特許第6486631号(P6486631)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6486631
(24)【登録日】2019年3月1日
(45)【発行日】2019年3月20日
(54)【発明の名称】燃料補給システムおよびその組立方法
(51)【国際特許分類】
   B60K 15/04 20060101AFI20190311BHJP
   F02M 37/00 20060101ALI20190311BHJP
【FI】
   B60K15/04 E
   F02M37/00 301Q
   F02M37/00 301M
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-191904(P2014-191904)
(22)【出願日】2014年9月19日
(65)【公開番号】特開2015-71408(P2015-71408A)
(43)【公開日】2015年4月16日
【審査請求日】2017年9月8日
(31)【優先権主張番号】14/032,714
(32)【優先日】2013年9月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100125874
【弁理士】
【氏名又は名称】川端 純市
(74)【代理人】
【識別番号】100189544
【弁理士】
【氏名又は名称】柏原 啓伸
(72)【発明者】
【氏名】小林 和宏
(72)【発明者】
【氏名】野畑 秀和
(72)【発明者】
【氏名】冨松 将
(72)【発明者】
【氏名】波賀野 博之
【審査官】 結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−509328(JP,A)
【文献】 特開2001−341537(JP,A)
【文献】 特表2010−522665(JP,A)
【文献】 特開2002−127764(JP,A)
【文献】 特開2010−65727(JP,A)
【文献】 特開2015−27865(JP,A)
【文献】 特開2013−203276(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 15/04,
F02M 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用の燃料補給システムにおいて
管端部および長手方向の軸を含む燃料補給管と、
前記管端部と連結可能であり、内部カラーと外側カバーを含む、閉鎖装置アセンブリと、
前記管端部から半径方向外向きに延在し、湾曲した断面形状を画定し、及び前記管端部から半径方向外向きに延在する湾曲した封止面を含む、周方向のリムと、
前記閉鎖装置アセンブリの前記外側カバーの内面から延在する少なくとも1つのキャッチ部材であって、前記閉鎖装置アセンブリが前記燃料補給管に連結された後に、前記外側カバー及び前記内部カラーが前記周方向のリムを受ける環状ギャップを画定する、キャッチ部材と、
前記内部カラーの半径方向外向きに向く面内で画定される周方向の切り欠きを介して、前記閉鎖装置アセンブリの一部に周方向で連結し、且つ前記少なくとも1つのキャッチ部材から軸方向に離間された、封止部材であって、記周方向のリムが前記少なくとも1つのキャッチ部材と当該封止部材との間に軸方向に挟持されて前記封止面が当該封止部材に封止して係合する、封止部材と、
を備えた、燃料補給システム。
【請求項2】
前記周方向のリムの前記断面形状は、90度よりも大きい角度αで延在する弧を画定する
請求項記載の燃料補給システム。
【請求項3】
前記封止部材は「C字形状」の断面形状を有する、
請求項記載の燃料補給システム。
【請求項4】
前記封止部材は、可撓性を有するリップ部を有する、
請求項記載の燃料補給システム。
【請求項5】
前記管端部は内部カラーの外径よりも大きい内径を有する、
請求項1記載の燃料補給システム。
【請求項6】
前記少なくとも1つのキャッチ部材はウェッジ形状を有し、前記閉鎖装置アセンブリが前記燃料補給管に連結されるときに前記周方向のリムが弾性的にたわむことを引き起こす、
請求項1記載の燃料補給システム。
【請求項7】
前記閉鎖装置アセンブリはキャップレス閉鎖装置を備える、
請求項1記載の燃料補給システム。
【請求項8】
燃料補給管を配置するステップであって、前記燃料補給管は、第1の端部と、長手方向の軸と、及び周方向のリムとを、含むものであり、前記周方向のリムは、前記第1の端部から半径方向外向きに延在し、湾曲した断面形状を画定し、及び前記燃料補給管の前記第1の端部から半径方向外向きに延在する封止面を含むものである、燃料補給管を配置するステップと、
閉鎖装置アセンブリの外側カバーの内面上の少なくとも1つのキャッチ部材を配置するステップであって、ここで前記閉鎖装置アセンブリは内部カラーを含み、前記外側カバー及び前記内部カラーは環状ギャップを画定するものである、キャッチ部材を配置するステップと、
周方向に延在する封止部材が前記少なくとも1つのキャッチ部材から軸方向に離間されるように、前記封止部材を前記閉鎖装置アセンブリに連結するステップであって、前記封止部材は、前記内部カラーの半径方向外向きに向く面内で画定される周方向の切り欠きを介して、前記閉鎖装置アセンブリの一部に周方向で連結する、ステップと、
前記閉鎖装置アセンブリが前記燃料補給管に連結した後に前記周方向のリムが前記環状ギャップ内で受けられるように、前記閉鎖装置アセンブリを前記燃料補給管に連結するステップと、並びに、
前記封止面が前記封止部材に封止して係合するように、前記少なくとも1つのキャッチ部材と前記封止部材との間に前記周方向のリムを軸方向に挟持するステップと
を含む、自動車用の燃料補給システムの組立方法。
【請求項9】
前記閉鎖装置アセンブリを前記燃料補給管に連結するステップは、
前記周方向のリムが前記少なくとも1つのキャッチ部材に接触するまで、前記燃料補給管を前記閉鎖装置アセンブリの中に挿入するステップと、
前記周方向のリムが前記少なくとも1つのキャッチ部材を通り過ぎることを可能にするに十分な量だけ前記周方向のリムがたわむことを引き起こす所定の力よりも大きい連結力を前記燃料補給管および前記閉鎖装置アセンブリに印加するステップと、を含む、
請求項記載の方法。
【請求項10】
前記周方向のリムの前記断面形状が90度よりも大きい角度αで延在する弧を有するように、前記周方向のリムを形成するステップを含む、
請求項記載の方法。
【請求項11】
「C字形状」の断面形状を有する前記封止部材を配置するステップを含む、
請求項記載の方法。
【請求項12】
前記封止部材可撓性を有するリップ部を含むように、前記燃料補給管を形成するステップを含む、
請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記燃料補給管の前記第1の端部が、前記内部カラーの外径よりも大きな内径を含むように、前記燃料補給管を形成するステップを含む、
請求項記載の方法。
【請求項14】
前記された、閉鎖装置アセンブリの外側カバーの内面上の少なくとも1つのキャッチ部材を配置するステップが、
前記閉鎖装置アセンブリが前記燃料補給管に連結されるときに前記周方向のリムが弾性的にひずむことを引き起こす、ウェッジ形状を含む少なくとも1つのキャッチ部材を配置するステップを含む、
請求項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に自動車に関し、より具体的には、自動車用の燃料補給システムの組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
少なくともいくつかの既知の自動車は、第1の端部において燃料を受けるように適合されるとともに第2の端部において燃料タンクに連結される燃料補給管を使用する、燃料補給システムを備える。燃料補給管の第1の端部は車体に連結され、典型的には、車体の外壁から離間されて画成された凹部内に連結される。外壁に装着されたドアは、当該凹部へのアクセス(接続)を提供する。通常、燃料キャップは第1の端部に着脱可能に連結されて、燃料供給の間にはアクセスを提供するとともに自動車の運転中には第1の端部を閉じる。より最近には、ある自動車は、燃料キャップを取り除くことなく第1の端部へのアクセスを可能にするキャップレス燃料補給システムを備える。少なくともいくつかの既知のキャップレス燃料補給システムは、燃料補給管の第1の端部に連結された閉鎖(クロージャ)装置を備える。より具体的には、少なくともいくつかの自動車燃料補給システムにおいて、閉鎖装置は燃料補給管の第1の端部の中に挿入されて、燃料ポンプノズルがそこに挿入されることを可能にするように方向付けられる。例えば、国際公開2011/053563号に既知のキャップレス燃料補給システムが示される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
少なくともいくつかの既知のキャップレス燃料補給システムにおいて、閉鎖装置は自動車の運転中には燃料補給管を実質的に封止(シール)して、燃料補給管からの燃料蒸気の漏出を実質的に防止するとともに、燃料補給システムへの水またはその他の汚染物質の侵入を実質的に防止する。そのようなキャップレス燃料補給システムでは、車体の外壁に装着されたドア以外には、燃料補給管および/または閉鎖装置へのアクセスをコントロールするための付加的なカバーまたはキャップは使用されない。
【0004】
少なくともいくつかの既知の燃料補給システムにおいて、閉鎖装置アセンブリは、スナップフィット連結機構を介して、燃料補給管の第1の端部に固定される。スナップフィット連結機構は、燃料補給管の第1の端部上に形成された、周方向に延在して外向きに突出する平面フランジを備える。外向きに突出するフランジは、閉鎖装置アセンブリの外側カバーの内面から内向きに延在する少なくとも1つのキャッチ(留め)部材に係合する。外側カバーの円筒形状部分は、燃料補給管の第1の端部の周囲に嵌合するサイズを有する。閉鎖装置アセンブリを燃料補給管に連結するために、燃料補給管の第1の端部は、燃料補給管の第1の端部上のフランジが少なくとも1つのキャッチ部材を強制的に通り越して当該キャッチ部材に捕獲されるまで、外側カバーの円筒形状部分の中に挿入される。
【0005】
また、上述のようにスナップフィット構造を有する少なくともいくつかの既知の燃料補給システムにおいて、Oリング封止部材は、燃料補給管の内面と閉鎖装置の外面との間に挟入される。Oリング封止部材は燃料補給管と閉鎖装置アセンブリとの間に封止を引き起こすために使用されて、燃料補給管からの蒸気の漏出を防止するとともに、燃料補給管への水またはその他の汚染物質の侵入を防止する。
【0006】
しかしながら、フランジを含む上述のようなスナップフィットアセンブリ構造では、フランジは、組立(アセンブリ)プロセスの間に、永久的に歪むことがある。また、フランジは燃料補給管の端部において高い精度で形成されるために、付加的なおよび/またはより複雑な製作プロセスが伴い、よって製作コストが増加し得る。また、Oリングの使用には、特にOリングが配置される位置において、燃料補給管および閉鎖装置の高い精度での製作が伴う。またさらに、燃料補給システムの組み立て(アセンブル)の間に、Oリングは、ねじれまたはその他の歪みを生じ得る。Oリングのそのようなねじれまたは歪みは、Oリングによって生じる封止に悪影響を与え得る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態において、自動車用の燃料補給システムが提供される。本燃料補給システムは、管端部および長手方向の軸を含む燃料補給管を備える。燃料補給システムはまた、管端部と連結可能な閉鎖装置アセンブリを備える。燃料補給システムはまた、管端部から半径方向外向きに延在する周方向のリムを備える。周方向のリムは、非平面的な断面形状を画定する。少なくとも1つのキャッチ部材は、閉鎖装置アセンブリの内面から延在する。封止部材は、閉鎖装置アセンブリの一部を取り囲み、少なくとも1つのキャッチ部材から軸方向に離間される。閉鎖装置アセンブリが燃料補給管に連結された後、周方向のリムは、少なくとも1つのキャッチ部材と封止部材との間に軸方向に挟持される。
【0008】
もう一実施形態において、自動車用の燃料補給システムの組立方法が提供される。本方法は、燃料補給管を提供するステップを含み、燃料補給管は第1の端部、長手方向の軸、および第1の端部から半径方向外向きに延在し且つ非平面的な断面形状を画定する周方向のリムを含む。本方法はまた、閉鎖装置アセンブリを燃料補給管に連結するステップを含み、閉鎖装置アセンブリは、内面を有しかつ当該内面上で方向付けられた少なくとも1つのキャッチ部材を有する外側カバーを含む。円周方向に延在する封止部材は、周方向のリムが少なくとも1つのキャッチ部材と封止部材との間に軸方向に挟持されるように、閉鎖装置アセンブリ上で方向付けられ且つ少なくとも1つのキャッチ部材から軸方向に離間される。
【0009】
検討される特徴、機能、および利点は、種々の実施形態において独立に達成可能であり、または、さらに別の複数の実施形態において組み合わせられることができる。これらのさらなる詳細は、以下の説明および図面を参照して理解可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】例示的な自動車燃料補給システムの分解斜視図である。
図2図1に示す燃料補給システムの分解側断面図である。
図3】組み立てられた状態における、図1に示す燃料補給システムの拡大斜視断面図である。
図4図1に示す燃料補給システムの側断面図であり、燃料補給システムを組み立てるために実施され得る例示的な方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書において説明される複数の燃料補給システムおよび複数の組立方法は、Oリングの使用を回避するように、燃料補給管端部内に装着される閉鎖(クロージャ)装置アセンブリを提供することによって、既知の自動車用燃料補給システムの少なくともいくつかの欠点を克服する。したがって、Oリングならびに管端部と閉鎖装置アセンブリとの間の封止の対応する継目の、ねじれおよびその他の歪みのリスクは、回避される。また、Oリングの使用に関連し得るコストの増加は、回避することができる。本明細書において説明される複数の燃料補給システムおよび複数の組立方法はまた、燃料補給管を閉鎖装置アセンブリに連結するための周方向の平面フランジの使用を回避する。したがって、管端部を閉鎖装置アセンブリに連結する間の平面フランジの永久歪みのリスクはまた、回避される。また、燃料補給管端部上の平面フランジの形成に関連するコストの増加はまた、回避される。
【0012】
本明細書において用いるように、単数形で、単語「a(1つ)」または「an(1つ)」に続けて記載する構成要素またはステップは、除外を明示的に記載しない限り、複数の構成要素または複数のステップを除外しないものと理解されるべきである。またさらに、本発明の「一実施形態」または「例示的な実施形態」に対する言及は、記載した特徴を同様に組み入れた付加的な複数の実施形態の存在を除外するものとして解釈されることを意図するものではない。
【0013】
図1〜3は、例示的な燃料補給システム10を示す。特に、図1は、燃料補給システム10の斜視分解図を示す。図2は、燃料補給システム10の側断面図である。燃料補給システム10は、燃料補給管12を備える。例示的な実施形態において、燃料補給管12は少なくとも1つの金属材料から製作される。別の複数の実施形態において、燃料補給管12は、燃料補給システム10が本明細書に記載のように機能することを可能にする任意の適切な材料から製作される。燃料補給管12は、管端部14を備える。周方向のリム16は、管端部14から外向きに延在する。リム16は、角度αをカバーする弧を描く湾曲した断面形状を有する。例示的な実施形態において、角度αは、図2に示すように、少なくとも90度である。別の複数の実施形態において、角度αは、燃料補給システム10が本明細書に記載のように機能することを可能にする任意の値を有する。さらに、リム16は滑らかに湾曲した断面形状を有して図示されるが、別の複数の実施形態では、リム16は、リム16が本明細書に記載のように機能することを可能にする任意の非平面的な断面形状を有する。非平面的な形状、特に湾曲した断面形状を有するリム16を提供することによって、当該リム16は、同等の大きさを有する周方向に延在する平面フランジまたは平坦なフランジに比較して、より高い強度と剛性を備える。
【0014】
燃料補給システム10はまた、閉鎖装置アセンブリ18を備える。アセンブリ18は、燃料補給管12の中への挿入の後に閉鎖装置アセンブリが燃料補給管12を選択的に封止して、燃料補給管12からの燃料蒸気の漏出を実質的に防止するとともに燃料補給システム10への水またはその他の汚染物質の侵入を実質的に防止するように、構成される。
【0015】
例示的な実施形態において、本明細書において特に記載する場合を除いて、閉鎖装置アセンブリ18は、キャップレス構成を含む、燃料補給システム10が本明細書に記載のように機能することを可能にする任意の適切な構成を有する。さらに、例示的な実施形態において、閉鎖装置アセンブリ18は、閉鎖装置アセンブリ18が本明細書に記載のように機能することを可能にする金属製の材料、非金属製の材料、またはその他の材料の任意の組み合わせから製作される。
【0016】
閉鎖装置アセンブリ18は、シリンダ形状の外側カバー22に連結される閉鎖装置20を備える。外側カバー22は、リム16の外径Eよりも大きい内径Dを有する。外側カバー22は、外側カバー22の内面26から内向きに突出する複数のキャッチ部材24を備える。複数のキャッチ部材24は、内面26の周囲に周方向に配置される。また、複数のキャッチ部材24はウェッジ形状(V字形状)を有し、本明細書においてさらに詳細に説明されるように、管端部14の閉鎖装置アセンブリ18への連結を促進する。例示的な実施形態では、図2に示すように2つのキャッチ部材24が含まれる。しかしながら別の複数の実施形態では、燃料補給システム10が本明細書に記載のように機能することを可能にする任意の数のキャッチ部材24が含まれてもよい。閉鎖装置20はまた、内部カラー(つば)32を備える。またさらに、周方向の切り欠き(ノッチ)28は、内部カラー32の、外向き方向に向かって面する面30において画成される。切り欠き28は、複数のキャッチ部材24から軸方向に離間される。
【0017】
周方向に延在する封止部材34は、閉鎖装置20に連結され、切り欠き28内に部分的に位置決めされる。したがって、封止部材34の少なくとも一部は同様に、複数のキャッチ部材24から軸方向に離間される。封止部材34は、燃料補給システム10が本明細書に記載のように機能することを可能にする任意の適切な弾性材料から製作される。例示的な実施形態において、封止部材34は、厚さが変化する、湾曲した「C字形状」の断面形状を有する。封止部材34の(図4に示す)可撓性を有するリップ部44は、リム16に向けて方向付けられる。リップ部44は、減少する断面厚さを有する。別の実施形態(図示せず)において、リップ部44は一定の断面厚さを有し、当該断面厚さは封止部材34の残りの部分よりも薄い。例示的な実施形態において、封止部材34の「C字形状」の断面は、内部カラー32の面30と比較して、外向きに開くように方向付けられる。
【0018】
例示的な実施形態において、管端部14は、内部カラー32の外径Gよりも大きい内径Fを有する。さらに、リム16の外径Eは外側カバー22の内径Dよりも小さく、リム16と内面26との間に円筒形状の隙間が設けられる。複数のキャッチ部材24は、管端部14の閉鎖装置アセンブリ18の中への挿入のときにリム16が複数のキャッチ部材24に接触するに十分な距離だけ、内面26から内向きに突出する。
【0019】
図3は、組み立てられた状態の、燃料補給システム10の拡大斜視断面図である。(図1および2に示す)封止部材34は、図示の簡単のために図3からは省略されている。組み立てられた方向において、リム16は、閉鎖装置アセンブリ18の少なくとも1つのキャッチ部材24と内部ショルダ36との間に挟持される。例示的な実施形態において、リム16と内面26との間の接触は管端部14と閉鎖装置20との間の封止を確立するためには使用されないため、リム16は外側カバー22の内面26から小さな距離だけ離間される。
【0020】
図4は、燃料補給システム10の例示的な組立方法を示す。図4の上側部分は、管端部14が閉鎖装置アセンブリ18に連結される前の燃料補給システム10を示す。図4の下側部分は、管端部14が閉鎖装置アセンブリ18に連結される前の燃料補給システム10を示す。したがって、図4の下側部分において、燃料補給システム10は完全に組み立てられている。閉鎖装置アセンブリ18および燃料補給管12は、共通の中心軸CLを共有する。
【0021】
図4の上側部分に示すように、燃料補給システム10は、管端部14を閉鎖装置アセンブリ18の中にまず挿入することによって、組み立てられる。閉鎖装置アセンブリ18はドア40を備え、当該ドア40は、燃料ポンプノズル(図示せず)が閉鎖装置アセンブリ18の中に挿入されるときに、燃料補給管12の中へ延在する。閉鎖装置アセンブリ18の他の部分は、図示の明確性のために、図4から省略されている。リム16は、外側カバー22と(図2に示す)内部カラー32との間に画成される環状ギャップ42の中に挿入される。したがって、外側カバー22が管端部14を取り囲む間、内部カラー32は管端部14の内側に挿入される。
【0022】
管端部14の閉鎖装置アセンブリ18の中への挿入を続けると、上述のように、リム16が複数のキャッチ部材24に接触する。例示的な実施形態において、リム16は、管端部14および閉鎖装置アセンブリ18が所定の大きさの力よりも大きな大きさの連結力を用いて互いに押し付けられるときに、リム16の少なくとも一部が内側に向かってわずかにたわむように、構成される。リム16のたわみは、リム16が複数のキャッチ部材24に押されて複数のキャッチ部材24の後部に位置することを可能にする。リム16が複数のキャッチ部材24を通り過ぎた後、燃料補給管12およびリム16は、図4の下側半分に示すように方向付けられる。例示的な実施形態において、リム16は、リム16のあらかじめたわめられた部分が、リム16の著しい永久歪みを生じることなく、図1〜3に示すようにその元の位置に戻るように、製作される。
【0023】
燃料補給管12が閉鎖装置アセンブリ18の中に挿入されて、リム16が複数のキャッチ部材24に押されて複数のキャッチ部材24の後部に位置すると、リム16の封止(シーリング)面38は、図4の下側部分に示すように、封止部材34の可撓性を有するリップ部44に接触して当該可撓性を有するリップ部44をたわめる。したがって、封止面38とリップ部44との間に、面接触封止が生じる。封止部材34は、結果として得られる封止に悪影響を与える可能性がある望まれない歪みの影響を、Oリングよりも受けにくい。例示的な実施形態において、リム16、キャッチ部材24、および封止部材34は、管端部14が閉鎖装置アセンブリ18の中に完全に挿入された後に、きつい(タイトな)封止と確実な機械的連結との両方が管端部14と閉鎖装置アセンブリ18との間に提供されるように、構成される。
【0024】
上述の複数のシステムおよび複数の方法は、既知の複数の燃料補給システムの少なくともいくつかの欠点を克服する。より具体的には、本明細書において説明される燃料補給システムは、周方向に延在する平面フランジの代わりに、燃料補給管上の湾曲したリムを使用する。このことは、燃料補給管の製作のための、廉価な作製装置およびプロセスの利用を促進する。湾曲したリムは、向上した強度と、燃料補給システムの組み立ての間の永久歪みに対する耐性とを有する。また、湾曲したリムは、リムと封止部材との間の面接触封止を規定する封止面を提供する。またさらに、本明細書において説明される燃料補給システムは封止部材を使用して、Oリングと比較してより確実な且つ望まれない歪みの影響をより受けにくい面接触封止を引き起こす。
【0025】
燃料補給システムおよびその組立方法の例示的な実施形態は、詳細に上述された。本システムおよび本方法は、本明細書において説明された特定の実施形態に限定されず、むしろ、システムの構成要素および/または方法のステップは、本明細書において説明された他の構成要素および/またはステップから独立して且つ分離して利用されることができる。例えば、システムはまた、他の製造システムおよび製造方法と組み合わせられて使用されることができ、本明細書に記載の製造システムおよび製造方法のみを用いて実施されることに限定されない。むしろ、例示的な実施形態は、多くの他の自動車組立システムアプリケーションと関連して実施および使用されることができる。
【0026】
本発明の種々の実施形態の特別な特徴は、いくつかの図面において示され他の図面においては示されない場合があるが、これは単に便宜のためである。本発明の本質にしたがって、図面のいかなる特徴も、いかなる他の図面のいかなる特徴と組み合わせて参照されることができ、および/または、特許請求の範囲において請求されることができる。
【0027】
この明細書は、ベストモードを含め本発明を開示するために、また、任意の装置またはシステムを作製または使用することおよび導入された方法を実施することを含め本発明を任意の当業者が実施することを可能とするために、複数の実施例を用いる。特許可能な本発明の範囲は特許請求の範囲によって定義され、当業者が想到する他の実施例を含む場合がある。そのような他の実施例は、それらが特許請求の範囲の文言と異ならない構造要素を有する場合、またはそれらが特許請求の範囲の文言からの非実質的な差異を有する均等な構造要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることを意図したものである。
図1
図2
図3
図4