特許第6486868号(P6486868)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6486868往復する外力を回転軸運動に変換するエネルギ変換ユニット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6486868
(24)【登録日】2019年3月1日
(45)【発行日】2019年3月20日
(54)【発明の名称】往復する外力を回転軸運動に変換するエネルギ変換ユニット
(51)【国際特許分類】
   F16H 19/02 20060101AFI20190311BHJP
   F16H 19/04 20060101ALI20190311BHJP
   F16H 7/02 20060101ALI20190311BHJP
   F16H 7/06 20060101ALI20190311BHJP
   F16H 7/12 20060101ALI20190311BHJP
   F16G 5/16 20060101ALI20190311BHJP
【FI】
   F16H19/02 Z
   F16H19/04 J
   F16H7/02 A
   F16H7/02 Z
   F16H7/06
   F16H7/12 A
   F16G5/16 Z
【請求項の数】18
【全頁数】47
(21)【出願番号】特願2016-115153(P2016-115153)
(22)【出願日】2016年6月9日
(62)【分割の表示】特願2013-519625(P2013-519625)の分割
【原出願日】2011年7月18日
(65)【公開番号】特開2016-196961(P2016-196961A)
(43)【公開日】2016年11月24日
【審査請求日】2016年6月9日
(31)【優先権主張番号】1051357-0
(32)【優先日】2010年12月22日
(33)【優先権主張国】SE
(31)【優先権主張番号】61/365,015
(32)【優先日】2010年7月16日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】1050811-7
(32)【優先日】2010年7月16日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】513010767
【氏名又は名称】コーパワー オーシャン アーベー
【氏名又は名称原語表記】CORPOWER OCEAN AB
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ルンベック、スティグ
【審査官】 木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−533425(JP,A)
【文献】 特表2017−512960(JP,A)
【文献】 実開平4−58794(JP,U)
【文献】 特開平6−171577(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3138290(JP,U)
【文献】 米国特許第5176552(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 19/02
F16G 5/16
F16H 7/02
F16H 7/06
F16H 7/12
F16H 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変換モジュールにより往復する外力を回転軸運動に変換するエネルギ変換ユニットであって、前記変換モジュールは、
前記外力に接続される少なくとも一つのギアラックと、
前記ギアラックに係合する少なくとも二つのピニオンと、
前記ピニオンに設けられた少なくとも二つのギアと、
前記変換モジュール上において外力を往復運動に転換すると共に往復動流体を周囲から区切るように配置される少なくとも一つの規制デバイスとを備え、
前記ギアラックは、前記規制デバイスに接続され、
前記ギアラックは、前記ピニオンに対して往復運動し、
少なくとも二つのギアは、相互に接続されると共に共通の軸に接続されている、エネルギ変換ユニット。
【請求項2】
変換モジュールにより往復する外力を回転軸運動に変換するエネルギ変換ユニットであって、前記変換モジュールは、
前記外力に接続される少なくとも一つのチェーンと、
前記チェーンに係合する少なくとも二つのチェーンホイールと、
前記チェーンホイールに設けられた少なくとも二つのギアと、
前記変換モジュール上において外力を往復運動に転換すると共に往復動流体を周囲から区切るように配置される少なくとも一つの規制デバイスとを備え、
前記チェーンは、前記規制デバイスに接続され、
前記チェーンは、前記チェーンホイールに対して往復運動し、
少なくとも二つのギアは、相互に接続されると共に共通の軸に接続されている、エネルギ変換ユニット
【請求項3】
請求項記載のエネルギ変換ユニットにおいて、
対で配置された複数のチェーンを備える、エネルギ変換ユニット。
【請求項4】
請求項又は記載のエネルギ変換ユニットにおいて、
前記チェーンホイール間に位置するチェーンテンショナを備える、エネルギ変換ユニット。
【請求項5】
請求項のうちいずれか一項に記載のエネルギ変換ユニットにおいて、
1又は複数チェーンは、往復する外力を伝達すると共に二つのU字型ビームによって互いに接続された二つのピストンに接続されている、エネルギ変換ユニット。
【請求項6】
請求項記載のエネルギ変換ユニットにおいて、
前記U字型ビームには、チェーンを適切な位置に保持するように配置した永久磁石が設けられている、エネルギ変換ユニット。
【請求項7】
請求項又は記載のエネルギ変換ユニットにおいて、
前記チェーンは、接合ヘッド、平衡はり及び粗調整テンションボルトによって、前記ピストンに接続されている、エネルギ変換ユニット。
【請求項8】
変換モジュールにより往復する外力を回転軸運動に変換するエネルギ変換ユニットであって、前記変換モジュールは、
前記外力に接続される少なくとも一つのタイミングベルトと、
前記タイミングベルトに係合する少なくとも二つの中心ホイールと、
前記中心ホイールに設けられた少なくとも二つのギアと、
前記変換モジュール上において外力を往復運動に転換すると共に往復動流体を周囲から区切るように配置される少なくとも一つの規制デバイスとを備え、
前記タイミングベルトは、前記規制デバイスに接続され、
前記タイミングベルトは、前記中心ホイールに対して往復運動し、
少なくとも二つのギアは、相互に接続されると共に共通の軸に接続されている、エネルギ変換ユニット。
【請求項9】
請求項記載のエネルギ変換ユニットにおいて、
タイミングベルトは、往復する外力を伝達すると共にピストン間に剛体の機械的な連結部を有する二つのピストンに接続されたホイール上を走行する、エネルギ変換ユニット。
【請求項10】
請求項記載のエネルギ変換ユニットにおいて、
ホイールは、変換されるべき引張力がそれらに供給されていない場合、タイミングベルトを予備伸張されたままで維持するためピストンに対するバネ状の連結部を有する、エネルギ変換ユニット。
【請求項11】
変換モジュールにより往復する外力を回転軸運動に変換するエネルギ変換ユニットであって、前記変換モジュールは、
前記外力に接続される少なくとも一つのバンドと、
前記バンドに係合する少なくとも二つのドラムと、
前記ドラムに設けられた少なくとも二つのギアと、
前記変換モジュール上において外力を往復運動に転換すると共に往復動流体を周囲から区切るように配置される少なくとも一つの規制デバイスと備え、
前記バンドは、前記規制デバイスに接続され、
前記バンドは、前記ドラムに対して往復運動し、
少なくとも二つのギアは、相互に接続されると共に共通の軸に接続されている、エネルギ変換ユニット。
【請求項12】
請求項11記載のエネルギ変換ユニットにおいて、
前記バンドは、共通のドラム上で巻き取るおよび巻き出すように配置されている、エネルギ変換ユニット。
【請求項13】
請求項11又は12記載のエネルギ変換ユニットにおいて、
前記バンドは、スチールやグラフェンの積層物からなる積層バンドである、エネルギ変換ユニット。
【請求項14】
請求項1113のうちいずれか一項に記載のエネルギ変換ユニットにおいて、
前記バンドは、往復する外力を伝達すると共に二つのU字型ビームによって互いに接続された二つのピストンに接続されている、エネルギ変換ユニット。
【請求項15】
請求項1114のうちいずれか一項に記載のエネルギ変換ユニットにおいて、
二つの上部ドラムと二つの下部ドラムそれぞれへの巻き取りと巻き出しとの間で交互に動作する二つの上部バンド装置および二つの下部バンド装置を備える、エネルギ変換ユニット。
【請求項16】
請求項15記載のエネルギ変換ユニットにおいて、
各バンド装置は、軸止された支柱、球面軸受及びバランスビーム構造によって互いに接合される2つの取付点を有する、エネルギ変換ユニット。
【請求項17】
請求項15又は16記載のエネルギ変換ユニットにおいて、
前記二つの上部バンド装置および下部バンド装置は、中心線において対称であり、軸止された連結部によってバネで吊下された力伝達プレートに互いに接合され、力伝達プレートは、前記バンドが巻かれずに荷重がかかる間は、わずかに可撓性のゴムプレートに当接する、エネルギ変換ユニット。
【請求項18】
請求項1〜17のうちいずれか一項に記載のエネルギ変換ユニットにおいて、
二つのギアに設けられた四つの回転部材を備え、四つの第1ギアが第1回転アクスルに接続され、四つの第2ギアが第2回転アクスルに接続されているエネルギ変換ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、往復する外力を回転軸運動に変換するエネルギ変換ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1および特許文献2に記載されるように、波浪は水平方向の振動運動および鉛直方向の振動運動の両方を発生させる。振動運動は連続した1メートルの波に対し数十kWおよび時には数百kWのエネルギを含みうるため、この多大な量のエネルギを、例えば、電力に変換するような有用かつ競争力の高いエネルギ変換器を含むシステムを形成する数々の試みの対象とされてきた。これらの目的を達成するため、特定のエネルギ変換器が波の動きを、例えば、回転運動にどのように変換するかを示すために種々のブロック図を使用するだけでは十分でなく、この特定の構造によって管理および保守費用が少なく、長寿命にする理由を同時に説明する必要がある。
【0003】
本発明は、周知の方法および経験を用いることによって、材料、流体、気体ならびに機械的部品、電気的部品および電子的部品についての寿命および保守費用を算定することができるように機能的におよび幾何学的に最適化されている小型かつ費用対効果の高いエネルギ変換器ユニットを形成するものである。
【0004】
本発明は、非特許文献1に記載されている本出願人による心臓の実際のポンプ機能および自動制御機能についての発見がきっかけとなったものである。非特許文献1には、新規なポンプ原理が開示されており、該ポンプは、特許文献3に、デルタVポンプ(ΔVポンプ)としても開示されている動的適応ピストンポンプ(DAPポンプ:Dynamic Adaptive Piston)と称されている。これらのポンプでは、先の2つの周知のポンプ原理、動的ポンプの原理(例えば、遠心ポンプ)および容積型ポンプの原理(例えば、ピストンポンプ)の最良な特性を利用している。低流および低周波数時、ΔVポンプは、ピストンが、一方向に向く力を有することに加えて、ポンプ動作により、ΔV機能と称されるピストンの液圧式復帰力を発生させるためにエネルギを貯蔵および変換することができる往復動容積であるΔV容積も生成されるように設計される容積型ポンプとみなすことができる。実際の心臓のポンプ機能と同じ新規なポンプ機能は特許文献4において数学的に説明されている。
【0005】
この性質により、心筋細胞の特徴および機能を使用して心臓のようなΔVポンプが構成されかつ通電されている。これらの細胞は一方向の長手方向の縮小および収縮によってこれらの仕事を実施し、貯蔵されたエネルギ、ΔV機能をこれらの細胞の復帰の動きに必要とする。筋細胞の一方向の発電および心臓のピストン状の心臓弁面の液圧式復帰力は波の上下運動発電と比較することができ、本発明の小型のエネルギ変換器のきっかけとなった。
【0006】
波浪のエネルギを機械的な仕事および電流の少なくとも一方に変換するために、鉛直方向力および水平方向力の少なくとも一方を、水分子の運動により生成された波の動きに伝達することができるエネルギ発生装置が必要とされる。より深い位置においては、波は、測定またはエネルギ吸収が水面から離れて実施されるほど強度が減少する円形の水分子運動である。より浅い位置においては、波は楕円の水分子運動である。より深い位置においては波の水平方向力に対する波の鉛直方向力は同じであり、すなわち50%対50%の関係にある。より浅い位置においては、鉛直方向力が水平方向力に一層付加され、例えば、海底の摩擦とともに最終的には波の破壊を生じる。
【0007】
本発明を簡単かつ費用対効果の高いエネルギの変換ユニットとして使用することができる分野についてさらに説明するために、以下に、幾分複雑なエネルギ変換器につながる歴史的に良く知られたエネルギ発生装置のいくつかの例を紹介する。
【0008】
特許文献5(1931年、1919年出願、OWC、Oscillating Water Column)において、Braseltonは、「シリンダ」(波キャッチャ(wave catcher))内の大きなピストンとして波の動きを機能させることによって波動エネルギを電力に変換する方法について記載している。波の動きは多量の柔軟かつ圧縮可能な量の空気を集束パイプに移動させる。このパイプ内には、空気の流れを電力に変換する空気タービンが取り付けられている。大型であるとともに陸地に配置されることのあるOWC(oscillating water column:振動水柱型)構造は非常に低い効率を有する。これは、とりわけ、空気タービンが空気の往復運動により発生する圧力および流れの大きな変化に対処することが困難なためである。NorwayのTrondheimにあるThe Norwegian University of Science and Technology(NTNU)は、70年代及び80年代にBudalの指導の下、ポイントアブソーバ(海洋面のブイ)を使用することによりOWC技術についての幅広い研究を実施した。2003年に、これらの研究の結論の概要が公開された。概要では、費用対効果の高い方法で波動エネルギを電力に変換するために、力変換器として弾性空気(elastic air)を使用することは、ラッチング制御されたブイの運動を有する現代の水力学に切り替えられるべきであることが示されている。さらに、「小さいことは素晴らしい」、すなわち、ブイのサイズは波長の5〜10%を超えるべきでないこと、およびラッチ技術が悪天候時に全システムを保護することができるということも示されている。OCW技術に関する実験は、例えば、タービンの効率を向上するために依然継続中である。
【0009】
特許文献6(1982年)は、例えば、ラッチ技術が使用される実施形態について記載している。
特許文献7(1979年)は、浮動ブイまたは船が配置されて、波が船の一方の側において回収され、これらを船の反対側にある水タービンにおいて変換する方式について記載している。このエネルギ吸収法に加えて、海面における波のクレストと波のトラフとの間の差を利用する他の方法、例えば、Pelamis社の「sea snake」は作用するために大型の構造を必要とする。
【0010】
特許文献8(1977年)は、海底に配置されたエネルギ伝達ユニット、「波ティルタ(wave tilter)」が、浅い水において、波の動きの水平方向力により後方および前方にいかに傾斜されるかについて記載している。波ティルタの動きは水シリンダに作用し、陸地に配置されたタービンに水流を供給する。この技術が使用された1つの例は、「波ティルタ」が水シリンダを動作するAquamarine社の波力技術であるOyster Wave Energy Converterであり、これは、高圧下において、陸地に配置されたペルトン型タービンに水流を供給する。別の例として、波ティルタが、水上から得た空気をピストンにより与圧し、海底の空気揚水ポンプにより、タービンを動作させる水流を発生させる特許文献9(2006年)が挙げられる。また別の例としては、隣接する液圧システムに加圧流体を供給するために種々の一方向バルブを備えた回転容積型ポンプが波ティルタに連結される特許文献10(2006年)が挙げられる。
【0011】
特許文献11(1976年)は、可撓性のゴム膜を備えた海底に配置されたエネルギ伝達ユニットが海洋面における波のクレストおよび波のトラフによって発生する統計的な圧力変化をいかに捕捉するかについて記載している。これらの圧力変化により、電流を生成するガスタービン上に気体が伝達される。この変換器は従来のOWC変換器に匹敵する効率を有していると考えられる。
【0012】
1998年5月に出願された特許文献12および1998年12月に出願された特許文献13は、ブイの圧縮および減圧が押しのけ容積を変化させるように、波の動きの統計的な圧力変化に水面下にある可撓性のブイが作用される特許文献11(1976年)の一実施形態を示す。これにより、機械的な仕事を生成するために使用されうる引張力の変化が生じる。ブイのサイズおよび可撓性のブイ材料を通過する気体の移動が長期の問題となりうる。
【0013】
特許文献14(1978年)は、水面の水の動きに反する力を生成するために水面下における反応質量がいかに使用されうるか、およびこれらの反力がエネルギを抽出するためにいかに使用されうるかについて示す。この基本概念のいくつかの改良が長年にわたり行われてきた。Wavebobは、この技術が使用されている一例である。
【0014】
特許文献15(1919年)において、Wilkinsonは、ブイの動きを機械的な仕事に変換するために、ブイに連結されたロープが使用される簡単なデバイスについて紹介している。同様の基本概念を有する他の者は、無端状のワイヤ、ベルト、チェーンおよびギアラックの助けにより、ブイの動きを、例えば、電力の生産に使用されうる軸の回転運動に変換する解決策を示している。これらの変換手法は、そのブイへの直接連結により、大半は種々の回転数における発電機の効率によって決定される効率を提供する。忘れられるか不可能であることもあるが、Budalによって示されたラッチ技術によって、波におけるブイの動きに作用することによって波からのエネルギ吸収および変換器システムの効率を最適にすることができる。
【0015】
非常に簡単および容易に理解可能と考えられる構造の寿命は、ロープ構造およびワイヤ構造においては、最も最適な状態時でさえも非常に短い。ベルト、チェーンおよびギアラックを有する構造の寿命は、それらが最適な状態において動作する場合、大幅に延ばすことができる。これらの純粋に機械的な構造に関するさらなる厄介なことは、それらがそれらの閉位置に達した際にシステムを保護するような永続する解決策を見つけることである。スチールバネおよびゴムの形態の緩衝材は重くなり、容積をとり、常に正であるとは限らないバネの復帰力を生成するおそれがある。
【0016】
特許文献16(1899年)では、Max Gehreが、ブイおよびリニア発電機を使用することによって波の動きから電流を発生させることができるデバイスについて紹介している。この概念は長年にわたる多くの変形の対象となっている。これらの発電機の問題は、現在の磁性材料によっても、それらが、高速回転する発電機に対してかさばり、重量があり、高額であることである。しかしながら、これらの簡単と思われる構造には、発電機室に連結している線形の通路を通じた水漏れを防止するために、さらなるラッチ技術、緩衝材およびシステムを追加しなければならない。さらに、これらのシステムには、エネルギ生産を平準化する簡単なデバイスを個別の動力源として設けることができない。
【0017】
消波装置の前後動を回転運動に変換するために最も一般的な方式は、水または油が発電機に連結されたタービンまたは液圧式エンジンを動作する水力学によって形成される。これらの種類の技術には「波ティルタ」が理想的である。なぜなら、それには複動ピストンまたは回転シリンダによって回収されうる二方向に作用する力が作用するからである。その一方で、ポイントアブソーバ(ブイ)では、何らかの形態のエネルギによりそれらの蓄積された復帰の動きを行う必要はない。
【0018】
特許文献17は、従来の液圧連結部を使用することによって、「ポイントアブソーバ」の前後動を電流にいかに変換することができるかについての例を示している。特許文献17は、また、本発明の相違点を明確にするための背景となりうる。特許文献17における浮動ブイは中空のピストン棒に可撓的に連結され、液圧シリンダは伸長パイプにより中空のピストンシャフトに可撓的に連結され、その液圧シリンダは伸長パイプにより海底のブイシンカに弾性的に連結される。ピストンシャフトおよびピストンにより、ブイはピストンの変位を発生させる。これには、中空のピストン棒によって、ブイ内にある高圧チャンバ内に蓄積された高圧がかかる。この高圧チャンバは、可変液圧エンジンおよび冷却システムを介して別の圧力チャンバに低圧で接触している。液圧エンジンは、発電機により、両チャンバ間の流れ内における圧力差を電流に変換する。低圧チャンバ内に残った圧力は、ピストンを戻すため、また、連結されたブイを、続く海のトラフの新しい始動位置に移動させるために使用される。通風機およびリザーバに連結された小型ポンプを備えた制御システムにより、ピストンの復帰の動きおよびブイの復帰の動きの間、液圧モータ上における連続的な流れを実現するように、アキュムレータタンク内の圧力を、種々の時間、波の高さ、天候状態等において適正にするために、オイルがシステムに追加されるか、システムから除去される。
【0019】
このシステムは一方向に作用する。すなわち、システムは、波の動きの上昇段階時に波動エネルギを利用および貯蔵し、このエネルギを、波の全周期中、大型アキュムレータタンクの配置を通じて分配する。大きな圧力差はアキュムレータタンクの間におけるガス移動の問題を形成しうるため、頻繁な制御を実施しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0158950号明細書
【特許文献2】米国特許第7385301号明細書
【特許文献3】米国特許第4648877号明細書
【特許文献4】米国特許第7239987号明細書
【特許文献5】米国特許第1791239号明細書
【特許文献6】米国特許第4355511号明細書
【特許文献7】米国特許第4172689号明細書
【特許文献8】米国特許第4001597号明細書
【特許文献9】米国特許第7131269号明細書
【特許文献10】米国特許出願公開第2006/0150626A1号明細書
【特許文献11】米国特許第3989951号明細書
【特許文献12】米国特許第6229225号明細書
【特許文献13】米国特許第6392314号明細書
【特許文献14】米国特許第4081962号明細書
【特許文献15】米国特許第1318469号明細書
【特許文献16】米国特許第628657号明細書
【特許文献17】米国特許出願公開第2005/0167988号明細書
【非特許文献】
【0021】
【非特許文献1】「Cardiac Pumping and Regulating Functions of Intraventricular Septum」、Lundback、1986年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明の目的は、往復する外力を回転軸運動に変換する機械的配置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は、2つの基本態様のその最も保守が不要であり、かつ長寿命である実施形態を含む。
本発明の第1の態様によれば、外力を、少なくとも1つの力伝達アクスルのアクスル回転運動に変換するように構成されたエネルギ変換ユニットが提供される。ここで、エネルギ変換ユニットは、外力をアクスル回転運動に変換するように構成された変換モジュールと、変換モジュール上において外力(F)を往復運動に転換するように配置された少なくとも1つの規制デバイスとを備え、変換モジュールを少なくとも部分的に密閉する中央ユニットを特徴とする。変換モジュール上において外力を往復運動に転換するための往復運動は、密閉容積内における流体の往復運動、および機械的な装置の往復運動の少なくとも一方である。
【0024】
本発明の第2の態様によれば、密閉容積内においてエネルギをアクスル回転運動に変換するように構成された変換モジュールを含む代わりに、流入流路および流出流路の少なくとも一方に、自由な往復動流体(free reciprocating fluid)の流れを、閉鎖的な流れに変換して、往復動容積の動きを妨げるように構成された1つ以上のラッチバルブが設けられる。
【0025】
これらの実施形態では、好ましくは非圧縮性流体または圧縮性気体を含む往復動容積は、2つの規制デバイスの間において圧力を伝達するために、および端部停止部/端部位置の液圧ダンパとして作用するように使用してもよい。非圧縮性流体が使用される場合、最適化されたエネルギ吸収を提供するために、および機構にとっての最適にされた環境に寄与するためにラッチバルブ機能を追加することができる。
【0026】
基本実施形態の変換モジュールはトルクコンバータであり、好ましくは、内方向および外方向に向いた歯車駆動ポンプ、ロブローテーティング(lobrotating)ポンプおよびウイングポンプ等の連続的な容積型ポンプの原理に従って組み立てられるが、代替的には、同様に1つまたは複数のラッチバルブが設けられる場合、大型構造における一体型のラッチ技術により、タービンホイールを含みうる。エネルギ変換器のすべての構成要素は、関連する寿命および保守間隔を有する実現可能な寸法を算定することができるような状況下で動作する。
【0027】
基本実施形態では、貯蔵されたエネルギを復帰用の引張力および押圧力の少なくとも一方に変換することができ、継続的なエネルギ変換に寄与しうる、対向する規制デバイスの少なくとも1つ、例えば、一次規制デバイスの上における、部分的にエネルギ変換により、および部分的に圧力勾配の生成により、エネルギコンバータに入力された力の方に向かう逆の力を発生させる。
【0028】
長寿命の重要な要因は、とりわけキャビテーションを防止することである。このため、エネルギコンバータ内の流体はエネルギコンバータ内の気体の予想体積に直接接触すべきではない。これは、例えば、二次規制デバイスが外部コンプライアンスチャンバまたは内部コンプライアンスチャンバから対向する規制デバイスにピストンによって直接的または間接的に圧力を伝達する場合、必須ではないが、好ましくは、同じサイズの2つの規制デバイス間における往復動流体の範囲を定めることによって防止される。規制デバイスが異なるサイズを有して構成された場合、例えば、オイルフィルタを通過して可能なコンプライアンスチャンバに直接導かれうる、より小さなバイパス流を形成することができる。さらに、液圧式変換モジュールを備えた実施形態は、名目的な効果を得るため変換モジュールにおける圧力降下で圧力を約1〜4倍以上低下させる必要がないように構成されており、かつそのような寸法にされている。
【0029】
実施形態に機械的な変換モジュールが備えられている場合、往復動流体はキャビテーション問題を有しない。これらは、ギアラック、チェーン、薄いスチールバンド、タイミングベルト、スチールワイヤまたは合成コードとすることができる。
【0030】
本発明の実施形態は、それらが地球の加速に対して最適な機能を得るように選択されるか、適合されなければならない。これは、エネルギ変換器が場合によってはその水平面が地球の加速に対するエネルギ変換器の配向に依存する液体と気体間における一体化した連結部において動作するためである。
【0031】
エネルギ変換器は、特定の実施形態では、例えば、前に示したような波変換装置からエネルギを抽出するように改良することができるが、それは、また、例えば、風および水流によって生成された他の往復運動からエネルギを抽出するために使用することができる。エネルギ変換器に引張力を伝達することが、多くの場合、最も有望な解決策である。製造費用および設置費用、保守費用ならびに寿命は、目的とするエネルギ変換器にとってどの実施形態が最適であるかを決定する際の決定要因である。
【0032】
したがって、本発明は、往復動力を少なくとも1つの力伝達アクスルのアスクル回転運動および電力の少なくとも一方に変換するように構成されたエネルギ変換ユニットに関する。このユニットは、力に直接的に連結され、入力された力を少なくとも1つの変換モジュール上において容積移動運動に転換するように配置された少なくとも1つの規制デバイスを含む。エネルギ変換器は、少なくとも1つの規制デバイスが、少なくとも1つの変換モジュールを全体的にまたは部分的に通過する、1つの、エネルギ変換ユニットによって密閉された往復動容積の範囲を定めることを特徴とする。往復動容積は、入力された力を少なくとも1つの変換モジュール上において往復運動に転換するように配置された非圧縮性流体または気体の流体を含みうる、および/または往復動容積は少なくとも1つの変換モジュールに適合させた少なくとも1つの機械的な力伝達装置を含みうる。このユニットは、少なくとも1つの変換モジュールを少なくとも部分的に含む小型中央ユニットをさらに含む。
【0033】
規制デバイスおよびエネルギ変換ユニットによって範囲を定められる往復動容積は、往復動力によって動力を発生させる変換モジュール上における往復運動に変換される。これらの運動は、変換モジュールによって利用可能エネルギに/動力伝達アクスルまたは発電機によって電気に変換されうる。往復動容積は、非圧縮性流体、または変換モジュール上または内を通過する特定の容積を占める、ピストン/ピストンシャフト、ギアラック、タイミングベルト、チェーンまたは他の類似装置等の機械的な力伝達装置とされうる。往復動容積が機械的な装置を含む場合、変換モジュールは同装置に適合されている。例えば、同装置がギアラックの場合、変換モジュールは対応するギアを含む。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つの規制デバイスは、往復動容積およびエネルギの吸収を可能にする少なくとも1つの可縮性コンプライアンスチャンバと直接または間接連結している。
【0035】
別の実施形態では、少なくとも1つのコンプライアンスチャンバはその外部から区切られている。
この少なくとも1つのコンプライアンスチャンバは、例えば、気体等の圧縮性媒体が充填された外部(周囲に開放された)または内部(周囲から区切られている)チャンバとされうる。規制デバイスとコンプライアンスチャンバとの間に形成された圧力勾配は、圧縮性媒体の圧縮または減圧によってエネルギとして貯蔵することができる。貯蔵されたエネルギは、変換モジュールに荷重をかけない押または引デバイスを使用することによって規制デバイスに伝達されうる。外部チャンバを外部の周囲環境とすることができ、内部コンプライアンスチャンバを周囲から区切ることができ、かつエネルギ変換ユニットの内部に配置することができる場合、規制デバイスを、例えば、1つの内部コンプライアンスチャンバおよび1つの外部コンプライアンスチャンバの、2つのコンプライアンスチャンバに連結することもまた可能である。内部往復動容積における2倍のエネルギ貯蔵を可能とするため、規制デバイスを2つの、周囲から区切られたコンプライアンスチャンバに連結させることもまた可能である。規制デバイスがコンプライアンスチャンバと直接連結されている場合、規制デバイス上における圧力勾配は往復動容積に作用する往復動力によって直接的に形成されうる。この場合、往復動容積は機械的な力伝達デバイスとされうる。規制デバイスがコンプライアンスチャンバと間接連結している場合、往復動容積は非圧縮性流体とされうる。
【0036】
別の実施形態では、少なくとも1つのコンプライアンスチャンバが負圧(underpressure)され、一方向バルブによって周囲に連結されている。
入力される外力が複動規制デバイスに連結される場合(好ましくは規制デバイスがピストンまたは回転翼である場合)、コンプライアンスチャンバ内の、通常、規制デバイスの一方の側にある圧縮性媒体において大きな負圧(真空)が発生しうる。入力された力はその後変換モジュール上において引張力に変換することが可能である。複動規制デバイスによって形成された負圧容積に、規制デバイスの戻る動きによって開くことができるバルブを設けることによって、例えば、ピストンシール上における流体の漏れを排出することができ、最大サイズの負圧容積を維持することができる。
【0037】
一実施形態において、範囲を定められた往復動容積は流体であり、以下のいずれかにより限定される、すなわち、規制デバイスおよび変換モジュール、2つの互いに分離された規制デバイス、規制デバイスおよび少なくとも1つのコンプライアンスチャンバ。
【0038】
往復動流体容積を制限することによって、エネルギ抽出に使用されうる振動押しのけ容積が形成される。往復動流体容積は、コンプライアンス容積に直接的または間接的のいずれかにおいて作用するか、形成された外部閉流体回路または内部閉流体回路のいずれかである。流体容積が少なくとも1つの圧縮性コンプライアンスチャンバと相互作用する少なくとも1つの規制デバイスによって制限される場合、エネルギをコンプライアンスチャンバ内に貯蔵することができる。
【0039】
一実施形態において、最低1つの規制デバイスが少なくとも1つの力伝達デバイスに連結されているため、中央ユニットにおける機械的な力および電力の少なくとも一方への力の変換と並行して、入力される外力が少なくとも1つのコンプライアンスチャンバ内に貯蔵されている。
【0040】
力伝達デバイスは、非圧縮性流体およびまたはピストンシャフトまたは類似物等の機械的なユニットとされうる。力の並列貯蔵は貯蔵されたエネルギを引き戻り力に変換することを可能とする。したがって、外力がユニットに作用していない場合でもエネルギ変換が継続される。
【0041】
一実施形態において、エネルギ変換ユニットは、中央ユニットの各側に配置された2つの対向する規制デバイスを含み、これらは同じサイズのものである必要はない。対向する規制デバイスは、例えば、1つの下部一次規制デバイスと、1つの上部二次規制デバイスとされうる。これら規制デバイスは、少なくとも1つの変換モジュール上において少なくとも1つのコンプライアンスチャンバから往復動容積を区切っている。
【0042】
対向する規制デバイスは機械的に連結することもできる。その場合、それらの動きは均一であり、連結されている。密閉されている規制デバイスによって、流体容積は内部気体容積から容易に分離されうる。二次規制デバイスがピストンである場合、このピストンは、入力ピストンシャフトの優れた案内手段としても作用する。1つの規制デバイス、例えば、一次規制デバイスのみが外部から入力された力に連結される実施形態では、二次規制デバイスは原則的に外部コンプライアンスチャンバおよび内部コンプライアンスチャンバの少なくとも一方であり、その内部圧力は外部流体および内部流体の少なくとも一方によって一次規制デバイスに伝達される。
【0043】
別の実施形態では、少なくとも1つの規制デバイスは入力される外力に機械的に連結されているため、流体の運動により前記少なくとも1つの変換モジュール上において外部閉サイクルまたは内部閉サイクルを形成する2つの容積伝達運動を発生させる。
【0044】
圧縮性コンプライアンスチャンバ内におけるエネルギ貯蔵を所望しない場合、規制デバイスは(例えば、波ティルタの回転アームの両側のように)完全に機械的に、または機械的であるが、規制デバイス間に流体を有して連結されうる。これにより、中央ユニットおよびその変換モジュール上における往復動流体容積の往復運動につながる外部流体回路または内部流体回路が形成される。
【0045】
本発明の一実施形態において、中央ユニットは、前記少なくとも1つの変換モジュールに通じるとともに、前記少なくとも1つの変換モジュールから通じる流入流路および流出流路を含み、その中に往復動流体が案内されるように配置されている。
【0046】
したがって、中央ユニットは、少なくとも1つの規制デバイスに作用する外力によって生成された流体の流れを案内するように構成された流入流路および流出流路を備えた少なくとも1つの変換モジュールを密閉するとともに提供する容積と説明されうる小型ユニットである。
【0047】
別の実施形態では、流入流路および流出流路の少なくとも一方に、自由な往復動流体の流れを、往復動容積の動きを妨げる閉鎖的な流れに変換するように構成された1つ以上のラッチバルブ、又は閉止バルブが設けられうる。
【0048】
流入流路および流出流路内の往復動容積は、一次規制デバイスと二次規制デバイスとの間における圧力伝達機能を有する流体を含む。好ましくは、変換モジュール上における流体の流れは、ラッチバルブ/閉止バルブの開閉によって、力吸収および動作を、エネルギ変換ユニットに組み込まれている行程に合うように制御および最適にする制御および通信モジュールによって制御される。制御および通信モジュールは内部センサおよび可制御機構を使用することによってエネルギ変換器の機能を自動的に管理および最適にするように構成されている。
【0049】
別の実施形態では、少なくとも1つの規制デバイスは周囲から区切られたサービスボリュームに連結されている。
サービスボリュームは、気体、液体等の流体およびエネルギ変換ユニットの機構および機能の内部容積を最適にする、システムに含まれるべき他の構成要素を含んでもよい。サービスボリュームは、また、キャビテーションの発生を防止してもよく、同時に、規制デバイスの減速および端部停止部/端部位置液圧ダンパを形成するのに十分な流体を提供してもよい。サービスボリュームの容積は好ましくは特定の圧力で加圧される。
【0050】
別の実施形態では、ユニットは、エネルギ変換ユニットの端部位置/位置(複数)における、伝達される流体の動きを減速するように構成された機械的ブレーキまたは液圧ブレーキである制動装置をさらに含む。
【0051】
制動装置は、バルブ、シリンダ上部およびピストン形状が規制デバイスの端部停止部/端部位置液圧ダンパを形成するように設計されうるか、規制デバイス自体が中央ユニットに対して端部停止部/端部位置液圧ダンパを形成するように設計されうる。不必要な力から中央ユニットを保護するため、制動装置は、これらが発生する力が、変換モジュールおよびこれらを取り囲む流体に作用する力から分離されるように配置される。
【0052】
別の実施形態では、変換モジュールは、以下の少なくともいくつかを含む、すなわち、容積型ポンプ、ギアラック、チェーン、コード、タイミングベルト、スチールまたは合成バンド、ワイヤ、ロープもしくは磁気力送信器。
【0053】
例えば、往復動流体の動きにより、2つ以上の変換モジュール、例えば、変換器のエネルギ密度を増加し、かつ対称な設計を形成する可能性を増加させる2つのロブローテーティングポンプを動作させることができる。往復動する機械的な運動は、1つ以上のギアラック、チェーン、タイミングベルト、スチールバンドまたは合成バンド、ワイヤ、ロープもしくは永久磁石の外形によって伝達されうる。ギアラックが使用される場合、それらは好ましくは、変換器のエネルギ密度を増加し、対称的な動力出力を生成する可能性を増加させるために、2つの各々の、および連結されたピニオンを有する対で配置される。ギアラックは、2つの対向する規制デバイスのピストン間において安定的に適応させた連結を形成し、これはギアラックにおける均一な力の分配につながる。2つ以上のチェーンが使用される場合、変換器のエネルギ密度が増加しうるとともに、また、対称な設計の形成の可能性が増加しうる。チェーンは、規制デバイス/ピストンに可撓的に連結されうるとともに、入力される外力を2つの対向する規制デバイスに機械的かつ強固に連結するとともに伝達するバーに、永久磁石によって保持されうる。チェーンはその寿命中、伸張し、長くなる。このため、チェーンの延長を常時吸収するために、チェーンをチェーン伸張ループまたはホイールに連結することもまた可能である。2つ以上のタイミングベルトが使用される場合、それらは好ましくは予め伸張されたバネ状の連結部において2つの対向する、強固に連結された規制デバイスに取り付けられる。バネ状の連結部は、予め伸張された力を、タイミングベルトが変換モジュールに変換する実際の力に調節する。これによりタイミングベルトの寿命を延長することができる。2つ以上の薄いスチールバンド、スチールワイヤまたは合成ロープが使用される場合、往復運動は上部装置および下部装置において2つ以上のドラム上で巻き取るおよび巻き出すことによってアクスルの回転運動に変換される。各ドラムのスチールバンドは、ドラムの直径および伝達される力に対して最適な寿命および強度を享受するために2つの薄層を含んでもよい。スチールバンドの各層は、機械的に強固に連結された対向する規制デバイスに対する取付デバイスを有する。取付デバイスは、層の均一な力の分配を提供し、1つの層のより長い走行を補償し、スチールバンドを、それらが巻かれる際に張り、上部装置および下部装置と強固に連結された規制デバイスとの間における巻き取りおよび巻き出しから発生する長さの総差を補償する。各ワイヤまたはロープは、機械的に強固に連結された対向する規制デバイスに対する取付デバイスを有する。取付デバイスはワイヤまたはロープに均一な力の分配を提供し、ワイヤまたはロープを、それらがドラム上に巻かれる際に張り、ドラムの回転時、それらは不必要な摩耗を防止するためドラムの螺旋形状の凹部に沿っている。永久磁石を含む外形が使用される場合、磁気力分布は、対向する規制デバイスを連結する機械的な連結部に配置された永久磁石を使用することによって形成される。中央ユニットに配置されたコイルが往復運動を電流に直接変換する1つ以上のリニア発電機を形成してもよい。
【0054】
好ましくは、変換モジュールは、回転するアクスルおよびそれらに取り付けられたエネルギ変換ユニットが良好な対称度および重量分布を有するエネルギ変換器の組み合わせを形成するように配置される。変換モジュールは、また、それらの回転するアクスルが二方向または一方向の回転方向を有する、1つの中心に配置された回転アクスルに接合されうるように配置されうる。回転するアクスルは、フライホイールまたは電力生成用または淡水製造用の高圧ポンプを有するまたは有しない1つまたは2つの対向する発電機を動作させることができる。
【0055】
別の実施形態では、少なくとも1つの規制デバイスは、以下のうち少なくとも1つを含む、すなわち、ピストンまたは回転ピストン要素を有するシリンダを備えた直線状シリンダの形態を有する複動規制デバイス、または密閉されたベローズ、復帰バネ式の直線状または螺旋状のエラストマシリンダ等の単動規制デバイス。
【0056】
二次規制デバイスが非密封ピストンを備えたシリンダによって形成される場合、それは、その一次規制デバイスのピストンへの連結に加えて、同様に、外部気密的に密閉される弾性エラストマシリンダまたはベローズへの連結部を有しうる。この構造により、例えばピストンシャフト等の線形の貫通部を使用することなく外部往復動力が変換器に伝達されうる。エラストマシリンダは、また、エネルギ貯蔵のない内部密閉循環(internal enclosed circles)を形成する。これは、液圧トルク変換に、または内部に配置された2倍のエネルギ貯蔵容積として使用されうる。トルクが平衡した螺旋状のエラストマシリンダも使用されうる。トルクが平衡したシリンダは、2つの類似するサイズの部分に分割されたシリンダであり、その1つの部分が右に回転し、他方の部分が左に回転する。すなわち50%が右回りであり、50%が左回りであり、中央に接合部を備えている。二次規制デバイスの非密封ピストンには、さらに一次規制デバイスのピストン面積に対応する、エラストマシリンダまたはベローズの追加面積によって発生した容積変化に対応し、シリンダ上部の適切な凹部に嵌合する液圧端部停止部を部分的に形成するために、部分的に流体を通過させる円すい形状のパイプが設けられうる。
【0057】
別の実施形態では、1つ以上の液圧シリンダがサービスボリューム内にある。これらの液圧シリンダは、力吸収を最適化するため、およびエネルギ変換ユニットの行程を最適な方式で使用するために、エネルギ変換ユニットを特定の位置に配置するように構成されている。
【0058】
さらに別の実施形態では、エネルギ変換ユニットは一体化された装置とともに閉容積によって完全にまたは部分的に密閉されている。閉容積は、酸化を防止するために、および変換ユニットに所望の密度を付与するために不活性ガスで加圧されうる。
【0059】
本発明は、また、往復動する外力を、少なくとも1つの変換モジュールから突出する少なくとも1つの力伝達アクスルのアクスル回転運動に変換するように構成されたエネルギ変換ユニットに関する。ユニットは、変換モジュールおよびその少なくとも1つの力伝達アクスルを含む中央ユニットと、前記少なくとも1つの変換モジュールへの、および前記少なくとも1つの変換モジュールからの流体を含む密閉された往復動容積に通じる流入流路および流出流路とを含む。往復動容積はユニットによって、および少なくとも1つの一次規制デバイスおよび1つの二次規制デバイスによって区切られている。ここで一次規制デバイスは、気密的に閉鎖された上部を有するベローズもしくは弾性的な直線状または螺旋状のエラストマシリンダの形態を有しうるか、ピストンの形態を有しうる。その突出したピストンシャフトは、ベローズまたは気密的に閉鎖された上部を有する弾性的な直線状または螺旋状のエラストマシリンダによって密閉されている。気密的に閉鎖された上部は外力が印加されるように構成されている。二次対向規制デバイスは往復動ピストンを備えたシリンダの形態を有し、往復動ピストンは、内部コンプライアンスチャンバを、規制デバイスによって区切られ、密閉された往復動容積から区切っている。さらに、ユニットは、閉鎖された上部を往復動ピストンと連結して、互いに対して係止し、各規制デバイス間において外力を伝達する1つ以上の機械的な力伝達デバイスを含む。それによりチャンバの圧縮または減圧によってエネルギがコンプライアンスチャンバ内に貯蔵されるため、密閉された往復動流体容積は外力に作用されることなく規制デバイスの往復運動に追従し、貯蔵されたエネルギが変換モジュールにおいて変換される。
【0060】
この設計により、チャンバの圧縮または減圧によってエネルギがコンプライアンスチャンバ内に貯蔵されるため、規制デバイス間に配置された流体は外力に作用されることなく規制デバイスの往復運動に追従することができる。このため、変換モジュール上において、密閉された流体容積を移動させることによって貯蔵されたエネルギを利用可能な回転運動に変換することができる。
【0061】
本発明は、また、1つ以上のリニア発電機を使用して、往復動する外力を、直接生成される電力に変換するように構成されたエネルギ変換ユニットに関する。この実施形態では、ユニットは、少なくとも1つの電力の直接生産用のコイルと、前記少なくとも1つのコイル上を通過する流体を含む密閉された往復動容積に通じる流入流路および流出流路とを含む中央ユニットを含む。往復動容積は、ユニットならびに少なくとも1つの一次規制デバイスおよび1つの二次規制デバイスによって範囲を定められる。ここで、一次規制デバイスは、気密的に閉鎖された上部を有するベローズもしくは弾性的な直線状または螺旋状のエラストマシリンダの形態を有しうるか、ピストンの形態を有しうる。その突出したピストンシャフトは、ベローズまたは気密的に閉じられた上部を有する弾性的な直線状または螺旋状のエラストマシリンダによって密閉されている。気密的に閉鎖された上部は外力が印加されるように構成されている。二次対向規制デバイスは往復動ピストンを備えたシリンダの形態を有し、往復動ピストンは、内部コンプライアンスチャンバを規制デバイスによって区切られ、密閉された往復動容積から区切られている。ユニットは、電力の直接生産用の永久磁石を含む1つ以上の機械的な力伝達デバイスをさらに含む。力伝達デバイスは、閉じられた上部を往復動ピストンと連結し、それらを互いに対して係止し、各規制デバイス間において外力を伝達する。それにより、チャンバの圧縮または減圧によってエネルギがコンプライアンスチャンバ内に貯蔵される。
【0062】
この実施形態は、変換モジュールを使用する必要なく、発電機を使用して電力を直接生成することを可能とする。気密的に密閉された上部を有するベローズもしくは弾性的な直線状または螺旋状のエラストマシリンダの形態の規制デバイスに外力が作用する場合、寸法決めが困難な必須のピストンシャフトシールを備えたピストンシャフトを使用することなく往復運動のエネルギを使用することが可能である。したがって、ユニットの内部容積を気密的に密閉することができ、内部流体の漏れおよび外部流体の吸引の少なくとも一方に関する問題を回避できる。
【0063】
一実施形態において、エネルギ変換ユニットは、中央ユニットおよびその変換モジュールまたはリニア発電機を有害な圧力ピークから保護するように構成された液圧式制動装置をさらに含む。流入流路および流出流路の少なくとも一方に配置された中央ユニットには、自由な往復動流体の流れを往復動容積の動きを妨げる閉鎖的な流れに変換するように構成された1つまたは複数のラッチバルブも設けられうる。それによって、例えば、波の動きからのエネルギ抽出を最適化することができ、往復運動は、効果的な方式で、機械的な仕事への効果的な変換、および、例えば、電力の生産を提供する動きに変換されうる。
【0064】
本発明の別の実施形態では、エネルギ変換ユニットの直線状および螺旋状のエラストマシリンダに電流供給および通信用の伝導性の線またはワイヤが設けられる。
本発明は、また、上記実施形態のいずれかによるエネルギ変換ユニットが、以下のいずれかの形態を有するエネルギ吸収装置に一体化されているか、近接していることを特徴とするエネルギ変換システムに関する、すなわち、海または海洋の底の反応質量または重量によって生成された反力を有するポイントアブソーバ、砕波を捕らえるために海岸の近傍の海または海洋の底に適切な深さで固定される波ティルタ、または往復動する風または水流を変換するように構成されたエネルギ変換ユニット。
【0065】
上記によるエネルギ変換ユニットは、シンカに、または海底または湖底のシンカとポイントアブソーバとの間に可撓的に取り付けられうる。ポイントアブソーバは、水面下の水圧が作用するように構成された圧縮性ブイ、また代替的には、水面に浮くように構成されたブイとされうる。ポイントアブソーバは、また、海洋または湖の底の適切な深さに固定される波ティルタとされうる。エネルギ変換ユニットは、また、アンカーポイントと、風または水流のエネルギ吸収ユニットとの間に取り付けられうるか、保持用係留ケーブルまたはアンカー線と並列で使用される可撓性のエネルギ生産リンクとして2つのアンカーポイント間に取り付けられうる。エネルギ変換ユニットは、また、回転可能なトルク変換部品に連結される複動式の回転可能なピストン要素を有するシリンダを含む基礎に連結されうる。トルク変換部品は、エネルギ変換ユニット内の変換モジュール上において外部機械的往復動力または外部液圧往復動力を閉路内の内部往復動流体の動きに伝達することができるレバーまたはプレートであってもよい。
【0066】
ここで、例として、図面を参照して本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0067】
図1図1a〜1jは、直線状シリンダおよびピストン、ならびにピストン状の端部クロージャを備えたベローズおよび復帰バネ式エラストマシリンダを備え、変換モジュールを含む中央ユニット上に、動作サイクルにおいて周囲に開放された開放往復動容積が形成されている本発明の実施形態の例を示す。
図2図2a〜2jは、貫通したピストンシャフトを備えた直線状シリンダおよびベローズを備え、変換モジュールを含む中央ユニット上に、動作サイクルにおいて周囲に開放された容積吸収コンプライアンスチャンバからなる開放往復動容積が形成される本発明の実施形態の例を示し、エンジンを有する閉止バルブ(ラッチバルブ)が中央ユニットに一体形成される状態を示す。
図3図3a〜3f、図3h〜3mは、直線状シリンダ及びベローズを備え、変換モジュールを含む中央ユニット上において、1つの内部コンプライアンス容積と、周囲に向かって開放された1つのコンプライアンス容積との間に開放往復動容積が形成される本発明の実施形態の例を示し、図3gは、外部圧力が印加されるときに、バルブを通じて潜在的な漏れを押し出すために、ピストンの復帰動作を用いて、内部コンプライアンスチャンバ内を常に高真空に維持するように構成される一方向バルブを備える例を示し、ピストンの復帰動作および高真空の生成は、ピストンの動きの端部における液圧式減速を可能にする。
図4図4a〜4eは、直線状シリンダ、ベローズおよび復帰バネ式エラストマシリンダを含む2つの機械的に連結された規制デバイスを備え、周囲と連係して、閉鎖された往復動動作サイクルを形成する変換モジュールを含む中央ユニット上において密閉された往復動容積を分割し、周囲が共通のコンプライアンスチャンバである本発明の実施形態の例を示しており、図4以降の図においては、往復動容積は何らかの方法でエネルギ変換ユニットの周囲から密閉されている。
図5図5a〜5eは、ベローズおよび復帰バネ式エラストマシリンダを含む2つの機械的に連結された規制デバイスを備え、完全に密閉されたピストンシャフト貫通部を有する周囲環境と連係して、密閉型の分割往復動動作サイクル(closed divide reciprocating cycle of operation)を形成する変換モジュールを含む中央ユニット上において気密的に密閉された往復動容積を分割し、周囲が共通のコンプライアンスチャンバである本発明の実施形態の例を示す。
図6図6a〜6eは、ピストンを備えた直線状シリンダとピストン状の端部クロージャを備えたベローズとを含み、それらの運動により入力される外力に連結される、2つの機械的に連結された規制デバイスを備えたユニットが、2つの別個のコンプライアンスチャンバ(1つの内部コンプライアンスチャンバと1つの周囲に向かう協調コンプライアンスチャンバ)間にある変換モジュールを含む中央ユニット上において分割された往復動容積を形成する実施形態の例を示す。
図7図7a〜7eは、ピストン状の端部クロージャを備えた、直線状シリンダ、ベローズおよび復帰バネ式エラストマシリンダを含む2つの機械的に連結された規制デバイスを備え、図6a〜6eの実施形態と同様に、気密的に密閉された状況下においてエネルギを貯蔵および送達しうる変換モジュールを含む中央ユニット上において分割された往復動容積を形成する本発明の実施形態の例を示す。
図8図8a〜8e、図8f〜8jは、2つの対向する内部コンプライアンスチャンバが、それらの間にある、少なくとも1つのシーリングシリンダおよびピストン機能によってコンプライアンスチャンバから分離される流体と相互に作用しうるため、このピストンに印加される外力により、エネルギの貯蔵および開放のための圧力勾配の増加が発生する実施形態のさらなる実施例を示しており、この貯蔵されたエネルギは、変換モジュールによって回転運動に変換される引張力および押圧力の少なくとも一方として解放されうる。
図9図9a〜9eは、本発明の2つの内部コンプライアンス容積のうちの1つが、流体を有するサービスボリュームと気体ポンプとをエネルギ変換器に連結することによって変化した特性を得ることができる実施形態の例を示しており、また、ピストンシャフト貫通部ならびに起こりうる均一でない荷重を吸収するため、および気体の漏れを防止するための流体係止部の例を示す。
図10図10a〜10cは、エネルギ変換器からの流体の漏れおよびガス移動を防止するため、貫通ピストンシャフトを被覆する、弾性で螺旋状の外装エラストマパイプまたはシリンダが設けられており、螺旋の外装が、図1cのエラストマシリンダと同様に、また、電流および信号の伝達のための、別個の群の伝導性の材料を含みうるまたは収容しうる本発明の実施形態の例を示す。
図11a】エネルギ変換ユニットが浮動ブイに一体形成されるか、ブイに枢動的に取り付けられた可変アンカーシステムにより、種々の海水面に装置を適応させるように取り付ける状態を示す。
図11b】エネルギ変換ユニットが浮動ブイに一体形成されるか、ブイに枢動的に取り付けられた可変アンカーシステムにより、種々の海水面に装置を適応させるように取り付ける状態を示す。
図11c図11a及び図11bの変形形態を示す。
図12図12a〜12dは、直線状の剛性またはわずかに弾性の外部シリンダを備え、原則的に、ピストンシャフトから押しのけられた容積を吸収しうる内部または外部コンプライアンス容積のみを必要とする変換モジュールを含む中央ユニット上において内部往復動動作サイクルを形成するエネルギ変換器の実施例を示す。
図13図13a〜13dは、直線状シリンダの形態の規制デバイスを備えた本発明が、中央ユニット上において内部往復動動作サイクルを形成し、平衡するピストンシャフト断面積により、往復動循環システム内の容積にいかなる変化も発生させない、対向するピストンシャフトがピストンに備えられているエネルギ変換器の実施例を示す。
図14図14a、14bは、羽根の形態の規制デバイスが備えられた回転シリンダが中央ユニットに適合されているため、回転シリンダに対して垂直に配置され、発電機への連結に適切な2つの動力出力部を有する、変換モジュール上における内部閉鎖型の往復動動作サイクルが形成される本発明による実施形態の例を2つの投影図において示す。
図15図15a、15bは、有害な横力を回避するため、2つの羽根が備えられた回転シリンダが2つの中央ユニットを動作するように構成されている本発明による実施形態の例を2つの投影図において示しており、2つの別個の変換モジュール上における、2つの別個の内部密閉型の往復動動作サイクルが形成され、そのそれぞれは発電機への連結に適切な回転シリンダの突出する軸に対して垂直に配置された1つの動力出力部を有する。
図16図16a〜16fは、フリーホイールおよび対応するフライホイールを備えるか、備えていない電気発電機に取り付けられた変換モジュールが、水平に配向された変換モジュールを備えた中央ユニットに一体形成された実施例を示す。
図17図17a〜17dは、フリーホイールおよび対応するフライホイールを備えるか、備えていない電気発電機に取り付けられた変換モジュールが、垂直に配向された変換モジュールを備えた中央ユニットにいかに一体化されうるかについての実施例を示す。
図18図18a、18bは、2つの規制デバイスの1つがベローズであり、変換モジュールが2つのロブローテーティングポンプであるエネルギ変換ユニットの実施例を示し、図18cは、中央ユニットをいくつかのスライスで構成する実施例を示す。
図19図19a、19bは、2つの規制デバイスのうちの1つがエラストマシリンダを含み、ギアラックの形態を有する1つの機械的な変換モジュールが使用されるエネルギ変換ユニットの実施例を示す。
図20図20a〜20cは、2つの規制デバイスの1つがエラストマシリンダを含み、機械的な変換モジュールが1つまたは複数のチェーンによって動作されるエネルギ変換ユニットの実施例を示す。
図21図21a〜21cは、2つの規制デバイスの1つがエラストマシリンダを含み、機械的な変換モジュールが1つまたは複数の巻き取られるバンドおよび巻き出されるバンドによって動作されるエネルギ変換ユニットの実施例を示す。
図22図22a、22bは、2つの規制デバイスの1つがエラストマシリンダを含み、機械的な変換モジュールが小型の直径を有する1つまたは複数のスチールまたは合成線ならびに細いワイヤによって動作されるエネルギ変換ユニットの実施例を示す。
図23図23a〜23dは、本発明の好適な基本実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0068】
一般に、それぞれの図は、機能および配向を図示するために種々の面における投影図でありうる。
以下において、本発明の実施形態を詳細に説明する。図は単に説明を目的とするものであり、本発明の権利範囲を決して制限するものではない。したがって、「上」または「下」等の方向の任意の言及は図に示される方向を単に意味するものである。また、図に示される任意の寸法等は説明を目的とするものである。
【0069】
本明細書および特許請求の範囲において用いられる単数形の記載は、文中に特に明確に記載されない限り、複数形を含む。
弾性は、材料が弾性的に変形する能力である。弾性変形は、材料が応力(例えば外力)下において変形するが、応力が除去されるとその元の形状に戻る変形である。より弾性的な材料とは、より低い弾性係数またはヤング率を有する材料として理解されるべきである。物体の弾性係数は、その弾性変形領域における応力ひずみ曲線の勾配として定義される。弾性係数は、応力/ひずみで計算される。ここで、応力は、変形の原因となる力を、力が印加される面積で除したものであり、ひずみは、応力に起因する変化の割合である。
【0070】
本発明は、小型であるとともに費用対効果の高いエネルギ変換器に関し、好適な実施形態において、該エネルギ変換器は、1つの中央ユニットを備え、該中央ユニットは、中央ユニットと一体に形成された変換モジュール上において、機械的に往復運動し、かつ流体を伝達する容積を振動させることと、少なくとも1つの一体型の規制デバイスまたは変位デバイスによって機械的な運動が生成されることとの少なくとも一方を行うように構成された機構および流路を有する。
【0071】
特定の実施形態では、規制デバイスは、開サイクル(図1〜2)または閉サイクル(図12〜15)の動作においてそれら自体と相互に作用するか、(他の図で示される)他の実施形態では少なくとも1つのコンプライアンスチャンバと相互に作用する。規制デバイスは、例えば、ピストンを備えた直線状シリンダ、密閉されたベローズ、復帰バネ式エラストマシリンダまたは回転するピストンまたは回転子を備えた回転シリンダを含みうる。変換モジュールは、内方向および外方向に向いた歯車駆動ポンプ、往復動流体の動きに適応させたロブローテーティングおよびウイングポンプを含みうる。これらは、中央ユニットの実施形態を通るパイプシステムを使用することによって、往復動流体の動きを機械的な仕事(図1〜17)に適切な回転出力に変換すること、および、図2〜23のように、閉止バルブまたはラッチバルブを含む中央ユニットに一体化された流れシステムに加えられることの少なくとも一方を可能にする。一体型の締切バルブであるラッチバルブは、例えば、波の動きからのエネルギ出力による動力出力を最適化し、このエネルギを、効果的な方法で、機械的な仕事および例えば電力の生産に変換されうる動きに変換するように構成されている。往復動容積を変換する流体の動きは、図2〜23に示されるように、中央ユニットを有害な圧力および力にさらさない液圧端部停止部に一体化されたシステムの一部であってもよい。
【0072】
エネルギ変換器は、入力され、一方向または二方向に作用する押圧力および引張力の少なくとも一方に適応させることができる。一方向に作用する力に適応させた場合、例えば、システムが波の上昇段階時のみに波動エネルギを受け取りかつ貯蔵する場合、その容積により、ピストンデバイスにより直接的に(例、図6c、6d)またはピストンを介して間接的に流体の動き(例、6a、6b)を変化させる、少なくとも1つの内部コンプライアンスチャンバが設けられうるエネルギ変換ユニットは、第2の外部に(図6、7)配置されたコンプライアンスチャンバ、または内部に(例、図8)配置されたコンプライアンスチャンバに対する、エネルギ変換ユニットの入力された力による動きに連結される。それによって、一方向に作用する力を、往復動流体に伝達される二方向に作用する力に、およびまたは中央ユニット内の変換モジュール上において機械的に伝達される動きに変換することが可能である。中央ユニットはそれによってより小さく、より均一な力にさらされる。2つの機械的に連結された規制デバイスのピストンの両方が、それら各々のコンプライアンス容積に対して密閉される場合、それらの間にある流体は適切な圧力、例えば、サービスボリュームの圧力に設定されうる。これは、変換モジュールとサービスボリュームとの間に流れ連結部を形成することによって実施されうる。振動液体の流れが変換モジュールへのエネルギを変換する場合(図1〜18)、変換モジュールの周りにおけるキャビテーションを防止するために、この相互連結部には、変換モジュールからの流れを許容せず、変換モジュールへの流れを許容する一方向バルブが備えられうる。往復動機械ユニット(図19〜23)が変換モジュールへのエネルギを変換する場合、相互連結部により、中央ユニット内の離脱力を低下させ、変換モジュールをより軽量にし、より安価にし、組み立てを容易にする圧力リリーフが変換モジュール内に形成される。
【0073】
エネルギコンバータの構造は、変換器内において一方向に作用する力を二方向に作用する力に変換するために、ベローズおよびエラストマシリンダが双方向の様式で周囲の圧力および内部コンプライアンスチャンバ内の圧力と協働する気密的に密閉されたシステム(例、図11a)において適切である。エネルギ変換器は、脈動する連続的なエネルギ出力にも適切であり、エネルギ生産を制御および最適化しうるとともに、情報を送信および受信する電子的なモジュールを設けることができる。
【0074】
エネルギ変換器は、例えば、一体型のラッチバルブならびに適応させた液圧式および機械的変換モジュールによって、往復運動を比較的高い回転速度の回転トルクに変換することができるため、変換モジュールは小型かつ計量になり、したがって、中央ユニットとの一体化が容易になる。
【0075】
中央ユニットは、また、機械的な往復運動を電力に直接変換することができるリニア発電機の形態を有する変換モジュールを含みうる。そのような用途において尚往復動流体を使用する利点は、内部環境に負の影響を及ぼすことなくラッチバルブおよび液圧式端部停止部を使用できることである。
【0076】
図1a〜1j、図2a〜2jは、2つの投影図において、中央ユニット1a〜1jの実施形態の例を示しており、中央ユニット1a〜1jは、内部および外部ギアホイールポンプの原理に従って構成される1つ以上の変換モジュール2a〜2eと、往復動流体の動きに適合されたロブローテーティングポンプまたはウイングポンプとを備える。この実施形態および以下の実施形態では、変換モジュールは、2つの連結されたギアホイールを備え、単一のセットでは、ギアホイールが水平にまたは垂直に配置された変換モジュールをそれぞれ図1a〜1jにおいて符号2aおよび2bで示し、2つのセットの変換モジュールを、図2a〜2dおよび図2f〜2jにおいて符号2cおよび2dで示し、また図2e〜2jにおいて複数のセットの変換モジュール2eを示す。中央ユニットは、少なくとも1つの変換モジュールを包囲し、提供する容積として示され、例えば、ピストン3a〜3d、4a〜4dを備えた直線状シリンダ3またはベローズ4、もしくはシリンダ上部5aを備えた復帰バネ式エラストマシリンダ5等の、少なくとも1つの直接作用規制デバイスに適応するように構成された流入流路および流出流路を備える。ピストンおよびシリンダ上部5aは、変換モジュール2a〜2eとともに、この実施形態では同じ流体である流体FlおよびFxを含む可変の密閉往復動容積V1を分割する。容積V1は変換モジュール2a〜2eの全体を通って延在する。ピストンにピストンシャフト6a、6bを介して二方向に作用する力Fが提供される場合、ピストンは、周囲流体Fxと開放された状態で協働(open collaboration)して可変圧力P1を発生する。これらの実施形態では、変換モジュールの反対側の圧力P2は周囲流体の圧力Pxと同じである。周囲流体Fxは、例えば、往復動流体Fxが純水の場合、原則的に、可撓性の連結部(図示せず)により周囲に対して閉鎖される。中央ユニット内の変換モジュールは往復動流を、例えば、発電機の直接運転等の機械的な仕事に適切なアクスル7の回転運動に直接変換する。
【0077】
図2a〜2jは、ピストン3a、4aが、それぞれの中央ユニットと協働するピストン3b〜3d、4b〜4dとして、それぞれ構成でき、ピストンが、中央ユニットへ向かう方向、及び中央ユニットから離間する方向の端部停止部には、液圧ダンパB1、B2が形成され、液圧ダンパB1、B2は、ピストンが各端部停止部に接近する際に作用する。これにより動力伝達は緩やかに減速される。往復動デバイスとしてベローズが使用される場合、ピストン4dは、ピストン4dが、また、ベローズによって密閉された流体Flの圧力を低下させる液圧ダンパB1を形成するように構成される。エンジン9と、中央ユニットの流路内に配置されたラッチバルブ8とも呼ばれる一体型の閉止バルブとによって、変換モジュール上の流れは、流れの圧力勾配および変換モジュール上における計算された流れが、加えられた力Fからの最大エネルギ抽出を可能にするように最適化されるまで保持される。圧力センサ(図示せず)によって、圧力P1を測定して、所定の最低圧力未満に圧力が低下しないように変換モジュールにかかる荷重を電子機器およびソフトウェアによって変更することによって、キャビテーションが防止される。ロール膜型の規制デバイスを使用することも可能である。しかしながら、これらは、よりかさばる構造をもたらし、ベローズ型のユニットと比較すると利点をもたらさないため、本明細書ではこれらの実施形態についてこれ以上、説明しない。
【0078】
図3a〜3mは、外部シリンダ10がシリンダ3またはベローズ4を密閉して、圧力P2を有する密閉された気体容積V2が形成され、これによって、内部コンプライアンスチャンバC1が形成される好適な実施形態の例を1つの投影図において示す。代替的には、直線状シリンダ3自体を、一方向バルブ11を含む切妻(gable)によって密閉することができる。そのため、直線状シリンダ3は、ピストン3b、3cとともに、画定された気体容積V3を形成し、これにより、また、圧力P4を有する内部コンプライアンスチャンバC1が形成される。気体容積V2は実質的に気体容積V3よりも大きく形成される。これは、密閉された往復動容積V1内の往復動流体Flがピストン3a〜3c、4a〜4cにより容積V2を収縮させる場合、気体容積V2が、所望する以上に圧力を増加することなく加圧気体を含みうることを意味する。容積V3はより圧縮された容積を有し、強力な、全ピストン行程中において、ほぼ一定の負圧力を有する気体を収容するのに非常に適切である。ピストンを越える漏れは、遅かれ早かれ、コンプライアンスチャンバC1内の気体容積の妨げになりうる漏れ容積V4を形成する。これは、ピストンシャフトの貫通部のない外部シリンダ(10)がベローズ4を密閉している図3l、3mによる実施形態には当てはまらない。ベローズを備えた実施形態はそれほど高い圧力勾配に耐えないため、エラストマ上におけるガス移動の問題につながるおそれがある。漏れ容積V4は、手動で、または小型の一体型電気ポンプ(図示せず)で除去することができる。また、漏れ容積V4は図3c〜3fに示される往復動ピストンの復帰の動きによって自動的に除去することができる。外部流体Fxへの開放連結(open connection)により、圧力P2は外部圧力Pxを採用する。この採用された圧力は、力(F)および圧力(P1)が変換モジュール上におけるそれらの平衡値未満に低下すると変換モジュール(2a、2b)を他の方向に回転させる。ピストンの復帰の終了時、漏れ容積(V4)は一方向バルブ(11)を通じて押し出される。入力された力(F)の変化は、中央ユニット内において機械的な仕事に適切なアクスルの回転運動に直接変換されうる往復動流体の動きを発生する。圧力センサ(図示せず)によって圧力P1を測定して、所定の最低圧力未満に圧力が低下しないように、変換モジュールにかかる荷重を電子機器およびソフトウェアによって変更することによってキャビテーションを防止できる。
【0079】
図3gは、直線状シリンダ3内を高真空に維持するためにピストン3b内の溝に連通した一方向バルブ11が配置される様子の詳細図を示す。ピストンの復帰によってピストンシールを越えた過剰な流体が排出され、高真空が維持される。同時に、特定の実施形態において、バルブは、ピストンが、減少した圧力勾配または反転した圧力勾配をともなって、漏れ、ひいては減速した容積V4を押し出す場合に、常にピストンの緩やかな減速を可能にするように、十分な流体V4がシリンダ内に吸引されるまで密封しない。
【0080】
図4a〜4eは、投影図において、2つの規制デバイスを備える好適な実施形態の例を示しており、2つの規制デバイスは、2つの直線状シリンダ3、代替的には、1つのベローズ4及び1つの直線状シリンダ3、さらに代替的には、1つの復帰バネ式エラストマシリンダ5及び直線状シリンダ3を有し、ピストン3b及び3b、ピストン3c及び3c、ピストン4b及び3b、ピストン4c及び3cおよびピストン5a及び3cがピストンシャフト6bによって、それぞれ互いに連結され、流体Flを、往復動する密閉容積内に分割し、密閉容積は、外部流体Fxから分離される。ピストンおよび流体Flは、中間に配置された変換モジュール上において、周囲へのフィードバックを有する循環システムを形成し、該循環システムにおいて、ピストンに付加された二方向に作用する力Fは、中央ユニット内において機械的な仕事に適切なアクスルの回転運動に直接変換可能な流体の往復運動を生成する。
【0081】
復帰バネ式エラストマシリンダ5が作動している場合(図4e)、復帰バネ力F5がピストンの復帰の動きに寄与するため、一方向に作用する力であっても、機械的な仕事に適切なアクスルの回転運動に変換されうる。
【0082】
好ましくは同じ寸法の2つの対向する直線状シリンダを備えた実施形態(図4a、4b)は、両方向において、変換モジュール上におけるより高い圧力勾配に対処することができる。1つの直線状シリンダのみを備えた実施形態(図4c〜4e)は、対向するベローズ4または復帰バネ式エラストマシリンダ5へ向かう方向においてのみ、変換モジュールの高い圧力勾配に対処することができる。他の方向において処理可能な圧力勾配は、エラストマが耐えることができる圧力に依存する。周囲にわたるフィードバック循環システムにおいて、その圧力は、エラストマを支持するために使用できない。ピストンシャフト6bは原則的にピストンの間の密閉された往復動容積内に配置されるため、中央ユニットを通ってピストンシャフトが貫通されていなくてもよい。したがって、中央ユニットには、ピストンシャフトに対して長く、かつ広範囲の支持を可能にするラビリンス軸受を含む滑り軸受のみが設けられる。
【0083】
変換モジュール上の往復動流体Flは機械的に連結された2つの規制デバイスの間の密閉容積であるため、この容積は、圧力センサの有無に関らず、力Fにより発生する圧力勾配に作用することなく変換モジュールの各側に一定の過圧力を有し得る。このようにして、変換モジュール上でのキャビテーションが防止される。一定の過圧力は、例えば、周囲圧力Pxを含みうるか、図9図10図12図13に示される内部圧力装置によって形成されうる。図4aに示される変換モジュールの各側に設けられた一方向バルブCvを介して、これらの圧力は流体Flを加圧することができる。中央ユニットには、また、高すぎる過圧力を防止するために、変換モジュールを横断する安全バイパスバルブ(図示せず)を設けてもよい。
【0084】
図5a〜5eは、エラストマから製造され、好ましくは対向し、かつ周囲に対して気密的に密閉される2つの規制デバイスが、周囲と協働して、中央ユニットの変換モジュール上において往復動流を発生させる好適な実施形態の例を、投影図において示している。
【0085】
規制デバイスは、対向する2つのベローズ4(図5a)、代替的には、1つの復帰バネ式エラストマシリンダ5および対向するベローズの組み合わせ(図5b)を含み、復帰バネ式エラストマシリンダ5およびベローズのピストン状の装置5a、4aは往復動流体Flによって互いに液体的に連通している。図5bでは、ピストンシャフト6bはベローズ4の中心支持部を構成する。この実施形態は、より簡単なエネルギ変換器にとって好適であるとともに、例えば、係留ロープまたはアンカー線等の力伝達用の長尺状要素に連結される可撓性の動力生成リンクとして作用しうる。
【0086】
また、規制デバイスは、液体的な連通部以外は互いに機械的に連結させることができ、図示しない外部装置、またはベローズ4の安定支持部も構成しうるピストンシャフト6bのような内部装置を備える。
【0087】
この実施形態では、周囲に対しては密閉されているが、相互に作用する循環システムを形成し、該循環システムは、流体の往復運動を発生させるために二方向に作用する力を必要とする。復帰バネ式エラストマシリンダ5が作動する場合(図5e)、復帰バネ力F5がピストンの復帰の動きに寄与しうるため、一方向に作用する力であっても、機械的な仕事に適切なアクスルの回転運動に変換可能である。
【0088】
対向するピストン5a、4b〜4cがピストンシャフトまたは外形部6bによって機械的に連結された実施形態では、力Fは方向を変えることができるとともに、また、変換器上において機械的な連結部を備えていない実施形態よりもより高い圧力勾配を可能にする。これは、機械的に連結されたピストンが、一方の側における減圧と同時に変換モジュールのもう一方の側において増圧することによって変換モジュールを動作させる圧力勾配を発生させるためである。貫通孔を設ける必要なく外部圧力Pxにエラストマ上の流体Flを間接的に常時加圧することによって、キャビテーションが防止される。
【0089】
図6a〜6eは、投影図において、2つの規制デバイスを備えた好適な実施形態の例を示しており、該規制デバイスは、直線状シリンダ3及びベローズ4を備え、規制デバイスは、ピストンシャフト6bによって連結された図6a及び図6dにおけるピストン3b及び3b、図6b及び図6eにおけるピストン3c及び3c、図6cにおけるピストン3c、4cと協働して、変換モジュール2c、2d上における密閉された往復動容積を形成する。同時に、規制デバイスの一方が内部コンプライアンスチャンバC1を形成し、連結されたピストンがコンプライアンスチャンバを介して外部開口と、周囲に連結されたコンプライアンスチャンバとに連通して、内部エネルギ貯蔵部がエネルギ抽出およびピストンの復帰の動きを実施しうる。それによって内部コンプライアンスチャンバと外部コンプライ
アンスチャンバとの間に圧力勾配が形成され、これは、例えば、一方向の力が入力される間、変換モジュール2c、2dに作用することなく、貯蔵されるエネルギとして使用されうる。そのため、より均一な力分布を有する二方向に作用する力が変換モジュールに作用する。
【0090】
ピストンによって密閉された流体Flは、変換モジュールを全体的にまたは部分的に通って延在し、力Fによって、変換モジュール上において、圧力P3またはP4を有するコンプライアンスチャンバC1と、コンプライアンス容積として流体Fxおよび圧力Pxを有する外部周囲環境との間で往復運動させられる。往復動流体Flはピストン3b、3cによって外部流体Fxから分離され、往復動流体Flは最適な方式で変換モジュールを摩耗から保護するように選択される。図4a〜4eの実施形態と同じ原理により、キャビテーションは連結部Cvによって防止されうる。
【0091】
図7a〜7eは、2つの機械的に連結されたピストン間の流体Flが、圧力P3および圧力P4を有する、シリンダ10及び3により内部に形成されたコンプライアンスチャンバC1と、ベローズ4、復帰バネ式エラストマシリンダ5により形成された外部コンプライアンスチャンバとの間において往復運動する好適な実施形態の例を投影図において示す。外部コンプライアンスチャンバは、各々の圧力を有する空気または水などを含む周囲環境であり得る。
【0092】
ピストンシャフト6a、6bをピストン状の端部クロージャ4b、4cおよび5aに固定することによって、図7a〜7eに示すような気密密閉されたエネルギ変換器が形成される。
【0093】
内部コンプライアンスチャンバC1は、図7a〜7cの切妻が設けられたシリンダ10内に、それぞれピストン3bおよび4cを備えた直線状シリンダ3またはベローズ4を密閉することによって形成される。これにより、流体容積V4を有し、かつ圧力P3を有する密閉容積V2、または流体容積V4を備えず、かつ圧力P3を有する密閉容積V2が形成される。図7c〜7eでは、直線状シリンダ3がバルブ8とともに、密閉容積V4を形成し、密閉容積V4は、圧力P4を有する内部コンプライアンスチャンバC1としても作用する。
【0094】
内部コンプライアンスチャンバC1およびその底部バルブ11を閉鎖シリンダ13によって密閉することによって、流体および気体が充填されるサービスボリュームV6が形成される。流体は往復動流体Flと同じ種類の流体であり、気体は発電機室(図示せず)内の気体に連通していてよい。サービスボリュームV6はバルブ11に流体を送達することができるとともに、バルブ11から流体を受け入れることができ、それによって、2つの機能、すなわち圧力P4に最大負圧力を付与する機能、およびその端部位置の近傍においてピストン3b、3cに液圧式の減速を付与する機能を実現することができる。図7c〜7eの実施形態において、サービスボリュームV6は、周囲に対する気密密封を提供するとともに、エネルギ変換器内の流体および気体の追加、回収、再配置を行うために用いられ、これにより、変換モジュール内の圧力が除去または設定可能である。
【0095】
図7a、図7c〜7eの実施形態では、ピストンを越えた漏れ分、およびコンプライアンスチャンバC1内の気体容積内に配置された漏れ容積V4が存在する。漏れ容積V4は、小型であって一体型の電気ポンプR1により往復動流体Flへ戻され得る。エラストマシリンダを通じて外部圧力Pxが流体Flを間接的に加圧しているため、キャビテーションが防止されうる。また、キャビテーションは、圧力センサ(図示せず)により圧力P1を測定して、所定の最低圧力未満に圧力が低下しないように、変換モジュール2c、2dにかかる荷重を電子機器およびソフトウェアにより変更することによって防止されうる。
【0096】
コンプライアンスチャンバC1内の気体の圧力P3および圧力P4は、連結されたピストンによって、外部流体Fxおよびその圧力Pxと直接連結されている。周囲の圧力Pxは、多少の圧力損失もなく図7a、7d、7eのエラストマによって往復動流体Flに伝達される。これにより、圧力P2が非常に遅い速度で外部圧力Pxに変化する。図7b、7cでは、圧力P2は、周囲の圧力Pxおよびエラストマシリンダ5の復帰バネ力F5によって生成される。変換モジュールのもう一方の側の圧力P1は、内部コンプライアンスチャンバC1内における圧力P3および圧力P4によってピストン面積に対して発生した力、およびピストンシャフト6a、6bに作用する外力Fとによるものである。
【0097】
したがって、圧力P1および圧力P2は、ピストンシャフト6aによってピストンに印加される一方向に作用する力Fと平衡しうるため、力の変化により、中央ユニット内において機械的な仕事に適切なアクスルの回転運動に直接変換されうる往復動流体の往復運動が発生する。周囲の圧力Px、ピストンの面積およびエラストマシリンダ5の復帰バネ力F5は、コンプライアンスチャンバC1内の圧力P3および圧力P4とともに変換モジュール上において圧力勾配を発生させるパラメータである。
【0098】
例えば、ピストンシャフト6aは、押しのけ容積を有する浮動ブイに連結される場合、これらの圧力勾配を平衡するような引張力Fを生成しうる。波の動きによる不平衡時、変換モジュールが圧力勾配の移動方向に従って回転するように、変換モジュール上における圧力勾配が変化する。変換モジュール上における計算上の流れの後方における圧力が、限られた行程を有するピストンによって、最適なエネルギ変換を実行するために、十分に大きくなるまで、閉止バルブ8によって、変換モジュール上における流れを停止することができる。大きな変化なしで動作圧を増加させる1つの方法は、エネルギ変換器をより深い位置に配置することにより圧力Pxを増加させることである。
【0099】
図7bの実施形態はそれほど高い圧力勾配に耐えられないため、エラストマ上における気体の移動が発生するおそれがある。残りの実施形態は、主に、エラストマを透過する外部圧力Pxが高い場合、変換モジュール上の高い圧力勾配に耐えることができる。
【0100】
図8a〜8jは、流体Flが2つの内部コンプライアンスチャンバC1、C2間において往復運動し、ピストンシャフト6aによる押しのけ容積のみが周囲と相互作用する好適な実施形態の例を1つの投影図において示す。コンプライアンスチャンバC2は、往復動流体Flの圧力P2に直接的にまたは間接的に作用する圧力P5を有する気体容積V5を密閉するシリンダ12で好ましくは形成される。2つの別個の対向する内部コンプライアンスチャンバC1、C2は中間流体Flによって相互に作用しうる。中間流体Flは、少なくともシーリングシリンダ12およびピストン機能によってコンプライアンスチャンバから制限される。そのため、このピストンに作用する外力は、2つのコンプライアンスチャンバ内へのおよび2つのコンプライアンスチャンバからのエネルギの貯蔵および開放のための圧力勾配の増加につながる。連結されたピストン機能およびシリンダ機能を備えた2つの内部コンプライアンスチャンバC1、C2に向かう往復動流体Flの2つの拘束部(constraints)を使用する場合、気体混合の危険性が低下する。2つのピストンを備えたこの装置は、入力ピストンシャフト6aを良好に案内し、エネルギ変換器の端部位置において効果的な液圧ブレーキ機能を構成することを可能とする。2つの内部コンプライアンスチャンバC1、C2は、最適化されたエネルギ抽出が実施されるように、これらのチャンバの間に形成される圧力勾配を事前に設定でき、かつ自動的に調整できることを必要とする。
【0101】
図8a〜8dによる実施形態では、圧力P5が流体Flおよびエラストマによって変換モジュール2b、2cの一方の側に直接伝達される。変換モジュールの他方の側にかかる圧力P1は内部コンプライアンスチャンバ内の圧力P3、P4がピストン面積に対して発生する力によって生成されるとともに、ピストンシャフト6a、6bに作用する外力Fによって生成される。したがって、圧力P1および圧力P2はピストンシャフト6aによってピストンに印加される一方向に作用する力Fと平衡しうるため、力の変化により、中央ユニット内において機械的な仕事に適切なアクスルの回転運動に直接変換されうる往復動流体の動きを発生する。
【0102】
図8e〜8iによる実施形態では、圧力P5ならびにコンプライアンスチャンバC2への流れおよびコンプライアンスチャンバC2からの流れが気体の圧力P3および気体の圧力P4に間接的に伝達され、内部コンプライアンスチャンバC1への流れおよび内部コンプライアンスチャンバC1からの流れがエラストマベローズおよび通常のシリンダの少なくとも一方によって伝達される。取り付けられたシャフトまたは外形6bを備えたそのピストンはコンプライアンスチャンバC1に接触しているピストンに機械的に連結されている。ピストンは、変換モジュール2d上における往復運動によってエネルギを発生させることができる中間流体Flの範囲を定めている。ピストン面積のサイズが異なるまたは様々である場合(ベローズが使用される場合は常に当てはまる)、それらの動きにより様々な行程容積および流れが発生する。この流れの差は、例えば、流体清浄化システム(示されない)を貫通するバイパス導管bpによってコンプライアンスチャンバC2に直接連結することができるため、流体の一部清浄化が常時実施される。図8f〜8hに示される実施形態では、内部シリンダ3およびピストン3cは、往復動流体Flがコンプライアンス容積V5内の気体への不必要な接触にさらされず、かつ一方向のピストンシャフト6aが優れた案内部を有することを必要とする。他の実施形態と同様、圧力P1および圧力P2によって形成された圧力勾配が一方向に作用する力Fと平衡しうるため、中央ユニット内において直接生成された往復動流体の動きは機械的な仕事に適切なアクスルの回転運動に変換されうる。
【0103】
図8jは、組み立てられたピストン4bの拡大図を示す。構成要素4baが構成要素4bdに接触すると、または、構成要素4bbが中央ユニット1hの端部停止部4bfに接触すると、構成要素4ba、4bb、バネ4bc、流体Flとともに、ダンパ容積V4およびシリンダ10の切妻上の調節部4bdおよびピストンシャフト6a上の4beが液圧ダンパ機能を形成する。これは、中央ユニットに向かう、および中央ユニットからの、その端部位置におけるベローズへの流体圧力の緩やかな減速および軽減につながる。
【0104】
寿命を長くするために、すべての実施形態では、流体、気体、手動制御および自動制御の少なくとも一方、操舵、補修および通信機能用の機械部品および電機部品を含む対応するサービスボリューム(図9図10による実施形態を参照)を必要とする。例えば、キャビテーションは、コンプライアンスチャンバC2内の気体と流体相との間における不必要な乱流を、例えば、図8a〜8dによる実施形態における流体上の合体フィルタ(coalescence filter)(示されない)のような浮動制振材を配置することにより防止することによって回避することができる。生理的に溶解した気体は、圧力センサ(図示せず)によって圧力P1を測定して、所定の最低圧力未満に圧力が低下しないように変換モジュールにかかる荷重を電子機器およびソフトウェアによって変更することにより膨張が防止される。図8e〜8iによる実施形態では、図4a〜4eに記載したものと同じ方式でキャビテーションが防止されうる。
【0105】
図9a〜9eは、一体化されたまたは外部サービスボリュームV6が2つの内部コンプライアンスチャンバC1およびC2を備えるエネルギ変換器に連結される好適な実施形態の例を1つの投影図において示す。図9a、9bは、コンプライアンスチャンバC2が貫通部14および貫通部15を備えた閉鎖シリンダ12により形成された実施形態を示す。コンプライアンスチャンバC1は閉鎖シリンダ13によって密閉され、サービスボリュームV6を形成する。図9d、9eは、コンプライアンスチャンバC2が閉鎖シリンダ12によって形成されている実施形態を示す。閉鎖シリンダ12は貫通部を有さずに内部コンプライアンスチャンバC1を密閉する。
【0106】
これらの実施形態では、その貫通部17を備えた閉鎖シリンダ13が中央ユニットに連結されうるため、サービスボリュームV6がピストンシャフト6a、6bを密閉する。図9dに示されるように、また、サービスボリュームは別個のユニットとして中央ユニット1eに連結することができる。
【0107】
図9aおよび図9d、9eの貫通部14、17はコンプライアンスチャンバC2内の気相V5を固定する自然流体を有する。しかしながら、図9cに拡大される貫通部15には、コンプライアンス容積から、より低い圧力を有すると思われる周囲への気体の漏れを防止するために組込み式流体ロックを設けなければならない。これは、類似の補足貫通部18を備えた通常のまたは弾性的に中央に配置された液圧式ピストン貫通部17を、これらの間に密閉容積V7が形成されるように設けることによって達成が可能である。この容積には流体Flが連結部19によって充填されうる。その圧力および流れはこの例では中央ユニット1i内の変換モジュール2d上の圧力勾配によって発生する。非復帰バルブ20を流れる余剰の流体はピストン3cの上に平坦に配置され、コンプライアンスチャンバC2の方に向くピストンシールとともに、気体が往復動流体Flの方に漏れることを防止する。非復帰バルブ20は変換モジュール上の圧力勾配が方向を変化する際の容積V7上における復帰の流れを防止する。
【0108】
図9d、9eの実施形態において、バルブ11には、パイプシステム11cによって外部または一体型のサービスボリュームV6と連通するカバー11bが設けられる。コンプライアンスチャンバC2とサービスボリュームV6との間に、減衰および漏れ容積V4を排出するのに十分な力があることを保証しうる圧力勾配が形成されうる。
【0109】
図9bにおけるシリンダ3およびピストン3cの配置は、機械的に連結されたピストンの間にある流体Flが、前の図4a〜4eの説明によるキャビテーションを防止するために、変換モジュール2dの両側において一定の基準圧力で加圧されうることを意味する。この基準圧力は、例えば、サービスボリュームV6内において作用する圧力によって発生しうる。また、シリンダ3はピストンシャフト6a、6bを安定させるとともに、また、端部位置液圧ダンパBlに含まれうる。
【0110】
図9a、9d、9eによる実施形態では、コンプライアンスチャンバC2から流体Flに対する直接の圧力衝撃によって、および圧力センサ(図示せず)によって圧力P1を測定して、所定の最低圧力未満に圧力が低下しないように変換モジュール2cにかかる荷重を電子機器およびソフトウェアが変更することによってキャビテーションが回避される。サービスボリュームV6および一方向バルブ11は、同時に、直線状シリンダ3およびバルブ8を密閉することによって、最適化された負圧力を発生させるために、およびピストンの液圧減速のためにシリンダ3内部に適正な量の流体があることを保証する。
【0111】
ピストンによって変換される、ピストンによって限定および密閉されている流体は、力Fによって形成され、かつコンプライアンスチャンバC1およびコンプライアンスチャンバC2内の圧力P4および圧力P5によって発生した反力によって平衡する付加圧力(superimposed pressure)を受け入れる。力Fの変化により、付加圧力P1および付加圧力P2が発生し、変換モジュールの各側において、回転する機械的な仕事に変換されうる圧力勾配がこれらの上に形成されることとなる。
【0112】
サービスボリュームV6は、小型の流体および気体ポンプRlおよびR2によって、コンプライアンスチャンバC2にも接触している。例えば、サービスモジュールにおけるこれらのポンプの手動制御および自動制御の少なくとも一方によって、流体および気体はサービスボリュームV6とコンプライアンスチャンバC2との間において移送されうる。
【0113】
コンプライアンスチャンバC2内の事前設定された基準圧力P5は、例えば、コンプライアンスチャンバC1とコンプライアンスチャンバC2との間に形成された圧力勾配が波のない状態で水面上の浮動ブイから押しのけられた水量によって生成された引張力Fに平衡するように選択されうる。例えば、穏やかな水における引張力Fにより押しのけられた水量がブイの総浮力の50%に相当する場合、波の運動により、事前設定された力Fの近辺で振動力の変動が形成される。これらの力変動は、コンプライアンスチャンバC1およびコンプライアンスチャンバC2内における少ない圧力変化および遅い圧力進行によって、原則的に変換モジュールの回転運動に直接変換されうる。
【0114】
おもにサービスボリュームV6とコンプライアンスチャンバC2との間における流体の運動によって、事前設定された基準圧力は進行と同様に圧力を変えることができる。サービスボリュームV6からコンプライアンスチャンバ2への流体Flの伝達によってコンプライアンス容積V5が減少した場合、事前設定された基準圧力P5および圧力変化の進行は減少したコンプライアンス容積V5により増加する。流体がコンプライアンスチャンバC2からサービスボリュームV6に伝達される場合、逆のことが起こる。この調節機能は、流体Flの往復運動がピストンの可能な行程範囲内において発生することを保証しうる。すなわち、最適化されるエネルギ変換のために力および動きを追加した後にエネルギ変換器を連続的に適応させることを可能とする。
【0115】
エネルギ変換器の限られた行程を最適な方法でさらに利用するために、エンジン9を備えた閉止バルブまたはラッチバルブ8が例証的な中央ユニット1h、1i、1e、1fに一体化されている。大きな圧力差および変換モジュール上の流れが高パワー出力を可能にする。閉止バルブ8によって、変換モジュール2c、2d上における流れは、圧力および変換モジュール上における限られた流れにより、ピストンが、最適化されたエネルギ変換のためのそれらの限られた行程において作動するほど十分に大きくなるまで停止することができる。波からのより良好な力抽出のため、ストローク長さのより良好な利用のため、および、例えば、発電機がより良好な効率比を有するより速い回転動作のため、ラッチバルブは、この方式で、正弦形成抽出力(sinus formed extraction forces)をより方形波状の力に変換することができる。
【0116】
例えば、両方ともが非常に遅い進行の基本設定を有するコンプライアンスチャンバC1内の最大化された負圧力P4およびコンプライアンスチャンバC2内の適応させた過圧力P5により、それらを平衡状態にするために強力な引張力Fが常時必要とされるようにエネルギ変換器の圧力勾配を適応させることができる。この方式で、エネルギ出力は、上昇する波の動きと同様に、より均一なエネルギ生産を提供する下降する波の動きによっても発生しうる。図16〜17を参照のこと。
【0117】
図10a〜10cは、図10aでは、図9cに記載されたエネルギ変換器の好適な実施形態が、どのように2つの内部コンプライアンス容積C1およびC2を含み、取りはずされたサービスボリュームV6を有し、弾性的に中央に配置されたピストンシャフトシール17が改良され、気体を有するまたは有しない、潤滑流体またはポリマーにより、ピストンシャフト6aを密閉するより小さな滑り間隙23を有する弾性エラストマシリンダ/管22が補足されているかについての実施例を1つの投影図において示す。この完成により、すべてのエネルギ変換器はピストンシャフトが周囲にさらされたままで気密的に密閉されうる。ピストンシャフトを被覆する管は、また、直線状または螺旋巻のベローズ(示されない)を含んでもよい。
【0118】
図10bは、図10aの気密的に密閉される貫通部の拡大図を示す。エラストマシリンダ22の伸張によって形成された間隙23の負圧によって、拡散によりコンプライアンス容積から気体が散逸する危険性が最小になる。間隙23には、変換器からの流体が充填されるか、逆拡散により(すなわち周囲から間隙23に向かう)気体が充填されるかのいずれかである。
【0119】
エラストマシリンダ22は螺旋状によって外装されうる。外装は、また、電力の分配および通信のための伝導性材料およびガラス繊維からなりうる。連結部25は、例えば、加硫またはクランプ継手によってエラストマシリンダ22に取り付けることができ、電力出力および通信用のコネクタおよび付属物を含みうる。さらに、連結部は通信および高電流用の密閉された電気部品および接合継手を形成しうる。エラストマシリンダ内に密閉された電線導管は、エラストマシリンダの材料によって分離される1つ以上のコイルを含みうる。また、導管は、別個の自身の絶縁コーティングによって密閉されうる。より高い電流では、導管を保護するため、および調節部品25cを保護および被覆するための、絶縁体25bを有する連結手段25においていくつかの導管が連結されうる。エラストマシリンダには、この方式で、電線導管および通信51のための入口および出口が設けられる。螺旋状のベローズが使用される場合、導管も別個の螺旋状の管内に配置されうる。導管は螺旋状のベローズの内側輪郭に緩く、または固定的に沿っている。
【0120】
エラストマシリンダ22が望ましくない過圧力または負圧力の対象となりうる実施形態では、エラストマシリンダまたはベローズに圧力開放連結部25dが設けられうる。一方向バルブ(図示せず)を有するまたは有しないこの連結部は、サービスボリュームV6、または例えば、図10aと同様、サービスボリュームの機能を賄うようにおよび引き継ぐように構成された、完全にカプセル化された実施形態の一部またはいくらかとされうる、図11図16および図17の、カプセル化34によって形成された容積V34に関連しうる。
【0121】
図10cは、図7cに記載されるように、気密的に密閉されたエネルギ変換器の好適な実施形態を示す。ピストン3c、5aによって分離される流体Flが変換モジュール2d上において往復運動する一方で、内部コンプライアンス容積V3および外部周囲Fxは直線状エラストマシリンダ5によって拘束される。機械的に連結されたピストンは同等の容積を押しのける必要はない。その理由は、エラストマシリンダおよび同様にベローズは周囲と相互作用してそれら容積を調節することができるためであり、これは、往復動流体Flはもとより、図10bの往復動ピストンシャフト6aがシリンダに、摩擦低減フィルムとしても作用する関連の非圧縮性支持を常時提供していることを意味する。エラストマシリンダ5には、図10bのエラストマシリンダと同様、螺旋状に巻かれた電線導管および対応する連結部(図示せず)が設けられうる。同様に、螺旋状に巻かれたベローズを備えた実施形態には上記による電線導管が設けられうる。ベローズの長さの変化により行程容積が変化する、ベローズを備えた構造を使用する場合、自身の再構成および変形可能性内において行程容積の変化に対処できるように、対向する規制デバイスを適応させることができる。
【0122】
その弾性導管を備えたエラストマシリンダおよび螺旋状のベローズは2つの重要な機能を満たす。すなわち、
1.気密的に密閉されたエネルギ変換器をいかなる流体の漏れもなく提供することができ、
2.海洋面と海底との間における電流供給および通信を、常時上下に往復動するため動きの弱化および機械的な損傷という大きな危険性を伴うケーブルなしで行うことができる。
【0123】
図11a〜11cは、ピストンおよびピストンシャフトを備えた液圧シリンダ42が、シリンダ13によって形成されたエネルギ変換器のサービスボリューム内において、エネルギ変換器の往復動基本位置を変化する水位に最適化する電子的なモジュールE(これらの図では見えない)と手動でおよび自動的に簡単な方法で一体化されうる可変アンカーシステムの3つの実施例を示す。
【0124】
図11は、図7eに記載した、内部コンプライアンスチャンバC1内の圧力P4に加えて周囲圧力Pxを海洋面のブイによって発生した引張力に平衡させるために海洋の底に固定するように構成された、気密的に密閉されたエネルギ変換器を示す。波浪の動きはピストン3c、4cおよびそれらの間に密閉された流体Flの往復運動を発生させる。これらの動きは、ピストンの行程の利用最適化および浮動ブイにより押しのけられた容積から、中間/基本位置の近辺を往復動する。これは少ない程度であっても流体をサービスボリュームV6から、先に図9a〜9eにおいて記載したコンプライアンスチャンバC2に伝達することによって調整されうる。
【0125】
一体型のラッチバルブは、パワーエレクトロニクスおよびそのソフトウェアおよび制御部と協働する、電子機器モジュールE(示されない)およびそれらソフトウェアによって制御される。ラッチバルブによって、ブイの基本位置のあたりに十分に大きな変位が起こるまで波の変曲点においてブイの動きを遅らせることが可能である。それによって、波の正弦形状の動きが方形波に変換されうる。これにより、エネルギ変換器の限られた行程を使用できるため、可能な限り大きな力および速度でエネルギを発電機に伝達できることになる。ラッチ技術により、厳しい天候においてブイの動きを固定することもできる。
【0126】
ピストンシャフト43は、ホイール44および、例えば、ワイヤ45によって直接的にまたは間接的に海洋の底のアンカーモジュールに連結されうる。電子機器モジュールEおよびそのソフトウェアによって制御される液圧式ポンプ(示されない)は、ピストンシャフト43を備えたピストンを、エネルギ変換器が、例えば、潮の変化によって、効果的なエネルギ生成が可能な位置をとるように移動させることができる。また、厳しい状況において全システムを保護するために可変アンカーシステムが使用されうる。大きな適応を要する場合(大きな潮の変化)、ピストンの行程をシリンダ42を延ばし、切妻板46の通過を可能とすることによって、および/またはホイールおよびワイヤ44、45により装置を補完することによって増加することができ、これにより、この例においては、エネルギ変換器の最適化の可能性が2倍になる。
【0127】
変換器全体が回転軸を中心として対称なカプセル34内に封入されうる。カプセル34は、波、潮流および風が発生した際にブイにより付与される引きの方向に変換器がすぐに配向されることにつながる密度をエネルギ変換器が受け入れるするように構成することができる。これは、リニア軸受にかかる起こりうる横力が最小限に低減されることを意味する。
【0128】
発電機を含むエネルギ変換器の内部環境は、費用対効果の高い方法で長寿命および長い整備間隔を有するように最適にされうる。システム内に含まれる気体は、収容される構成要素を酸化させないように、例えば、Nとされうる。往復動流体Flは、有機油TellusE46を含みうる。TellusE46は、同時に、含まれるすべての構成要素にとって完璧な潤滑油である。ローブロータポンプが使用される場合、振動する流体は水または水ベースの流体とされうる。対応する自動制御、操舵およびサービス機能を備えるカプセル化は、さらに、完全に改修されるか交換されるまで完全に保守不要の動力生産となりうる(カプセル化された冷蔵庫の圧縮機と比較される)。
【0129】
図11bでは、可変アンカーシステムが備えられ、かつ浮動ブイ50に一体化された、図10bによる気密的に密閉されたエネルギ変換器の一例が示される。ピストンおよびピストンシャフト43を備えた液圧シリンダ42が、その切妻46によりコンプライアンスチャンバC2を密閉しているシリンダ13によって形成されたサービスボリュームV6内に配置されている。図11aの実施形態と同様、現在の水位後、電子機器モジュールEが手動および自動の両方においてエネルギ変換器の動力生産位置を適応させうる。摺動間隙23および電線導管24を備えたエラストマシリンダ22は、高圧直流をエネルギ変換器から海底のアンカーまで下ろされる電線管51に伝送することができる。
【0130】
図11cは、図11の変形形態を示す。変換器をブイ50に埋め込む代わりに、ピストンシャフト43に、ブイに連結されるように構成された自在継手が設けられているため、ブイの左右揺れの動きを吸収することができ、それによってピストンシャフトおよび軸受を有害な荷重から有効に解放する。エネルギ変換器のスプールのような形態および低質量はブイのエネルギ吸収機能にほとんど影響しない。多少浮動しているこれらのエネルギ変換器は有利に配置され、ガスおよび淡水の少なくとも一方の製造に使用されうる。また、可変アンカーシステムにより、アンカー領域内におけるわずかな深さの変化は、このシステムが備えられたエネルギ変換器にとってはあまり重大とならない。
【0131】
図12a〜12dは、図12aでは、ピストン3aを備える1つの開放直線状シリンダ3が、内部閉フィードバックシステムを形成する往復動流体Flが変換モジュール上に結合されるように剛性シリンダ12により密閉されている基本実施形態の例を1つの投影図において示す。圧力P5を有するコンプライアンス容積V5の必要性はピストン棒により押しのけられる容積に限定され、かつ閉フィードバックシステム内または外に設けられうる。また、1つの可縮性の構造、例えば、限られた膨張可能性を有するゴムシリンダ26(図12b)によってコンプライアンス容積の必要性を賄うことができる。
【0132】
この実施形態における変換モジュールは、変換モジュール上における往復動流体の動きを提供するために、二方向に作用する力Fがピストンに印加されることを必要とする。ピストンシャフトのクリア領域(clear area)上の圧力P5および圧力Pxによって形成される圧力勾配は、特定の実施形態では一方向の力とともに、ピストンおよび例えば、フリーハブ機能を備えた変換モジュール上の流体が開始点に戻るのに十分に大きい復帰力を提供することができる。
【0133】
図12c〜12dの実施形態には、閉鎖シリンダ13によって形成された一体型のサービスボリュームV6が設けられている。サービスボリュームV6は、手動および自動の少なくとも一方によってピストンシャフトシール上の流体の損失を補償し、変換モジュールの軸7の周りを密封するために、また、先の手順に従いキャビテーションの回避に寄与するために、小型の流体および気体ポンプR1、R2を介してフィードバック循環システムに接触している。サービスボリュームV6は、また、図11bと同様、同じ機能を備えた自立型のコンテナを含みうる。この簡単かつ小型の実施形態の2つの対向するエネルギ変換器は、例えば、波ティルタによる動作に十分に適切である。
【0134】
図13a〜13dは、1つの開放直線状シリンダ3が、ピストンシャフト6aの貫通部17を備えた1つの外部剛性シリンダ12によって密閉されているピストン3bおよび3cを備えているため、往復動流体Flが変換モジュール上において1つの内部閉フィードバック循環システムを形成する基本実施形態の例を1つの投影図において示す。
【0135】
中央ユニット1eおよび1fを貫通するピストンシャフト6aに等しい総面積を有する、対向するピストンシャフト6bを備えたピストン3bおよび3cを設けることによって、往復動流体のコンプライアンス容積の必要性がゼロに低下する。このため、内部循環サイクル内において容積変化は発生しない。
【0136】
図13c〜13dの実施形態では、閉鎖シリンダ13によって形成されたサービスボリュームV6が設けられている。それはピストンシャフト6bの貫通部を被覆する。サービスボリュームV6は流体および気体貯蔵部として作用しうるとともに、キャビテーションを回避するために、および変換モジュールの軸7上の漏れを自動的に入れ替え、ピストンシャフト6bの周りを密封するために、自身の圧力により、または1つの小型内部コンプライアンスタンク28およびポンプシステムにより流体Flを加圧しうる。
【0137】
この実施形態におけるエネルギ変換器では、変換モジュール上において往復動流体の動きを発生させることができるように二方向に作用する力Fがピストンに作用することを必要とする。
【0138】
図14図15は、外部シリンダ35、切妻36、軸受および軸シール37ならびにロータ38を備えた回転シリンダTCに合わせて調整されるとともに、1つまたは2つの発電機の所望の一体化に合わせて調整された、2a、2bの型の普通の変換モジュールを有する中央ユニット1kおよび1lによって形成される2つのエネルギトランスデューサについての実施例を2つの投影図において表示する。
【0139】
図14a〜14bでは、ロータに、外部シリンダ35を、圧力P1および圧力P2を有する2つの流体が充填されたチャンバに分割され、かつ2aの型の変換モジュール上において中央ユニット1kに圧力P1および圧力P2を有する往復動流を供給する羽根39が設けられる。この実施形態により、回転シリンダの軸と平行する2つの可能な電源出力部に接近できる。各々のチャンバに面した羽根39の表面は、外部シリンダ35および切妻36によって密閉された往復動流体Flを周囲から区切っている2つの機械的に連結されたピストンまたは規制デバイスとされうるため、内部往復動容積が中央ユニット1a〜1q上に形成される。
【0140】
図15a〜15bでは、回転シリンダに、2bの型の2つの変換モジュール上において、2つの対向する中央ユニット1lに圧力P1および圧力P2を有する往復動流を供給する2つの羽根39が設けられる。これらにはフリーハブおよびフライホイールのない発電機が備えられている。両実施形態では、一体型のラッチバルブ8およびエンジン9が中央ユニット内に備えられうる。
【0141】
回転シリンダTCは、図13a〜13dに記載したエネルギ変換器と同様、変換モジュール上において、原則的にコンプライアンスチャンバは何ら必要としない、閉じた動作の循環(closed circles of operation)を形成する。レバーまたは枢動板40により伝達されるロータによる往復運動は、流体Flを通じて変換モジュール2a上における往復動流体の動きに直接的に伝達される。
【0142】
2つの羽根を備えた回転シリンダはロータにかかる有害な均一でない荷重に対してより良好な平衡を提供する。羽根には、流出部の中間に、端部に液圧ダンパを形成するための小さな上昇部(raisings)が設けられうる。サービスボリュームV6はエネルギ変換器に取り付けられた外部ユニットから形成されうる。それは、流体および気体貯蔵部として作用しうるとともに、自身の圧力により、またはポンプシステム内の内部コンプライアンスタンク28により、流体Flを加圧し、キャビテーションを防止し、シール37上の漏れを自動的に入れ替えて変換モジュールの回転軸7の周りを密封する。
【0143】
回転シリンダを備えたエネルギ変換器は往復動流体の動きを発生させるために二方向に作用する力Fを必要とする。両実施形態では、フリーハブおよびフライホイールを有するまたは有しない1つまたは2つの発電機に適切な中央ユニットおよび変換モジュールが備えられうる。これらの実施形態は波ティルタに一体化されるのに適切である。これらは、また、例えば、ブイが自身の重量によって戻るレバーを上昇させるレバーシステムに含まれうる。
【0144】
図16図17は、好ましくは2つの発電機ユニットが、対称および重量平衡のために、エネルギ変換器の長手軸線に対して水平および垂直に配置された駆動軸7を有する変換モジュール2c、2dにいかに連結されうるかを原則的に示す。これらが含まれる中央ユニットを使用する場合、変換モジュール2a、2bへの連結部は同じである。二方向に作用する力送信器は、ラッチバルブ8により、フリーハブ29およびフライホイール31を備えた発電機ユニット30によってブリッジされうる強力かつ短い切換周期を提供し、これが均一なエネルギ生産につながる。フリーハブおよびフライホイールがなければ、発電機はより軽量になり、エネルギ変換器の変換ユニットは対称のために2つの発電機を備える小型かつ回転対称な密閉容器34を受け入れるが、それは大きく脈動するエネルギ生産を提供する。
【0145】
図16a〜16fは、図9aおよび図10aに記載されるように、変換モジュール2cが水平に配向される駆動軸になるエネルギ変換器の実施例を示す。
図16c〜16dでは、変換器が1つの方向に回転する場合は変換モジュール2cが1つの発電機を動作し、変換器がもう一方の方向に回転する場合はもう一方の発電機を動作するように配置されたフリーハブ29およびフライホイール31が2つの発電機ユニット30に備えられている。発電機の回転子には、同様に、変換モジュールが方向を変換するために停止している際、回転子へのエネルギを貯蔵および変換するフライホイール31が設けられている。これにより、1つの発電機のフリーハブが駆動軸を解放する一方で、もう一方の発電機のフリーハブが駆動軸を把持することになる。この実施形態は、電力を発生させるために1つ以上のエネルギ変換器が使用される場合に良好な代替となりうる一定の電流供給を送達する。
【0146】
図16cでは、フリーハブ29およびフライホイールを備えた2つの発電機30が、変換モジュール4の植込歯車によって動作される1つの共通のアクスル7aに連結されて設置される。この連結は、エネルギ変換器に非対称の重量および容積分布を提供するが、同様に、2つの対向する植込歯車を2つの別個のアクスル7bと連結することができる意味を提供する。これは、別個の植込歯車とスプラインとの整合がそれほど重要でなく、2つの歯車連結部にそれぞれ発電機へのトルクのわずか1/4の荷重がかかることを意味する。
【0147】
図16dでは、発電機は別個のアクスル7a、7bに連結される。これは、エネルギ変換器は対称な重量分布を受けるが、1つの発電機を動作させる2つの歯車連結部の1つは、共通のアクスルにより、共通のアクスル上にある発電機に合計トルクの3/4を伝達しなければならないことを意味する。これは、2つの関連する植込歯車の摩耗を増加させる。両発電機が非分割のアクスルによって動作される場合、2つの歯車連結部にはそれぞれ合計トルクのわずか1/4の荷重がかかるが、対向する別個の植込歯車とスプラインとの整合が非常に重要である。
【0148】
図1a〜1jによる中央ユニット1a〜1dおよび変換モジュール2a〜2bを有するエネルギ変換器は2つの歯車連結部のみを有するが、好ましくは幅は2倍である。これらの実施形態では、植込歯車の摩耗は発電機の配置と無関係である。
【0149】
図16e〜16fは、フリーハブおよびフライホイールのない発電機30の設置について示す。これらのエネルギ変換器はより小型の密閉容器34を有するが、大きく脈動するエネルギ生産を提供する。残りのすべてにおいて、機構は、図16c〜16dによる実施形態と同じ方式で作用される。
【0150】
図17a〜17dは、変換モジュール2dが垂直に配向された駆動軸になる、図7eおよび図9bに記載したエネルギ変換器の実施例を示す。
図17cには、フリーハブ29およびフライホイール31が備えられた2つの発電機ユニット30が図16cと同じ方式で配置されている。変換モジュールの両駆動アクスルが中央ユニット1iの垂線の中心にあるため、重量および容積分布は対称である。図16cで記載したものと同じ利点を有する対向する植込歯車は、示されない別個のアクスル7bに固定されうる。
【0151】
図17dは、フリーハブおよびフライホイールのない発電機30の設置について示す。実施形態は、大きく脈動する電流を送達するが、同様に、密閉容器34で示される最も軽量かつ小型の電気生産変換モジュールを提供する。好ましくは2つの、発電機の回転子は変換モジュール2dから共通のアクスルに直接的に連結される。これは、別個の植込歯車とスプラインとの間の整合がそれほど重要でないため、同時にエネルギ変換器が対称な重量分布を受けることを意味する。
【0152】
より小さなユニットでは、回転子と同様に固定子も往復動流体Flによって囲まれうる(キャンドモータと比較される)。それによって同時にすべてのアクスルシールは必要なくなる。それは、オイルが広い冷却領域を受け入れ、すべての軸受に最適化された潤滑を提供することができるためである。回転子の質量(約5kg/10kW)は、それが送達することができる減速する動力出力と比較するとごくわずかである。これは、それらの加速に必要な、およびそれらの減速時に発生するすべての力がごくわずかであることも意味する。したがって、この実施形態において、ラッチ技術8は、完全な実施において、発電機の両方向から効果的なエネルギ出力を提供するために使用されうる。
【0153】
変換器のコンパクト性の一例として、66kWの合計効果(collected effect)および160kgの合計発電機重量を有する、中央ユニット1i内の容積および変換モジュール2d、ラッチ技術8、9、電子機器ボックスEおよび他の示されない装置を含む2つの一体型の発電機Alaxion 500STK4mを備えた実施形態15dにより形成される容積が40cm未満の半径を有する球形状の筐体34内に収容されることが言及されうる。これは、わずか30kWに対して約1300kgの重量があり、かつ非常に大きな容積をとるとされるリニア発電機の重量と比較されうる。脈動による発電には給送導管により広い面積が必要であるは欠点であるが、これは、さらなる電気の分配のためにパワーエレクトロニクス使用することにより1つの共通の給送ラインに連結されうるいくつかの動力生産ユニットを使用することによって補償することができる。
【0154】
図18aおよび図18bは、2つの規制デバイスの1つがベローズ4であるエネルギ変換器の実施例を示す。これは、2つの対向するシリンダを備えたエネルギ変換器よりも短い長さの、すなわちより小型の、気密的に密閉されたエネルギ変換器につながっている。したがって、この実施形態は波ティルタに取り付けるのに適切である。2つの対向するピストン4a、3bは2つの対向する貫通し、かつ支持されるピストンシャフト6bと強固に連結されている。ピストン3aは端部位置液圧ダンパを両行程方向に提供するように設計されている。
【0155】
この実施形態では、速い流れおよび低い圧力勾配用の、例えば、Vogelsang VX136Q218型の2つのロブローテーティングポンプ56が変換デバイスとして使用されている。これらは貫通アクスル57を有するように配置および調整されている。これは、植込歯車58およびフリーハブ59をそれら内部機構に追加することができるとともに、ポンプにより高い圧力勾配かけることができ、それによってより高い効率を得るためである。これらの改良により、これらの共通の作用が、ロブローテーティングポンプを通る流れの方向と無関係に同じ方向に回転する1つの共通の中心軸60に提供されうる。これは、幾何学的および重量分布的の両方において、その合計密度が押しのけられた水量に近いものとされうるエネルギ変換器全体に望ましい対称度を提供する。さらに、発電機はフライホイールの協働によって均一な運転を得る。
【0156】
ロブローテーティングポンプを作動する力は周囲の水圧Pxおよびバネの復帰力F5が提供する圧力によって生成されるとともに、また、コンプライアンスチャンバC1内において優勢な圧力(負圧)によって生成される。ベローズが使用される場合の力F5は比例的に低い。ピストン3b上の合計圧力勾配は変換器が湖または海洋に下ろされるテンスメートルごとに1バールで増加する。力Fは、例えば、水面上の浮動ブイによって生成された力Fxと平衡する。この平衡の全変化はピストン間における往復動流体の動きを発生させ、これがさらにはロブローテーティングポンプによるエネルギ送達用のトルクに変換されうる。
【0157】
エラストマベローズの材料、例えば、ラバーミックスは、内部機構の寿命を最適にするために環境保全型のオイルFlに適応されている。ベローズは水の中に下ろされるため、それは劣化させうるオゾンおよび太陽光にさらされない。それにより、ベローズの寿命はエネルギ変換器の他の構成要素と同じになると思われる。
【0158】
一次シリンダC3には、一方向バルブ11と、キャビテーション問題が発生した場合に負圧P4を低下しうるバルブ機能(示されない)につながる入口61との両方が設けられうる。バルブ11を含むシリンダ閉鎖部の代わりに、図6aによるシリンダ閉鎖部も使用することができる。これは、サービスボリュームV2もコンプライアンス容積になることを意味する。エネルギ変換器には、エネルギ吸収を最適にし、エネルギ変換器の限られた行程を最適な方式で使用するために、閉止バルブ(ラッチバルブ)およびレベル調整液圧シリンダが設けられている。
【0159】
図18cは、中央ユニット1mが、流路63を形成することができるサンドウィッチ構造を形成し、変換モジュールおよびそのリンク機構を密閉し、貫通アクスルおよび他の貫通物に支持を提供し、かつ例えば、規制デバイス、サービスボリューム、発電機、制御システム、電子機器および気密的に密閉された密閉容器34等の外部追加付属物に支持を提供する、取り付けられたいくつかのプレート62によっていかに構成されうるかの一例を示す。変換モジュールへの、および変換モジュールからの流れに連結されないサンドウィッチ構造の容積には、貫通アクスルの周りにシールが設けられうるとともに、サンドウィッチ構造が高すぎる不必要な圧力にさらされないようにサービスボリュームの圧力に連結されている。
【0160】
この構造は保守なしで連続運転し、長い寿命を有するための寸法にされうる。これは、軸受を大きくし、システムの気相に不活性ガスを使用することにより酸化から保護される環境保全型のオイルによりシステムを動作することによって可能とされる。システムには、また、内部(示されない)オイル精製システムが設けられうる。
【0161】
以下、図19図22に示されるような、往復動流体の動きを機械的な変換モジュール上におけるアクスルの回転運動に変換するように構成されたエネルギ変換ユニットの短い説明を続ける。これらの実施形態では往復動流体自体はトルク変換プロセスに寄与しないが、閉止バルブによって、エネルギ吸収、端部位置液圧ダンパの最適化に寄与し、寿命を長くすることができる。
【0162】
図19aは、2つの規制デバイスの1つが、気密的に密閉されたエネルギ変換器に通じるエラストマシリンダ5であるエネルギ変換器の一例を示す。2つの対向するピストンは、1つ以上のギアラック64によって互いに機械的に連結され、好ましくは、変換器のエネルギ密度を増加させるため、および対称的な、相互作用的な解決策および中心において一方向に向かう動力吸収を形成する機会を増加させるため、それら背面が互いに面した状態で対において配置されている。
【0163】
ギアラックは、この例のように、それらが互いに分離される場合、ギアラックにおける均一な動力分布を得るため、および軸受およびギアラックの案内部に、それらが中央ユニット1nを通過する際に発生する可能性のある不必要な荷重がかかることを防止するため、例えば、接合ヘッド65、平衡はり66およびゴム軸受67によって伝達される接合機構(図19b)を備えたピストンに連結されうる。
【0164】
寿命を長くするためにはギアラックの正確な案内が必要である。この理由および他の理由のため、エネルギ変換器に、ピストン68がシャフト69によってエラストマシリンダのピストン状の端部部分4aに堅牢に取り付けられた内部支持シリンダ3が設けられている。
【0165】
この実施形態では、機械的なトルク変換により、内部往復動流体Flが外部圧力Pxをエラストマシリンダの近辺に伝達し、長尺状のエラストマシリンダのバネの復帰力F5によって生成された圧力を、一次シリンダのピストン3aに、閉止バルブ8を有する流路70を通じて伝達する。
【0166】
環境保全型のオイルである流体は、ピストン68の上部側にある円錐形状のパイプ71がピストンと端部クロージャ72との間に形成された容積をオイルが出ることを徐々に防いでいる際に形成される端部位置ダンパに寄与している。オイルの流れは、ピストン68の上部側とシリンダの端部クロージャ72との間の容積の減少によって部分的に、およびより大きな直径のエラストマシリンダおよびその動作時のその厚さの差に適応させるためにピストン68を通過する必要がある追加の流れによって部分的に形成される。エラストマシリンダの動きによって生成された容積変化および厚さの差は、対向するピストン3aの適切なピストン面積に対するエラストマシリンダの機械的な結合によって形成された容積の相互作用によるものである。エラストマシリンダまたはベローズ状のシリンダであっても周囲と相互に作用しうるため、上部シリンダと下部シリンダとの間に容積平衡が発生する。
【0167】
液体としての流体Flは3つの主要機能を有する。それは端部ダンパ機能における液圧媒体として作用し、閉止バルブ8とともに振動を防止し、また、ラック、ピニオン、ギア、ボール軸受およびリニア軸受にとって非常に重要な潤滑および冷却機能を有する。変換モジュール内へのラックの入口は、ラビリンスシールが形成されるようにギアラックの外形に適合されている。これにより、閉止バルブ8が閉じられている場合に圧力が変換モジュールに伝達されることを防止する。
【0168】
上述のように、ピストン3aは、端部位置液圧ダンパを提供するように設計されている。
機械的なトルク変換により、キャビテーションの危険性がなくなり、機械効率が非常に高くなる。ギアラックは、それらの得られた効果が、植込歯車およびフリーハブの補助により、中央ユニット1nを通るギアラックの動きの方向と無関係に、同じ方向に回転する1つの共通の中心軸に提供されうるように配置および調整されている。これにより、幾何学的および重量分配的の両方においてエネルギ変換器全体に望ましい対称度が提供される。エネルギ変換器の総密度は押しのけられた水量に近いものとされうる。さらに、発電機はフライホイールの協働によって均一な運転を得る。
【0169】
別の実施形態、図19cでは、対で配置されたギアラックの背面が互いに結合されている。結合されたギアラックからのトルク変換は、4つのアクスルの中心に取り付けられた4つの駆動ピニオンPiによって変換される。駆動ピニオンの各側部にギアSgが取り付けられている。全ギアの力は、ギアラックの各側に1つずつの、2つの中心ギアCgに伝達される。これらの中心ギアが、フリーホイールを備えた2つの別個の発電機を動作させる2つの対称に配置されるアクスルを駆動している。この実施形態ではエネルギ変換器の寿命およびエネルギ密度が2倍になる。
【0170】
図9のように内部コンプライアンス容積およびサービスボリュームが使用される場合、機械的な変速機Cmを備えた変換モジュール内の流体圧力は所定の圧力、例えば、サービスボリューム内の圧力に設定されうる。これにより、変換モジュール内に中央ユニット内の離脱力を低下させる圧力リリーフが形成される。これにより、変換モジュールはより軽量になり、より安価になり、組み立てが容易になる。
【0171】
図8のようにサービスボリュームが使用されない場合、中央ユニット内の離脱力を低下させるため、変換モジュール内および周りの圧力ならびに発電機容量は、例えば、上部コンプライアンス容積C2に近くなるように設定されうる。
【0172】
図4図7のように外部コンプライアンス容積を備えた実施形態では、変換モジュール内および周りの圧力ならびに発電機容量は、中央ユニット内の離脱力を低下させるため、エネルギ変換器の周囲の圧力に近くなるように設定されうる。
【0173】
ギアラックを駆動する力Fは、周囲の水圧Pxおよびバネの復帰力F5が提供する圧力によって、また、コンプライアンスチャンバC1内において優勢な圧力(負圧)によって生成される。ピストン3a上における合計圧力勾配は変換器が湖または海洋に下ろされるテンスメートルごとに1バールで増加する。
【0174】
バネの復帰力F5は、例えば、エラストマシリンダ内のラバーミックスまたはエラストマシリンダの厚さによって決定される。停止状態にあるシリンダの長さの100%にほぼ近い伸長により、シリンダはそれが水に下ろされ、劣化させうるオゾンまたは太陽光にさらされない場合、非常に長い寿命を有し得る。エラストマシリンダは、また、材料の応力低下につながる可能性のあるコイル形状の外部輪郭で作成することができる。
【0175】
エラストマシリンダには、また、エラストマシリンダの端部クロージャ(図19b)に接合されうる電流供給および通信のための導管24、および例えば、電流および通信を水面にあるポイントアブソーバに送信することができる導管51が設けられてもよい。また、この実施形態および他の実施形態ではレべリングシリンダ42、43を設けることができる。この構造は、保守なしで連続運転し、長い寿命を有するための寸法にすることができ、これはとりわけギアラック軸受の寸法を大きくし、追加の力をいくつかのピニオン駆動部に分配し、駆動部および軸受を内部(示されない)オイル精製システムを有しうる油浴内において運転することによって可能にされる。
【0176】
図9bのように、剛性シリンダ、内部コンプライアンス容積、サービスボリュームおよび機械的に連結されたピストンを備えた(示されない)別の実施形態では、気密的に密閉されたエネルギコンバータが、貫通するピストンシャフト6aを、図10に示されるような気密的に閉鎖された上部を有する直線状または螺旋状のエラストマシリンダにより被覆することによって作成される。必要であれば、図10の流れポート25dにサービスボリュームに連結される外部管を設けることができる。この実施形態により、変換モジュールCmを圧力開放することができるとともに、オイル漏れに対する二重の保護を可能にする。
【0177】
図20a〜20dは、2つの規制デバイスの1つがエラストマシリンダであるエネルギコンバータの実施例を示す。これはエネルギ変換器が気密的に密閉されることを意味する。この実施形態は、基本的に図19の実施形態と同じ方法で作用する。違いは、変換器のエネルギ密度を増加するために、および対称的かつ協調的な解決策を形成する可能性を増加するために、ギアラックの代わりに、簡単な実施形態から3つ組の実施形態の、好ましくは対で配置された、1つ以上のチェーン73が使用されていることである。
【0178】
示される実施形態では、3つ組の実施形態の4つのチェーン群がピストン68および3aに取り付けられている。ピストン68は、シャフト69により、図19に記載された端部位置ダンパの配置を有するエラストマシリンダのピストン状の端部クロージャ4aに堅牢に取り付けられている。
【0179】
ピストン68は、また、2つのU字形ビーム74によりピストン3aに堅牢に取り付けられている。U字形ビームは互いから離れて背中合わせに配置される。これにより、主として4つの回転するアクスルからチェーンにより伝達されるトルクを、チェーンの動きの方向と無関係に、同じ方向に回転する1つの共通の中心軸に連結させることが可能となる。
【0180】
チェーン(図20b)は、例えば、接合ヘッド65と平衡はり66とによってピストンに取り付けられている。この、ピストンおよび粗調整テンションボルト75へのチェーンの可撓性を有した取り付けにより、組立が簡略化されると同時に、入力された力がトリプルチェーン73aの2つの対のホルダに均一に自動的に分配される。
【0181】
U字形ビームの脚の間の内側に、チェーンの表面輪郭に適合された切欠が設けられたポリマー突起76が取り付けられている。輪郭突起(contour ledge)は反対側に永久磁石77用の切欠を有する。これらの磁石はチェーンをこれらの重力に対する向きと無関係の位置に保持することができる。さらに、これらは、また、磁性屑を引きつけることができる。中央ユニット1oを通るチェーンの出口および入口には、バルブ8がピストン3aとピストン4bとの間の流体Flの動力伝達機能を停止した場合に漏れを防止する、ラビリンスシールに類似するシールが設けられる。
【0182】
チェーンは摩耗時に伸びるため、エネルギ変換器には、一次力吸収チェーンホイール79間に位置するチェーンテンショナ78(図20c)が設けられている。これは、チェーンテンショナが、バネの伸張と同時に、これらの頂部装飾長さ、すなわちチェーンの全長の3%の延長をこれらが得るまでチェーンを伸張させることができることを意味する。この構造は、例えば、チェーンが力下で各動作サイクルに1度のみ曲がる設計を選択することにより保守なしで連続運転し、長い寿命を有するための寸法にすることができ、この曲げは油浴中で実施される。
【0183】
図20eは、エネルギ変換システムとしてタイミングベルトを使用するエネルギ変換器の一例を示す。この実施形態では、振動流体は気体であり、ラッチバルブを使用することはできない。システムは、間に剛体の機械的な連結部6bを有する2つのピストンを有する。この例では、この連結部がタイミングベルトを、連結部の各側に1つずつの、2つのベルトに分割する。フリーホイールを通じて2つの発電機への動力を変換する2つのシャフトに取り付けられた4つの中心ホイールCwがある。各側にある1つの中心ホイールは、タイミングベルトが動力を供給されているホイールに対して最適な接触を有することを保証するための支持ホイールである。2つの相互作用するホイールのうちのどちらの1つが支持ホイールとして作用するかはタイミングベルトの動きの方向に依存する。
【0184】
2つの両面タイミングベルトは両方とも一度に1つのシャフトを駆動する。これらは機械的な連結部6bのスロット内を走行し、偏心的に下方に、しかし互いに対称に配置されている。これらのシャフトは2つのフリーホイールによりフライホイール30を備えた2つの発電機を駆動する。
【0185】
タイミングベルトは、1つまたは複数のロッドによって互いに機械的に堅牢に取り付けられた2つのピストンに取り付けられているホイール上を走行する。ピストン内のホイールは、変換されるべき引張力がそれらに供給されていない場合、タイミングベルトを予備伸張されたままで維持するため、ピストンに対するバネ状の連結部を有する。変換されるべき引張力が発生すると、これらの力により、引っ張られるピストンのバネ状の連結部は硬くなる。この予備伸張力(pre−stretching forces)の変化はベルトの寿命を延長するために行われる。
【0186】
回転を加速し、変速機なしでより多くのエネルギをフライホイールに貯蔵するためにタイミングベルトの端部がホイールSwに取り付けられるため、伸張後、タイミングベルトを中央ユニットに堅牢に係止することができる。この方式で、タイミングベルトのフォーマット済みのループでは、ベルトがピストンの動きの2倍の速度を受けることになる。より高い毎分回転数により貯蔵容量が増加し、より小型の発電機の使用を可能にするとともに電力のより均一な出力が提供される。
【0187】
図21a〜21cは、2つの規制デバイスの1つがエラストマシリンダであるエネルギ変換器の実施例を示す。これは、エネルギ変換器が気密的に密閉されることを意味する。この実施形態は、基本的に図19および図20の実施形態と同じ方法で作用する。違いは、ギアラックおよびチェーンの代わりに、1つ以上の巻き取られるバンドおよび巻き出されるバンドを使用していることである。
【0188】
この例では、バンドは厚さ0.1mmのスチールバンド80である。これらは、2つの上部ドラム82aと2つの下部ドラム82bそれぞれへの巻き取りと巻き出しとの間において交互に動作する2つの上部バンド装置および2つの下部バンド装置81として回転する。ドラムは中央ユニット1p内に配置される。図18図20の実施形態によれば、バンド装置およびドラムは、それらがギアホイールおよび回転するハブによって、主として4つのアクスル上において発生するすべての動力を、巻き取りまたは巻き出しが行われている場合は独立している、同じ方向に回転する1つの中心において回転するアクスルに伝達しうるように配置される。
【0189】
単一の、より厚いスチールバンドを使用する代わりに、例えば、厚さ0.1mmの2つの薄いスチールバンドを含むバンド装置が使用される。これにより、バンド装置全体の強度が増加し、単一の0.2mmの厚さを有するスチールバンドが有しうる剛性が回避される。これらのバンドは共に互いの上部に巻き取られるため、外側のバンドはわずかに長い距離走行する。これは調整しなければならない。この調整は、ピストン68、3aに対する、バンドの、可撓性があり、かつ摺動する付属物の配置のために発生する。これは、図20の実施形態におけるピストンと同様、中央ユニット1p内を通る2つのU字形ビーム74によって互いに堅牢に取り付けられている。
【0190】
各バンド装置は、例えば、軸止された支柱84、球面軸受65またはバランスビーム構造66によって互いに接合される2つの取付点83(図21b)を有する。これは、各バンドが互いに対して自己調節並列運動(self adjusting parallel movements)を実施し、それらが、また、ドラム形状のホイール82a、82b上に巻かれたバンドに自己調節力を伝達する可能性を得ることを意味する。
【0191】
2つの上部バンド装置および下部バンド装置はエネルギ変換器の中心線において対称であり、軸止された連結部86aによってバネで吊下された力伝達プレート85に互いに接合される。力伝達プレート85の役割は、バンドが荷重がかかることなくドラム上に巻き取られる際にそれらを伸張することである。荷重がかかる間、すなわち、バンドが引張力を使用してドラムからバンドを巻き取ろうとして力を伝達する際、力伝達プレート85はわずかに可撓性のゴムプレート86に当接する。貫通U字形ビームは、また、対向するバンド装置が力伝達プレートのバネ力に作用されるのみであり、それによってバンドがそれぞれ巻き取られたおよび巻き戻された場合のドラム直径の合計の差による長さの差を吸収することができることを意味する。
【0192】
各バンド装置に2つの薄いバンドが使用される場合、ドラムをより小さな直径で作成しても尚同じ動力を発生させることができる。これにより、高エネルギ密度を有するとともに、主により高い回転で動作することができるエネルギ変換器になる。巻き取られたおよび巻き戻された2重バンド装置間の全長の違いは約1センチメートルであり、これは力伝達プレートによって容易に吸収することができる。2つの巻き取られたおよび巻き戻された単一のバンド間の違いはわずか数ミリメートルである。
【0193】
中央ユニット1pを通過するバンド装置の入口および出口は、閉止バルブ8が流路63を通過する流れを停止するとそれ以上大きな流れを通過させない長尺状のスロットである。
【0194】
この構造は、例えば、スチールバンドが力下で各動作サイクルに1度のみ曲がる設計を選択することによって、保守なしで連続運転し、長い寿命を有するような寸法にされうる。必要であれば、例えば、磁性屑の分離を含む内部オイル精製システム(図示せず)も設置することができる。ラッチバルブが使用されない場合、流体は気体を含みうる。
【0195】
上記の手順によれば、また、例えば、中央が幅広い上部バンドと、周縁部にある、共通のアクスルを動作するために幅を半分に分割した2つの下部バンドを使用することによりバンドを共通のドラム上で巻き取るおよび巻き出す可能性がある。
【0196】
また、図21cに示されるように、バンドの動作を2倍にする可能性がある。バンドをピストンに取り付ける代わりに、ピストンに取り付けられた羽根車またはガイドホイールにそれらが渡された後、それらは力伝達装置によって中央ユニットに取り付けられうる。より薄いバンド、例えば、グラフェンの積層物が好適である。より厚いバンドには、力伝達装置からのより大きなバネ特性と巻き取りおよび巻き戻しホイールのより大きな直径が必要である。
【0197】
バンドの寿命をさらに延長するため、バンドの縁は、より薄くなり、かつより堅くなるようにカレンダ加工されうる。これにより、そうしない場合に通常発生する亀裂が縁において開始する危険性が低下する。
【0198】
同様に、チェーンおよび線による力伝達に適切な後者の実施形態は、より少ないエネルギ吸収を有し、閉止バルブを有するまたは有さず、機械式、流体式および空気式の少なくとも一つの方式による端部液圧ダンパを有する簡単なシステムに適切である。システムは、また、寿命および保守に対する要求が低くてもよい。
【0199】
図22aおよび図22bは、2つの規制デバイスの1つがエラストマシリンダであるエネルギ変換器の実施例を示す。これは、エネルギ変換器が気密的に密閉されることを意味する。この実施形態は、基本的に図21の実施形態と同じ方法で作用する。違いは、バンドの代わりに、小型の直径および薄層を有するスチールワイヤまたは合成ロープ87が使用されている。ワイヤの直径とドラムの直径との間の関係は好ましくは40倍を超える。ワイヤの小型の直径は、中央ユニット1qの上部ドラム88aおよび下部ドラム88bがより小型の直径を受け入れ、それによってより高い一次回転速度を受けることを意味する。さらに、ドラムにはワイヤの巻き取りおよび巻き戻しに適応させたコイル形状の切欠が設けられうる。
【0200】
図22bにおけるピストン68および3aへのワイヤの機械的に可撓性を有した取り付けは、ワイヤがドラム88a、88bに巻き取られるおよびドラム88a、88bから巻き出される場合に発生する横移動に取付デバイスを適合させる必要がある点で図21bにおけるバンドの取り付けとは異なる。これは、ビーム66を玉継ぎ手89上に載せ、さらに軸方向ころ軸受90上に載せ、さらにバネで吊下された力伝達プレート85に取り付けられたボルト91上に載せることによって実施される。ワイヤの取付点における横力の可能性を低下させるため、ワイヤの取付デバイス92はわずかに可撓性のスチール製の軸である。力伝達時、力伝達プレートは図21による実施形態において説明したものと同じように作用されるため、その際に発生する可能性のあるワイヤの延長を吸収することができる。
【0201】
中央ユニット1q内の2つの上部ドラム装置および下部ドラム装置間に、閉止バルブ8が閉じている際に漏れを防止する密封壁がある。上記実施形態と同様、ワイヤは液圧または機械的端部減衰時に生成された力だけでなく、エネルギ変換器の複動機能に必要な力にもさらされない。本例のワイヤは、各動作サイクルに1つの曲げ動作による荷重がかかるのみである。
【0202】
図21aに示すものに類似する実施形態には、機械的なトルク変換の一部分であるワイヤも提供されうる。
図23a〜23eは、本発明の好適な基本実施形態を示す。
【0203】
図23aは、ピストン2xa、2xbを備えた、1つが一次および1つが二次である2つの規制デバイス1xa、1xbがシャフトおよび外形3xaの少なくとも一方によって、または永久磁石3xbを含んでもよいギアラックおよび外形3xbによっていかに機械的に接合され、それらの関連する運動が密閉容器4xとともに、中央ユニット5xを全体的にまたは部分的に通過する密閉された往復動容積内の流体Flxの内部または外部閉動作サイクルを形成するかについて示す。
【0204】
中央ユニット5xはエネルギ変換モジュール6xa、6xb、6xcを含む。6xaは液圧式エネルギ変換モジュールであり、6xbは機械式エネルギ変換モジュールであり、6xcは永久磁石の往復運動を電力に直接的に変換するコイルである。エネルギ変換器は、流体Flを使用している場合は液圧式であり、ギアラック、チェーン、タイミングベルト、バンド、スチールバンド、ワイヤ、ロープを使用している場合は機械式7xであり、永久磁石を含む振動する外形3xa、3xbがピストン2xa、2xbに取り付けられている場合はコイルである。ピストンの機械的な連結3xa、3xbにより、入力される外力Fが中央ユニット5xを通じて伝達されるため、それらはエネルギ変換ユニット上において常に適切な力、すなわち、液圧的力伝達時の圧力勾配または機械的力伝達時の引張力および押圧力に適合されうる。流体Flxは液体または気体とされうる。
【0205】
エネルギ変換ユニット6xa、6xb、6xcは、液圧式ユニット6xaとしては、例えば、ギアポンプおよびローブ回転ポンプ2a〜2d、56とすることができ、機械的なユニット6xbとしては、ギアラック、チェーン、タイミングベルト、フラットベルト、スチールバンド、ワイヤおよび合成ロープ64、73、80、81、87、Cmによって、または電力への往復運動の直接変換のためコイル6xcによって動作するコンバータとすることができる。
【0206】
図23bは、図23aの密閉容器4xおよび流体Flxによって形成された外部または内部閉動作サイクルの代わりに、少なくとも1つの、またはこの図に示されるように、エネルギの貯蔵用の2つのコンプライアンスチャンバCxaおよびCxbを使用する一実施形態を示す。シャフトおよび/またはピストン2xa、2xb間の外形3xa、3xbは、エネルギ変換モジュール7x、6xa、6xb、6xcをこのエネルギ貯蔵に必要とされる力にさらすことなくエネルギをコンプライアンスチャンバCxa、Cxb内に貯蔵することができるように、入力された力を伝達する。流体Flxが液体の場合、コンプライアンスチャンバは気体Gxも含む。
【0207】
この手順を使用することによって、貯蔵周期中、エネルギ変換モジュールを動作することなく、入力される一方向に作用する力Fを、過圧力Pxaおよび負圧力Pxbの両方としてエネルギ変換器内に貯蔵することができるが、エネルギ変換器の戻る動きに必要な時間の間、フライホイール内のエネルギとともにエネルギ源として使用される。これが電流の均一な生産に寄与し、電力の運搬用の電線の領域を低減する。
【0208】
シリンダ1xaおよびピストン2xaはシーリングである必要はなく、流体と気相Pxaとの間の不必要な接触に対するバリアを形成し、ピストンシャフトに優れた案内を提供するとともに、簡単な端部位置液圧ダンパを形成する可能性を提供する。
【0209】
2つの機械的に連結された規制デバイスのピストンの両方が、それら各々のコンプライアンス容積に対して密閉される場合、それらの間にある流体は適切な圧力、例えば、サービスボリュームの圧力に設定されうる。振動流がエネルギを変換モジュールに変換する場合(図1〜18)、変換モジュール近辺におけるキャビテーションを防止するために、この相互連結部に、変換モジュールからの流れを許容しないが変換モジュールへの流れは許容する一方向バルブが備えられうる。往復動機械ユニット(図19〜23)がエネルギを変換モジュールに変換している場合、相互連結部により変換モジュール近辺に中央ユニット内の離脱力を低下させる圧力リリーフが形成されるため、変換モジュールはより軽量になり、より安価になり、組み立てがより容易になる。
【0210】
図23cは、図23bのコンプライアンスチャンバCxbをサービスボリュームSxに発展させるとともに、密封ピストン2xbに直接作用する高真空チャンバCxcが往復動流体の運動用のコンプライアンスチャンバを形成する一実施形態を示す。一方向バルブVxは、ピストン2xb上の流体の漏れが、例えば、コンプライアンスチャンバCxa内の過圧力Pxaによりバルブを通じて押し出され、かつ端部位置ダンパDxbを構成しうることを管理する。ピストン間の機械的な連結を通じて、2つのピストンが中央ユニットから、または中央ユニットに向かって移動すると形成される主に4つの端部位置に端部位置ダンパが配置されうる位置に相互作用が生成される。第2の端部位置液圧ダンパはこの図ではDxaと表記する。
【0211】
図23dは、コンプライアンスチャンバCxaの代わりに同様に上部規制デバイスを形成する伸張可能なコンプライアンスチャンバCxcを使用した一実施形態を示す。伸張可能なコンプライアンスチャンバは、例えば、ベローズもしくは支持ピストンSpxを備えた内部支持シリンダScxを有するまたは有しない直線状またはコイル形状のエラストマシリンダによって構成される。
【0212】
支持ピストンSpxは、中央ユニット5aおよびエネルギ変換モジュール6xおよびピストンSpx、2xbへのそれら継手7xまたは3xbを望ましくない力にさらすことなく端部位置液圧ダンパDxcを形成しうる。
【0213】
また、中央ユニット5xには、動力吸収およびエネルギ変換を変換用ユニットの利用可能な行程に最適にするために、入力される正弦形の運動を強力な方形の運動に変換することができる閉止バルブ8xが設けられうる。
【0214】
伸張可能なコンプライアンスチャンバCxcでは、エネルギ変換器全体が気密的に密閉され、かつ周囲が外部コンプライアンスチャンバとして動作していることを必要とする。さらに、直線状または螺旋状のエラストマシリンダには、例えば、水面上のポイントアブソーバへの電流供給および通信用の伝導性のコイルが巻かれた線またはワイヤLxが提供されうる。
【0215】
エネルギ変換ユニットの好適な実施形態を説明した。これらは、本発明の概念から逸脱することなく特許請求の範囲内において変更可能である。したがって、特に断りのない限り、種々の実施形態の特徴を全ての実施形態に用いることができ、例えば、発電機またはリニア発電機を有する実施形態が他の実施形態の特徴を有するように変更されてもよい。
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