(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記プラスチックフィルムは、ポリエチレンフィルム、ナイロンフィルム、若しくは、ポリエチレンテレフタレートフィルムからなる単層フィルム、又は、ポリエチレンフィルム、ナイロンフィルム、若しくは、ポリエチレンテレフタレートフィルムのうちの1種類又は複数種類からなる多層フィルムからなる請求項1〜5のいずれかに記載の液体洗剤入りパウチ梱包箱。
外箱内に、揮発性成分を含む液体洗剤がプラスチックフィルム内に封入された液体洗剤入りパウチと、吸液性を有する吸収シートとを交互に積み重ね、複数の前記液体洗剤入りパウチの間に、前記吸収シートを挟む工程を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の液体洗剤入りパウチ梱包箱の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなパウチには液体洗剤が封入され、液体洗剤入りパウチとされる。そして、搬送時には、外箱内に複数の液体洗剤入りパウチが積み重ねられて梱包された液体洗剤入りパウチ梱包箱として搬送されることになる。
搬送先においては、液体洗剤入りパウチ梱包箱から液体洗剤入りパウチを取り出し使用されることになる。例えば、液体洗剤が、上記のような濃縮液体洗剤である場合、濃縮液体洗剤を希釈するとかなりの量の液体洗剤とすることができる。従って、次の液体洗剤入りパウチを使用するまでの間、長期間に渡り希釈された液体洗剤を使用することができる。そのため、液体洗剤入りパウチ梱包箱内の液体洗剤入りパウチは、下段に向かうにつれ長期間保管される場合もある。
【0006】
このように液体洗剤入りパウチが長期間保管されると、液体洗剤に含まれる揮発性成分が液体洗剤入りパウチのプラスチックフィルムを透過することがある。また、揮発性成分は、液体洗剤入りパウチのプラスチックフィルムを透過し、液体洗剤入りパウチのプラスチックフィルムの間に滲出することになる。そして、滲出した揮発性成分の周囲には、液体洗剤入りパウチのプラスチックフィルムがある状態となる。このように液体洗剤入りパウチのプラスチックフィルムが周囲にある状態では揮発性成分は揮発しにくいので、揮発性成分が積み重ねられた液体洗剤入りパウチのプラスチックフィルムの間に蓄積されるという問題点があった。
【0007】
揮発性成分の透過を防ぐために、液体洗剤入りパウチのプラスチックフィルムの厚さを厚くすることや、液体洗剤入りパウチのプラスチックフィルムを二重にすることが考えられたが、液体洗剤入りパウチのプラスチックフィルムを引き裂く際の作業性が悪くなるという問題があり、また、コストも高くなるという問題があった。
また、液体洗剤入りパウチのプラスチックフィルムとしてバリア性の高いシリカ蒸着フィルム、アルミ蒸着フィルム、アルミラミネートフィルム等を用いることも考えられた。しかし、揮発性成分が、揮発性アルカリ剤である場合、揮発性アルカリ剤が、これらフィルムと、塗布、蒸着又は金属との張り合わせ層(以下、「接着層」ともいう)に蓄積し、接着層を溶かすという問題点があった。
【0008】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、液体洗剤入りパウチのプラスチックフィルムを透過した液体洗剤の揮発性成分が、液体洗剤入りパウチのプラスチックフィルムの間に蓄積しない液体洗剤入りパウチ梱包箱及び該液体洗剤入りパウチ梱包箱の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明の液体洗剤入りパウチ梱包箱は、揮発性成分を含む液体洗剤がプラスチックフィルム内に封入された液体洗剤入りパウチが外箱内に複数個梱包されてなる液体洗剤入りパウチ梱包箱であって、上記複数の液体洗剤入りパウチの間に、吸液性を有する吸収シートが挟まれて、上記液体洗剤入りパウチと上記吸収シートとが交互に積み重ねられて上記外箱内に梱包されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の液体洗剤入りパウチ梱包箱では、上記複数の液体洗剤入りパウチの間に、吸液性を有する吸収シートが挟まれて、上記液体洗剤入りパウチと上記吸収シートとが交互に積み重ねられている。
そのため、揮発性成分が液体洗剤入りパウチのプラスチックフィルムを透過したとしても、揮発性成分は吸収シートに吸収されることになる。そのため、液体洗剤入りパウチのプラスチックフィルムの間に揮発性成分が蓄積することを防ぐことができる。その結果、揮発性成分が作業者の手に付着することを防ぐことができる。
さらに、液体洗剤入りパウチの間に吸収シートが配置されることになるので、搬送時に液体洗剤入りパウチ梱包箱に振動や衝撃が加わったとしても、吸収シートが緩衝材としての役割を果たし、液体洗剤入りパウチが破損しにくくなる。
なお、「吸液性」とは、水や油等の液体を吸収する性質のことを意味する。
吸収シートとしては、吸水性であってもよく、吸油性であってもよく、揮発性成分の種類に応じて選択することが望ましい。
【0011】
本発明の液体洗剤入りパウチ梱包箱では、上記吸収シートは、紙、不織布又はウレタンシートであることが望ましい。
吸収シートが、紙、不織布又はウレタンシートであると、吸収シートの通気性が良好となる。そのため、吸収シートに吸収された揮発性成分が揮発されやすくなる。従って、作業者が吸収シートに触れたとしても、作業者の手に揮発性成分が付着することを防ぐことができる。
【0012】
本発明の液体洗剤入りパウチ梱包箱では、上記液体洗剤のpHは10以上であることが望ましい。
pHが上記範囲である液体洗剤は、濃縮タイプの液体洗剤として有用である。また、このようなpHの高い液体洗剤は、作業者の手に付着することを避けるべき必要性が高い。このようなpHの高い液体洗剤であっても、本発明の液体洗剤入りパウチ梱包箱では、作業者の手に揮発性成分が付着することを防ぐことができる。
【0013】
本発明の液体洗剤入りパウチ梱包箱では、上記揮発性成分は、揮発性アルカリ剤であることが望ましい。
また、上記揮発性アルカリ剤は、モノエタノールアミン及びジエタノールアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが望ましい。
これら揮発性アルカリ剤が液体洗剤に含まれていると、本発明の液体洗剤入りパウチ梱包箱から液体洗剤入りパウチを取り出し、液体洗剤入りパウチに封入された液体洗剤を用いる際に、洗浄力を向上させることができる。
【0014】
本発明の液体洗剤入りパウチ梱包箱では、上記プラスチックフィルムは、ポリエチレンフィルム、ナイロンフィルム、若しくは、ポリエチレンテレフタレートフィルムからなる単層フィルム、又は、ポリエチレンフィルム、ナイロンフィルム、若しくは、ポリエチレンテレフタレートフィルムのうちの1種類又は複数種類からなる多層フィルムからなることが望ましい。
これらプラスチックフィルムは、液体洗剤入りパウチの包装容器として好適に用いることができる。
【0015】
本発明の液体洗剤入りパウチ梱包箱では、上記外箱の外形は直方体であり、上記液体洗剤入りパウチを平面視した形状は平行四辺形であり、上記外箱を平面視した際に、上記外箱の内壁面に、上記液体洗剤入りパウチの少なくとも1辺が接するように上記液体洗剤入りパウチが配置されており、上記外箱を平面視した際に、上記外箱と上記液体洗剤入りパウチとの隙間には補強材が配置されていることが望ましい。
このように補強材が配置されていると、液体洗剤入りパウチ梱包箱を搬送する際に、衝撃や振動等により液体洗剤入りパウチがずれることを防ぐことができる。その結果、液体洗剤入りパウチが破損することを防ぐことができる。
【0016】
本発明の液体洗剤入りパウチ梱包箱の製造方法は、外箱内に、揮発性成分を含む液体洗剤がプラスチックフィルム内に封入された液体洗剤入りパウチと、吸液性を有する吸収シートとを交互に積み重ね、複数の上記液体洗剤入りパウチの間に、上記吸収シートを挟む工程を含むことを特徴とする。
液体洗剤入りパウチと、吸液性を有する吸収シートとを交互に積み重ねることで、上記本発明の液体洗剤入りパウチ梱包箱を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第一実施形態)
以下、本発明の液体洗剤入りパウチ梱包箱及び液体洗剤入りパウチ梱包箱の製造方法の一実施形態である第一実施形態について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
【0019】
まず、本発明の第一実施形態に係る液体洗剤入りパウチ梱包箱に含まれる液体洗剤入りパウチの形状について説明する。
図1は、本発明の第一実施形態に係る液体洗剤入りパウチ梱包箱に含まれる液体洗剤入りパウチの平面図である。
図1に示すように、液体洗剤入りパウチ20の平面視形状は、平行四辺形であり、その大きさは特に限定されないが、底辺の長さLは、3〜30cmであることが望ましく、高さHは、5〜50cmであることが望ましい。
また、上記平行四辺形の鋭角の角度θは、特に限定されないが、45°〜75°であることが望ましい。
【0020】
液体洗剤入りパウチ20の封止部分の構造は、特に限定されないが、ヒートシールされた構造であることが望ましい。
例えば、
図1に示すように、液体洗剤入りパウチ20の封止部分の構造は、プラスチックフィルム21が筒状体になるようにヒートシール加工されたセンターシール部27、並びに、その筒状体の上端及び下端にそれぞれヒートシール加工されたトップシール部25及びボトムシール部26のような構造であってもよい。
なお、このように液体洗剤入りパウチ20が上記3箇所のヒートシール部を有する場合、液体洗剤入りパウチ20は、一枚のプラスチックフィルム21を3箇所ヒートシール加工されることにより形成されていることになる。
なお、液体洗剤入りパウチ20には、揮発性成分を含む液体洗剤22がプラスチックフィルム21内に封入されている。
【0021】
次に、液体洗剤入りパウチ20が梱包された本発明の第一実施形態の液体洗剤入りパウチ梱包箱を図面を用いて説明する。
図2(a)は、本発明の第一実施形態に係る液体洗剤入りパウチ梱包箱の一例を模式的に示す斜視図である。
図2(b)は、
図2(a)に示す本発明の液体洗剤入りパウチ梱包箱の内部の透過図である。
図2(c)は、
図2(a)に示す本発明の液体洗剤入りパウチ梱包箱の平面図である。
【0022】
図2(a)に示すように、本発明の第一実施形態である液体洗剤入りパウチ梱包箱10は、揮発性成分を含む液体洗剤22がプラスチックフィルム21内に封入された液体洗剤入りパウチ20が、外箱40内に複数個梱包されてなる。
【0023】
また、
図2(b)に示すように、液体洗剤入りパウチ梱包箱10には、複数の液体洗剤入りパウチ20の間に、吸液性を有する吸収シート30が挟まれて、液体洗剤入りパウチ20と吸収シート30とが交互に積み重ねられて外箱40内に梱包されている。
【0024】
液体洗剤入りパウチ20を長期間保存すると、液体洗剤22に含まれる揮発性成分が、プラスチックフィルム21を透過することがある。
しかし、液体洗剤入りパウチ梱包箱10では、複数の液体洗剤入りパウチ20の間に、吸液性を有する吸収シート30が挟まれて、液体洗剤入りパウチ20と吸収シート30とが交互に積み重ねられている。そのため、液体洗剤22に含まれる揮発性成分がプラスチックフィルム21を透過したとしても、揮発性成分は吸収シート30に吸収されることになる。そのため、液体洗剤入りパウチ20のプラスチックフィルム21の間に揮発性成分が蓄積することを防ぐことができる。その結果、揮発性成分が作業者の手に付着することを防ぐことができる。
さらに、液体洗剤入りパウチ20の間に吸収シート30が配置されることになるので、搬送時に液体洗剤入りパウチ梱包箱10に振動や衝撃が加わったとしても、吸収シート30が緩衝材としての役割を果たし、液体洗剤入りパウチ20が破損しにくくなる。
【0025】
なお、液体洗剤入りパウチ梱包箱10において、吸収シート30は、液体洗剤入りパウチ20の間に配置されていれば、配置位置は特に限定されないが、外箱40と液体洗剤入りパウチ20との間にも配置されていることが望ましい。
【0026】
図2(a)〜(c)に示すように、本発明の第一実施形態に係る液体洗剤入りパウチ梱包箱10では、外箱40の外形は直方体であり、液体洗剤入りパウチ20を平面視した形状は平行四辺形であり、外箱40を平面視した際に、外箱40の内壁面41に、液体洗剤入りパウチ20のトップシール部25及びボトムシール部26が接するように液体洗剤入りパウチ20が配置されており、外箱40を平面視した際に、外箱40と液体洗剤入りパウチ20との隙間には補強材50が配置されている。
また、補強材50は、外箱40と液体洗剤入りパウチ20との隙間を埋めるように三角柱状をしている。
このように補強材50が配置されていると、液体洗剤入りパウチ梱包箱10を搬送する際に、衝撃や振動等により液体洗剤入りパウチ20がずれることを防ぐことができる。その結果、液体洗剤入りパウチ20が破損することを防ぐことができる。
【0027】
次に、液体洗剤入りパウチ20を構成する揮発性成分を含む液体洗剤22及びプラスチックフィルム21について説明する。
【0028】
まず、揮発性成分を含む液体洗剤22について説明する。
液体洗剤22のpHは、特に限定されないが、10以上であることが望ましく、10〜13であることがより望ましい。
pHが上記範囲である液体洗剤22は、濃縮タイプの液体洗剤として有用である。また、このようなpHの高い液体洗剤22は、作業者の手に付着することを避けるべき必要性が高い。このようなpHの高い液体洗剤であっても、液体洗剤入りパウチ梱包箱10では、作業者の手に揮発性成分が付着することを防ぐことができる。
【0029】
本明細書において揮発性成分とは、常温常圧で気化し、プラスチックフィルム21を透過する物質を意味する。
液体洗剤22に含まれる揮発性成分としては、特に限定されないが、揮発性の界面活性剤、溶剤、アルカリ剤等があげられる。これらの中では、揮発性アルカリ剤であることが望ましい。
揮発性アルカリ剤の含有量を調整することにより、液体洗剤22のpHを上記の望ましい範囲にすることができる。
【0030】
揮発性アルカリ剤としては、特に限定されないが、モノエタノールアミン及びジエタノールアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが望ましい。
これら揮発性アルカリ剤が液体洗剤22に含まれていると、液体洗剤入りパウチ梱包箱10から液体洗剤入りパウチ20を取り出し、液体洗剤入りパウチ20に封入された液体洗剤22を用いる際に、洗浄力を向上させることができる。
【0031】
また、液体洗剤22は、上記揮発性成分を含んでいれば、他の成分は特に限定されず、例えば、不揮発性の界面活性剤、溶剤、キレート剤等を含んでいてもよい。
界面活性剤としては、特に限定されないが、アルキルアミンオキシド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等があげられる。溶剤としては、特に限定されないが、グリコールエーテル類又はアルコール類等があげられる。キレート剤としては、特に限定されないが、クエン酸等があげられる。
【0032】
液体洗剤22の粘度は、特に限定されないが、20℃において、30〜2000mPa・sであることが望ましい。
液体洗剤の粘度が、30mPa・s未満であると、細かい泡が発生しやすい。そのため、プラスチックフィルム21を引き裂いて液体洗剤を取り出す際に、液体洗剤が飛び散りやすくなり、作業者の手に液体洗剤が付着しやすくなる。
液体洗剤の粘度が、2000mPa・sを超えると液体洗剤の流動性が悪く、スムーズに液体洗剤を注ぎにくくなる。また、液体洗剤がプラスチックフィルム21の内面に付着してプラスチックフィルム21内に残留しやすくなる。
なお、本明細書において、液体洗剤の粘度とは、JIS K 7117−2に準拠し、回転粘度計を用いて測定した値のことをいう。
【0033】
液体洗剤22の量は、特に限定されないが、プラスチックフィルム21の内容積の70%以下であることが望ましい。
液体洗剤の量が、プラスチックフィルムの内容積の70%を超えて多くなっていると、プラスチックフィルムを引き裂いた際に液体洗剤が飛び散ることがあるためである。
【0034】
次に、プラスチックフィルム21について説明する。
プラスチックフィルム21の材質は、特に限定されないが、ポリエチレンフィルム、ナイロンフィルム、若しくは、ポリエチレンテレフタレートフィルムからなる単層フィルム、又は、ポリエチレンフィルム、ナイロンフィルム、若しくは、ポリエチレンテレフタレートフィルムのうちの1種類又は複数種類からなる多層フィルムからなることが望ましい。
これら材質のプラスチックフィルム21は、液体洗剤入りパウチの包装容器として好適に用いることができる。
【0035】
プラスチックフィルム21の厚さは、特に限定されないが、50〜100μmであることが望ましい。
プラスチックフィルムの厚さが、50μm未満であると、プラスチックフィルムが薄いことに起因して、液体洗剤入りパウチが破損しやすくなる。また、液体洗剤中の揮発性成分がプラスチックフィルムを透過しやすくなる。
また、プラスチックフィルムの厚さが、100μmを超えると、プラスチックフィルムを引き裂きにくくなり、プラスチックフィルムを引き裂く際に、液体洗剤が飛び散りやすくなる。
【0036】
次に、吸液性を有する吸収シート30について説明する。
吸収シート30の材質は、特に限定されないが、紙、不織布又はウレタンシートであることが望ましい。これらの中では、紙であることがより望ましい。
吸収シート30が、紙、不織布又はウレタンシートであると、吸収シート30の通気性が良好となる。
吸収シート30に揮発性成分が吸収される際に、揮発性成分が毛細管現象により拡散されて蒸発しやすくなる。また、吸収シート30には凹凸があるので、液体洗剤入りパウチ20の間に隙間が生じ、通気性が良くなることで揮発性成分が蒸発しやすくなる。
そのため、吸収シート30に吸収された揮発性成分が揮発されやすくなる。従って、作業者が吸収シートに触れたとしても、作業者の手に揮発性成分が付着することを防ぐことができる。
【0037】
吸収シート30の厚さは、0.01〜10mmであることが望ましく、0.04〜5mmであることがより望ましい。
吸収シート30の厚さが、0.01mm未満であると、吸収シート30の通気性が不充分となり、吸収シート30に吸収された揮発性成分が液体洗剤入りパウチ20の間に蓄積しやすくなる。
吸収シート30の厚さが、10mmを超えると、外箱40に梱包する液体洗剤入りパウチ20の量が少なくなり、効率的に液体洗剤入りパウチ20を搬送できなくなる。
【0038】
吸収シート30の形状は、特に限定されないが、平面視した際に、液体洗剤入りパウチ20の平面視形状と同じ形状であることが望ましい。なお、長方形の場合は端の部分をパウチと同じ角度で折りたたむことにより使用できる。
【0039】
次に、外箱40及び補強材50について説明する。
外箱40は、段ボールからなることが望ましい。
また、外箱40の大きさは、縦×横×高さ=15×10×10〜60×40×50cmであることが望ましい。
【0040】
補強材50の形状は、特に限定されないが、
図2(a)〜(c)に示すように、三角柱状であることが望ましい。
以下に、より具体的な補強材50の望ましい形状を説明する。
液体洗剤入りパウチ梱包箱10を製造する際には、外箱40に補強材50を配置し、その後、液体洗剤入りパウチ20を配置することになる。補強材50の形状は、外箱40に補強材50を配置すると、液体洗剤入りパウチ20を配置するための平面視平行四辺形の空間が形成されるような形状であることが望ましい。
【0041】
補強材50は、段ボールで外枠が形成され外枠の内側に紙が詰められて形成されていてもよく、発泡スチロールにより形成されていてもよい。
これらから形成されている補強材50は、緩衝作用があるので、液体洗剤入りパウチ20が破損することを防ぐ効果を向上させることができる。
【0042】
次に、液体洗剤入りパウチ梱包箱の製造方法について説明する。
【0043】
(1)液体洗剤入りパウチ製造工程
まず、液体洗剤入りパウチの製造工程を説明する。
図3は、液体洗剤入りパウチの製造工程の一部を模式的に示す斜視図である。
図3は、液体洗剤入りパウチの製造装置60を示している。液体洗剤入りパウチの製造装置60は、ローラー61、液体洗剤投入口62、ローラー63、センターシーラー64、ボトム/トップシーラー65を備えている。
【0044】
液体洗剤入りパウチ20の製造工程では、プラスチックフィルム21を準備し、液体洗剤入りパウチの製造装置60のローラー61で搬送する。
【0045】
続いて、プラスチックフィルム21を、円筒状の液体洗剤投入口62に巻き付けて、ローラー63で下方向に搬送させながらセンターシーラー64を用いてヒートシール加工して、両端に開口部を有するプラスチックフィルム21の筒状体とする。
【0046】
続いて、ボトム/トップシーラー65を用いて、プラスチックフィルム21の筒状体の下端に位置する開口部をヒートシール加工することによってボトムシール部26を設ける。
図4は、ボトム/トップシーラーの断面を模式的に示す断面図である。
ボトム/トップシーラー65は、ボトムシーラー65a及びトップシーラー65bがプラスチックフィルム21を挟んで対向しており、ボトムシーラー65a間、トップシーラー65b間でプラスチックフィルム21を挟むことにより同時に2箇所のヒートシール加工を行うことができる。
このような機構であると、前ロットの液体洗剤入りパウチ20のトップシール部25の形成と後ロットのパウチのボトムシール部26の形成を同時に行うことができる。
また、ボトムシーラー65aとトップシーラー65bの間にはカッター65cが設けられており、カッター65cを用いてプラスチックフィルム21を切断することによって、2箇所のヒートシール加工、及び、前ロットの液体洗剤入りパウチ20と後ロットの液体洗剤入りパウチ20との分離を連続的に行うことができる。
【0047】
なお、上記ボトム/トップシーラー65ではプラスチックフィルム21を搬送させることなく2箇所のヒートシール加工及びプラスチックフィルム21の切断を行うが、ヒートシール加工及びプラスチックフィルム21の切断の態様はこの態様に限定されるものではない。
例えば、2箇所のヒートシール加工の後にプラスチックフィルム21を搬送してプラスチックフィルム21の切断を別途行ってもよい。また、前ロットの液体洗剤入りパウチ20のトップシール部25の形成を行った後にプラスチックフィルム21を搬送して、後ロットの液体洗剤入りパウチ20のボトムシール部26の形成を行うとともにプラスチックフィルム21の切断を行ってもよい。
【0048】
次に、ボトムシール部26を設けたプラスチックフィルム21の筒状体に、液体洗剤投入口62から揮発性成分を含む液体洗剤22を投入して、プラスチックフィルム21の筒状体の中に液体洗剤22を充填する。
【0049】
次に、液体洗剤22を充填したプラスチックフィルム21をさらに下方に搬送し、液体洗剤22が充填されていない部分がトップシーラー65bよりも下方の所定位置に到達した時点で、ボトム/トップシーラー65を用いてプラスチックフィルム21の筒状体の開口部にトップシール部25を形成する。さらに、プラスチックフィルム21の筒状体をトップシール部25の外側で切断する。
このような工程により、液体洗剤22がプラスチックフィルム21内に封入された液体洗剤入りパウチ20を連続的に製造することができる。
【0050】
液体洗剤入りパウチ20の製造方法は、上述したようなパウチの製造と液体洗剤22の封入を同時に行う方法に限定されるものではなく、パウチの製造と液体洗剤22の封入を別々に行う方法によってもよい。
上記工程において、液体洗剤投入口62から洗剤を投入せずにトップシール部25を形成すると、液体洗剤が入っていないパウチを製造することができる。そして、そのパウチに液体洗剤22を封入するための開口を別途形成し、液体洗剤22を封入した後にその開口を閉じることによっても、液体洗剤入りパウチ20を製造することができる。
【0051】
(2)梱包工程
次に、液体洗剤入りパウチ20を外箱40に梱包する梱包工程を説明する。
梱包工程では、外箱40内に、揮発性成分を含む液体洗剤22がプラスチックフィルム21内に封入された液体洗剤入りパウチ20と、吸液性を有する吸収シート30とを交互に積み重ね、複数の液体洗剤入りパウチの間20に、吸収シート30を挟む。
この工程を図面を用いて説明する。
図5(a)〜(c)は、梱包工程を模式的に連続して示す斜視図である。
【0052】
(2−1)補強材の配置
図5(a)に示すように、まず、液体洗剤入りパウチ20を配置する為の平面視平行四辺形の空間が形成されるように、補強材50を外箱40に配置する。
【0053】
(2−2)吸収シートの配置
次に、
図5(b)に示すように、外箱40の内底に吸収シート30を配置する。
【0054】
(2−3)液体洗剤入りパウチの配置
次に、
図5(c)に示すように、吸収シート30の上に液体洗剤入りパウチ20を配置し、さらに吸収シート30及び液体洗剤入りパウチ20を交互に積み重ね、所定数の液体洗剤入りパウチ20の間に、吸収シート30を挟む。
以上の工程を経て液体洗剤入りパウチ梱包箱10を製造することができる。
【0055】
(実施例1)
以下に本発明をより具体的に説明する実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0056】
(1)液体洗剤入りパウチ製造工程
プラスチックフィルムとして、ナイロンフィルムとポリエチレンフィルムからなる厚さ75μmの多層(2層)フィルムを用い、
図3に示した液体洗剤入りパウチの製造装置を使用して、
図1に記載した形状の液体洗剤入りパウチを作成した。
なお、液体洗剤入りパウチ内に封入する液体洗剤の組成は、揮発性アルカリ剤としてモノエタノールアミンが19.8重量%、溶剤としてジエチレングリコールモノブチルエーテルが5.0重量%、キレート剤としてクエン酸が1.0重量%、界面活性剤としてラウリルジメチルアミンオキシドが10.0重量%及びポリオキシエチレン分岐デシルエーテルが5.0重量%、並びに、水が59.2重量%であった。
また、液体洗剤入りパウチ内に封入する液体洗剤の量は、1000mLであった。
製造した液体洗剤入りパウチの形状は、平面視した際に、底辺が28cm、高さが19cm、鋭角の角度が60°の平行四辺形状であった。
(2)梱包工程
(2−1)補強材の配置
まず、縦×横×高さ=36×19×14cmの段ボール製の外箱を準備した。
次に、補強材の外枠となる段ボールを2つ外箱に配置した。補強材の外枠の形状は、三角柱状であり、底面の三角形の形状が、底辺が7.5cm、高さが17.5cmの直角三角形であり、三角柱の高さが13cmであった。その後、補強材の外枠の内側に紙を入れて補強材を作製した。
外箱に2つの補強材を配置することにより、外箱を平面視した際に、底辺が28cm、高さが19cm、鋭角の角度が60°の平行四辺形の空間が形成された。
【0057】
(2−2)吸収シートの配置
次に、外箱の内底に吸収シートを配置した。
吸収シートは、紙製であり、平面視形状が、底辺が28cm、高さが19cm、鋭角の角度が60°の平行四辺形であった。また、吸収シートの厚さは、0.1mmであった。
【0058】
(2−3)液体洗剤入りパウチの配置
次に、吸収シートの上に液体洗剤入りパウチを配置した。その後、吸収シート及び液体洗剤入りパウチを交互に積み重ね、4個の液体洗剤入りパウチの間に、吸収シートを挟んだ。
以上の工程を経て実施例1に係る液体洗剤入りパウチ梱包箱を製造した。
【0059】
(比較例1)
液体洗剤入りパウチの間に吸収シートを挟まない以外は、実施例1と同様にして比較例1に係る液体洗剤入りパウチ梱包箱を製造した。
【0060】
(液体洗剤滞留評価)
実施例1及び比較例1の液体洗剤入りパウチ梱包箱を45℃で、1ヶ月間保存した。その後、液体洗剤入りパウチ間に液体洗剤の揮発性成分が滞留しているか否かを目視で確認した。
実施例1に係る液体洗剤入りパウチ梱包箱では、液体洗剤入りパウチ間に液体洗剤の揮発性成分の滞留がなかった。
比較例1に係る液体洗剤入りパウチ梱包箱では、液体洗剤入りパウチ間に液体洗剤の揮発性成分の滞留があった。
【0061】
(第二実施形態)
次に、本発明の液体洗剤入りパウチ梱包箱及び液体洗剤入りパウチ梱包箱の製造方法の一実施形態である第二実施形態について説明する。
【0062】
図6(a)は、本発明の第二実施形態に係る液体洗剤入りパウチ梱包箱の一例を模式的に示す透過図である。
図6(b)は、
図6(a)に示す本発明の液体洗剤入りパウチ梱包箱の平面図である。
【0063】
図6(a)に示すように、本発明の第二実施形態に係る液体洗剤入りパウチ梱包箱110は、液体洗剤入りパウチ120、吸収シート130及び外箱140からなる。
液体洗剤入りパウチ120、吸収シート130及び外箱140の大きさ及び形状は、本発明の第一実施形態に係る液体洗剤入りパウチ梱包箱10の液体洗剤入りパウチ20、吸収シート30及び外箱40の大きさ及び形状が異なる以外は、本発明の第一実施形態に係る液体洗剤入りパウチ梱包箱10と同じである。
すなわち、複数の液体洗剤入りパウチ120の間に、吸液性を有する吸収シート130が挟まれて、液体洗剤入りパウチ120と吸収シート130とが交互に積み重ねられて外箱140内に梱包されている。
【0064】
図6(b)に示すように、液体洗剤入りパウチ120の平面視形状は、一つの鋭角部、一つの鈍角部、及び、二つの直角部を有する台形状である。
また、
図6(a)及び(b)に示すように、吸収シート130の間には、2つの液体洗剤入りパウチ120が配置されている。そして、平面視した際に、2つの液体洗剤入りパウチ120を合わせると、長方形状になるように、2つの液体洗剤入りパウチ120が配置されている。
【0065】
このように、吸収シート130の間に、2つの液体洗剤入りパウチ120を配置することにより、効率的に液体洗剤入りパウチ120を搬送することができる。
【0066】
液体洗剤入りパウチ梱包箱110は、液体洗剤入りパウチ120、吸収シート130及び外箱140の形状、大きさを変える以外は、本発明の第一実施形態に係る液体洗剤入りパウチ梱包箱10を製造する方法と同様の方法で製造することができる。
【0067】
(その他の実施形態)
本発明の第一実施形態に係る液体洗剤入りパウチ梱包箱10では、液体洗剤入りパウチ20の形状は平面視平行四辺形であったが、本発明の液体洗剤入りパウチ梱包箱では、液体洗剤入りパウチの形状は、特に限定されず、平面視形状が三角形、台形、ひし形、長方形、正方形等の多角形、円形、楕円形、長円形等の形状であってもよい。
なお、本明細書において「多角形」とは数学的に厳密な意味で多角形という意味ではなく、その頂点部分が丸くなっていたり、辺の一部が曲線となっている場合も含む概念である。
さらに、液体洗剤入りパウチの形状は、
図7、
図8(a)〜(d)、
図9及び
図10に示すような形状であってもよい。
図7、
図8(a)〜(d)、
図9及び
図10は、本発明の液体洗剤入りパウチ梱包箱における液体洗剤入りパウチの平面形状の一例を模式的に示す平面図である。
【0068】
図7に示す液体洗剤入りパウチ220は、平面視形状が、直線である第1の短辺221、第2の短辺222、第1の長辺223、第2の長辺224を有し、曲線である傾斜線231を有する。
この形状は、第2の短辺222と同じ長さの辺を短辺とし、第2の長辺224と同じ長さの辺を長辺とする、短辺と長辺を有する長方形をはじめに考え、次に上記長方形において短辺上に位置する点(
図7における点232)を始点とし、長辺上に位置する点(
図7における点233)を終点とする曲線で上記長方形を切断してなる形状である。上記長方形を切断する曲線が傾斜線231となる。
【0069】
図8(a)〜(d)に示す液体洗剤入りパウチでは、傾斜線の形状が
図7に示す液体洗剤入りパウチ220と異なる。
図8(a)に示す液体洗剤入りパウチ320では、傾斜線は1本の直線である傾斜線331からなる。
図8(b)に示す液体洗剤入りパウチ420では、傾斜線は2本の直線である傾斜線431a、431bからなる。
図8(c)に示す液体洗剤入りパウチ520では、傾斜線は2本の曲線である傾斜線531a、531bからなる。
図8(d)に示す液体洗剤入りパウチ620では、傾斜線は1本の曲線631a及び1本の直線631bからなる。
すなわち、傾斜線は1本若しくは複数本の直線、及び/又は、1本若しくは複数本の曲線からなっていてもよい。
【0070】
図9に示す液体洗剤入りパウチ720では、傾斜線の形状が
図7に示すパウチ220と異なる。
図9に示す液体洗剤入りパウチ720では、傾斜線は2本の直線731a及び731bからなる。
傾斜線731bは、第2の長辺224と平行であり、かつ、第1の短辺221と形成する角度が直角となる直線である。すなわち、傾斜線は第2の長辺及び第1の短辺とこのような角度を形成する線であってもよい。
【0071】
図10に示す液体洗剤入りパウチ820では、第1の短辺が設けられていない。
傾斜線831は第2の長辺224の一端を始点とし、第1の長辺223の一端を終点とする曲線である。液体洗剤入りパウチはこのような形状であってもよい。
【0072】
本発明の第一実施形態に係る液体洗剤入りパウチ梱包箱10では、吸収シート30を外箱40の内底に配置してから液体洗剤入りパウチ20を配置していたが、本発明の液体洗剤入りパウチ梱包箱では、液体洗剤入りパウチを外箱の内底に直接配置してもよい。
また、最上部の液体洗剤入りパウチの上に、さらに吸収シートを配置してもよい。
【0073】
本発明の第一実施形態に係る液体洗剤入りパウチ梱包箱10では、液体洗剤入りパウチの間に配置される吸収シートの枚数は1枚であったが、本発明の液体洗剤入りパウチ梱包箱では、吸収シートの枚数は2枚以上であってもよい。
【0074】
本発明の第一実施形態に係る液体洗剤入りパウチ梱包箱10では、外箱40を平面視した際に、外箱40の内壁面41に、液体洗剤入りパウチ20のトップシール部25及びボトムシール部26が接するように液体洗剤入りパウチ20が配置されていたが、本発明の液体洗剤入りパウチ梱包箱では、平面視した際に、外箱の内壁面に、液体洗剤入りパウチの少なくとも1辺が接するように液体洗剤入りパウチが配置されていてもよい。
また、平面視した際に、外箱の内壁面に液体洗剤入りパウチの輪郭部分が全く接していなくてもよい。なお、外箱の内壁面に液体洗剤入りパウチの輪郭部分が全く接していない場合には、液体洗剤入りパウチの周囲には補強材があることが望ましい。
【0075】
本発明の第一実施形態に係る液体洗剤入りパウチ梱包箱10では、液体洗剤入りパウチ20は、一枚のプラスチックフィルム21を3箇所ヒートシール加工されることにより形成されていたが、本発明の液体洗剤入りパウチ梱包箱では、2枚のプラスチックフィルムを張り合わせ四方がヒートシール加工されることにより形成されていてもよい。