【氏名又は名称】ザ ガバメント オブ ザ ユナイテッド ステイツ オブ アメリカ アズ リプリゼンテッド バイ ザ セクレタリー オブ ザ デパートメント オブ ヘルス アンド ヒューマン サービシーズ
【氏名又は名称原語表記】THE GOVERNMENT OF THE UNITED STATES OF AMERICA AS REPRESENTED BY THE SECRETARY OF THE DEPARTMENT OF HEALTH AND HUMAN SERVICES
【文献】
EILEEN P KELLY,VIRUS GENES,KLUWER ACADEMIC PUBLISHERS,2011年 4月 3日,V43 N1,P18-26
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
弱毒生デング−2ウイルス由来の非構造タンパク質および1つ以上の構造タンパク質をコードし、かつ第2のデングウイルス由来の1つ以上の構造タンパク質を少なくともコードする核酸配列を含むキメラフラビウイルス構築物を含む核酸分子であって、第2のデングウイルスが、デング−1、デング−3またはデング−4ウイルスから選択され、前記キメラ構築物は、以下のうちの1つ以上の突然変異:
エンベロープ(E)タンパク質が前記第2のデングウイルスに由来する時、デング−4のEタンパク質のアミノ酸417位と同義のアミノ酸位置における、グルタミン酸から正に荷電した残基へのEタンパク質の突然変異;
弱毒生デング−2ウイルスのカプシド(C)タンパク質のアミノ酸107位と同義のアミノ酸位置におけるCタンパク質の突然変異であって、弱毒生デング−2におけるアミノ酸から芳香族アミノ酸残基への突然変異;および
弱毒生デング−2のNS4Aのアミノ酸17位と同義のアミノ酸位置における、メチオニンからロイシンへのNS4Aの突然変異
を含む、核酸分子。
前記第3の異なるフラビウイルスが、ウエストナイルウイルス、日本脳炎ウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルス、および黄熱ウイルスのうちから選択される、請求項8に記載の核酸分子。
弱毒生デング−2ウイルス由来の非構造タンパク質および1つ以上の構造タンパク質と、デング−4由来の1つ以上の構造タンパク質とをコードする核酸配列を含むキメラフラビウイルス構築物を含む核酸分子であって、弱毒生デング−2は、
NS1の53位の突然変異およびNS3の250位の突然変異を含み、前記デング−4由来の1つ以上の構造タンパク質は、
デング−4のエンベロープ(E)タンパク質のアミノ酸417位と同義のアミノ酸位置における、グルタミン酸から正に荷電した残基へのEタンパク質の突然変異を含む、核酸分子。
前記第3の異なるフラビウイルスが、ウエストナイルウイルス、日本脳炎ウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルス、および黄熱ウイルスのうちから選択される、請求項26に記載の核酸分子。
前記組成物中のデング−1:デング−2:デング−3:デング−4のlogプラーク形成単位(pfu)比が、1:1:1:2、1:2:1:3、1:3:1:4、2:3:3:4、5:4:5:5、4:4:4:5、4:4:5:5、4:4:5:6、または4:3:4:5log pfuである、請求項28に記載の組成物。
デング−2/4キメラ構築物が、配列番号22(DENVax4e)、配列番号9(DENVax4i)または配列番号24(DENVax4h)で表されるポリヌクレオチド配列を含む、請求項28に記載の組成物。
前記デングウイルスでない他のフラビウイルスが、ウエストナイルウイルス、日本脳炎ウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルス、および黄熱ウイルスのうちから選択される、請求項38に記載の組成物。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔定義〕
本願で使用する「1つの」は、1つまたは1つを超える事項を意味する場合がある。
本明細書で使用する「対象」は、限定するものではないが、ヒト(例えば成人および子供)、または家畜化あるいは野生の哺乳類、例えばイヌ、ネコ、他の家庭用ペット(例えばハムスター、モルモット、マウス、ラット)、フェレット、ウサギ、ブタ、ウマ、ウシ、プレーリードッグ、野生齧歯類、または動物園動物のような哺乳類を含む場合がある。
【0020】
本願で使用する用語「キメラ構築物」、「ウイルスキメラ」、「キメラウイルス」、「フラビウイルスキメラ」および「キメラフラビウイルス」は、デング−2ウイルスのヌクレオチド配列のタンパク質、そしてさらにデング−2ウイルスに由来しないか、異なるデングウイルス血清型または異なるフラビウイルスに由来するヌクレオチド配列を含む構築物を意味することがある。「デングキメラ」は少なくとも2種の異なるデングウイルス血清型を含む。他のデングウイルスまたはフラビウイルスの例には、デング−1ウイルス、デング−3ウイルス、デング−4ウイルス、ウエストナイルウイルス、日本脳炎ウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルス、黄熱ウイルスおよびこれらの組合せ由来の配列が挙げられるがこれらに限定されない。
【0021】
本願で使用する「核酸キメラ」は、デング−2ウイルスの核酸配列の一部を含む核酸配列と、さらにデング−2ウイルスの核酸配列と同じ起源のものではない1つ以上のヌクレオチド配列とを含む本願に開示される構築物を意味することがある。それに応じて、本願に開示される全てのキメラフラビウイルス、全てのデングキメラまたはフラビウイルスキメラは核酸キメラの一例として認識され得る。
【0022】
〔説明〕
以下の節では、様々な実施形態を詳述するために様々な例示的組成物および方法を記載する。様々な実施形態を実施するのに、ここに概説された特定の詳細のすべて、あるいは一部ですら採用する必要はなく、むしろ濃度、時間その他の特定の詳細は日常の実験により変更可能であることは当業者には明らかであろう。いくつかの場合、周知の方法または構成要素はこの説明には含まれていない。
【0023】
本発明の実施形態によれば、本分野の従来技術に含まれる分子生物学、タンパク質化学、微生物学、および組換えDNA技術が採用されてもよい。そのような技術は文献に十分に説明されている。例えば、サムブルック、フリッチュおよびマニアティス(Sambrook,Fritsch&Maniatis)、分子クローニング:実験室マニュアル(A Laboratory Manual)、第2版、1989年、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス、ニューヨーク州コールド・スプリング・ハーバー;動物細胞培養(Animal Cell Culture)、R.I.フレシュニー(R.I.Freshney)編、1986年を参照されたい。
【0024】
本願の実施形態は、対象において単独で、または、他のデングウイルス血清型あるいはフラビウイルスに対する免疫応答を誘導するための1つ以上の作用剤と組み合わせて、DEN−4に対する改善された免疫応答を誘導するための組成物、方法および使用に関する。これらの実施形態に従って、弱毒生デングウイルスおよびDEN−4の核酸キメラが形成され、本願に開示される免疫原性組成物において使用される。いくつかの実施形態は、改変型または突然変異型DEN−4構築物に関する。いくつかの実施形態は、DEN−4キメラ構築物に突然変異および/または復帰変異を導入して、キメラ構築物のアミノ酸配列を改変することに関する。いくつかの実施形態は、DEN−2 PDK−53骨格構築物に突然変異および/または復帰変異を導入して、キメラ構築物のアミノ酸配列またはRNA配列を改変することに関する。ある実施形態では、キメラ構築物のアミノ酸配列を改変するためのDEN−4キメラ構築物への突然変異および/または復帰変異は、DENVax−4(配列番号21)と称される既知のキメラ構築物のC/prM切断部位の上流の、突然変異誘発を含むがこれに限定されない技術による突然変異を含んでもよい。
【0025】
本願の実施形態は、DENV−4ウイルスキメラ構築物の組成物、方法および使用に関する。いくつかの実施形態において、組成物はDENV−4ウイルスキメラ構築物を単独で、または他のデングウイルス血清型構築物と、あるいは同じまたは異なる血清型の弱毒生デングウイルスと、または標的ウイルス(例えばデングウイルスや他のフラビウイルス)に対する免疫応答を誘導可能な他のフラビウイルス構築物と組み合わせて含んでもよい。他の実施形態は、DENV−4に対する弱毒生ウイルス構築物の組成物と、任意選択で、DEN−1、DEN−2およびDEN−3に対する1つ以上の弱毒生ウイルス構築物とを含んでもよい。さらに他の実施形態では免疫原性組成物が提供され、その免疫原性組成物は、他の既知の構築物と比較して、対象に導入された時の免疫原性が増強されたDENV−4弱毒生キメラウイルス構築物を含む。これらの実施形態に従って、これらの弱毒生ウイルスキメラ構築物は単独で、または1つ以上の他のDEN−1、DEN−2およびDEN−3構築物(例えば弱毒生ウイルスまたはキメラ)と、および薬学的に許容される賦形剤と組み合わせて使用して、1種以上のデングウイルス血清型に対するワクチン製剤を形成することができる。ある実施形態では、1種以上のデングウイルスに対する一価、二価、三価または四価の薬学的に有効な製剤が形成される。ある実施形態では、免疫原性組成物は、DEN−1、DEN−2、DEN−3デング−デングキメラ構築物または弱毒生デングウイルスを、本願に開示されるキメラDENV−4構築物と組み合わせて含んでもよい。
【0026】
ある実施形態では、本発明のDENV−4構築物をDEN−1、DEN−2およびDEN−3のうちの1種以上と組み合わせて含む免疫原性組成物は、単一のワクチン投与で2種以上のデングウイルス血清型に対する同時防御を与えるために使用することができる。他の実施形態において、本願に開示の実施形態のDEN−1、DEN−2、DEN−3および改変型または突然変異型DENV−4構築物を含む免疫原性組成物は、各デングウイルス血清型に対して改善された免疫原生応答であって、DENV−4に対する免疫応答干渉の低減された免疫原生応答を誘導するために対象に投与されてもよい。
【0027】
ある実施形態では、DENV構築物は、骨格(PDK−53)の構造領域または非構造領域またはDEN−4の構造領域に適応的突然変異を有するデング−デングキメラ構築物を含んでもよい。他の実施形態において、DENV−4構築物は、別のデングウイルス血清型であるDEN−1、DEN−2またはDEN−3の骨格を含んでもよい。さらに他の実施形態において、キメラ構築物はDEN−2骨格を含んでもよく、ここで、DEN−2構造および/または非構造領域がDENV−4構造領域またはDENV−4の非構造領域に置換される。これらの実施形態に従って、DEN−2骨格は、安全性および有効性を維持しながら、DEN−2に対する免疫応答を誘導する任意の弱毒生DEN−2ウイルスを含むことができる。他の実施形態において、DEN−2骨格は弱毒生DEN−2 PDK−53(初代イヌ腎細胞(PDK)における53継代)またはDEN−16681株ウイルス由来のものを骨格として含んでもよく、ここで、弱毒生DEN−2 PDK−53ウイルスは、DENV−4のprM(プレメンブレン)構造タンパク質およびE(エンベロープ)構造タンパク質のうちの1つ以上の構造タンパク質をさらに含む。さらに、投与時に対象においてDENV−4に対する免疫応答を促進するために、DEN−2 PDK−53骨格はDEN−2 PDK−53の更なる突然変異または突然変異の復帰を含んでもよい(例えば
図4参照)。
【0028】
いくつかの実施形態において、構造タンパク質遺伝子は、DENV−4のprM遺伝子およびE遺伝子を別のデングウイルス骨格上に含んでもよく、これはデング−デングキメラを形成する。例えば、DENV−4構築物は、ある実施形態ではDENVax−4e、DENVax−4f、またはDENVax−4h(例えば
図4参照)と称される構築物を含んでもよく、ここで、DEN−2 PDK−53骨格は(例えば非コード領域(NCR)または非構造領域(NS1等)において)野生型DEN−2アミノ酸への1つ以上の復帰変異、およびDENV−4構造領域(例えばprMまたはE)に1つ以上の突然変異を有し、かつDENV−4(例えば株1036)の1つ以上の構造タンパク質をコードする。本願に開示される改変型DENV−4構築物は、DENV−4株1036の1つ以上の改変された構造領域を有する改変型弱毒DEN−2 PDK−53骨格を含んでもよい。いくつかの実施形態において、弱毒生DEN−2 PDK−53ウイルスに存在する1つ以上の突然変異は、対照アミノ酸に、または別のアミノ酸であって、安全性又は弱毒性に影響を与えることなく免疫原性が(配列番号21のMVS配列と比較して)高められているが、in vitroでのDEN−4ウイルスの増殖および/または複製には影響を与え得る改変型DEN−2/DENV−4キメラ構築物を形成する本願の構築物を製造するための別のアミノ酸に戻されてもよい。ある実施形態では、復帰変異は増殖および/または複製の増強をもたらし得る。
【0029】
他の実施形態において、改変型DENV−4構築物は、安全性およびウイルスの弱毒性を維持しながら、改善された免疫学的応答を誘導する構築物を形成するために、DENV−4の1つ以上の構造領域および/または非構造領域に導入された変異を含んでもよい。例えば、DEN−2/DENV−4の改変型または変異型デング−デングキメラは、DEN−2 PDK−53骨格の1つ以上の非構造領域、例えばNS2A、およびNS4Aにおける突然変異、および/または5’非コード領域(5’NCR)における突然変異を含んでもよい。別の実施形態において、改変型DENV−4キメラ構築物は、PDK−53のNS2AおよびNS4Aの突然変異(例えば、NS4AのM−L置換)を復帰させることにより、DEN−2 16681のNS2AおよびNS4Aを含んでもよい。いくつかの実施形態は、標的構築物のDEN−2 PKD−53骨格における対応する突然変異を復帰させることによりDEN−2 16681の5’NCR、NS2AおよびNS4Aを有する改変型DENV−4キメラ構築物を含む。他の実施形態は、DEN−2 PDK−53骨格における対応する突然変異を復帰させることによりDEN−2 16681の5’NCRを有する改変型DENV−4キメラ構築物を含んでもよい。また、改変型DEN−4キメラ構築物はDEN−2 PDK−53骨格を含み、かつDENV−4株H241の1つ以上の構造タンパク質をコードしていてもよい。
【0030】
DENV−4構造タンパク質は、デング−2血清型骨格(例えばPDK−53または本願で特定される改変型PDK−53)の構造領域または非構造領域を置換することができると考えられる。いくつかの実施形態において、改変型DENV−4構築物はDEN−4構造タンパク質と、骨格としての弱毒生改変型DEN−2 PDK−53とを含み、DENV−4(例えば株1036)の構造領域を改変するために突然変異が導入され得る。いくつかの実施形態において、突然変異は、そのような突然変異を含む構築物の複製および/または免疫原性を増強するために、DENV−4のカプシド/prMジャンクションのアミノ酸配列に導入されてもよい。例えば、DENV−4における突然変異は、DENV−4のカプシドの107位のC−Y突然変異であってもよい(例えばDENVax−4eを参照)。これらの実施形態に従って、改変型PDK−53骨格においてシステインを芳香族アミノ酸(例えばチロシン等)に変異させてもよい(DENV−4b)。他の突然変異は、DENV−4 1036株配列のエンベロープの417位(グルタミン酸、E)または別のDENV−4のそれと同等の位置のアミノ酸置換(例えばDENVax−4hを参照)を含んでもよく、ここでは陰性アミノ酸が、荷電した側鎖をもつ陽性アミノ酸(例えばリジン、アルギニン、ヒスチジン等)に置換される。キメラ構築物の他のDEN−2 PDK−53復帰変異はNS2A領域またはNS4A領域に見られる。
【0031】
他の実施形態において、DEN−2 PDK−53ゲノム骨格を使用してDEN−1およびDEN−3のキメラデングウイルス構築物を形成することができ、ここで、DEN−2 PDK−53ゲノムの1つ以上の構造タンパク質遺伝子または非構造タンパク質遺伝子はDEN−1およびDEN−3の1つ以上の構造タンパク質遺伝子または非構造遺伝子に置換されてもよい。これらの構築物は、DEN−2 PDK−53骨格を持つ単一のキメラ内にDEN−1およびDEN−3の両方の構造遺伝子または非構造遺伝子の組合せを含んでもよい。いくつかの実施形態において、構造タンパク質はDEN−1および/またはDEN−3のCタンパク質、prMタンパク質またはEタンパク質とすることができる。ある実施形態では、構造タンパク質遺伝子はDEN−1またはDEN−3あるいはこれらの組合せのprM遺伝子およびE遺伝子を含む。これらのハイブリッド/キメラウイルスは、親DEN−2の弱毒化表現型を維持しつつ、DEN−1、DEN−3またはDENV−4の表面抗原を発現することができる。
【0032】
いくつかの実施形態において、本願に開示される構築物は、骨格として弱毒DEN−2 PDK−53または弱毒生DEN−2 16681ウイルス(あるいは、デング−2血清型PDK−53に見られる任意の突然変異の、その野生型16681ウイルスへの1つ以上の復帰変異を有するデング−2ウイルス)を用いてDEN−1、DEN−3およびDENV−4の表面抗原を発現するDENV−4、DEN−2、DEN−1、およびDEN−3のキメラ構築物を含むことができる。また、医薬組成物の一部である構築物は、弱毒生ウイルス(例えばDEN−2、他のフラビウイルス)のような他の作用剤を含んでもよい。さらに、これらの組成物に使用する他の作用剤は、弱毒生ウイルスの劣化を低減させるための、他の薬学的に許容される抗ウイルス剤、アジュバントまたは安定剤を含んでもよい。
【0033】
本願のいくつかの実施形態は、DENV−4に対する任意のワクチン組成物に使用される改変型または突然変異型DENV−4構築物を形成するための方法を開示し、ここで、任意のワクチン組成物は、限定するものではないが、DENV−4構築物のみを有する単一のワクチン組成物、2種以上のデングウイルス血清型に対する免疫応答を誘導可能な単一のワクチン組成物のデングウイルス構築物の混合物、本願に開示されるキメラ(および非キメラ)構築物を、異なるフラビウイルス(例えば黄熱、ウエストナイル、日本脳炎等)に対する免疫応答を誘導可能な他のフラビウイルス構築物ならびにDENV−4を含む1種以上のデングウイルス血清型と組み合わせて有する単一のワクチン組成物中の混合物を含む。
【0034】
他の実施形態において、本願に開示されるDENV−4構築物と共に使用する他の組合せが考えられる。例えば、PDK細胞において13回継代したデングウイルス血清型1野生型ウイルスはDEN−1 PDK−13ウイルスとして指定される。他のワクチン候補は、DEN−2 PDK−53、DEN−3 PGMK−30/FRhL−3(例えば、初代ミドリザル腎細胞で30回継代した後、アカゲザル胎仔肺細胞で3回継代したもの)およびDENV−4 PDK−48である。これら4つの候補ワクチンウイルスはそれぞれ、野生型親DEN−1 16007、DEN−2 16681、DEN−3 16562およびDENV−4 1036ウイルスの組織培養継代により得られたものである。これらの現存する弱毒生デングウイルスは全て、本願に開示されるDENV−4キメラウイルス構築物と組み合わせて使用することが企図される。
【0035】
これらの弱毒ウイルスを用いたこれまでのヒトでの治験は、DEN−2 PDK−53がヒトで最少の感染用量(50%最低感染用量が5プラーク形成単位すなわちPFU)であり、強い免疫原性であり、安全性について懸念がないことを示している。DEN−1 PDK−13、DEN−3 PGMK−30/FRhL−3およびDENV−4 PDK−48ワクチンウイルス候補のヒトでの50%最低感染用量は、それぞれ、これよりも高い10,000、3500、および150PFUである。
【0036】
DEN−2 PDK−53ウイルスワクチン候補(以降PDK−53と略す)は弱毒化に関するいくつかの測定可能な生物学的マーカーを有し、これらは温度感受性、小さいプラークサイズ、蚊のC6136細胞培養における低下した複製、無傷の蚊における低下した複製、乳飲みマウスに対する神経毒性の喪失およびサルにおけるウイルス血症の発生率の低下を含む。候補PDK−53ワクチンの治験では、ヒトでの安全性および免疫原性が実証されている。さらに、PDK−53ワクチンは、ワクチン接種されたヒトにおいてデングウイルス特異的T細胞記憶応答を誘導する。
【0037】
ある実施形態では、核酸分子は、弱毒生デング−2ウイルスに由来する非構造タンパク質および少なくとも1つまたは複数の構造タンパク質をコードし、かつ第2のフラビウイルスに由来する1つ以上の構造タンパク質をコードする核酸配列を有するキメラフラビウイルス構築物を含んでもよく、ここで、キメラ構築物は、エンベロープ(E)タンパク質のアミノ酸の417位と同義の位置での突然変異、カプシドタンパク質の107位と同義の位置での突然変異、およびNS4Aのアミノ酸の17位と同義の位置での突然変異を含む1つ以上の突然変異をさらに含む。他の実施形態において、核酸はエンベロープ(E)タンパク質のアミノ酸の417位と同義の位置において、野生型グルタミン酸からリジンに変わる突然変異をさらに含んでもよい。本願に開示される更に他の核酸分子は、カプシド(C)タンパク質のアミノ酸の107位と同義の位置において、システインからチロシンに変わる突然変異をさらに含んでもよい。他の核酸分子において、NS4Aタンパク質のアミノ酸の17位と同義の位置における突然変異は、メチオニン(例えば野生型配列)をロイシンに変化させる。第2のフラビウイルスはDENV−1、DENV−3またはDENV−4であってもよいと考えられる。ある実施形態では、核酸分子はDENV−4である第2のフラビウイルスを含んでもよい。他の実施形態において、弱毒生デング−2骨格を有する核酸分子は、5’NCRの57位、ns1の53位およびns3の250位に突然変異を含む。これらの実施形態によれば、弱毒生デング−2ウイルスは、ns1の53位およびns1の250位の突然変異に加え、1つ以上の構造タンパク質のデング−1、3または4置換を含む。ある実施形態では、核酸構築物は、対象においてデング−4ウイルスに対する免疫応答を誘導可能なDENV−4e(配列番号22)、DENV−4h(配列番号24)またはDENV−4i(配列番号9)であってもよい。本願では、デングウイルス血清型4の構造配列はデング−ウイルス1または3を用いて置換可能であり、かつ、構築物に対する免疫応答を増強するために、上記で参照された突然変異をさらに含むことができると考えられる。
【0038】
いくつかの実施形態は、弱毒生デング−2ウイルス由来の非構造タンパク質および少なくとも1つまたは複数の構造タンパク質をコードし、かつ第2のフラビウイルス由来の1つ以上の構造タンパク質を少なくともコードする核酸配列を含む、キメラフラビウイルス構築物を有する核酸分子に関し、ここで、弱毒デング−2はns1の53位およびns3の250位に突然変異を含むが、NS2AまたはNS4Aには突然変異を含まない。ある実施形態では、核酸構築物はDENV−4f(配列番号30)であってもよい。他の実施形態では、674位のヌクレオチドを、DENV−4fの野生型ヌクレオチドのGからCに変異させてもよい。さらに他の実施形態において、本願のDENV−2/DENV−4構築物の混合物は、デングウイルス感染に対する免疫原性作用剤として用いられる薬学的に許容される組成物と組み合わされてもよい。
【0039】
ある実施形態では、DENV−2/DENV−4構築物の弱毒デング−2ウイルス骨格は、DENV−2/DENV−4構築物における102〜107位に野生型デング4配列(例えば1086)への1つ以上の突然変異/置換をさらに含んでもよい。例えば、デング−4由来の102〜107位の個々の位置において、TITLLCのうちの1つ以上を、それぞれ野生型デング−2ウイルスの同義の位置である102〜107位のAGMIIMのうちの1つ以上と交換することができる。これらの実施形態に従って、この領域に置換を有するDEN−2/DEN−4構築物は、システインから芳香族アミノ酸(例えばチロシン、トリプトファン等)への突然変異をさらに含んでもよい。
【0040】
他の実施形態において、本願に開示される任意の免疫原性組成物のDENV−2/DENV−4構築物はDENV−4g(配列番号28)またはDENV−4j(配列番号32)であってもよい。
【0041】
デング−2ウイルス骨格およびデング−4ウイルスの少なくとも1つの構造タンパク質を有する免疫原性フラビウイルスキメラは、デングウイルスキメラを調製するために使用することができ、デングウイルスまたはフラビウイルスキメラを製造するための方法が記載される。免疫原性フラビウイルスキメラは単独または組合せで、薬学的に許容される担体中で、デングウイルス血清型DENV−4のような(単独の、またはDEN−2、DEN−3およびDEN−1との組合せの)1つ以上のデングウイルスまたはフラビウイルス株による感染を最小化、阻害、または個体を感染に対して免疫するための免疫原性組成物として提供される。組み合わされたとき、免疫原性フラビウイルスキメラは、フラビウイルスの2種以上の種又は株による感染に対する同時防御を与える多価ワクチンとして使用され得る。ある実施形態では、複数のフラビウイルスキメラが、既知のデングウイルス血清型に対する二価、三価または四価のワクチンとして有用な免疫原性組成物中で組み合わされるか、または異なるフラビウイルス由来の1つ以上のタンパク質をコードする核酸配列を含ませることによって他の病原性フラビウイルスに対する免疫を与える。DEN−1、DEN−2、DEN−3およびDENV−4ウイルスの各々についての核酸配列を用いて、生体試料中のデングウイルスを順に検出するために用いられる、例えば、ワクチンの有効性および/またはデングウイルス感染レベルを評価するためのプローブを生成することができる。
【0042】
いくつかの実施形態において、本願で提供される非病原性の免疫原性フラビウイルスキメラは、弱毒デング−2ウイルス(例えばPDK−53)の非構造タンパク質遺伝子またはその等価物と、対象における免疫原性の誘導の標的となるフラビウイルスの1つ以上の構造タンパク質遺伝子またはその免疫原性の部分とを含む。例えば、いくつかの実施形態は、ウイルス骨格としての弱毒デング−2ウイルスPDK−53ゲノムと、そのPDK−53ゲノムのカプシド、プレメンブレン/メンブレン、またはエンベロープ、あるいはこれらの組合せをコードする1つ以上の構造タンパク質遺伝子であって、DENV−4ウイルスまたは防御対象となる他のウイルス(異なるフラビウイルスや異なるデングウイルス血清型など)に由来する1つ以上の対応する構造タンパク質遺伝子で置換された構造タンパク質遺伝子とを有するキメラに関する。これらの実施形態に従って、PDK−53骨格には、構築物の免疫原性を高めるように更なる突然変異または復帰変異がなされている。さらに、本願に開示される核酸キメラは弱毒デング−2ウイルスの機能的特性を有することができ、かつ非病原性であるが、他のフラビウイルスに加え、DENV−4の構造遺伝子産物の抗原のエピトープを発現し、かつ免疫原性である(例えば、対象において遺伝子産物に対する免疫応答を誘導する)。突然変異および/または復帰変異は、キメラ構築物の弱毒性および/または安全性に影響を与えない。
【0043】
別の実施形態において、核酸キメラは、限定するものではないが、弱毒デング−2ウイルス由来の非構造タンパク質をコードする第1のヌクレオチド配列、およびデング−4ウイルス単独または別のフラビウイルスとの組合せ由来の構造タンパク質をコードする第2のヌクレオチド配列を有する核酸キメラであってもよい。他の実施形態において、弱毒デング−2ウイルスはワクチン株PDK−53または16681であってもよい。いくつかの実施形態は、デングまたは他のフラビウイルスのC、prMまたはEタンパク質のうちの1つ以上の構造タンパク質を含む。構造タンパク質の選択源となるフラビウイルスの例としては、DEN−1、DEN−2、DEN−3、ウエストナイルウイルス、日本脳炎ウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、黄熱ウイルスまたはダニ媒介性脳炎ウイルスと本願に開示されるDENV−4構築物との組合せが挙げられるが、これらに限定されない。他の実施形態において、構造タンパク質はフラビウイルスの近縁種であるC型肝炎ウイルスのような非フラビウイルス種から選択されてもよい。
【0044】
本願に開示される他の態様は、キメラウイルスが例えばDEN−2 PDK−53にヌクレオチドおよびアミノ酸の置換、欠失または挿入を含んでもよいことを含む。これらの変化はDENV−4ウイルスに対する免疫原性応答との干渉を低減することができる。これらの改変は、構造タンパク質および非構造タンパク質において単独でまたは本願に開示される改変例と組み合わせて行うことができる。
【0045】
本願の実施形態はフラビウイルスの構造タンパク質および非構造タンパク質を含み、これらのタンパク質は完全なタンパク質、そのタンパク質のエピトープ、または例えばその5個以上のアミノ酸残基を含む任意のフラグメントの配列をコードする任意の遺伝子を含む任意のタンパク質とすることができる。
【0046】
本願に開示される特定の実施形態は、組換え技術を用いて、必要とされる置換を適当な骨格ゲノムに挿入することにより、本発明のキメラウイルスを形成するための方法を提供する。
【0047】
フラビウイルスキメラ
デングウイルス型1〜4(DEN−1からDENV−4)は蚊媒介性フラビウイルス病原体である。フラビウイルスゲノムは5’−非コード領域(5’−NC)、それに続くカプシドタンパク質(C)コード領域、それに続くプレメンブレン/メンブレンタンパク質(prM)コード領域、それに続くエンベロープタンパク質(E)コード領域、それに続く非構造タンパク質(NS1−NS2A−NS2B−NS3−NS4A−NS4B−NS5)をコードする領域、そして最後に3’非コード領域(3’NC)を含む(例えば
図1Aを参照されたい)。ウイルスの構造タンパク質はC、prMおよびEであり、非構造タンパク質はNS1〜NS5である。構造タンパク質および非構造タンパク質は単一のポリタンパク質として翻訳され、細胞性およびウイルス性プロテアーゼによるプロセシングを受ける。
【0049】
フラビウイルスキメラは、デングウイルスまたはフラビウイルス科のウイルス種の1つの種類または血清型に由来する非構造タンパク質遺伝子を、異なる種類または血清型のデングウイルスまたはフラビウイルス科のウイルス種のタンパク質遺伝子、例えば構造タンパク質遺伝子と融合させることによって形成された構築物であってもよい。あるいは、本願に開示されるフラビウイルスキメラは、デングウイルスまたはフラビウイルス科のウイルス種の1つの種類または血清型に由来する非構造タンパク質遺伝子を、他のデングウイルス血清型またはフラビウイルス科の他のウイルスから選択されたポリペプチドまたはタンパク質の合成をもたらす更なるヌクレオチド配列と融合させることによって形成された構築物である。
【0050】
他の実施形態において、本願で提供する非病原性かつ免疫原性のフラビウイルスキメラは、弱毒デング−2ウイルスまたはその等価物の非構造タンパク質遺伝子と、免疫原性を与えようとするフラビウイルスの1つ以上の構造タンパク質遺伝子またはその抗原性部分とを含む。
【0051】
フラビウイルスキメラの構築に用いられる他の適切なフラビウイルスは、野生型病原性DEN−1 16007、DEN−2 16681、DEN−3 16562およびDENV−4 1036ならびに弱毒ワクチン株DEN−1 PDK−13、DEN−2 PDK−53、DEN−3 PMK−30/FRhL−3およびDENV−4 PDK−48であってもよい。DEN−1、DEN−2、DEN−3およびDENV−4野生型/弱毒ウイルスペアの間の遺伝子上の差異が、そのウイルスゲノムにコードされるアミノ酸配列の変化とともに考慮される。本願で用いられる任意のDENV−4株は、本願で考慮され、かつ/または開示される構築物の同義突然変異を含む可能性がある。
【0052】
DEN−2 PDK−53の配列表は、ゲノムヌクレオチドの5270位がAからTに変異しており、ポリタンパク質のアミノ酸の1725位すなわちNS3タンパク質アミノ酸の250位がバリン残基を含むDEN−2 PDK−53−Vバリアントに相当する。このヌクレオチド変異のないDEN−2 PDK−53バリアントであるDEN−2 PDK−53−Eは、PDK−53−Vとはこの1つの位置のみで異なる。DEN−2 PDK−53−Eはヌクレオチドの5270位にAを有し、ポリタンパク質アミノ酸の1725位、NS3タンパク質アミノ酸の250位にグルタミン酸を有する。本願の実施形態は、これらの位置に、自然に派生する配列への1つ以上の復帰変異/突然変異を含む改変型DEN−2 PDK−53を含み得ることが理解される。
【0053】
DEN−3 16562の配列表は、ゲノムヌクレオチドの1521位がTであり、ポリタンパク質のアミノ酸の476位すなわちEタンパク質のアミノ酸の196位がロイシンであるバリアントに相当する。第2のバリアントはDEN−3 16562培養物に存在し、ヌクレオチドの1521位にTを有し、ポリタンパク質のアミノ酸の476位すなわちEタンパク質のアミノ酸の196位がセリンを含む。
【0054】
DENV−4 PDK−48の配列表は、ゲノムヌクレオチドの:6957位がTかつポリタンパク質のアミノ酸の2286位およびNS4Bタンパク質のアミノ酸の44位がフェニルアラニンであり、7546位がTかつポリタンパク質のアミノ酸の2366位およびNS4Bのアミノ酸の240位がバリンであり、7623位がTかつポリタンパク質のアミノ酸の2508位およびNS5タンパク質のアミノ酸の21位がチロシンであるバリアントに対応する。
【0055】
ある実施形態では、キメラの設計はDEN−2ウイルス特異的感染性クローン骨格および他のフラビウイルスの構造遺伝子(prM−EまたはC−prM−E)の挿入に基づいている。デング−2骨格用のDEN−2、それに従った株由来の構造遺伝子が挿入される。特定の骨格バリアントが次に反映される。キメラの構築に用いた特定のDEN−2骨格バリアントは、ハイフンの後に続いて置かれた文字によって示される。親16681(P)、PDK−53−E(E)、またはPDK−53−V(V);最後の文字は、親(P)株またはそのワクチン誘導体(V)由来のC−prM−E構造遺伝子、あるいは親(P)またはそのワクチン誘導体(V1)由来のprM−E構造遺伝子を示す。例えば、DEN−2/1−VPは、NS3−250にバリンおよび野生型DEN−1 16007由来のC−prM−E遺伝子を含む弱毒DEN−2 PDK−53V骨格を含むキメラを表す;DEN−2/1−VVは、デング−1、DEN−1 PDK−13のワクチン株を伴うDEN−2 PDK−53V骨格を表す;DEN−2/1−VP1は、DEN−2 PDK−53V骨格および野生型DEN−1 16007由来のprM−E遺伝子を表す;DEN−2/3−VP1は、DEN−2 PDK−53V骨格および野生型DEN−3 16562由来のprM−E遺伝子を表す;DEN−2/4VP1は、DEN−2 PDK−53V骨格および野生型DENV−4 1036由来のprM−E遺伝子表す;DEN−2/WN−PP1は、DEN−2 16681骨格およびウエストナイルNY99由来のprM−E遺伝子を表す。本願に開示される他のキメラが同じ方法で表示される。
【0056】
一実施形態において、本願に開示されるキメラは、ウイルス骨格として弱毒DEN−2ウイルスPDK−53ゲノムを含み、PDK−53ゲノムのC、prMおよびEタンパク質をコードする構造タンパク質遺伝子、またはこれらの組合せが、DENV−4ウイルス由来の、および任意選択で、防御対象とする別のフラビウイルス(異なるフラビウイルスや異なるデングウイルス株等)由来の対応する構造タンパク質遺伝子で置換される。新たに発見されたフラビウイルスやフラビウイルス病原体もDEN−2骨格に組み込むことができる。
【0057】
非構造タンパク質領域において、GlyからAspへの(野生型からPDK−53への)突然変異が非構造タンパク質NS1−53(ゲノムヌクレオチドの2579位)で発見された;LeuからPheへの(野生型からPDK−53への)突然変異が非構造タンパク質NS2A−181(ゲノムヌクレオチドの4018位)で発見された;GluからValへの(野生型からPDK−53への)突然変異が非構造タンパク質NS3−250(ゲノムヌクレオチドの5270位)で発見された;GlyからAlaへの突然変異(野生型からPDK−53への)が非構造タンパク質NS4A−75(ゲノムヌクレオチドの6599位)で発見された。
【0058】
弱毒PDK−53ウイルス株は、ゲノムnt5270に混合遺伝子型を有する。ウイルス集団のかなりの部分(約29%)が、NS3−250−Val突然変異ではなく、野生型DEN−2 16681ウイルスに存在する非突然変異NS3−250Gluをコードしている。どちらの遺伝的バリアントも非病原性であるので、この突然変異は非病原性キメラには必須ではないかもしれない。
【0059】
以前に、弱毒PDK−53ウイルス株の非病原性が、非構造タンパク質をコードするヌクレオチド配列および5’非コード領域における突然変異に起因し得ることが発見された。例えば、NS1−53の1つの突然変異、NS1−53および5’NC−57の2つの突然変異、NS1−53およびNS3−250の2つの突然変異、ならびにNS1−53、5’NC−57およびNS3−250の3つの突然変異はDEN−2ウイルスの弱毒化をもたらす。したがって、これらの遺伝子座にこのような非保存的アミノ酸置換またはヌクレオチド置換を含む任意のデング−2ウイルスのゲノムを、改変型PDK−53を誘導するためのベース配列として用いることができる。望ましい場合、5’非コード領域のステム/ループ構造のステムにおける別の突然変異が更なる非病原性表現型安定性を提供し得る。この領域への突然変異は、ウイルス複製に重要な潜在的な二次構造を破壊する。DENおよびベネズエラウマ脳炎ウイルスの両方の、この短い(ヌクレオチド残基たった6個分の長さ)のステム構造における1つの突然変異は、ヘアピン構造の形成を妨害する。このステム構造における更なる突然変異は、ウイルスの生存能力を維持しながら、この遺伝子座の復帰変異の可能性を低下させる。
【0060】
本願に開示される突然変異は、部位特異的突然変異誘発、直接合成、欠失、または当業者に既知の技術を用いた他の方法を含むがこれらに限定されない、本分野で既知の任意の方法により達成することができる。本願に開示され、および本分野で周知の病原性スクリーニングアッセイを使用して病原性および非病原性骨格構造の違いを識別可能であることが、当業者には理解される。
【0061】
フラビウイルスキメラの構築
本願に開示されるフラビウイルスキメラは、それに対する免疫が望まれるフラビウイルスの1つ以上の構造タンパク質遺伝子を、PDK−53デングウイルスゲノム骨格にスプライシングすることにより、または本分野で既知の他の方法により、対応するPDK−53遺伝子を除去し、それをデング−4ウイルス遺伝子または本分野で既知の他の遺伝子に置換する組換え工学を用いて製造することができる。
【0062】
別法として、本願に開示される任意の構築物の核酸配列、フラビウイルスタンパク質をコードする核酸分子は、任意の既知の核酸合成技術を用いて合成され、適切なベクターに挿入されてもよい。したがって、本願の実施形態の非病原性かつ免疫原性ウイルスは、当業者に既知の組換え工学技術を用いて製造することができる。
【0063】
標的遺伝子は、単独でまたは別のフラビウイルスと組み合わせて、DENV−4について関心のあるフラビウイルス構造タンパク質をコードする骨格に挿入されてもよい。挿入するフラビウイルス(例えばデングウイルス)遺伝子は、Cタンパク質、PrMタンパク質および/またはEタンパク質をコードする遺伝子であってもよい。例えば、デング−2骨格に挿入される配列は、PrMおよびE構造タンパク質の両方をコードしていてもよいし、あるいは1つの構造タンパク質だけをコードしていてもよい。デング−2骨格に挿入される配列は、C、prMおよびE構造タンパク質の全てまたは1つをコードしていてもよい。
【0064】
他のフラビウイルスまたはデングウイルス血清型の構造タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む適切なキメラウイルスまたは核酸キメラは、非病原性を示す弱毒化の表現型マーカーについてスクリーニングし、また免疫原性についてスクリーニングすることにより、ワクチンとしての有用性を評価することができる。抗原性および免疫原性は、当業者に既知の通常のスクリーニング手順を用いて、フラビウイルス抗体または免疫反応性血清とのin vitroおよび/またはin vivo反応性を用いて評価することができる。
【0065】
デングウイルスワクチン
ある実施形態では、キメラウイルスおよび核酸キメラは、免疫原またはワクチンとして有用な弱毒生ウイルスを提供することができる。いくつかの実施形態は、危険な病原性または致死効果を生じることなくデング−4ウイルスに対し高い免疫原性を示すキメラを含む。
【0066】
デングウイルスの1つの血清型のみに対してワクチン接種した対象におけるDHF/DSSの発症を低減するためには、ウイルスの2種から全4種までの血清型に対する同時免疫を提供する二価、三価または四価のワクチンが必要である。四価ワクチンは弱毒生デング−2(例えばデング−2 PDK−53)と本願に開示されるデング−2/1、デング−2/3、およびデング−2/4新規キメラとを、全4種のデングウイルス血清型に対する多価ワクチンとしての投与に適切な薬学的担体中で組み合わせることにより製造することができる。他の製剤は上記の二価または三価の製剤を含むことができ、これらの製剤は1つ以上の新規なDENV−4キメラ構築物を含む。
【0067】
本願の特定の実施形態に開示されるキメラウイルスまたは核酸キメラは、病原性または弱毒DEN−2ウイルス骨格に野生型または弱毒ウイルスのいずれかの構造遺伝子を含んでもよい。例えば、キメラは野生型DENV−4 1036ウイルスの構造タンパク質遺伝子、およびその候補ワクチン誘導体をいずれのDEN−2 PDK−53バックグラウンドで発現してもよい。ある実施形態では、本願に開示される薬学的または実験的組成物は、DENVax−4e、DENVax−4g、および/またはDENVax−4hと称されるものを単独で、または他のフラビウイルス構築物との組合せで有する1つ以上の構築物を含んでもよい。ある例では、これらの構築物は本願に開示される1つ以上のマスターウイルスシード(MVS)構築物(例えばDEN−1/DEN−2)と組み合わせて使用することができる。他の実施形態は、本願に開示されるDENV−4構築物を、黄熱骨格またはウエストナイル骨格あるいは他のフラビウイルス骨格上に形成されたもの等の他のフラビウイルスキメラと組み合わせて含んでもよく、これらのフラビウイルスキメラは、対象に導入された時にその対象においてウイルスに対する免疫応答を誘導するデングウイルス血清型とキメラ構築物を形成可能である。
【0068】
本願に開示されるキメラに用いられるウイルスは、本分野で既知の技術を用いて増殖させることができる。その後、増殖培養物の生存能力および表現型特性を評価するためにウイルスプラーク滴定を実施してプラークを計数する。野生型ウイルスを培養細胞株によって継代し、弱毒候補出発材料を誘導する。
【0069】
感染性キメラクローンは、入手可能な様々なデング血清型クローンから構築することができる。望ましい場合、ウイルス特異的cDNAフラグメントのクローニングを実現することもできる。構造タンパク質遺伝子または非構造タンパク質遺伝子を含むcDNAフラグメントは逆転写酵素−ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)により、様々なプライマーとともにデングウイルスRNAから増幅することができる。増幅したフラグメントは、他の中間体クローンの切断部位にクローニングすることができる。中間体キメラデングウイルスクローンはその後シークエンシングされ、挿入されたデングウイルス特異的cDNAの正確性が評価されてもよい。
【0070】
ある実施形態では、デング血清型ウイルスの構造タンパク質または非構造タンパク質遺伝子領域をベクターに挿入することにより構築された完全ゲノム長キメラプラスミドが、当業者に周知の組換え技術を用いて得られる。
【0071】
ヌクレオチドおよびアミノ酸解析
ある実施形態では、PDK−53は、野生型デング−2ウイルスに対してEタンパク質にアミノ酸突然変異を含まないが、DEN−1、DEN−3およびDENV−4弱毒ウイルスはEタンパク質にアミノ酸突然変異を有し得る。野生型DEN−3 16562は、ヌクレオチド1521位にTを含むバリアントの痕跡を含むことが確認されている。これは、ポリタンパク質476位、Eタンパク質のアミノ酸残基476位のロイシンの組み込みを指定する。後の3種のウイルスの各々は、Eタンパク質にGluからLysへの(親からワクチンへの)突然変異を有し得るが、突然変異はEタンパク質の異なるアミノ酸残基に位置する。この置換は負に荷電したアミノ酸から正に荷電したアミノ酸へのシフトをもたらす。DENV−4ワクチンウイルスのEタンパク質におけるGluからLysへの置換は、Eタンパク質に存在する唯一の突然変異であった。一方、DEN−1およびDEN−3ワクチンウイルスのEタンパク質は、それぞれ5個および3個のアミノ酸突然変異を有していた。
【0072】
ある実施形態では、DEN−2 PDK−53ウイルスにおいてNS1−53突然変異が生じ、このウイルスの弱毒化表現型に重要である。その理由は、DEN−2 16681ウイルスのNS1−53−Glyは、今日までに配列決定されているダニ媒介性ウイルスを含むほぼすべてのフラビウイルスで保存されているためである。本願に開示されるDENV−4ウイルス構築物は、NS1タンパク質の253位にアミノ酸突然変異を含んでもよい。DENV−4 PDK−48ウイルスにおけるGlnからHisへの突然変異であるこの位置は、デングウイルスの全4種の野生血清型ではGlnである。このGln残基はフラビウイルス属に属するデングウイルスに特有である。NS1タンパク質は、フラビウイルスに感染した細胞から分泌される糖タンパク質である。これは感染した細胞の表面に存在し、NS1特異的抗体は、ウイルスに感染した個体の血清中に存在する。NS1タンパク質で免疫した、あるいはNS1特異的抗体で受動的に免疫された動物の保護が報告されている。
【0073】
特定の突然変異が、天然に保存されているDEN−1、−2、−3および−4弱毒株のNS2A、NS2B、NS4A、およびNS4Bタンパク質において発見された。DEN−2およびDENV−4ワクチンウイルスのそれぞれNS4A−75およびNS4A−95突然変異は、一般にフラビウイルスの間ではなく、デングウイルスの間のアミノ酸保存位置に生じた。
【0074】
フラビウイルスNS3タンパク質は少なくとも2つの認識された機能を有し、これらはウイルスプロテアーゼおよびRNAヘリカーゼ/NTPアーゼである。698−aa長(DEN−2ウイルス)のNS3タンパク質はアミノ末端セリンプロテアーゼドメイン(NS3−51−His、−75−Asp、−135−Ser触媒三残基)およびそれに続くRNAヘリカーゼ/NTPアーゼ機能に関する配列モチーフ(NS3−196−GAGKT)、−284−DEAH、−459−GRIGR(配列番号26)以前に提示済み)を含む。DEN−1、DEN−2、またはDEN−3ウイルスのNS3タンパク質における突然変異はいずれも、認識されたモチーフには生じない。DEN−1 PDK−13ウイルスのNS3−510のTyrからPheへの突然変異は保存的突然変異である。野生型DEN−2、−3および−4ウイルスはこの位置にPheを含むため、TyrからPheへの突然変異がDEN−1ウイルスの弱毒化に関与しているとは考えにくい。DEN−1 PDK−13ウイルスにおけるNS3−182のGluからLysへの突然変異は、大部分の蚊媒介性フラビウイルスの間でAspまたはGluとして保存された位置で生じ、弱毒化に関与している可能性がある。この突然変異は、GAGKT(配列番号27)ヘリカーゼモチーフからアミノ酸残基15個分上流に位置していた。特定のデング−2ウイルスにおいて、DEN−2 16681ウイルスのNS3−250−Gluは、黄熱ウイルスを除く全ての蚊媒介性フラビウイルスで保存されている。
【0075】
本願の特定の実施形態に使用する核酸プローブは、DEN−1、DEN−3およびDENV−4ウイルスをコードする核酸分子またはそれらの相補的配列と選択的にハイブリダイズする。「選択的」とは、他の核酸とハイブリダイズしてデングウイルスの十分な検出を妨げることのない配列を意味する。したがって、ハイブリダイズ核酸の設計において、選択性は試料中に存在する他の成分に依存し得る。ハイブリダイズ核酸は、それがハイブリダイズする核酸のセグメントと少なくとも70%相補的である必要がある。本願で核酸を記述するのに用いる場合、「選択的にハイブリダイズする」という用語は、偶発的にランダムにハイブリダイズする核酸を除外し、したがって「特異的にハイブリダイズする」と同じ意味を持つ。本願に開示される選択的ハイブリダイズ核酸は、それがハイブリダイズする配列のセグメントと少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、および99%相補的とすることができ、好ましくは85%以上である。
【0076】
コード核酸またはその核酸の相補的(あるいは反対の)ストランドに選択的にハイブリダイズする配列、プローブおよびプライマーが企図される。核酸との特異的ハイブリダイゼーションは、機能的な種−特異的ハイブリダイゼーション能力が維持される限り、核酸に軽微な修飾または置換があっても生じ得る。「プローブ」は、相補的核酸配列と選択的にハイブリダイゼーションさせてそれを検出または増幅するためのプローブまたはプライマーとして使用可能な核酸配列を意味する。このプローブは約5〜100ヌクレオチドの間で、好ましくは約10〜50ヌクレオチド、最も好ましくは約18〜24ヌクレオチドの間で長さを変化させることができる。
【0077】
プライマーとして使用される場合、組成物は、所望の領域を増幅するように標的分子の異なる領域にハイブリダイズする好ましくは少なくとも2つの核酸分子を含む。プローブまたはプライマーの長さに応じて、標的領域は70%相補性塩基から完全相補性までの間で変動可能であり、ストリンジェントな条件下で依然ハイブリダイズ可能である。例えば、デングウイルスの存在を検出する目的の場合、ハイブリダイズ核酸(プローブまたはプライマー)と、それがハイブリダイズする配列との間の相補性の程度は、少なくとも、核酸とのハイブリダイゼーションを他の有機体から識別するのに十分である。
【0078】
DENV−4、DEN−3またはDEN−1ウイルスをコードする核酸配列をプラスミドのようなベクターに挿入し、生きている生命体の中で組換え発現させて組換えデングウイルスペプチドおよび/またはポリペプチドを産生することができる。
【0079】
核酸検出方法
本願に開示されるワクチンウイルスの各々を診断する迅速な遺伝子検査が本発明によって提供される。本発明のこの実施形態は、ウイルス血症を発症しワクチン接種されたヒトの血清から単離されたウイルスの分析を促進し、また、候補ワクチンウイルスで免疫した非ヒト霊長類におけるウイルス血症の特性化を促進する。
【0080】
これらの配列は、逆転写酵素/ポリメラーゼ連鎖反応(RT/PCR)、ならびに、cDNAアンプリコンを増幅するために下記に説明するように設計されたフォワードおよびリバース増幅プライマーを用いてウイルスゲノムRNAテンプレートから増幅されるcDNAアンプリコンの検出の報告に役立つ診断用TaqMan(登録商標)プローブ含む。特定の例において、増幅プライマーのうち一方は、その増幅プライマーの3’−末端にワクチンウイルス特異的突然変異を含むように設計されたものであり、これは検査をより効果的に、ワクチン株に対しより特異的する。その理由は、標的部位でのプライマーの伸長、ひいては増幅が、ウイルスRNAテンプレートがその特異的突然変異を含むときのみに生じるためである。
【0081】
臨床検査室で広く使われるようになってきている自動化PCRに基づく核酸配列検出システムを使用してもよい。TaqMan(登録商標)アッセイは、試料核酸テンプレートからPCRで生成されたアンプリコンの自動化されたリアルタイムの可視化および定量を可能にする非常に特異的かつ感度の高いアッセイである。TaqMan(登録商標)は特定の配列の存在または不在を決定することができる。このアッセイでは、フォワードおよびリバースプライマーがそれぞれ標的突然変異部位の上流および下流にアニーリングするように設計される。特異的検出プローブは、いずれの増幅プライマーよりも約10℃高い融解温度を持つように設計され、ワクチンウイルス特異的ヌクレオチド突然変異またはその相補物(検出されるRT/PCRアンプリコンのストランドに依存する)を含み、このアッセイの第3のプライマー成分を構成する。キメラ構築物のうちの1つにおける突然変異した位置を特異的に検出するように設計されたプローブは、任意の突然変異を検出するための特異的なヌクレオチド変化を含んでもよい。
【0082】
診断的遺伝子検査のための1つの方策は分子標識を使用することである。分子標識方策はまた、アンプリコンのRT/PCR増幅のためのプライマー、および、プローブ末端にレポーター色素およびクエンチャー色素を含むプローブによるアンプリコン中の特定配列の検出も使用する。このアッセイでは、プローブはステム・ループ構造を形成する。5’−および3’−末端のレポーター色素およびクエンチャー色素は、それぞれ短いステム構造の端部に配置される。これにより、クエンチャー色素がレポーター色素と並列の近位置になる。ステム構造はRT/PCRアッセイの変性ステップ中に融解する。標的ウイルスRNAが標的配列を含み、フォワードおよびリバース増幅プライマーによって増幅される場合、プローブの開かれたループは、サイクルのアニーリングステップ中に標的配列にハイブリダイズする。プローブがアンプリコンテンプレートのストランドのいずれかにアニーリングした時、クエンチャー色素とレポーター色素とは離され、レポーター色素の蛍光が検出される。これが、TaqMan(登録商標)アッセイによく似たリアルタイム同定・定量アッセイである。分子標識アッセイは、TaqMan(登録商標)アッセイで使用されるものとは異なるクエンチャー色素およびレポーター色素を使用する。
【0083】
医薬製剤
本分野で既知の、ワクチン用の任意の医薬製剤が本願では企図される。ある実施形態では、製剤はDENV−4構築物を単独で、または1つ以上の追加のDEN血清型(あるいは他のフラビウイルス組成物)を本願に開示されるDENV−4構築物と、デングウイルスの亜型の存在またはその流行地域への所定の曝露に応じて様々な比率で組み合わせて含んでもよい。製剤は、対象のワクチン接種に使用される他の活性作用剤、例えば限定するものではないが、当業者に既知の他の活性または不活性の材料または組成物を含有し得ることが考えられる。ある実施形態では、本願に開示される製剤にはアジュバントが含まれてもよい。
【0084】
本発明の他の態様は、対象へのデングウイルスに対するワクチンへの免疫応答を改変することを含んでもよい。デングウイルスに対するワクチンは、デングウイルスの血清型、弱毒生デングウイルス、またはそれらのフラグメント(デングウイルス血清型から誘導されあるいは得られるタンパク質や核酸等)の比率を含む組成物を含んでもよい。様々な血清型の比率は同じであってもよいし、必要に応じて、あるいはウイルスへの曝露または可能性のある曝露に応じて、特定の血清型が他よりも多く提示されてもよい。これらの実施形態に従って、任意の血清型1、2、3と本願に開示されるDENV−4構築物との組合せに関し、例えば製剤において提示される血清型の数、所定の応答および所望の効果に応じて、比率は1:2、1:3、1:4、1:10、1:20、1:1:1、1:2:2、1:2:1、1:1:1:1、1:2:1:2、1:3:1:3、2:3:3:3、5:4:5:5、4:4:4:5、1:2:2、4:4:5:5、4:4:5:6または任意の比率とすることができる。最後の数字は製剤中のDENV−4構築物の量を表す。各数字は10のべき乗を表す(6=10
6PFU)。任意のデングウイルス血清型製剤が、それを必要とする対象への投与に使用されるワクチン(例えば弱毒ウイルス等)の生成に使用できると考えられる。
【0085】
本願の実施形態は、in vivoの薬剤投与に適した生体適合性の形態の組成物の対象への投与を提供する。「in vivoの薬剤投与に適した生体適合性の形態」とは、活性作用剤(例えば、本願実施形態の薬剤としてのタンパク質、ペプチド、または遺伝子等)が、その活性作用剤の治療効果が毒性作用を上回るように投与される形態を意味する。治療効果をもたらす量の治療用組成物の投与は、所望の結果を達成するのに必要な用量および期間において有効な量と定義される。例えば、ある化合物の治療効果をもたらす量は、個体の病状、年齢、性別、および体重、ならびに個体において所望の応答を生じさせる抗体の能力等の因子によって変動し得る。投薬レジメンは最適な治療的応答をもたらすように調整することができる。
【0086】
一実施形態において、化合物(例えば、本願実施形態の薬剤としてのタンパク質、ペプチド等)は好都合な方法、例えば皮下、静脈内、皮内、経口投与、吸入、経皮適用、皮内、膣内適用、局所適用、鼻腔内または直腸投与により投与することができる。投与経路に応じて、作用化合物は、酵素、酸およびその化合物を不活性化し得る他の自然条件による分解からその化合物を保護する材料でコーティングされてもよい。一実施形態において、化合物は吸入のように鼻腔内投与されてもよい。
【0087】
化合物は適切な担体または希釈剤中で対象に投与されても、酵素阻害剤またはリポソームのような適切な担体と共に投与されてもよい。本願で使用する用語「薬学的に許容される担体」は、生理食塩水や緩衝剤水溶液等の希釈剤を含むように意図されている。化合物の不活性化を防止する材料で化合物をコーティングするか、または化合物をその材料と共に投与することが必要な場合がある。活性作用剤は非経口で、または腹腔内に投与されてもよい。グリセロール中、液体ポリエチレングリコール中、それらの混合物中、および油中の分散液を調製してもよい。通常の保存条件および使用条件下で、これらの調製物は微生物の成長を防止する保存剤を含んでもよい。
【0088】
注射用途に適した医薬組成物は、本分野で既知の手段により投与することができる。例えば、滅菌水溶液(水溶性の場合)または分散液、および、滅菌注射用溶液または分散液を即席で調製するための滅菌粉末を使用してもよい。いずれの場合でも、組成物は滅菌状態かつ注射容易性を有する程度に流体とすることができる。これは、製造条件および保存条件下で安定である可能性があり、細菌や菌類等の微生物の汚染活動に対して保存され得る。薬学的に許容される担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコール等)、およびそれらの適切な混合物を含有する溶媒または分散媒であってもよい。適切な流動性は、例えばレシチンのコーティングを用いることにより、分散液の場合に要求される粒径を維持することにより、および界面活性剤を用いることにより、維持することができる。微生物の防止は、加熱、洗浄剤への作用剤の曝露、放射線照射または様々な抗菌性あるいは抗真菌性物質の添加により達成することができる。
【0089】
滅菌注射用溶液は、必要量の活性化合物を、必要に応じて上記で列挙した1つ以上の材料と組み合わせて包含させることにより調製することができる。
水性組成物は、薬学的に許容される担体または水性媒体に溶解または分散した有効量の治療用化合物、ペプチド、エピトープコア領域、刺激剤、阻害剤等を含むことができる。本願に開示される化合物及び生物由来物質は、本分野で既知の手段により精製することができる。
【0090】
処方時、溶液が投薬製剤と適合する方法および治療上有効な量で投与される。製剤は、上述した注射用溶液等の様々な投薬形態で容易に投与される。徐放性カプセル、持続放出性のマイクロ粒子等も採用可能であると考えられる。これらの特定の水溶液は、静脈内、筋肉内、皮下および腹腔内投与に特に適している。
【0091】
活性治療剤は混合物中に、約10
2〜約5×10
6PFUの本願で考慮される各構築物を含むように製剤化することができる。単一用量または多用量を、所定の条件について適切なスケジュールで投与してもよい。ある実施形態では、0日目に1箇所の解剖学的または複数箇所の解剖学的位置に、干渉の低減した、または異なるリンパ節の免疫応答を誘導するために、2用量が投与されてもよい。ある実施形態では、一価、二価、三価または四価のデングウイルス構築物の製剤が対象に投与されてもよい。これらの製剤はいずれも、対象に単一用量または多用量として提供される。ある実施形態では、1用量が投与され、その後ある程度経ってから追加免疫が提供されてもよい。
【0092】
別の実施形態において、鼻用溶液またはスプレー、エアロゾルまたは吸入剤が、目的とする化合物の送達に用いられてもよい。他の投与形式に適した更なる製剤には、坐薬およびペッサリーが含まれる。直腸用ペッサリーまたは坐薬が使用されてもよい。一般に、坐薬について、従来の結合剤および担体には、例えばポリアルキレングリコールやトリグリセリドが含まれる。このような坐薬は、0.5%〜10%、好ましくは1%2%の範囲の活性材料を含む混合物から形成され得る。
【0093】
α1−アンチトリプシンを含む医薬組成物、その類似体、またはセリンプロテアーゼ活性の阻害剤あるいはその機能的誘導体が個体に、特にヒトに、例えば皮下、筋肉内、鼻腔内、経口、局所、経皮、非経口、胃腸内、経気管支および経肺胞投与されてもよい。
【0094】
本発明の方法のある実施形態では、対象はヒト等の哺乳類または獣医学の動物および/または家畜動物であってもよい。
本発明の一実施形態では、方法は、デングウイルスのいる国へ旅行の準備をしている対象へのワクチン接種を提供する。他の実施形態では、対象は流行地域の居住者であってもよい。対象は0日目に単回の注射または2回の注射を受けてもよく、任意選択で、30日未満、2ヵ月、3ヵ月、6ヵ月または1年後に追加免疫してもよいことが企図される。
【0095】
キット
他の実施形態は、本願に開示される方法(例えば、ワクチンを適用または投与する方法)および組成物と共に使用するキットに関する。いくつかの実施形態は、1種以上のデングウイルスを持っているか、それに曝露されたか、または曝露されたことが疑われる対象の予防または治療に用いられるワクチン組成物を有するキットに関する。ある実施形態では、キットは1種またはそれ以上のデングウイルス血清型の製剤(例えば弱毒ワクチン)を所定の比率で含んでもよい。キットは携帯可能であってもよく、例えば、軍事施設や辺鄙な村のような僻地に輸送されて使用されることができる。他のキットは、1種以上のデングウイルスに曝されたか、もしくはデングウイルスに曝される危険があると疑われる対象を処置するために、保健施設において使用されるものであってもよい。
【0096】
キットはまた、適切な容器、例えば、バイアル、チューブ、ミニ遠心チューブもしくはマイクロ遠心チューブ、試験管、フラスコ、ボトル、シリンジまたは他の容器を含んでもよい。追加の成分や作用剤が提供される場合、キットはその作用剤や成分を入れる1つ以上の追加の容器を含んでよい。本願のキットはまた、典型的には、作用剤、組成物および任意の他の試薬の容器を商業的販売のために一緒にパッキングした状態で収容するための手段を含む。このような容器は、射出成形プラスチック容器もしくは吹き込み成形プラスチック容器を含んでもよく、その中に所望のバイアルが保持される。任意選択で、免疫原性因子や他の抗ウイルス剤、抗真菌剤または抗菌剤のような1種以上のさらなる作用剤が、記載される組成物のために、例えば、1種以上のさらなる微生物に対するワクチンとして使用する組成物のために、必要とされてもよい。
【0097】
本発明の実施形態は、以下の非限定的実施例によりさらに例証される。これらは、その範囲に対し限定を加えるものであるとはいかなる場合にも解釈されないものとする。以下の実施例において開示された技術が、本願に開示される実施において十分に機能することが見出されている技術を代表するものであり、よって、その実施の好ましい態様を構成すると考えられることは、当業者には理解されるはずである。しかしながら、当業者は本開示に鑑みれば、開示されるある種の実施形態では、本願の趣旨および範囲から逸脱することなく、多くの変更が可能であり、依然として同様のまたは類似の結果を得られることを理解するはずである。
【0098】
実施例
〔実施例1〕
特定の例示的方法において、薬学的に許容される組成物に使用されるDENV−4キメラ構築物が形成される。
【0099】
図1Aは、本願に開示されるいくつかの実施形態の、DEN−2 PDK−53ゲノム(PCT/US01/05142、米国出願第10/204,252(それぞれ、参照によりその全体を全目的で本願に援用する)に既に開示されている)と称される例示的なウイルス骨格を示しており、これは改変型DENV−4構築物の作製に使用することができる(第2世代としても表示される)。
図1Aに示されるように、NS1−G53D、NS3−E250V等の非構造領域における特定のアミノ酸置換突然変異、およびDEN−2 PDK−53ゲノムの5’非コード領域におけるヌクレオチド置換突然変異C57Tが同定されている。原型のDENV−1、3、および4構築物(第1世代とも表示される)は、DENV−2骨格のprMおよびEのコード配列を、各血清型の構造コード配列に置換することにより作製された(
図1B)。in vitroおよびin vivoでの複製効率を高め、また宿主において免疫原性を向上させることのできる改変型DENVax−4構築物を作製するために、原型DENVax−4構築物の非コード領域、構造タンパク質コード配列、および/または非構造領域に点突然変異を導入した。例えば、(DENVax−4が現在含有する)デング−2ではなく野生型デング−4を模倣するように、現在のDENVax−4 C/prM切断部位の上流のアミノ酸配列を改変させることができる。
【0100】
特定の例示的なDENV−4構築物におけるいくつかの追加の改変が表1に提示されている。下記に示されるのは、DENV−2、DENV−1および原型DENVax−4の野生型配列と並べた特定の改変型DENVax−4構築物(DENVax−4b、DENVax−4c、およびDENVax−4d)に含まれる配列である。これらの配列における選択された変更は太字および下線で示されている。
【0102】
図4は、原型および改変型DENV−4構築物の概略的なマップを示す。DENVax−4eはDENVax−4b配列を骨格に使用して作製され、カプシドタンパク質のアミノ酸107位のCからYへの変異をさらに含む。DENVax4f、DENVax4gおよびDENVax4jはDENVax−4a骨格上に構築されたが、
図4に示されるようなPDK−53配列の弱毒化突然変異の野生型復帰変異を含んでいる。すなわち、DENVax−4fは野生型(DEN−2 16681)NS2AおよびNS4Aを含み、DENVax−4gは野生型5’NCR、NS2AおよびNS4Aを含み、DENVax−4jは野生型5’NCRを含む。DENVax4hはDENV4 1036配列のエンベロープ417にEからKへの置換を有する。DENVax4iは、NS4Aの17位にメチオニンからロイシンへのアミノ酸置換を有する(ゲノム核酸の6424位のA→T、または構築物のアミノ酸2110位と同義)。DENVax4kは1036株の代わりに、DENV−4 H241株由来のPrM/E遺伝子を有する(表1)。DENVax4e、h、およびiに構築された突然変異は、ベロ細胞での連続継代のDENVax4およびDENVax−4bからの配列データに基づいていた。
【0103】
DENVax−4bは合計7個のアミノ酸の変更を含み、DENVax−4cは合計9個のアミノ酸の変更を含み、DENVax−4dは配列のフレームシフトをもたらすアミノ酸の欠失を含む。RNAを転写し、増幅およびウイルスレスキューのためベロ細胞へのエレクトロポレーションを行った。増殖動態実験において、DENVax4−P2、DENVax4−P8およびDENVax2−P2を対照に用い、DENVax−4bおよびDENVax−4cを、ベロ細胞およびC7/36細胞での増殖効率について試験した。DENVax−4−P2およびDENVax−2−P2は、個々のウイルスプラークをDENVaxに感染したベロ細胞単層から選び取り、その後一つ一つのプラークを可視化するためのニュートラルレッドを含有するアガロースゲルで覆うプロセスであるウイルスプラーク精製によっては、遺伝子型として選択されなかったウイルス試料である。DENVax−4−P8は、DENVax−4遺伝子型クローンのウイルスストックを得るためにプラーク精製によって選択された。この工程は、復帰した弱毒化突然変異のないマスターシードウイルス(MVS)を作製するために行われる。DENVax−4cはベロ細胞での増殖後、十分なピーク力価に達せず、DENVax−4およびDENVax−4bのいずれよりも初期増殖速度が遅かった。ベロ増殖曲線においてDENVax−4およびDENVax−4bのピーク力価の間に有意差はなく、両方とも同程度の初期増殖速度であった。C6/36蚊細胞分析では、DENVax−4bおよびDENVax−4cは両方とも野生型DENV−4よりも有意に低いピーク力価に達し、これらの弱毒化が裏付けられた。
【0105】
〔実施例2〕
完全長感染性cDNAクローンの作製
改変型DENVax−4構築物配列を含む完全長感染性cDNAクローンを作製するには、多段階ダイジェスション/ライゲーションスキームを使用可能である。これは下記の工程を有し得る:1)改変型核酸配列または改変型構造タンパク質コード配列を含むAgeI/MluI合成フラグメント(例えば、b、cまたはd、あるいは上記構築物のうちの任意のもの)をpD2/3−PP1−5’に挿入してpD2/4i−b、cまたはdを生成する;2)pDENVax−4完全長cDNAクローンをダイジェスションしてMluI/NgoMIVフラグメントを抽出し、それをpD2/4i−b、cまたはdの対応する位置に挿入してpD2/4i−b、cまたはdを得る;3)pDENVax−4完全長cDNAクローンをダイジェスションしてNgoMIV/XbaIフラグメントを抽出し、それをpD2/4i−b、cまたはdの対応する位置に挿入して、改変型配列を含む完全長感染性クローンを作製する。最終的な完全長感染性クローンの配列を配列解析により確認した。
【0106】
ウイルスの作製
改変型構築物の各々のcDNAクローンをゲノムウイルスRNAに転写した。そのRNAをエレクトロポレーションによりベロ細胞に変換した。CPEをモニタリングしながらウイルスを12日間増殖させ、回収した。エレクトロポレーション後のこの最初の回収をP1(継代(Passage)1)と名付けた。その後の増幅および継代をP2、P3、・・・とした。原型DENVax−4、ならびにDENVax−4bおよびcについては僅かなCPEがあったが、DENVax−4dでは目立ったCPEが生じなかった。他のウイルスとは異なり、in vitroで増殖させると、デングウイルスはベロ細胞内で増殖した時にCPEをあまり生じない。DENVax−4dウイルスはin vitroでCPEを全く生じなかったが、他の株と並行して増幅した。増幅したP1ウイルス(例えば、DENVax−4b、c、dP1)は配列解析および増殖曲線実験を実施するのに十分に高い力価を生成した。DENVax−4dには力価がなく、したがってエレクトロポレーション後にウイルスが形成されなかった。
【0107】
DENVax−4bおよび−4cウイルスは完全に配列決定された。DENVax−4b−P2ウイルスには2つの突然変異があった。ヌクレオチド416位は、DENVax−4bウイルスのカプシドに作られた改変の位置(C/prMジャンクション付近)であった。これは混合集団であったため、nt416は操作された「G」ヌクレオチドに代わり「A」ヌクレオチドに戻っており、予測されるアミノ酸であるアルギニンに代わってリジンをもたらした。DENVax−4b−P2ウイルスに見られた第2の突然変異はヌクレオチド8769位にあった。これは、予測されるグルタミンからプロリンへのアミノ酸の変化を引き起こした。この突然変異は感染性クローンのNS5遺伝子領域にあった。DENVax−4c−P2ウイルスには4つの突然変異があった。混合集団であったDENVax−4bウイルスとは異なり、これらは全て完全変換であった。ゲノムのカプシド領域におけるヌクレオチド400位の突然変異は、C/prMジャンクションに作られた改変に影響を与えた。これは、その位置の予測されるアミノ酸をスレオニンに代えてプロリンにした。他の3つの突然変異は非構造遺伝子内にあり、そのうちの2つはアミノ酸の変化を生じ、1つはサイレント変異であった。
【0108】
ウイルスの表現型および遺伝的特性評価
ウイルスの表現型の特性評価をベロ細胞およびC6/36(ヒトスジシマカ(Aedes albopictus))細胞において行った。
図5〜6は、改変型DENVax−4構築物から作製されたウイルスバリアントの例示的な表現型特徴を示す。プラークサイズは重要な弱毒化マーカーであり、ウイルスバリアントの各々について解析された。
図5に示すように、DENVax−4bウイルスのプラークサイズは直径およそ0.3cmであった。DENVax−4cウイルスのプラークサイズは直径約0.1cmであった。DENVax−4hウイルスのプラークサイズは直径約0.3cmであった。DENVax−4iウイルスのプラークサイズは直径約0.1cmであった。DENVax−4cウイルスのプラークサイズは直径約0.2cmであった。各サイズは5〜10個のプラークの平均値を表す。bおよびc候補ウイルス、特にDENVax−4cのプラークは均質ではなかった。いくつかの小さいプラークおよびいくつかの大きいプラークを含むウイスルの混合集団が存在した。これらの小さいおよび大きいプラークの配列のばらつきは、弱毒化およびin vitro適合性をもたらし得る可能なヌクレオチド変化に関して特性評価することができる。必要であれば、これらの突然変異を更なるDENVax−4バリアントに作り出してもよい。
図6A〜6Fは野生型DENV−4ウイルス(A)およびDENVax−4b〜fウイルスバリアント(B〜F)のそれぞれのイムノフォーカスの例示的な結果を示す。
【0109】
いくつかの例示的な方法において、DENV−4構築物から作製されたウイルスの増殖曲線を測定した。ベロ細胞の単層を0.001のMOIで様々なDENV−4構築物組成物(例えば、DENVax−4b〜j、およびDENVax−4P1)に感染させた。いくつかの例示的実験では、13日目まで隔日で試料を採取し、アリコートを滴定した。DENVax−2−P2ウイルスはより迅速にピーク力価に達した。DENVax−4bウイルスはピーク力価および増殖速度において、DENVax−4−P2およびP8ウイルスと同様であった。DENVax−4cウイルスは初期は増殖速度が遅かったが、最終的には同様のピーク力価に達した。DENVax−4bおよびDENVax−4cウイルスの効率およびピーク力価は原型DENVax−4と同程度であった。他の例示的な実験では、2日目から12日目まで隔日で試料を得た。回収した培地を保持し、更なる研究のため、7、9および11日目に安定化した。2日目から12日目までの試料をIFAにより滴定した。DENVax−4e〜4hウイルスは対照DENVax−4と同様のピーク力価を示した(
図7)。
【0110】
弱毒化を実証するためには、各ワクチンウイルスの複製効率はC6/36蚊細胞において野生型ウイルスよりも低下されなければならない。この表現型は、自然界において弱毒キメラウイルスが伝染する可能性のないことを確認するためのDENVaxワクチンウイルスの必須の安全性特性である。いくつかの例示的方法では、C6/36蚊細胞での増殖はDENVax4bおよびDENVax−4cウイルスの増殖特性を野生型デング4ウイルス(株1036)と比較するために行われた。他の例示的実験では、DENVax4e〜4jと原型DENVax4との間で比較を行った。デュプリケートでフラスコのC6/36細胞を0.001のMOIで各P2ウイルス(−b、−c、および野生型)に感染させ、14日間増殖させた。デング4野生型ウイルス(WT D4 1036)は最も効率的に複製し、最高の力価となった。DENVax−4bウイルスはC6/36細胞中である程度良く複製し、14日目までに2.7×10
6pfu/mLのピーク力価に達した。DENVax4cウイルスは6日目まで増殖が非常に遅く、その後14日目まで増殖が加速し、2.2×10
4pfu/mLのピーク力価に達した。6日目、DENVax−4bおよびDENVax4cは両方とも、C6/36細胞中の野生型と比較して増殖が同程度に減衰し、原型DENVax−4と同程度の力価を有した。他の例示的実験では、本願の特定の実施形態のキメラデングウイルスをC6/36蚊細胞内で増殖させた。蚊細胞内でのDENVax4e〜4j増殖を対照DENVax4と比較した。デュプリケートでフラスコのC6/36細胞を0.001のMOIで各P2ウイルスに感染させ、12日間増殖させた。2日目から12日目まで試料を回収した。蚊細胞内での増殖をベロ細胞内での増殖と比較した。7、9および11日目に培養培地を得て安定化した。2日目から12日目までの試料をIFAにより滴定し、ウイルス生成について分析した。構築物のウイルス力価および増殖を対照DENVax4と比較した(
図8参照)。
【0111】
図7〜8は、ベロ細胞(
図7)およびC6/36蚊細胞(
図8)における様々なDENV4構築物のウイルスの増殖曲線を示す例示的なグラフを表す。本願の特定の実施形態のいくつかの新規なDENVax4構築物は、ベロ細胞(
図7)において対照DENVax4よりも高い力価を、および蚊細胞(
図8)において対照DENVax4よりも低い力価を生成し、動物モデルでの更なる評価が求められた(下記の表2参照)。
【0112】
マウスにおけるウイルスバリアントの安全性および有効性
DENVax−4b、cまたは他のバリアントウイルスの免疫原性を分析するための研究を行った。表2は例示的な研究計画を示す。10匹のAG129マウスの群に、それぞれ10
4PFUのDENVax−4、および別個のバリアントを(足裏の)皮内へワクチン接種した。対照群には賦形剤溶液のみを注射した。42日後、これらのマウスに追加免疫用量を与えた。初回接種後42日目および56日目に、血清学用の血清試料を採取し、PRNTによりセロコンバージョンを分析した。第2世代のDENVax−4bおよびcバリアントを免疫原に用いた場合、DENVax−4の免疫原性に有意な改善はなかった。
【0114】
DENVax−4bの免疫原性を更に改変および増幅するために、このウイルスをin vitroでベロ細胞増殖に適応させた。哺乳類細胞培養での適応がウイルスの複製能力を強化し、ひいてはその免疫原性を高めると仮定して、これを10回の盲継代により行った。この「新しい」第2世代DENVax−4をDENVax−4b−P10(10継代)と名付けた。
【0115】
3種の別個のDEN4ウイルス、すなわち第1世代、第2世代(4b構築物)および相同野生型DEN4 1036を含むデングウイルスワクチンの異なる四価製剤を評価するために、別の研究を行った。6匹のマウスの群に、50μL体積中10
4PFU DENVax−1、10
3PFU DENVax−2、10
4PFU DENVax−3および10
5PFU DENVax4(4:3:4:5)を含有する四価ワクチン製剤を皮内注射した。対照マウスには同じ経路で10
5PFUの第1世代、第2世代または野生型1036一価DENV4を注射した。希釈剤のみを注射したマウスの群を対照に含めた。42日目に、全マウスに同様のワクチン製剤の追加免疫注射を行った。初回接種後0、21、41および56日目にマウスを出血させ、全4種のDENV血清型に対する中和抗体の存在を判定した。56日目に、群4、5および6からのマウスをDENV−2(NGC株)で攻撃し、生存率を評価した(現在、有効性分析用に使用されるマウス適応性の致死性DENV4株はない)。表3に示されるように、第1世代および第2世代のDENVax−4ワクチンは、単独で投与された時に同程度の免疫原性プロフィールを有する。しかし、これらが四価デングウイルスワクチンとして与えられると、第2世代DENVax−4のみに影響を与える干渉により、DENV−4に対する免疫応答は弱まる。野生型DENV4は高度に免疫原性であり、四価デングウイルスワクチンにおいては、これは他の3種のデングウイルスワクチンによって誘導される中和抗体応答を干渉、抑制する。野生型DENV4、第1世代および第2世代DENVax−4は異種DENV−2攻撃からの部分的な保護を提供した。
【0116】
NHPにおける第2世代DENVaxの安全性および有効性
【0118】
4匹のカニクイザルの群におけるDENVaxの免疫原性を、各四価DENVax製剤(表4および
図2)の0.5mL注入量での皮下注射後に評価した。この研究の目的は、主要な第2世代DENVax−4構築物を第1世代DENVax−4と比較して評価することであった。また、DENVaxにより誘導されるDENV−4に対する中和抗体応答を改善する様々な方法を検討した。これらは、従来使用されていたDENVax−4の用量の10×を含む製剤(「新製剤」と名付ける)を試験すること、および四価混合物のDENVax−2成分を減少させることを含んでいた(このワクチンは4つのワクチンウイルス株の中で最も免疫原性であるため)。様々な投与日を試験し、同日の初回免疫および追加免疫を(0日目)、0日目の初回免疫および60日目の追加免疫と比較した。血清学用の試料を0、28、58、73、および90日目に採取した。DENV−4バリアントウイルスおよび原型に対する中和抗体力価の動態を、一例として
図3に示した。同様のレベルが確認された。
【0120】
NHP研究のためのワクチン製剤をバルク調製した。群1に、cGMPにより製造され、ヒト治験で現在試験されているワクチンと同一のワクチンを与えた。ワクチンをNHPに与え、その後、逆滴定して実際の用量を決定した。結果を下の表5に示す。
【0122】
ウイルス血症用の試料を初回投与後−11日目(ベースライン)、3日目、5日目、7日目、9日目、11日目、13日目、15日目、17日目、21日目、28日目、58日目、62日目および66日目に採取した。血清試料からRNAを抽出し、テトラプレックスqRT−PCRアッセイによりウイルス力価を測定した。検出可能なウイルス血症を示した唯一のウイルスはDENVax−2であり、これは初回ワクチン接種後21日目までに消退した。ワクチンの追加免疫用量の投与後に検出されたウイルスはなかった。
【0123】
96ウェルプレートにおいて、ハイスループットPRNTアッセイを用いて血清を評価した。第1および第2世代DENVax−4の比較(群1対群2の比較)は、これら2つのウイルスの免疫原性における有意差を示さなかった(表6)。
【0125】
より高用量のDENVax−4を評価したところ(群3)、DENV−4中和抗体応答の動態において有意差が得られることが明らかとなった。2つの異なるワクチン製剤を比較すると、ピーク力価は概ね同程度を維持した(2倍の希釈範囲内)。しかし、免疫がより多い量のDENVax−4で行われた場合、DENV−4のピーク力価が得られた速度は遥かに早かった。さらに、製剤中のDENVax−2の量を減少させたところ(群5)、この四価DENVaxワクチンの血清応答におけるDENV−4の動態またはピーク力価に顕著な差はなかった。
【0126】
図9は、本願に開示されるウイルス構築物の安全性および有効性を動物モデルで試験するための1つの例示的な工程のフローチャートを表す。例えば、ワクチンとして用いられる1つ以上のキメラデングウイルスを含む組成物(1つまたは複数)、例えばDENVax4e、DENVax4fまたはDENVax4h、あるいは他のキメラ構築物の組成物、もしくは対象組成物を動物モデル(例えばAG129)で試験することができる。動物を0日目に初回免疫し、次に30日目か、42日目か、それらより前か、または他の適切な時期に、同じまたは異なるデングウイルスワクチン組成物で追加免疫することができる。その後、動物を1種以上のデングウイルス血清型に曝露することにより攻撃し、攻撃に対する免疫応答の誘導を評価することができる。血液試料を、中和抗体の試験用に例えば0、30、41、48、52または84日目または他の適切な日に回収し、ウイルス血症の(または組成物および選択される投与プロトコールに適切とされる)試験用に5日目や47日目等の他の日に回収することができる。
【0127】
ウイルスクローニングおよびP1へのレスキュー
プラスミド突然変異誘発を使用して、本願に開示されるワクチン組成物に用いられる新しいDENV−4キメラクローンを作出した。点突然変異をコードするプライマーを合成し、新しい感染性クローン全体を増幅するために使用した。テンプレートをDpnIによりダイジェスションし、その後のプラスミドをシークエンシングした。RNAを転写し、ベロ細胞にエレクトロポレーションして継代レベル0(P0)のウイルスを作製した後、ベロ細胞内での1回継代により増幅した。
【0128】
DENVax−4bクローンのカプシド/PrMジャンクションにおける改変は、NHP研究においてDENV−4免疫原性の増強を引き起こすようには見えなかった。DENV−4およびDENVax−4bの連続盲継代からのシークエンシングデータを用いて、ベロ細胞適応を促進し得る3個の点突然変異を同定した。さらに、いくつかの弱毒化突然変異が野生型配列に復帰し、マウスにおける免疫原性を高めた。
図6に示されるように、DENVax−4eおよびDENVax−4hの大きいIFUサイズおよび溶解性表現型は、これらのクローンがマウスにおいて免疫原性の増強を示す可能性があることを示す。新しいDENVax−4クローンの各々の増殖動態を分析するための実験を行い、挿入された改変がベロ細胞適応を促進するか否かを調べた。A129マウスでの免疫原性を分析する試験も行われる。
【0129】
増殖動態
ベロ細胞におけるデングワクチン株の連続継代は、in vitroでの増殖により適する株を選択するための古典的な方法である。これらの例示的な増殖実験において、DENVax−2(
図1)が対照に含められ、これは2日目に最も高い初期力価を示し、続いてDENVax−4b−P10、DENVax−4、およびDENVax−4b−P1であった。増殖期間の終わり(12日目)ではDENVax−2が最も高いピーク力価を有し、続いてDENVax−4b−P10、DENVax−4b−P1、およびDENVax−4であった。
【0130】
配列のアミノ酸変化
DENVax4−P10ゲノムシークエンシングは、アミノ酸E−417 E−K(Glu−Lys)およびNS4A−17 M−Lに相当する突然変異を示した。DENVax−4b−P10シークエンシングは、アミノ酸C−107 C−Yに相当する突然変異を示した。E−417 E−K突然変異は、カルボニルヒドロキシル基をアミン基(NH2)に置換するようにアミノ酸残基を変化させる。しかし、R基は依然として荷電しており、親水性を維持する。NS4A−17 M−L突然変異はR基からの硫酸基の除去をもたらすが、非極性を維持し、その結果疎水性アミノ酸をもたらす。C−107 C−Y突然変異はR基の劇的な変化をもたらす。システインはジスルフィド結合を形成可能なSH基を持つ。一方、チロシンはヒドロキシル基を持つ炭素ベンゼン環を有する。これはアミノ酸残基を親水性に代えて疎水性にさせ、他のアミノ酸R基との相互作用に影響を与える。
【0131】
図19は、増殖動態実験におけるDENVax−4構築物の力価のグラフである。各試料を採取した日がx軸にプロットされ、力価がy軸にプロットされている。
DENVaxでワクチン接種したNHPにおける中和抗体
ある方法において、DENV−4キメラ構築物ウイルスの評価が、免疫レジメンを試験する大規模な研究により行われた。DENVax−4aの免疫原性と比較したDENVax−4bの免疫原性を試験した。0日目に群1および2を2用量でワクチン接種し、追加免疫のワクチン接種は行わなかった。DENVax−4(菱形)もDENVax−4b(四角)も全ての用量について同じ力価を用いた。DENV−4を含む全ての血清型の間で、中和抗体の幾何平均力価(GMT)に有意差はみられなかった。これは、四価DENVaxにおけるDENVax−4bの使用がDENV−4に対する中和抗体応答に影響を与えるか、またはそれを増強することを示唆している。
図20:群1(DENVax−4、菱形)と2(DENVax−4b、四角)とを比較したGMT値。GMT値は、プラーク減少中和技術からの中和抗体値の測定値である。
【0132】
四価DENVax中のDENVax−4の用量の増加がDENV−4に対する免疫原性を増強するか否かを確認するため、群1および3における中和抗体応答を比較した。結果は、高用量のDENVax−4で免疫した霊長類では、従来の四価DENVaxで免疫したものと比べて、最初の60日で検出された一次中和抗体のGMTが増加することを示した。他のDENV血清型の間でGMTに有意差はなかった(
図21)。これは、高用量のDENVax−4がDENV−4に対する中和抗体応答を改善することを示唆している。
【0133】
免疫原性に対する免疫スケジュールの効果を試験するために、群1(菱形)および4(四角)で中和抗体応答を比較した(
図22)。
図22は中和抗体応答に対するワクチンスケジュールの効果を示すGMT値を示している。これは、0日目の2用量および追加免疫なしが、0日目の1用量および60日目の1用量と比べて悪影響とならないことを示している。最後に、DENVax−2の用量の減少がDENVax−4の免疫原性に影響を与えるかどうかを調べるために、群4(菱形)および5(四角)からのデータを比較した。結果は、DENV−4に対するGMTには有意差がないが、DENV−2に対するGMTは群5で有意に減少したことを示している。これは、DENVax−2により誘導される抗体応答が、DENVax−4により誘導される抗体応答に悪影響を与えないことを示している(
図23)。
図23は、群4(菱形)および5(四角)の全DENV血清型についてのGMT値を示す。結果はプラーク減少中和技術を用いて判定した。
【0134】
これらの実験の結果は、本願に開示される構築物がDENV−4中和抗体応答を改善することを裏付けている。投与製剤におけるDENVax−4の増加は、中和抗体産生量の有意な増加を示さない。DENVax−2の用量は、DENVax−4の中和抗体応答に影響を与えないようにも見える。初回2用量ワクチン接種法と、初回および追加ワクチン接種法との間で、抗体産生量にはほとんどまたは全く差がないかもしれない。DENVax−4に現在用いられている株であるDENV−4 1036に対し、十分な中和抗体力価が生成される。成功するDENV−4ワクチンは、ゲノム改変を有する、異なる遺伝子型および異なる表現型の新しく進化した株を含む野生型DENV−4の多くの株を十分に中和可能である必要がある。
【0135】
シークエンシング中、継代1と継代10の両方の構築物の間で3個の点突然変異が特定された。これらの突然変異は、上述したようにDENVax−4bのカプシド領域ならびにDENVax−4のprM遺伝子およびエンベロープ遺伝子に位置していた。構築物へのこれらの突然変異の取り込みは、ウイルスの減衰を低下させることによりベロ細胞内での増殖の促進をもたらす可能性があり、これは免疫原性を高め得る。本願に開示されるように、DENVax−4hでは中和抗体力価が2倍増加した。一方、DENVax−4eでは中和抗体力価が1.5倍増加した。他の方法では、DENV−4免疫原性の増強が試験され、他の二価、三価および四価構築物組成物と比較される。
【0136】
〔材料と方法〕
細胞培養
ベロ細胞はアフリカミドリザルの腎臓から誘導された哺乳類細胞である。in vitro実験で使用されたベロ細胞株。ベロ細胞を、10%ウシ胎仔血清(FBS、ハイクローン(Hyclone)、ユタ州ローガン)、2%L−グルタミン(ハイクローン)、および1%ペニシリン−ストレプトマイシン(Pen−Strep、ハイクローン)を添加したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM、メディアテック社(Mediatech Inc.)、バージニア州マナッサス)において37℃で増殖させた。細胞を継代させるため、トライプルエクスプレス(Tryple Express)溶液(ライフテクノロジーズ(Life Technologies)、ニューヨーク州グランドアイランド)を用いてフラスコ表面から細胞を除去した。
【0137】
ベロ単層のウイルス感染
ベロ細胞を、感染の約48時間前に複数のT−75cm
2フラスコに播いた。10%FBS、2%L−グルタミン、および1%ペニシリン−ストレプトマイシン添加DMEMを細胞増殖培地に用いた。細胞がコンフルエントに達したら、PBSで1:5に希釈された0.25%トリプシン溶液4mLで1つのフラスコをトリプシン処理した。MOIを定めるため、細胞を計数した。残りのフラスコのうち2つを、DENVax−4−P2(第1世代DENVax−4)またはDENVax−4b−P3または他の構築物1mL中の所定のMOIで感染させ、BA−1希釈剤(ウシ血清アルブミン、1×M199、0.05M Tris−HCL、1×L−グルタミン、7.5%重炭酸ナトリウム、1×Pen−strep、1×ファンギゾン)で希釈した。細胞単層の乾燥を防ぐために10分ごとに揺動させながら、ウイルスをベロ細胞に90分間吸着させた。吸着後、5%FBSを添加した20mLのDMEMを各フラスコに加えた。フラスコを7日間37℃でインキュベートした。
【0138】
ウイルス回収とその後の感染:盲継代
所定期間の経過後、各フラスコでCPEを確認し、ウイルス上清を回収して、−80℃での保存用に20%FBS中で安定化した。以前に播種したコンフルエントT−75cm
2ベロフラスコを、前述のフラスコからの1mLのウイルス上清で感染させた。ウイルスを、10分ごとに揺動させながら90分間吸着させた。ウイルス吸着後、各フラスコに20mL DMEM 5%FBSを加えた。新しい未感染の対照フラスコを7日ごとにプレーティングした。以降10週間、この工程を7日ごとに繰り返して各ウイルスにつき10の継代を得て、DENVax−4−P2−P1〜P10またはDENVax−4b−P3−P1〜P10あるいは様々な構築物について指定された他の記号で名称を付けた。
【0139】
ウイルスのプラーク滴定
DENVax−4−P2およびDENVax−4b−P3ならびに他のキメラ構築物からの試料を1、5および10週目に採取し、力価を測定するためにプラーク滴定した。ウイルス試料を1×10
−1から1×10
−6までBA−1希釈剤で段階的に希釈した。試料はトリプリケートでプラーク滴定し、各希釈物の100μLを、ベロ細胞を予め播種した6ウェルプレートに90分間、8分ごとに揺動させながら吸着させた。吸着後、ウェルを4mLのBSS/アガー(NaCl、KCl、NaH
2PO
4−H
2O、グルコース、CaCl
2−2H
2O、MgSO
4−7H
2O)溶液で被覆し、4日間37℃でインキュベートした。4日目にウェルを2mLのBSS/アガー/ニュートラルレッド溶液で被覆し、一晩37℃でインキュベートした。5、6および7日目にプラークを計数した。
【0140】
増殖曲線分析
ベロ細胞で増殖曲線を実施することにより、適応した株の増殖動態を分析した。上述したようにベロフラスコを播種した。0日目に、ベロ細胞のコンフルエントなフラスコを計数し、0.001のMOIでフラスコを感染させるのに必要なウイルスPFUを計算した。フラスコを1mLのDENVax−4、DENVax−4b−P1、DENVax−4b−P10、またはDENVax−2あるいは他のキメラ構築物(例えばDENVax−4e、4h等)で感染させた。ウイルスを単層に90分間、8分ごと揺動させながら吸着させた。吸着後、1%F−127を添加したFBSを含まない10mLのcDMEMを各フラスコに加え、試料を5%CO
2、37℃でインキュベートした。2日目および4〜12日目に各フラスコの上清から試料を回収した。フラスコ内の上清の全量を回収することによりワクチンを採集し、4日目および6〜12日目に増殖培地を新しいcDMEM−F127に取り換えた。培地の交換の際、フラスコをPBSで3回洗浄した。試料を1×FTA(FTA:15%トレハロース、1%F−127、0.1%ヒト血清アルブミン、PBS)中で安定化し、上述したようにプラーク滴定を行って力価を測定した。
【0141】
DENVax−4およびDENVax−4bの両方をベロ細胞で10回盲継代した後、各継代をシークエンシングしてP1とP10との間の突然変異を同定した。シークエンシング反応は、DENVax−4−P2−P1とP10、およびDENVax−4b−P3−P1とP10についてCDCで行われた。ウイルスRNAは、QIAmpウイルスRNAキットを用いてウイルスストックから単離した。逆転写PCR(RT−PCR)を用いて、CDCにより以前に設計されたプライマーを使用してRNAをDNAに転写した。プライマーはDENV−2 16681およびDENV−4 1036の配列から設計されている。1つの構築物につき約7〜9種類のPCRフラグメントをRT−PCRにより増幅した。次に、DNAフラグメントをベックマン・コールターにより自動シークエンシング反応を用いてシークエンシングし、比較のためにアラインメントした。
【0142】
シークエンシング
様々な構築物をベロ細胞で10回以上継代させた後、各継代をシークエンシングして突然変異を同定した。シークエンシング反応は各試料について実施した。QIAmpウイルスRNAキットを用いてウイルスRNAをウイルスストックから単離した。逆転写RNA(RT−PCR)を用いて、CDCにより以前に設計されたプライマーを使用してRNAをDNAに転写した。プライマーはDENV−2 16681およびDENV−4 1036の配列から設計されている。1つの構築物につき約7〜9種類のPCRフラグメントをRT−PCRにより増幅した。次に、DNAフラグメントをベックマン・コールターにより自動シークエンシング反応を用いてシークエンシングし、比較のためにアラインメントした。
【0143】
非ヒト霊長類研究
カニクイザルを異なる試験群に分け、様々なDENV−4構築物を有する四価のDENVaxの用量でワクチン接種した。1つの群につき1つの製剤を試験することができる。製剤1は、DENVax−4第1世代を含む高用量のDENVaxを含むことができ、群1の霊長類は0日目に2用量で初回免疫され、追加免疫を受けない。製剤2はDENVax−4構築物を含む高用量のDENVaxを含んだものであり、群2の霊長類は0日目に2用量で初回免疫され、追加免疫を受けないものとすることができる。ワクチンは皮下またはID、あるいは針を使用するまたは使用しない系とシリンジとを用いる他の方法により投与することができる。血清学について試験する試料は、0、28、58、73、90、128または他の適切な時期に採取することができる。血清中の中和抗体応答はプラーク減少中和技術により測定される。
【0144】
プラーク減少中和技術
血清試料における中和抗体産生を試験するために、プラーク減少中和アッセイを使用することができる。単層コンフルエンシーを確実にするため、接種の2日前にベロ6ウェルプレートに播種する。血清試料を96ウェルプレート中にBA−1希釈剤で2倍ずつ連続希釈し、デングウイルスと共に約20時間4℃でインキュベートした。インキュベート後、ベロウェルに調製済みウイルス/血清希釈物を接種した。単層の乾燥を防ぐため8分ごとに揺動させながら、試料を90分間吸着させる。吸着後、ウェルをBSSとアガロースの1:1溶液で被覆し、37℃で4日間インキュベートする。4日目、細胞を1:1比のニュートラルレッド添加BSS溶液とアガロースで被覆することができる。ウェル上の視認できるプラークを、例えば5、6、および7日目に計数する。GMT値は、ウイルスの50%を中和可能な血清の平均希釈率を示す。これは、血清の非存在下で形成されるプラークの数を決定し、(希釈を説明するため)その値を2で割り、血清のどの希釈率が、その量と同じまたはそれ未満のプラーク形成をもたらしたかを注記することにより測定される。
【0145】
DENVax−4e(カプシド突然変異)と比較してDENVax−4h(エンベロープ突然変異)の高い免疫原性は、DENVax−4エンベロープタンパク質が最適化され得ることを示唆する。エンベロープタンパク質は、中和抗体の生成のためのエピトープを提供し、強力な抗体応答を誘導するエピトープ部位を最適化するように配列を改変することにより、抗体力価が増大し得る。DENVax−4hの417位におけるエンベロープ突然変異はステム領域の保存された部分にある。DENV−4は、この位置に他のフラビウイルスとは異なるアミノ酸を有する。ステム領域はEタンパク質のドメインIIIにあり、ここには最も強力な中和エピトープ部位が存在する。この部位に結合して中和する抗体は、ステム領域がエンドサイトーシス後にエンドソーム膜と融合するのを抑制する。実際、DENV−1、−2、−3、およびWNVを含むフラビウイルスファミリーの間で417位は保存されている。EからKへの復帰変異は、より強い免疫応答を示すように二次構造を変化させ得る。更なる突然変異は、他のフラビウイルスに見られるような保存された荷電アスパラギン酸(D)に復帰させるものであり得る。
【0146】
本発明について上述した内容は、例示および説明の目的で提示されている。上記は本発明を本明細書に開示された形態に限定するようには意図されていない。本発明の説明は、1つ以上の実施形態、特定の変形例および変更例の説明を含んでいるが、他の変形例及び変更例も本願の範囲内であり、例えば、本願の開示を理解した後の当業者の技能および知識の範囲内であり得る。特許請求の範囲に記載されたものについて、代替の、交換可能な、かつ/または同等の構造、機能、範囲または工程をはじめとする代替実施形態を含む権利を、そのような代替の、交換可能な、かつ/または同等の構造、機能、範囲または工程が本願に開示されているか否かに関わらず、許容される程度まで得ることが意図されており、特許性のある発明特定事項を公に捧げる意図はない。