(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6486819
(24)【登録日】2019年3月1日
(45)【発行日】2019年3月20日
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
H05B 33/10 20060101AFI20190311BHJP
H05B 33/06 20060101ALI20190311BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20190311BHJP
H05B 33/02 20060101ALI20190311BHJP
H01L 27/32 20060101ALI20190311BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20190311BHJP
【FI】
H05B33/10
H05B33/06
H05B33/14 A
H05B33/02
H01L27/32
G09F9/30 365
【請求項の数】15
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-252929(P2015-252929)
(22)【出願日】2015年12月25日
(65)【公開番号】特開2017-117688(P2017-117688A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2017年7月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】中川 拓哉
【審査官】
倉本 勝利
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−235294(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0134473(US,A1)
【文献】
特開2015−195106(JP,A)
【文献】
特開2014−074757(JP,A)
【文献】
特開2014−149517(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/099135(WO,A1)
【文献】
特開2011−085923(JP,A)
【文献】
特開2014−149994(JP,A)
【文献】
特開2006−163408(JP,A)
【文献】
特開2011−053582(JP,A)
【文献】
特開2015−129830(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L27/32;H05B33/00−33/28;H01L51/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面と側面を有する支持基板上に基材を設け、
表示領域と端子を、前記端子が前記表示領域と前記側面に挟まれるように、かつ互いに電気的に接続されるように、前記基材の前記上面と重畳する面に形成し、
前記支持基板を分断した後に前記側面と前記端子の間の領域に位置する前記基材の一部を除去して溝を形成し、
前記支持基板を前記基材から分離することを含む、表示装置の製造方法。
【請求項2】
上面と側面を有する支持基板上に基材を設け、
表示領域と端子を、前記端子が前記表示領域と前記側面に挟まれるように、かつ互いに電気的に接続されるように、前記基材の前記上面と重畳する面に形成し、
前記支持基板を分断した後に前記基材の一部を除去して前記表示領域と前記端子を非連続的に囲むように複数の溝を形成し、
前記支持基板を前記基材から分離することを含む、表示装置の製造方法。
【請求項3】
前記基材の前記一部は、レーザー照射によって除去される、請求項1または2に記載の表示装置の製造方法。
【請求項4】
前記支持基板が露出されるように、前記基材の前記一部が除去される、請求項1または2に記載の表示装置の製造方法。
【請求項5】
前記溝が、前記端子から離れた位置に形成される、請求項1または2に記載の表示装置の製造方法。
【請求項6】
前記溝が、前記側面から100μm以上、500μm以下の距離で離れるように形成される、請求項1または2に記載の表示装置の製造方法。
【請求項7】
異方性導電膜により前記端子をコネクタに電気的に接続することをさらに含む、請求項1または2に記載の表示装置の製造方法。
【請求項8】
前記異方性導電膜が前記溝から離れて位置するように、前記端子と前記コネクタが接続される、請求項7に記載の表示装置の製造方法。
【請求項9】
前記溝は前記表示領域を取り囲んでいる、請求項1または2に記載の表示装置の製造方法。
【請求項10】
前記表示領域は複数の辺を有し、
前記複数の辺の各々は、前記複数の溝の少なくとも2つと対向している、請求項2に記載の表示装置の製造方法。
【請求項11】
前記複数の溝はいずれも直線状である、請求項2に記載の表示装置の製造方法。
【請求項12】
前記溝は複数形成され、前記複数の溝は、一列に、かつ、周状に並ぶように形成される、請求項1に記載の表示装置の製造方法。
【請求項13】
前記複数の溝は、一列に、かつ、周状に並ぶように形成される、請求項2に記載の表示装置の製造方法。
【請求項14】
前記溝は複数形成され、前記複数の溝は互いに離間し、かつ、前記複数の溝間の前記基材の非除去部と、前記表示領域と前記複数の溝の間に設けられた前記基材の非除去部とが繋がるよう形成される、請求項1に記載の表示装置の製造方法。
【請求項15】
前記複数の溝は互いに離間し、かつ、前記複数の溝間の前記基材の非除去部と、前記表示領域と前記複数の溝の間に設けられた前記基材の非除去部とが繋がるよう形成される、請求項2に記載の表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置、およびその製造方法に関する。例えば、有機EL表示装置、あるいは可撓性有機EL表示装置とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板上に形成された複数の画素を有する表示装置が知られている。このような表示装置の代表例としては、液晶表示装置やEL表示装置などが挙げられる。
【0003】
EL表示装置とは、エレクトロルミネセンス(EL:Electroluminescence)現象を示す材料が一対の電極で挟持された構造を有する発光素子を各画素に備えた表示装置である。材料として有機化合物を用いる発光素子は有機発光素子、有機EL素子、あるいは有機電界発光素子と呼ばれる。このような有機発光素子を複数有する表示装置を有機EL表示装置と呼ぶ。
【0004】
有機EL表示装置は基板上に形成された複数の有機発光素子(以下、発光素子)を有し、各発光素子がトランジスタなどのスイッチング素子によって制御され、画像が表示される。基板としてはガラス基板や金属基板、セラミック基板などが使用できるが、可撓性の基板、例えば樹脂を含む基板などを用いることで、可撓性の有機EL表示装置を作製することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2011−0134018号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、可撓性の表示装置、例えば可撓性の有機EL表示装置を提供することを目的の一つとする。あるいは、可撓性の有機EL表示装置を容易に、歩留まり良く製造する方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態は、上面と側面を有する基材と、上面上の表示領域と、上面上、かつ表示領域と側面の間に位置し、表示領域と電気的に接続された端子と、端子上の異方性導電膜を含み、異方性導電膜の端部は側面から離れている、表示装置である。
【0008】
本発明の一実施形態は、上面と側面を有する支持基板上に基材を設け、表示領域と端子を、端子が表示領域と側面に挟まれるように、かつ互いに電気的に接続されるように、前記基材の前記上面と重畳する面に形成し、側面と端子の間の領域に位置する基材の一部を除去して溝を形成し、支持基板を基材から分離することを含む、表示装置の製造方法である。
【0009】
本発明の一実施形態は、上面と側面を有する支持基板上に基材を設け、表示領域と端子を、端子が表示領域と側面に挟まれるように、かつ互いに電気的に接続されるように、前記基材の前記上面と重畳する面に形成し、基材の一部を除去して表示領域と端子を囲むように複数の溝を形成し、支持基板を基材から分離することを含む、表示装置の製造方法である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図4】本発明の一実施形態の表示装置の作製方法を示す図。
【
図5】本発明の一実施形態の表示装置の作製方法を示す図。
【
図6】本発明の一実施形態の表示装置の作製方法を示す図。
【
図7】本発明の一実施形態の表示装置の作製方法を示す図。
【
図8】本発明の一実施形態の表示装置の作製方法を示す図。
【
図9】本発明の一実施形態の表示装置の作製方法を示す図。
【
図10】本発明の一実施形態の表示装置の作製方法を示す図。
【
図11】本発明の一実施形態の表示装置の作製方法を示す図。
【
図12】本発明の一実施形態の表示装置の作製方法を示す図。
【
図13】本発明の一実施形態の表示装置の作製方法の変形例を示す図。
【
図14】本発明の一実施形態の表示装置の作製方法の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の各実施形態について、図面等を参照しつつ説明する。但し、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0012】
図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。本明細書と各図において、既出の図に関して説明したものと同様の機能を備えた要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略することがある。
【0013】
(第1実施形態)
本実施形態では、本発明の一実施形態の表示装置の構造を
図1乃至
図3を用いて説明する。
図1に表示装置100の上面模式図を示す。表示装置100は基材110と、その上に設けられた表示領域120を有している。また、基材110と重なるコネクタ140を有しており、コネクタ140と表示領域120の間にはIC(Integrated Circuit)チップ130が設けられている。
【0014】
表示領域120には画像を再現するための複数の画素(図示せず)が設けられている。各画素には表示素子とそれに電気的に接続される一つ乃至複数のトランジスタが設けられており、各表示素子はトランジスタによって制御される。各画素はICチップ130と電気的に接続されており、コネクタ140を通して外部から入力される映像信号に応じて駆動される。コネクタ140としては例えばフレキシブルプリント回路(FPC)などが挙げられる。
【0015】
表示素子としては例えば有機EL発光素子が挙げられる。表示領域120は、異なる発光色を与える発光素子を用いて形成してもよい。あるいは白色を与える発光素子を全発光素子で用いて表示領域120を形成し、カラーフィルタを用いて各素子から所望の発光色を取り出してもよい。
【0016】
ICチップ130は、例えば半導体基板を用いて作製され、基材110上、あるいはコネクタ140上に固定されて各画素のトランジスタを制御する駆動回路として機能する。表示領域120の周辺にはさらに他の駆動回路が設けられていてもよい。あるいは、ICチップ130を設けず、駆動回路を表示領域120の周辺に設けてもよい。
【0017】
図1の表示装置100からコネクタ140を取り除いた構成を
図2に示す。表示領域120から基材110の側面115(基材110の側面のうち、端子160側の側面)に向かって配線162が配置されている。配線162は表示領域120、並びにICチップ130と電気的に接続されている。配線162の一部が露出しており、露出した部分が端子160として機能する。端子160は異方性導電膜などの導電膜150によってコネクタ140と接続されている。導電膜150の端部は、コネクタ140と重なる側面115と離れており、その距離L1は、好ましくは10μmから1mm、より好ましくは25μmから200μmである。
【0018】
図1における直線A−Bに沿った断面模式図の一例を
図3(A)に示す。基材110上には表示領域120が形成される。配線162が基材110上の第1の絶縁膜112上に設けられており、表示領域120から基材110の側面115に向かって伸びているが、その端部は側面115から離れている。第1の絶縁膜112は、表示領域120で用いられる下地膜や、表示領域120中のトランジスタで用いられるゲート絶縁膜や保護膜、トランジスタ上に形成され、凹凸を吸収するための層間絶縁膜などによって形成することができる。なお、第1の絶縁膜112は必ずしも必要ではなく、配線162が直接基材110と接触していてもよい。本実施形態では、第1の絶縁膜112が、表示領域120中のトランジスタの下に設置される下地膜を用いて形成される例を示す。
【0019】
配線162上には第2の絶縁膜114が設けられており、そこに設けられた二つの開口部において配線162が露出している。表示領域120に近い側での開口部では、ICチップ130が異方性導電膜などの導電膜152を介して配線162と接続されている。もう一方の開口部(点線で囲まれた領域)で露出した部分が端子160である。第2の絶縁膜114は、例えば表示領域120で用いられるゲート絶縁膜や保護膜、層間絶縁膜などによって形成することができる。
【0020】
端子160上には異方性導電膜などの導電膜150を介してコネクタ140が固定されており、これにより、端子160とコネクタ140が電気的に接続される。上述したように、導電膜150は基材110の側面115から離れている。換言すると、導電膜150は側面115と接触していない。このため
図3(A)に示すように、コネクタ140と基材110の間には空間が存在することができる。導電膜150の端部(側面115に近い方の端部)と側面115との距離L1は上述した範囲と同様である。
【0021】
端子160の側面115に近い方の端部は必ずしも第2の絶縁膜114で覆われている必要はなく、例えば
図3(B)に示すように、端子160の端部(あるいは側面)は直接導電膜150と接していてもよい。この時も、導電膜150は側面115と接触せず、離れている。導電膜150の端部と側面115との好ましい距離L1は上述した範囲と同様である。
【0022】
さらに、端子160と基材110の側面115の間の領域では、第1の絶縁膜112は必ずしも必要ではなく、
図3(C)に示すように、この領域では基材110が露出してもよい。導電膜150の端部と基材110の側面115との好ましい距離L1は上述した範囲と同様である。
【0023】
実施形態2で詳細に記述するが、本実施形態で記述した構成を有する表示装置100は容易に、かつ歩留まり良く製造することができる。特に、可撓性の基材110を用いる場合にその効果は顕著となる。
【0024】
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態で示した表示装置100の製造方法を
図4乃至9、13、14を用いて説明する。
図4乃至
図9では、表示装置100の上面図、および
図1で示した直線A−Bに沿った断面図を示す。なお、第1実施形態と同様の構成に関しては説明を省くことがある。
【0025】
図4(A)、(B)に示すように、支持基板105上に基材110を形成する。支持基板105には、表示装置100の製造工程の環境下に耐えることができる材料を使用することができ、例えばガラス、セラミック、金属などを用いることができる。本実施形態における図面は、支持基板105上に一つの表示装置100が製造されるように描かれているが、支持基板105上に複数の表示装置100を形成し、適宜分断することで複数の表示装置100を製造することができる。
【0026】
基材110としては、例えばポリイミドなどの高分子フィルムを使用することができる。後述するレーザー光を効果的に吸収できる高分子フィルムを使用することが好ましい。また、水や酸素などに対して透過性が低い高分子フィルムが好ましい。基材110は、例えば対応する高分子材料を含む溶液、あるいは混合物を塗布した後に加熱して成膜してもよく、あるいは高分子材料の前駆体の溶液、あるいは混合物を塗布し、加熱して重合させることで製膜してもよい。あるいは、フィルム状の高分子フィルムを支持基板110上に設置し、圧力をかけて形成してもよい。なお、基材110は、例えば支持基板105を分離する工程(後述)を行わない場合には設けなくてもよい。
【0027】
この後、第1の絶縁膜112を基材110上に形成する。この第1の絶縁膜112は支持基板105や基材110からの不純物の拡散を防ぐ機能を有する。第1の絶縁膜112としては、例えば酸化ケイ素や窒化酸化ケイ素、酸化窒化ケイ素などの無機材料を使用することができる。なお、第1の絶縁膜112は必ずしも設ける必要はない。本実施形態では第1の絶縁膜112は基材110の全面に形成しているが、基材110の一部の領域のみに形成してもよい。
【0028】
次に表示領域120とともに、表示領域120と基材110の側面115(
図5(A)において右側面、
図5(B)において下側面)の間に配線162を形成する。配線162は表示領域120から側面115に向かって伸びるように形成されるが、ICチップ130との接続のために一部切断されている。また、側面115とは離れている。表示領域120にはトランジスタが含まれており、配線162はトランジスタのゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、などを形成する際に用いる導電膜を利用して形成することができる。あるいは、発光素子の電極を形成する際に用いる導電膜を利用して形成することができる。
【0029】
配線162は単層構造でも積層構造でも良く、例えばチタン、モリブデン、タングステン、タンタル、アルミニウム、銅、クロムなどの金属やこれらの合金を用いることができる。あるいは、インジウム―スズ酸化物やインジウム―亜鉛酸化物などの透明導電性酸化物を用いることもできる。例えば、高融点の金属(チタンやタングステン、モリブデン)で高い導電性の金属(銅やアルミニウム)を挟持した積層構造などが挙げられる。あるいは、上記金属やその積層構造上に透明導電性酸化物を積層した構造などが挙げられる。
【0030】
配線162上には第2の絶縁膜114が形成される。第2の絶縁膜114は、例えば表示領域120中のトランジスタに含まれるゲート絶縁膜や、トランジスタ上に設けられる層間絶縁膜などを利用して形成することができる。例えば酸化ケイ素や窒化酸化ケイ素、酸化窒化ケイ、窒化ケイ素などの無機絶縁物や、アクリル樹脂やポリイミド樹脂、ポリシロキサン樹脂などの有機材料を用いることができる。
【0031】
第2の絶縁膜114の一部を除去して二つの開口部を作製して配線162の一部を露出する。側面115に近い方の開口部において端子160が形成される。開口部はエッチングやレーザー照射などにより形成される。エッチングは、ドライエッチングでもウエットエッチングでも良い。
【0032】
支持基板105上に複数の表示装置100を作製する場合、スクライバーなどを用いて表示装置100ごとに分断する。
【0033】
次に
図6(A)、(B)に示すように、基材110の側面115と端子160の間の領域にレーザーを照射し、基材110と第1の絶縁膜112の一部を除去して溝170を形成する。レーザーは支持基板105を通して照射してもよく、支持基板105とは反対側から照射してもよい。この時、溝170と基材110の側面115の間の距離L2は、100μm以上500μm以下が好ましい。溝170は端子160の端部(基材110の側面115に近い方の端部)から離れるように形成される。本実施形態では
図6(B)に示すように、溝170は端子160と側面115の間のみに形成されている例を示しているが、本発明はこれに限定されず、溝170は他の領域にも形成されていてもよい。このような実施形態は後述する。なお、支持基板105を基材110から分離する工程(後述)を行わない場合には溝170を作製しなくてもよい。
【0034】
レーザーの種類や波長には特に限定はなく、照射される基材110が吸収可能な波長を有するレーザーであればよい。例えばエキシマレーザーや炭酸ガスレーザーなどの気体レーザー、YAGレーザーなどの固体レーザー、半導体レーザー、色素レーザーなどを使用することができる。レーザーのビーム断面は点状でも線状でもよい。
【0035】
次に
図7(A)、(B)に示すように、表示領域120に近い方の開口部において、第2の絶縁膜114上に異方性導電膜などの導電膜152を用いてICチップを固定する。一方、端子160上に導電膜150を用いてコネクタ140を接続し、端子160とコネクタ140を電気的に接続する。コネクタ140としてはFPCなどを用いることができる。
【0036】
導電膜150の端部(側面115に近い方の端部)と溝170は互いに離れていることが好ましい。その間の距離L1は
図3(A)乃至(C)における距離L1に相当する。換言すると、溝170の側壁は導電膜150に覆われていないことが好ましい。この場合、コネクタ140と基材110の間に空間が存在することができる。
【0037】
次に残存している基材110に対し、支持基板105側からレーザーを照射し、基材110と支持基板105との間の接着力を低減させる。レーザーは上述したレーザーから選択することができる。この時のレーザーの種類や波長は、溝170を形成する際に用いるレーザーと同じでもよく、異なっていてもよい。レーザーのビーム断面も点状でも線状でもよいが、照射時間の短縮のためには線状のビーム断面を有するレーザーの使用が好ましい。
【0038】
次に基材110と支持基板105の界面(
図7(A)における矢印)に沿って基材110と支持基板105を分離する(
図8(A)、(B))。分離は物理的に行うことができ、例えば支持基板105を吸引チャックなどで固定し、基材110から上の構造を界面に沿って分離すればよい。これにより、可撓性を有する表示装置100が得られる。この時、溝170と側面115間に存在する基材110と第1の絶縁膜は表示装置100から分離される。
図9(A)、(B)に示すように、必要に応じて基材110の周辺を切断して取り除いてもよい。
【0039】
以上の工程を経ることにより、本実施形態に係る表示装置100を製造することができる。
【0040】
上述したように本実施の形態では、基材110の端部に到達しないように配線162を形成している。これに対して
図13(A)に示すように、配線162を基材110の側面115に到達するように形成した場合、
図13(B)に示すように、コネクタ140を接続するために用いられる導電膜150の一部は基材110の側面115や支持基板105の側面まで回り込み、支持基板105と基材110間の分離を阻害する。したがって、
図4から
図8に示した製造方法に従い、基材110の側面115に達しないように配線162を形成することが好ましい。
【0041】
上述したように、支持基板105を分断して複数の表示装置100を作製することができるが、この場合
図14の破線で示すように、分断時に支持基板105の端部が破損したり、クラックなどが発生しやすい。このような状態で支持基板105の下側からレーザーを照射した場合、破損した部分でレーザーが反射・散乱され、基材110と重なる領域190には十分にレーザーが照射されない。このため、領域190と支持基板と間の接着性が十分に低下せず、支持基板105と基材110間の分離が阻害され、その結果、表示装置100の歩留まりが低下する。
【0042】
これに対して本実施の形態では、側面115と端子160の間の領域の基材110を除去して溝170を形成している。このため、レーザーを照射した後、溝170と側面115の間において基材110と支持基板105間の接着性が維持されていても、溝170から表示領域120にわたる領域ではレーザーが十分に照射されているので接着性が低下し、容易に支持基板105を分離することができる。したがって、
図4から
図8に示した製造方法に従って側面115と端子160の間の領域の基材110を除去して溝170を形成することが好ましい。
【0043】
(第3実施形態)
本実施形態では、第2実施形態と異なる表示装置200の作製方法を示す。本実施形態で示す作製方法は、溝170のレイアウトが第2実施形態のそれと異なる。第2実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0044】
第2実施形態では、溝170は基材110の側面115と端子160との間の領域のみに設置されているが、本実施形態では
図10に示すように、単一の溝170が表示領域120と端子160を取り囲むように形成されている。
図10ではこの溝170は四角形の形状をしているが、これに限定されることはなく、四角形以外の形状(例えば多角形)を有していてもよい。
【0045】
このような構成を適用することで、支持基板105をより容易に分離することが可能となり、表示装置100の製造歩留まりを向上させることができる。
【0046】
(第4実施形態)
本実施形態では、第2、第3実施形態と異なる表示装置300の作製方法を示す。本実施形態で示す作製方法は、溝170のレイアウトが第2、第3実施形態のそれと異なる。第2、第3実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0047】
図11に示すように本実施形態では、表示領域120と端子160を取り囲むように、複数の直線状の溝170が表示領域の各辺に沿って形成されている。したがって、溝170は非連続的に形成されている。本実施例においては、各溝170には屈曲部が存在せず、直線状である。
【0048】
支持基板105と基材110の材料や、レーザーの照射条件によっては、支持基板105と基材110の接着性が極端に低下する場合があり、この場合、支持基板105が意図しない状況下(例えば搬送中)で分離してしまうことがある。本実施形態の構成を採用することで、支持基板105と基材110の接着性を容易に制御することができる。
【0049】
(第5実施形態)
本実施形態では、第2乃至第4実施形態と異なる表示装置400の作製方法を示す。本実施形態で示す作製方法は、溝170のレイアウトが第2乃至第4実施形態のそれと異なる。第2乃至第4実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0050】
図12に示すように本実施形態では、表示領域120と端子160を取り囲むように、複数の直線状の溝170が表示領域の各辺に平行な点線を形成するように、非連続的に形成されている。一部の溝170は屈曲部を有し、表示領域120の二つの辺にそれぞれ平行な領域を複数有している。
【0051】
実施形態4と同様に、本実施形態の構成を採用することで、支持基板105と基材110の接着性を容易に制御することができる。
【0052】
本発明の実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。また、各実施形態の表示装置を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0053】
本明細書においては、開示例として主に有機EL表示装置の場合を例示したが、他の適用例として、その他の自発光型表示装置、液晶表示装置、あるいは電気泳動素子などを有する電子ペーパ型表示装置など、あらゆるフラットパネル型の表示装置が挙げられる。また、中小型から大型まで、特に限定することなく適用が可能である。
【0054】
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0055】
100:表示装置、105:支持基板、110:基材、112:第1の絶縁膜、114:第2の絶縁膜、115:側面、120:表示領域、130:ICチップ、140:コネクタ、150:導電膜、152:導電膜、160:端子、162:配線、170:溝、190:領域、200:表示装置、300:表示装置、400:表示装置