特許第6486763号(P6486763)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6486763
(24)【登録日】2019年3月1日
(45)【発行日】2019年3月20日
(54)【発明の名称】縦型熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 17/00 20060101AFI20190311BHJP
   F28D 7/16 20060101ALI20190311BHJP
   F28F 9/22 20060101ALI20190311BHJP
【FI】
   F28F17/00 501E
   F28D7/16 A
   F28F9/22
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-97517(P2015-97517)
(22)【出願日】2015年5月12日
(65)【公開番号】特開2016-211814(P2016-211814A)
(43)【公開日】2016年12月15日
【審査請求日】2018年3月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】特許業務法人開知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】拝野 寛
【審査官】 伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−052991(JP,A)
【文献】 特開平07−218180(JP,A)
【文献】 特開2014−214990(JP,A)
【文献】 特開平07−018714(JP,A)
【文献】 実開昭57−019791(JP,U)
【文献】 特開昭57−073397(JP,A)
【文献】 特開昭64−035398(JP,A)
【文献】 特開昭62−080594(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 17/00
F28D 7/16
F28F 9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝熱管を収納し、管側流体が導入される内ケーシングと、
前記内ケーシングを収納し、胴側流体が導入される外ケーシングと、
前記内ケーシングの外周面に設けられ、ドレン孔が形成された外周フランジと、
前記外ケーシングの内周面に設けられ、前記外周フランジの外周部が載置される内周フランジと、
前記外周フランジの下側に昇降可能に設けられた浮体と、
前記浮体の上昇に伴って前記ドレン孔を閉塞し、前記浮体の下降に伴って前記ドレン孔を開放するように設けられた閉止栓とを備えた縦型熱交換器において、
前記ドレン孔に挿通して設けられ、入口側開口部が前記外周フランジの上側に配置され、出口側開口部が前記外周フランジの下側に配置された逆J字型のドレン管と、
前記入口側開口部の直下に形成された前記外周フランジの取付穴に挿通して取り付けられた案内管と、
前記案内管の内部を昇降可能に設けられた棒状部材と、
前記棒状部材の上端部に取り付けられた第1の磁石とを更に備え、
前記浮体は、前記棒状部材の下端部に取り付けられ、
前記閉止栓は、前記入口側開口部と前記案内管との間に配置され、その下側に前記第1の磁石と同一の磁極が対向するように取り付けられた第2の磁石を有することを特徴とする縦型熱交換器。
【請求項2】
伝熱管を収納し、管側流体が導入される内ケーシングと、
前記内ケーシングを収納し、胴側流体が導入される外ケーシングと、
前記内ケーシングの外周面に設けられ、ドレン孔が形成された外周フランジと、
前記外ケーシングの内周面に設けられ、前記外周フランジの外周部が載置される内周フランジと、
前記外周フランジの下側に昇降可能に設けられた浮体と、
前記浮体の上昇に伴って前記ドレン孔を閉塞し、前記浮体の下降に伴って前記ドレン孔を開放するように設けられた閉止栓とを備えた縦型熱交換器において、
前記外周フランジの下側に取り付けられた揺動支点用部材と、
前記揺動支点用部材に揺動可能に取り付けられた揺動部材と、
前記ドレン孔に挿通可能に設けられ、前記揺動部材の一方の端部に下端部が取り付けられた柄部材とを更に備え、
前記浮体は、前記揺動部材の他方の端部に取り付けられ、
前記閉止栓は、前記柄部材の上端部に取り付けられたこと特徴とする縦型熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器に係り、特に、シェルアンドチューブ式の縦型熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
発電プラント等では、シェルアンドチューブ式の熱交換器が使用される。図4は、従来の縦型熱交換器の縦断面図である。シェルアンドチューブ式の熱交換器100は、伝熱管3を収納した内ケーシング(管側ケーシング)2と、内ケーシング2を収納する外ケーシング(胴側ケーシング)1とを備えており、内ケーシング2から伝熱管3の内部に導入された管側流体と、外ケーシング1から伝熱管3の外周部に導入された胴側流体とで熱交換を行う。
【0003】
内ケーシング2の上端フランジ2aを外ケーシング1の上端フランジ1aに載置することにより、外ケーシング1と内ケーシング2との間に隙間部6が形成され、内ケーシング2が外ケーシング1の上方から引き抜き自在に支持される。
【0004】
熱交換の際、管側流体は、内ケーシング2に設けられた流入口11から内ケーシング2に入り、伝熱管3の内部を通過する。胴側流体は、外ケーシング1に設けられた胴側流体入口9から、内ケーシング2に設けられた胴側流体入口4を通って内ケーシング2に入り、伝熱管3の外周部を通過しながら伝熱管3の内部を通過する管側流体と熱交換を行った後、内ケーシング2の側面に設けられた胴側流体出口5を通り、外ケーシング1に設けられた胴側流体出口10から流出する。
【0005】
胴側流体は、胴側流体入口9から胴側流体入口4へ流れる際に、一部が隙間部6に流れ込む。隙間部6に流れ込む胴側流体のことをバイパス流と呼ぶ。外ケーシング1と内ケーシング2との間の隙間部6を流れるバイパス流は、熱交換に寄与しない無効流であるため、伝熱効率の低下を招く要因となる。このため、バイパス流を防止、抑制する目的で、外ケーシング1と内ケーシング2との間に仕切り構造20を設け、隙間部6の流路を塞ぐ必要がある。一方で、熱交換器100のメンテナンス時等に隙間部6に溜まった流体を排出するために、仕切り構造20にドレン用の孔(ドレン孔)を設ける必要がある。
【0006】
特許文献1には、運転中にはドレン孔19を閉塞してバイパス流を防止し、運転停止時には間隙部11に残留する胴側流体を排出できるように、外ケーシング4と内ケーシング3との間のフランジ(仕切り構造)12に流路制御機構を設けた熱交換器1が開示されている。この流路制御機構は、先端に向かって上方に湾曲したバイメタル14と、このバイメタル14の先端に取り付けられ、ドレン孔14の直上に支持された弁体17とを備えており、運転時にドレン孔19周辺の冷却材(胴側流体)の温度が上昇すると、バイメタル14の湾曲が小さくなることで弁体17がドレン孔19を閉塞し、運転停止時にドレン孔19周辺の冷却材(胴側流体)の温度が低下すると、バイメタル14の湾曲が大きくなることで弁体17がドレン孔19を開放する。
【0007】
また、特許文献2には、外ケーシング1と内ケーシング2との熱膨張差を利用して、運転中に閉止栓5がドレン孔8を閉塞し、運転停止時に閉止栓5がドレン孔8を開放するように構成された縦型熱交換器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平2−52991号公報
【特許文献2】特開2014−214990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1の流路制御機構は、ドレン孔19周辺の胴側流体の温度変化を利用してドレン孔19の閉塞、開放を行うため、運転時と運転停止時とで当該温度変化が小さい場合には、運転時にドレン孔19を閉塞できない、又は非運転時にドレン孔19を開放できないという課題が生じる。
【0010】
また、特許文献2の縦型熱交換器は、外ケーシング1と内ケーシング2との熱膨張差を利用してドレン孔8の閉塞、開放を行うため、運転時と運転停止時とで当該熱膨張差が小さい場合には、運転時にドレン孔8を閉塞できない、又は運転停止時にドレン孔8を開放できないという課題が生じる。
【0011】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、運転時と非運転時とでドレン孔周辺の胴側流体の温度が大きく変化しない場合や外ケーシングと内ケーシングとの熱膨張差が小さい場合でも、運転時にドレン孔を閉塞でき、かつ運転停止時にドレン孔を開放できる縦型熱交換器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明は、伝熱管を収納し、管側流体が導入される内ケーシングと、前記内ケーシングを収納し、胴側流体が導入される外ケーシングと、前記内ケーシングの外周面に設けられ、ドレン孔が形成された外周フランジと、前記外ケーシングの内周面に設けられ、前記外周フランジの外周部が載置される内周フランジと、前記外周フランジの下側に昇降可能に設けられた浮体と、前記浮体の上昇に伴って前記ドレン孔を閉塞し、前記浮体の下降に伴って前記ドレン孔を開放するように設けられた閉止栓とを備えた縦型熱交換器において、前記外周フランジの下側に取り付けられた揺動支点用部材と、前記揺動支点用部材に揺動可能に取り付けられた揺動部材と、前記ドレン孔に挿通可能に設けられ、前記揺動部材の一方の端部に下端部が取り付けられた柄部材とを更に備え、前記浮体は、前記揺動部材の他方の端部に取り付けられ、前記閉止栓は、前記柄部材の上端部に取り付けられたものとする。
または、本発明は、伝熱管を収納し、管側流体が導入される内ケーシングと、前記内ケーシングを収納し、胴側流体が導入される外ケーシングと、前記内ケーシングの外周面に設けられ、ドレン孔が形成された外周フランジと、前記外ケーシングの内周面に設けられ、前記外周フランジの外周部が載置される内周フランジと、前記外周フランジの下側に昇降可能に設けられた浮体と、前記浮体の上昇に伴って前記ドレン孔を閉塞し、前記浮体の下降に伴って前記ドレン孔を開放するように設けられた閉止栓とを備えた縦型熱交換器において、前記外周フランジの下側に取り付けられた揺動支点用部材と、前記揺動支点用部材に揺動可能に取り付けられた揺動部材と、前記ドレン孔に挿通可能に設けられ、前記揺動部材の一方の端部に下端部が取り付けられた柄部材とを更に備え、前記浮体は、前記揺動部材の他方の端部に取り付けられ、前記閉止栓は、前記柄部材の上端部に取り付けられたものとする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る縦型熱交換器によれば、運転時と運転停止時とでドレン孔周辺の胴側流体の温度が大きく変化しない場合や外ケーシングと内ケーシングとの熱膨張差が小さい場合でも、運転時にドレン孔を閉塞でき、かつ運転停止時にドレン孔を開放できるため、運転時の伝熱効率及び運転停止時のメンテナンス性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施例による縦型熱交換器の縦断面図である。
図2】本発明の実施例1による縦型熱交換器の運転停止時のドレン孔開閉機構を示す図1のA矢視図である。
図3】本発明の実施例1による縦型熱交換器の非運転時におけるドレン孔開閉機構を示す図1のA矢視図である。
図4】本発明の実施例2による縦型熱交換器の運転停止時のドレン孔開閉機構を示す図1のA矢視図である。
図5】本発明の実施例2による縦型熱交換器の運転停止時のドレン孔開閉機構を示す図1のA矢視図である。
図6】従来技術による縦型熱交換器の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例を図面を用いて説明する。なお、各図中、同一の部材には同一の符号を付し、重複した説明は適宜省略する。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明の実施例1による縦型熱交換器の縦断面図である。本実施例による縦型熱交換器100は、伝熱管3を収納した内ケーシング(管側ケーシング)2と、内ケーシング2を収納する外ケーシング(胴側ケーシング)1とを備えており、内ケーシング2から伝熱管3の内部に導入された管側流体と、外ケーシング1から伝熱管3の外周部に導入された胴側流体とで熱交換を行う。
【0017】
外ケーシング1の上端外周部には上端フランジ1aが設けられ、内ケーシング2の上端外周部には上端フランジ2aが設けられている。内ケーシング2の上端フランジ2aを外ケーシング1の上端フランジ1aに載置することにより、外ケーシング1と内ケーシング2との間に隙間部6が形成され、内ケーシング2が外ケーシング1の上方から引き抜き自在に支持される。
【0018】
外ケーシング1の側面部には、胴側流体を外ケーシング1の内部に導入するための胴側流体入口9が設けられ、外ケーシング1の下端部には、胴側流体を縦型熱交換器100の外部に排出するための胴側流体出口10が設けられている。
【0019】
内ケーシング2の上端部には管側流体を伝熱管3の内部に導入するための管側流体入口11と、伝熱管3を通過した管側流体を縦型熱交換器100の外部に排出するための管側流体出口12とが設けられている。また、内ケーシング2の側面部には、外ケーシング1の内部に導入された胴側流体を伝熱管3の外周部に導入するための胴側流体入口4と、伝熱管3の外周部を通過した胴側流体を内ケーシング1の外部に排出する胴側流体出口5とが設けられている。
【0020】
管側流体入口11を介して内ケーシング2の内部に導入された管側流体は、伝熱管3の内部に導入され、伝熱管3の内部を通過しながら伝熱管3の外周部を通過する胴側流体と熱交換される。伝熱管3の内部を通過した管側流体は、管側流体出口12を介して縦型熱交換器100の外部に排出される。
【0021】
一方、胴側流体入口9を介して外ケーシング1の内部に導入された胴側流体は、胴側流体入口4を介して内ケーシング2の内部に導入され、伝熱管3の外周部を通過しながら伝熱管3の内部を通過する管側流体と熱交換される。伝熱管3の外周部を通過した胴側流体は、胴側流体出口5を介して隙間部6に排出され、胴側流体出口10を介して縦型熱交換器100の外部に排出される。
【0022】
ここで、胴側流体入口9から外ケーシング1の内部に導入された胴側流体の一部は、胴側流体入口4から内ケーシング2の内部に導入されることなく、外ケーシング1と内ケーシング2との間に形成された隙間部6を介して胴側流体出口10を介して縦型熱交換器100の外部に排出されることにより、バイパス流を形成する。バイパス流は、伝熱管3の内部を通過する管側流体との熱交換に寄与しないため、伝熱効率の低下を招く。そこで、本実施例による縦型熱交換器100は、内ケーシング2の胴側流体入口4と胴側流体出口5との間で隙間部6を上部空間6aと下部空間6bとに仕切ることにより、隙間部6を介したバイパス流を抑制する仕切り構造20を備えている。
【0023】
仕切り構造20は、内ケーシング2の外周面に設けられた外周フランジ8と、外ケーシング1の内周面に設けられた内周フランジ7とを備えている。内ケーシング2の外周フランジ8の外周部を外ケーシング1の内周フランジ7に載置させ、互いに隙間なく密着させることにより、隙間部6の上部空間6aと下部空間6bとの連通を遮断することができる。なお、外周フランジ8と内周フランジ7とは、溶接などで互いに固着していないため、内ケーシング2を外ケーシング1の上方から引き抜くことで容易に分離する。
【0024】
ここで、縦型熱交換器100の運転停止時には、運転を停止して隙間部に残留する胴側流体を外部に排出(ドレン)させる必要があるため、外周フランジ8にはドレン孔31(図2参照)とドレン孔開閉機構30とが設けられている。ドレン孔開閉機構30は、縦型熱交換器100の運転時にドレン孔31を閉塞し、縦型熱交換器100の運転停止時にドレン孔31を開放する。
【0025】
ドレン孔開閉機構30の構成について、図2を参照して説明する。図2は、縦型熱交換器100の運転停止時のドレン孔開閉機構30を示す図1のA矢視図である。
【0026】
図2において、ドレン孔開閉機構30は、外周フランジ8のドレン孔31に挿通して取り付けられたドレン管21と、ドレン管21の入口側開口部を閉塞するための磁石付き閉止栓23と、外周フランジ8の取付穴28に挿通して取り付けられた案内管24と、案内管24の内部に昇降可能に設けられた棒状部材26と、棒状部材26の上端部に取り付けられた磁石27と、棒状部材26の下端部に取り付けられた浮体25とを備えている。
【0027】
ドレン管21は、入口側開口部22aが外周フランジ8の上側に配置され、出口側開口部22bが外周フランジ8の下側に配置されるように逆J字型に形成されている。取付穴28は、ドレン管21の入口側開口部22aの直下に形成されている。案内管24の上端部は閉止されており、案内管24の上端面の高さと外周フランジ8の上面の高さとは一致している。
【0028】
磁石付き閉止栓23は、ドレン管21の入口側開口部22aを閉塞するための閉止栓部23aと、この閉止栓部23aの下側に取り付けられた磁石部23bとを有する。磁石付き閉止栓23は、入口側開口部22aと案内管24との間に昇降可能に配置されている。入口側開口部22aは漏斗状に形成されており、磁石付き閉止栓23が上昇すると入口側開口部22aは閉塞され、磁石付き閉止栓23が下降すると入口側開口部22aは開放される。
【0029】
案内管24の下端開口部には、内径側に突出して下端フランジ24aが設けられており、この下端フランジ24aを棒状部材26の外周面の所定の高さに設けられた外周フランジ26aと係合させることにより、棒状部材26が案内管24から脱落することを防止できる。磁石27と磁石付き閉止栓23の磁石部23bとは、同じ磁極が対向するように配置されている。
【0030】
ドレン孔開閉機構30の動作について、図2及び図3を参照して説明する。図3は、縦型熱交換器100の運転時のドレン孔開閉機構40を示す図1のA矢視図である。
【0031】
縦型熱交換器100の運転時は、胴側流体入口9を介して胴側流体が供給され、隙間部6の上部空間6a及び下部空間6bに胴側流体が充填されるため、図3に示すように、外周フランジ8の下側に設けられた浮体25が、下部空間6bに充填された胴側流体の浮力を受けて上昇する。浮体25の上昇に伴い、浮体25に取り付けられた棒状部材26及びその上端に取り付けられた磁石27が上昇する。磁石27が磁石付き閉止栓23の磁石部23bに近づくことにより、磁石部23bに斥力が働き、磁石付き閉止栓23が押し上げられる。これにより、ドレン管21の入口側開口部22aが磁石付き閉止栓23の閉止栓部23aによって閉塞され、ドレン孔31を通過するバイパス流が抑制される。
【0032】
一方、縦型熱交換器100の運転停止時は、胴側流体入口9を介した胴側流体の供給が停止されると共に、隙間部6の下側空間6bに滞留していた胴側流体が胴側流体出口10を介して縦型熱交換器100の外部に排出されるため、下部空間6bが開放される。その結果、浮体25に作用していた浮力が消失し、図2に示すように、浮体25が自重で下降する。棒状部材26の下端部に取り付けられた浮体25が下降することにより、棒状部材26及びその上端に取り付けられた磁石27も下降する。磁石27が磁石付き閉止栓23の磁石部23から遠ざかることにより、磁石部23bに作用する斥力が低下し、磁石付き閉止栓23が自重で下降する。これにより、ドレン管21の入口側開口部22aが開放され、隙間部6の上部空間6aに残留する胴側流体がドレン孔31管21を介して下部空間6bに排出され、胴側流体出口10を介して縦型熱交換器100の外部に排出される。
【0033】
本実施例による縦型熱交換器100によれば、外周フランジ8の下部空間に配置した浮体25に作用する浮力及び重力を利用して磁石付き閉止栓23を昇降操作することにより、運転時と運転停止時とでドレン孔31周辺の胴側流体の温度が大きく変化しない場合や、外ケーシング1と内ケーシング2との熱膨張差が小さい場合でも、運転時にドレン孔31を閉塞してバイパス流を抑制し、運転停止時にドレン孔31を開放して外周フランジ8の上部空間に残留する流体を排出できるため、運転時の伝熱効率及び運転停止時のメンテナンス性が向上する。
【実施例2】
【0034】
本発明の実施例2による縦型熱交換器100について、図4及び図5を用いて説明する。本実施例による縦型熱交換器100は、実施例1によるドレン孔開閉機構30(図2参照)に代えて、図4及び図5に示すドレン孔開閉機構40を備える点を除き、実施例1に示した縦型熱交換器100(図1参照)と同様である。
【0035】
ドレン孔開閉機構40の構成について、図4を参照して説明する。図4は、縦型熱交換器100の運転停止時のドレン孔開閉機構40を示す図1のA矢視図である。
【0036】
図4において、ドレン孔開閉機構40は、外周フランジ8の下側に取り付けられた揺動支点用部材35と、揺動支点用部材35に連結用ピン34aを介して揺動可能に取り付けられた揺動部材34と、揺動部材34の一方の端部に連結用ピン34bを介して回動可能に取り付けられ、ドレン孔31に挿通可能に設けられた柄部材33と、柄部材33の上端に取り付けられた閉止栓32と、揺動部材34の他方の端部に取り付けられた浮体25とを備えている。
【0037】
ドレン孔開閉機構40の動作について、図4及び図5を参照して説明する。図5は、縦型熱交換器100の運転時のドレン孔開閉機構40を示す図1のA矢視図である。
【0038】
縦型熱交換器100の運転時は、胴側流体入口9を介して胴側流体が供給され、隙間部6の上部空間6a及び下部空間6bに胴側流体が充填されるため、図5に示すように、外周フランジ8の下側に設けられた浮体25が、下部空間6bに充填された胴側流体の浮力を受けて上昇する。揺動部材34の一方の端部に取り付けられた浮体25が上昇することにより、揺動部材34が図示時計回り方向に揺動し、揺動部材34の他方の端部に取り付けられた柄部材33がドレン孔31内を下降する。柄部材33の上端がドレン孔31に達すると、柄部材33の上端に取り付けられた閉止栓32によってドレン孔31が閉塞され、ドレン孔31を通過するバイパス流が抑制される。
【0039】
一方、縦型熱交換器100の運転停止時は、胴側流体入口9を介した胴側流体の供給が停止されると共に、隙間部6の下側空間6bに滞留していた胴側流体が胴側流体出口10を介して縦型熱交換器100の外部に排出されるため、下側空間6bが開放される。その結果、浮体25に作用していた浮力が消失し、図4に示すように、浮体25が自重で下降する。揺動部材34の一方の端部に取り付けられた浮体25が下降することにより、揺動部材34は図示反時計回り方向に揺動し、揺動部材34の他方の端部に取り付けられた柄部材33によって閉止栓32が押し上げられる。これにより、ドレン孔31が開放され、外周フランジ8の上部空間に残留する流体がドレン孔31を介して下部空間6bに排出され、胴側流体出口10を介して縦型熱交換器100の外部に排出される。
【0040】
本実施例による縦型熱交換器100によれば、実施例1による縦型熱交換器100(図1参照)と同様に、外周フランジ8の下部空間に配置した浮体25に作用する浮力及び重力を利用して閉止栓32を昇降操作することにより、運転時と運転停止後とでドレン孔31周辺の胴側流体の温度が大きく変化しない場合や、外ケーシング1と内ケーシング2との熱膨張差が小さい場合でも、運転時にドレン孔31を閉塞してバイパス流を抑制し、運転停止時にドレン孔31を開放して外周フランジ8の上部空間に残留する流体を排出できるため、運転時の伝熱効率及び運転停止時のメンテナンス性が向上する。
【0041】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例では、ドレン孔開閉機構30又は40を1つ備えた構成を示したが、本発明はこれに限定されず、ドレン孔開閉機構30又は40を複数備えた構成としても良く、その場合は、それぞれを等間隔に配置することが好ましい。
【0042】
また、上記した実施例は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、あるいは、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。さらに、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0043】
100…縦型熱交換器、1…外ケーシング、1a…外ケーシングの上端フランジ、2…内ケーシング、2a…内ケーシングの上端フランジ、3…伝熱管、4…内ケーシングの胴側流体入口、5…内ケーシングの胴側流体出口、6…隙間部、6a…上部空間、6b…下部空間、7…外ケーシングの内周フランジ、8…内ケーシングの外周フランジ、9…外ケーシングの胴側流体入口、10…外ケーシングの胴側流体出口、11…内ケーシングの管側流体入口、12…内ケーシングの管側流体出口、20…仕切り構造、21…ドレン管、22a…入口側開口部、22b…出口側開口部、23…磁石付き閉止栓、23a…閉止栓部、23b…磁石部、24…案内管、24a…下端フランジ、25…浮体、26…棒状部材、26a…外周フランジ、27…磁石、28…取付穴、30,40…ドレン孔開閉機構、31…ドレン孔、32…閉止栓、33…柄部材、34…揺動部材、34a、34b…連結用ピン、35…揺動支点用部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6