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特許6486768フタロシアニン化合物を含有して成るフィルタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6486768
(24)【登録日】2019年3月1日
(45)【発行日】2019年3月20日
(54)【発明の名称】フタロシアニン化合物を含有して成るフィルタ
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/22 20060101AFI20190311BHJP
   C09B 47/18 20060101ALI20190311BHJP
   C09B 47/12 20060101ALI20190311BHJP
【FI】
   G02B5/22
   C09B47/18
   C09B47/12
【請求項の数】3
【全頁数】54
(21)【出願番号】特願2015-100796(P2015-100796)
(22)【出願日】2015年5月18日
(65)【公開番号】特開2016-218167(P2016-218167A)
(43)【公開日】2016年12月22日
【審査請求日】2018年4月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000179904
【氏名又は名称】山本化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085202
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 博
(72)【発明者】
【氏名】中塚 正勝
【審査官】 ▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−51452(JP,A)
【文献】 特開2000−239584(JP,A)
【文献】 特開平7−178861(JP,A)
【文献】 特表2003−532771(JP,A)
【文献】 特表2003−508615(JP,A)
【文献】 特開2008−268267(JP,A)
【文献】 特許第6324758(JP,B2)
【文献】 特許第6388782(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20− 5/28
C07F 47/00−47/32
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物を少なくとも1種含有して成るフィルタ。
〔式中、R〜Rはそれぞれ独立に、置換または未置換のアリール基を表し、
〜Rはそれぞれ独立に、水素原子あるいはハロゲン原子を表し、
〜Xはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、置換または未置換のアリール基、あるいは置換または未置換のアリールオキシ基を表し(但し、X〜Xの少なくとも1つは、直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、置換または未置換のアリール基、あるいは置換または未置換のアリールオキシ基を表す)、
Mは2個の水素原子、2個の1価の金属原子、2価の金属原子、3価の置換金属原子、4価の置換金属原子、または酸化金属原子を表す〕
【請求項2】
基体と透明粘着層から成る請求項1記載のフィルタ。
【請求項3】
基体と機能性透明層から成る請求項1記載のフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は特定構造の置換基を有するフタロシアニン化合物を含有して成るフィルタ(例えば、熱線遮蔽フィルタ、光学用フィルタ、ディスプレイ用フィルタ)に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、社会の高度情報化に伴って、光エレクトロニクス関連用途をはじめ、有機化合物を用いた各種の機能材料の開発が盛んに行われている。
このような有機材料としては、例えば、フタロシアニン化合物が注目されている。
フタロシアニン化合物は、例えば、カラートナー、インクジェット用インク、改ざん偽造防止用インク、ゴーグルなどのレンズ、光記録媒体、レーザー治療用感光性色素、感熱転写、感熱孔版などの光熱交換剤、感熱式リライタブル記録の光熱交換剤、プラスチック材料のレーザー透過溶着用の光熱交換剤、熱線遮蔽フィルタ用途、光学フィルタ用途、ディスプレイフィルタ用途、近赤外吸収剤など広範囲の用途に使用されている。
【0003】
最近では、省エネルギーの観点から、熱線を遮断する効果を利用する分野への応用が盛んに研究されている。例えば、アルキル基を有するフタロシアニン化合物を用いた近赤外線吸収フィルタが提案されている(特許文献1)。例えば、中心金属に酸化バナジウムを有するアリールオキシ置換のフタロシアニン化合物を熱線遮蔽吸収材として用いることが提案されている(特許文献2)。例えば、中心金属に銅を有し、置換アミノ基およびアリールオキシ基を有するフタロシアニン化合物を含む近赤外吸収フィルタが提案されている(特許文献3)。また、例えば、アルキル置換基、およびアリールオキシ置換基を有するフタロシアニン化合物を近赤外吸収材として用いることが提案されている(特許文献4)。これらのフタロシアニン化合物を近赤外吸収剤として用いたフィルタは、一定の熱線遮蔽効果はあるものの、現在では一層の改良が求められている。また、特定構造のフタロシアニン化合物を含有する近赤外線カットフィルタ、特に固体撮像素子用のフィルタが提案されている(特許文献5)が、更なる改良が求められている。
【0004】
現在では、熱線遮蔽効果は勿論であるが、より光学特性、耐候性に優れたフィルタ(例えば、熱線遮蔽フィルタ、光学フィルタ)が求められている。
フタロシアニン骨格のα位に種々のフェニル基を4個有する化合物は、すでに知られている(非特許文献1)が、該化合物のフィルタへの応用は今まで提案されてはいない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2−138382号公報
【特許文献2】特開2011−94127号公報
【特許文献3】特表2012−514063号公報
【特許文献4】特開2013−108060号公報
【特許文献5】特開2013−218312号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Chem.Lett.,1200(2000)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、特定構造のフタロシアニン化合物を含有してなる優れた光学特性、および優れた耐候性(例えば、耐光性、耐熱性)を有するフィルタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、各種化合物を用いて成るフィルタに関し、鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(i)一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物を少なくとも1種含有して成るフィルタである。
(式中、R〜Rはそれぞれ独立に、置換または未置換のアリール基を表し、
〜Rはそれぞれ独立に、水素原子あるいはハロゲン原子を表し、
〜Xはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、置換または未置換のアリール基、あるいは置換または未置換のアリールオキシ基を表し(但し、X〜Xの少なくとも1つは、直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、置換または未置換のアリール基、あるいは置換または未置換のアリールオキシ基を表す)、
Mは2個の水素原子、2個の1価の金属原子、2価の金属原子、3価の置換金属原子、4価の置換金属原子、または酸化金属原子を表す)
さらに、
(ii)基体と透明粘着層から成る(i)記載のフィルタに関するものであり、
(iii)基体と機能性透明層から成る(i)記載のフィルタに関するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、特定構造のフタロシアニン化合物を少なくとも1種含有してなる光学特性に優れ、且つ耐候性に優れたフィルタを提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明のフィルタの模式的断面図である。
図2】本発明のフィルタの模式的断面図である。
図3】本発明のフィルタの模式的断面図である。
図4】本発明のフィルタの模式的断面図である。
図5】本発明のフィルタの模式的断面図である。
図6】本発明のフィルタの模式的断面図である。
図7】本発明のフィルタの模式的断面図である。
図8】本発明のフィルタの模式的断面図である。
図9】本発明のフィルタの模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に関し詳細に説明する。
本発明は、一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物を少なくとも1種含有して成るフィルタである。
(式中、R〜Rはそれぞれ独立に、置換または未置換のアリール基を表し、
〜Rはそれぞれ独立に、水素原子あるいはハロゲン原子を表し、
〜Xはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、置換または未置換のアリール基、あるいは置換または未置換のアリールオキシ基を表し(但し、X〜Xの少なくとも1つは、直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、置換または未置換のアリール基、あるいは置換または未置換のアリールオキシ基を表す)、
Mは2個の水素原子、2個の1価の金属原子、2価の金属原子、3価の置換金属原子、4価の置換金属原子、または酸化金属原子を表す)
【0012】
一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物は、フタロシアニン骨格のα位に置換または未置換のアリール基が置換した化合物であり、優れた光学特性(例えば、光吸収特性)、および優れた耐候性(例えば、耐光性、耐熱性)を有するものである。また、係る特性を有するフタロシアニン化合物を含有してなる本発明のフィルタは、優れた光学特性、優れた耐候性を有するものである。
【0013】
一般式(1)で表される化合物において、R〜Rはそれぞれ独立に、置換または未置換のアリール基を表し、
好ましくは、炭素数4〜20の置換または未置換のアリール基を表し、より好ましくは、炭素数4〜16の置換または未置換のアリール基を表す。
尚、置換アリール基の置換基としては、好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数4〜20のアリール基を挙げることができる。
尚、該アリール基には、これらの置換基が単置換または多置換されていてもよい。
尚、本明細書において、アリール基とは、例えば、フェニル基、ナフチル基などの炭素環式芳香族基、例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基などの複素環式芳香族基を表し、好ましくは、炭素環式芳香族基を表す。
【0014】
一般式(1)において、R〜Rで表される置換または未置換のアリール基の具体例としては、例えば、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2−エチルフェニル基、3−エチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−n−プロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、4−n−ブチルフェニル基、4−イソブチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−n−ペンチルフェニル基、4−イソペンチルフェニル基、4−tert−ペンチルフェニル基、4−n−ヘキシルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、4−n−ヘプチルフェニル基、4−n−オクチルフェニル基、4−n−ノニルフェニル基、4−n−デシルフェニル基、4−n−ウンデシルフェニル基、4−n−ドデシルフェニル基、4−n−テトラデシルフェニル基、4−n−ヘキサデシルフェニル基、4−n−オクタデシルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラメチルフェニル基、
2,6−ジエチルフェニル基、3,5−ジ−tert−ブチルフェニル基、
5−インダニル基、1,2,3,4−テトラヒドロ−5−ナフチル基、1,2,3,4−テトラヒドロ−6−ナフチル基、2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、3−エトキシフェニル基、4−エトキシフェニル基、4−n−プロポキシフェニル基、4−イソプロポキシフェニル基、4−n−ブトキシフェニル基、4−イソブトキシフェニル基、4−n−ペンチルオキシフェニル基、4−n−ヘキシルオキシフェニル基、4−シクロヘキシルオキシフェニル基、4−n−ヘプチルオキシフェニル基、4−n−オクチルオキシフェニル基、4−n−ノニルオキシフェニル基、4−n−デシルオキシフェニル基、4−n−ウンデシルオキシフェニル基、4−n−ドデシルオキシフェニル基、4−n−テトラデシルオキシフェニル基、4−n−ヘキサデシルオキシフェニル基、4−n−オクタデシルオキシフェニル基、2,3−ジメトキシフェニル基、2,4−ジメトキシフェニル基、2,5−ジメトキシフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、3,5−ジエトキシフェニル基、
3,4−メチレンジオキシフェニル基、3−トリフルオロメトキシフェニル基、4−トリフルオロメトキシフェニル基、
【0015】
2−メトキシ−4−メチルフェニル基、2−メトキシ−5−メチルフェニル基、3−メトキシ−4−メチルフェニル基、2−メチル−4−メトキシフェニル基、3−メチル−4−メトキシフェニル基、3−メチル−5−メトキシフェニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、4−ブロモフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、2−メチル−4−クロロフェニル基、2−クロロ−4−メチルフェニル基、3−クロロ−4−メチルフェニル基、2−クロロ−4−メトキシフェニル基、3−メトキシ−4−フルオロフェニル基、3−メトキシ−4−クロロフェニル基、3−フルオロ−4−メトキシフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基、4−フェニルフェニル基、3−フェニルフェニル基、2−フェニルフェニル基、4−(4’−メチルフェニル)フェニル基、4−(4’−メトキシフェニル)フェニル基、3,5−ジフェニルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、4−エトキシ−1−ナフチル基、6−n−ブチル−2−ナフチル基、6−メトキシ−2−ナフチル基、7−エトキシ−2−ナフチル基、2−フリル基、2−チエニル基、5−エチル−2−チエニル基、5−n−ペンチル−2−チエニル基、5−n−デシル−2−チエニル基、5−フェニル−2−チエニル基、5−(2’−チエニル)−2−チエニル基、3−チエニル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基などの置換または未置換のアリール基を挙げることができる。
【0016】
一般式(1)で表される化合物において、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、あるいはハロゲン原子を表し、好ましくは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子を表し、より好ましくは、好ましくは、水素原子、フッ素原子、塩素原子を表す。
【0017】
一般式(1)で表される化合物においてX〜Xはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、置換または未置換のアリール基、あるは置換または未置換のアリールオキシ基を表し、
好ましくは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルキル基、炭素数2〜20の直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、炭素数4〜20の置換または未置換のアリール基、あるいは炭素数4〜20の置換または未置換のアリールオキシ基を表し、
より好ましくは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、炭素数1〜14の直鎖、分岐または環状のアルキル基、炭素数2〜14の直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、炭素数4〜16の置換または未置換のアリール基、あるいは炭素数4〜16の置換または未置換のアリールオキシ基を表す。
尚、置換アリール基および置換アリールオキシ基の置換基としては、好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数4〜20のアリール基を挙げることができる。
尚、該アリール基および該アリールオキシ基には、これらの置換基が単置換または多置換されていてもよい。
【0018】
但し、一般式(1)で表される化合物において、X〜Xにおいて、少なくとも1つは直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、置換または未置換のアリール基、あるは置換または未置換のアリールオキシ基を表し、
より好ましくは、X〜Xにおいて、少なくとも4つは直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、置換または未置換のアリール基、あるは置換または未置換のアリールオキシ基を表す。
特に好ましくは一般式(1)で表される化合物において、X、X、XおよびXが、直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、置換または未置換のアリール基、あるは置換または未置換のアリールオキシ基を表し、且つ、X、X、XおよびXが、水素原子またはハロゲン原子を表す化合物である。
また、特に好ましくは、一般式(1)で表される化合物において、X〜Xが、直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、置換または未置換のアリール基、あるは置換または未置換のアリールオキシ基を表す化合物である。
【0019】
一般式(1)において、X〜Xで表されるハロゲン原子の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。
【0020】
一般式(1)において、X〜Xで表される直鎖、分岐または環状のアルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、1,2−ジメチルプロピ基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチル−2−ブチル基、2−エチルプロピル基、
n−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、4−メチル−2−ペンチル基、1,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、
n−ヘプチル基、1−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、2,4−ジメチルペンチル基、2,4−ジメチル−3−ペンチル基、
【0021】
シクロヘキシルメチル基、2−シクロヘキシルエチル基、n−オクチル基、tert−オクチル基、1−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基、2−プロピルペンチル基、2,5−ジメチルヘキシル基、2,5,5−トリメチルヘキシル基、n−ノニル基、2,2−ジメチルヘプチル基、2,6−ジメチル−4−ヘプチル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、n−デシル基、4−エチルオクチル基、n−ウンデシル基、1−メチルデシル基、n−ドデシル基、1,3,5,7−テトラメチルオクチル基、n−トリデシル基、1−ヘキシルヘプチル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−エイコシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、4−tert−ブチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などの直鎖、分岐または環状のアルキル基を挙げることができる。
【0022】
一般式(1)において、X〜Xで表される直鎖、分岐または環状のアルコキシ基の具体例としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、2−ペンチルオキシ基、3−ペンチルオキシ基、1,2−ジメチルプロピルオキシ基、1−メチルブチルオキシ基、2−メチルブチルオキシ基、3−メチル−2−ブチルオキシ基、2−エチルプロピルオキシ基、
n−ヘキシルオキシ基、1−メチルペンチルオキシ基、2−メチルペンチルオキシ基、4−メチルペンチルオキシ基、4−メチル−2−ペンチルオキシ基、1,2−ジメチルブチルオキシ基、2,3−ジメチルブチルオキシ基、3,3−ジメチルブチルオキシ基、1−エチルブチルオキシ基、2−エチルブチルオキシ基、
n−ヘプチルオキシ基、1−メチルヘキシルオキシ基、3−メチルヘキシルオキシ基、5−メチルヘキシルオキシ基、2,4−ジメチルペンチルオキシ基、2,4−ジメチル−3−ペンチルオキシ基、
【0023】
シクロヘキシルメチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基、1−メチルヘプチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、2−プロピルペンチルオキシ基、2,5−ジメチルヘキシルオキシ基、2,5,5−トリメチルヘキシルオキシ基、n−ノニルオキシ基、2,2−ジメチルヘプチルオキシ基、2,6−ジメチル−4−ヘプチルオキシ基、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシ基、n−デシルオキシ基、4−エチルオクチルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、1−メチルデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、1,3,5,7−テトラメチルオクチルオキシ基、n−トリデシルオキシ基、1−ヘキシルヘプチルオキシ基、n−テトラデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基、n−ヘプタデシルオキシ基、n−オクタデシルオキシ基、n−エイコシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、4−メチルシクロヘキシルオキシ基、4−tert−ブチルシクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、シクロオクチルオキシ基などの直鎖、分岐または環状のアルコキシ基を挙げることができる。
【0024】
一般式(1)において、X〜Xで表される置換または未置換のアリール基の具体例としては、例えば、一般式(1)において、R〜Rの具体例として例示した置換または未置換のアリール基を挙げることができる。
【0025】
一般式(1)において、X〜Xで表される置換または未置換のアリールオキシ基の具体例としては、例えば、フェニルオキシ基、2−メチルフェニルオキシ基、3−メチルフェニルオキシ基、4−メチルフェニルオキシ基、2−エチルフェニルオキシ基、3−エチルフェニルオキシ基、4−エチルフェニルオキシ基、4−n−プロピルフェニルオキシ基、4−イソプロピルフェニルオキシ基、4−n−ブチルフェニルオキシ基、4−イソブチルフェニルオキシ基、4−tert−ブチルフェニルオキシ基、4−n−ペンチルフェニルオキシ基、4−イソペンチルフェニルオキシ基、4−tert−ペンチルフェニルオキシ基、4−n−ヘキシルフェニルオキシ基、4−シクロヘキシルフェニルオキシ基、4−n−ヘプチルフェニルオキシ基、4−n−オクチルフェニルオキシ基、4−n−ノニルフェニルオキシ基、4−n−デシルフェニルオキシ基、4−n−ウンデシルフェニルオキシ基、4−n−ドデシルフェニルオキシ基、4−n−テトラデシルフェニルオキシ基、4−n−ヘキサデシルフェニルオキシ基、4−n−オクタデシルフェニルオキシ基、2,3−ジメチルフェニルオキシ基、2,4−ジメチルフェニルオキシ基、2,5−ジメチルフェニルオキシ基、2,6−ジメチルフェニルオキシ基、3,4−ジメチルフェニルオキシ基、3,5−ジメチルフェニルオキシ基、3,4,5−トリメチルフェニルオキシ基、2,3,5,6−テトラメチルフェニルオキシ基、
2,6−ジエチルフェニルオキシ基、3,5−ジ−tert−ブチルフェニルオキシ基、
【0026】
5−インダニルオキシ基、1,2,3,4−テトラヒドロ−5−ナフチルオキシ基、1,2,3,4−テトラヒドロ−6−ナフチルオキシ基、2−メトキシフェニルオキシ基、3−メトキシフェニルオキシ基、4−メトキシフェニルオキシ基、3−エトキシフェニルオキシ基、4−エトキシフェニルオキシ基、4−n−プロポキシフェニルオキシ基、4−イソプロポキシフェニルオキシ基、4−n−ブトキシフェニルオキシ基、4−イソブトキシフェニルオキシ基、4−n−ペンチルオキシフェニルオキシ基、4−n−ヘキシルオキシフェニルオキシ基、4−シクロヘキシルオキシフェニルオキシ基、4−n−ヘプチルオキシフェニルオキシ基、4−n−オクチルオキシフェニルオキシ基、4−n−ノニルオキシフェニルオキシ基、4−n−デシルオキシフェニルオキシ基、4−n−ウンデシルオキシフェニルオキシ基、4−n−ドデシルオキシフェニルオキシ基、4−n−テトラデシルオキシフェニルオキシ基、4−n−ヘキサデシルオキシフェニルオキシ基、4−n−オクタデシルオキシフェニルオキシ基、2,3−ジメトキシフェニルオキシ基、2,4−ジメトキシフェニルオキシ基、2,5−ジメトキシフェニルオキシ基、3,4−ジメトキシフェニルオキシ基、3,5−ジメトキシフェニルオキシ基、3,5−ジエトキシフェニルオキシ基、
3,4−メチレンジオキシフェニルオキシ基、3−トリフルオロメトキシフェニルオキシ基、4−トリフルオロメトキシフェニルオキシ基、
【0027】
2−メトキシ−4−メチルフェニルオキシ基、2−メトキシ−5−メチルフェニルオキシ基、3−メトキシ−4−メチルフェニルオキシ基、2−メチル−4−メトキシフェニルオキシ基、3−メチル−4−メトキシフェニルオキシ基、3−メチル−5−メトキシフェニルオキシ基、2−フルオロフェニルオキシ基、3−フルオロフェニルオキシ基、4−フルオロフェニルオキシ基、2−クロロフェニルオキシ基、3−クロロフェニルオキシ基、4−クロロフェニルオキシ基、4−ブロモフェニルオキシ基、2,4−ジフルオロフェニルオキシ基、3,5−ジフルオロフェニルオキシ基、2,4−ジクロロフェニルオキシ基、2,5−ジクロロフェニルオキシ基、3,4−ジクロロフェニルオキシ基、3,5−ジクロロフェニルオキシ基、2−メチル−4−クロロフェニルオキシ基、2−クロロ−4−メチルフェニルオキシ基、3−クロロ−4−メチルフェニルオキシ基、2−クロロ−4−メトキシフェニルオキシ基、3−メトキシ−4−フルオロフェニルオキシ基、3−メトキシ−4−クロロフェニルオキシ基、3−フルオロ−4−メトキシフェニルオキシ基、3−トリフルオロメチルフェニルオキシ基、4−トリフルオロメチルフェニルオキシ基、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルオキシ基、4−フェニルフェニルオキシ基、3−フェニルフェニルオキシ基、2−フェニルフェニルオキシ基、4−(4’−メチルフェニル)フェニルオキシ基、4−(4’−メトキシフェニル)フェニルオキシ基、3,5−ジフェニルフェニルオキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メチル−1−ナフチルオキシ基、4−エトキシ−1−ナフチルオキシ基、6−n−ブチル−2−ナフチルオキシ基、6−メトキシ−2−ナフチルオキシ基、7−エトキシ−2−ナフチルオキシ基、2−フリルオキシ基、2−チエニルオキシ基、5−エチル−2−チエニルオキシ基、5−n−ペンチル−2−チエニルオキシ基、5−n−デシル−2−チエニルオキシ基、5−フェニル−2−チエニルオキシ基、5−(2’−チエニル)−2−チエニルオキシ基、3−チエニルオキシ基、2−ピリジルオキシ基、3−ピリジルオキシ基、4−ピリジルオキシ基などの置換または未置換のアリールオキシ基を挙げることができる。
【0028】
一般式(1)において、Mは、2個の水素原子、2個の1価の金属原子、2価の金属原子、3価の置換金属原子、4価の置換金属原子、または酸化金属原子を表し、好ましくは、2価の金属原子、または酸化金属原子である。
【0029】
Mで表される1価の金属原子としては、例えば、Na、K、Liなどを挙げることができる。
Mで表される2価の金属原子としては、例えばCu、Zn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Pt、Mn、Mg、Ti、Be、Ca、Ba、Cd、Hg、Pb、Snなどを挙げることができる。
【0030】
Mで表される3価の置換金属原子としては、例えばAl−F、Al−Cl、Al−Br、Al−I、Ga−F、Ga−Cl、Ga−Br、Ga−I、In−F、In−Cl、In−Br、In−I、Tl−F、Tl−Cl、Tl−Br、Tl−I、Al−C、Al−C(CH)、In−C、In−C(CH)、Mn(OH)、Mn(OC) 、Mn[OSi(CH]、Fe−Cl、Ru−Clなどを挙げることができる。
Mで表される4価の置換金属原子としては、例えばCrCl、SiCl、SiBr、SiF、SiI、ZrCl、ZrI、GeCl、GeBr、GeF
GeI、SnCl、SnF、SnBr、TiF、TiCl、TiBr
Si(OH)、Ge(OH)、Zr(OH)、Mn(OH)、Sn(OH)
Ti(R10)、Cr(R10)、Si(R10)、Sn(R10)、Ge(R10)
〔式中、R10はアルキル基、フェニル基、ナフチル基、あるいはその誘導体を表す〕、
Si(OR20)、Sn(OR20)、Ge(OR20)、Ti(OR20)
Cr(OR20)〔式中、R20は、アルキル基、フェニル基、ナフチル基、トリアルキルシリル基、ジアルキルアルコキシシリル基、あるいはその誘導体を表す〕、
Sn(SR30、Ge(SR30〔式中、R30は、アルキル基、フェニル基、
ナフチル基、あるいはその誘導体を表す〕などを挙げることができる。
【0031】
Mで表される酸化金属原子としては、例えば、VO、MnO、TiOなどを挙げることができる。
一般式(1)において、Mは、より好ましくはCu、Zn、Fe、Co、Ni、Pd、Mg、VO、TiOであり、さらに好ましくはCu、Zn、Ni、VOであり、特に好ましくは、Cu、VOである。
【0032】
一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物の具体例としては、例えば、以下の化合物を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物は、それ自体公知の方法を参考にして製造することができる。
すなわち、一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物は、例えば、一般式(2)〜一般式(5)で表される化合物と、金属あるいは金属塩(例えば、ハロゲン化金属、カルボン酸金属)とを有機溶媒の存在下で、所望により塩基(例えば、モリブデン酸アンモニウム、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、トリアルキルアミン、アンモニア)の存在下で反応させることにより製造することができる〔例えば、特開昭50−85630号公報、特開平1−45474号公報、特開平1−60660号公報に記載の方法に従って製造することができる〕。
【0056】
また、一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物は、例えば、一般式(2)〜一般式(5)で表される化合物と、金属あるいは金属塩(例えば、ハロゲン化金属、カルボン酸金属)とを、ハロゲン化されていてもよい炭化水素系溶媒とニトリル系溶媒の存在下で反応させることにより製造することができる〔例えば、特開2008−231153号公報の記載の方法に従って製造することができる〕。
【0057】
〔式中、R〜R、およびX〜Xは一般式(1)の場合と同じ意味を表す〕
【0058】
尚、一般式(2)〜一般式(5)で表される化合物は、それ自体公知の方法を参考にして製造することができる。
例えば、一般式(2)で表される化合物を例に説明すると、一般式(2)で表される化合物は、例えば、一般式(6)で表される化合物と一般式(7)で表される化合物を、あるいは、一般式(8)で表される化合物と一般式(9)で表される化合物を、
触媒として、例えば、パラジウム触媒[例えば、ビス(トリフェニルフォスフィン)パラジウムジクロライド、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム、酢酸パラジウム、パラジウム/炭素]、および必要に応じて塩基の存在下で作用させることにより製造することができる〔例えば、Chem.Lett.,1200(2000)、Chem.Rev.,95、2457(1995)、Chem.Rev.,102、1359(2002)、Chem.Rev.,107、133(2007)、Tetrahedron,54、263(1998)に記載の方法を参考にすることができる〕。
【0059】
〔式中、R、R、XおよびXは一般式(1)の場合と同じ意味を表し、ZおよびZはハロゲン原子または−OSO−R基を表し、MおよびMはホウ素金属含有基、または亜鉛金属含有基を表す〕
【0060】
尚、一般式(6)および一般式(9)において、ZおよびZで表されるハロゲン原子は、好ましくは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を表し、より好ましくは、臭素原子、ヨウ素原子を表す。
【0061】
一般式(6)および一般式(9)において、ZおよびZで表される−OSO−R基において、Rは置換または未置換のアリール基、あるいはハロゲン原子で置換されていてもよい直鎖、分岐または環状のアルキル基を表し、より好ましくは、炭素数6〜10の置換または未置換のアリール基、あるいはハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜10の直鎖、分岐または環状のアルキル基を表し、さらに好ましくは、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基を表す。
【0062】
尚、−OSO−R基のRで表される置換または未置換のアリール基の具体例としては、例えば、フェニル基、4−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基などを挙げることができる。
尚、−OSO−R基のRで表されるハロゲン原子で置換されていてもよい直鎖、分岐または環状のアルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基などのアルキル基、トリフルオロメチル基、クロロジフルオロメチル基、ジクロロフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、n−ノナフルオロブチル基などのハロゲン原子で置換されたアルキル基を挙げることができる。
一般式(6)および一般式(9)において、ZおよびZで表される−OSO−R基としては、より好ましくは、ベンゼンスルフォニルオキシ基、p−トルエンスルフォニルオキシ基、メタンスルフォニルオキシ基、トリフルオロメタンスルフォニルオキシ基である。
【0063】
一般式(7)および一般式(8)において、MおよびMで表されるホウ素金属含有基としては、好ましくは、一般式(M−1)で表される基である。
−B(OR)(OR00) (M−1)
(式中、RおよびR00は水素原子またはアルキル基を表し、さらにRとR00が互いに結合して環状のアルキレン基、あるいはアリーレン基を形成していてもよいを表す)
一般式(M−1)において、RおよびR00は、水素原子またはアルキル基を表し、好ましくは、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表す。
また、RおよびR00が互いに結合して環状のアルキレン基を表す場合、好ましくは、炭素数2〜10の環状のアルキレン基を表す。
また、RおよびR00が互いに結合してアリーレン基を表す場合、好ましくは、アルキル基で置換されていてもよい炭素数6〜10の1,2−フェニレン基を表す。
【0064】
一般式(7)および一般式(8)において、MおよびMで表される亜鉛金属含有基としては、好ましくは、好ましくは、一般式(M−2)で表される基である。
−ZnZ00 (M−2)
(式中、Z00はハロゲン原子を表す)

一般式(M−2)において、Z00はハロゲン原子を表し、好ましくは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を表す。
【0065】
また、一般式(2)で表される化合物は、一般式(9)で表される化合物と一般式(10)で表される化合物を、触媒として、例えば、パラジウム触媒[例えば、ビス(トリフェニルフォスフィン)パラジウムジクロライド、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム、酢酸パラジウム、パラジウム/炭素]、および必要に応じて酸化剤(例えば、炭酸銀、酸化銀)の存在下で作用させることにより製造することができる〔例えば、J.Amer.Chem.Soc.,128、8754(2006)、J.Org.Chem.,77、2992(2012)、Chem.Rev.,107、174(2007)に記載の方法を参考にすることができる〕。
【0066】
〔式中、R、XおよびXは一般式(1)の場合と同じ意味を表す〕
【0067】
尚、一般式(2)〜一般式(5)で表される化合物と、例えば、金属あるいは金属塩を反応させて、一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物を製造すると、一般には、環化の際に複数の異性体が生成する。
本明細書においては、一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物とは、一般式(1−A)〜一般式(1−D)で表される化合物から選ばれる1種の化合物、または2種以上の異性体から成る混合物を表している[例えば、Angew.Chem.Int.Ed.Eng.,32、1422(1993)]。
このような複数の異性体から成る混合物の構造の記載に際しても、本明細書においては、便宜上、例えば、一般式(1−A)で表される一つの構造式を記載しているものである。
【0068】
〔式中、R〜R、X〜XおよびMは一般式(1)の場合と同じ意味を表す〕
【0069】
具体例として、例えば、例示化合物番号3の化合物として記載した構造の化合物は、式(3−a)〜式(3−d)で表される化合物から選ばれる1種の化合物、または2種以上の異性体から成る混合物を表すものである。
【0070】
【0071】
【0072】
本発明は、一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物を少なくとも1種含有して成るフィルタである。
尚、本発明のフィルタにおいては、一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物は、1種を単独で使用してもよく、あるいは複数併用してもよい。
勿論、一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物としては、例えば、一般式(1−A)〜一般式(1−D)で表される化合物から選ばれる1種の化合物、または2種以上の異性体から成る混合物を使用することができる。また、所望により、該混合物から各異性体を分離し、異性体の内の1種の化合物を用いることができ、さらには、任意の割合から成る複数の異性体を併用することができる。尚、一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物とは、結晶は勿論であるが、無定型(アモルファス体)をも包含するものである。
本発明のフィルタの好ましい特性を考慮し、一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物としては、好ましくは、650〜780nmに吸収極大を有する化合物であり、より好ましくは、670〜750nmに吸収極大を有する化合物である。
【0073】
本発明のフィルタとしては、例えば、太陽光、または各種ディスプレイから発せられる近赤外領域の光(近赤外線)を遮蔽する熱線遮蔽フィルタ、
例えば、カメラなどの撮像用の光学フィルタ、
例えば、プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機電界発光ディスプレイ、FED(Field Emission Display)、CRT(Cathode Ray Tube)などの各種ディスプレイ用フィルタであり、例えば、家屋の窓、車、飛行機、電車、宇宙船などの輸送機、各種撮像素子、各種ディスプレイに装着して使用される。
尚、液晶ディスプレイにおいては、例えば、透過型、反射型などの各種態様に適用可能である。
【0074】
本発明のフィルタの構成に関しては、特に限定するものではないが、一般には基体(A)、透明粘着層(B)、機能性透明層(C)および/または透明導電層(D)から成るフィルタである。
本発明のフィルタの構成は、一般には、
(1)基体(A)から成るフィルタ(図1
(2)基体(A)と透明粘着層(B)から成るフィルタ(図2
(3)基体(A)と透明粘着層(B)と基体(A)から成るフィルタ(図3
(4)機能性透明層(C)と基体(A)と機能性透明層(C)から成るフィルタ(図4
(5)透明粘着層(B)から成るフィルタ(図5
(6)基体(A)と機能性透明層(C)から成るフィルタ(図6
(7)基体(A)、透明粘着層(B)と機能性透明層(C)から成るフィルタ(図7
(8)基体(A)、透明粘着層(B)、機能性透明層(C)と透明導電層(D)から成るフィルタ(図8および図9)を挙げることができる。
【0075】
本発明のフィルタの構成としては、より好ましくは、上記(1)〜(7)の構成を有するものであり、さらに好ましくは、(1)〜(4)の構成を有するものである。
本発明のフィルタは基体、透明粘着層、機能性透明層、透明導電層を構成する少なくとも1つの層、あるいは部材に、一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物を少なくとも1種含有して成るものである。
例えば、上記(2)の構成を有するフィルタにおいては、一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物は、基体または/および透明粘着層に含有されていてもよい。
例えば、上記(3)の構成を有するフィルタにおいては、一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物は、基体または/および透明粘着層に含有されていてもよく、より好ましくは、一般式(1)で表される化合物は、透明粘着層に含有されている。
【0076】
例えば、上記(4)の構成を有するフィルタにおいては、一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物は、基体または/および機能性透明層に含有されていてもよく、より好ましくは、一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物は、基体に含有されている。

勿論、本発明のフィルタを構成する場合、所望の要求特性を考慮し、その他種々の構成とすることができる。例えば、本発明のフィルタには、所望に応じて、複数の透明粘着層を設けることができる。また、本発明のフィルタには、複数の機能性透明層を設けることもできる。これらの層にも一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物が含有されていてもよい。
【0077】
以下、基体(A)に関して説明する。
基体は、フィルタの支持体として機能し、一般に、可視光域において、透明ガラス、グリーンガラス、透明高分子フィルムが用いられる。透明高分子フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルフォン、ポリスチレン、ポリアリレート、ポリエーテル、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素化芳香族ポリマー、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂、ポリ塩化ビニルなどのビニル化合物、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ビニル化合物の付加重合体、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸エステル、ポリ塩化ビニリデンなどのビニリデン化合物、フッ化ビニリデン/トリフルオロエチレン共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重体などのビニル化合物、またはフッ素系化合物の共重合体、ポリエチレンオキシドなどのポリエーテル、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。基体の厚さに関しては制限するものではないが、一般に、厚さが、10μm〜20mmであり、好ましくは、20μm〜10mmである。
【0078】
基体は製造効率の点から、好ましくは、可撓性の透明高分子フィルムであり、さらに、例えば、ガラスなどの表面に、直接貼合された透明高分子フィルムを基体とする本発明の光学フィルタは、ガラスが破損した場合、ガラスの飛散防止ができるという利点がある。
本発明においては、基体の表面は、スパッタリング処理、コロナ処理、火炎処理、紫外線照射、電子線照射などのエッチング処理、あるいは下塗り処理が施されていてもよい。基体の少なくとも一方の主面にハードコート層が形成されていてもよい。ハードコート層となるハードコート膜としては、例えば、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂などの熱硬化型樹脂、あるいは光硬化型樹脂などが挙げられる。ハードコート層の厚さは、1〜100μm程度である。また、ハードコート層には、一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物が1種以上含有されていてもよい。
【0079】
以下、透明粘着層(B)に関して説明する。
本発明において、透明粘着層は、任意の透明な粘着材(接着剤、粘着剤)から成る層である。透明粘着層は、例えば、アクリル系接着剤、シリコン系接着剤、ウレタン系接着剤、ポリビニルブチラール接着剤(PVB)、エチレン−酢酸ビニル系接着剤(EVA)など、ポリビニルエーテル、飽和ポリエステル、メラミン樹脂などから形成される。尚、粘着材としては、シート状、または液体状のものが使用できる。
粘着材として、例えば、シート状の感圧型粘着材を使用する場合は、シート状粘着材を貼付け後、または接着剤の塗布後に、ラミネートして貼り合わせる。粘着材として、例えば、液体状の接着剤を使用する場合は、塗布、貼合わせ後に、室温または高温下で処理することにより、あるいは紫外線照射することにより硬化させて貼り合わせる。その塗布方法としては、例えば、スクリーン印刷法、バーコート法、リバースコート法、グラビアコート法、ダイコート法、ロールコート法、コンマコート法などの公知の方法を挙げることができる。透明粘着層の厚さは、特に限定されるものではないが、一般に、0.5〜500μmである。透明粘着層が形成される面、および貼合わされる面は、予め易接着コートまたはコロナ放電処理などの易接着処理されていることは好ましい。
さらに、透明粘着層を介して貼合わせた後、貼合わせ時に部材間に混入した空気を、脱泡、または粘着材に固溶させて、さらには部材間の密着力を向上させる目的で、加圧、加温条件下で処理を施すことは好ましい。
尚、透明粘着層には、可塑剤を含有することもできる。
【0080】
係る可塑剤としては、例えば、トリエチレングリコールのエステル化合物、テトラエチレングリコールのエステル化合物、トリプロピレングリコールのエステル化合物などのグリコールエステル化合物、さらには、有機リン酸化合物、有機亜リン酸化合物を挙げることができる。
透明粘着層は、一般に、基体の少なくとも一方の面に設けられ、例えば、別の基体などに貼り合わせて用いられる。
本発明のフィルタにおいては、透明粘着層は、一層でもよく、さらに複数層設けることができる。
透明粘着層の少なくとも1つの層に、一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物を含有させることができる。
【0081】
以下、機能性透明層(C)に関して説明する。
本発明のフィルタには、該フィルタに対する設置方法や要求される機能に応じて、可視光線反射防止機能、防眩機能、反射防止防眩機能、近赤外線反射機能、ハードコート機能(耐摩擦機能)、帯電防止機能、防汚機能、ガスバリア機能、紫外線カット機能のいずれか一つ以上の機能を有し、且つ、可視光線を透過する機能性透明層が設けられる。
機能性透明層は、上記の各機能を一つ以上有する機能膜そのもの、あるいは機能膜を塗布法、印刷法、あるいは従来公知の各種成膜法により形成された支持体、さらには各機能を有する支持体を使用することができる。
【0082】
支持体は、透明な支持体が好ましく、一般には、透明ガラス、グリーンガラス、透明高分子フィルムである。尚、透明高分子フィルムとしては、例えば、基体(A)で例示した透明高分子フィルムを挙げることができる。支持体の厚さに関しては特に制限するものではない。また、例えば、透明高分子フィルムから成る支持体に一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物を含有させることもできる。
【0083】
機能性透明層が機能膜そのものの場合にも、その膜中に一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物を含有させることができる。機能性透明層は、可視光線反射を抑制するための可視光線反射防止(AR:アンチリフレクション)機能、防眩(AG:アンチグレア)機能、あるいはその両機能を備えた反射防止防眩(ARAG)機能のいずれかの機能を有していることは好ましい。
可視光線反射防止機能を有する機能性透明層は、反射防止膜を形成する支持体の光学特性を考慮し、光学設計により、反射防止膜の構成部材および各構成部材の膜厚を決定することができる。可視光線反射防止機能を有する機能性透明層としては、例えば、可視光域において屈折率が1.6以下のフッ素系透明高分子樹脂、フッ化マグネシウム、シリコン系樹脂、酸化珪素などの薄膜を、例えば、1/4波長の光学膜厚で単層形成したもの、あるいは屈折率の異なる金属酸化物、フッ化物、ケイ化物、ホウ化物、炭化物、窒化物、硫化物などから成る無機化合物薄膜、あるいはシリコン系樹脂やアクリル樹脂、フッ素系樹脂などから成る有機化合物薄膜を支持体から見て、高屈折率層、低屈折率層の順に2層以上積層したものがある。
【0084】
近赤外線反射機能を有する機能性透明層は、近赤外線を反射する機能を有する。このような近赤外線反射機能を有する膜としては、アルミ蒸着膜、貴金属薄膜、酸化インジウムを主成分とし酸化錫を少量含有させた金属酸化物微粒子を分散させた樹脂膜、または高屈折率材料層と低屈折率材料層とを交互に積層した誘電体多層膜などが挙げられる。
このような近赤外線反射機能を有する機能性透明層を有すると、近赤外線をさらに効果的に遮蔽することができる。
本発明では、近赤外線反射機能を有する層は、支持体の一方の片面に設けてもよく、両面に設けてもよい。
近赤外線反射機能を有する機能性透明層は、高屈折率材料層と低屈折率材料層とを交互に積層した誘電体多層膜がより好ましい。
【0085】
高屈折率材料層を構成する材料としては、屈折率が1.7以上の材料を用いることができ、屈折率の範囲が通常1.7〜2.5である材料が選択される。このような材料としては、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、五酸化タンタル、五酸化ニオブ、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、または、酸化インジウム等を主成分とし、酸化チタン、酸化錫および/または酸化セリウムなどを少量(例えば、主成分に対し0〜10質量%)含有させたものなどが挙げられる。
【0086】
低屈折率材料層を構成する材料としては、屈折率が1.6以下の材料を用いることができ、より好ましくは、屈折率が、1.2〜1.6である材料が選択される。係る材料としては、例えば、酸化珪素、酸化アルミニウム、フッ化ランタン、フッ化マグネシウムおよび六フッ化アルミニウムナトリウムなどが挙げられる。
【0087】
これら高屈折率材料層および低屈折率材料層の各層の厚みは、通常、遮断しようとする近赤外線波長をλ(nm)とすると、0.1λ〜0.5λの厚みが好ましい。
また、誘電体多層膜における高屈折率材料層と低屈折率材料層との合計の積層数は、5〜60層、より好ましくは、6〜50層である。
【0088】
尚、無機化合物薄膜の成膜法は、例えば、スパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法、湿式塗工法などの公知の方法を適用することができる。有機化合物薄膜の成膜法は、例えば、バーコート法、リバースコート法、グラビアコート法、ダイコート法、ロールコート法、コンマコート法などの公知の方法を適用することができる。

可視光線反射防止機能を有する機能性透明層の表面の可視光線反射率は、一般に、2%以下、好ましくは、1.3%以下、より好ましくは、0.8%以下であるように調製する。
【0089】
防眩機能を有する機能性透明層は、一般に、0.1〜10μm程度の微少な凹凸の表面状態を有する可視光域に対して透明な層のことである。防眩機能を有する機能性透明層は、例えば、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂などの熱硬化型樹脂、または光硬化型樹脂に、シリカ、有機ケイ素化合物などの無機化合物粒子、あるいはメラミン、アクリルなどの有機化合物粒子を分散させてインク化したものを、例えば、バーコート法、リバースコート法、グラビアコート法、ダイコート法、ロールコート法、コンマコート法などの方法によって支持体上に塗布、硬化させて形成することができる。係る無機化合物粒子、および有機化合物粒子の平均粒径は、一般に、1〜40μmである。
また、防眩機能を有する機能性透明層は、例えば、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂などの熱硬化型樹脂、あるいは光硬化型樹脂を支持体上に塗布した後、所望のヘイズまたは表面状態を有する型を押しつけて、表面を凹凸に硬化させることにより形成することができる。防眩機能の指標となるヘイズ値は、一般に、0.5〜20%である。
【0090】
反射防止防眩機能を有する機能性透明層は、防眩機能を有する膜、あるいは防眩機能を有する支持体上に、反射防止膜を形成することにより調製することができる。反射防止防眩機能を有する機能性透明層の表面の可視光線反射率は、一般に、1.5%以下、好ましくは、1.0%以下であるように調製する。本発明のフィルタに耐擦傷性能を付加する目的で、機能性透明層がハードコート機能(耐摩擦機能)を有していることは好適である。ハードコート機能を有する機能性透明層は、ハードコート機能を有する膜、あるいは支持体上にハードコート膜を形成することによって調製することができる。ハードコート膜としては、例えば、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂などの熱硬化型樹脂、あるいは光硬化型樹脂などが挙げられる。ハードコート膜の厚さは、一般に、1〜100μm程度である。
【0091】
ハードコート膜は、反射防止機能を有する透明機能層の高屈折率層、あるいは低屈折率層に用いることもできる。また、ハードコート膜上に反射防止膜が形成されて、機能性透明層が反射防止機能とハードコート機能の両機能を兼ね備えていてもよい。同様に、機能性透明層が防眩機能とハードコート機能の両機能を備えていてもよい。防眩機能とハードコート機能の両機能を備える機能性透明層は、例えば、粒子の分散などにより凹凸を有するハードコート膜の上に、反射防止膜を形成することにより調製することができる。ハードコート機能を有する機能性透明層の表面硬度は、JISK5600に従った鉛筆硬度が、少なくともH以上、好ましくは、2H以上である。また、本発明のフィルタには、ホコリの付着防止、人体への悪影響防止などを考慮し、帯電防止機能が必要とされる場合がある。この場合、帯電防止機能を付与するために、機能性透明層が一定の導電性を有していてもよい。尚、導電性は、一般に、面抵抗で1011Ω/□程度以下であればよい。係る導電性材料としては、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)などの公知の透明導電膜、ITO超微粒子、酸化スズ超微粒子などの導電性超微粒子を分散させた導電性膜が挙げられる。また、反射防止機能、防眩機能、反射防止防眩機能、近赤外線反射機能、ハードコート機能のいずれか一つ以上の機能を有した機能性透明層を構成する層が導電性を有していることは好ましい。機能性透明膜が、例えば、環境中の物質、あるいは水分に対して、ガスバリア機能を有することは好ましいことである。
【0092】
尚、必要とされるガスバリア機能は、一般に、透湿度で10g/m・day以下である。ガスバリア機能を有する膜としては、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム、酸化イットリウム、酸化マグネシウムなど、またはこれらの混合物、またはこれらに他の元素を添加した金属酸化物薄膜、あるいはポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂などの各種樹脂から成る膜を挙げることができる。ガスバリア機能を有する膜の厚さは、金属酸化物薄膜の場合、一般に、10〜200nmであり、樹脂の場合、一般に、1〜100μmである。尚、ガスバリア機能を有する膜は、単層構造でもよく、あるいは多層構造であってもよい。また、水分に対してガスバリア機能を有する膜としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデンと塩化ビニル、塩化ビニリデンとアクリロニトリルの共重合物、フッ素系樹脂などの各種樹脂から成る膜を挙げることができる。
【0093】
また、可視光線反射防止機能、防眩機能、反射防止防眩機能、近赤外線反射機能、帯電防止機能、ハードコート機能のいずれか一つ以上の機能を有した機能性透明層を構成する層が、さらにガスバリア機能を兼ねる層とすることができる。さらに、指紋などの汚れ防止、あるいは汚れ除去が容易になるように、機能性透明層の表面に防汚機能を付与することができる。防汚機能を有するものとしては、水および/または油脂に対して非濡性を有する化合物であり、例えば、フッ素化合物やケイ素化合物などが挙げられる。また、機能性透明層に、例えば、紫外線を吸収する無機薄膜単層、あるいは無機薄膜多層から成る反射防止膜、または紫外線吸収化合物を含有する透明膜を形成することにより、機能性透明層に、さらに、紫外線カット機能を付与することができる。
【0094】
本発明のフィルタ、例えば、ディスプレイ用フィルタであるプラズマディスプレイ用フィルタが、ディスプレイ画面からの電磁波を遮蔽する特性を有する電磁波シールド体として機能することは好ましく、プラズマディスプレイ用フィルタには、機能性透明層、基体、透明粘着層の他に、さらに透明導電層(D)を備えていることが好ましい。
【0095】
以下、透明導電層(D)に関して説明する。
ディスプレイ用フィルタが、電磁波シールド体の形態の場合、基体の一方の主面上に透明導電層が形成される。本発明における透明導電層とは、単層または多層薄膜から成る透明導電層である。尚、電磁波シールド体においては、透明導電層と外部との電気的接続が必要あり、例えば、機能性透明層、透明粘着層などは、透明導電層の周縁部を残して、導通部を確保することが必要となる。単層の透明導電層としては、金属メッシュ、導電性格子状パターン膜などの導電性メッシュ、さらには金属薄膜や酸化物半導体薄膜などの透明導電性薄膜がある。多層薄膜から成る透明導電層としては、金属薄膜と高屈折率透明薄膜を積層した多層薄膜がある。金属薄膜と高屈折率透明薄膜を積層した多層薄膜は、銀などの金属の持つ導電性、およびその自由電子による近赤外線反射特性、および特定波長領域における金属による反射を高屈折率透明薄膜により防止できることから、導電性、近赤外線カット機能、可視光線透過率に関して好ましい特性を有している。電磁波シールド機能、近赤外線カット機能を有するディスプレイ用フィルタを得るためには、電磁波吸収のための高い導電性と電磁波反射のための反射界面を多く有する金属薄膜と、高屈折率透明薄膜を積層した多層薄膜から成る透明導電層は好ましい。高い可視光線透過率と低い可視光線反射率に加え、プラズマディスプレイに必要な電磁波シールド機能を有するには、透明導電層が、面抵抗が、一般に、0.01〜30Ω/□、より好ましくは、0.1〜15Ω/□、さらに好ましくは、0.1〜5Ω/□である。また、透明導電層自体に、近赤外線カット機能を持たせることもでき、近赤外線波長領域、例えば、800〜1100nmにおける光線透過率極小を、20%以下にすることができる。
【0096】
本発明において好ましい透明導電層は、基体の一方の主面上に、高屈折率透明薄膜層(Dt)、金属薄膜層(Dm)の順に、(Dt)/(Dm)を繰り返し単位として、2〜4回繰り返し積層され、さらにその上に少なくとも高屈折率透明薄膜層を積層して形成され、該透明導電層の面抵抗が、0.1〜5Ω/□である。金属薄膜層の材料として、好ましくは、銀、金、白金、パラジウム、銅、インジウム、スズ、さらには銀と金、白金、パラジウム、銅、インジウムまたはスズとの合金である。銀を含む合金中の銀の含有率は、特に限定されるものではないが、一般に、50質量%以上、100質量%未満である。尚、複数層から成る金属薄膜の場合は、少なくとも1つの層は銀を合金にしないで用いることや、基体から見て、最初の層および/または最外層にある金属薄膜層のみを銀の合金とすることができる。金属薄膜層は、導電性などの点から薄膜は不連続な島状構造ではなく、連続状態であることが必要であり、またその厚さは、4〜30nmが好ましい。複数層から成る金属薄膜の場合は、各層が全て同じ厚さである必要はなく、さらに、各層全てが銀、あるいは同じ組成の銀の合金でなくてもよい。金属薄膜層の形成方法としては、例えば、スパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法、メッキ法などの公知の方法を挙げることができる。
【0097】
高屈折率透明薄膜層を形成する透明薄膜としては、可視光領域において透明性を有し、金属薄膜層の可視光領域における光線反射を防止する機能を有するものであれば特に限定されるものではなく、一般に、可視光線に対する屈折率が、1.6以上、好ましくは、1.8以上の材料が用いられる。このような透明薄膜を形成する材料としては、例えば、インジウム、チタン、ジルコニウム、ビスマス、スズ、亜鉛、アンチモン、タンタル、セリウム、ネオジウム、ランタン、トリウム、マグネシウム、ガリウムなどの酸化物、または、これら酸化物の混合物や、硫化亜鉛などを挙げることができ、より好ましくは、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化インジウムと酸化スズの混合物(ITO)である。高屈折率透明薄膜層の厚さは、特に限定されるものではないが、一般に、5〜200nmである。高屈折率透明薄膜層の形成方法としては、例えば、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法、真空蒸着法、湿式塗工法などの公知の方法を挙げることができる。透明導電層の耐環境性などの向上を目的に、透明導電層の表面に、導電性、光学特性などの諸特性を著しく損なわない程度に、有機物あるいは無機物から成る保護層を設けることができる。また、金属薄膜層の耐環境性、金属薄膜層と高屈折率透明薄膜層との密着性などを向上させるため、金属薄膜層と高屈折率透明薄膜層の間に、導電性、光学特性などの諸特性を損なわない程度に、無機物層を設けることができる。尚、無機物層を形成する材料としては、例えば、銅、ニッケル、クロム、金、白金、亜鉛、ジルコニウム、チタン、タングステン、スズ、パラジウムなど、あるいはこれらの材料の2種類以上からなる合金が挙げられる。
【0098】
無機物層の厚さは、好ましくは、0.2〜2nm程度である。透明導電層の形成方法としては、透明導電性薄膜を用いる方法の他に、導電性メッシュを用いる方法がある。導電性メッシュの一例として、単層の金属メッシュについて説明する。単層の金属メッシュとしては、例えば、基体上に銅メッシュ層を形成したものがあり、一般には、基体上に銅箔を貼合わせた後、メッシュ状に加工して形成される。銅箔としては、圧延銅、電解銅が用いられ、好ましくは、孔径0.5〜5μmの多孔性の銅箔である。銅箔のポロシティーとしては、0.01〜20%が好ましく、より好ましくは、0.02〜5%である。尚、ポロシティーとは、体積をRとし、孔容積をPとした場合に、P/Rで定義される値である。銅箔は、各種表面処理(例えば、クロメート処理、粗面化処理、酸洗、ジンク・クロメート処理)を施されていてもよい。銅箔の厚さは、一般に、3〜30μmである。金属メッシュの光透過部分の開口率は、一般に、60〜95%である。開口部の形状は、特に限定されるものではないが、正三角形、正四角形、正六角形、円形、長方形、菱形などに形がそろっており、面内に並んでいることが好ましい。光透過部分の開口部の大きさは、一般に、1辺あるいは直径が、5〜200μmであることが好ましい。また、開口部を形成しない部分の金属の幅は、5〜50μmが好ましい。光透過部分を有する金属層の実質的な面抵抗は、好ましくは、0.01〜0.5Ω/□である。尚、透明導電層と表示装置のアース部(グランド導体)とを電気的に接続させるため、導電性粘着層を設ける。
【0099】
導電性粘着層に用いる導電性接着剤、導電性粘着材としては、例えば、アクリル系接着剤、シリコン系接着剤、ウレタン系接着剤、ポリビニルブチラール接着剤(PVB)、エチレン−酢酸ビニル系接着剤(EVA)、ポリビニルエーテル、飽和ポリエステル、メラミン樹脂などのベース材料に、導電性粒子として、例えば、カーボン、Cu、Ni、Ag、Feなどの金属粒子を分散させたものがある。尚、導電性接着剤、導電性粘着材の体積固有抵抗は、一般に、1×10−4〜1×10Ω・cmである。導電性接着剤、導電性粘着材としては、シート状、液体状のものがある。導電性粘着材としては、シート状の感圧型粘着材が好適に使用できる。シート状粘着材を貼付けた後、または接着剤の塗布後にラミネートして貼合わせる。液体状の導電性接着剤は、塗布、貼合わせ後に、室温または高温下で処理することにより、あるいは紫外線照射することにより硬化させることができる。液体状の導電性接着剤の塗布方法としては、例えば、スクリーン印刷法、バーコート法、リバースコート法、グラビアコート法、ダイコート法、ロールコート法、コンマコート法などが挙げられる。尚、導電性粘着層の厚さは、体積固有抵抗と必要な導電性を考慮して設定され、一般には、0.5〜50μm、好ましくは、1〜30μmである。また、両面に導電性を有する両面接着タイプの導電性テープも使用できる。
【0100】
本発明のフィルタには、一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物を少なくとも1種含有してなるものである。尚、本明細書において、含有とは、各種部材または膜などから成る各層、あるいは透明粘着材の内部に含有されることは勿論、部材または各層の表面に、塗布された状態を包含するものである。
一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物を、本発明のフィルタに含有させる方法としては、例えば、以下の(ア)〜(エ)の方法がある。
(ア)透明粘着材に添加して、透明粘着層に含有させる方法、
(イ)高分子樹脂に混練して含有させる方法、
(ウ)高分子樹脂または樹脂モノマーを含む有機溶媒に、一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物を、分散または溶解させ、各種部材、各層上に、例えば、キャスティングする方法、
(エ)バインダー樹脂を含む有機溶媒に、一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物を加え、塗料として各種部材、各層上にコーティングする方法、がある。
【0101】
一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物は、耐熱性に優れており、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリブチラールを使用して、200〜350℃で、射出成形、押出成形のような方法でも成形することができる。
【0102】
本発明のフィルタに含有される一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物の量に関しては、特に制限するものではなく、フィルタの使用する目的に応じて、所望の量を使用することができる。
例えば、上記(ア)の方法においては、一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物の含有量は、特に限定するものではないが、一般に、透明粘着材に対して、10ppm〜30質量%、好ましくは、10ppm〜20質量%である。また、(イ)および(ウ)の方法においては、一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物の含有量は、特に限定するものではないが、一般に、高分子樹脂または樹脂モノマーに対して、10ppm〜30質量%、好ましくは、10ppm〜20質量%である。また、(エ)の方法においては、一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物の含有量は、特に限定するものではないが、一般に、バインダー樹脂に対して、10ppm〜30質量%、好ましくは、10ppm〜20質量%である。また、バインダー樹脂濃度は、塗料全体に対して、一般に、1〜50質量%である。
また、本発明のフィルタの形状に関しては特に制限するものではなく、例えば、平板状やフィルム状、波板状、球面状、ドーム状など様々な形状のものを包含するものである。
【0103】
本発明のフィルタには、一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物以外に、本発明の所望の効果を損なわない範囲で、光吸収化合物を1種以上併用することができる。
係る光吸収化合物としては、特に限定するものではないが、例えば、可視領域、または近赤外領域に所望の吸収を有する化合物を挙げることができ、
例えば、公知のアントラキノン化合物、メチン化合物、アゾメチン化合物、オキサジン化合物、アゾ化合物、スチリル化合物、クマリン化合物、ポルフィリン化合物、テトラアザポルフィリン化合物、ジベンゾフラノン化合物、ジケトピロロピロール化合物、ローダミン化合物、キサンテン化合物、ピロメテン化合物などの可視領域に吸収を有する化合物、
例えば、公知のフタロシアニン化合物(例えば、金属フタロシアニン錯体)、ナフタロシアニン化合物(例えば、金属ナフタロシアニン錯体)、シアニン化合物、アントラキノン化合物、ジチオール化合物(例えば、ニッケルジチオール錯体)、ジイモニウム化合物、さらに、例えば、酸化タングステン系化合物(例えば、セシウム酸化タングステン)などの金属酸化物などの一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物以外の近赤外領域に吸収を有する化合物を挙げることができる。
【0104】
これら光吸収化合物の使用量は、該化合物の吸収波長、吸光係数、さらには、所望の光学特性(例えば、色、透過特性、視野、コントラスト)を考慮し任意に設定することができる。
例えば、他の近赤外領域に吸収を有する化合物の使用量は、特に制限するものではないが、一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物に対して、好ましくは、80質量%以下であり、より好ましくは、60質量%以下であり、さらに好ましくは、40質量%以下である。
【0105】
また、本発明のフィルタは、所望に応じて、さらに紫外線吸収剤、酸化防止剤を含んでもよい。
係る紫外線吸収剤としては、特に限定するものではなく、例えば、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、シアノアクリレート系の紫外線吸収剤を挙げることができる。
酸化防止剤としては、特に限定するものではなく、例えば、フェノール系の酸化防止剤を挙げることができる。
【0106】
本発明のフィルタは、一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物を少なくとも1種含有することによって、近赤外領域の光を遮蔽し、且つ可視領域での優れた透過特性を有することから、熱線遮蔽(近赤外線遮蔽)フィルタとして機能する。
係る熱線遮蔽フィルタは、例えば、建物の窓、車、飛行機、電車などの輸送機の窓(外気側、または内気側)に装着して使用することができる。
本発明のフィルタは、一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物を少なくとも1種含有することによって、撮像装置用の光学フィルタ、ディスプレイ用の光学フィルタとして機能する。
係る光学フィルタは、例えば、カメラモジュール、各種センサー、各種ディスプレイ(液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ)に装着して使用することができる。
また、本発明の光学用フィルタは、例えば、ディスプレイ画面からの電磁波を遮断する特性を有する電磁波シールド体として機能する。
【実施例】
【0107】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下、分光特性は、日立ハイテクノロジー社製の分光光度計(U−4100)を用いて、以下のように測定、評価した。
【0108】
<入射角依存性の評価>
波長560〜800nmの範囲において、フィルタの垂直方向から測定した透過率が50%となる波長(Xa)、とフィルタの垂直方向に対して、30°の角度から測定した透過率が50%となる波長(Xb)を測定し、XaとXbとの差の絶対値|Xa−Xb|を求めた。
|Xa−Xb|の値が小さい程、吸収波長の入射角依存性が小さく、視野角の広いフィルタであることを示すものである。
尚、実用的には、|Xa−Xb|の値は20nm以下が好ましい。
【0109】
<吸収の急峻さの評価>
吸収極大波長(L)における吸収極大の吸光度を1.0に規格化した場合、吸光度が0.3となる波長(M)の差|L−M|を求めた。
|L−M|の値が小さい程、吸収スペクトルは急峻であることを示すものである。尚、実用的には、|L−M|の値は40nm以下が好ましく、30nm以下がより好ましい。
【0110】
(実施例1)
環状オレフィン系樹脂(ゼオノア1020R、日本ゼオン株式会社製)100g、例示化合物番号3の化合物0.1g、およびシクロヘキサンとキシレンの3:7(質量比)混合溶液を加えて、樹脂濃度が20質量%の溶液を得た。
次いで、得られた溶液を平滑なガラス板上にキャストし、60℃で8時間、80℃で8時間乾燥した後、ガラス板から剥離した。剥離した塗膜をさらに減圧下、100℃で24時間乾燥して、厚さ0.1mm、縦60mm、横60mmの基体を作製した。
この基体の分光透過率を測定し、吸収極大波長、可視光波長領域における透過率、および|L−M|を求めた。結果を第1表に示す。
続いて、得られた基体の片面に、蒸着温度100℃で、近赤外線を反射する誘電体多層膜〔シリカ層(SiO2:膜厚83〜199nm)とチタニア層(TiO2:膜厚101〜125nm)とが交互に20層積層されてなるもの〕を形成し、さらに基体のもう一方の面に、蒸着温度100℃で近赤外線を反射する誘電体多層膜〔シリカ層(SiO2:膜厚77〜189nm)とチタニア層(TiO2:膜厚84〜118nm)とが交互に26層積層されてなるもの〕を形成し、厚さ0.105mmのフィルタを作製した。
このフィルタの分光透過率を測定し、赤外波長領域における光学特性および|Xa−Xb|を求めた。波長430〜580nmにおける透過率の平均値は90%、波長800〜1000nmにおける透過率の平均値は1%以下であった。結果を第1表に示した。
【0111】
(実施例2)
環状オレフィン系樹脂(APEL6015T、三井化学株式会社製)100g、例示化合物番号5の化合物0.1g、およびシクロヘキサンと塩化メチレンの7:3(質量比)混合溶液を加えることで、樹脂濃度が20質量%の溶液を得た。次いで、得られた溶液を平滑なガラス板上にキャストし、40℃で4時間、60℃で4時間乾燥した後、ガラス板から剥離した。剥離した塗膜をさらに減圧下100℃で8時間乾燥して、厚さ0.1mm、縦60mm、横60mmの基体を作製した。
この基体を用いて、実施例1と同様にして、誘電体多層膜を有する厚さ0.105mmのフィルタを作製し評価した。結果を第1表に示した。
【0112】
(実施例3〜7)
実施例2において、例示化合物番号5の化合物を使用する代わりに、例示化合物番号11の化合物(実施例3)、例示化合物番号20の化合物(実施例4)、例示化合物番号35の化合物(実施例5)、例示化合物番号50の化合物(実施例6)、例示化合物番号62の化合物(実施例7)を使用した以外は、実施例2に記載の方法により基体を作製し、さらに、誘電体多層膜を有するフィルタを作製し評価した。結果を第1表に示した。
【0113】
(実施例8)
ポリカーボネート樹脂(ピュアエース、帝人株式会社製)100g、例示化合物番号30の化合物0.05g、例示化合物番号31の化合物0.05g、および塩化メチレンを加えて、樹脂濃度が20質量%の溶液を得た。
次いで、得られた溶液を平滑なガラス板上にキャストし、20℃で8時間乾燥した後、ガラス板から剥離した。
剥離した塗膜をさらに減圧下、100℃で6時間乾燥して、厚さ0.1mm、縦60mm、横60mmの基体を作製した。
この基体を用いて、実施例1と同様にして、誘電体多層膜を有する厚さ0.105mmのフィルタを作製し評価した。結果を第1表に示した。
【0114】
(実施例9〜11)
実施例8において、例示化合物番号30の化合物および例示化合物番号31の化合物を使用する代わりに、例示化合物番号17の化合物0.06gおよび式(a)で表されるナフタロシアニン化合物0.04g(実施例9)、例示化合物番号43の化合物0.07gおよび式(b)で表されるシアニン化合物0.03g(実施例10)、例示化合物番号54の化合物0.05gおよび式(c)で表されるジイモニウム化合物0.05(実施例11)を使用した以外は、実施例8に記載の方法により、誘電体多層膜を有する厚さ0.105mmのフィルタを作製し評価した。結果を第1表に示した。
【0115】

【0116】
(実施例12)
ポリエーテルスルフォン(スミライトFS−1300、住友ベークライト株式会社製)100g、例示化合物番号6の化合物0.05g、例示化合物番号34の化合物0.05g、およびN−メチル−2−ピロリドンを加えて、樹脂濃度が20質量%の溶液を得た。次いで、得られた溶液を平滑なガラス板上にキャストし、60℃で4時間、80℃で4時間乾燥した後、ガラス板から剥離した。剥離した塗膜をさらに減圧下120℃で8時間乾燥して、厚さ0.1mm、縦60mm、横60mmの基体を作製した。
この基体を用いて、実施例1と同様にして、厚さ0.105mmのフィルタを作製し評価した。
結果を第1表に示す。
【0117】
(比較例1)
実施例1において、例示化合物番号3の化合物を使用しなかった以外は、実施例1に記載の方法により基体を作製した。さらにこの基体を用いて、実施例1と同様にして、誘電体多層膜を有する厚さ0.105mmのフィルタを作製し評価した。結果を第1表に示した。
【0118】
(比較例2)
実施例1において、例示化合物番号3の化合物を使用する代わりに、式(d)で表されるフタロシアニン化合物を使用した以外は、実施例1に記載の方法により、基体を作製した。
さらにこの基体を用いて、実施例1と同様にして、誘電体多層膜を有する厚さ0.105mmのフィルタを作製し評価した。結果を第1表に示した。
【0119】
【0120】
(実施例13)
溶融したポリカーボネート樹脂(帝人化成株式会社製、パンライト1285、商品名)100kgに例示化合物番号2の化合物を12g添加し、250〜300℃で、射出成形機を用い、外径75mm、中心厚2mmのレンズに成形した。
このレンズの中心部における700nmの光線透過率値は9.0%、可視光透過率は89%であった。また、このレンズを着用してレーザーカッターを使用したところ、目に刺激や疲労感を感じず、かつ視野内の物体確認に何らの支障もなかった。
【0121】
(実施例14)
・透明粘着層の作製
トリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート40g、紫外線吸収剤として[2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール]1g、酸化防止剤として(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール)1gと、例示化合物番号65の化合物0.004gを混合し、さらに、分散剤としてリン酸エステル化合物0.001gを添加した後、水平型のマイクロビーズミルにて混合し、分散液を得た。この分散液とポリビニルブチラール樹脂100gを、ミキシングロールで充分に混練し、透明粘着組成物を得た。
この透明粘着組成物を、クリアランス板(760μm)を介して、2枚のフッ素樹脂シートの間に挟み込み、150℃で30分間プレス成形し、厚み760μmの透明粘着層を作製し、縦30cm×横30cmの大きさに切断、加工した。
【0122】
・フィルタ(合わせガラス)の作製
次いで、2枚のグリーンガラス〔JIS R3208(1998)に準拠、縦30cm×横30cm×厚み2mm〕の間に、得られた透明粘着層を挟み込み、真空ラミネーターにて90℃で30分間保持し、真空プレスし、積層体を得た。積層体において、ガラス板からはみ出た中間膜部分を切り落とし、合わせガラスを作製した。
・フィルタの評価
この合わせガラスを、部屋(縦2m×横2m×高さ2m)の窓ガラスの外気側に、全面貼り合わせ、真夏の午後12時から3時までの間の部屋の温度を測定したところ、最高温度は31℃であった。
尚、このフィルタを、7月〜9月の3カ月間、同様の環境下で使用したが、熱線遮蔽効果に変化はなく、優れた耐候性を有していることが判明した。
【0123】
(比較例3)
実施例14において、例示化合物番号65の化合物を使用しなかった以外は、実施例14に記載の方法により、合わせガラスを作製し、この合わせガラスを、部屋(縦2m×横2m×高さ2m)の窓ガラス全面に貼り合わせ、真夏の午後12時から3時までの間の部屋の温度を測定したところ、最高温度は37℃であった。
【0124】
(実施例15)
2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)(厚さ:188μm)を基体とし、その一方の面に、PETフィルムから順に、ITO薄膜(膜厚:40nm)、銀薄膜(膜厚:11nm)、ITO薄膜(膜厚:95nm)、銀薄膜(膜厚:14nm)、ITO薄膜(膜厚:90nm)、銀薄膜(膜厚:12nm)、ITO薄膜(膜厚:40nm)の計7層の透明導電層を形成し、面抵抗2.2Ω/□の透明導電層を有する透明積層体を作製した。
酢酸エチル/トルエン(50:50質量%)溶媒に、例示化合物番号63の化合物、および式(g)で表されるテトラアザポルフィリン化合物を溶解させて希釈液とした。

アクリル系粘着剤(80質量%)と、この希釈液(20質量%)を混合し、コンマコーターにより透明積層体の基体側の面に、乾燥膜厚25μmに塗工し、乾燥させて、粘着面に離型フィルムをラミネートして、離型フィルムと透明積層体の基体に挟み込まれた透明粘着層を形成した。
尚、粘着材の屈折率は1.51、消光係数は0であった。
尚、例示化合物番号63の化合物および式(g)で表されるテトラアザポルフィリン化合物は、乾燥した粘着材の中で、それぞれ1150(質量)ppm、1050(質量)ppm含有するように調製した。
【0125】
一方、トリアセチルセルロースフィルム(厚さ:80μm)の一方の主面に、多官能メタクリレート樹脂に光重合開始剤を加え、さらにITO微粒子(平均粒径:10nm)を分散させたコート液をグラビアコーターにて塗工し、紫外線硬化させて、導電性ハードコート膜(膜厚:3μm)を形成した。
その上に含フッ素有機化合物溶液をマイクログラビアコーターにて塗工し、90℃で乾燥、熱硬化させて、屈折率1.4の反射防止膜(膜厚:100nm)を形成し、ハードコート機能(鉛筆硬度:2H)、ガスバリア機能(透湿度:1.8g/m2・day)、反射防止機能(表面の可視光線反射率:1.0%)、帯電防止機能(面抵抗:7×109 Ω/□)、防汚機能を有する機能性透明層として、反射防止フィルムを作製した。
反射防止フィルムの他方の主面に、アクリル系粘着剤と希釈液〔酢酸エチル/トルエン(50:50質量%)〕を塗工・乾燥させ、厚さ25μmの透明粘着層を形成し、さらに離型フィルムをラミネートした。
ロール状の透明積層体/粘着材/離型フィルムを、970mm×570mmの大きさに裁断し、ガラス製支持板に透明導電層面を上にして固定した。
さらに、ラミネーターを用いて、透明導電層の周縁部20mmが剥き出しになるように導通部を残して、内側だけに反射防止フィルムをラミネートした。
【0126】
さらに、透明導電層の剥き出しの導通部を覆うように周縁部の幅22mmの範囲に、銀ペーストをスクリーン印刷し、乾燥させて、厚さ15μmの電極を形成した。
ガラス製支持板から外して、透明粘着層面に離型フィルムを有する電磁波シールド機能を有するディスプレイ用フィルタを作製した。
さらに、ディスプレイ用フィルタの離型フィルムを剥離して、プラズマディスプレイパネル前面(表示部920mm×520mm)に枚葉式ラミネーターを用いて貼合わせた後、60℃、2×105 Paの条件下でオートクレーブ処理した。
ディスプレイ用フィルタの電極部とプラズマディスプレイパネルのアース部を、導電性銅箔粘着テープを用いて接続し、ディスプレイ用フィルタを装着した表示装置を得た。
【0127】
このディスプレイ用フィルタを装着したプラズマディスプレイは、波長610nmの透過率に対する595nmの透過率は37%であった。
また、ディスプレイ用フィルタを装着したプラズマディスプレイは、周囲照度100lxの条件下における明所コントラスト比が、ディスプレイ用フィルタを形成される前が20であったのに対して、44に向上した。
また、赤外線リモートコントローラーを使用する電子機器として、家庭用VTRを、プラズマディスプレイに0.5mに近付けても、VTRは誤動作しなかった。尚、ディスプレイ用フィルタを装着しない場合は、VTRをプラズマディスプレイから5m遠ざけても、VTRは誤動作した。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本発明のフィルタは、特定構造のフタロシアニン化合物を少なくとも1種含有してなる光学特性および耐候性に優れたフィルタであり、このような優れたフィルタ特性を活かし、例えば、熱線遮蔽フィルタ、撮像用の光学フィルタ、各種ディスプレイ用フィルタなどの用途に使用することができる。
【符号の説明】
【0129】
11:基体(A)

21:基体(A)
22:透明粘着層(B)

31:基体(A)
32:透明粘着層(B)
【0130】
41:基体(A)
43:機能性透明層(C)

52:透明粘着層(B)

61:基体(A)
63:機能性透明層(C)
【0131】
71:基体(A)
72:透明粘着層(B)
73:機能性透明層(C)
【0132】
81:基体(A)
82:透明粘着層(B)
83:機能性透明層(C)
84:透明導電層(D)
【0133】
91:基体(A)
92:透明粘着層(B)
93:機能性透明層(C)
94:透明導電層(D)

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9