特許第6486765号(P6486765)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6486765
(24)【登録日】2019年3月1日
(45)【発行日】2019年3月20日
(54)【発明の名称】クランプ式センサおよび測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/22 20060101AFI20190311BHJP
   G01R 15/18 20060101ALI20190311BHJP
   G01R 15/16 20060101ALI20190311BHJP
【FI】
   G01R1/22 A
   G01R15/18 B
   G01R15/16
【請求項の数】2
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-98762(P2015-98762)
(22)【出願日】2015年5月14日
(65)【公開番号】特開2016-217712(P2016-217712A)
(43)【公開日】2016年12月22日
【審査請求日】2018年3月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104787
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 伸司
(72)【発明者】
【氏名】池田 大桂
(72)【発明者】
【氏名】永井 明博
(72)【発明者】
【氏名】柳沢 浩一
【審査官】 續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−365315(JP,A)
【文献】 実開昭54−041278(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0200291(US,A1)
【文献】 米国特許第05473244(US,A)
【文献】 特開2010−025653(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 1/22
G01R 15/16
G01R 15/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1軸部材によって一端部がそれぞれ軸支された一対の第1クランプアームを備えて測定対象電線をクランプ可能に構成されると共に、当該両第1クランプアームによってクランプした当該測定対象電線の電圧を検出可能に構成された第1センサ部と、
第2軸部材によって一端部がそれぞれ軸支された一対の第2クランプアームを備えて前記測定対象電線をクランプ可能に構成されると共に、当該両第2クランプアームによってクランプした当該測定対象電線を流れる電流を検出可能に構成された第2センサ部とを有するクランプ式センサであって、
前記第1軸部材と前記第2軸部材とが同心の状態および互いに平行な状態のいずれかの状態となるように前記第1センサ部および前記第2センサ部が並んで配設されると共に、前記両第1クランプアームのいずれか一方と前記両第2クランプアームのいずれか一方とが一体形成されて当該両クランプアームの幅方向で連続する測定対象電線支持部が形成され、
前記測定対象電線の前記電圧を検出するための検出電極が前記測定対象電線支持部における前記第1クランプアームに対応する部位に配設されると共に、前記検出電極をシールドするためのシールド材が当該測定対象電線支持部における前記第1クランプアームに対応する部位と当該測定対象電線支持部における前記第2クランプアームに対応する部位とに亘って配設されているクランプ式センサ。
【請求項2】
請求項1記載のクランプ式センサと、
前記クランプ式センサ内に配設されて前記第1センサ部と相俟って前記測定対象電線の前記電圧を検出すると共に当該電圧に応じて変化する第1信号を出力する電圧検出部と、
前記クランプ式センサ内に配設されて前記第2センサ部と相俟って前記測定対象電線の前記電流を検出すると共に当該電流に応じて変化する第2信号を出力する電流検出部と、
前記クランプ式センサとケーブルを介して接続された本体ユニットと、
前記本体ユニット内に配設されて、前記ケーブルを介して入力した前記第1信号に基づいて前記測定対象電線の前記電圧に追従する電圧を生成すると共に、前記ケーブルを介して前記クランプ式センサの前記シールド材に印加する電圧生成部と、
前記本体ユニット内に配設されて、前記電圧生成部で生成される前記電圧に基づいて前記測定対象電線の前記電圧を測定すると共に、前記ケーブルを介して入力した前記第2信号に基づいて前記測定対象電線の前記電流を測定する処理部とを備え、
前記電圧検出部および前記電流検出部は、前記シールド材の電位を基準とする電圧で作動する測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象電線をクランプして測定対象電線を流れる電流と測定対象電線の電圧とを検出可能に構成されたクランプ式センサ、およびこのクランプ式センサを備えた測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のクランプ式センサとして、出願人は、クランプ部およびセンサ本体部を備えて測定対象電線を流れる電流および測定対象電線の電圧を検出可能に構成されたクランプ式センサを下記の特許文献に開示している。この場合、クランプ部は、測定対象電線を流れる電流を検出するための環状の磁路を形成する磁性コアと、磁性コアに巻回された検出コイルと、測定対象電線の電圧を検出するための検出電極とを備えると共に、測定対象電線をクランプ可能に構成されている。
【0003】
具体的には、クランプ部は、磁性コア、検出コイルおよび検出電極が配設されると共に一端部がセンサ本体部に固定された固定センサアームと、磁性コアおよび検出コイルが配設されると共に一端部がセンサ本体部に回動自在に取り付けられた可動センサアームと、固定センサアームおよび可動センサアームの間に配設されて一端部が可動センサアームの一端部と共にセンサ本体部に回動自在に取り付けられると共に固定センサアームと相俟って測定対象電線をクランプして検出電極の近傍に測定対象電線を押さえ付ける押さえアームとを備えている。この場合、可動センサアームの一端部には、可動センサアームとは逆方向に延出する第1操作レバーが配設され、押さえアームの一端部には、押さえアームとは逆方向に延出する第2操作レバーが配設されている。
【0004】
また、第2操作レバーは、第1操作レバーを覆った状態で配設され、第1操作レバーは、センサ本体部に配設されたバネによってセンサ本体部の開口部から突出する方向に付勢されている。これにより、出願人が開示しているクランプ式センサでは、第1操作レバーを付勢しているバネの付勢力によって可動センサアームが固定センサアームの側に回動するように常時付勢されている。さらに、第2操作レバーは、第1操作レバーとの間に配設されたバネによって第1操作レバーから離反する方向に付勢されている。これにより、出願人が開示しているクランプ式センサでは、第1操作レバーに対して第2操作レバーを付勢しているバネの付勢力によって押さえアームが固定センサアームの側に回動するように常時付勢されている。
【0005】
また、センサ本体は、ケース、測定対象電線の電圧を検出する電圧検出部、および測定対象電線に流れる電流を測定する電流測定部を備えている。ケースは、導電性材料(例えば金属材料)を用いて構成されて、その内部に配設された電圧検出部および電流測定部に対するガード電極としても機能する。また、ケースは、その表面が絶縁被膜で覆われている。
【0006】
センサ本体には、クランプ式センサと配線を介して接続された本体ユニットから正電圧、負電圧およびこれらの電圧の基準となる内部基準電位が供給される。また、この内部基準電位はケースに供給され、センサ本体内の電圧検出部および電流測定部は、この内部基準電位(つまり、ケースの電位)を基準とするこの正電圧および負電圧に基づいて作動する。
【0007】
なお、内部基準電位と、この内部基準電位を基準とする正電圧および負電圧とは、本体ユニットに配設されたDC/DCコンバータの2次側の基準電位と、この2次側の基準電位を基準としてこの2次側から出力される正電圧および負電圧であって、DC/DCコンバータの1次側の基準電位と、この1次側の基準電位を基準とするDC/DCコンバータの1次側の正電圧および負電圧(本体ユニットに配設された電圧生成部、電圧計および処理部の作動用電圧)に対して、DC/DCコンバータの絶縁トランスを介することにより、電気的に絶縁された状態となっている。さらに、センサ本体のケースには、本体ユニットに配設された電圧生成部から出力される電圧信号が印加され、このクランプ式センサおよび本体ユニットを備えた装置では、この電圧信号の電圧は、測定対象電線の電圧と一致するようにフィードバック制御される。これにより、センサ本体のケース内に配設された電圧検出部および電流測定部は、測定対象電線の電圧に応じて変動するセンサ本体のケースの電位を基準とする正電圧および負電圧に基づいて作動する構成のため、本体ユニットの基準電位からフローティング状態で作動する。
【0008】
このクランプ式センサを用いて測定対象電線を流れる電流および測定対象電線の電圧を測定する際には、まず、クランプ部によって測定対象電線をクランプする。具体的には、一例として、第2操作レバーに指を掛けるようにしてセンサ本体部を握ることで可動センサアームをセンサ本体部に対して回動させ、可動センサアームの先端部(他端部)と固定センサアームの先端部(他端部)とを相互に離間させる(クランプ部を開く)。この際には、両操作レバーの間に配設されているバネの付勢力によって第2操作レバーが第1操作レバーから離反する方向に回動させられる結果、押さえアームがセンサ本体部に対して回動させられてその先端部が固定センサアームの内周面から離間させられる。これにより、測定対象電線をクランプ可能な状態となる。
【0009】
次いで、測定対象電線を可動センサアームおよび押さえアームと固定センサアームとの間に導入し、第2操作レバーに掛けていた指を離す。これにより、センサ本体部と第1操作レバーとの間に配設されているバネの付勢力によって可動センサアームが固定センサアームの側に回動させられ、両センサアームの先端部同士(他端部同士)が接触した状態になると共に、両操作レバーの間に配設されているバネの付勢力によって押さえアームが固定センサアームの側に回動させられ、固定センサアームにおける検出電極の近傍に測定対象電線が押し付けられた状態となる。これにより、測定対象電線のクランプが完了する。この後、クランプ式センサが接続されている測定装置本体(本体ユニット)の操作部を操作して測定処理を実行させることにより、測定対象電線を流れている電流、および測定対象電線の電圧が測定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2010−25653号公報(第6−11頁、第1−4図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、上記の特許文献に開示されているクランプ式センサでは、センサ本体のケース内に配設された電圧検出部および電流測定部は、DC/DCコンバータの2次側の基準電位が印加されたケースにより、外部の信号からシールド(ガード)された(外乱の影響が軽減された)好ましい状態となっているものの、この特許文献には、クランプ部に配設された磁性コア、検出コイルおよび検出電極に関するガードについては記載されていない。しかしながら、外乱の影響を軽減するため、電流測定に関する磁性コアおよび検出コイルの周囲にシールド材を配置したり、電圧検出に関する検出電極の周囲にシールド材を配置したりすると共に、これらのシールド材の電位をケースの電位と同電位にすることで、外乱の影響をより軽減し得ることは、本願発明者らにとっては既知事項である。
【0012】
一方、検出電極の周囲に配置するシールド材の大きさ(検出電極を平面視した状態でのシールド材の広さ(面積))と、外乱の影響の軽減度合いとの関係については、未知であったことから、本願発明者らがこれについて更なる検討を行った結果、シールド材を検出電極の周囲により広く配置するのが、外乱の影響の軽減に関しては好ましいことを見出した。
【0013】
しかしながら、図16に示すように、上記の特許文献において開示されているクランプ式センサ1x(以下、このクランプ式センサ1xの構成要素については、符号の末尾に「x」を付して説明する)では、測定対象電線Xをクランプして検出電極6xの近傍に測定対象電線Xを押さえ付ける押さえアーム4xは、固定センサアーム2xと可動センサアーム3x(各センサアーム2x,3xには磁気コア5xが収容されている)との間に配設される構成であるため、押さえアーム4xによって測定対象電線Xが押し付けられる固定センサアーム2xの幅Wxについてはこの固定センサアーム2xと対向する部材の幅(このクランプ式センサ1xでは押さえアーム4xの幅)と同程度にするのがデザイン上の常識であることを勘案すると、検出電極6xの周囲に配置するシールド材(不図示)をより大きく(広く)することが難しい(押さえアーム4xの幅よりも広くするのが難しい)。したがって、このクランプ式センサ1xには、検出電極6xの周囲に配置するシールド材の大きさが制限されることから、外乱の影響の更なる低減が難しくなって、測定対象電線Xの電圧検出精度の更なる向上が難しいという改善すべき課題が存在している。
【0014】
本発明は、かかる改善すべき課題に鑑みてなされたものであり、検出電極の周囲に、より大きなシールド材を配置し得るクランプ式センサ、およびこのクランプ式センサを備えた測定装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成すべく請求項1記載のクランプ式センサは、第1軸部材によって一端部がそれぞれ軸支された一対の第1クランプアームを備えて測定対象電線をクランプ可能に構成されると共に、当該両第1クランプアームによってクランプした当該測定対象電線の電圧を検出可能に構成された第1センサ部と、第2軸部材によって一端部がそれぞれ軸支された一対の第2クランプアームを備えて前記測定対象電線をクランプ可能に構成されると共に、当該両第2クランプアームによってクランプした当該測定対象電線を流れる電流を検出可能に構成された第2センサ部とを有するクランプ式センサであって、前記第1軸部材と前記第2軸部材とが同心の状態および互いに平行な状態のいずれかの状態となるように前記第1センサ部および前記第2センサ部が並んで配設されると共に、前記両第1クランプアームのいずれか一方と前記両第2クランプアームのいずれか一方とが一体形成されて当該両クランプアームの幅方向で連続する測定対象電線支持部が形成され、前記測定対象電線の前記電圧を検出するための検出電極が前記測定対象電線支持部における前記第1クランプアームに対応する部位に配設されると共に、前記検出電極をシールドするためのシールド材が当該測定対象電線支持部における前記第1クランプアームに対応する部位と当該測定対象電線支持部における前記第2クランプアームに対応する部位とに亘って配設されている。
【0016】
請求項2記載の測定装置は、請求項1記載のクランプ式センサと、前記クランプ式センサ内に配設されて前記第1センサ部と相俟って前記測定対象電線の前記電圧を検出すると共に当該電圧に応じて変化する第1信号を出力する電圧検出部と、前記クランプ式センサ内に配設されて前記第2センサ部と相俟って前記測定対象電線の前記電流を検出すると共に当該電流に応じて変化する第2信号を出力する電流検出部と、前記クランプ式センサとケーブルを介して接続された本体ユニットと、前記本体ユニット内に配設されて、前記ケーブルを介して入力した前記第1信号に基づいて前記測定対象電線の前記電圧に追従する電圧を生成すると共に、前記ケーブルを介して前記クランプ式センサの前記シールド材に印加する電圧生成部と、前記本体ユニット内に配設されて、前記電圧生成部で生成される前記電圧に基づいて前記測定対象電線の前記電圧を測定すると共に、前記ケーブルを介して入力した前記第2信号に基づいて前記測定対象電線の前記電流を測定する処理部とを備え、前記電圧検出部および前記電流検出部は、前記シールド材の電位を基準とする電圧で作動する。
【発明の効果】
【0017】
請求項1記載のクランプ式センサおよび請求項2記載の測定装置では、検出電極の周囲に第1センサ部を構成する一方の第1クランプアームの幅よりも広い幅でシールド材が配置される構成となっている。
【0018】
したがって、このクランプ式センサおよび測定装置によれば、一方の第1クランプアームの幅内に配設される検出電極に対して、この一方の第1クランプアームの幅内に収まる広さのシールド材を配置する従来の構成と比較して、より広いシールド材を配置することができるため、外乱の影響を大幅に低減することができ、これにより、測定対象電線の電圧検出精度の更なる向上、ひいては電力等の検出精度の更なる向上を図ることができる。また、このクランプ式センサおよび測定装置によれば、電流検出部および電圧検出部が、測定対象電線の電圧と同じ電圧に制御される電圧(測定対象電線の電圧に追従する電圧)が印加されるシールド材の電位を基準とする電圧で作動するため、互いが近接して配置されたことに起因して相互間に生じるおそれのある影響(漏れ電流による影響や同相電圧による影響)を大幅に軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】クランプアーム3,4を閉じた状態のクランプ式センサ1の斜視図である。
図2】クランプアーム3,4を閉じた状態のクランプ式センサ1の平面図である。
図3】クランプ式センサ1の分解斜視図である。
図4】クランプアーム3,4を開いた状態のクランプ式センサ1の斜視図である。
図5】クランプアーム3,4を閉じた状態のクランプ式センサ1の他の斜視図である。
図6】クランプアーム3の内部構造を示す斜視図である。
図7】クランプアーム4の内部構造を示す斜視図である。
図8】クランプアーム3,4を閉じた状態のクランプ式センサ1の左側面図である。
図9】クランプアーム4の突出片36がクランプアーム3の操作部3bに当接し、かつクランプアーム4の当接片35がクランプアーム3のクランプ部3aに当接するまでクランプアーム4を開いた状態のクランプ式センサ1の左側面図である。
図10】クランプアーム3,4を完全に開いた状態のクランプ式センサ1の左側面図である。
図11】測定対象電線Xをクランプしている状態のクランプ式センサ1の左側面図である。
図12】操作部3bを操作して両クランプアーム3,4を開いた状態のクランプ式センサ1の左側面図である。
図13】測定対象電線Xをクランプしている状態のクランプ式センサ1の断面図である。
図14】測定装置MDの構成図である。
図15】測定装置MDのクランプ式センサ1および本体ユニットMUの回路図である。
図16】測定対象電線Xを正常にクランプしている状態のクランプ式センサ1xの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係るクランプ式センサおよび測定装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0021】
図1に示すクランプ式センサとしてのクランプ式センサ1は、図14,15に示すように、本体ユニットMUと共に測定装置としての測定装置MDを構成する。また、クランプ式センサ1は、測定対象電線X(図10〜13参照)をクランプ可能に構成されると共に、本体ユニットMUに接続されて測定対象電線Xを流れる電流I1および測定対象電線Xの電圧V1(図14参照)を測定する測定装置MDとして機能する。具体的には、図1〜5に示すように、クランプ式センサ1は、ケーシング2、クランプアーム3,4、回動軸5、スプリング6a,6b、検出回路部7およびケーブル8a,8bを備えている。
【0022】
ケーシング2は、図1,3,8に示すように、例えば、電気的絶縁性を有する合成樹脂材料で形成されたケーシング本体2aおよび蓋部2bを備え、検出回路部7などを収容可能な容器状に形成されている。本例のクランプ式センサ1では、ケーシング2は、一例として、背面側(図8中の左側)の部位が直方体状に形成されて、検出回路部7などが収容される収容部15として形成されている。また、ケーブル8a,8bは、この収容部15の1つの側面(図8中の左側面。ケーシング2における背面)に接続されている。
【0023】
一方、ケーシング2は、正面側(図8中の右側)の部位が支持部(測定対象電線支持部)10として形成されている。この支持部10は、クランプアーム3の後述するクランプ部3aと相俟って測定対象電線Xを流れる電流I1を検出するセンサ部Sa(「第2センサ部」の一例)を構成するクランプ部11と、クランプアーム4の後述するクランプ部4aと相俟って測定対象電線Xの電圧V1を検出するセンサ部Sv(「第1センサ部」の一例)を構成するクランプ部12とが一体化されたものであり、背景技術での固定センサアームとして機能する。
【0024】
このクランプ部11は、クランプ部3aと対向する一方の第2クランプアームとしての部位であって、本例ではクランプ部3aを上にした状態でのケーシング2を正面視した(図1,3,8において矢印F側から見た、言い換えればケーシング2における正面に向かった)状態において支持部10における左側部位である。また、クランプ部12は、クランプ部4aと対向する一方の第1クランプアームとしての部位であって、本例ではケーシング2を正面視した状態において支持部10における右側部位である。
【0025】
また、支持部10は、クランプ部11としての部位内に、センサ部Saの一部を構成する一対の磁性コア21(弧状の磁性コア。図3参照)のうちの一方が図3に示すように両側から弧状のシールド部材22(導電性を有する材料で構成された部材)で挟まれることによって外周全体がこのシールド部材22で覆われた状態で、図6に示すように収容される。なお、図6では、シールド部材22の図示を省略した状態で磁性コア21を図示している。このため、支持部10は、側面視した状態での形状が、この磁性コア21の形状に合わせて全体としてほぼ弧状に形成されている。また、支持部10は、クランプ部12としての部位内に、センサ部Svの一部を構成する検出電極31およびシールド電極32(図3参照)が図7に示すように収容されている。検出電極31は、検出電極31よりも広い面積のシールド電極32における中央寄りの部位にシールド電極32に対して電気的に絶縁された状態で配置されている。
【0026】
また、この一方の磁性コア21を覆った状態でのシールド部材22の幅およびシールド電極32の幅(図3における矢印D方向に沿った長さ)については、これらの合計幅がケーシング本体2aの支持部10を構成する部位の内側の幅(矢印D方向に沿った長さ)のほぼ全域に亘る長さとなるように、つまり、支持部10におけるクランプ部11に対応する部位とクランプ部12に対応する部位とに亘る長さとなるように予め規定されている。また、シールド電極32のこの幅方向と直交する方向の長さLについては、図3に示すように、ケーシング本体2aの内部における支持部10の先端部分から、この内部における支持部10と収容部15との境界部分にほぼ至る長さとなるように予め規定されている。
【0027】
この構成により、本例では、ケーシング本体2aの支持部10を構成する部位の内側のほぼ全域に亘って、シールド材が配設される構成、具体的には、支持部10におけるクランプ部11に対応する部位とクランプ部12に対応する部位とに亘ってシールド材が配設される構成(シールド部材22およびシールド電極32のいずれか一方が存在する構成)となっている。つまり、センサ部Svを構成するクランプ部12の幅よりも広い幅で、検出電極31を取り囲むようにしてシールド(シールド電極32およびシールド部材22)が配設される構成となっている。なお、シールド電極32については、ケーシング本体2aの支持部10を構成する部位の内側の幅のほぼ全域に亘る広さに形成することもできる。
【0028】
また、ケーシング2における蓋部2bの上面には、図3に示すように、回動軸5によってクランプアーム3,4を軸支するための複数の軸孔付きリブ16が立設されている。
【0029】
クランプアーム3は、例えば、電気的絶縁性を有する合成樹脂材料で形成されたクランプ部3aおよび操作部3bが一体的に形成されて構成されている。クランプ部3aは、「他方の第2クランプアーム」の一例であって、一対の磁性コア21の他方が図3に示すように両側から弧状のシールド部材22で挟まれることによって外周全体がこのシールド部材22で覆われた状態で、図6に示すように収容される。このため、クランプ部3aは、側面視した状態での形状が、この磁性コア21の形状に合わせて全体としてほぼ弧状に形成されている。このようにして、一対の磁性コア21のうちの一方の磁性コア21が収容されているクランプ部11と他方の磁性コア21が収容されているクランプ部3aとは、それぞれ弧状に形成され、かつ図8,11に示すクランプ状態において互いの先端部同士が当接して全体として環状(測定対象電線Xを取り囲む環状)に形成される。これにより、このクランプ状態において、両クランプ部11,3a内の両磁性コア21は、測定対象電線Xを取り囲むように環状に配設されることにより、閉磁路を形成する。
【0030】
閉磁路を形成した状態での一対の磁性コア21内には、測定対象電線Xに電流I1が流れた際には、この電流I1の電流値に応じた密度で磁束が発生する。一対の磁性コア21には、この磁束を検出すると共に電流検出信号Siに変換して出力する不図示の磁電変換部(例えば、磁性コア21に巻回された検出コイルや、磁性コア21のギャップに配設されたホール素子など。本例では一例として検出コイル23(図14,15参照)が配設されている。
【0031】
操作部3bは、「操作用アーム」の他の一例であって、後述するクランプアーム4の突出片36が当接可能にクランプ部3aの一端部に延設されると共に、スプリング6aが収容されている。このクランプアーム3は、クランプ部3aおよび操作部3bの間に形成された軸孔を挿通させた回動軸5によってケーシング2(蓋部2bの軸孔付きリブ16)に軸支されている。
【0032】
クランプアーム4は、例えば、電気的絶縁性を有する合成樹脂材料で形成されたクランプ部4aおよび操作部4bが一体的に形成されて構成されている。クランプ部4aは、「他方の第1クランプアーム」の一例であって、シールド電極33(図3,7参照)が収容されている。このシールド電極33については、クランプ部4aに設ける構成がより好ましいが、設けない構成とすることもできる。操作部4bは、「操作用アーム」の一例であって、クランプ部4aに延設されると共に、スプリング6bが収容されている。このクランプアーム4は、クランプ部4aおよび操作部4bの間に形成された軸孔を挿通させた回動軸5によってケーシング2(蓋部2bの軸孔付きリブ16)に軸支されている。
【0033】
この場合、本例のクランプ式センサ1では、複数の「開操作連動部材」が設けられている。具体的には、本例のクランプ式センサ1では、クランプアーム4におけるクランプ部4aに形成された当接片35が「開操作連動部材」に相当する(「他方の第1クランプアーム」に「開操作連動部材」が配設された構成の一例)。また、本例のクランプ式センサ1では、クランプアーム3におけるクランプ部3aの一端部に延設された操作部3bと、クランプアーム4における操作部4bに形成された突出片36とが相俟って「開操作連動部材」を構成する(「他方の第2クランプアーム」および「操作用アーム」に「開操作連動部材」が配設された構成の一例)。
【0034】
さらに、本例のクランプ式センサ1では、クランプアーム3におけるクランプ部3aに形成された凸部25と、クランプアーム4における操作部4bに形成された突出片36とが相俟って「開操作連動部材」を構成する(「一方の第2クランプアーム」および「操作用アーム」に「開操作連動部材」が配設された構成の一例)。この場合、本例のクランプ式センサ1では、図8に示すように、クランプアーム3,4の双方が完全に閉じた状態において、クランプアーム3の凸部25がクランプアーム4の突出片36に近接または接した状態となっている。なお、これら「開操作連動部材」の機能については、後に詳細に説明する。
【0035】
さらに、ケーシング2における正面に向かって支持部10の左側部位がクランプ部11に構成され、かつ支持部10の右側部位がクランプ部12に構成されている本例のクランプ式センサ1(「両第1クランプアームのいずれか一方と両第2クランプアームのいずれか一方とが一体形成され」との構成の一例)では、図2に示すように、測定対象電線Xを支持する測定対象電線支持部である支持部10の幅W(後述するようにクランプされる測定対象電線Xの長手方向に沿った幅)は、クランプアーム3の幅Waとクランプアーム4の幅Wbとを合計した幅であって、測定対象電線Xを支持するのに十分に広い幅となっている。
【0036】
回動軸5は、「第1軸部材」および「第2軸部材」を一体化した「軸部材」の一例であって(「第1軸部材と第2軸部材とが同心の状態」との構成の一例)、図3に示すように、ピン5aおよびフランジ5bを備え、ケーシング2の各軸孔付きリブ16に対してクランプアーム3,4を軸支する。これにより、本例のクランプ式センサ1では、ケーシング2のクランプ部11およびクランプアーム3のクランプ部3aで構成されるセンサ部Saと、ケーシング2のクランプ部12およびクランプアーム4のクランプ部4aで構成されるセンサ部Svとがクランプ式センサ1の幅方向(上記した矢印D方向)に並んで配設された状態となっている。
【0037】
スプリング6aは、前述したように、クランプアーム3の操作部3bに収容されると共に、操作部3bを付勢して図10に示す矢印B1の向きにクランプアーム3を回動させることで、クランプ部3aの先端部を矢印B2の向きでクランプ部11の先端部に押し付ける。また、スプリング6bは、前述したように、クランプアーム4の操作部4bに収容されると共に、操作部4bを付勢して図10に示す矢印B1の向きにクランプアーム4を回動させることで、クランプ部4aの先端部を矢印B2の向きでケーシング2の支持部10(クランプ部12)に押し付ける。
【0038】
検出回路部7は、図14に示すように、電流検出部41および電圧検出部42を備えている。また、検出回路部7は、本例では一例として、この検出回路部7と共に収容部15に収容されているシールド体43(図14,15参照)により、外乱からの影響が軽減されている。この場合、シールド体43は、検出回路部7を収容し得るようなケース状とすることもできるし、外乱からの影響を受けやすい回路部分の近傍にのみ選択的に配置される板状とすることもできる。なお、図14,15以外の図面は、シールド体43の図示を省略している。
【0039】
電流検出部41は、図15に示すように、一例として、本体ユニットMUから後述する正電圧Vf+および負電圧Vf−の供給を受けて作動するA/D変換回路41a、駆動回路41bおよび絶縁回路41c(一例として駆動回路41bによって駆動されるフォトカプラを図示しているが、例えば、図示はしないが、フォトカプラに代えて絶縁トランスを使用する構成など、他の種々の構成を採用することができる)を備えて構成されている。この構成では、A/D変換回路41aが、検出コイル23から出力された電流検出信号Siを入力して、測定対象電線Xに流れる電流I1の電流値を示す電流データDi(二値化信号としての第2信号)に変換して出力する。駆動回路41bは、電流データDiのレベルに応じて絶縁回路41cをオン・オフ駆動し、駆動された絶縁回路41cは、この電流データDiを電気的に分離して本体ユニットMUに出力する。つまり、電流検出部41は、センサ部Saと相俟って、測定対象電線Xに流れる電流I1を示す電流データDiを出力する。
【0040】
電圧検出部42は、図15に示すように、電流電圧変換回路42a、積分回路42b、駆動回路42cおよび絶縁回路42d(一例として駆動回路42cによって駆動されるフォトカプラを図示しているが、例えば、図示はしないが、フォトカプラに代えて絶縁トランスを使用する構成など、他の種々の構成を採用することができる)を備えて構成されている。
【0041】
電流電圧変換回路42aは、一例として、図15に示すように、非反転入力端子が抵抗を介してシールド体43に接続されると共に、反転入力端子が検出電極31に接続され、かつ帰還抵抗が反転入力端子と出力端子との間に接続された第1演算増幅器を備えて構成されている。この電流電圧変換回路42aは、第1演算増幅器が正電圧Vf+および負電圧Vf−の供給を受けて作動して、測定対象電線Xの電圧V1とシールド体43の電圧(本体ユニットMUから印加される電圧信号V4の電圧であり、検出回路部7での基準電圧)との電位差Vdiに起因して、この電位差Vdiに応じた電流値で測定対象電線Xと検出電極31との間に流れる検出電流(電流信号)Iを検出電圧信号V2に変換して出力する。この場合、検出電圧信号V2は、その振幅が電流信号Iの振幅に比例して変化する。
【0042】
積分回路42bは、一例として、非反転入力端子が抵抗を介してシールド体43に接続されると共に、反転入力端子が入力抵抗を介して第1演算増幅器の出力端子に接続され、かつ帰還コンデンサが反転入力端子と出力端子との間に接続された第2演算増幅器を備えて構成されている。この積分回路42bは、第2演算増幅器が正電圧Vf+および負電圧Vf−の供給を受けて作動して、検出電圧信号V2を積分することにより、測定対象電線Xの電圧V1とシールド体43の電圧(基準電圧)との電位差Vdiに比例して電圧値が変化する積分信号V3を生成して出力する。
【0043】
駆動回路42cは、積分信号V3のレベルに応じて絶縁回路42dをリニア領域で駆動し、駆動された絶縁回路42dは、この積分信号V3を電気的に分離して本体ユニットMUに新たな積分信号(第1信号)V3aとして出力する。つまり、電圧検出部42は、センサ部Svと相俟って、測定対象電線Xの電圧V1を示す積分信号V3aを出力する。この電流検出部41から出力される積分信号V3aおよび上記の電流データDiは、ケーブル8aを介して本体ユニットMUに伝達される。
【0044】
本体ユニットMUは、図14に示すように、一例として、主電源回路51、DC/DCコンバータ(以下、単に「コンバータ」ともいう)52、電流電圧変換用の抵抗(図15参照)、電圧生成部54、電圧計55、処理部56および表示部57を備えている。主電源回路51は、本体ユニットMUの各構成要素54〜57を作動させるための正電圧Vddおよび負電圧Vss(グランドG1の電位を基準として生成される絶対値が同じで、互いの極性の異なる直流電圧)を出力する。コンバータ52は、一例として互いに電気的に絶縁された一次巻線および二次巻線を有する絶縁型のトランスと、このトランスの一次巻線を駆動する駆動回路と、トランスの二次巻線に誘起される交流電圧を整流平滑する直流変換部(いずれも図示せず)とを備えて、一次側に対して二次側が電気的に絶縁された絶縁型電源として構成されている。
【0045】
このコンバータ52では、入力した正電圧Vddおよび負電圧Vssに基づいて駆動回路が作動して、正電圧Vddが印加された状態にあるトランスの一次巻線を駆動して二次巻線に交流電圧を誘起させる。また、直流変換部が、この交流電圧を整流して平滑する。これにより、コンバータ52の二次側から、この二次側の内部基準電位(内部グランド)G2を基準として、上記電圧(正電圧Vf+および負電圧Vf−)がフローティング状態(グランドG1、正電圧Vddおよび負電圧Vssと電気的に分離された状態)で生成される。このようにして生成された正電圧Vf+および負電圧Vf−は、図14,15に示すように、上記の内部グランドG2がシールド体43に電気的に接続された状態で、ケーブル8bを介してクランプ式センサ1に供給される。なお、正電圧Vf+および負電圧Vf−は、絶対値がほぼ同一で、極性が互いに異なる直流電圧として生成される。
【0046】
電流電圧変換用の各抵抗は、一端が負電圧Vssに接続されると共に、他端がクランプ式センサ1内の対応する絶縁回路41c,42d(本例ではフォトカプラにおけるフォトトランジスタのコレクタ端子)に接続されている。
【0047】
電圧生成部54は、積分信号V3aを入力して増幅することにより、電圧信号V4を生成して、ケーブル8bを介してクランプ式センサ1のシールド体43に印加する。これにより、正電圧Vf+および負電圧Vf−がフローティング状態でクランプ式センサ1に供給され、かつ正電圧Vf+および負電圧Vf−についての基準電位G2がシールド体43に接続されていることから、クランプ式センサ1内の検出回路部7は、電圧信号V4を基準電位G2とするフローティング電圧としての正電圧Vf+および負電圧Vf−で作動する。また、シールド体43は、不図示の導線を介して互いに接続されるなどの手法により、センサ部Sa側のすべてのシールド部材22、およびセンサ部Sv側の各シールド電極32,33と電気的に接続されている。したがって、シールド部材22および各シールド電極32,33もシールド体43と同電位に規定される。
【0048】
この場合、電圧生成部54は、クランプ式センサ1のシールド体43、検出電極31、電流電圧変換回路42a、積分回路42b、駆動回路42cおよび絶縁回路42d(本例ではフォトカプラ)と共にフィードバックループを形成して、電位差Vdiを減少させるように積分信号V3aを増幅する増幅動作を行うことにより、電圧信号V4を生成する。本例では、一例として、電圧生成部54は、図15に示すように、増幅回路54a、位相補償回路54bおよび昇圧回路54cを備えて構成されている。ここで、増幅回路54aは、積分信号V3aを入力して増幅することにより、電圧信号V4aを生成する。この場合、増幅回路54aは、積分信号V3aの電圧値についての絶対値の増加・減少に対応して、電圧値の絶対値が変化する電圧信号V4aを増幅動作によって生成する。位相補償回路54bは、フィードバック制御動作の安定化(発振防止)を図るため、電圧信号V4aを入力してその位相を調整して電圧信号V4bとして出力する。昇圧回路54cは、一例として昇圧トランスを用いて構成されて、電圧信号V4bを所定の倍率で昇圧することにより(極性は変えずに絶対を増加させることにより)、電圧信号V4を生成してシールド体43に印加する。電圧計55は、グランドG1の電位を基準として電圧信号V4を測定すると共に、その電圧値をディジタルデータに変換して電圧データDvとして外部に出力する。
【0049】
処理部56は、CPUおよびメモリ(いずれも図示せず)を備えて構成されて、電流検出部41から出力される電流データDiに基づいて測定対象電線Xに流れる電流I1を算出する電流算出処理、電圧計55から出力される電圧データDvに基づいて測定対象電線Xの電圧V1を算出する電圧算出処理、各データDi,Dvに基づいて測定対象電線Xから供給される電力を算出する電力算出処理、および電流データDiに基づいて測定対象電線Xの電流I1に含まれている高調波と電圧データDvに基づいて測定対象電線Xの電圧V1に含まれている高調波とを算出する高調波算出処理を実行する。また、処理部56は、各処理で算出した電流I1、電圧V1、電力および各高調波を表示部57に表やグラフの形式で表示させる。表示部57は、一例として、液晶ディスプレイなどのモニタ装置で構成されている。
【0050】
このクランプ式センサ1を備えた測定装置MDを用いて測定対象電線Xを流れる電流I1および測定対象電線Xの電圧V1を測定する際には、センサ部Saを構成するクランプ部3aと支持部10(この支持部10におけるクランプ部11としての部位)とで測定対象電線Xをクランプすると共に、センサ部Svを構成するクランプ部4aと支持部10(この支持部10におけるクランプ部12としての部位)とで測定対象電線Xをクランプする。
【0051】
具体的には、一例として、人差し指から小指までの4本の指をケーシング2における収容部15の底面に添えると共に、親指の腹をクランプアーム4の操作部4bに添え、その状態で親指を他の指に近付ける。この際には、スプリング6bの付勢力に抗して操作部4bが図8に示す矢印Aa1の向きに回動軸5を中心として回動させられる。
【0052】
また、この操作部4bの回動に伴い、操作部4bと一体化されているクランプ部4aも回動軸5を中心として矢印Aa2の向きに回動させられるため、クランプ部4aの先端部がクランプ部12(支持部10)から離間させられる。この結果、図9に示すように、操作部4bに設けられた突出片36がクランプアーム3における操作部3bに当接すると共に、クランプ部4aに設けられた当接片35がクランプアーム3におけるクランプ部3aに当接させられる。
【0053】
また、この状態から、図9に矢印Ab1で示すようにケーシング2に対して操作部4bがさらに回動させられたときには、突出片36が当接している操作部3bがスプリング6aの付勢力に抗して操作部4bと共に矢印Ab1の向きに回動させられる結果、操作部3bと一体化されているクランプ部3aについてもクランプ部4aの回動に連動して矢印Ab2の向きに回動させられる。また、この際には、クランプ部3aの内側にクランプアーム4の当接片35が当接した状態が維持され、これにより、クランプ部4aの回動に連動したクランプ部3aの矢印Ab2の向きへの回動が補助される。
【0054】
次いで、図10に示すように、支持部10上(クランプ部11,12上)に測定対象電線Xが位置するように、クランプ部11,3aおよびクランプ部12,4aの間に測定対象電線Xを導入する。続いて、親指を他の指に近付けている力を弱める。この際には、スプリング6bの付勢力によって回動軸5を中心として操作部4bが矢印B1の向きに回動させられる結果、回動軸5を中心としてクランプ部4aが矢印B2の向きに回動させられると共に、スプリング6aの付勢力によって回動軸5を中心として操作部3bが矢印B1の向きに回動させられる結果、回動軸5を中心としてクランプ部3aが矢印B2の向きに回動させられる。
【0055】
これにより、図11に示すように、センサ部Saを構成するクランプ部11,3aの先端部同士が当接させられて、両クランプ部11,3a内の両磁性コア21(図3参照)が測定対象電線Xを取り囲むようにして環状に配置されると共に、センサ部Svを構成するクランプ部12,4aの間に挟み込まれるようにして測定対象電線Xが支持部10に押し付けられて、クランプ部12内の検出電極31が測定対象電線Xに近接対向配置された状態となる。これにより、測定対象電線Xのクランプ作業が完了する。
【0056】
この場合、本例のクランプ式センサ1では、上記のような操作方法とは異なる操作方法でも測定対象電線Xをクランプすることができる。
【0057】
具体的には、一例として、人差し指から小指までの4本の指をケーシング2における収容部15の底面に添えると共に、親指の腹をクランプアーム3の操作部3bに添え、その状態で親指を他の指に近付ける。この際には、スプリング6aの付勢力に抗して操作部3bが図8に示す矢印Aa1の向きに回動軸5を中心として回動させられる。また、この操作部3bの回動に伴い、操作部3bと一体化されているクランプ部3aも回動軸5を中心として矢印Aa2の向きに回動させられるため、クランプ部3aの先端部がクランプ部11(支持部10)から離間させられる。
【0058】
さらに、本例のクランプ式センサ1では、両クランプアーム3,4が閉じた状態においてクランプアーム3の凸部25がクランプアーム4の突出片36に近接または接した状態となっている。この構成により、このクランプ式センサ1では、クランプ部3aに連動して矢印Aa2の向きへ回動する凸部25が突出片36を押動することで、突出片36が設けられているクランプアーム4の操作部4bがスプリング6bの付勢力に抗して矢印Aa1の向きに回動軸5を中心として回動させられる。このため、操作部4bと一体化されているクランプ部4aがクランプ部3aの回動に連動して回動軸5を中心として矢印Aa2の向きに回動させられる。これにより、図12に示すように、クランプ部4aの先端部がクランプ部12(支持部10)から離間させられる。
【0059】
次いで、図12に示すように、支持部10上(クランプ部11,12上)に測定対象電線Xが位置するように、クランプ部11,3aおよびクランプ部12,4aの間に測定対象電線Xを導入する。続いて、親指を他の指に近付けている力を弱める。この際には、スプリング6aの付勢力によって回動軸5を中心として操作部3bが矢印B1の向きに回動させられる結果、回動軸5を中心としてクランプ部3aが矢印B2の向きに回動させられると共に、スプリング6bの付勢力によって回動軸5を中心として操作部4bが矢印B1の向きに回動させられる結果、回動軸5を中心としてクランプ部4aが矢印B2の向きに回動させられる。
【0060】
これにより、図11に示すように、センサ部Saを構成するクランプ部11,3aの先端部同士が当接させられて、両クランプ部11,3a内の両磁性コア21(図3参照)が測定対象電線Xを取り囲むようにして環状に配置されると共に、センサ部Svを構成するクランプ部12,4aの間に挟み込まれるようにして測定対象電線Xが支持部10に押し付けられて、クランプ部12内の検出電極31が測定対象電線Xに近接対向配置された状態となる。これにより、測定対象電線Xのクランプ作業が完了する。
【0061】
この場合、本例のクランプ式センサ1では、センサ部Saおよびセンサ部Svがクランプ式センサ1の幅方向(矢印D方向。図3参照)に並んで配置されると共にセンサ部Saのクランプ部11とセンサ部Svのクランプ部12とがこの幅方向で連続するように一体化されて支持部10が形成されている。したがって、本例のクランプ式センサ1では、上記のいずれの操作方法で測定対象電線Xをクランプしたとしても、図13に示すように、クランプされた測定対象電線Xの十分に長い範囲(同図における幅Wの範囲)に支持部10が接した状態となるため、この測定対象電線Xに対するクランプ式センサ1の傾きが生じ難くなっている。
【0062】
また、この測定装置MDでは、このようにしてクランプ式センサ1が測定対象電線Xをクランプするため、測定対象電線Xの電圧V1を測定する際に重要となる測定対象電線Xと検出電極31との間、具体的には測定対象電線Xの芯線と検出電極31との間に形成される静電容量C0(図14参照)の容量値が大きく変動する事態が十分に回避されている。
【0063】
この状態において、測定対象電線Xの電圧V1と、シールド体43等(シールド体43、並びにシールド体43と同電位となるシールド部材22および各シールド電極32,33)の電圧(基準電圧。電圧信号V4の電圧)との電位差Vdiが増加しているとき(例えば、電圧V1の上昇に起因して電位差Vdiが増加しているとき)には、クランプ式センサ1の電圧検出部42では、測定対象電線Xから検出電極31を介して電流電圧変換回路42aに流れ込む電流信号Iの電流量が増加する。この場合、電流電圧変換回路42aは、出力している検出電圧信号V2の電圧値を低下させる。積分回路42bでは、この検出電圧信号V2の低下に起因して、第2演算増幅器の出力端子からコンデンサを介して反転入力端子に向けて流れる電流が増加する。このため、積分回路42bは、積分信号V3の電圧を上昇させる。また、この積分信号V3の電圧上昇に伴い、駆動回路42cのトランジスタが深いオン状態に移行する。これにより、絶縁回路42d(フォトカプラ)では、その発光ダイオードに流れる電流が増加し、フォトトランジスタの抵抗が減少する。したがって、抵抗の抵抗値とフォトトランジスタの抵抗値とで電位差(Vdd−Vss)が分圧されて生成される積分信号V3aは、その電圧値が低下する。
【0064】
本体ユニットMUでは、電圧生成部54が、この積分信号V3aに基づいて、生成している電圧信号V4の電圧値を上昇させる。この測定装置MDでは、このようにしてフィードバックループを構成する電流電圧変換回路42a、積分回路42b、駆動回路42c、絶縁回路42dおよび電圧生成部54が、測定対象電線Xの電圧V1の上昇を検出して、電圧信号V4の電圧値を上昇させるフィードバック制御動作を実行することにより、シールド体43等の電圧(電圧信号V4の電圧)を電圧V1に追従させる。
【0065】
また、電圧V1の低下に起因して電位差Vdiが増加したときには、検出電極31を介して電流電圧変換回路42aから測定対象電線Xに流れ出る(流出する)電流信号Iの電流量が増加する。この際には、フィードバックループを構成する電流電圧変換回路42a等が上記のフィードバック制御動作とは逆の動作でのフィードバック制御動作を実行して、電圧信号V4の電圧を低下させることにより、シールド体43等の電圧(電圧信号V4の電圧)を電圧V1に追従させる。
【0066】
このようにして、測定装置MDでは、シールド体43等の電圧(電圧信号V4の電圧)を電圧V1に追従させるフィードバック制御動作が短時間に実行されて、シールド体43等の電圧(電流電圧変換回路42aの第1演算増幅器のバーチャルショートにより、検出電極31の電圧でもある)が電圧V1に一致させられる(収束させられる)。電圧計55は、電圧信号V4の電圧値をリアルタイムで計測して、その電圧値を示す電圧データDvを出力する。また、電圧信号V4は、測定対象電線Xの電圧V1に一旦収束した後は、フィードバックループを構成する各構成要素が上記のように動作することにより、電圧V1の変動に追従する。したがって、測定対象電線Xの電圧V1を示す電圧データDvが電圧計55から連続して出力される。
【0067】
一方、クランプ式センサ1の電流検出部41は、測定対象電線Xに流れる電流I1を検出コイル14を介して検出して、電流I1の電流値を示す電流データDiに変換して出力する。
【0068】
処理部56は、電圧計55から出力された電圧データDv、および電流検出部41から出力された電流データDiを入力してメモりに記憶する。次いで、処理部56は、電流算出処理、電圧算出処理、電力算出処理および高調波算出処理を順次実行して、電圧データDvに基づいて測定対象電線Xの電圧V1を、電流データDiに基づいて測定対象電線Xに流れる電流I1を、各データDi,Dvに基づいて測定対象電線Xから供給される電力および各高調波をそれぞれ算出してメモリに記憶する。最後に、処理部56は、メモリに記憶されている測定結果(電圧V1、電流I1、電力および各高調波)を表示部57に表示させる。これにより、測定装置MDによる電力W等の測定が完了する。
【0069】
この場合、本例のクランプ式センサ1では、上記したように、センサ部Saのクランプ部11とセンサ部Svのクランプ部12とがクランプ式センサ1の幅方向で連続するように一体化されて支持部10が形成され、これにより、図13に示すように、支持部10におけるクランプ部12としての部位に配設されたシールド電極32と支持部10におけるクランプ部11としての部位に配設されたシールド部材22とがクランプ式センサ1の幅方向(同図中の左右方向))にほぼ連続した状態で、かつケーシング本体2aの支持部10を構成する部位の内側に支持部10の幅方向のほぼ全域に亘って配設されている。また、シールド部材22およびシールド電極32は、測定対象電線Xの電圧V1と同じ電圧に制御される電圧信号V4が印加されるシールド体43と同電位に規定されている。
【0070】
このため、このクランプ式センサ1では、検出電極31の周囲にセンサ部Svを構成するクランプ部12の幅よりも広い幅でシールド材(シールド部材22、シールド電極32)が配置される構成となっている。
【0071】
したがって、このクランプ式センサ1および測定装置MDによれば、クランプ部12の幅内に配設される検出電極31に対して、このクランプ部12の幅内に収まる広さのシールド材を配置する従来の構成と比較して、より広いシールド材を配置することができるため、外乱の影響を大幅に低減することができ、これにより、測定対象電線Xの電圧検出精度の更なる向上、ひいては電力W等の検出精度の更なる向上を図ることができる。また、このクランプ式センサ1および測定装置MDによれば、検出回路部7を構成する電流検出部41および電圧検出部42が、測定対象電線Xの電圧V1と同じ電圧に制御される電圧信号V4が印加されるシールド材(シールド部材22、シールド電極32およびシールド体43)の電位を共通の基準とする電圧(正電圧Vf+および負電圧Vf−)で作動するため、互いが近接して配置されたことに起因して生じる相互間での影響(検出電極31に導体としてのシールド部材22が近接して配置されたことに起因して電圧検出部42側に生じるおそれのある漏れ電流による影響、および磁気コア21の近傍に配設されたシールド材の電位が測定対象電線Xの電圧V1と同じ電圧に制御されることに起因して電流検出部41側に生じるおそれのある同相電圧による影響)を大幅に軽減することができる。
【0072】
また、このクランプ式センサ1および測定装置MDによれば、センサ部Sa,Svを並べて配設して、クランプ部11とクランプ部12とを一体形成して両クランプ部11,12の幅方向で連続する支持部10を形成したことにより、クランプに際して測定対象電線Xの長手方向に沿った十分に長い範囲に支持部10を接触させてこれを支持することができるため、測定対象電線Xに対するクランプ式センサ1の傾きを好適に回避することができる。これにより、測定対象電線Xに対して検出電極31を好適に近接配置させることができる結果、測定対象電線Xの電圧を高精度に検出することができると共に、両磁性コア21,21に対する測定対象電線Xの位置がクランプさせる都度変化する事態も好適に回避される結果、測定対象電線Xを流れる電流についても高精度に検出することができる。
【0073】
また、このクランプ式センサ1によれば、クランプアーム4のクランプ部4aを開操作可能にクランプ部4aの一端部に延設された操作部4bと、クランプ部3a,4aおよび操作部4bに配設されて、操作部4bに対する開操作によってクランプ部4aに連動してクランプ部3aを回動させる「開操作連動部材」としての当接片35、突出片36および操作部3bとを備えたことにより、当接片35、突出片36および操作部3bなどの「開操作連動部材」を設けず、両「クランプアーム」にそれぞれ延設した「操作用アーム(例えば、クランプ式センサ1における操作部3b,4b)」を別個に開操作して両センサ部Sa,Svをそれぞれ開く構成と比較して、1回の開操作(本例では、操作部4bに対する開操作)によって両センサ部Sa,Svをそれぞれ開くことができるため、測定対象電線Xのクランプ作業時に利用者にかかる負担を十分に軽減することができる。
【0074】
さらに、このクランプ式センサ1によれば、クランプアーム3のクランプ部3aを開操作可能にクランプ部3aの一端部に延設された操作部3bと、クランプ部3aおよび操作部4bに配設されて、操作部3bに対する開操作によってクランプ部3aに連動してクランプ部4aを回動させる「開操作連動部材」としての凸部25および突出片36とを備えたことにより、凸部25および突出片36などの「開操作連動部材」を設けずに、両「クランプアーム」にそれぞれ延設した「操作用アーム(例えば、クランプ式センサ1における操作部3b,4b)」を別個に開操作して両センサ部Sa,Svをそれぞれ開く構成と比較して、1回の開操作(本例では、操作部3bに対する開操作)によって両センサ部Sa,Svをそれぞれ開くことができるため、測定対象電線Xのクランプ作業時に利用者にかかる負担を十分に軽減することができる。
【0075】
なお、「クランプ式センサ」の構成は、上記のクランプ式センサ1の構成の例に限定されない。例えば、「第2クランプアーム」としてのクランプ部3aの内側に当接可能な当接片35を「第1クランプアーム」としてのクランプ部4aに「開操作連動部材」として配設した構成を例に挙げて説明したが、「第1クランプアーム(例えば、クランプ式センサ1におけるクランプ部4a)」の外側に当接可能な「当接片(図示せず)」を「開操作連動部材」として「第2クランプアーム(例えば、クランプ式センサ1におけるクランプ部3a)」に配設することで「第1クランプアーム」の回動に連動させて「第2クランプアーム」を回動させる構成を採用することもできる。
【0076】
さらに、上記のクランプ式センサ1における操作部3bに、クランプアーム4の操作部4bに当接可能な「突出片」を形成することにより、クランプアーム4の操作部4bと、操作部3bに形成した「突出片」とが相俟って「開操作連動部材」として機能するように構成することもできる。また、「開操作連動部材」の数については、1つ、2つ、および4つ以上のうちの任意の数とすることができる(図示せず)。この場合、上記の当接片35(または、クランプ部3aに形成した「当接片」)だけを「開操作連動部材」とする構成を採用するときには、上記のクランプ式センサ1における操作部4bおよび操作部3bの一方だけを「操作用アーム」として配設し、他方を不要とすることもできる。
【0077】
また、1本の回動軸5を「第1軸部材」および「第2軸部材」として兼用することでを両「軸部材」を同心の状態とした例について説明したが、「第1軸部材」および「第2軸部材」を別部材で構成しつつ同心の状態としたり、「第1軸部材」および「第2軸部材」を別部材で構成しつつ互いに平行な状態としたりすることもできる(図示せず)。さらに、「測定装置」とは別体に形成したクランプ式センサ1を例に挙げて説明したが、「クランプ式センサ」を「測定装置」の構成の一部として「測定装置本体」と一体的に形成することもできる(図示せず)。
【符号の説明】
【0078】
1 クランプ式センサ
2 ケーシング
2a ケーシング本体
2b 蓋部
3,4 クランプアーム
3a,4a,11,12 クランプ部
3b,4b 操作部
5 回動軸
5a ピン
5b フランジ
10 支持部
21 磁性コア
22 シールド部材
31 検出電極
32,33 シールド電極
Sa,Sv センサ部
X 測定対象電線
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