(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6486790
(24)【登録日】2019年3月1日
(45)【発行日】2019年3月20日
(54)【発明の名称】クリップ及びクリップによる結合構造
(51)【国際特許分類】
F16B 5/06 20060101AFI20190311BHJP
F16B 21/06 20060101ALI20190311BHJP
B62D 25/18 20060101ALI20190311BHJP
B60R 13/04 20060101ALI20190311BHJP
【FI】
F16B5/06 B
F16B21/06 A
B62D25/18 G
B60R13/04 Z
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-149469(P2015-149469)
(22)【出願日】2015年7月29日
(65)【公開番号】特開2017-31990(P2017-31990A)
(43)【公開日】2017年2月9日
【審査請求日】2017年10月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 浩二
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 稔
(72)【発明者】
【氏名】古賀 徹
【審査官】
熊谷 健治
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2012/0321379(US,A1)
【文献】
実開平05−054809(JP,U)
【文献】
国際公開第2010/146023(WO,A1)
【文献】
特開2004−218685(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 5/00− 5/12
F16B 21/00−21/20
B60R 13/04
B62D 25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに結合されるべき第1の部分と第2の部分とを有するクリップであって、
前記第1の部分が、板状の第1ベースと、前記第1ベースに立設され、顎部が形成された第1係止片とを有し、
前記第2の部分が、板状の第2ベースと、前記第2ベースに立設されて、前記顎部に弾発的に係合するべきオーバーハング部を有する第2係止片とを有し、
前記第1係止片が前記第2ベースに向かって延出し、前記第2係止片が前記第1ベースに向かって延出し、
前記第1ベースの前記第1係止片及び前記第2ベースの前記第2係止片の少なくともいずれか一方の基部近傍の該ベースの部分に受容孔が設けられ、係合時には、前記両係止片のいずれか他方の係止片の少なくとも一部の先端が前記受容孔に受容され、
前記受容孔は溝状をなし、係合状態において前記第1の部分を前記第2の部分に対して前記受容孔の長手方向にスライド移動させることにより、前記顎部と前記オーバーハング部との互いの係合を解除できるように構成されたことを特徴とするクリップ。
【請求項2】
前記第1係止片は、前記顎部を1対形成するべく互いに反対方向に突出した1対の突出部を有し、
前記第2係止片は、対応する前記顎部にそれぞれ係合する1対の係止片からなることを特徴とする請求項1に記載のクリップ。
【請求項3】
前記第1係止片は、各々が前記顎部を形成するべく互いに向かって突出した突出部を有する1対の係止片からなり、
前記第2係止片は、対応する前記第1係止片の前記顎部にそれぞれ係合する1対の係止片からなることを特徴とする請求項1に記載のクリップ。
【請求項4】
前記第1係止片は、前記顎部を1対形成するべく互いに相反する面に設けられた1対の係止溝を有し、
前記第2係止片は、対応する前記顎部にそれぞれ係合する1対の係止片からなることを特徴とする請求項1に記載のクリップ。
【請求項5】
前記受容孔は、前記第2係止片の前記1対の係止片の互いの対向方向に直交する方向に延在する溝形状をなすことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のクリップ。
【請求項6】
前記第1係止片及び前記第2係止片の基部は、平板状をなし、係合時には互いに平行な方向に延在し、
前記受容孔は、受容される前記第1係止片又は前記第2係止片の延在長さよりも長い延在方向の長さを有することを特徴とする請求項5に記載のクリップ。
【請求項7】
前記第2係止片の前記1対の係止片の前記オーバーハング部の各々は、前記第2係止片の基部に対して薄肉であり、先端に向かうに従って前記第2ベース側に延びかつ互いに近接するように傾斜する板状を呈することを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載のクリップ。
【請求項8】
前記第2係止片の前記1対の係止片の互いに相反する側に凹部が設けられ、
前記第1の部分は、前記第1ベースに立設されて、前記第1係止片を挟んで互いに対向し、係合時に所定値以上の力が加わるまで前記第1の部分の前記第2の部分に対する前記スライド移動を規制するべく前記凹部に係止される1対のストッパ片を有することを特徴とする請求項2〜7のいずれかに記載のクリップ。
【請求項9】
前記受容孔における長手方向の両端部を画定する両壁面は、前記第1ベース及び/又は前記第2ベースの裏面側間の孔の長さが表面側間の孔の長さよりも短くなるように傾斜していることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のクリップ。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載のクリップと、
前記第1の部分及び前記第2の部分のいずれか一方が固定される自動車車体のフェンダーと、
前記第1の部分及び前記第2の部分のいずれか他方が固定されるガーニッシュとを備えることを特徴とするクリップによる結合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの部材を結合するためのクリップ及びクリップによる結合構造に関し、特に、薄型のクリップ及びクリップによる結合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
2つの部材を互いに取り付ける手段として、クリップが使用される場合がある。例えば、特許文献1では、一方の部材に貫通孔を設け、他方の部材にフック状のクリップを設けた構造が記載されている。この構造では、貫通孔にクリップを係合させることにより両部材が互いに固定される。また、貫通孔の一端側が幅広になっているため、両部材を互いにスライドさせることにより固定が解除される。
【0003】
また、特許文献2では、T形スタッドが一方の部材に両面テープで固定され、かつクリップがT形スタッド及び他方の部材に係合することによって、両部材を互いに固定する構造が記載されている。この構造では、クリップをスライドさせることによって両部材の固定を解除することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−118271号公報
【特許文献2】実公平6−40033号公報
【0005】
特許文献1に記載のクリップは、互いに固定されるべき部材の一方に貫通孔を設ける必要があり、防水性等の観点から、部材に貫通孔を設けることができない場合には利用することができないという問題がある。一方、特許文献2に記載のクリップでは、T形スタッドを溶接により一方の部材に固定するため、部材に貫通孔を設ける必要はない。しかしながら、互いに固定されるべき部材間にクリップの厚さの分だけのスペースが両部材間に必要となり、特許文献1に記載のクリップを使用する場合に比べて両部材間に大きなスペースを設ける必要があるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記問題を鑑み、本発明は、固定されるべき部材に貫通孔を設けることなく、固定されるべき両部材間のスペースを小さくできる薄いクリップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、互いに結合されるべき第1の部分(8,54)と第2の部分(10,56)とを有するクリップ(2,52)であって、前記第1の部分が、板状の第1ベース(12,58)と、前記第1ベースに立設され、顎部(28,73)が形成された第1係止片(14,60)とを有し、前記第2の部分が、板状の第2ベース(34,74)と、前記第2ベースに立設されて、前記顎部に弾発的に係合するべきオーバーハング部(42,80)を有する第2係止片(36,76)とを有し、
前記第1係止片が前記第2ベースに向かって延出し、前記第2係止片が前記第1ベースに向かって延出し、前記第1ベースの前記第1係止片及び前記第2ベースの前記第2係止片の少なくともいずれか一方の基部(30,40,70)近傍の該ベースの部分に受容孔(22,38,66)が設けられ、係合時には、前記両係止片のいずれか他方の係止片
の少なくとも一部の先端が前記受容孔
に受容され
、前記受容孔は溝状をなし、係合状態において前記第1の部分を前記第2の部分に対して前記受容孔の長手方向にスライド移動させることにより、前記顎部と前記オーバーハング部との互いの係合を解除できるように構成されたことを特徴とする。ここで「他方の係止片
の少なくとも一部の先端が前記受容孔
に受容される」とは、他方の係止片が1つの係止片からなり、その
先端が受容孔に受容されること、及び他方の係止片が複数の係止片からなり、その全部又は一部の係止片の
先端が受容孔に受容されることを含む。また、「受容孔」は、無底孔及び有底孔を含む。
【0008】
この構成によれば、係合及び離脱に必要な構成は、クリップ自体に形成されるため、クリップを介して固定されるべき部材自体に貫通孔等の係合及び離脱に係る構造を設ける必要がない。また、少なくとも1つ係止片の一部分が、その係止片が設けられていない方の部品(第1の部分又は第2の部分)に設けられた受容孔に受容されるため、係合時のクリップ厚さが薄くなり、結合されるべき両部材間のスペースを小さくすることができる。
【0009】
本発明の他の側面は、上記構成において、クリップ(2)であって、前記第1係止片(14)は、前記顎部(28)を1対形成するべく互いに反対方向に突出した1対の突出部(26)を有し、前記第2係止片(36)は、対応する前記顎部にそれぞれ係合する1対の係止片からなることを特徴とする。また、本発明の他の側面は、クリップ(52)であって、前記第1係止片(60)は、各々が前記顎部(73)を形成するべく互いに向かって突出した突出部(72)を有する1対の係止片(60a,60b)からなり、前記第2係止片(76)は、対応する前記第1係止片の前記顎部にそれぞれ係合する1対の係止片からなることを特徴とする。また、本発明の他の側面は、前記第1係止片は、前記顎部を1対形成するべく互いに相反する面に設けられた1対の係止溝を有し、前記第2係止片は、対応する前記顎部にそれぞれ係合する1対の係止片からなることを特徴とする。
【0010】
これらの構成によれば、第1の部分と第2部分とが、少なくとも2箇所で互いに係合するため、係合状態で安定することができる。
【0011】
本発明の他の側面は、上記構成において、前記受容孔は、前記第2係止片の前記1対の係止片の互いの対向方向に直交する方向に延在する溝形状をなすことを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、第1の部分と第2の部分とを互いに係合させる前の位置合わせの許容範囲が広がる。
【0013】
本発明の他の側面は、上記の受容孔が溝形状をなす構成において、前記第1係止片及び前記第2係止片の基部は、平板状をなし、係合時には互いに平行な方向に延在し、前記受容孔は、受容される前記第1係止片又は前記第2係止片の延在長さよりも長い延在方向の長さを有することが好ましい。
【0014】
この構成によれば、クリップの係合状態から、第1の部分と第2の部分とを相対的にスライド移動させて係合を解除することが容易になる。
【0015】
本発明の他の側面は、上記構成において、前記第2係止片の前記1対の係止片の前記オーバーハング部の各々は、前記第2係止片の基部に対して薄肉であり、先端に向かうに従って前記第2ベース側に延びかつ互いに近接するように傾斜する板状を呈することを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、オーバーハング部が撓みやすい板状を呈するため、第1の部分と第2の部分とを互いに押し付けることによって、第1係止片の先端がオーバーハング部の表面を摺動するとともにオーバーハング部が撓み、第1係止片の突出部が2つのオーバーハング部間を通過し、突出部の通過後、突出部の顎部とオーバーハング部とが互いに係止される。すなわち、オーバーハング部が撓みやすい板状を呈するため、大きな力を加えずとも、第1の部分と第2の部分とを互いに押し付けてクリップを係合状態にすることができる。
【0017】
本発明の他の側面は、上記構成において、前記第2係止片の前記1対の係止片の互いに相反する側に凹部(44)が設けられ、前記第1の部分は、前記第1ベースに立設されて、前記第1係止片を挟んで互いに対向し、係合時に
所定値以上の力が加わるまで前記第1の部分の前記第2の部分に対する前記スライド移動を規制するべく前記凹部に係止される1対のストッパ片(16)を有することを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、第1の部分と第2の部分との相対的なスライド移動を規制することができ、係合状態を安定させることができる。
【0019】
また、本発明のある側面は、上記構成において、前記受容孔は溝状をなし、係合状態において前記第1の部分を前記第2の部分に対して前記受容孔の長手方向にスライド移動させることにより、前記顎部と前記オーバーハング部との互いの係合を解除できるように構成されることを特徴とする。
この構成によれば、第1の部分を第2の部分に対して受容孔の長手方向にスライド移動させることにより、受容孔の端部の傾斜した壁面を係止片の先端が摺動するため、第1の部分と第2の部分とが互いに離間する。
また、本発明のある側面は、上記構成のクリップと、前記第1の部分及び前記第2の部分のいずれか一方が固定される自動車車体のフェンダー(6)と、前記第1の部分及び前記第2の部分のいずれか他方が固定されるガーニッシュ(4)とを備えることを特徴とするクリップによる結合構造である。
【0020】
この構成によれば、フェンダー及びガーニッシュに貫通孔を設けずとも、クリップを介して両者を結合することができ、フェンダー及びガーニッシュの結合部分間のスペースを小さくすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、固定されるべき部材に貫通孔を設けることなく、固定されるべき両部材間のスペースを小さくできる薄いクリップを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】クリップによって互いに固定されるフロントフェンダー及びサイドシルガーニッシュを示す斜視図
【
図2】クリップが取り付けられるサイドシルガーニッシュを示す斜視図
【
図3】第1実施形態に係るクリップの第1の部分を示す斜視図
【
図4】第1実施形態に係るクリップの第2の部分を示す斜視図
【
図5】第1実施形態に係るクリップの係合状態を示す平面図
【
図6】第1実施形態に係るクリップの(a)係合状態、及び(b)離間状態を示す断面図
【
図7】第2実施形態に係るクリップの第1の部分を示す斜視図
【
図8】第2実施形態に係るクリップの第2の部分を示す斜視図
【
図9】第2実施形態に係るクリップの係合状態を示す平面図
【
図10】第2実施形態に係るクリップの(a)係合状態、及び(b)離間状態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態に係るクリップ2について説明する。
図1及び
図2は、クリップ2を介して互いに結合される自動車のサイドシルガーニッシュ4とフロントフェンダー6とを示す。
【0024】
図3〜
図5は、クリップ2の形状を示し、
図6は、クリップ2の係合構造を示す。クリップ2は、サイドシルガーニッシュ4に固定される第1の部分8と、フロントフェンダー6に固定される第2の部分10とを備える。クリップ2は、樹脂を素材とする成形品である。
【0025】
第1の部分8は、平板状の第1ベース12と、第1ベース12の表面に立設された第1係止片14と、第1係止片14を挟むように第1ベース12の表面に立設された1対のストッパ片16と、第1係止片14及び1対のストッパ片16囲むように第1ベース12の表面に立設された傾斜壁18と、第1ベース12の表面の縁に立設されたリム20とを有する。
【0026】
第1ベース12は、平面視で概ね四角形の1隅が切り欠かれた輪郭を有する平板からなる。第1ベース12の裏面は、滑らかな平面であって、両面テープ21によってサイドシルガーニッシュ4に固定される。第1係止片14と一方のストッパ片16との間、及び第1係止片14と他方のストッパ片16との間には、それぞれ、無底の孔からなる第1受容孔22が形成されている。2つの第1受容孔22は、1対のストッパ片16の対向方向に直交する方向に延在する溝状を呈する。延在方向、すなわち長手方向の両端部を画定する第1受容孔22の両壁面は、第1ベース12の裏面側間の孔の長さが表面側間の孔の長さよりも短くなるように傾斜している。第1ベース12とサイドシルガーニッシュ4とを固定する両面テープ21には、第1受容孔22に対応する位置に、第1受容孔22の裏面側の外輪郭に一致する貫通孔が設けられていることが好ましい。なお、第1ベース12の輪郭は適宜変更してもよい。第1ベース12とサイドシルガーニッシュ4との固定手段は、両面テープ21に代えて、サイドシルガーニッシュ4の裏面に形成される2組の内向きの顎形状の一対の突起の内側に第1ベースを係止後、突起を熱カシメ留めする等の他の固定手段としても良い。第1受容孔22は、有底孔としてもよい。
【0027】
第1係止片14は、第1ベース12の表面に立設された基部24と、基部24の先端から互いに反対方向に突出する1対の突出部26とを有する。第1係止片14は、2つの第1受容孔22の間に形成されるが、その基部24は、第1受容孔22の延在方向と平行に延在する平板状の壁をなし、その両表面は、第1受容孔22を画成する側面と連続した平面を構成する。第1係止片14と第1受容孔22との延在方向における配置を比較すると、第1係止片14の両端部は、第1受容孔22の両端部よりも内側に位置する。1対の突出部26は、それぞれ1対のストッパ片16の対向方向において互いに反対側に突出し、それぞれ第1受容孔22に対向する顎部28を形成している。換言すると、1対の突出部26によって、第1係止片14の壁面が屈曲して、第1ベース12側を向いた面から構成された顎部28が形成されている。また、第1係止片14の先端部分が、第1係止片14の延在方向からみて山形をなすように、突出部26の上面は、傾斜又は湾曲している。
【0028】
1対のストッパ片16の各々は、第1ベース12の表面に立設された壁部30と、壁部30における互いの対向面から膨出した凸部32とを有する。壁部30は、第1受容孔22の延在方向において、第1係止片14と略同じ長さを有する。凸部32は、壁部30の延在方向の中央部分の、壁部30の基端から先端にかけての範囲に形成されている。
【0029】
傾斜壁18は、第1係止片14、2つの第1受容孔22及び1対のストッパ片16を取り囲むように第1ベース12の表面に立設される。傾斜壁18の高さは、
図3の紙面下方において紙面上方よりも高くなっており、傾斜壁18の先端によって、第1ベース12の表面に対して傾斜した1つの平面が画定される。傾斜壁18は、サイドシルガーニッシュ4の取付面とフロントフェンダー6取付面とが平行ではない場合に設けられるものであり、第1の部分8と第2の部分10とを互いに係合させたとき傾斜壁18の先端が第2の部分10に当接する。第1係止片14及び1対のストッパ片16の立設方向は、傾斜壁18の先端によって画定される平面に対して直交しており、第1ベース12の表面に対しては直交方向からわずかに傾いている。傾斜壁18の先端によって画定される平面に対して、1対のストッパ片16の突出高さは互いに略等しく、第1係止片14の突出高さは1対のストッパ片16の突出高さよりも高い。また、顎部28は、傾斜壁18の先端によって画定される平面に概ね平行な平面からなる。
【0030】
第2の部分10は、平板状の第2ベース34と、第2ベース34の表面に立設された1対の第2係止片36とを有する。
【0031】
第2ベース34は、平面視で概ね矩形の輪郭を有する平板からなり、その外輪郭は、第
1ベースの外輪郭に比べて一回り小さい。第2ベース34の裏面は、滑らかな平面であって、両面テープ21によってフロントフェンダー6に固定される。第2ベース34の略中央部分であって1対の第2係止片36の間には、無底の孔からなる第2受容孔38が形成されている。第2受容孔38は、1対の第2係止片36の対向方向に直交する方向に延在する溝状を呈する。延在方向、すなわち長手方向の両端部の画定する第2受容孔38の両壁面は、第2ベース34の裏面側間の孔の長さが表面側間の孔の長さよりも短くなるように傾斜している。第2ベース34とフロントフェンダー6とを固定する両面テープ21には、第2受容孔38に対応する位置に、第2受容孔38の裏面側の外輪郭に一致する貫通孔が設けられていることが好ましい。第1の部分8と第2の部分10との係合時に、第2受容孔38の延在方向は、第1の部分8の第1係止片14及び第1受容孔22の延在方向と平行となり、第2受容孔38は、第1係止片14の先端部分を受容する。なお、第2ベース34の輪郭は適宜変更してもよい。第2ベース34とフロントフェンダー6との固定手段は、両面テープ21に代えて、接着剤等の他の固定手段としても良い。第2受容孔38は、有底孔としてもよい。
【0032】
1対の第2係止片36の各々は、第2ベース34の表面に立設された基部40と、基部40の先端から第2受容孔38を覆うように延出したオーバーハング部42とを有し、全体としてフック形状をなす。1対の第2係止片36は、第2受容孔38を挟んだ位置に形成されるが、その各々の基部40は、第2受容孔38の延在方向と平行な方向に延在する平板状の壁をなし、その互いに対する対向面は、第2受容孔38を画成する側面と連続した平面を構成する。第2係止片36と第2受容孔38との延在方向における配置を比較すると、第2係止片36の両端部は、第2受容孔38の両端部よりも内側に位置する。オーバーハング部42は、基部40の先端から、延出する板状の部分であり、基部40に対して薄肉であり、先端に向かうに従って第2受容孔38に近接しかつ互いに近接するように傾斜している。第1の部分8と第2の部分10との係合時に、オーバーハング部42の先端は、第1係止片14の顎部28を係止する。また、第1の部分8と第2の部分10との係合時に、第2係止片36の立設方向の端部、すなわち、基部40の先端部分及びオーバーハング部42の基端部分は、第1受容孔22に受容される。
【0033】
1対の第2係止片36の各々の基部40には、互いの相反する側の面に、第2係止片36の立設方向に延びる溝状のストッパ凹部44が形成されている。第1の部分8と第2の部分10との係合時に、ストッパ凹部44は、第1の部分8のストッパ片16の凸部32と離脱可能に係合する。ストッパ凹部44及びストッパ片16の凸部32は、第1の部分8と第2の部分10との係合時に、第1の部分8と第2の部分10との第1受容孔22及び第2受容孔38の延在方向に沿った相対的なスライド移動を規制するが、スライド方向に所定値以上の力が加わったときは、第2係止片36及びストッパ片16の弾性によりストッパ凹部44とストッパ片16の凸部32との係合が解除され、第1の部分8と第2の部分10との相対的なスライド移動が可能になる。また、第2係止片36の基部40の近傍の第2ベース34の部分には、ストッパ片16の先端を受容する受容凹部46が設けられている。
【0034】
第2の部分10は、第2ベース34の表面側から見て、矩形の縦及び横の中心軸に対して概ね線対称性を有する形状を呈する。
【0035】
第1受容孔22は、第1受容孔22に部分的に受容される第2係止片36の延在方向長さよりも2倍以上長いことが好ましい。さらに好ましくは、第1の部分8と第2の部分10との係合をスライド移動によって解除しやすいように、第1受容孔22の延在方向の端部の傾斜した壁面から第1係止片14の近接する側の端面までの長さが、第2係止片36の延在方向長さに略等しいことが望ましい。同様に、第2受容孔38は、第2受容孔38に部分的に受容される第1係止片14の延在方向長さよりも2倍以上長いことが好ましい。さらに好ましくは、第1の部分8と第2の部分10との係合をスライド移動によって解除しやすいように、第2受容孔38の延在方向の端部の傾斜した壁面から第2係止片36の近接する側の端面までの長さが、第2係止片36の延在方向長さに略等しいことが望ましい。また、第1係止片14の顎部28の延在方向長さと第2係止片36のオーバーハング部42との長さは、概ね等しいことが望ましいが、必ずしも一致させる必要はない。
【0036】
次に、クリップ2によるサイドシルガーニッシュ4のフロントフェンダー6への取り付け方法及び取り外し方法、並びにクリップ2の作用及び効果について説明する。
【0037】
第1の部分8及び第2の部分10の裏面には両面テープ21が貼り付けられており、それぞれの両面テープ21の第1の部分8又は第2の部分10に貼り付けられた側と反対側の面にはシール(図示せず)が貼られている。まず、作業員は、第1の部分8と第2の部分10とを、互いの表面を向かい合わせ、第1係止片14の先端と第2係止片36の先端とを互いに当接させた状態から、互いに押し付ける。なお、第2の部分10は対称性を有するため、この時の第2の部分10は、この条件を満たした位置から、第2ベース34に対してその中心を直交する軸に対して180°回転させた位置でもこの条件を満たす。よって、誤組み付けのリスクが小さい。この時、第1係止片14及び第2係止片36は、自身の弾性によって変形し、第1係止片14の先端が1対の第2係止片36のオーバーハング部42間を通過する。特にオーバーハング部42は、薄い板状をなすため、大きな力を必要とせずに、その傾斜した表面を第1係止片14の先端を摺動させて、第1係止片14の先端を通過させるように変形する。第1係止片14の突出部26が、第2係止片36のオーバーハング部42を通過すると、オーバーハング部42はその弾性により元の形状に戻り、第1係止片14の顎部28と第2係止片36のオーバーハング部42の先端とが互いに係止して、第1の部分8と第2の部分10とが互いに離間する方向へ移動することが規制され、第1の部分8と第2の部分10とは係合状態となる(
図6(a)参照)。
【0038】
このとき、第1の部分8のストッパ片16の凸部32が第2の部分10のストッパ凹部44に係止されて、第1の部分8及び第2の部分10が、第1受容孔22及び第2受容孔38の延在方向への相対的なスライド移動が規制される。また、第1係止片14の先端部分が第2受容孔38に受容され、かつ第2係止片36の先端部分が第1受容孔22に受容され、さらにストッパ片16の先端部分が受容凹部46に受容されるため、第1ベース12と第2ベース34とが近接し、クリップ2の係合状態における厚さが薄くなっている。
【0039】
次に、作業員は、第1の部分8に貼り付けられた両面テープ21のシールをはがして、サイドシルガーニッシュ4の所定の位置に第1の部分8を貼り付けて固定する。続いて、作業員は、第2の部分10に貼り付けられた両面テープ21のシールをはがして、サイドシルガーニッシュ4をフロントフェンダー6の所定の位置に押し付け、フロントフェンダー6に第2の部分10を貼り付けて固定する。このようにして、サイドシルガーニッシュ4は、クリップ2を介してフロントフェンダー6に固定される。
【0040】
クリップ2は、両面テープ21でフロントフェンダー6に固定されるため、フロントフェンダー6に貫通孔を設ける必要がない。また、クリップ2が薄いため、サイドシルガーニッシュ4とフロントフェンダー6との間のスペースを狭くすることができる。
【0041】
点検や修理するため、フロントフェンダー6からサイドシルガーニッシュ4を取り外すときは、作業員は、第1受容孔22及び第2受容孔38の延在方向にサイドシルガーニッシュ4をスライドさせる。作業員がスライド方向に所定値以上の力を加えれば、第1の部分8のストッパ片16の凸部32と第2の部分10の第2係止片36のストッパ凹部44との係合は、ストッパ片16及び第2係止片36の弾性によって解除されるため、第2の部分10に対して第1の部分8をスライド移動させることができる。スライド移動させるにつれ、第1係止片14の顎部28と第2係止片36のオーバーハング部42との接触面積が小さくなり、互いの係止力が小さくなる。両者の接触面積が0に近づくと、第1受容孔22の端部の傾斜した壁面を第2係止片36の先端が摺動し、かつ第2受容孔38の端部の傾斜した壁面を第1係止片14の先端が摺動するため、第1の部分8と第2の部分10とが互いに離間し、両者の接触面積が0になると、完全に両者の係合が解除される。このように、第1の部分8及び第2の部分10を損傷させず、かつ、両面テープ21による両者のサイドシルガーニッシュ4及びフロントフェンダー6への固定を維持した状態で、フロントフェンダー6からサイドシルガーニッシュ4を取り外すことができる。
【0042】
再び、フロントフェンダー6をサイドシルガーニッシュ4に取り付けるときは、作業員は、サイドシルガーニッシュ4を所定の位置でフロントフェンダー6に押し付ける。これにより、第1の部分8と第2の部分10とが互いに係合して、サイドシルガーニッシュ4は、クリップ2を介してフロントフェンダー6に固定される。このように、フロントフェンダー6からサイドシルガーニッシュ4を取り外しても、第1の部分8及び第2の部分10をそのまま再取付に使用できるため、点検や修理の際に、新たなクリップ2や両面テープ21が不要であり、取り外し及び取り付け工数も小さいため、点検及び修理のコストを低減することができる。
【0043】
次に第2実施形態に係るクリップ52について説明する。
【0044】
図7〜
図9は、クリップ52の形状を示し、
図10は、クリップ52の係合構造を示す。クリップ52は、サイドシルガーニッシュ4に固定される第1の部分54と、フロントフェンダー6に固定される第2の部分56とを備える。クリップ52は、樹脂を素材とする成形品である。
【0045】
第1の部分54は、平板状の第1ベース58と、第1ベース58の表面に立設された1対の第1係止片60と、第1ベース58の表面に立設されて第1係止片60と平行に延在する当接壁62、第1ベース58の表面の縁に立設されたリム64とを有する。
【0046】
第1ベース58は、平面視で概ね四角形の1隅が切り欠かれた輪郭を有する平板からなる。第1ベース58の裏面は、滑らかな平面であって、両面テープ21によってサイドシルガーニッシュ4に固定される。第1ベース58には、当接壁62に近接する側の第1係止片60aの近傍の当接壁62側、すなわち他方の第1係止片60bの配置側の反対側に、無底の孔からなる受容孔66が形成されている。受容孔66は、1対の第1係止片60の対向方向に直交して延在する溝状を呈する。第1ベース58とサイドシルガーニッシュ4とを固定する両面テープ21には、受容孔66に対応する位置に、受容孔66の裏面側の外輪郭に一致する貫通孔が設けられていることが好ましい。なお、第1ベース58の輪郭は適宜変更してもよい。第1ベース58とサイドシルガーニッシュ4との固定手段は、両面テープ21に代えて、接着剤等の他の固定手段としても良い。受容孔66は、有底孔としてもよい。第1ベース58には、他方の第1係止片60bの近傍であって一方の第1係止片60aとは反対側において、貫通孔68が設けられている。貫通孔68は、第1係止片60の延在方向と平行に延在する溝状を呈する。
【0047】
1対の第1係止片60の各々は、互いに平行な方向に延在し、第1ベース58の表面に立設された基部70と、基部70の先端から互いに反対方向に突出する突出部72とを有する。一方の第1係止片60aは、受容孔66に隣接して形成されるが、その基部70は、受容孔66の延在方向と平行に延在する平板状の壁をなし、その突出部72が形成された側の表面は、受容孔66を画成する側面と連続した平面を構成する。同様に、他方の第1係止片60bは、貫通孔68に隣接して形成されるが、その基部70は、貫通孔68の延在方向と平行に延在する平板状の壁をなし、その突出部72が形成された側の表面は、貫通孔68を画成する側面と連続した平面を構成する。
【0048】
また、当接壁62に近い側に配置された一方の第1係止片66aは、当接壁62から遠い側に配置された他方の第1係止片66bよりも、第1ベース58の表面からの高さが低い。また、一方の第1係止片60aと受容孔66との延在方向における配置を比較すると、一方の第1係止片60aの両端部は、受容孔66の両端部よりも内側に位置する。他方の第1係止片60bと貫通孔68との延在方向における配置を比較すると、他方の第1係止片60bの両端部は、受容孔66の両端部よりもわずかに内側に位置する。
【0049】
1対の第1係止片60のそれぞれの突出部72は、互いに反対側に突出し、それぞれ受容孔66又は貫通孔68に対向する第1顎部73を形成している。第1顎部73を形成する平面は、互いに高さの異なる2つの第1係止片66a,66bの先端によって画定される傾斜した平面に概ね平行である。
【0050】
第2の部分56は、平板状の第2ベース74と、第2ベース74の表面に立設された1対の第2係止片76とを有する。
【0051】
第2ベース74は、平面視で概ね矩形の輪郭を有する平板からなり、その外輪郭は、第1ベース58の外輪郭に比べて一回り小さい。第2ベース74の裏面は、滑らかな平面であって、両面テープ21によってフロントフェンダー6に固定される。なお、第2ベース74の輪郭は適宜変更してもよい。第2ベース74とフロントフェンダー6との固定手段は、両面テープ21に代えて、接着剤等の他の固定手段としても良い。
【0052】
1対の第2係止片76の各々は、第2ベース74の表面に立設された基部78と、基部78の先端から第2受容孔38を覆うように延出したオーバーハング部80とを有する。1対の第2係止片76の各々の基部78は、平板状の壁をなし、第1の部分54と第2の部分56との係合時には、受容孔66の延在方向と平行になるように延在する。オーバーハング部80は、基部78の先端から延出する部分であり、第2ベース74の表面に対向する第2顎部82を形成している。また、オーバーハング部80の第2顎部82と反対側の面は、先端に向かうにつれ第2ベース74の表面に向かうように傾斜している。第1の部分54と第2の部分56との係合時に、1対の第2係止片76のオーバーハング部80の第2顎部82は、第1係止片60の第1顎部73を係止する。また、第1の部分54と第2の部分56との係合時に、一対の第2係止片76の一方の先端部分は、受容孔66に受容され、一対の第2係止片76の他方の先端部分は、貫通孔68から離間している。従って、係合時、第1ベース58と第2ベース74とは、互いに平行な状態からわずかに傾斜した状態となる。なお、係合時は、第2ベース74の表面に、当接壁62の先端が当接する。
【0053】
第2の部分56は、第2ベース74の表面側から見て、矩形の縦及び横の中心軸に対して概ね線対称性を有する形状を呈する。
【0054】
第1の部分54と第2の部分56との係合をスライド移動によって解除しやすいように、受容孔66は、受容孔66に部分的に受容される第2係止片76の延在方向長さよりも長くすることが好ましく、例えば、2倍以上の長さとしてもよい。
【0055】
次に、クリップ52によるサイドシルガーニッシュ4のフロントフェンダー6への取り付け方法及び取り外し方法、並びにクリップ52の作用及び効果について説明する。
【0056】
取り付け方法は、第1実施形態と概ね同様であるため、その説明を省略する。
【0057】
第1の部分54と第2の部分56との係合状態では、第1係止片60と第2係止片76との互いの係合、及び第1の部分54の当接壁62と第2ベース74との当接により、第1の部分54と第2の部分56との傾斜した配置が決定される。また、これらの係合部分及び当接部分の摩擦力によって、第1の部分54及び第2の部分56が受容孔66の延在方向に相対的にスライド移動することが規制される。また、一方の第1係止片60aの先端部分が受容孔66に受容されるため、第1ベース58と第2ベース74とが近接し、クリップ52の係合状態における厚さが薄くなっている。また、第1実施形態と同様に、クリップ52は、両面テープ21でフロントフェンダー6に固定されるため、フロントフェンダー6に貫通孔を設ける必要がない。また、クリップ52が薄いため、サイドシルガーニッシュ4とフロントフェンダー6との間のスペースを狭くすることができる。
【0058】
点検や修理するとき、作業員は、受容孔66延在方向にサイドシルガーニッシュ4をスライドさせて、フロントフェンダー6からサイドシルガーニッシュ4を取り外すことができる。このとき、受容孔66に受容されていない側の第2係止片76の延在方向の一端側が貫通孔68に受容されるように、第2の部分56を傾けながら取り外してもよい。なお、貫通孔68は、第2の部分56の第1顎部73を形成するための金型を通すために設けられたものであってよい。
【0059】
第1の部分54及び第2の部分56を損傷させず、かつ、両面テープ21による両者のサイドシルガーニッシュ4及びフロントフェンダー6への固定を維持した状態で、フロントフェンダー6からサイドシルガーニッシュ4を取り外すことができること、再取付の方法及び再取付に関する作用効果は第1実施形態と同様である。
【0060】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、第1実施形態において、1つの第1係止片及び2つの第2係止片の内1つ又は2つの先端部分のみを受容孔で受容するように変形してもよい。また、第1実施形態において、第1係止片に突出部に代えて、受容孔の延在方向に延在する溝を設けて顎部を形成してもよい。また、第2実施形態に、第1実施形態のストッパ片、ストッパ凹部及び受容凹部を適用してもよい。また、クリップを介して互いに結合される部材は、サイドシルガーニッシュ及びフロントフェンダーに限られず、特に、結合のために貫通孔を設けるべきでない部材や、結合される部材間のスペースが狭い部材を結合する場合に適している。
【符号の説明】
【0061】
2,52...クリップ、4...サイドシルガーニッシュ、6...フロントフェンダー、8,54...第1の部分、10,56...第2の部分、12,58...第1ベース、14,60...第1係止片、16...ストッパ片、22...第1受容孔、24,70...(第1係止片の)基部、26,72...突出部、28...顎部、34,74...第2ベース、36,76...第2係止片、38...第2受容孔、40,78...(第2係止片の)基部、42,80...オーバーハング部、44...ストッパ凹部、66...受容孔、73...第1顎部