特許第6486846号(P6486846)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6486846
(24)【登録日】2019年3月1日
(45)【発行日】2019年3月20日
(54)【発明の名称】ドレン水排水機構
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/22 20060101AFI20190311BHJP
【FI】
   F24F1/00 361B
   F24F13/22 227
【請求項の数】4
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-30456(P2016-30456)
(22)【出願日】2016年2月19日
(65)【公開番号】特開2017-146083(P2017-146083A)
(43)【公開日】2017年8月24日
【審査請求日】2016年12月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】393024717
【氏名又は名称】オーケー器材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087985
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 宏司
(72)【発明者】
【氏名】小椋 聡
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 仁司
【審査官】 浅野 弘一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−105789(JP,A)
【文献】 実開昭60−060624(JP,U)
【文献】 実開昭60−045994(JP,U)
【文献】 特開昭59−223515(JP,A)
【文献】 実開昭51−125319(JP,U)
【文献】 特開2015−068448(JP,A)
【文献】 特開2015−075189(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0076055(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/00
F24F 13/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和機における室内機(IU)のドレン排水口(2)とドレン排水管(3)とに継手部(6,10)を介して可撓性のドレンホース(4)が着脱自在に取り付けられるドレン水排水機構(1)であって、
前記継手部(6,10)のうちの前記ドレン排水口(2)と前記ドレンホース(4)とを接続する室内機側継手部(10)は、前記ドレン排水口(2)に取り付けられる第1継手部材(20)と、前記ドレンホース(4)に取り付けられる第2継手部材(30)とを有し、前記第1継手部材(20)と前記第2継手部材(30)とが挿抜式に、かつ着脱自在に組み付けられてなり、
前記第2継手部材(30)は、前記第1継手部材(20)が延びる方向に延びる横管(31)と、前記横管(31)から前記ドレンホース(4)に向けて立ち上がる縦管(32)とを有し、
前記横管(31)は、前記第1継手部材(20)が挿入される第1管部(31a)と、前記第1管部(31a)と前記縦管(32)との連結部を形成する、内径が前記第1管部(31a)の内径よりも小さい第2管部(31b)と、前記第1継手部材(20)が前記第2継手部材(30)に対し着脱自在に組み付けられる際の、前記第1継手部材(20)の当たり面を成す段差部(31c)とを有し、
前記段差部(31c)は、前記第1管部(31a)と前記第2管部(31b)との境界部に設けられるとともに、前記第1管部(31a)と前記第2管部(31b)とを繋ぐ通路を有し、
前記段差部(31c)の通路は、前記縦管(32)の立ち上がり方向を長手方向とした長孔(31d)に形成され、
前記長孔(31d)の最下部(31L)は、前記第2管部(31b)通路の最下部(31L)に対して同一高さ又は上方に位置し、前記第1継手部材(20)に挿入された前記ドレン排水口(2)の端部の最下部(2L)に対しては下方に位置する
ことを特徴とするドレン水排水機構。
【請求項2】
前記長孔(31d)の短径(SD)は、前記第2管部(31b)の通路において前記横管(31)が延びる方向(X)と上下方向(Y)とに直交する幅方向の寸法に等しい
ことを特徴とする請求項1に記載のドレン水排水機構。
【請求項3】
前記第2管部(31b)の通路における下方の部分は、円弧状に形成され、
前記長孔(31d)の下方の部分は、前記第2管部(31b)の通路における下方の部分の内径に等しい円弧状に形成されている
ことを特徴とする請求項2に記載のドレン水排水機構。
【請求項4】
前記段差部(31c)の通路の最下部(31L)は、前記第1継手部材(20)における前記第2継手部材(30)側の開口端部(22)の通路の最下部(22L)と同じ位置、又は前記第1継手部材(20)における前記第2継手部材(30)側の開口端部(22)の通路の最下部(22L)よりも下方に位置する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のドレン水排水機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機の室内機において発生したドレン水を室内機の外部に排水するためのドレン水排水機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、天井裏等に設置された室内機は、天井裏等に設けられた梁を跨ぐように、室内機のドレン排水口から上方に立ち上げられた後に水平方向に延びる配管やホースによって、室外に繋がるドレン排水管に接続されている。これにより、室内機において発生したドレン水は、ドレン排水口から配管やホースを経てドレン排水管に排水される。
【0003】
このような室内機とドレン排水管との接続構造であるドレン水排水機構の一例として、例えば特許文献1には、室内機のドレン排水口とドレン排水管とに継手部を介して着脱自在な状態でドレンホースを取り付ける接続構造が開示されている。この種の接続構造のうちの継手部を介したドレン排水口とドレンホースとの接続構造の一例について、図13を用いて説明する。
【0004】
ドレン排水口100及びドレンホース101を着脱自在に取り付ける継手部110は、ドレン排水口100に取り付けられる中空円筒状の第1継手部材120とドレンホース101に取り付けられる中空円筒状の第2継手部材130とが係止具140により固定された構成である。第1継手部材120及び第2継手部材130内には、ドレン水が流通する通路が形成されている。
【0005】
第1継手部材120は、第2継手部材130が挿入される継手挿入部122と、ドレン排水口100が挿入される排水口挿入部121とを有する。図13に示すとおり、排水口挿入部121の内径が継手挿入部122の内径よりも大きく形成され、排水口挿入部121と継手口挿入部122との境界部分には段部123が形成されている。ドレン排水口100は、段部123に接触することにより継手部110に対するドレン排水口100の位置が決められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015−105789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、図13に示すとおり、ドレン排水口100におけるドレン水が流通する通路を構成するドレン排水口100の内径は、第2継手部材130におけるドレン水が流通する通路を構成する第2継手部材130の内径よりも大きい。これにより、ドレン排水口100の通路の最下部100Lが第2継手部材130の通路の最下部131よりも下方に位置するため、ドレン排水口100の通路と第2継手部材130の通路との間には、段差部150が形成される。これにより、図13において二点鎖線により示すように、ドレン排水口100からドレンホースに向けて流れるドレン水は、段差部150により一度堰き止められ、その段差部150を乗り越えたドレン水のみが第2継手部材130の通路を流れる。このように、ドレン排水口100からドレンホース101にドレン水が円滑に流れない場合がある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、ドレン排水口からドレン排水管へドレン水を円滑に排水することができるドレン水排水機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題を解決するドレン水排水機構は、空気調和機における室内機のドレン排水口とドレン排水管とに継手部を介して可撓性のドレンホースが着脱自在に取り付けられるドレン水排水機構であって、前記継手部のうちの前記ドレン排水口と前記ドレンホースとを接続する室内機側継手部は、前記ドレン排水口に取り付けられる第1継手部材と、前記ドレンホースに取り付けられる第2継手部材とを有し、前記第1継手部材と前記第2継手部材とが挿抜式に、かつ着脱自在に組み付けられてなり、前記第2継手部材は、前記第1継手部材が延びる方向に延びる横管と、前記横管から前記ドレンホースに向けて立ち上がる縦管とを有し、前記横管は、前記第1継手部材が挿入される第1管部と、前記第1管部と前記縦管との連結部を形成する、内径が前記第1管部の内径よりも小さい第2管部と、前記第1継手部材が前記第2継手部材に対し着脱自在に組み付けられる際の、前記第1継手部材の当たり面を成す段差部とを有し、前記段差部は、前記第1管部と前記第2管部との境界部に設けられるとともに、前記第1管部と前記第2管部とを繋ぐ通路を有し、前記段差部の通路は、前記縦管の立ち上がり方向を長手方向とした長孔に形成され、前記長孔の最下部は、前記第2管部通路の最下部に対して同一高さ又は上方に位置し、前記第1継手部材に挿入された前記ドレン排水口の端部の最下部に対しては下方に位置する。
【0010】
この構成によれば、室内機側継手部を、第1継手部材に挿入されたドレン排水口の通路の最下部よりも上方となるような段差部がドレン排水口と第2管部との間に形成されない、一体化または分割容易なドレン排水機構とすることができる。これにより、第1継手部材に挿入されたドレン排水口の通路の最下部を流れるドレン水が第2管部に流れるときに堰き止められることなく、その自重により第2管部の通路の最下部に流れ落ちる。このように、ドレン水がドレン排水口から第1継手部材を経て第2継手部材に向けて円滑に流れるため、ドレン排水口からドレンホースにドレン水を円滑に排水することができる。したがって、この継手部を用いることにより、室内機のどれ排水ホースの取り付けメンテナンスを容易にすることができるとともに、ドレン排水口からドレン排水管にドレン水を円滑に排水ことができる。
【0011】
また、段差部の通路が長孔により形成されるため、段差部の通路の最下部をドレン排水口の最下部よりも下方に位置する構成を容易に形成することができる。
【0012】
また、上記ドレン水排水機構において、前記長孔の短径は、前記第2管部の通路において前記横管が延びる方向と上下方向とに直交する幅方向の寸法に等しいことが好ましい。
この構成によれば、幅方向において段差部の通路と第2管部の通路とが滑らかに連続するため、ドレン水を段差部から第2管部に円滑に流すことができる。なお、長孔の短径が第2管部の通路の幅方向の寸法に等しいとは、製造誤差により長孔の短径と第2管部の通路の幅方向の寸法とが僅かに異なる場合も含む。
【0013】
また、上記ドレン水排水機構において、前記第2管部の通路における下方の部分は、円弧状に形成され、前記長孔の下方の部分は、前記第2管部の通路における下方の部分の内径に等しい円弧状に形成されていることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、段差部の通路の下方の部分と第2管部の通路の下方の部分とが滑らかに連続するため、ドレン水を段差部から第2管部に円滑に流すことができる。なお、長孔において第2管部の通路の内径に等しい円弧状とは、製造誤差により第2管路の通路の内径と僅かに異なる円弧状も含む。
【0015】
また、上記ドレン水排水機構において、前記段差部の通路の最下部は、前記第1継手部材における前記第2継手部材側の開口端部の通路の最下部と同じ位置、又は前記第1継手部材における前記第2継手部材側の開口端部の通路の最下部よりも下方に位置することが好ましい。
【0016】
この構成によれば、第1継手部材と第2継手部材との接続部分の最下部においてドレン水を堰き止めるような段差部が形成されない。したがって、第1継手部材と第2継手部材との接続部分の最下部をドレン水が円滑に流れる。したがって、第1継手部材から第2継手部材にドレン水を円滑に流すことができる。
【発明の効果】
【0017】
上記ドレン水排水機構によれば、ドレン排水口からドレン排水管へドレン水を円滑に排水することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】(a)空気調和機の室内機のドレン排水口及びドレン排水管に接続されたドレン水排水機構の一実施形態の側面図、(b)上記(a)の室内機及びドレン排水管とドレン水排水機構との平面図。
図2図1のドレン水排水機構の分解斜視図。
図3図2のドレン水排水機構において、室内機側継手部を分解した状態のドレン排水口、室内機側継手部及びドレン排水管の分解斜視図。
図4】(a)図3の室内機側継手部における第1継手部材の正面図、(b)上記(a)の4b−4b線で切った第1継手部材の断面図。
図5】(a)図3の室内機側継手部における第2継手部材の正面図、(b)第2継手部材の平面図、(c)上記(b)の5c−5c線で切った第2継手部材の断面図。
図6】(a)室内機側継手部の断面図、(b)室内機側継手部の正面図。
図7】室内機側継手部にドレン排水口及びドレンホースが接続された状態の断面図。
図8】比較例のドレン水排水機構において、室内機側継手部にドレン排水口及びドレンホースが接続された状態の断面図。
図9】室内機側継手部にドレン排水口及びドレンホースが組み付けられた状態の側面図。
図10】変形例のドレン水排水機構において、(a)第1継手部材の正面図、(b)上記(a)の10b−10b線で切った第1継手部材の断面図。
図11】別の変形例のドレン水排水機構において、ドレンホースが接続された排水管側継手部とドレン排水管との分解斜視図。
図12】さらに別の変形例のドレン水排水機構における室内機側継手部の側面図。
図13】従来のドレン水排水機構において、継手部にドレン排水口及びドレンホースが接続された状態の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、ドレン水排水機構の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態のドレン水排水機構1は、天井埋込型や天井吊型のような高所設置型の空気調和機の室内機IUのドレン排水口2から排水されるドレン水をドレン排水管3に排水する。なお、以下の説明において、ドレン水がドレン排水口2からドレン排水管3に向けて流れる方向を「水流通方向W」と称する場合がある。また、以下のドレン水排水機構1の説明において方向を示す場合は、図1に示すようなドレン水排水機構1により室内機IU及びドレン排水管3が接続された場合の各方向を用いる。
【0020】
図1(a)に示すように、ドレン水排水機構1は、可撓性を有するドレンホース4を備える。ドレンホース4は、天井スラブCから垂下したホース支持具5によりドレンホース4の一部がドレン排水口2よりも所定の高さ分だけ上方に位置するように支持されている。ドレンホース4のドレン排水口2側の端部は、室内機側継手部10を介してドレン排水口2と接続され、ドレンホース4のドレン排水管3側の端部は、排水管側継手部6を介してドレン排水管3と接続されている。
【0021】
図1(b)に示すように、ドレン排水口2は、室内機IUにおける熱交換器(図示略)等を収容した箱状のハウジングHの四隅に形成された面取り部分のうちの1つの面取り部分に接続されている。そしてドレン排水口2に接続されるドレン水排水機構1は、室内機IUの横方向Xに向けて延びている。
【0022】
図2に示すように、ドレン水排水機構1は、L字状(所謂エルボタイプ)の室内機側継手部10により、横方向Xに延びるドレン排水口2と、上下方向Yに延びるドレンホース4のドレン排水口2側の部分とを接続している。またドレン水排水機構1は、L字状(所謂エルボタイプ)の排水管側継手部6により、横方向Xに延びるドレン排水管3と、上下方向Yに延びるドレンホース4のドレン排水管3側の部分とを接続している。このように、本実施形態では、室内機側継手部10と排水管側継手部6とは同様の構成である。
【0023】
図2及び図3に示すように、室内機側継手部10は、ドレン排水口2に取り付けられる第1継手部材20と、ドレンホース4に取り付けられる第2継手部材30とが着脱自在に組み付けられている。
【0024】
図3に示すように、第1継手部材20は、横方向Xに延びる流路管部21と、流路管部21から第2継手部材30側に向けて延びる延長管部22と、延長管部22の外周部に設けられた取付部23と、流路管部21におけるドレン排水口2側に設けられたフランジ24とが一体に形成されている。このような一体形成の方法として、例えば第1継手部材20は樹脂材料を用いた射出成型により形成されている。
【0025】
第2継手部材30は、横方向X(第1継手部材20が延びる方向)に延びる横管31と、横管31から立ち上がる縦管32と、縦管32における上方の開口端部側に設けられ、ドレンホース4が接続されるホース接続部33と、横管31からドレン排水口2側に向けて延びる一対の係止部34Xとが一体に形成されている。このような一体形成の方法として、例えば第2継手部材30は樹脂材料を用いた射出成型により形成されている。
【0026】
このような第1継手部材20及び第2継手部材30の詳細な構成について図4及び図5を用いて説明する。
図4(b)に示すように、第1継手部材20には、横方向Xに貫通する貫通孔が形成されている。この貫通孔は、ドレン水が流通する通路を含む。流路管部21は、ドレン排水口2(図3参照)が挿入可能な第1内径D1を有する第1挿入部21aと、第1内径D1よりも小さい第2内径D2を有し、ドレン排水口2が挿入可能な第2挿入部21bとを有する。第1挿入部21aはドレン排水口2側の開口端部を形成し、第2挿入部21bは第1挿入部21aに対して水流通方向Wの下流側に設けられている。
【0027】
第1挿入部21aの通路と第2挿入部21bの通路との境界部分には、水流通方向Wの下流側に向けて縮径する段形状となる第1位置決め部21cが形成されている。第1内径D1に等しい外径を有するドレン排水口(図示略)が流路管部21に挿入されたとき、ドレン排水口が第1位置決め部21cと接触することにより、流路管部21に対するドレン排水口の位置が決められる。
【0028】
第2挿入部21bの通路における水流通方向Wの下流側の部分には、水流通方向Wの下流側に向けて縮径する段形状となる第2位置決め部21dが形成されている。第2内径D2に等しい外径を有するドレン排水口(本実施形態のドレン排水口2)が流路管部21に挿入されたとき、ドレン排水口2が第2位置決め部21dと接触することにより、流路管部21に対するドレン排水口2の位置が決められる。このように、第1継手部材20(流路管部21)は、異なる2種類の外径を有するドレン排水口が取り付け可能となる。
【0029】
第2挿入部21bにおいて第2位置決め部21dよりも水流通方向Wの下流側となる端部には、横方向Xから見て円環状をなす段部21eが形成されている。段部21eの内径は、第2内径D2に等しい外径を有するドレン排水口2におけるドレン水を流通する通路の内径と等しい。
【0030】
この段部21eよりも水流通方向Wの下流側には、第2挿入部21bから延長された延長管部22が設けられている。延長管部22は、第2内径D2と概ね等しい内径を有する第1拡径部22aと、第1内径D1と概ね等しい内径を有する第2拡径部22bとを有する。第2拡径部22bは、第1拡径部22aに対して水流通方向Wの下流側に設けられている。このため、段部21eにおけるドレン水が流通する通路と第1拡径部22aにおけるドレン水が流通する通路との境界部分、及び、第1拡径部22aの通路と第2拡径部22bにおけるドレン水が流通する通路との境界部分のそれぞれには、水流通方向Wの下流側に向けて拡径する段形状が形成されている。
【0031】
延長管部22の外周部に設けられた取付部23は、横方向Xに間隔を置いて形成された一対の円環壁部からなる。この一対の円環壁部の間には、円環状のシール部材の一例であるOリング11が取り付けられている。
【0032】
また、流路管部21の外周部には、フランジ24が設けられている。フランジ24は、第1挿入部21aにおける第2挿入部21b側の端部に設けられている。なお、第1挿入部21aの外径は第2挿入部21bの外径よりも大きい。このため、流路管部21の外周部は、第1挿入部21aと第2挿入部21bとの境界部分において段形状となる。
【0033】
図4(a)に示すように、フランジ24は横方向Xから見て円環状をなす。フランジ24には、その周方向に延びる一対の係止孔24Xが形成されている。一対の係止孔24Xは、上下方向Yにおいて互いに対向している。フランジ24の外周部には、横方向Xから見て円環状をなす外周壁25が設けられている。図4(b)に示すように、外周壁25は、フランジ24から水流通方向Wの上流側に向けて立ち上がる。フランジ24の径方向において、一対の係止孔24Xと外周壁25との間には、係止面24aが設けられている。
【0034】
図5(c)により示すように、第2継手部材30には、横管31及び縦管32に亘って貫通する貫通孔が形成されている。この貫通孔は、ドレン水が流通する通路となる。第2継手部材30の横管31は、第2継手部材30における水流通方向Wの上流側の開口端部を構成する第1管部31aと、第1管部31aと縦管32とを連結する第2管部31bとを有する。第1管部31aには、第1継手部材20(図4参照)が挿入される。第2管部31bの通路の断面積は、第1管部31aの通路の断面積よりも小さい。このため、第1管部31aの通路と第2管部31bの通路との境界部分には、第1管部31aと第2管部31bとを繋ぐ段差部31cが形成されている。
【0035】
図5(a)に示すように、段差部31cには、第1管部31aの中心よりも下方に偏り、上下方向Yが長手方向となる長孔31dが形成されている。長孔31dは、段差部31cの通路を構成している。第2継手部材30の正面視において、長孔31dは、その上端部及び下端部に形成された円弧部と、これら円弧部を上下方向Yに沿って接続した一対の直線部とからなる形状である。
【0036】
長孔31dにおける上下の円弧部の半径は、段部21e(図4参照)の通路の半径と等しい。また、長孔31dは、第2管部31bにおける長孔31d側の端部の通路形状と等しく、第2管部31bの通路と滑らかに連続している。すなわち第2管部31bにおける長孔31d側の端部の通路は上下方向Yが長手方向となる長孔に形成されている。このため、長孔31dの短径SDは、第2管部31bの通路において横方向X(横管31が延びる方向)と上下方向Yとに直交する幅方向の寸法(第2管部31bの通路の短径)と等しい。また、長孔31dの下方の部分の円弧形状は、第2管部31bの通路の下方の円弧形状と等しい。さらに、図5(c)に示すように、段差部31cの通路の最下部31Lの上下方向Yの位置は、第2管部31bの通路の最下部の上下方向Yの位置と等しい。このため、最下部31Lは、段差部31cの最下部及び第2管部31bの最下部を共通して称する場合がある。
【0037】
図5(b)及び(c)に示すように、横管31における水流通方向Wの上流側の開口端部には、水流通方向Wの上流側に延びる一対の係止部34Xが設けられている。
一対の係止部34Xは、縦管32の立ち上がり方向(本実施形態では上下方向Y)において互いに対向している。また、一対の係止部34Xは、第1管部31aの開口端部から水流通方向Wの上流側(ドレン排水口2側)に向けて延びている。詳しくは、一対の係止部34Xは、水流通方向Wの上流側(ドレン排水口2側)に向かうにつれて互いに離れる方向に傾斜して延びている。係止部34Xは、第1管部31aの開口端部から延びるアーム34aと、アーム34aの先端部に形成された係止爪34bとを有する。係止爪34bは、上下方向Yにおいてアーム34aの外側に突出するように形成されている。
【0038】
縦管32は、円筒状であり、第2管部31bから上方に延びている。縦管32の通路の半径は、第1継手部材20の段部21e(図4参照)の半径と概ね等しい。縦管32の上端部にはホース接続部33が設けられている。ホース接続部33は、縦管32の外周部において縦管32と同心円状に形成されている。ホース接続部33には、ドレンホース4の端部が挿入可能な円環状の収容部33aが設けられている。ホース接続部33の一部は、横管31の第1管部31aの上端部と接続されている。
【0039】
このような構成の室内機側継手部10には、図6(a)に示すように、第1継手部材20と第2継手部材30とを着脱自在とするための一対の挿抜部40が設けられている。
一対の挿抜部40は、第1継手部材20のフランジ24に設けられた一対の係止孔24Xと、第2継手部材30の横管31に設けられた一対の係止部34Xとからなる。一対の挿抜部40のそれぞれには、第1継手部材20と第2継手部材30とを係止するための係止機構41が設けられている。係止機構41は、係止孔24Xの外周縁をなす係止面24aと、係止部34Xの係止爪34bとからなる。一対の挿抜部40は、係止部34Xが係止孔24Xに挿入され、係止爪34bが係止孔24Xの外周縁をなす係止面24aに係止されることにより第1継手部材20と第2継手部材30とを係止する。一方、一対の挿抜部40(係止機構41)は、係止孔24Xの外周縁をなす係止面24aから係止部34Xの係止爪34bの係止が解除されることにより第1継手部材20と第2継手部材30とが互いに外される。
【0040】
図6(b)に示すように、室内機側継手部10の周方向すなわちフランジ24の周方向において、係止孔24Xの長さは、係止部34Xの長さよりも長い。本実施形態では、フランジ24の周方向において、係止孔24Xの長さは、係止部34Xの長さの2倍以上である。一対の係止孔24Xは、フランジ24が一対の挿抜部40による第1継手部材20と第2継手部材30との着脱の繰り返しに対して必要な強度が保つことが可能な範囲において、周方向の長さを長くしている。本実施形態では、フランジ24に外周壁25が設けられているため、一対の係止孔24Xの周方向の長さは、フランジ24に外周壁25が設けられていない場合よりも長くしている。
【0041】
図6(a)に示すように、一対の係止部34Xと一対の係止孔24Xの外周縁をなす係止面24aとが係止した状態において、第1継手部材20の流路管部21が第2継手部材30の第1管部31aに挿入され、第1継手部材20の水流通方向Wの下流側の開口端部(延長管部22の開口端部)は、第2継手部材30の段差部31cと接触している。
【0042】
第1継手部材20と第2継手部材30との間には、Oリング11が圧縮変形(弾性変形)することにより、第1継手部材20の外周部と第2継手部材30の内周部との間の隙間を埋めている。これにより、第1継手部材20と第2継手部材30との間からドレン水が漏れることを抑制している。
【0043】
図7に示すように、ドレン排水口2は、第1継手部材20の第2挿入部21bに接着されている。詳細には、接着剤が第2挿入部21bの内面に塗布された状態においてドレン排水口2が第2位置決め部21dに接触するまで第2挿入部21bに挿入される。このとき、横方向Xにおいてドレン排水口2、第2位置決め部21d及び段部21eとの間には円環状の凹部が形成されるが、その凹部に、ドレン排水口2が第2挿入部21bに挿入されることにより押し出された接着剤(図7の網掛け部分)が溜まる。
【0044】
ドレン排水口2のうちの第2挿入部21bに挿入された部分の通路の最下部(以下、「最下部2L」)は、第1継手部材20における段部21eの通路の最下部と上下方向Yにおいて等しく、延長管部22の通路の最下部22Lよりも上方に位置している。延長管部22の通路の最下部22Lは、第1拡径部22aから第2拡径部22bに向けて、すなわち水流通方向Wの下流側に向けて下方となるように位置する。第2拡径部22bの最下部22Lは、第2継手部材30の段差部31cの通路の最下部31Lと上下方向Yにおいて僅かに上方に位置している。すなわち、段差部31cの通路の最下部31Lは、第1継手部材20における第2継手部材30側の開口端部の通路の最下部よりも下方に位置している。
【0045】
次に、本実施形態の作用について図7及び図8を用いて説明する。図8に示す比較例の室内機側継手部10Aは、室内機側継手部10に対して第2継手部材30の横管31の形状が異なる。このため、室内機側継手部10Aにおいて室内機側継手部10と共通する構成要素は同一の符号を用いて、その説明を省略する。
【0046】
図7に示すように、ドレン排水口2を流通するドレン水が室内機側継手部10においてドレン水が流通する通路の全体を満たすことはなく、例えば第1継手部材20の通路のうちの下方の一部、又は第1継手部材20の通路の内面に沿って渦巻状に流通する。
【0047】
図7において二点鎖線により示すように、ドレン排水口2を流通するドレン水は、段部21eの通路を通過した後、その自重により延長管部22の通路の最下部22Lに流れ落ちる。そして段差部31c及び第2管部31bの通路の最下部31Lを通過し、縦管32を介してドレンホース4に排水される。このように、ドレン排水口2のドレン水は、第1継手部材20及び第2継手部材30の横管31の通路において堰き止められることなく、ドレンホース4に排水される。
【0048】
ところで、図8に示すように、室内機側継手部10Aの第2継手部材30は、第2管部31bの通路の最下部31Lの上下方向Yの位置がドレン排水口2の通路の最下部2Lの上下方向Yの位置と等しくなる構成である。このため、第1継手部材20の延長管部22の通路と段差部31cの通路との間に凹部が形成される。これにより、ドレン排水口2のドレン水は、凹部に流れ落ちる。すなわち、凹部はドレン水(図8の網掛け部分)が溜まってしまう。凹部に溜まったドレン水はOリング11により第1継手部材20及び第2継手部材30の間から漏れることが抑制されている。ところで、例えば飲食店のように油を使う室内に室内機IU(図1参照)が設置されたとき、ドレン水には油分が含まれてしまう。そして凹部に溜まるドレン水にも油分が含まれるため、この油分によりOリング11が溶けて第1継手部材20及び第2継手部材30の間からドレン水が漏れてしまう虞がある。
【0049】
その点、図7に示すとおり、本実施形態の室内機側継手部10は、段差部31cの通路の最下部31Lが延長管部22の通路の最下部22Lと同じ位置であるため、すなわち図8の網掛け部分のようなドレン水が溜まる凹部が形成されないため、第1継手部材20と第2継手部材30との間でドレン水が溜まることがない。したがって、Oリング11の劣化を抑制することができ、第1継手部材20と第2継手部材30との間からドレン水が漏れることを抑制することができる。
【0050】
次に、第1継手部材20及び第2継手部材30の組み付け作業と、ドレン排水口2とドレンホース4との接続作業及び分離作業とについて、図2図3図6及び図9を用いて説明する。
【0051】
図3及び図6に示すように、作業者が第1継手部材20及び第2継手部材30を組み付けるとき、第2継手部材30の第1管部31aに第1継手部材20の流路管部21における第2挿入部21b及び延長管部22が挿入される。このとき、係止部34Xの係止爪34bと係止孔24Xの外周縁をなす係止面24aとの係止が開始される前に、延長管部22の取付部23に取り付けられたOリング11が第1管部31aに圧縮されながら挿入される。これにより、第2継手部材30に対する第1継手部材20の傾きが抑制される。このため、第1継手部材20が第2継手部材30に対してこじることなく挿入されることにより、係止部34Xが係止孔24X内に位置し易くなる。そして、第1継手部材20が第2継手部材30にさらに挿入されることにより、係止部34Xにおける係止爪34bが係止孔24Xの内面に押されて流路管部21の外周面に向けて係止部34Xが弾性変形する。これにより、係止部34Xの係止爪34bが係止孔24Xに挿入し易くなる。
【0052】
そして、第1継手部材20の延長管部22の開口端部が第2継手部材30の段差部31cに接触するとき、係止部34Xの係止爪34bが係止孔24Xよりも水流通方向Wの上流側(ドレン排水口2側)に位置する。このとき、係止部34Xは、復元力により第1継手部材20の外周壁25に向けて復元する。これにより、係止機構41は、図6に示すような係止状態となる。
【0053】
そして図3に示すように、ドレン排水口2とドレンホース4との接続作業では、作業者は、室内機側継手部10にドレン排水口2を接着する。一方、作業者は、室内機側継手部10にドレンホース4を固定する。詳細には、作業者は、室内機側継手部10の第2継手部材30のホース接続部33の収容部33aにドレンホース4の一方の開口端部を嵌め合わせる。なお、本実施形態では、第1継手部材20及び第2継手部材30を組み付けた後、ドレン排水口2及びドレンホース4を取り付けたが、第1継手部材20にドレン排水口2を取り付け、第2継手部材30にドレンホース4を取り付けた後、第1継手部材20及び第2継手部材30を組み付けてもよい。
【0054】
なお、ドレン排水管3とドレンホース4との接続作業では、作業者は、上述の室内機側継手部10における第1継手部材20及び第2継手部材30の組み付け作業と同様に、排水管側継手部6の第1継手部材20及び第2継手部材30(ともに図2参照)を組み付ける。そして、作業者は、排水管側継手部6にドレン排水管3を同様に接着する。以上の作業により、ドレン排水口2からドレン排水管3にドレン水が流通するようにドレン水排水機構1が組み立てられる。
【0055】
一方、ドレン水排水機構1のメンテナンス等により、作業者がドレン排水口2とドレンホース4との分離作業を行うとき、図9の太線矢印により示すように、作業者は、一対の係止部34Xを流路管部21の外周面に向けて弾性変形させる。これにより、係止部34Xの係止爪34bと係止孔24Xの外周縁をなす係止面24aとの係止が解除された状態となる。ここで、一対の係止部34Xが第2継手部材30の縦管32が立ち上がる方向に対向して配置されるため、一対の係止部34Xを押さえる作業者の指(図9の二点鎖線)も縦管32が立ち上がる方向に配置すればよい。
【0056】
そして、図9において白抜き矢印により示すように、作業者は、第2継手部材30を第1継手部材20から離れるように横方向Xに移動させる。これにより、第1継手部材20と第2継手部材30とが分離される。このとき、第1継手部材20はドレン排水口2に接着されたままであり、第2継手部材30はドレンホース4に接続されたままである。このように、作業者が室内機側継手部10の第1継手部材20と第2継手部材30とを分離することにより、ドレン排水口2とドレンホース4とが分離される。なお、作業者が排水管側継手部6の第1継手部材20と第2継手部材30(ともに図2参照)とを分離することにより、ドレン排水管3(図2参照)とドレンホース4とが分離される。このように、ドレン水排水機構1は、第1継手部材20及び第2継手部材30の着脱により、ドレンホース4がドレン排水口2とドレン排水管3とに着脱自在に取り付けられている。
【0057】
本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)第2継手部材30の第2管部31bの通路の最下部31L(段差部31cの通路の最下部31L)がドレン排水口2の通路の最下部2Lよりも下方に位置することにより、第1継手部材20に挿入されたドレン排水口2の通路の最下部2Lよりも上方となるような段差部がドレン排水口2と第2管部31bとの間に形成されない。これにより、ドレン排水口2の通路の最下部2Lを流れるドレン水が第2管部31bに流れるときに堰き止められることなく、その自重により第2管部31bの通路の最下部31Lに流れ落ちる。このように、ドレン水がドレン排水口2から第1継手部材20を経て第2継手部材30に向けて円滑に流れるため、ドレン排水口2からドレンホース4にドレン水を円滑に排水することができる。したがって、ドレン排水口2からドレン排水管3にドレン水を円滑に排水ことができる。
【0058】
(2)上下方向Yが長手方向となる長孔31dにより段差部31cの通路が形成されるため、段差部31cの通路の最下部31Lをドレン排水口2の最下部2Lよりも下方に位置する構成を容易に形成することができる。
【0059】
(3)段差部31cの通路を構成する長孔31dの短径SDが第2管部31bの通路において横方向Xと上下方向Yとに直交する幅方向の寸法と等しいことにより、長孔31dの直線部と第2管部31bの通路とが面一となる。これにより、段差部31cの通路と第2管部31bの通路とが滑らかに連続するため、ドレン水を段差部31cから第2管部31bに円滑に流すことができる。
【0060】
(4)段差部31cの通路を構成する長孔31dの円弧状の下方の部分が第2管部31bの通路の円弧状の下方の部分と等しいことにより、段差部31cの通路の下方の部分と第2管部31bの通路の下方の部分とが面一となる。これにより、段差部31cの通路の下方の部分と第2管部31bの通路の下方の部分とが滑らかに連続するため、ドレン水を段差部31cから第2管部31bにより円滑に流すことができる。
【0061】
(5)段差部31cの通路の最下部31Lの位置と第2管部31bの通路の最下部31Lの位置とが互いに等しいことにより、段差部31cの通路の最下部31Lと第2管部31bの通路の最下部31Lとが面一となる。これにより、段差部31cの通路の最下部31Lと第2管部31bの通路の最下部31Lとが滑らかに連続するため、ドレン水を段差部31cから第2管部31bに円滑に流すことができる。
【0062】
(6)段差部31cの通路の最下部31Lが第1継手部材20の延長管部22の通路の最下部22Lよりも下方に位置することにより、第1継手部材20と第2継手部材30との接続部分の最下部においてドレン水を堰き止めるような段差部が形成されることが回避される。したがって、第1継手部材20と第2継手部材30との接続部分の最下部をドレン水が円滑に流れる。したがって、第1継手部材20から第2継手部材30にドレン水を円滑に流すことができる。
【0063】
(7)第1継手部材20の流路管部21に延長管部22が設けられ、その延長管部22にOリング11が取り付けられることにより、Oリング11が係止機構41による係止よりも前に、第2継手部材30の第1管部31aに圧縮状態で挿入される。これにより、第1継手部材20と第2継手部材30とが互いに傾くことが抑制されるため、係止機構41による係止をスムーズに行うことができる。したがって、第1継手部材20及び第2継手部材30を容易に組み付けることができる。
【0064】
一方、Oリング11は、接触面積が増加するにつれてシール性が向上することにより、Oリング11の外径が大きいことが好ましい。また第1継手部材20の樹脂成型の成形性の観点から流路管部21及び延長管部22の厚さは概ね等しいことが好ましい。このような考えに基づいて、延長管部22には段部21eの通路の内径よりも大きい第1拡径部22a及び第2拡径部22bが設けられている。
【0065】
そして、段差部31cの通路の最下部31Lが延長管部22の通路の最下部22Lよりも下方となるため、ドレン水が第1継手部材20から第2継手部材30に円滑に流れる。したがって、第1継手部材と第2継手部材30との組み付けや分離がし易く、且つ第1継手部材20の成形性及びOリング11によるシール性を十分に確保しつつも、ドレン排水口2からドレン排水管3へドレン水を円滑に排水することができる。
【0066】
(変形例)
上記実施形態に関する説明は、本発明に従うドレン水排水機構が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に従うドレン水排水機構は、例えば以下に示される実施形態の変形例、及び相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。
【0067】
図10(a)に示すように、第2継手部材30の段差部31cに形成される長孔31dの上下方向Yの長さを上記実施形態の長孔31d(図5(a)参照)の上下方向Yの長さよりも長くしてもよい。図10(b)に示すように、段差部31cの上端部は、第1継手部材20の延長管部22が接触可能な範囲だけあればよい。
【0068】
図10(a)に示す長孔31dに代えて、図10(a)の長孔31dの上下方向Yの長さを直径とする円孔であってもよい。
・段差部31cの通路の最下部31Lが第2管部31bの通路の最下部31Lよりも上方且つドレン排水口2の最下部2Lよりも下方に位置してもよい。
【0069】
・上下方向Yにおいて、第1継手部材20の延長管部22の通路の最下部22Lの位置と段差部31cの通路の最下部31Lの位置とが同じであってもよい。これにより、延長管部22の通路の最下部22Lと段差部31cの通路の最下部31Lとが面一となるため、ドレン水が延長管部22から段差部31cに円滑に流れる。したがって、ドレン排水口2からのドレン水がドレンホース4に円滑に排水することができる。
【0070】
・一対の挿抜部40に代えて、第1継手部材20及び第2継手部材30を連結した後、第1継手部材20及び第2継手部材30とは個別に設けられた係止具により第1継手部材20及び第2継手部材30を係止する構成であってもよい。
【0071】
・一対の挿抜部40の係止機構41において、第1継手部材20側に一対の係止部34Xが設けられ、第2継手部材30側に一対の係止孔24Xが設けられてもよい。この場合、一対の係止部34Xは、例えば第1挿入部21aの外周部から水流通方向Wの下流側に向けて延びる。また第2継手部材30には、フランジ24が設けられ、そのフランジ24に一対の係止孔24Xが設けられる。
【0072】
・延長管部22の外周部には、複数のOリング11が取り付けられてもよい。この場合、取付部23の円環壁部の個数は、Oリング11の個数に応じて設定される。
・第1継手部材20の流路管部21から延長管部22を省略してもよい。この場合、Oリング11を取り付けるための取付部23は、第2挿入部21bにおける水流通方向Wの下流側端部に設けられる。
【0073】
・排水管側継手部6は、室内機側継手部10と異なる構成であってもよい。その一例として、図11に示すように、排水管側継手部6は、第2継手部材30から縦管32を省略し、横管31にホース接続部33を設けた第2継手部材50が第1継手部材20と着脱自在に取り付けられた構成である。このため、図11の排水管側継手部6は、第2継手部材50がドレンホース4に接続される一方、第1継手部材20がドレン排水管7に接続される。ドレン排水管7は、T字状の配管(所謂チーズ)であり、複数の室内機に接続されたドレン排水管(ともに図示略)と接続可能である。
【0074】
・縦管32の上下方向Yの長さ寸法は、任意に設定可能である。例えば、図12に示すように、縦管32の上下方向Yの長さ寸法は、上記実施形態の縦管32の上下方向Yの長さ寸法よりも長い。このとき、ホース接続部33は、横管31の第1管部31aに対して間隔を置いて上方に位置する。
【0075】
・ドレン水排水機構は、高所設置型の空気調和機の室内機IUへの適用に限られず、床置型の空気調和機の室内機に適用してもよい。
【符号の説明】
【0076】
1…ドレン水排水機構
2…ドレン排水口
2L…最下部
3…ドレン排水管
4…ドレンホース
6…排水管側継手部(継手部)
7…ドレン排水管
10…室内機側継手部(継手部)
20…第1継手部材
22…延長管部(開口端部)
22L…最下部
30…第2継手部材
31…横管
31a…第1管部
31b…第2管部
31c…段差部
31d…長孔
31L…最下部
32…縦管
IU…室内機
SD…長孔の短径
X…横方向(第1継手部材が延びる方向、横管が延びる方向)
Y…上下方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13