(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、日焼け止め化粧料には、皮膚への紫外線照射を遮断して高いSPF(Sun Protection Factor)値を得るために、紫外線吸収剤や紫外線散乱剤が配合されている。特に、これらを含有する油中水型組成物は、耐水性に優れた高SPFの日焼け止め化粧料が得られることから広く用いられている。
しかしながら、油中水型組成物は、塗布時にべたつきやぬるつきがあること、また紫外線散乱剤によりきしみ感や白浮きを生じることがあった。また紫外線散乱剤を配合しないで高SPFの油中水型組成物を製造しようとすると、紫外線吸収剤を高配合することになり、油っぽさやべたつき、さらに衣服への二次付着による汚着を生じることがあった。
【0003】
一方、べたつきやぬるつきを改善するために、シリコーンゲル組成物、有機変性粘土鉱物、油溶性紫外線吸収剤及び水溶性高分子を組み合わせた水中油型のサンケア化粧料が開示されている(特許文献1)。また、はり感やふっくら感を得るために、固形油分とデキストリン脂肪酸エステルと液状油分を組み合わせて特定の粒径を有する油性粒子とし、それをポリビニルアルコールを含有する水相に分散した外用組成物が、べたつきを抑えられたものであることが開示されている(特許文献2)。
また、特定のベンゾトリアゾール誘導体を配合した日焼け止め化粧料では、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの衣服に対する染着性が低減することが開示されている(特許文献3)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1や2のように、水中油型日焼け止め化粧料にすることで、べたつきやぬるつきはある程度抑制されたが、十分に満足するまでには至っていない。また、水中油型組成物の安定性獲得のために水溶性増粘剤を使用すると、塗布時の「よれ」が生じることが課題となっていた。また、紫外線吸収剤を配合する日焼け止め化粧料の二次付着の問題は、紫外線吸収剤の組み合わせによっては、応用可能な範囲が限られており、まだまだ改善には至っていない。
【0006】
従って、本発明は、紫外線吸収剤のべたつきやぬるつき、二次付着を抑え、塗膜がよれず、均一に塗布することができ、安定性も良好な水中油型日焼け止め化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明者は、上記の課題を解決するため種々検討した結果、(A)油溶性紫外線吸収剤、(B)特定の固形油、(C)アクリル酸系増粘剤、及び(D)水を組み合わせて配合し、且つ配合する粉体の総量を5質量%未満にした水中油型日焼け止め化粧料が、油溶性紫外線吸収剤のべたつきやぬるつき、二次付着が抑制され、塗膜がよれず、均一に塗布することができ、安定性も良好であることを見出した。
【0008】
すなわち、本発明は、下記(A)〜(D)成分を含有する水中油型日焼け止め化粧料であって、粉体((A)油溶性紫外線吸収剤は除く)を含有しない水中油型日焼け止め化粧料である。
(A)油溶性紫外線吸収剤
(B)グリセリンと炭素数16〜26の直鎖状飽和脂肪酸とのトリエステル、又はグリセリンと炭素数16〜26の直鎖状飽和脂肪酸と炭素数12〜28の脂肪族飽和二塩基酸とのオリゴマーエステル
(C)アクリル酸系増粘剤
(D)水 水中油型日焼け止め化粧料総量に対して50質量%以上
【0009】
また、本発明は、下記(A)〜(E)成分を含有する水中油型日焼け止め化粧料である。
(A)油溶性紫外線吸収剤
(B)グリセリンと炭素数16〜26の直鎖状飽和脂肪酸とのトリエステル、又はグリセリンと炭素数16〜26の直鎖状飽和脂肪酸と炭素数12〜28の脂肪族飽和二塩基酸とのオリゴマーエステル
(C)アクリル酸系増粘剤
(D)水 水中油型日焼け止め化粧料総量に対して50質量%以上
(E)粉体 水中油型日焼け止め化粧料総量に対して0質量%超、5質量%未満(ただし、(A)油溶性紫外線吸収剤は除く)
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、油溶性紫外線吸収剤特有のべたつきやぬるつき、衣服への二次付着を抑え、塗膜がよれずに均一に塗布することができ、安定性に優れた日焼け止め化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について詳述する。
【0012】
本発明に用いられる(A)油溶性紫外線吸収剤としては、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸オクチル、サリチル酸トリエタノールアミン等のサリチル酸系;パラアミノ安息香酸、エチルジヒドロキシプロピルパラアミノ安息香酸、グリセリルパラアミノ安息香酸、オクチルジメチルパラアミノ安息香酸、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチルアミノ安息香酸2−エチルへキシル等のパラアミノ安息香酸(PABA)系;4−(2−β−グルコピラノシロキシ)プロポキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−硫酸、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−N−オクトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系;パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル(ユビナールMC80;BASF社製)、ジパラメトキシケイ皮酸モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、2,5−ジイソプロピルケイ皮酸メチル、2,4,6−トリス[4−(2−エチルへキシルオキシカルボニル)アニリノ]−1,3,5−トリアジン(ユビナールT150;BASF社製)、トリメトキシケイ皮酸メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルイソペンチル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル・ジイソプロピルケイ皮酸エステル混合物、p−メトキシハイドロケイ皮酸ジエタノールアミン塩等のケイ皮酸系;2−フェニル−ベンズイミダゾール−5−硫酸、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン(パラソール1789;DSM ニュートリション ジャパン社製)等のベンゾイルメタン系;オクトクリレン(パラソール340;DSM ニュートリション ジャパン社製)、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル(ソフトシェードDH;味の素社製)、1−(3,4−ジメトキシフェニル)−4,4−ジメチル−1,3−ペンタンジオン、シノキサート、メチル−O−アミノベンゾエート、3−(4−メチルベンジリデン)カンフル、オクチルトリアゾン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルエステル(ユビナールAplus;BASF社製)、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(チノソーブS;BASF社製)、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(チノソーブM;BASF社製)が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。(A)成分として固体状の(A)成分を用いる場合は、液状油に溶解させて用いるのが好ましい。
【0013】
これらのうち、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル(ユビナールMC80;BASF社製)、2,4,6−トリス[4−(2−エチルへキシルオキシカルボニル)アニリノ]−1,3,5−トリアジン(ユビナールT150;BASF社製)、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン(パラソール1789;DSM ニュートリション ジャパン社製)、オクトクリレン(パラソール340;DSM ニュートリション ジャパン社製)、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル(ソフトシェードDH;味の素社製)、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルエステル(ユビナールAplus;BASF社製)、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(チノソーブS;BASF社製)、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(チノソーブM;BASF社製)が紫外線吸収効果の点から好ましい。
【0014】
本発明で用いる(A)成分の水中油型日焼け止め化粧料中における含有量は、紫外線防御効果の点から、0.6質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましく、8質量%以上がさらに好ましい。また、べたつきやぬるつきを抑えみずみずしい使用感を維持できる点から、25質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。具体的な範囲としては、0.6〜25質量%が好ましく、2〜20質量%がより好ましく、5〜15質量%がさらに好ましく、8〜15質量%がさらに好ましい。
【0015】
本発明に用いられる(B)成分は、グリセリンと炭素数16〜26の直鎖状飽和脂肪酸とのトリエステル、又はグリセリンと炭素数16〜26の直鎖状飽和脂肪酸と炭素数12〜28の脂肪族飽和二塩基酸とのオリゴマーエステルである。
炭素数16〜26の直鎖状飽和脂肪酸のうち、好ましくは炭素数18〜24の直鎖状飽和脂肪酸である。直鎖状飽和脂肪酸としては、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキンジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸等が挙げられ、これらを単独または任意に混合して使用できる。これらのうち、2次付着性抑制の点から、より好ましくは、ステアリン酸、ベヘン酸が挙げられ、さらに好ましくはベヘン酸が挙げられる。
【0016】
炭素数12〜28の脂肪族飽和二塩基酸のうち、好ましくは炭素数18〜22の脂肪族飽和二塩基酸である。炭素数12〜28の脂肪族飽和二塩基酸としては、ドデカン二酸、オクタデカン二酸、エイコサン二酸等の二塩基酸が挙げられ、これらを単独または任意に混合して使用できる。これらのうち好ましいものはエイコサン二酸である。
【0017】
グリセリンと炭素数16〜26の直鎖状飽和脂肪酸とのトリエステルとしては、トリパルミチン酸グリセリル、トリステアリン酸グリセリル、トリベヘン酸グリセリルが挙げられ、トリベヘン酸グリセリルがより好ましい。
【0018】
グリセリンと炭素数16〜26の直鎖状飽和脂肪酸と炭素数12〜28の脂肪族飽和二塩基酸とのオリゴマーエステルを得るために用いる炭素数16〜26の直鎖状飽和脂肪酸と炭素数12〜28の脂肪族飽和二塩基酸との割合(モル比)は、1:0.1〜0.5が適当である。また、グリセリンと上記脂肪酸合計量とのエステル交換反応の割合は、前者1モルに対して後者1〜5モルが適当である。エステル化反応を行わせる場合の触媒は酵素でも化学触媒でもどちらでもよい。グリセリンと、上記脂肪酸及び上記脂肪族飽和二塩基酸とを同時にオリゴエステル化反応させるか、グリセリンと脂肪酸とをまずエステル化せしめ、これをさらに脂肪族飽和二塩基酸とオリゴエステル化反応あるいはエステル交換反応させるか、グリセリンと脂肪族飽和二塩基酸とをまずオリゴエステル化せしめ、次いでこれを脂肪酸とエステル化反応させる方法で製造することができる。
【0019】
(B)成分は一般に市販されており、グリセリンと炭素数16〜26の直鎖状飽和脂肪酸とのエステルとしては、クローダジャパンより商品名シンクロワックス HR−C(トリベヘン酸グリセリル)が市販されている。また、グリセリンと炭素数16〜26の直鎖状飽和脂肪酸と炭素数12〜28の脂肪族飽和二塩基酸とのオリゴマーエステルとしては、日清オイリオグループより商品名ノムコートHK−G((ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリル)が市販されている。
【0020】
本発明で用いる(B)成分の水中油型日焼け止め化粧料中における含有量は、油溶性紫外線吸収剤のべたつきや二次付着を抑える点から、0.1質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上がさらに好ましく、また5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、2質量%以下がさらに好ましい。具体的な範囲としては、0.1〜5質量%が好ましく、0.3〜3質量%がより好ましく、0.5〜2質量%がさらに好ましい。
【0021】
本発明では、油溶性紫外線吸収剤のべたつきや二次付着を抑え、みずみずしい使用感を得るために、成分(A)と(B)の質量比(A/B)は、2.5以上が好ましく、3以上がより好ましく、5以上がさらに好ましく、また40以下が好ましく、30以下がより好ましく、20以下がさらに好ましい。A/Bの具体的な範囲としては、2.5〜40が好ましく、3〜30がより好ましく、5〜20がさらに好ましい。
【0022】
本発明で用いる(C)アクリル酸系増粘剤としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミドのホモポリマー、又はこれらを含むコポリマーであればよく、例えばカルボキシビニルポリマー(シンタレンK、L;和光純薬工業社)、アルキル変性カルボキシビニルポリマー(PEMULEN TR−1、TR−2;ルーブリゾール社)、SEPPIC社から販売されているポリアクリルアミド(SEPIGEL 305)、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー(SIMULGEL EG)、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー(SIMULGEL FL、SIMULGEL NS、SEPIPLUS S、SEPINOV EMT 10)、(アクリルアミド/アクリル酸アンモニウム)コポリマー(SEPIPLUS 265)、ポリアクリレート−13(SEPIPLUS 400)等が挙げられる。これらのアクリル酸系増粘剤は1種又は2種以上を使用することができる。
これらのうち、特にアルキル変性カルボキシビニルポリマー及び(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーから選ばれる1種又は2種以上を用いた場合、少量でも製剤が安定し、且つ塗布時のよれや使用感の点から好ましい。
【0023】
本発明で用いる(C)成分の水中油型日焼け止め化粧料中における含有量は、製剤の安定性の点から、0.1質量%以上が好ましく、0.25質量%以上がより好ましく、0.4質量%以上がさらに好ましい。また、ポリマーに起因する塗布時のよれやべたつきの点から2質量%以下が好ましく、1.5質量%以下がより好ましく、1.2質量%以下がさらに好ましい。具体的な範囲としては、0.1〜2質量%が好ましく、0.25〜1.5質量%がより好ましく、0.4〜1.2質量%がさらに好ましい。尚、この上記(C)成分の含有量は、アクリル酸系増粘剤に含まれる有効成分の含有量(純分量:質量%)であり、市販原料(混合原料)の含有量(質量%)ではない。
【0024】
本発明の(D)水の含有量は、べたつきやぬるつきを抑え、二次付着性に優れ、経時安定性を良好とする点から、組成物全体に対して50質量%以上が必要であり、60質量%以上がより好ましく、また90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましい。具体的な範囲としては、50〜90質量%が好ましく、60〜80質量%がより好ましい。
【0025】
本発明において(E)成分に該当する「粉体」には、有機粉末や、紫外線散乱剤等の無機粉末、有機粉末に無機粉末を被覆したような複合粉末等が挙げられる。ただし、(A)油溶性紫外線吸収剤は除く。
具体的には、タルク、カオリン、セリサイト、白雲母、酸化チタン、酸化鉄などの無機白色顔料;酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄などの無機赤色系顔料;黄酸化鉄、黄土などの無機黄色系顔料;マンゴバイオレット、コバルトバイオレットなどの無機紫色系顔料;酸化クロム、水酸化クロム、コバルトチタン酸などの無機緑色系顔料;群青、紺青などの無機青色系顔料;酸化チタンコーテッド雲母、酸化チタンコーテッドオキシ酸化ビスマス、オキシ塩化ビスマス、酸化チタンコーテッドタルク、魚鱗箔、着色酸化チタンコーテッド雲母などのパール顔料;アルミニウムパウダー、カッパーパウダーなどの金属粉末顔料;合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、バーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、珪藻土、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、α−酸化鉄、水和酸化鉄、シリカ、ヒドロキシアパタイトなどの無機粉末;ナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー、ベンゾグアナミンパウダー、微結晶性セルロース、シリコーンパウダーなどの有機粉末等が挙げられる。また、微粒子酸化チタンや微粒子酸化亜鉛などの紫外線散乱剤や、有機粉末に無機粉末を被覆した複合粉末なども挙げられる。
【0026】
上記(E)粉体の含有量は、塗布時の透明性やみずみずしい使用感が得られる点から、水中油型日焼け止め化粧料全量に対して5質量%未満であり、好ましくは3質量%未満であり、さらに好ましくは2質量%未満であり、さらに好ましくは1.5質量%未満であり、さらに好ましくは1質量%未満である。尚、本発明には、(E)粉体の含有量が0の場合が含まれる。
【0027】
本発明の水中油型日焼け止め化粧料では、みずみずしい使用感を付与するために、さらに(F)エタノールを含有することができる。(F)成分の水中油型日焼け止め化粧料中における含有量は、上記の点から、0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、2質量%以上がさらに好ましく、また20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、12質量%以下がさらに好ましい。具体的な範囲としては、0.1〜20質量%が好ましく、1〜15質量%がより好ましく、2〜12質量%がさらに好ましい。
【0028】
本発明の水中油型日焼け止め化粧料では、エモリエント効果を付与するために、さらに(G)成分として、(A)成分以外の常温(25℃)で液状のエステル油を含有することができる。具体的な(G)成分としては、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソセチル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、イソステアリン酸プロピレングリコール、セバシン酸ジエチルヘキシル、トリ2−エチルヘキサン酸トリメチルプロパン、コハク酸ジ2−エチルヘキシル、ジ(カプリル・カプリン酸)プロピレングリコール、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸2−エチルヘキシル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリオクタン酸トリメチロールプロパン、トリカプリル酸グリセリル、ジオクタン酸エチレングリコール、ジミリスチン酸グリセリル、ジラウリン酸ジエチレングリコール、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット、ジ酢酸モノステアリン酸グリセリル、乳酸オクチルドデシル、モノステアリン酸プロピレングリコール、オレイン酸プロピレングリコール、乳酸オレイル、ジカプロン酸プロピレングリコール、セバシン酸ジイソプロピル、モノステアリン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ジエチレングリコール、ジヤシ油脂肪酸グリセリル、ジラウリン酸グリセリル、セスキオレイン酸グリセリル、モノオレイン酸エチレングリコール、乳酸セチル、セバシン酸ジエチル、ヒマシ油脂肪酸メチル、パルミチン酸エチレングリコール、ジラウリン酸ポリエチレングリコール及びジピバリン酸トリプロピレングリコールからなる群から選択される1種又は2種以上を挙げることができる。
これらのうち、炭素数12〜18の脂肪酸と炭素数14〜22の分岐アルコールとのエステル、トリ(C
12〜C
18分岐脂肪酸)グリセリル、セバシン酸ジ(C
2〜C
18アルキル)等が好ましく、具体的にはミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソセチル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチルヘキシルがより好ましい。
【0029】
本発明では、紫外線吸収剤のべたつきや二次付着を抑え、みずみずしい使用感を得るために、成分(A)と(G)の和と、成分(B)の質量比((A+G)/B)は、2.75以上が好ましく、5以上がより好ましく、また60以下が好ましく、30以下がより好ましい。(A+G)/Bの具体的な範囲としては、2.75〜60が好ましく、5〜30がより好ましい。
【0030】
また、本発明では、製剤の安定性を高めるために、成分(A)と(G)の和と、成分(C)の質量比((A+G)/C)は、4以上が好ましく、10以上がより好ましく、15以上がさらに好ましく、また300以下が好ましく、200以下がより好ましく、100以下がさらに好ましく、60以下がさらに好ましい。(A+G)/Cの具体的な範囲としては、4〜300が好ましく、10〜200がより好ましく、15〜100がさらに好ましく、15〜60がさらに好ましい。
【0031】
本発明の水中油型日焼け止め化粧料において、ベタツキ感の抑制、経時安定性の点から、前記(A)成分及び(G)成分の合計含有量は、0.6〜30質量%であることが好ましく、0.6〜25質量%がより好ましく、2〜25質量%がさらに好ましく、2〜20質量%がさらに好ましく、5〜20質量%がさらに好ましい。
【0032】
本発明の水中油型日焼け止め化粧料には、上記成分以外に、本発明の効果を損なわない範囲であれば、通常化粧料に配合される各種の界面活性剤、低級アルコール、フッ素化合物、樹脂、増粘剤、防菌防腐剤、香料、保湿剤、塩類、溶媒、酸化防止剤、キレート剤、中和剤、pH調整剤、昆虫忌避剤、生理活性成分等の成分を使用することができる。
【0033】
また、本発明の水中油型日焼け止め化粧料における水相と油相の質量比率(水相/油相)は、べたつき感の抑制、安定性の点から、1.5以上が好ましく、2以上がより好ましく、3以上がさらに好ましく、また、9以下が好ましく、7以下がより好ましく、5以下がさらに好ましい。具体的な範囲としては1.5〜9が好ましく、2〜7がより好ましく、3〜5がさらに好ましい。
【0034】
本発明の水中油型日焼け止め化粧料の剤型としては、水中油型乳化系であればよく、液状、乳液状、クリーム状、ペースト状、固形状、多層状などに適用が可能であり、さらにシート剤、スプレー剤、ムース剤としても適用できる。
【実施例】
【0035】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【0036】
説明にあたり、以下の実施例、比較例で行った官能評価、二次付着性及び安定性の評価方法について述べる。
【0037】
(1)官能評価
専門パネラー10名により、表1及び表2に示す水中油型日焼け止め化粧料を実際に使用した時の、べたつき・ぬるつきの無さを次の評価基準に従って評価してもらい、その平均点を示した。
(評価基準)
【0038】
べたつき・ぬるつきの無さ
5点:べたつき・ぬるつき感が非常に少ない
4点:べたつき・ぬるつき感が少ない
3点:普通
2点:べたつき・ぬるつき感が多い
1点:べたつき・ぬるつき感が非常に多い
【0039】
(2)二次付着性評価
PMMA板上に、試料を2mg/cm
2として均一に塗布し、乾燥させた。試料乾燥後、SPFアナライザー(SPF 290S plus、Optometricus USA,Inc製)にて、PMMA板上の所定8箇所の吸収スペクトル(波長350nm)の透過率(%)を測定し、8箇所の平均を求めた。その後、ティッシュペーパー上にPMMA板の塗布面を下にして置き、450gの負荷をPMMA板の上から10分間かけてティッシュペーパーに付着させた後、PMMA板の透過率(%)を測定した。付着させる前と後との透過率の差(%)を計算し、その差が小さいほど二次付着性が低いとして評価した。表1及び2にはその透過率の差(%)を示した。
【0040】
(3)安定性評価
安定性評価
試料を室温30℃で1ヶ月間保存し、目視にて、化粧料中の油相の分離の有無を確認した。油相の分離有無について、下記判定基準に準じて評価を行った。
×:明らかな油相の分離が見られる
△:僅かに油相の分離が見られる
○:油相の分離が見られない
【0041】
実施例及び比較例
表1及び表2に示す水中油型日焼け止め化粧料を常法により製造し、上記評価を行った。結果を併せて表1及び表2に記載する。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
※1 ユビナールMC80(BASF社製)
※2 ユビナール A plus(BASF社製)
※3 ノムコートHK−G(日清オイリオ社製)
※4 シンクロワックス HR−C(クローダジャパン社製)
※5 PEMULEN TR−1(ルーブリゾール社製)
※6 SIMULGEL EG(SEPPIC社製)、含有量は括弧内がポリマー純分値
※7 Sフェイス MX−10(阪本薬品工業社製)
※8 レオパールISL2(千葉製粉社製)
※9 リップワックスA−4(日本ナチュラルプロダクツ社製)
※10 オゾケライトSP−1020P(STRAHL & PITSCH社製)
【0045】
表1及び表2の結果から明らかなように、本発明の水中油型日焼け止め化粧料(実施例1〜8)は、紫外線吸収剤によるべたつき、ぬるつきがなく、衣服等への二次付着性も低く、保存安定性も良好であった。
一方、(B)成分が他の成分、あるいは(B)成分を含まない比較例1及び比較例2〜6はべたつきやぬるつきがあり、二次付着性も大きかった。また(C)成分を含まない、あるいは(C)成分が他の成分である比較例7及び比較例8は、経時安定性が悪いものであった。(E)成分の含有量が多すぎる比較例9及び比較例10は、べたつきが生じ、また二次付着性も低下していた。
なお、実施例1〜8の水中油型日焼け止め化粧料は、塗膜がよれず、均一に塗布することができ、さらに透明性のあるみずみずしい使用感を有するものであった。
【0046】
以下に本発明の水中油型日焼け止め化粧料の処方例を挙げる。いずれも優れた効果が得られるものであることが期待される。
【0047】
処方例1 (水中油型サンスクリーン)
【0048】
【表3】
【0049】
処方例2 (水中油型サンスクリーン)
【0050】
【表4】
【0051】
上記処方例における香料の組成は、以下のものを用いた。
【0052】
【表5】