【文献】
Parker AS.et al.,Optimization algorithms for functional deimmunization of therapeutic proteins.,BMC Bioinformatics[online],2010年4月,Vol.11:180,検索日2017.03.10,URL,http://bmcbioinformatics.biomedcentral.com/articles/10.1186/1471−2105−11−180
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
アミノ酸配列が、配列番号:27、30、33、36、63、66、69、72、75、78、81、84、87、90、93、96、98、100、102、104、106
、111、117、123、129、134、136、138、140、142、144、182および189のいずれか1つから選ばれる、請求項1に記載のアルブミン結合ポリペプチド。
アミノ酸配列が、配列番号:27、30、33、36、63、66、69、72、75、78、81、84、87、90、93、96、98、100、102、104、106、111、117、123、129、134、136、138、140、142および144のいずれか1つから選ばれる、請求項1に記載のアルブミン結合ポリペプチド。
保護された反応性側鎖を有するアミノ酸及び/又はアミノ酸誘導体を用いた非生物学的ペプチド合成による、請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリペプチドの製造方法であって、非生物学的ペプチド合成が、
アミノ酸及び/又はアミノ酸誘導体の段階的カップリングを行なって保護された反応性側鎖を有する請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリペプチドを形成する工程;
ポリペプチドの反応性側鎖から保護基を除去する工程;及び
水溶液中でポリペプチドを折り畳む工程;
を含む、上記方法。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
先行技術の上の欠点及び欠陥は、第1の態様において、
i)LAX
3AKX
6X
7ANX
10 ELDX
14YGVSDF YKRLIX
26KAKT
VEGVEALKX
39X
40 ILX
43X
44LP
(式中、互いに独立して
X
3は、E、S、Q及びCから選ばれ;
X
6は、E、S及びCから選ばれ;
X
7は、A及びSから選ばれ;
X
10は、A、S及びRから選ばれ;
X
14は、A、S、C及びKから選ばれ;
X
26は、D及びEから選ばれ;
X
39は、D及びEから選ばれ;
X
40は、A及びEから選ばれ;
X
43は、A及びKから選ばれ;
X
44は、A、S及びEから選ばれ;
位置45のLは、存在するか又は存在せず;そして
位置46のPは、存在するか又は存在しない)
及び
ii)i)に定義された配列に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列から選ばれるアミノ酸配列を含むアルブミン結合ポリペプチドによって克服又は緩和される。
【0010】
アルブミンに対する結合親和性を有する、上に定義された種類の配列関連のポリペプチドは、3アルファヘリックスバンドルドメインに折り畳まれている一般的な親ポリペプチド配列から誘導される。より詳しくは、上記のポリペプチドは、血清アルブミンとアルブミン結合ドメインG148−GA3との間の複合体(complex)の構造に基づくモデル構
築(Lejon et al, J Biol Chem 279:42924-8, 2004)、並びに一般的な親ポリペプチド配列の多くの突然変異体の結合及び構造特性の分析から誘導される。上に定義されたアミノ酸配列i)は、親ポリペプチド配列と比較してほとんど同一の3ヘリックスバンドルドメインに折り畳まれていることが予想されるある種のポリペプチドを生じるアミノ酸置換を含む。親ポリペプチド配列は、アルブミンと相互作用するための結合表面をすでに含んでいるが、その結合表面は、上の定義によるいくつかの置換によって修飾される。上の定義による置換は、親ポリペプチド配列と比較して改善されたアルブミン結合能力をもたらす。
【0011】
本開示の第1の態様によるアルブミン結合ポリペプチドは、一連の特徴を示し、それは、例えば、ヒトに投与するための治療分子の融合又はコンジュゲートパートナー(conjugate partners)としてそれらを適したものにしている。本開示によるアルブミン結合ポリペプチドは、例えばアルブミン結合ドメインG148−GA3のような関連したアルブミン結合ポリペプチド及びWO09/016043に開示されたアルブミン結合ポリペプチドと比較して、以下の6つの特徴のうちの少なくとも5つを示す:
・ポリペプチドは、例えば、G148−GA3、そして他の細菌由来のアルブミン結合ドメインと比較して異なる表面を示す。違いは、このような細菌タンパク質に以前に暴露されたヒトのような被験者における抗体反応のなんらかのリスクを低下又は排除しうることである。
・ポリペプチドは、例えば、G148−GA3及び共通の親ポリペプチド配列の他の関連しているが異なる突然変異体よりも少ない潜在的T細胞エピトープを含み、そのため、ヒトのような被験者に投与されたときに低い免疫原性を示す。
・ポリペプチドは、ヒトのような被験者に投与されたときに、循環抗体とのより低い反応性を示す。従って、例えば、ヒト血清の試験セットで測定されたG148−GA3によって生じる抗体交差反応性と比較して、循環抗体に暴露されたポリペプチドの表面、すなわち、アルブミンとの結合相互作用に関与しないポリペプチド表面におけるアミノ酸置換によって抗体交差反応性が低下する。
・ポリペプチドは、KD値によって定義されるような、より高い結合親和性に関して、そしてkoff値によって定義されるような、より遅い速度(slower off-rate)に関し
ていずれも、例えば、細菌タンパク質由来のアルブミン結合ドメインのような知られた天然に存在する(naturally occurring)アルブミン結合ポリペプチドよりも高いアルブミ
ン結合能力を有する。
・ポリペプチドは、例えば、細菌タンパク質に由来するアルブミン結合ドメインのような知られた天然に存在するアルブミン結合ポリペプチドよりも少ない、ポリペプチドの安定性問題に関連するアミノ酸残基を含む。従って、ポリペプチドは、例えば、酸化しやすいメチオニン又はトリプトファンを含まず、そして1つしかアスパラギンを含まない。
・ポリペプチドは、55℃より上の融点によって定義されるように、以前のアルブミン結合ポリペプチド、例えばWO09/016043に開示されたものよりもより高い構造安定性を有する。
【0012】
一実施態様において、第1の態様によるアルブミン結合ポリペプチドは、上の記載された6つ特徴のすべてを示す。別の実施態様において、第1の態様によるアルブミン結合ポリペプチドは、アルブミンに結合されたときに、例えば、以前のアルブミン結合ポリペプチド、例えばWO09/016043に開示されたものよりもより親水性のプロファイルを示す。ポリペプチドがアルブミンと相互作用するときに、環境にさらされたアルブミン結合ポリペプチドの表面は、表面疎水性をもたらすアミノ酸残基を少ししか含んでいない。
【0013】
当業者に明らかなように、任意のポリペプチドの機能、例えば第1の態様によるポリペプチドのアルブミン結合能力は、ポリペプチドの第三級構造に左右される。しかしながら、その構造に影響を及ぼすことなく、アルファ−へリックスポリペプチド中のアミノ酸の配列を変化させることは可能である(Taverna and Goldstein, J Mol Biol 315(3):479-84, 2002; He et al, Proc Natl Acad Sci USA 105(38):14412-17, 2008)。従って、生成した配列が、i)によって定義された種類に属する配列に対して少なくとも95%同一であるようなi)の改質変異体も、第1の態様によって包含される。例えば、アミノ酸残基のある種の機能群(functional grouping)に属するアミノ酸残基(例えば疎水性、親水性、極性など)は、同じ機能群からの別のアミノ酸残基に交換することができる。
【0014】
明細書及び特許請求の範囲に用いられる「%同一」又は「%同一性」という用語は、以下のように算出される。CLUSTAL Wアルゴリズム(Thompson, J.D., Higgins, D.G. and Gibson, T.J., Nucleic Acids Research, 22: 4673-4680 (1994))を用いて、問い合わせ配列(query sequence)を標的配列に対して整列させる。整列された配列の最も短いものに対応するウィンドウ上で比較を行う。場合によっては、整列された配列の最も短いものが、本明細書に開示されたアルブミン結合ポリペプチドのような標的配列でありうる。他の場合、問い合わせ配列が整列された配列の最も短いものを構成しうる。問い合わせ配列は、例えば、少なくとも10個のアミノ酸残基、例えば少なくとも20個のアミノ酸残基、例えば少なくとも30個のアミノ酸残基、例えば少なくとも40個のアミノ酸残基、例えば45個のアミノ酸残基からなりうる。各位置のアミノ酸残基を比較し、そして標的配列において同一の相関関係を有する問い合わせ配列中の位置のパーセンテージを%同一性として報告する。
【0015】
第1の態様によるアルブミン結合ポリペプチドの一実施態様において、X
6は、Eである。
【0016】
この態様によるアルブミン結合ポリペプチドの別の実施態様において、X
3は、Sである。
【0017】
この態様によるアルブミン結合ポリペプチドの別の実施態様において、X
3は、Eである。
【0018】
この態様によるアルブミン結合ポリペプチドの別の実施態様において、X
7は、Aである。
【0019】
この態様によるアルブミン結合ポリペプチドの別の実施態様において、X
14は、Sである。
【0020】
この態様によるアルブミン結合ポリペプチドの別の実施態様において、X
14は、Cである。
【0021】
この態様によるアルブミン結合ポリペプチドの別の実施態様において、X
10は、Aである。
【0022】
この態様によるアルブミン結合ポリペプチドの別の実施態様において、X
10は、Sである。
【0023】
この態様によるアルブミン結合ポリペプチドの別の実施態様において、X
26は、Dである。
【0024】
この態様によるアルブミン結合ポリペプチドの別の実施態様において、X
26は、Eである。
【0025】
この態様によるアルブミン結合ポリペプチドの別の実施態様において、X
39は、Dである。
【0026】
この態様によるアルブミン結合ポリペプチドの別の実施態様において、X
39は、Eである。
【0027】
この態様によるアルブミン結合ポリペプチドの別の実施態様において、X
40は、Aである。
【0028】
この態様によるアルブミン結合ポリペプチドの別の実施態様において、X
43は、Aである。
【0029】
この態様によるアルブミン結合ポリペプチドの別の実施態様において、X
44は、Aである。
【0030】
この態様によるアルブミン結合ポリペプチドの別の実施態様において、X
44は、Sである。
【0031】
この態様によるアルブミン結合ポリペプチドの別の実施態様において、位置45のL残基は、存在する。
【0032】
この態様によるアルブミン結合ポリペプチドの別の実施態様において、位置46のP残基は、存在する。
【0033】
この態様によるアルブミン結合ポリペプチドの別の実施態様において、位置46のP残基は、存在しない。
【0034】
別の実施態様においてこの態様によるアルブミン結合ポリペプチドは、X
7がL、E又はDのいずれでもないという条件の対象となる。
【0035】
第1の態様によるアルブミン結合ポリペプチドは、表面に露出されたアミノ酸残基を、例えばシステイン又はリシンのいずれかと置換することによって、適したコンジュゲートパートナーとのコンジュゲーション(conjugation)のために製造されうる。これらの置
換は、アルブミン結合ポリペプチドが血清アルブミンに結合したときに血清アルブミンから最も遠くに位置するヘリックスである、N末端ヘリックス、すなわちポリペプチドのヘリックスの1つに導入してもよい。従って、i)で定義された配列のX
14位のリシン残基は、部位特異的コンジュゲーションを可能にするために用いてもよい。さらにまた、これは、前記リシンのイプシロン−アミノ基の直交性保護(orthogonal protection)を用い
ることができるため、分子が化学ペプチド合成によって作られるときに好都合でありうる。
【0036】
さらにまた、システイン残基をアミノ酸配列に導入して部位特異的コンジュゲーションを可能にしてもよい。例えば、上の定義に従ってシステイン残基をX
3、X
6及び/又は位置X
14のいずれか1つに導入してもよい。
【0037】
リシンのイプシロン−アミン又はシステインのチオール基へのコンジュゲーションパートナーのカップリングはアミノ酸配列i)内のアミノ酸残基を用いた部位特異的コンジュゲションを得るための2つの化学的に異なる代替法を表す。当業者に理解されるように、コンジュゲーション用にアミノ酸配列を作成する他の化学的代替法が存在し、そしてそれ自体は、本開示の範囲内にある。このような化学の1つの例は、Ban等(J Am Chem Soc 132:1523-5, 2009)によって示されたようなチロシンの導入によって可能となるクリック様ケミストリー(click-like chemistry)である。
【0038】
本明細書に用いられる「アルブミン結合」及び「アルブミンに対する結合親和性」という用語は、例えばBiacore機器におけるような表面プラスモン共鳴技術を用いて試験され
うるポリペプチドの性質のことである。例えば、下の例に記載されたように、アルブミン結合親和性は、アルブミン又はそのフラグメントを機器のセンサチップ上に固定し、そして被検ポリペプチドを含むサンプルをチップ上に通過させる実験において試験することができる。別法として、被検ポリペプチドを機器のセンサチップ上に固定し、そしてアルブミン又はそのフラグメントを含むサンプルを、チップ上に通過させる。これに関して、アルブミンは、ヒト血清アルブのような哺乳動物からの血清アルブミンであってもよい。次いで、当業者は、アルブミンに対するポリペプチドの結合親和性の少なくとも定性的測定を行うこのような実験によって得られた結果を解釈することができる。定量的測定が望しい場合、例えば、相互作用のKD値を測定するため、表面プラスモン共鳴法を用いてもよい。結合値は、例えばBiacore2000機器(GE Healthcare)において定義されうる。アルブミンを測定センサチップ上に適当に固定化し、そして親和性を測定するポリペプチドのサンプルを系列希釈によって調製し、そして注入する。次いで、例えば機器製造業者(GE Healthcare)によって提供されたBIAevaluation 4.1ソフトウェアの1:1 Langmuir結合モデルを用いて結果からKD値を算出してもよい。
【0039】
一実施態様において、この態様によるアルブミン結合ポリペプチドは、相互作用のkoff値が最大で5×10
-5秒
-1、例えば最大で5×10
-6秒
-1となるようにアルブミンに結合する。
【0040】
上記のように、アミノ酸配列i)によって定義されたアルブミン結合ポリペプチドは、3アルファヘリックスバンドルドメインに折り畳まれている共通の親ポリペプチド配列から誘導される。一実施態様において、この親ポリペプチド配列の3ヘリックスドメインは、レンサ球菌菌株G148からタンパク質Gの部分、特にドメインGA3を形成する。
【0041】
別の実施態様において、アルブミン結合ポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号:1−144及び配列番号:164−203、例えば配列番号:1−144のいずれか1つから選ばれる。より詳しくは、アミノ酸配列は、配列番号:4−5、配列番号:7−8、配列番号:10−11、配列番号:13−14、配列番号:16−17、配列番号:19−20、配列番号:22−23、配列番号:25−26、配列番号:28−29、配列番号:31−32、配列番号:34−35、配列番号:37−38、配列番号:41−42、配列番号:49−50、配列番号:164−170及び配列番号:192−203から選ばれる。従って、アミノ酸配列は、配列番号:4−5、配列番号:7−8、配列番号:10−11、配列番号:13−14、配列番号:16−17、配列番号:19−20、配列番号:22−23、配列番号:25−26、配列番号:28−29、配列番号:31−32、配列番号:34−35、配列番号:37−38、配列番号:41−42及び配列番号:49−50から選ばれうる。
【0042】
一実施態様において、この態様によるアルブミン結合ポリペプチドは、i)に定義された配列のN末端及び/又はC末端に位置する1つ又はそれ以上のさらなるアミノ酸残基をさらに含む。これらのさらなるアミノ酸残基は、ポリペプチドによるアルブミンの結合の強化、及び折り畳まれたアルブミン結合ドメインの立体配置的安定性の改善において役割を果たしうるが、例えば製造、精製、in vivo若しくはin vitvo安定化、ポリペプチドの
カップリング、標識化又は検出、並びにそれらの任意の組み合わせの1つ又はそれ以上に関連する他の目的にも同様に十分に役立ちうる。このようなさらなるアミノ酸残基は、化学的カップリング(chemical coupling)のために、例えばアフィニティマトリックス(affinity matrix)を得るためのクロマトグラフィー樹脂に又は放射性金属と錯化するためのキレート部分に加えられた1つ又はそれ以上のアミノ酸残基を含んでもよい。
【0043】
従って、アミノ酸配列i)のN末端又はC末端におけるアルファヘリックスにすぐ前又は後にあるアミノ酸は、一実施態様において、立体配置的安定性を影響を及ぼすことがありうる。改善された立体配置的安定性に寄与しうるアミノ酸残基の1つの例は、上に定義されたアミノ酸配列i)のN末端に位置するセリン残基である。N末端セリン残基は、場合によっては、セリン側鎖のガンマ酸素とグルタミン酸残基のポリペプチド主鎖NHとの間に水素結合を含むことによって、標準的なS−X−X−Eキャッピングボックス(capping box)を形成しうる。このN末端キャッピングは、開示の第1の態様によるアルブミン結合ポリペプチドを構成する3ヘリックスドメインの第1のアルファヘリックスの安定化に寄与しうる。
【0044】
従って、一実施態様において、さらなるアミノ酸は、ポリペプチドのN末端で少なくとも1つのセリン残基を含む。換言すれば、アミノ酸配列は、1つ又はそれ以上のセリン残基により始まる。アルブミン結合ポリペプチドの別の実施態様において、さらなるアミノ酸は、ポリペプチドのN末端でグリシン残基を含む。アミノ酸配列i)は、1、2、3、4又は任意の適した数のアミノ酸残基によって始まりうることが理解される。従って、アミノ酸配列は、単一セリン残基、単一グリシン残基又は2つの組み合わせ、例えばグリシン−セリン(GS)の組み合わせ又はグリシン−セリン−セリン(GSS)の組み合わせにより始まりうる。N末端でさらなるアミノ残基を含むアルブミン結合ポリペプチドの例は、配列番号:145−163中、例えば配列番号:145−148及び配列番号:162−163中に提示される。さらに別の実施態様において、さらなるアミノ酸残基は、配列i)によって定義されたようなポリペプチドのN末端でグルタミン酸を含む。
【0045】
同様に、C末端キャッピングは、アルブミン結合ポリペプチドを構成する3ヘリックスドメインの第3のアルファヘリックスの安定性を改善するために利用してもよい。プロリン残基は、i)に定義されたアミノ酸配列のC末端に存在するとき、キャッピング残基として少なくとも部分的に機能することがある。このような場合、C末端でプロリン残基の後のリシン残基は、リシン残基のイプシロンアミノ基とポリペプチド主鎖中のリシンの2つ及び3つ前の残基に位置するアミノ酸のカルボニル基、例えば、L45及びP46の両方が存在するとき、i)に定義されたアミノ酸配列のロイシン及びアラニン残基のカルボニル基との間の水素結合によって、アルブミン結合ポリペプチドの第3のヘリックスのさらなる安定化に寄与しうる。従って、一実施態様において、さらなるアミノ酸は、ポリペプチドのC末端でリシン残基を含む。
【0046】
上に議論したように、さらなるアミノ酸は、アルブミン結合ポリペプチドの製造に関連しうる。特に、P46が存在する実施態様によるアルブミン結合ポリペプチドが、化学的ペプチド合成によって製造されるとき、C末端プロリンの後の1つ又はそれ以上の場合によるアミノ酸残基は、利点をもたらすことがある。このようなさらなるアミノ酸残基は、例えば、合成のジペプチド段階でジケトピペラジンのような望ましくない物質の形成を防止することがある。このようなアミノ酸残基の1つの例は、グリシンである。従って、一実施態様において、さらなるアミノ酸は、上に説明したようにプロリン残基のすぐ後に又はさらなるリシン及び/又はグリシン残基の後に、ポリペプチドのC末端でグリシン残基を含む。別法として、ポリペプチド製造は、存在する場合、アミノ酸配列i)のC末端プロリン残基のアミド化から利益を得てもよい。この場合、C末端プロリンは、カルボキシル炭素においてさらなるアミン基を含む。本明細書に記載されたポリペプチド、特にそのC末端がプロリン又はペプチド合成中にラセミ化することが知られている他のアミノ酸で終結するものの一実施態様において、上記のC末端へのグリシンの付加又は存在する場合、プロリンのアミド化は、C末端アミノ酸残基のラセミ化に伴う潜在的な問題に対処することもできる。このようにアミド化されたポリペプチドを、化学合成よりもむしろ組換え法により製造しようとする場合、C末端アミノ酸のアミド化は、当分野で知られたいくつかの方法によって、例えば、PAM酵素のアミド化を用いることにより実施することができる。
【0047】
C末端でさらなるアミノ酸残基を含むアルブミン結合ポリペプチドの例は、配列番号:145−152、例えば配列番号:148−150に提示される。当業者は、ペプチド合成用に予め作成された異なるタイプのマトリックスによるようなC末端修飾を実施する方法を知っている。
【0048】
別の実施態様において、さらなるアミノ酸残基は、ポリペプチドのN及び/又はC末端でシステイン残基を含む。このようなシステイン残基は、i)に定義されたアミノ酸配列のすぐ前及び/又は後にありうるか、又は上記の任意の他のさらなるアミノ酸残基の前及び/又は後にありうる。ポリペプチド鎖のN及び/又はC末端でシステイン残基を含むアルブミン結合ポリペプチドの例は、配列番号:149−150(C末端)及び配列番号:151−152(N末端)に提示される。ポリペプチド鎖へのシステイン残基の付加によって、アルブミン結合ポリペプチドのコンジュゲーションのための部位のチオール基を得ることができる。別法として、システイン残基の導入と類似のやり方でセレノシステイン残基をポリペプチド鎖のC末端に導入して部位特異的コンジュゲーションを促進することができる(Cheng et al, Nat Prot 1:2, 2006)。
【0049】
一実施態様において、アルブミン結合ポリペプチドは、2つを超えないシステイン残基を含む。別の実施態様において、アルブミン結合ポリペプチドは、1つを超えないシステイン残基を含む。
【0050】
別の実施態様において、アルブミン結合ポリペプチドのさらなるアミノ酸残基は、ポリペプチドの精製若しくは検出のための「タグ」、例えばヘキサヒスチジル(His
6)タグ、又はタグに特異的な抗体と相互作用するための及び/又は精製に用いるための「myc」(「c−Myc」)タグ若しくは「FLAG」タグを含む。他の代替物は、当業者に知られている。
【0051】
さらに別の実施態様において、この態様によるアルブミン結合ポリペプチドは、ヒト血清アルブミンに結合する。別の実施態様において、アルブミン結合ポリペプチドは、マウス、ラット、イヌ及びカニクイザルマカク(cynomolgus macaques)からのアルブミンの
ようなヒト種とは別の種からのアルブミンに結合する。
【0052】
また、上で議論された「さらなるアミノ酸残基」は、なんらかの所望の機能、例えば、第1のアルブミン結合ドメインと同じ結合機能、又は別の結合機能、又は治療機能、又は酵素機能、又は蛍光機能、又はそれらを混合したものを有する1つ又はそれ以上のポリペプチドドメインを構成してもよい。
【0053】
結果的に、別の関連した態様において、
i)本明細書に記載された第1の態様によるアルブミン結合ポリペプチドからなる第1の部分;及び
ii)所望の生物活性を有するポリペプチドからなる第2の部分;
を含む融合タンパク質又はコンジュゲート(conjugate)が提供される。
【0054】
開示の第1の態様によるアルブミン結合ポリペプチド及び第2の部分を含む融合タンパク質又はコンジュゲートは、第2の部分それ自体のin vivo半減期と比較して第2の部分
のin vitvo及び/又はin vivo半減期を延長しうる。結果として、この態様による融合タ
ンパク質又はコンジュゲートが、ヒト被験者のような被験者に投与されるとき、第2の部分に対する生体内暴露を延長することができ、それによりそれ自体で投与されたときの第2の部分の生体内暴露の効力と比較して、第2の部分の生物活性の改善された効力をもたらすことができる。
【0055】
所望の生物活性は、例えば、治療活性、結合活性又は酵素活性であってもよい。所望の生物活性が治療活性であるとき、この活性を示す第2の部分は、治療活性なポリペプチドでありうる。治療活性なポリペプチドの非限定的な例は、生体分子、例えばヒト内生酵素、ホルモン、成長因子、ケモカイン、サイトカイン及びリンホカインからなる群より選ばれる分子、並びにヒト以外の生物学的に活性なタンパク質、例えば細菌毒素(例えば緑濃菌外毒素並びにブドウ球菌及びレンサ球菌超抗原)、酵素(例えばRNase及びベータ−ラクタマーゼ)及び活性化プロテイン(例えばストレプトキナーゼ)からなる群より選ばれるタンパク質である。アルブミン結合ポリペプチドとの融合体又はコンジュゲートに役立ちうる治療活性な生体分子の非限定的な例は、IL−2、GLP−1、BNP(Alb−ベータ−ナトリウム利尿ペプチド)、IL−1−RA(インターロイキン−1受容体拮抗物質)、KGF(ケラチノサイト増殖因子)、ステムジェン
(R)(Stemgen
(R))、成長ホルモン(GH)、G−CSF、CTLA−4、ミオスタチン、第VII因子、第VIII因子及び第IX因子からなる群より選ばれる。
【0056】
腫瘍組織の漏出欠陥のある血管は、その脈管系(内皮障壁)を巨大分子に対して透過性にするのに対して、健全な組織の血管では、小さな分子しか内皮障壁を通過することができない。同様に、関節リウマチ患者の炎症を起こした関節におけるアルブミンに対する血液−関節障壁の透過性は、著しく高められる。従って、この態様による融合タンパク質又はコンジュゲートは、腫瘍組織中の血管及び炎症を起こした関節の血液−関節障壁を透過する可能性がある。
【0057】
第2の部分の前記所望の生物活性が結合活性であるとき、前記第2の部分は、標的分子と選択的相互作用が可能な結合ポリペプチドであってもよい。このような結合ポリペプチドは、例えば、抗体並びに抗体結合活性を実質的に保持しているそのフラグメント及びドメイン;マイクロボディ、マキシボディ(maxybodies)、アビマー(avimers)及び他の
小さなジスルフィド結合タンパク質;並びにブドウ球菌プロテインA及びそのドメイン、他の3ヘリックスドメイン、リポカリン(lipocalins)、アンキリンリピートドメイン、セルロース結合ドメイン、γクリスタリン、緑色蛍光タンパク質、ヒト細胞傷害性Tリン
パ球関連抗原4、クニッツ(Kunitz)ドメインのようなプロテアーゼ阻害剤、PDZドメイン、SH3ドメイン、ペプチドアプタマー、スタフィロコッカスヌクレアーゼ、テンダミスタット、フィブロネクチンタイプIIIドメイン、トランスフェリン、ジンクフィンガー及びコノトキシンからなる群より選ばれるスカフォールド由来の結合タンパク質からなる群より選ばれうる。
【0058】
いくつかの実施態様において、前記標的結合ポリペプチドの結合のための標的分子は、アルツハイマー病のアミロイドβ(Aβ)ペプチド;他の疾患関連のアミロイドペプチド;細菌毒素及びヘビ毒のような毒素;フォンビルブランド(von Willebrand)因子のような血液凝固因子;IL−13のようなインターロイキン;ミオスタチン;TNF−α、TNF−α受容体、IL−1、IL−8及びIL−23のような炎症誘発性因子;C3及びC5のような補体因子;ヒスタミン及びIgEのような過敏症メディエーター(hypersensitivity mediators);CD19、CD20、CD22、CD30、CD33、CD40、CD52、CD70、cMet、HER1、HER2、HER3、HER4、CAIX(炭酸脱水酵素IX)、CEA、IL−2受容体、MUC1、PSMA、TAG−72のような腫瘍関連抗原;並びにG−CSF、GM−CSF、成長ホルモン(GH)、インスリン及びソマトスタチンのような他の生体分子からなる群より選ばれうる。
【0059】
当業者に理解されるように、第1の態様によるアルブミン結合ポリペプチドは、融合タンパク質において又は任意の他の部分のコンジュゲートパートナーとして有用でありうる。従って、治療活性ポリペプチド、結合ポリペプチド及び標的分子の上のリストは、なんら限定されるものとして解釈すべきではない。
【0060】
本開示による融合タンパク質又はコンジュゲートの一実施態様において、第2の部分は、アルブミン結合ポリペプチドのN若しくはC末端に加えられたリシン若しくはシステイン残基を介して又はアルブミン結合ポリペプチド内の位置で、例えばX
3、X
6及びX
14から選ばれる位置でリシン若しくはシステイン残基を介してアルブミン結合ポリペプチドにコンジュゲートされる。コンジュゲーション部位が、位置X
14のシステインのように、アルブミン結合ポリペプチドのアミノ酸配列i)内に1つである場合、第2の部分へのコンジュゲーションを可能にするために、さらなるアミノ酸を、アルブミン結合ポリペプチドに加える必要はない。i)によって定義されたポリペプチド鎖内のコンジュゲーション部位は、ポリペプチド、特にコンジュゲーション部位に近いポリペプチドの部分を交差反応抗体からさらに保護してもよい。理論によって拘束されることを望むわけではないが、アルブミン結合ポリペプチドを介したコンジュゲートが、生体内で血清アルブミンに結合するとき、すなわち、血清アルブミンの結合ポケット中に位置するとき、例えばアルブミン結合ポリペプチドを構成する3ヘリックスドメインのヘリックスの1つの中の位置にコンジュゲートされた第2の部分は、アルブミン結合ポリペプチドが結合する血清アルブミンから離れた向きにある可能性がある。さらに、アルブミン結合ポリペプチド内のコンジュゲーション部位は、例えば、抗原提示細胞中の処理における効果、MCHクラスII分子のペプチド結合溝中の潜在的ペプチド(potential peptides)の損なわれた適合、及びT細胞受容体に対して利用可能な改造されたペプチド表面(コンジュゲートされた部分が突き出ているため)のため、別途、ポリペプチドのこの部分からT細胞に誘導されたペプチド部分の提示を損うことがありうる。従って、結合部位近くのコンジュゲートの部分の免疫原性は、コンジュゲーション後にさらに低下することが予想される。
【0061】
本開示のアルブミン結合ポリペプチドと血清アルブミンとの間の高い親和性のため、このようなアルブミン結合ポリペプチドを含むコンジュゲート又は融合タンパク質は、血清アルブミンとの間接的な複合体(complex)とみなされうる。従って、本開示によるコン
ジュゲート又は融合タンパク質は、血清アルブミンとの直接コンジュゲート又は融合を活用する頻繁に用いられる方法の代替物を提供する。このような血清アルブミンとの直接コンジュゲートは、カップリングにどんな方法を用いるかにかかわらず、不均質であることが多い。特定の分子がリシン残基のアミノ基を介して血清アルブミンに結合されるとき、血清アルブミン分子の表面上の多数のリシンのいずれか1つが標的となることができ、それによりランダムコンジュゲーション部位及びランダム生成物が得られる。ヒト血清アルブミン中の1つの不対システインを介したチオールカップリング(34位において、Peters, 1985、前出)は、直接コンジュゲートを得るための代替方法を提供していると考えられるが、このような方法論は、しばしば均一な生成物をもたらさない。商業的に入手可能な(ヒト)血清アルブミン中の分子のうち20〜60%しか遊離チオール基を示さず、残りは、システイン、ホモシステイン又はグルタチオンのようなチオール化合物によってブロックされている。これに対して、本開示によるアルブミン結合ポリペプチドの3ヘリックスドメインへのコンジュゲーションは、部位特異的に実施してもよい。これは、上に議論されたように、1つ若しくはそれ以上のシステイン、セレノシステイン、又は明記されたリシンのいずれかへのカップリングによって実施してもよい(合成中に直交的に保護される(orthogonally protected))。
【0062】
本開示のこの態様によれば、所望の生物活性を有する第2の部分は、アルブミン結合ポリペプチドの3ヘリックスドメインとコンジュゲートさせるか又はそれとの融合タンパク質として製造されうる。本開示によるコンジュゲートの非限定的な例を下に示す。グルカゴン様ペプチド1(GLP−1)又はその誘導体は、アルブミン結合ポリペプチドとのコンジュゲート中で第2の部分として適切に存在しうる小さなポリペプチドである。アルブミン結合ポリペプチドへのGLP−1のコンジュゲ−ションは、上記のポリペプチド配列の位置のいずれか1つで実施されうる。コンジュゲートは、それ自体、非生物学的方法で製造してもよく、そしてGLP−1それ自体の効力と比較して有意に強化された効力を示すことが期待される。コンジュゲーションは、小さなポリペプチド若しくはタンパク質、例えばGLP−1、又はより大きなポリペプチド若しくはタンパク質の両方を用いてもよい。本開示によるコンジュゲートは、典型的に非アミノ酸スペーサー部分、例えばポリエチレングリコール(PEG)を含んでもよい。
【0063】
他のポリペプチド又はタンパク質を融合タンパク質の形態でアルブミン結合ポリペプチドのアミノ酸配列と合わせてもよい。さらに、このような融合タンパク質は、第1及び第2部分の間に1つ又はそれ以上のスペーサーアミノ酸残基を含んでもよい。
【0064】
上記のように、第1の態様によるアルブミン結合ポリペプチドは、マウス、ラット、イヌ及びカニクイザルマカクを含むいくつかの種からの血清アルブミンを結合する。従って、本開示による融合タンパク質又はコンジュゲートは、ヒト被験者だけでなく、動物モデルにおいても第2部分の生物学的効果の強化に寄与しうる。多くの内因性タンパク質は、ヒト血清アルブミンとの直接融合体として製造されてきており、このようなタンパク質の例としては、G−CSF、GH、インターフェロン、CD4、IL−2、インスリン、グルカゴン、GLP−1、抗体Fabフラグメント及びクニッツ(Kunitz)ドメイン由来タンパク質のようなプロテアーゼ阻害剤が含まれる。しかしながら、このような直接融合体は、動物モデルにおいて十分に評価されないことがありうる。これは、例えば一般的に用いられる動物モデルマウス及びラットにおいて、ヒト血清アルブミンが内因性Fc新生児受容体(FcRn)と適切に相互作用せず、そしてこの相互作用が、血清アルブミンの長い循環時間に寄与する重要な要因であるという事実のためである。上記のように、本開示によるコンジュゲート又は融合タンパク質は、血清アルブミンの存在下で、アルブミンと結合し、そしてアルブミンとの間接的融合体として機能しうる。これは、第1の態様によるアルブミン結合ポリペプチドを含むコンジュゲート又は融合タンパク質を、前臨床モデル種において有用にしているが、但し、第2の部分が選ばれた種において生物学的に活性である場合に限る。
【0065】
一実施態様において、第2の部分のそれと同じか又は異なってもよい、さらなる所望の生物活性を有するポリペプチドを構成するさらなる部分を含む融合タンパク質又はコンジュゲートが提供される。このような融合タンパク質又はコンジュゲートの1つの具体例としては、第2の部分として上に定義された治療活性なポリペプチド及びさらなる部分として上に定義された結合ポリペプチドが含まれる。
【0066】
第1の態様によるアルブミン結合ポリペプチドを組み込んでいる融合タンパク質又はコンジュゲートの上の説明に関して、留意すべきである。第1の、第2の及びさらなる部分の呼称は、一方において本開示によるアルブミン結合ポリペプチド又はポリペプチドと、もう一方において他の機能を示す部分との区別を明確にするために行った。これらの呼称は、融合タンパク質又はコンジュゲートのポリペプチド鎖中の異なるドメインの実際の順序を指すものではない。従って、例えば、前記第1の部分は、制限なしに、融合タンパク質又はコンジュゲートのN末端、中央、又はC末端に現れうる。
【0067】
関連した態様において、細胞傷害性薬剤のような有機分子をさらに含む、本開示において定義されたアルブミン結合ポリペプチド、融合タンパク質又はコンジュゲートが提供される。第1の態様によるアルブミン結合ポリペプチドに融合若しくはコンジュゲートされうるか、又は第2の態様による融合タンパク質若しくはコンジュゲートと合わせることができる細胞傷害性薬剤の非限定的な例は、カリケアマイシン、オーリスタチン(auristatin)、ドキソルビシン、マイタンシノイド(maytansinoid)、タキソール、エクテイナシジン、ゲルダナマイシン、メトトレキセート及びそれらの誘導体、並びにそれらの組み合わせから選ばれる。以前に、直接アルブミンコンジュゲートを用いてさまざまな障害を治療する試みが行われた。このような直接アルブミンコンジュゲートが、例えば、癌においてドキソルビシンと共に(Kratz et al, J Med Chem 45: 5523-33, 2002)、そして関節リウマチにおいてメトトレキサートと共に(Wunder et al, J Immunol 170:4793-4801, 2003)活用された。アルブミン結合ポリペプチドは、それ自体で又は融合タンパク質若しくはコンジュゲートの一部として、その高いアルブミン結合能力によってアルブミン複合体を構成する間接的な手段を提供し、従って、上に記載された試みと比較して、代替治療法を提供しうることを理解すべきである。
【0068】
さらに、上の態様は、例えば、ポリペプチドの検出のために、第1の態様によるアルブミン結合ポリペプチド、又は第2の態様による融合タンパク質又はコンジュゲート中に含まれるアルブミン結合ポリペプチドに、標識基、例えば蛍光色素及び金属、発色性色素、化学発光化合物及び生物発光タンパク質、酵素、放射性核種及び粒子からなる群より選ばれる標識が付与されたポリペプチドを包含する。特に、本開示は、本明細書に記載されたアルブミン結合ポリペプチド、融合タンパク質又はコンジュゲートの放射性キレート(radiochelate)、及び放射性金属のような放射性核種からなる放射性標識ポリペプチドを包含する。
【0069】
標識アルブミン結合ポリペプチドが、本開示の第1の態様によるアルブミン結合ポリペプチド及び標識を含む実施態様において、標識ポリペプチドは、例えば、間接的に血清アルブミンを標識化するために用いてもよい。標識ポリペプチドと血清アルブミンとの間の強い結合のため、標識ポリペプチドは、例えば血管透過性及び血液プールの研究に用いてもよい。
【0070】
別の実施態様において、標識アルブミン結合ポリペプチドは、所望の生物活性を有する第2の部分も含む融合タンパク質又はコンジュゲート中の一部として存在する。標識は、場合によっては、アルブミン結合ポリペプチドにしか結合されず、そして場合によっては、アルブミン結合ポリペプチド及びコンジュゲート又は融合タンパク質の第2の部分の両方に結合される。標識ポリペプチドについて言及する場合、これは、アルブミン結合ポリペプチド並びに第2の及び場合によりさらなる部分を含む融合タンパク質及びコンジュゲートを包含する、本明細書に記載されたポリペプチドのすべての態様への言及と理解しなければならない。従って、標識ポリペプチドは、アルブミン結合ポリペプチド及び、例えば、キレート化されるか若しくはアルブミン結合ポリペプチドに共有結合されうる治療的な放射性核種しか含まないか、又はアルブミン結合ポリペプチド、治療的な放射性核種及び第2の部分、例えば治療有効性のような所望の生物活性を有する小分子を含むことができる。
【0071】
アルブミン結合ポリペプチド、融合タンパク質又はコンジュゲートが放射性標識化される実施態様において、このような放射性標識ポリペプチドは、放射性核種を含んでもよい。大多数の放射性核種は、金属性を有し、そして金属は、典型的にタンパク質及びペプチド中に存在する元素と安定な共有結合を形成することができない。このため、放射性金属によるタンパク質及びペプチドの標識化は、キレート剤、すなわち、キレートと称する、金属イオンと非共有結合性化合物を形成する多座配位子を用いて実施される。アルブミン結合ポリペプチド、融合タンパク質又はコンジュゲートの実施態様において、放射性核種の取り込みは、キレート環境の提供を通して可能となり、それにより放射性核種は、ポリペプチドに配位結合、キレート化又は錯体形成されうる。
【0072】
キレート剤の一例は、ポリアミノポリカルボキシレートタイプのキレート剤である。このようなポリアミノポリカルボキシレートキレート剤は、2種類:大環状及び非環状キレート剤に分けることができる。一実施態様において、アルブミン結合ポリペプチド、融合タンパク質又はコンジュゲートは、システイン残基のチオール基又はリシン残基のイプシロンアミン基を介してアルブミン結合ポリペプチドにコンジュゲートされたポリアミノポリカルボキシレートキレート剤によって提供されたキレート化環境を含む。
【0073】
インジウム、ガリウム、イットリウム、ビスマス、放射性アクチニド及び放射性ランタニドの放射性同位体について最も一般的に用いられる大環状キレート剤は、DOTA(1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−四酢酸)の種々の誘導体である。一実施態様において、アルブミン結合ポリペプチド、融合タンパク質又はコンジュゲートのキレート環境は、DOTA又はその誘導体によって提供される。より詳しくは、本開示によって包含されるキレート化ポリペプチドの一群は、例えば実施例5に記載されたように、DOTA誘導体1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリス−酢酸−10−マレイミドエチルアセトアミド(マレイミドモノアミド−DOTA)を、例えば、アルブミン結合ポリペプチドのチオール基と反応させることによって製造される。
【0074】
高い動的不活性(kinetic inertness)、すなわちDOTAからの金属の遅い解離速度
は、放射性核種の安定な結合にとって好ましい。しかし、遅い結合速度のため、標識化には、高められた温度が必要である。このため、DOTA誘導体は、本開示のアルブミン結合ポリペプチドのような短いペプチドの標識化のために広く用いられ、これは、標識化反応に必要な温度でインキュベーションした後に結合機能を示す。
【0075】
最も一般的に用いられる非環式ポリアミノポリカルボキシレートキレート剤は、DTPA(ジエチレントリアミンペンタ酢酸)の種々の誘導体である。したがって、また、ジエチレントリアミン五酢酸又はその誘導体によって提供されるキレート環境を有するポリペプチドは、本開示によって包含される。
【0076】
DTPAの主鎖が修飾された半硬質変異体は、例えばZevalin
(R)の
90Yによる標識化に妥当な安定性をもたらすことがわかっている。非環状キレート剤は、あまり不活性でなく、そして、結果的に、大環状のものよりも安定性が低く、その標識化は、周囲温度でも十分に迅速である。このため、それは、本開示による融合タンパク質又はコンジュゲートの標識化に用いられると考えられる。タンパク質及びペプチドを標的設定するためののポリアミノポリカルボキシレートキレート剤のカップリングについての詳細なプロトコールは、Cooper等(Nat Prot 1: 314-7, 2006)によってそしてSosabowski及びMather(Nat Prot 1:972-6, 2006)によって公開されている。
【0077】
ポリアミノポリカルボキシレートキレート剤に結合された、本明細書に記載された態様によるアルブミン結合ポリペプチド、融合タンパク質又はコンジュゲートを用いて、キレート剤及び医用画像に適した放射性核種に結合されたアルブミン結合ポリペプチド、融合タンパク質又はコンジュゲートの放射性キレートからなる放射性標識ポリペプチドを提供してもよく、放射性核種は、
61Cu、
64Cu、
66Ga、
67Ga、
68Ga、
110mIn、
111
In、
44Sc及び
86Yからなる群より選ばれ、又は治療に適した放射性核種では、放射性核種は、
225Ac、
212Bi、
213Bi、
67Cu、
166Ho、
177Lu、
212Pb、
149Pm、
153Sm、
227Th及び
90Yからなる群より選ばれ、ここにおいて、放射性核種はキレート
剤を介してアルブミン結合ポリペプチドと複合体形成される。
【0078】
また、その実施態様において、いわゆる間接標識化を用いて非金属放射性同位体によりポリペプチドを放射性標識化してもよい。従って、例えば
18F、
76Brで標識化するために、異なるヨウ素同位体及び
211At、中間体「リンカー分子」が標識化に用いられる。
このようなリンカー分子は、2つの機能的部分を含んでいなければならず、1つは迅速かつ効率的な放射性標識化をもたらし、そしてもう1つは、タンパク質への、例えばアミン基への、又は好ましくは、アルブミン結合ポリペプチドの位置X
14におけるような、唯一の(unique)システインのチオール基への迅速かつ効率的なカップリングを可能にする。例えばマレミド基は、チオール基と反応して安定なチオエーテル結合を形成する。「リンカー分子」は、最初に放射性標識と、そしてその後、タンパク質のチオール又はセレノチオール基と反応させてもよい。
【0079】
別の態様において、本明細書に記載されたアルブミン結合ポリペプチド又は融合タンパク質をコード化するポリヌクレオチドが提供される。また、ポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドを含む発現ベクター、そして発現ベクターを含む宿主細胞を発現することを含む、上記のアルブミン結合ポリペプチド又は融合タンパク質の製造方法が包含される。
【0080】
別法として、本開示のアルブミン結合ポリペプチドは、保護された反応性側鎖を有するアミノ酸及び/又はアミノ酸誘導体を用いる非生物学的ペプチド合成によって製造してもよく、非生物学的ペプチド合成は、アミノ酸及び/又はアミノ酸性誘導体を段階的にカップリングして、保護された反応性側鎖を有する第1の態様によるポリペプチドを形成し、ポリペプチドの反応性側鎖から保護基を除去し、そして水溶液中でポリペプチドを折り畳むことを含む。
【0081】
従って、通常のアミノ酸(例えばグリシン、アラニン、フェニルアラニン、イソロイシン、ロイシン及びバリン)及び予め保護されたアミノ酸誘導体を用いて溶液中又は有機溶媒中の固体支持体上で順にポリペプチド配列を構築する。固体支持体上のペプチド合成の1つの具体例を実施例5に記載する。完全なポリペプチド配列が構築されたときに、保護基を除去し、そしてポリペプチドを水溶液中で折り畳ませる。本開示による各ポリペプチドは、付加的要因なしで3ヘリックスバンドルドメインに可逆的に折り畳まれ、従って、自発的に折り畳まれる。
【0082】
第2の態様によるコンジュゲートは、非生物学的ペプチド合成によるような、上記の方法のいずれかによるアルブミン結合ポリペプチドを製造し、そして製造されたアルブミン結合ポリペプチドを第2の態様と関連して定義された第2の及び/又はさらなる部分とコンジュゲートすることを含む方法によって製造されうる。
【0083】
融合タンパク質又はコンジュゲートの一実施態様において、治療に使用するための、例えば薬剤として使用するための、本明細書に定義された融合タンパク質又はコンジュゲートがさらに提供される。このような融合タンパク質又はコンジュゲートは、それ自体で所望の生物活性を有するポリペプチドのin vivo半減期より長いin vivo半減期を示しうる。さらに、融合タンパク質又はコンジュゲートは、それ自体で所望の生物活性を有するポリペプチドについて、哺乳動物に投与すると誘発される免疫応答と比較して、ヒトのような哺乳動物に投与にすると、免疫応答が誘発されないか又は低下される。別の言い方をすれば、これにより、このようなポリペプチドの、本明細書に開示された態様によるアルブミン結合ポリペプチド、融合タンパク質又はコンジュゲートへの融合又はコンジュゲーションを通して、所望の生物活性を有するポリペプチドの免疫原性を低下させる方法が提供される。さらに、これは、第2の部分の生物活性の強化を可能にすることができる。
【0084】
別の実施態様において診断に使用するため、例えば診断剤として使用するための、本開示による融合タンパク質又はコンジュゲートが提供される。
【0085】
また、本開示は、上記のアルブミン結合ポリペプチドを用いた異なる態様、並びにポリペプチドが、その結合及び他の特性のため有用である、治療、診断及び検出のためのさまざまな方法に関する。これらの使用及び方法の以下の説明において「アルブミン結合ポリペプチド」に言及する場合、この用語は、アルブミン結合ポリペプチドだけでなく、例えば、融合タンパク質又はコンジュゲート中の一部としてアルブミン結合ポリペプチドが組み込まれた、及び/又は標識、キレート剤、治療及び/又は診断剤にコンジュゲートされた、及び/又はタグとして又は他の目的でさらなるアミノ酸残基が付与された上記のこのポリペプチドに基づくすべてのそれらの分子を包含するものとする。上で説明されたように、このような融合タンパク質、誘導体などは、本開示の一部を構成する。
【0086】
別の一連の態様は、難溶性化合物の水溶液中での溶解性を、アルブミン結合ポリペプチド、融合タンパク質又はコンジュゲートへのそのコンジュゲーションを通して高めるための新たな手段の提供に関する。難溶性化合物及び単独の又は融合タンパク質若しくはコンジュゲート中の一部として組み込まれたアルブミン結合ポリペプチドのその後の複合体(ensuing complex)は、in vivo又はin vitvoでアルブミンと結合することができ、その結合は、水溶液中の溶解度を高める。
【0087】
従って、このさらなる態様の実施態様において、本明細書に記載されたアルブミン結合ポリペプチド、融合タンパク質又はコンジュゲートに結合された、それ自体で100μg/mlを超えない水への溶解度を有する化合物;を含み、ここにおいて化合物とアルブミン結合ポリペプチド、融合タンパク質又はコンジュゲートと共有結合された組成物が提供される。
【0088】
一実施態様において、化合物は、それ自体で10μg/mlを超えない溶解度を有する。さらに別の実施態様において、前記溶解度は、1μg/mlを超えない。
【0089】
いくつかの実施態様において、化合物は、薬学的に活性な化合物、例えば細胞傷害性薬剤であってもよい。細胞傷害性薬剤の非限定的な例としては、カリケアマイシン、オーリスタチン、ドキソルビシン、マイタンシノイド、タキソール、エクテイナシジン、ゲルダナマイシン及びそれらの誘導体、並びにそれらの組み合わせから選ばれるものである。あるいは、細胞傷害性薬剤は、有機合成によって作られ、そして天然産生化合物由来でない合成ケモトキシン(chemotoxin)であってもよい。
【0090】
難溶性化合物及びアルブミン結合ポリペプチド、融合タンパク質又はコンジュゲートに加えて、本開示のこの態様による組成物は、いくつかの実施態様において、また、臨床関連の標的に対して親和性を有する結合ポリペプチドを含む。この結合ポリペプチドは、アルブミン結合ポリペプチドとは適当に異なり、そして本発明の組成物の他の成分に非共有結合的に結合するか又は共有結合してもよい。非限定的な例として、臨床関連の標的に対して親和性を有する結合ポリペプチドは、抗体並びに抗体結合活性を実質的に保持しているそのフラグメント及びドメイン;マイクロボディ、マキシボディ、アビマー、及び他の小さなジスルフィド結合タンパク質;並びに、ブドウ球菌プロンテインA及びそのドメイン、他の3ヘリックスドメイン、リポカリン、アンキリンリピートドメイン、セルロース結合ドメイン、γクリスタリン、緑色蛍光タンパク質、ヒト細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4、プロテアーゼ阻害剤、例えばクニッツ(Kunitz)ドメイン、PDZドメイン、SH3ドメイン、ペプチドアプタマー、スタフィロコッカスヌクレアーゼ、テンダミスタット、フィブロネクチンタイプIIIドメイン、トランスフェリン、ジンクフィンガー及びコノトキシンからなる群より選ばれるスカフォールド由来の結合タンパク質からなる群より選ばれうる。
【0091】
本開示の上の態様による組成物は、それ自体で又は融合タンパク質若しくはコンジュゲート中の存在として、アルブミン結合ポリペプチドの組成物で提供することにより、in vivo又はin vitvoでアルブミンと結合する能力を有する。ある種の場合、生体外にアルブミンと組成物の複合体を形成すること、すなわち外因性アルブミンを組成物に加えることは有益でありうる。このような組成物は、凍結乾燥してもよく、周囲温度での貯蔵に適した製剤が提供される。従って、また、本開示は、ヒト血清アルブミンのようなアルブミンをさらに含む上に定義された組成物を提供する。
【0092】
また、本開示は、化合物が治療活性化合物である場合、薬剤として使用するための、すなわち治療に使用するための、上の態様による組成物を提供する。適切なことに、アルブミン結合ポリペプチド、融合タンパク質又はコンジュゲート及び場合によりアルブミンの提供は、活性化合物の治療有効性に有害な影響を及ぼすことがないので、本発明の組成物は、化合物それ自体が指示されるその治療又は予防設定において有用である。
【0093】
別の実施態様において、診断剤として使用するための、すなわち診断に使用するための上の態様による組成物が提供される。
【0094】
本開示の関連した態様は、すぐ上に記載された組成物の製造方法を提供する。
方法は、
それ自体で100μg/mlを超えない水に対する溶解度を有する化合物を備える工程;そして
化合物を、本明細書に記載された態様によるアルブミン結合ポリペプチド、融合タンパク質又はコンジュゲートに共有結合させ、こうして化合物及びアルブミン結合ポリペプチド、融合タンパク質又はコンジュゲートの共有結合性複合体を含む組成物を形成する工程;
を含む。
【0095】
アルブミンが組成物中に含まれる本開示の実施態様において、方法は、化合物及びアルブミン結合ポリペプチド、融合タンパク質又はコンジュゲートの前記複合体をアルブミンと混合し、こうしてi)化合物及びアルブミン結合ポリペプチド、融合タンパク質又はコンジュゲートの共有結合性複合体、及びii)アルブミンの非共有結合性複合体を含む組成物を形成するさらなる工程を含んでもよい。この非共有結合性複合体の2つの成分の相対的比率は、難溶性化合物及びアルブミン結合ポリペプチド、融合タンパク質又はコンジュゲートの複合体の1つのユニットが、アルブミンの1分子と結合するように、例えば1:1であってもよい。一実施態様において、方法は、非共有結合性複合体を凍結乾燥して凍結乾燥された組成物を得ることをさらに含む。
【0096】
別の密接に関連した態様において、本開示は、それ自体で100μg/mlを超えない水への溶解度を有する化合物を備える工程;
化合物を、本明細書に記載された態様によるアルブミン結合ポリペプチド、融合タンパク質又はコンジュゲートに共有結合させ、こうして化合物及びアルブミン結合ポリペプチド、融合タンパク質又はコンジュゲートの共有結合性複合体を形成する工程;並びに
アルブミン結合ポリペプチドとアルブミンとの非共有結合性結合を促進する条件下で化合物及びアルブミン結合ポリペプチド、融合タンパク質又はコンジュゲートの前記複合体をアルブミンと混合する工程;
を含み、
それによって、前記複合体中の化合物の水への溶解度が、化合物それ自体の水への溶解度より大きくなる、化合物の水溶解度を高める方法を提供する。
【0097】
難溶性化合物の溶解度に関するこれらの方法の態様において、さまざまな成分の任意の特徴は、直ぐ前の組成物の態様に関連して記載されたとおりである。
【0098】
本発明を、さまざまな例となる実施態様に関して記載してきたが、本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更を行うことができ、そしてそれらの要素を同等のものと置き換えることができることは、当業者によって理解される。さらに、その必須の範囲を逸脱することなく、多くの改変を行って特定の状況又は分子を本発明の教示に適合させることができる。従って、本発明は、本発明を実施するために考えられた任意の特定の実施態様に限定されることなく、本発明は、添付の特許請求の範囲内にあるすべての実施態様を包含するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【
図1-1】本開示のアルブミン結合ポリペプチド(配列番号:1−152、配列番号:155−203)、N末端グリシン残基によって延長されたレンサ球菌菌株G148のGタンパク質からのGA3ドメイン(配列番号:153)、そして、以前にJonsson等によって記載されたG148−GA3から誘導されたアルブミン結合ポリペプチド(前出、配列番号:154)の例となるアミノ酸配列のリストである。
【
図2】ヒト血清アルブミンへのアルブミン結合ポリペプチドPEP07912(配列番号:157)の結合を研究するため、Biacore機器において実施された結合分析の結果を示す。3種の異なる濃度の精製タンパク質(40nM、太い灰色の線;10nM、黒色の線;そして2.5nM、灰白の線)を955RUの固定化ヒト血清アルブミンを有する表面上に注入した。
【
図3】126人の正常なヒト血清中に存在するIgG分子に対する、アルブミン結合ポリペプチドPEP07913(配列番号:153)、PEP06923(配列番号:154)、PEP07271(配列番号:155)、PEP07912(配列番号:157)、PEP07554(配列番号:156)、PEP07914(配列番号:158)、PEP07968(DOTAコンジュゲート化PEP07911、配列番号:159)及びPEP07844(配列番号:161)の結合を調べるため、ELISAによって実施された結合分析の結果を示し、ここでA)は、平均OD値を示し、B)は、陰性血清(OD<0.15として定義される)のパーセンテージを示し、そしてC)は、陽性血清(OD>1.0として定義される)のパーセンテージを示す。
【
図4】化学的に製造して精製されたアルブミン結合ポリペプチドPEP07834(配列番号:160)の分析を示すクロマトグラムであり、ここで、A)は、ブランクを減算された、220nmでの吸光度シグナルを示し、そしてB)は、ブランクを減算された、280nmでの吸光度シグナルを示す。いずれの波長でも2つのピークが現れた。
【
図5】
図4A)及びB)で特定された2つのピークの質量分光分析を示すスペクトログラムである。A)は、第1のピーク、すなわちPEP07834(配列番号:160)の単量体のスペクトログラムであり、そしてB)は、PEP07834の二量体のスペクトログラムである。
【
図6】CD3
+CD4
+T細胞増殖アッセイにおけるアルブミン結合ポリペプチドPEP07913(配列番号:153)、PEP07912(配列番号:157)、PEP07914(配列番号:158)及びPEP07968(DOTAコンジュゲート化PEP07911、配列番号:159)の免疫原性評価を示す図である。A)は、52人の白色人種のドナーのコホート中、組換え型ヒトアルブミンと比較してアルブミン結合ポリペプチドに反応する人の数を示す。B)は、組換え型ヒトアルブミンを含む陰性対照と比較したPEP07913、PEP07912、PEP07914及びPEP07968についての平均刺激指数(SI)を示す。C)は、緩衝液対照と比較した、本研究におけるすべてのタンパク質に対して反応する人の数を示す。
【
図7】異なる種からのアルブミンに対するアルブミン結合ポリペプチドA)PEP07986(配列番号:163)、B)PEP08296(DOTAコンジュゲート化PEP08185、配列番号:148)及びC)PEP06923(配列番号:154)の結合を調べるため、Biacore機器において実施された結合分析の結果を示す。示されたセンサーグラムは、ヒト(1130RU)、細い灰色の線;カニクイザル(1046RU)、太い灰色の線;ラット(831RU)、太く薄い灰色の線;イヌ(1053RU)、細い黒色の線;そしてマウス(858RU)、太い黒色の線からのアルブミンで固定化された表面上に40nMの濃度で注入されたタンパク質に相当する。
【
図8】5倍モル過剰のHSAの存在下でサイトカインによって誘発されたTF−1細胞増殖における、Z
X−PP013(白丸)、Z
Y−PP013(白四角)及びZ
neg−PP013(黒三角)の抑制効果を示す。
【
図9】10nMの濃度で固定化されたHSA(704RU)上に注入され、2mg/mlの濃度で、4、25又は40℃で、指示通り1週間、2週間、1ヵ月及び3ヵ月貯蔵された、PEP07986(配列番号:163)のBiacore分析によって得られた最大結合反応を示す。時間=0からの無処置サンプルを参照として示す。
【
図10】熱処理の前及び後のヒト血清アルブミンに対するアルブミン結合ポリペプチドPEP08296(DOTAコンジュゲート化PEP08185、配列番号:148)の結合を調べるために、Biacore機器で実施された結合分析の結果を示す。2種の濃度のPEP08296(0.8nM、灰色の線;4nM、黒い線)を724RUの固定化ヒト血清アルブミンを有する表面に注入した。実線は、熱処理前であり、そして斜線は、90℃で10分間の熱処理後である。
【
図11】90℃で12分間の熱処理の前及び後のPEP08296(DOTAコンジュゲート化PEP08185、配列番号:148)の2つのCDスペクトルのオーバレイを示す。A)PBS pH7.2中でインキュベートされたサンプル。B)PBS pH4.0中でインキュベートされたサンプル。
【
図12】静脈内注射(尾静脈)直後1.5時間のデータ収集中にまとめられた、健常ラットにおける
68Ga−PEP08296の全身分布の最大値投影法(MIP)画像を示す。主要血管(例えば頸静脈(長い矢印)及び大腿(短い矢印))、心臓(H)、肝臓(L)、脾臓(S)、腎臓(K)及び膀胱(B)における循環放射能が、直ちに描写された。
【
図13】42mg/mlの濃度で注入されたPEP07986(配列番号:163)のゲル濾過クロマトグラム、黒色の実線を示す。5mg/mlの濃度で注入されたオボアルブミン(Mw43kDa)のクロマトグラム、灰色の破線は、比較のために含まれており、PEP07986についてのピークは、オボアルブミンより早い時点で溶離された空隙容量において予想された凝集物ではないことが確認された。
【0100】
ここで、本発明により実施された実験の非限定的な説明を通してさらに本発明を説明する。特に明記しない限り、従来の化学及び分子生物学の方法を一貫して用いた。
【0101】
実施例
実施例1:
アルブミン結合ポリペプチドのクローニング、発現、精製及び特性評価
この実施例では、アミノ酸配列が
図1及び添付の配列リストに提示された10種の異なるアルブミン結合ポリペプチド、PEP07913(配列番号:153)、PEP07912(配列番号:156)、PEP07914(配列番号:158)、PEP07968(DOTAコンジュゲート化PEP07911、配列番号:159)、PEP06923(配列番号:154)、PEP07271(配列番号:155)、PEP07554(配列番号:156)、PEP07844(配列番号:161)、PEP07986(配列番号:163)及びPEP08296(DOTAコンジュゲート化PEP08185、配列番号:148)を、クローニングし、精製し、そして特徴付けた。
【0102】
物質及び方法
アルブミン結合ポリペプチド変異体のクローニング
適当なオリゴヌクレオチドで部位特異的突然変異誘発法を用いてG148−GA3中に突然変異を生じさせて所望のアルブミン結合ポリペプチド変異体を得た。アルブミン結合ポリペプチド変異体の前に特定のエンドヌクレアーゼ部位及びN末端MGSS配列を加えるプライマーを用いて遺伝子フラグメントをPCRによって増幅した。フラグメントをNdeI及びNotIで切断し、精製し、そしてクローニングベクター、プラスミドpAY02556(興味の遺伝子を発現するためにpBR322からの複製起点、カナマイシン耐性遺伝子及びT7プロモーターを含む)に連結し、同じ酵素で制限した。ライゲーションをエレクトロコンピテントE. coli TOP10セルに形質転換した。形質転換細胞を、50
μg/mlのカナマイシンで補充されたTBABプレート(30g/lトリプトース血液寒天培地ベース)上に広げ、続いて37℃で一夜インキュベーションした。PCRを用いてコロニーをスクリーニングし、そしてビオチン化オリゴヌクレオチド及びBigDye
(R) Terminator v3.1 Cycle Sequencing Kit (Applied Biosystems)を用いて製造者のプロトコールに従って、増幅されたフラグメントのシークエンシングを行った。Magnatrix 8000(NorDiag AB)を用いて、磁性ストレプトアビジンコーティングビーズへの結合によってシークエンシング反応物を精製し、そしてABI PRISM
(R) 3100 Genetic Analyzer(PE Applied Biosystems)で分析した。すべてのアルブミン結合ポリペプチド変異体を、単量体としてサブクローニングし、そして発現ベクターによってコードされた構築物は、MGSS[PP###]であり、ここでPP###は、アルブミン結合ポリペプチドの配列を構成するアミノ酸残基に対応する。
【0103】
さらに、アルブミン結合ポリペプチドの配列を構成するアミノ酸残基の前に特定のエンドヌクレアーゼ部位並びにヘキサヒスチジン配列、TEVプロテアーゼ部位及びグリシン残基を加えるプライマーを用いてG148−GA3、PP007(配列番号:7)、PP013(配列番号:13)及びPP037(配列番号:37)の遺伝子フラグメントをPCRによって増幅した。ポリペプチドPEP07913(配列番号:153)、PEP07912(配列番号:157)、PEP07914(配列番号:158)及びPEP07968(配列番号:159)は、グリシン残基を加えられたアルブミン結合ポリペプチドG148−GA3、PP007(配列番号:7)、PP013(配列番号:13)及びPP037(配列番号:37)に対応する。フラグメントをXbaI及びNotIで切断し、精製し、そしてクローニングベクター、プラスミドpAY02512(興味の遺伝子を発現するためにpBR322から複製起点、カナマイシン耐性遺伝子及びT7プロモーターを含む。クローニング部位は、ヘキサヒスチジンタグを含むペプチドをコードする配列の前、TEVプロテアーゼのための切断部位の後にある)に連結し、同じ酵素で制限した。ライゲーション、形質転換及び配列検証は、上記の通り実施した。4つのアルブミン結合ポリペプチド変異体G148−GA3、PP007、PP013及びPP037を単量体としてサブクローニングし、そして発現ベクターによってコードされた構築物は、MGSSHHHHHHLQSSGVDLGTENLYFQG[PP###]であった。
【0104】
MGSSHHHHHHLQSSGVDLGTENLYFQG[PP013]をコードする発現ベクターを、部位特異的突然変異誘発法によってさらに修飾し、オリゴヌクレオチドを用いて、アルブミン結合ポリペプチドの配列を構成するアミノ酸残基の前にセリン残基を挿入して、構築物MGSSHHHHHHLQSSGVDLGTENLYFQGS−[PP013]を得た。この構築物を、1)部位特異的突然変異誘発法によってさらに修飾して、14位(PP013内)でセリン残基をシステイン残基により置換し、MGSSHHHHHHLQSSGVDLGTENLYFQGS−[PP049]を生成し、そして2)C末端へのグリシン残基の付加によってさらに修飾して、MGSSHHHHHHLQSSGVDLGTENLYFQGS[PP049]−Gを生成した。C末端へのグリシンの付加は、グリシン残基及び特定のエンドヌクレアーゼ部位をコードするヌクレオチドを含むプライマーを用いてPCR増幅によって実施した。フラグメントをXbaI及びNotIで切断し、精製し、そしてクローニングベクター、プラスミドpAY02641(興味の遺伝子を発現するためにpBR322からの複製起点、カナマイシン耐性遺伝子及びT7プロモーターを含む)に連結し、同じ酵素で制限した。ライゲーション、形質転換及び配列検証は、上記の通り実施した。
【0105】
タンパク質発現
N末端MGSS伸張又はN末端His
6−タグのいずれか、続いてTEV−プロテアーゼ認識部位及びグリシン残基を用いて、アルブミン結合ポリペプチド変異体を、大腸菌BL21(DE3)中で発現させた。各アルブミン結合ポリペプチド変異体のコロニーを用いて50μg/mlの濃度にカナマイシンで補充されたTSB+YE培地4mlに接種した。培養物を37℃で約5時間増殖させた。それぞれの培養物から3mlを用いて、パラレルバイオリアクター(Greta system, Belach Bioteknik AB)中で、50μg/mlの
濃度にカナマイシンで補充されたTSB+YE800mlに接種した。800ml/分での通気、そして溶存酸素レベルを30%より上に保つ撹拌プロファイルにより、37℃でOD600 2まで培養を実施し、続いて最終濃度0.5mMまでIPTGを添加した。
培養を5時間続け、その後、培養物を10℃に冷却し、通気を止め、そして撹拌を300rpmに下げた。細胞沈殿物を遠心分離(15600×g、4℃、20分)によって集め、そして精製まで−20℃で貯蔵した。
【0106】
His
6−タグ及びTEV−プロテアーゼ部位を有するアルブミン結合ポリペプチド変異体の精製
1000 U Benzonase
(R)(1.01654.001, Merck)を添加された結合バッファー(20mM
ナトリウムリン酸、0.5M NaCl、20mMイミダゾール、pH7.4)35ml中で、可溶性ヘキサヒスチジンタグ付きのポリペプチドPEP07913(配列番号:153)、PEP07912(配列番号:156)、PEP07914(配列番号:158)、PEP07968(配列番号:159)、PEP07986(配列番号:163)及びPEP08185(配列番号:148)を含む凍結された細胞沈殿物を懸濁し、そして超音波処理によって破壊した。ポリペプチドのそれぞれについて、超音波処理した懸濁液を遠心分離(1時間、37000×g、4℃)によって清澄化(clarified)し、そして上澄みをHis GraviTrap
TMカラム(11-0033-99, GE Healthcare)上に装填した。カラムを洗浄バッファー(20mMリン酸ナトリウム、0.5M NaCl、60mMイミダゾール、pH7.4)10mlで洗浄した後、溶離バッファー(20mMリン酸ナトリウム、0.5M NaCl、0.5Mイミダゾール、pH7.4)3mlでポリペプチドを溶離した。PD−10脱塩カラム(17-0851-01, GE Healthcare)を用いてバッファーを切断バッファー(50mM Tris−HCl、150mM NaCl、pH8)に交換した。280nmで吸光度を測定することによってポリペプチド生成物の量を決定した後、DTTを最終濃度5mMまで加えた。His
6タグ付きのTEVプロテアーゼを、ポリペプチド生成物に対して1:10の質量比率で切断バッファーに加えた。緩速混合下、4℃で切断を一夜実施した。切断混合物にイミダゾールを20mMの濃度まで加えた後、切断されたHis
6−タグ、His
6−タグ付きのTEVプロテアーゼ及びHis
6−タグ付きの非切断生成物を除去するため、混合物をHis GraviTrap
TMカラム(11-0033-99, GE Healthcare)に装填した。
【0107】
各変異体について、アルブミン結合ポリペプチド変異体を含むフロースルー(flow-through)を、以下のように逆相クロマトグラフィ(RPC)によってさらに精製した。予めRPC Aバッファー(水中の0.1%TFA)で平衡にした1ml Resource 15 RPCカラム(GE Healthcare)にフロースルー画分を装填した。カラムを10カラム体積(CV)のRPC Aバッファーで洗浄した後、結合したポリペプチドを、10CV中に0〜50%RPC Bバッファー(アセトニトリル中の0.1%TFA)の線状勾配で溶離した。流速は2ml/分であり、そして280nmで吸光度をモニターした。アルブミン結合ポリペプチド変異体を含む画分をSDS−PAGE分析によって特定し、そして貯めた。
【0108】
RPCで精製されたアルブミン結合ポリペプチド変異体を、XK16カラム(GE Healthcare)中に充填された120 ml Superdex 75(GE Healthcare)上のゲル濾過によってさらに精製した。ランニングバッファー(running buffer)は、1×PBS、そして流速2ml/分であった。純粋なアルブミン結合ポリペプチド変異体を含む画分を貯め、そして約1.3mg/mlに濃縮した。最後に、製造者の勧告に従ってAffinityPak Detoxi-Gel Endotoxin除去ゲル(Pierce、prod#20344)の1mlカラムを用いて、残っている微量のエンドトキシンのから濃縮物を精製した。
【0109】
以下のようにRPC精製工程の前にアルブミン結合ポリペプチド変異体PEP07911及びPEP08185をMal−DOTAにコンジュゲートした。使い捨てのPD−10脱塩カラム(GE Healthcare)を用いて、IMAC−FT精製工程からのフロースルー画分のバッファーを0.2M NaAc(pH5.5)に交換した。マレイミド−モノ−アミド−DOTA(大環状化合物、カタログ番号B−272)を5倍モル過剰で加え、そして連続振盪下、30℃で60分間インキュベートした。生成したポリペプチドを、それぞれPEP07968及びPEP08296と表した。
【0110】
His
6−タグなしのアルブミン結合ポリペプチド−変異体の精製
可溶性アルブミン結合ポリペプチド変異体PEP06923(配列番号:154)、PEP07271(配列番号:155)、PEP07554(配列番号:156)及びPEP07844(配列番号:161)を含む凍結された細胞沈殿物を20mM Tris−
HCl(pH8)中に懸濁し、そして超音波処理によって破壊した。ポリペプチド変異体のそれぞれについて、超音波処理された懸濁液を遠心分離(30分、32000×g、4℃)によって清澄化し、そして上澄みをHSA-Sepharoseカラム(GE Healthcare)上に装填した。TST−バッファー(25mM Tris−HCl、1mM EDTA、200mM NaCl、0.05%Tween 20、pH8.0)、続いて5mM NH4Ac、pH5.5で洗浄した後、結合したアルブミン結合ポリペプチド変異体を0.5M HAc(pH3.2)で溶離した。
【0111】
以下のようにアルブミン結合ポリペプチド変異体を逆相クロマトグラフィ(RPC)によってさらに精製した。変異体のそれぞれについて、HSA−親和性精製工程からの溶出液を、予めRPC Aバッファー(水中の0.1%TFA)で平衡にした1ml Resource 15 RPCカラム(GE Healthcare)上に装填した。カラムを10CVのRPC Aバッファーで洗浄し、結合したポリペプチドを10CV中の0〜50%RPC Bバッファー(アセトニトリル中の0.1%TFA)の線状勾配で溶離した。流速は2ml/分であり、そして280nmで吸光度をモニターした。純粋なアルブミン結合ポリペプチド変異体を含む画分を、SDS−PAGE分析によって特定し、そして貯めた。最後に、使い捨てのPD−10脱塩カラム(GE Healthcare)を用いてバッファーを1xPBS(2.68mM KCl、137mM NaCl、1.47mM KH
2PO
4、8.1mM Na
2HPO
4、
pH7.4)に交換した。
【0112】
精製されたアルブミン結合ポリペプチド−変異体の特性評価
NanoDrop
(R) ND-1000分光光度計を用いて280nmで吸光度を測定することによって濃度を評価した。タンパク質をSDS−PAGE及びLC−MSでさらに分析した。
【0113】
SDS−PAGE分析のため、それぞれアルブミン結合ポリペプチド変異体約10μgをNuPAGE LDサンプルバッファー(Invitrogen)と混合し、70℃で15分間インキュベートし、そしてNuPAGE 4〜12%のBis−Tris Gels(Invitrogen)上に装填した。分子量マーカーとしてSharp Prestained Standard(Invitrogen)を用い、そして染色のためPhastGel BlueR(GE Healthcare)を用いて、XCell II SureLock Electrophoresis Cell(Novex)中で、NuPAGE MES SDS Running Buffer(Invitrogen)によりゲルを動かした。
【0114】
アルブミン結合ポリペプチド変異体の同一性をチェックするため、API−ESI及び単一四重極型(single quadruple)質量分析器を備えたAgilent 1100 LC/MSDシステムを
用いてLC/MS分析を実施した。精製されたアルブミン結合ポリペプチド変異体のそれぞれ約10μgを、0.5ml/分の流速でZorbax 300SB-C8 Narrow-Boreカラム(2.
1×150mm、3.5μm、Agilent Technologies)上に装填した。0.5ml/分で15分間、10〜70%の溶液Bの線状勾配を用いてポリペプチドを溶離した。分離を30℃で実施した。280及び220nmでイオンシグナル及び吸光度をモニターした。精製されたアルブミン結合ポリペプチド変異体の分子量をMSによって確認した。
【0115】
結果
アルブミン結合ポリペプチド変異体の発現レベルは、SDS−PAGE分析から推定して生成物10〜30mg/g細胞沈殿物であった。
【0116】
すべての変異体について、SDS−PAGE分析により決定された純度は、95%を超え、そしてLC/MS分析により正確な分子量を確認した。精製後、10種のアルブミン結合ポリペプチド変異体のそれぞれについて純粋なポリペプチド1〜8mgを得た。
【0117】
実施例2:
アルブミン結合ポリペプチドについての親和性測定
この実施例では、Biacore機器を用いてヒト血清アルブミン(HSA)に対する親和性
について、実施例1で合成又は発現し、そして精製されたPEP06923(配列番号:154)、PEP07271(配列番号:155)、PEP07844(配列番号:161)、PEP07912(配列番号:157)、PEP07913(配列番号:153)、PEP07914(配列番号:158)及びPEP07968(DOTAコンジュゲート化PEP07911、配列番号:159)を特徴付けた。PEP07913は、N末端グリシン残基が付加されたG148−GA3のアミノ酸配列に相当するのに対して、PEP07271、PEP07844、PEP07912、PEP07914及びPEP07968は、異なるN末端アミノ酸付加によるPP001(配列番号:1)、PP043(配列番号:43)、PP007(配列番号:7)、PP013(配列番号:13)及びPP037(配列番号:37)のアルブミン結合ポリペプチドに相当する。
【0118】
物質及び方法
Biacore2000機器(GE Healthcare)におけるBiosensor分析をHSA(Albucult
(R), Novozymes)で実施し、製造者の勧告に従ってCM−5チップ(研究グレード;GE Healthcare)表面のカルボキシル化されたデキストラン層上へのアミンカップリングによって固定化した。チップの表面1を活性化し、そして不活性化し、そして注入中に参照細胞(ブランク表面)として用いたのに対して、表面2は、731レゾナンスユニット(RU)に固定化されたHSAを含み、そして表面4は、955RUに固定化されたHSAを含んだ。精製されたアルブミン結合ポリペプチド変異体をランニングバッファーHBS−EP(GE Healthcare)中で2.5nM、10nM及び40nMに希釈し、そして50μl/分の一定流速で5分間注入し、続いて60分間HBS−EPを注入した。10mM、HCl 25μlの1回注入により表面を再生した。親和性測定は、2セットで実施し;第1セットでは、HBS−EP、PEP06923、PEP07271、PEP07912、PEP07913、PEP07914及びPEP07968を注入し(チップ表面2)、そして第2セットでは、HBS−EP、PEP06923、PEP07844、PEP07912及びPEP07914を注入した(チップ表面4)。対照としてそれぞれのランでPEP06923を2回注入した。BiaEvaluationソフトウェア(GE Healthcare)を用いて結果を分析した。リガンド表面の曲線からブランク表面の曲線を減算した。
【0119】
結果
Biacore 2000機器は、技術的な制限があり、非常に高い親和性の測定が妨げられた。したがって、Biacore研究の目的は、HSAに対するアルブミン結合ポリペプチド変異体の親和性の正確な動態パラメータを決定することではなかった。しかし、結果からアルブミンに対するこれらのポリペプチドの相対的親和性の定量的評価を得た。参照表面及びバッファー注入の減算後、BIAevaluationソフトウェアを用い、物質移動について補正し、そ
して局所的パラメーターとしてRUmaxを設定して曲線を1:1(Langmuir)結合モデルに適合させた。曲線を
図2に示す。相対的K
D、k
a(k
on)、及びk
d(k
off)値を
評価し、そして下の表に示した。
【0120】
【表1】
【0121】
【表2】
【0122】
表1及び2に示すように、PEP07271(配列番号:155)、PEP07844(配列番号:161)、PEP07912(配列番号:157)、PEP07914(配列番号:158)及びPEP07968(DOTAコンジュゲート化PEP07911、配列番号:159)は、すべて、HSAに対してほぼ同じ親和性を有するようであり、親G148−GA3(PEP07913;配列番号:153)の親和性を大きく超える。これらのポリペプチドのHSA親和性は、同様のオフレイト(off-rate)にもかかわらず、PEP06923(配列番号:154)と比較してわずかに低い。
【0123】
実施例3:
アルブミン結合ポリペプチドについての融解温度(Tm)の測定
この実施例では、実施例1に記載したように発現し、そして精製されたアルブミン結合ポリペプチド変異体PEP07913(配列番号:153)、PEP06923(配列番号:154)、PEP07271(配列番号:155)、PEP07554(配列番号:156)、PEP07912(配列番号:157)、PEP07914(配列番号:158)、PEP07968(DOTAコンジュゲート化PEP07911、配列番号:159)、PEP07844(配列番号:161)及びPEP07986(配列番号:163)、並びに実施例5に記載したように製造されたアルブミンポリペプチド変異体PEP07975(DOTAコンジュゲート化PEP07834、配列番号:160)を、CD分析によって分析した。PEP07913は、N末端グリシン残基を有するG148−GA3の配列に相当し、PEP06923は、前出、Jonsson等によって以前に記載される改変高親和性誘導体であるのに対して、PEP07271、PEP07554、PEP07912、PEP07914、PEP07968、PEP07844及びPEP07975は、本開示による異なるN末端アミノ酸付加を有するPP001(配列番号:1)、PP007(配列番号:7)、PP013(配列番号:13)、PP037(配列番号:37)及びPP043(配列番号:43)アルブミン結合ポリペプチドの例である。
【0124】
物質及び方法
精製されたアルブミン結合ポリペプチド変異体を1xPBS中で0.4〜0.5mg/mlの最終濃度に希釈した。円偏光二色性(CD)分析を、光路長1mmのセル中、Jasco J-810分光偏光計において実施した。可変温度測定において、温度勾配5℃/分で、20℃から90℃まで221nmで吸光度を測定した。
【0125】
結果
温度プロットに対するCDにおける転移の中間点を決定することによって、種々のアルブミン結合ポリペプチド変異体の融解温度(Tm)を算出した。それらの結果を下の表3にまとめた。
【0126】
【表3】
【0127】
ポリペプチドPEP07968とPEP07912とは、前者が14位でマレイミドDOTAとコンジュゲートされたシステイン残基を有し、そして後者がセリン残基を有することを除いて、同一である。従って、DOTA修飾は、融解温度に影響を及ぼさなかったはずである。また、PEP07975は、C14を用いてDOTAとコンジュゲートされ、そしてC末端アミド(実施例5でペプチド合成から生じた)、そしてグリシンの代わりにN末端アラニンを有することを除いてPEP07968と同一である。さらにまた、PEP07912とPEP07554との比較は、N末端セリンが、同じ位置のグリシンより高い融解温度(Tmにおいて5℃の差)になることを示している。従って、本開示によるすべてのアルブミン結合ポリペプチド変異体は、PEP07912及びDOTAコンジュゲート化変異体を除いて、55℃より上のTmを示す。N末端部分の重要性を考慮すると、試験されたすべてのアルブミン結合ポリペプチドは、Jonsson等、すなわちPEP06923の先行技術の誘導体よりも優れている。
【0128】
実施例4:
血清反応分析
本明細書に開示されたアルブミン結合ポリペプチドのセットに結合可能な、IgGを含むヒト血清のパーセンテージを、ELISAによって分析した。全体で127人に相当する149個の血清サンプルをスクリーニングした。
【0129】
物質及び方法
コーティングバッファー(Sigma、カタログ番号3041)中で8μg/mlに希釈されたAlbucult
(R)(Novozymes)50μl/ウェルでELISAプレート(96ウェル、ハーフエリアプレート(Costar、カタログ番号3690))をコートした。プレートを、4℃で3日間夜通しコートした。分析日に、プレートを水道水で2回洗浄し、そして0.05%カゼイン(PBSC)を含むリン酸緩衝食塩水(PBS)100μlで2時間ブロックした。プレートを空にし、そしてPBSC中で2μg/mlに希釈されたアルブミン結合ポリペプチドPEP07913(配列番号:153)、PEP06923(配列番号:154)、PEP07271(配列番号:155)、PEP07912(配列番号:157)、PEP07554(配列番号:156)、PEP07914(配列番号:158)、PEP07968(DOTAコンジュゲート化PEP07911、配列番号:159)及びPEP07844(配列番号:161)50μl/ウェルを、予め作成されたプレートレイアウトに従って加えた。室温(RT)で2時間インキュベーション後、自動化ELISA洗浄器を用いてプレートをPBSC中で4回洗浄した。血清24μlをPBSC 1174μlに加えることによって、129人からの149個の血清サンプルをPBSC中で50倍希釈した。希釈された血清50μlを、予め作成されたプレートレイアウトに従ってウェルごとに加えた。各血清サンプルを、シングレット(singlet)として試験した。各プレート上には、各アルブミン結合ポリペプチドに対する陽性及び陰性対照が含まれていた。
【0130】
アルブミン結合性抗体
(PEP06923で免疫化された霊長類の血清から社内調製された50μl、0.5μl/mlの免疫グロブリン溶液)を陽性対照として加え、そしてPBSC50μlを陰性対照として用いた。プレートを室温で1時間インキュベートし、その後、自動化ELISA洗浄器を用いてPBSC中で4回洗浄した。PBSC中で10 000倍希釈された抗
ヒトIgG(Southern Biotech、カタログ番号2040−05)50μl/ウェルを用いて、結合されたIgGを検出した。自動化ELISA洗浄器を用いてPBSC中で4回洗浄した後、基質50μl/ウェルを加えた(Pierceカタログ番号34021)。10〜15分後、各ウェルにH
2SO
4 50μlを添加することにより反応を停止した後、マルチウェルプレートリーダー(Victor3, Perkin Elmer)を用いて吸光度を測定した。
【0131】
結果
アルブミン結合ポリペプチドへのIgG結合についてスクリーニングした149個の血清のうち、23個は、全8つのポリペプチドに対して陰性(OD値<0.1)であり、すなわち、ポリペプチドに結合したIgGを示さなかった。1つ又はそれ以上のアルブミン結合ポリペプチドに対して陽性であった126個の血清を用いて分析を実施した。平均吸光度を算出し(
図3A)、そしてOD値による血清のパーセンテージを、<0.15(
図3B)又は>1.0(
図3C)のいずれかと評価した。PEP07913(配列番号:153)、PEP06923(配列番号:154)及びPEP07844(配列番号:161)では、最も高い平均OD値及びIgG結合を有する血清の最も高いパーセンテージが得られたのに対して、PEP07968(DOTAコンジュゲート化PEP07911、配列番号:159)、PEP07914(配列番号:158)及びPEP07954(配列番号:156)に対しては、最小の反応性が見出された。
【0132】
従って、最も反応性のアルブミン結合ポリペプチドは、親のG148−GA3(PEP07913、配列番号:153)、そしてG148−GA3から保持されたヘリックス1を有する以前に親和性が改善された誘導体(PEP06923、配列番号:154)であった。3番目に反応性の高いポリペプチド(PEP07844、配列番号:161)は、ヘリックス1の14位に当初のリシンを含む。この残基は、コンジュゲーションを目的としており、従って最終的な状況では露出していない。14位にアラニンを有することを除いて同一のアルブミン結合ポリペプチド変異体(PEP07554、配列番号:156)は、最小反応性のものである。
【0133】
実施例5:
DOTAコンジュゲート化アルブミン結合ポリペプチドの化学合成
物質及び方法
標準Fmoc化学を用いて、固層ペプチド合成(Fmoc Solid Phase Peptide Synthesis-A Practical Approach, W.C. Chan, P.D. White Eds, Oxford University Press 2000, 115-135中、Quibell, M. & Johnson, T.によって記載されたSPPS)によって433 A Peptide Synthesizer反応器(Applied Biosystems, Foster City, CA)中、0.1mmolスケールで、すなわち0.1mmolペプチドの理論的な可能な収量で、アルブミン結合ポリペプチドPEP07834(配列番号:160)を合成した。酸に不安定なFmocアミド樹脂を、合成を通して固体支持体(Rink Amide MBHA Resin LL(100−200メッシュ)、0.39mmolアミド/g樹脂(Novabiochem)を装填する)として用いた。
【0134】
反応器中、室温(RT)で10分間混合してアシル化反応により、下の配列による47個のアミノ酸残基をアミド樹脂に結合した。アシル化反応は、NMP(N−メチルピロリドン、Merck)中、10倍モル過剰のFmoc保護アミノ酸を用いて実施し、1当量の2
−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルアミニウムヘ
キサフルオロホスフェート(HBTU、IRIS Biotech)、1当量の1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt、IRIS Biotech)及び2当量のジイソプロピルエチルアミン(DIEA、Applied Biosystems)で活性化した。さらに、活性化及びカップリングの前に、すべての反応性アミノ酸側鎖を標準側鎖保護基(Asp、Glu、Ser、Thr及びTyrにはtert−ブチル(tBu)、Lysにはtert−ブチルオキシカルボニル(Boc)、Argには2,2,4,6,7−ペンタメチルジヒドロベンゾフラン−5−スルホニル(Pbf)、そしてAsn及びCysにはトリチル(Trt))で保護した。切断されたペプチドに至る不完全なカップリングの量を減らすために、少量の選ばれたアミノ酸残基を2回のアシル化によってカップリングにかけ、1回目と2回目のカップリングの間で下記のようなFmoc脱保護をしなかった。合成されたアルブミン結合ポリペプチドPEP07834のアミノ酸配列は、以下の通りであった。
ALASAKEAA
N AELD
CYGVSD F
YK
RLIDKAK TVEGVEALKD AILAALPNH
2
(配列番号:160−NH
2)
下線を引かれたアミノ酸残基は、二重に結合された。樹脂結合ペプチド上の残っている任意の未反応アミノ基に、無水酢酸(0.5M無水酢酸(AlfaAesar)、0.125M DIEA、NMP中の0.015M HOBt)で5分間キャップした。すべてのカップリ
ングの後、NMP中の20%ピペリジン(Sigma-Aldrich)で10分間処理することによ
って樹脂結合ペプチド上のN末端Fmoc基の脱保護を実施した。
【0135】
合成完了後、ペプチドを固体支持体から切断し、そして同時に、TFA/EDT/H
2
O/TIS(94:2.5:2.5:1)(TFA:トリフルオロ酢酸(Apollo)、EDT:1,2−エタンジチオール(Aldrich)、TIS:トリイソプロピルシラン(Aldrich
))を用いて、室温で2時間、随時混合して処理することによって側鎖保護基を切断した。TFA処理後、水中の20%アセトニトリル(Merck)及びtert−ブチルメチルエーテル(Merck)を用いてペプチドを3回抽出した。水相を合わせ、濾過し、そして凍結乾燥させた。
【0136】
粗ペプチドを半分取RP−HPLC(Reprosil GOLD C18 300、250
*10mm、粒径5μm)及び2.5ml分
-1の流速で25分中に32〜55%B(A:0.1%TFA−H
2O;B:0.1%TFA−CH
3CN)の勾配によって分析及び精製し、続いて凍結乾燥させた。
【0137】
RP−HPLCにおける粗分析からの220nmシグナルのピーク下の積分面積を算出することにより合成収率を決定した。6520 Accurate Mass Q-TOF LC/MS(Agilent Technologies)において液体クロマトグラフィーエレクトロスプレーイオン化質量分析(LC−ESI−MS)を用いて正確な分子量を確認した。1.0ml分
-1の流速で25分かけて35〜55%Bの勾配を用いるRP−HPLC(Reprosil GOLD C18 300、250
*4.6mm、3μm粒径)を用いて生成物の純度を確認した。
【0138】
DOTAコンジュゲーション
PEP07834−アミド(配列番号:160−アミド)3mgを40℃で30分間20mM DTTにより還元した。PD−10カラム(GE Healthcare)上で0.2M酢酸アンモニウム、pH5.5へのバッファー交換によって過剰DTTの除去した。カップリングは、5倍モル過剰のキレート剤、水中のマレイミド−モノ−アミド−DOTA(Macrocyclics、カタログ番号B−272)溶液(1mg/ml)を用いて実施した。混合物を連続振盪下、30℃で1時間インキュベートした。非コンジュゲート化キレート剤からの精製は、半分取RPCカラム(Zorbax 300SB C18、9.4×250mm、5μm)上で行った。精製された物質の結合度を、Zorbax 300SB C8 150×2.1mm、3.5μm分析カラム上のHPLC−MSによって分析した。方法によって、PEP07975を表すマレイミド−DOTAコンジュゲート化PEP07834のみが検出された。
【0139】
結果
粗物質の溶離プロファイルに基づいて、アルブミン結合ポリペプチドPEP07834−アミド(配列番号:160−アミド)の合成収率は、8%であると決定された。測定された分子量は、4952.9Daであり、それは算出された理論分子量4952.6Daと十分に一致した。精製された生成物を分析したときに、タンパク質の約10〜15%は、ジスルフィド結合したホモ二量体であることがわかった(
図4及び5)。DOTAコンジュゲート化ペプチド(PEP07975)の結合活性は、実施例2に記載されたように確認し(データは示さず)、そして融解温度は、実施例3に記載されたように決定した。
【0140】
実施例6:
アルブミン結合ポリペプチドの免疫原性試験
ヒト白色人種52人からの末梢血単核細胞(PBMC)(CRI-Labo Medische Analyse,
Gent, Belgiumから入手した)においてT細胞増殖を誘発する能力についてPEP07913(配列番号:153)、PEP07912(配列番号:157)、PEP07914(配列番号:158)及びPEP07968(DOTAコンジュゲート化PEP07911、配列番号:159)を、スクリーニングした。PEP07913は、N末端グリシン残基を有するG148−GA3の配列に相当するのに対して、PEP07912、PEP07914及びPEP07968は、本開示による種々のN末端アミノ酸付加を伴うPP007(配列番号:7)、PP013(配列番号:13)及びPP037(配列番号:37)のアルブミン結合ポリペプチドの例である。
【0141】
物質及び方法
標準細胞生物学的方法に従って製造されたPBMCを、組織培養(TC)処理した96ウェル丸底プレート(Falcon)に300000PBMC/ウェルの量で加えた。900μg/ml(3倍モル過剰)の組換え型ヒトアルブミン(Albucult
(R), Novozymes)をさらに含むAIMV培地(Invitrogen)中で100μl/ウェルのアルブミン結合ポリペプチドPEP07913、PEP07912、PEP07914及びPEP07968を添加することにより細胞を刺激した。これは、30μg/mlのアルブミン結合ポリペプチドの最終濃度に相当した。刺激は、八つ組で(eight-plicates)行い、すなわち同じアルブミン結合ポリペプチドを、同一量で、そして同じ条件下で8個のウェルに加えた。陽性対照ウェルでは、30μg/mlのキーホールリンペットヘモシアニン(Keyhole Limpet Hemocyanin)(KLH、Calbiochem)又は30μg/mlの破傷風トキソイド(TT、Statens Serum Institut)のいずれかで細胞を刺激した。陰性対照ウェルでは、900μg/mlのアルブミン入りの又はなしのAIMV培地のみを加えた。
【0142】
Alexa Fluor 488 Click-iT EdUフローサイトメトリーアッセイキット(Invitrogen)を用いて、培養7日後に細胞増殖を評価した。1μM/ウェルのEdU取り込みマーカー(incorporation marker)を日6に加えた。日7に、細胞を洗浄し、プレートから解離し、再び洗浄し、そしてanti-CD3-PerCP試薬(Becton Dickinson)及びanti-CD4-Alexa647試薬(Becton Dickinson)で30分間染色した。染色後、細胞を洗浄し、固定化し(BDセルフィクス、BD biosciences)、透過処理し(サポニンを使用)そして製造者のプロトコール(Invitrogen)に従ってClick-iT試薬の添加によりEdUを染色した。染色完了後、細胞を再び洗浄し、そしてフローサイトメトリー(FACSCantoII, BD Biosciences)を用いて分析した。増殖細胞の数を評価するため、一定数のフルオロスフェア(fluospheres)(Invitrogen)を分析前に各ウェルに加えた。すべての染色処置及び洗浄は、96ウエルプレート中で直接実施した。
【0143】
FACSCantoIIの生データを、CD3
+CD4
+T細胞において階層的にゲート制御し(gated)、そしてゲート制御された細胞(gated cells)の数及びEdU-Alexa Flour 488取り込みマーカーのそれらの蛍光強度を記録した。増殖細胞数/8個1組のタンパク質処理されたウェルの平均値を陽性及び陰性対照と比較し、そして結果として得られる比率を算出し、刺激指数(SI)として記載した。反復試験間のSI及び変動に基づいて、限界SI値を、刺激及び抑制についてそれぞれ2.0及び0.5に設定した。
【0144】
結果
in vitvoPBMC増殖アッセイを用いて、標的ヒト個体群において3倍過剰の組換え型ヒトアルブミンの存在下でのそれらの免疫原性の可能性についてアルブミン結合ポリペプチドPEP07913、PEP07912、PEP07914及びPEP07968を評価した。アルブミン対照と比較して、PEP07913では、ドナー52人のうち6人、PEP07912では、ドナー52人のうち5人、そしてPEP07914及びPEP07968では、ドナー52人のうちの1人でCD3
+CD4
+T細胞増殖が誘発された(
図6A)。
【0145】
全52人のドナーの平均刺激指数(SI)は、組換え型ヒトアルブミンを含む陰性対照と比較してPEP07914及びPEP07968について有意な違いはなかった(それぞれp=0.79及び0.48、
図6B)。PEP07913のSIは、有意に高かったのに対して(p=0.002)、PEP07912のSIは、高かったが、有意ではなかった(p=0.03、
図6B)。
【0146】
バッファーのみと比較して、反応人数は、PEP07912では10人、PEP07912では7人、PEP07914では2人、PEP07968では1人、組換え型ヒトアルブミンでは2人、そして2つの陽性対照TT及びKLHではそれぞれ49人及び51人であった(
図6C)。アルブミン結合ポリペプチドを、以下の順序でそれらの免疫原性に従ってランク付けした:PEP07913>PEP07912>PEP07914>PEP07968。PEP07914及びPEP07968は、いずれも非免疫原性であると確定された。従って、上の結果は、陽性対照と比較して、本開示のアルブミン結合ポリペプチドの免疫原性の可能性が低いことを示している。
【0147】
実施例7:
異なる種からのアルブミンに対するアルブミン結合ポリペプチドの親和性
この実施例では、Biacore機器を用いてヒト(HSA)、カニクイザル(CSA)、ラ
ット(RSA)、マウス(MSA)及びイヌ(DSA)からのアルブミンに対する親和性について、実施例1に記載された通り発現し、そして精製されたPEP06923(配列番号:154)、PEP07986(配列番号:163)及びPEP08296(DOTAコンジュゲート化PEP08185、配列番号:148)を特徴付けた。
【0148】
物質及び方法
Biacore2000機器(GE Healthcare)におけるBiosensor分析は、CM−5チップ(研究グレード;GE Healthcare)表面のカルボキシル化デキストラン層上にアミンカップリングによって固定化されたHSA(Albucult
(R), Novozymes)、CSA(カニクイザル血清から社内精製した)、RSA(Sigma-Aldrich、カタログ番号A6272)、MSA(Sigma-Aldrich、カタログ番号A3559)及びDSA(MP Biomedicals、カタログ番号55925)を用いて、製造者の勧告に従って実施した。
【0149】
チップ1において、表面1を活性化し、そして不活性化し、そして注入中に参照細胞(ブランク表面)として用いたのに対して、表面2は、1130レゾナンスユニット(RU)に固定化されたHSAを含み、表面3は、1046RUに固定化されたCSAを含み、表面4は、831RUに固定化されたRSAを含んだ。チップ2において、表面1を、ブランク表面として用いたのに対して、表面3は、858RUに固定化されたMSAを含んだ。チップ3において、表面1をブランク表面として用いたのに対して、表面2は、1053RUに固定化されたDSAを含んだ。
【0150】
HSA、CSA及びRSA(チップ1)に対する親和性の分析では、精製されたアルブミン結合ポリペプチド変異体をランニングバッファーHBS−EP(GE Healthcare)中
で40nM、10nM及び2.5nMに希釈し;MSA(チップ2)に対する親和性の分析では、アルブミン結合ポリペプチド変異体を1280nM、640nM、160nM及び40nMに希釈し、そしてDSA(チップ3)に対する親和性の分析では、アルブミン結合ポリペプチド変異体を1280nM、640nM、160nM、40nM及び10nMに希釈した。アルブミン結合ポリペプチドを50μl/分の一定流速で5分間注入し、続いてHBS−EPを60分間注入した。25μl HCl(10mM)の1回注入によ
り表面を再生した。すべてのサンプルは、二つ組で(in duplicates)行った。
【0151】
結果は、BIAevaluationソフトウェア(GE Healthcare)で分析した。リガンド表面の曲線からブランク表面の曲線を減算した。
【0152】
結果
Biacore 2000機器は、技術的制限があり、非常に高い親和性の測定が妨げられた。したがって、Biacore研究の目的は、それぞれHSA、CSA、RSA、MSA及びDSAに
対するアルブミン結合ポリペプチド変異体の親和性の正確な動態パラメータを測定することではなかった。しかし、結果から、これらの異なる種からのアルブミンに対する閉鎖性ポリペプチド(enclosed polypeptides)の相対的な親和性の定量的評価を得た。参照表面及びバッファー注入の減算後、BIAevaluationソフトウェアを用い、物質移動について補正し、そして局所的パラメーターとしてRUmaxを設定して、曲線を1:1(Langmuir)結合モデルに適合させた。代表的な結合曲線を、
図7に示す。
【0153】
PEP07986及びPEP08296(DOTAコンジュゲート化PEP08185
)は、高い親和性(ピコモルより下からナノモルより下までの範囲のKD)でヒト血清アルブミン並びによくある前臨床モデル種ラット、カニクイザル、マウス及びイヌからのアルブミンに結合する。異なる種に対する相対的親和性は、RSA≧HSA/CSA>MSA/DSAとランク付けすることができ、すなわちK
D値は、K
D-RSA≦K
D-HSA/K
D-CSA<K
D-MSA/K
D-DSAとランク付けすることができる。K
D値に関する親和性は、PEP06923(本発明ではないポリペプチド)に対して得られた親和性と同じか又はわずかに低かった(しかし、同程度の規模)。
【0154】
実施例8:
アルブミン結合ポリペプチドに融合されたタンパク質Z変異体のin vitvo活性
この実施例では、ヒト血清アルブミンの存在下でTF−1細胞のサイトカイン誘発性増殖をブロックするその機能性について、アルブミン結合ポリペプチド変異体PP013(配列番号:13)に遺伝子的に融合された変異体、サイトカイン特異的タンパク質Z(ブドウ球菌プロンテインAのドメインBの誘導体)を含むポリペプチドを試験した。TF−1細胞の増殖は、いくつかの異なるタイプのサイトカインのいずれかの存在に依存しており、そして増殖反応は、対応するサイトカイン特異的タンパク質Z変異体のようなブロッキング試薬によって阻害することができる。無関連タンパク質に対して特異性を有するタンパク質Z変異体に融合されたPP013を陰性対照として用いた。
【0155】
物質及び方法
Z−PP013融合タンパク質のクローニング
それぞれサイトカインX若しくはYに対して、又は無関連タンパク質(陰性対照)に対して特異性を有するタンパク質Z変異体の遺伝子フラグメントを、PstI及びAccI特異的エンドヌクレアーゼ部位を加えるプライマーを用いたPCRによって増幅した。フラグメントをPstI及びAccIで切断し、精製し、そして発現ベクター、プラスミドpAY02747に連結し、同じ酵素で制限した。pAY02747は、興味の遺伝子を発現するためにpBR322からの複製起点、カナマイシン耐性遺伝子及びT7プロモーターを含む。クローニング部位は、アミノ酸MGSSLQをコードする配列によって始まり、そしてVDSSPP013をコードする配列が続き、ここでPP013は、配列番号:13を有する開示されたアルブミン結合ポリペプチドである。ライゲーション、形質転換及び配列検証は、上記のように実施した。コードされたタンパク質は以下の通りであった:
1)MGSSLQ−Z
X−VDSS−PP013(Z
X−PP013と表す)
2)MGSSLQ−Z
Y−VDSS−PP013(Z
Y−PP013と表す)
3)MGSSLQ−Z
neg−VDSS−PP013(Z
neg−PP013と表す)
【0156】
タンパク質発現
Z
X−PP013、Z
Y−PP013及びZ
neg−PP013を、大腸菌BL21(DE
3)細胞中で発現させた。各融合変異体の形質転換からのコロニーを用いて、カナマイシンで50μg/mlの濃度に補充されたTSB+YE培地のスターター培養液(starter cultures)50mlを接種した。100rpmで撹拌しながら、培養物を37℃で一夜増殖させた。次いで、スターター培養液を用いてカナマイシンで50μg/mlの濃度に補充されたTSB+YE培地900mlに接種した。培養物を、OD600 >1.1まで
約1.5時間増殖させ、そこへIPTGを最終濃度0.2mMまで加えた。培養を5時間続けた。細胞沈殿物を遠心分離(15600g、4℃、20分)によって集め、そして精製まで−20℃で貯蔵した。
【0157】
タンパク質精製
可溶性の融合タンパク質変異体Z
X−PP013、Z
Y−PP013及びZ
neg−PP013を含む凍結された細胞沈殿物を、50mM Tris−HCl、150mM NaCl、pH8中で再懸濁し、そして1000 U Benzonase
(R)(Merckカタログ番号1.01654.0001)を加えた。細胞を超音波処理によって破壊し、そして融合タンパク質変異体のそれぞれについて、超音波処理された懸濁液を、遠心分離(15分、37000 g、4℃)によって清澄化した。20xTST−バッファー(20x[25mM Tris−HCl、1mM EDTA、200mM NaCl、0.05%Tween 20、pH8.0])を、清澄化された懸濁液中に1×TSTバッファーが生成する体積で加えた。融合タンパク質変異体の各サンプルをHSA−セファロースカラム(GE Healthcare)上に装填した。TST−バッファー、続いて5mM NH4Ac、pH5.5で洗浄した後、結合した融合タンパク質変異体を0.5M HAc(pH2.5)で溶離した。
【0158】
融合タンパク質変異体を、以下のように、逆相クロマトグラフィ(RPC)によってさらに精製した。変異体のそれぞれについて、HSA−親和性精製工程からの溶出液を、予めRPC Aバッファー(水中の0.1%TFA)で平衡にした1mlResource 15 RPCカラム(GE Healthcare)上に装填した。10CVのRPC Aバッファー、そして5CVのRPC Bバッファー(アセトニトリル中の0.1%TFA)でカラムを洗浄した後、20CVにわたる10〜50%RPC Bバッファーの線状勾配により、結合した融合タンパク質を溶離した。流速は2ml/分であり、そして280nmで吸光度をモニターした。純粋な融合タンパク質変異体を含む画分を、SDS−PAGE分析によって確定し、そして貯めた。最後に、使い捨てのPD−10脱塩カラム(GE Healthcare)を用いてバッファーを1xPBS(2.68mM KCl、137mM NaCl、1.47mM KH
2PO
4、8.1mM Na
2HPO
4、pH7.4)に交換した。融合タンパク質変異体の同一性を確認するため、SDS−PAGE及びLC/MS分析を、実施例1に記載されたように実施した。
【0159】
Z−PP013融合タンパク質のin vitvo細胞アッセイ
細胞株TF−1(Clカタログ番号300434)を、2ng/mlのrhGM−CSF (Miltenyi)を添加したRPMI 1640培地+10%ウシ胎児血清(Gibco)中で供給元によって推奨された通り増殖させた。実験日に、細胞を、RPMI 1640培地+10%ウシ胎児血清中で洗浄してGM−CSFを除去した。
【0160】
分子Z
X−PP013、Z
Y−PP013及びZ
neg−PP013を、それぞれサイトカインX及びYと、そして5倍モル過剰のHSA(Albucult
(R), Novozymes)と混合することによって、サイトカイン誘発性増殖を阻止する、Z
X−PP013及びZ
Y−PP013の能力を分析した。一定濃度のサイトカイン(4.9pm)及び5倍モル過剰のHSAを用いて2倍希釈系列で分子を滴定した。容積100μlの96−ウエルプレート中で滴定を実施した。ウェル(100μl)当たり25000個の細胞を加え、そしてプレートを37℃、5%CO
2で3日間インキュベートした。増殖を測定するため、RPMI 1640培地+10%ウシ胎児血清中で2倍希釈されたCCK−8細胞増殖試薬(Sigma)19μlをウェルごとに加えた。4時間後、96−ウエルプレートリーダー(Victor3; PerkinElmer)を用いて着色反応をモニターした。
【0161】
結果
図8に示すように、Z
X−PP013及びZ
Y−PP013は、HSAの存在下でそれぞれのサイトカイン誘発性増殖を阻害したのに対して、陰性対照、Z
neg−PP013は、TF−1の増殖に影響を及ぼさなかった。従って、実験は、アルブミン結合ポリペプチドを含む融合タンパク質に組み込まれたとき、そしてまた、融合タンパク質がアルブミンに結合したときに、Z分子の機能が保持されたことを示している。
【0162】
実施例9:
アルブミン結合ポリペプチドの長期安定性
この実施例では、実施例1に記載されたように発現し、そして精製されたPEP07986(配列番号:163)の安定性を、最長3ヵ月間、4、25及び40℃で貯蔵した後、調べた。貯蔵後のポリペプチドの状態は、Biacore機器を用いてHSAに対するその結合を測定することによって調べた。
【0163】
物質及び方法
凍結乾燥されたPEP07986を、2mg/mlの濃度で滅菌NaPiバッファー(20mMリン酸ナトリウム、150mM塩化ナトリウム、pH7.2)中に溶解した。参照サンプル(時間=0)を除去し、そして−80℃で貯蔵した。アリコート105μlを、滅菌スクリューキャップ型エッペンドルフチューブ中にパラフィルムで封入して4、25及び40℃で貯蔵した。1週間、2週間、1ヵ月及び3ヵ月後、各温度で貯蔵されたサンプルを、4℃に冷却し、13000rpmで5分間遠心分離し、次いでBiosensor分析まで−80℃で貯蔵した。
【0164】
バイオセンサー分析は、本質的に実施例2に記載されたように実施したが、704レゾナンスユニット(RU)に固定化されたHSA(Albucult
(R), Novozymes)を用い、そしてアルブミン結合ポリペプチド変異体を10nMに希釈し、そして20μl/分の一定流速で10分間注入し、続いてHBS−EPを10分間注入した。
【0165】
結果
PEP07986(配列番号:163)のHSAへの結合は、4、25及び40℃で少なくとも3ヵ月間貯蔵した後、保持された。さまざまな条件で貯蔵されたPEP07986について得られたHSAへの最大結合反応を
図9に示す。
【0166】
実施例10:
過酷条件下でのアルブミン結合ポリペプチドの安定性
この実施例では、低pH(約4.0)バッファー中で熱処理(90℃)した後のアルブ
ミン結合ポリペプチドPEP08296(DOTAコンジュゲート化PEP08185、配列番号:148)のバイオセンサー及び円偏光二色性(CD)分析を説明する。例えばDOTA修飾タンパク質の
68Ga標識化には、このような過酷な反応条件を用いなければならないため、ポリペプチドの構造的同一性及びHSAに結合するその能力における高熱及び低pH処理の影響を、融解温度(Tm)、リフォールディング性及びHSAへの結合の測定によって調べた。
【0167】
物質及び方法
熱安定性のBiosensor分析
Biacore 2000機器(GE Healthcare)におけるBiosensor分析は、CM−5チップ(研究グレード;GE Healthcare)表面のカルボキシル化されたデキストラン層上へアミンカップリングによって固定化されたHSA(Albucult
(R), Novozymes)を用いて、製造者の勧告に従って実施した。チップの表面1を活性化し、そして不活性化し、そして注入中に参照細胞(ブランク表面)として用いたのに対して、表面2は、724レゾナンスユニット(RU)に固定化されたHSAを含んだ。15mlファルコンチューブ中のPEP08296(50μl、100μg)を、0.2M酢酸ナトリウム(NaAc)450μl pH5.5により最終ペプチド濃度0.2mg/mlに希釈した。0.05M HCl 1.5mlを添加した後(
68Ge/
68Gaジェネレータ(generator)の溶離に用いた条件及び容積と類似している)、サンプルを90℃又は室温(対照)で10分間インキュベートし、次いで室温に移した。0.1Mクエン酸ナトリウム6mlを加えてpHを中和した。熱処理されたPEP08296(0.8及び4nM)を50μl/分の一定流速で5分間注入し、続いてHBS−EP中で15分間解離させた。10mM HCl 25μlを1回注入して表面を再生した。結果を、BIAevaluationソフトウェア(GE Healthcare)で分析した。リガンド表面の曲線からブランク表面の曲線を減算した。
【0168】
融解温度(Tm)の測定
PEP08296を、PBS中で最終濃度0.5mg/mlに溶解した。100mM
HCl 9.5μlをPBS 100μlに加えることによってpH約4.0のPBSを調製した。円偏光二色性(CD)分析は、実施例3に記載された通り実施した。
【0169】
熱安定性のCD分析
熱処理後のPEP08296の構造的可逆性を調べるため、195と250の間の2つのCDスペクトルを、サンプルごとに20℃で記録した。第1のスペクトル後、90℃への加熱によるVTMサイクルを上記のように実施し、続いて195と250nmの間の第2のCDスペクトルを20℃で集めた。さらに、サーモミキサー(500rpm、10秒作動、30秒停止のインターバル混合)において90℃で12分間、PBS pH4.0
バッファー又はPBS pH7.2バッファー中でPEP08296をインキュベートし
た。インキュベーション後、サンプルを氷上で冷却し、続いて13000rpmで1分間遠心分離し、そして195と250nmの間のCDスペクトルを20℃で記録した。
【0170】
結果
Biosensor分析を用いて、低pHと組み合わせた熱処理、すなわち、ポリペプチドの6
8Ga標識化に必要な一般的条件が、HSAに結合するPEP08296の能力に影響を及ぼすかどうかを調べた。
図10は、Biacore 2000機器で実施されたこの結合分析の結果を示す。固定化ヒト血清アルブミン724RUを有する表面上に、0.8nM及び4nMの2種の異なる濃度のPEP08296を、注入した。90℃、pH4.0での10分間の熱処理により、HSAに対するPEP08296の結合能力がわずかに低下し、分子の潜在的構造変化を示している。
【0171】
CDを用いて分子の潜在的構造変化をさらに調べた。加熱の前及び後の同様のCDスペクトルから、サンプルは構造的に可逆性であることが立証された。第1の実験では、20℃から90℃までの温度勾配によりサンプルを加熱した。熱処理の前及び後のCDスペクトルは、Tm測定実験において類似しており、207及び221nmの典型的な極小点はα−ヘリシティを示し、すなわち、pH4又はpH7.2バッファー中で90℃への短時間の加熱は、PEP08296の構造に影響がなかった。
【0172】
しかし、90℃で12分間のPEP08296の前処理では、pH4.0でインキュベートした場合、PEP08296のアルファヘリックス含量の低下をわずかに示したが、pH7.2でインキュベートした場合、アルファヘリックス含量の変化はなかった。加熱の前及び後の2つのCDスペクトルの典型的なオーバレイを
図11に示す。
【0173】
融解温度(Tm)測定からの結果は、表4にまとめた。
【0174】
【表4】
【0175】
実施例11:
68Ga標識アルブミン結合ポリペプチドを用いた血液プールイメージング
この実施例を構成する実験では、ラットにおける
68Ga標識PEP08296(DOTAコンジュゲート化PEP08185、配列番号:148)の全身分布を、1.5時間にわたる動的イメージングにより追跡した。標識化ポリペプチドと血清アルブミンの間の強い結合のため、標識ポリペプチドを用いて、例えば血液プール及び組織透過性を研究することができる。
【0176】
物質及び方法
PEP08296の68Ga標識化
以前に記載されたように(Velikyan et al (2008), Nucl Med Biol 35:529-536)、
0.1M HClを用いて、
68Ge/
68Gaジェネレータ(Obninsk, Russia)から
68Gaを
68GaCl
3として溶離し、濃HClにより
68GaCl
4-に変換し、陰イオン交換カラム(Chromafix-HCO
3)上で捕捉し、続いて18MΩの水で溶離した。
【0177】
標識化は、本質的にTolmachev等(EJNMMI 37:1356-1367, 2010)に記載された通り実施した。濃縮された
68Ga−溶出液(150〜200μl)を、PEP08296(pH5.5の0.2M酢酸ナトリウムバッファー中で≧100μg)に加え、そして酢酸ナトリウム(1.25M)又はHCl(0.1μM)を用いてpHを3.5〜4に調整した。標識混合物を90℃で15分間インキュベートした後、冷却し、そして生理緩衝食塩液で溶離するNAP−5カラム上のサイズ排除精製により標識タンパク質を単離した。
【0178】
68Ga標識タンパク質の放射化学的純度及び同一性は、直列のUV(210nm)及び放射能検出器並びに生理緩衝食塩液で溶離するSuperdex Peptide 10/300 GLカラム(GE Healthcare)を用いて、ラジオHPLC(radio-HPLC)によって評価した。
【0179】
小動物PET
イソフルラン(最初に5%、そして7:3の空気/O
2と2%ブレンドした)を用いてラット(277g)に麻酔し、Euthanex CorporationからのMicroflexノンブリーザーマスク(non-rebreather masks)を用いてE−Z吸入器によって管理し、そしてmicroPET Focus120システム(Siemens, CTI Concorde Microsystems)内に横たえたまま、加熱パッド(37℃)上に保持した。
68Ga−PEP08296、33MBqをシリンジ中に投入し、生理食塩水で0.5mlに希釈し、そして尾静脈から注射した。一定の床移動プロトコールで1.5時間床を移動させることによって全身からデータを入手した。データをMicroPET Managerで処理し、そしてランダム(randoms)、不感時間(dead time)及び減衰(decay)について補正した。ランプフィルターを用いる標準2Dフィルター逆投影によって画像を再構成し、そしてInveon Research Workplace(Siemens Medical Solutions)ソフトウェアを用いて評価した。
【0180】
結果
PEP08296についての基本的な分布パターン(
図12)は、
68Ga−DOTA、
64Cu−DOTA及び
11Cのような放射性同位体で標識化されたアルブミンのそれと非常に類似していた(例えばHoffend et al (2005), Nucl Med Biol 32:287-292 and Lu et al (2008), “[1-
11C]Butanol and [Methyl-
11C]Albumin for Blood Flow and Blood Pool
Imaging”, poster at the XIth Turku PET Symposium, 24-27 May 2008を参照のこと)。要するに、スキャンを通して主要血管において高い放射能濃度が観察された。また、大血液容量の臓器(肝臓、脾臓及び腎臓)も、心血液プール放射能として明確に描写されていた。膀胱中の放射能は、観察期間中に高められ、この腎排出の観察は、標識アルブミンベースのトレーサーによる以前の観察、そしてアルブミン自体の代謝のそれと一致した。
【0181】
放射能の一般的な分散パターン及び
68Ga−PEP08296の静脈内注射後の非常に遅い血漿クリアランスは、アルブミンに対するその予想された非常に迅速かつ強力な結合と一致した。従って、これらの結果は、疾患発現及び治療的介入の両方における組織透過性の陽電子断層撮影研究に使用するためのin vivo血液プール造影剤として放射性トレー
サーのさらなる適用を支持する。
【0182】
実施例12:
アルブミン結合ポリペプチドの溶解度
限外濾過を用いたサンプルの連続的濃縮、続いて濃度測定及び凝集状態の調査によって生理学的バッファー中のPEP07986(配列番号:163)の溶解度を調べた。280nmでの吸光度の直接読取りによって決定された濃度は、ゲル濾過によって測定された濃度と一致しており、凝集物が検出されない42mg/mlを超える溶解度を示した。
【0183】
物質及び方法
凍結乾燥されたPEP07986を、NaPiバッファー(20mMリン酸ナトリウム、150mM塩化ナトリウム、pH7.2)中に3mg/mlの濃度で溶解した。Amicon Ultra遠心式フィルターユニット、3kDaのカットオフ(cut off)(Millipore、カタログ番号UFC800324)を、スインギンググバケットローター(swinging bucket rotor)遠心分離機(Multifuge, Heraeus)中、4000gで20分間の遠心分離によってNaPiバッファー2mlで予めすすいだ。3mg/mlのPEP07986 1620μlを、第1の遠心式フィルターユニットに適用し、そして遠心分離を4000g、20℃で7分間実施した。さらなる分析のため25μlのサンプルを取出し(UFサンプル1)、そして残りのサンプルを第2の遠心濾過機ユニットへ移した。遠心分離及びサンプル取出しを、それぞれ8、9及び20分の回転時間で3回繰り返した(それぞれUFサンプル2、3及び4)。NanoDrop
(R) ND-1000分光光度計を用い、そしてUFサンプル1〜4を、NaPiバッファー中でそれぞれ2、4、6及び12回希釈することによって吸光度の読取りを行った。吸光係数1を用いて濃度を算出したAbs 280=1.955mg/ml。NaPiバッファー中で平衡にされたSuperdex75 10/300 GLカラム(GE Healthcare)を用いて、1100 HPLCシステム(Agilent Technologies)においてゲル濾過を実施した。各UFサンプル10μlをカラムに適用した;NaPiバッファーをランニングバッファーとして用い、そして流速は0.5ml/分であった。5mg/mlの濃度で注射された分子量標準オボアルブミンのクロマトグラム(GE Healthcare)を同様に集めた。曲線下面積を積分することによって濃度を決定した。
【0184】
結果
280nmでの吸光度の直接読取りによって決定された濃度、及びゲル濾過によって決定された濃度を表5に示す。PEP07986(配列番号:163)の溶解度は、生理学的バッファー(20mMリン酸ナトリウム、150mM塩化ナトリウム、pH7.2)中で少なくとも42mg/mlであった。
図13に示すようにゲル濾過によって凝集物は検出されなかった。
【0185】
【表5】