特許第6486816号(P6486816)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6486816
(24)【登録日】2019年3月1日
(45)【発行日】2019年3月20日
(54)【発明の名称】取着体、及び配線ボックス固定装置
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/12 20060101AFI20190311BHJP
   F16B 5/07 20060101ALI20190311BHJP
   F16B 5/12 20060101ALI20190311BHJP
   F16B 19/00 20060101ALI20190311BHJP
【FI】
   H02G3/12
   F16B5/07 D
   F16B5/12 H
   F16B19/00 G
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-234464(P2015-234464)
(22)【出願日】2015年12月1日
(65)【公開番号】特開2017-103886(P2017-103886A)
(43)【公開日】2017年6月8日
【審査請求日】2018年6月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083655
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 哲寛
(72)【発明者】
【氏名】岸 玄二
【審査官】 久保 正典
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−078309(JP,A)
【文献】 特開2006−336252(JP,A)
【文献】 特開2003−319529(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/12
F16B 5/07
F16B 5/12
F16B 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔を有する被取着体の当該貫通孔に挿入されて取着される取着部を有する取着体であって、
前記取着部は、被取着体の貫通孔の裏面の周縁部に係止される係止爪部を有する弾性変形可能な係止突起と、前記貫通孔の内周面に当接することで、前記係止突起の側に傾動する傾動突起とから成り、
前記係止突起と前記傾動突起との間には隙間が形成されており、
前記傾動突起は、前記貫通孔への前記係止突起の挿入時には、当該係止突起が傾動突起の側に弾性変形するのを許容すると共に、前記係止突起の係止爪部が貫通孔の裏面の周縁部に係止した状態では、当該傾動突起は前記係止突起の側への傾動により、前記係止突起の係止爪部の前記係止が解除されるのを抑制することを特徴とする取着体。
【請求項2】
前記係止突起は、前記被取着体に当接する取着体の当接面から先端までの長さが、傾動突起の対応する長さよりも長いことを特徴とする請求項1に記載の取着体。
【請求項3】
前記傾動突起は、取着体の当接面に対して被取着体と反対の側に後退した位置に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の取着体。
【請求項4】
前記傾動突起は、前記係止突起に対応する肉厚よりも薄い肉厚の別の被取着体の貫通孔の裏面の周縁部に係止可能な係止爪部を有していて、肉厚の異なる二種類の被取着体に対して取着可能であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の取着体。
【請求項5】
前記取着体は、構造物に固定可能な固定部を有することで、前記被取着体は当該取着体を介して前記構造物に固定可能であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の取着体。
【請求項6】
前記固定部は、被取着体に対して取着体を取着した後においては、当該取着体を構造物に固定できない位置に設けられていることを特徴とする請求項5に記載の取着体。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の取着体と、底壁に一対の貫通孔が形成された有底箱状の配線ボックスとから成り、
前記取着体は、配線ボックスの一方の貫通孔に外側から挿入される前記取着部と、他方の貫通孔に外側から挿入される挿入部と、を有していることを特徴とする配線ボックス固定装置。
【請求項8】
前記挿入部は、前記取着部と同一構成であることを特徴とする請求項7に記載の配線ボックス固定装置。
【請求項9】
前記挿入部は、配線ボックスの底壁の貫通孔の内側に掛け止まる掛止部を有することを特徴とする請求項8に記載の配線ボックス固定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被取着体の貫通孔に挿入係止される取着部が一体に設けられていて、当該取着部を介して前記被取着体に取着される取着体、及び配線ボックス固定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、上記した「取着体」の一つである「配線ボックス固定具」が開示されている。この「配線ボックス固定具」は、板状の取付け台5の前面に、配線ボックス1の底部(底壁)1aに形成された一対の取付け孔(貫通孔)3のピッチと同一の間隔をおいて一対の突起部(係止突起)6が突設され、取付け台5の背面に、棒状の支持材4に対して挟持固定する一対の挟持片9a,9bが設けられた構成であって、一対の突起部6を配線ボックス1の底部1aの一対の取付け孔3に挿入させて、当該突起部6の先端の爪部7を、配線ボックス1の底部1aの内面の取付け孔3の周縁に係止させることで、取付け台5を介して支持材4に対してボックスを取着している。
【0003】
上記した「配線ボックス固定具」は、配線ボックス1に対して支持材4から離間する方向の力が作用すると、取付け台5の基板が撓まされて、配線ボックス1の底部1aに係止している弾性爪である突起部6が、当該係止が解除される方向に弾性変形されて、取付け台5から配線ボックス1が簡単に外れてしまう問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−319529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、被取着体に対して取着体を係止により取着させる構造において、前記係止が容易に解除されない係止構造の提供を課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、貫通孔を有する被取着体の当該貫通孔に挿入されて取着される取着部を有する取着体であって、
前記取着部は、被取着体の貫通孔の裏面の周縁部に係止される係止爪部を有する弾性変形可能な係止突起と、前記貫通孔の内周面に当接することで、前記係止突起の側に傾動する傾動突起とから成り、
前記係止突起と前記傾動突起との間には隙間が形成されており、
前記傾動突起は、前記貫通孔への前記係止突起の挿入時には、当該係止突起が傾動突起の側に弾性変形するのを許容すると共に、前記係止突起の係止爪部が貫通孔の裏面の周縁部に係止した状態では、当該傾動突起は前記係止突起の側への傾動により、前記係止突起の係止爪部の前記係止が解除されるのを抑制することを特徴としている。
【0007】
請求項1の発明によれば、取着体の取着部を構成する係止突起と傾動突起との間には、両突起の弾性変形を可能にするための隙間が形成されていて、前記係止突起の係止爪部が、被取着体の裏面の貫通孔の周縁部(以下、「相手方被係止部」と略すこともある)に係止された状態で、傾動突起は、その先端部が前記貫通孔の内周面に当接して、前記隙間を埋めるようにして係止突起の側に傾動して、前記隙間が無くなるか、或いは狭くなることで、被取着体の相手方被係止部に先端の係止爪部が係止している係止突起は、当該係止が解除される方向への変形が阻止又は制限(抑制)されることで、前記係止状態が維持される。よって、被取着体に対して自身の取着部を介して取着された取着体は、一旦、取着された後においては、被取着体から簡単には、取り外れない。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記係止突起は、前記被取着体に当接する取着体の当接面から先端までの長さが、傾動突起の対応する長さよりも長いことを特徴としている。
【0009】
請求項2の発明によれば、取着体の係止突起が、被取着体の相手方被係止部に係止した状態において、傾動突起の先端部は、係止突起の先端に近い部分に配置されて、係止突起の係止解除の側への傾動が効果的に防止されて、前記係止が解除される恐れが一層に少なくなる。また、取着体の係止突起を被取着体の貫通孔に挿入する際に、当該係止突起が係止状態となる前の貫通孔に挿入されている状態において、傾動突起の先端部は、当該貫通孔に挿入されていて、前記係止突起が反係止側に一定限度を超えて弾性変形されるのが防止されるため、当該係止突起の係止がスムーズに行われる。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記傾動突起は、取着体の当接面に対して被取着体と反対の側に後退した位置に配置されていることを特徴としている。
【0011】
請求項3の発明によれば、傾動突起の弾性変形長を長く確保できて、係止突起の係止解除の作用を果たす当該傾動突起は、無理な形状で強制的に弾性変形されることなく、弾性変形が可能な自然な形状の範囲内において変形されるため、経年使用によっても、係止突起の係止が解除される恐れは少なくなる。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明において、前記傾動突起は、前記係止突起に対応する肉厚よりも薄い肉厚の別の被取着体の貫通孔の裏面の周縁部に係止可能な係止爪部を有していて、肉厚の異なる二種類の被取着体に対して取着可能であることを特徴としている。
【0013】
請求項4の発明によれば、肉厚の異なる二種類の被取着体のうち、相対的に肉厚の厚い被取着体に対して取着体を取着する場合には、係止突起の先端の係止爪部が、肉厚の厚い被取着体の相手方被係止部に係止されて、傾動突起は、貫通孔内において、当該係止突起の係止が解除される側である係止突起の側に傾動して、当該係止突起が弾性変形されるのを防止する作用を果たす。一方、相対的に肉厚の薄い被取着体に対して取着体を取着する場合には、係止突起の係止爪部が、被取着体の相手方被係止部に係止すると共に、係止突起の係止爪部は、貫通孔を貫通することで、同一の取着体を肉厚の異なる二種類の被取着体に取着可能となる。なお、「被取着体の肉厚」とは、被取着体の貫通孔が形成された部分の肉厚をいう。
【0014】
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかの発明において、前記取着体は、構造物に固定可能な固定部を有することで、前記被取着体は当該取着体を介して前記構造物に固定可能であることを特徴としている。
【0015】
請求項5の発明によれば、取着体には、構造物に固定するための固定部が設けられているため、構造物に対して取着体を固定することで、被取着体は、取着体を介して構造物に固定される。
【0016】
請求項6の発明は、請求項5の発明において、前記固定部は、被取着体に対して取着体を取着した後においては、当該取着体を構造物に固定できない位置に設けられていることを特徴としている。
【0017】
請求項6の発明によれば、構造物に対して取着体を固定した後に、当該取着体を被取着体に取着する取着方法のみが可能であって、その逆の方法によっては、取着体を構造物に固定できない構造になっているので、構造物に対して被取着物を正規の位置に確実に固定できる。
【0018】
請求項7の発明は、請求項5又は6に記載の取着体と、底壁に一対の貫通孔が形成された有底箱状の配線ボックスとから成り、
前記取着体は、配線ボックスの一方の貫通孔に外側から挿入される前記取着部と、他方の貫通孔に外側から挿入される挿入部と、を有していることを特徴としている。
【0019】
請求項7の発明によれば、配線ボックスの一方の貫通孔の外側から取着体の挿入部を挿入した状態で、前記配線ボックスと取着体とを互いに押し付けると、前記配線ボックスの他方の貫通孔に前記取着体の係止突起が挿入されて、当該係止突起の先端の係止爪部と、配線ボックスの相手方被係止部とが係止されることで、取着体に対して配線ボックスが取着される。
【0020】
請求項8の発明は、請求項7の発明において、前記挿入部は、前記取着部と同一構成であることを特徴としている。
【0021】
請求項8の発明によれば、配線ボックスの一対の貫通孔には、一対の取着部の各係止突起が挿入されて、その先端の各係止爪部が、当該配線ボックスの内面における一対の貫通孔の周縁部に係止されることで、取着体に対して配線ボックスが取着される。
【0022】
請求項9の発明は、請求項8の発明において、前記挿入部は、配線ボックスのの底壁の貫通孔の内側に掛け止まる掛止部を有していることを特徴としている。
【0023】
請求項9の発明によれば、取着体には、配線ボックスの底壁の内面における貫通孔の周縁部に係止される係止爪部が先端に設けられた係止突起を有する取着部と、配線ボックスの底壁の貫通孔の内側に掛け止められる掛止部とを有しているため、係止爪部が一つであっても、配線ボックスに対して取着体が取着可能である。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、被取着体に対して取着体が取着された状態において、被取着体の貫通孔に挿入されて、被取着体の相手方被係止部に先端の係止爪部が係止している係止突起は、当該貫通孔に挿入されて、当該内周面に当接している傾動突起の傾動により、前記係止突起に当接し、前記係止が解除される方向への変形が阻止又は制限(抑制)されることで、前記係止状態が維持される。よって、被取着体に対して自身の取着部を介して取着された取着体は、一旦、取着された後においては、被取着体から簡単には、取り外れない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施例1の配線ボックス固定具F1 を介して棒状支持部材72に第1配線ボックスB1 が取着された状態の斜視図である。
図2】同様の状態の拡大縦断面図である。
図3】(a),(b)は、それぞれ水平及び垂直に配置された棒状支持部材72に対して配線ボックス固定具F1 を介して第1配線ボックスB1 が取着される状態を示す分解斜視図である。
図4-A】(a),(b)は、棒状支持部材72に対して配線ボックス固定具F1 を用いて第1配線ボックスB1 を取着する前半の2つの工程図である。
図4-B】(c),(d)は、棒状支持部材72に対して配線ボックス固定具F1 を用いて第1配線ボックスB1 を取着する後半の2つの工程図である。
図5】(a),(b)は、それぞれ配線ボックス固定具F1 を前面側、及び背面側から見た斜視図である。
図6】(a)は、平坦状に弾性変形させた配線ボックス固定具F1 の平面図、(b)は、(a)のX−X線断面図である。
図7】棒状支持部材72に配線ボックス固定具F1 を介して第2配線ボックスB2 が取着された状態の一部を破断した斜視図である。
図8】同様の状態の拡大縦断面図である。
図9図8のY−Y線拡大断面図である。
図10】(a),(b)は、それぞれ本発明の実施例2の配線ボックス固定具F2 の斜視図、及び使用状態の半断面図である。
図11】(a),(b)は、それぞれ本発明の実施例3の取着体K3 及び被取着体J3 の分離状態、及び取着状態の斜視図である。
図12】同じく取着状態の断面図である。
図13】(a),(b)は、それぞれ本発明の実施例4の取着体K4 及び被取着体J4 の分離状態、及び取着状態の斜視図である。
図14図13(b)のZ−Z線断面図である。
図15】(a),(b)は、別構造の取着部A5 ,A6 の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、複数の最良の実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明する。
【実施例1】
【0027】
最初に、図1ないし図6を参照して、本発明の実施例1の取着体である配線ボックス固定具F1 について説明する。配線ボックス固定具F1 は、例えば、図1に示されるような軽量間仕切り壁を構成する支柱である軽量型鋼71に対して水平に支持される雄ねじ棒から成る棒状支持部材72に対して、肉厚の異なる第1及び第2の2種類の配線ボックスB1 ,B2 を取着可能とするものである。肉厚の異なる2種類の配線ボックスとは、底壁の肉厚T1 が6mmの樹脂製の第1配線ボックスB1 と、底壁の肉厚T2 が1.5〜2mmの鉄製の第2配線ボックスB2 とを指す。第1及び第2のいずれの配線ボックスB1 ,B2 においても、その底壁81には、前記配線ボックス固定具F1 を含む種々の配線ボックス固定具を介して棒状支持部材72等の構造物に対して取着するための一対一組となった二組の貫通孔82が垂直方向、及び水平方向の双方に沿って形成されている。一対一組となった二組の貫通孔82のピッチP(図2及び図3参照)は、同一である。図3に示されるように、棒状支持部材72が水平に配置されている場合には、上下方向に沿った一対の貫通孔82を使用することで、配線ボックス固定具F1 を垂直方向に配置すると共に、棒状支持部材72が垂直に配置されている場合には、左右方向に沿った一対の貫通孔82を使用することで、配線ボックス固定具F1 を水平方向に配置する。なお、図2及び図3において、83は、第1配線ボックスB1 の底壁81及び各側壁84に形成されたノックアウト孔を示し、85は、ボックス開口の側から差し込まれた被探知部材のボルト部を螺合させるために、底壁81の中心の厚肉部に埋設されたナット体を示す。
【0028】
配線ボックス固定具F1 は、樹脂の射出成形品であって、図5及び図6に示されるように、第1及び第2の配線ボックスB1 ,B2 の双方を取着可能な一対の取着部A1 が、各配線ボックスB1 ,B2 の一対の貫通孔82と同一のピッチPをおいて連結板部1で一体に連結され、当該連結板部1における一対の取着部A1 の並び方向Qに沿った中央部には、前記棒状支持部材72を嵌合状態で挿通して、当該棒状支持部材72の長手方向に沿って摺動することなく固定可能な支持部材固定部2が、前記一対の取着部A1 と反対側にわん曲して一体に形成された構成である。支持部材固定部2は、180°を超える円弧状をなしていて、一対の取着部A1 が形成された側の開口は、棒状支持部材72の挿入開口6となっており、断面円形の棒状支持部材72は、当該挿入開口6を通して、180°を超える円弧状となっている支持部材固定部2に挿入状態で嵌合された後においては、当該支持部材固定部2は、挿入開口6が僅かに広くなるように弾性変形され、その弾性復元力により挟持されることで、当該位置に固定される。なお、図6において、配線ボックス固定具F1 の連結板部1は、非使用状態においては、同図(b)で二点鎖線で示されるように、一対の取着部A1 の先端部が近接する側に屈曲されているが、図6においては、基本形状を理解し易くするために、当該連結板部1が平坦な板状となった状態で図示してある。
【0029】
第1及び第2の配線ボックスB1 ,B2 の双方を取着可能な一対一組となった各取着部A1 は、第1配線ボックスB1 の貫通孔82に係止可能な係止突起E1 と、第2配線ボックスB2 の貫通孔82’に係止可能な傾動突起D1 とが、隙間7を有した近接した状態で、一対の取着部A1 の並び方向Qに沿って対向配置されている。その結果、一対一組となった二組の計4つの係止突起E1 及び傾動突起D1 が前記並び方向Qに沿って配置されて、内側には、一対の傾動突起D1 が配置され、外側には、一対の係止突起E1 が配置される。係止突起E1 及び傾動突起D1 の各横断面形状は、半円よりも僅かに小さな割円状であって(図9参照)、互いに対向する面は、平面状に形成されている。係止突起E1 及び傾動突起D1 の各先端部には、それぞれ第1及び第2の配線ボックスB1 ,B2 の底壁81,81’の相手方被係止部88,88’に係止可能な各係止爪部N1 ,N2 が、ほぼ半円周の範囲において外方に向けて形成されている結果、各係止爪部N1 ,N2 は、互いに反対の側を向いている。各係止爪部N1 ,N2 は、半割截頭円錐状をなしていて、平面状となる部分が内側を向いている。
【0030】
図6において、配線ボックス固定具F1 の連結板部1における一対の取着部A1 が設けられた側の面は、第1及び第2の配線ボックスB1 ,B2 を取着した状態で、平坦状に弾性変形されることで、第1及び第2の配線ボックスB1 ,B2 の底壁81,81’の外面に当接するボックス当接面3となっている。ボックス当接面3から第1及び第2の各係止突起E1 ,E2 の各係止爪部N1 ,N2 までの長さL1 ,L2 は、第1及び第2の配線ボックスB1 ,B2 の各貫通孔82,82’の長さに対応していて、ボックス当接面3から係止突起E1 の係止爪部N1 までの長さL1 は、傾動突起D1 の係止爪部N2 までの長さL2 よりも長くなっている。
【0031】
このように、ボックス当接面3から傾動突起D1 の係止爪部N2 までの長さL2 は短く、鉄製の第2配線ボックスB2 の取着時において、傾動突起D1 は、十分な弾性変形長を確保できないために、第2配線ボックスB2 の貫通孔82’に対する配線ボックス固定具F1 の傾動突起D1 の係止が不安定となる恐れがある。そこで、係止突起E1 と傾動突起D1 で構成される取着部A1 の部分の横断面がコの字形となるように背面側に突出させて、コの字形突出部4を形成し、傾動突起D1 の基端を当該コの字形突出部4の底部に配置することで、十分な弾性変形長L2'を確保している。なお、配線ボックス固定具F1 のコの字形突出部4の内側の開口が開き易くなるのを防止すべく、当該コの字形突出部4の背面側には、肉増部5が設けられて、当該コの字形突出部4の部分の耐変形剛性が高められている。
【0032】
配線ボックス固定具F1 の連結板部1は、支持部材固定部2の部分において前記並び方向Qに沿って分断されていて、非使用状態において、一対の取着部A1 の先端部が近接する方向に支持部材固定部2の部分で屈曲されていて、第1及び第2の配線ボックスB1 ,B2 の取着時において、分断されている連結板部1の各部分が、同一平面上に位置して平板状(平坦状)となるように弾性変形させて、弾性復元力を発生させることで、後述のように、一対一組となった二組の計4つの係止突起E1 及び傾動突起D1 のうち、一対の取着部A1 の並び方向Qに沿って内側に配置された一対の傾動突起D1 の各係止爪部N2 と、第2配線ボックスB2 の底壁81’の相手方被係止部88’との係止を確実にする構造が採用されている。
【0033】
そして、建物を構成する構造物の一つである棒状支持部材72に対して第1配線ボックスB1 を取着するには、図4ーA(a)に示されるように、配線ボックス固定具F1 と第1配線ボックスB1 とを前記棒状支持部材72を挟んで配置した状態で、前記配線ボックス固定具F1 と第1配線ボックスB1 とを互いに押し付けると、図4ーA(b)及び図4−B(c)に示されるように、前記第1配線ボックスB1 の底壁81の外面が前記棒状支持部材72に近接すると共に、当該棒状支持部材72が相対的に配線ボックス固定具F1 の支持部材固定部2の挿入開口6から内部に挿入される。これにより、一対の取着部A1 を構成する外側の一対の係止突起E1 が内方に弾性変形されることで、その先端の係止爪部N1 が、第1配線ボックスB1 の底壁81の貫通孔82に挿入されて、当該貫通孔82の内周面に弾接し、その後に、一対の取着部A1 を構成する内側の一対の傾動突起D1 が内方に弾性変形されて、当該貫通孔82に挿入されることで、その先端の係止爪部N2 が、前記貫通孔82の内周面における前記第1係止爪部N1 の弾性部と対向する部分に弾接する〔図4−B(c)参照〕。ここで、配線ボックス固定具F1 の連結板部1は、一対の取着部A1 が互いに近接する方向に予め屈曲されていて、取着部A1 を構成する係止突起E1 及び傾動突起D1 は、その先端部が互いに近接する方向に僅かに傾斜配置されているため、第1配線ボックスB1 の底壁81の貫通孔82に対する係止突起E1 及び傾動突起D1 の挿入は、スムーズに行える。
【0034】
最後に、図4−B(c),(d)に示されるように、当該配線ボックス固定具F1 に対して第1配線ボックスB1 を押し付けると、配線ボックス固定具F1 の支持部材固定部2に棒状支持部材72が完全に挿入された状態で、配線ボックス固定具F1 の屈曲されていた連結板部1は、平面状(平坦状)に弾性変形されて、第1配線ボックスB1 の底壁81の外面に当接し、取着部A1 を構成する外側の一対の係止突起E1 の先端の各係止爪部N1 は、前記貫通孔82から抜け出て、第1配線ボックスB1 の内部に配置されることで、相手方被係止部88である第1配線ボックスB1 の底壁81の内面の貫通孔82の周縁部に係止される。一方、一対の傾動突起D1 は、第1配線ボックスB1 の底壁81の貫通孔82を抜け出る長さを有していないので、当該貫通孔82の内周面に弾接した状態で、当該貫通孔82の内部に配置されたままとなる。貫通孔82の内部に配置された傾動突起D1 の係止爪部N2 は、第1配線ボックスB1 の底壁81の相手方被係止部88に対して係止状態の係止突起E1 の内面の平面部に弾接することで、配線ボックス固定具F1 の連結板部1が屈曲した原形状に復元されるのを防止する機能を果たして、一対の係止突起E1 の先端の各係止爪部N1 と、第1配線ボックスB1 の底壁81の相手方被係止部88との係止状態が解除されるのを防止して、当該係止状態を維持する。
【0035】
また、配線ボックス固定具F1 のボックス当接面3から係止突起E1 の先端(係止爪部N1 の先端)までの長さは、傾動突起D1 の対応する長さよりも長いため、図4−B(d)に示されるように、係止突起E1 の係止爪部N1 が、第1配線ボックスB1 の底壁81の相手方被係止部88に係止した状態において、傾動突起D1 の先端部である係止爪部N2 の部分は、その全体が貫通孔82内に配置された状態で、係止突起E1 の係止爪部N1 の直下の部分に弾接して、前記係止の解除が効果的に防止されている。
【0036】
なお、上記した取着方法とは異なって、配線ボックス固定具F1 を棒状支持部材72に予め固定しておき、この状態で、当該配線ボックス固定具F1 が棒状支持部材72から外れないように保持して、当該配線ボックス固定具F1 に対して第1配線ボックスB1 を押し付けて、取着部A1 を構成する第1及び第2の各係止突起E1 ,E2 を弾性変形させることで、当該配線ボックス固定具F1 に対して第1配線ボックスB1 を取着してもよい。
【0037】
次に、図7図9を参照して、配線ボックス固定具F1 を用いて、棒状支持部材72に鉄製の第2配線ボックスB2 を取着する場合について説明する。第2配線ボックスB2 においても、その底壁81’には、一対一組となった二組の貫通孔82’が垂直方向及び水平方向の双方に沿ってピッチPで形成されている。第2配線ボックスB2 は、第1配線ボックスB1 の取着と同様にして、水平配置された棒状支持部材72に対して、垂直方向に沿った一対の貫通孔82’を用いて、第1配線ボックスB1 の取着に使用した同一の配線ボックス固定具F1 を介して取着される。
【0038】
棒状支持部材72に対する第1配線ボックスB1 の取着と同様にして、配線ボックス固定具F1 と第2配線ボックスB2 とを前記棒状支持部材72を挟んで配置した状態で、前記配線ボックス固定具F1 と第1配線ボックスB1 とを互いに押し付けるか,或いは予め棒状支持部材72に固定された配線ボックス固定具F1 に対して第2配線ボックスB2 を押し付けると、最初に、取着部A1 を構成する係止突起E1 が内方に弾性変形されることで、底壁81’の貫通孔82’に挿入され、その後に、傾動突起D1 が外方(係止突起E1 に近接する側)に弾性変形されることで、当該貫通孔82’に挿入される。係止突起E1 のボックス当接面3から係止爪部N1 までの長さL1 は、鉄製の第2配線ボックスB2 の底壁81’の肉厚T2 よりも遥かに長いので、配線ボックス固定具F1 のボックス当接面3に第2配線ボックスB2 の底壁81’の外面が当接した状態において、一対の係止突起E1 の各係止爪部N1 は、第2配線ボックスB2 の底壁81’の内面に対して内部に大きく入り込んで、第2配線ボックスB2 の底壁81’の相手方被係止部88’に対して非係止状態となっているが、一対の傾動突起D1 の各係止爪部N2 は、第2配線ボックスB2 の底壁81’の相手方被係止部88’に対して係止している。この係止構造によって、同一の配線ボックス固定具F1 に対して第2配線ボックスB2 が取着される。
【0039】
ここで、配線ボックス固定具F1 に第2配線ボックスB2 が取着された状態では、一対の取着部A1 の先端が近接する方向に屈曲されていた連結板部1が平面状に弾性変形されることで、当該連結板部1は、屈曲した原形状、即ち、連結板部1の前記並び方向Qに沿った中央部が、第2配線ボックスB2 の底壁81’の外面から離反して、屈曲した原形状に復元しようとする弾性復元力が発生している。一対一組となった二組の計4つの係止突起E1 及び傾動突起D1 は、前記並び方向Qに沿って配置されていて、第2配線ボックスB2 の底壁81’の相手方被係止部88’に、先端の係止爪部N2 が係止している一対の傾動突起D1 は、一対の係止突起E1 に対して前記並び方向Qの内側に配置されているため、前記弾性復元力は、一対の傾動突起D1 の各係止爪部N2 と、第2配線ボックスB2 の底壁81’の相手方被係止部88’との係止をより確実にするように作用するため、第2配線ボックスB2 の底壁81’の肉厚T2 は薄いにもかかわらず、当該係止の解除の恐れが殆どない。なお、図7及び図8において、89は、ボックス開口の側から差し込まれた被探知部材のボルト部を螺合させるために、底壁81’の部分に一体形成された雌ねじ筒部を示す。
【0040】
よって、同一の配線ボックス固定具F1 を用いて、底壁81,81’の肉厚T1 ,T2 の異なる樹脂製の第1配線ボックスB1 と鉄製の第2配線ボックスB2 とを、建物の構造物の一つである棒状支持部材72に取着できるので、電気工事の現場において使用する配線ボックス固定具の種類が半減して、配線ボックス取着の作業を迅速に行えると共に、配線ボックス固定具の保管・管理も容易となる。
【0041】
なお、実施例1では、底壁81’の肉厚の薄い第2配線ボックスB2 に対して配線ボックス固定具F1 が取着される場合には、傾動突起D1 は、係止突起としての機能を果たしていて、同一の配線ボックス固定具F1 により、底壁81,81’の肉厚の異なる第1及び第2の2種類の配線ボックスB1 ,B2 に対して取着可能であるが、配線ボックス固定具は、当然に一種類(実施例1において、肉厚の厚い第1配線ボックスB1 )のみに対応する構成であってもよい。この場合には、傾動突起の先端部に設けられる突部は、係止機能は有せず、貫通孔の内周面に弾接又は当接する傾動機能を有するのみである。
【実施例2】
【0042】
次に、図10を参照して、本発明の実施例2の取着体である配線ボックス固定具F2 について説明する。配線ボックス固定具F2 は、一対で、又は単に一つで、樹脂製の第1配線ボックスB1 又は鉄製の第2配線ボックスB2 を壁材92に固定するものであって、前記配線ボックス固定具F1 の全体を、一対の取着部A1 の並び方向Qの中央で二分することで、二分された断面半円弧状の支持部材固定部2の部分を無くして、平板状の部分を固定板部12と機能させた構成であり、前記配線ボックス固定具F1 と同一又は同等部分には、同一符号を付してある。固定板部12には、固定ビス91を挿通させるためのビス挿通孔12aが形成されている。
【0043】
図10(b)は、配線ボックス固定具F2 を用いて、第2配線ボックスB2 が壁材92に固定された状態の半断面図であり、上記したように、壁材92に対して第2配線ボックスB2 を固定するには、一対の配線ボックス固定具F2 を使用してもよいし、単に一つの配線ボックス固定具F2 のみであってもよい。第1及び第2のいずれの配線ボックスB1 ,B2 においても、底壁81,81’の中央部には、一対一組となった二組のピッチPの貫通孔82,82’が形成されているが、当該貫通孔82,82’とは別に、当該貫通孔82,82’の外側の部分に、別の一対の貫通孔86が形成されている。
【0044】
配線ボックス固定具F2 を用いて壁材92に第2配線ボックスB2 を固定するには、固定板部12の背面側に、配線ボックス固定具F2 のコの字形突出部4の突出長に対応する肉厚のスペーサ93を配置して、当該固定板部12のビス挿通孔12aに固定ビス91を挿通して、配線ボックス固定具F2 を壁材92に固定しておく。その後に、壁材92に固定された配線ボックス固定具F2 に対して第2配線ボックスB2 を押し付けると、配線ボックス固定具F2 の第1及び第2の各係止突起E1 ,E2 は、鉄製の第2配線ボックスB2 の貫通孔86に挿入されて、図10(b)に示されるように、傾動突起D1 の第2係止爪部N2 が、第2配線ボックスB2 の底壁81の相手方被係止部88’に係止され、係止突起E1 は、係止することなく、挿通状態となっている。なお、樹脂製の第1配線ボックスB1 の場合には、上記したように、配線ボックス固定具F1 の場合と同様に、取着部A1 を構成する係止突起E1 の係止爪部N1 が、第1配線ボックスB1 の底壁81の相手方被係止部88に係止され、貫通孔86内で係止突起E1 の側に弾性変形により傾動された傾動突起D1 により、係止突起E1 の前記係止が解除されるのが防止される。なお、前記スペーサ93は、配線ボックス固定具F2 の固定板部12に一体に形成されていてもよい。
【実施例3】
【0045】
図11及び図12には、本発明の実施例3の取着体K3 が示されている。なお、当該取着体K3 及び後述の実施例4の取着体K4 は、本発明の原理のみを説明するためであって、具体的に製品に実施されたものではないため、形状を単純化させてあり、実施例1,2の各配線ボックス固定具F1 ,F2 と異なる部分を中心にして説明する。取着体K3 は、平板状の板体21の表面側に一対の取着部A3 が一体に形成され、各取着部A3 は、係止突起E3 と傾動突起D3 とで構成され、その基端は、いずれも取着体当接面22である板体21の表面であり、係止突起E3 の先端部には、係止爪部N3 が一体に形成されているが、傾動突起D3 の先端部には、前記係止爪部N3 と反対側に向けて弾接突部D3aが一体に形成されている。取着体K3 が取着される被取着体J3 に、前記一対の取着部A3 と同一のピッチで形成された一対の貫通孔87が形成されて、前記弾接突部D3aは、係止突起E3 の係止爪部N3 と異なって、傾動突起D3 を傾動させるのみで、被取着体J3 の裏面の貫通孔87の周縁部には、係止されない。
【0046】
実施例3においては、取着部A3 を構成する係止突起E3 と傾動突起D3 とは、実施例1の配線ボックス固定具F1 の一対の取着部A1 と同様に、一対の取着部A3 の並び方向Qに沿って配置されているが、実施例1の各取着部A1 を構成する係止突起E1 と傾動突起D1 とは、連結板部1の弾性復元力により、傾動突起D1 の側に設けられた係止爪部N2 の係止の解除を効果的に防止するために、対称に配置されている(前記並び方向Qに沿って一対の係止突起E1 及び一対の傾動突起D1 は、それぞれ外側及び内側に配置されている)のに対して、実施例3の各取着部A3 を構成する係止突起E3 及び傾動突起D3 は、同一に配置されている点が異なる。
【0047】
このため、被取着体J3 の一対の貫通孔87と、取着体K3 の一対の取着部A3 とを合致させた状態で、被取着体J3 に対して取着体K3 を押し付けると、実施例1,2と全く同様にして、係止突起E3 の係止爪部N3 は、被取着体J3 のの相手方被係止部に係止され、弾接突起D3 の傾動突部D3aは、貫通孔87の内周面における係止突起E3 の配置位置と対向する部分に弾接することで、傾動突起D3 は、係止突起E3 の側に傾動して、当該係止突起E3 に弾接することで、係止突起E3 の先端部の係止爪部N3 の係止状態が解除されるのが防止される。
【実施例4】
【0048】
図13及び図14には、本発明の実施例4の取着体K4 が示されている。実施例4の取着体K4 は、実施例3の取着体K3 に対して、一対の取着部A4 を構成する係止突起E4 と傾動突起D4 とが、当該一対の取着部A4 の並び方向Qと直交する方向Rに沿って配置されている点、及び被取着体J4 が前記被取着体J3 に対して相対的に肉厚が薄いために、傾動突起D4 の弾性変形長を確保するため、当該傾動突起D4 の基端を、取着体K4 の板体21’に形成された凹部23の底面に配置した点のみであるので、実施例3の取着体K3 と同一又は同等部分には、同一又は同等の符号を付して、図示のみ行う。
【0049】
また、図15には、被取着体J4 に対して取着体K4 を取着させるために、当該取着体K4 に一体に設けられる別の取着部A5 ,A6 が示されている。取着部A5 は、係止時において、被取着体J4 の肉厚の全ての部分に当接する係止突起E5 と、前記傾動突起D4 よりも太い傾動突起D5 とから成り、傾動突起D5 が太い分だけ、係止突起E5 の係止爪部N5 の係止が解除されるのを防止する効果が大きい。取着部A6 は、係止時において、僅かに傾斜配置されることで、貫通孔87’の内周面に密着しない係止突起E6 と、当該係止突起E6 と同方向に僅かに傾斜配置される傾動突起D6 とから成る。
【0050】
また、上記実施例1〜4及び図15に記載の実施例は、いずれも傾動突起が弾性変形して、その先端部が貫通孔の内周面及び係止突起の双方に弾接する構成であるが、本発明においては、傾動突起は、傾動することのみが必要不可欠な要件であって、「傾動突起が弾性変形すること」、及び「傾動突起の先端部が貫通孔の内周面に弾接すること」は、必要不可欠な要件ではない。例えば、傾動突起は、傾動した後には、原形状に復元しなくても、即ち、塑性変形したままであっても、傾動突起の傾動により、係止突起の係止の解除は抑制できるし、貫通孔の内周面に対して傾動突起は、係止突起の係止解除を抑制可能な傾動状態が維持できる限り、単に当接しているのみであってもよい。
【0051】
また、配線ボックスを構造物に固定するための取着体である配線ボックス固定具において、配線ボックスの底壁に形成された一対の貫通孔の一方に挿入係止される取着部と、他方の貫通孔に単に挿入されて引っ掛けられるのみで、係止爪構造により係止されない引掛部を有する挿入部とを備えた配線ボックス固定具も、本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0052】
1 ,A2 〜A6 :取着部
1 :第1配線ボックス(被取着体)
2 :第2配線ボックス(被取着体)
1 〜D6 :傾動突起
1 〜E6 :係止突起
1 ,F2 :配線ボックス固定具
3 ,J4 :被取着体
3 ,K4 :取着体
1 :ボックス当接面から係止突起の係止爪部までの長さ
2 :ボックス当接面から傾動突起の係止爪部までの長さ
2':傾動突起の弾性変形長
1 ,N2 〜N6 :係止爪部
P:配線ボックス固定具の一対の取着部、及び配線ボックスの底壁の一対の貫通孔のピッチ
Q:一対の取着部の並び方向
R:一対の取着部の並び方向と直交する方向
1 :第1配線ボックスの底壁の肉厚
2 :第2配線ボックスの底壁の肉厚
θ1 :係止突起の係止爪部の外周面の傾斜角度
θ2 :傾動突起の係止爪部の外周面の傾斜角度
1:連結板部
2:支持部材固定部(固定部)
3:ボックス当接面
12:固定板部
72:棒状支持部材(建物の構造物)
81,81’:配線ボックスの底壁
82,82’:配線ボックスの底壁の貫通孔
86,87,87’:被取着体の貫通孔
88,88’:相手方被係止部
図1
図2
図3
図4-A】
図4-B】
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15