表面から溶剤プール524へと放出される粒子514をその中に形成している、ということに注意すべきである。粒子514は次に、他の処理ステップに運搬または移送される。
【0047】
ここで
図6(a)および
図6(b)を参照すると、さらなる別の実施形態が示される。マスク604を通して光を投影する光源602を有するシステム600が示される。投影された光は、マイクロミラーアレイのようなミラーアレイのミラー606に反射し、プレカーサ材料612へと戻って、粒子614を形成する。また、支持層610および透明コーティング626が示される。システム600が、光学素子のアレイ、すなわち、ミラー606を含むミラーアレイが、その表面上に形成されたシリンダ608を含む、ということが理解されるべきである。また、システム600から粒子614が放出され運搬される移動基板618が示される。液体供給デバイス620、および超過した液体を除去するためのナイフエッジ622もまた示される。
【0048】
システム600のようなシステムは、ターゲットがマスクとミラーとの間にあるように配置されたミラーアレイ(たとえば、マイクロミラーアレイ)を可能にする。ミラーアレイは、プレカーサ材料のフローとの固有の位置合わせのための機械的な支持構造の一部として形成され得る。そのようなシステムでは、光源からの光はプレカーサ材料を二度通過する、ということが理解されるべきである。これらの状況において、少なくとも1つの形態では、光の第1のパスは、実際の重合に有意の影響を及ぼすに足る重合を開始せず、それは、プレカーサ材料を通る光の第2のパスによって有意に開始される。この点について、光の第1のパスが、処理全体を損なうに足るほど材料を重合しないように、ミラーの直径における集中係数が選ばれるべきである。
【0049】
本願において説明される実施形態に係るシステムの実際の設計は、このシステムのための実際のターゲットとされる応用例に依存する。この点について、
図7を参照すると、システム700は、マスクによって定義された二次元形状と、ポリマー層の厚みhに等しい粒子の高さとを示す。そのようなシステムでは、
θ<10° → D>>BおよびD>>f
平行紫外線およびマスクの前の非スキャタリング拡散器が、設計された空間角度にわたる照明(照明コーン)をも提供する
レンズの開口数NA〜a/f、ここで、a=e/2である
倍率M=f/(f−D)=b/B
線形アレイに関し、1単位あたりのレンズの数は、
N〜(2
*tan(θ)
*D)/(k
*b)であり、ここで、k=a/bである
例:D=100mm,θ=5.7°,B=1mm,NA=0.1,f=5mm
→N=20,W=20mm,a=0.5mm,e=1mm,b=50μm
幅Wの単位が、単一のロール上でスケールアップするように互いに隣り合うよう設置されるだろう。
【0050】
図8を参照すると、境界におけるレンズの相互の露光を防ぐために、分割器750が実現され得る。そのような分割器750はまた、デバイスの構造的な完全性および機械的な安定性を向上させるために提供され得る。
【0051】
ここで
図9および
図10(a)を参照すると、ロールの設計の例が示される。示すように、システム900は、光源902およびマスク層904を含む。光源902からマスク層904を通って投影される光がプレカーサ材料912を適切に重合して微細構造または微細粒子914を形成し得るように、シリンダ908はガラス材料によって形成される。示すように、光源、拡散器、およびマスクは、シリンダの内部に固定されている。これらの要素は回転していない。しかしながら、シリンダはこの形態で回転している。そのような構成によると、
図10(a)に示すように、複数の処理ラインが、円柱状の構成によって提供されることができる。当然ながら、その数は、ロールの直径および分解能の要求に依存する。しかしながら、
図10(a)に示すシステム900は、各シリンダ上の12個の単位セルにおいて定義された複数の処理ラインの構成を示す。
図10Bは、複数の処理ラインを示す同様の構成を示すが、デジタルマイクロミラーデバイス(単数または複数)をマスクとして使用する
図1(b)に示したシステムと同様のシステム950が例として実現される点で異なる。示すように、システムは、動的マスク954(たとえば、デジタルマイクロミラーデバイス)に向かって、または動的マスク954を通って、光を投影する光源952を含む。マスク954は、光の一部をマイクロレンズアレイ956のほうへ向けるビーム分配器980に光を反射する。