特許第6486834号(P6486834)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6486834無線通信システムにおいて大規模MIMOを用いた分割ビームフォーミング方法及びそのための装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6486834
(24)【登録日】2019年3月1日
(45)【発行日】2019年3月20日
(54)【発明の名称】無線通信システムにおいて大規模MIMOを用いた分割ビームフォーミング方法及びそのための装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/0413 20170101AFI20190311BHJP
   H04B 7/0417 20170101ALI20190311BHJP
   H04B 7/0456 20170101ALI20190311BHJP
   H04W 16/28 20090101ALI20190311BHJP
【FI】
   H04B7/0413 310
   H04B7/0417 130
   H04B7/0456 100
   H04B7/0456 400
   H04W16/28 130
【請求項の数】6
【全頁数】48
(21)【出願番号】特願2015-551596(P2015-551596)
(86)(22)【出願日】2013年12月17日
(65)【公表番号】特表2016-510528(P2016-510528A)
(43)【公表日】2016年4月7日
(86)【国際出願番号】KR2013011727
(87)【国際公開番号】WO2014168317
(87)【国際公開日】20141016
【審査請求日】2015年7月7日
【審判番号】不服2017-6105(P2017-6105/J1)
【審判請求日】2017年4月27日
(31)【優先権主張番号】61/809,833
(32)【優先日】2013年4月8日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/812,214
(32)【優先日】2013年4月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502032105
【氏名又は名称】エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】カン チウォン
(72)【発明者】
【氏名】リ キルポム
(72)【発明者】
【氏名】コ ヒョンソ
(72)【発明者】
【氏名】チュン チェフン
【合議体】
【審判長】 北岡 浩
【審判官】 吉田 隆之
【審判官】 古河 雅輝
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−529937(JP,A)
【文献】 3GPP TSG−RAN WG1 #66 R1−112420
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B
H04W
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信システムにおいて基地局が2次元アンテナアレイを用いた分割ビームフォーミングを行う方法であって、
複数の参照プリコーダに関する情報を端末に送信するステップと、
前記2次元アンテナアレイを行又は列単位に区画化するステップであって、前記区画化された区画のそれぞれは、前記2次元アンテナアレイの各行に対応し、または前記2次元アンテナアレイの各列に対応する、ステップと、
前記端末から、前記区画化された区画に対するフィードバック情報を受信するステップと、
前記フィードバック情報に基づいて、前記区画のそれぞれに対するサブプリコーダを決定するステップと、
参照プリコーディングパターンに従い、前記複数の参照プリコーダから、前記区画を互いに連結する前記2次元アンテナアレイのリンキングプリコーダを選択するステップと、
前記リンキングプリコーダ及び前記サブプリコーダを用いたビームフォーミングを行って、前記端末に信号を送信するステップと、
を有することを特徴とする、分割ビームフォーミング実行方法。
【請求項2】
前記区画が前記2次元アンテナアレイの列単位に構成された場合、前記信号を送信するステップは、前記サブプリコーダを用いて垂直ビームフォーミングを行い、前記リンキングプリコーダを用いて水平ビームフォーミングを行って、前記信号を前記端末に送信するステップを有する、請求項1に記載の分割ビームフォーミング実行方法。
【請求項3】
前記区画が前記2次元アンテナアレイの行単位に構成された場合、前記信号を送信するステップは、前記サブプリコーダを用いて水平ビームフォーミングを行い、前記リンキングプリコーダを用いて垂直ビームフォーミングを行って、前記信号を前記端末に送信するステップを含む、請求項1に記載の分割ビームフォーミング実行方法。
【請求項4】
無線通信システムにおいて2次元アンテナアレイを有する送信装置であって、
受信装置と信号を送受信するための無線通信モジュールと、
複数の参照プリコーダに関する情報を前記受信装置に送信し、前記2次元アンテナアレイを行又は列単位に区画化し、前記区画のそれぞれに対するサブプリコーダを決定し、参照プリコーディングパターンに従い、前記複数の参照プリコーダから、前記区画を互いに連結する前記2次元アンテナアレイのリンキングプリコーダを選択し、前記リンキングプリコーダ及び前記サブプリコーダを用いたビームフォーミングを行うプロセッサと、
を備え、
前記サブプリコーダは、前記受信装置から受信されたフィードバック情報に基づいて決定され、
前記区画化された区画のそれぞれは、前記2次元アンテナアレイの各行に対応し、または前記2次元アンテナアレイの各列に対応することを特徴とする、送信装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記区画を前記2次元アンテナアレイの列単位に構成した場合、前記サブプリコーダを用いて垂直ビームフォーミングを行い、前記リンキングプリコーダを用いて水平ビームフォーミングを行う、請求項に記載の送信装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記区画を前記2次元アンテナアレイの行単位に構成した場合、前記サブプリコーダを用いて水平ビームフォーミングを行い、前記リンキングプリコーダを用いて垂直ビームフォーミングを行う、請求項に記載の送信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムに関し、特に、無線通信システムにおいて大規模MIMOを用いた分割ビームフォーミング方法及びそのための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明を適用できる無線通信システムの一例として、3GPP LTE(3rd Generation Partnership Project Long Term Evolution;以下、「LTE」という。)通信システムについて概略的に説明する。
【0003】
図1は、無線通信システムの一例としてE−UMTSネットワーク構造を概略的に示す図である。E−UMTS(Evolved Universal Mobile Telecommunications System)は、既存のUMTS(Universal Mobile Telecommunications System)から進展したシステムであり、現在3GPPで基礎的な標準化作業が進行中である。一般に、E−UMTSをLTE(Long Term Evolution)システムと呼ぶこともできる。UMTS及びE−UMTSの技術規格(technical specification)の詳細な内容はそれぞれ、「3rd Generation Partnership Project;Technical Specification Group Radio Access Network」のRelease 7及びRelease 8を参照すればよい。
【0004】
図1を参照すると、E−UMTSは、端末(User Equipment;UE)、基地局(eNodeB;eNB)、及びネットワーク(E−UTRAN)の終端に位置して外部ネットワークに接続するアクセスゲートウェイ(Access Gateway;AG)を含んでいる。基地局は、ブロードキャストサービス、マルチキャストサービス及び/又はユニキャストサービスのために多重データストリームを同時に送信することができる。
【0005】
一つの基地局には一つ以上のセルが存在する。セルは、1.25、2.5、5、10、15、20MHzなどの帯域幅のいずれか一つに設定され、複数の端末に下り又は上り送信サービスを提供する。異なったセルは、互いに異なった帯域幅を提供するように設定されればよい。基地局は、複数の端末に関するデータ送受信を制御する。下りリンク(Downlink;DL)データについて、基地局は下りリンクスケジューリング情報を送信し、該当の端末にデータが送信される時間/周波数領域、符号化、データサイズ、HARQ(Hybrid Automatic Repeat and reQuest)関連情報などを知らせる。また、上りリンク(Uplink;UL)データについて、基地局は上りリンクスケジューリング情報を該当の端末に送信し、該当の端末が使用可能な時間/周波数領域、符号化、データサイズ、HARQ関連情報などを知らせる。基地局同士の間には、ユーザトラフィック又は制御トラフィックの送信のためのインターフェースを用いることができる。コアネットワーク(Core Network;CN)は、AG、及び端末のユーザ登録などのためのネットワークノードなどで構成可能である。AGは、複数のセルで構成されるTA(Tracking Area)単位に端末の移動性を管理する。
【0006】
無線通信技術は、WCDMAに基づいてLTEにまで開発されてきたが、ユーザと事業者の要求と期待は増す一方である。その上、他の無線接続技術の開発が続いており、将来、競争力を持つためには新しい技術進化が要求される。ビット当たりのコストの削減、サービス可用性の増大、柔軟な周波数バンドの使用、単純構造と開放型インターフェース、端末の適度な電力消耗などが要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したような議論に基づき、以下では、無線通信システムにおいて大規模MIMOを用いた分割ビームフォーミング方法及びそのための装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一様相である、無線通信システムにおいて基地局が2次元アンテナアレイを用いた分割ビームフォーミングを行う方法は、前記2次元アンテナアレイを行又は列単位に区画化するステップと、端末から、前記区画化された区画に対するフィードバック情報を受信するステップと、前記フィードバック情報を用いて、前記区画に対するサブプリコーダを決定するステップと、前記区画を連結するリンキングプリコーダ及び前記サブプリコーダを用いたビームフォーミングを行って、前記端末に信号を送信するステップとを有することを特徴とする。
【0009】
好適には、前記区画が前記2次元アンテナアレイの列単位に構成された場合、前記信号を送信するステップは、前記サブプリコーダを用いて垂直ビームフォーミングを行い、前記リンキングプリコーダを用いて水平ビームフォーミングを行って、前記信号を前記端末に送信するステップを有することができる。又は、前記区画が前記2次元アンテナアレイの行単位に構成された場合、前記信号を送信するステップは、前記サブプリコーダを用いて水平ビームフォーミングを行い、前記リンキングプリコーダを用いて垂直ビームフォーミングを行って、前記信号を前記端末に送信するステップを有することもできる。
【0010】
より好適には、前記リンキングプリコーダは、予め定義されたプリコーダ又は任意に選択されたプリコーダであってもよい。また、前記方法は、前記端末に前記リンキングプリコーダに関する情報を送信するステップをさらに有することができる。
【0011】
一方、本発明の他の様相である、無線通信システムにおいて2次元アンテナアレイを有する送信装置は、受信装置と信号を送受信するための無線通信モジュールと、前記2次元アンテナアレイを行又は列単位に区画化し、前記区画に対するサブプリコーダを決定し、前記区画を連結するリンキングプリコーダ及び前記サブプリコーダを用いたビームフォーミングを行うプロセッサとを備え、前記サブプリコーダは、前記受信装置から受信されたフィードバック情報を用いて決定されることを特徴とする。
【0012】
好適には、前記区画を前記2次元アンテナアレイの列単位に構成した場合、前記プロセッサが前記サブプリコーダを用いて垂直ビームフォーミングを行い、前記リンキングプリコーダを用いて水平ビームフォーミングを行うことができる。又は、前記区画を前記2次元アンテナアレイの行単位に構成した場合、前記プロセッサが前記サブプリコーダを用いて水平ビームフォーミングを行い、前記リンキングプリコーダを用いて垂直ビームフォーミングを行うこともできる。
【0013】
より好適には、前記リンキングプリコーダは、予め定義されたプリコーダ又は任意に選択されたプリコーダであってもよい。また、前記プロセッサが、前記受信装置に前記リンキングプリコーダに関する情報を送信するように前記無線通信モジュールを制御することもできる。
【0014】
さらに、前記区画のそれぞれは、同一の個数のアンテナポートで構成され、前記区画を構成するアンテナポート間の間隔が、予め設定された値以下であってもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の実施例によれば、無線通信システムにおいて大規模MIMOを用いた分割ビームフォーミングを效率的に行うことができる。
【0016】
本発明で得られる効果は、以上に言及した効果に制限されず、言及していない別の効果は、以下の記載から、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者には明確に理解されるであろう。
【0017】
発明のより容易な理解を助け、発明の実施例を示す添付の図面が、下記の記載と共に本発明の原理を説明するために提供される。
【0018】
添付の図面は次の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】無線通信システムの一例としてE−UMTSネットワーク構造を概略的に示す図である。
図2】3GPP無線接続ネットワーク規格に基づく端末とE−UTRAN間の無線インターフェースプロトコル(Radio Interface Protocol)のコントロールプレーン(Control Plane)及びユーザプレーン(User Plane)構造を示す図である。
図3】3GPPシステムに用いられる物理チャネル及びこれらのチャネルを用いた一般的な信号送信方法を説明するための図である。
図4】LTEシステムで用いられる無線フレームの構造を例示する図である。
図5】LTEシステムで用いられる下りリンク無線フレームの構造を例示する図である。
図6】LTEシステムで用いられる上りリンクサブフレームの構造を示す図である。
図7】一般的な多重アンテナ(MIMO)通信システムを示す構成図である。
図8】4個のアンテナを用いた下りリンク送信を支援するLTEシステムにおける下りリンク参照信号の構造を示す図である。
図9】4個のアンテナを用いた下りリンク送信を支援するLTEシステムにおける下りリンク参照信号の構造を示す図である。
図10】現在3GPP標準文書で定義している下りリンクDM−RS割当例を示す図である。
図11】現在3GPP標準文書で定義している下りリンクCSI−RS設定のうち、一般CPの場合におけるCSI−RS設定#0を例示する図である。
図12】アンテナティルティング方式を説明するための図である。
図13】既存のアンテナシステムと能動アンテナシステムとを比較する図である。
図14】能動アンテナシステムに基づいて、端末特定ビームを形成した例を示す図である。
図15】能動アンテナシステムベースの2次元ビーム送信シナリオを示す図である。
図16】本発明の第2実施例によって均一線形アレイにおいて整合(Aligned)分割プリコーディングを適用する例を説明する。
図17】本発明の第2実施例によって平板アレイ(square array)において列(column)ベース整合(Aligned)分割プリコーディングを適用する例を説明する図である。
図18】本発明の第2実施例によって平板アレイにおいて行(row)ベース整合分割プリコーディングを適用する例を説明する図である。
図19】本発明の第2実施例によって平板アレイにおいて行グループベース整合分割プリコーディングを適用する例を説明する図である。
図20】本発明の第3実施例に係るパイロットパターン割り当て方法を例示する図である。
図21】本発明の第3実施例に係るパイロットパターン割り当て方法を例示する図である。
図22】本発明の第3実施例に係るパイロットパターン割り当て方法を例示する図である。
図23】本発明の一実施例に係る通信装置のブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付の図面を参照して説明された本発明の実施例から、本発明の構成、作用及び他の特徴が容易に理解されるであろう。以下に説明される実施例は、本発明の技術的特徴が3GPPシステムに適用された例である。
【0021】
本明細書ではLTEシステム及びLTE−Aシステムを用いて本発明の実施例を説明するが、これは例示に過ぎず、本発明の実施例は、上述した定義に該当するいかなる通信システムにも適用可能である。また、本明細書は、FDD方式を基準にして本発明の実施例について説明するが、これは例示に過ぎず、本発明の実施例は、H−FDD方式又はTDD方式にも容易に変形されて適用されてもよい。
【0022】
また、本明細書では、基地局をRRH(remote radio head)、eNB、TP(transmission point)、RP(reception point)、中継機(relay)などを含む包括的な名称として使うことができる。
【0023】
図2は、3GPP無線接続網規格に基づく端末とE−UTRANとの間の無線インターフェースプロトコル(Radio Interface Protocol)のコントロールプレーン及びユーザプレーンの構造を示す図である。コントロールプレーンとは、端末(UE)とネットワークとが呼を管理するために用いる制御メッセージが送信される通路のことを意味する。ユーザプレーンとは、アプリケーション層で生成されたデータ、例えば、音声データ又はインターネットパケットデータなどが送信される通路のことを意味する。
【0024】
第1層である物理層は、物理チャネル(Physical Channel)を用いて上位層に情報送信サービス(Information Transfer Service)を提供する。物理層は、上位の媒体接続制御(Medium Access Control)層とは送信チャネル(Transport Channel)を介して接続されている。該送信チャネルを通じて媒体接続制御層と物理層との間にデータが移動する。送信側の物理層と受信側の物理層との間には物理チャネルを通じてデータが移動する。該物理チャネルは、時間及び周波数を無線リソースとして活用する。具体的に、物理チャネルは、下りリンクにおいてOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)方式で変調され、上りリンクにおいてSC−FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)方式で変調される。
【0025】
第2層の媒体接続制御(Medium Access Control;MAC)層は、論理チャネル(Logical Channel)を通じて、上位層である無線リンク制御(Radio Link Control;RLC)層にサービスを提供する。第2層のRLC層は、信頼できるデータ送信を支援する。RLC層の機能は、MAC内部の機能ブロックとしてもよい。第2層のPDCP(Packet Data Convergence Protocol)層は、帯域幅の狭い無線インターフェースでIPv4やIPv6のようなIPパケットを效率的に送信するために、余分の制御情報を減らすヘッダー圧縮(Header Compression)機能を果たす。
【0026】
第3層の最下部に位置する無線リソース制御(Radio Resource Control;RRC)層は、コントロールプレーンにのみ定義される。RRC層は、無線ベアラー(Radio Bearer)の設定(Configuration)、再設定(Re−configuration)及び解除(Release)に関連して、論理チャネル、送信チャネル及び物理チャネルの制御を担当する。無線ベアラー(RB)とは、端末とネットワーク間のデータ伝達のために第2層により提供されるサービスのことを意味する。そのために、端末のRRC層とネットワークのRRC層とはRRCメッセージを互いに交換する。端末のRRC層とネットワークのRRC層間にRRC接続(RRC Connected)がある場合に、端末はRRC接続状態(Connected Mode)にあり、そうでない場合は、RRC休止状態(Idle Mode)にあるようになる。RRC層の上位にあるNAS(Non−Access Stratum)層は、セッション管理(Session Management)と移動性管理(Mobility Management)などの機能を果たす。
【0027】
ネットワークから端末にデータを送信する下り送信チャネルとしては、システム情報を送信するBCH(Broadcast Channel)、ページングメッセージを送信するPCH(Paging Channel)、ユーザトラフィックや制御メッセージを送信する下りSCH(Shared Channel)などがある。下りマルチキャスト又は放送サービスのトラフィック又は制御メッセージは、下りSCHを通じて送信されてもよく、別の下りMCH(Multicast Channel)を通じて送信されてもよい。一方、端末からネットワークにデータを送信する上り送信チャネルとしては、初期制御メッセージを送信するRACH(Random Access Channel)、ユーザトラフィックや制御メッセージを送信する上りSCH(Shared Channel)がある。送信チャネルの上位に存在し、送信チャネルにマッピングされる論理チャネル(Logical Channel)としては、BCCH(Broadcast Control Channel)、PCCH(Paging Control Channel)、CCCH(Common Control Channel)、MCCH(Multicast Control Channel)、MTCH(Multicast Traffic Channel)などがある。
【0028】
図3は、3GPPシステムに用いられる物理チャネル及びこれらのチャネルを用いた一般の信号送信方法を説明するための図である。
【0029】
端末は、電源が入ったり、新しくセルに進入したりした場合に、基地局と同期を取る等の初期セル探索(Initial cell search)作業を行う(S301)。そのために、端末は、基地局からプライマリ同期チャネル(Primary Synchronization Channel;P−SCH)及びセカンダリ同期チャネル(Secondary Synchronization Channel;S−SCH)を受信して基地局と同期を取り、セルIDなどの情報を取得すればよい。その後、端末は、基地局から物理放送チャネル(Physical Broadcast Channel)を受信し、セル内放送情報を取得できる。一方、端末は、初期セル探索段階で、下りリンク参照信号(Downlink Reference Signal;DL RS)を受信し、下りリンクチャネル状態を確認できる。
【0030】
初期セル探索を終えた端末は、物理下りリンク制御チャネル(Physical Downlink Control Channel;PDCCH)、及び該PDCCHに載せられた情報に基づいて物理下りリンク共有チャネル(Physical Downlink Control Channel;PDSCH)を受信することによって、より具体的なシステム情報を取得できる(S302)。
【0031】
一方、基地局に最初に接続したり信号送信のための無線リソースがない場合には、端末は、基地局にランダムアクセス手順(Random Access Procedure;RACH)を行ってよい(S303乃至S306)。そのために、端末は、物理ランダムアクセスチャネル(Physical Random Access Channel;PRACH)を通じて特定シーケンスをプリアンブルとして送信し(S303及びS305)、PDCCH及び対応するPDSCHを通じて、プリアンブルに対する応答メッセージを受信すればよい(S304及びS306)。競合ベースのRACHについては、衝突解決手順(Contention Resolution Procedure)をさらに行ってもよい。
【0032】
上述の手順を行った端末は、以降、一般的な上りリンク/下りリンク信号送信手順として、PDCCH/PDSCH受信(S307)、及び物理上りリンク共有チャネル(Physical Uplink Shared Channel;PUSCH)/物理上りリンク制御チャネル(Physical Uplink Control Channel;PUCCH)送信(S308)を行えばよい。特に、端末はPDCCHを通じて下りリンク制御情報(Downlink Control Information;DCI)を受信する。ここで、DCIは、端末に対するリソース割当情報のような制御情報を含んでおり、その使用目的によってフォーマットが異なっている。
【0033】
一方、端末が上りリンクを通じて基地局に送信する又は端末が基地局から受信する制御情報としては、下りリンク/上りリンクACK/NACK信号、CQI(Channel Quality Indicator)、PMI(Precoding Matrix Index)、RI(Rank Indicator)などを含む。3GPP LTEシステムでは、端末は、これらのCQI/PMI/RIなどの制御情報をPUSCH及び/又はPUCCHを通じて送信してもよい。
【0034】
図4は、LTEシステムで用いられる無線フレームの構造を例示する図である。
【0035】
図4を参照すると、無線フレーム(radio frame)は10ms(327200×Ts)の長さを有し、10個の均等なサイズのサブフレーム(subframe)で構成されている。それぞれのサブフレームは1msの長さを有し、2個のスロット(slot)で構成されている。それぞれのスロットは0.5ms(15360×Ts)の長さを有する。ここで、Tsはサンプリング時間を表し、Ts=1/(15kHz×2048)=3.2552×10-8(約33ns)で表示される。スロットは時間領域において複数のOFDMシンボルを含み、周波数領域において複数のリソースブロック(Resource Block;RB)を含む。LTEシステムにおいて一つのリソースブロックは12個の副搬送波×7(6)個のOFDMシンボルを含む。データの送信される単位時間であるTTI(Transmission Time Interval)は一つ以上のサブフレーム単位に定めることができる。上述した無線フレームの構造は例示に過ぎず、無線フレームに含まれるサブフレームの数、サブフレームに含まれるスロットの数、又はスロットに含まれるOFDMシンボルの数は様々に変更されてもよい。
【0036】
図5は、下りリンク無線フレームにおいて一つのサブフレームの制御領域に含まれる制御チャネルを例示する図である。
【0037】
図5を参照すると、サブフレームは14個のOFDMシンボルで構成されている。サブフレーム設定によって先頭の1乃至3個のOFDMシンボルは制御領域として用いられ、残り13〜11個のOFDMシンボルはデータ領域として用いられる。同図で、R1乃至R4は、アンテナ0乃至3に対する基準信号(Reference Signal(RS)又はPilot Signal)を表す。RSは、制御領域及びデータ領域を問わず、サブフレーム内に一定のパターンで固定される。制御チャネルは、制御領域においてRSの割り当てられていないリソースに割り当てられ、トラフィックチャネルもデータ領域においてRSの割り当てられていないリソースに割り当てられる。制御領域に割り当てられる制御チャネルには、PCFICH(Physical Control Format Indicator CHannel)、PHICH(Physical Hybrid−ARQ Indicator CHannel)、PDCCH(Physical Downlink Control CHannel)などがある。
【0038】
PCFICHは物理制御フォーマット指示子チャネルで、毎サブフレームごとにPDCCHに用いられるOFDMシンボルの個数を端末に知らせる。PCFICHは、最初のOFDMシンボルに位置し、PHICH及びPDCCHに優先して設定される。PCFICHは4個のREG(Resource Element Group)で構成され、それぞれのREGはセルID(Cell IDentity)に基づいて制御領域内に分散される。一つのREGは4個のRE(Resource Element)で構成される。REは、1副搬送波×1OFDMシンボルと定義される最小物理リソースを表す。PCFICH値は帯域幅によって1〜3又は2〜4の値を指示し、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)で変調される。
【0039】
PHICHは、物理HARQ(Hybrid−Automatic Repeat and request)指示子チャネルで、上りリンク送信に対するHARQ ACK/NACKを運ぶために用いられる。すなわち、PHICHは、UL HARQのためのDL ACK/NACK情報が送信されるチャネルを表す。PHICHは、1個のREGで構成され、セル特定(cell−specific)にスクランブル(scrambling)される。ACK/NACKは1ビットで指示され、BPSK(Binary phase shift keying)で変調される。変調されたACK/NACKは拡散因子(Spreading Factor;SF)=2又は4で拡散される。同一のリソースにマップされる複数のPHICHは、PHICHグループを構成する。PHICHグループに多重化されるPHICHの個数は、拡散コードの個数によって決定される。PHICH(グループ)は周波数領域及び/又は時間領域においてダイバーシティ利得を得るために3回反復(repetition)される。
【0040】
PDCCHは物理下りリンク制御チャネルで、サブフレームにおける先頭のn個のOFDMシンボルに割り当てられる。ここで、nは1以上の整数で、PCFICHによって指示される。PDCCHは一つ以上のCCEで構成される。PDCCHは、送信チャネルであるPCH(Paging channel)及びDL−SCH(Downlink−shared channel)のリソース割当に関する情報、上りリンクスケジューリンググラント(Uplink Scheduling Grant)、HARQ情報などを各端末又は端末グループに知らせる。PCH(Paging channel)及びDL−SCH(Downlink−shared channel)はPDSCHを通じて送信される。したがって、基地局と端末は一般に、特定の制御情報又は特定のサービスデータ以外は、PDSCHを通じてデータをそれぞれ送信及び受信する。
【0041】
PDSCHのデータがいずれの端末(一つ又は複数の端末)に送信されるものか、これら端末がどのようにPDSCHデータを受信してデコードしなければならないかに関する情報などは、PDCCHに含まれて送信される。例えば、特定PDCCHが「A」というRNTI(Radio Network Temporary Identity)でCRCマスクされており、「B」という無線リソース(例、周波数位置)及び「C」というDCIフォーマット、すなわち、伝送形式情報(例、伝送ブロックサイズ、変調方式、コーディング情報など)を用いて送信されるデータに関する情報が、特定サブフレームで送信されると仮定する。この場合、セル内の端末は、自身が持っているRNTI情報を用いて検索領域でPDCCHをモニター、すなわち、ブラインドデコードし、「A」のRNTIを持っている一つ以上の端末があると、これらの端末はPDCCHを受信し、受信したPDCCHの情報に基づいて「B」と「C」によって指示されるPDSCHを受信する。
【0042】
図6は、LTEシステムで用いられる上りリンクサブフレームの構造を示す図である。
【0043】
図6を参照すると、上りリンクサブフレームは、制御情報を運ぶPUCCH(Physical Uplink Control CHannel)が割り当てられる領域と、ユーザデータを運ぶPUSCH(Physical Uplink Shared CHannel)が割り当てられる領域とに区別される。サブフレームにおいて中間部分がPUSCHに割り当てられ、周波数領域においてデータ領域の両側部分がPUCCHに割り当てられる。PUCCH上で送信される制御情報は、HARQに用いられるACK/NACK、下りリンクチャネル状態を示すCQI(Channel Quality Indicator)、MIMOのためのRI(Rank Indicator)、上りリンクリソース割当要請であるSR(Scheduling Request)などがある。一つの端末に対するPUCCHは、サブフレーム内の各スロットで互いに異なる周波数を占める一つのリソースブロックを使用する。すなわち、PUCCHに割り当てられる2個のリソースブロックはスロット境界で周波数ホッピング(frequency hopping)する。特に、図6は、m=0のPUCCH、m=1のPUCCH、m=2のPUCCH、m=3のPUCCHがサブフレームに割り当てられるとしている。
【0044】
以下、MIMOシステムについて説明する。MIMO(Multiple−Input Multiple−Output)は、複数個の送信アンテナと複数個の受信アンテナを使用する方法で、この方法によりデータの送受信効率を向上させることができる。すなわち、無線通信システムの送信端あるいは受信端で複数個のアンテナを使用することによって容量を増大させ、性能を向上させることができる。以下、本文献ではMIMOを「多重アンテナ」と呼ぶこともできる。
【0045】
多重アンテナ技術では、一つの全体メッセージを受信するに単一のアンテナ経路に依存せず、複数のアンテナに受信されたデータ断片(fragment)をまとめて併合することによってデータを完成する。多重アンテナ技術を用いると、特定のサイズのセル領域内でデータ伝送速度を向上させたり、又は特定のデータ伝送速度を保障しながらシステムカバレッジ(coverage)を増加させることができる。また、この技術は、移動通信端末と中継機などに幅広く使用可能である。多重アンテナ技術によれば、単一のアンテナを使用した従来技術による移動通信における伝送量の限界を克服することが可能になる。
【0046】
一般的な多重アンテナ(MIMO)通信システムの構成図が、図7に示されている。送信端では送信アンテナがNT個設けられており、受信端では受信アンテナがNR個が設けられている。このように送信端及び受信端の両方とも複数個のアンテナを使用する場合は、送信端又は受信端のいずれか一方のみ複数個のアンテナを使用する場合に比べて、理論的なチャネル伝送容量がより増加する。チャネル伝送容量の増加はアンテナの数に比例する。これにより、伝送レートが向上し、周波数効率が向上する。1個のアンテナを使用する場合の最大伝送レートをRoとすれば、多重アンテナを使用する場合の伝送レートは、理論的に、下記の数式1のように、最大伝送レートRoにレート増加率Riを掛けた分だけ増加可能となる。ここで、Riは、NTとNRのうちの小さい値を表す。
【数1】
【0047】
例えば、4個の送信アンテナと4個の受信アンテナを用いるMIMO通信システムでは、単一アンテナシステムに比べて理論上、4倍の伝送レートを取得できる。このような多重アンテナシステムの理論的容量増加が90年代半ばに証明されて以来、これを実質的なデータ伝送率の向上へと導くための種々の技術が現在まで活発に研究されている。それらのいくつかの技術は既に3世代移動通信と次世代無線LANなどの様々な無線通信の標準に反映されている。
【0048】
現在までの多重アンテナ関連研究動向をみると、様々なチャネル環境及び多重接続環境における多重アンテナ通信容量計算などと関連した情報理論側面の研究、多重アンテナシステムの無線チャネル測定及び模型導出の研究、及び伝送信頼度の向上及び伝送率の向上のための時空間信号処理技術の研究などを含め、様々な観点で活発に研究が進行されている。
【0049】
多重アンテナシステムにおける通信方法をより具体的な方法で説明するべく、それを数学的にモデリングすると、次のように示すことができる。図7に示すように、NT個の送信アンテナとNR個の受信アンテナが存在するとする。まず、送信信号について説明すると、NT個の送信アンテナがある場合に、送信可能な最大情報はNT個であるから、送信情報を下記の数式2のようなベクトルで表現できる。
【数2】
【0050】
【数3】
【0051】
【数4】
【0052】
【数5】
【0053】
一般に、チャネル行列のランクの物理的な意味は、与えられたチャネルで互いに異なった情報を送信できる最大数を意味する。したがって、チャネル行列のランク(rank)は、互いに独立した(independent)行(row)又は列(column)の個数のうち、最小個数と定義され、よって、行列のランクは、行(row)又は列(column)の個数より大きくなることはない。数式的に例を挙げると、チャネル行列Hのランク(rank(H))は、数式6のように制限される。
【数6】
【0054】
また、多重アンテナ技術を用いて送る互いに異なった情報のそれぞれを「送信ストリーム(Stream)」、又は簡単に「ストリーム」と定義するものとする。このような「ストリーム」は、「レイヤ(Layer)」と呼ぶこともできる。そのため、送信ストリームの個数は当然ながら、互いに異なった情報を送信できる最大数であるチャネルのランクより大きくなることがない。したがって、チャネル行列Hは、下記の数式7のように表すことができる。
【数7】
【0055】
ここで、「# of streams」は、ストリームの数を表す。一方、ここで、1個のストリームは1個以上のアンテナから送信可能であるということに留意されたい。
【0056】
1個以上のストリームを複数のアンテナに対応させる様々な方法が存在する。この方法を、多重アンテナ技術の種類によって次のように説明できる。1個のストリームが複数のアンテナから送信される場合は空間ダイバーシティ方式といえ、複数のストリームが複数のアンテナから送信される場合は空間マルチプレクシング方式といえる。勿論、これらの中間方式である、空間ダイバーシティと空間マルチプレクシングとの混合(Hybrid)した形態も可能である。
【0057】
一方、次世代移動通信システムの標準であるLTE−Aシステムでは、データ伝送率の向上のために、既存の標準では支援していなかったCoMP(Coordinated Multi Point)送信方式を支援することが予想される。ここで、CoMP送信方式とは、陰影地域にある端末及び基地局(セル又はセクター)間の通信性能を向上させるために2個以上の基地局或いはセルが互いに協調して端末と通信するための送信方式のことをいう。
【0058】
CoMP送信方式は、データ共有を用いた協調的MIMO形態のジョイントプロセシング(CoMP−Joint Processing、CoMP−JP)及び協調スケジューリング/ビームフォーミング(CoMP−Coordinated Scheduling/beamforming、CoMP−CS/CB)方式に区別することができる。
【0059】
下りリンクの場合、ジョイントプロセシング(CoMP−JP)方式において、端末は、CoMP送信方式を行う各基地局からデータを瞬間的に同時に受信することができ、各基地局から受信した信号を結合して受信性能を向上させることができる(Joint Transmission;JT)。また、CoMP送信方式を行う基地局のいずれか一つが特定時点に端末にデータを送信する方法も考慮することができる(DPS;Dynamic Point Selection)。
【0060】
これと違い、協調スケジューリング/ビームフォーミング方式(CoMP−CS/CB)では、端末はビームフォーミングを通じてデータを瞬間的に一つの基地局、すなわち、サービング基地局から受信することができる。
【0061】
上りリンクの場合、ジョイントプロセシング(CoMP−JP)方式において、各基地局は端末からPUSCH信号を同時に受信することができる(Joint Reception;JR)。これと違い、協調スケジューリング/ビームフォーミング方式(CoMP−CS/CB)では一つの基地局のみがPUSCHを受信するが、このとき、協調スケジューリング/ビームフォーミング方式を用いるという決定は、協調セル(或いは、基地局)によって決定される。
【0062】
以下では、参照信号についてより詳しく説明する。
【0063】
一般に、チャネル測定のためにデータと共に送信側と受信側の両方で既に知っている参照信号が送信側から受信側に送信される。このような参照信号は、チャネル測定に加え、変調技法を知らせて復調過程が行われるようにする役割を果たす。参照信号は、基地局と特定端末のための専用参照信号(dedicated RS;DRS)、すなわち、端末特定参照信号と、セル内の全端末のためのセル特定参照信号である共通参照信号(common RS又はCell specific RS;CRS)とに区別される。また、セル特定参照信号は、端末でCQI/PMI/RIを測定して基地局に報告するための参照信号を含み、これをCSI−RS(Channel State Information−RS)と称する。
【0064】
図8及び図9は、4個のアンテナを用いた下りリンク送信を支援するLTEシステムにおける参照信号の構造を示す図である。特に、図8は一般(normal)CP(Cyclic Prefix)の場合を示し、図9は拡張(extended)CPの場合を示す。
【0065】
図8及び図9を参照すると、格子に記載された0乃至3は、アンテナポート0乃至3のそれぞれに対応してチャネル測定とデータ復調のために送信されるセル特定参照信号であるCRS(Common Reference Signal)を意味し、セル特定参照信号のCRSは、データ情報領域の他、制御情報領域全般にわたっても端末に送信されている。
【0066】
また、格子に記載された「D」は、端末特定RSである下りリンクDM−RS(Demodulation−RS)を意味し、DM−RSは、データ領域、すなわち、PDSCHを通じて単一アンテナポート送信を支援する。端末特定RSであるDM−RS存在の有無は上位層を通じて端末にシグナリングされる。図8及び図9は、アンテナポート5に対応するDM−RSを例示しており、3GPP標準文書36.211ではアンテナポート7乃至14、すなわち、総8個のアンテナポートに対するDM−RSも定義している。
【0067】
図10は、現在3GPP標準文書で定義している下りリンクDM−RS割当例を示す図である。
【0068】
図10を参照すると、DM−RSグループ1にはアンテナポート{7、8、11、13}に該当するDM−RSがアンテナポート別シーケンスを用いてマップされ、DM−RSグループ2にはアンテナポート{9、10、12、14}に該当するDM−RSが同様、アンテナポート別シーケンスを用いてマップされる。
【0069】
一方、上述したCSI−RSは、CRSとは別にPDSCHに対するチャネル測定を目的に提案されたし、CRSとは違い、CSI−RSは、多重セル環境でセル間干渉(inter−cell interference;ICI)を減らすために、最大32通りの異なったリソース設定(configuration)が定義されてもよい。
【0070】
CSI−RS(リソース)設定は、アンテナポートの個数によってそれぞれ異なり、隣接セル間には、できるだけ異なった(リソース)設定と定義されたCSI−RSが送信されるように構成される。CSI−RSは、CRSとは違い、最大8個のアンテナポートまで支援し、3GPP標準文書では、アンテナポート15乃至22までの総8個のアンテナポートをCSI−RSのためのアンテナポートとして割り当てる。下記の表1及び表2は、3GPP標準文書で定義しているCSI−RS設定を示すものであり、特に、表1は、一般(Normal CP)である場合を、表2は、一般(Extended CP)である場合を示している。
【表1】
【表2】
【0071】
【数8】
【0072】
【数9】
【表3】
【0073】
現在、ZP(zero−power)CSI−RSに関する情報は、下記の表4のような形態でRRC層信号を介してCSI−RS−Config−r10メッセージに含まれて送信される。特に、ZP CSI−RSリソース設定は、zeroTxPowerSubframeConfig−r10と、16ビットサイズのビットマップであるzeroTxPowerResourceConfigList−r10とで構成される。このうち、zeroTxPowerSubframeConfig−r10は、表3に該当する
【数10】
を用いて、当該ZP CSI−RSが送信される周期及びサブフレームオフセットを知らせる。また、zeroTxPowerResourceConfigList−r10は、ZP CSI−RS設定を知らせる情報であって、上記ビットマップのそれぞれの要素は、上記の表1又は表2でCSI−RSのためのアンテナポートが4個である列(Column)に含まれた設定を示す。すなわち、現在の3GPP標準文書によれば、ZP CSI−RSは、CSI−RSのためのアンテナポートが4個である場合のみと定義される。
【表4】
【0074】
参考として、現在の3GPP標準文書によれば、CQIインデックスとそれに対応する変調次数、コーディングレートなどは、下記の表5の通りである。
【表5】
【0075】
一方、干渉測定を用いたCQI計算のための動作は、下記の通りである。
【0076】
端末は、CQI計算の際に必要な因子としてSINRを算出する必要があり、この場合、所望の(Desired)信号の受信電力測定(S−measure)をNZP CSI−RSなどのRSを用いて行うことができ、干渉電力測定(I−measure或いはIM(Interference measurement))のために、上記の受信した信号から所望の信号を除去した干渉信号の電力を測定する。
【0077】
【数11】
【0078】
以下、下りリンクデータチャネルの送信モードについて例示する。
【0079】
現在3GPP LTE標準文書、具体的に3GPP TS 36.213文書では、下記の表6及び表7のように下りリンクデータチャネル送信モードについて定義している。また、下記の送信モードは、上位層シグナリング、すなわち、RRCシグナリングで端末に設定される。
【表6】
【表7】
【0080】
表6及び表7を参照すると、現在の3GPP LTE標準文書では、PDCCHにマスクされたRNTIの種類による下りリンク制御情報(Downlink Control Information;DCI)フォーマットが定義されており、特に、C−RNTIとSPS C−RNTIの場合、送信モードとそれに対応するDCIフォーマット、すなわち、送信モードベースのDCIフォーマットを示している。また、それぞれの送信モードに関係なく適用可能な、すなわち、フォールバック(Fall−back)モードのためのDCIフォーマット1Aが定義されている。上記の表6は、PDCCHにマスクされたRNTIの種類がC−RNTIである場合を例示しており、上記の表7は、PDCCHにマスクされたRNTIの種類がSPS C−RNTIである場合を例示している。
【0081】
送信モードに関する動作例として、端末が表6においてC−RNTIでマスクされたPDCCHをブラインドデコードした結果、DCIフォーマット1Bが検出されると、単一レイヤを用いた閉ループ空間多重化技法でPDSCHが送信されたと仮定したうえPDSCHをデコードする。
【0082】
また、上記の表6及び表7で、送信モード10は、上述したCoMP送信方式の下りリンクデータチャネル送信モードを意味する。表6を挙げて説明すると、端末がC−RNTIでマスクされたPDCCHをブラインドデコードした結果、DCIフォーマット2Dが検出されると、アンテナポート7乃至14、すなわち、DM−RSに基づいて多重レイヤ送信技法でPDSCHが送信されるという仮定の下にPDSCHをデコードする。又は、DM−RSアンテナポート7又は8に基づいて単一アンテナ送信技法でPDSCHが送信されるという仮定の下にPDSCHをデコードする。
【0083】
以下、アンテナポート間QCL(Quasi Co−Location)について説明する。
【0084】
アンテナポート間QCLされているということは、端末が一つのアンテナポートから受信する信号(或いは、当該アンテナポートに対応する無線チャネル)の広範囲特性(large−scale properties)が、他のアンテナポートから受信する信号(或いは、当該アンテナポートに対応する無線チャネル)の広範囲特性と全て又は一部が同一だと仮定し得るということを意味する。ここで、広範囲特性は、周波数オフセットに関連したドップラー拡散(Doppler spread)、ドップラーシフト(Doppler shift)、タイミングオフセットに関連した平均遅延(average delay)、遅延拡散(delay spread)などを含み、さらに平均利得(average gain)も含むことができる。
【0085】
上の定義によれば、端末はQCLされていないアンテナポート、すなわち、NQCL(Non Quasi co−Located)されたアンテナポート間には広範囲特性が同一であると仮定することができない。この場合、端末はアンテナポート別に周波数オフセット及びタイミングオフセットなどを取得するためのトラッキング(tracking)手順を独立して行わなければならない。
【0086】
一方、QCLされているアンテナポート間については端末が次のような動作を行うことができるという利点がある。
【0087】
1)端末が特定アンテナポートに対応する無線チャネルに対する電力−遅延プロファイル(power−delay profile)、遅延拡散、ドップラースペクトル(Doppler spectrum)及びドップラー拡散推定の結果を、他のアンテナポートに対応する無線チャネルに対するチャネル推定時に用いられるウィナーフィルター(Wiener filter)パラメータなどに同一に適用することができる。
【0088】
2)また、端末は、特定アンテナポートに対する時間同期及び周波数同期を取った後、同一の同期を他のアンテナポートに対しても適用することができる。
【0089】
3)最後に、平均利得に関しても、端末は、QCLされているアンテナポートのそれぞれに対するRSRP(Reference Signal Received Power)測定値を平均値として計算することができる。
【0090】
例えば、端末がPDCCH(或いは、E−PDCCH)を介してDM−RSベース下りリンクデータチャネルスケジューリング情報、例えば、DCIフォーマット2Cを受信すると、端末は、当該スケジューリング情報で示すDM−RSシーケンスを用いてPDSCHに対するチャネル推定を行った後、データ復調を行う場合であると仮定する。
【0091】
このような場合、端末が下りリンクデータチャネル復調をするためのDM−RSアンテナポートがサービングセルのCRSアンテナポートとQCLされていると、端末は、当該DM−RSアンテナポートを用いたチャネル推定時に、自身のCRSアンテナポートから推定した無線チャネルの広範囲特性(large−scale properties)をそのまま適用し、DM−RSベース下りリンクデータチャネル受信性能を向上させることができる。
【0092】
同様に、端末が下りリンクデータチャネル復調をするためのDM−RSアンテナポートがサービングセルのCSI−RSアンテナポートとQCLされていると、端末は、当該DM−RSアンテナポートを用いたチャネル推定時に、サービングセルのCSI−RSアンテナポートから推定した無線チャネルの広範囲特性をそのまま適用し、DM−RSベース下りリンクデータチャネル受信性能を向上させることができる。
【0093】
一方、LTEシステムでは、CoMPモードである送信モード10で下りリンク信号を送信する際、基地局が上位層信号を用いてQCLタイプA及びQCLタイプBのうちの一つを端末に設定するように定義している。
【0094】
ここで、QCLタイプAは、CRS、DM−RS及びCSI−RSのアンテナポートが、平均利得以外の広範囲特性がQCLされていると仮定するものであり、同一のノード(point)で物理チャネル及び信号が送信されているということを意味する。一方、QCLタイプBは、DPS、JTなどのCoMP送信が可能なように、端末当たり最大4個までのQCLモードを上位層メッセージを用いて設定し、それらのうちどのQCLモードで下りリンク信号を受信しなければならないかを動的にDCI(downlink control information)を用いて設定するように定義されている。
【0095】
QCLタイプBが設定された場合のDPS送信に関して、より具体的に説明する。
【0096】
まず、N1個のアンテナポートで構成されたノード#1は、CSI−RSリソース(resource)#1を送信し、N2個のアンテナポートで構成されたノード#2は、CSI−RSリソース(resource)#2を送信すると仮定する。この場合、CSI−RSリソース#1をQCLモードパラメータセット#1に含め、CSI−RSリソース#2をQCLモードパラメータセット#2に含める。さらに、基地局はノード#1及びノード#2の共通カバレッジ内に存在する端末に、上位層信号によってパラメータセット#1及びパラメータセット#2を設定する。
【0097】
その後、基地局が当該端末にノード#1を介してデータ(すなわち、PDSCH)送信時にDCIを用いてパラメータセット#1を設定し、ノード#2を介してデータ送信時にパラメータセット#2を設定する方式でDPSを行うことができる。端末にとっては、DCIによってパラメータセット#1が設定されると、CSI−RSリソース#1とDM−RSがQCLされていると仮定し、パラメータセット#2が設定されると、CSI−RSリソース#2とDM−RSがQCLされていると仮定することができる。
【0098】
以下、能動アンテナシステム(Active Antenna System;AAS)及び3次元ビームフォーミングについて説明する。
【0099】
既存のセルラーシステムにおいて、基地局は、機械的ティルティング(mechanical tilting)或いは電気的ティルティング(electrical tilting)を用いてセル間干渉を減らし、セル内端末のスループット、例えばSINR(Signal to Interference plus Noise ratio)を向上させる方案を用いてきた。図面を参照してより詳しく説明する。
【0100】
図12は、アンテナティルティング方式を説明するための図である。特に、図12の(a)には、アンテナティルティングが適用されていないアンテナ構造を示し、図12の(b)には、機械的ティルティングが適用されたアンテナ構造を示し、図12の(c)には、機械的ティルティングと電気的ティルティングの両方が適用されたアンテナ構造を示す。
【0101】
図12の(a)と図12の(b)とを比較すると、機械的ティルティングの場合、図12の(b)のように、初期設置時にビーム方向が固定されてしまうという短所がある。さらに、電気的ティルティングの場合、図12の(c)のように、内部位相遷移(phase shift)モジュールを用いてティルティング角(tilting angle)を変更することができるが、事実上、セル固定的ティルティングから、非常に制約的な垂直ビームフォーミングしかできないという短所がある。
【0102】
図13は、既存のアンテナシステムと能動アンテナシステム(Active Antenna System;AAS)とを比較する図である。特に、図13の(a)には既存のアンテナシステムを示し、図13の(b)には能動アンテナシステムを示す。
【0103】
図13を参照すると、能動アンテナシステムは、既存のアンテナシステムと違い、複数のアンテナモジュールのそれぞれが電力増幅器をはじめとしてRFモジュール、すなわち、能動(active)素子を備えており、アンテナモジュールのそれぞれに対して電力及び位相を調節できるという特徴を有する。
【0104】
一般に考慮してきたMIMOアンテナ構造は、ULA(uniform linear array)のように、線形的な、すなわち、1次元アレイのアンテナを考慮した。このような1次元アレイ構造では、ビームフォーミングで生成可能なビームが2次元平面内に存在する。これは、既存の基地局の受動アンテナシステム(Passive Antenna System;PAS)ベースのMIMO構造にも適用される。PASベースの基地局にも垂直アンテナ及び水平アンテナが存在するが、垂直アンテナは一つのRFモジュールに拘束されているため、垂直方向にビームフォーミングが不可能であり、上述した機械的ティルティングしか適用することができない。
【0105】
しかし、基地局のアンテナ構造が能動アンテナシステムへと進化しながら、垂直方向のアンテにも独立したRFモジュールが具現されることとなり、これによって、水平方向だけでなく垂直方向にもビームフォーミングが可能になった。これをエレベーションビームフォーミング(elevation beamforming)と呼ぶ。
【0106】
エレベーションビームフォーミングによれば、生成可能なビームを、垂直及び水平方向へと3次元空間に表現することができ、これを3次元ビームフォーミングと呼ぶこともできる。すなわち、3次元ビームフォーミングは、1次元アレイのアンテナ構造から平面形態の2次元アレイのアンテナ構造に進化することから可能になったものである。ここで、3次元ビームフォーミングは、アンテナアレイが必らしも平面(planar)形状である必要はなく、リング(ring)形状の3次元形態のアレイ構造でも可能である。3次元ビームフォーミングの特徴は、既存の1次元アレイのアンテナ構造ではなく様々な形態のアンテナ配置によってMIMOプロセスが3次元空間上でなされるということにある。
【0107】
図14は、能動アンテナシステムに基づいて端末特定ビームを形成した例を示す図である。図14を参照すると、3次元ビームフォーミングによって、端末が基地局の左右に動く場合だけでなく、前後に動く場合にもビームフォーミングが可能であり、端末特定ビーム形成に、より高い自由度が提供されることがわかる。
【0108】
なお、能動アンテナベースの2次元アレイのアンテナ構造を用いた送信環境としては、室外基地局から室外端末に送信する環境だけでなく、室外基地局が室内端末に送信する環境(O2I、Outdoor to Indoor)、及び室内基地局が室内端末に送信する環境(Indoor hotspot)などを考慮することができる。
【0109】
図15は、能動アンテナシステムベースの2次元ビーム送信シナリオを示す図である。
【0110】
図15を参照すると、セル内に様々な複数の建物が存在する実際セル環境を仮定すると、基地局は、端末特定水平ビーム操向だけでなく、建物の高さによる様々な端末の高さを考慮した垂直ビーム操向能力まで考慮しなければならない。このようなセル環境を考慮する場合、既存の無線チャネル環境とは多く異なるチャネル特性、例えば、高さの差による陰影/経路損失変化、フェーディング特性変化などを反映する必要がある。
【0111】
言い換えると、3次元ビームフォーミングは、既存に線形的な1次元アレイのアンテナ構造に基づいて水平方向にのみなされた水平ビームフォーミングが進化したものであり、平面配列(planar array)などの多次元アレイのアンテナ構造に基づいてエレベーションビームフォーミング或いは垂直ビームフォーミングまで拡張及び結合された形態のMIMOプロセシング技法を意味する。
【0112】
以下、線形プリコーディング(linear precoding)を用いたMIMOシステムについて説明する。狭帯域システム(Narrow band system)或いは広帯域システム(Wideband system)で周波数側に平面フェーディング(flat fading)を経ると仮定し得る周波数単位(例えば、副搬送波単位)において、下りリンクMIMOシステムは、次の式11のようにモデリングすることができる。
【数12】
【0113】
【数13】
【0114】
上記のシステムモデルは、単一端末送信シナリオ(single user MIMO)だけでなく、多重端末送信シナリオ(multi−user MIMO)にも適用可能である。
【数14】
【0115】
上記のシステムモデルは、下りリンク送信シナリオだけでなく、上りリンク送信シナリオにも適用可能である。
【数15】
【0116】
【数16】
【0117】
【数17】
【0118】
【数18】
【0119】
上記の式14で、各レイヤにて信号を同一電力で送信する場合、
【数19】
が成立することがわかる。
【0120】
一方、上述した大規模MIMO(Massive MIMO或いはLarge scale MIMO)のように、将来の多重アンテナシステムは進化を重ねながらアンテナ数が益々増加する可能性があり、実際にLTE標準では3D MIMO環境を考慮して最大64個の基地局送信アンテナを考慮している。大規模MIMOアレイは、以下の特徴の一つ以上を有してもよい。1) アンテナのアレイは、2次元平面上または3次元空間上に配置される。2) 論理的または物理的なアンテナの数は、8より大きい(アンテナポートは、論理的アンテナに対応することができる)。3) 複数のアンテナは、活性成分、すなわち、アクティブアンテナ(単数または複数)を含む。しかし、大規模なアンテナアレイの定義は、上記1)〜3)には限定されない。
【0121】
しかしながら、アンテナ数が増加するほど、パイロット及びフィードバックオーバーヘッドが大きくなり、デコーディング複雑度が増加するなどの問題点が発生しうる。基地局のアンテナ数が増加するほど、
【数20】
のサイズが大きくなるため、端末がMIMOチャネルを推定できるように基地局が送信する測定用途のパイロットの個数も増加しなければならない。また、端末が測定したMIMOチャネルに関する明示的な或いは暗示的な情報を基地局に知らせるようにフィードバックするとすれば、チャネル行列が大きくなるにつれてフィードバック量も増加することになる。特に、LTEシステムのようにコードブックベースPMIフィードバック送信を行う場合、PMIコードブックのサイズもアンテナ数の増加につれて幾何級数的に増加し、基地局と端末の計算複雑度を増加させる。
【0122】
このような環境で、全体送信アンテナを区画化(partitioning)してサブ−アレイ(sub−array)単位にパイロット送信をしたり、サブ−アレイ単位にフィードバックを行うようにすると、システム複雑度及びオーバーヘッドを軽減させることができる。特に、LTE技術標準の観点で既存に8個の送信アンテナまで支援するパイロット、MIMOプリコーディング方式及び/又はフィードバック体系を相当再使用して大規模MIMOシステムを支援することができるという長所がある。
【0123】
【数21】
【0124】
【数22】
【0125】
万一、端末が好む各サブ−プリコーディングベクトルをPMIコードブックベースで決定するとすれば、各サブ−プリコーディングベクトルを正規化する過程が必要である。ここで、正規化過程は、同一のサイズのサブ−プリコーディングベクトルは同一の送信アンテナ数に対するPMIコードブックからプリコーダを選択できるように、プリコーディングベクトル又はベクトルの特定元素の値、サイズ及び/又は位相を当該PMIコードブックから選択するに適するように行う全ての過程を総称する。
【0126】
【数23】
【0127】
上記の式16からわかるように、全体プリコーダ観点で、
【数24】
それぞれのNPPを連結する値と解釈することができる。以下ではこの値を連結係数と呼ぶ。結果として、各区画化されたアンテナポートに対する正規化されたプリコーディング方式と、それぞれの正規化されたプリコーダを連結し得る連結係数を規定すると、全体送信アンテナ(ポート)に対するプリコーディング方法を規定することができる。
【0128】
【数25】
【0129】
【数26】
【0130】
万一、各送信レイヤが同一の数の区画化を行うとすれば、次の式18の連結行列も定義することができる。また、各区画に対する行列形態のNPPも、次の式19のように定義することができる。
【数27】
【0131】
【数28】
【0132】
【数29】
【0133】
(拡張された)連結ベクトルと(拡張された)連結行列を総称してリンキング(linking)プリコーダという。ここで、プリコーダと命名することは、全体送信アンテナプリコーダを決定する一つの構成要素であるためである。リンキングプリコーダは、上記の式20のように一つで構成されてもよいが、これに制限されない。例えば、
【数30】
に対して任意の区画化をさらに行って、複数のサブ−リンキングベクトル(sub−linking vector)を構成することができ、これによってサブ−リンキングプリコーダが定義されてもよい。以下では、説明の便宜上、単一リンキングプリコーダを仮定するが、リンキングプリコーダの区画化シナリオも排除しない。
【0134】
上記の連結係数の表現時に、同一の区画の互いに異なる送信レイヤに互いに異なる連結係数が適用されるように表現したが、レイヤ別に同一の区画化を適用した場合、連結係数は、送信レイヤに独立して設定されてもよい。すなわち、全てのレイヤに対して同一の連結係数を設定することもできる。
【数31】
【0135】
一方、MIMOプリコーディング方式は、閉ループ(closed loop)プリコーディング方式と開ループ(open loop)プリコーディング方式とに大別することができる。一般に、閉ループプリコーディング方式は、MIMOプリコーダ構成時に送受信機間のチャネルを考慮するため、送信機にとってMIMOチャネルを推定するためには端末のフィードバック信号の送信、パイロット信号の送信のような追加のオーバーヘッドが必要であるが、チャネルが正確に推定されると、開ループプリコーディング方式に比べて優れた性能を有する。したがって、閉ループプリコーディング方式は、チャネルに対する推定正確度が要求され、よって、送信機と受信機間のチャネル変化が大きくない静的な環境(例えば、低いドップラー拡散、低い遅延拡散が存在する環境)で主に用いられる。一方、開ループプリコーディング方式は、送受信機間のチャネル変化とMIMOプリコーディング方式間の相関関係がないため、送信機と受信機間のチャネル変化が大きい環境で閉ループ方式に比べて優れた性能を示す。
【0136】
アンテナ数が非常に多い大規模MIMO環境で閉ループプリコーディング方式を適用するためには、それぞれのサブプリコーダ及びリンキングプリコーダの情報が必要である。ここで、コードブックベースのフィードバックが適用されないと、リンキングプリコーダ情報は要求されなくてもよい。区画化方式によって、各サブプリコーダが経る有効チャネル及びリンキングプリコーダが経る有効チャネルの特性は互いに異なってもよい。
【0137】
例えば、あるサブプリコーダが経るMIMOチャネルは、相対的に低いドップラー拡散特性を有するが、他のサブプリコーダが経るチャネルは高いドップラー拡散特性を有してもよい。他の例として、全てのサブプリコーダが経る有効チャネルは類似のドップラー特性を有するが、リンキングプリコーダが経る有効チャネルは、異なるドップラー特性を有してもよい。そこで、本発明では、上記の分割プリコーディング環境で各区画化されたチャネル及びリンキングチャネル(linking channel)の特性に適応的にMIMO送信技法を最適化する分割ビームフォーミング(Fractional beamforming)技法を提案する。
【0138】
<第1実施例−分割ビームフォーミング>
基地局は、各アンテナポート区画に対するプリコーダと各アンテナポート区画を連結するリンキングプリコーダの一部にのみ閉ループプリコーディングを行い、残りには次のいずれか一つのプリコーディング方式を適用することができる。
【0139】
1.システムで規定したプリコーディング方式(以下、デフォルト(Default)プリコーディング)
2.基地局或いはネットワークであらかじめ指定したプリコーディング方式(以下、参照(Reference)プリコーディング)
3.基地局が無作為に定めたプリコーディング方式(以下、ランダム(Random)プリコーディング)
【0140】
以下では、閉ループプリコーディングが適用される区画及び/又は連結係数の集合を制御空間、閉ループプリコーディングが適用されない区画及び/又は連結係数の集合を非制御空間と呼ぶ。
【0141】
上記のシステムで規定したプリコーディング方式であるデフォルトプリコーディング方式は、非制御空間に対して送信するビームをシステムで規定して使用する方法を意味する。デフォルトプリコーディングは、任意の開ループプリコーディング方式に従うように規定することができる。デフォルトプリコーディングは、システム帯域幅、基地局送信アンテナ数、送信レイヤ数(又は、送信ランク)、基地局送信アンテナ構成
【数32】
又は非制御方向の送信アンテナ数によって異なるように設定することができる。又は、これらのシステムパラメータによらず、特定ビームに設定することもできる。また、デフォルトプリコーディングは、全周波数帯域と時間にわたって固定されてもよく、特定時間リソース単位及び/又は周波数リソース単位に変化してもよい。
【0142】
また、基地局或いはネットワークであらかじめ指定したプリコーディング方式である上記の参照プリコーディング方式は、基地局或いはネットワークが、非制御空間に対して適用するプリコーディング方式を端末に指定する方法を意味する。このため、非制御空間に対する参照プリコーディング情報が物理層或いは上位層メッセージで端末に伝達される特徴を有する。上記の参照プリコーディング情報は、非制御空間で適用されるMIMOプリコーダを明示的、暗示的に知らせ得る情報であればいずれも可能である。例えば、非制御空間送信アンテナ数に該当するPMIコードブックの特定インデックス(PMI)、非制御空間のMIMOプリコーディング行列の各元素の量子化された値、複数のMIMOプリコーディング方式のインデックスから選ばれた、送信に用いられるインデックスなどを、参照プリコーディング情報としてシグナルすることができる。
【0143】
また、参照プリコーディングも同様、特定時間リソース単位或いは周波数リソース単位に変化してもよい。この場合、参照プリコーディングの時間/周波数リソース別変化パターンを複数個規定した後、該当の基地局或いはネットワークで使用する参照プリコーディングパターンインデックスを参照プリコーディング情報としてシグナルすることができる。或いは、時間/周波数リソース別変化パターンを誘導し得るランダム変数生成器のシード(seed)値を参照プリコーディング情報として用いることもできる。或いは、様々なプリコーディング方式(例えば、STBC、遅延ダイバーシティ(delay diversity)など)のうちいずれの方式を用いるかを、参照プリコーディング情報として用いることもできる。
【0144】
なお、基地局が無作為に定めたプリコーディング方式であるランダムプリコーディング方式は、非制御空間に対して適用されるプリコーディング方式を、基地局が任意に決定して適用する方式を意味する。このため、デフォルトプリコーディング方式や参照プリコーディング方式とは違い、非制御空間に対して適用されるプリコーダを端末が知らないという特徴がある。一例として、基地局は、非制御空間に対して、特定時間リソース単位(例えば、OFDMシンボル)及び/又は周波数リソース単位(例えば、副搬送波)で無作為に変化するビームを送信することができる。
【0145】
本発明の第1実施例で説明する分割ビームフォーミング方式において、送信レイヤ別に独立した区画化及び分割ビームフォーミング方式を適用することができる。又は、全ての送信レイヤに対して同一の区画化及び分割ビームフォーミング方式を適用することもできる。
【0146】
本発明の分割ビームフォーミング方式は、送信アンテナの一部のアンテナに対するフィードバック情報或いは連結係数に対するフィードバック情報の信頼性が低下したり、当該フィードバックが不要なチャネル環境の場合に非常に有用である。特に、一部のアンテナに対するフィードバック情報或いは連結係数に対するフィードバック情報の信頼性が低下する場合、フィードバック情報の誤りによる不要なパケット受信誤り及び再送信を防止することができ、フィードバックが不必要な場合、フィードバックオーバーヘッドを最小化できるという長所がある。
【0147】
<第2実施例−整合(Aligned)分割プリコーディング>
一部或いは全てのアンテナポート区画が同一のサイズを有し、該当の区画化されたアンテナアレイが類似の有効チャネル特性を有する場合、該当のNPPに同一のプリコーディング方法、すなわち、整合分割プリコーディングを適用することができる。
【0148】
図16は、本発明の第2実施例によって均一線形アレイにおいて整合分割プリコーディングを適用する例を説明する図である。
【0149】
図16を参照すると、8個のアンテナで構成された均一線形アレイ(uniform linear array;ULA)において、1番目の区画は1,3,5,7番目のアンテナで構成され、2番目の区画は2,4,6,8番目のアンテナで構成されるとしよう。仮に、各アンテナ間の間隔が狭く、周辺にスキャッタ(scatterer)が多くないと、1番目の区画と2番目の区画は、リンキングプリコーダ成分に該当する両区画間の位相差を除けば、類似のMIMOチャネルを経る確率が高い。このような場合、両区画に同一のプリコーディング方式を適用するように設定する。
【0150】
図17は、本発明の第2実施例によって平板アレイ(square array)において列(column)ベース整合分割プリコーディングを適用する例を説明する図である。
【0151】
【数33】
【0152】
図18は、本発明の第2実施例によって平板アレイにおいて行(row)ベース整合分割プリコーディングを適用する例を説明する図である。
【0153】
【数34】
【0154】
図19は、本発明の第2実施例によって平板アレイにおいて行(row)グループベース整合分割プリコーディングを適用する例を説明する。
【0155】
【数35】
【0156】
【数36】
【0157】
【数37】
【0158】
【数38】
【0159】
すなわち、図17の例示や図18の例示のように、2次元アンテナ(ポート)アレイ環境で行又は列方向に完全整合(perfectly aligned)分割プリコーディングを行う場合、3次元ビームフォーミングを行うプリコーダは、一つのサブプリコーダと一つのリンキングプリコーダで表現することができ、両プリコーダのうち、一つのプリコーダは垂直ビームフォーミングを行い、他のプリコーダは水平ビームフォーミングを行う。
【0160】
このように完全整合分割プリコーディングが行われる環境で提案する分割ビームフォーミングを適用する場合、全ての区画に対するプリコーディングが一致した環境で、基地局はサブプリコーダとリンキングプリコーダのいずれか一つに閉ループプリコーディングを行い、残りにはデフォルトプリコーディング、参照プリコーディング及びランダムプリコーディングのいずれか一つを適用する。
【0161】
本発明の第2実施例は、図17及び図18に示したように2次元アンテナアレイの環境で3Dビームフォーミングを行う場合に有用である。3Dビームフォーミング、特に、端末特定(UE−specific)3Dビームフォーミングは、端末の水平的、垂直的位置と、3次元空間上のスキャッタリング環境によって送信性能を最適化できるという長所がある。しかし、端末特定3Dビームフォーミングは閉ループプリコーディング方式であり、これを円滑に行うためには、基地局と端末間の正確なチャネル情報(CSI)が要求される。
【0162】
したがって、基地局アンテナ数の増加及びビームフォーミング次数の増加によって、MIMO送信方式による性能最低値と最大値間の差がより大きくなるため、チャネル推定誤り、フィードバック誤り及びチャネルエージング(aging)などの基地局CSI推定誤りの要因による性能敏感度がより高くなる。基地局のCSI推定誤りが大きくない場合には、チャネルコーディングなどの効果によって正常の送信が行われうるが、その誤りが大きい場合にはパケット受信誤りが発生し、パケット再送信が起きるなどのむ深刻な性能低下が発生しうる。
【0163】
例えば、基地局に対して水平方向に高速で移動している端末に3Dビームフォーミングを行うことは、パケット再送信を招く確率が高い。従来ではこのような端末に開ループプリコーディング方式を用いたが、この端末は垂直方向には静的なチャネルを経ることから、垂直ビームフォーミングを行うことが有利である。逆に、垂直方向に高速で移動している端末、或いは垂直方向にスキャッタリングが激しい環境下の端末には、水平ビームフォーミングを行うことが有利である。また、狭くて高いビルディング内に位置している端末には3Dビームフォーミングを行うが、基地局が水平ビームフォーミング方向を特定方向に固定することができる。すなわち、該当の端末には垂直ビームフォーミングのみのためにフィードバック情報を構成するように誘導し、フィードバックオーバーヘッドを減らすことができる。
【0164】
したがって、本発明の第2実施例である分割ビームフォーミングを3Dビームフォーミング環境に適用すると、ユーザ環境に応じて2Dビームフォーミング(垂直ビームフォーミング又は水平ビームフォーミング)を行うことができる。このような側面から、本技法は、部分次元ビームフォーミング(partial dimensional beamforming)と呼ぶこともできる。例えば、2次元送信アンテナポートを有する基地局は、垂直プリコーダ及び水平プリコーダのいずれか一つに閉ループプリコーディングを行い、残りには、デフォルトプリコーディング、参照プリコーディング及びランダムプリコーディングのいずれか一つのプリコーディング方式を適用することができる。
【0165】
<第3実施例>
以上の実施例では、分割プリコーディング方式において各サブプリコーダ及びリンキングプリコーダを基地局のデータ送信観点で定義した。端末観点では、閉ループ方式が適用されるサブプリコーダ及びリンキングプリコーダと関連して、好むプリコーダに関する情報(PPI;preferred precoding index)を基地局に送信することができる。代表的なPPIで行列プリコーダをインデックス化した後、好むインデックスをフィードバックするPMIフィードバック方式を挙げることができる。
【0166】
一部のフィードバック情報が区画及び/又は区画を連結する値で構成された単位に分離されると、基地局が端末に送信するパイロット信号も、特定アンテナポートの集合と関連付けることができる。このようなパイロット信号の集合をパイロットパターンという。代表のパイロットパターンとして、LTEシステムで用いる測定パイロット(measurement pilot)であるNZP(non−zero−power)CSI−RSリソース(又は、プロセス)がある。例えば、次のような区画、CSI−RS、及びPMIフィードバック間のマッピング関係を定義することができる。
【0167】
A. Aligned unit of Partition & Pilot pattern & PMI feedback
【0168】
1.(Partition)16個のアンテナポートで構成されたシステムにおいて、基地局は、8個のアンテナポート単位の2つの区画にして分割プリコーディングを行う。
【0169】
2.(Pilot pattern)分割プリコーディングを支援するために、基地局は、各区画ごとに8tx NZP CSI−RSリソースを割り当てて送信する。すなわち、端末に2つのco−located NZP CSI−RSリソースを設定する。
【0170】
3.(PMI feedback)端末は、2つのアンテナポート区画に対するPMI 1、PMI 2、及びPMI 1とPMI 2とを連結する連結係数値(例えば、リンキングプリコーダに対するPMI 3)をフィードバックする。
【0171】
すなわち、各アンテナポート区画に対して別のNZP CSI−RSリソースを割り当てる場合、一つの基地局(又は、送信ポイント(transmission point))に属した複数のco−located(又は、同期化された)アンテナポート区画に対して、基地局は端末に複数のNZP CSI−RSリソースを設定することができる。このとき、CoMP送信などに用いられるnon−co−locatedアンテナポートパターンと上記co−locatedアンテナポートパターンとを区別するために、基地局はNZP CSI−RSリソース間のco−locationの有無をさらに知らせることができる。例えば、複数のNZP CSI−RSリソース間のQCL(quasi−co−location)条件を端末に知らせることができる。
【0172】
パイロット送信単位とアンテナポート区画単位とが、上記の例のように、必ずしも一致するわけではない。例えば、1つの8tx CSI−RSリソースを設定した状態で、端末は2つの4tx区画に対するフィードバック情報を構成することもできる。また、アンテナポート区画単位とフィードバック単位も必ずしも一致するわけではない。特に、整合分割プリコーディングの場合、同一のプリコーディングを適用する区画に対しては共通のPPIフィードバック情報がフィードバックされてもよいため、複数の区画に対して一つのフィードバック単位が構成されてもよい。
【0173】
B. Not aligned unit of Partition & Pilot pattern & PMI feedback
【0174】
1.(Partition)アンテナポート区画化は、上記の図18と同一に構成されると仮定する。
【0175】
2.(PMI feedback)フィードバック情報は、完全整合分割プリコーディングの場合を考慮して、全ての区画に対して共通に適用し得るPPI(以下、共通PPI)と連結係数値で構成する。この場合、区画単位とフィードバック単位は互いに異なると見なすことができる。
【0176】
3.(Pilot pattern)パイロットパターン割り当て方法には様々なものがある。図20乃至図22は、本発明の第3実施例に係るパイロットパターン割り当て方法を例示する。具体的に、図20に示すように、各区画別に別個のパイロットリソースを設定することもでき、図21に示すように、端末が共通PPIを計算できるように、最初の区画に一つのパイロットパターンを送信し、端末が連結係数値を計算できるように、リンキングプリコーダが適用されるアンテナポートに一つのパイロットパターンを送信することもできる。又は、端末が共通PPIと連結係数を一度で計算できるように、図22に示すように、一つのパイロットパターンのみを設定することもできる。
【0177】
<第4実施例−分割ビームフォーミングのためのCSI算出>
本発明の第4実施例では、分割ビームフォーミングのための端末のCSI計算方法及びCSIフィードバック情報構成方法を提案する。まず、分割ビームフォーミングを適用するシステムにおける端末のCSI(channel state information)計算方法として、端末が一部のCSIを測定或いは計算する際に、各アンテナポート区画及びリンキング係数(linking coefficient)のうち、非制御空間に該当する一部に対して、デフォルトプリコーディング、参照プリコーディング及びランダムプリコーディングのいずれか一つのプリコーディング方式を適用することを仮定する。
【0178】
ここで、一部のCSIには、PMIの他、CQI及びRIも含む。また、ランダムプリコーディングの場合、端末は、基地局が非制御空間にいかなるプリコーディング方式を適用するかが把握できず、基地局の非制御空間に対するプリコーディング方式を任意に仮定してCSIを計算する。
【0179】
端末が非制御空間に対するプリコーディング方式を任意に仮定してCSIを計算する方式は、次の(1)乃至(3)のように様々に定義することができる。
【0180】
(1)まず、端末は、非制御空間に対して、限定された個数Nのプリコーダ候補(candidates)を設定し、該当の候補をそれぞれ適用した時のCQI1,…,CQINを求める。その後、端末は、非制御空間に対する全てのプリコーダ候補に対するCQI値の平均値、すなわち、CQI=(CQI1+…+CQIN)/Nを報告する。
【0181】
(2)端末は、非制御空間に対して、限定された個数Nのプリコーダ候補を設定し、該当の候補をそれぞれ適用した時のCQI1,…,CQINを求める。その後、端末は、非制御空間に対する全てのプリコーダ候補のうち、worst case CQI、すなわち、CQI=minimum of {CQI1,…,CQIN}を報告する。
【0182】
(3)端末は、非制御空間に対してランダムにプリコーダを生成及び設定し、該当のプリコーダを適用した時のCQIを求めて基地局にフィードバックすることもできる。
【0183】
上記のCQI算出方法を、3Dビームフォーミング環境における部分次元ビームフォーミング(partial dimensional beamforming)技術に拡張/適用すると、端末が一部のCSIを測定或いは計算するにあって、垂直プリコーダ或いは水平プリコーダのいずれかに対してデフォルトプリコーディング、参照プリコーディング及びランダムプリコーディングのいずれか一つのプリコーディング方式を適用することとして具現することができる。
【0184】
一方、上記では区画とCSIフィードバックの観点を連結したが、パイロットとCSIフィードバックとの関係は、区画とCSIフィードバックとの関係と異なってもよい。このため、端末が一部のCSIを測定或いは計算する際、複数の(co−located)アンテナポートパターン及びこれらの(co−located)アンテナポートパターンを連結する値のうち非制御空間に該当する一部に対して、デフォルトプリコーディング、参照プリコーディング及びランダムプリコーディングのいずれか一つのプリコーディング方式を適用することができる。上記アンテナポートパターンは、NZP CSI−RSリソース及びCSI−RSパターンを含む概念である。これを具体的に例示すると、次の(A)乃至(D)のとおりである。
【0185】
(A)図20の例で、リンキングプリコーダ(又は、垂直プリコーダ)が非制御空間に属するとすれば、基地局は端末に複数の(co−located)パイロットパターンを設定し、端末は、各パイロットパターンに該当するMIMOチャネルに適用されるPMIを連結する値として、システムで約束された値、基地局から指定された値、或いは無作為に生成した値を仮定してCSIを計算する。
【0186】
(B)図20の例で、サブプリコーダ(水平プリコーダ)が非制御空間に属するとすれば、基地局は端末に複数の(co−located)パイロットパターンを設定し、端末は、一部或いは全てのパイロットパターンに適用されるプリコーダとして、システムで約束された値、基地局から指定された値、或いは無作為に生成した値を仮定してCSIを計算する。
【0187】
(C)図21の例で、リンキングプリコーダ(又は、垂直プリコーダ)が非制御空間に属するとすれば、基地局は端末に2つの(co−located)パイロットパターンを設定し、端末は、2つのパイロットパターンのうち一つのパイロットパターンに該当するMIMOチャネルに適用されるプリコーダとして、システムで約束された値、基地局から指定された値、或いは無作為に生成した値を仮定してCSIを計算する。
【0188】
(D)図22の例で、基地局は端末に一つのパイロットパターンを設定し、端末は、設定されたパイロットパターンに属するアンテナポートのうち一部に該当するMIMOチャネルに適用されるプリコーダとして、システムで約束された値、基地局から指定された値、或いは無作為に生成した値を仮定してCSIを計算する。
【0189】
<第5実施例−分割ビームフォーミングのためのCSIコンテンツ>
分割ビームフォーミングのための暗黙的(implicit)フィードバック情報は、一部の区画及び/又はリンキングプリコーダに対して端末が好むPMI或いは係数値を含むことができる。これに対するパイロット(パターン)及びPMIフィードバックの関係を考慮すれば、端末がPPI(preferred precoding indication)フィードバック情報を構成する際、複数の(co−located)アンテナポートパターン及び上記(co−located)アンテナポートパターンを連結する値のうち、制御空間に該当する一部に対するPPIのみをCSIコンテンツとして含むことができる。
【0190】
このとき、上記複数の(co−located)アンテナポートパターンは同一の送信ポイントに属しているため、共通に適用可能なCQI及びRIが基地局にフィードバックされることが効率的である。このため、端末がフィードバック情報を構成する際、複数の(co−located)アンテナポートパターン及びこれらの(co−located)アンテナポートパターンを連結する値のうち、制御空間に該当する一部に対するPPI及び全体の(co−located)アンテナポートパターンに対するCQI、RIを、CSIコンテンツとして含むことができる。具体的に、次の(a)乃至(c)のようにCSIコンテンツを構成することができる。
【0191】
【数39】
さらに、リンキングプリコーダに対するPMIをフィードバックすることができる。この場合、端末がPMI報告を行わないCSI−RSパターンに対しは、端末は、第4実施例によるCSI算出方法を適用してPMI、CQI、RIを計算することができる。
【0192】
(b)万一、図21のような3Dビームフォーミング環境におけるCSI−RS送信方式を考慮すると、基地局は、まず、端末に2個の(co−located)CSI−RSパターンを設定し、端末は、設定された2個のCSI−RSパターンのいずれか一つのCSI−RSパターンに対するPMI、上記2個のCSI−RSパターンを結合した結合(aggregated)CSI−RSリソースに対する一つのCQI、及び結合(aggregated)CSI−RSリソースに対する一つのRIを基地局に送信することができる。この場合、2つのCSI−RSパターンの一番目のアンテナポートは同一の物理アンテナで送信されるため、端末はリンキングプリコーダに対するPPIを送信する必要がない。
【0193】
(c)万一、図22のように単一パイロットパターン設定方式を考慮すると、基地局は端末に一つのCSI−RSパターンを設定し、端末は、設定されたCSI−RSパターンに属したアンテナポートの一部に対するPMI、全体アンテナポートに対する一つのCQI、及び全体アンテナポートに対する一つのRIを基地局に送信することができる。
【0194】
一方、上記の(a)乃至(c)において、CQIは、全体送信レイヤに対して一つのCQIがフィードバックされると仮定したが、これに制限されない。例えば、LTEシステムのように、複数レイヤの送信時に同一のMCS(Modulation and Coding Scheme)を適用することと定義された場合、コードワード単位にCQIをフィードバックすることができる。この場合、一つのCQIは、コードワード別に一つのCQIに変形されて適用されてもよいことは勿論である。
【0195】
また、分割ビームフォーミング(Fractional beamforming)のためには、上記CSI情報又は別途のフィードバックとして、端末のチャネル移動に関する情報が必要である。このような情報は、具体的に、チャネルの統計的資料(例えば、LoS parameter、Path−loss、Correlationなど)と移動性(Mobility)関連情報(移動方向、速度、加速度、ドップラー拡散(Doppler spread)など)を含むことができる。
【0196】
特に、上記移動方向は、絶対的な方向(例えば、特定基準位置に対する相対的位置変化)であってもよく、相対的な方向(例えば、基準基地局の位置に対する端末の位置変化)であってもよい。ここでいう基準基地局の位置とは、サービングeNB(ポイント)の位置、あらかじめ指定されたeNB(ポイント)位置、又は基地局がシグナリングで知らせた特定座標を指すことができる。また、上記相対的な方向は、基地局のPRS(Positioning Reference Signal)のような特定信号、又は相対的距離情報や応答遅延情報を含む特定メッセージに基づいて測定することができる。
【0197】
さらに、上述した実施例で言及した一つのPMIは、必ずしも一つのインデックスで表現されない。例えば、LTEシステムにおいて基地局が総8個の送信アンテナポートを送信する場合、端末は、2個のPMIをフィードバックするように規定されている。このため、一つのパイロットパターンが8個或いはそれ以上の送信アンテナポートで構成された場合、2つ以上のPMIを、それぞれのパイロットパターンに対する選好インデックスを示すために用いることができる。
【0198】
また、本発明で提案するフィードバック情報を広帯域システムに適用するとすれば、特定周波数領域(例えば、サブバンド、副搬送波、リソースブロックなど)に区分し、各周波数領域に対して別個のフィードバック情報集合をフィードバックすることができる。或いは、端末が選択したり基地局が指定した特定周波数領域に対してのみフィードバック情報が送信されてもよい。ここで、周波数領域は、連続した又は非連続した一つ以上の周波数領域で構成されてもよい。
【0199】
図23は、本発明の一実施例に係る通信装置のブロック構成図である。
【0200】
図23を参照すると、通信装置2300は、プロセッサ2310、メモリ2320、RFモジュール2330、ディスプレイモジュール2340、及びユーザインターフェースモジュール2350を備えている。
【0201】
通信装置2300は説明の便宜のために示されたもので、一部のモジュールは省略されてもよい。また、通信装置2300は必要なモジュールをさらに備えてもよい。また、通信装置2300において一部のモジュールはより細分化したモジュールに区分されてもよい。プロセッサ2310は、図面を参照して例示した本発明の実施例に係る動作を実行するように構成される。具体的に、プロセッサ2310の詳細な動作は、図1乃至図22に記載された内容を参照すればよい。
【0202】
メモリ2320は、プロセッサ2310に接続し、オペレーティングシステム、アプリケーション、プログラムコード、データなどを格納する。RFモジュール2330は、プロセッサ2310に接続し、基底帯域信号を無線信号に変換したり、無線信号を基底帯域信号に変換する機能を果たす。そのために、RFモジュール2330は、アナログ変換、増幅、フィルタリング及び周波数アップ変換又はこれらの逆過程を行う。ディスプレイモジュール2340は、プロセッサ2310に接続し、様々な情報をディスプレイする。ディスプレイモジュール2340は、特に制限されるものではなく、LCD(Liquid Crystal Display)、LED(Light Emitting Diode)、OLED(Organic Light Emitting Diode)のような周知の要素を用いることができる。ユーザインターフェースモジュール2350は、プロセッサ2310に接続し、キーパッド、タッチスクリーンなどのような周知のユーザインターフェースの組合せで構成可能である。
【0203】
以上説明してきた実施例は、本発明の構成要素及び特徴を所定形態に結合したものである。各構成要素又は特徴は、別の明示的な言及がない限り、選択的なものとして考慮しなければならない。各構成要素又は特徴は、他の構成要素や特徴と結合しない形態で実施することもでき、一部の構成要素及び/又は特徴を結合して本発明の実施例を構成することもできる。本発明の実施例で説明される動作の順序は変更されてもよい。ある実施例の一部構成や特徴は、他の実施例に含まれてもよく、他の実施例の対応する構成又は特徴に取り替わってもよい。特許請求の範囲において明示的な引用関係にない請求項を結合して実施例を構成したり、出願後の補正により新しい請求項として含めたりできるということは明らかである。
【0204】
本文書で基地局によって行われるとした特定動作は、場合によってはその上位ノード(upper node)によって行われることもある。すなわち、基地局を含む複数のネットワークノード(network nodes)からなるネットワークにおいて端末との通信のために行われる様々な動作は、基地局又は基地局以外の他のネットワークノードによって行われ得ることは明らかである。基地局は、固定局(fixed station)、NodeB、eNodeB(eNB)、アクセスポイント(access point)などの用語にしてもよい。
【0205】
本発明に係る実施例は、様々な手段、例えば、ハードウェア、ファームウェア(firmware)、ソフトウェア又はそれらの結合などによって具現することができる。ハードウェアによる具現では、本発明の一実施例は、一つ又はそれ以上のASICs(application specific integrated circuits)、DSPs(digital signal processors)、DSPDs(digital signal processing devices)、PLDs(programmable logic devices)、FPGAs(field programmable gate arrays)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサなどによって具現することができる。
【0206】
ファームウェアやソフトウェアによる具現では、本発明の一実施例は、以上で説明された機能又は動作を実行するモジュール、手順、関数などの形態で具現されてもよい。ソフトウェアコードは、メモリユニットに記憶され、プロセッサによって駆動可能である。メモリユニットは、プロセッサの内部又は外部に設けられ、公知の様々な手段によってプロセッサとデータを交換することができる。
【0207】
本発明は、本発明の特徴から逸脱しない範囲で別の特定の形態に具体化できるということが当業者にとっては自明である。したがって、上記の詳細な説明は、いずれの面においても制限的に解釈してはならず、例示的なものとして考慮しなければならない。本発明の範囲は、添付の請求項の合理的な解釈によって決定すべきであり、本発明の等価的範囲内における変更はいずれも本発明の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0208】
以上、無線通信システムにおいて大規模MIMOを用いた分割ビームフォーミング方法は、3GPP LTEシステムに適用される例を中心に説明されたが、3GPP LTEシステムの他、様々な無線通信システムにも適用可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
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図21
図22
図23