特許第6486731号(P6486731)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東芝の特許一覧 ▶ 東芝電機サービス株式会社の特許一覧

特許6486731機器特性モデル学習装置、機器特性モデル学習方法、及びプログラム
<>
  • 特許6486731-機器特性モデル学習装置、機器特性モデル学習方法、及びプログラム 図000006
  • 特許6486731-機器特性モデル学習装置、機器特性モデル学習方法、及びプログラム 図000007
  • 特許6486731-機器特性モデル学習装置、機器特性モデル学習方法、及びプログラム 図000008
  • 特許6486731-機器特性モデル学習装置、機器特性モデル学習方法、及びプログラム 図000009
  • 特許6486731-機器特性モデル学習装置、機器特性モデル学習方法、及びプログラム 図000010
  • 特許6486731-機器特性モデル学習装置、機器特性モデル学習方法、及びプログラム 図000011
  • 特許6486731-機器特性モデル学習装置、機器特性モデル学習方法、及びプログラム 図000012
  • 特許6486731-機器特性モデル学習装置、機器特性モデル学習方法、及びプログラム 図000013
  • 特許6486731-機器特性モデル学習装置、機器特性モデル学習方法、及びプログラム 図000014
  • 特許6486731-機器特性モデル学習装置、機器特性モデル学習方法、及びプログラム 図000015
  • 特許6486731-機器特性モデル学習装置、機器特性モデル学習方法、及びプログラム 図000016
  • 特許6486731-機器特性モデル学習装置、機器特性モデル学習方法、及びプログラム 図000017
  • 特許6486731-機器特性モデル学習装置、機器特性モデル学習方法、及びプログラム 図000018
  • 特許6486731-機器特性モデル学習装置、機器特性モデル学習方法、及びプログラム 図000019
  • 特許6486731-機器特性モデル学習装置、機器特性モデル学習方法、及びプログラム 図000020
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6486731
(24)【登録日】2019年3月1日
(45)【発行日】2019年3月20日
(54)【発明の名称】機器特性モデル学習装置、機器特性モデル学習方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20190311BHJP
   F24F 11/00 20180101ALI20190311BHJP
   G06N 20/00 20190101ALI20190311BHJP
   F24F 110/00 20180101ALN20190311BHJP
   F24F 120/00 20180101ALN20190311BHJP
   F24F 130/00 20180101ALN20190311BHJP
   F24F 140/00 20180101ALN20190311BHJP
【FI】
   G05B23/02 P
   F24F11/00
   G06N99/00 150
【請求項の数】11
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2015-51188(P2015-51188)
(22)【出願日】2015年3月13日
(65)【公開番号】特開2016-170715(P2016-170715A)
(43)【公開日】2016年9月23日
【審査請求日】2017年11月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 正明
(72)【発明者】
【氏名】村井 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】花田 雄一
(72)【発明者】
【氏名】久保 雄貴
【審査官】 牧 初
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−082080(JP,A)
【文献】 特開平06−174285(JP,A)
【文献】 特開昭58−107903(JP,A)
【文献】 特開2006−349302(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/02
F24F 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器の特性を表す特性モデルにおいて前記特性を表すために使用される変数の実績値を取得する取得部と、
前記特性モデルに使用される前記変数のうち前記特性の変化の要因となる変数である変化要因変数の値に基づいて前記特性モデルを分割することにより低次元化した変数を用いて前記特性を表す簡易特性モデルにおける係数の値を、前記実績値を用いて導出するモデル係数導出部と、
前記モデル係数導出部により導出された前記係数の値が所定の条件を満たす場合に、前記係数の値を補正するモデル係数補正部と、を備え、
前記所定の条件は、前記モデル係数導出部により導出された前記係数の値の極性が、予め設定された極性と一致しないこと、又は、前記係数の値が得られた前記簡易特性モデルとは前記変化要因変数の値が異なる他の前記簡易特性モデルについて導出された前記係数の値の極性と一致しないことである
機器特性モデル学習装置。
【請求項2】
前記モデル係数補正部は、過去に導出された前記係数の値を用いることにより、異なる値の前記変化要因変数について導出された前記簡易特性モデルの係数の値を用いることにより、又は、前記係数の値を導出したときと少なくとも一部が異なる前記実績値を用いて前記モデル係数導出部が導出した前記係数の値を用いることにより、前記係数の値を補正する、
請求項に記載の機器特性モデル学習装置。
【請求項3】
機器の特性を表す特性モデルにおいて前記特性を表すために使用される変数の実績値を取得する取得部と、
前記特性モデルに使用される前記変数のうち前記特性の変化の要因となる変数である変化要因変数の値に基づいて前記特性モデルを分割することにより低次元化した変数を用いて前記特性を表す簡易特性モデルにおける係数の値を、前記実績値を用いて導出するモデル係数導出部と、
前記モデル係数導出部により導出された前記係数の値を適用した前記簡易特性モデルを用いて算出される評価指標値に基づいて、前記機器を含んで構成される制御対象システムの運転を制御するために用いられる運転設定値を演算する設定値演算部と、を備え、
前記評価指標値は、前記機器の消費エネルギーの値であり、
前記設定値演算部は、前記制御対象システムにおいて稼働させる前記機器の合計の消費エネルギーの値を低減するように前記簡易特性モデルにおける前記変数の値を決定し、決定した前記変数の値に基づいて前記運転設定値を得る、
機器特性モデル学習装置。
【請求項4】
前記設定値演算部は、前記機器に関する前記変数の実績値が得られた日時に基づいて前記機器が運転を開始又は停止してからの期間を取得し、取得した前記期間により前記機器の発停の可否を判定する、
請求項に記載の機器特性モデル学習装置。
【請求項5】
機器の特性を表す特性モデルにおいて前記特性を表すために使用される変数の実績値を取得する取得部と、
前記特性モデルに使用される前記変数のうち前記特性の変化の要因となる変数である変化要因変数の値に基づいて前記特性モデルを分割することにより低次元化した変数を用いて前記特性を表す簡易特性モデルにおける係数の値を、前記実績値を用いて導出するモデル係数導出部と、
を備え
前記機器は、熱源システムを構成する機器であり、
前記変化要因変数は、前記機器の負荷率、前記機器における冷水温度、前記機器における冷却水温度のうち1以上である、機器特性モデル学習装置。
【請求項6】
機器特性モデル学習装置が実行する機器特性モデル学習方法であって、
機器の特性を表す特性モデルにおいて前記特性を表すために使用される変数の実績値を取得する取得ステップと、
前記特性モデルに使用される前記変数のうち前記特性の変化の要因となる変数である変化要因変数の値に基づいて前記特性モデルを分割することにより低次元化した変数を用いて前記特性を表す簡易特性モデルにおける係数の値を、前記実績値を用いて導出するモデル係数導出ステップと、
前記モデル係数導出ステップにより導出された前記係数の値が所定の条件を満たす場合に、前記係数の値を補正するモデル係数補正ステップと、を有し、
前記所定の条件は、前記モデル係数導出ステップにより導出された前記係数の値の極性が、予め設定された極性と一致しないこと、又は、前記係数の値が得られた前記簡易特性モデルとは前記変化要因変数の値が異なる他の前記簡易特性モデルについて導出された前記係数の値の極性と一致しないことである
機器特性モデル学習方法。
【請求項7】
機器特性モデル学習装置が実行する機器特性モデル学習方法であって、
機器の特性を表す特性モデルにおいて前記特性を表すために使用される変数の実績値を取得する取得ステップと、
前記特性モデルに使用される前記変数のうち前記特性の変化の要因となる変数である変化要因変数の値に基づいて前記特性モデルを分割することにより低次元化した変数を用いて前記特性を表す簡易特性モデルにおける係数の値を、前記実績値を用いて導出するモデル係数導出ステップと、
前記モデル係数導出ステップにより導出された前記係数の値を適用した前記簡易特性モデルを用いて算出される評価指標値に基づいて、前記機器を含んで構成される制御対象システムの運転を制御するために用いられる運転設定値を演算する設定値演算ステップと、を有し、
前記評価指標値は、前記機器の消費エネルギーの値であり、
前記設定値演算ステップでは、前記制御対象システムにおいて稼働させる前記機器の合計の消費エネルギーの値を低減するように前記簡易特性モデルにおける前記変数の値を決定し、決定した前記変数の値に基づいて前記運転設定値を得る、
機器特性モデル学習方法。
【請求項8】
機器特性モデル学習装置が実行する機器特性モデル学習方法であって、
機器の特性を表す特性モデルにおいて前記特性を表すために使用される変数の実績値を取得する取得ステップと、
前記特性モデルに使用される前記変数のうち前記特性の変化の要因となる変数である変化要因変数の値に基づいて前記特性モデルを分割することにより低次元化した変数を用いて前記特性を表す簡易特性モデルにおける係数の値を、前記実績値を用いて導出するモデル係数導出ステップと、
を有し、
前記機器は、熱源システムを構成する機器であり、
前記変化要因変数は、前記機器の負荷率、前記機器における冷水温度、前記機器における冷却水温度のうち1以上である、機器特性モデル学習方法。
【請求項9】
コンピュータに、
機器の特性を表す特性モデルにおいて前記特性を表すために使用される変数の実績値を取得する取得ステップと、
前記特性モデルに使用される前記変数のうち前記特性の変化の要因となる変数である変化要因変数の値に基づいて前記特性モデルを分割することにより低次元化した変数を用いて前記特性を表す簡易特性モデルにおける係数の値を、前記実績値を用いて導出するモデル係数導出ステップと、
前記モデル係数導出ステップにより導出された前記係数の値が所定の条件を満たす場合に、前記係数の値を補正するモデル係数補正ステップと、を実行させ
前記所定の条件は、前記モデル係数導出ステップにより導出された前記係数の値の極性が、予め設定された極性と一致しないこと、又は、前記係数の値が得られた前記簡易特性モデルとは前記変化要因変数の値が異なる他の前記簡易特性モデルについて導出された前記係数の値の極性と一致しないことである
プログラム。
【請求項10】
コンピュータに、
機器の特性を表す特性モデルにおいて前記特性を表すために使用される変数の実績値を取得する取得ステップと、
前記特性モデルに使用される前記変数のうち前記特性の変化の要因となる変数である変化要因変数の値に基づいて前記特性モデルを分割することにより低次元化した変数を用いて前記特性を表す簡易特性モデルにおける係数の値を、前記実績値を用いて導出するモデル係数導出ステップと、
前記モデル係数導出ステップにより導出された前記係数の値を適用した前記簡易特性モデルを用いて算出される評価指標値に基づいて、前記機器を含んで構成される制御対象システムの運転を制御するために用いられる運転設定値を演算する設定値演算ステップと、を実行させ、
前記評価指標値は、前記機器の消費エネルギーの値であり、
前記設定値演算ステップでは、前記制御対象システムにおいて稼働させる前記機器の合計の消費エネルギーの値を低減するように前記簡易特性モデルにおける前記変数の値を決定し、決定した前記変数の値に基づいて前記運転設定値を得る、
プログラム。
【請求項11】
コンピュータに、
機器の特性を表す特性モデルにおいて前記特性を表すために使用される変数の実績値を取得する取得ステップと、
前記特性モデルに使用される前記変数のうち前記特性の変化の要因となる変数である変化要因変数の値に基づいて前記特性モデルを分割することにより低次元化した変数を用いて前記特性を表す簡易特性モデルにおける係数の値を、前記実績値を用いて導出するモデル係数導出ステップと、
を実行させ
前記機器は、熱源システムを構成する機器であり、
前記変化要因変数は、前記機器の負荷率、前記機器における冷水温度、前記機器における冷却水温度のうち1以上である、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、機器特性モデル学習装置、機器特性モデル学習方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
熱源システムにおける1次エネルギー消費は建物全体の2割から3割程度を占めるため、省エネの推進が求められている。熱源システムの省エネを推進するためには、効率向上などの機器単体の省エネのみならず、時々刻々の状況に合わせた運転方法の改善による省エネも重要である。このような背景のもと、これまでも熱源システムの運転最適化を目的とした研究開発が活発に行われてきた。
【0003】
例えば、熱源システムを構成する熱源機、空調機ファンやポンプの動力特性を定式化して構築された特性モデルを用いて、非線形又は線形計画法により、制約条件を満たし、かつ、空調全体の所要動力を最小化する熱源機の冷温水温度目標値などを求めていた。しかし、実際の機器特性は様々な条件ならびに劣化などで変化することから、最新の状況に基づいて都度、特性モデルを更新しないと、導出される解の最適性が保障できない可能性があった。また、熱源機の特性は種々の条件で複雑に変化するため、このモデリングには専門的な技量が要求される。そこでユーザーは、最新の特性を特性モデルに随時反映させるたに、メーカーとメンテナンス契約を結ぶことがあった。しかし、この契約により、費用面での負担が増加する可能性や、メンテナンス中は機能停止により省エネができない可能性などがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5320128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、機器の特性を表すモデルを簡易かつ精度よく取得することができる機器特性モデル学習装置、機器特性モデル学習方法、及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の機器特性モデル学習装置は、取得部と、モデル係数導出部とを持つ。取得部は、機器の特性を表す特性モデルにおいて特性を表すために使用される変数の実績値を取得する。モデル係数導出部は、特性モデルに使用される変数のうち特性の変化の要因となる変数である変化要因変数の値に基づいて特性モデルを分割することにより低次元化した変数を用いて特性を表す簡易特性モデルにおける係数の値を、実績値を用いて導出する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態の監視制御システムの構成図。
図2】同実施形態の建物に設置された熱源システムの機器構成例を示す図。
図3】同実施形態の設定値演算装置の構成を示す機能ブロック図。
図4】同実施形態のデータ保存部におけるデータ保存形式の例を示す図。
図5】同実施形態の監視制御システムが監視制御対象とする熱源システムを構成する熱源機の特性モデルを示す図。
図6】同実施形態の特性モデルの低次元化のイメージを示す図。
図7】同実施形態の設定値演算装置のモデル学習時の動作フロー。
図8】同実施形態の設定値演算装置の設定値演算時の動作フロー。
図9】第2の実施形態の設定値演算装置の構成を示す機能ブロック図。
図10】同実施形態の設定値演算装置のモデル学習時の動作フロー。
図11】同実施形態のモデル係数値導出結果の表示画面例を示す図。
図12】第3の実施形態の設定値演算装置の構成を示す機能ブロック図。
図13】同実施形態のデータ保存部におけるデータ保存形式の例を示す図。
図14】同実施形態の設定値演算装置のモデル学習時の動作フロー。
図15】同実施形態の設定値演算装置の設定値演算時の動作フロー。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態の機器特性モデル学習装置、機器特性モデル学習方法、及びプログラムを、図面を参照して説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
まず、本実施形態の概要について説明する。
図1は、本実施形態の監視制御システムの構成図である。ここでは、監視制御システムによる監視制御対象が、熱源システムであるとする。監視制御システムは、設定値演算装置1と、機器2と、監視制御装置3と、監視装置4とを備えて構成される。設定値演算装置1は、機器特性モデル学習装置の一例である。設定値演算装置1は、例えば、データセンター内の端末装置に実装されるクラウドサーバーであり、企業などの関係性のある複数の建物の熱源システムを管理対象とする。建物A及び建物Bには、機器2と監視制御装置3とが設置されている。機器2は、熱源システムの構成機器などである。監視制御装置3は、機器2の状態や熱源システムの他のプロセス等の監視や制御を行う。同図では、建物Aと建物Bのそれぞれに機器2を1台ずつ示しているが、各建物に設置される熱源システムは、2台以上の機器2から構成され得る。また、建物Cは例えばオフィスビルであり、監視装置4が設置される。監視制御装置3及び監視装置4は、他の建物における監視制御装置3の情報の少なくとも一部を閲覧可能であり、また設定値演算装置1の演算結果を閲覧可能である。なお、上記の構成はあくまで一例であり、設定値演算装置1の導入形態を限定するものではない。例えば、設定値演算装置1を各建物に設置してもよく、いずれか又は複数の監視制御装置3や監視装置4が設定値演算装置1の機能を有してもよい。
【0010】
図2は、建物に設置された熱源システムの機器構成例を示す図である。同図では、熱源システムが、空調や機器冷却の用途に冷水を供給する冷熱源システムである場合の例を示している。同図に示す熱源システムは、熱源機210と、冷却塔211と、1次ポンプ212と、冷却水ポンプ213と、2次ポンプ214と、バイパス弁215と、往1次ヘッダ216と、往2次ヘッダ217と、還ヘッダ218と、往還バイパス路219と、負荷220とを備えて構成される。
【0011】
熱源機210は、空調機や非冷却機器などで構成される負荷220に送水する所定温度の冷水を生成する。i番目の熱源機210の冷却水入口温度がTCWI、冷却水出口温度がTCWO、冷水入口温度がTWI、冷水出口温度がTWO、冷水流量がFである。冷却塔211は、熱源機210を冷却するため、内蔵するファンの運転台数を変化させて所定温度の冷却水を生成する。1次ポンプ212は、熱源機210を含む冷水の1次側循環路に一定量の冷水搬送を行う。冷却水ポンプ213は、熱源機210と冷却塔211の間に一定量の冷却水搬送を行う。2次ポンプ214は、往2次ヘッダ217の冷水圧力を所定値に維持するように回転数を変化させて、負荷220を含む往2次ヘッダ217から還ヘッダ218までの冷水の2次側循環路における冷水搬送を行う。バイパス弁215は、往2次ヘッダ217の圧力上昇時に開度を増加させることで、往2次ヘッダ217から往1次ヘッダ216に冷水を流し、往2次ヘッダ217の圧力上昇を防止する。TLOは、往2次ヘッダ217の冷水温度であり、Fは、往2次ヘッダ217から負荷220への冷水流量である。往還バイパス路219には、1次側循環路の冷水流量と2次側循環路における冷水流量の差分の冷水が流れる。この冷水は、1次側循環路における冷水流量が2次側循環路の冷水流量より多い場合には往1次ヘッダ216から還ヘッダ218に向けて流れ、2次側循環路における冷水流量が1次側循環路の冷水流量より多い場合には、還ヘッダ218から往1次ヘッダ216に向けて流れる。TLIは、還ヘッダ218の冷水温度である。
【0012】
なお、図2に示す冷熱源システムの機器構成ならびに動作はあくまで一例であり、本実施形態の監視制御システムが監視制御対象とするシステムや、設定値演算装置1の対象機器を限定するものではない。
【0013】
図3は、設定値演算装置1の構成を示す機能ブロック図であり、本実施形態と関係する機能ブロックのみを抽出して示してある。設定値演算装置1は、データ記録部101と、データ保存部102と、モデル係数導出部103と、モデル係数保存部104と、設定値演算部105とを備えて構成される。
【0014】
設定値演算装置1には、熱源システムに関する実績データと、運転条件とが入力され、設定値演算装置1からは、消費エネルギーなどの所望の指標の値(評価指標値)を小さく(あるいは大きく)するような運転設定値が出力される。運転設定値は、熱源システムの運転を制御するために用いる設定値を示す。運転設定値には、機器2の発停の指示も含まれ得る。実績データは、熱源システムの機器2の特性を式で表した特性モデルに使用される変数(パラメータ)の実績値を取得可能なデータである。実績データは、例えば、機器状態データ、熱媒状態データ、外気状態データなどの観測結果を表すデータ、あるいは、これらのデータの一部から得られる情報である。
【0015】
機器状態データは、主に機器2の動作に関するデータ群である。機器状態データは、例えば、熱源システムを構成する各機器2の発停状態や冷水などの熱媒の温度設定値、流量、処理熱量、負荷率、消費電力などの情報を含む。熱媒状態データは、機器状態データ以外のプロセス各部における熱媒の状態に関するデータ群である。熱媒状態データは、例えば、負荷220の冷水などの要求熱量、冷水流量、還ヘッダ218温度、往1次ヘッダ216と往2次ヘッダ217の差圧設定などの情報を含む。外気状態データは、外気温度、相対湿度や外気露点温度など、外気状態を定義するためのデータである。運転条件は、評価指標値の算出に用いる目的関数の選択、運転設定値(例えば、熱源機210に関する運転設定値であれば、冷水温度設定値や冷却水温度設定値)がとり得る上下限値、各機器2の発停変更可否など、設定値演算における諸条件を示す情報である。
【0016】
データ記録部101は、設定値演算装置1に入力された機器状態データ、熱媒状態データ、外気状態データを実績データとしてデータ保存部102に書き込む。さらに、データ記録部101は、設定値演算装置1に入力された運転条件情報をデータ保存部102に書き込む。データ保存部102は、実績データ及び運転条件を記憶する。
【0017】
モデル係数導出部103は、データ保存部102に記憶されている過去の機器状態データ、熱媒状態データ、外気状態データなどから得られる実績データを用いて、熱源システムの機器2の簡易特性モデルにおけるモデル係数の値(以下、「モデル係数値」と記載する。)を算出する。そのため、モデル係数導出部103は、特性モデルに使用される変数の実績値を、観測結果を示すデータに基づいて取得する取得部としても動作する。簡易特性モデルとは、特性モデルに使用される変数のうち機器特性の変化の要因となる変数(以下、「変化要因変数」と記載する。)の値に基づいて特性モデルを分割することにより、機器2の特性を表す式を特性モデルよりも変数を低次元化した式である。つまり、特性モデルは、変化要因変数の値の範囲それぞれに対応した簡易特性モデルの集合により表される。モデル係数は、簡易特性モデルの式において用いられる係数である。この簡易特性モデルの式は、モデル係数値以外は予め与えられる。モデル係数保存部104は、モデル係数導出部103が算出した簡易特性モデルのモデル係数値を記憶する。
【0018】
設定値演算部105は、データ保存部102から読み出した運転条件と、モデル係数保存部104から読み出したモデル係数値を適用した簡易特性モデルとに基づいて、機器2の運転設定値を決定する。具体的には、設定値演算部105は、運転条件により示される機器2の発停変更可否、及び、運転設定値の上下限値の制約条件の中で、運転条件により選択される目的関数を用いて算出される評価指標値を小さく(又は、大きく)するような運転設定値を決定する。目的関数は、簡易特性モデルにより得られる値を用いて評価指標値を算出する関数である。そこで、設定値演算部105は、現在の機器2の運転状況や運転条件に基づく変化要因変数の値に応じたモデル係数値をモデル係数保存部104から読み出し、読み出したモデル係数値を適用した簡易特性モデルによって、目的関数に代入する値を求める。設定値演算部105は、決定した運転設定値を監視制御装置3に出力する。
【0019】
なお、設定値演算装置1は、1台または複数台のコンピュータ装置により実現される。設定値演算装置1が複数台のコンピュータ装置により実現される場合、いずれのコンピュータ装置によりいずれの機能部を実現するかは任意とすることができる。また、一つの機能部を複数のコンピュータ装置により実現してもよい。
【0020】
図4は、データ保存部102におけるデータ保存形式の例を示す図である。同図では、熱源機210に関する実績データの保存形式を例として示している。データ保存部102は、機器別のデータ保存領域40を有している。データ保存領域40には、負荷率の範囲毎に分割して実績データが記憶される。負荷率とは、機器2の定格能力に対する運転割合であり、機器2が熱源機210の場合は定格冷凍能力に対する運転時の冷却熱量の割合である。このように、データ記録部101は、各実績データを、データ保存領域40に振り分けて書き込む。
【0021】
同図では、データ保存領域40の負荷率50%〜60%に対応した領域に記憶されるデータテーブル41の詳細が示されている。データテーブル41に設定される実績データの項目は、機器状態データから得られる処理熱量、冷水出口温度、冷却水入口温度、消費電力などである。このデータテーブル41のデータ形式は、他の負荷率の範囲についても同様である。例えば、負荷率の範囲それぞれに対応したデータテーブル41の最大行数を予め設定しておく。データ記録部101が、最新の機器運転中の実績データを、負荷率に対応したデータテーブル41の末尾の行に追加することにより、データテーブル41の行数が拡大していく。そして、データ記録部101は、データテーブル41の行数が予め設定された最大行数に達した場合、最も古いデータ(データテーブル41の最上部の行)からデータを削除する。これにより、データテーブル41のサイズが無制限に大きくならず、負荷率の範囲のそれぞれについて、常に最新の実績データが保存されたデータテーブルを構築できる。
【0022】
ここで、熱源システムの主要機器である熱源機の特性を例にして、機器の特性モデルについて説明する。
図5は、本実施形態の監視制御システムが監視制御対象とする熱源システムを構成する熱源機の特性モデルを示す図である。図5(a)〜(d)は、熱源機の負荷率を横軸にしたときの、COP(Coefficient Of Performance)の代表的な4種類の推移を示す。一般に、熱源機のCOPは以下の式(1)のようにモデリングされる。
【0023】
【数1】
【0024】
式(1)より、熱源機のCOPは負荷率、冷水出口温度、冷却水入口温度によって変化することが示される。また例えば冷却水を必要としない空冷式の熱源機においては、冷却水入口温度の代わりに外気湿球温度が変数となる場合もある。
【0025】
図5(a)〜(d)は、上記の変数(負荷率、冷水出口温度、冷却水入口温度)のうち、冷水出口設定を固定した場合の、負荷率と冷却水温度に対するCOPの変化の一例であり、メーカーが発行するカタログなどによく記載されている形式の特性曲線である。
図5(a)に示す特性例50は、一般の熱源機に多くみられるもので、最大負荷率をやや下回る負荷率でCOPが最大となる。特性例50では、COPの変化は比較的緩やかなため、2次程度の非線形曲線で概ね良好にモデリングできる。
図5(b)に示す特性例51は、特に冷却水温度が低い場合にCOPの変化が顕著であり、上記の2次程度の非線形曲線では近似誤差が多くなる。このような特性は、圧縮機回転数を可変運用できるインバータ式熱源機に見られる。
図5(c)に示す特性例52は、複数の圧縮機を有する熱源機の場合である。特性例52では、圧縮機運転台数が変化する中間負荷率近傍において特性が不連続に変化するため、熱源機の全負荷率の特性をモデリングするには、圧縮機台数分の近似曲線が必要となる。また、圧縮機運転台数の変更を熱源機内部の冷媒状態等に基づき決定している場合、中央の監視制御装置3にて取得可能な情報で、一義的に上記の不連続点を定義できない場合もある。
図5(d)に示す特性例53は、更に多数の小容量の圧縮機を有する熱源機の場合であり、上記のいずれとも異なる特性を持つ。
【0026】
このように、熱源機の特性は、各々の機種に応じて、特に負荷率の変化に対して複雑に変化する。さらに冷水出口温度による特性変化を加味すると、熱源機特性を全運転領域で精度よくモデリングするには、相応の専門的な技量が要求されるため、ユーザーによる調整は困難であった。
そこで本実施形態の設定値演算装置1のモデル係数導出部103は、機器の特性モデルを、特性の変化要因となる変数の値に基づいて分割することにより低次元化された複数の簡易特性モデルの集合として学習する。
【0027】
図6は、特性モデルの低次元化のイメージを示す図である。同図では、特に複雑な特性推移を見せる変数である負荷率に対して、熱源機の特性モデルを分割して簡易特性モデル60を作成したイメージである。このような低次元化を施すことで、式(1)に記した熱源機の特性モデルを構成する負荷率L毎の簡易特性モデルは、以下の式(2)に示す近似式gで表現できる。
【0028】
【数2】
【0029】
式(2)において、負荷率Lにおける近似式gを1次式とすれば、後述の最適化において線形計画法などの効率的な最適化手法の適用も可能となる。例えば、近似式gが1次式である場合、COP=a×TWO+b×TCWI+cのように表され、モデル係数は、a、b、cである。上記の式(2)によれば、機器2の種類に応じて異なるモデリングの複雑性を回避でき、時々刻々更新される実績データから容易に学習可能な汎用的な特性式を提供できる。
【0030】
次に、本実施形態における設定値演算装置1の動作を説明する。設定値演算装置1の動作は、モデル学習時の動作と、設定値演算時の動作とに大別される。設定値演算装置1は、モデル学習時に、データ保存部102に保存された実績データに基づいて機器2の特性モデルを更新する。また、設定値演算装置1は、設定値演算時に、学習された特性モデルを用いて、時々刻々の状況に即して所望の評価指標値を小さく(あるいは大きく)するために適した設定値を演算する。以下に動作を詳細に説明する。通常、モデル学習と、設定値演算は、非同期で実行される。
【0031】
図7は、設定値演算装置1のモデル学習時の動作フローを示す。
まず、設定値演算装置1のデータ記録部101は、設定値演算装置1に入力された現在の機器状態データ、熱媒状態データ、外気状態データを、データ保存部102に書き込む(ステップS110)。このとき、データ記録部101は、機器2別に、入力されたデータから得られる実績データを、実績データに設定されている変化要因変数(例えば、負荷率)の値に応じたデータ保存領域40内の領域のデータテーブル41に追加登録する。データテーブル41の行数が最大行数に達している場合、データ記録部101は、最も時刻が古い実績データの行を削除する。なお、設定値演算装置1は、現在のデータ(機器状態データ、熱媒状態データ、外気状態データ)を、モデル学習時に一括して過去のデータも含めて取得するようにして収集しても良く、モデル学習とは非同期で、定期的に最新のデータを収集しても良い。
【0032】
次に、モデル係数導出部103は、各機器2について、変化要因変数の値の範囲毎に、データ保存部102から読み出した実績データを用いて簡易特性モデルのモデル係数値を導出する。例えば、熱源機210の場合、モデル係数導出部103は、負荷率の範囲毎に、データ保存部102から熱源機210に関する実績データを読み出す。モデル係数導出部103は、負荷率の範囲毎に、読み出した実績データから得られる熱源機210の冷水出口温度、冷却水入口温度、及びCOPの実績値を用いて、式(2)に示す近似式gのモデル係数値を導出する(ステップS120)。なお、COPは、処理熱量を消費電力で除算して算出される。モデル係数導出部103は、実績データに対する近似式gのモデル係数値を、最小二乗法などの一般的に知られた手法により導出することができる。
【0033】
最後に、モデル係数導出部103は、各機器2について変化要因変数の値の範囲毎に導出されたモデル係数値を、モデル係数保存部104に保存する(ステップS130)。例えば、モデル係数導出部103は、各熱源機210について導出された負荷率の範囲毎の近似式gのモデル係数値を、モデル係数保存部104に保存する。
【0034】
以上が、本実施形態におけるモデル学習時の熱源システムの設定値演算装置1の動作フローである。以上の動作は予め定められた周期で定期的に実施しても良いし、ユーザーの操作等による外部からの実施指令があった際に、不定期に実施しても良い。
【0035】
図8は、設定値演算装置1の設定値演算時の動作フローを示す。
まず、設定値演算部105は、運転設定値を演算する時点における各機器2の最新の実績データをデータ保存部102から取得する(ステップS210)。次に、設定値演算部105は、演算条件に該当するモデル係数値を、モデル係数保存部104から読み出す(ステップS220)。設定値演算部105は、読み出したモデル係数値を適用した簡易特性モデルにより得られる値に基づいて、データ保存部102から読み出した運転条件において最適な運転設定値を演算する(ステップS230)。
【0036】
例えば、運転条件により示される運転設定値最適化の目的関数が、簡易特性モデルを用いて消費電力を算出する関数であるとする。所定の冷水出口温度TWO及び冷却水入口温度TCWTとした場合の熱源機iの消費電力EHSは、以下の式(3)の目的関数により表現できる。熱源機iは、i番目の熱源機210である。
【0037】
【数3】
【0038】
ここでH’はデータ保存部102から取得した実績データが示す熱源機iの処理熱量の現在値である。また、gは、実績データが示す熱源機iの現在の負荷率L(演算条件)に対応してモデル係数保存部104から読み出されたモデル係数値を用いた簡易特性モデルの近似式である。
なお、上記の計算は、データ保存部102から取得した実績データが示す熱源機iの現在の消費電力EHS’に基づき、以下の式(4)により計算しても良い。
【0039】
【数4】
【0040】
上記の式(4)によれば、熱源機210の現在の消費電力に対して、冷水出口温度、又は冷却水入口温度を変化させた場合の変化率だけが簡易特性モデルを用いて計算される。従って、複数の機器2から構成される熱源システム全体の消費電力を算出する際に、各機器2のモデル誤差が積算されることによる計算誤差を減少させる事ができる。
【0041】
設定値演算部105は、熱源システム全体の合計の消費電力が最も小さくなるときの各熱源機210の冷水出口温度、及び冷却水入口温度を選択し、選択した冷水出口温度、及び冷却水入口温度となるように熱源機210を制御するための運転設定値を監視制御装置3に出力する。ここでは、各熱源機210について選択した冷水出口温度、及び冷却水入口温度を運転設定値とする。
【0042】
なお、熱源機210の運転台数を変更する場合、設定値演算部105は、ステップS220及びステップS230の処理を繰り返す。つまり、設定値演算部105は、予め想定される負荷率に該当するモデル係数値をモデル係数保存部104から再度読み出し、予め想定される処理熱量H’を代入して、式(3)又は式(4)により熱源機210の消費電力を算出すれば良い。例えば、現在、1台の熱源機210が負荷率80%で運転中のときに、等しい容量の熱源機210を更に1台追加して運転する場合、負荷率40%に該当するモデル係数値を抽出し、式(3)又は式(4)に、処理熱量H’に代えて処理熱量H’/2を代入すれば良い。モデル係数保存部104には、予め各負荷率の範囲毎に各機器2の簡易特性モデルのモデル係数値が保存してあるので、設定値演算部105は、都度、データ保存部102に保存された大容量のデータを参照せずに効率的に演算ができる。従って、熱源システム全体の運転設定値を、実用的な時間で導出できる。
【0043】
具体的には、例えば、全数探索の場合、設定値演算部105は、運転条件に従って、稼働させる熱源機210と、稼働させる各熱源機210の冷水出口温度及び冷却水入口温度との条件を変えながら、各条件における合計の熱源機消費電力を算出する。設定値演算部105は、算出した合計の熱源機消費電力が最も小さいときに用いた条件を選択する。設定値演算部105は、選択した条件、すなわち、稼働させる熱源機210と、稼働させる熱源機210の冷水出口温度及び冷却水入口温度とを運転設定値として決定し、監視制御装置3に出力する。
【0044】
ここでは簡易特性モデルのモデル係数値を求める対象の機器2が熱源機210である場合について述べたが、上記の方法などにより熱源システムを構成する各機器2の消費エネルギーの特性をモデリングし、熱源システム全体の評価指標値を定式化することもできる。これにより、シミュレーションによる全数探索、又は一般に知られている線形計画法などの数理最適化手法の適用により、所望の評価指標を最小化(又は最大化)する冷水出口温度、冷却水入口温度、機器の運転台数などの運転設定値が導出できる。また、上記では、評価指標値が、消費エネルギーである場合を例示したが、二酸化炭素排出量や、エネルギー効率など他の評価指標値を用いてもよい。設定値演算部105は、評価指標値が、二酸化炭素排出量である場合は評価指標値を小さくするように、評価指標値が、エネルギー効率である場合は評価指標値を大きくするように、運転設定値を選択する。
【0045】
また、上記においては、熱源機210の特性モデルに使用される負荷率、冷水出口温度、冷却水入口温度(又は外気湿球温度)のうち、簡易特性モデルを作成する際の変化要因変数を、運転設定値として用いられない負荷率とした場合を例に説明したが、変化要因変数を、負荷率、冷水温度、及び、冷却水温度(又は外気湿球温度)のうち任意の1以上としてもよい。
また、機器2の種類によって、その機器2の特性を式で表した特性モデルに使用される変数は異なる。機器2の種類に応じて、特性モデルに使用される変数のうち、簡易特性モデルを作成する際の変化要因変数を任意に選択してもよい。なお、機器状態データ、熱媒状態データ、又は、外気状態データの1以上から、簡易特性モデルに使用される変数の実績値が得られるものとする。
【0046】
本実施形態の設定値演算装置1によれば、負荷率等で分割して低次元化された簡易特性モデルを用いることにより、機器2の種類に応じて異なるモデリングの複雑性を回避して、実績データから容易に最新のモデル係数値を自動的に学習し、保存することができる。そして、設定値演算装置1は、このモデル係数値を参照して熱源システムの運転設定値を実用的な時間内で効率的に導出することで、熱源システム全体を対象として、消費エネルギーなどの所望の評価指標を継続的に低減することができる。
【0047】
(第2の実施形態)
本実施形態では、学習により得られたモデル係数値の精度が低い可能性がある場合、モデル係数値を補正する。以下では、第1の実施形態との差分を中心に説明する。
本実施形態の監視制御システムは、図1に示す第1の実施形態の監視制御システムにおける設定値演算装置1を、図9に示す設定値演算装置1aに代えた構成である。
【0048】
図9は、本実施形態によるおける設定値演算装置1aの構成を示す機能ブロック図であり、本実施形態と関係する機能ブロックのみを抽出して示してある。同図に示す設定値演算装置1aが、図2に示す第1の実施形態の設定値演算装置1と異なる点は、モデル係数補正部111及び表示制御部112をさらに備える点である。モデル係数補正部111は、モデル係数導出部103が導出したモデル係数値が、算出の精度が低いと判断するための所定の条件である補正条件に合致する場合、モデル係数値を補正する。補正条件は、モデル係数値の極性(正の値であるか負の値であるか)が、ユーザーが予め設定した極性、又は、同じ機器の異なる値の範囲の変化要因変数について導出したモデル係数値の極性と一致しないことである。あるいは、補正条件は、同じ機器2の同じ変化要因変数の値の範囲について過去に導出したモデル係数値、あるいは、同じ種類(機種)の他の機器2の同じ変化要因変数の値の範囲について導出したモデル係数値と極性が一致しないこととしてもよい。表示制御部112は、モデル係数導出部103が導出したモデル係数値を示す情報や、モデル係数値が補正条件に合致することを示す情報を、監視制御装置3又は監視装置4、あるいは、設定値演算装置1aのディスプレイに表示させる。
【0049】
図10は、設定値演算装置1aのモデル学習時の動作フローを示す。同図において、図7に示す設定値演算装置1のモデル学習時の動作フローと同じ処理には、同じステップ番号を付与している。また、予め設定されたモデル係数値の極性と異なることを補正条件とした場合を例に説明する。
【0050】
設定値演算装置1aのデータ記録部101は、設定値演算装置1に入力された現在の機器状態データ、熱媒状態データ、外気状態データを、データ保存部102に書き込む(ステップS110)。モデル係数導出部103は、各機器2について、変化要因変数の値の範囲毎に、データ保存部102から読み出した実績データを用いて簡易特性モデルのモデル係数値を導出する(ステップS120)。
【0051】
モデル係数補正部111は、同一機器の変化要因変数の値の範囲それぞれに対応した簡易特性モデルのモデル係数値の極性が、予め設定された極性と等しいか否かを判別する。例えば、一般に冷凍機は冷却水温度を下げる事でCOPが向上し、逆に冷水温度を下げる事でCOPが低下する。そこで、この相関の正負又は相関の正負から得られるモデル係数の極性を予め補正条件として入力しておく。モデル係数補正部111は、導出された簡易特性モデルのモデル係数値の極性と、補正条件が示すモデル係数の極性とを比較することにより、モデルの妥当性を判別する。モデル係数補正部111は、極性が合致する場合、モデル係数導出部103が導出した簡易特性モデルのモデル係数値をそのままモデル係数保存部104に書き込む(ステップS140)。一方、モデル係数補正部111は、極性が一致しない簡易特性モデルについては、モデル係数導出部103が導出したその簡易特性モデルのモデル係数値を補正し(ステップS310)、補正後のモデル係数値をモデル係数保存部104に書き込む(ステップS140)。
【0052】
モデル係数補正部111は、ステップS310において、モデル係数値を補正する場合、例えば、以下のいずれかの補正方法により補正後のモデル係数値を得る。
1つめの補正方法は、モデル係数値を、今回の学習により導出されたモデル係数値に更新せず、モデル係数保存部104に記憶されている過去の、例えば、前回のモデル係数値を代用する方法である。
【0053】
2つ目の補正方法は、他の負荷率の範囲について導出された簡易特性モデルのモデル係数値を使用する方法である。モデル係数導出部103は、ステップS120において同一機器について負荷率の範囲毎に簡易特性モデルのモデル係数値を導出する。そこで、同一機器について負荷率の範囲毎に得られた複数の簡易特性モデルの中から、ユーザーが選択した簡易特性モデルについて導出されたモデル係数値を用いる。
【0054】
3つ目の補正方法は、学習データを変更してモデル係数値を再計算する方法である。つまり、補正対象のモデル係数値を導出したときとは少なくとも一部が異なる実績データを用いてモデル係数値を再計算する。例えば、モデル係数補正部111は、データ保存部102に保存されている実績データのうちユーザーが指定した実績データを使用して、又は、ユーザーが指定した実績データを除いた実績データを使用して、モデル係数値を導出するようモデル係数導出部103に指示する。モデル係数導出部103は、モデル係数補正部111からの指示に従って再計算したモデル係数値をモデル係数補正部111に出力する。
【0055】
図11は、モデル係数値導出結果の表示画面例を示す。同図では、ある熱源機210についてのモデル係数値導出結果の表示画面を示している。ユーザーが、マウスなどの入力装置によってモデル学習開始ボタンを押下することによって、モデル係数導出部103はステップS120の処理を行い、モデル係数値を学習する。表示制御部112は、モデル係数導出部103が負荷率の範囲毎に導出したモデル係数値を適用した簡易特性モデルを、同図に示すようにグラフ化して表示させる。表示制御部112は、モデル係数補正部111により、補正条件に合致するために補正が必要と判別されたモデル係数値を用いた簡易特性モデルを実線で囲んで表示させる。ユーザーが、同画面上で、マウスなどの入力装置によって該当箇所を選択すると、表示制御部112は、補正方法のリストを表示させる。補正方法としては、例えば今回の学習によるモデル係数値に更新しないで前回のモデル係数値を代用する、同一機器の他の負荷率の範囲のモデル係数値を代用する、又は、モデル係数値の再学習で用いる実績データ(入力データ)を修正する、などである。これらの複数の方法のうち、採用する補正方法をユーザーが選択すると、モデル係数補正部111は、選択された補正方法に従って、図10のステップS310の処理を行い、該当するモデル係数値を補正する。
【0056】
なお、設定値演算装置1aの設定値演算時の動作フローは、図8に示す第1の実施形態と同様である。
【0057】
本実施形態の設定値演算装置によれば、導出された簡易特性モデルのモデル係数値が、算出の精度が低いと判断される所定の条件と一致した場合に、ユーザーが選択した方法により当該簡易特性モデルのモデル係数値を補正できる。従って、実績データに異常値が混入した場合や、学習が正常に行えない場合においても、熱源システム全体を対象として、所望の評価指標値を小さく(あるいは大きく)するのに妥当な機器制御のための運転設定値を継続的に得る事ができる。
【0058】
(第3の実施形態)
本実施形態では、機器の最小運転時間、最小停止時間を考慮して、機器の発停に関する運転設定値を決定する。以下では、第1の実施形態との差分を中心に説明するが、本実施形態と第1の実施形態との差分を第2の実施形態に適用することもできる。
本実施形態の監視制御システムは、図1に示す第1の実施形態の監視制御システムにおける設定値演算装置1を、図12に示す設定値演算装置1bに代えた構成である。
【0059】
図12は、本実施形態によるおける設定値演算装置1bの構成を示す機能ブロック図であり、本実施形態と関係する機能ブロックのみを抽出して示してある。同図に示す設定値演算装置1bが、図2に示す第1の実施形態の設定値演算装置1と異なる点は、データ記録部101、データ保存部102及び設定値演算部105に代えてデータ記録部121、データ保存部122及び設定値演算部124を備える点、発停可否判定部123をさらに備える点である。また、設定値演算装置1bに入力される機器状態データ、熱媒状態データ、外気状態データには計測日時の情報が含まれ、運転条件には最小運転時間、最小停止時間がさらに含まれる。
【0060】
データ記録部121は、第一の実施形態と同様に実績データ及び運転条件をデータ保存部122に書き込む。さらに、データ記録部121は、実績データの計測日時の情報をデータ保存部122に書き込む。データ保存部122は、実績データ、計測日時の情報、及び運転条件を記憶する。
【0061】
発停可否判定部123は、データ保存部122に記憶される計測日時の情報に基づいて、機器2が停止してからの経過時間や機器2が運転を開始してからの経過時間を算出する。発停可否判定部123は、停止してからの経過時間が最小停止時間よりも小さい機器2を、稼動対象から除外すると判断する。また、発停可否判定部123は、運転を開始してからの経過時間が最小運転時間よりも小さい機器2を、停止対象から除外すると判断する。発停可否判定部123は、稼働対象から除外する機器2及び停止対象から除外する機器2を示す発停条件を設定値演算部124に通知する。
【0062】
設定値演算部124は、第1の実施形態と同様にデータ保存部122から読み出した運転条件において熱源システムの機器2を制御するために最適な運転設定値を演算する。ただし、設定値演算部124は、稼働させる機器2の条件については、運転条件に加え、発停可否判定部123から通知された発停条件をさらに満たすことを制約条件とする。
【0063】
図13は、データ保存部122におけるデータ保存形式の例を示す図である。同図では、熱源機210に関する実績データ及び計測時間の保存形式を例として示している。データ保存部122は、機器別のデータ保存領域70を有している。データ保存領域70には、図4に示す第1の実施形態と同様に負荷率の範囲毎に領域を分割して実績データが記憶されるとともに、実績データの計測日時を保存するデータテーブル71が記憶される。つまり、第1の実施形態との差異は、負荷率毎の実績データに加えて、これら実績データが計測された日時が記録されたデータテーブル71を含むように、データ保存領域70が拡張された事である。データテーブル71には、最新の計測日時の情報が末尾の行に追加される。
【0064】
次に、本実施形態における設定値演算装置1bの動作を説明する。
図14は、設定値演算装置1bのモデル学習時の動作フローを示す。同図において、図7に示す設定値演算装置1のモデル学習時の動作フローと同じ処理には、同じステップ番号を付与している。
【0065】
設定値演算装置1bのデータ記録部121は、設定値演算装置1bに実績データとしてリアルタイムに入力された現在の機器状態データ、熱媒状態データ、外気状態データと、これら実績データの計測日時をデータ保存部122に書き込む(ステップS410)。モデル係数導出部103は、各機器2について、変化要因変数の値の範囲毎に、データ保存部122から読み出した実績データを用いて簡易特性モデルのモデル係数値を導出する(ステップS120)。モデル係数導出部103は、各機器2について変化要因変数の値の範囲毎に導出されたモデル係数値を、モデル係数保存部104に保存する(ステップS130)。
【0066】
図15は、設定値演算装置1bの設定値演算時の動作フローを示す。同図において、図8に示す設定値演算装置1の設定値演算時の動作フローと同じ処理には、同じステップ番号を付与している。
まず、設定値演算部124は、運転設定値を演算する時点における各機器2の最新の実績データをデータ保存部122から取得する(ステップS210)。
【0067】
発停可否判定部123は、熱源システムを構成する各機器2の発停状態の変更可否を判別する(ステップS510)。上述したように、データテーブル71には、最新の計測日時の情報が末尾の行に追加される。そこで、発停可否判定部123は、データテーブル71の最下段に設定されている計測日時と、現在日時を比較することで、以下の方法により発停可否を判別する。
【0068】
まず、発停可否判定部123は、機器2のデータテーブル71の最下段に設定されている計測日時を最終計測日時として取得する。この最終計測日時は、機器2が最後に運転していた日時である。
【0069】
発停可否判定部123は、機器2について取得した最終計測日時と現在日時が異なる場合(あるいは、最終計測日時と現在日時の差が実測データの計測間隔を超えている場合)、その機器2は現在停止状態にあると判断する。発停可否判定部123は、最終計測日時と現在日時との差により機器2が運転を停止してからの期間を求める。発停可否判定部123は、求めた期間が最小停止時間より長い場合、その機器2の発停を変更できる(稼働対象にできる)と判断し、求めた期間が最小停止時間より短い場合、その機器2の発停を変更できない(稼働対象にできない)と判断する。
【0070】
一方、発停可否判定部123は、機器2について取得した最終計測日時と現在日時が同じ場合(あるいは、最終計測日時と現在日時の差が実測データの計測間隔以下である場合)、その機器2は現在運転状態にあると判断する。発停可否判定部123は、データテーブル71を最下段の行から上の行の方向に検索し、1つ前の計測日時と連続しない(計測間隔以上離れている)計測日時を探索する。この探索により特定された計測日時が、機器2が運転を開始した日時である。発停可否判定部123は、探索により特定された計測日時と現在日時との差により機器2が運転を開始してからの期間を求める。発停可否判定部123は、求めた期間が最小運転時間より長い場合、その機器2の発停を変更できる(停止対象にできる)と判断し、求めた期間が最小停止時間より短い場合、その機器2の発停を変更できない(停止対象にできない)と判断する。
【0071】
上記の方法により発停可否判定部123は、各機器2の発停状態の変更可否を判定し、判定結果を発停状態変更可否条件として設定値演算部124に通知する。設定値演算部124は、演算条件に該当するモデル係数値を、モデル係数保存部104から読み出す(ステップS520)。例えば、現在の熱源機210の発停状態を変更しない場合、発停可否判定部123は、熱源機210の現在の負荷率に対応したモデル係数値を読み出す。また、現在と熱源機210の発停状態を変更する場合、現在稼働している熱源機210の数及び負荷率と、変更後に稼働させる熱源機210の数とに応じて得られる予測の負荷率に対応したモデル係数値を読み出す。設定値演算部124は、読み出したモデル係数値を適用した簡易特性モデルにより得られる値に基づいて、運転条件及び発停状態変更可否条件において評価指標値を小さく(または大きく)するために適した運転設定値を演算する(ステップS530)。
【0072】
例えば、設定値演算部124は、全数探索の場合、第1の実施形態と同様に、運転条件に従って、稼働させる熱源機210と、稼働させる各熱源機210の冷水出口温度及び冷却水入口温度との条件を変えながら、各条件についての合計の熱源機消費電力を算出する。このとき、設定値演算部124は、運転条件に従ったときの稼働させる熱源機210の条件のうち、発停状態変更可否条件に合致する条件のみ選択して用いる。設定値演算部124は、算出した合計の熱源機消費電力が最も小さいときの条件を選択し、選択した条件、すなわち、稼働対象の熱源機210と、その稼働対象の熱源機210の冷水出口温度及び冷却水入口温度とを運転設定値として決定する。設定値演算部124は、決定した運転設定値を、監視制御装置3に出力する。
【0073】
上述した本実施形態の熱源システムの設定値演算装置1bによれば、設定値演算装置1bにおいて導出される機器2の発停状態が、ユーザーにより予め設定された最小運転時間あるいは最小停止時間より短い時間内で変更される事がない。従って、熱源システム全体を安定的に運用しつつ、消費エネルギーなどの所望の評価指標をなるべく小さく(または大きく)するための運転設定値を得る事ができる。
【0074】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、モデル係数導出部を持つことにより、機器の特性を表す式である特性モデルに使用される変数のうち機器特性の変化要因となる変数である変化要因変数の値に基づいて特性モデルを分割することにより変数を低次元化した式である簡易特性モデルにおける係数の値を、変数の実績値を用いて導出することができる。従って、機器の特性を表すモデルを、簡易かつ精度よく取得することができる。
また、以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、モデル係数補正部を持つことにより、学習により導出された簡易特性モデルの係数の値が正しい値ではない可能性がある場合には、その係数の値を補正することができる。
また、以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、設定値演算部を持つことにより、学習により導出された係数の値を適用した簡易特性モデルを用いて算出される評価指標値に基づいて、熱源システムなどの制御対象システムの運転を制御するために用いられる運転設定値を演算することができる。従って、消費エネルギーや二酸化炭素排出量などの評価指標を低く、又は、運転効率などの評価指標を高くするような運転設定値を求め、求めた設定値により制御対象システムを運転させることにより省エネを図ることができる。
【0075】
上述した設定値演算装置1、1a、1bの機能をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0076】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0077】
1…設定値演算装置、1a…設定値演算装置、1b…設定値演算装置、2…機器、3…監視制御装置、4…監視装置、40…データ保存領域、41…データテーブル、60…簡易特性モデル、70…データ保存領域、71…データテーブル、101…データ記録部、102…データ保存部、103…モデル係数導出部、104…モデル係数保存部、105…設定値演算部、111…モデル係数補正部、112…表示制御部、121…データ記録部、122…データ保存部、123…発停可否判定部、124…設定値演算部、210…熱源機、211…冷却塔、212…1次ポンプ、213…冷却水ポンプ、214…2次ポンプ、215…バイパス弁、216…往1次ヘッダ、217…往2次ヘッダ、218…還ヘッダ、219…往還バイパス路、220…負荷
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15