(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6486823
(24)【登録日】2019年3月1日
(45)【発行日】2019年3月20日
(54)【発明の名称】脊椎疾患を予防するための座具
(51)【国際特許分類】
A61F 5/01 20060101AFI20190311BHJP
【FI】
A61F5/01 E
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-527030(P2015-527030)
(86)(22)【出願日】2012年8月15日
(65)【公表番号】特表2015-526173(P2015-526173A)
(43)【公表日】2015年9月10日
(86)【国際出願番号】IB2012054164
(87)【国際公開番号】WO2014027221
(87)【国際公開日】20140220
【審査請求日】2015年7月23日
【審判番号】不服2017-8524(P2017-8524/J1)
【審判請求日】2017年6月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】513065974
【氏名又は名称】ファム チー キム ロアン
【氏名又は名称原語表記】PHAM THI KIM,Loan
(74)【代理人】
【識別番号】100106541
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 信和
(72)【発明者】
【氏名】パム ティ キム ローン
【合議体】
【審判長】
氏原 康宏
【審判官】
仁木 学
【審判官】
中川 真一
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭57−198959(JP,U)
【文献】
実開昭60−97062(JP,U)
【文献】
特開2003−245166(JP,A)
【文献】
特開平10−14716(JP,A)
【文献】
実開平6−70655(JP,U)
【文献】
実開昭62−2658(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 5/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッド部材と、前記パッド部材から伸びる薄いパッドと、前記パッド部材の内部に完全に挿入される硬質ブロック部と、を有し;
前記パッド部材を左側面または右側面から見ると、前記パッド部材は全体的に直角三角形であり、発泡体、ゴム部材またはコットン等の弾力がある素材で形成されており;
前記パッド部材の斜辺面は、人間工学にうねって形成されており;
前記パッド部材の斜辺面と薄いパッドとを合わせた面積は、使用者の臀部と上脚部と膝とを合わせた面積よりも広いため、前記使用者の身体の一部が床平面に触れずに座具に足を曲げて完全に座ることができ;
前記硬質ブロック部は弾力が無い素材によって形成されており;
前記硬質ブロック部は、破断することなく、大人の人間の質量によって生じる重力に耐えることができ;
前記硬質ブロック部は、前記パッド部材の直角部分に全体的に挿入され;
前記硬質ブロック部の正面部の高さは、前記使用者の尾てい骨の一番低い位置と座骨結節の一番低い位置との間よりも高く;
前記硬質ブロック部は、前記パッド部材の一番高い部分と前記正面部との高さの間に高原エリアを有し、前記使用者の仙骨が前記硬質ブロック部の前記一番高いエリアに配置されるように持ち上げられ、前記使用者の尾てい骨が高原エリアに配置され、前記使用者の座骨は前記硬質ブロック部の前記正面部の近辺に保持され、
前記パッド部材及び前記硬質ブロック部の底面は平らであり、安定性を与える、座具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は平坦面に座る際に使用し、頚椎、胸椎、腰椎等の脊椎疾患を予防する効果を持つ座具に関する。
【背景技術】
【0002】
着座時の姿勢が悪いと、様々な脊椎疾患に繋がる。正しい姿勢での着座とは、直立時と同様、骨盤の位置を自然に保つ姿勢をいう。骨盤が自然な位置に保たれると、脊椎のS字カーブが自然な位置に保たれるため、身体の全体の重さが脊椎骨及び骨盤に均等に分散し、バランスが保たれる。結果として、脊椎疾患を発症しにくくなる。
【0003】
しかし、床などの平面に正しい姿勢で着座することは難しく、支持具を装着していないと更に難しく、骨盤が前後に傾斜するため、過度な圧迫及び筋肉のアンバランスによって背中の痛みと骨盤の異常な傾斜を引き起こす。悪い姿勢での着座を長期間続けると、頚椎、胸椎、腰椎などの脊椎疾患を発症する。結果として、背中、頸部、関節の痛み、緊張頭痛、疲労及びストレスに関連する体調不良、その他の健康障害を発症する。
【0004】
実際、例えば仕事、瞑想、宗教の集会の参加など、様々な理由によって、床などの平面に長時間着座する事がある。平面に着座している間、骨盤を真っ直ぐに保持するための支持具が無いと、背中の痛み、若しくは上述したいずれかの脊椎疾患を引き起こす場合がある。これまで、平面に着座している間における様々な支持具が開発されてきた。しかし、これらの支持具は、正しい姿勢で着座して骨盤を自然な位置に保持するための鍵となる、安定的なサポートには繋がらない。座蒲はその具体例である。座蒲の綿毛の柔らかくて軽い素材は腰が浮かせるため、使用者の重力によって発生する反力の一部を吸収し、結果として使用者は例えば蓮華座などの足を組んだ姿勢で着座するほうが楽になる。しかしながら、座蒲は綿毛を使用するため、使用者の骨盤を安定させず、使用者の姿勢によって骨盤及び尾てい骨が様々な方向に傾くため、いずれ背中の痛み及び様々な脊椎障害を引き起こす。
【0005】
米国特許第6,141,807号明細書は、「正しい姿勢での着座を促す」調節可能な枕を開示する。しかし、臀部全体を保持する形状を形成するために、枕は柔らかい素材で形成されているため、骨盤を常に自然な位置で保持するために安定したサポートは有していない。米国特許第5,652,983号明細書は、着座を快適にする着座/就寝枕を開示している。しかし、着座/就寝枕も骨盤を自然な位置に保持するための安定したサポートは有さない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,141,807号明細書
【特許文献2】米国特許第5,652,983号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
平らな表面に着座している間に使用する装置の発明が必要とされる。座具は使用者を安定して保持し、使用者の骨盤を常に自然な位置に配置することにより、骨盤を常に正しい姿勢を保つ。座具は、頚椎疾患、胸椎疾患、腰椎疾患を含めた、様々な脊椎疾患を予防することが可能となる。本発明は、このような座具を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によると、座具は、パッド部材と、前記パッド部材から伸びる薄いパッドと、前記パッド部材の内部に完全に挿入される硬質ブロック部と、を含む。
【0009】
パッド部材を左側面または右側面から見ると、パッド部材は全体的
に直角三角形であり、発泡体、ゴム部材またはコットン等の弾力がある素材で形成されているため、座り心地が良い。パッド部材の斜辺面は
、使用者に快適性を与えるため、人間工学にうねって形成されている。パッド部材の斜辺面と薄いパッドとを合わせた面積は、使用者の臀部と上脚部と膝とを合わせた面積よりも広いため、使用者の身体の一部が平面を触れずに座具に足を曲げて完全に座ることができる。
【0010】
硬質ブロック部は木材、発泡ポリスチレン、硬質ゴム等の弾力が無い素材によって形成されている。硬質ブロック部は、破断することなく、
大人の人間の臀部の形状及びサイズと同等で、その質量によって生じる重力に耐えることができる。硬質ブロック部は、パッド部材の
直角部分に全体的に挿入される。硬質ブロック部の正面部の高さは、使用者の尾てい骨の一番低い位置と座骨結節の一番低い位置との間よりも高い。パッド部材及び硬質ブロック部の底面は平らであり、安定性を与える。
【0011】
座具を適切に使用するためには、使用者は足を曲げて着座し、臀部を前記パッド部材の一番高い位置に配置し、上脚部を前記パッド部材の斜辺面の方向に伸ばし、
左下脚部及び右下脚部の両方を薄いパッドの内側に配置し
、左下脚部及び右下脚部を薄いパッドの長辺方向に曲げ
て、右下脚部を左上脚部の上に載せる。代わりに、使用者は結跏趺座、すなわち蓮華座で着座しても良い。重要なことは、使用者の仙骨と尾てい骨とが硬質ブロック部の上部に配置されるように持ち上げられ、座骨
結節が前記硬質ブロック部の正面の近辺に保持され、使用者が臀部を調整することが必要である。この姿勢によって、骨盤が自然な位置に「固定」され、使用者は正しい姿勢で着座することができ、頚椎疾患、胸椎疾患、腰椎疾患など、脊椎に関連する疾患を予防することができる。前述の通り、パッド部材の内部に硬質ブロック部が挿入されていないと、使用者の骨盤が自由に傾斜するため、悪い姿勢に繋がる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
以下の詳細な説明を参考にすることにより、本発明の内容は更に理解される。詳細な説明は以下の図面を参照する。
【0013】
【
図1】本発明における、脊椎疾患を予防するための座具の左斜視図である。
【
図3】
図1で図示された座具であって、
図2に図示されたA−A’面の断面図である。
【
図4】
図4は、
図1で図示された座具であって、
図2に図示されたB−B’面の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、平らな表面に着座する際に使用する座具に関する。座具を使用することによって、使用者は正しい姿勢を保つことが可能となり、骨盤が常に自然な位置に配置される。
【0015】
本発明の
図1に示されている脊椎疾患を予防するための座具100は、パッド部材200と、前記パッド部材200から伸びる薄いパッド300と、前記パッド部材の内部に完全に挿入される硬質ブロック部400と、を含む。
図1の左側面202L、または
図2の右側面202Rを参照すると、パッド部材200は全体的
に直角三角形であり、発泡体、ゴム部材またはコットンで形成されているため、座具100の座り心地が良くなる。パッド部材200の斜辺面201は人間工学にうねって(波打って)形成されてい
る。パッド部材200の斜辺面201と薄いパッド300とを合わせた面積は、使用者の臀部と上脚部と膝とを合わせた面積よりも広いため、使用者の身体の一部が床平面に触れずに座具100に完全に着座することができる。硬質ブロック部400は、木材、発泡ポ
リスチレン、硬質ゴムの弾力が無い素材によって形成されている。
【0016】
硬質ブロック部400は、破断することなく
、大人の臀部の形状及びサイズと同等で、その大人の質量によって生じる重力に耐えることができる。硬質ブロック部400は、パッド部材200の
直角部分に完全に挿入される。
図3に示される通り、硬質ブロック部400の正面部403の高さHは、使用者の尾てい骨の一番低い位置と座骨結節の一番低い位置との間よりも高い。パッド部材200及び硬質ブロック部400の底面は平らであり、安定性を与える。
【0017】
座具100を適切に使用するためには、使用者は足を曲げて着座し、
図3に示される通り、使用者の臀部を前記パッド部材200の一番高い位置Tに配置し、上脚部を前記パッド部材の斜辺面201の方向に伸ばし、
左下脚部及び右下脚部の両方を薄いパッド300の内側に配置し、
図2に示される通り
、左下脚部及び右下脚部を薄いパッド300の長辺方向Lに曲
げ、右下脚部を左下脚部の上に載せる。代わりに、使用者は結跏趺座、すなわち蓮華座で着座しても良い。重要なことは、使用者の仙骨が硬質ブロック部400の一番高いエリア401に配置されるように持ち上げられ、尾てい骨が高原エリア402に配置され、
座骨が前記硬質ブロック部400の正面403の近辺に保持されるように、臀部の位置を調節することが必要である。
【0018】
この姿勢によって、骨盤が自然な位置に「固定」され、使用者は正しい姿勢で着座することができ、頚椎疾患、胸椎疾患、腰椎疾患など、脊椎に関連する疾患を予防することができる。前述の通り、パッド部材200の内部に硬質ブロック部400が挿入されていないと、使用者の骨盤が自由に傾斜するため、悪い姿勢に繋がる。