特許第6486632号(P6486632)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6486632
(24)【登録日】2019年3月1日
(45)【発行日】2019年3月20日
(54)【発明の名称】工具の形状取得方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 17/24 20060101AFI20190311BHJP
   B23Q 17/00 20060101ALI20190311BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20190311BHJP
【FI】
   B23Q17/24 Z
   B23Q17/00 F
   G06T1/00 300
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-192710(P2014-192710)
(22)【出願日】2014年9月22日
(65)【公開番号】特開2016-60032(P2016-60032A)
(43)【公開日】2016年4月25日
【審査請求日】2017年9月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000212566
【氏名又は名称】中村留精密工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078673
【弁理士】
【氏名又は名称】西 孝雄
(72)【発明者】
【氏名】西村 尚貢
(72)【発明者】
【氏名】酒井 友基
(72)【発明者】
【氏名】松原 一彦
【審査官】 山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−024880(JP,A)
【文献】 特開2000−148219(JP,A)
【文献】 特開平10−023452(JP,A)
【文献】 特開2007−048210(JP,A)
【文献】 特開2010−020557(JP,A)
【文献】 特開2007−002307(JP,A)
【文献】 特開2013−176822(JP,A)
【文献】 特開2002−358520(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0222705(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 17/24,17/00,
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械の加工領域内の所定位置に移動した刃物台に装着された工具を撮影するカメラを設置し、当該刃物台に工具を装着し、装着した工具が前記カメラの撮影領域に入る位置に刃物台を移動して撮影したデジタル画像と、当該工具が当該撮影領域外となる位置に刃物台を移動して撮影したデジタル画像とを取得し、両デジタル画像の一方の輝度から他方の輝度を引いた差分画像と他方の輝度から一方の輝度を引いた差分画像との両差分画像を合成して背景を除去し、当該合成画像から前記工具の形状を抽出する、工具の形状取得方法。
【請求項2】
前記工具をタレット刃物台に装着し、当該タレット刃物台の割出軸線回りの回転により当該工具の正面を前記カメラに向けた後、前記両デジタル画像を取得する、請求項1記載の工具の形状取得方法。
【請求項3】
主軸軸線の上下に刃物台を備えた旋盤において、前記カメラを主軸軸線と平行な軸線回りの少なくとも2方向に回動位置決め可能に設置し、当該カメラの前記回動位置決めにより、前記カメラで上下の刃物台に装着した工具のデジタル画像を取得する、請求項2記載の工具の形状取得方法。
【請求項4】
刃物台の移動領域の一部が撮影領域となるように設置されたカメラと、刃物台の移動動作とカメラの撮影動作を制御する制御器とを備え、
前記制御器は、刃物台を前記カメラの撮影領域内に位置決めしたときと撮影領域外に移動したときのデジタル画像を取得する画像取得手段と、当該画像取得手段が取得したデジタル画像の一方の輝度から他方の輝度を引いた差分画像と他方の輝度から一方の輝度を引いた差分画像を合成した合成画像を作成する背景除去手段と、当該合成画像から工具の画像を抽出する画像解析手段とを含む工具形状取得手段を備えている、工作機械の工具形状取得装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、工具を撮影したカメラの画像から当該工具の形状(寸法を含む)を取得する方法に関するもので、特に工作機械の刃物台に装着された工具の形状を取得する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
工具マガジンやタレット刃物台に複数の工具を装着してワークの加工を行う工作機械では、工具マガジンやタレット刃物台の工具取付位置に装着された各工具の工具データを予め制御器に登録しておく必要がある。工具にはドリルやフライスなどの回転工具とバイトのような固定の工具とがあり、バイトにも内径用と外径用の区別があるほか、刃先の方向や形状の異なる多種類のものがある。
【0003】
刃物台に装着したときの工具の刃先の位置と刃物台の基準位置(制御器が制御している位置)との位置関係は、工具毎に異なる。従って、その位置関係(工具オフセット値)を制御器に登録しておかなければワークを所望形状に加工することができない。また、刃物台が移動したときに、これに装着された工具が加工中のワークや機械本体に衝突するのを避けるためにも、刃物台に装着されている工具の形状を制御器に登録しておくことが必要である。
【0004】
工具の種類と寸法が分かれば代役の工具形状が定まる。換言すれば、工具の形状が分かれば工具の種類の判別と寸法の検出を行うことができる。
【0005】
工具マガジンやタレットには、加工の準備作業である段取り作業時にオペレータが工具を装着する。オペレータは、工具を装着したとき、その工具装着位置に対応づけて、操作盤から装着した工具の工具データ(工具の種類や寸法など)を制御器に入力していた。しかし、オペレータの手入力による制御器への工具データの登録は、面倒で時間がかかると共に、入力ミスが生じやすいという問題がある。
【0006】
そこで刃物台に装着された工具をカメラで撮影して、その画像を解析することによって、工具の形状とおおよその寸法を検出して、工具データの一部を自動入力する方法が提案されている。また、工具をタレットに装着するときに用いる工具ホルダにICチップを取り付け、当該ICチップに当該ホルダに装着されている工具の工具データを登録しておき、刃物台に工具を装着したときに、そのICチップの登録データを制御器に読み込むことによって工具データの登録を行う方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−24880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
カメラの解像度の向上や画像解析技術の向上によって、カメラで工具を撮影した画像から工具データを取得する方法は、有効な手段となりつつある。この場合、工具マガジンやタレット刃物台のそれぞれの工具取付位置に現に装着されている工具の工具データを制御器に登録するためには、工具を工具マガジンやタレット刃物台に装着した状態で撮影した画像から工具形状を認識するという処理が必要である。
【0009】
しかし、工具を工作機械に装着した状態で撮影した画像には、背景に工作機械の種々の部材が写り込み、これらの部材が工具と同様な金属光沢を有しているので、その画像から工具の画像を抽出することが極めて困難である。
【0010】
そこで、この困難を避けるために、カメラで工具を撮影するときに、その背景となる位置に背景を隠す平板を挿入したり、背景として写り込む部材を覆う布を挿入して撮影していた。この方法によれば、工具や刃物台とその背景とのコントラストが大きく相違した画像を得ることができるので、比較的簡単な画像解析で工具の正確な形状を検出することができる。
【0011】
しかし、この方法の場合は、撮影時に背景となる板や布(背景板や背景布)を装着する手間が必要で、刃物台が配置されているワークの加工領域が隔壁と扉で囲まれている近時の工作機械では、この背景板や背景布の装着が大変に面倒で、刃物台に装着されている工具によって作業者の腕を傷つける危険もある。
【0012】
一方、工具ホルダのICチップに工具データを登録しておく方法は、ICチップに工具データを登録する際に手入力でデータを登録しなければならないので、その登録の際に工具データを手入力で制御器に登録する場合と同様な問題が生じる。また、ICチップが装着されているのが工具そのものではなく、工具ホルダであるため、ホルダに装着する工具が変更されたときは、工具データを新たに登録し直す必要もある。
【0013】
この発明は、このような従来技術の問題点を解決して、背景板や背景布を用いることなく、工具マガジンやタレット刃物台、特に背景板や背景布を取り付けることが困難で、工具に近い位置に工具と同様な金属光沢を備えた部材が存在する刃物台に装着された工具を撮影した画像から、簡単な画像解析によって工具形状を検出する手段を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明は、工作機械の機内にカメラ2を設置し、刃物台1(1a、1b、1c)に工具3(3a、3b、3c)を装着した状態で刃物台1をカメラ2の撮影領域の内外に移動することにより、工具3が写っているデジタル画像Aと写っていないデジタル画像Bを撮影し、両デジタル画像の差分をとることにより、背景が除去された刃物台及び工具のみの画像Eを作成して、当該画像Eの画像解析により、刃物台1に装着された状態で工具3の形状を取得することにより、上記課題を解決したものである。
【0015】
すなわちこの発明の工具の形状取得方法は、工作機械の加工領域内の所定位置に位置決めした刃物台1に装着された工具3を撮影するカメラ2を設置し、当該刃物台1に工具3を装着し、工具3がカメラ2の撮影領域内となる位置に刃物台1を移動して撮影したデジタル画像Aと、工具3が当該撮影領域外となる位置に刃物台1を移動して撮影したデジタル画像Bとを取得し、両デジタル画像A、Bの一方Aの輝度から他方Bの輝度を引いた差分画像Cと他方Bの輝度から一方Aの輝度を引いた差分画像Dとの両差分画像C、Dを合成して背景が除去された合成画像Eを作成し、当該合成画像Eから工具3の形状を抽出することで、背景板や背景布を用いることなく、工具形状を明確に認識できる工具の画像を得ることができるようにしたものである。
【0016】
この発明は、機内で工具3を撮影したデジタル画像Aに工具3と同様な金属光沢を有する複雑な部材が背景として写り込み、かつ背景板や背景布を挿入するのに手数を要する旋盤の刃物台1に装着した工具3の形状を取得するのに特に有効である。この場合、タレット刃物台1a、1bの割出軸線a、b回りの回転により、工具3a、3bの正面をカメラ2に向けることができるので、機内におけるカメラ2の設置位置に対する自由度が大きく、また、1台のカメラ2で複数の刃物台1に装着した工具3を撮影することが可能である。
【0017】
この発明の工具形状取得装置は、刃物台1の移動領域の一部が撮影領域となるように設置されたカメラ2と、刃物台1の移動動作とカメラ2の撮影動作を制御する制御器5とを備え、制御器5は、工具形状取得手段50を備える。工具形状取得手段50は、刃物台1をカメラ2の撮影領域内に位置決めしたときと撮影領域外に移動したときのデジタル画像A、Bを取得する画像取得手段52と、デジタル画像A、Bの一方Aから他方B及び他方Bから一方Aの差分画像C、Dを作成して当該差分画像C、Dを合成した合成画像Eを作成する背景除去手段53と、合成画像Eから工具3の画像を抽出する画像解析手段54とを備えている。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、工作機械の各工具装着位置に装着された工具の形状を自動で取得する際に、工具形状を誤認識する虞がなく、工作機械の機内で工具を撮影するときに背景板や背景布などの背景を除去するための部材を必要とせず、背景板や背景布を取り付ける手間が省け、またICチップへの工具データの入力も必要としないので、作業者の負担が軽減される。
【0019】
そして、制御器に予め工作機械に使用されることのある工具の形状と工具データとを登録しておくことで、取得した工具形状から工具の種類を自動判別して画像から工具データとして登録する寸法を検出することで、工具データの自動入力が可能になるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】旋盤における実施例を示す模式的な装置の側面図
図2】背景除去手順を示す説明図
図3】複合旋盤における実施例を示す模式的な装置の側面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照してこの発明の好ましい実施形態を説明する。図1及び図2は、この発明の第1実施例を示した図で、主軸軸線cの上下にタレット刃物台1a、1bを備えたスラント型の旋盤における実施例を示した図である。タレット刃物台1a、1bは、主軸軸線cと平行な割出軸線a、b回りに回動可能で、傾斜したベッド上面Sと略平行な図のX軸方向及び主軸軸線cと平行な図の紙面直角方向(Z軸方向)に移動可能である。タレット刃物台1a、1bの回転角及び移動位置は、旋盤の制御器5によって正確に制御されている。
【0022】
カメラ2は、撮影しようとする工具3a、3bを正面、すなわちワークに対する刃先の進行方向の前方から撮影する位置に配置する。主軸軸線cの上下に刃物台1が配置されている旋盤では、カメラ2の方向を変えることによって、上下の刃物台1a、1bに装着された工具3a、3bを共に正面から撮影可能な位置にカメラ2を配置することができる。
【0023】
図示の例では、主軸4が矢印Rの方向に回転するとして、下タレット刃物台1aの工具3aが主軸軸線cを向く位置(ワークを加工する位置)から割出軸線a回りに角度θだけ回動したときの工具3aを正面から撮影する方向(以下、「θ直角方向」と言う。)dと、上タレット刃物台1bの工具3bが主軸軸線cを向く位置から割出軸線b回りに角度φだけ回動したときの工具3bを正面から撮影する方向(以下「φ直角方向」と言う。)eとが交叉する位置に、カメラ2を、主軸軸線cと平行な軸線f回りに回動位置決め可能に、装着している。
【0024】
θ直角方向d及びφ直角方向eは、タレット刃物台1a、1bに装着された全ての工具について同じ方向であり、かつそれぞれの方向におけるカメラ2から工具3a、3bまでの距離La、Lbもそれぞれ一定なので、これらの方向d、e及び距離La、Lbを制御器5に登録するか計算させることにより、撮影対象となる工具3a、3bをカメラの画像の正確な位置に正確なピントで撮影することができる。
【0025】
なお、工具撮影時の上下の刃物台のX軸方向の位置は、刃物台1a、1bに工具3a、3bを装着するときの位置であることが望ましいが、刃物台1a、1bは、X軸方向の正確な位置に移動できるので、カメラ2の設置位置には、ある程度の自由度がある。従ってカメラ2は、刃物台1a、1bがX軸方向に移動可能であることを考慮して、ワークの搬入搬出の障害になったり、加工中の切削液や切粉の飛散による障害を受けない位置に設置することが可能である。
【0026】
次に上記の旋盤における下刃物台1aに装着した工具3aの形状取得動作を説明する。工具3aの所定の工具装着位置をオペレータ側に向くようにタレット刃物台1aを回動して工具3aを装着した後、制御器5に登録された工具形状取得手段(プログラム)50を実行する。
【0027】
工具形状取得手段50の撮影準備手段51は、制御器5に登録された下タレット刃物台1aの工具撮影時の割出角θ、カメラ2から工具3aまでの距離La及びX軸方向の位置を参照して、新たに装着された工具が割出し位置θに来るように下タレット刃物台1aを割り出し、登録されているX軸方向の位置に下タレット刃物台1aを移動して、カメラ2をθ直角方向に向け、カメラ2のピント合わせをする。
【0028】
次に、工具形状取得手段50の画像取得手段52が、工具3aがカメラ2の撮影領域に入っている状態でのデジタル画像Aと、刃物台1aのZ軸方向の移動によって工具3aがカメラ2の撮影領域から外れた位置に移動した後の同一箇所のデジタル画像Bとを取得する。デジタル画像Bには、背景のみが写っている。
【0029】
工具形状取得手段50の背景除去手段53は、この2つのデジタル画像A、Bの各画素の輝度について、画像Aから画像Bの輝度を差し引いた差分画像C(C=A−B)と、画像Bから画像Aの輝度を差し引いた差分画像D(D=B−A)を作成し、次に両差分画像の輝度の和を輝度とする合成画像E(E=C+D)を作成する。
【0030】
差分画像の輝度は、マイナスにはならないので、それぞれの差分画像C、Dの画素の輝度がマイナスとなる部分には、輝度0が置かれて黒になる。工具3a及び刃物台1aが写っている部分以外の背景は、デジタル画像A、Bにおいて同じ輝度となっているはずであるから、その背景部分が差分画像C及び差分画像Dで共に0となっている。そして、2つの差分画像C、Dを合成することで黒い背景の中に工具3aと下タレット刃物台1aが写っている合成画像Eが得られる。
【0031】
刃物台1aの形状は分かっているので、工具形状取得手段50の画像解析手段54は、合成画像Eの画像解析により、工具3aの形状を検出する。なお、上記の説明では特に述べなかったが、これらの画像処理中にスパイクノイズの除去などのノイズ除去を必要に応じて行ってやればよい。
【0032】
また、照明の具合や刃物台の影や反射によって、画像A、Bにおける背景の輝度が異なることがあり得る。この場合は、工具を装着しない状態での刃物台が写っている画像(画像Aに相当する画像)と写っていない画像(画像Bに相当する画像)を予め取得して背景の輝度の差を検出して制御器に登録しておき、差分画像を取得するときに登録された輝度の差で背景の輝度を補正してやれば良い。
【0033】
以上は下タレット刃物台1aに装着した工具3aの形状を取得する手順であるが、上タレット刃物台1bに装着した工具3bの形状を取得するときは、工具3bを上タレット刃物台1bに装着した後、上タレット刃物台1bをφだけ回動させること、及びカメラ2の光軸をφ直角方向に向けると共に工具までの距離をLbに設定する点が異なるのみで、あとは上記と同様な手順によって上タレット刃物台1bに装着された工具3bの形状を取得する。
【0034】
図3は、この発明の第2実施例を示した図で、主軸軸線cの上下に回転工具軸を備えた複合刃物台1cとタレット刃物台1aとを配置したスラント型の複合旋盤にこの発明を実施した例を示した図である。この種の複合旋盤の複合刃物台1cは、Z軸及びX軸と直交するY軸方向にも移動可能で、かつ当該Y軸回りに旋回可能である。また、複合刃物台1cに装着する多数の工具を収容した工具マガジンと、工具マガジンと複合刃物台1cとの間で工具交換を行う自動工具交換装置(いずれも図には示していない。)が設けられている。
【0035】
第2実施例におけるカメラ2の装着位置は、タレット刃物台1aの工具3aを撮影するθ直角方向と、上刃物台1cの工具3cを撮影するY軸方向とが交叉する位置である。カメラ2は、主軸軸線cと平行な軸線f回りにθ直角方向とY軸方向に回動位置決め可能に装着される。
【0036】
下刃物台に装着された工具3aの形状取得手順は、第1実施例と同じであるので説明を省略し、工具マガジンに装着した工具の形状取得手順を以下に説明する。
【0037】
オペレータは、工具マガジンに必要な工具を順次装着して、工具形状取得手段50を実行する。工具形状取得手段の撮影準備手段51は、形状を取得する工具が装着された工具装着位置をオペレータに入力させ、その工具装着位置を工具交換位置に移動して工具交換装置で複合刃物台1cに装着した後、複合刃物台1cのX及びZ軸方向の移動により、複合刃物台1cをカメラ2の撮影領域に移動し、カメラ2をY軸方向に向けると共に、登録されたカメラ2から工具3cまでの距離Lcを参照して、カメラ2のピント合わせをする。
【0038】
以下、画像取得手段52、背景除去手段53及び画像解析手段54により、第1実施例の下タレット刃物台の工具形状を取得するときと同じ手順で工具形状を取得し、当該形状又は当該形状から演算により求めた工具データを、工具交換位置に移動した工具装着位置に装着した工具の形状とする。
【0039】
以上のようにして取得した工具形状と、予め制御器に登録した工具種類別の形状データとを制御器に登録した工具判別手段で対比することにより、工具の種類を判別し、当該種類の工具について登録された刃先の方向や形状を参照して、画像から仮の工具オフセット値の計測を行うことができる。仮の工具オフセット値は、ツールセッタ(工作機械内に設置された工具の刃先を検出する装置)で工具の刃先を検出するときの刃物台の移動先を自動設定するのに用いることができる。また、高解像度のカメラを用いることで、画像上で計測した工具寸法から取得した工具オフセット値をそのまま工具オフセット値として、ワークの加工を行うことも可能になる。
【符号の説明】
【0040】
1(1a、1b、1c) 刃物台
2 カメラ
3(3a、3b、3c) 工具
5 制御器
50 工具形状取得手段
52 画像取得手段
53 背景除去手段
54 画像解析手段
A デジタル画像
B デジタル画像
C 差分画像
D 差分画像
E 合成画像
a、b 割出軸線
図1
図2
図3