(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ポリマー組成物(C)が、前記(PAEK)ポリマーとは異なる、少なくとも1つの他の熱可塑性ポリマー(ポリマーT)をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の携帯用電子機器。
前記ポリマー組成物(C)が、前記(PAEK)ポリマー以外の1つもしくは複数の成分[成分(I)]をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の携帯用電子機器。
【発明を実施するための形態】
【0012】
用語「携帯用電子機器」は、便利に運ばれ、様々な場所で用いられるように設計されている電子機器を意味することを意図する。携帯用電子機器の代表的な例としては、携帯電子電話、携帯端末、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、ラジオ、カメラおよびカメラ付属品、時計、計算機、音楽プレーヤー、全地球測位システム受信機、携帯ゲーム機、ハードドライブおよび他の電子記憶装置などが挙げられる。
【0013】
好ましい携帯用電子機器は、ラップトップコンピュータおよび携帯用電子電話である。
【0014】
本発明による携帯用電子機器の少なくとも1つの部品は、取り付け部品、スナップ式部品、相互可動式部品、機能素子、作動要素、トラッキング素子、調整要素、キャリア要素、フレーム要素、フィルム、特にスピーカーフィルム、スイッチ、コネクタ、ケーブル、ハウジング、および例えばスピーカー部品などの、携帯用電子機器で使用されるようなハウジング以外の任意の他の構造部品などの物品の大きいリストから選択されてもよい。前記携帯用電子機器部品はとりわけ、射出成形、押出または他の造形技術によって製造することができる。
【0015】
特に、ポリマー組成物(C)は、携帯用電子機器のケーブルシースおよびハウジング部品の製造に非常に好適である。
【0016】
それ故、本発明による携帯用電子機器の少なくとも1つの部品は有利には、携帯用電子機器ハウジングまたは携帯用電子機器ケーブルシースである。
【0017】
ケーブルはとりわけ、上にリストされたような、携帯用電子電話の異なる部品または上にリストされたような、ラップトップコンピュータの異なる部品を電気的に接続するワイヤであり得る。
【0018】
「携帯用電子機器ケーブルシース」とは、上に記載されたような、ケーブル上の管形状の保護カバーの1つもしくは複数を意味する。
【0019】
「携帯用電子機器ハウジング」とは、携帯用電子機器の裏面カバー、前面カバー、アンテナハウジング、フレームおよび/またはバックボーンの1つもしくは複数を意味する。ハウジングは、単一の物品であっても、2つ以上の構成要素を含んでいてもよい。「バックボーン」とは、電子機器、マイクロプロセッサ、スクリーン、キーボードおよびキーパッド、アンテナ、電池ソケットなどの、本機器の他の構成要素がその上へ取りつけられる構造構成要素を意味する。バックボーンは、携帯用電子機器の外部からは見えないかまたは部分的に見えるにすぎない内部構成要素であってもよい。ハウジングは、衝撃と環境試剤(液体、ちりなど)による汚染および/または損傷とからの保護を本機器の内部構成要素に提供し得る。カバーなどのハウジング構成要素はまた、スクリーンおよび/またはアンテナなどの本機器の外部に露出しているある種の構成要素の衝撃に対する実質的なまたは主な構造支持と衝撃からの保護とを提供し得る。
【0020】
好ましい実施形態においては、携帯用電子機器ハウジングは、携帯電話ハウジング、タブレットハウジング、ラップトップコンピュータハウジングおよびタブレットコンピュ−タハウジングからなる群から選択される。優れた結果は、本発明による携帯用電子機器の部品が携帯電話ハウジングおよびラップトップコンピュータハウジングである場合に得られた。
【0021】
本発明による携帯用電子機器の少なくとも1つの部品は有利には、平均して2.0mm以下、好ましくは1.6mm以下、より好ましくは1.2mm以下、さらにより好ましくは0.8mm以下である前記部品の平坦部分の厚さで特徴づけられる。用語「平均して」は本明細書では、その平坦な部分の少なくとも1つの少なくとも3点でのその厚さの測定に基づく部品の平均厚さを意味することを意図する。
【0022】
ポリアリールエーテルケトンポリマー
本発明の文脈内で、言及「少なくとも1つのポリアリールエーテルケトンポリマー[(PAEK)ポリマー]」は、1つもしくは2つ以上の(PAEK)ポリマーを意味することを意図する。(PAEK)ポリマーの混合物を本発明の目的のために有利に使用することができる。
【0023】
本文の残りにおいて、表現「(PAEK)ポリマー」は、本発明の目的のためには、複数形および単数形での両方で、すなわち、本発明の組成物が1つもしくは2つ以上の(PAEK)ポリマーを含んでもよいと理解される。
【0024】
本発明の目的のためには、用語「ポリアリールエーテルケトン(PAEK)」は、繰り返し単位を含み、前記繰り返し単位の50モル%超が、Ar−C(O)−Ar’基を含む繰り返し単位(R
PAEK)であり、互いに等しいかもしくは異なる、ArおよびAr’が芳香族基である、任意のポリマーを意味することを意図する。繰り返し単位(R
PAEK)は一般に、以下の式(J−A)〜式(J−O):
(式中:
− 互いに等しいかもしくは異なる、R’のそれぞれは、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリまたはアルカリ土類金属スルホネート、アルキルスルホネート、アルカリまたはアルカリ土類金属ホスホネート、アルキルホスホネート、アミンおよび第四級アンモニウムからなる群から選択され;
− j’は、ゼロであるか、または0〜4の整数である)
からなる群から選択される。
【0025】
繰り返し単位(R
PAEK)において、それぞれのフェニレン部分は独立して、繰り返し単位においてR’とは異なる他の部分に対して1,2−、1,4−または1,3−結合を有していてもよい。好ましくは、前記フェニレン部分は、1,3−または1,4−結合を有し、より好ましくは、それらは、1,4−結合を有する。
【0026】
さらに、繰り返し単位(R
PAEK)において、J’は、出現ごとにゼロであり、すなわち、フェニレン部分は、ポリマーの主鎖に結合を可能にするもの以外の置換基をまったく持たない。
【0027】
好ましい繰り返し単位(R
PAEK)はしたがって、以下の式(J’−A)〜(J’−O):
のものから選択される。
【0028】
上に詳述されたような、(PAEK)ポリマーにおいて、繰り返し単位の好ましくは60%超、より好ましくは80%超、さらにより好ましくは90モル%超が、上に詳述されたような、繰り返し単位(R
PAEK)である。
【0029】
さらに、(PAEK)ポリマーの実質的にすべての繰り返し単位は、上に詳述されたような、繰り返し単位(R
PAEK)であることが一般に好ましく;鎖欠陥、または非常に少量の他の単位が存在してもよく、これらの後者は(R
PAEK)の特性を実質的に変性しないと理解される。
【0030】
(PAEK)ポリマーはとりわけ、ホモポリマー、ランダム、交互またはブロックコポリマーであってもよい。(PAEK)ポリマーがコポリマーである場合、それはとりわけ、(i)式(J−A)〜(J−O)から選択される少なくとも2つの異なる式の繰り返し単位(R
PAEK)、または(ii)1つもしくは複数の式(J−A)〜(J−O)の繰り返し単位(R
PAEK)および繰り返し単位(R
PAEK)とは異なる繰り返し単位(R*
PAEK)を含有してもよい。
【0031】
後で詳述されるように、(PAEK)ポリマーは、ポリエーテルエーテルケトンポリマー[本明細書では以下、(PEEK)ポリマー]であってもよい。あるいは、(PAEK)ポリマーは、ポリエーテルケトンケトンポリマー[本明細書では以下、(PEKK)ポリマー]、ポリエーテルケトンポリマー[本明細書では以下、(PEK)ポリマー]、ポリエーテルエーテルケトンケトンポリマー[本明細書では以下、(PEEKK)ポリマー]、またはポリエーテルケトンエーテルケトンケトンポリマー[本明細書では以下、(PEKEKK)ポリマー]であってもよい。
【0032】
(PAEK)ポリマーはまた、上に詳述されたような、(PEKK)ポリマー、(PEEK)ポリマー、(PEK)ポリマーおよび(PEKEKK)ポリマーからなる群から選択される少なくとも2つの異なる(PAEK)ポリマーから構成されるブレンドであってもよい。
【0033】
本発明の目的のためには、用語「(PEEK)ポリマー」は、その繰り返し単位の50モル%超が式J’−Aの繰り返し単位(R
PAEK)である任意のポリマーを意味することを意図する。
【0034】
(PEEK)ポリマーの繰り返し単位の好ましくは75モル%超、好ましくは85モル%超、好ましくは95モル%超、好ましくは99モル%超が、式J’−Aの繰り返し単位である。最も好ましくは(PEEK)ポリマーの繰り返し単位はすべて、式J’−Aの繰り返し単位である。
【0035】
本発明の目的のためには、用語「(PEKK)ポリマー」は、その繰り返し単位の50モル%超が式J’−Bの繰り返し単位(R
PAEK)である任意のポリマーを意味することを意図する。
【0036】
(PEKK)ポリマーの繰り返し単位の好ましくは75モル%超、好ましくは85モル%超、好ましくは95モル%超、好ましくは99モル%超が、式J’−Bの繰り返し単位である。最も好ましくは(PEKK)ポリマーの繰り返し単位はすべて、式J’−Bの繰り返し単位である。
【0037】
本発明の目的のためには、用語「(PEK)ポリマー」は、その繰り返し単位の50モル%超が式J’−Cの繰り返し単位(R
PAEK)である任意のポリマーを意味することを意図する。
【0038】
(PEK)ポリマーの繰り返し単位の好ましくは75モル%超、好ましくは85モル%超、好ましくは95モル%超、好ましくは99モル%超が式J’−Cの繰り返し単位である。最も好ましくは(PEK)ポリマーの繰り返し単位はすべて、式J’−Cの繰り返し単位である。
【0039】
本発明の目的のためには、用語「(PEEKK)ポリマー」は、その繰り返し単位の50モル%超が式J’−Mの繰り返し単位(R
PAEK)である任意のポリマーを意味することを意図する。
【0040】
(PEEKK)ポリマーの繰り返し単位の好ましくは75モル%超、好ましくは85モル%超、好ましくは95モル%超、好ましくは99モル%超が式J’−Mの繰り返し単位である。最も好ましくは(PEEKK)ポリマーの繰り返し単位はすべて、式J’−Mの繰り返し単位である。
【0041】
本発明の目的のためには、用語「(PEKEKK)ポリマー」は、その繰り返し単位の50モル%超が式J’−Lの繰り返し単位(R
PAEK)である任意のポリマーを意味することを意図する。
【0042】
(PEKEKK)ポリマーの繰り返し単位の好ましくは75モル%超、好ましくは85モル%超、好ましくは95モル%超、好ましくは99モル%超が式J’−Lの繰り返し単位である。最も好ましくは(PEKEKK)ポリマーの繰り返し単位はすべて、式J’−Lの繰り返し単位である。
【0043】
優れた結果は、(PAEK)ポリマーが(PEEK)ホモポリマー、すなわち、(PEEK)ポリマーの繰り返し単位が実質的にすべて、式J’−Aの繰り返し単位であるポリマーである場合に得られ、ここで、鎖欠陥、または非常に少量の他の単位が存在してもよく、これらの後者は(PEEK)ホモポリマーの特性を実質的に変性しないと理解される。
【0044】
本発明に好適な商業的に入手可能なポリアリールエーテルケトン(PAEK)樹脂の非限定的な例としては、Solvay Specialty Polymers USA,LLCから商業的に入手可能なKETASPIRE(登録商標)ポリエーテルエーテルケトンが挙げられる。
【0045】
(PAEK)ポリマーは、0.1g/100mlの(PAEK)ポリマー濃度で95〜98%硫酸(d=1.84g/ml)中で測定されるように、少なくとも0.50dl/g、好ましくは少なくとも0.60dl/g、より好ましくは少なくとも0.70dl/gの固有粘度(IV)を有することができる。
【0046】
(PAEK)ポリマーのIVはとりわけ、0.1g/100mlの(PAEK)ポリマー濃度で95〜98%硫酸(d=1.84g/ml)中で測定されるように、1.40dl/g以下、好ましくは1.30dl/g以下、より好ましくは1.20dl/g以下、最も好ましくは1.15dl/g以下であり得る。
【0047】
良好な結果は、0.1g/100mlの(PAEK)ポリマー濃度で95〜98%硫酸(d=1.84g/ml)中で測定されるように、0.70dl/g〜1.15dl/gのIVを有する(PAEK)ポリマーで得られた。
【0048】
測定は一般に、No 50 Cannon−Fleske粘度計を用いて行われ;IVは、25℃で、溶解後4時間未満の時間内に測定される。
【0049】
(PAEK)ポリマーは、ASTM D3835に従って毛管レオメーターを用いて測定されるように、400℃および1000s
−1のせん断速度で、有利には少なくとも0.05kPa.s、好ましくは少なくとも0.08kPa.s、より好ましくは少なくとも0.1kPa.s、さらにより好ましくは少なくとも0.12kPa.sの溶融粘度を有する。
【0050】
毛管レオメーターとして、KayenessGalaxy V Rheometer(Model 8052 DM)を用いることができる。
【0051】
PAEKポリマーは、ASTM D3835に従って毛管レオメーターを用いて測定されるように、400℃および1000s
−1のせん断速度で、有利には最大でも1.00kPa.s、好ましくは最大でも0.80kPa.s、より好ましくは最大でも0.70kPa.s、さらにより好ましくは最大でも0.60kPa.sの溶融粘度を有する。
【0052】
(PAEK)ポリマーは、ポリ(アリールエーテルケトン)の製造のための当該技術分野で公知の任意の方法によって製造することができる。
【0053】
窒化物(NI)
本発明の文脈内で、言及「少なくとも1つの窒化物(NI)」は、1つもしくは2つ以上の窒化物(NI)を意味することを意図する。窒化物(NI)の混合物は、本発明の目的のために有利に使用することができる。
【0054】
本発明の目的のためには、「元素」は、元素周期表からの元素を意味することを意図する。
【0055】
本発明の目的のために考慮に入れられるべきである元素の電気陰性度の値は、1987年2月にベルギーで印刷された、J.Breysem編の元素周期表、c/o VEL s.a.,「Produits,appareillage et fournitures pour le laboratoire」に報告されたものである。
【0056】
1.3〜2.5の電気陰性度(ε)を有する元素の窒化物(NI)の非限定的な例は、「Handbook of Chemistry and Physics」、CRC Press、第64版、B−65〜B−158頁にリストされている。カッコ内の記号は、CRC Handbookによって該当する窒化物に属するとされるものであり、一方、εは、窒化物が誘導される元素の電気陰性度を意味する。次に、本発明の目的に好適な1.3〜2.5の電気陰性度(ε)を有する元素の窒化物(NI)は、とりわけ、窒化アルミニウム(AlN、a45、ε=1.5)、窒化アンチモン(SbN、a271、ε=1.9)、窒化ベリリウム(Be
3N
2、b123、ε=1.5)、窒化ホウ素(BN、b203、ε=2.0)、窒化クロム(CrN、c406、ε=1.6)、窒化銅(Cu
3N、c615、ε=1.9)、窒化ガリウム(GaN、g41、ε=1.6)、二窒化三ゲルマニウム(Ge
3N
2、g82、ε=1.8)、四窒化三ゲルマニウム(Ge
3N
4、g83、ε=1.8)、窒化ハフニウム(HfN、h7、ε=1.3)、Fe
4N(i151、ε=1.8)およびFe
2NまたはFe
4N
2(i152、ε=1.8)のような窒化鉄、窒化水銀(Hg
3N
2、m221、ε=1.9)、窒化ニオブ(n109、ε=1.6)、窒化ケイ素(Si
3N
4、s109、ε=1.8)、窒化タンタル(TaN、t7、ε=1.5)、窒化チタン(Ti
3N
4、t249、ε=1.5)、二窒化タングステン(WN
2、t278、ε=1.7)、窒化バナジウム(VN、v15、ε=1.6)、窒化亜鉛(Zn
3N
2、z50、ε=1.6)および窒化ジルコニウム(ZrN、z105、ε=1.4)である。
【0057】
窒化物(NI)は、好ましくは少なくとも1.6、より好ましくは少なくとも1.8の電気陰性度を有する元素の窒化物である。さらに、窒化物(NI)は、好ましくは最大でも2.2の電気陰性度を有する元素の窒化物である。
【0058】
さらに、窒化物(NI)は好ましくは、元素周期表のIIIa、IVa、IVb、Va、Vb、VIa、VIb、VIIbおよびVIII族から選択される元素の窒化物から、そしてより好ましくは元素周期表のIIIa族の元素の窒化物から選択される。
【0059】
最も好ましい窒化物(NI)は窒化ホウ素である。
【0060】
本出願人は意外にも、上に記載されたような、窒化物(NI)の存在が、無充填のPAEKポリマーの延性を維持しながら、組成物(C)の剛性を高めるのに有効であり、それによって、本発明の前記組成物(C)に、それらが携帯用電子機器の部品に含まれるものとして非常に有用であることを可能にする秀でた特性を与えることを見出した。
【0061】
本出願人は、窒化物(NI)の平均粒度が、特に組成物(C)の剛性および引張破断点伸びなどの機械的特性の改善におよび美学態様の改善に、とりわけ組成物(C)の色の改善に役割を果たし得ることを見いだした。
【0062】
窒化物(NI)の平均粒度は有利には、30μm以下、好ましくは20μm以下、より好ましくは18μm以下、より好ましくは10μm以下である。
【0063】
窒化物(NI)の平均粒度は好ましくは、0.05μmに等しいかもしくは少なくともこの値、0.1μmに等しいかもしくは少なくともこの値、より好ましくは0.2μmに等しいかもしくは少なくともこの値、1μmに等しいかもしくは少なくともこの値である。
【0064】
窒化物(NI)の平均粒度は好ましくは1μm〜20μm、より好ましくは2μm〜18μm、より好ましくは2μm〜10μmである。
【0065】
約2.5μmの窒化物(NI)の平均粒度が、特に良好な結果を与えた。
【0066】
窒化物(NI)の平均粒度は、例えば、会社Malvern製のそれぞれの装置(Mastersizer Microもしくは3000)を用いる光散乱法(動的もしくはレーザー)によってかまたはDIN 53196に従ってふるい分析を用いて測定される。
【0067】
組成物(C)
本発明の組成物(C)は有利には、組成物(C)の総重量を基準として少なくとも1.0重量%、好ましくは少なくとも1.10重量%、より好ましくは少なくとも2.0重量%、最も好ましくは少なくとも5.0重量%の量で窒化物(NI)を含む。
【0068】
したがって、本発明の組成物(C)中に存在する窒化物(NI)の量については上限がない。
【0069】
一実施形態においては、本発明の組成物(C)は有利には、組成物(C)の総重量を基準として、最大でも50.0重量%、好ましくは最大でも40.0重量%、より好ましくは最大でも30.0重量%、さらにより好ましくは最大でも20.0重量%、より一層好ましくは最大でも15.0重量%、最も好ましくは最大でも10.0重量%の量で窒化物(NI)を含む。
【0070】
本発明の組成物(C)は有利には、組成物(C)の総重量を基準として、2〜50重量%、より好ましくは5〜20重量%、さらにより好ましくは5〜10重量%の範囲の量で窒化物(NI)を含む。
【0071】
組成物(C)の総重量を基準とする、(PAEK)ポリマーの総重量は有利には、50%よりも上、好ましくは60%よりも上;より好ましくは70%よりも上;より好ましくは80%よりも上、より好ましくは85%よりも上である。
【0072】
必要ならば、組成物(C)は、(PAEK)ポリマーと窒化物(NI)とからなる。
【0073】
本発明の好ましい組成物(C)はしたがって、上に詳述されたような、(PAEK)ポリマー、より好ましくは、上に詳述されたような、式(J’−A)の繰り返し単位(R
PAEK)を含む(PAEK)ポリマーと、組成物(C)の総重量を基準として、5〜15重量%の量での窒化ホウ素とを含む。
【0074】
本発明の組成物(C)はさらに、少なくとも1つの他の熱可塑性ポリマー(ポリマーT)を含んでもよい。
【0075】
本発明の組成物(C)に使用するために好適なポリマー(T)の非限定的な例としては、例えばポリアリールエーテルスルホン、ポリフェニレン、ポリイミド、よりとりわけポリエーテルイミド、およびポリフェニレンスルフィドが挙げられる。
【0076】
前記他のポリマーの重量は有利には、組成物(C)の総重量を基準として40重量%よりも下、好ましくは30重量%よりも下、より好ましくは25重量%よりも下である。
【0077】
組成物(C)はさらに、(PAEK)ポリマー以外の1つもしくは複数の成分[本明細書では以下、成分(I)]を含むことができる。
【0078】
本発明の組成物(C)に使用するために好適な成分(I)の非限定的な例は、ポリマー組成物、UV吸収剤;光安定剤および熱安定剤などの安定剤;酸化防止剤;滑剤;加工助剤;可塑剤;流動性改良剤;難燃剤;とりわけ二酸化チタン(TiO
2)などの顔料;染料;着色剤;帯電防止剤;増量剤;金属不活性化剤;カーボンブラックおよびカーボンナノフィブリルなどの導電性添加剤ならびに上述の添加剤の1つもしくは複数を含む組み合わせなどの添加剤である。
【0079】
前記成分(I)の重量は有利には、組成物(C)の総重量を基準として、10重量%よりも下、好ましくは5重量%よりも下である。
【0080】
必要ならば、組成物(C)は、(PAEK)ポリマーが組成物(C)中の唯一のポリマー成分であるいう条件で、80重量%超の(PAEK)ポリマーを含み、とりわけUV吸収剤;光安定剤および熱安定剤などの安定剤;酸化防止剤;滑剤;加工助剤;可塑剤;流動性改良剤;難燃剤;とりわけ二酸化チタン(TiO
2)などの顔料;染料;着色剤;帯電防止剤;増量剤;金属不活性化剤;カーボンブラックおよびカーボンナノフィブリルなどの導電性添加剤などの1つもしくは複数の任意選択の成分が、これらの成分が組成物(C)の関連する機械的特性および靭性特性に劇的に影響を及ぼすことなく、その中に存在していてもよい。
【0081】
表現「ポリマー成分」は、その通常の意味に従って、すなわち、2000以上の分子量を典型的には有する、繰り返し連結単位で特徴づけられる化合物を包含すると理解されるべきである。
【0082】
ポリマー組成物(C)は、少なくとも1種の補強充填材をさらに含んでもよい。補強充填材は当業者によく知られている。それらは好ましくは、上に定義されたような顔料とは異なる繊維状および粒状充填材から選択される。より好ましくは、補強充填材は、鉱物充填材(タルク、マイカ、カオリン、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウムなど)、ガラス繊維、炭素繊維、合成ポリマー繊維、アラミド繊維、アルミニウム繊維、チタン繊維、マグネシウム繊維、炭化ホウ素繊維、ロックウール繊維、鋼繊維、ウォラストナイトなどから選択される。さらにより好ましくは、それは、マイカ、カオリン、ケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ガラス繊維およびウォラストナイトなどから選択される。
【0083】
好ましくは、充填材は、繊維充填材から選択される。繊維充填材の特定の種類は、ウィスカー、すなわち、Al
2O
3、SiC、BC、FeおよびNiなどの、様々な原材料から製造される単結晶繊維からなる。
【0084】
本発明の一実施形態においては、補強充填材は、ウォラストナイトおよびガラス繊維から選択される。繊維充填材の中で、ガラス繊維が好ましく;それらには、Additives for Plastics Handbook、第2版、John Murphyの5.2.3章、43〜48頁に記載されているような、チョップドストランドA−、E−、C−、D−、S−、T−およびR−ガラス繊維が含まれる。
【0085】
ポリマー組成物(C)中に任意選択的に含まれるガラス繊維は、円形の横断面または円形でない横断面(楕円形または長方形の横断面などの)を有してもよい。
【0086】
使用されるガラス繊維が円形の横断面を有する場合、それらは好ましくは、3〜30μmの、特に好ましくは5〜12μmの平均繊維直径を有する。円形の横断面を持った異なる種類のガラス繊維は、それらが製造されるガラスのタイプに応じて市場に出ている。E−またはS−ガラスから製造されるガラス繊維がとりわけ挙げられてもよい。
【0087】
良好な結果は、円形でない横断面を持った標準E−ガラス材料で得られた。優れた結果は、丸い横断面を持ったS−ガラス繊維入りのポリマー組成物の場合に、そして、特に、6μm直径を持った丸い横断面(E−ガラスまたはS−ガラス)を使用する場合に得られた。
【0088】
本発明の別の実施形態においては、補強充填材は炭素繊維である。
【0089】
本明細書で用いるところでは、用語「炭素繊維」は、グラファイト化、部分的グラファイト化および非グラファイト化炭素強化繊維またはそれらの混合物を含むことを意図する。本発明に有用な炭素繊維は有利には、例えば、レーヨン、ポリアクリロニトリル(PAN)、芳香族ポリアミドまたはフェノール樹脂などの異なるポリマー前駆体の熱処理および熱分解によって得ることができ;本発明に有用な炭素繊維はまた、ピッチ材料から得られてもよい。用語「グラファイト繊維」は、炭素繊維の高温熱分解(2000℃超)によって得られる炭素繊維を意味することを意図し、ここで、炭素原子は、グラファイト構造と類似した様式で位置している。本発明に有用な炭素繊維は好ましくは、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、グラファイト繊維、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0090】
前記補強充填材の重量は有利には、組成物(C)の総重量を基準として、好ましくは60重量%よりも下、より好ましくは50重量%よりも下、さらにより好ましくは45重量%よりも下、最も好ましくは35重量%よりも下である。
【0091】
好ましくは、補強充填材は、ポリマー組成物(C)の総重量を基準として、10〜60重量%、好ましくは20〜50重量%、好ましくは25〜45重量%、最も好ましくは25〜35重量%の範囲の量で存在する。
【0092】
組成物(C)は、ポリマー材料と、配合物において所望される、上に詳述されたような、任意の任意選択の成分との均質混合を含む様々な方法によって、例えば、溶融混合または乾式ブレンディングと溶融混合との組み合わせによって調製することができる。典型的には、上に詳述されたような、(PAEK)ポリマーおよび窒化物(NI)と、任意選択的にポリマー(T)と、任意選択的に補強充填材と任意選択的に成分(I)との乾式ブレンディングは、とりわけHenschel型ミキサーおよびリボンミキサーなどの、強力ミキサーを用いることによって実施される。
【0093】
そのようにして得られた粉末混合物は、(PAEK)ポリマーおよび窒化物(NI)と、任意選択的にポリマー(T)と、任意選択的に補強充填材と任意選択的に成分(I)とを、携帯用電子機器の上記の部品の効果的な形成を得るために好適な、上に詳述されたような重量比で含み得るか、またはマスターバッチとして使用され、そしてさらなる量の(PAEK)ポリマーおよび窒化物(NI)と、任意選択的にポリマー(T)と、任意選択的に補強充填材と任意選択的に成分(I)との中に後続の加工工程で希釈される濃厚混合物であり得る。
【0094】
上に記載されたような粉末混合物をさらに溶融配合することによって本発明の組成物を製造することがまた可能である。上述のように、溶融配合は、上に詳述されたような粉末混合物について、または好ましくは、(PAEK)ポリマーおよび窒化物(NI)と、任意選択的にポリマー(T)と、任意選択的に補強充填材と任意選択的に成分(I)とについて直接に達成することができる。共回転および反転押出機、単軸スクリュー押出機、コニーダー、ディスク−パックプロセッサならびに様々な他のタイプの押出装置などの、従来型の溶融配合装置を用いることができる。好ましくは、押出機、より好ましくは二軸スクリュー押出機を用いることができる。
【0095】
必要ならば、配合スクリューの設計、例えば、フライトピッチおよび幅、クリアランス、長さならびに運転条件は、粉末混合物または上に詳述されたような成分を有利にも完全に溶融させるのにおよび異なる成分の均質な分配を有利にも得るのに十分な熱および力学的エネルギーが提供されるように有利には選択されるだろう。ただし、最適混合はバルクポリマーと充填材内容物との間で達成される。本発明の組成物(C)の延性がないストランド押出物を得ることが有利にも可能である。そのようなストランド押出物は、散水を使ったコンベヤ上でのある冷却時間後に例えば、回転刃物を用いて切り刻むことができる。このようにして、例えば、ペレットまたはビーズの形態で存在し得る組成物(C)を次いでさらに、携帯用電子機器の上記の部品の製造のために使用することができる。
【0096】
本発明の別の目的は、携帯用電子機器の上記の部品の製造方法を提供することである。そのような方法は特に限定されない。ポリマー組成物(C)は一般に、射出成形、押出または他の造形技術によって加工されてもよい。
【0097】
本発明の一実施形態においては、携帯用電子機器の上記の部品の製造方法は、ポリマー組成物(C)の射出成形および固化の工程を含む。
【0098】
本発明の別の実施形態においては、携帯用電子機器の上記の部品の製造方法は、任意のタイプのサイズおよび形状を有する部品での標準的な造形構造部品の機械加工の工程を含む。前記標準的な造形構造部品の非限定的な例としては、とりわけプレート、ロッド、スラブ等が挙げられる。前記標準的な造形構造部品は、ポリマー組成物(C)の押出または射出成形によって得ることができる。
【0099】
本発明の別の目的は、上に記載されたようなポリマー組成物を含む携帯用電子機器の部品である。
【0100】
本出願人は意外にも、本発明の組成物(C)が、高い剛性および延性と、先行技術携帯用電子機器部品よりも改善された耐衝撃性との優れたバランスを有する電子機器を提供するのに有効であることを見いだした。
【0101】
本出願人はまた、本発明の組成物(C)を含む前記携帯用電子機器部品が改善された誘電強度を有することを見いだした。
【0102】
本出願人はまた、本発明の組成物(C)を含む前記携帯用電子機器部品が改善された美学、特に改善されたより明るい色を有し、そして前記携帯用電子機器部品が、色が関心事である多くの用途向けにより高く受け入れられることを見いだした。
【0103】
本発明の携帯用電子機器部品は有利には、以下の色特性を有する:
− 色L*>70、好ましくはL*>71であり;
− 色b*は少なくとも8である、
ここで、色は、以下の通り、CIE Lab標準を用いて厚さが2.5mmである射出成形された色プラークで測定された。色は一般に、1976年にCIE(国際照明委員会)(「Kirk−Othmer Encylopedia of Chemical Technology」、2004年、第7章、303〜341頁に、K.Nassau)によって定義された三刺激座標である、L*、a*、b*値で特徴づけられる。これらの3つの基本座標は、色の明度(L*、L*=0は黒をもたらし、L*=100は白を示す)、赤/マゼンタと緑との間のその位置(a*、負の値は緑を示し、一方正の値はマゼンタを示す)および黄と青との間のその位置(b*、負の値は青を示し、正の値は黄を示す)を表す。
【0104】
本発明による携帯用電子機器の部品は、真空蒸着(蒸着される金属を加熱する様々な方法を含む)、化学メッキ、電解メッキ、化学蒸着、金属スパッタリング、および電子ビーム蒸着などの、それを成し遂げるための任意の公知の方法によって金属で被覆されてもよい。金属は、いかなる特別な処理もなしで部品に十分接着し得るが、通常は接着を向上させるための当技術分野で周知の何らかの方法が用いられるであろう。これは、合成樹脂表面を粗くするためのそれの単純な摩耗、接着促進剤の添加、化学エッチング、プラズマおよび/もしくは放射線(例えば、レーザーまたはUV線)への露光による表面の官能化、またはこれらの任意の組み合わせに及び得る。また、金属被覆法の一部は、部品が酸浴に浸漬される少なくとも1つの工程を含む。2つ以上の金属または金属合金が、ポリマー組成物(C)で作られた部品上へメッキされてもよく、例えば、1つの金属または合金が、その良好な接着性のために合成樹脂表面上へ直接メッキされ、別の金属または合金が、より高い強度および/または剛性を有するために、そのトップ上にメッキされてもよい。金属被覆を形成するための有用な金属および合金としては、銅、ニッケル、鉄−ニッケル、コバルト、コバルト−ニッケル、およびクロム、ならびに異なる層におけるこれらの組み合わせが挙げられる。好ましい金属および合金は、銅、ニッケル、および鉄−ニッケルであり、ニッケルがより好ましい。部品の表面は、金属で完全にまたは部分的に被覆されてもよい。好ましくは表面積の50パーセント超が被覆され、より好ましくは表面のすべてが被覆されるだろう。部品の異なる領域において、金属層の厚さおよび/もしくは数、ならびに/または金属層の組成は変わってもよい。金属は、部品の一定の区域で1つもしくは複数の特性を効率的に改善するためにパターンで被覆されてもよい。
【0105】
本発明の別の目的は、ポリマー組成物(C)を含む少なくとも1つの部品を含む上記の携帯用電子機器の製造方法であって、前記方法が、
− 構成要素として少なくとも回路基板、スクリーンおよび電池を提供する工程と、
− ポリマー組成物(C)を含む少なくとも1つの部品を提供する工程と、
− 前記構成要素の少なくとも1つを前記部品と組み立てる工程または前記構成要素の少なくとも1つを前記部品上に取りつける工程と
を含む方法を提供することである。
【0106】
携帯用電子機器は非常に多くの場合、黒色で商品化されている。しかし、着色携帯用電子機器に市場の関心が高まりつつある。本発明は、着色携帯用電子機器、特に着色携帯用電子機器ハウジングの製造を可能にする。
【0107】
携帯用電子機器の上記の製造方法はしたがって、ポリマー組成物(C)を含む前記部品を塗装するかまたは被覆するという追加の工程をさらに含んでもよい。
【0108】
優れた結果は、携帯用電子機器が先ず下塗り被覆ペイントで、次にトップ被覆ペイントで塗装される場合に得られた。これらの被覆は、接着試験において意外にも優れた結果を与えた。さらに、本発明は、ポリマー組成物(C)が、上記の顔料を使用して優れた着色性およびまた上述のペイントを使用して優れた塗装性を有するという大きな利益を提供する。
【0109】
参照により本明細書に援用されるいずれかの特許、特許出願、および刊行物の開示が、用語を不明確にし得る範囲まで本出願の記載と矛盾する場合には、本記載が優先するものとする。
【0110】
本発明はこれから、以下の実施例に関連してより詳細に説明されるが、その目的は単に例証的なものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0111】
原材料
KetaSpire(登録商標)PEEK KT−820Pは、Solvay Specialty Polymers USA,LLCから商業的に入手可能なポリエーテルエーテルケトンポリマーである。
窒化ホウ素、ESK Ceramics,GmbHから商業的に入手可能なBoronid(登録商標)S1−SF、2.5μmの平均粒度。
窒化ホウ素、ESK Ceramics,GmbHから商業的に入手可能なBoronid(登録商標)S15、15μmの平均粒度。
炭素繊維、SGL Corporation製のSigrafil C30 APS 006
タルク、Luzenac Americaから商業的に入手可能な、Mistron Vapor R
【0112】
PEEK樹脂の配合方法の概要
PEEK樹脂と所望の量のBoronid(登録商標)S1−SFまたはBoronid(登録商標)S15との乾燥ブレンドを、先ず約20分間タンブルブレンドし、引き続き40:1のL/D比を有する25mmのBerstorff共回転部分噛合い二軸スクリュー押出機を用いて溶融配合することによって調製した。押出機は、8つのバレル区域を有し、バレル区域2〜8が加熱区域である。真空ベンティングを配合の間ずっと18〜20インチの真空でバレル区域7にて適用して、コンパウンドから水分およびあらゆる可能な残留揮発物をストリッピングして除いた。配合温度分布は、バレル区域2〜5が330℃に設定され、一方バレル区域5〜8およびダイアダプターが340℃に設定されるようなものであった。スクリュー速度は全体をわたって180を使用し、押出量は15〜17 lb/hrであったが、押出機ダイの出口で、各配合溶融押出物について手動で測定される、溶融温度は、398〜402℃の範囲であった。各配合についての押出物を水槽中で冷却し、次に、ペレタイザーを使用してペレット化した。4つのブレンドのこのようにして得られたペレットを次に、150℃での乾燥エアオーブン中で4時間乾燥させ、機械的試験にかけた。前記ペレットを、標準条件および供給業者Solvay Specialty Polymersによって提供されるKetaSpire KT−820 PEEK樹脂についてのガイドラインに従ってToshiba 150トンの射出成形機を用いて射出成形してASTM試験片を製造した。
【0113】
機械的特性を、1)タイプI引張試験片、2)5インチ×0.5インチ×0.125インチの曲げ試験片、および3)計装化衝撃(Dynatup)試験のための4インチ×4インチ×0.125インチのプラークからなる、射出成形された0.125インチ厚さのASTM試験片を使用して配合物すべてについて試験した。
【0114】
以下のASTM試験方法をすべての9つの組成物を評価する際に用いた:
D638:2インチ/分の試験速度を用いる引張特性
D790:曲げ特性
D256:アイゾット(Izod)耐衝撃性(ノッチ付き)
D4812:アイゾット耐衝撃性(ノッチなし)
D3763:名称Dynatup衝撃でも知られる計装化耐衝撃性
D648:熱たわみ温度(HDT)
D5279:200℃でのDMA貯蔵弾性率(Pa)
【0115】
HDTは、264psiの印加応力で、そして一様な結晶化度とそうでなければ測定の精度を損ない得る部品中の残留成形体内応力の除去とを確実にするために2時間200℃でアニールされた0.125インチ厚さの曲げ試験片を使用して測定した。
【0116】
4インチ×4インチ×0.125の射出成形プラーク射出成形色プラークの色を、10°の角度でイルミナントD65(日光をシミュレートする白色光)を用いてASTM E308−06に従って測定した(1964 CIE)。
【0117】
L*、a*およびb*色座標は、イルミナントD65および10度の観察者を用いるCIE Lab標準に従ってトライビーム拡散/8’’6’’球の光学的形状、10nmのバンドパス、360nm〜750nmのスペクトル域を持った、Gretag Macbeth Color Eye Ci5 Spectrophotometer(分光光度計)を使用して測定した。このように、この試験によって測定されるL、aおよびb色座標は、明度スケール(L)、緑−赤の色相スケール(a)および青−黄の色相スケール(b)に相当する。
【0118】
D149 ASTM方法に従った誘電強度測定は、4インチ×4インチ×0.125インチ射出成形厚さのASTM試験片で比較例1ならびに実施例4、5、6および7の配合物について実施した。それらの結果を表1に示す。
【0119】
9つの組成物の組成、機械的特性、色特性および物理的特性を表1にまとめる。
【0120】
【0121】
炭素繊維強化PEEK樹脂の配合方法の概要
表2に記載された炭素繊維強化PEEK配合物は、8つのバレル区域を備え、40の全体L/D比を有する二軸スクリュー共回転噛合い押出機を用いて溶融配合することによって調製した。PEEK粉末は、窒化ホウ素とタンブルブレンドするか押出機の供給ホッパー中に(対照の場合には)そのままで供給するかのどちらかであった。炭素繊維は、必要とされる割合で重量測定法で供給し、押出機のバレル区域5の供給口にて計量供給した。バレル区域7での真空ベント口を使用して溶融体を高真空に引き、炭素繊維のサイジングから発生する場合がある一切の残留水分または有機揮発物を除去した。配合された配合物を、1つの穴3mm直径を使用して、ストランドに形成し、散水でコンベヤーベルト上で冷却し、その後ペレタイザーに供給して押出物をペレットに切り刻んだ。配合条件の詳細を表3に示す。
【0122】
【0123】