(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記短絡防止層は前記第1電極の上面、下面および側面のうち少なくとも一面に接して備えられ、前記補助電極は前記短絡防止層の少なくとも一部に接して備えられ、前記補助電極は前記第1電極に直接には接しない、請求項2に記載の有機発光素子。
前記短絡防止層が前記第1電極の上面および側面のうち少なくとも一面に接して備えられ、前記補助電極が前記短絡防止層の上面に接して備えられるか、前記短絡防止層が前記第1電極の側面および下面のうち少なくとも一面に接して備えられ、前記補助電極が前記短絡防止層の下面に接して備えられる、請求項2に記載の有機発光素子。
前記短絡防止層が前記第1電極または前記基板の上面に接して備えられ、前記補助電極が前記短絡防止層の上面に接して備えられるか、前記補助電極が前記基板の上面に接して備えられ、前記短絡防止層が前記補助電極と前記第1電極との間に備えられる、請求項4に記載の有機発光素子。
前記短絡防止層は、炭素粉末、炭素被膜、導電性高分子、有機高分子、金属、金属酸化物、無機酸化物、金属硫化物、および絶縁物質からなる群から選択される1種または2種以上を含む、請求項1に記載の有機発光素子。
前記有機物層は少なくとも1層以上の発光層を含み、正孔注入層、正孔輸送層、正孔遮断層、電荷発生層、電子遮断層、電子輸送層、および電子注入層からなる群から選択される1種または2種以上をさらに含む、請求項1に記載の有機発光素子。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本明細書についてより詳細に説明する。
【0017】
本明細書の一実施状態は、基板、前記基板上に備えられた第1電極、前記第1電極に対向して備えられた第2電極、前記第1電極と前記第2電極との間に備えられた1層以上の有機物層、前記第1電極の補助電極、および前記第1電極の少なくとも一部に接して備えられ、前記補助電極と前記第1電極との間に備えられた短絡防止層を含む有機発光素子を提供する。
【0018】
また、本明細書の一実施例によれば、前記有機発光素子の電流は、前記補助電極、前記短絡防止層、前記第1電極、前記有機物層、前記第2電極の方向に流れるように備えられることができる。または、本明細書の一実施例によれば、前記有機発光素子の電流は、前記第2電極、前記有機物層、前記第1電極、前記短絡防止層、前記補助電極の方向に流れるように備えられることができる。この場合、外部電圧印加端子は前記補助電極および第2電極に備えられることができる。
【0019】
本明細書の一実施例によれば、前記短絡防止層は、前記第1電極の上面、下面および側面のうち少なくとも一面に接して備えられることができる。
【0020】
前記短絡防止層は、前記第1電極の上面、下面または側面の少なくとも一領域に接して形成されることができる。また、前記短絡防止層は、前記第1電極の上面の一部と側面の一部に接して形成されることができる。さらに、前記短絡防止層は、前記第1電極の下面の一部と側面の一部に接して形成されることができる。
【0021】
本明細書の一実施例によれば、前記短絡防止層は前記第1電極の上面、下面および側面のうち少なくとも一面に接して備えられ、前記補助電極は前記短絡防止層の少なくとも一部に接して備えられ、前記補助電極は前記第1電極に直接に接しなくてもよい。
【0022】
本明細書の一実施例によれば、前記短絡防止層が前記第1電極の上面および側面のうち少なくとも一面に接して備えられ、前記補助電極が前記短絡防止層の上面に接して備えられることができる。
【0023】
本明細書の一実施例によれば、前記短絡防止層が前記第1電極の側面および下面のうち少なくとも一面に接して備えられ、前記補助電極が前記短絡防止層の下面に接して備えられることができる。
【0024】
本明細書の一実施例によれば、前記短絡防止層が前記第1電極または前記基板の上面に接して備えられ、前記補助電極が前記短絡防止層の上面に接して備えられることができる。
【0025】
本明細書の一実施例によれば、前記補助電極が前記基板の上面に接して備えられ、前記短絡防止層が前記補助電極と前記第1電極との間に備えられることができる。
【0026】
本明細書における発光領域は、有機物層の発光層から発光する光が第1電極および/または第2電極を介して放出される領域を意味する。例えば、本明細書の一実施例による有機発光素子において、前記発光領域は、基板上に第1電極が形成された領域のうち短絡防止層および/または補助電極が形成されていない第1電極の領域の少なくとも一部に形成されることができる。また、本明細書における非発光領域は、前記発光領域を除いた残りの領域を意味する。
【0027】
本明細書の一実施例によれば、前記セルのうち少なくとも1つは発光領域と非発光領域を含むことができる。
【0028】
本明細書の一実施例によれば、前記第1電極は1つのセルで形成されることができる。
【0029】
本明細書の一実施例によれば、前記第1電極は1つのセルで形成され、発光領域と非発光領域を含み、前記発光領域と前記非発光領域の厚さが互いに同一であるかまたは異なってもよい。
【0030】
本明細書の一実施例によれば、前記第1電極が1つのセルで形成される場合、前記第1電極は発光領域と非発光領域の厚さが互いに同一であってもよく、前記補助電極および/または短絡防止層に対応する領域は非発光領域となってもよく、その他の領域は発光領域となってもよい。
【0031】
本明細書の一実施例によれば、前記第1電極が1つのセルで形成される場合、前記第1電極は発光領域の厚さと非発光領域の厚さが互いに異なってもよく、前記発光領域は相対的に厚さの厚い部分であってもよく、前記非発光領域は相対的に厚さの薄い部分であってもよい。
【0032】
本明細書の一実施例によれば、前記第1電極が1つのセルで形成され、発光領域の厚さと非発光領域の厚さが互いに異なる場合、前記発光領域は一定の形態に形成されることができる。具体的には、三角形、四角形、六角形などの多角形であってもよく、無定形の形態であってもよい。
【0033】
本明細書の一実施例によれば、第1電極の発光領域を含む部分の厚さは発光領域を含まない部分の10倍〜1,000倍であってもよい。
【0034】
本明細書におけるパターンは、該当層が備えられる下部層、例えば、基板または第1電極の全体面積を覆うものではなく、最終用途に求められる形態の面積だけを覆うように形成されたものを意味する。
【0035】
本明細書の一実施例によれば、前記第1電極はパターンに形成されることができる。前記第1電極のパターンは発光領域を含むことができる。
【0036】
本明細書の一実施例によれば、前記第1電極は2以上のセルであり、各々のセルが互いに離隔して備えられたパターンに形成されることができる。
【0037】
本明細書の前記セルは、基板上に被覆されている第1電極の最小単位となることができる。具体的には、前記第1電極が1つのセルで形成される場合、前記セルは前記第1電極が前記基板の同一平面上に離隔しないように被覆されたものであってもよい。または、前記第1電極が2以上のセルで形成される場合、前記セルは基板上に被覆されている第1電極の最小単位となることができ、各々の前記セルが互いに離隔して備えられたパターンに形成されることができる。前記第1電極の最小単位は、物理的に連結された1つの単位となることができる。また、前記セルは閉鎖図形の形態を有してもよい。具体的には、前記セルは三角形、四角形、六角形などの多角形であってもよく、無定形の形態であってもよい。
【0038】
本明細書の一実施例によれば、前記各々のセルは前述した第1電極を意味することができ、前述または後述する第1電極と短絡防止層、補助電極との関係がいずれも適用されることができる。
【0039】
本明細書の一実施例によれば、前記補助電極および短絡防止層は非発光領域にパターンを形成して配置されることができる。すなわち、発光領域でない部分にパターンをなして発光領域を区画することができる。例えば、発光領域を区画するようにメッシュパターンの形態にパターンが形成されることができる。前記メッシュパターンは三角形、四角形、六角形などの多角形であってもよく、無定形のパターンであってもよい。
【0040】
また、短絡防止層が非発光領域にパターンをなして形成される場合、短絡防止層の一部は基板上に位置し、残りの一部は第1電極上に位置することができる。
【0041】
本明細書の一実施例によれば、前記短絡防止層および補助電極の開口率は30%以上であってもよい。具体的には、前記開口率は50%以上であってもよい。より具体的には、前記開口率は70%以上であってもよい。
【0042】
前記短絡防止層および補助電極の開口率は、有機発光素子の全体面積において、短絡防止層および/または補助電極によって被覆されていない比率を意味する。前記開口率が高くなるほど輝度が高くなってより明るくなり、電力消耗も減らすことができる。
【0043】
本明細書の一実施例によれば、前記第1電極が互いに離隔したセルを2以上含む場合、前記短絡防止層は前記パターンの各セルの少なくとも一部と接するように備えられることができる。具体的には、本明細書の一実施例によれば、前記各セルの少なくとも一部に前記短絡防止層が接することができる。
【0044】
各々のセルの少なくとも一部に前記短絡防止層が接する場合、1つのセルに短絡欠陥が発生しても、短絡防止層によって、全ての作動電流が短絡欠陥部位に流れることを防止することができる。すなわち、短絡欠陥に応じた漏れ電流の量が無制限に増加しないように制御する役割をする。したがって、短絡欠陥のない残りのセルが正常に作動することができる。
【0045】
前記短絡防止層は、有機発光素子に短絡欠陥が発生する場合、短絡欠陥にも関わらず、素子の作動を可能にする役割をする。また、前記短絡防止層は短絡欠陥を防止する役割をすることもできる。
【0046】
短絡欠陥は、第2電極が直接に第1電極に接触する場合に発生する。または、第1電極と第2電極との間に位置した有機物層の厚さ減少または変性などによって有機物層の機能が失って第1電極と第2電極が接触する場合にも発生する。短絡欠陥が発生する場合、有機発光素子の電流に低い経路を提供して、有機発光素子が正常に作動できなくする。短絡欠陥によって第1電極から第2電極に直接に電流が流れるようになる漏れ電流によって、有機発光素子の電流は無欠陥区域を避けて流れる。これは、有機発光素子の放出出力を減少させ、相当な場合には有機発光素子が作動しなくなる。また、広い面積の有機物に分散して流れていた電流が短絡発生地点に集中して流れると、局部的に高い熱が発生して、素子が壊れたり火災が発生したりする危険がある。
【0047】
しかし、本明細書の前記短絡防止層は短絡欠陥が発生する前には補助電極と第1電極との間に位置して電流移動通路の役割をし、前記短絡防止層による素子の作動電圧の上昇を最小化することができる。そして、短絡欠陥が発生した場合は、短絡発生地点に少量の電流だけが漏れるようにして、有機発光素子の効率低下を防ぎ、素子が正常に作動できるようにする。
【0048】
前記短絡防止層は、短絡欠陥の発生時、適正な抵抗を付加して電流が短絡欠陥部位を通して抜け出ることを防止する役割をする。このために、前記短絡防止層は、短絡欠陥による漏れ電流およびそれと関連した発光効率の損失を減少させるのに適宜な厚さおよび抵抗率を有することができる。
【0049】
本明細書の一実施例によれば、前記短絡防止層と前記補助電極は互いに接して形成されることができる。すなわち、前記有機発光素子に電圧を印加する場合、前記補助電極と前記短絡防止層は電気的に接続されることができる。また、前記補助電極は、前記短絡防止層の面積と同一であるか、それより小さい面積で短絡防止層上に形成されることができる。
【0050】
本明細書の一実施例によれば、前記補助電極を通して前記第1電極に電流が注入されることができる。さらに、前記第1電極がパターン化されている場合は、前記補助電極を通して各発光領域に電流が注入される。この場合、電流は前記補助電極に注入され、前記短絡防止層を通して第1電極に流れる。
【0051】
本明細書の有機発光素子は、前記補助電極に電流を注入して前記短絡防止層を通して第1電極に電流を通すようにすることにより、短絡発生時に第1電極と第2電極が接して過度な電流が流れることを防止することができる。すなわち、前記短絡防止層の抵抗によって短絡欠陥に応じた過度な電流が流れることを防止することができる。
【0052】
本明細書の一実施例によれば、前記補助電極の面抵抗は3Ω/□以下であってもよい。具体的には、前記補助電極の面抵抗は1Ω/□以下であってもよい。
【0053】
広い面積の第1電極および第2電極のうちいずれか1つの面抵抗が必要なレベル以上に高い場合、電極の位置別に電圧が異なり得る。これによって有機物層を間に介在する第1電極と第2電極の電位差が位置に応じて異なると、有機発光素子の輝度均一性が落ちる。したがって、必要なレベル以上に高い面抵抗を有する第1電極または第2電極の面抵抗を下げるために、補助電極を用いることができる。本明細書の前記補助電極の面抵抗は3Ω/□以下、具体的には1Ω/□以下であってもよく、前記範囲において、前記有機発光素子の輝度均一性は高く維持される。
【0054】
前記第1電極をパターン化するか、発光領域と非発光領域の厚さを異ならせることにより、本明細書の前記有機発光素子は1つの発光領域に注入される最大電流量を制御することができる。1つの発光領域に注入される最大電流量を制御することにより、短絡欠陥面積が増加するに伴う漏れ電流の量を制限できるという長所がある。したがって、短絡欠陥による有機発光素子の全体が作動しない危険を減らせることができ、短絡発生地点の発光領域だけを作動しないようにすることができる。さらに、前記短絡防止層がない場合は、前記第1電極がパターン化されていても、前記補助電極を通して短絡欠陥地点に漏れ電流が流れるようになり、有機発光素子の全体が作動しないことがある。前記作動ということは発光を意味する。
【0055】
本明細書の一実施例によれば、前記短絡防止層および前記補助電極と前記有機物層および/または前記第2電極との間に絶縁層がさらに備えられることができる。
【0056】
前記絶縁層は、パターン化された前記短絡防止層および前記補助電極を囲む形態となることができる。前記絶縁層は、コーティングまたはフォトリソグラフィ工程によって形成されることができる。前記絶縁層は、前記短絡防止層が第1電極および補助電極以外の他の層と接しないようにする役割をすることができる。また、前記絶縁層は、第1電極と第2電極との間に位置する補助電極や短絡防止層のような導電体による素子の不安定性を緩和する役割をすることもできる.すなわち、前記絶縁層は、前記補助電極および前記短絡防止層を前記有機物層および第2電極と電気的に絶縁する役割をすることができる。
【0057】
前記絶縁層により、前記補助電極は絶縁層以外の前記短絡防止層または基材にだけ接することができる。
【0058】
本明細書の一実施例によれば、前記短絡防止層は有機物層に接してもよい。
【0059】
前記短絡防止層は有機発光素子の有機物層と接することなく形成されることができ、これは、絶縁層によって有機物層と接しなくてもよい。前記短絡防止層が有機物に接しないため、前記短絡防止層の材料は幅広く選択できるという長所がある。例えば、短絡防止層上に電荷注入層が位置する場合は短絡防止層が良好な正孔注入機能を有する必要があるが、本明細書における前記短絡防止層は有機物層と接しないので前記のような制限は必要ない。また、発光領域と対応しない領域に備えられるため、光学的な透明度に関係なく材料を選択することができる。
【0060】
短絡防止層が第1電極上の全体領域に形成される場合、短絡防止層の構成物質は透明でなければならないので材料の制約がある。しかし、本明細書の前記短絡防止層は、第1電極上の全体領域に形成されるものではない、非発光領域に形成されるため、短絡防止層の材料は透明材料および不透明材料のいずれも使用できるという長所がある。
【0061】
したがって、前記短絡防止層は透明な材料を含んでもよく、不透明な材料を含んでもよい。
【0062】
本明細書の一実施例によれば、前記短絡防止層および/または前記補助電極は有機発光素子の非発光領域に位置することができる。
【0063】
本明細書の一実施例によれば、前記短絡防止層は基板上部の全体面積に形成されず、基板上部の一部面積にだけ形成されることができる。この場合、基板自体の欠陥による短絡防止機能が失われる確率が低くなる。
【0064】
基板に深刻な欠陥があり、前記欠陥部位に第1電極と短絡防止層と補助電極が形成されていると、基板の欠陥によって短絡防止層が機能を果たすことができず、電流が補助電極から第1電極に直接に流れるという問題がある。具体的には、第1電極上の全体領域に短絡防止層が形成される場合、基板表面の欠陥によって短絡防止層が正常に形成されず、短絡防止機能を円滑に行うことができない。より具体的には、有機発光素子が蒸着工程で形成される場合、基板の表面状態の影響を多く受ける。すなわち、基板上の異質物が存在する状態で第1電極、短絡防止層、有機物層および第2電極を順に蒸着すると、異質物によって第1電極と第2電極が接する領域が発生して短絡防止層が短絡防止の役割を果たすことができず、有機発光素子は作動しなくなる場合が発生する。
【0065】
したがって、本明細書の一実施例による有機発光素子は、基材面積のうち短絡防止層が占める面積を最小化して、基板の欠陥による短絡防止層の機能喪失を最小化することができる。さらに、第1電極だけが形成されている地点に基板の欠陥によって短絡が発生しても、短絡防止層が機能をして、有機発光素子の全体が発光しない場合を防止することができる。
【0066】
第1電極上の全体領域に短絡防止層が形成され、短絡防止層上の全体面積に有機物層が形成される場合、短絡防止層の材料が透明でなけれなならないという短所以外にも、短絡欠陥面積が大きくなるほど漏れ電流の大きさが増加するという問題も発生する。このような問題点は
図18のグラフに示す。
図18は、第1電極の全体領域に短絡防止層が形成される場合、短絡欠陥面積による否定的な影響を示すものである。
【0067】
具体的には、
図18は、有機発光素子の作動電圧が6Vであり、作動電流密度が2mA/cm
2であり、第1電極の大きさが10×10cm
2であり、短絡防止層の体積抵抗が300,000Ωであり、短絡防止層の厚さが100nmである時、短絡欠陥領域の直径が増加するに伴った正常素子の電流対比短絡による漏れ電流を百分率で示すものである。
図18に示すように、短絡防止層が第1電極上の全体面積に形成された場合、短絡欠陥領域の直径が大きくなるほど漏れ電流による否定的な影響が急激に大きくなることが分かる。
【0068】
本明細書の一実施例による有機発光素子によれば、前記第1電極はパターン化された2以上のセルからなり、各セルは短絡防止層を介して電気的に接続されるため、短絡の大きさに関係なく、短絡が発生するセルに接する短絡防止層が漏れ電流を効果的に遮断するという長所がある。
【0069】
また、本明細書の一実施例による有機発光素子によれば、前記第1電極はパターン化された2以上のセルからなるため、基板の欠陥に伴ったいずれか1つのセル領域に短絡が発生しても、短絡が発生していないセルは正常に発光ができるという長所がある。
【0070】
具体的には、前記第1電極がパターン化された2以上のセルからなる場合、各セル間の抵抗は70Ω以上であってもよいが、パターン化されていない場合、隣接する第1電極の抵抗は10Ω以下のレベルに過ぎない。したがって、パターン化されていない第1電極上の一部領域に短絡が発生した場合、漏れ電流が短絡発生領域に流れるようになって漏れ電流を制御することができないことがある。すなわち、本明細書の一実施例による有機発光素子の前記各セルは、短絡防止層を介して電流の供給を受けるため、短絡欠陥が発生した場合、効果的に漏れ電流を制御することができる。
【0071】
本明細書の一実施状態は、基板、前記基板上に備えられた第1電極、前記第1電極に対向して備えられた第2電極、前記第1電極と前記第2電極との間に備えられた1層以上の有機物層、前記第1電極の上面、下面および側面のうち少なくとも一面に接して備えられた短絡防止層、補助電極として、前記補助電極と前記第1電極との間には前記短絡防止層が備えられた補助電極を含み、前記有機発光素子の電流が前記補助電極、前記短絡防止層、前記第1電極、前記有機物層、前記第2電極の方向またはその逆方向に流れるように備えられた有機発光素子を提供する。
【0072】
また、本明細書の一実施状態は、基板、前記基板上に互いに離隔したセルを2以上含むパターンに形成された第1電極、前記第1電極に対向して備えられた第2電極、前記第1電極と前記第2電極との間に備えられた1層以上の有機物層、前記第1電極のパターンの各セルの少なくとも一部と接するように備えられた短絡防止層、補助電極として、前記補助電極と前記第1電極との間には前記短絡防止層が備えられた補助電極を含み、前記有機発光素子の電流が前記補助電極、前記短絡防止層、前記第1電極、前記有機物層、前記第2電極の方向またはその逆方向に流れるように備えられた有機発光素子を提供する。
【0073】
本明細書の一実施例によれば、前記短絡防止層の厚さは1nm以上10μm以下であってもよい。前記範囲内において、短絡防止層は、有機発光素子が短絡が発生していない場合に正常な作動電圧を維持できるようにする。また、短絡防止機能を行うことができ、短絡が発生した場合にも有機発光素子が正常範囲内で作動することができる。
【0074】
本明細書の一実施例によれば、前記短絡防止層の厚さ方向抵抗は70Ω以上300,000Ω以下であってもよい。
【0075】
前記抵抗範囲は、前記有機発光素子が互いに離隔した2以上のセルを含む場合、各々のセルに位置する短絡防止層の厚さ方向の抵抗範囲であることができる。
【0076】
また、本明細書の一実施例によれば、1つのセルから他の1つのセルまでの抵抗は140Ω以上600,000Ω以下であってもよい。
【0077】
前記短絡放置層の抵抗は、下記で記述する作動電圧上昇率((V
t−V
o)/V
o)および作動電流対比漏れ電流数値(I
s/I
t)の適正範囲内で求めることができる。
【0078】
本明細書の一実施例によれば、前記短絡防止層は炭素粉末、炭素被膜、導電性高分子、有機高分子、金属、金属酸化物、無機酸化物、金属硫化物、および絶縁物質からなる群から選択される1種または2種以上を含むものであってもよい。具体的には、ジルコニウム酸化物(ZrO
2)、ニクロム(nichrome)、インジウムスズ酸化物(ITO)、亜鉛硫化物(ZnS)、およびシリコン二酸化物(SiO
2)からなる群から選択される2以上の混合物を用いることができる。
【0079】
本明細書の一実施例によれば、平面形態の前記有機発光素子を数多くのパターンのセルに分離し、各セルに短絡防止層を通して電流が注入されるようにすることができる。
【0080】
本明細書において、A(cm
2)は有機発光素子における全体発光面積を意味する。また、本明細書において、V
o(V)は、短絡欠陥がない状態で、作動電流密度がI
o(mA/cm
2)である時の短絡防止層を適用していない有機発光素子の作動電圧を意味する。また、本明細書において、V
t(V)は、短絡欠陥がない状態で、作動電流密度がI
o(mA/cm
2)である時の短絡防止層を適用した有機発光素子の作動電圧を意味する。
【0081】
本明細書の一実施例による有機発光素子は、全体発光面積A(cm
2)をn
cell個に分けてパターン化された各々のセルに作った後、各々のセルに短絡防止層を直列連結し、これらの全ての組み合わせを各々電源と並列連結することができる。これに関する回路図は
図2に示す。
【0082】
図1は、短絡防止層のない有機発光素子において、短絡が発生していない場合の回路図を示すものである。
【0083】
図2は、本明細書の一実施状態の短絡防止層を備えた有機発光素子において、短絡が発生していない場合の回路図を示すものである。
【0084】
本明細書において、短絡欠陥がない状態で、有機発光素子の作動電流(I
t)(mA)は下記の式で表すことができる。
【0086】
前記I
cellは、有機発光素子が正常作動時の1つのセルに作動する電流(mA)を意味する。
【0087】
本明細書において、パターン化されたセルの総数(n
cell)は下記のように表すことができる。
【0089】
前記A
cellは、パターン化されたセルの面積を意味する。
【0090】
本明細書において、有機発光素子の全体面積に印加される抵抗(R
org)(Ω)は下記のように表すことができる。
【0092】
本明細書において、R
cell−org(Ω)は、1つのセルにおける有機物抵抗(Ω)を意味する。
【0093】
パターン化された各セルごとに短絡防止層を追加すれば、有機発光素子を作動する時に電圧が上昇する。したがって、短絡防止層を適用しても、有機発光素子が、短絡が発生していない場合に素子の効率低下が大きくないように調節することができる。素子の正常作動状態で、短絡防止層が追加されることで発生する有機発光素子の作動電圧上昇率は下記の式1のように表すことができる。
【0095】
前記式1において、前記V
t(V)は、短絡防止層が適用され、短絡欠陥のない有機発光素子の作動電圧であり、前記V
o(V)は、短絡防止層が適用されず、短絡欠陥のない有機発光素子の作動電圧である。
【0096】
前記作動電圧上昇率((V
t−V
o)/V
o)は下記の式で計算することができる。ここで、R
cell−splは1個のセルにおける短絡防止層の厚さ方向抵抗(Ω)を意味する。具体的には、1個のセルにおける短絡防止層の厚さ方向抵抗を意味することができる。
【0098】
前記作動電圧上昇率((V
t−V
o)/V
o)は下記の式によって誘導可能である。
【0100】
短絡防止層のない有機発光素子の場合、短絡発生時の正常な有機物層を通して流れる電流(mA)をI
nとし、短絡発生地点に流れる電流(mA)をI
sとし、短絡発生した地点の有機物の抵抗(Ω)をR
org−sと定義する場合、I
nおよびI
sは下記のように表すことができる。すなわち、短絡防止層のない有機発光素子に短絡が発生する場合、R
org−sの値が0近くに落ち、設定された全ての電流が短絡地点(I
s)に抜け出るようになる。したがって、正常な有機物層に電流が流れないので素子は発光しない。これに対し、
図3は、短絡防止層のない有機発光素子において、短絡が発生した場合の回路図を示すものである。
【0102】
本明細書の一実施例によれば、短絡防止層が各セルに備えられた有機発光素子の場合、I
n−cellを短絡発生時に正常な発光領域を通して流れる電流(mA)と定義する時、各並列連結された回路の電圧は同じであり、全ての並列回路の電流の和はI
t(素子の作動電流)と同じである。これは下記の式で確認することができる。
【0104】
また、漏れ電流は下記のように求めることができる。
【0106】
したがって、本明細書の前記有機発光素子において、1つの発光領域の有機物層が短絡(R
cell−s=0)になっても、前記式から分かるように、分母の値が十分に大きくなれば漏れ電流の量を大幅に減らすことができる。これに対し、
図4は、本明細書の一実施例の短絡防止層を備えた有機発光素子において、短絡が発生した場合の回路図を示すものである。
【0107】
また、素子の作動電流(I
t)対比漏れ電流(I
s)数値は下記の式2のように表すことができる。
【0109】
前記式2において、前記I
t(mA)は、短絡防止層が適用され、短絡欠陥のない同一有機物構造の有機発光素子の作動電流であり、前記I
s(mA)は、短絡防止層が適用され、短絡欠陥のある有機発光素子の欠陥領域における漏れ電流である。または、前記第1電極が互いに離隔したセルを2以上含むパターンに形成される場合、前記I
s(mA)は、短絡防止層が適用され、いずれか1つのセルにおいて、短絡欠陥のある領域における漏れ電流である。
【0110】
前記素子の作動電流(I
t)対比漏れ電流(I
s)数値は下記の式によって求めることができる。
【0112】
本明細書の一実施例によれば、前記短絡防止層は、前記有機発光素子の作動電圧上昇率((V
t−V
o)/V
o;式1)および作動電流対比漏れ電流数値(I
s/I
t;式2)が同時に0.03以下を満たす厚さ方向抵抗値を有することができる。より具体的には、前記短絡防止層は、前記作動電圧上昇率((V
t−V
o)/V
o)および作動電流対比漏れ電流数値(I
s/I
t)が同時に0.01以下を満たす厚さ方向抵抗値を有することができる。
【0113】
具体的には、本明細書の一実施例によれば、1mA/cm
2〜5mA/cm
2のいずれか1つの値の電流密度において、前記短絡防止層は、前記式1および前記式2の数値が同時に0.03以下または0.01以下を満たす厚さ方向抵抗値を有することができる。
【0114】
全ての条件が同一である場合は、パターン化されたセルの総数(n
cell)を増加させるほど、上記2つの特性値(作動電圧上昇率((V
t−V
o)/V
o)と作動電流対比漏れ電流数値(I
s/I
t))が低い値を有するようになって最高の効果を得ることができる。しかし、パターン化された発光領域の総数を大きくするためには、工程の精密度が高くなければならない難しさがあるため、現実的に適用可能なレベルでパターン化された発光領域の数を決定することができる。
【0115】
本明細書の一実現例によれば、前記短絡防止層の体積抵抗率は0.63Ωcm以上8.1×10
10Ωcm以下であってもよい。
【0116】
本明細書の一実施例によれば、前記短絡防止層の体積抵抗率(ρ
slp)(Ωcm)は下記の式によって求めることができる。
【0118】
本明細書および前記式において、A
spl(cm
2)は1つのセルに形成された補助電極から短絡防止層を通して1つのセルの第1電極まで厚さ方向に電気が流れることのできる面積を意味する。すなわち、1つの第1電極上に形成された短絡防止層の面積のうち、短絡防止層上部に形成された補助電極の面積と重なる面積を意味することができる。
【0119】
前記R
cell−splは1
つのセルにおける短絡防止
層の抵抗(Ω)を意味する。
【0120】
前記t
slp(μm)は短絡防止層の厚さを意味する。
【0121】
具体的には、A
spl(cm
2)は、短絡防止層が第1電極と補助電極との間に位置する場合、下部の第1電極と上部の補助電極に同時に重なる短絡防止層の面積を意味することができる。一例として、第1電極上に短絡防止層の全体下部面が接して形成され、前記短絡防止層の上部全体面に補助電極が接して形成された場合、A
spl(cm
2)は第1電極と重なる短絡防止層の面積となることができる。また1つの一例として、第1電極上に短絡防止層の全体下部面が接して形成され、前記短絡防止層の一部上部面に補助電極が形成された場合、A
spl(cm
2)は第1電極と補助電極が同時に重なる短絡防止層の面積となることができる。
【0122】
本明細書および前記式において、t
slp(μm)は短絡防止層の厚さを意味する。すなわち、短絡防止層が第1電極上に形成される場合、第1電極の上部面を基準に垂直方向の厚さを意味することができる。
【0123】
前記式から分かるように、1つのセルに形成された短絡防止層の体積抵抗率(ρ
slp)は、1つのセルにおける短絡防止層の厚さ方向抵抗(R
cell−spl)、1つのセルに形成された補助電極から短絡防止層を通して1つのセルの第1電極まで厚さ方向に電気が流れることのできる面積(A
spl)および短絡防止層の厚さ(t
slp)によって決定されることができる。
【0124】
本明細書の一実施例によれば、前記短絡防止層の体積抵抗率は0.63Ωcm以上8.1×10
10Ωcm以下であってもよい。前記範囲内において、短絡防止層は、有機発光素子が短絡が発生していない場合に正常な作動電圧を維持できるようにする。また、短絡防止機能を行うことができ、短絡が発生した場合にも有機発光素子が正常範囲内で作動することができる。前記体積抵抗率は下記のように求めることができる。但し、本明細書の一実施例による前記体積抵抗率の範囲は、短絡防止機能を行うために必要となる前記短絡防止層の抵抗が前記短絡防止層の体積抵抗によってのみ決定される場合の範囲であることができる。したがって、本明細書の一実施例によれば、前記短絡防止層と前記第1電極、または前記短絡防止層と前記補助電極との間の接触抵抗が無視できないほど大きい場合、前記体積抵抗率の範囲は前記数値より低くなり得る。
【0125】
本明細書の一実施例によれば、前記短絡防止層の厚さ方向抵抗の範囲は140Ω以上300,000Ω以下であり、前記短絡防止層の厚さは1nm以上10μm以下であり、1つのセルの面積は300×300μm
2〜3×3mm
2である場合、前記1つのセルに形成された補助電極から短絡防止層を通して1つのセルの第1電極まで厚さ方向に電気が流れることのできる面積(A
spl)は1つのセル面積の1%〜30%レベルで決定されることができる。したがって、前記1つのセルに形成された補助電極から短絡防止層を通して1つのセルの第1電極まで厚さ方向に電気が流れることのできる面積(A
spl)は9×10
−6cm
2(300μm×300μm×0.01)〜2.7×10
−2cm
2(0.3cm×0.3cm×0.3)となることができる。この場合、前記短絡防止層の体積抵抗率は下記の式のように求めることができる。
【0127】
本明細書の一実施例によれば、前記補助電極は金属材質からなることができる。すなわち、前記補助電極は金属補助電極であってもよい。
【0128】
前記補助電極は一般的に全ての金属を用いることができる。具体的には、伝導度の良いアルミニウム、銅および/または銀を含むことができる。前記補助電極は、透明電極との付着力およびフォト工程における安定性のためにアルミニウムを用いる場合、モリブデン/アルミニウム/モリブデン層を用いることもできる。
【0129】
本明細書の一実施例によれば、前記第1電極は透明電極であってもよい。
【0130】
前記第1電極が透明電極である場合、前記第1電極は酸化スズインジウム(ITO)または酸化亜鉛インジウム(IZO)などのような伝導性酸化物であってもよい。さらに、前記第1電極は半透明電極であってもよい。前記第1電極が半透明電極である場合、Ag、Au、Mg、Caまたはこれらの合金のような半透明金属で製造されることができる。半透明金属が第1電極として用いられる場合、前記有機発光素子は微細空洞構造を有してもよい。
【0131】
本明細書の一実施例によれば、前記有機物層は少なくとも1層の発光層を含む。また、本明細書の一実施例によれば、前記有機物層は少なくとも1層以上の発光層を含み、正孔注入層、正孔輸送層、正孔遮断層、電荷発生層、電子遮断層、電子輸送層、および電子注入層からなる群から選択される1種または2種以上をさらに含むことができる。
【0132】
前記電荷発生層(Charge Generating layer)は、電圧を印加すれば正孔と電子が発生する層をいう。
【0133】
前記基板は、透明性、表面平滑性、取り扱い容易性および防水性に優れた基板を用いることができる。具体的には、ガラス基板、薄膜ガラス基板または透明プラスチック基板を用いることができる。前記プラスチック基板は、PET(polyethylene terephthalate)、PEN(Polyethylene naphthalate)、PEEK(Polyether ether ketone)およびPI(Polyimide)などのフィルムが単層または複層の形態で含まれることができる。また、前記基板は基板そのものに光散乱機能が含まれているものであってもよい。但し、前記基板はこれに限定されず、有機発光素子に通常に用いられる基板を用いることができる。
【0134】
本明細書の一実施例によれば、前記第1電極はアノードであり、前記第2電極はカソードであってもよい。また、前記第1電極はカソードであり、前記第2電極はアノードであってもよい。
【0135】
前記アノードとしては、通常、有機物層への正孔注入が円滑になるように仕事関数の大きい物質が好ましい。本発明に用いることができるアノード物質の具体的な例としてはバナジウム、クロム、銅、亜鉛、金のような金属またはこれらの合金;亜鉛酸化物、インジウム酸化物、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)のような金属酸化物;ZnO:AlまたはSnO
2:Sbのような金属と酸化物の組み合わせ;ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ[3,4−(エチレン−1,2−ジオキシ)チオフェン](PEDOT)、ポリピロールおよびポリアニリンのような導電性高分子などが挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
【0136】
前記アノード材料はアノードにのみ限定されるものではなく、カソードの材料として用いられることができる。
【0137】
前記カソードとしては、通常、有機物層への電子注入が容易になるように仕事関数の小さい物質であることが好ましい。カソード物質の具体的な例としてはマグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタニウム、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、アルミニウム、銀、スズおよび鉛のような金属またはこれらの合金;およびLiF/AlまたはLiO
2/Alのような多層構造の物質などが挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
【0138】
前記カソードの材料はカソードにのみ限定されるものではなく、アノードの材料として用いられることができる。
【0139】
本明細書による前記正孔輸送層物質としては、アノードや正孔注入層から正孔の輸送を受けて発光層に移せる物質として、正孔に対する移動性の大きい物質が好適である。具体的な例としてはアリールアミン系の有機物、導電性高分子、および共役部分と非共役部分が共に存在するブロック共重合体などが挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
【0140】
本明細書による前記発光層物質としては、正孔輸送層と電子輸送層から正孔と電子の輸送を各々受けて結合させることによって可視光線領域の光を出せる物質として、蛍光や燐光に対する量子効率の良い物質が好ましい。具体的な例としては8−ヒドロキシ−キノリンアルミニウム錯体(Alq
3);カルバゾール系化合物;二量体化スチリル(dimerized styryl)化合物;BAlq;10−ヒドロキシベンゾキノリン−金属化合物;ベンゾオキサゾール、ベンズチアゾールおよびベンズイミダゾール系の化合物;ポリ(p−フェニレンビニレン)(PPV)系の高分子;スピロ(spiro)化合物;ポリフルオレン;およびルブレンなどが挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
【0141】
本明細書による前記電子輸送層物質としては、カソードから電子の注入を円滑に受けて発光層に移せる物質として、電子に対する移動性の大きい物質が好適である。具体的な例としては8−ヒドロキシキノリンのAl錯体;Alq
3を含む錯体;有機ラジカル化合物;およびヒドロキシフラボン−金属錯体などが挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
【0142】
本明細書の一実施例によれば、前記有機発光素子は封止層で密閉していてもよい。
【0143】
前記封止層は透明な樹脂層で形成されることができる。前記封止層は前記有機発光素子を酸素および汚染物質から保護する役割をし、前記有機発光素子の発光を阻害しないように透明な材質であることができる。前記透明は光を60%以上透過することを意味する。具体的には、光を75%以上透過することを意味する。
【0144】
図5は、本明細書の一実施例のうちの1つの有機発光素子を示すものである。
図5に示すように、本明細書の有機発光素子は、一般的な有機発光素子のように第1電極と第2電極との間に有機物層が位置することができる。また、補助電極および短絡防止層は有機物層と直接には接しない。
【0145】
図5は、本明細書の一実施例のうちの1つの有機発光素子を示すものである。
図5に示すように、本明細書の有機発光素子は、一般的な有機発光素子のように第1電極と第2電極との間に有機物層が位置することができる。また、補助電極および短絡防止層は有機物層と直接には接しない。
【0146】
図6は、本明細書の一実施例のうちの1つの有機発光素子の断面図などを示すものである。
【0147】
本明細書の一実施例によれば、前記有機発光素子は色温度2,000K以上12,000K以下の白色光を発光することができる。
【0148】
本明細書の一実施例によれば、前記有機発光素子は光散乱層を含むことができる。
【0149】
具体的には、本明細書の一実施例によれば、前記第1電極の有機物層が備えられる面と対向する面に備えられた基板と前記第1電極との間に光散乱層をさらに含むことができる。本明細書の一実施例によれば、前記光散乱層は平坦層を含むことができる。本明細書の一実施状態によれば、前記平坦層は前記第1電極と前記光散乱層との間に備えられることができる。
【0150】
または、本明細書の一実施例によれば、前記基板の第1電極が備えられた面に対向する面に光散乱層をさらに含むことができる。
【0151】
本明細書の一実施例によれば、前記光散乱層は、光散乱を誘導して前記有機発光素子の光散乱効率を向上できる構造であれば、特に制限されない。具体的には、本明細書の一実施例によれば、前記光散乱層は、バインダー内に散乱粒子が分散した構造、凹凸を有したフィルム、および/またはヘイズ(hazeness)を有するフィルムであってもよい。
【0152】
本明細書の一実施例によれば、前記光散乱層は基板上にスピンコーティング、バーコーティング、スリットコーティングなどの方法によって直接形成されるか、フィルム形態に製作して付着する方式によって形成されることができる。
【0153】
本明細書の一実施例によれば、前記有機発光素子はフレキシブル(flexible)有機発光素子であってもよい。この場合、前記基板はフレキシブル材料を含むことができる。具体的には、前記基板は曲げられる薄膜形態のガラス、プラスチック基板またはフィルム形態の基板であってもよい。
【0154】
前記プラスチック基板の材料は特に限定されないが、一般的にPET(polyethylene terephthalate)、PEN(Polyethylene naphthalate)、PEEK(Polyether ether ketone)およびPI(Polyimide)などのフィルムを単層または複層の形態で含むものであってもよい。
【0155】
本明細書は前記有機発光素子を含むディスプレイ装置を提供する。前記ディスプレイ装置において、前記有機発光素子は画素またはバックライトの役割をすることができる。その他、ディスプレイ装置の構成は当技術分野で周知のものが適用されることができる。
【0156】
本明細書は前記有機発光素子を含む照明装置を提供する。前記照明装置において、前記有機発光素子は発光部の役割をする。その他、照明装置に必要な構成は当技術分野で周知のものが適用されることができる。
【0157】
本明細書の一実施状態は前記有機発光素子の製造方法を提供する。具体的には、基板を準備するステップ、前記基板上に第1電極を形成するステップ、前記第1電極の少なくとも一部と接して備えられるように短絡防止層を形成するステップ、前記第1電極との間に前記短絡防止層を介在して備えられるように補助電極層を形成するステップ、前記第1電極上に1以上の有機物層を形成するステップ、および前記有機物層上に第2電極を形成するステップを含む有機発光素子の製造方法を提供する。
【0158】
また、本明細書の一実施例によれば、前記有機発光素子の製造方法は、前記基板上に第1電極を形成するステップ、前記第1電極の少なくとも一部と接して備えられるように短絡防止層を形成するステップ、前記短絡防止層上に補助電極層を形成するステップ、前記第1電極上に1以上の有機物層を形成するステップ、および前記有機物層上に第2電極を形成するステップを含むことができる。
【0159】
また、本明細書の一実施例によれば、前記有機発光素子の製造方法は、前記基板上に補助電極を形成するステップ、前記補助電極上に短絡防止層を形成するステップ、第1電極を前記短絡防止層の少なくとも一部と接して備えられるように形成するステップ、前記第1電極上に1以上の有機物層を形成するステップ、および前記有機物層上に第2電極を形成するステップを含むことができる。
【0160】
なお、本明細書の一実施例によれば、前記有機発光素子の製造方法は、前記基板上に短絡防止層を形成するステップ、前記短絡防止層上に補助電極を形成するステップ、第1電極を前記短絡防止層の少なくとも一部と接して備えられるように形成するステップ、前記第1電極上に1以上の有機物層を形成するステップ、および前記有機物層上に第2電極を形成するステップを含むことができる。
【0161】
本明細書の一実施例によれば、前記短絡防止層を形成するステップは前記短絡防止層が基板上に形成されるステップであってもよい。または、前記短絡防止層が第1電極上に形成されるステップであってもよい。または、前記短絡防止層の一部は前記基板上に形成され、残りの一部は前記第1電極上に形成されるステップであってもよい。
【0162】
本明細書の一実施例によれば、前記短絡防止層が前記基板上に形成された後に前記第1電極が形成されることができる。
【0163】
本明細書の一実施例によれば、前記第1電極が前記基板上に形成された後に前記短絡防止層が形成されることができる。
【0164】
本明細書の一実施例によれば、前記有機物層は前記基板上に形成されることができる。または、前記有機物層は、前記基板、前記第1電極、前記短絡防止層および前記補助電極が形成された後に、これを覆う形態に形成されることができる。
【0165】
本明細書の一実施例によれば、前記第1電極を形成するステップは第1電極をパターニングするステップを含むことができる。
図7は、前記パターニングステップを経た後の第1電極を示す。
【0166】
本明細書の一実施例によれば、前記有機発光素子の製造方法において、前記短絡防止層を形成するステップおよび前記補助電極層を形成するステップは、前記短絡防止層を全面層として形成するステップ、前記補助電極層を全面層として形成するステップ、および前記全面層として形成された短絡防止層および前記補助電極層を同時にパターニングするステップを含むことができる。
図8は、第1電極上に短絡防止層および金属電極層を形成した後、これをパターニングした後を示すものである。
【0167】
本明細書のパターニングされた前記短絡防止層および前記補助電極は様々なデザインで形成されることができる。具体的には、1つのセルにおいて、短絡防止層上に補助電極が形成されたパターンが第1電極の1以上の隅に接することができる。または、短絡防止層上に補助電極が形成されたパターンが1つのセルを貫通して第1電極に接することもできる。これに関する具体的な例示は
図16に示す。さらに、
図17には、基板上に備えられたパターニングされた第1電極のいずれか1つのセルに備えられた短絡防止層および補助電極の断面を例示する。
【0168】
本明細書の一実施例によれば、前記短絡防止層および補助電極上に絶縁層を形成するステップをさらに含むことができる。
図9は、前記絶縁層を形成した後を示すものである。
【0169】
本明細書の一実施例によれば、前記第2電極を形成した後に封止するステップをさらに含むことができる。
【0170】
[実施例]
前記有機発光素子の短絡防止層の厚さ方向の抵抗範囲について下記の実施例で具体的に説明する。但し、下記の実施例は本明細書の内容を例示するためのものであって、本明細書の範囲がこれらによって限定されるものではない。
【0171】
[実施例1]短絡防止層の厚さ方向の抵抗範囲
有機発光素子の発光領域(A)を100cm
2とし、セルの1辺の長さ(L
cell)を900μmとし、n
cellは約1.2E+04個になるように有機発光素子を製作した。この時の素子作動電圧(V
o)は6Vであり、素子作動電流密度(I
o)は3mA/cm
2であった。この場合、1個のセルにおける短絡防止層の厚さ方向抵抗(R
cell−spl)に応じた作動電圧上昇率((V
t−V
o)/V
o)および作動電流対比漏れ電流の数値(I
s/I
t)は下記の表1の通りである。また、これに対するグラフは
図10に示す。
【0172】
本明細書において、電圧上昇率((V
t−V
o)/V
o)および作動電流対比漏れ電流の数値(I
s/I
t)を%で示す場合、電圧上昇率((V
t−V
o)/V
o)および作動電流対比漏れ電流の数値(I
s/I
t)に100を乗算した値を意味する。
【0174】
[実施例2]短絡防止層の厚さ方向の抵抗範囲
有機発光素子の発光領域(A)を900cm
2とし、セルの1辺の長さ(L
cell)を900μmとし、n
cellは約1.1E+05個になるように有機発光素子を製作した。この時の素子作動電圧(V
o)は6Vであり、素子作動電流密度(I
o)は3mA/cm
2であった。この場合、1個のセルにおける短絡防止層の厚さ方向抵抗(R
cell−spl)に応じた作動電圧上昇率((V
t−V
o)/V
o)および作動電流対比漏れ電流の数値(I
s/I
t)は下記の表2の通りである。また、これに対するグラフは
図11に示す。
【0176】
[実施例3]短絡防止層の厚さ方向の抵抗範囲
有機発光素子の発光領域(A)を100cm
2とし、セルの1辺の長さ(L
cell)を900μmとし、n
cellは約1.2E+04個になるように有機発光素子を製作した。この時の素子作動電圧(V
o)は6Vであり、素子作動電流密度(I
o)は6mA/cm
2であった。この場合、1個のセルにおける短絡防止層の厚さ方向抵抗(R
cell−spl)に応じた作動電圧上昇率((V
t−V
o)/V
o)および作動電流対比漏れ電流の数値(I
s/I
t)は下記の表3の通りである。また、これに対するグラフは
図12に示す。
【0178】
[実施例4]短絡防止層の厚さ方向の抵抗範囲
有機発光素子の発光領域(A)を100cm
2とし、セルの1辺の長さ(L
cell)を450μmとし、n
cellは約4.9E+04個になるように有機発光素子を製作した。この時の素子作動電圧(V
o)は6Vであり、素子作動電流密度(I
o)は3mA/cm
2であった。この場合、1個のセルにおける短絡防止層の厚さ方向抵抗(R
cell−spl)に応じた作動電圧上昇率((V
t−V
o)/V
o)および作動電流対比漏れ電流の数値(I
s/I
t)は下記の表4の通りである。また、これに対するグラフは
図13に示す。
【0180】
[実施例5]短絡防止層の厚さ方向の抵抗範囲
有機発光素子の発光領域(A)を100cm
2とし、セルの1辺の長さ(L
cell)を900μmとし、n
cellは約1.2E+04個になるように有機発光素子を製作した。この時の素子作動電圧(V
o)は9Vであり、素子作動電流密度(I
o)は3mA/cm
2であった。この場合、1個のセルにおける短絡防止層の厚さ方向抵抗(R
cell−spl)に応じた作動電圧上昇率((V
t−V
o)/V
o)および作動電流対比漏れ電流の数値(I
s/I
t)は下記の表5の通りである。また、これに対するグラフは
図14に示す。
【0182】
[実施例6]短絡防止層の厚さ方向抵抗範囲
有機発光素子の発光領域(A)を900cm
2とし、セルの1辺の長さ(L
cell)を300μmとし、n
cellは約1.0E+06個になるように有機発光素子を製作した。この時の素子作動電圧(V
o)は9Vであり、素子作動電流密度(I
o)は1mA/cm
2であった。この場合、1個のセルにおける短絡防止層の厚さ方向抵抗(R
cell−spl)に応じた作動電圧上昇率((V
t−V
o)/V
o)および作動電流対比漏れ電流の数値(I
s/I
t)は下記の表6の通りである。また、これに対するグラフは
図15に示す。
【0184】
有機発光素子に用いられることのできるレベルで必要となる短絡防止層の厚さ方向の抵抗範囲は、前記実施例1〜6およびこれによって予想できるように70Ω以上300,000Ω以下のレベルとして確認することができる。